以下、この発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
この発明の実施の形態に係る画像読取装置1は、解像度に応じた画素単位でライン毎に、原稿の画像情報を読み取る装置である。図1は、この発明の実施の形態に係る画像読取装置1の構成を示す断面図である。図1に示す画像読取装置1は、画像読取装置本体(画像読取部)1aと自動原稿送り装置(ADF)2により構成されている。
まず、画像読取装置本体(画像読取部)1aの構成について説明する。
上記画像読取装置本体1aは、図1に示すように、光源11、リフレクタ12、第1ミラー13、第2ミラー14、第3ミラー15、第1キャリッジ16、第2キャリッジ17、集光レンズ18、CCDセンサ19、CCD基板20、スキャナ制御基板21、原稿台ガラス22、および白基準板23などにより構成されている。
上記光源11は、原稿Orgに照射する光を発光するものである。上記リフレクタ12は、上記光源11から発光される光を原稿Orgに対して均一に照射する。つまり、上記リフレクタ12は、原稿Orgの読取位置における配光特性を調整するものである。上記第1ミラー13は、原稿Orgからの反射光を受ける。上記第1ミラー13は、原稿Orgからの反射光を上記第2ミラー14へ導くように設置されている。
上記第2ミラー14は、上記第1ミラー13からの反射光を受ける。上記第2ミラー14は、上記第1ミラー13からの反射光を第3ミラーへ導くように設置されている。上記第3ミラー15は、上記第2ミラー14からの反射光を受ける。上記第3ミラー15は、上記第2ミラー14からの反射光を集光レンズ18へ導くように設置されている。上記集光レンズ18は、上記第3ミラーからの反射光を集光する。上記集光レンズ18は、上記第3ミラーからの反射光を集光して上記CCDセンサ19の結像面に結像するように設置されている。
上記CCDセンサ19は、上記CCD基板20に実装されている。上記CCDセンサ19は、上記集光レンズ18により結像された光エネルギーを電荷に変換する光電変換を行う。これにより、上記CCDセンサ19は、上記集光レンズ18により結像された画像を電気信号に変換する。上記CCD基板20は、上記CCDセンサ19が光電変換した電気信号をスキャナ制御基板21に出力する。
上記原稿台ガラス22は、原稿Orgを載置する原稿載置台である。上記白基準板23は、白色の部材で構成される。上記白基準板23は、原稿の読取画像を補正(シェーディング補正)するための白基準となるものである。
また、上記光源11、上記リフレクタ12及び上記第1ミラー13は、上記第1キャリッジ16に搭載される。上記第2ミラー14及び上記第3ミラー15は、上記第2キャリッジ17に搭載される。上記第1キャリッジ16は、図示しない駆動手段により左右方向に移動するように構成されている。上記第2のキャリッジ17は、上記第1キャリッジ16と同じ方向に1/2の速度で従動するように構成されている。これにより、上記第1キャリッジ16が移動しても、原稿面からCCDセンサ19の結像面へ導かれる光の光路長が変化しないようになっている。
つまり、上記第1キャリッジ16に搭載されている第1ミラー13、上記第2キャリッジ17に搭載されている第2ミラー14および第2キャリッジに搭載されている第3ミラー15が構成する光学系は、原稿面からCCDセンサ19の結像面までの光路長が常に一定になるように構成されている。
例えば、原稿台ガラス22上に載置された原稿の画像を読み取る場合、上記第1キャリッジ16は、図1の左から右の方向(副走査方向)へ移動する。上記第1キャリッジ16の副走査方向への移動に伴って、原稿Orgに対する読取位置(主走査方向の1ライン分)Pも左から右方向(副走査方向)へ移動する。読取位置が副走査方向に移動することにより、上記CCDセンサ19の結像面には、原稿Orgの読取位置の画像(主走査方向の1ライン分の画像)が順次結像される。これにより、上記CCDセンサ19は、原稿全体の画像を画像情報に変換する。
また、上記CCDセンサ19の結像面には、複数のフォトダイオードが1次元に配列されている。これらの1次元に配列された複数のフォトダイオードによって、上記CCDセンサ19は、主走査方向の1ライン分の画像を読み取るようになっている。例えば、A4長手方向297mmを解像度600dpi(dot per inch)で読み取る場合、上記CCDセンサ19には、少なくとも、297mm/(25.4mm/600dpi)=7015.7個のフォトダイオードが必要となる。解像度が600dpiである場合、上記CCDセンサ19は、前後のマージンを考慮し、7300〜7600個のフォトダイオードで構成されることが一般的である。
しかしながら、上記のようなCCDセンサ19を構成する個々のフォトダイオードは、光電変換の効率が完全には均一ではないことがある。つまり、上記CCDセンサ19を構成する個々のフォトダイオードは、同一の露光量であっても、異なる振幅の信号を出力してしまうことがありうる。このような現象を高周波歪みと呼ぶ。
また、図1に示すような構成では、読取位置Pの両端で中央部に比べて光量が低下する低周波歪みが生じることもある。低周波歪みは、光源11が発光する光量のばらつき、リフレクタ12の特性、原稿面からCCDセンサ19の結像面までの光学系における光量の低下などによって生じる。特に、図1に示す構成の画像読取装置では、光学系として縮小光学系を用いている。このような縮小光学系では、集光レンズ18によって読取画像(主走査方向の1ライン分の画像)の両端で中央部よりも光量が低下することが多い。
上記のような高周波歪みと低周波歪みとは、完全に無くすことが困難である。このため、上記画像読取装置では、高周波歪みあるいは低周波歪みを補正するシェーディング補正を行う。上記シェーディング補正は、例えば、黒基準とする画像信号(黒基準信号)と白基準とする画像信号(白基準信号)とに基づいてCCDセンサ19の出力信号を補正するものである。
例えば、上記CCDセンサ19が出力する画像信号の有効ビット数が10ビットであるものとする。この場合、シェーディング補正では、黒基準信号が“0”、白基準信号が“1023”となるように、CCDセンサ19を構成する各フォトダイオードの出力信号(各画素)を正規化する。
また、上記黒基準信号は、光源11を消灯した状態(CCDセンサ19に入射する光を無くした状態)で、上記CCDセンサ19を構成する各フォトダイオードの出力信号とする。また、白基準信号は、白基準板23を読取位置Pとして光源11を点灯した状態で、上記CCDセンサ19を構成する各フォトダイオードが出力する信号とする。つまり、白基準信号は、光源11を点灯して上記白基準板23の画像を読み取った際の上記CCDセンサ19の出力信号とする。なお、上記シェーディング補正については、後で詳細に説明する。
次に、自動原稿送り装置(ADF)2の構成について説明する。
上記自動原稿送り装置(ADF)2は、原稿トレイ31、ピックアップローラ32、レジストローラ対33、搬送ドラム34、搬送ローラ35、ジャンプ台36、原稿排紙部37などにより構成されている。
上記原稿トレイ31は、読取対象の原稿Orgが積載されるトレイである。上記ピックアップローラ32は、原稿トレイ31に積載されている原稿Orgを1つずつピックアップし、上記レジストローラ対33へ供給する。上記レジストローラ対33は、上記ピックアップローラ32によりピックアップされた原稿Orgを搬送ドラム34の方へ搬送する。上記レジストローラ対33は、原稿Orgの傾きを補正し、かつ、原稿Orgの重送を防止しつつ、原稿Orgを搬送する。
上記搬送ドラム34と上記搬送ローラ35とは、上記レジストローラ対33から搬送される原稿Orgを搬送する。また、上記搬送ドラム34は、読取位置Pにおいて、原稿Orgの読取面を原稿台ガラスの面に押さえつけて搬送するようになっている。上記ジャンプ台36は、上記搬送ドラム34と搬送ローラ35とにより搬送される原稿Orgを上記原稿排紙部37へ導く部材である。上記原稿排紙部37は、排紙する原稿Orgを積載する。
次に、上記のような画像読取装置を具備したデジタル複写機41と、デジタル複写機41を含むシステムの構成例について説明する。
図2は、上記画像読取装置本体(画像読取部)1a内の制御系統の構成例、上記デジタル複写機41内の構成例、および、上記デジタル複写機41を含むネットワークシステムの構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、上記デジタル複写機41は、ネットワーク42を介してインターネットサーバ43に接続されている。また、上記デジタル複写機41は、システム制御部45、コントロールパネル46、画像形成部47、画像読取部1a、および自動原稿送り装置2などから構成されている。
上記デジタル複写機41は、上記ネットワーク42に接続されている。上記ネットワーク42は、例えば、ローカルエリアネットワークである。上記インターネットサーバ43は、上記ネットワーク42に接続された機器からインターネットなどの他のネットワークに接続するためのサーバ装置である。上記インターネットサーバ43は、例えば、当該デジタル複写機41のメンテナンス、あるいは、当該デジタル複写機41に係るサービスを提供するセンタ(図示しない)で運営される。
例えば、当該デジタル複写機41に不具合が生じた場合、上記インターネットサーバ43には、デジタル複写機41から不具合が発生した旨が通知される。上記インターネットサーバ43に不具合が通知されると、当該デジタル複写機41に対するサービスを提供するセンタでは、メンテナンス等の専門知識を有する人物(ここでは、サービスマンと称する)を派遣する。これにより、上記サービスマンは、当該デジタル複写機41のメンテナンスを実施するようなサービスシステムを実現している。
上記システム制御部45は、デジタル複写機41全体の制御を司るものである。上記システム制御部45は、CPU51、ROM52、RAM53、画像処理部54、ページメモリ55、ハードディスクドライブ(HDD)56、通信インターフェース(I/F)57などを有している。
