JP2020070267A - アセチレン含有ベンゾオキサジン化合物およびその熱硬化物 - Google Patents
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Abstract
【課題】硬化後のガラス転移温度が高く、かつ高温下での熱重量減の少ない熱性硬化物を得ることができる新規なアセチレン含有ベンゾオキサジン化合物の提供。【解決手段】本発明のアセチレン含有ベンゾオキサジン化合物は、分子内に、2個以上の下記式(I)で示されるベンゾオキサジン部位と、1個以上の下記式(II)で示されるジエチニレンアリーレン部位とを含む:[式(II)中、Arは、置換されていてもよいアリーレン基を示す。]【選択図】なし
Description
本発明は、新規なアセチレン含有ベンゾオキサジン化合物、および該アセチレン含有ベンゾオキサジン化合物の熱硬化物に関する。
ベンゾオキサジン化合物とは、ベンゼン骨格とオキサジン骨格とを有するベンゾオキサジン環を含む化合物を指し、その硬化物(重合物)であるベンゾオキサジン樹脂は、耐熱性、機械的強度等の物性に優れ、多方面の分野において各種用途用の高性能材料として使用されている。
但し、ベンゾオキサジン樹脂単独の硬化物は、ガラス転移温度が200℃程度と低い。そのため、特許文献1では、ベンゾオキサジン誘導体とエポキシ樹脂との共硬化にてガラス転移温度を上げることが提案されている。しかし、エポキシ樹脂との共硬化では、ガラス転移温度が210℃程度までしか上がらず、さらに高温下での熱重量減が大きいという問題もあった。
したがって、本発明は、硬化後のガラス転移温度が高く、かつ高温下での熱重量減の少ない熱性硬化物を得ることができる新規なアセチレン含有ベンゾオキサジン化合物を提供することを目的とする。
また、本発明の別の目的は、上記アセチレン含有ベンゾオキサジン化合物の熱硬化物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記したような知見に基づいて鋭意検討を行った結果、二官能ベンゾオキサジン化合物にジエチニレンアリーレン基を導入した新規なアセチレン含有ベンゾオキサジン化合物を開発し、本発明を完成するに至った。
本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1] 分子内に、2個以上の下記式(I)で示されるベンゾオキサジン部位と、1個以上の下記式(II)で示されるジエチニレンアリーレン部位とを含む、熱硬化性アセチレン含有ベンゾオキサジン化合物:
[式(II)中、Arは、置換されていてもよいアリーレン基を示す。]。
[2] 前記アセチレン含有ベンゾオキサジン化合物が、下記式(III)で示されるアセチレン含有ベンゾオキサジン化合物である、[1]に記載の熱硬化性アセチレン含有ベンゾオキサジン化合物:
[式(III)中、Arは、置換されていてもよいアリーレン基を示し、Rは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル基、または置換されていてもよいアリール基を示す。]。
[3] 前記アセチレン含有ベンゾオキサジン化合物が、下記式(IV)で示されるアセチレン含有ベンゾオキサジン化合物である、[1]に記載の熱硬化性アセチレン含有ベンゾオキサジン化合物:
[式(IV)中、Arは、置換されていてもよいアリーレン基を示す。]。
[4] 前記式(III)および式(IV)において、Arが、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、アントラセニレン基、フエナンスリレン基、またはピレニレン基である、[2]または[3]に記載のアセチレン含有ベンゾオキサジン化合物。
[5] 前記式(III)および式(IV)において、Arが、アントラセニレン基である、[2]または[3]に記載のアセチレン含有ベンゾオキサジン化合物。
[6] 前記式(III)において、Rがフェニル基である、[2]に記載のアセチレン含有ベンゾオキサジン化合物。
[7] [1]〜[6]のいずれかに記載のアセチレン含有ベンゾオキサジン化合物を含む組成物の熱硬化物。
[1] 分子内に、2個以上の下記式(I)で示されるベンゾオキサジン部位と、1個以上の下記式(II)で示されるジエチニレンアリーレン部位とを含む、熱硬化性アセチレン含有ベンゾオキサジン化合物:
[2] 前記アセチレン含有ベンゾオキサジン化合物が、下記式(III)で示されるアセチレン含有ベンゾオキサジン化合物である、[1]に記載の熱硬化性アセチレン含有ベンゾオキサジン化合物:
[3] 前記アセチレン含有ベンゾオキサジン化合物が、下記式(IV)で示されるアセチレン含有ベンゾオキサジン化合物である、[1]に記載の熱硬化性アセチレン含有ベンゾオキサジン化合物:
[4] 前記式(III)および式(IV)において、Arが、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、アントラセニレン基、フエナンスリレン基、またはピレニレン基である、[2]または[3]に記載のアセチレン含有ベンゾオキサジン化合物。
[5] 前記式(III)および式(IV)において、Arが、アントラセニレン基である、[2]または[3]に記載のアセチレン含有ベンゾオキサジン化合物。
[6] 前記式(III)において、Rがフェニル基である、[2]に記載のアセチレン含有ベンゾオキサジン化合物。
[7] [1]〜[6]のいずれかに記載のアセチレン含有ベンゾオキサジン化合物を含む組成物の熱硬化物。
本発明のアセチレン含有ベンゾオキサジン化合物は、新規な化合物である。本発明のアセチレン含有ベンゾオキサジン化合物を重合させてなる硬化物は、硬化後のガラス転移温度が高く、かつ高温下での熱重量減の少ないという特徴を有している。さらに式(II)にしめすアセチレン含有部位は、高耐熱性に加え、蛍光特性を有している。したがって、本発明のベンゾオキサジン化合物を原料として使用して熱硬化させたベンゾオキサジン樹脂は、接着剤、封止材(例えば、電子分野で使用される封止材)、積層板、塗料、複合材向けマトリックス樹脂等とともに、有機エレクトロニクス材料として使用可能である。
以下、本発明について詳細に説明する。
<アセチレン含有ベンゾオキサジン化合物>
本発明によるアセチレン含有ベンゾオキサジン化合物は、分子内に、2個以上の下記式(I)で示されるベンゾオキサジン部位と、1個以上の下記式(II)で示されるジエチニレンアリーレン部位とを含むものである。
式(II)中、Arは、置換されていてもよいアリーレン基を示す。
<アセチレン含有ベンゾオキサジン化合物>
本発明によるアセチレン含有ベンゾオキサジン化合物は、分子内に、2個以上の下記式(I)で示されるベンゾオキサジン部位と、1個以上の下記式(II)で示されるジエチニレンアリーレン部位とを含むものである。
本発明の好ましい態様としては、下記式(III)で示されるアセチレン含有ベンゾオキサジン化合物が挙げられる。
上記式(III)中、Arは、置換されていてもよいアリーレン基を示す。Rは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル基、または置換されていてもよいアリール基を示す。
また、本発明の好ましい態様としては、下記式(IV)で示されるアセチレン含有ベンゾオキサジン化合物が挙げられる。
