JP2004289648A - 画像読取り装置および画像処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】シートスルーの画像読取において、読取り部の汚れを簡易にしかも正確に検出する。
【解決手段】画像を投影するための光学系232〜237,該光学系が投影する画像を読取る撮像素子207,読取った画像信号をデジタルデータすなわち画像データに変換する手段208〜210、および、前記光学系の主走査方向に広がりがある読取視野240を横切る副走査方向に原稿を移送する手段30を備える画像読取り装置において、前記光学系232〜237が投影した無画像部分BPの前記画像データの中の、主走査方向の所定画素数Th2以上の異常濃度の連続を検出する手段254;を備えることを特徴とする画像読取り装置。
【選択図】 図8
【解決手段】画像を投影するための光学系232〜237,該光学系が投影する画像を読取る撮像素子207,読取った画像信号をデジタルデータすなわち画像データに変換する手段208〜210、および、前記光学系の主走査方向に広がりがある読取視野240を横切る副走査方向に原稿を移送する手段30を備える画像読取り装置において、前記光学系232〜237が投影した無画像部分BPの前記画像データの中の、主走査方向の所定画素数Th2以上の異常濃度の連続を検出する手段254;を備えることを特徴とする画像読取り装置。
【選択図】 図8
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、イメージスキャナ,ファクシミリ,ディジタル複写機等の、原稿を移送しながら原稿の画像を撮像素子で読取る装置に関する。
【0002】
【従来技術】
コンタクトガラス板上にシート原稿またはブック原稿を載せて、原稿に対して光学系を副走査駆動してコンタクトガラス板上の画像を読取る、原稿静止の画像読取りの場合、コンタクトガラス板が汚れていても局所的な点であるので、再生画像上には孤立点のノイズとなり、あまり目だたない。しかし、静止した読取り光学系に対して原稿を移送しながら原稿の画像を撮像素子で読取る画像読取りすなわちシートスルーの画像読取では、原稿読取り部のガラスが汚れていると、汚れの像が原稿の移送すなわち副走査の間常に原稿画像とともに撮像素子に投影されるので、読取により得られる画像データに基いてディスプレイ上又は用紙上に再生描画すると、汚れが低レベルの光反射であると再生画像上に副走査方向に伸びる黒筋が現れる。汚れが高レベルの光反射であると白筋が現れる。このような現象は、シートスルーの画像読取を行うファクシミリ装置の受信画像によく現れる。しかし、同様な画像読取りを行う複写機でも同様である。多数の原稿をADF(自動原稿供給装置)で連続的に次々に読取り部に送りこみ通過させるシートスルーの画像読取で、上述の現象が顕著に表れる。ADFを用いる場合でも、ADFでコンタクトガラス板上に原稿を送り込み、原稿に対して光学系を副走査駆動してコンタクトガラス板上の画像を読取る原稿静止の画像読取りの場合には、上述の黒筋や白筋は現れない。
【0003】
一方、シェーディング補正のための白色基準板に汚れがある場合には、汚れが低反射レベルであると白筋が、高反射レベルであると黒筋が現れる。これは原稿静止の画像読取りでも、シートスルーの画像読取でも、シェーディング補正をすると生じる可能性がある。しかし、白色基準板は原稿移送路から分離しているので、原稿の移送にともなって原稿に付着したゴミ(紙粉,消しゴム屑その他)で汚れる可能性は低い。ところがシートスルーの画像読取では、原稿が読取り窓ガラスに触れて通過するので、原稿に付着していたゴミで読取り窓ガラスが汚れる可能性が高い。
【0004】
【特許文献1】特開平11−112800号公報は、原稿を移送しながら原稿の画像を撮像素子で読取る場合の上述の黒筋や白筋の発生を防止するために、汚れが無い白色基準板を予め読取った画像データの主走査方向の平均値ymと、シェーディング補正データを設定するために白色基準板を読取った画像データの主走査方向の平均値ynとの差(ym−yn)を算出し、隣接画素よりも(ym−yn)以上低レベルの画素を異常画素と検出して、異常画素の部位に宛てるシェーディング補正データは隣接画素の画像データに基いて補完する画像処理装置を記載している。
【0005】
【特許文献2】特開2000−196881号公報は、2次元方向で基準白板を読取った画像データの画素配列での立上りと立下りを検索して、立ち上りの底に相当する画素および立下りの底に相当する画素を異常画素と検出し、異常画素の部位に宛てるシェーディング補正データは正常な周辺画素の画像データに基いて補完する画像処理装置を記載している。ある量のゴミ画像を検出した場合には、ゴミを取り除く警告を促すとの記述もある。
【0006】
【特許文献3】特開2002−247352号公報は、原稿を読取る前に、予め読取り部で、原稿読取り台3を構成しているコンタクトガラス上のごみを検出するための検出用の画像を読取り、1ラインの読みとった画像を、欠陥画素か否かを示す2値信号に2値化してラインメモリに保持し、原稿画像の読取時には、ラインメモリのデータを参照して、欠陥画素位置の画像データには周辺画素の平均値を宛てる画像処理装置を記載している。
【0007】
【特許文献4】特開2002−262083号公報は、黒筋,白筋の発生を防止するために、無原稿状態で画像読取りを行って、画像データにエッジ強調処理を施してから欠陥画素か否かを示す2値信号に2値化する異常画素検出を平面的に行い、原稿画像の読取時には、ラインメモリのデータを参照して、欠陥画素位置の画像データには周辺画素の画像データを宛てる画像処理装置を記載している。
【0008】
【特許文献5】特開2002−262086号公報は、白基準部位を読取った画像データの3×3画素ブロックで、中央の注目画素のレベル(画像データ)が低く、しかも隣接画素よりもレベルが低いと注目画素をごみ画素と検出して、ごみ画素には周辺画素の画像データを振り当ててシェーディング補正データを生成する画像処理装置を記載している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、隣接画素とのレベル差が大きい画素を異常画素と検出する態様では、濃度勾配が低いが比較的に広い領域に渡って濃度変化がある異常画素群が検出できない。これを検出するために感度を上げる(濃度勾配の閾値を下げる)と、シェーディング補正によって平準化する濃度ばらつき部分の補正特性を隣接部の濃度レベル対応に変更してしまうことにもなり、シェーディング補正の精度が低下する。また、2次元の画素マトリクスを用いて異常画素を検出する態様では、画像データの格納および異常検出処理が2次元の処理になるので、複雑になる。
【0010】
本発明は、シートスルーの画像読取において、読取り部の汚れを簡易にしかも正確に検出することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
(1)画像を投影するための光学系(232〜237),該光学系が投影する画像を読取る撮像素子(207),読取った画像信号をデジタルデータすなわち画像データに変換する手段(208〜210)、および、前記光学系の主走査方向に広がりがある読取視野(240)を横切る副走査方向に原稿を移送する手段(30)を備える画像読取り装置において、
前記光学系(232〜237)が投影した無画像部分(BP)の前記画像データの中の、主走査方向の所定画素数(Th2)以上の異常濃度の連続を検出する手段(254);を備えることを特徴とする画像読取り装置。
【0012】
なお、理解を容易にするためにカッコ内には、図面に示し後述する実施例の対応又は相当要素もしくは対応事項の記号を、例示として参考までに付記した。以下も同様である。
【0013】
これによれば、異常濃度画素の連続数が所定値以上のときそこを異常画素と検出する。画像データの孤立点除去,地肌除去,フィルタリング,dpi変換などの通常の画像処理により、主走査方向の1画素あるいは数画素以下の孤立画像は消失して黒筋あるいは白筋として現れない。従って、この画素以上に前記所定画素数(Th2)を設定しておくことにより、黒筋あるいは白筋として現れる可能性がある異常画像を簡易かつ正確に検出できる。
【0014】
【発明の実施の形態】
(2)前記無画像部分(BP)とは別異のシェーディング補正用の読取りレベル基準板(239);該読取りレベル基準板(239)を読取った画像データに基いてシェーディング補正データ(Dhi)を設定する手段(254,210);および、該補正データに基いて前記画像データをシェーディング補正する手段(254,210);をさらに備え、前記検出手段(254)は、前記光学系(232〜237)が投影した無画像部分(BP)の前記画像データをシェーディング補正したデータの中の、主走査方向の所定画素数以上の異常濃度の連続を検出する;上記(1)に記載の画像読取り装置。
【0015】
読取りレベル基準板(239)は原稿の移送によっては汚れることは無く、局所的に(ドット状に)汚れる可能性はきわめて低く、読取りレベル基準板(239)を読取った画像データのばらつきは、原稿照明の主走査方向のばらつきと撮像素子(207)の主走査方向に多数が並んだ光電変換セルの光電変換特性のばらつきによる可能性が高く、これらのばらつきをシェーディング補正で補償する。したがって、読取りレベル基準板(239)が清浄である場合には、前記無画像部分(BP)を読取ってシェーディング補正をした画像データは、無画像部分(BP)あるいはそれを読取る透光窓部の汚れを明確に表す。したがって、黒筋あるいは白筋として現れる可能性がある異常画像を、より正確に検出できる。
【0016】
(2a)前記検出手段(232〜237)は、前記無画像部分(BP)の前記画像データの主走査方向の平均値に対して所定以上読取りレベルが低い画素を異常濃度画素として検出し、主走査方向で所定個数以上異常濃度画素が連続すると異常画素ありと検出する;上記(1)又は(2)に記載の画像読取り装置。
【0017】
無画像部分(BP)の例えば主走査1ラインの画像データの平均値の算出は簡易かつ正確に行うことが出来る。例えば、主走査方向で隣りあう2画素(奇数番画素と偶数番画素)の各画像データの最下位ビットを除くビットが表わすデータ(1/2をあらわすデータ)を加算して2画素の平均値を得てバッファメモリに格納し排除した最下位ビットのデータは端数積算レジスタに累算して、1ラインについてこれを終了すると、バッファメモリのライン長の半分に相当する平均値データについて、同様に前後2つのデータの平均値を算出してバッファメモリに格納し排除した最下位ビットのデータはレジスタに累算し、この処理を平均値算出データが1個になるまで繰返して、該1個になると、端数積算レジスタに積算した端数累算値の平均値を算出して該1個の平均値算出データに加算することにより、主走査1ラインの画像データの平均値を簡易に得ることができる。
【0018】
したがって黒筋あるいは白筋として現れる可能性がある異常画像を簡易かつ正確に検出できる。
【0019】
(3)前記光学系(232〜237)の、原稿照明灯(232)および原稿対向ミラー(233)を担持するキャリッジ;該キャリッジを副走査方向に駆動する手段(238);前記キャリッジの副走査方向の移動によって読取り走査される原稿を静止支持するコンタクト透光板(231);および、
画像読取りスタート指示があったときに、前記原稿移送手段(30)に原稿が無い場合には、前記キャリッジを副走査駆動して前記読取りレベル基準板(239)をキャリッジが横切る間に前記設定手段(254,210)を介してシェーディング補正データ(Dhi)を設定し次いで前記コンタクト透光板(231)上の原稿の画像データを前記補正手段(254,210)を介してシェーディング補正し、前記原稿移送手段(30)に原稿があった場合には、前記キャリッジを副走査駆動して前記読取りレベル基準板(239)をキャリッジが横切る間に前記設定手段(254,210)を介してシェーディング補正データ(Dhi)を設定し次いで前記原稿移送手段(30)が移送する原稿を読取る位置(HP)にキャリッジを駆動して原稿移送手段(30)が移送する原稿の画像データを前記補正手段(254,210)を介してシェーディング補正する、読取り制御手段(254);を備える、上記(2)に記載の画像読取り装置。
【0020】
これによれば、画像読取りスタート指示があったときに原稿移送手段(30)に原稿があるか否かによって自動的に、シートスルーの画像読取りと原稿静止の画像読取りの一方が選択され、いずれの選択であってもまずシェーディング補正データ(Dhi)の設定が行われる。そしてシートスルーの画像読取りが選択されているときには、黒筋あるいは白筋として現れる可能性がある異常画像を、より正確に検出できる。
【0021】
(3a)前記読取り制御手段(254)は、前記原稿移送手段(30)に原稿が無い場合には、前記画像読取りスタート指示がある度に前記キャリッジを副走査駆動して前記読取りレベル基準板(239)をキャリッジが横切る間に前記設定手段(254,210)を介してシェーディング補正データ(Dhi)を設定し次いで前記コンタクト透光板(231)上の原稿の画像データを前記補正手段(254,210)を介してシェーディング補正し、前記画像読取りスタート指示があったときに前記原稿移送手段(30)に原稿があった場合には、前記キャリッジを副走査駆動して前記読取りレベル基準板(239)をキャリッジが横切る間に前記設定手段(254,210)を介してシェーディング補正データ(Dhi)を設定し、次いで前記原稿移送手段(30)が移送する原稿を読取る位置にキャリッジを駆動して、原稿移送手段(30)の原稿がなくなるまで、原稿移送手段(30)が移送する各原稿の画像データを前記補正手段(254,210)を介してシェーディング補正する;請求項3に記載の画像読取り装置。
【0022】
これによれば、コンタクト透光板(231)に原稿を載せて画像読取をスタートするときには常に最新のシェーディング補正データに基いたシェーディング補正が行われる。原稿移送手段(30)に原稿束を装填して画像読取をスタートするときには、まず最新のシェーディング補正データが設定され、該原稿束のすべての原稿に対して、原稿画像読取りの直前に無画像部分(BP)の読取りと異常画素の検出すなわち読取り部の汚れ検出が行われ、そして各原稿の読取り画像データに対して同じシェーディング補正データに基いたシエーディング補正が行われる。