上記CPU51は、システム制御部45全体の制御を司るものである。上記ROM52は、不揮発性のメモリである。上記ROM52には、例えば、制御プログラムや制御データが記憶される。上記RAM53は揮発性のメモリで構成される。上記RAM53には、例えば、種々のパラメータや作業用のデータなどが記憶される。上記画像処理部54は、画像データに対して画像処理を行うものである。上記通信インターフェース57は、上記ネットワーク42を介して外部機器とのデータ通信を行うインターフェースである。
上記コントロールパネル46は、種々の操作指示が入力されるユーザインターフェースである。上記コントロールパネル46は、例えば、タッチパネル内蔵の液晶表示装置、および、テンキーなどのハードキーなどにより構成される。上記画像形成部47は、上記システム制御部45から供給される画像データに応じた画像を被画像形成媒体に形成するプリンタである。
次に、上記のように構成されるデジタル複写機の動作について概略的に説明する。
まず、ユーザが上記コントロールパネル46にてコピーの指示を入力したものとする。上記コントロールパネル46からのコピー指示を受信すると、上記システム制御部45のCPU51は、上記画像読取装置1に原稿画像の読取指示を出力する。上記画像読取装置1では、上記システム制御部45からの原稿画像の読取指示に応じて原稿画像の読取処理を行う。この原稿画像の読取処理によって読み取った原稿の画像データは、上記画像読取装置1から上記システム制御部45へ供給される。
上記システム制御部45では、上記画像処理部54によって、上記画像読取装置1から供給される画像データのフォーマットを上記画像形成部47が画像形成処理を行うためのフォーマット(画像形成用のフォーマット)に変換する。上記画像読取装置1にて読み取った原稿の画像データのフォーマットを画像形成用のフォーマットに変換すると、上記システム制御部45は、当該画像データを所定のタイミングで上記画像形成部47に出力する。上記画像形成部47では、上記システム制御部45から供給された画像データに応じた画像を被画像形成媒体に形成する。例えば、上記画像形成部47では、電子写真方式により用紙上に画像を形成する。
また、ユーザが上記コントロールパネル46にて原稿画像のスキャンと原稿の画像データの転送とを指示入力したものとする。この場合、上記システム制御部45のCPU51は、上記画像読取装置1に原稿画像の読取指示を出力する。上記画像読取装置1では、上記システム制御部45からの原稿画像の読取指示に応じて原稿画像の読取処理を行う。この原稿画像の読取処理によって読み取った原稿の画像データは、上記画像読取装置1から上記システム制御部45へ供給される。
上記システム制御部45のCPU51では、上記画像読取装置1が読み取った画像データを受信し、一時的にHDD等に格納する。この際、上記CPU51は、上記画像処理部54にて当該画像データを所望のフォーマットに変換する。上記画像読取装置1が読み取った画像データをHDDに格納すると、上記CPU51は、上記通信インターフェース57により上記ネットワーク42を介して画像データを所望のクライアントPC(図示しない)へ転送する。
また、上記デジタル複写機41は、上記ネットワーク42に接続されているクライアントPC(図示しない)からの画像データをプリントする機能(ネットワークプリンタ機能)を有している。例えば、上記システム制御部45が上記通信インターフェース57により上記ネットワーク42に接続されているクライアントPC(図示しない)からプリント出力用の信号(プリント要求とプリント出力用の画像データ)を受信したものとする。この場合、上記システム制御部45では、クライアントPCから受信したプリント出力用の画像データをHDD等に一時的に格納する。この際、上記システム制御部45では、受信した画像データのフォーマットを上記画像形成部47が画像形成処理を行うためのフォーマット(画像形成用のフォーマット)に変換する。さらに、上記システム制御部45は、上記画像形成用のフォーマットに変換した画像データを所定のタイミングで上記画像形成部47に出力する。上記画像形成部47では、上記システム制御部45から供給された画像データに応じた画像を被画像形成媒体に形成する。
また、上記システム制御部45は、ネットワーク42と外部ネットワークとしてのインターネットとを経由して外部装置とのデータ通信を行う機能も有している。たとえば、システム制御部45は、ネットワーク42及びインターネットを介して上記外部装置へ画像データを送信する機能を有している。また、上記システム制御部45は、当該デジタル複写機41の現在の状態を示す情報などをインターネット上の外部装置へ送信する機能も有している。
次に、上記画像読取部1aの制御系統の構成について説明する。
上記画像読取装置の制御系統は、例えば、上記画像読取装置本体(画像読取部)1aの制御基板21上に設けられる。上記画像読取部1aの制御基板21上には、図2に示すように、CPU61、RAM62、ROM63、信号処理部64、駆動制御部66、露光制御部67などが設けられている。
上記CPU61は、画像読取部1a全体の制御を司るものである。上記RAM62には、揮発性メモリなどにより構成される。上記ROM63は、不揮発性メモリで構成される。上記ROM63は、上記CPU61により実行される制御プログラムや制御データなどが記憶されている。例えば、上記ROM63には、黒基準の読取位置、白基準の読取位置、ADF2により搬送される原稿の読取位置などに対応する上記第1キャリッジ16の位置を示す座標値などが記憶されている。
上記信号処理部64は、上記CCDセンサ19からの出力信号(画像データ)を処理するものである。上記信号処理部64では、例えば、アナログ/デジタル変換処理、シェーディング補正処理、画像補正処理などの処理を行う。上記信号処理部64内の構成については、後で詳細に説明する。上記駆動制御部66は、画像読取装置本体1a内の第1キャリッジ16を駆動させる駆動モータ68の駆動制御を行うものである。上記露光制御部67は、上記光源11の点灯制御を行うものである。
次に、上記自動原稿送り装置2を用いた原稿画像の読取動作について説明する。
図3は、白基準信号を読み取る際の画像読取装置を示す図である。図4は、ADF2により搬送される原稿の画像の読取中における画像読取装置を示す図である。図5は、原稿画像の読取後の画像読取装置を示す図である。
まず、ADF2を用いて原稿画像の読取処理を行う場合、画像読取装置は、黒基準信号の読取処理、白基準信号の読取処理、原稿画像の読取処理を順に行う。黒基準信号の読取処理(黒基準読取処理)は、光源11を消灯状態にして黒基準としての画像を読み取る。上記白基準信号の読取処理は、光源11を点灯して白基準板23の画像を読み取る。また、原稿画像の読取処理は、上記ADF2により搬送される原稿画像を所定の読取位置P1にて読み取る。
すなわち、上記CPU61は、黒基準信号の読取処理(黒基準読取処理)、白基準信号の読取処理(白基準読取処理)、原稿画像の読取処理(原稿読取処理)を順に行う。
まず、黒基準信号の読取処理として、上記CPU61は、上記露光制御部67により光源11を消灯状態とし、上記駆動制御部66により駆動モータ68を駆動させて上記第1キャリッジ16を図1に示す左端(白基準板23よりも左側)に移動させる。
上記第1キャリッジ16を左端へ移動させると、上記CPU61は、上記光源11を消灯状態にしたまま、上記駆動制御部66により上記第1キャリッジ16を図1の左端から右側(副走査方向)へを数ライン分移動させる。この間、上記CCDセンサ19は、黒基準としての信号を出力する。つまり、上記CCDセンサ19は、光源11を消灯した状態の数ライン分の画像を黒基準画像として読み取る。また、上記信号処理部64では、上記CCDセンサ19からの数ライン分の出力信号(黒基準画像)における各画素ごとの平均値を黒基準信号とする。
次に、上記CPU61は、白基準信号の読取処理を行う。上記白基準読取処理として、上記CPU61は、上記露光制御部67により光源11を点灯状態とし、上記駆動制御部66により駆動モータ68を駆動させて上記第1キャリッジ16を白基準の読取開始位置に移動させる。図3に示す読取位置P0は、白基準板23に対する第1キャリッジ16の読取位置を示している。
上記第1キャリッジ16を白基準の読取開始位置へ移動させると、上記CPU61は、上記光源11を点灯状態にしたまま、上記駆動制御部66により上記第1キャリッジ16を右側(副走査方向)へを数ライン分移動させる。この間、上記CCDセンサ19は、白基準としての信号を出力する。つまり、上記CCDセンサ19は、光源11を点灯した状態で読み取った白基準板23の数ライン分の画像を白基準画像として読み取る。また、上記信号処理部64では、上記CCDセンサ19からの数ライン分の出力信号(白基準画像)における各画素ごとの平均値を白基準信号とする。
次に、上記CPU61は、原稿画像の読取処理を行う。上記原稿読取処理として、上記CPU61は、上記露光制御部67により光源11を点灯状態としたまま、上記駆動制御部66により駆動モータ68を駆動させて上記第1キャリッジ16を原稿の読取位置P1に移動させる。図4及び図5に示す読取位置P1は、上記ADF2により搬送される原稿に対する読取位置を示している。
一方、上記CPU61は、上記ADF2に対して原稿の搬送開始を指示する。上記ADF2では、上記CPU61からの指示に応じて原稿トレイ31上の原稿Orgの搬送を開始する。上記原稿トレイ31上の原稿Orgは、ピックアップローラ32により1枚ずつピックアップされる。上記ピックアップローラ32によりピックアップされた原稿Orgの先端は、レジストローラ対33へ搬送される。上記レジストローラ対33の手前には、レジストローラ対33の手前に原稿が到達したことを検知するセンサ(図示しない)が設置されている。
このセンサによりレジストローラ対33の手前に到達したことが検知された原稿Orgは、上記CPU61から指示されるタイミングに応じて上記レジストローラ対33により後段へ搬送される。上記レジストローラ対33の後段では、搬送ドラム34及び搬送ローラ35により原稿Orgが搬送される。上記搬送ドラム34及び搬送ローラ35により搬送される原稿Orgは、図4に示すように、原稿の読取位置P1を通過し、上記原稿排紙部37へ搬送される。また、上記原稿読取位置P1を通過した原稿Orgは、図5に示すように、上記ジャンプ台36により上記原稿排紙部37へ誘導される。