上記式(IV)中、Arは、置換されていてもよいアリーレン基を示す。
本発明において、式(II)、式(III)、および式(IV)中のArは、置換されていてもよいアリーレン基を示し、具体的には、下記式(V)に列挙したアリーレン基を示すことができる。これらの中でも、好ましくは、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、アントラセニレン基、フエナンスリレン基、ピレニレン基であり、より好ましくは、アントラセニレン基である。式(II)、式(III)、および式(IV)において、アリーレン基へのエチニレンの結合位置は特に限定されない。
本発明において、式(III)におけるRが示す「アルキル基」は、その炭素数は特に限定されるものではないが、好ましくは1〜6である(ただし、置換されている場合を除く)。上記アルキル基は直鎖状、分岐鎖状、環状あるいはそれらの組み合わせであってもよい。
Rが示すアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられ、好ましくは、メチル基、エチル基である。
Rが示すアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられ、好ましくは、メチル基、エチル基である。
Rが示すアルキル基は、置換されていてもよく、その置換基として、エーテル基、アミド基、エステル基、アリール基、アルコキシ基およびハロゲン原子からなる群から選択される少なくとも一つの基が挙げられ、好ましくは、エーテル基、アミド基、アリール基である。
Rが示す、置換されているアルキル基の具体例としては、ベンジル基、フェネチル基、トリチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、フェノキシメチル基、フェノキシエチル基、アセトアミドメチル基、アセトキシメチル基等が挙げられ、好ましくは、ベンジル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、フェノキシメチル基である。
Rが示す、置換されているアルキル基の具体例としては、ベンジル基、フェネチル基、トリチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、フェノキシメチル基、フェノキシエチル基、アセトアミドメチル基、アセトキシメチル基等が挙げられ、好ましくは、ベンジル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、フェノキシメチル基である。
本発明において、式(I)におけるRが示す「アリール基」は、その炭素数は特に限定されるものではないが、好ましくは6〜10である(ただし、置換されている場合を除く)。
Rが示すアリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられ、好ましくは、フェニル基である。
Rが示すアリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられ、好ましくは、フェニル基である。
Rが示すアリール基は、置換されていてもよく、その置換基として、アルキル基、エーテル基、アミド基、エステル基、アリール基、アルコキシ基およびハロゲン原子からなる群から選択される少なくとも一つの基が挙げられ、好ましくは、アルキル基である。
Rが示す、置換されているアリール基の具体例としては、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、キシリル基、メチルナフチル基、エチルナフチル基、ジメチルナフチル基、メトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、アセトアミドフェニル基、アセトキシフェニル基等が挙げられ、好ましくは、トリル基、キシリル基、メチルナフチル基、メトキシフェニル基、フェノキシフェニル基である。
Rが示す、置換されているアリール基の具体例としては、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、キシリル基、メチルナフチル基、エチルナフチル基、ジメチルナフチル基、メトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、アセトアミドフェニル基、アセトキシフェニル基等が挙げられ、好ましくは、トリル基、キシリル基、メチルナフチル基、メトキシフェニル基、フェノキシフェニル基である。
本発明の別の好ましい実施態様によれば、Arがアントラセニレン基を示し、Rが置換されていてもよいアリール基を示す。
本発明の別の好ましい実施態様によれば、Arがアントラセニレン基を示し、Rがフェニル基またはナフチル基を示す。
<アセチレン含有ベンゾオキサジン化合物の製造方法>
次に、本発明によるアセチレン含有ベンゾオキサジン化合物の製造方法について説明する。具体的には、下記スキーム1で示す通り、エチニル基を有するベンゾオキサジン誘導体とジハロゲン化アリールの薗頭カップリングにて合成することができる。また、下記スキーム2で示す通り、ハロゲンを有するベンゾオキサジン誘導体とジエチニルアリールの薗頭カップリングにて合成することができる。これらの方法の中では、下記スキーム1で示す通り、エチニル基を有するベンゾオキサジン誘導体とジハロゲン化アリールにて合成することが、収率、原材料の合成の容易さの観点から、好ましい。
スキーム1:
スキーム2:
次に、本発明によるアセチレン含有ベンゾオキサジン化合物の製造方法について説明する。具体的には、下記スキーム1で示す通り、エチニル基を有するベンゾオキサジン誘導体とジハロゲン化アリールの薗頭カップリングにて合成することができる。また、下記スキーム2で示す通り、ハロゲンを有するベンゾオキサジン誘導体とジエチニルアリールの薗頭カップリングにて合成することができる。これらの方法の中では、下記スキーム1で示す通り、エチニル基を有するベンゾオキサジン誘導体とジハロゲン化アリールにて合成することが、収率、原材料の合成の容易さの観点から、好ましい。
スキーム1:
原材料となるアセチレン含有ベンゾオキサジン誘導体としては、下記式(VI)および下記式(VII)で示す化合物を挙げることができる。
上記式(VI)で示す化合物は、ベンゾオキサジン環合成反応によって得ることができる。具体的には、アセチレン含有フェノール誘導体と、アミン化合物と、ホルムアルデヒドまたはホルムアルデヒド誘導体とを反応させることにより、製造することができる。ベンゾオキサジン環合成反応に使用するアセチレン含有フェノール誘導体としては、下記化合物Cを用いることができる。本発明による製造方法において使用する典型的なアセチレン含有フェノール誘導体として、4−[2−(トリメチルシリル)エチニル]フェノールを例示することができる。また、アミン化合物としては、R−NH2を用いることができる。本発明による製造方法において使用する典型的なアミン化合物として、アニリンを例示することができる。さらに、ベンゾオキサジン環合成反応に使用するホルムアルデヒドは典型的にはホルマリンであり、ホルムアルデヒド誘導体としては、1,3,5−トリオキサン、パラホルムアルデヒド等の多量体や重合体等を例示できる。
