以下、実施形態について図面を参照して説明する。
図6は、実施形態に係るデジタル複写機の画像読取装置1の概略構成の一例を示す断面図である。また、図7は、実施形態に係るデジタル複写機の内部構成の一例を示すブロック図である。
図6、図7に示すように、デジタル複写機41は、画像読取装置1を構成する画像読取部1a、CPU51、画像処理部64、画像処理部54、画像形成部47、通信インターフェース部(I/F部)57等を備えている。
CPU51は、ページメモリ55の画像データを画像処理部54で処理するように制御することができる。また、通信インターフェース部(I/F部)57は、PC等の外部装置から送信される画像データを受信し、CPU51は、受信した画像データをページメモリ55に対して書き込むように制御することができる。また、CPU51は、ページメモリ55のデータをI/F部57を介して、PC等の外部装置へ送信するように制御することもできる。例えば、CPU61及び画像処理部64等が、後述する解像度変換処理、異常検出処理、及び画像補正処理を実行する。
画像読取装置1は、例えば、CCDセンサ19(ハイブリッド4ラインセンサ)を用いて、低解像度のカラー信号と高解像度のモノクロ信号を同時に読み取る。つまり、画像読取装置1は、解像度(低解像度)に応じた画素単位でライン毎にカラー信号と、解像度(高解像度)に応じた画素単位でライン毎にモノクロ信号とを出力する。
図6は、画像読取装置1の構成を示す断面図である。図6に示す画像読取装置1は、画像読取装置本体(画像読取部)1aと自動原稿送り装置(ADF)2により構成されている。
まず、画像読取装置本体(画像読取部)1aの構成について説明する。
上記画像読取装置本体1aは、図6に示すように、光源11、リフレクタ12、第1ミラー13、第2ミラー14、第3ミラー15、第1キャリッジ16、第2キャリッジ17、集光レンズ18、CCDセンサ(ハイブリッド4ラインセンサ)19、CCD基板20、スキャナ制御基板21、原稿台ガラス22、および白基準板23などにより構成されている。CCDセンサ19は、低解像度のカラー信号と高解像度のモノクロ信号を同時に読み取る。つまり、画像読取装置1は、解像度(低解像度)に応じた画素単位でライン毎にカラー信号と、解像度(高解像度)に応じた画素単位でライン毎にカラー信号とを出力する。
上記光源11は、原稿Orgに照射する光を発光するものである。上記リフレクタ12は、上記光源11から発光される光を原稿Orgに対して均一に照射する。つまり、上記リフレクタ12は、原稿Orgの読取位置における配光特性を調整するものである。上記第1ミラー13は、原稿Orgからの反射光を受ける。上記第1ミラー13は、原稿Orgからの反射光を上記第2ミラー14へ導くように設置されている。
上記第2ミラー14は、上記第1ミラー13からの反射光を受ける。上記第2ミラー14は、上記第1ミラー13からの反射光を第3ミラーへ導くように設置されている。上記第3ミラー15は、上記第2ミラー14からの反射光を受ける。上記第3ミラー15は、上記第2ミラー14からの反射光を集光レンズ18へ導くように設置されている。上記集光レンズ18は、上記第3ミラーからの反射光を集光する。上記集光レンズ18は、上記第3ミラーからの反射光を集光して上記CCDセンサ19の結像面(読取面)に結像するように設置されている。
上記CCDセンサ19は、上記CCD基板20に実装されている。上記CCDセンサ19は、上記集光レンズ18により結像された光エネルギーを電荷に変換する光電変換を行う。これにより、上記CCDセンサ19は、上記集光レンズ18により結像された画像を電気信号に変換する。上記CCD基板20は、上記CCDセンサ19が光電変換した電気信号をスキャナ制御基板21に出力する。
上記原稿台ガラス22は、原稿Orgを載置する原稿載置台である。上記白基準板23は、白色の部材で構成される。上記白基準板23は、原稿の読取画像を補正(シェーディング補正)するための白基準となるものである。
また、上記光源11、上記リフレクタ12及び上記第1ミラー13は、上記第1キャリッジ16に搭載される。上記第2ミラー14及び上記第3ミラー15は、上記第2キャリッジ17に搭載される。上記第1キャリッジ16は、図示しない駆動手段により左右方向に移動するように構成されている。上記第2のキャリッジ17は、上記第1キャリッジ16と同じ方向に1/2の速度で従動するように構成されている。これにより、上記第1キャリッジ16が移動しても、原稿面からCCDセンサ19の結像面へ導かれる光の光路長が変化しないようになっている。