また、上記原稿の読取位置P1では、図4に示すように、原稿台ガラス22を通して、上記光源11からの光が原稿に照射され、その反射光が第1ミラー13へ入射する。上記第1ミラー13に入射した光(原稿からの反射光)は、上記第2ミラー、第3ミラー、集光レンズ等の光学系を介してCCDセンサ19へ入射される。すなわち、上記ADF2によって搬送される原稿Orgは、上記原稿読取位置P1において、順次、主走査方向の画像が読み取られる。また、上記CCDセンサ19にて光電変換された画像情報(CCDセンサ19からの出力信号)は、上記信号処理部64により上記黒基準信号及び白基準信号を用いて補正される。
次に、上記信号処理部64について説明する。
図6は、上記信号処理部64内の構成例を示すブロック図である。
上記信号処理部64では、図6に示すように、前処理、シェーディング補正処理、画像補正処理を行う。上記前処理は、CCDセンサ19の出力信号に対する処理である。上記シェーディング補正処理は、黒基準信号及び白基準信号を用いたCCDセンサ19の出力信号に対する補正処理である。上記画像補正処理は、CCDセンサ19の出力信号としての画像データに対する補正処理である。
まず、信号処理部64における前処理について説明する。
上記信号処理部64での前処理は、DC成分除去部71、オフセット制御部72、信号振幅制御部73、及びアナログ−デジタル変換部74により行われる。
まず、上記CCDセンサ19からの出力信号には直流出力電圧という直流成分を含んでいる。このため、上記DC成分除去部71は、上記CCDセンサ19からの出力信号に含まれる直流成分を除去する。上記DC成分除去部71は、例えば、CCDセンサ19の出力信号に対して直列に挿入したコンデンサにより構成される。
さらに、上記CCDセンサ19の出力信号には、誘導ノイズ、および、CCDセンサ19に入力されるリセット信号によるリセットノイズが含まれる。つまり、上記CCDセンサ19の出力信号は、一定のレベルの信号とはなっていない。このため、上記オフセット制御部72及び信号振幅制御部73では、上記CCDセンサ19の出力信号に対するオフセット制御及び振幅調整を行う。
上記オフセット制御部72では、上記CCDセンサ19に出力信号に対するオフセット制御を行うものである。上記オフセット制御部72では、CCDセンサ19の有効画素でない空送り部分の電位を所望の電圧になるようCCDセンサ19の出力信号を制御する。
上記信号振幅制御部73は、CCDセンサ19の出力信号の振幅を調整するものである。上記信号振幅制御部73では、オフセット制御された信号の振幅を上記アナログ−デジタル変換部74の入力レンジに合うように調整する。
上記アナログ−デジタル変換部74は、アナログ信号をデジタル信号に変換するものである。上記アナログ−デジタル変換部74では、上記信号振幅制御部73にて振幅が調整されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。
上記アナログ−デジタル変換部74までの前処理によって、上記CCDセンサ19の出力信号は、アナログ信号からデジタル信号に変換される。従って、上記信号処理部64において、アナログ−デジタル変換部74以降の処理では、上記CCDセンサ19の出力信号(画像信号)は、デジタル信号として処理される。
次に、信号処理部64におけるシェーディング補正処理について説明する。
上記信号処理部64におけるシェーディング補正処理は、黒基準格納部75、白基準格納部76、及びシェーディング補正部77により行われる。上記黒基準格納部75は、CCDセンサ19の出力信号(画像信号)に対する黒基準信号を格納するものである。上記黒基準格納部75は、各画素ごとの黒基準信号を格納するメモリ等により構成される。上記白基準格納部76は、CCDセンサ19の出力信号(画像信号)に対する白基準信号を格納するものである。上記白基準格納部76は、各画素ごとの白基準信号を格納するメモリ等により構成される。上記シェーディング補正部77は、黒基準信号及び白基準信号を用いて、原稿の読取画像(画像信号)に対する補正を行うものである。
次に、上記信号処理部64におけるシェーディング補正処理の動作について説明する。
上述したように、本画像読取装置1では、黒基準読取処理、白基準読取処理、原稿読取処理の順に行われる。上記シェーディング補正処理では、黒基準読取処理により得られる黒基準信号、及び、白基準読取処理により得られる白基準信号を用いて、原稿読取処理により読み取った画像信号(CCDセンサ19の出力信号)を補正する
まず、黒基準読取処理では、上記光源11を消灯した状態、つまり、CCDセンサ19に光が照射されない状態で、複数ライン分の黒基準画像の読取を行う。この際、上記信号処理部64では、CCDセンサ19の出力信号に対して前処理を施し、その画像信号を黒基準信号Dbkとして黒基準格納部75に格納する。また、黒基準信号Dbkとしての画像信号は、各画素ごとに平均化されて黒基準格納部75に格納される。
次に、白基準読取処理では、光源11を点灯した状態で白基準板23の画像(白基準画像)の読取を行う。この際、上記信号処理部64では、CCDセンサ19の出力信号に対して前処理を施し、その画像信号を白基準信号Dwtとして白基準格納部76に格納する。また、白基準信号Dwtとしての画像信号は、各画素ごとに平均化されて白基準格納部76に格納される。
次に、原稿画像読取処理では、第1キャリッジ16を原稿画像の読取位置まで移動させることにより原稿画像の読取処理を行う。ここでは、図4及び図5に示すように、上記自動原稿送り装置2を用いて原稿画像を読み取る場合について説明する。
すなわち、上記白基準板23の画像を読み取った後、上記第1キャリッジ16は、図4に示すように、右側へ移動し、所定の原稿読取位置P1にて停止する。一方、自動原稿送り装置2では、上記第1キャリッジ16が原稿読取位置に移動するタイミングに応じて、原稿Orgを搬送する。これにより、自動原稿送り装置2にて搬送される原稿Orgの画像は、上記原稿読取位置P1にて主走査方向の1ラインごとに順次読み取られる。つまり、上記CCDセンサ19は、主走査方向の1ラインごとの画像信号Dimを順次、上記信号処理部64へ出力する。
上記CCDセンサ19から順次供給される画像信号Dimに対して、上記信号処理部64では、上記CCDセンサ19から供給される出力信号(画像信号Dim)に対して前処理を施し、その画像信号Dimにシェーディング補正を施す。このようなシェーディング補正は、上記黒基準格納部75に格納されている黒基準信号Dbk及び上記白基準格納部76に格納されている白基準信号Dwtを用いて上記シェーディング補正部77により実行される。
例えば、画像信号の有効ビット数が10ビットである場合、上記シェーディング補正部77は、シェーディング補正後の画像信号Doutを以下の計算式にて算出する。
Dout=(Din−Dbk)/(Dwt−Dbk)×1023
なお、画像信号(シェーディング補正後の信号)の有効ビット数を8ビットとする場合、上記計算式の定数「1023」は「255」に置き換えられる。
次に、上記信号処理部64における画像補正処理について説明する。
上記信号処理部64における画像補正処理は、異物検知部78、スジ発生アドレス制御部79、スジ幅判定部80、画像信号一時格納部(ラインメモリ)81、補正信号生成部82などにより実行される。このような構成によって、上記信号処理部64では、シェーディング補正された画像信号に対して種々の画像補正処理を行う機能を実現している。
上記異物検知部78は、白基準板23あるいは原稿台ガラス22に付着している汚れやごみ等の異物を検知するものである。上記異物検知部78は、シェーディング補正された画像信号における副走査方向のスジ画像を検知することにより、白基準板23あるいは原稿台ガラス22に付着している異物を検知する。上記異物検知部78は、白基準板上異物検知部78aおよび原稿ガラス上異物検知部78bを有している。
上記白基準板上異物検知部78aは、白基準板23に付着している汚れやごみ等の異物を検知するものである。上記白基準板上異物検知部78aは、シェーディング補正された画像信号における副走査方向の白スジ画像を検知することにより、白基準板23に付着している異物を検知する。上記原稿ガラス上異物検知部78bは、原稿台ガラス22に付着している汚れやごみ等の異物を検知するものである。上記原稿ガラス上異物検知部78bは、シェーディング補正された画像信号における副走査方向の黒スジ画像を検知することにより、原稿台ガラス22に付着している異物を検知する。
上記スジ発生アドレス制御部79と上記スジ幅判定部80とは、上記異物検知部78により検知されたスジ画像の位置及び幅を示すものである。
上記スジ発生アドレス制御部79は、上記異物検知部78により検知された副走査方向のスジ画像が発生している位置(アドレス)を示すものである。上記スジ発生アドレス制御部79は、上記異物検知部78により検知された副走査方向のスジ画像の主走査方向における発生アドレスがセットされる。上記スジ発生アドレス制御部79は、上記画像信号一時格納部81に格納する画像信号のアドレスを制御する機能を有している。
上記スジ幅判定部80は、白基準板23あるいは原稿台ガラス22に付着している異物によって生じている白スジ画像あるいは黒スジ画像の幅を示すものである。上記スジ幅判定部80は、上記異物検知部78により検知された副走査方向のスジ画像の主走査方向における幅を示すデータがセットされる。例えば、上記スジ幅判定部80には、スジ画像の主走査方向における画素数がスジ画像の幅を示すデータとしてセットされる。
上記画像信号一時格納部81は、上記シェーディング補正部77により処理された画像信号を格納するものである。上記画像信号一時格納部81では、各画素の画像信号を順次格納するメモリ等により構成される。上記画像信号一時格納部81は、上記スジ発生アドレス制御部79を参照しつつメモリアドレスを順次加算し、各アドレスに対応する画像信号を順次読み込むようになっている。