【0023】
これにより、シートスルーの画像読取において1つの原稿束の複数の原稿の連続読取りの原稿間で、読取部の汚れ発生が検出できるとともに、1つの原稿束の原稿間ではシェーディング補正データの再設定は無いので、1つの原稿束の連続読取り速度を速く出来る。
【0024】
(4)前記検出手段(232〜237)の前記異常濃度画素の所定数以上の連続を検出した結果を報知する手段(20,PC);を備える、上記(1)乃至(3a)のいずれかに記載の画像読取り装置。これによれば、ユーザはシートスルーの画像読取りの読取部の汚れの可能性を容易に認識できる。
【0025】
(4a)前記検出手段(232〜237)の前記異常濃度画素の所定数以上の連続を検出しても画像読取りは継続する、前記(1)乃至(4)のいずれかに記載の画像読取装置。例えばファクシミリ送信で早急な画像送信を意図する場合、黒筋あるいは白筋を発生する可能性があっても、たいていの場合画像上の情報は認識又は判読できるので、速やかな画像送信が望まれ、画像読取が継続されることにより、速やかな画像送信が可能である。緊急の画像送信を終了してから、シートスルー画像読取部の清掃を行えばよい。
【0026】
(5)上記(1)乃至(4)のいずれかに記載の画像読取り装置;および、該画像読取り装置が原稿を読取って発生したシェーディング補正した画像データを、用紙上に画像を形成するためのプリント用の画像データに変換する画像データ処理手段(ACP);を備える画像処理装置。これによれば、シートスルー画像読取で、読取り部の汚れによる異常画素のありなしを検出した読取画像データを、プリントアウトにより画像を再現するための画像データが得られる。
【0027】
(6)前記プリント用の画像データに基いて用紙上に画像を形成するプリンタ(100);をさらに備える、上記(5)に記載の画像処理装置。これによれば、シートスルー画像読取で、読取り部の汚れによる異常画素のありなしを検出した読取画像のコピーが得られる。
【0028】
(7)所定位置に静止する読み取り光学系によって原稿搬送を行ない搬送させながら原稿画像を光学的に読み取り、読み取った画像データをディジタル的に処理する機能を備えた画像処理装置において、
原稿読み取り前に無画像部分(BP)を読み取り、読み取った画像データから、所定個数異常の濃度異常画素の連続を大きな回路を用いること無く判定し、検出(図8の7)する手段(254,210)を具備する事を特徴とする画像処理装置。これによれば、シートスルーの画像読み取り以前に異常画素の検知処理により、発生源である読み取りガラス部のごみの有無を判定することが出来る。
【0029】
(8)上記(7)の装置において、原稿読み取り前にシェーディング補正を行なうために基準白板(239)を読み取ってから無画像部分(BP)を読み取り、その無画像部分(BP)の画像データに対してシェーディング補正を行なった上で、異常画素を検出(図8の2,7)する手段(254,210)を具備することを特徴とする画像処理装置。これによれば、シートスルーの画像読み取り以前に異常画素の検知処理により、発生源である読み取りガラス部のごみの有無をシェーディング補正を伴うことにより、より高精度に判定することが出来る。
【0030】
(9)上記(7)又は(8)の装置において、異常画素の検出結果を操作画面(20)に表示することにより、異常画素の有無を表示させ、ユーザやカスタムエンジニアに伝える手段(254)を具備することを特徴とする画像処理装置。これによれば、検出した結果を表示パネル上に表示し、ユーザー及びカスタムエンジニアに読み取りガラス部の清掃や調査を促すことが出来る。
【0031】
本発明の他の目的および特徴は、図面を参照した以下の実施例の説明より明らかになろう。
【0032】
【実施例】
図1に、本発明の1実施例の画像読取り装置を装備した複合機能フルカラーデジタル複写機の外観を示す。このフルカラー複写機は、大略で、自動原稿送り装置(ADF)30と、操作ボード20と、カラースキャナ10と、カラープリンタ100と、給紙バンク35の各ユニットで構成されている。ステープラ及び作像された用紙を積載可能なトレイ付きのフィニッシャ34と、両面ドライブユニット33と、大容量給紙トレイ36は、プリンタ100に装着されている。
【0033】
機内のシステムコントローラ630(図2)には、パソコンPCが接続したLAN(Local Area Network)が接続されている。カラープリンタ100のプリント済の用紙は、排紙トレイ108上またはフィニッシャ34に排出される。
【0034】
フィニッシャ34は、スタッカトレイすなわち積載降下トレイ34hsおよびソートトレイ群34stを持ち、積載降下トレイ34hsに用紙(プリント済紙,転写済紙)を排出するスタッカ排紙モードと、ソートトレイ群34stに排紙するソータ排紙モードを持つ。
【0035】
プリンタ100からフィニッシャ34に送り込まれた用紙は、左上方向に搬送されそして上下逆U字型の搬送路を経て、下向きに搬送方向を切換えてから、設定されているモードに応じて、スタッカ排紙モードのときには排出口から積載降下トレイ34hsに排出される。ソータ排紙モードのときには、ソータトレイ群34stの、そのとき排出中の用紙が割り当てられたソータトレイに排出される。
【0036】
ソータ排紙モードが指定されるとフィニッシャ内排紙コントローラは、最下部の重ね待避位置に置いたソートトレイ群34stを、図1上で2点鎖線で示す使用位置に上駆動し、ソータトレイ間の間隔を広げる。ソータ排紙モードでは、1回(一人)の設定枚数の複写又はプリントは、部ソートにソータ排紙モードが設定されているときには、同一原稿(画像)をプリントした各転写紙をソートトレイ群34stの各トレイに仕分け収納する。頁ソートにソータ排紙モードが設定されているときには、各トレイを各頁(画像)に割り当てて、同一頁をプリントした各転写紙を1つのソートトレイに積載する。
【0037】
図2に、図1に示す複写機の画像処理系統のシステム構成を示す。このシステムでは、読取ユニット11,センサボードユニットSBUと画像データ出力I/F(Interface:インターフェイス)12でなるカラー原稿スキャナ12が、画像データ処理装置ACPの画像データインターフェース制御CDIC(以下単にCDICと表記)に接続されている。画像データ処理装置ACPにはまた、カラープリンタ100が接続されている。カラープリンタ100は、画像データ処理装置ACPの画像データ処理器IPP(Image Processing Processor;以下では単にIPPと記述)から、書込みI/F134に記録画像データを受けて、作像ユニット135でプリントアウトする。
【0038】
画像データ処理装置ACP(以下では単にACPと記述)は、パラレルバスPb,メモリアクセス制御IMAC(以下では単にIMACと記述),画像メモリであるメモリモジュール(以下では単にMEMと記述),不揮発メモリであるハードディスク装置HDD(以下では単にHDDと記述),システムコントローラ1,RAM4,不揮発メモリ5,フォントROM6,CDIC,IPP等、を備える。パラレルバスPbには、ファクシミリ制御ユニットFCU(以下単にFCUと記述)を接続している。操作ボード20はシステムコントローラ1に接続している。
【0039】
カラー原稿スキャナ10の、原稿を光学的に読み取る読取ユニット11は、原稿に対するランプ照射の反射光を、センサボードユニットSBU(以下では単にSBUと表記)上の、イメージセンサ207で光電変換してR,G,B画像信号を生成し、A/DコンバータでRGB画像データに変換し、そしてシェーディング補正して、出力I/F12を介してCDICに送出する。
【0040】
CDICは、画像データに関し、原稿スキャナ10(出力I/F12),パラレルバスPb,IPP間のデータ転送、ならびに、プロセスコントローラ131とACPの全体制御を司るシステムコントローラ1との間の通信をおこなう。また、RAM132はプロセスコントローラ131のワークエリアとして使用され、ROM133はプロセスコントローラ131の動作プログラム等を記憶している。
【0041】
メモリアクセス制御IMAC(以下では単にIMACと記述)は、MEMおよびHDDに対する画像データおよび制御データの書き込み/読み出しを制御する。システムコントローラ1は、パラレルバスPbに接続される各構成部の動作を制御する。また、RAM4はシステムコントローラ1のワークエリアとして使用され、不揮発メモリ5はシステムコントローラ1の動作プログラム等を記憶している。
【0042】
操作ボード20は、ACPが行うべき処理を指示する。たとえば、処理の種類(複写、ファクシミリ送信、画像読込、プリント等)および処理の枚数等を入力する。これにより、画像データ制御情報の入力をおこなうことができる。
【0043】
スキャナ10の読取ユニット11より読み取った画像データは、スキャナ10のSBUでシェーディング補正210を施してから、IPPで、スキャナガンマ補正,フィルタ処理などの、読取り歪を補正する画像処理を施してから、MEM又はHDDに蓄積する。MEM又はHDDの画像データをプリントアウトするときには、IPPにおいてRGB信号をYMCK信号に色変換し、プリンタガンマ変換,階調変換,および、ディザ処理もしくは誤差拡散処理などの階調処理などの画質処理をおこなう。画質処理後の画像データはIPPから書込みI/F134に転送される。書込みI/F134は、階調処理された信号に対し、パルス幅とパワー変調によりレーザー制御をおこなう。その後、画像データは作像ユニット135へ送られ、作像ユニット135が転写紙上に再生画像を形成する。
【0044】
IMACは、システムコントローラ1の制御に基づいて、画像データとMEM又はHDDのアクセス制御,LAN上に接続したパソコンPC(以下では単にPCと表記)のプリント用データの展開,MEMおよびHDDの有効活用のための画像データの圧縮/伸張をおこなう。
【0045】
IMACへ送られた画像データは、データ圧縮後、MEM又はHDDに蓄積され、蓄積された画像データは必要に応じて読み出される。読み出された画像データは、伸張され、本来の画像データに戻しIMACからパラレルバスPbを経由してCDICへ戻される。CDICからIPPへの転送後は画質処理をして書込みI/F134に出力し、作像ユニット135において転写紙上に再生画像を形成する。
【0046】
画像データの流れにおいて、パラレルバスPbおよびCDICでのバス制御により、デジタル複合機の機能を実現する。ファクシミリ送信は、読取られた画像データをIPPにて画像処理を実施し、CDICおよびパラレルバスPbを経由してFCUへ転送することによりおこなわれる。FCUは、通信網へのデータ変換をおこない、それを公衆回線PNへファクシミリデータとして送信する。ファクシミリ受信は、公衆回線PNからの回線データをFCUにて画像データへ変換し、パラレルバスPbおよびCDICを経由してIPPへ転送することによりおこなわれる。この場合、特別な画質処理はおこなわず、書込みI/F134から出力し、作像ユニット135において転写紙上に再生画像を形成する。
【0047】
複数ジョブ、たとえば、コピー機能,ファクシミリ送受信機能,プリンタ出力機能が並行に動作する状況において、読取ユニット11,作像ユニット135およびパラレルバスPbの使用権のジョブへの割り振りは、システムコントローラ1およびプロセスコントローラ131において制御する。プロセスコントローラ131は画像データの流れを制御し、システムコントローラ1はシステム全体を制御し、各リソースの起動を管理する。また、デジタル複合機の機能選択は、操作ボード20においておこなわれ、操作ボード20の選択入力によって、コピー機能,ファクシミリ機能等の処理内容を設定する。
【0048】
システムコントローラ1とプロセスコントローラ131は、パラレルバスPb,CDICおよびシリアルバスSbを介して相互に通信をおこなう。具体的には、CDIC内においてパラレルバスPbとシリアルバスSbとのデータ,インターフェースのためのデータフォーマット変換をおこなうことにより、システムコントローラ1とプロセスコントローラ131間の通信を行う。
【0049】
各種バスインターフェース、たとえばパラレルバスI/F 7、シリアルバスI/F 9、ローカルバスI/F 3およびネットワークI/F 8は、IMACに接続されている。コントローラーユニット1は、ACP全体の中での独立性を保つために、複数種類のバス経由で関連ユニットと接続する。
【0050】
システムコントローラ1は、パラレルバスPbを介して他の機能ユニットの制御をおこなう。また、パラレルバスPbは画像データの転送に供される。システムコントローラ1は、IMACに対して、画像データをMEM,HDDに蓄積させるための動作制御指令を発する。この動作制御指令は、IMAC,パラレルバスI/F 7、パラレルバスPbを経由して送られる。
【0051】
この動作制御指令に応答して、画像データはCDICからパラレルバスPbおよびパラレルバスI/F 7を介してIMACに送られる。そして、画像データはIMACの制御によりMEM又はHDDに格納されることになる。
【0052】
一方、ACPのシステムコントローラ1は、PCからのプリンタ機能としての呼び出しの場合、プリンタコントローラとネットワーク制御およびシリアルバス制御として機能する。ネットワークB経由の場合、IMACはネットワークI/F 8を介して、ネットワークB経由のプリント出力要求データあるいは蓄積(保存)要求データを受け取る。ネットワークB経由の要求データ(外来コマンド)はシステムコントローラ1に報知し、それに応答するシステムコントローラ1からのコマンドに従って、IMACは、ネットワークB経由の蓄積データの転送又は受信蓄積を行う。
【0053】
汎用的なシリアルバス接続の場合、IMACはシリアルバスI/F 9経由でプリント出力要求データを受け取る。汎用のシリアルバスI/F 9は複数種類の規格に対応しており、たとえばUSB(Universal Serial Bus)、1284または1394等の規格のインターフェースに対応する。
【0054】
PCからのプリント出力要求データはシステムコントローラ1により画像データに展開される。その展開先はMEM内のエリアである。展開に必要なフォントデータは、ローカルバスI/F 3およびローカルバスRb経由でフォントROM6を参照することにより得られる。ローカルバスRbは、このコントローラ1を不揮発メモリ5およびRAM4と接続する。
