JP7113665B2 - 組成物及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、組成物及びその製造方法に関する。
4,4’-メチレンビスサリチルアルデヒドは、含有するホルミル基が反応性に富み、酸化、還元反応等により様々な変性が可能であることから、様々な用途に利用可能である。例えば、4,4’-メチレンビスサリチルアルデヒドとジアミンとを反応させることによってポリイミンが得られる(非特許文献1)。
4,4’-メチレンビスサリチルアルデヒドを用いたポリイミンは、機械的強度、耐熱性、電気特性に優れ、各種高分子工業材料への適用が期待される。
しかし、4,4’-メチレンビスサリチルアルデヒドは、溶剤溶解性に乏しいため、作業性が悪く、変性が容易ではない。また、ポリイミンとしたときに、N-メチルピロリドン等の極性溶剤にも不溶となるため、m-クレゾール等の毒性、刺激性が強い特定の溶剤を使用しなければポリイミンを合成できず、合成できても、重量平均分子量が20000以上の高分子量体を得ることは困難である。
有機合成化学 第41巻 第10号(1983) 第972-984頁
本発明は、高分子材料等の原料として有用な組成物及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を有する。
[1]下記式(1)で表される化合物の異性体混合物を含む組成物。
Figure 0007113665000001
(式中、R、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、アリル基、炭素原子数1~8のアルキル基又は炭素原子数1~8のアルコキシ基を示し、Xは、下記式(2)で表される基、下記式(3)で表される基又は下記式(4)で表される基を示す。)
Figure 0007113665000002
[2]ゲル浸透クロマトグラフィにより測定される総ピーク面積に対する前記異性体混合物のピーク面積の割合が、80面積%以上である前記[1]の組成物。
[3]前記[1]又は[2]の組成物を製造する方法であり、
下記式(11)で表される化合物と、ホルムアルデヒド、下記式(13)で表される化合物及び下記式(14)で表される化合物からなる群から選択される架橋剤とを、オルトリン酸の存在下で反応させ、得られた反応生成物から前記オルトリン酸を除去する、組成物の製造方法。
Figure 0007113665000003
(式中、R、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、アリル基、炭素原子数1~8のアルキル基又は炭素原子数1~8のアルコキシ基を示し、Y、Y、Y及びYはそれぞれ独立に、炭素原子数1~4のアルコキシ基又はハロゲン原子を示す。)
[4]前記反応生成物から未反応物の少なくとも一部をさらに除去する前記[3]の組成物の製造方法。
[5]前記未反応物の少なくとも一部を除去した後の反応生成物を蒸留し、蒸発成分を回収する前記[4]の組成物の製造方法。
本発明によれば、高分子材料等の原料として有用な組成物及びその製造方法を提供できる。
実施例1にて中和後の反応生成物について測定したGPCチャートである。 実施例2にて中和後の反応生成物について測定したGPCチャートである。 実施例3にて中和後の反応生成物について測定したGPCチャートである。 実施例4にて中和後の反応生成物について測定したGPCチャートである。 実施例5にて中和後の反応生成物について測定したGPCチャートである。 比較例1にて中和後の反応生成物について測定したGPCチャートである。 比較例2にて中和後の反応生成物について測定したGPCチャートである。 比較例3にて中和後の反応生成物について測定したGPCチャートである。
〔組成物〕
本発明の組成物(以下、「本組成物」ともいう。)は、下記式(1)で表される化合物(以下、「化合物1」ともいう。)の異性体混合物を含む。
Figure 0007113665000004
式(1)中、R、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、アリル基、炭素原子数1~8のアルキル基又は炭素原子数1~8のアルコキシ基を示す。アルキル基及びアルコキシ基はそれぞれ直鎖状でも分岐状でもよい。
Xは、下記式(2)で表される基、下記式(3)で表される基又は下記式(4)で表される基を示す。
Figure 0007113665000005
化合物1の異性体混合物は、典型的には、式(1)中の2つのベンゼン環(OH及びCHOが結合したベンゼン環)におけるXの結合位置が異なる2以上の異性体を含む。このような異性体としては、一方のベンゼン環におけるXの結合位置及び他方のベンゼン環におけるXの結合位置がそれぞれOHの結合位置に対してp位である化合物(以下、「p,p’-体」ともいう。);一方のベンゼン環におけるXの結合位置がOHの結合位置に対してо位で、他方のベンゼン環におけるXの結合位置がOHの結合位置に対してp位である化合物(以下、「о,p-体」ともいう。);一方のベンゼン環におけるXの結合位置及び他方のベンゼン環におけるXの結合位置がそれぞれOHの結合位置に対してо位である化合物(以下、「о,о’-体」ともいう。);が挙げられる。
