JP4389010B2 - 置換基を有するノボラック誘導体およびその製造方法 - Google Patents
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特にレジスト材料として用いる場合は、クレゾールノボラックが価格と品質の観点から優れているとされている。
しかし、多数の置換基をベンゼン環上に持つノボラックの性能については、十分に検討されているとは言えない(非特許文献1)。
ノボラックの耐熱性、耐久性、ブレンド特性を向上させるために、多くの研究がなされてきた。たとえば、脂肪族の環状化合物をスペーサーに利用する方法が知られている。(特許文献1)
そういった方法とは別に、ベンゼン環上にかさ高い置換基を有するフェノール誘導体をノボラックの原料に用いることにより、酸化反応に強く、耐熱性の高いノボラックが得られると予想されるが、その立体障害のためにアルデヒド類との付加縮合が効率的に進まないと考えられており、十分に検討されてきたとは言えない(非特許文献2、3)。
最近の研究では、本発明者らの、2,4,6-トリメチルフェノール(非特許文献4)や1,3,5-トリメトキシベンゼン(非特許文献2)からのノボラックの合成が知られている。
したがって、かさ高い置換基を有するノボラックおよびそのエポキシ化物、カリックスアレーン類の工業的利用は、未知の部分が多い。
即ち、溶媒中に助触媒として酢酸を加えると、下記の反応式(1)に従って一般式(2)で表されるフェノールノボラック誘導体が効率良く製造できる。
また、アルキル基はメチル基又はエチル基等の直鎖でも分岐鎖でもよい。
なお、原材料の入手の観点からは水素が良い。
R2、R3、R4は、メチル基、tert-ブチル基、アルコキシル基、フェニル基のいずれかである。
R5は水素または、炭素数1〜18のアルキル基、フェニル基のいずれかである。
溶媒としてはクロロホルム、塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素類、エチレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのセロソルブ類、メタノール、エタノールなどのアルカノール類、トルエン等の単独又は混合溶媒でよいが、本発明は助触媒として酢酸を5〜95%加える点に特徴がある。
溶媒の種類等に合わせて酢酸濃度が選定されるが好ましくは5〜50%である。
触媒としては、塩酸、硫酸などの無機酸、およびパラトルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸などの有機酸が例として挙げられる。
反応温度は20〜150℃、好ましくは40〜80℃の範囲である。
分子量は用途に応じて制御されるが、好ましくは500〜50,000、望ましくは500〜10,000である。
R1は水素、又はメチル基である。
R2、R3、R4は、メチル基である。
R5は水素、又はメチル基である。
n’は4〜8の範囲であるが4が好ましい。
溶媒としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、クロロホルム、ジクロロメタン、いずれか又はそれらの混合溶媒である。
酢酸を助触媒として溶媒に対して5〜95%加える。好ましくは酢酸温度5〜50%の範囲である。
また触媒としては、塩酸、硫酸などの無機酸、およびパラトルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸などの有機酸が例として挙げられる。
反応温度は20〜80℃である。
R1は水素又はメチル基である。
R2、R3、R4はメチル基またはtert-ブチル基である。
R5は水素又はメチル基である。
R6、R7、R8はR2、R3、R4のいずれかを置換した基で、水素、メチル基、tert-ブチル基のいずれかであり、同じユニットの繰り返しである必要はない。
また、R2、R3、R4の位置にtert-ブチル基がある場合には、R6、R7、R8が水素にすることができる。
触媒としては、塩化アルミニウム、塩化鉄、三臭化ホウ素などのルイス酸が例として挙げられる。
溶媒としては、トルエン、クロロホルム、塩化メチレンが例として挙げられる。
反応温度は0〜50℃の範囲が好ましい。
R11は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、フェニル基のいずれかである。好ましくはメチル基とtert-ブチル基である。
R12は水素、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、フェニル基のいずれかである。好ましくは水素、メチル基、tert-ブチル基である。
R13は、水素、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、フェニル基のいずれかである。好ましくは水素、メチル基である。
反応溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素類、エチレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのセロソルブ類、メタノール、エタノールなどのアルカノール類、トルエンが例として挙げられる。
溶媒中の酢酸の含有量は5〜95%、好ましくは5〜50%である。
触媒としては、塩酸、硫酸などの無機酸、およびパラトルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸などの有機酸が例として挙げられ、好ましくは塩酸又は硫酸である。
好ましくは500〜50,000、望ましくは500〜10,000の範囲である。
なお、水素、メチル基が好ましい。
R16、R17は、水素、メチル基、エチル基などの直鎖または分岐した炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、フェニル基のいずれかである。
なお、メチル基、tert-ブチル基が好ましい。ただし、R16とR17が同時に水素となることはない。
R18は、水素、メチル基、エチル基などの直鎖または分岐した炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、フェニル基のいずれかで、水素、メチル基が好ましい。
反応溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素類、エチレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのセロソルブ類、メタノール、エタノールなどのアルカノール類、トルエンが例として挙げられる。