本発明の一実施態様として、上記式(III)においてRが水素であるアセチレン含有ベンゾオキサジン化合物の製造方法の具体例を以下に示すが、当該方法に限定されるものではない。
工程(ア):
まず、ハロゲン化フェノール(以下、化合物Aともいう)とアセチレンの片側が保護基Yで置換された化合物(以下、化合物Bともいう)との反応により、化合物Cを合成する。以後の各スキーム中において、Xは塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子を示し、Yは保護基を示す。
スキーム3:
まず、ハロゲン化フェノール(以下、化合物Aともいう)とアセチレンの片側が保護基Yで置換された化合物(以下、化合物Bともいう)との反応により、化合物Cを合成する。以後の各スキーム中において、Xは塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子を示し、Yは保護基を示す。
スキーム3:
工程(ア)において、ハロゲン化フェノール(化合物A)とアセチレンの片側が保護基Yで置換された化合物(化合物B)とを、触媒存在下で、アルゴン、窒素等の不活性ガス雰囲気中でカップリング反応することによって、化合物Cを含む反応生成物を得ることができる。
また、上記アセチレンの片側が保護基Yで置換された化合物(化合物B)としては、トリメチルシリル−アセチレン、トリイソプロピルシリル−アセチレン等のシラン化合物等が挙げられ、その使用量は、ハロゲン化フェノール1モルに対し、例えば、0.5〜10モル、好ましくは、1〜3モルである。
カップリング反応における上記触媒系としては、通常、炭素−炭素結合を形成し得る触媒系ならば、限定されるものではないが、薗頭カップリング反応を行うためのビス(トリフェニルホスフェン)パラジウム(II)ジクロリドおよびヨウ化銅を含む触媒系またはテトラキス(トリフェニルホスフェン)パラジウム、臭化亜鉛およびトリエチルアミンを含む触媒系を用いることが好ましい。ビス(トリフェニルホスフェン)パラジウム(II)ジクロリドの添加量としては、限定されるものではないが、例えば、化合物B 1モルに対して、0.1〜10モル%、好ましくは、2〜5モル%である。また、ヨウ化銅の添加量は、ビス(トリフェニルホスフェン)パラジウム(II)ジクロリド 1モルに対して、例えば、1〜10モル、好ましくは、2〜5モルである。
反応に用いられる溶媒としては、限定されるものではないが、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、トリブチルアミン、ピリジンまたはピペリジン等の窒素化合物、テトラヒドロフラン等のエーテル類が挙げられる。これらの溶媒は、単独または2種以上を組み合わせて用いられる。その使用量は、原料に対して例えば、1〜100重量倍、好ましくは、2〜50重量倍であることが好ましい。また、これらの溶媒は、副反応や触媒の失活等を防ぐために、あらかじめ蒸留しておくことが好ましい。
カップリング反応を行う際の反応温度としては、特に制限されるものではないが、反応率の観点から、例えば、20〜150℃の温度範囲であってよく、好ましくは40〜100℃の温度範囲または還流温度である。また、反応時間は、例えば10分〜48時間であってよく、好ましくは、30分〜24時間である。
なお、スキーム3の反応においては、定法に従い、化合物Cを含む反応生成物を留去、再結晶、カラムクロマトグラフィー精製、溶剤洗浄等によって精製し、必要に応じて高純度の化合物Cとすることが好ましい。前記精製により、次工程である工程(イ)において化合物Dを高収率で得ることができる。精製用溶媒としては、水、アルコール類、炭化水素類、芳香族炭化水素類、エーテル類、エステル類、含ハロゲン溶剤類、アミン類等を例示できる。
工程(イ):
次いで、上記のようにして得られた化合物Cと、ホルムアルデヒドまたはホルムアルデヒド誘導体と、アミン化合物との反応により、化合物Dを合成する。以後の各スキーム中において、Rは式(I)に示した通りであり、ホルムアルデヒドまたはホルムアルデヒド誘導体は(CH2O)nと示す。
スキーム4:
次いで、上記のようにして得られた化合物Cと、ホルムアルデヒドまたはホルムアルデヒド誘導体と、アミン化合物との反応により、化合物Dを合成する。以後の各スキーム中において、Rは式(I)に示した通りであり、ホルムアルデヒドまたはホルムアルデヒド誘導体は(CH2O)nと示す。
スキーム4:
工程(イ)のベンゾオキサジン環合成反応に使用されるアミン化合物は、R−NH2であり、Rは、置換されていてもよいアルキル基、または置換されていてもよいアリール基である。R−NH2としては、例えば、一級アリールアミン、一級アルキルアミン等が挙げられる。一級アリールアミンとしては、アニリン、4−メチルアニリン、1−ナフチルアミン、2−ナフチルアミン等が挙げられ、好ましくは、アニリン、1−ナフチルアミンである。また、アミン化合物の使用量については、化合物Cとアミン化合物との理論反応モル比は1:1である。実際の合成反応においては、アミン化合物の使用量は、高収率の観点から、化合物C1モルに対して、アミン化合物0.3〜2モルが好ましく、0.8〜1.5モルがより好ましい。
ベンゾオキサジン環合成反応に使用されるホルムアルデヒドまたはホルムアルデヒド誘導体としては、例えば、1,3,5−トリオキサン、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、ホルマリンまたはそれらの組み合わせが挙げられ、好ましくは、1,3,5−トリオキサン、パラホルムアルデヒド、ホルマリンである。また、ホルムアルデヒドまたはホルムアルデヒド誘導体の使用量については、化合物C1モルに対してCH2Oとして2モルが理論量である。実際の合成反応においては、ホルムアルデヒドまたはホルムアルデヒド誘導体の使用量は、高収率の観点から、化合物C1モルに対して、CH2Oとして1.0〜6.0モルが好ましく、2.0〜4.0モルがより好ましい。したがって、ホルムアルデヒド誘導体として、1,3,5−トリオキサンを用いる場合は、その使用量は、化合物C1モルに対して0.3〜2.0モルとすることが好ましく、0.6〜1.3モルがより好ましい。
ベンゾオキサジン環合成反応を行う際に使用できる反応溶媒としては、アルコール類、芳香族炭化水素類、エーテル類、エステル類、含ハロゲン溶剤類等を例示でき、反応物および生成物の溶解性の観点により、芳香族炭化水素類が好ましい。芳香族炭化水素類としては、トルエンがより好ましい。
ベンゾオキサジン環合成反応の反応温度としては、特に制限されるものではないが、反応率および反応溶媒沸点の観点から、例えば、20〜150℃の温度範囲であってよく、好ましくは、20〜100℃の温度範囲である。また、反応時間は、例えば、30分〜48時間であってよく、好ましくは、1〜24時間である。
なお、スキーム4の反応においては、定法に従い、化合物Dを含む反応生成物を留去、再結晶、カラムクロマトグラフィー精製、溶剤洗浄等によって精製し、必要に応じて高純度の化合物Dとすることが好ましい。前記精製により、次工程である工程(ウ)において化合物Eを高収率で得ることができる。精製用溶媒としては、水、アルコール類、炭化水素類、芳香族炭化水素類、エーテル類、エステル類、含ハロゲン溶剤類等を例示できる。
工程(ウ):