【0055】
シリアルバスSbに関しては、PCとの接続のための外部シリアルポート2以外に、ACPの操作部である操作ボード20との転送のためのインターフェースもある。これはプリント展開データではなく、IMAC経由でシステムコントローラ1と通信し、処理手順の受け付け、システム状態の表示等をおこなう。
【0056】
システムコントローラ1と、MEM,HDDおよび各種バスとのデータ送受信は、IMACを経由しておこなわれる。MEMおよびHDDを使用するジョブはACP全体の中で一元管理される。
【0057】
図3に、CDICの機能構成の概要を示す。画像データ入出力制御161は、カラー原稿スキャナ10(SBU)が出力する画像データを受けて、IPPに出力する。IPPは、「スキャナ画像処理」190(図4)をして、CDICの画像データ入力制御162に送りだす。画像データ入力制御162が受けたデータは、パラレルバスPbでの転送効率を高めるためにデータ圧縮部163に於いて、画像データの1次圧縮を行う。圧縮した画像デ−タは、データ変換部164でパラレルデータに変換してパラレルデータI/F165を介してパラレルバスPbへ送出される。パラレルデータバスPbからパラレルデータI/F165を介して入力される画像データは、データ変換部164でシリアル変換される。このデータは、バス転送のために1次圧縮されており、データ伸張部166で伸張される。伸張された画像データは、画像データ出力制御167によってIPPへ転送される。IPPでは、「画質処理」300(図4)によりRGB画像データをYMCK画像データに変換し、プリンタ100の画像出力用の画像データYpMpCpKpに変換してカラープリンタ100に出力する。
【0058】
CDICは、パラレルバスPbで転送するパラレルデータとシリアルバスSbで転送するシリアルデータの変換機能を併せ持つ。システムコントローラ1は、パラレルバスPbにデータを転送し、プロセスコントローラ131は、シリアルバスSbにデータを転送する。2つのコントローラ1,131の通信のために、デ−タ変換部164およびシリアルデ−タI/F169で、パラレル/シリアルデータ変換を行う。シリアルデータI/F168は、IPP用であり、IPPともシリアルデ−タ転送する。
【0059】
図4に、IPPの画像処理機能の概要を示す。IPPは分離生成(画像が文字領域か写真領域かの判定:像域分離)192,地肌除去193,スキャナガンマ変換194,フィルタ195,色補正302,変倍303,画像加工304,プリンタガンマ変換305および階調処理606を行う。IPPは画像処理をおこなうプログラマブルな演算処理手段である。スキャナ10の出力I/F12からCDICに入力された画像データは、CDICを経由してIPPに転送され、IPPにて光学系およびデジタル信号への量子化に伴う信号劣化(スキャナ系の信号劣化)を補正され、再度、CDICへ出力(送信)される。CDICからIPPへ戻される画像データに対して、IPPにおいては、「画質処理」300を行う。「画質処理」300では、色補正302でRGB信号をYMCK信号に色変換し、変倍303,画像加工304,プリンタガンマ変換305および、階調変換,ディザ処理もしくは誤差拡散処理などの階調処理306などをおこなう。
【0060】
図5に、スキャナ10およびそれに装着されたADF 30の、原稿画像読み取り機構を示す。このスキャナ10のコンタクトガラス231上に置かれた原稿は、照明ランプ232により照明され、原稿の反射光(画像光)が第1ミラー233で副走査方向yと平行に反射される。照明ランプ232および第1ミラー233は、図示しない、副走査方向yに定速駆動される第1キャリッジに搭載されている。第1キャリッジと同方向にその1/2の速度で駆動される、図示しない第2キャリッジには、第2および第3ミラー234,235が搭載されており、第1ミラー233が反射した画像光は第2ミラー234で下方向(z)に反射され、そして第3ミラー235で副走査方向yに反射されて、レンズ236により集束され、撮像素子であるイメージセンサ207に照射され、電気信号に変換される。第1および第2キャリッジは、走行体モーター238を駆動源として、y方向に往(原稿走査),復(リタ−ン)駆動される。
【0061】
スキャナ10には、自動原稿供給装置ADF 30が装着されている。ADF30の原稿トレイ241に積載された原稿は、ピックアップローラ242およびレジストローラ対243で搬送ドラム244と押さえローラ245の間に送り込まれて、搬送ドラム244に密着して読み取りガラス240の上を通過し、そして排紙ローラ246,247で、原稿トレイ241の下方の圧板兼用の排紙トレイ248上に排出される。原稿は、シートスルー読取りの読取部である読み取りガラス240を通過する際に、その直下に移動している照明ランプ232により照射され、原稿の反射光は、第1ミラー233以下の光学系を介してイメージセンサ207に照射され光電変換される。
【0062】
ADF30で原稿を移送しながら原稿を読み取るシートスルーの画像読取りの場合、読み取り部のガラス240から入ってくる原稿画像を、第1キャリッジをホームポジションHPに固定して読み取る。この位置がシートスルーの画像読取りの読み取り位置となる。異常画素の検出はこの読み取り位置HPで、搬送されてくる原稿が読み取り位置HPに到達する前に読み取りガラス240を通じて読み取りガラスの上部に有る背板BPを読み取ることにより行なう。背板BPは白色部材若しくは白く塗装したものを使用する。この背板BPを読み取りガラス240を通して読み取ることにより、異常画素の検出処理を原稿搬送前に行なう。その内容は、図8を参照して後述する。
【0063】
なお、背板BPの代りにローラを設けて、又は、背板BPの代りに搬送ドラム244を用いて、その表面は高反射率の白色部材若しくは白く塗装したものにすることができる。しかし、原稿画像の読取り前に実施する異常画素の検出のための無画像部の読取において該ローラ又は搬送ドラム244の反射光レベルを読取るので、反射面に汚れがあるとそこを異常画素部位(黒筋又は白筋の原因となるガラス240の汚れ)と検出(誤検出)するので、クリーニングが必要になる。この点は背板BPを用いる場合でも同様であるが、ローラ又は搬送ドラム244は背板BPよりも汚れ易く、しかも筒状で表面積が広いので、全面を均一に清浄な白に維持するのに手間がかかる。そこで本実施例では、幅が狭い背板BPを用いている。
【0064】
読み取りガラス240と原稿始端の位置決め用のスケール251との間には、基準白板239、ならびに、第1キャリッジを検出する基点センサ249がある。基準白板239は、照明ランプ232の個々の発光強度のばらつき、また主走査方向のばらつきや、イメージセンサ207の画素毎の感度ムラ等が原因で、一様な濃度の原稿を読み取ったにもかかわらず、読み取りデータがばらつく現象を補正(シェーディング補正)するために用意されている。このシェーディング補正は、まず基準白板239を原稿スキャン前に主走査方向数ライン分読み取り、この読み取った白基準データに基いてシェーディング補正データを設定し、原稿をスキャンして得る画像データを該補正データに基いて補正するものである。この内容は図9を参照して後述する。
【0065】
レンズユニット236の直前には、シェーディング調整板237があり、これが、イメージセンサ207の主走査方向(図5紙面に垂直な方向)の中央部と端部での反射光量の差を無くすための光量調整の役割を果たす。これはシェーディング補正において、イメージセンサ207の中央部と端部で基準白板239の反射光量の差が有り過ぎると、多分に歪を含んだ補正になることがあるために、予め、反射光量の差を無くした後に、シェーディング補正を行なうために、イメージセンサ207の入射光量を平準化するものである。シェーディング調整板237の働きを示す例として、図11の(a)が調整板237が無い場合の基準白板239の読取り信号のレベル分布である。この様に中央部のレベルが高く、端部でレベルが落ちる。図11の(b)がシェーディング調整板237を用いた際のレベル分布例である。
【0066】
図6に、スキャナ10の画像読み取りの電気系統の構成を示す。イメージセンサ207から出力される電気信号すなわち、R,G,B各色アナログ画像信号はそれぞれ、信号処理208で増幅され、A/D変換209によってデジタル画像信号すなわち画像データに変換される。この画像データは、シェーディング補正210によって補正処理を受け、IPPに出力される。A/D変換209では、ディジタル変換した画像データを、黒側のオフセット分となる部分を取り除いたものに変換する。この際の黒側のオフセット分には、イメージセンサ207からの出力が、R,G,B各色成分につき2チャンネル構成の場合、チャンネル間の差分を含んでいる。ここでの演算処理は、チャンネル間の誤差成分を除くのが大きな目的である。
【0067】
スキャナ制御回路206は、システムコントローラ630およびプロセスコントローラ131からの指示に従って、ランプ制御回路205,タイミング制御回路211及びモータ制御ユニット260を制御する。ランプ制御回路205は、スキャナ制御回路206からの指示に従って露光ランプ232(232a,232b)のオン/オフを制御するとともに、シェーデイング補正210が指示する照度(光量)に露光ランプ232の明るさ(時系列平均値又は平滑値)を定める。なお、参照符号232a,232bを総括的に参照符号232で示すことがある。
【0068】
モータ制御ユニット260は、スキャナ制御回路206からの指示に従って、副走査駆動モータ238及びADFモータ224を制御する。これらモータは、いずれもステッピングモータであり、駆動系統の軸にはロータリエンコーダ(E)221及び225が連結されている。第1キャリッジの走査位置(y)および駆動量ならびにADF送り原稿の先,後端位置および送り量は、各ロータリエンコーダ221,225が発生する電気パルスを計数して把握される。図6に示す紙センサ223は、ADF30の原稿トレイ241上に原稿があるかを検知するもの,ペーパジャム検知のもの及び原稿サイズ検知のものを含む。
【0069】
タイミング制御回路211は、スキャナ制御回路206,システムコントローラ630(のCPU605)及びプロセスコントローラ131からの指示あるいは制御信号に従って、各種信号を生成する。即ち、画像読み取りを開始すると、イメージセンサ207に対しては、1ライン分のデータをシフトレジスタに転送する転送ゲート信号及びシフトレジスタのデータを1ビットずつ出力するシフトクロックパルスを与え、システムコントローラ630に対しては、画素同期クロックパルスCLK,ライン同期信号LSYNC及び主走査有効期間信号LGATEを出力する。この画素同期クロックパルスCLKは、イメージセンサ207に与えるシフトクロックパルスと略同一の信号である。また、ライン同期信号LSYNCは、プリンタ100の作像ユニット135のビームセンサが出力するライン同期信号MSYNCと対応する信号であるが画像読み取りを行なっていない時は出力が禁止される。主走査有効期間信号LGATEは、イメージセンサ207が出力する画信号が有効と見なせるタイミングで高レベルHになる。
【0070】
スキャナ制御回路206は、プロセスコントローラ131から読み取り開始指示を受けると、タイミング制御回路211を制御してイメージセンサ207の読み取りを開始し、露光ランプ232を点灯し、副走査駆動モータ238(手差しモード)又はADFモータ(ADFモード)を駆動開始する。また、副走査有効期間信号FGATEを高レベルH(原稿領域外)にセットする。この信号FGATEは、手差しモードでは第1キャリッジが原稿始端位置(ホームポジションHPからa+bの位置)に達したときに、原稿領域内を示すLに切り替えられ、ADFモードでは、レジストローラからの原稿(先端)の送り出し搬送量が、ADF30を使用するシートスルー画像読取りモードでの原稿読み取り位置であるHP位置(「レジストローラ243から基点センサ249までの送り量Df」−「HPから基点センサ249までの送り量a」)に達したときに原稿領域内を示すLに切り替えられる。そして、手差しモードでは原稿尾端を第1キャリッジが通過すると、ADFモードでは原稿尾端がHPを通過すると、副走査有効期間信号FGATEは原稿領域外を示すHに戻される。
【0071】
図7に、スキャナ制御回路206の構成を示す。CPU254は、スキャナ制御回路206の入出力制御ならびに副走査駆動モータ238およびADFモータの駆動制御を行う。すなわち、原稿スキャナの操作ボードの入力読込みおよび表示出力を制御するとともに、システムコントローラ630又はプロセスコントローラ131からの原稿読み取りコマンドに応答して、キャリッジ駆動又はADF駆動を行う。ROM255には、スキャナ制御回路206の制御プログラムが書かれている。RAM256は、CPU254で使用する作業用メモリである。252は、原稿スキャナの操作ボードの入力キーおよび入力パネルを操作して使用者がシステム設定の入力を行う入力装置である。表示装置253は、原稿スキャナの操作ボードにあって、使用者にシステムの設定内容,状態を表示するものであり、表示灯および表示パネル(ディスプレイ)を含む。
【0072】
図8に、スキャナ制御回路206のCPU254による、システムコントローラ1が与える画像読取スタート信号(スタート指示)に応答した、原稿読取制御の概要を示す。なお、システムコントローラ1は、操作ボード20又はパソコンPCから画像読取スタートが入力されたときに、これに応答して画像読取スタート信号をCPU254に与える。
【0073】
CPU254は、画像読取スタート信号に応答してホームポジションHPから第1および第2キャリッジの往走査駆動を開始して(ステップ1)、第1ミラー233の読取視野に基準白板239が入るタイミングで、シェーディング補正210に与えるシェーディングゲート信号を”H”から”L”に切換え、基準白板239の中心あたりに読取視野が進んだタイミングで補正ゲート信号を”H”から”L”に切換えて、両信号が”L”の間に、シェーディング補正210により、シェーディング補正データの更新を行う(ステップ2)。なお、以下においては、括弧内には、ステップという語を省略して、ステップ番号のみを記す。シェーディング補正データの更新の内容は、図9を参照して後述する。
