JP7113665B2 - 組成物及びその製造方法 - Google Patents
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Description
4,4’-メチレンビスサリチルアルデヒドを用いたポリイミンは、機械的強度、耐熱性、電気特性に優れ、各種高分子工業材料への適用が期待される。
[1]下記式(1)で表される化合物の異性体混合物を含む組成物。
[3]前記[1]又は[2]の組成物を製造する方法であり、
下記式(11)で表される化合物と、ホルムアルデヒド、下記式(13)で表される化合物及び下記式(14)で表される化合物からなる群から選択される架橋剤とを、オルトリン酸の存在下で反応させ、得られた反応生成物から前記オルトリン酸を除去する、組成物の製造方法。
[4]前記反応生成物から未反応物の少なくとも一部をさらに除去する前記[3]の組成物の製造方法。
[5]前記未反応物の少なくとも一部を除去した後の反応生成物を蒸留し、蒸発成分を回収する前記[4]の組成物の製造方法。
本発明の組成物(以下、「本組成物」ともいう。)は、下記式(1)で表される化合物(以下、「化合物1」ともいう。)の異性体混合物を含む。
Xは、下記式(2)で表される基、下記式(3)で表される基又は下記式(4)で表される基を示す。
例えば、Xが前記式(2)で表される基(メチレン基)である場合、p,p’-体、о,p-体、о,о’-体はそれぞれ、下記式(1a)、下記式(1b)、下記式(1c)で表される。
異性体混合物を構成する異性体の比率(組成比)は、13C-NMR(核磁気共鳴分析)により測定される。また、組成比の%はモル%である。
他の成分としては、化合物1の異性体混合物の合成時に使用された原料(後述する式(11)で表される化合物、架橋剤)の未反応物、化合物1の異性体混合物の合成時に副生した高分子量体等が挙げられる。高分子量体としては、例えば、3分子以上のサリチルアルデヒド類がXを介して結合したものが挙げられる。
本組成物は、例えば、下記の製造方法により製造できる。
下記式(11)で表される化合物(以下、「サリチルアルデヒド類」ともいう。)と、ホルムアルデヒド、下記式(13)で表される化合物(以下、「キシリレン類」ともいう。)及び下記式(14)で表される化合物(以下、「ビフェニレン類」ともいう。)からなる群から選択される架橋剤とを、オルトリン酸の存在下で反応させ、得られた反応生成物から前記オルトリン酸を除去する、組成物の製造方法。
式(13)、(14)中、Y1、Y2、Y3及びY4はそれぞれ独立に、炭素原子数1~4のアルコキシ基又はハロゲン原子を示す。アルコキシ基は直鎖状でも分岐状でもよい。ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
水は、単独で反応系に添加されてもよく、予め架橋剤やオルトリン酸と混合され、架橋剤水溶液やオルトリン酸水溶液の形態で反応系に添加されてもよい。
したがって、架橋剤の量は、サリチルアルデヒド類2モルに対し、0.10~1.60モルが好ましく、0.40~1.20モルがより好ましい。
サリチルアルデヒド類に対する架橋剤の比率が低すぎると、残留するサリチルアルデヒド類が多くなってしまい、歩留まりが低下する。架橋剤の比率が高すぎると、高分子量体が多く副生してしまい、化合物1の異性体混合物の収量が低下する。
サリチルアルデヒド類と架橋剤とを反応させる時間(反応時間)は、例えば1~30時間であってよい。
オルトリン酸の除去方法としては、例えば、反応生成物に塩基を添加してオルトリン酸を中和し、その後、反応生成物を水洗する(オルトリン酸塩を除去する)方法が挙げられる。塩基としては、オルトリン酸を中和可能であればよく、例えばトリエチルアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
オルトリン酸の除去後の反応生成物をそのまま本組成物としてもよい。
未反応物の少なくとも一部を除去する方法としては、例えば、反応生成物を濃縮する方法が挙げられる。サリチルアルデヒド類、ホルムアルデヒド、キシリレン類は、反応生成物を濃縮する際に揮発して反応生成物から除去される。濃縮は、常法により実施できる。
反応生成物が水を含む場合、濃縮によって、反応生成物から水の少なくとも一部も除去(脱水)できる。