例えば、Xが前記式(2)で表される基(メチレン基)である場合、p,p’-体、о,p-体、о,о’-体はそれぞれ、下記式(1a)、下記式(1b)、下記式(1c)で表される。
Figure 0007113665000006
異性体混合物は、異性体混合物の総質量に対し、p,p’-体を50~90%、о,p-体を10~50%、о,о’-体を0~20%含むことが好ましい。p,p’-体、о,p-体、о,о’-体それぞれの割合が前記範囲内であれば、作業性、本組成物を用いて得られるポリイミン等の溶剤溶解性がより優れる。
異性体混合物を構成する異性体の比率(組成比)は、13C-NMR(核磁気共鳴分析)により測定される。また、組成比の%はモル%である。
Xが前記式(2)で表される基である場合、異性体混合物は、異性体混合物の総質量に対し、p,p’-体を50~80%、о,p-体を15~40%、о,о’-体を1~10%含むことがより好ましく、p,p’-体を55~75%、о,p-体を20~35%、о,о’-体を2~8%含むことがさらに好ましい。
Xが前記式(3)で表される基である場合、異性体混合物は、異性体混合物の総質量に対し、p,p’-体を50~85%、о,p-体を15~35%含むことがより好ましく、p,p’-体を55~80%、о,p-体を20~30%含むことがさらに好ましい。
Xが前記式(4)で表される基である場合、異性体混合物は、異性体混合物の総質量に対し、p,p’-体を60~90%、о,p-体を10~35%含むことがより好ましく、p,p’-体を65~85%、о,p-体を15~30%含むことがさらに好ましい。
化合物1の異性体混合物の含有量は、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)により測定される総ピーク面積に対する化合物1の異性体混合物のピーク面積の割合として、80面積%以上が好ましく、85面積%以上がより好ましく、90面積%以上がさらに好ましく、95面積%が特に好ましく、99面積%以上が最も好ましい。化合物1の異性体混合物の含有量の上限は特に限定されず、100面積%であってもよい。
本組成物は、化合物1の異性体混合物以外の他の成分をさらに含んでいてもよい。
他の成分としては、化合物1の異性体混合物の合成時に使用された原料(後述する式(11)で表される化合物、架橋剤)の未反応物、化合物1の異性体混合物の合成時に副生した高分子量体等が挙げられる。高分子量体としては、例えば、3分子以上のサリチルアルデヒド類がXを介して結合したものが挙げられる。
〔組成物の製造方法〕
本組成物は、例えば、下記の製造方法により製造できる。
下記式(11)で表される化合物(以下、「サリチルアルデヒド類」ともいう。)と、ホルムアルデヒド、下記式(13)で表される化合物(以下、「キシリレン類」ともいう。)及び下記式(14)で表される化合物(以下、「ビフェニレン類」ともいう。)からなる群から選択される架橋剤とを、オルトリン酸の存在下で反応させ、得られた反応生成物から前記オルトリン酸を除去する、組成物の製造方法。
Figure 0007113665000007
式(11)中、R、R及びRは前記と同義である。
式(13)、(14)中、Y、Y、Y及びYはそれぞれ独立に、炭素原子数1~4のアルコキシ基又はハロゲン原子を示す。アルコキシ基は直鎖状でも分岐状でもよい。ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
サリチルアルデヒド類としては、反応後に残留した原料を容易に除去回収が可能である点から、サリチルアルデヒド(別称:2-ヒドロキシベンズアルデヒド)が好ましい。
キシリレン類としては、ビス(アルコキシメチル)キシレンの4,4’-体、2,2’-体、2,4-体、ビス(ハロゲン化メチル)キシレンの4,4’-体、2,2’-体、2,4-体等が挙げられる。これらのうち、比較的安価であり、サリチルアルデヒド類との反応性が良い点で、ビス(アルコキシメチル)キシレンの4,4’-体が好ましい。
ビフェニレン類としては、ビス(アルコキシメチル)ビフェニルの4、4’-体、2,2’-体、2,4-体、ビス(ハロゲン化メチル)ビフェニルの4,4’-体、2,2’-体、2,4-体等が挙げられる。これらのうち、比較的安価であり、サリチルアルデヒド類との反応性が良い点で、ビス(アルコキシメチル)ビフェニルの4,4’-体が好ましい。
サリチルアルデヒド類と架橋剤とをオルトリン酸の存在下で反応させると、2分子のサリチルアルデヒド類が架橋剤によって架橋され、化合物1の異性体混合物が生成する。架橋剤としてホルムアルデヒドを用いると、化合物1のXは前記式(2)で表される基となる。架橋剤としてキシリレン類を用いると、化合物1のXは前記式(3)で表される基となる。架橋剤としてビフェニレン類を用いると、化合物1のXは前記式(4)で表される基となる。