つまり、上記第1キャリッジ16に搭載されている第1ミラー13、上記第2キャリッジ17に搭載されている第2ミラー14および第2キャリッジに搭載されている第3ミラー15が構成する光学系は、原稿面からCCDセンサ19の結像面までの光路長が常に一定になるように構成されている。
例えば、原稿台ガラス22上に載置された原稿の画像を読み取る場合、上記第1キャリッジ16は、図6の左から右の方向(副走査方向)へ移動する。上記第1キャリッジ16の副走査方向への移動に伴って、原稿Orgに対する読取位置(主走査方向の1ライン分)Pも左から右方向(副走査方向)へ移動する。読取位置が副走査方向に移動することにより、上記CCDセンサ19の結像面には、原稿Orgの読取位置の画像(主走査方向の1ライン分の画像)が順次結像される。これにより、上記CCDセンサ19は、原稿全体の画像を画像情報に変換する。
また、上記CCDセンサ19の結像面には、複数のフォトダイオードが1次元に配列されている。これらの1次元に配列された複数のフォトダイオードによって、上記CCDセンサ19は、主走査方向の1ライン分の画像を読み取るようになっている。
次に、自動原稿送り装置(ADF)2の構成について説明する。
上記自動原稿送り装置(ADF)2は、原稿トレイ31、ピックアップローラ32、レジストローラ対33、搬送ドラム34、搬送ローラ35、ジャンプ台36、原稿排紙部37などにより構成されている。
上記原稿トレイ31は、読取対象の原稿Orgが積載されるトレイである。上記ピックアップローラ32は、原稿トレイ31に積載されている原稿Orgを1つずつピックアップし、上記レジストローラ対33へ供給する。上記レジストローラ対33は、上記ピックアップローラ32によりピックアップされた原稿Orgを搬送ドラム34の方へ搬送する。上記レジストローラ対33は、原稿Orgの傾きを補正し、かつ、原稿Orgの重送を防止しつつ、原稿Orgを搬送する。
上記搬送ドラム34と上記搬送ローラ35とは、上記レジストローラ対33から搬送される原稿Orgを搬送する。また、上記搬送ドラム34は、読取位置Pにおいて、原稿Orgの読取面を原稿台ガラスの面に押さえつけて搬送するようになっている。上記ジャンプ台36は、上記搬送ドラム34と搬送ローラ35とにより搬送される原稿Orgを上記原稿排紙部37へ導く部材である。上記原稿排紙部37は、排紙する原稿Orgを積載する。
次に、上記のような画像読取装置を具備したデジタル複写機41と、デジタル複写機41を含むシステムの構成例について説明する。
図7は、上記画像読取装置本体(画像読取部)1a内の制御系統の構成例、上記デジタル複写機41内の構成例、および、上記デジタル複写機41を含むネットワークシステムの構成例を示すブロック図である。
図7に示すように、上記デジタル複写機41は、ネットワーク42を介してインターネットサーバ43に接続されている。また、上記デジタル複写機41は、システム制御部45、コントロールパネル46、画像形成部47、画像読取部1a、および自動原稿送り装置2などから構成されている。
上記デジタル複写機41は、上記ネットワーク42に接続されている。上記ネットワーク42は、例えば、ローカルエリアネットワークである。上記インターネットサーバ43は、上記ネットワーク42に接続された機器からインターネットなどの他のネットワークに接続するためのサーバ装置である。上記インターネットサーバ43は、例えば、当該デジタル複写機41のメンテナンス、あるいは、当該デジタル複写機41に係るサービスを提供するセンタ(図示しない)で運営される。
例えば、当該デジタル複写機41に不具合が生じた場合、上記インターネットサーバ43には、デジタル複写機41から不具合が発生した旨が通知される。上記インターネットサーバ43に不具合が通知されると、当該デジタル複写機41に対するサービスを提供するセンタでは、メンテナンス等の専門知識を有する人物(ここでは、サービスマンと称する)を派遣する。これにより、上記サービスマンは、当該デジタル複写機41のメンテナンスを実施するようなサービスシステムを実現している。
上記システム制御部45は、デジタル複写機41全体の制御を司るものである。上記システム制御部45は、CPU51、ROM52、RAM53、画像処理部54、ページメモリ55、ハードディスクドライブ(HDD)56、通信インターフェース部(I/F部)57などを有している。
上記CPU51は、システム制御部45全体の制御を司るものである。上記ROM52は、不揮発性のメモリである。上記ROM52には、例えば、制御プログラムや制御データが記憶される。上記RAM53は揮発性のメモリで構成される。上記RAM53には、例えば、種々のパラメータや作業用のデータなどが記憶される。上記画像処理部54は、画像データに対して画像処理を行うものである。上記通信インターフェース57は、上記ネットワーク42を介して外部機器とのデータ通信を行うインターフェースである。