未反応物の少なくとも一部の除去後の反応生成物をそのまま本組成物としてもよい。
得られた蒸発成分はそのまま本組成物とすることができる。
本組成物を用いて得られるポリイミンは、溶剤溶解性に優れ、例えばN-メチルピロリドン等の極性溶剤にも十分に溶解する。そのため、本組成物を用いることにより、m-クレゾール等を使用しなくても、例えば極性溶媒を用いても、重量平均分子量が20000以上の高分子量のポリイミンを合成できる。
したがって、本組成物は、ポリイミンの原料として有用である。
ポリイミンのほかにも、結晶性による問題がある樹脂がある(例えば、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、フェノキシ樹脂)。これらの樹脂についても、ポリイミンの場合と同様に、本組成物をモノマーに用いることによって結晶性による問題を解決できる。
各例における純度、異性体混合物の組成比、モノマー消費率の測定方法は以下のとおりである。
<純度、モノマー消費率>
下記のGPC装置及びカラムを用いて測定した。
GPC測定装置:東ソー社製、HLC8120GPC。
カラム:東ソー社製、TSKgel G3000H+G2000H+G2000H。
<組成比>
下記のNMR装置を用いて測定した。
NMR測定装置:JEOL RESONANCE製 ECZ500R 13C測定モード。
前記式(1)中のXが前記式(2)で表される基である場合、p,p’-体、о,p-体、о,о’-体の構造は前記のとおりである。前記式(1)中のXが前記式(3)又は(4)で表される基である場合、下記式(1d)で表される構造を持つ化合物をp,p’-体、下記式(1e)で表される構造を持つ化合物をо,p-体として組成比を求めた。
<2-ヒドロキシベンズアルデヒドとホルムアルデヒドの反応による粗メチレンビスサリチルアルデヒドの合成;モル比0.30>
温度計、攪拌機、冷却管を備えた内容量1Lの反応容器に2-ヒドロキシベンズアルデヒド244.2g(2.0モル)、92質量%ホルムアルデヒド19.6g(0.60モル)、85質量%オルトリン酸水溶液24.4gを仕込み、100℃まで昇温した後、2時間反応を行った。次いで、脱水を行いながら140℃まで昇温した後、3時間反応を行った。反応液を80℃まで冷却後、トリエチルアミンでオルトリン酸を中和した。その後、水洗、濃縮し、粗メチレンビスサリチルアルデヒド-1を得た。
中和後の反応生成物についてGPCを行ったところ、メチレンビスサリチルアルデヒドの純度は75.4%、2-ヒドロキシベンズアルデヒドモノマーの消費率は65.78%であった。このときのGPCチャートを図1に示す。
粗メチレンビスサリチルアルデヒド-1について13C-NMRで異性体混合物の組成比を測定したところ、前記組成比は、p,p’-メチレンビスサリチルアルデヒド69.58%、о,p-メチレンビスサリチルアルデヒド27.06%、о、о’-メチレンビスサリチルアルデヒド3.36%であった。
薄膜蒸留器(加熱伝面0.068m2,内部コンデンサー伝面0.019m2、グラス入りポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ワイパー付)を、加熱ジャケットに220℃の熱媒を流し、内部コンデンサーに150℃の加温水を流し、ロータ回転数を350rpmとし、真空度1~5mmHgで運転した。その状態の薄膜蒸留器に粗メチレンビスサリチルアルデヒド-1を、600g/hrで連続的に1時間供給し、蒸発成分および缶出成分を連続的に抜き出し、蒸発成分(留出物)としてメチレンビスサリチルアルデヒド-1を得た。
メチレンビスサリチルアルデヒド-1についてGPCを行ったところ、メチレンビスサリチルアルデヒドの純度は99.45%であった。また、13C-NMRで異性体混合物の組成比を測定したところ、前記組成比は、p,p’-メチレンビスサリチルアルデヒド68.48%、о,p-メチレンビスサリチルアルデヒド28.36%、о,о’-メチレンビスサリチルアルデヒド3.16%であった。
<2-ヒドロキシベンズアルデヒドとホルムアルデヒドの反応による粗メチレンビスサリチルアルデヒドの合成;モル比0.40>