オルトリン酸は、サリチルアルデヒド類と架橋剤との反応において、触媒として機能する。触媒としてオルトリン酸を用いると、他の酸触媒を用いる場合に比べて、生成した化合物1と架橋剤とが反応して高分子量体が副生することを抑制できる。サリチルアルデヒド類を選択的に反応させることができるため、歩留まりが向上する。
サリチルアルデヒド類と架橋剤との反応は、水の存在下で行ってよい。
水は、単独で反応系に添加されてもよく、予め架橋剤やオルトリン酸と混合され、架橋剤水溶液やオルトリン酸水溶液の形態で反応系に添加されてもよい。
ホルムアルデヒドは水溶液でも固形でもどちらでもよい。水溶液中のホルムアルデヒドの濃度は、例えば、30~50質量%(50質量%、37質量%等)であってよい。固形のホルムアルデヒド濃度は、例えば70~92質量%(86質量%、92質量%等)であってもよい。水分が少ない方が、反応速度が速く歩留まりが向上することから、92質量%ホルムアルデヒドが好ましい。
架橋剤のサリチルアルデヒド類に対するモル比(架橋剤/サリチルアルデヒド類)は、0.05~0.80が好ましく、0.20~0.60がより好ましい。
したがって、架橋剤の量は、サリチルアルデヒド類2モルに対し、0.10~1.60モルが好ましく、0.40~1.20モルがより好ましい。
サリチルアルデヒド類に対する架橋剤の比率が低すぎると、残留するサリチルアルデヒド類が多くなってしまい、歩留まりが低下する。架橋剤の比率が高すぎると、高分子量体が多く副生してしまい、化合物1の異性体混合物の収量が低下する。
オルトリン酸の量は、サリチルアルデヒド類に対し、1.0~30.0質量%が好ましく、5.0~15.0質量%がより好ましい。オルトリン酸の量がこの範囲の上限値よりも多いと、サリチルアルデヒド類のホルミル基が反応してしまい、目的物が得られないおそれがある。オルトリン酸の量がこの範囲の下限値よりも少ないと、反応速度が遅くなり、未反応の架橋剤が残留してしまうおそれがある。
サリチルアルデヒド類と架橋剤とを反応させる温度(反応温度)は、50~200℃が好ましく、90~180℃がより好ましい。反応温度があまりに低いと、反応が進まないおそれがある。反応温度があまりに高いと、サリチルアルデヒド類のホルミル基が反応してしまい、目的物が得られないおそれがある。
サリチルアルデヒド類と架橋剤とを反応させる時間(反応時間)は、例えば1~30時間であってよい。
サリチルアルデヒド類と架橋剤とを反応させた後、得られた反応生成物からオルトリン酸を除去することで、生成した化合物1同士がさらに反応すること、化合物1の純度低下等を抑制できる。
オルトリン酸の除去方法としては、例えば、反応生成物に塩基を添加してオルトリン酸を中和し、その後、反応生成物を水洗する(オルトリン酸塩を除去する)方法が挙げられる。塩基としては、オルトリン酸を中和可能であればよく、例えばトリエチルアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
オルトリン酸の除去後の反応生成物をそのまま本組成物としてもよい。
オルトリン酸の除去後、必要に応じて、反応生成物から未反応物の少なくとも一部を除去する。これにより、化合物1の異性体混合物の含有量を高めることができる。
未反応物の少なくとも一部を除去する方法としては、例えば、反応生成物を濃縮する方法が挙げられる。サリチルアルデヒド類、ホルムアルデヒド、キシリレン類は、反応生成物を濃縮する際に揮発して反応生成物から除去される。濃縮は、常法により実施できる。
反応生成物が水を含む場合、濃縮によって、反応生成物から水の少なくとも一部も除去(脱水)できる。
未反応物の少なくとも一部の除去後の反応生成物をそのまま本組成物としてもよい。
前記のように未反応物の少なくとも一部を除去した後、さらに、反応生成物を蒸留し、蒸発成分を回収することが好ましい。反応生成物を蒸留すると、化合物1の異性体混合物が蒸発して蒸発器から留出し、一方で、高分子量体は蒸発せず缶出成分となる。そのため、蒸留によって化合物1の異性体混合物と高分子量体とを分離し、化合物1の異性体混合物の含有量(純度)を高めることができる。
得られた蒸発成分はそのまま本組成物とすることができる。
蒸留方法としては、減圧蒸留、分子蒸留、水蒸気蒸留等が挙げられる。なかでも減圧蒸留が、高純度で化合物1を得ることができる点で好ましく、減圧蒸留のなかでも化合物1を高収率で得られる点で、薄膜蒸留が好ましい。
薄膜蒸留の蒸留温度(熱媒温度)は、200~300℃が好ましく、210~270℃がより好ましい。蒸留温度があまりに低すぎると、化合物1の異性体混合物が蒸発せず、歩留まりが低下し、あまりに高すぎると、不純物まで蒸発してしまい、蒸発成分中の化合物1の異性体混合物の含有量が低下する。
薄膜蒸留の真空度は、20mmHg以下が好ましく、10mmHg以下がより好ましい。真空度があまりに高すぎると、化合物1の異性体混合物が蒸留されない。真空度は、0mmHgであってもよいが、真空度があまりに低すぎると、不純物まで蒸留されてしまい、蒸発成分中の化合物1の異性体混合物の含有量が低下するおそれがあるため、3mmHg以上が好ましい。
以上説明した本組成物にあっては、化合物1を複数の異性体の混合物として含むため、結晶性が低く、溶剤溶解性に優れる。そのため、容易に溶液として変性等の作業を行うことができ、作業性に優れる。