上記コントロールパネル46は、種々の操作指示が入力されるユーザインターフェースである。上記コントロールパネル46は、例えば、タッチパネル内蔵の液晶表示装置、および、テンキーなどのハードキーなどにより構成される。上記画像形成部47は、上記システム制御部45から供給される画像データに応じた画像を被画像形成媒体に形成するプリンタである。
次に、上記のように構成されるデジタル複写機の動作について概略的に説明する。
まず、ユーザが上記コントロールパネル46にてコピーの指示を入力したものとする。上記コントロールパネル46からのコピー指示を受信すると、上記システム制御部45のCPU51は、上記画像読取装置1に原稿画像の読取指示を出力する。上記画像読取装置1では、上記システム制御部45からの原稿画像の読取指示に応じて原稿画像の読取処理を行う。この原稿画像の読取処理によって読み取った原稿の画像データは、上記画像読取装置1から上記システム制御部45へ供給される。
上記システム制御部45では、上記画像処理部54によって、上記画像読取装置1から供給される画像データのフォーマットを上記画像形成部47が画像形成処理を行うためのフォーマット(画像形成用のフォーマット)に変換する。上記画像読取装置1にて読み取った原稿の画像データのフォーマットを画像形成用のフォーマットに変換すると、上記システム制御部45は、当該画像データを所定のタイミングで上記画像形成部47に出力する。上記画像形成部47では、上記システム制御部45から供給された画像データに応じた画像を被画像形成媒体に形成する。例えば、上記画像形成部47では、電子写真方式により用紙上に画像を形成する。
また、ユーザが上記コントロールパネル46にて原稿画像のスキャンと原稿の画像データの転送とを指示入力したものとする。この場合、上記システム制御部45のCPU51は、上記画像読取装置1に原稿画像の読取指示を出力する。上記画像読取装置1では、上記システム制御部45からの原稿画像の読取指示に応じて原稿画像の読取処理を行う。この原稿画像の読取処理によって読み取った原稿の画像データは、上記画像読取装置1から上記システム制御部45へ供給される。
上記システム制御部45のCPU51では、上記画像読取装置1が読み取った画像データを受信し、一時的にHDD等に格納する。この際、上記CPU51は、上記画像処理部54にて当該画像データを所望のフォーマットに変換する。上記画像読取装置1が読み取った画像データをHDDに格納すると、上記CPU51は、上記通信インターフェース57により上記ネットワーク42を介して画像データを所望のクライアントPC(図示しない)へ転送する。
また、上記デジタル複写機41は、上記ネットワーク42に接続されているクライアントPC(図示しない)からの画像データをプリントする機能(ネットワークプリンタ機能)を有している。例えば、上記システム制御部45が上記通信インターフェース57により上記ネットワーク42に接続されているクライアントPC(図示しない)からプリント出力用の信号(プリント要求とプリント出力用の画像データ)を受信したものとする。この場合、上記システム制御部45では、クライアントPCから受信したプリント出力用の画像データをHDD等に一時的に格納する。この際、上記システム制御部45では、受信した画像データのフォーマットを上記画像形成部47が画像形成処理を行うためのフォーマット(画像形成用のフォーマット)に変換する。さらに、上記システム制御部45は、上記画像形成用のフォーマットに変換した画像データを所定のタイミングで上記画像形成部47に出力する。上記画像形成部47では、上記システム制御部45から供給された画像データに応じた画像を被画像形成媒体に形成する。
また、上記システム制御部45は、ネットワーク42と外部ネットワークとしてのインターネットとを経由して外部装置とのデータ通信を行う機能も有している。たとえば、システム制御部45は、ネットワーク42及びインターネットを介して上記外部装置へ画像データを送信する機能を有している。また、上記システム制御部45は、当該デジタル複写機41の現在の状態を示す情報などをインターネット上の外部装置へ送信する機能も有している。
次に、上記画像読取部1aの制御系統の構成について説明する。
上記画像読取装置の制御系統は、例えば、上記画像読取装置本体(画像読取部)1aの制御基板21上に設けられる。上記画像読取部1aの制御基板21上には、図7に示すように、CPU61、RAM62、ROM63、画像処理部64、駆動制御部66、露光制御部67などが設けられている。