温度計、攪拌機、冷却管を備えた内容量1Lの反応容器に2-ヒドロキシベンズアルデヒド244.2g(2.0モル)、92質量%ホルムアルデヒド26.1g(0.80モル)、85質量%オルトリン酸水溶液24.4gを仕込み、100℃まで昇温した後、2時間反応を行った。次いで、脱水を行いながら140℃まで昇温した後、3時間反応を行った。反応液を80℃まで冷却後、トリエチルアミンでオルトリン酸を中和した。その後、水洗、濃縮し、粗メチレンビスサリチルアルデヒド-2を得た。
中和後の反応生成物についてGPCを行ったところ、メチレンビスサリチルアルデヒドの純度は72.39%、2-ヒドロキシベンズアルデヒドモノマーの消費率は80.88%であった。このときのGPCチャートを図2に示す。
粗メチレンビスサリチルアルデヒド-2について13C-NMRで異性体混合物の組成比を測定したところ、前記組成比は、p,p’-メチレンビスサリチルアルデヒド69.88%、о,p-メチレンビスサリチルアルデヒド26.52%、о,о’-メチレンビスサリチルアルデヒド3.59%であった。
薄膜蒸留器(加熱伝面0.068m2,内部コンデンサー伝面0.019m2、グラス入りPTFEワイパー付)を、加熱ジャケットに220℃の熱媒を流し、内部コンデンサーに150℃の加温水を流し、ロータ回転数を350rpmとし、真空度1~5mmHgで運転した。その状態の薄膜蒸留器に粗メチレンビスサリチルアルデヒド-2を、600g/hrで連続的に1時間供給し、蒸発成分および缶出成分を連続的に抜き出し、蒸発成分(留出物)としてメチレンビスサリチルアルデヒド-2を得た。
メチレンビスサリチルアルデヒド-2についてGPCを行ったところ、メチレンビスサリチルアルデヒドの純度は99.41%であった。また、13C-NMRで異性体混合物の組成比を測定したところ、前記組成比は、p,p’-メチレンビスサリチルアルデヒド69.68%、о,p-メチレンビスサリチルアルデヒド27.42%、о,о’-メチレンビスサリチルアルデヒド2.90%であった。
<2-ヒドロキシベンズアルデヒドとホルムアルデヒドの反応による粗メチレンビスサリチルアルデヒドの合成;モル比0.50>
温度計、攪拌機、冷却管を備えた内容量1Lの反応容器に2-ヒドロキシベンズアルデヒド244.2g(2.0モル)、92質量%ホルムアルデヒド32.6g(1.00モル)、85質量%オルトリン酸水溶液24.4gを仕込み、100℃まで昇温した後、2時間反応を行った。次いで、脱水を行いながら140℃まで昇温した後、3時間反応を行った。反応液を80℃まで冷却後、トリエチルアミンでオルトリン酸を中和した。その後、水洗、濃縮し、粗メチレンビスサリチルアルデヒド-3を得た。
中和後の反応生成物についてGPCを行ったところ、メチレンビスサリチルアルデヒドの純度は69.67%、2-ヒドロキシベンズアルデヒドモノマーの消費率は89.30%であった。このときのGPCチャートを図3に示す。
粗メチレンビスサリチルアルデヒド-3について13C-NMRで異性体混合物の組成比を測定したところ、前記組成比は、p,p’-メチレンビスサリチルアルデヒド71.10%、о,p-メチレンビスサリチルアルデヒド25.16%、о,о’-メチレンビスサリチルアルデヒド3.74%であった。
薄膜蒸留器(加熱伝面0.068m2,内部コンデンサー伝面0.019m2、グラス入りPTFEワイパー付)を、加熱ジャケットに220℃の熱媒を流し、内部コンデンサーに150℃の加温水を流し、ロータ回転数を350rpmとし、真空度1~5mmHgで運転した。その状態の薄膜蒸留器に粗メチレンビスサリチルアルデヒド-2を、600g/hrで連続的に1時間供給し、蒸発成分および缶出成分を連続的に抜き出し、蒸発成分(留出物)としてメチレンビスサリチルアルデヒド-3を得た。
メチレンビスサリチルアルデヒド-3についてGPCを行ったところ、メチレンビスサリチルアルデヒドの純度は99.39%であった。また、13C-NMRで異性体混合物の組成比を測定したところ、前記組成比は、p,p’-メチレンビスサリチルアルデヒド71.08%、о,p-メチレンビスサリチルアルデヒド25.11%、о,о’-メチレンビスサリチルアルデヒド3.81%であった。
<2-ヒドロキシベンズアルデヒドとパラキシレングリコールジメチルエーテルの反応による粗キシリレンビスサリチルアルデヒドの合成;モル比0.40>