本組成物は、反応性に富むホルミル基を有する化合物1を含んでいるため、酸化、還元反応等により様々な変性が可能である。また、化合物1が有する2つのホルミル基又は2つのフェノール性水酸基を利用して、高分子材料、ビスクマリン化合物、ビスサリチル酸、アルコキシ化合物等を製造できる。例えば、本組成物又はその変性物は、ポリイミン、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、フェノキシ樹脂等を形成するモノマーとして使用できる。例えば、本組成物とジアミンとを反応させてポリイミンが得られる。フェノール性水酸基をエポキシ変性してエポキシ化合物にできる。本組成物とポリカルボン酸とを反応させてポリエステル樹脂にできる。本組成物中のホルミル基を酸化してカルボキシ基とし、ポリオール化合物と反応させてポリエステル樹脂にできる。
従来、4,4’-メチレンビスサリチルアルデヒドを用いたポリイミンは、結晶性が高いため、分子量が高くなると、N-メチルピロリドン等の極性溶剤に不溶となるため、m-クレゾール等の毒性、刺激性が強い特定の溶剤を使用しなければポリイミンを合成できず、合成できても、重量平均分子量が20000以上の高分子量体を得ることは困難であった。
本組成物を用いて得られるポリイミンは、溶剤溶解性に優れ、例えばN-メチルピロリドン等の極性溶剤にも十分に溶解する。そのため、本組成物を用いることにより、m-クレゾール等を使用しなくても、例えば極性溶媒を用いても、重量平均分子量が20000以上の高分子量のポリイミンを合成できる。
したがって、本組成物は、ポリイミンの原料として有用である。
ポリイミンのほかにも、結晶性による問題がある樹脂がある(例えば、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、フェノキシ樹脂)。これらの樹脂についても、ポリイミンの場合と同様に、本組成物をモノマーに用いることによって結晶性による問題を解決できる。
以下に、本発明を実施例によってさらに詳しく説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。以下の各例において「部」は、特に限定のない場合は「質量部」を示す。「純度」は、組成物についてGPCにより測定される総ピーク面積に対する、化合物1の異性体混合物のピーク面積の割合(面積%)を示す。
(測定方法)
各例における純度、異性体混合物の組成比、モノマー消費率の測定方法は以下のとおりである。
<純度、モノマー消費率>
下記のGPC装置及びカラムを用いて測定した。
GPC測定装置:東ソー社製、HLC8120GPC。
カラム:東ソー社製、TSKgel G3000H+G2000H+G2000H。
<組成比>
下記のNMR装置を用いて測定した。
NMR測定装置:JEOL RESONANCE製 ECZ500R 13C測定モード。
前記式(1)中のXが前記式(2)で表される基である場合、p,p’-体、о,p-体、о,о’-体の構造は前記のとおりである。前記式(1)中のXが前記式(3)又は(4)で表される基である場合、下記式(1d)で表される構造を持つ化合物をp,p’-体、下記式(1e)で表される構造を持つ化合物をо,p-体として組成比を求めた。
Figure 0007113665000008
(実施例1)
<2-ヒドロキシベンズアルデヒドとホルムアルデヒドの反応による粗メチレンビスサリチルアルデヒドの合成;モル比0.30>
温度計、攪拌機、冷却管を備えた内容量1Lの反応容器に2-ヒドロキシベンズアルデヒド244.2g(2.0モル)、92質量%ホルムアルデヒド19.6g(0.60モル)、85質量%オルトリン酸水溶液24.4gを仕込み、100℃まで昇温した後、2時間反応を行った。次いで、脱水を行いながら140℃まで昇温した後、3時間反応を行った。反応液を80℃まで冷却後、トリエチルアミンでオルトリン酸を中和した。その後、水洗、濃縮し、粗メチレンビスサリチルアルデヒド-1を得た。
中和後の反応生成物についてGPCを行ったところ、メチレンビスサリチルアルデヒドの純度は75.4%、2-ヒドロキシベンズアルデヒドモノマーの消費率は65.78%であった。このときのGPCチャートを図1に示す。
粗メチレンビスサリチルアルデヒド-1について13C-NMRで異性体混合物の組成比を測定したところ、前記組成比は、p,p’-メチレンビスサリチルアルデヒド69.58%、о,p-メチレンビスサリチルアルデヒド27.06%、о、о’-メチレンビスサリチルアルデヒド3.36%であった。
<蒸留>
薄膜蒸留器(加熱伝面0.068m,内部コンデンサー伝面0.019m、グラス入りポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ワイパー付)を、加熱ジャケットに220℃の熱媒を流し、内部コンデンサーに150℃の加温水を流し、ロータ回転数を350rpmとし、真空度1~5mmHgで運転した。その状態の薄膜蒸留器に粗メチレンビスサリチルアルデヒド-1を、600g/hrで連続的に1時間供給し、蒸発成分および缶出成分を連続的に抜き出し、蒸発成分(留出物)としてメチレンビスサリチルアルデヒド-1を得た。