上記CPU61は、画像読取部1a全体の制御を司るものである。上記RAM62には、揮発性メモリなどにより構成される。上記ROM63は、不揮発性メモリで構成される。上記ROM63は、上記CPU61により実行される制御プログラムや制御データなどが記憶されている。例えば、上記ROM63には、黒基準の読取位置、白基準の読取位置、ADF2により搬送される原稿の読取位置などに対応する上記第1キャリッジ16の位置を示す座標値などが記憶されている。
上記画像処理部64は、上記CCDセンサ19からの出力信号(画像データ)を処理するものである。上記画像処理部64では、例えば、アナログ/デジタル変換処理、シェーディング補正処理、画像補正処理などの処理を行う。上記画像処理部64内の構成については、後で詳細に説明する。上記駆動制御部66は、画像読取装置本体1a内の第1キャリッジ16を駆動させる駆動モータ68の駆動制御を行うものである。上記露光制御部67は、上記光源11の点灯制御を行うものである。
次に、上記自動原稿送り装置2を用いた原稿画像の読取動作について説明する。
図8は、白基準信号を読み取る際の画像読取装置の一例を示す図である。図9は、ADF2により搬送される原稿の画像の読取中における画像読取装置の一例を示す図である。図10は、原稿画像の読取後の画像読取装置の一例を示す図である。
まず、ADF2を用いて原稿画像の読取処理を行う場合、画像読取装置は、黒基準信号の読取処理、白基準信号の読取処理、原稿画像の読取処理を順に行う。黒基準信号の読取処理(黒基準読取処理)は、光源11を消灯状態にして黒基準としての画像を読み取る。上記白基準信号の読取処理は、光源11を点灯して白基準板23の画像を読み取る。また、原稿画像の読取処理は、上記ADF2により搬送される原稿画像を所定の読取位置P1にて読み取る。
すなわち、上記CPU61は、黒基準信号の読取処理(黒基準読取処理)、白基準信号の読取処理(白基準読取処理)、原稿画像の読取処理(原稿読取処理)を順に行う。
まず、黒基準信号の読取処理として、上記CPU61は、上記露光制御部67により光源11を消灯状態とし、上記駆動制御部66により駆動モータ68を駆動させて上記第1キャリッジ16を図6に示す左端(白基準板23よりも左側)に移動させる。
上記第1キャリッジ16を左端へ移動させると、上記CPU61は、上記光源11を消灯状態にしたまま、上記駆動制御部66により上記第1キャリッジ16を図6の左端から右側(副走査方向)へ数ライン分移動させる。この間、上記CCDセンサ19は、黒基準としての信号を出力する。つまり、上記CCDセンサ19は、光源11を消灯した状態の数ライン分の画像を黒基準画像として読み取る。また、上記画像処理部64では、上記CCDセンサ19からの数ライン分の出力信号(黒基準画像)における各画素ごとの平均値を黒基準信号とする。
次に、上記CPU61は、白基準信号の読取処理を行う。上記白基準読取処理として、上記CPU61は、上記露光制御部67により光源11を点灯状態とし、上記駆動制御部66により駆動モータ68を駆動させて上記第1キャリッジ16を白基準の読取開始位置に移動させる。図8に示す読取位置P0は、白基準板23に対する第1キャリッジ16の読取位置を示している。
上記第1キャリッジ16を白基準の読取開始位置へ移動させると、上記CPU61は、上記光源11を点灯状態にしたまま、上記駆動制御部66により上記第1キャリッジ16を右側(副走査方向)へ数ライン分移動させる。この間、上記CCDセンサ19は、白基準としての信号を出力する。つまり、上記CCDセンサ19は、光源11を点灯した状態で読み取った白基準板23の数ライン分の画像を白基準画像として読み取る。また、上記画像処理部64では、上記CCDセンサ19からの数ライン分の出力信号(白基準画像)における各画素ごとの平均値を白基準信号とする。
次に、上記CPU61は、原稿画像の読取処理を行う。上記原稿読取処理として、上記CPU61は、上記露光制御部67により光源11を点灯状態としたまま、上記駆動制御部66により駆動モータ68を駆動させて上記第1キャリッジ16を原稿の読取位置P1に移動させる。図9及び図10に示す読取位置P1は、上記ADF2により搬送される原稿に対する読取位置を示している。
一方、上記CPU61は、上記ADF2に対して原稿の搬送開始を指示する。上記ADF2では、上記CPU61からの指示に応じて原稿トレイ31上の原稿Orgの搬送を開始する。上記原稿トレイ31上の原稿Orgは、ピックアップローラ32により1枚ずつピックアップされる。上記ピックアップローラ32によりピックアップされた原稿Orgの先端は、レジストローラ対33へ搬送される。上記レジストローラ対33の手前には、レジストローラ対33の手前に原稿が到達したことを検知するセンサ(図示しない)が設置されている。