上記補正信号生成部82は、上記画像信号一時格納部81に格納されている画像信号に対する補正を行うものである。上記補正信号生成部82は、特定のアドレスの画像信号に対してのみ補正を行うものである。従って、上記補正信号生成部82は、補正の必要がない画像信号についてはスルーして後段の画像処理部54へ出力する。
次に、上記異物検知部78について詳細に説明する。
まず、上記白基準板上異物検知部78aによる白基準板23に付着している異物の検知について説明する。
上述したように、白基準板23の一部に汚れあるいは傷等の異物が付着している場合、上記異物は、白基準信号に影響を与える。このため、白基準板23の一部に異物が付着している場合、原稿の読取画像には、実際の原稿画像とは関係のない白いスジ状の画像(白スジ画像)が現れることがある。
上記シェーディング補正では、白基準板23から読み取った画像信号(色情報)がシェーディング補正後の画像信号Doutに大きく影響を与える。このため、白基準読取処理では、上記第1キャリッジ16を移動させながら白基準板23の画像を複数ライン分読み取り、その複数ライン分の画像信号の平均値を白基準信号Dwtとしている。しかし、白基準板23に副走査方向のスジ状の異物が付着している場合、複数ライン分の画像信号を平均化しても、白基準信号には、白基準板23に付着している異物の画像が特異点として現れる。
上記信号処理部64では、上記のような白基準板23に付着した異物を白基準板上異物検知部78aにより検知する。上記白基準板上異物検知部78aでは、白基準板23の読取画像における上記のような特異点を検出することにより、白基準板23上に異物が付着しているか否かを検知する。つまり、上記のような特異点は、他の画素とは異なる値の画像信号であり、常に、主走査方向の同じ位置に現れる。このため、上記白基準板上異物検知部78aは、常に、主走査方向に同じ位置に他の画素の値(白基準値)とは明らかに異なる値の画素があるか否かにより、特異点の有無及び特異点の位置(主走査方向のアドレス)を検知する。
次に、上記原稿ガラス上異物検知部78bによる原稿台ガラス22に付着している異物の検知について説明する。
上記自動原稿送り装置2を用いて原稿画像を読み取る場合、原稿画像の読取位置は、所定の原稿読取位置P1に固定される。上記自動原稿送り装置2により搬送される原稿の画像は、原稿台ガラス22を介して原稿読取位置P1にて読み取られる。従って、原稿読取位置P1の原稿台ガラス22上の一部に汚れや傷などの異物が付着している場合、異物の画像は、常に、主走査方向において、同じ位置に同じ値の画像信号の特異点として現れる。
上記信号処理部64では、上記のような原稿台ガラス22に付着した異物を原稿ガラス上異物検知部78bにより検知する。上記原稿ガラス上異物検知部78bは、原稿の読取画像において上記のような特異点を検出することにより、原稿台ガラス22の原稿読取位置P1に異物が付着しているか否かを検知する。例えば、上記のような特異点は、常に、主走査方向の同じ位置に同じ値の画像信号として現れる。このため、上記原稿ガラス上異物検知部78bは、原稿全体の読取画像において、常に、主走査方向に同じ位置に同じ値の画素があるか否かにより、特異点の有無及び特異点の位置(主走査方向のアドレス)を検知する。
次に、上記信号処理部64における第1の画像補正処理について説明する。
この第1の画像補正処理は、原稿台ガラス22上及び白基準板23上に異物が存在する場合、その異物の画像信号を除去するものである。なお、原稿台ガラス22上あるいは白基準板23上の異物は、原稿の読取画像において、黒いスジの画像(黒スジ画像)あるいは白いスジの画像(白スジ画像)として現れる。本実施の形態では、上記第1の画像補正処理をスジ除去処理と呼ぶものとする。
以下、スジ除去処理の具体的な動作例について説明する。
まず、1画素分の幅の黒スジ画像を除去する場合の動作例について説明する。
図7は、異物などの影響がない正常な原稿の読取画像の例である。図8は、原稿読取位置P1の原稿台ガラス22に異物が付着している場合の読取画像の例を示す。図9は、図8の画像から黒スジ画像を除去した画像の例を示す。図7、図8及び図9では、横方向が主走査方向であり、縦方向が副走査方向である。
なお、以下の説明では、画像の解像度が600dpiの場合を想定し、1画素(図に示す各ブロック)が42.3μm×42.3μmであるものとする。また、スジ除去処理は、画像の解像度が600dpiの場合に限定されるものではなく、種々の解像度の画像に対して同様に適用できるものである。
ここで、図8に示す画像において、主走査方向における黒スジ画像のアドレスをXとする。図8に示すような画像に対して、上記原稿ガラス上異物検知部78bは、原稿台ガラス22に付着している異物による黒スジ画像がアドレスXに存在することを検知する。つまり、上記原稿ガラス上異物検知部78bは、黒スジ画像のアドレスを「X」、黒スジ画像の幅を「1」(1画素分)と判定する。この場合、上記スジ発生アドレス制御部79には、黒スジ画像の発生アドレスとしてアドレス=Xがセットされる。また、上記スジ幅判定部80には、黒スジ画像の幅が1画素分であることを示す「1」がセットされる。
このような場合、上記画像信号一時格納部81は、上記シェーディング補正部77により正規化された画像信号Doutのうち上記スジ発生アドレス制御部79にセットされているアドレス=Xから上記スジ幅判定部80にセットされている「1」画素分の画像信号(つまり、アドレスXの画像信号)を読み込まないようになっている。すなわち、上記スジ発生アドレス制御部79にアドレス=Xがセットされ、かつ、上記スジ幅判定部80に「1」がセットされている場合、上記画像信号一時格納部81は、アドレス(X−2)、(X−1)、(X+1)、(X+2)、…の順に画像信号を読み込む。これにより、上記画像信号一時格納部81には、アドレスXの画素が削除された画像信号が格納される。この結果、読取画像全体は、図9に示すように、主走査方向におけるアドレスXの画像信号(黒スジ画像)が削除されたものとなる。
次に、1画素分の幅の白スジ画像を除去する場合の動作例について説明する。
上記白基準板23にスジ状の異物が付着している場合、原稿の読取画像には、異物が付着している位置に白スジ画像が現れる。このような場合も、上述した黒スジ画像のスジ除去処理と同様なスジ除去処理によって白スジ画像を除去することが可能である。
図10は、白基準板23に異物が付着している場合の読取画像の例を示す。図11は、図10の画像から白スジ画像を除去した画像の例を示す。図10及び図11では、横方向が主走査方向であり、縦方向が副走査方向である。
ここで、図10に示す画像において、主走査方向における白スジ画像のアドレスをYとする。この場合、上記白基準板上異物検知部78aは、白基準板23に付着している異物による白スジ画像がアドレスYに存在することを検知する。これにより、上記スジ発生アドレス制御部79には、白スジ画像の発生アドレスとしてアドレス=Yがセットされる。また、上記スジ幅判定部80には、白スジ画像の幅が1画素分であることを示す「1」が格納される。
上記画像信号一時格納部81は、上記スジ発生アドレス制御部79にセットされているアドレス=Yから上記スジ幅判定部80にセットされている「1」画素分の画像信号(つまり、アドレスYの画像信号)を読み込まないように、アドレス(Y−2)、(Y−1)、(Y+1)、(Y+2)、…の順に画像信号を読み込む。これにより、上記画像信号一時格納部81には、アドレスYの画素が削除された画像信号が格納される。この結果、読取画像全体は、図11に示すように、主走査方向におけるアドレスYの画像信号(白スジ画像)が削除されたものとなる。
上記のようなスジ除去処理によれば、1画素分のスジ画像を削除するため、読取画像全体としては、1画素分の画像情報が欠落することになる。これは、読取画像が劣化したことを意味する。しかしながら、上記のようなスジ除去処理を行わないと、読取画像には、スジ画像が現れることになる。すなわち、1画素分のスジ画像に対してスジ除去処理を実施することにより、画像読取装置は、生産性を落とすことなく、ユーザにとって違和感のない画像を提供できる。
例えば、図9あるいは図11に示すように、1画素分の画像を除去すると、読取画像全体としては、主走査方向において42.3μmの幅の画像情報が失われたことになる。一般的に、人間の視覚特性は、300dpi程度の解像力である。このことを考慮すると、読取画像から42.3μmの幅の画像情報を除去しても、ユーザは、画像の劣化を感じることが少ない。これに対して、42.3μmの幅であっても、白い下地に黒いスジ画像、または、黒い下地に白いスジ画像は、人間には認識し易い。
つまり、1画素分であっても原稿の読取画像に黒スジ画像あるいは白スジ画像が存在すると、ユーザは、読取画像に違和感を感じることが多い。これに対して、上記のようなスジ除去処理では、黒スジ画像あるいは白スジ画像を除去することによりユーザにとって違和感のない読取画像を提供することができる。
特に、文字画像あるいは地図画像などの連続した階調変化を重視しない画像では、スジ除去処理によってスジ画像を除去することが好ましい。これは、文字画像あるいは地図画像などでは、1画素分の画像が欠落しても、違和感のない画像となるためである。
次に、複数画素分の幅の黒スジ画像を除去する場合の動作例について説明する。
図12は、主走査方向に3画素分の異物が原稿読取位置P1の原稿台ガラス22に付着している場合の読取画像の例を示す。図13は、図12の画像から黒スジ画像を除去した画像の例を示す。図12及び図13では、横方向が主走査方向であり、縦方向が副走査方向である。
ここで、図12に示す画像において、主走査方向における黒スジ画像のアドレスをX、X+1、X+2とする。図12に示すような画像に対して、上記原稿ガラス上異物検知部78bは、原稿台ガラス22に付着している異物による黒スジ画像がアドレスX、X+1、X+2に存在することを検知する。つまり、上記原稿ガラス上異物検知部78bは、スジ画像のアドレスを「X、X+1、X+2」、黒スジ画像の幅を「3」(3画素分)と判定する。この場合、上記スジ発生アドレス制御部79には、黒スジ画像の発生アドレスとしてアドレス=Xがセットされる。また、上記スジ幅判定部80には、黒スジ画像の幅が3画素分であることを示す「3」がセットされる。