続いて、上記のようにして得られた化合物Dの保護基を脱保護して、化合物Eを得る。
スキーム5:
続いて、上記のようにして得られた化合物Dの保護基を脱保護して、化合物Eを得る。
スキーム5:
スキーム5の反応において、脱保護剤は、特に限定されるものではないが、保護基がトリメチルシリル、トリイソプロピルシリル等のシリル基の場合には、塩基、フッ化物イオンが挙げられる。塩基としては、炭酸カリウム、炭酸カルシウム等が挙げられ、フッ化物イオンとしてはテトラブチルアンモニウムフルオリドが挙げられ、好ましくは、テトラブチルアンモニウムフルオリド、炭酸カルシウムである。また、酢酸等の有機酸を添加して行うこともできる。脱保護剤の使用量は、化合物E1モルに対し、例えば、0.5〜50モルであってよく、好ましくは、5〜20モルである。
脱保護反応を行う際の反応溶媒としては、非プロトン性極性溶媒、アルコール類が挙げられ、好ましくは非プロトン性極性溶媒である。非プロトン性極性溶媒としては、テトラヒドロフランがより好ましい。
脱保護反応を行う際の反応温度としては、特に制限されるものではないが、反応率の観点から、20〜150℃の温度範囲が好ましく、20〜100℃の温度範囲がより好ましい。また、反応時間としては、例えば、1分〜10時間であってよく、好ましくは、30分〜5時間である。
なお、スキーム5の反応においては、定法に従い、化合物Eを含む反応生成物を留去、再結晶、カラムクロマトグラフィー精製、溶剤洗浄等によって精製し、必要に応じて高純度の化合物Eとすることが好ましい。前記精製により、次工程である工程(エ)において化合物Fを高収率で得ることができる。精製用溶媒としては、水、アルコール類、炭化水素類、芳香族炭化水素類、エーテル類、エステル類、含ハロゲン溶剤類等を例示できる。
工程(エ):
続いて、上記のようにして得られた化合物Eとジハロゲン化アリールとを、触媒存在下で、アルゴン、窒素等の不活性ガス雰囲気中でカップリング反応することによって、化合物Fを含む反応生成物を得ることができる。
スキーム6:
続いて、上記のようにして得られた化合物Eとジハロゲン化アリールとを、触媒存在下で、アルゴン、窒素等の不活性ガス雰囲気中でカップリング反応することによって、化合物Fを含む反応生成物を得ることができる。
スキーム6:
ジハロゲン化アリール(X−Ar−X(式中、Arは置換されていてもよいアリーレン基を示し、Xはハロゲン原子を示す。)において、Arは、例えば、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、アントラセニレン基、フエナンスリレン基、ピレニレン基等であり、好ましくはアントラセニレン基であり、Xは、例えば、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子を示し、好ましくは臭素である。ジハロゲン化アリールとしては、9,10−ジブロモアントラセンが好ましい。
化合物Eの使用量は、ジハロゲン化アリール1モルに対し、例えば、1.8〜2.5モル、好ましくは、1,9〜2.1モルである。
上記カップリング反応においては、上記触媒系として、通常、炭素−炭素結合を形成し得る触媒系ならば限定されるものではないが、ビス(トリフェニルホスフェン)パラジウム(II)ジクロリドおよびヨウ化銅を含む触媒系、テトラキス(トリフェニルホスフェン)パラジウムおよび臭化亜鉛、トリエチルアミンを含む触媒系を用いて、薗頭カップリング反応を行うことが好ましい。ビス(トリフェニルホスフェン)パラジウム(II)ジクロリドの添加量としては、限定されるものではないが、例えば、化合物E1モルに対して、0.1〜100モル%、好ましくは、2〜50モル%である。また、ヨウ化銅の添加量は、ビス(トリフェニルホスフェン)パラジウム(II)ジクロリド1モルに対して、例えば、1〜10モル、好ましくは、2〜5モルである。
反応に用いられる溶媒としては、限定されるものではないが、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、トリブチルアミン、ピリジンまたはピペリジン等の窒素化合物、テトラヒドロフラン等のエーテル類が挙げられる。これらの溶媒は、単独または2種以上を組み合わせて用いられる。その使用量は、原料に対して例えば、1から100重量倍、好ましくは、2〜50重量倍であることが好ましい。また、これらの溶媒は、副反応や触媒の失活等を防ぐために、あらかじめ蒸留しておくことが好ましい。
カップリング反応を行う際の反応温度としては、特に制限されるものではないが、反応率の観点から、例えば、20〜150℃の温度範囲であってよく、好ましくは20〜150℃の温度範囲である。また、反応時間は、例えば10分〜48時間であってよく、好ましくは、30分〜24時間である。
なお、スキーム6の反応においては、定法に従い、化合物Fを含む反応生成物を再結晶、カラムクロマトグラフィー精製、溶剤洗浄等によって精製し、必要に応じて高純度の化合物Eとすることが好ましい。精製用溶媒としては、水、アルコール類、炭化水素類、芳香族炭化水素類、エーテル類、エステル類、含ハロゲン溶剤類等を例示できる。
本発明の一実施態様として、上記式(IV)に示すアセチレン含有ベンゾオキサジン化合物の製造方法の具体例を以下に示すが、当該方法に限定されるものではない。
工程(オ):
フェノールと、ホルムアルデヒドまたはホルムアルデヒド誘導体と、エチニルアニリン化合物との反応により、化合物Gを合成する。なお、ホルムアルデヒドまたはホルムアルデヒド誘導体は(CH2O)nと示す。
スキーム7:
フェノールと、ホルムアルデヒドまたはホルムアルデヒド誘導体と、エチニルアニリン化合物との反応により、化合物Gを合成する。なお、ホルムアルデヒドまたはホルムアルデヒド誘導体は(CH2O)nと示す。
スキーム7:
工程(オ)のベンゾオキサジン環合成反応に使用されるアミン化合物は、エチニルアニリンであり、エチニル基の結合位置は限定されず、m−エチニルアニリン、p−エチニルアニリン、o−エチニルアニリンが使用可能である。また、エチニルアニリンの使用量については、フェノールとアミン化合物との理論反応モル比は1:1である。実際の合成反応においては、アミン化合物の使用量は、高収率の観点から、フェノール1モルに対して、アミン化合物0.3〜2モルが好ましく、0.8〜1.5モルがより好ましい。
ベンゾオキサジン環合成反応に使用されるホルムアルデヒドまたはホルムアルデヒド誘導体としては、例えば、1,3,5−トリオキサン、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、ホルマリンまたはそれらの組み合わせが挙げられ、好ましくは、1,3,5−トリオキサン、パラホルムアルデヒド、ホルマリンである。また、ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド誘導体の使用量については、フェノール1モルに対してCH2Oとして2モルが理論量である。実際の合成反応においては、ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド誘導体の使用量は、高収率の観点から、フェノール1モルに対して、CH2Oとして1.0〜6.0モルが好ましく、2.0〜4.0モルがより好ましい。したがって、ホルムアルデヒド誘導体として、1,3,5−トリオキサンを用いる場合は、その使用量は、フェノール1モルに対して0.3〜2.0モルとすることが好ましく、0.6〜1.3モルがより好ましい。