メチレンビスサリチルアルデヒド-1についてGPCを行ったところ、メチレンビスサリチルアルデヒドの純度は99.45%であった。また、13C-NMRで異性体混合物の組成比を測定したところ、前記組成比は、p,p’-メチレンビスサリチルアルデヒド68.48%、о,p-メチレンビスサリチルアルデヒド28.36%、о,о’-メチレンビスサリチルアルデヒド3.16%であった。
(実施例2)
<2-ヒドロキシベンズアルデヒドとホルムアルデヒドの反応による粗メチレンビスサリチルアルデヒドの合成;モル比0.40>
温度計、攪拌機、冷却管を備えた内容量1Lの反応容器に2-ヒドロキシベンズアルデヒド244.2g(2.0モル)、92質量%ホルムアルデヒド26.1g(0.80モル)、85質量%オルトリン酸水溶液24.4gを仕込み、100℃まで昇温した後、2時間反応を行った。次いで、脱水を行いながら140℃まで昇温した後、3時間反応を行った。反応液を80℃まで冷却後、トリエチルアミンでオルトリン酸を中和した。その後、水洗、濃縮し、粗メチレンビスサリチルアルデヒド-2を得た。
中和後の反応生成物についてGPCを行ったところ、メチレンビスサリチルアルデヒドの純度は72.39%、2-ヒドロキシベンズアルデヒドモノマーの消費率は80.88%であった。このときのGPCチャートを図2に示す。
粗メチレンビスサリチルアルデヒド-2について13C-NMRで異性体混合物の組成比を測定したところ、前記組成比は、p,p’-メチレンビスサリチルアルデヒド69.88%、о,p-メチレンビスサリチルアルデヒド26.52%、о,о’-メチレンビスサリチルアルデヒド3.59%であった。
<蒸留>
薄膜蒸留器(加熱伝面0.068m,内部コンデンサー伝面0.019m、グラス入りPTFEワイパー付)を、加熱ジャケットに220℃の熱媒を流し、内部コンデンサーに150℃の加温水を流し、ロータ回転数を350rpmとし、真空度1~5mmHgで運転した。その状態の薄膜蒸留器に粗メチレンビスサリチルアルデヒド-2を、600g/hrで連続的に1時間供給し、蒸発成分および缶出成分を連続的に抜き出し、蒸発成分(留出物)としてメチレンビスサリチルアルデヒド-2を得た。
メチレンビスサリチルアルデヒド-2についてGPCを行ったところ、メチレンビスサリチルアルデヒドの純度は99.41%であった。また、13C-NMRで異性体混合物の組成比を測定したところ、前記組成比は、p,p’-メチレンビスサリチルアルデヒド69.68%、о,p-メチレンビスサリチルアルデヒド27.42%、о,о’-メチレンビスサリチルアルデヒド2.90%であった。
(実施例3)
<2-ヒドロキシベンズアルデヒドとホルムアルデヒドの反応による粗メチレンビスサリチルアルデヒドの合成;モル比0.50>
温度計、攪拌機、冷却管を備えた内容量1Lの反応容器に2-ヒドロキシベンズアルデヒド244.2g(2.0モル)、92質量%ホルムアルデヒド32.6g(1.00モル)、85質量%オルトリン酸水溶液24.4gを仕込み、100℃まで昇温した後、2時間反応を行った。次いで、脱水を行いながら140℃まで昇温した後、3時間反応を行った。反応液を80℃まで冷却後、トリエチルアミンでオルトリン酸を中和した。その後、水洗、濃縮し、粗メチレンビスサリチルアルデヒド-3を得た。
中和後の反応生成物についてGPCを行ったところ、メチレンビスサリチルアルデヒドの純度は69.67%、2-ヒドロキシベンズアルデヒドモノマーの消費率は89.30%であった。このときのGPCチャートを図3に示す。
粗メチレンビスサリチルアルデヒド-3について13C-NMRで異性体混合物の組成比を測定したところ、前記組成比は、p,p’-メチレンビスサリチルアルデヒド71.10%、о,p-メチレンビスサリチルアルデヒド25.16%、о,о’-メチレンビスサリチルアルデヒド3.74%であった。
<蒸留>
薄膜蒸留器(加熱伝面0.068m,内部コンデンサー伝面0.019m、グラス入りPTFEワイパー付)を、加熱ジャケットに220℃の熱媒を流し、内部コンデンサーに150℃の加温水を流し、ロータ回転数を350rpmとし、真空度1~5mmHgで運転した。その状態の薄膜蒸留器に粗メチレンビスサリチルアルデヒド-2を、600g/hrで連続的に1時間供給し、蒸発成分および缶出成分を連続的に抜き出し、蒸発成分(留出物)としてメチレンビスサリチルアルデヒド-3を得た。
メチレンビスサリチルアルデヒド-3についてGPCを行ったところ、メチレンビスサリチルアルデヒドの純度は99.39%であった。また、13C-NMRで異性体混合物の組成比を測定したところ、前記組成比は、p,p’-メチレンビスサリチルアルデヒド71.08%、о,p-メチレンビスサリチルアルデヒド25.11%、о,о’-メチレンビスサリチルアルデヒド3.81%であった。
(実施例4)
<2-ヒドロキシベンズアルデヒドとパラキシレングリコールジメチルエーテルの反応による粗キシリレンビスサリチルアルデヒドの合成;モル比0.40>