このような場合、上記画像信号一時格納部81は、上記シェーディング補正部77により正規化された画像信号Doutのうち上記スジ発生アドレス制御部79にセットされているアドレス=Xから上記スジ幅判定部80にセットされている「3」画素分の画像信号(つまり、アドレスX、X+1、X+2の画像信号)を読み込まないようになっている。すなわち、上記スジ発生アドレス制御部79にアドレス=Xがセットされ、かつ、上記スジ幅判定部80に「3」がセットされている場合、上記画像信号一時格納部81は、アドレス(X−2)、(X−1)、(X+3)、(X+4)、…の順に画像信号を読み込む。これにより、上記画像信号一時格納部81には、アドレスX、X+1、X+2の3画素分が削除された画像信号が格納される。この結果、読取画像全体では、図13に示すように、主走査方向におけるアドレスX、X+1、X+2の画像信号(黒スジ画像)が削除されたものとなる。
次に、複数画素分の幅の白スジ画像を除去する場合の動作例について説明する。
図14は、主走査方向に3画素分の異物が白基準板23に付着している場合の読取画像の例を示す。図15は、図14の画像から白スジ画像を除去した画像の例を示す。図14及び図15では、横方向が主走査方向であり、縦方向が副走査方向である。
ここで、図14に示す画像において、主走査方向における白スジ画像のアドレスをY、Y+1、Y+2とする。図14に示すような画像に対して、上記白基準板上異物検知部78aは、白基準板23に付着している異物による白スジ画像がアドレスY、Y+1、Y+2に存在することを検知する。この場合、上記スジ発生アドレス制御部79には、白スジ画像の発生アドレスとしてアドレス=Yがセットされる。また、上記スジ幅判定部80には、白スジ画像の幅が3画素分であることを示す「3」がセットされる。
このような場合、上記画像信号一時格納部81は、上記スジ発生アドレス制御部79にセットされているアドレス=Yから上記スジ幅判定部80にセットされている「3」画素分の画像信号(つまり、アドレス=Y、Y+1、Y+2の画像信号)を読み込まないように、アドレス(Y−2)、(Y−1)、(Y+3)、(Y+4)、…の順に画像信号を読み込む。これにより、上記画像信号一時格納部81には、アドレスY、Y+1、Y+2の3画素分が削除された画像信号が格納される。この結果、読取画像全体では、図15に示すように、主走査方向におけるアドレスY、Y+1、Y+2の画像信号(白スジ画像)が削除されたものとなる。
上記のようなスジ除去処理によれば、複数画素分のスジ画像を削除するため、読取画像全体としては、複数画素分の画像情報が欠落することになる。これは、読取画像が劣化したことを意味する。しかしながら、上記のようなスジ除去処理を行わないと、読取画像には、スジ画像が現れることになる。すなわち、複数画素分のスジ画像に対してもスジ除去処理を実施することにより、画像読取装置は、生産性を落とすことなく、ユーザにとって違和感のない画像を提供できる。
例えば、図13あるいは図15に示すように、3画素分の画像を除去すると、読取画像全体としては、主走査方向において42.3×3=126.9μmの幅の画像情報が失われたことになる。しかし、図12あるいは図14に示すようなスジ画像が含まれたままの読取画像よりも、図13あるいは図15に示すようなスジ画像を除去した読取画像の方が、ユーザにとっては違和感が少ない。従って、特に、文字画像あるいは地図画像などの連続した階調変化を重視しない画像では、スジ除去処理によってスジ画像を除去することが好ましい。これは、文字画像あるいは地図画像などでは、数画素分の画像が欠落しても、違和感のない画像となるためである。
また、上記のようなスジ除去処理は、ユーザがキャンセルできるようにしても良い。スジ除去処理のキャンセルは、例えば、以下のような動作によって実現できる。すなわち、ユーザが上記コントロールパネル46にてスジ除去処理のキャンセルを指示した場合、上記システム制御部45は、スジ発生アドレス制御部79に制御停止信号であるキャンセル信号を出力する。上記システム制御部45からのキャンセル信号を受けたスジ発生アドレス制御部79では、特定のアドレスの画像を除去するアドレス制御を行わないようにする。これにより、ユーザの意思に応じてスジ除去処理をキャンセルすることが可能となる。
次に、上記信号処理部64における第2の画像補正処理について説明する。
この第2の画像補正処理は、原稿台ガラス22上及び白基準板23上に異物が存在する場合、その異物の画像信号(スジ画像)を近傍の画像信号から生成した画像信号に置き換えるものである。なお、原稿台ガラス22上あるいは白基準板23上の異物は、原稿の読取画像において、黒いスジの画像(黒スジ画像)あるいは白いスジの画像(白スジ画像)として現れる。本実施の形態では、上記第2の画像補正処理をスジ除去補間処理と呼ぶものとする。
以下、スジ除去補間処理の具体的な動作例について説明する。
まず、1画素分の幅の黒スジ画像を含む画像に対するスジ除去補間処理の動作例について説明する。
図16は、原稿読取位置P1の原稿台ガラス22に異物が付着している場合の読取画像の例を示す。図17は、図16の画像に対してスジ除去補間処理を施した画像の例を示す。図16及び図17では、横方向が主走査方向であり、縦方向が副走査方向である。
ここで、図16に示す画像において、主走査方向における黒スジ画像のアドレスをXとする。図16に示すような画像に対して、上記原稿ガラス上異物検知部78bは、原稿台ガラス22に付着している異物による黒スジ画像がアドレスXに存在することを検知する。つまり、上記原稿ガラス上異物検知部78bは、黒スジ画像のアドレスを「X」、黒スジ画像の幅を「1」(1画素分)と判定する。この場合、上記スジ発生アドレス制御部79には、黒スジ画像の発生アドレスとしてアドレス=Xがセットされる。また、上記スジ幅判定部80には、黒スジ画像の幅が1画素分であることを示す「1」がセットされる。
このような場合、上記画像信号一時格納部81は、上記シェーディング補正部77により正規化された画像信号Doutのうち上記スジ発生アドレス制御部79にセットされているアドレス=Xから上記スジ幅判定部80にセットされている「1」画素分の画像信号(つまり、アドレスXの画像信号)を所定の値(例えば、「0」)で読み込む。
すなわち、上記スジ発生アドレス制御部79にアドレス=Xがセットされ、かつ、上記スジ幅判定部80に「1」がセットされている場合、上記画像信号一時格納部81は、アドレスXに所定の値の画像信号を読み込む。これにより、上記画像信号一時格納部81には、アドレスXに所定の値の画像信号が格納される。
なお、上記画像信号一時格納部81に格納するアドレスXの画像信号は、任意の画像信号で良い。例えば、上記画像信号一時格納部81に格納するアドレスXの画像信号は、「0」でも良いし、上記画像信号Doutのままであっても良い。アドレスXの画像信号(画像信号の値)は、後述する補正信号生成部82にて生成した画像信号(画像信号の値)に置き換えられるためである。
また、上記スジ発生アドレス制御部79にアドレス=Xがセットされ、かつ、上記スジ幅判定部80に「1」がセットされている場合、上記補正信号生成部82では、アドレスXの前後の画像信号、つまり、アドレス(X−1)の画像信号とアドレス(X+1)の画像信号とにより、アドレスXの画像信号(補正信号)を生成する。上記アドレスXの補正信号を生成すると、上記補正信号生成部82は、上記画像信号一時格納部81に格納されているアドレスXの画像信号を、上記補正信号に置き換え、後段の画像処理部54へ出力する。この結果、読取画像の主走査方向におけるアドレスXの画像信号(黒スジ画像)は、アドレスXの近傍の画像信号の値から生成された補正信号に置き換えられる。
ここで、上記補正信号生成部82による補正信号の生成例について説明する。
上記補正信号生成部82では、黒スジ画像(アドレスX)の前後の画素(アドレス(X−1)及びアドレス(X+1)の画像信号)に基づいて、黒スジ画像を形成する画素(アドレスXの画像信号)の補正信号の値を生成する。本実施の形態では、上記補正信号生成部82は、黒スジ画像を形成する画素(アドレスX)の補正信号の値が、前後の画素(アドレス(X−1)及びアドレス(X+1))の値の中間値(線形な変化となる値)となるように生成するものとする。
上記補正信号生成部82による補正信号は、例えば、以下の式により生成される。
補間係数k=((黒スジ画像の直前のアドレスの画像信号の値)−(黒スジ画像の直後のアドレスの画像信号の値))/(スジ幅判定部に格納されている値)
補正信号の値=(直前のアドレスの画像信号の値)−k
これらの式によれば、図16に示すアドレスXの補正信号の値は、以下の式によって算出される。
補間係数k=((アドレス(X−1)の画像信号の値)−(アドレス(X+1)の画像信号の値))/(スジ幅判定部に格納されている値「+1」)
アドレスXの補正信号の値=(アドレス(X−1)の画像信号の値)−k
例えば、アドレス(X−1)の画像信号の値が「0」、アドレス(X+1)の画像信号の値が「0」の場合、アドレスXの補正信号の値は、上記の式によって、「0」(k=(0−0)/2=0、補正信号の値=0−0=0)となる。
また、アドレス(X−1)の画像信号の値が「0」、アドレス(X+1)の画像信号の値が「255」の場合、アドレスXの補正信号の値は、上記の式によって、「128」(k=(0−255)/2=−128、補正信号の値=0−(−128)=128)となる。
また、アドレス(X−1)の画像信号の値が「255」、アドレス(X+1)の画像信号の値が「255」の場合、アドレスXの補正信号の値は、上記の式によって、「255」(k=(255−255)/2=0、補正信号の値=255−0=255)となる。
この結果、図16に示すような読取画像は、図17に示すように、主走査方向におけるアドレスXの画像信号(黒スジ画像)が補正信号(アドレス(X−1)の画像信号の値とアドレス(X+1)の画像信号の値との中間値)に置き換えられる。
次に、1画素分の幅の白スジ画像を含む画像に対するスジ除去補間処理の動作例について説明する。