温度計、攪拌機、冷却管を備えた内容量1Lの反応容器に2-ヒドロキシベンズアルデヒド244.2g(2.0モル)、85質量%オルトリン酸水溶液24.4gを仕込み、160℃まで昇温した。次いで、パラキシレングリコールジメチルエーテル132.8g(0.8モル)を3時間かけて滴下した。また、複製するメタノールは系外へ除去した。その後、160℃を維持したまま、2時間反応を行い、複製するメタノールの留出が終了したのを確認後、80℃まで冷却した。次いでトリエチルアミンでオルトリン酸を中和した。その後、水洗、濃縮し、粗キシリレンビスサリチルアルデヒドを得た。
中和後の反応生成物についてGPCを行ったところ、キシリレンビスサリチルアルデヒドの純度は82.37%、2-ヒドロキシベンズアルデヒドモノマーの消費率は93.35%であった。このときのGPCチャートを図4に示す。
粗キシリレンビスサリチルアルデヒドについて13C-NMRで異性体混合物の組成比を測定したところ、前記組成比は、p,p’-キシリレンビスサリチルアルデヒド73.43%、о,p-キシリレンビスサリチルアルデヒド26.57%であった。
薄膜蒸留器(加熱伝面0.068m2,内部コンデンサー伝面0.019m2、グラス入りPTFEワイパー付)を、加熱ジャケットに265℃の熱媒を流し、内部コンデンサーに150℃の加温水を流し、ロータ回転数を350rpmとし、真空度1~5mmHgで運転した。その状態の薄膜蒸留器に粗キシリレンビスサリチルアルデヒドを、600g/hrで連続的に1時間供給し、蒸発成分および缶出成分を連続的に抜き出し、蒸発成分(留出物)としてキシリレンビスサリチルアルデヒドを得た。
キシリレンビスサリチルアルデヒドについてGPCを行ったところ、キシリレンビスサリチルアルデヒドの純度は99.81%であった。また、13C-NMRで異性体混合物の組成比を測定したところ、前記組成比は、p,p’-キシリレンビスサリチルアルデヒド71.41%、о,p-キシリレンビスサリチルアルデヒド28.59%であった。
<2-ヒドロキシベンズアルデヒドと4,4-ビスメトキシメチルビフェニルの反応によるビフェニレンビスサリチルアルデヒドの合成;モル比0.30>
温度計、攪拌機、冷却管を備えた内容量1Lの反応容器に2-ヒドロキシベンズアルデヒド244.2g(2.0モル)、85質量%オルトリン酸水溶液24.4gを仕込み、160℃まで昇温した。次いで、4,4-ビスメトキシメチルビフェニル145.2g(0.6モル)を3時間かけて滴下した。また、複製するメタノールは系外へ除去した。その後、160℃を維持したまま、2時間反応を行い、複製するメタノールの留出が終了したのを確認後、80℃まで冷却した。次いでトリエチルアミンでオルトリン酸を中和した。その後、水洗、濃縮し、ビフェニレンビスサリチルアルデヒドを得た。
中和後の反応生成物についてGPCを行ったところ、ビフェニレンビスサリチルアルデヒドの純度は91.39%、2-ヒドロキシベンズアルデヒドモノマーの消費率は97.25%であった。このときのGPCチャートを図5に示す。
ビフェニレンビスサリチルアルデヒドについて13C-NMRで異性体混合物の組成比を測定したところ、前記組成比は、p,p’-ビフェニレンビスサリチルアルデヒド81.45%、о,p-ビフェニレンビスサリチルアルデヒド18.55%であった。
<2-ヒドロキシベンズアルデヒドとホルムアルデヒドの反応による粗メチレンビスサリチルアルデヒドの合成;パラトルエンスルホン酸で反応;モル比0.40>
温度計、攪拌機、冷却管を備えた内容量1Lの反応容器に2-ヒドロキシベンズアルデヒド244.2g(2.0モル)、92質量%ホルムアルデヒド32.6g(1.00モル)、パラトルエンスルホン酸12.2gを仕込み100℃まで昇温した後、2時間反応を行った。次いで、脱水を行いながら120℃まで昇温した後、3時間反応を行った。反応液を80℃まで冷却後、トリエチルアミンでパラトルエンスルホン酸を中和した。その後、水洗、濃縮し、粗メチレンビスサリチルアルデヒドを得た。
中和後の反応生成物についてGPCを行ったところ、メチレンビスサリチルアルデヒドの純度は49.55%、2-ヒドロキシベンズアルデヒドモノマーの消費率は86.57%であった。このときのGPCチャートを図6に示す。