【0074】
シェーディング補正データの更新を終えるとCPU254は、シェーディングゲート信号および補正ゲート信号を”H”に戻す。そしてADF30の原稿トレイの原稿の有無を検出するセンサの検出信号を参照して、それが原稿なしであるときには、往走査を継続して、コンタクトガラス231上の原稿画像読取りと、読取った画像データのシェーディング補正を行う(4)。この内容も、図9を参照して後述する。コンタクトガラス231上の原稿の尾端を通過すると、キャリッジの往走査駆動を止めて、続いて反転して復走査(リターン)駆動して、第1キャリッジをHPに位置決めしてキャリッジ駆動を終了する(5)。
【0075】
ADF30の原稿トレイの原稿の有無を検出するセンサの検出信号が原稿ありであった場合には、キャリッジの往駆動を止めて、HPに戻す。すなわち、第1キャリッジ(第1ミラー233)を、シートスルーの画像読取り位置に位置決めする(6)。そして「シートスルー読取位置の汚れ検出」(7)に進んで、主走査1ラインの背板BPの画像読取を行い(71)、読取画像データにシェーディング補正を施して(72)、該1ラインの画像データのライン平均値を算出する(73)。
【0076】
この「ライン平均値を算出」(73)では、背板BPを読み取った主走査幅分の濃度平均値を求める。濃度の分布とその平均例を図12の(a)に示す。図12の(a)は背板BPを読み取った際の比較的濃度変化が無い場合の濃度分布例である。図12の(b)は濃度変化が大きい場合の濃度分布例である。この分布例の中では、矢印で指示しているAの部位の画素とBの部位の画素にレベル低下が認められる。
【0077】
次の「異常画素検出」(74)では、画素単位に求めた主走査幅分の平均値より所定比率低い閾値Th1以下の濃度レベルの画素を異常画素候補として抽出する。次にこの異常画素候補の主走査方向の連続分布の画像数に着目して、異常画素を確定する。異常画素候補群の大きさを検出するための所定の閾値Th2以上に連続分布する異常画素候補群を汚れによる異常画素と確定する。例として図12の(c)を示す。これは主走査1ライン上の一部領域の異常画素候補を示したものである。これによると矢印で示すa1〜a5およびb1〜b7が異常画素候補である。ここで閾値Th2が2であると、a2〜a5の画素群,b2〜b5の画素群およびB6,b7が、異常画素と検出される。異常画素を検出すると、図12の(d)に示す汚れ警告を操作ボード20のディスプレイに表示する(8,10)。パソコンPCからの画像読取りコマンドに応答してADF30給紙による画像読取りの開始であった場合には、この汚れ警告がPCに送信されてPCに接続したディスプレイにも表示される。異常画素を検出しなくなったときには、この汚れ警告表示を消去する(9)。
【0078】
そして、異常画素を検出したか否かに係らず、ADF30が読取りガラス240に送り込んで移送する原稿の画像を読取ってシェーディング補正を施す(11)。一枚の原稿の画像読取を終えると、ADF30の原稿トレイの原稿の有無を検出するセンサの検出信号を再度参照し(12)、原稿ありであると、続いて「シートスルー読取位置の汚れ検出」(7)〜「画像読取り&シェーディング補正」(11)を行う。ADF30の原稿トレイの原稿がなくなるまで、各原稿に関してステップ7〜12の処理を行う。ADF30にあった最後の原稿の「画像読取り&シェーディング補正」(11)を終えると、CPU254はそこで原稿画像読取制御を終える。
【0079】
図9に、原稿スキャナ10のSBUにある電気システムのシェーディング補正(機能)210を示す。このシェーディング補正210がCPU254からの制御信号に従って、図8に示す「シェーディング補正データの更新」(2)ならびに「シェーディング補正」(4,72,11)を行う。
【0080】
図9を参照すると、1次元ライン状のイメージセンサ207により読取られた読取データはサンプルホールド,増幅等の信号処理208を経て、A/D変換209によりデジタルデータすなわち画像データに変換されてシェーディング補正210に入力される。このシェーディング補正210には、読取りデータDiをシェーディング補正するデータ経路(シェーディング補正)およびシェーディング補正データDhiを生成し、出力するデータ経路(シェーディング補正データの更新)とがある。
【0081】
「シェーディング補正データの更新」(2)において、シェーディング補正データDhiは、図10に示すシェーディングゲート信号が”L”区間でFIFOメモリ268に設定する。シェーディングゲート信号が高レベルHから低レベルLに立下ると、シェーディング補正210は、ラインNo.レジスタCnに第1ラインを定め、処理対象画素No.レジスタiに第1画素を定めて、基準白板239の1ライン分の読取りデータをFIFOメモリ268に書込む。
【0082】
シェーディングゲート信号が“L”区間の第1ラインでは、補正263および比較264はスルーで、基準白板239読取りの1ラインの画像データをFIFOメモリ268に記憶する。
【0083】
第2ライン以降では、補正263はスルー、比較264は入力データからゴミなどの影響を受けたデータを排除するため、画素毎に以下のチェックを行う。
【0084】
dDa≧「Dhi−Di」の絶対値
dDaは“ゴミ除去定数”で設定値である。iは1ライン上の画素No.(画素位置)であり、Diが画素No.iの入力画像データ、Dhiは、FIFOメモリ268から読出したi対応位置のメモリデータである。この不等式が不成立の場合は、ゴミなしと見なして比較264はスルーとして平均化267で、FIFOメモリ268の平均値更新をするが、不等式が成立した場合は、ゴミがあるとして、比較264は入力データDiに換えてFIFOメモリ268のデータDhiを出力し、平均化267で、FIFOメモリ268の平均値更新をする。
【0085】
平均化267では、画素毎に下記の演算を行ない、結果をFIFOメモリ257に記憶する;
nは設定値。
【0086】
主走査平均化265は、1ラインの入力画像データDiの主走査第p画素から第q画素までの画像データを単純平均して現ライン平均レベルを算出し、そして重み付け平均処理により、ライン平均レベルレジスタに書き込んでいる前ラインまでのライン平均レベルと現ライン平均レベルとの重み付け平均処理をして、これによって算出した値に、ライン平均レベルレジスタのライン平均レベルを更新する。尚、p,qは設定値である。
【0087】
ライン数カウント269は、図10に示す、シェーディングゲート信号がHからLに立ち下がってからのライン数をカウントし、ライン数が“補正ライン数”Ns(設定値)と等しくなると、図10に示す補正ゲート信号の”L”を出力し、シェーディングゲート信号の“H”で補正ゲート信号の“H”を出力する。ここで補正210は、主走査平均化265が算出している、Nsラインのライン平均レベルをライン基準レベルLLoとしてラッチ266にラッチ(記憶保持)し、ライン平均レベルレジスタLLpにも書込む。
【0088】
すなわち、補正263は、図10に示す補正ゲート信号のH区間は入力画像データDiをスルーで出力するが、補正ゲート信号のL区間では補正ゲート信号のLの第1ラインでは、主走査平均化265からの前ラインのライン平均レベルをライン基準レベルLLoとしてラッチし、入力データDiはスルーで出力する。
【0089】
補正ゲート信号のLの第1ライン以降では、主走査平均化265は、1ラインのライン平均レベルを算出するごとに、ライン平均レベルレジスタのデータを、算出した1ライン分のライン平均レベルに書き換える。従って、補正ゲート信号のLの第2ライン以降では、主走査平均化265が保持するライン平均レベルは、現在入力中の画像データのラインの1つ前の1ラインのライン平均レベルである。
【0090】
補正ゲート信号のLの第2ライン以降では、下記の演算のように主走査平均化265からの前ラインのライン平均レベルLLp(主走査平均化265の算出値LLpを保持するライン平均レベルレジスタLLpのデータLLp)とライン基準レベルLLo(ラッチ266の保持データLLo)から補正係数(LLo/LLp)を求め、入力画像データDiを補正する;
補正係数=ライン基準レベルLLo/ライン平均レベルLLp
補正したデータ=入力画像データDi×補正係数。
【0091】
このように補正したデータに基づいて画像データのライン間平均値(ライン上同一位置画素の画像データの、Nhライン分の平均値)を平均化267で算出してFIFOメモリ268に書込む。ただし、ゴミありと判定した入力画像データは、平均値算出からは除外する。ライン数カウント269は、補正ゲート信号がHからLに立下がってからのライン数をカウントし、ライン数が“平均化ライン数”Nh(設定値)と等しくなると、シェーディング補正データの更新を終了する。
【0092】
上記の演算を行うことにより、フレアー光の影響などにより基準白板読取りレベルが副走査位置により変化が生じても、補正ゲート信号の“L”区間の基準白板読取りレベルを同一レベルとすることができ、良好な参照データすなわちシェーディング補正データがFIFOメモリ268に設定される。
【0093】
原稿読取りゲート信号のL区間が原稿読取り期間であり、ここで「シェーディング補正」を行う。「シェーディング補正」(4,72,11)においては、図9において読取りデータ経路側からは読取データDiが、FIFOメモリ268からは画素毎のシェーディング補正のための参照データDhiが、ROM269に入力されて、このROM269に予め格納されているシェーディング補正演算済のデータがルックアップテーブル方式により読出され、Di,Dhiに応じたシェーディング補正した画像データDoutが出力される。
【0094】
すなわち、原稿画像読取りの区間では、シェーディング補正210は、原稿画像データDiと同一画素位置の参照データDhiをFIFOメモリ268から読み出して、画像データDiおよび参照データDhiをシェーディング補正ROM269に与える。該ROM269が、参照データDhiに基づいて入力画像データDiをシェーディング補正した画像データDout、を出力する。なお、この実施例のシェーディング補正の補正演算の骨子は、
Dout=Do・Di/Dhi,
Doは基準白板239の基準(白)濃度値,
とするものであり、シェーディング補正ROM269は、Di,Dhiがとり得る各値について上記式で算出したDout値を、Di,Dhiをアドレスとして格納したものであるので、上述のように、原稿読取り区間の入力画像データDiと、それと同一画素位置の参照データDhiを同時にシェーディング補正ROM269に与えることにより、入力画像データDiを参照データDhiに基づいてシェーディング補正した画像データDout、がROM269から直ちに得られる。
【0095】
【発明の効果】
以上のように、異常濃度画素の連続数が所定値以上のときそこを異常画素と検出するので、黒筋あるいは白筋として現れる可能性がある異常画像を簡易かつ正確に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施例の画像読取り装置を装備した複合機能がある複写機の外観を示す正面図である。
【図2】図1に示す複合機能フルカラー複写機の画像処理システムの概要を示すブロック図である。
【図3】図2に示す画像データインターフェース制御CDICの構成の概要を示すブロック図である。
【図4】図2に示す画像データ処理器IPPの機能構成を模式的に示すブロック図である。
【図5】図1に示す原稿スキャナ10の読み取り機構の概要を示す拡大縦断面図である。
【図6】図1に示す原稿スキャナ10の画像読み取り電気回路系の構成を示すブロック図である。
【図7】図6に示すスキャナ制御回路206の構成を示すブロック図である。
【図8】図7に示すCPU254の、画像読取制御の概要を示すフローチャートである。
【図9】図6に示すシェーディング補正210の機能構成を示すブロック図である。
【図10】図5に示すスキャナ10の、原稿読取走査の間に発生するタイミング信号のレベル変化を示すタイムチャートである。
【図11】図5に示すイメージセンサ207が発生するビデオ信号の主走査方向のレベル分布を示すグラフであり、(a)はシェーデイング調整板237の装着が無いときのものを、(b)はシェーデイング調整板237を装着しているときのものを示す。
【図12】(a)および(b)は、図5に示す背板BPの画像読取レベルのを主走査方向分布を示すグラフであり、(a)はガラス板240および背板BPともに汚れが無い場合を、(b)はガラス板240又は背板BPに汚れがある場合を示す。(c)は、主走査方向の、汚れがある画素分布を示すブロック図である。(d)は、汚れを検出したときに、画像読取を指示した操作ボード20又はパソコンPCに表示する警告メッセージを示す平面図である。
【符号の説明】
10:カラー原稿スキャナ 20:操作ボード
30:自動原稿供給装置 34:フィニッシャ
34hs:積載降下トレイ 34ud:昇降台
34st:ソートトレイ群
100:カラープリンタ PC:パソコン
PBX:交換器 PN:通信回線
ACP:画像データ処理装置
CDIC:画像データインターフェース制御
IMAC:画像メモリアクセス制御
IPP:画像データ処理器
221,225:ロータリエンコーダ
224:ステッピングモータ
231:原稿台ガラス 232:照明ランプ
233:第1ミラー 234:第2ミラー
235:第3ミラー 236:レンズ
207:イメージセンサ 238:ステッピングモータ
239:基準白板 240:ガラス
241:原稿トレイ 242:ピックアップローラ
243:レジストローラ対 244:搬送ドラム
245:押さえローラ 246,247:排紙ローラ
248:排紙トレイ兼用の圧板
249:基点センサ 250:軸
251:スケール 260:モータ制御ユニット
【発明の属する技術分野】
本発明は、イメージスキャナ,ファクシミリ,ディジタル複写機等の、原稿を移送しながら原稿の画像を撮像素子で読取る装置に関する。
【0002】
【従来技術】