図18は、白基準板23に異物が付着している場合の読取画像の例を示す。図19は、図18の画像から白スジ画像を除去した画像の例を示す。図18及び図19では、横方向が主走査方向であり、縦方向が副走査方向である。なお、白スジ画像を含む画像に対するスジ除去補間処理は、上述した黒スジ画像を含む画像に対するスジ除去補間処理と同様な手順により実行される。
すなわち、図18に示す画像において上記白基準板上異物検知部78aがアドレス「Y」に幅「1」の白スジ画像を検出した場合、上記スジ発生アドレス制御部79には、白スジ画像の発生アドレスとしてアドレス=Yがセットされ、上記スジ幅判定部80には、白スジ画像の幅が1画素分であることを示す「1」がセットされる。
この場合、上記補正信号生成部82では、白スジ画像(アドレスY)の前後の画素、つまり、アドレス(Y−1)の画像信号とアドレス(Y+1)の画像信号とにより、アドレスYの画像信号(補正信号)を生成する。本実施の形態では、上記補正信号生成部82は、白スジ画像を形成する画素(アドレスY)の補正信号の値が、前後の画素(アドレス(Y−1)及びアドレス(Y+1))の値の中間値(線形な変化となる値)となるように生成するものとする。
上記補正信号生成部82による補正信号は、例えば、以下の式により生成される。
補間係数k=((白スジ画像の直前のアドレスの画像信号の値)−(白スジ画像の直後のアドレスの画像信号の値))/(スジ幅判定部に格納されている値)
補正信号の値=(直前のアドレスの画像信号の値)−k
これらの式によれば、図18に示すアドレスYの補正信号の値は、以下の式によって算出される。
補間係数k=((アドレス(Y−1)の画像信号の値)−(アドレス(Y+1)の画像信号の値))/(スジ幅判定部に格納されている値「+1」)
アドレスYの補正信号の値=(アドレス(Y−1)の画像信号の値)−k
例えば、アドレス(Y−1)の画像信号の値が「0」、アドレス(Y+1)の画像信号の値が「0」の場合、アドレスYの補正信号の値は「0」となる。また、アドレス(Y−1)の画像信号の値が「0」、アドレス(Y+1)の画像信号の値が「255」の場合、アドレスYの補正信号の値は「128」となる。また、アドレス(Y−1)の画像信号の値が「255」、アドレス(Y+1)の画像信号の値が「255」の場合、アドレスYの補正信号の値は「255」となる。
上記アドレスYの補正信号を生成すると、上記補正信号生成部82は、上記画像信号一時格納部81に格納されているアドレスYの画像信号を、上記補正信号に置き換え、後段の画像処理部54へ出力する。これにより、読取画像の主走査方向におけるアドレスYの画像信号(白スジ画像)は、アドレスYの近傍の画像信号の値から生成された補正信号に置き換えられる。この結果、例えば、図18に示すような白スジ画像を含む読取画像が図19に示すような画像に補正される。
上記のようなスジ除去補間処理では、スジ画像を構成する画素の画像信号をスジ画像の前後の画像信号から生成した補正信号に置き換える。このため、スジ画像は、前後の画像の濃度が均一な部分ではその濃度が保持された画像に補間され、濃度変化がある部分では滑らかな濃度変化の画像に補間される。すなわち、スジ画像に対してスジ除去補間処理を実施することにより、画像読取装置は、生産性を落とすことなく、階調変化の再現性に優れた違和感のない画像を提供できる。
例えば、図16あるいは図16に示すようなスジ画像は、図17及び図19に示すように、スジ画像の前後の画素が同じ濃度の部分ではスジ画像の前後の画素と同じ濃度の画素により補間され、スジ画像の前後の画素が異なる濃度の部分では前後の画素の濃度の中間値の濃度の画素により補間される。このように、上記スジ除去補間処理は、上述したスジ除去処理に比べて、連続した階調変化の再現性に優れる。従って、特に、写真画像などの連続した階調変化を重視する画像では、違和感のない画像を提供できるため、スジ除去補間処理によってスジ画像を処理することが好ましい。
次に、複数画素分の幅の黒スジ画像を含む画像に対するスジ除去補間処理の動作例について説明する。
図20は、原稿読取位置P1の原稿台ガラス22に異物が付着している場合の読取画像の例を示す。図21は、図20の画像に対してスジ除去補間処理を施した画像の例を示す。図20及び図21では、横方向が主走査方向であり、縦方向が副走査方向である。
ここで、図20に示す画像において、主走査方向における黒スジ画像のアドレスをX、(X+1)、(X+2)とする。図20に示すような画像に対して、上記原稿ガラス上異物検知部78bは、原稿台ガラス22に付着している異物による黒スジ画像がアドレスX、(X+1)、および(X+2)に存在することを検知する。つまり、上記原稿ガラス上異物検知部78bは、黒スジ画像のアドレスを「X、(X+1)、(X+2)」、黒スジ画像の幅を「3」(3画素分)と判定する。この場合、上記スジ発生アドレス制御部79には、黒スジ画像の発生アドレスとしてアドレス=Xがセットされる。また、上記スジ幅判定部80には、黒スジ画像の幅が3画素分であることを示す「3」がセットされる。
このような場合、上記画像信号一時格納部81は、上記シェーディング補正部77により正規化された画像信号Doutのうち上記スジ発生アドレス制御部79にセットされているアドレス=Xから上記スジ幅判定部80にセットされている「3」画素分の画像信号(つまり、アドレスX、(X+1)、(X+2)の画像信号)を所定の値(例えば、「0」)で読み込む。
すなわち、上記スジ発生アドレス制御部79にアドレス=Xがセットされ、かつ、上記スジ幅判定部80に「3」がセットされている場合、上記画像信号一時格納部81は、アドレスX、(X+1)、(X+2)に所定の値の画像信号を読み込む。これにより、上記画像信号一時格納部81には、アドレスX、(X+1)、(X+2)に所定の値の画像信号が格納される。なお、上記画像信号一時格納部81に格納するアドレスXの画像信号は、任意の値の画像信号で良い。
また、上記スジ発生アドレス制御部79にアドレス=Xがセットされ、かつ、上記スジ幅判定部80に「3」がセットされている場合、上記補正信号生成部82では、アドレスX、(X+1)、(X+2)の前後の画像信号、つまり、アドレス(X−1)の画像信号とアドレス(X+3)の画像信号とにより、アドレスXの画像信号(補正信号)、アドレス(X+1)の画像信号(補正信号)およびアドレス(X+2)の画像信号(補正信号)を生成する。
上記アドレスXの補正信号を生成すると、上記補正信号生成部82は、上記画像信号一時格納部81に格納されているアドレスXの画像信号を、上記補正信号に置き換え、後段の画像処理部54へ出力する。同様に、上記補正信号生成部82は、上記画像信号一時格納部81に格納されているアドレス(X+1)およびアドレス(X+2)の画像信号を、アドレス(X+1)の補正信号及びアドレス(X+2)の補正信号に置き換え、後段の画像処理部54へ出力する。この結果、読取画像の主走査方向におけるアドレスX、(X+1)、(X+2)の画像信号(黒スジ画像)は、アドレスX、(X+1)、(X+2)の近傍の画像信号の値から生成された補正信号に置き換えられる。
ここで、上記補正信号生成部82による補正信号の生成例について説明する。
本実施の形態では、上記補正信号生成部82は、黒スジ画像(アドレスX、(X+1)、(X+2))に対して主走査方向における前後の画素(アドレス(X−1)及びアドレス(X+3)の画像信号の値)に基づいて黒スジ画像を形成する各画素(アドレスX、(X+1)、(X+2))の補正信号の値を生成する。また、上記補正信号生成部82は、アドレスX、(X+1)、(X+2)の補正信号の値が、アドレス(X−1)及びアドレス(X+3)の画像信号の値に対して線形に変化するような値になるように生成するものとする。
上記補正信号生成部82による補正信号は、例えば、以下の式により生成される。
補間係数k=((黒スジ画像の直前のアドレスの画像信号の値)−(黒スジ画像の直後のアドレスの画像信号の値))/(スジ幅判定部に格納されている値)
補正信号の値=(直前のアドレスの画像信号の値、もしくは、直前のアドレスの補正信号の値)−k
これらの式によれば、図20に示すアドレスX、(X+1)、(X+2)の補正信号の値は、以下の式によって算出される。
補間係数k=((アドレス(X−1)の画像信号の値)−(アドレス(X+3)の画像信号の値))/(スジ幅判定部に格納されている値「+4」)
アドレスXの補正信号の値=(アドレス(X−1)の画像信号の値)−k
アドレス(X+1)の補正信号の値=(アドレスXの補正信号の値)−k
アドレス(X+2)の補正信号の値=(アドレス(X+1)の補正信号の値)−k
すなわち、アドレス(X−1)の画像信号の値が「0」、アドレス(X+3)の画像信号の値が「0」の場合、アドレスX、(X+1)、(X+2)の補正信号の値は、それぞれ「0」(k=(0−0)/4=0、補正信号の値=0−0=0)となる。
また、アドレス(X−1)の画像信号の値が「0」、アドレス(X+3)の画像信号の値が「255」の場合、上記の式によって、アドレスXの補正信号の値は「63」(k=(0−255)/4=−63、補正信号の値=0−(−63)=63)、アドレス(X+1)の補正信号の値は「126」(k=(0−255)/4=−63、補正信号の値=63−(−63)=126)、アドレス(X+2)の補正信号の値は「189」(k=(0−255)/4=−63、補正信号の値=126−(−63)=189)、となる。
また、アドレス(X−1)の画像信号の値が「255」、アドレス(X+3)の画像信号の値が「255」の場合、上記の式によって、アドレスX、(X+1)、(X+2)の補正信号の値は、それぞれ「255」(k=(255−255)/4=0、補正信号の値=255−0=255)となる。
この結果、図20に示すような読取画像は、図21に示すように、主走査方向におけるアドレスX、(X+1)、(X+2)の画像信号(黒スジ画像)が補正信号(アドレス(X−1)の画像信号の値とアドレス(X+3)の画像信号の値に基づく補正値)に置き換えられる。
次に、複数画素分の幅の白スジ画像を含む画像に対するスジ除去補間処理の動作例について説明する。
図22は、白基準板23に異物が付着している場合の読取画像の例を示す。図23は、図22の画像に対してスジ除去補間処理を施した画像の例を示す。図22及び図23では、横方向が主走査方向であり、縦方向が副走査方向である。