温度計、攪拌機、冷却管を備えた内容量1Lの反応容器に2-ヒドロキシベンズアルデヒド244.2g(2.0モル)、85質量%オルトリン酸水溶液24.4gを仕込み、160℃まで昇温した。次いで、パラキシレングリコールジメチルエーテル132.8g(0.8モル)を3時間かけて滴下した。また、複製するメタノールは系外へ除去した。その後、160℃を維持したまま、2時間反応を行い、複製するメタノールの留出が終了したのを確認後、80℃まで冷却した。次いでトリエチルアミンでオルトリン酸を中和した。その後、水洗、濃縮し、粗キシリレンビスサリチルアルデヒドを得た。
中和後の反応生成物についてGPCを行ったところ、キシリレンビスサリチルアルデヒドの純度は82.37%、2-ヒドロキシベンズアルデヒドモノマーの消費率は93.35%であった。このときのGPCチャートを図4に示す。
粗キシリレンビスサリチルアルデヒドについて13C-NMRで異性体混合物の組成比を測定したところ、前記組成比は、p,p’-キシリレンビスサリチルアルデヒド73.43%、о,p-キシリレンビスサリチルアルデヒド26.57%であった。
<蒸留>
薄膜蒸留器(加熱伝面0.068m,内部コンデンサー伝面0.019m、グラス入りPTFEワイパー付)を、加熱ジャケットに265℃の熱媒を流し、内部コンデンサーに150℃の加温水を流し、ロータ回転数を350rpmとし、真空度1~5mmHgで運転した。その状態の薄膜蒸留器に粗キシリレンビスサリチルアルデヒドを、600g/hrで連続的に1時間供給し、蒸発成分および缶出成分を連続的に抜き出し、蒸発成分(留出物)としてキシリレンビスサリチルアルデヒドを得た。
キシリレンビスサリチルアルデヒドについてGPCを行ったところ、キシリレンビスサリチルアルデヒドの純度は99.81%であった。また、13C-NMRで異性体混合物の組成比を測定したところ、前記組成比は、p,p’-キシリレンビスサリチルアルデヒド71.41%、о,p-キシリレンビスサリチルアルデヒド28.59%であった。
(実施例5)
<2-ヒドロキシベンズアルデヒドと4,4-ビスメトキシメチルビフェニルの反応によるビフェニレンビスサリチルアルデヒドの合成;モル比0.30>
温度計、攪拌機、冷却管を備えた内容量1Lの反応容器に2-ヒドロキシベンズアルデヒド244.2g(2.0モル)、85質量%オルトリン酸水溶液24.4gを仕込み、160℃まで昇温した。次いで、4,4-ビスメトキシメチルビフェニル145.2g(0.6モル)を3時間かけて滴下した。また、複製するメタノールは系外へ除去した。その後、160℃を維持したまま、2時間反応を行い、複製するメタノールの留出が終了したのを確認後、80℃まで冷却した。次いでトリエチルアミンでオルトリン酸を中和した。その後、水洗、濃縮し、ビフェニレンビスサリチルアルデヒドを得た。
中和後の反応生成物についてGPCを行ったところ、ビフェニレンビスサリチルアルデヒドの純度は91.39%、2-ヒドロキシベンズアルデヒドモノマーの消費率は97.25%であった。このときのGPCチャートを図5に示す。
ビフェニレンビスサリチルアルデヒドについて13C-NMRで異性体混合物の組成比を測定したところ、前記組成比は、p,p’-ビフェニレンビスサリチルアルデヒド81.45%、о,p-ビフェニレンビスサリチルアルデヒド18.55%であった。
(比較例1)
<2-ヒドロキシベンズアルデヒドとホルムアルデヒドの反応による粗メチレンビスサリチルアルデヒドの合成;パラトルエンスルホン酸で反応;モル比0.40>
温度計、攪拌機、冷却管を備えた内容量1Lの反応容器に2-ヒドロキシベンズアルデヒド244.2g(2.0モル)、92質量%ホルムアルデヒド32.6g(1.00モル)、パラトルエンスルホン酸12.2gを仕込み100℃まで昇温した後、2時間反応を行った。次いで、脱水を行いながら120℃まで昇温した後、3時間反応を行った。反応液を80℃まで冷却後、トリエチルアミンでパラトルエンスルホン酸を中和した。その後、水洗、濃縮し、粗メチレンビスサリチルアルデヒドを得た。
中和後の反応生成物についてGPCを行ったところ、メチレンビスサリチルアルデヒドの純度は49.55%、2-ヒドロキシベンズアルデヒドモノマーの消費率は86.57%であった。このときのGPCチャートを図6に示す。
粗メチレンビスサリチルアルデヒドについて13C-NMRで異性体混合物の組成比を測定したところ、前記組成比は、p,p’-メチレンビスサリチルアルデヒド71.10%、о,p-メチレンビスサリチルアルデヒド25.16%、о,о’-メチレンビスサリチルアルデヒド3.74%であった。
図2と図6の対比から、触媒としてパラトルエンスルホン酸を用いた比較例1では、オルトリン酸を用いた以外は同じ操作を行った実施例2と比較して、高分子量体が多く生成されており、メチレンビスサリチルアルデヒドの純度が低かったことが確認できた。
(比較例2)
<2-ヒドロキシベンズアルデヒドとパラキシレングリコールジメチルエーテルの反応による粗キシリレンビスサリチルアルデヒドの合成;パラトルエンスルホン酸で反応;モル比0.40>