コンタクトガラス板上にシート原稿またはブック原稿を載せて、原稿に対して光学系を副走査駆動してコンタクトガラス板上の画像を読取る、原稿静止の画像読取りの場合、コンタクトガラス板が汚れていても局所的な点であるので、再生画像上には孤立点のノイズとなり、あまり目だたない。しかし、静止した読取り光学系に対して原稿を移送しながら原稿の画像を撮像素子で読取る画像読取りすなわちシートスルーの画像読取では、原稿読取り部のガラスが汚れていると、汚れの像が原稿の移送すなわち副走査の間常に原稿画像とともに撮像素子に投影されるので、読取により得られる画像データに基いてディスプレイ上又は用紙上に再生描画すると、汚れが低レベルの光反射であると再生画像上に副走査方向に伸びる黒筋が現れる。汚れが高レベルの光反射であると白筋が現れる。このような現象は、シートスルーの画像読取を行うファクシミリ装置の受信画像によく現れる。しかし、同様な画像読取りを行う複写機でも同様である。多数の原稿をADF(自動原稿供給装置)で連続的に次々に読取り部に送りこみ通過させるシートスルーの画像読取で、上述の現象が顕著に表れる。ADFを用いる場合でも、ADFでコンタクトガラス板上に原稿を送り込み、原稿に対して光学系を副走査駆動してコンタクトガラス板上の画像を読取る原稿静止の画像読取りの場合には、上述の黒筋や白筋は現れない。
【0003】
一方、シェーディング補正のための白色基準板に汚れがある場合には、汚れが低反射レベルであると白筋が、高反射レベルであると黒筋が現れる。これは原稿静止の画像読取りでも、シートスルーの画像読取でも、シェーディング補正をすると生じる可能性がある。しかし、白色基準板は原稿移送路から分離しているので、原稿の移送にともなって原稿に付着したゴミ(紙粉,消しゴム屑その他)で汚れる可能性は低い。ところがシートスルーの画像読取では、原稿が読取り窓ガラスに触れて通過するので、原稿に付着していたゴミで読取り窓ガラスが汚れる可能性が高い。
【0004】
【特許文献1】特開平11−112800号公報は、原稿を移送しながら原稿の画像を撮像素子で読取る場合の上述の黒筋や白筋の発生を防止するために、汚れが無い白色基準板を予め読取った画像データの主走査方向の平均値ymと、シェーディング補正データを設定するために白色基準板を読取った画像データの主走査方向の平均値ynとの差(ym−yn)を算出し、隣接画素よりも(ym−yn)以上低レベルの画素を異常画素と検出して、異常画素の部位に宛てるシェーディング補正データは隣接画素の画像データに基いて補完する画像処理装置を記載している。
【0005】
【特許文献2】特開2000−196881号公報は、2次元方向で基準白板を読取った画像データの画素配列での立上りと立下りを検索して、立ち上りの底に相当する画素および立下りの底に相当する画素を異常画素と検出し、異常画素の部位に宛てるシェーディング補正データは正常な周辺画素の画像データに基いて補完する画像処理装置を記載している。ある量のゴミ画像を検出した場合には、ゴミを取り除く警告を促すとの記述もある。
【0006】
【特許文献3】特開2002−247352号公報は、原稿を読取る前に、予め読取り部で、原稿読取り台3を構成しているコンタクトガラス上のごみを検出するための検出用の画像を読取り、1ラインの読みとった画像を、欠陥画素か否かを示す2値信号に2値化してラインメモリに保持し、原稿画像の読取時には、ラインメモリのデータを参照して、欠陥画素位置の画像データには周辺画素の平均値を宛てる画像処理装置を記載している。
【0007】
【特許文献4】特開2002−262083号公報は、黒筋,白筋の発生を防止するために、無原稿状態で画像読取りを行って、画像データにエッジ強調処理を施してから欠陥画素か否かを示す2値信号に2値化する異常画素検出を平面的に行い、原稿画像の読取時には、ラインメモリのデータを参照して、欠陥画素位置の画像データには周辺画素の画像データを宛てる画像処理装置を記載している。
【0008】
【特許文献5】特開2002−262086号公報は、白基準部位を読取った画像データの3×3画素ブロックで、中央の注目画素のレベル(画像データ)が低く、しかも隣接画素よりもレベルが低いと注目画素をごみ画素と検出して、ごみ画素には周辺画素の画像データを振り当ててシェーディング補正データを生成する画像処理装置を記載している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、隣接画素とのレベル差が大きい画素を異常画素と検出する態様では、濃度勾配が低いが比較的に広い領域に渡って濃度変化がある異常画素群が検出できない。これを検出するために感度を上げる(濃度勾配の閾値を下げる)と、シェーディング補正によって平準化する濃度ばらつき部分の補正特性を隣接部の濃度レベル対応に変更してしまうことにもなり、シェーディング補正の精度が低下する。また、2次元の画素マトリクスを用いて異常画素を検出する態様では、画像データの格納および異常検出処理が2次元の処理になるので、複雑になる。
【0010】
本発明は、シートスルーの画像読取において、読取り部の汚れを簡易にしかも正確に検出することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
(1)画像を投影するための光学系(232〜237),該光学系が投影する画像を読取る撮像素子(207),読取った画像信号をデジタルデータすなわち画像データに変換する手段(208〜210)、および、前記光学系の主走査方向に広がりがある読取視野(240)を横切る副走査方向に原稿を移送する手段(30)を備える画像読取り装置において、
前記光学系(232〜237)が投影した無画像部分(BP)の前記画像データの中の、主走査方向の所定画素数(Th2)以上の異常濃度の連続を検出する手段(254);を備えることを特徴とする画像読取り装置。
【0012】
なお、理解を容易にするためにカッコ内には、図面に示し後述する実施例の対応又は相当要素もしくは対応事項の記号を、例示として参考までに付記した。以下も同様である。
【0013】
これによれば、異常濃度画素の連続数が所定値以上のときそこを異常画素と検出する。画像データの孤立点除去,地肌除去,フィルタリング,dpi変換などの通常の画像処理により、主走査方向の1画素あるいは数画素以下の孤立画像は消失して黒筋あるいは白筋として現れない。従って、この画素以上に前記所定画素数(Th2)を設定しておくことにより、黒筋あるいは白筋として現れる可能性がある異常画像を簡易かつ正確に検出できる。
【0014】
【発明の実施の形態】
(2)前記無画像部分(BP)とは別異のシェーディング補正用の読取りレベル基準板(239);該読取りレベル基準板(239)を読取った画像データに基いてシェーディング補正データ(Dhi)を設定する手段(254,210);および、該補正データに基いて前記画像データをシェーディング補正する手段(254,210);をさらに備え、前記検出手段(254)は、前記光学系(232〜237)が投影した無画像部分(BP)の前記画像データをシェーディング補正したデータの中の、主走査方向の所定画素数以上の異常濃度の連続を検出する;上記(1)に記載の画像読取り装置。
【0015】
読取りレベル基準板(239)は原稿の移送によっては汚れることは無く、局所的に(ドット状に)汚れる可能性はきわめて低く、読取りレベル基準板(239)を読取った画像データのばらつきは、原稿照明の主走査方向のばらつきと撮像素子(207)の主走査方向に多数が並んだ光電変換セルの光電変換特性のばらつきによる可能性が高く、これらのばらつきをシェーディング補正で補償する。したがって、読取りレベル基準板(239)が清浄である場合には、前記無画像部分(BP)を読取ってシェーディング補正をした画像データは、無画像部分(BP)あるいはそれを読取る透光窓部の汚れを明確に表す。したがって、黒筋あるいは白筋として現れる可能性がある異常画像を、より正確に検出できる。
【0016】
(2a)前記検出手段(232〜237)は、前記無画像部分(BP)の前記画像データの主走査方向の平均値に対して所定以上読取りレベルが低い画素を異常濃度画素として検出し、主走査方向で所定個数以上異常濃度画素が連続すると異常画素ありと検出する;上記(1)又は(2)に記載の画像読取り装置。
【0017】
無画像部分(BP)の例えば主走査1ラインの画像データの平均値の算出は簡易かつ正確に行うことが出来る。例えば、主走査方向で隣りあう2画素(奇数番画素と偶数番画素)の各画像データの最下位ビットを除くビットが表わすデータ(1/2をあらわすデータ)を加算して2画素の平均値を得てバッファメモリに格納し排除した最下位ビットのデータは端数積算レジスタに累算して、1ラインについてこれを終了すると、バッファメモリのライン長の半分に相当する平均値データについて、同様に前後2つのデータの平均値を算出してバッファメモリに格納し排除した最下位ビットのデータはレジスタに累算し、この処理を平均値算出データが1個になるまで繰返して、該1個になると、端数積算レジスタに積算した端数累算値の平均値を算出して該1個の平均値算出データに加算することにより、主走査1ラインの画像データの平均値を簡易に得ることができる。
【0018】
したがって黒筋あるいは白筋として現れる可能性がある異常画像を簡易かつ正確に検出できる。
【0019】
(3)前記光学系(232〜237)の、原稿照明灯(232)および原稿対向ミラー(233)を担持するキャリッジ;該キャリッジを副走査方向に駆動する手段(238);前記キャリッジの副走査方向の移動によって読取り走査される原稿を静止支持するコンタクト透光板(231);および、
画像読取りスタート指示があったときに、前記原稿移送手段(30)に原稿が無い場合には、前記キャリッジを副走査駆動して前記読取りレベル基準板(239)をキャリッジが横切る間に前記設定手段(254,210)を介してシェーディング補正データ(Dhi)を設定し次いで前記コンタクト透光板(231)上の原稿の画像データを前記補正手段(254,210)を介してシェーディング補正し、前記原稿移送手段(30)に原稿があった場合には、前記キャリッジを副走査駆動して前記読取りレベル基準板(239)をキャリッジが横切る間に前記設定手段(254,210)を介してシェーディング補正データ(Dhi)を設定し次いで前記原稿移送手段(30)が移送する原稿を読取る位置(HP)にキャリッジを駆動して原稿移送手段(30)が移送する原稿の画像データを前記補正手段(254,210)を介してシェーディング補正する、読取り制御手段(254);を備える、上記(2)に記載の画像読取り装置。
【0020】
これによれば、画像読取りスタート指示があったときに原稿移送手段(30)に原稿があるか否かによって自動的に、シートスルーの画像読取りと原稿静止の画像読取りの一方が選択され、いずれの選択であってもまずシェーディング補正データ(Dhi)の設定が行われる。そしてシートスルーの画像読取りが選択されているときには、黒筋あるいは白筋として現れる可能性がある異常画像を、より正確に検出できる。
【0021】
(3a)前記読取り制御手段(254)は、前記原稿移送手段(30)に原稿が無い場合には、前記画像読取りスタート指示がある度に前記キャリッジを副走査駆動して前記読取りレベル基準板(239)をキャリッジが横切る間に前記設定手段(254,210)を介してシェーディング補正データ(Dhi)を設定し次いで前記コンタクト透光板(231)上の原稿の画像データを前記補正手段(254,210)を介してシェーディング補正し、前記画像読取りスタート指示があったときに前記原稿移送手段(30)に原稿があった場合には、前記キャリッジを副走査駆動して前記読取りレベル基準板(239)をキャリッジが横切る間に前記設定手段(254,210)を介してシェーディング補正データ(Dhi)を設定し、次いで前記原稿移送手段(30)が移送する原稿を読取る位置にキャリッジを駆動して、原稿移送手段(30)の原稿がなくなるまで、原稿移送手段(30)が移送する各原稿の画像データを前記補正手段(254,210)を介してシェーディング補正する;請求項3に記載の画像読取り装置。
【0022】
これによれば、コンタクト透光板(231)に原稿を載せて画像読取をスタートするときには常に最新のシェーディング補正データに基いたシェーディング補正が行われる。原稿移送手段(30)に原稿束を装填して画像読取をスタートするときには、まず最新のシェーディング補正データが設定され、該原稿束のすべての原稿に対して、原稿画像読取りの直前に無画像部分(BP)の読取りと異常画素の検出すなわち読取り部の汚れ検出が行われ、そして各原稿の読取り画像データに対して同じシェーディング補正データに基いたシエーディング補正が行われる。
【0023】
これにより、シートスルーの画像読取において1つの原稿束の複数の原稿の連続読取りの原稿間で、読取部の汚れ発生が検出できるとともに、1つの原稿束の原稿間ではシェーディング補正データの再設定は無いので、1つの原稿束の連続読取り速度を速く出来る。
【0024】
(4)前記検出手段(232〜237)の前記異常濃度画素の所定数以上の連続を検出した結果を報知する手段(20,PC);を備える、上記(1)乃至(3a)のいずれかに記載の画像読取り装置。これによれば、ユーザはシートスルーの画像読取りの読取部の汚れの可能性を容易に認識できる。
【0025】
(4a)前記検出手段(232〜237)の前記異常濃度画素の所定数以上の連続を検出しても画像読取りは継続する、前記(1)乃至(4)のいずれかに記載の画像読取装置。例えばファクシミリ送信で早急な画像送信を意図する場合、黒筋あるいは白筋を発生する可能性があっても、たいていの場合画像上の情報は認識又は判読できるので、速やかな画像送信が望まれ、画像読取が継続されることにより、速やかな画像送信が可能である。緊急の画像送信を終了してから、シートスルー画像読取部の清掃を行えばよい。
【0026】
(5)上記(1)乃至(4)のいずれかに記載の画像読取り装置;および、該画像読取り装置が原稿を読取って発生したシェーディング補正した画像データを、用紙上に画像を形成するためのプリント用の画像データに変換する画像データ処理手段(ACP);を備える画像処理装置。これによれば、シートスルー画像読取で、読取り部の汚れによる異常画素のありなしを検出した読取画像データを、プリントアウトにより画像を再現するための画像データが得られる。
【0027】
(6)前記プリント用の画像データに基いて用紙上に画像を形成するプリンタ(100);をさらに備える、上記(5)に記載の画像処理装置。これによれば、シートスルー画像読取で、読取り部の汚れによる異常画素のありなしを検出した読取画像のコピーが得られる。
【0028】