ここで、図22に示す画像において、主走査方向における白スジ画像のアドレスをY、(Y+1)、(Y+2)とする。図22に示すような画像に対して、上記白基準板上異物検知部78aは、白基準板23に付着している異物による白スジ画像がアドレスY、(Y+1)、および(Y+2)に存在することを検知する。つまり、上記白基準板上異物検知部78aは、白スジ画像のアドレスを「Y、(Y+1)、(Y+2)」、白スジ画像の幅を「3」(3画素分)と判定する。この場合、上記スジ発生アドレス制御部79には、白スジ画像の発生アドレスとしてのアドレス=Yがセットされる。また、上記スジ幅判定部80には、白スジ画像の幅が3画素分であることを示す「3」がセットされる。
このような場合、上述した黒スジ画像に対するスジ除去補間処理と同様に、上記補正信号生成部82は、白スジ画像の各画素に対する補正信号を生成し、白スジ画像を生成した補正信号により置き換える。すなわち、上記スジ発生アドレス制御部79にアドレス=Yがセットされ、かつ、上記スジ幅判定部80に「3」がセットされている場合、上記補正信号生成部82では、アドレスY、(Y+1)、(Y+2)の前後の画像信号、つまり、アドレス(Y−1)の画像信号とアドレス(Y+3)の画像信号とにより、アドレスYの画像信号(補正信号)、アドレス(Y+1)の画像信号(補正信号)およびアドレス(Y+2)の画像信号(補正信号)を生成する。
上記アドレスY、(Y+1)、(Y+2)の補正信号を生成すると、上記補正信号生成部82は、上記画像信号一時格納部81に格納されているアドレスY、(Y+1)、(Y+2)の画像信号を、各補正信号に置き換え、後段の画像処理部54へ出力する。この結果、読取画像の主走査方向におけるアドレスY、(Y+1)、(Y+2)の画像信号(白スジ画像)は、アドレスY、(Y+1)、(Y+2)の近傍の画像信号の値から生成された補正信号に置き換えられる。
ここで、本実施の形態では、上記補正信号生成部82は、白スジ画像(アドレスY、(Y+1)、(Y+2))に対して主走査方向における前後の画素(アドレス(Y−1)及びアドレス(Y+3)の画像信号の値)に基づいて白スジ画像を形成する各画素(アドレスY、(Y+1)、(Y+2))の補正信号の値を生成する。また、上記補正信号生成部82は、アドレスY、(Y+1)、(Y+2)の補正信号の値が、アドレス(Y−1)及びアドレス(Y+3)の画像信号の値に対して線形に変化するような値になるように生成するものとする。
上記補正信号生成部82による補正信号は、例えば、以下の式により生成される。
補間係数k=((白スジ画像の直前のアドレスの画像信号の値)−(白スジ画像の直後のアドレスの画像信号の値))/(スジ幅判定部に格納されている値)
補正信号の値=(直前のアドレスの画像信号の値、もしくは、直前のアドレスの補正信号の値)−k
これらの式によれば、図22に示すアドレスY、(Y+1)、(Y+2)の補正信号の値は、以下の式によって算出される。
補間係数k=((アドレス(Y−1)の画像信号の値)−(アドレス(Y+3)の画像信号の値))/(スジ幅判定部に格納されている値「+4」)
アドレスYの補正信号の値=(アドレス(Y−1)の画像信号の値)−k
アドレス(Y+1)の補正信号の値=(アドレスYの補正信号の値)−k
アドレス(Y+2)の補正信号の値=(アドレス(Y+1)の補正信号の値)−k
すなわち、アドレス(Y−1)の画像信号の値が「0」、アドレス(Y+3)の画像信号の値が「0」の場合、アドレスY、(Y+1)、(Y+2)の補正信号の値は、それぞれ「0」となる。
また、アドレス(Y−1)の画像信号の値が「0」、アドレス(Y+3)の画像信号の値が「255」の場合、アドレスYの補正信号の値は「63」、アドレス(Y+1)の補正信号の値は「126」、アドレス(Y+2)の補正信号の値は「189」となる。
また、アドレス(Y−1)の画像信号の値が「255」、アドレス(Y+3)の画像信号の値が「255」の場合、アドレスY、(Y+1)、(Y+2)の補正信号の値は、それぞれ「255」となる。
この結果、図22に示すような読取画像は、図23に示すように、主走査方向におけるアドレスY、(Y+1)、(Y+2)の画像信号(白スジ画像を形成する各画素)が補正信号(アドレス(Y−1)の画像信号の値とアドレス(Y+3)の画像信号の値に基づく補正値)に置き換えられる。
上記のようなスジ除去補間処理では、スジ画像を構成する各画素の画像信号をスジ画像の前後の画像信号から生成した補正信号に置き換える。このため、読取画像全体におけるスジ画像は、濃度が均一な部分ではその濃度が保持された画像に補間され、濃度変化がある部分では滑らかな濃度変化の画像に補間される。すなわち、複数画素分のスジ画像に対してスジ除去補間処理を実施することにより、画像読取装置は、生産性を落とすことなく、階調変化の再現性に優れた、違和感のない画像を提供できる。
例えば、図20あるいは図22に示すような3画素分のスジ画像は、図21及び図23に示すように、スジ画像の前後の画素が同じ濃度の部分ではスジ画像の前後の画素と同じ濃度の画素により補間され、スジ画像の前後の画素が異なる濃度の部分では、前後の画像の濃度に対して滑らかな濃度変化となるような画素により補間される。このように、上記スジ除去補間処理は、上述したスジ除去処理に比べて、連続した階調変化の再現性に優れる。従って、特に、写真画像などの連続した階調変化を重視する画像では、違和感のない画像を提供できるため、スジ除去補間処理によってスジ画像を処理することが好ましい。
また、上記のようなスジ除去補間処理は、ユーザがキャンセルできるようにしても良い。スジ除去補間処理のキャンセルは、例えば、以下のような動作によって実現できる。すなわち、ユーザが上記コントロールパネル46にてスジ除去補間処理のキャンセルを指示した場合、上記システム制御部45は、スジ発生アドレス制御部79に制御停止信号であるキャンセル信号を出力する。上記システム制御部45からのキャンセル信号を受けたスジ発生アドレス制御部79では、特定のアドレスの画像を除去するアドレス制御を行わないようにする。これにより、ユーザの意思に応じてスジ除去補間処理をキャンセルすることが可能となる。
また、上記スジ除去処理あるいは上記スジ除去補間処理は、スジ画像の幅(スジ幅)の大きさに応じて実行するか否かを設定するようにしても良い。
すなわち、上記スジ除去処理を実行するスジ画像の幅の上限値を設定しておくことにより、スジ画像の幅が上限値(所定量)以上の場合にはスジ除去処理あるいは上記スジ除去補間処理をキャンセルするようにすることができる。これは、上記スジ幅判定部80に上限値よりも大きな値がセットされた際、上記システム制御部45からスジ発生アドレス制御部79に制御停止信号であるキャンセル信号を出力することにより実現できる。
さらに、上限値以上の幅のスジ画像が検知された場合、上記システム制御部45は、上記スジ除去処理あるいは上記スジ除去補間処理をキャンセルするとともに、上記コントロールパネル46に白基準板23あるいは原稿台ガラス22に異物が付着している旨の警告を表示するようにしても良い。
次に、上記スジ除去処理と上記スジ除去補間処理とを選択的に実行する場合について説明する。
上述したように、上記スジ除去処理は、原稿画像の読取結果としての読取画像からスジ画像を完全に除去する。このため、上記スジ除去処理は、特に、文字や地図などの連続した階調変化を重視しない画像(以下、文字画像と称する)の読取時に適用するのが好ましい。これに対して、上記スジ除去補間処理は、スジ画像を、スジ画像の前後の画像に対して滑らかに変化(線形変化)するような画像に置き換える。このため、上記スジ除去補間処理は、特に、写真等の連続した階調変化を重視する画像(以下、写真画像と称する)の読取時に適用するのが好ましい。
従って、画像読取装置は、読取の対象となる原稿画像の種類に応じて上記スジ除去処理あるいは上記スジ除去補間処理を選択し、原稿画像の種類に適したスジ画像に対する補正を行うことが可能である。
図24は、原稿画像の種類に応じて上記スジ除去処理あるいは上記スジ除去補間処理を実行する場合の動作例を説明するためのフローチャートである。
ここでは、原稿画像の種類は、ユーザがコントロールパネル46を用いて指定するものとして説明する。また、原稿画像の種類は、デフォルトの設定において文字画像に設定しておき、ユーザがコントロールパネル46により写真画像の読取を指示した場合にのみ写真画像に設定を変更するようにしても良い。
例えば、ユーザがコントロールパネル46にて原稿画像の種類として文字画像を指定し、画像読取開始を指示したものとする。上記コントロールパネル46によりユーザから原稿画像の種類として文字画像が指定され、かつ、画像読取開始が指示された場合、上記システム制御部45のCPU51は、文字画像の読取モードでの原稿画像の読取開始を判断する(ステップS11、文字画像)。
文字画像の読取モードでの原稿画像の読取開始を判断すると、上記システム制御部45のCPU51は、上記画像読取部1aに対して、原稿画像の読取開始の指示とともに、原稿画像の読取モードを文字画像に設定する旨を通知する。この通知を受けた上記画像読取部1aのCPU51は、原稿画像の読取モードを文字画像に設定し、原稿画像の読取を開始する。原稿画像の読取モードを文字画像に設定する処理において、上記CPU51は、上記信号処理部64に対して文字画像におけるスジ画像に対する補正処理(画像補正処理)としてスジ除去処理を選択し、原稿画像の画像信号に対してスジ除去処理を実行するように設定する(ステップS12)。
この場合、上記信号処理部64では、上述したようなスジ除去処理を実行する。すなわち、上記信号処理部64では、上記スジ発生アドレス制御部79にセットされるスジ画像の発生アドレス及び上記スジ幅判定部80にセットされるスジ幅とに基づいて、スジ画像を形成する画像信号を上記画像信号一時格納部81に読み込まないようにし、さらに、上記画像信号一時格納部81に格納した画像信号を上記補正信号生成部82をスルーして後段の画像処理部54へ出力する。