温度計、攪拌機、冷却管を備えた内容量1Lの反応容器に2-ヒドロキシベンズアルデヒド244.2g(2.0モル)、パラトルエンスルホン酸12.2gを仕込み、160℃まで昇温した。次いで、パラキシレングリコールジメチルエーテル132.8g(0.8モル)を3時間かけて滴下した。また、複製するメタノールは系外へ除去した。その後、160℃を維持したまま、2時間反応を行い、複製するメタノールの留出が終了したのを確認後、80℃まで冷却した。次いでトリエチルアミンでパラトルエンスルホン酸を中和した。その後、水洗、濃縮し、粗キシリレンビスサリチルアルデヒドを得た。
中和後の反応生成物についてGPCを行ったところ、キシリレンビスサリチルアルデヒドの純度は22.94%、2-ヒドロキシベンズアルデヒドモノマーの消費率は86.79%であった。このときのGPCチャートを図7に示す。
粗キシリレンビスサリチルアルデヒドについて13C-NMRで異性体混合物の組成比を測定したところ、前記組成比は、p,p’-キシリレンビスサリチルアルデヒド61.34%、о,p-キシリレンビスサリチルアルデヒド38.66%であった。
図4と図7の対比から、触媒としてパラトルエンスルホン酸を用いた比較例2では、オルトリン酸を用いた以外は同じ操作を行った実施例4と比較して、高分子量体が多く生成されており、キシリレンビスサリチルアルデヒドの純度が低かったことが確認できた。
(比較例3)
<2-ヒドロキシベンズアルデヒドと4,4-ビスメトキシメチルビフェニルの反応によるビフェニレンビスサリチルアルデヒドの合成:パラトルエンスルホン酸で反応;モル比0.30>
温度計、攪拌機、冷却管を備えた内容量1Lの反応容器に2-ヒドロキシベンズアルデヒド244.2g(2.0モル)、パラトルエンスルホン酸12.2gを仕込み、160℃まで昇温した。次いで、4,4-ビスメトキシメチルビフェニル145.2g(0.8モル)を3時間かけて滴下した。また、複製するメタノールは系外へ除去した。その後、160℃を維持したまま、2時間反応を行い、複製するメタノールの留出が終了したのを確認後、80℃まで冷却した。次いでトリエチルアミンでパラトルエンスルホン酸を中和した。その後、水洗、濃縮し、ビフェニレンビスサリチルアルデヒドを得た。
中和後の反応生成物についてGPCを行ったところ、ビフェニレンビスサリチルアルデヒドの純度は27.65%、2-ヒドロキシベンズアルデヒドモノマーの消費率は87.50%であった。このときのGPCチャートを図8に示す。
ビフェニレンビスサリチルアルデヒドについて13C-NMRで異性体混合物の組成比を測定したところ、前記組成比は、p,p’-ビフェニレンビスサリチルアルデヒド78.12%、о,p-ビフェニレンビスサリチルアルデヒド21.88%であった。
図5と図8の対比から、触媒としてパラトルエンスルホン酸を用いた比較例3では、オルトリン酸を用いた以外は同じ操作を行った実施例4と比較して、高分子量体が多く生成されており、ビフェニレンビスサリチルアルデヒドの純度が低かったことが確認できた。
(参考例A)
<メチレンビスサリチルアルデヒドとジアミンとの反応-1>
温度計、攪拌機、冷却管を備えた内容量2Lの反応容器に実施例1で得たメチレンビスサリチルアルデヒド256.0g(1.0モル)、N-メチル-2-ピロリドン553.1gを仕込み、室温にてメチレンビスサリチルアルデヒドを溶解させた。次いで、同温度にて4,4-ジアミノジフェニルメタン89.2g(0.45モル)とm-フェニレンジアミン59.5g(0.55モル)を添加し、2時間反応させた。次いで、70℃まで昇温し、3時間反応させた。後に反応で複製する水を真空下で除去し、ポリイミンワニスAを得た。GPCによるポリイミンの重量平均分子量(Mw)は42391、数平均分子量(Mn)は15195であった。
ポリイミンのMwおよびMnは、以下のGPC測定装置及びカラムを用いて測定した標準ポリスチレン換算の値である(以下同様)。
GPC測定装置:東ソー社製 HLC8120GPC。
カラム:東ソー社製、TSKgel G3000H+G2000H+G2000H。
(参考例B)
<メチレンビスサリチルアルデヒドとジアミンとの反応-2>
温度計、攪拌機、冷却管を備えた内容量2Lの反応容器に実施例1で得たメチレンビスサリチルアルデヒド256.0g(1.0モル)、N-メチル-2-ピロリドン991.4gを仕込み室温にてメチレンビスサリチルアルデヒドを溶解させた。次いで、同温度にて4,4-ジアミノジフェニルメタン89.2g(0.45モル)と4,4-ジアミノジシクロヘキシルメタン115.7g(0.55モル)を添加し、2時間反応させた。次いで、70℃まで昇温し、3時間反応させた。後に反応で複製する水を真空下で除去し、ポリイミンワニスBを得た。GPCによるポリイミンのMwは42391、Mnは16286であった。
(参考例C)
<キシリレンビスサリチルアルデヒドとジアミンとの反応>