(7)所定位置に静止する読み取り光学系によって原稿搬送を行ない搬送させながら原稿画像を光学的に読み取り、読み取った画像データをディジタル的に処理する機能を備えた画像処理装置において、
原稿読み取り前に無画像部分(BP)を読み取り、読み取った画像データから、所定個数異常の濃度異常画素の連続を大きな回路を用いること無く判定し、検出(図8の7)する手段(254,210)を具備する事を特徴とする画像処理装置。これによれば、シートスルーの画像読み取り以前に異常画素の検知処理により、発生源である読み取りガラス部のごみの有無を判定することが出来る。
【0029】
(8)上記(7)の装置において、原稿読み取り前にシェーディング補正を行なうために基準白板(239)を読み取ってから無画像部分(BP)を読み取り、その無画像部分(BP)の画像データに対してシェーディング補正を行なった上で、異常画素を検出(図8の2,7)する手段(254,210)を具備することを特徴とする画像処理装置。これによれば、シートスルーの画像読み取り以前に異常画素の検知処理により、発生源である読み取りガラス部のごみの有無をシェーディング補正を伴うことにより、より高精度に判定することが出来る。
【0030】
(9)上記(7)又は(8)の装置において、異常画素の検出結果を操作画面(20)に表示することにより、異常画素の有無を表示させ、ユーザやカスタムエンジニアに伝える手段(254)を具備することを特徴とする画像処理装置。これによれば、検出した結果を表示パネル上に表示し、ユーザー及びカスタムエンジニアに読み取りガラス部の清掃や調査を促すことが出来る。
【0031】
本発明の他の目的および特徴は、図面を参照した以下の実施例の説明より明らかになろう。
【0032】
【実施例】
図1に、本発明の1実施例の画像読取り装置を装備した複合機能フルカラーデジタル複写機の外観を示す。このフルカラー複写機は、大略で、自動原稿送り装置(ADF)30と、操作ボード20と、カラースキャナ10と、カラープリンタ100と、給紙バンク35の各ユニットで構成されている。ステープラ及び作像された用紙を積載可能なトレイ付きのフィニッシャ34と、両面ドライブユニット33と、大容量給紙トレイ36は、プリンタ100に装着されている。
【0033】
機内のシステムコントローラ630(図2)には、パソコンPCが接続したLAN(Local Area Network)が接続されている。カラープリンタ100のプリント済の用紙は、排紙トレイ108上またはフィニッシャ34に排出される。
【0034】
フィニッシャ34は、スタッカトレイすなわち積載降下トレイ34hsおよびソートトレイ群34stを持ち、積載降下トレイ34hsに用紙(プリント済紙,転写済紙)を排出するスタッカ排紙モードと、ソートトレイ群34stに排紙するソータ排紙モードを持つ。
【0035】
プリンタ100からフィニッシャ34に送り込まれた用紙は、左上方向に搬送されそして上下逆U字型の搬送路を経て、下向きに搬送方向を切換えてから、設定されているモードに応じて、スタッカ排紙モードのときには排出口から積載降下トレイ34hsに排出される。ソータ排紙モードのときには、ソータトレイ群34stの、そのとき排出中の用紙が割り当てられたソータトレイに排出される。
【0036】
ソータ排紙モードが指定されるとフィニッシャ内排紙コントローラは、最下部の重ね待避位置に置いたソートトレイ群34stを、図1上で2点鎖線で示す使用位置に上駆動し、ソータトレイ間の間隔を広げる。ソータ排紙モードでは、1回(一人)の設定枚数の複写又はプリントは、部ソートにソータ排紙モードが設定されているときには、同一原稿(画像)をプリントした各転写紙をソートトレイ群34stの各トレイに仕分け収納する。頁ソートにソータ排紙モードが設定されているときには、各トレイを各頁(画像)に割り当てて、同一頁をプリントした各転写紙を1つのソートトレイに積載する。
【0037】
図2に、図1に示す複写機の画像処理系統のシステム構成を示す。このシステムでは、読取ユニット11,センサボードユニットSBUと画像データ出力I/F(Interface:インターフェイス)12でなるカラー原稿スキャナ12が、画像データ処理装置ACPの画像データインターフェース制御CDIC(以下単にCDICと表記)に接続されている。画像データ処理装置ACPにはまた、カラープリンタ100が接続されている。カラープリンタ100は、画像データ処理装置ACPの画像データ処理器IPP(Image Processing Processor;以下では単にIPPと記述)から、書込みI/F134に記録画像データを受けて、作像ユニット135でプリントアウトする。
【0038】
画像データ処理装置ACP(以下では単にACPと記述)は、パラレルバスPb,メモリアクセス制御IMAC(以下では単にIMACと記述),画像メモリであるメモリモジュール(以下では単にMEMと記述),不揮発メモリであるハードディスク装置HDD(以下では単にHDDと記述),システムコントローラ1,RAM4,不揮発メモリ5,フォントROM6,CDIC,IPP等、を備える。パラレルバスPbには、ファクシミリ制御ユニットFCU(以下単にFCUと記述)を接続している。操作ボード20はシステムコントローラ1に接続している。
【0039】
カラー原稿スキャナ10の、原稿を光学的に読み取る読取ユニット11は、原稿に対するランプ照射の反射光を、センサボードユニットSBU(以下では単にSBUと表記)上の、イメージセンサ207で光電変換してR,G,B画像信号を生成し、A/DコンバータでRGB画像データに変換し、そしてシェーディング補正して、出力I/F12を介してCDICに送出する。
【0040】
CDICは、画像データに関し、原稿スキャナ10(出力I/F12),パラレルバスPb,IPP間のデータ転送、ならびに、プロセスコントローラ131とACPの全体制御を司るシステムコントローラ1との間の通信をおこなう。また、RAM132はプロセスコントローラ131のワークエリアとして使用され、ROM133はプロセスコントローラ131の動作プログラム等を記憶している。
【0041】
メモリアクセス制御IMAC(以下では単にIMACと記述)は、MEMおよびHDDに対する画像データおよび制御データの書き込み/読み出しを制御する。システムコントローラ1は、パラレルバスPbに接続される各構成部の動作を制御する。また、RAM4はシステムコントローラ1のワークエリアとして使用され、不揮発メモリ5はシステムコントローラ1の動作プログラム等を記憶している。
【0042】
操作ボード20は、ACPが行うべき処理を指示する。たとえば、処理の種類(複写、ファクシミリ送信、画像読込、プリント等)および処理の枚数等を入力する。これにより、画像データ制御情報の入力をおこなうことができる。
【0043】
スキャナ10の読取ユニット11より読み取った画像データは、スキャナ10のSBUでシェーディング補正210を施してから、IPPで、スキャナガンマ補正,フィルタ処理などの、読取り歪を補正する画像処理を施してから、MEM又はHDDに蓄積する。MEM又はHDDの画像データをプリントアウトするときには、IPPにおいてRGB信号をYMCK信号に色変換し、プリンタガンマ変換,階調変換,および、ディザ処理もしくは誤差拡散処理などの階調処理などの画質処理をおこなう。画質処理後の画像データはIPPから書込みI/F134に転送される。書込みI/F134は、階調処理された信号に対し、パルス幅とパワー変調によりレーザー制御をおこなう。その後、画像データは作像ユニット135へ送られ、作像ユニット135が転写紙上に再生画像を形成する。
【0044】
IMACは、システムコントローラ1の制御に基づいて、画像データとMEM又はHDDのアクセス制御,LAN上に接続したパソコンPC(以下では単にPCと表記)のプリント用データの展開,MEMおよびHDDの有効活用のための画像データの圧縮/伸張をおこなう。
【0045】
IMACへ送られた画像データは、データ圧縮後、MEM又はHDDに蓄積され、蓄積された画像データは必要に応じて読み出される。読み出された画像データは、伸張され、本来の画像データに戻しIMACからパラレルバスPbを経由してCDICへ戻される。CDICからIPPへの転送後は画質処理をして書込みI/F134に出力し、作像ユニット135において転写紙上に再生画像を形成する。
【0046】
画像データの流れにおいて、パラレルバスPbおよびCDICでのバス制御により、デジタル複合機の機能を実現する。ファクシミリ送信は、読取られた画像データをIPPにて画像処理を実施し、CDICおよびパラレルバスPbを経由してFCUへ転送することによりおこなわれる。FCUは、通信網へのデータ変換をおこない、それを公衆回線PNへファクシミリデータとして送信する。ファクシミリ受信は、公衆回線PNからの回線データをFCUにて画像データへ変換し、パラレルバスPbおよびCDICを経由してIPPへ転送することによりおこなわれる。この場合、特別な画質処理はおこなわず、書込みI/F134から出力し、作像ユニット135において転写紙上に再生画像を形成する。
【0047】
複数ジョブ、たとえば、コピー機能,ファクシミリ送受信機能,プリンタ出力機能が並行に動作する状況において、読取ユニット11,作像ユニット135およびパラレルバスPbの使用権のジョブへの割り振りは、システムコントローラ1およびプロセスコントローラ131において制御する。プロセスコントローラ131は画像データの流れを制御し、システムコントローラ1はシステム全体を制御し、各リソースの起動を管理する。また、デジタル複合機の機能選択は、操作ボード20においておこなわれ、操作ボード20の選択入力によって、コピー機能,ファクシミリ機能等の処理内容を設定する。
【0048】
システムコントローラ1とプロセスコントローラ131は、パラレルバスPb,CDICおよびシリアルバスSbを介して相互に通信をおこなう。具体的には、CDIC内においてパラレルバスPbとシリアルバスSbとのデータ,インターフェースのためのデータフォーマット変換をおこなうことにより、システムコントローラ1とプロセスコントローラ131間の通信を行う。
【0049】
各種バスインターフェース、たとえばパラレルバスI/F 7、シリアルバスI/F 9、ローカルバスI/F 3およびネットワークI/F 8は、IMACに接続されている。コントローラーユニット1は、ACP全体の中での独立性を保つために、複数種類のバス経由で関連ユニットと接続する。
【0050】
システムコントローラ1は、パラレルバスPbを介して他の機能ユニットの制御をおこなう。また、パラレルバスPbは画像データの転送に供される。システムコントローラ1は、IMACに対して、画像データをMEM,HDDに蓄積させるための動作制御指令を発する。この動作制御指令は、IMAC,パラレルバスI/F 7、パラレルバスPbを経由して送られる。
【0051】
この動作制御指令に応答して、画像データはCDICからパラレルバスPbおよびパラレルバスI/F 7を介してIMACに送られる。そして、画像データはIMACの制御によりMEM又はHDDに格納されることになる。
【0052】
一方、ACPのシステムコントローラ1は、PCからのプリンタ機能としての呼び出しの場合、プリンタコントローラとネットワーク制御およびシリアルバス制御として機能する。ネットワークB経由の場合、IMACはネットワークI/F 8を介して、ネットワークB経由のプリント出力要求データあるいは蓄積(保存)要求データを受け取る。ネットワークB経由の要求データ(外来コマンド)はシステムコントローラ1に報知し、それに応答するシステムコントローラ1からのコマンドに従って、IMACは、ネットワークB経由の蓄積データの転送又は受信蓄積を行う。
【0053】
汎用的なシリアルバス接続の場合、IMACはシリアルバスI/F 9経由でプリント出力要求データを受け取る。汎用のシリアルバスI/F 9は複数種類の規格に対応しており、たとえばUSB(Universal Serial Bus)、1284または1394等の規格のインターフェースに対応する。
【0054】
PCからのプリント出力要求データはシステムコントローラ1により画像データに展開される。その展開先はMEM内のエリアである。展開に必要なフォントデータは、ローカルバスI/F 3およびローカルバスRb経由でフォントROM6を参照することにより得られる。ローカルバスRbは、このコントローラ1を不揮発メモリ5およびRAM4と接続する。
【0055】
シリアルバスSbに関しては、PCとの接続のための外部シリアルポート2以外に、ACPの操作部である操作ボード20との転送のためのインターフェースもある。これはプリント展開データではなく、IMAC経由でシステムコントローラ1と通信し、処理手順の受け付け、システム状態の表示等をおこなう。
【0056】
システムコントローラ1と、MEM,HDDおよび各種バスとのデータ送受信は、IMACを経由しておこなわれる。MEMおよびHDDを使用するジョブはACP全体の中で一元管理される。
【0057】
図3に、CDICの機能構成の概要を示す。画像データ入出力制御161は、カラー原稿スキャナ10(SBU)が出力する画像データを受けて、IPPに出力する。IPPは、「スキャナ画像処理」190(図4)をして、CDICの画像データ入力制御162に送りだす。画像データ入力制御162が受けたデータは、パラレルバスPbでの転送効率を高めるためにデータ圧縮部163に於いて、画像データの1次圧縮を行う。圧縮した画像デ−タは、データ変換部164でパラレルデータに変換してパラレルデータI/F165を介してパラレルバスPbへ送出される。パラレルデータバスPbからパラレルデータI/F165を介して入力される画像データは、データ変換部164でシリアル変換される。このデータは、バス転送のために1次圧縮されており、データ伸張部166で伸張される。伸張された画像データは、画像データ出力制御167によってIPPへ転送される。IPPでは、「画質処理」300(図4)によりRGB画像データをYMCK画像データに変換し、プリンタ100の画像出力用の画像データYpMpCpKpに変換してカラープリンタ100に出力する。
【0058】
CDICは、パラレルバスPbで転送するパラレルデータとシリアルバスSbで転送するシリアルデータの変換機能を併せ持つ。システムコントローラ1は、パラレルバスPbにデータを転送し、プロセスコントローラ131は、シリアルバスSbにデータを転送する。2つのコントローラ1,131の通信のために、デ−タ変換部164およびシリアルデ−タI/F169で、パラレル/シリアルデータ変換を行う。シリアルデータI/F168は、IPP用であり、IPPともシリアルデ−タ転送する。