また、ユーザがコントロールパネル46にて原稿画像の種類として写真画像を指定し、画像読取開始を指示したものとする。上記コントロールパネル46によりユーザから原稿画像の種類として写真画像が指定され、かつ、画像読取開始が指示された場合、上記システム制御部45のCPU51は、写真画像の読取モードでの原稿画像の読取開始を判断する(ステップS11、写真画像)。
写真画像の読取モードでの原稿画像の読取開始を判断すると、上記システム制御部45のCPU51は、上記画像読取部1aに対して、原稿画像の読取開始の指示とともに、原稿画像の読取モードを写真画像に設定する旨を通知する。この通知を受けた上記画像読取部1aのCPU51は、原稿画像の読取モードを写真画像に設定し、原稿画像の読取を開始する。原稿画像の読取モードを写真画像に設定する処理において、上記CPU51は、上記信号処理部64に対して写真画像におけるスジ画像に対する補正処理(画像補正処理)としてスジ除去補間処理を選択し、原稿画像の画像信号に対してスジ除去補間処理を実行するように設定する(ステップS13)。
この場合、上記信号処理部64では、上述したようなスジ除去補間処理を実行する。すなわち、上記信号処理部64では、上記スジ発生アドレス制御部79にセットされるスジ画像の発生アドレス及び上記スジ幅判定部80にセットされるスジ幅とに基づいて、上記補正信号生成部82によりスジ画像を形成する画像信号を上記スジ画像の前後の画像信号から生成した補正信号に置き換え、後段の画像処理部54へ出力する。
なお、原稿画像の種類は、原稿画像における濃度分布等から判定するようにしても良い。例えば、文字画像では濃度分布が2極化(文字部分の濃度と下地の濃度)し、写真画像は濃度分布が一様になる。このため、原稿画像における濃度分布を解析することにより原稿画像の種類を判別することが可能である。
また、上記コントロールパネル46によりユーザがスジ画像に対する補正処理としてスジ除去処理あるいはスジ除去補間処理を指定するようにしても良い。これにより、ユーザの意図に応じたスジ画像に対する補正処理(画像補正処理)を行うことができる。
例えば、ユーザがコントロールパネル46によりスジ画像に対する補正処理(画像補正処理)としてスジ除去処理を指定し、画像読取開始を指示したものとする。この場合、上記システム制御部45のCPU51は、上記画像読取部1aに対して、原稿画像の読取開始の指示とともに、スジ画像に対する補正処理をスジ除去処理に設定する旨を通知する。この通知を受けた上記画像読取部1aのCPU51は、上記信号処理部64の画像補正処理をスジ除去処理に設定し、原稿画像の読取動作を開始する。これにより、上記信号処理部64では、上述したようなスジ除去処理を実行する。
また、ユーザがコントロールパネル46によりスジ画像に対する補正処理(画像補正処理)としてスジ除去補間処理を指定し、画像読取開始を指示したものとする。この場合、上記システム制御部45のCPU51は、上記画像読取部1aに対して、原稿画像の読取開始の指示とともに、スジ画像に対する補正処理をスジ除去補間処理に設定する旨を通知する。この通知を受けた上記画像読取部1aのCPU51は、上記信号処理部64の画像補正処理をスジ除去補間処理に設定し、原稿画像の読取動作を開始する。これにより、上記信号処理部64では、上述したようなスジ除去補間処理を実行する。
次に、スジ画像(白基準板23上の異物あるいは原稿台ガラス22上の異物)が検知された場合の動作例について説明する。
ここでは、白基準板23上あるいは原稿台ガラス22上に異物が付着している旨の警告をコントロールパネル46に表示する動作例と、白基準板23上あるいは原稿台ガラス22上に異物が付着している旨をインターネットサーバ43へ通知する動作例とについて説明する。
図25は、原稿画像の読取時に上記異物検知部78がスジ画像を検知した場合の動作例を説明するためのフローチャートである。
上記画像読取部1aが画像の読取動作を実行するごとに、上記システム制御部45のCPU51は、上記スジ幅判定部80からの出力に基づいてスジ画像が検知されたか否かを判断するようになっている(ステップS21)。例えば、上記異物検知部78によりスジ画像が検知された場合、つまり、スジ画像によって白基準板23あるいは原稿台ガラス22に異物が付着していることを検知した場合、上記スジ幅判定部80には、スジ画像の幅を示す値がセットされる。上記スジ幅判定部80にスジ画像の幅を示す値がセットされると、上記システム制御部45のCPU51は、スジ画像が検知されたことを判断する。
上記判断により上記異物検知部78がスジ画像を検知したと判断した場合(ステップS21、YES)、上記システム制御部45のCPU51は、自己診断として原稿無しの状態でスジ画像を検知する処理を実行する必要があるか否かを判断する(ステップS22)。上記自己診断は、原稿無しの状態でスジ画像の検知処理(異物検知処理)を行うことにより、スジ画像(白基準板23あるいは原稿台ガラス22に付着している異物)を正確に検知する処理である。
ここでは、自己診断は、所定量(第1の閾値)以上の幅のスジ画像が検知された場合に実行するように予め設定されているものとする。この場合、自己診断を実行するか否かを判断するための第1の閾値は、ユーザあるいはサービスマンが予め設定するものとする。なお、上記第1の閾値を大きな値に設定しておくことにより、自己診断をキャンセルするように設定することも可能である。
上記判断により自己診断を実行する必要があると判断した場合(ステップS22、YES)、上記システム制御部45のCPU51は、上記画像読取部1aのCPU61に対して原稿無しの状態でスジ画像の検知処理を行う旨を指示する。この指示を受けた上記画像読取部1aのCPU61は、原稿無しの状態で読取動作を行うことにより、上記異物検知部78によるスジ画像の検知処理(異物検知処理)を実行する。この場合、上記スジ幅判定部80には、原稿無しの状態で検知したスジ画像の幅がセットされる(ステップS23)。
また、上記自己診断を実行した後(ステップS22)、あるいは、上記判断により自己診断を実行する必要がないと判断した場合(ステップS22、NO)、上記システム制御部45のCPU51は、コントロールパネル46に警告を表示する必要があるか否かを判断する(ステップS24)。この警告表示は、スジ画像の原因となる異物が白基準板23あるいは原稿台ガラス22に付着している旨をユーザに報知するものである。
また、上記警告は、所定量(第2の閾値)以上の幅のスジ画像が検知された場合に実行するように予め設定されているものとする。この場合、警告を表示するか否かを判断するための第2の閾値は、ユーザあるいはサービスマンが予め設定するものとする。なお、上記第2の閾値を大きな値に設定しておくことにより、警告を表示しないように設定することも可能である。
上記判断により警告を表示する必要があると判断した場合(ステップS24、YES)、上記システム制御部45のCPU51は、上記コントロールパネル46に、白基準板23あるいは原稿台ガラス22に異物が付着している旨の警告を表示する(ステップS25)。
なお、上記コントロールパネル46に表示する警告の内容は、例えば、白基準板23あるいは原稿台ガラス22を清掃する旨を報知するものである。また、白基準板上異物検知部78aにより白スジ画像が検知された場合には、白基準板23に異物が付着している旨を報知し、原稿ガラス上異物検知部78bにより黒スジ画像が検知された場合には、原稿台ガラス22に異物が付着している旨を報知するようにしても良い。
また、上記のような警告を表示した場合(ステップS25)、あるいは、上記判断により警告を表示する必要がないと判断した場合(ステップS24、NO)、上記システム制御部45のCPU51は、メンテナンスコールが必要であるか否かを判断する(ステップS26)。上記メンテナンスコールとは、上記インターネットサーバ43へ当該デジタル複写機41に不具合が発生したことを通知するものである。
ここでは、システム制御部45のCPU51は、メンテナンスコールとして、白基準板23あるいは原稿台ガラス22に付着している異物によってスジ画像が発生していることをインターネットサーバ43へ通知する。また、システム制御部45のCPU51は、上記インターネットサーバ43に、メンテナンスコールとして、スジ発生アドレス制御部79にセットされているスジ画像の発生アドレス、および、スジ幅判定部80にセットされているスジ画像の幅を示す値などのデータも通知する(ステップS27)。これに対して、上記インターネットサーバ43では、上記デジタル複写機41から通知されたデータ(スジ画像の発生アドレス、あるいは、スジ画像の幅を示す値等)を記憶装置に記憶する。
上記のようなメンテナンスコールにより、当該デジタル複写機41のメンテナンスを担当するサービスマンは、インターネットサーバ43に通知されたデータにより、当該デジタル複写機41(画像読取装置)の状態を知ることができる。この結果、サービスマンは、当該デジタル複写機の状況に応じてメンテナンス時期を容易に知ることができ、清掃等の対応を実施することができる。
なお、本実施の形態では、単色の画像を読み取る画像読取装置における種々の処理について説明したが、これらの処理は、カラー画像を読み取る画像読取装置にも適用できる。例えば、赤のフィルタを受光面に配置したCCDセンサ、緑のフィルタを受光面に配置したCCDセンサ、及び、青のフィルタを受光面に配置したCCDセンサにより画像を読み取る画像読取装置において、各色の画像信号に対して上述の処理と同様な処理を適用することが可能である。
1…画像読取装置、2…自動原稿送り装置(ADF)、19…CCDセンサ(光電変換部)、20…CCD基板、21…スキャナ制御基板、22…原稿台ガラス、23…白基準板、41…デジタル複写機、45…システム制御部、51…CPU、54…画像処理部、61…CPU、64…信号処理部、66…駆動制御部、67…露光制御部、68…駆動モータ、71…DC成分除去部、72…オフセット制御部、73…信号振幅制御部、74…デジタル変換部、75…黒基準格納部、76…白基準格納部、77…シェーディング補正部、78…異物検知部、78a…白基準板上異物検知部、78b…原稿ガラス上異物検知部、79…スジ発生アドレス制御部、80…スジ幅判定部、81…画像信号一時格納部、82…補正信号生成部