温度計、攪拌機、冷却管を備えた内容量2Lの反応容器に実施例4で得たキシリレンビスサリチルアルデヒド346.0g(1.0モル)、N-メチル-2-ピロリドン674.8gを仕込み室温にてキシリレンビスサリチルアルデヒドを溶解させた。次いで、同温度にて4,4-ジアミノジフェニルメタン89.2g(0.45モル)とm-フェニレンジアミン59.5g(0.55モル)を添加し、2時間反応させた。次いで、70℃まで昇温し、3時間反応させた。後に反応で複製する水を真空下で除去し、ポリイミンワニスCを得た。GPCによるポリイミンのMwは34836、Mnは12251であった。
(参考例D)
<ビフェニレンビスサリチルアルデヒドとジアミンとの反応>
温度計、攪拌機、冷却管を備えた内容量2Lの反応容器に実施例5で得たビフェニレンビスサリチルアルデヒド422.0g(1.0モル)、N-メチル-2-ピロリドン778.5gを仕込み室温にビフェニレンビスサリチルアルデヒドを溶解させた。次いで、同温度にて4,4-ジアミノジフェニルメタン89.2g(0.45モル)とm-フェニレンジアミン59.5g(0.55モル)を添加し、2時間反応させた。次いで、70℃まで昇温し、3時間反応させた。後に反応で複製する水を真空下で除去し、ポリイミンワニスDを得た。GPCによるポリイミンのMwは59208、Mnは15683であった。
(参考比較例E)
<4,4-メチレンビスサリチルアルデヒドとジアミンとの反応>
温度計、攪拌機、冷却管を備えた内容量2Lの反応容器に4,4-メチレンビスサリチルアルデヒド256.0g(1.0モル)、N-メチル-2-ピロリドン553.1gを仕込み室温に4,4-メチレンビスサリチルアルデヒドを溶解させた。次いで、同温度にて4,4-ジアミノジフェニルメタン89.2g(0.45モル)とm-フェニレンジアミン59.5g(0.55モル)を添加し反応を行ったが、反応開始から30分程度で樹脂が析出した。析出物は、N-メチル-2-ピロリドン、ガンマブチロラクトン等の極性溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール性溶媒、テトラヒドロフランの全ての溶剤に不溶であり、ポリイミンワニスの作製が出来なかった。
本組成物は、化合物1を高純度に含み、作業性(ハンドリング性)に優れることから、高機能性高分子の原料として極めて有用である。

Claims (4)

  1. 下記式(1)で表される化合物の異性体混合物を含み、
    ゲル浸透クロマトグラフィにより測定される総ピーク面積に対する前記異性体混合物のピーク面積の割合が、80面積%以上であり、
    前記異性体混合物の総質量に対し、前記式(1)中の2つのベンゼン環のうち一方のベンゼン環におけるXの結合位置及び他方のベンゼン環におけるXの結合位置がそれぞれOHの結合位置に対してp位である化合物の割合が50~90モル%、前記式(1)中の2つのベンゼン環のうち一方のベンゼン環におけるXの結合位置がOHの結合位置に対してо位で、他方のベンゼン環におけるXの結合位置がOHの結合位置に対してp位である化合物の割合が10~50モル%、前記式(1)中の2つのベンゼン環のうち一方のベンゼン環におけるXの結合位置及び他方のベンゼン環におけるXの結合位置がそれぞれOHの結合位置に対してо位である化合物の割合が0~20モル%である組成物。
    Figure 0007113665000009
    (式中、R、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、アリル基、炭素原子数1~8のアルキル基又は炭素原子数1~8のアルコキシ基を示し、Xは、下記式(2)で表される基、下記式(3)で表される基又は下記式(4)で表される基を示す。)
    Figure 0007113665000010
  2. 下記式(1)で表される化合物の異性体混合物を含む組成物を製造する方法であり、
    下記式(11)で表される化合物と、ホルムアルデヒド、下記式(13)で表される化合物及び下記式(14)で表される化合物からなる群から選択される架橋剤とを、オルトリン酸の存在下で反応させ、得られた反応生成物から前記オルトリン酸を除去する、組成物の製造方法。
    Figure 0007113665000011
    (式中、R 、R 及びR はそれぞれ独立に、水素原子、アリル基、炭素原子数1~8のアルキル基又は炭素原子数1~8のアルコキシ基を示し、Xは、下記式(2)で表される基、下記式(3)で表される基又は下記式(4)で表される基を示す。)
    Figure 0007113665000012
    Figure 0007113665000013
    (式中、R、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、アリル基、炭素原子数1~8のアルキル基又は炭素原子数1~8のアルコキシ基を示し、Y、Y、Y及びYはそれぞれ独立に、炭素原子数1~4のアルコキシ基又はハロゲン原子を示す。)
  3. 前記反応生成物から未反応物の少なくとも一部をさらに除去する、請求項に記載の組成物の製造方法。
  4. 前記未反応物の少なくとも一部を除去した後の反応生成物を蒸留し、蒸発成分を回収する請求項に記載の組成物の製造方法。
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