【0059】
図4に、IPPの画像処理機能の概要を示す。IPPは分離生成(画像が文字領域か写真領域かの判定:像域分離)192,地肌除去193,スキャナガンマ変換194,フィルタ195,色補正302,変倍303,画像加工304,プリンタガンマ変換305および階調処理606を行う。IPPは画像処理をおこなうプログラマブルな演算処理手段である。スキャナ10の出力I/F12からCDICに入力された画像データは、CDICを経由してIPPに転送され、IPPにて光学系およびデジタル信号への量子化に伴う信号劣化(スキャナ系の信号劣化)を補正され、再度、CDICへ出力(送信)される。CDICからIPPへ戻される画像データに対して、IPPにおいては、「画質処理」300を行う。「画質処理」300では、色補正302でRGB信号をYMCK信号に色変換し、変倍303,画像加工304,プリンタガンマ変換305および、階調変換,ディザ処理もしくは誤差拡散処理などの階調処理306などをおこなう。
【0060】
図5に、スキャナ10およびそれに装着されたADF 30の、原稿画像読み取り機構を示す。このスキャナ10のコンタクトガラス231上に置かれた原稿は、照明ランプ232により照明され、原稿の反射光(画像光)が第1ミラー233で副走査方向yと平行に反射される。照明ランプ232および第1ミラー233は、図示しない、副走査方向yに定速駆動される第1キャリッジに搭載されている。第1キャリッジと同方向にその1/2の速度で駆動される、図示しない第2キャリッジには、第2および第3ミラー234,235が搭載されており、第1ミラー233が反射した画像光は第2ミラー234で下方向(z)に反射され、そして第3ミラー235で副走査方向yに反射されて、レンズ236により集束され、撮像素子であるイメージセンサ207に照射され、電気信号に変換される。第1および第2キャリッジは、走行体モーター238を駆動源として、y方向に往(原稿走査),復(リタ−ン)駆動される。
【0061】
スキャナ10には、自動原稿供給装置ADF 30が装着されている。ADF30の原稿トレイ241に積載された原稿は、ピックアップローラ242およびレジストローラ対243で搬送ドラム244と押さえローラ245の間に送り込まれて、搬送ドラム244に密着して読み取りガラス240の上を通過し、そして排紙ローラ246,247で、原稿トレイ241の下方の圧板兼用の排紙トレイ248上に排出される。原稿は、シートスルー読取りの読取部である読み取りガラス240を通過する際に、その直下に移動している照明ランプ232により照射され、原稿の反射光は、第1ミラー233以下の光学系を介してイメージセンサ207に照射され光電変換される。
【0062】
ADF30で原稿を移送しながら原稿を読み取るシートスルーの画像読取りの場合、読み取り部のガラス240から入ってくる原稿画像を、第1キャリッジをホームポジションHPに固定して読み取る。この位置がシートスルーの画像読取りの読み取り位置となる。異常画素の検出はこの読み取り位置HPで、搬送されてくる原稿が読み取り位置HPに到達する前に読み取りガラス240を通じて読み取りガラスの上部に有る背板BPを読み取ることにより行なう。背板BPは白色部材若しくは白く塗装したものを使用する。この背板BPを読み取りガラス240を通して読み取ることにより、異常画素の検出処理を原稿搬送前に行なう。その内容は、図8を参照して後述する。
【0063】
なお、背板BPの代りにローラを設けて、又は、背板BPの代りに搬送ドラム244を用いて、その表面は高反射率の白色部材若しくは白く塗装したものにすることができる。しかし、原稿画像の読取り前に実施する異常画素の検出のための無画像部の読取において該ローラ又は搬送ドラム244の反射光レベルを読取るので、反射面に汚れがあるとそこを異常画素部位(黒筋又は白筋の原因となるガラス240の汚れ)と検出(誤検出)するので、クリーニングが必要になる。この点は背板BPを用いる場合でも同様であるが、ローラ又は搬送ドラム244は背板BPよりも汚れ易く、しかも筒状で表面積が広いので、全面を均一に清浄な白に維持するのに手間がかかる。そこで本実施例では、幅が狭い背板BPを用いている。
【0064】
読み取りガラス240と原稿始端の位置決め用のスケール251との間には、基準白板239、ならびに、第1キャリッジを検出する基点センサ249がある。基準白板239は、照明ランプ232の個々の発光強度のばらつき、また主走査方向のばらつきや、イメージセンサ207の画素毎の感度ムラ等が原因で、一様な濃度の原稿を読み取ったにもかかわらず、読み取りデータがばらつく現象を補正(シェーディング補正)するために用意されている。このシェーディング補正は、まず基準白板239を原稿スキャン前に主走査方向数ライン分読み取り、この読み取った白基準データに基いてシェーディング補正データを設定し、原稿をスキャンして得る画像データを該補正データに基いて補正するものである。この内容は図9を参照して後述する。
【0065】
レンズユニット236の直前には、シェーディング調整板237があり、これが、イメージセンサ207の主走査方向(図5紙面に垂直な方向)の中央部と端部での反射光量の差を無くすための光量調整の役割を果たす。これはシェーディング補正において、イメージセンサ207の中央部と端部で基準白板239の反射光量の差が有り過ぎると、多分に歪を含んだ補正になることがあるために、予め、反射光量の差を無くした後に、シェーディング補正を行なうために、イメージセンサ207の入射光量を平準化するものである。シェーディング調整板237の働きを示す例として、図11の(a)が調整板237が無い場合の基準白板239の読取り信号のレベル分布である。この様に中央部のレベルが高く、端部でレベルが落ちる。図11の(b)がシェーディング調整板237を用いた際のレベル分布例である。
【0066】
図6に、スキャナ10の画像読み取りの電気系統の構成を示す。イメージセンサ207から出力される電気信号すなわち、R,G,B各色アナログ画像信号はそれぞれ、信号処理208で増幅され、A/D変換209によってデジタル画像信号すなわち画像データに変換される。この画像データは、シェーディング補正210によって補正処理を受け、IPPに出力される。A/D変換209では、ディジタル変換した画像データを、黒側のオフセット分となる部分を取り除いたものに変換する。この際の黒側のオフセット分には、イメージセンサ207からの出力が、R,G,B各色成分につき2チャンネル構成の場合、チャンネル間の差分を含んでいる。ここでの演算処理は、チャンネル間の誤差成分を除くのが大きな目的である。
【0067】
スキャナ制御回路206は、システムコントローラ630およびプロセスコントローラ131からの指示に従って、ランプ制御回路205,タイミング制御回路211及びモータ制御ユニット260を制御する。ランプ制御回路205は、スキャナ制御回路206からの指示に従って露光ランプ232(232a,232b)のオン/オフを制御するとともに、シェーデイング補正210が指示する照度(光量)に露光ランプ232の明るさ(時系列平均値又は平滑値)を定める。なお、参照符号232a,232bを総括的に参照符号232で示すことがある。
【0068】
モータ制御ユニット260は、スキャナ制御回路206からの指示に従って、副走査駆動モータ238及びADFモータ224を制御する。これらモータは、いずれもステッピングモータであり、駆動系統の軸にはロータリエンコーダ(E)221及び225が連結されている。第1キャリッジの走査位置(y)および駆動量ならびにADF送り原稿の先,後端位置および送り量は、各ロータリエンコーダ221,225が発生する電気パルスを計数して把握される。図6に示す紙センサ223は、ADF30の原稿トレイ241上に原稿があるかを検知するもの,ペーパジャム検知のもの及び原稿サイズ検知のものを含む。
【0069】
タイミング制御回路211は、スキャナ制御回路206,システムコントローラ630(のCPU605)及びプロセスコントローラ131からの指示あるいは制御信号に従って、各種信号を生成する。即ち、画像読み取りを開始すると、イメージセンサ207に対しては、1ライン分のデータをシフトレジスタに転送する転送ゲート信号及びシフトレジスタのデータを1ビットずつ出力するシフトクロックパルスを与え、システムコントローラ630に対しては、画素同期クロックパルスCLK,ライン同期信号LSYNC及び主走査有効期間信号LGATEを出力する。この画素同期クロックパルスCLKは、イメージセンサ207に与えるシフトクロックパルスと略同一の信号である。また、ライン同期信号LSYNCは、プリンタ100の作像ユニット135のビームセンサが出力するライン同期信号MSYNCと対応する信号であるが画像読み取りを行なっていない時は出力が禁止される。主走査有効期間信号LGATEは、イメージセンサ207が出力する画信号が有効と見なせるタイミングで高レベルHになる。
【0070】
スキャナ制御回路206は、プロセスコントローラ131から読み取り開始指示を受けると、タイミング制御回路211を制御してイメージセンサ207の読み取りを開始し、露光ランプ232を点灯し、副走査駆動モータ238(手差しモード)又はADFモータ(ADFモード)を駆動開始する。また、副走査有効期間信号FGATEを高レベルH(原稿領域外)にセットする。この信号FGATEは、手差しモードでは第1キャリッジが原稿始端位置(ホームポジションHPからa+bの位置)に達したときに、原稿領域内を示すLに切り替えられ、ADFモードでは、レジストローラからの原稿(先端)の送り出し搬送量が、ADF30を使用するシートスルー画像読取りモードでの原稿読み取り位置であるHP位置(「レジストローラ243から基点センサ249までの送り量Df」−「HPから基点センサ249までの送り量a」)に達したときに原稿領域内を示すLに切り替えられる。そして、手差しモードでは原稿尾端を第1キャリッジが通過すると、ADFモードでは原稿尾端がHPを通過すると、副走査有効期間信号FGATEは原稿領域外を示すHに戻される。
【0071】
図7に、スキャナ制御回路206の構成を示す。CPU254は、スキャナ制御回路206の入出力制御ならびに副走査駆動モータ238およびADFモータの駆動制御を行う。すなわち、原稿スキャナの操作ボードの入力読込みおよび表示出力を制御するとともに、システムコントローラ630又はプロセスコントローラ131からの原稿読み取りコマンドに応答して、キャリッジ駆動又はADF駆動を行う。ROM255には、スキャナ制御回路206の制御プログラムが書かれている。RAM256は、CPU254で使用する作業用メモリである。252は、原稿スキャナの操作ボードの入力キーおよび入力パネルを操作して使用者がシステム設定の入力を行う入力装置である。表示装置253は、原稿スキャナの操作ボードにあって、使用者にシステムの設定内容,状態を表示するものであり、表示灯および表示パネル(ディスプレイ)を含む。
【0072】
図8に、スキャナ制御回路206のCPU254による、システムコントローラ1が与える画像読取スタート信号(スタート指示)に応答した、原稿読取制御の概要を示す。なお、システムコントローラ1は、操作ボード20又はパソコンPCから画像読取スタートが入力されたときに、これに応答して画像読取スタート信号をCPU254に与える。
【0073】
CPU254は、画像読取スタート信号に応答してホームポジションHPから第1および第2キャリッジの往走査駆動を開始して(ステップ1)、第1ミラー233の読取視野に基準白板239が入るタイミングで、シェーディング補正210に与えるシェーディングゲート信号を”H”から”L”に切換え、基準白板239の中心あたりに読取視野が進んだタイミングで補正ゲート信号を”H”から”L”に切換えて、両信号が”L”の間に、シェーディング補正210により、シェーディング補正データの更新を行う(ステップ2)。なお、以下においては、括弧内には、ステップという語を省略して、ステップ番号のみを記す。シェーディング補正データの更新の内容は、図9を参照して後述する。
【0074】
シェーディング補正データの更新を終えるとCPU254は、シェーディングゲート信号および補正ゲート信号を”H”に戻す。そしてADF30の原稿トレイの原稿の有無を検出するセンサの検出信号を参照して、それが原稿なしであるときには、往走査を継続して、コンタクトガラス231上の原稿画像読取りと、読取った画像データのシェーディング補正を行う(4)。この内容も、図9を参照して後述する。コンタクトガラス231上の原稿の尾端を通過すると、キャリッジの往走査駆動を止めて、続いて反転して復走査(リターン)駆動して、第1キャリッジをHPに位置決めしてキャリッジ駆動を終了する(5)。
【0075】
ADF30の原稿トレイの原稿の有無を検出するセンサの検出信号が原稿ありであった場合には、キャリッジの往駆動を止めて、HPに戻す。すなわち、第1キャリッジ(第1ミラー233)を、シートスルーの画像読取り位置に位置決めする(6)。そして「シートスルー読取位置の汚れ検出」(7)に進んで、主走査1ラインの背板BPの画像読取を行い(71)、読取画像データにシェーディング補正を施して(72)、該1ラインの画像データのライン平均値を算出する(73)。
【0076】
この「ライン平均値を算出」(73)では、背板BPを読み取った主走査幅分の濃度平均値を求める。濃度の分布とその平均例を図12の(a)に示す。図12の(a)は背板BPを読み取った際の比較的濃度変化が無い場合の濃度分布例である。図12の(b)は濃度変化が大きい場合の濃度分布例である。この分布例の中では、矢印で指示しているAの部位の画素とBの部位の画素にレベル低下が認められる。
【0077】