粗メチレンビスサリチルアルデヒドについて13C-NMRで異性体混合物の組成比を測定したところ、前記組成比は、p,p’-メチレンビスサリチルアルデヒド71.10%、о,p-メチレンビスサリチルアルデヒド25.16%、о,о’-メチレンビスサリチルアルデヒド3.74%であった。
<2-ヒドロキシベンズアルデヒドとパラキシレングリコールジメチルエーテルの反応による粗キシリレンビスサリチルアルデヒドの合成;パラトルエンスルホン酸で反応;モル比0.40>
温度計、攪拌機、冷却管を備えた内容量1Lの反応容器に2-ヒドロキシベンズアルデヒド244.2g(2.0モル)、パラトルエンスルホン酸12.2gを仕込み、160℃まで昇温した。次いで、パラキシレングリコールジメチルエーテル132.8g(0.8モル)を3時間かけて滴下した。また、複製するメタノールは系外へ除去した。その後、160℃を維持したまま、2時間反応を行い、複製するメタノールの留出が終了したのを確認後、80℃まで冷却した。次いでトリエチルアミンでパラトルエンスルホン酸を中和した。その後、水洗、濃縮し、粗キシリレンビスサリチルアルデヒドを得た。
中和後の反応生成物についてGPCを行ったところ、キシリレンビスサリチルアルデヒドの純度は22.94%、2-ヒドロキシベンズアルデヒドモノマーの消費率は86.79%であった。このときのGPCチャートを図7に示す。
粗キシリレンビスサリチルアルデヒドについて13C-NMRで異性体混合物の組成比を測定したところ、前記組成比は、p,p’-キシリレンビスサリチルアルデヒド61.34%、о,p-キシリレンビスサリチルアルデヒド38.66%であった。
<2-ヒドロキシベンズアルデヒドと4,4-ビスメトキシメチルビフェニルの反応によるビフェニレンビスサリチルアルデヒドの合成:パラトルエンスルホン酸で反応;モル比0.30>
温度計、攪拌機、冷却管を備えた内容量1Lの反応容器に2-ヒドロキシベンズアルデヒド244.2g(2.0モル)、パラトルエンスルホン酸12.2gを仕込み、160℃まで昇温した。次いで、4,4-ビスメトキシメチルビフェニル145.2g(0.8モル)を3時間かけて滴下した。また、複製するメタノールは系外へ除去した。その後、160℃を維持したまま、2時間反応を行い、複製するメタノールの留出が終了したのを確認後、80℃まで冷却した。次いでトリエチルアミンでパラトルエンスルホン酸を中和した。その後、水洗、濃縮し、ビフェニレンビスサリチルアルデヒドを得た。
中和後の反応生成物についてGPCを行ったところ、ビフェニレンビスサリチルアルデヒドの純度は27.65%、2-ヒドロキシベンズアルデヒドモノマーの消費率は87.50%であった。このときのGPCチャートを図8に示す。
ビフェニレンビスサリチルアルデヒドについて13C-NMRで異性体混合物の組成比を測定したところ、前記組成比は、p,p’-ビフェニレンビスサリチルアルデヒド78.12%、о,p-ビフェニレンビスサリチルアルデヒド21.88%であった。
<メチレンビスサリチルアルデヒドとジアミンとの反応-1>
温度計、攪拌機、冷却管を備えた内容量2Lの反応容器に実施例1で得たメチレンビスサリチルアルデヒド256.0g(1.0モル)、N-メチル-2-ピロリドン553.1gを仕込み、室温にてメチレンビスサリチルアルデヒドを溶解させた。次いで、同温度にて4,4-ジアミノジフェニルメタン89.2g(0.45モル)とm-フェニレンジアミン59.5g(0.55モル)を添加し、2時間反応させた。次いで、70℃まで昇温し、3時間反応させた。後に反応で複製する水を真空下で除去し、ポリイミンワニスAを得た。GPCによるポリイミンの重量平均分子量(Mw)は42391、数平均分子量(Mn)は15195であった。
ポリイミンのMwおよびMnは、以下のGPC測定装置及びカラムを用いて測定した標準ポリスチレン換算の値である(以下同様)。
GPC測定装置:東ソー社製 HLC8120GPC。
カラム:東ソー社製、TSKgel G3000H+G2000H+G2000H。
<メチレンビスサリチルアルデヒドとジアミンとの反応-2>