ベンゾオキサジン環合成反応を行う際に使用できる反応溶媒としては、アルコール類、芳香族炭化水素類、エーテル類、エステル類、含ハロゲン溶剤類等を例示でき、反応物および生成物の溶解性の観点により、芳香族炭化水素類が好ましい。芳香族炭化水素類としては、トルエンがより好ましい。
ベンゾオキサジン環合成反応の反応温度としては、特に制限されるものではないが、反応率および反応溶媒沸点の観点から、例えば、20〜150℃の温度範囲であってよく、好ましくは、20〜100℃の温度範囲である。また、反応時間は、例えば、30分〜48時間であってよく、好ましくは、1〜24時間である。
なお、スキーム7の反応においては、定法に従い、化合物Gを含む反応生成物を留去、再結晶、カラムクロマトグラフィー精製、溶剤洗浄等によって精製し、必要に応じて高純度の化合物Gとすることが好ましい。前記精製により、次工程である工程(カ)において化合物Hを高収率で得ることができる。精製用溶媒としては、水、アルコール類、炭化水素類、芳香族炭化水素類、エーテル類、エステル類、含ハロゲン溶剤類等を例示できる。
工程(カ):
続いて、上記のようにして得られた化合物Gとジハロゲン化アリールとを、触媒存在下で、アルゴン、窒素等の不活性ガス雰囲気中でカップリング反応することによって、化合物Hを含む反応生成物を得ることができる。
スキーム8:
続いて、上記のようにして得られた化合物Gとジハロゲン化アリールとを、触媒存在下で、アルゴン、窒素等の不活性ガス雰囲気中でカップリング反応することによって、化合物Hを含む反応生成物を得ることができる。
スキーム8:
ジハロゲン化アリール(X−Ar−X(式中、Arは置換されていてもよいアリーレン基を示し、Xはハロゲン原子を示す。)において、Arは、例えば、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、アントラセニレン基、フエナンスリレン基、ピレニレン基等であり、好ましくはアントラセニレン基であり、Xは、例えば、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子を示し、好ましくは臭素である。ジハロゲン化アリールとしては、9,10−ジブロモアントラセンが好ましい。
化合物Gの使用量は、ジハロゲン化アリール1モルに対し、例えば、1.8〜2.5モル、好ましくは、1,9〜2.1モルである。
上記カップリング反応においては、上記触媒系として、通常、炭素−炭素結合を形成し得る触媒系ならば限定されるものではないが、ビス(トリフェニルホスフェン)パラジウム(II)ジクロリドおよびヨウ化銅を含む触媒系、テトラキス(トリフェニルホスフェン)パラジウムおよび臭化亜鉛、トリエチルアミンを含む触媒系を用いて、薗頭カップリング反応を行うことが好ましい。ビス(トリフェニルホスフェン)パラジウム(II)ジクロリドの添加量としては、限定されるものではないが、例えば、化合物G1モルに対して、0.1〜100モル%、好ましくは、2〜50モル%である。また、ヨウ化銅の添加量は、ビス(トリフェニルホスフェン)パラジウム(II)ジクロリド1モルに対して、例えば、1〜10モル、好ましくは、2〜5モルである。
反応に用いられる溶媒としては、限定されるものではないが、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、トリブチルアミン、ピリジンまたはピペリジン等の窒素化合物、テトラヒドロフラン等のエーテル類が挙げられる。これらの溶媒は、単独または2種以上を組み合わせて用いられる。その使用量は、原料に対して例えば、1から100重量倍、好ましくは、2〜50重量倍であることが好ましい。また、これらの溶媒は、副反応や触媒の失活等を防ぐために、あらかじめ蒸留しておくことが好ましい。
カップリング反応を行う際の反応温度としては、特に制限されるものではないが、反応率の観点から、例えば、20〜150℃の温度範囲であってよく、好ましくは20〜150℃の温度範囲である。また、反応時間は、例えば10分〜48時間であってよく、好ましくは、30分〜24時間である。
なお、スキーム8の反応においては、定法に従い、化合物Hを含む反応生成物を再結晶、カラムクロマトグラフィー精製、溶剤洗浄等によって精製し、必要に応じて高純度の化合物Hとすることが好ましい。精製用溶媒としては、水、アルコール類、炭化水素類、芳香族炭化水素類、エーテル類、エステル類、含ハロゲン溶剤類等を例示できる。
本発明によるアセチレン含有ベンゾオキサジン化合物は、マススペクトル、赤外分光法(IR)、プロトンNMR(1H−NMR)、および13C−NMR等の公知の分析手段により同定することができる。マススペクトルにて、分子量が目的物と一致すること、IR測定により、特定の特徴的吸収ピークを有するスペクトルを示すこと、ならびに両NMR測定によるNMRピークの化学シフトから、各水素原子、炭素原子が合理的に帰属できること、によって化合物の同定を行うことができる。具体的同定方法については、後述の実施例の例示化合物によって説明する。
上記式(VI)で示されるアセチレン含有ベンゾオキサジン化合物(化合物E)は、例えば、Rがフェニル基を示す場合には、マススペクトルで測定される分子イオン([M]+・)の質量、すなわち、分子量は、235である。また、IRスペクトル分析により、上記化合物の、2101cm−1のピークはエチニル基の伸縮振動を示し、3269cm−1のピークはエチニル基のCH結合の伸縮振動を示す。
<熱硬化物>
本発明の別の実施態様によれば、アセチレン含有ベンゾオキサジン化合物を含む組成物の熱硬化物も提供される。ベンゾオキサジン環を開環重合することによって、耐熱性に優れる熱硬化物を得ることができる。なお、開環重合の有無に関しては、IR測定による特定の特徴的吸収ピークの有無により確認することができる。
本発明の別の実施態様によれば、アセチレン含有ベンゾオキサジン化合物を含む組成物の熱硬化物も提供される。ベンゾオキサジン環を開環重合することによって、耐熱性に優れる熱硬化物を得ることができる。なお、開環重合の有無に関しては、IR測定による特定の特徴的吸収ピークの有無により確認することができる。
上記式(III)および上記式(IV)で示されるアセチレン含有ベンゾオキサジン化合物の熱硬化による硬化物(硬化樹脂)は、次のように製造することができる。すなわち、公知のベンゾオキサジン化合物と同様の硬化条件にて、開環重合を行い硬化することができる。例えば、上記式(III)および上記式(IV)で示されるアセチレン含有ベンゾオキサジン化合物を、例えば、150〜350℃、好ましくは、180〜300℃にて、例えば、30分間〜10時間、好ましくは、1〜5時間加熱することで、硬化物を得ることができる。その際に、窒素、アルゴン等で置換した状態で行ってもよい。また、必要に応じて、開始剤を用いても良く、開始剤として、フェノール化合物、ルイス酸、スルホン酸類、カチオン発生剤、アミン化合物等が挙げられ、例えば、100〜350℃、好ましくは、150〜300℃にて、例えば、30分間〜10時間、好ましくは、1〜5時間加熱することで硬化物を得ることができる。得られた硬化物は主鎖にN,O−アセタール構造を有する重合体および/またはマンニッヒ型である重合体である。