溶媒中の酢酸の含有量は5〜95%がよい。好ましくは5〜50%である。
触媒としては、塩酸、硫酸などの無機酸、およびパラトルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸などの有機酸で、好ましくは塩酸又は硫酸である。
反応温度は20〜150℃である。
なお、好ましくは500〜50,000、望ましくは500〜10,000である。
例としては、エピクロロヒドリンより誘導されるエポキシ化物の他にハロゲン化アリルより誘導されるアリル化物がある。
その点では水酸基に隣接した置換基が、例えばtert-ブチル基、iso-ブチル基、neo-ペンチル基の場合の比較的かさ高い基でも酢酸を助触媒することで、各種の置換基を有するノボラック誘導体が得られる特徴がある。
さらに、隣接した置換基で水酸基が立体障害により保護された格好になるため、ノボラックどうしの凝集が少なく、有機溶媒への溶解度も、従来のノボラックに比べて高いと言える。
特にクロロホルムのようなフェノール・ノボラックの貧溶媒にも溶解する場合もあり、加工性の点からも有用である。
さらに、環状オリゴマーである、カリックスアレーンも合成することができる。これは、酢酸を添加することによりアルデヒド類の反応性が向上するからと考えられる。
特にメタ位で連結されたノボラックは、メチレン基が水酸基に隣接していないため、硬化物として用いた場合、水酸基の運動性が高まり、より緻密なネットワーク構造を形成できると考えられる。
さらに、高分子反応を用いて、オルト位の置換基を脱離させてやれば、よりその傾向が強まると言える。
また、酢酸を助触媒とすることで、更にかさ高い置換基を有するカテコールやヒドロキノン誘導体からも同様にノボラックを合成することができる。
(a)1H NMR(270MHz)および13C NMR(75MHz)は、日本電子フーリエ変換NMR分光光度計(JNM-EX-270)を使用して25℃で測定した。溶媒として重水素化アセトン、内部標準物質としてテトラメチルシランを使用した。
(b)FT-IRスペクトルは、日本分光フーリエ変換分光光度計(FT-IR 460plus)を用いて行った。
(c)ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定には、カラムとして東ソー製ポリスチレンゲル充填からむTSKgelG3000H XLを用い、検出には東ソー紫外分光光度計(UV-8011、測定波長270nm)を用い、テトラヒドロフランを溶離液として1.0mL/min、室温で測定した。
図1に、1H NMRチャートを示し、図2に13C NMRチャート、図3にIR測定チャートを示す。
(実施例1-5)パラホルムアルデヒドのモル数を0.06molにした点を除いて、実施例1-1と同じ操作を行ったところ、90%の収率で相当するノボラック誘導体を得た。分子量Mn = 3000, Mw/Mn = 1.9であった。
(実施例1-6)2,4,6-トリメチルフェノールを2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾールにした点を除いて、実施例1-1と同じ操作を行ったところ、100%の収率で相当するノボラック誘導体を得た。分子量Mn = 2800, Mw/Mn = 1.3であった。
図4に1H NMRチャート、図5に13C NMRチャート、図6にIR測定チャートを示す。
(実施例2-2)パラホルムアルデヒドのモル数を0.06molにした点を除いて、実施例2-1と同じ操作を行ったところ、90%の収率で相当するノボラック誘導体を得た。分子量Mn = 5500, Mw/Mn = 2.8であった。
(実施例2-3)触媒を硫酸1.0mLにした点を除いて、実施例2-1と同じ操作を行ったところ、40%の収率で相当するノボラック誘導体を得た。分子量Mn = 1200, Mw/Mn = 1.1であった。
(実施例3-2)パラホルムアルデヒドのモル数を0.06molにした点を除いて、実施例1-1と同じ操作を行ったところ、90%の収率で相当するノボラック誘導体を得た。分子量Mn = 4500、 Mw/Mn = 2.1であった。
(実施例3-3)パラホルムアルデヒドをパラアルデヒド(アセトアルデヒド)にした点を除いて、実施例1-1と同じ操作を行ったところ、80%の収率で相当するノボラック誘導体を得た。分子量Mn = 2000、 Mw/Mn = 1.1であった。
4.水酸基への高分子反応による機能性ノボラックの合成例(エポキシ化物)
(実施例4-1)還流管を装備した100mLナス型フラスコに実施例1-1で合成したフェノールノボラック1.48g(0.01mol)、水酸化ナトリウム1g、THF50mL、水50mLを入れ、50℃で3時間撹拌した。その混合溶液の中に、エピクロロヒドリン1.85g(0.02mol)を滴下した後、100℃で3時間反応させた。溶媒と過剰のエピクロロヒドリンを留去し、残留物をトルエンに溶かしてろ過することにより食塩を取り除いた。トルエンを留去して定量的にエポキシ化物を得た。水酸基に対するエポキシの導入率は40%であった。
(実施例4-2)エピクロロヒドリンの量を0.04molにした点を除いて、実施例4-1と同じ操作を行ったところ、定量的にエポキシ化物を得た。水酸基に対するエポキシの導入率は65%であった。
これまでのノボラックに比べて、高分子の形状やフィルムにした場合の配向性や機械的強度といった物性が安定していると考えられる。その応用例として、本発明では、硬化前のエポキシ化した化合物とその製造法をあげた。さらに、有機溶媒への溶解性が高いことから、汎用高分子やエンジニアリングプラスチックとの高分子ブレンドとしての応用も考えらる。
さらに、有機・無機ナノコンポジット、コーティング剤などに利用できるほか、プラスチックの強度や耐熱性を向上させる添加物としても期待できる。
Claims (4)
- 請求項1に記載の反応式で得られたメタ位で連結されたノボラック誘導体からフェノール性水酸基のオルト位又はパラ位の置換基を、下記反応式(5)に従って交換反応させて製造することを特徴とする一般式(5−1)で表されるノボラック誘導体の製造方法。
R2、R3、R4は、メチル基、tert-ブチル基、アルコキシル基、フェニル基のいずれかである。
R5は、水素または、炭素数1〜18のアルキル基、フェニル基のいずれかである。
R6、R7、R8は、R2、R3、R4のいずれかが交換反応した置換基を示し、水素、メチル基、tert-ブチル基のいずれかであり、同じユニットの繰り返しである必要はない。
nは1以上の整数である。
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