温度計、攪拌機、冷却管を備えた内容量2Lの反応容器に実施例1で得たメチレンビスサリチルアルデヒド256.0g(1.0モル)、N-メチル-2-ピロリドン991.4gを仕込み室温にてメチレンビスサリチルアルデヒドを溶解させた。次いで、同温度にて4,4-ジアミノジフェニルメタン89.2g(0.45モル)と4,4-ジアミノジシクロヘキシルメタン115.7g(0.55モル)を添加し、2時間反応させた。次いで、70℃まで昇温し、3時間反応させた。後に反応で複製する水を真空下で除去し、ポリイミンワニスBを得た。GPCによるポリイミンのMwは42391、Mnは16286であった。
<キシリレンビスサリチルアルデヒドとジアミンとの反応>
温度計、攪拌機、冷却管を備えた内容量2Lの反応容器に実施例4で得たキシリレンビスサリチルアルデヒド346.0g(1.0モル)、N-メチル-2-ピロリドン674.8gを仕込み室温にてキシリレンビスサリチルアルデヒドを溶解させた。次いで、同温度にて4,4-ジアミノジフェニルメタン89.2g(0.45モル)とm-フェニレンジアミン59.5g(0.55モル)を添加し、2時間反応させた。次いで、70℃まで昇温し、3時間反応させた。後に反応で複製する水を真空下で除去し、ポリイミンワニスCを得た。GPCによるポリイミンのMwは34836、Mnは12251であった。
<ビフェニレンビスサリチルアルデヒドとジアミンとの反応>
温度計、攪拌機、冷却管を備えた内容量2Lの反応容器に実施例5で得たビフェニレンビスサリチルアルデヒド422.0g(1.0モル)、N-メチル-2-ピロリドン778.5gを仕込み室温にビフェニレンビスサリチルアルデヒドを溶解させた。次いで、同温度にて4,4-ジアミノジフェニルメタン89.2g(0.45モル)とm-フェニレンジアミン59.5g(0.55モル)を添加し、2時間反応させた。次いで、70℃まで昇温し、3時間反応させた。後に反応で複製する水を真空下で除去し、ポリイミンワニスDを得た。GPCによるポリイミンのMwは59208、Mnは15683であった。
<4,4-メチレンビスサリチルアルデヒドとジアミンとの反応>
温度計、攪拌機、冷却管を備えた内容量2Lの反応容器に4,4-メチレンビスサリチルアルデヒド256.0g(1.0モル)、N-メチル-2-ピロリドン553.1gを仕込み室温に4,4-メチレンビスサリチルアルデヒドを溶解させた。次いで、同温度にて4,4-ジアミノジフェニルメタン89.2g(0.45モル)とm-フェニレンジアミン59.5g(0.55モル)を添加し反応を行ったが、反応開始から30分程度で樹脂が析出した。析出物は、N-メチル-2-ピロリドン、ガンマブチロラクトン等の極性溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール性溶媒、テトラヒドロフランの全ての溶剤に不溶であり、ポリイミンワニスの作製が出来なかった。
Claims (4)
- 下記式(1)で表される化合物の異性体混合物を含み、
ゲル浸透クロマトグラフィにより測定される総ピーク面積に対する前記異性体混合物のピーク面積の割合が、80面積%以上であり、
前記異性体混合物の総質量に対し、前記式(1)中の2つのベンゼン環のうち一方のベンゼン環におけるXの結合位置及び他方のベンゼン環におけるXの結合位置がそれぞれOHの結合位置に対してp位である化合物の割合が50~90モル%、前記式(1)中の2つのベンゼン環のうち一方のベンゼン環におけるXの結合位置がOHの結合位置に対してо位で、他方のベンゼン環におけるXの結合位置がOHの結合位置に対してp位である化合物の割合が10~50モル%、前記式(1)中の2つのベンゼン環のうち一方のベンゼン環におけるXの結合位置及び他方のベンゼン環におけるXの結合位置がそれぞれOHの結合位置に対してо位である化合物の割合が0~20モル%である組成物。
- 下記式(1)で表される化合物の異性体混合物を含む組成物を製造する方法であり、
下記式(11)で表される化合物と、ホルムアルデヒド、下記式(13)で表される化合物及び下記式(14)で表される化合物からなる群から選択される架橋剤とを、オルトリン酸の存在下で反応させ、得られた反応生成物から前記オルトリン酸を除去する、組成物の製造方法。
- 前記反応生成物から未反応物の少なくとも一部をさらに除去する、請求項2に記載の組成物の製造方法。
- 前記未反応物の少なくとも一部を除去した後の反応生成物を蒸留し、蒸発成分を回収する請求項3に記載の組成物の製造方法。
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