上記のようにして得られる熱硬化物は、ベンゾオキサジンが開環重合したものであるが、ベンゼン環に結合したポリアセチレン鎖によって架橋構造が形成されているため、耐熱性に加えて熱伝導性に優れた硬化物を実現することができる。そして、従来のポリアセチレン鎖によって架橋されたベンゾオキサジン樹脂と比較して、本発明による硬化物は、ベンゾオキサジンのオキサジン環ではなく、ベンゼン環にポリアセチレン鎖が結合しているため、硬化物が熱分解する際にも、アニリン体の脱離に伴って架橋密度が低下することがなく、耐熱性がより一層向上することが予想される。そのため、接着剤、封止材(例えば、電子分野で使用される封止材)、積層板、塗料、複合材向けマトリックス樹脂等の種々の分野で好適に使用することができる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、製造方法は一例であり、本発明に係るアセチレン含有ベンゾオキサジン化合物が、下記製造方法により限定されるものではない。
各実施例の化合物の同定には以下の装置を使用し、以下の方法で行った。
・IR;FT/IR-4100 FT-IR Spectrometer (日本分光株式会社製)
試料2mgを乳鉢を用いてKBr(IR吸収測定用)20mgと馴染ませ、その混合粉末をプレス機にかけ膜を作製した後、測定を行なった。
・1H−NMR、13C−NMR;JNM-ECS Series FT NMR装置 (株式会社JEOL RESONANCE、日本電子株式会社製)
・マススペクトル;ESI-MS、質量分析装置(日立ハイテクサイエンス社製、5610質量分析器)
測定サンプルは、試料0.2mgをアセトニトリル2mLに溶解させた溶液を測定した。
測定条件:イオン過電圧:3.5kV、カウンターガス:窒素(0.6mL/min)
AIF温度:120℃、イオン源温度:70℃、イオン化極性:正
・IR;FT/IR-4100 FT-IR Spectrometer (日本分光株式会社製)
試料2mgを乳鉢を用いてKBr(IR吸収測定用)20mgと馴染ませ、その混合粉末をプレス機にかけ膜を作製した後、測定を行なった。
・1H−NMR、13C−NMR;JNM-ECS Series FT NMR装置 (株式会社JEOL RESONANCE、日本電子株式会社製)
・マススペクトル;ESI-MS、質量分析装置(日立ハイテクサイエンス社製、5610質量分析器)
測定サンプルは、試料0.2mgをアセトニトリル2mLに溶解させた溶液を測定した。
測定条件:イオン過電圧:3.5kV、カウンターガス:窒素(0.6mL/min)
AIF温度:120℃、イオン源温度:70℃、イオン化極性:正
[実施例1]
(化合物LCB−1Aの合成)
上記に示したスキーム6のようにして化合物LCB−1Aを得た。即ち、9,10−ジブロモアントラセン(0.336g、1mmol)、 テトラキス(トリフェニルホスフェン)パラジウム(11.6mg、1.0×10−2mmol)、ヨウ化銅(I)(3.80mg、2.0×10−2mmol)を仕込んだ100mL二口ナスフラスコを脱気アルゴン(Ar)置換した後、ピリジン(20mL)、トリエチルアミン(Et3N)(30mL)を加えて、系中が均一になるまで撹拌した。続いて、上記スキーム5で得られる下記式で示される化合物E1(0.471g、2mmol)が溶解したピリジン(10mL)溶液を加え,80℃下で24時間撹拌した。撹拌終了後、溶媒を留去し、反応混合物をジクロロメタン(50mL)に溶解させ、QuadraSilTMTA(1.00g)を加え、残留Pdを除去した。自然濾過後、溶媒を留去し、褐色粘性固体(粗収量:1.24g、粗収率:192%)を得た。
(化合物LCB−1Aの合成)
上記に示したスキーム6のようにして化合物LCB−1Aを得た。即ち、9,10−ジブロモアントラセン(0.336g、1mmol)、 テトラキス(トリフェニルホスフェン)パラジウム(11.6mg、1.0×10−2mmol)、ヨウ化銅(I)(3.80mg、2.0×10−2mmol)を仕込んだ100mL二口ナスフラスコを脱気アルゴン(Ar)置換した後、ピリジン(20mL)、トリエチルアミン(Et3N)(30mL)を加えて、系中が均一になるまで撹拌した。続いて、上記スキーム5で得られる下記式で示される化合物E1(0.471g、2mmol)が溶解したピリジン(10mL)溶液を加え,80℃下で24時間撹拌した。撹拌終了後、溶媒を留去し、反応混合物をジクロロメタン(50mL)に溶解させ、QuadraSilTMTA(1.00g)を加え、残留Pdを除去した。自然濾過後、溶媒を留去し、褐色粘性固体(粗収量:1.24g、粗収率:192%)を得た。
続いて、褐色粘性固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン/ヘキサン=1/1→ジクロロメタン)で精製して、オレンジ色粉末固体として化合物LCB−1A(収量:0.24g、収率:37%)を得た。
(化合物LCB−1Aの熱硬化物の製造)
上記で得られた化合物LCB−1A(3.12mg)を熱重量測定装置(TGA)にセットし、窒素雰囲気下250℃で2時間加熱し、ベンゾオキサジン環の開環架橋反応を生じさせて、黒色固体として熱硬化物(LCB−1A’)(収量:2.96mg、収率:94%)を得た。
上記で得られた化合物LCB−1A(3.12mg)を熱重量測定装置(TGA)にセットし、窒素雰囲気下250℃で2時間加熱し、ベンゾオキサジン環の開環架橋反応を生じさせて、黒色固体として熱硬化物(LCB−1A’)(収量:2.96mg、収率:94%)を得た。
(化合物LCB−1Aの同定)
得られた化合物LCB−1Aの同定は、1H−NMRスペクトル、13C−NMRスペクトル、IRスペクトル、UV−visスペクトル、およびマススペクトルにより行った。なお、1H−NMRスペクトル、13C−NMRスペクトルはいずれも化合物LCB−1Aを重クロロホルムに溶解した後に測定した。
得られた化合物LCB−1Aの同定は、1H−NMRスペクトル、13C−NMRスペクトル、IRスペクトル、UV−visスペクトル、およびマススペクトルにより行った。なお、1H−NMRスペクトル、13C−NMRスペクトルはいずれも化合物LCB−1Aを重クロロホルムに溶解した後に測定した。
1H−NMRスペクトルの結果を図1に、13C−NMRスペクトルの結果を図2に、IRスペクトルの結果を図3に、およびUV−visスペクトルの結果を図4に示す。
(NMRスペクトルの結果考察)
化合物LCB−1Aの1H−NMRスペクトル(図1)より、3.0ppm付近にエチニル基由来のピークが存在しないことから、未反応の化合物E1は残存していないと考えられる。したがって、4.7ppm(図1のa)、5.5ppm(図1のb)のピークは化合物LCB−1Aの立体配座異性体に起因するピークであると示唆される。
また、化合物LCB−1Aの13C−NMRスペクトル(図2)より、156.3ppm(C−O)、148.9ppm(C−N)、81.9ppm、81.0ppm(O−CH2−N)、50.9ppm(Ar−CH2−N)のピークからベンゾオキサジン環であると示唆される。
化合物LCB−1Aの1H−NMRスペクトル(図1)より、3.0ppm付近にエチニル基由来のピークが存在しないことから、未反応の化合物E1は残存していないと考えられる。したがって、4.7ppm(図1のa)、5.5ppm(図1のb)のピークは化合物LCB−1Aの立体配座異性体に起因するピークであると示唆される。