次の「異常画素検出」(74)では、画素単位に求めた主走査幅分の平均値より所定比率低い閾値Th1以下の濃度レベルの画素を異常画素候補として抽出する。次にこの異常画素候補の主走査方向の連続分布の画像数に着目して、異常画素を確定する。異常画素候補群の大きさを検出するための所定の閾値Th2以上に連続分布する異常画素候補群を汚れによる異常画素と確定する。例として図12の(c)を示す。これは主走査1ライン上の一部領域の異常画素候補を示したものである。これによると矢印で示すa1〜a5およびb1〜b7が異常画素候補である。ここで閾値Th2が2であると、a2〜a5の画素群,b2〜b5の画素群およびB6,b7が、異常画素と検出される。異常画素を検出すると、図12の(d)に示す汚れ警告を操作ボード20のディスプレイに表示する(8,10)。パソコンPCからの画像読取りコマンドに応答してADF30給紙による画像読取りの開始であった場合には、この汚れ警告がPCに送信されてPCに接続したディスプレイにも表示される。異常画素を検出しなくなったときには、この汚れ警告表示を消去する(9)。
【0078】
そして、異常画素を検出したか否かに係らず、ADF30が読取りガラス240に送り込んで移送する原稿の画像を読取ってシェーディング補正を施す(11)。一枚の原稿の画像読取を終えると、ADF30の原稿トレイの原稿の有無を検出するセンサの検出信号を再度参照し(12)、原稿ありであると、続いて「シートスルー読取位置の汚れ検出」(7)〜「画像読取り&シェーディング補正」(11)を行う。ADF30の原稿トレイの原稿がなくなるまで、各原稿に関してステップ7〜12の処理を行う。ADF30にあった最後の原稿の「画像読取り&シェーディング補正」(11)を終えると、CPU254はそこで原稿画像読取制御を終える。
【0079】
図9に、原稿スキャナ10のSBUにある電気システムのシェーディング補正(機能)210を示す。このシェーディング補正210がCPU254からの制御信号に従って、図8に示す「シェーディング補正データの更新」(2)ならびに「シェーディング補正」(4,72,11)を行う。
【0080】
図9を参照すると、1次元ライン状のイメージセンサ207により読取られた読取データはサンプルホールド,増幅等の信号処理208を経て、A/D変換209によりデジタルデータすなわち画像データに変換されてシェーディング補正210に入力される。このシェーディング補正210には、読取りデータDiをシェーディング補正するデータ経路(シェーディング補正)およびシェーディング補正データDhiを生成し、出力するデータ経路(シェーディング補正データの更新)とがある。
【0081】
「シェーディング補正データの更新」(2)において、シェーディング補正データDhiは、図10に示すシェーディングゲート信号が”L”区間でFIFOメモリ268に設定する。シェーディングゲート信号が高レベルHから低レベルLに立下ると、シェーディング補正210は、ラインNo.レジスタCnに第1ラインを定め、処理対象画素No.レジスタiに第1画素を定めて、基準白板239の1ライン分の読取りデータをFIFOメモリ268に書込む。
【0082】
シェーディングゲート信号が“L”区間の第1ラインでは、補正263および比較264はスルーで、基準白板239読取りの1ラインの画像データをFIFOメモリ268に記憶する。
【0083】
第2ライン以降では、補正263はスルー、比較264は入力データからゴミなどの影響を受けたデータを排除するため、画素毎に以下のチェックを行う。
【0084】
dDa≧「Dhi−Di」の絶対値
dDaは“ゴミ除去定数”で設定値である。iは1ライン上の画素No.(画素位置)であり、Diが画素No.iの入力画像データ、Dhiは、FIFOメモリ268から読出したi対応位置のメモリデータである。この不等式が不成立の場合は、ゴミなしと見なして比較264はスルーとして平均化267で、FIFOメモリ268の平均値更新をするが、不等式が成立した場合は、ゴミがあるとして、比較264は入力データDiに換えてFIFOメモリ268のデータDhiを出力し、平均化267で、FIFOメモリ268の平均値更新をする。
【0085】
平均化267では、画素毎に下記の演算を行ない、結果をFIFOメモリ257に記憶する;
nは設定値。
【0086】
主走査平均化265は、1ラインの入力画像データDiの主走査第p画素から第q画素までの画像データを単純平均して現ライン平均レベルを算出し、そして重み付け平均処理により、ライン平均レベルレジスタに書き込んでいる前ラインまでのライン平均レベルと現ライン平均レベルとの重み付け平均処理をして、これによって算出した値に、ライン平均レベルレジスタのライン平均レベルを更新する。尚、p,qは設定値である。
【0087】
ライン数カウント269は、図10に示す、シェーディングゲート信号がHからLに立ち下がってからのライン数をカウントし、ライン数が“補正ライン数”Ns(設定値)と等しくなると、図10に示す補正ゲート信号の”L”を出力し、シェーディングゲート信号の“H”で補正ゲート信号の“H”を出力する。ここで補正210は、主走査平均化265が算出している、Nsラインのライン平均レベルをライン基準レベルLLoとしてラッチ266にラッチ(記憶保持)し、ライン平均レベルレジスタLLpにも書込む。
【0088】
すなわち、補正263は、図10に示す補正ゲート信号のH区間は入力画像データDiをスルーで出力するが、補正ゲート信号のL区間では補正ゲート信号のLの第1ラインでは、主走査平均化265からの前ラインのライン平均レベルをライン基準レベルLLoとしてラッチし、入力データDiはスルーで出力する。
【0089】
補正ゲート信号のLの第1ライン以降では、主走査平均化265は、1ラインのライン平均レベルを算出するごとに、ライン平均レベルレジスタのデータを、算出した1ライン分のライン平均レベルに書き換える。従って、補正ゲート信号のLの第2ライン以降では、主走査平均化265が保持するライン平均レベルは、現在入力中の画像データのラインの1つ前の1ラインのライン平均レベルである。
【0090】
補正ゲート信号のLの第2ライン以降では、下記の演算のように主走査平均化265からの前ラインのライン平均レベルLLp(主走査平均化265の算出値LLpを保持するライン平均レベルレジスタLLpのデータLLp)とライン基準レベルLLo(ラッチ266の保持データLLo)から補正係数(LLo/LLp)を求め、入力画像データDiを補正する;
補正係数=ライン基準レベルLLo/ライン平均レベルLLp
補正したデータ=入力画像データDi×補正係数。
【0091】
このように補正したデータに基づいて画像データのライン間平均値(ライン上同一位置画素の画像データの、Nhライン分の平均値)を平均化267で算出してFIFOメモリ268に書込む。ただし、ゴミありと判定した入力画像データは、平均値算出からは除外する。ライン数カウント269は、補正ゲート信号がHからLに立下がってからのライン数をカウントし、ライン数が“平均化ライン数”Nh(設定値)と等しくなると、シェーディング補正データの更新を終了する。
【0092】
上記の演算を行うことにより、フレアー光の影響などにより基準白板読取りレベルが副走査位置により変化が生じても、補正ゲート信号の“L”区間の基準白板読取りレベルを同一レベルとすることができ、良好な参照データすなわちシェーディング補正データがFIFOメモリ268に設定される。
【0093】
原稿読取りゲート信号のL区間が原稿読取り期間であり、ここで「シェーディング補正」を行う。「シェーディング補正」(4,72,11)においては、図9において読取りデータ経路側からは読取データDiが、FIFOメモリ268からは画素毎のシェーディング補正のための参照データDhiが、ROM269に入力されて、このROM269に予め格納されているシェーディング補正演算済のデータがルックアップテーブル方式により読出され、Di,Dhiに応じたシェーディング補正した画像データDoutが出力される。
【0094】
すなわち、原稿画像読取りの区間では、シェーディング補正210は、原稿画像データDiと同一画素位置の参照データDhiをFIFOメモリ268から読み出して、画像データDiおよび参照データDhiをシェーディング補正ROM269に与える。該ROM269が、参照データDhiに基づいて入力画像データDiをシェーディング補正した画像データDout、を出力する。なお、この実施例のシェーディング補正の補正演算の骨子は、
Dout=Do・Di/Dhi,
Doは基準白板239の基準(白)濃度値,
とするものであり、シェーディング補正ROM269は、Di,Dhiがとり得る各値について上記式で算出したDout値を、Di,Dhiをアドレスとして格納したものであるので、上述のように、原稿読取り区間の入力画像データDiと、それと同一画素位置の参照データDhiを同時にシェーディング補正ROM269に与えることにより、入力画像データDiを参照データDhiに基づいてシェーディング補正した画像データDout、がROM269から直ちに得られる。
【0095】
【発明の効果】
以上のように、異常濃度画素の連続数が所定値以上のときそこを異常画素と検出するので、黒筋あるいは白筋として現れる可能性がある異常画像を簡易かつ正確に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施例の画像読取り装置を装備した複合機能がある複写機の外観を示す正面図である。
【図2】図1に示す複合機能フルカラー複写機の画像処理システムの概要を示すブロック図である。
【図3】図2に示す画像データインターフェース制御CDICの構成の概要を示すブロック図である。
【図4】図2に示す画像データ処理器IPPの機能構成を模式的に示すブロック図である。
【図5】図1に示す原稿スキャナ10の読み取り機構の概要を示す拡大縦断面図である。
【図6】図1に示す原稿スキャナ10の画像読み取り電気回路系の構成を示すブロック図である。
【図7】図6に示すスキャナ制御回路206の構成を示すブロック図である。
【図8】図7に示すCPU254の、画像読取制御の概要を示すフローチャートである。
【図9】図6に示すシェーディング補正210の機能構成を示すブロック図である。
【図10】図5に示すスキャナ10の、原稿読取走査の間に発生するタイミング信号のレベル変化を示すタイムチャートである。
【図11】図5に示すイメージセンサ207が発生するビデオ信号の主走査方向のレベル分布を示すグラフであり、(a)はシェーデイング調整板237の装着が無いときのものを、(b)はシェーデイング調整板237を装着しているときのものを示す。
【図12】(a)および(b)は、図5に示す背板BPの画像読取レベルのを主走査方向分布を示すグラフであり、(a)はガラス板240および背板BPともに汚れが無い場合を、(b)はガラス板240又は背板BPに汚れがある場合を示す。(c)は、主走査方向の、汚れがある画素分布を示すブロック図である。(d)は、汚れを検出したときに、画像読取を指示した操作ボード20又はパソコンPCに表示する警告メッセージを示す平面図である。
【符号の説明】
10:カラー原稿スキャナ 20:操作ボード
30:自動原稿供給装置 34:フィニッシャ
34hs:積載降下トレイ 34ud:昇降台
34st:ソートトレイ群
100:カラープリンタ PC:パソコン
PBX:交換器 PN:通信回線
ACP:画像データ処理装置
CDIC:画像データインターフェース制御
IMAC:画像メモリアクセス制御
IPP:画像データ処理器
221,225:ロータリエンコーダ
224:ステッピングモータ
231:原稿台ガラス 232:照明ランプ
233:第1ミラー 234:第2ミラー
235:第3ミラー 236:レンズ
207:イメージセンサ 238:ステッピングモータ
239:基準白板 240:ガラス
241:原稿トレイ 242:ピックアップローラ
243:レジストローラ対 244:搬送ドラム
245:押さえローラ 246,247:排紙ローラ
248:排紙トレイ兼用の圧板
249:基点センサ 250:軸
251:スケール 260:モータ制御ユニット
Claims (6)
- 画像を投影するための光学系,該光学系が投影する画像を読取る撮像素子,読取った画像信号をデジタルデータすなわち画像データに変換する手段、および、前記光学系の主走査方向に広がりがある読取視野を横切る副走査方向に原稿を移送する手段を備える画像読取り装置において、
前記光学系が投影した無画像部分の前記画像データの中の、主走査方向の所定画素数以上の異常濃度の連続を検出する手段;を備えることを特徴とする画像読取り装置。 - 前記無画像部とは別異のシェーディング補正用の読取りレベル基準板;該読取りレベル基準板を読取った画像データに基いてシェーディング補正データを設定する手段;および、該補正データに基いて前記画像データをシェーディング補正する手段;をさらに備え、前記検出手段は、前記光学系が投影した前記無画像部分の画像データをシェーディング補正したデータの中の、主走査方向の所定画素数以上の異常濃度の連続を検出する;請求項1に記載の画像読取り装置。
- 前記光学系の、原稿照明灯および原稿対向ミラーを担持するキャリッジ;該キャリッジを副走査方向に駆動する手段;前記キャリッジの副走査方向の移動によって読取り走査される原稿を静止支持するコンタクト透光板;および、
画像読取りスタート指示があったときに、前記原稿移送手段に原稿が無い場合には、前記キャリッジを副走査駆動して前記読取りレベル基準板をキャリッジが横切る間に前記設定手段を介してシェーディング補正データを設定し次いで前記コンタクト透光板上の原稿の画像データを前記補正手段を介してシェーディング補正し、前記原稿移送手段に原稿があった場合には、前記キャリッジを副走査駆動して前記読取りレベル基準板をキャリッジが横切る間に前記設定手段を介してシェーディング補正データを設定し次いで前記原稿移送手段が移送する原稿を読取る位置にキャリッジを駆動して原稿移送手段が移送する原稿の画像データを前記補正手段を介してシェーディング補正する、読取り制御手段;を備える、請求項2に記載の画像読取り装置。 - 前記検出手段の前記異常濃度画素の所定数以上の連続を検出した結果を報知する手段;を備える、請求項1乃至3のいずれかに記載の画像読取り装置。
- 請求項1乃至4のいずれかに記載の画像読取り装置;および、該画像読取り装置が原稿を読取って発生したシェーディング補正した画像データを、用紙上に画像を形成するためのプリント用の画像データに変換する画像データ処理手段;を備える画像処理装置。
- 前記プリント用の画像データに基いて用紙上に画像を形成するプリンタ;をさらに備える、請求項5に記載の画像処理装置。
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