また、化合物LCB−1Aの13C−NMRスペクトル(図2)より、156.3ppm(C−O)、148.9ppm(C−N)、81.9ppm、81.0ppm(O−CH2−N)、50.9ppm(Ar−CH2−N)のピークからベンゾオキサジン環であると示唆される。
(IRスペクトルの結果考察)
化合物LCB−1AのIRスペクトル(図3)に939および1495cm-1付近の3置換ベンゼン環の伸縮振動に基づく吸収ならびに1228cm-1付近のC−O−Cの伸縮振動に基づく吸収が観測されたことから、ベンゾオキサジン環の存在が考えられる。
また、図3には、上記で得た熱硬化物(LCB−1A’)のIRスペクトルを併せて示す。LCB−1A’のIRスペクトルでは、939、1228および1495cm-1付近の3つのピークの強度が低下ないし消失したことから、ベンゾオキサジン環の開環架橋反応が進行したと考えられる。
化合物LCB−1AのIRスペクトル(図3)に939および1495cm-1付近の3置換ベンゼン環の伸縮振動に基づく吸収ならびに1228cm-1付近のC−O−Cの伸縮振動に基づく吸収が観測されたことから、ベンゾオキサジン環の存在が考えられる。
また、図3には、上記で得た熱硬化物(LCB−1A’)のIRスペクトルを併せて示す。LCB−1A’のIRスペクトルでは、939、1228および1495cm-1付近の3つのピークの強度が低下ないし消失したことから、ベンゾオキサジン環の開環架橋反応が進行したと考えられる。
(UV−visスペクトルの結果考察)
化合物LCB−1Aと出発原料である9,10−ジブロモアントラセンのUV−visスペクトル(図4)を比較すると、LCB−1Aでは400〜500nmにかけての長波長領域に新たな吸収ピークが確認された。アントラセン環とベンゾオキサジン環がエチニレン基を介して共役していると考えられる。
化合物LCB−1Aと出発原料である9,10−ジブロモアントラセンのUV−visスペクトル(図4)を比較すると、LCB−1Aでは400〜500nmにかけての長波長領域に新たな吸収ピークが確認された。アントラセン環とベンゾオキサジン環がエチニレン基を介して共役していると考えられる。
(マススペクトルの結果考察)
マススペクトルの結果は、m/e 644が観測された。これは、化合物LCB−1A(分子量:644)の構造に由来するものと推察される。
マススペクトルの結果は、m/e 644が観測された。これは、化合物LCB−1A(分子量:644)の構造に由来するものと推察される。
上記の各種測定の結果、化合物LCB−1Aが下記式で示す構造を有することを確認した。
また、化合物LCB−1Aの融点は、JIS K7121に準拠して示差走査熱量計(DSC)(日立ハイテクサイエンス製、型番:DSC7020、測定条件:10℃/分)を用いて測定した結果、178〜181℃であった。
[実施例2]
(化合物LCB−2Aの合成)
上記に示したスキーム8のようにして化合物LCB−2Aを得た。即ち、9,10−ジブロモアントラセン(0.286g、0.85mmol)、 テトラキス(トリフェニルホスフェン)パラジウム(9.82mg、0.85×10-2mmol)、ヨウ化銅(I)(3.24mg、1.7×10-2mmol)を仕込んだ100mL二口ナスフラスコを脱気アルゴン(Ar)置換した後、ピリジン(25.5mL)、トリエチルアミン(Et3N)(25.5mL)を加えて、系中が均一になるまで撹拌した。続いて、上記スキーム7で得られる下記式で示される化合物G1(0.400g、1.7mmol)が溶解したピリジン(10mL)溶液を加え,80℃下で24時間撹拌した。撹拌終了後、溶媒を留去し、反応混合物をジクロロメタン(50mL)に溶解させ,QuadraSilTMTA(1.00g)を加え、残留Pdを除去した。自然濾過後、溶媒を留去し、赤褐色粘性固体(粗収量:0.86g、粗収率:156%)を得た。
(化合物LCB−2Aの合成)
上記に示したスキーム8のようにして化合物LCB−2Aを得た。即ち、9,10−ジブロモアントラセン(0.286g、0.85mmol)、 テトラキス(トリフェニルホスフェン)パラジウム(9.82mg、0.85×10-2mmol)、ヨウ化銅(I)(3.24mg、1.7×10-2mmol)を仕込んだ100mL二口ナスフラスコを脱気アルゴン(Ar)置換した後、ピリジン(25.5mL)、トリエチルアミン(Et3N)(25.5mL)を加えて、系中が均一になるまで撹拌した。続いて、上記スキーム7で得られる下記式で示される化合物G1(0.400g、1.7mmol)が溶解したピリジン(10mL)溶液を加え,80℃下で24時間撹拌した。撹拌終了後、溶媒を留去し、反応混合物をジクロロメタン(50mL)に溶解させ,QuadraSilTMTA(1.00g)を加え、残留Pdを除去した。自然濾過後、溶媒を留去し、赤褐色粘性固体(粗収量:0.86g、粗収率:156%)を得た。
続いて、褐色粘性固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン/ヘキサン=1/1→ジクロロメタン)で精製して、オレンジ色がかった黄色粉末固体として化合物LCB−2A(収量:0.11g、収率:20%)を得た。
(化合物LCB−2Aの熱硬化物の製造)
上記で得られた化合物LCB−2A(3.19mg)を熱重量測定装置(TGA)にセットし、窒素雰囲気下250℃で2時間加熱し、ベンゾオキサジン環の開環架橋反応を生じさせて、黒色固体として熱硬化物(LCB−2A’)(収量:3.10mg、収率:100%)を得た。
上記で得られた化合物LCB−2A(3.19mg)を熱重量測定装置(TGA)にセットし、窒素雰囲気下250℃で2時間加熱し、ベンゾオキサジン環の開環架橋反応を生じさせて、黒色固体として熱硬化物(LCB−2A’)(収量:3.10mg、収率:100%)を得た。
(化合物LCB−2Aの同定)
得られた化合物LCB−2Aの同定は、1H−NMRスペクトル、13C−NMRスペクトル、IRスペクトル、UV−visスペクトル、およびマススペクトルにより行った。
なお、1H−NMRスペクトル、13C−NMRスペクトルはいずれも化合物LCB−2Aを重クロロホルムに溶解した後に測定した。
得られた化合物LCB−2Aの同定は、1H−NMRスペクトル、13C−NMRスペクトル、IRスペクトル、UV−visスペクトル、およびマススペクトルにより行った。
なお、1H−NMRスペクトル、13C−NMRスペクトルはいずれも化合物LCB−2Aを重クロロホルムに溶解した後に測定した。
1H−NMRスペクトルの結果を図5に、13C−NMRスペクトルの結果を図6に、IRスペクトルの結果を図7に、およびUV−visスペクトルの結果を図8に示す。
(NMRスペクトルの結果考察)
化合物LCB−2Aの1H−NMRスペクトル(図5)より、3.0ppm付近にエチニル基由来のピークが存在しないことから、未反応の化合物G1は残存していないと考えられる。したがって、4.7ppm(図5のa)、5.5ppm(図5のb)のピークは化合物LCB−2Aの立体配座異性体に起因するピークであると示唆される。
また、化合物LCB−2Aの13C−NMRスペクトル(図6)より、154.5ppm(C−O)、148.2ppm(C−N)、81.5ppm、77.0ppm(O−CH2−N)、48.0ppm(Ar−CH2−N)のピークからベンゾオキサジン環であると示唆される。
化合物LCB−2Aの1H−NMRスペクトル(図5)より、3.0ppm付近にエチニル基由来のピークが存在しないことから、未反応の化合物G1は残存していないと考えられる。したがって、4.7ppm(図5のa)、5.5ppm(図5のb)のピークは化合物LCB−2Aの立体配座異性体に起因するピークであると示唆される。
また、化合物LCB−2Aの13C−NMRスペクトル(図6)より、154.5ppm(C−O)、148.2ppm(C−N)、81.5ppm、77.0ppm(O−CH2−N)、48.0ppm(Ar−CH2−N)のピークからベンゾオキサジン環であると示唆される。
(IRスペクトルの結果考察)
化合物LCB−2AのIRスペクトル(図7)に955および1488cm-1付近の3置換ベンゼン環の伸縮振動に基づく吸収ならびに1221cm-1付近のC−O−Cの伸縮振動に基づく吸収が観測されたことから、ベンゾオキサジン環の存在が考えられる。
また、図7には、上記で得た熱硬化物(LCB−2A’)のIRスペクトルを併せて示す。LCB−2A’のIRスペクトルでは、955、1221および1488cm-1付近の3つのピークの強度が低下ないし消失したことから、ベンゾオキサジン環の開環架橋反応が進行したと考えられる。
化合物LCB−2AのIRスペクトル(図7)に955および1488cm-1付近の3置換ベンゼン環の伸縮振動に基づく吸収ならびに1221cm-1付近のC−O−Cの伸縮振動に基づく吸収が観測されたことから、ベンゾオキサジン環の存在が考えられる。
また、図7には、上記で得た熱硬化物(LCB−2A’)のIRスペクトルを併せて示す。LCB−2A’のIRスペクトルでは、955、1221および1488cm-1付近の3つのピークの強度が低下ないし消失したことから、ベンゾオキサジン環の開環架橋反応が進行したと考えられる。
(UV−visスペクトルの結果考察)
化合物LCB−2Aと出発原料である9,10−ジブロモアントラセンのUV−visスペクトル(図8)を比較すると、LCB−2Aでは400〜500nmにかけての長波長領域に新たな吸収ピークが確認された。アントラセン環とベンゾオキサジン環がエチニレン基を介して共役していると考えられる。
化合物LCB−2Aと出発原料である9,10−ジブロモアントラセンのUV−visスペクトル(図8)を比較すると、LCB−2Aでは400〜500nmにかけての長波長領域に新たな吸収ピークが確認された。アントラセン環とベンゾオキサジン環がエチニレン基を介して共役していると考えられる。
(マススペクトルの結果考察)
マススペクトルの結果は、m/e 644が観測された。これは、化合物LCB−2A(分子量:644)の構造に由来するものと推察される。
マススペクトルの結果は、m/e 644が観測された。これは、化合物LCB−2A(分子量:644)の構造に由来するものと推察される。
上記の各種測定の結果、化合物LCB−2Aが下記式で示す構造を有することを確認した。
また、化合物LCB−2Aの融点は、JIS K7121に準拠して示差走査熱量計(DSC)(日立ハイテクサイエンス製、型番:DSC7020、測定条件:10℃/分)と融点測定装置(ヤナコ製、型番:MPシリーズ)を用いて測定した結果、209〜211℃であった。
[比較例1]
比較対象となるエチニレン基を有さないベンゾオキサジン化合物として、下記式(VIII)で示すフェノール−ジアミノジフェニルメタン(P−d型)ベンゾオキサジン(四国化成工業製)を準備した。
比較対象となるエチニレン基を有さないベンゾオキサジン化合物として、下記式(VIII)で示すフェノール−ジアミノジフェニルメタン(P−d型)ベンゾオキサジン(四国化成工業製)を準備した。
(熱重量分析)
上記で得られた化合物LCB−1Aおよび化合物LCB−2A、ならびに上記で準備したフェノール−ジアミノジフェニルメタン(P−d型)ベンゾオキサジンについて、JIS K6226−1に準拠して熱重量測定装置(TGA)(島津製作所製、型番:TGA−50測定条件:窒素雰囲気下で10℃/分、35−500℃)を用いて、500℃での重量残存率を測定したところ、それぞれ81%、85%、および51%であった。すなわち、化合物LCB−1Aおよび化合物LCB−2Aは、フェノール−ジアミノジフェニルメタン(P−d型)ベンゾオキサジンに比べて、高温下での熱重量減の少ないことが確認された。この結果から、分子内にジエチニレンアリーレン部位を有することで、耐熱性が向上したと言える。また、この結果から、化合物LCB−1Aおよび化合物LCB−2Aのそれぞれの熱硬化物(LCB−1A’およびLCB−2A’)についても、高温下での熱重量減の少ないと言える。
上記で得られた化合物LCB−1Aおよび化合物LCB−2A、ならびに上記で準備したフェノール−ジアミノジフェニルメタン(P−d型)ベンゾオキサジンについて、JIS K6226−1に準拠して熱重量測定装置(TGA)(島津製作所製、型番:TGA−50測定条件:窒素雰囲気下で10℃/分、35−500℃)を用いて、500℃での重量残存率を測定したところ、それぞれ81%、85%、および51%であった。すなわち、化合物LCB−1Aおよび化合物LCB−2Aは、フェノール−ジアミノジフェニルメタン(P−d型)ベンゾオキサジンに比べて、高温下での熱重量減の少ないことが確認された。この結果から、分子内にジエチニレンアリーレン部位を有することで、耐熱性が向上したと言える。また、この結果から、化合物LCB−1Aおよび化合物LCB−2Aのそれぞれの熱硬化物(LCB−1A’およびLCB−2A’)についても、高温下での熱重量減の少ないと言える。
Claims (7)
- 分子内に、2個以上の下記式(I)で示されるベンゾオキサジン部位と、1個以上の下記式(II)で示されるジエチニレンアリーレン部位とを含む、熱硬化性アセチレン含有ベンゾオキサジン化合物:
- 前記アセチレン含有ベンゾオキサジン化合物が、下記式(III)で示されるアセチレン含有ベンゾオキサジン化合物である、請求項1に記載の熱硬化性アセチレン含有ベンゾオキサジン化合物:
- 前記アセチレン含有ベンゾオキサジン化合物が、下記式(IV)で示されるアセチレン含有ベンゾオキサジン化合物である、請求項1に記載の熱硬化性アセチレン含有ベンゾオキサジン化合物:
- 前記式(III)および式(IV)において、Arが、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、アントラセニレン基、フエナンスリレン基、またはピレニレン基である、請求項2または3に記載のアセチレン含有ベンゾオキサジン化合物。
- 前記式(III)および式(IV)において、Arが、アントラセニレン基である、請求項2または3に記載のアセチレン含有ベンゾオキサジン化合物。
- 前記式(III)において、Rがフェニル基である、請求項2に記載のアセチレン含有ベンゾオキサジン化合物。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載のアセチレン含有ベンゾオキサジン化合物を含む組成物の熱硬化物。
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