このセンサによりレジストローラ対33の手前に到達したことが検知された原稿Orgは、上記CPU61から指示されるタイミングに応じて上記レジストローラ対33により後段へ搬送される。上記レジストローラ対33の後段では、搬送ドラム34及び搬送ローラ35により原稿Orgが搬送される。上記搬送ドラム34及び搬送ローラ35により搬送される原稿Orgは、図9に示すように、原稿の読取位置P1を通過し、上記原稿排紙部37へ搬送される。また、上記原稿読取位置P1を通過した原稿Orgは、図10に示すように、上記ジャンプ台36により上記原稿排紙部37へ誘導される。
また、上記原稿の読取位置P1では、図9に示すように、原稿台ガラス22を通して、上記光源11からの光が原稿に照射され、その反射光が第1ミラー13へ入射する。上記第1ミラー13に入射した光(原稿からの反射光)は、上記第2ミラー、第3ミラー、集光レンズ等の光学系を介してCCDセンサ19へ入射される。すなわち、上記ADF2によって搬送される原稿Orgは、上記原稿読取位置P1において、順次、主走査方向の画像が読み取られる。また、上記CCDセンサ19にて光電変換された画像情報(CCDセンサ19からの出力信号)は、上記画像処理部64により上記黒基準信号及び白基準信号を用いて補正される。
次に、デジタル複写機41(画像読取装置1)による解像度変換処理、異常検出処理、及び画像補正処理等の概要について説明する。
デジタル複写機41(画像読取装置1)は、低解像度のカラー信号(RGB信号)と高解像度のモノクロ信号(K信号)を用いて解像度変換処理を実行し、高解像度のカラー信号を得ることができる。つまり、画像読取装置1(画像処理部64等)は、画像読取部1a(CCDセンサ19)により取得された低解像度のカラー信号(RGB信号)と高解像度のモノクロ信号(K信号)に基づき解像度変換処理を実行し、高解像度のカラー信号を取得することができる。例えば、画像処理部64等は、カラー信号を用いて色差信号を算出し、RGB→YIQ変換により色情報を算出するなどの各種処理を実行し、輝度信号をモノクロ信号により置き換えて上記解像度変換処理を実行する。
また、デジタル複写機41(画像読取装置1)は、上記解像度変換処理を実行する際に、自動原稿送り装置2の読取面(原稿台ガラス22)などに付着したゴミ、反射ミラー(例えば第1ミラー13)に付着したゴミ、及びCCDセンサ19の読取面に付着したゴミ等の異物の影響(異常)を検出することができる。画像読取装置1(CPU61等)は、低解像度のカラー信号と高解像度のモノクロ信号を用いて異常を検出することができる。例えば、CPU61等は、CCDセンサ19から出力される異なる色信号(画像読取により取得された画像データを構成する異なる色信号)について、対応する位置関係の異なる色信号を比較し、色信号比較結果に基づき異常を検出する。つまり、CPU61等は、CCDセンサ19から出力される第1の色信号(R信号)、第2の色信号(G信号)、第3の色信号(B信号)、及び第4の色信号(K信号)について、対応する位置関係の第1、第2、第3、及び第4の色信号を比較し、色信号比較結果に基づき異常を検出する。異常検出処理については、後に詳しく説明する。
ゴミ等の異物の影響による画質劣化は、スジ状のノイズとして現れる。画像読取により取得される画像データを構成する画素の単位で上記異常を検出しようとすると、異物以外の影響によるノイズを異物の影響によるノイズとして誤検知する可能性がある。本実施形態の画像読取装置1は、各原稿走査方向に対して画像データを加算し、各原稿走査方向の加算画像データを比較し、比較結果に基づき異物の影響による異常を検出する。これにより、上記誤検知を低減することができる。
また、本実施形態の画像読取装置1は、例えば、各原稿走査方向の加算画像データをRAM62等のメモリに記憶する。例えば、画像読取装置1は、メモリ使用量を低減するために、主走査の画素数より小さい画素数の単位で、各原稿走査方向に対して画像データを加算し、各原稿走査方向の加算画像データを比較することもできる。
さらに、本実施形態の画像読取装置1は、画像補正処理の単位に対応する画素数の単位で、各原稿走査方向に対して画像データを加算し、各原稿走査方向の加算画像データを比較することもできる。
デジタル複写機41(画像読取装置1)は、上記異常検出結果に基づき画像を補正し、異物の影響による画質劣化を低減することができる。つまり、画像処理部64等は、異常検出結果に基づき特定される画質劣化部分(画像データ中の画質劣化部分)を補正する。これにより、画質の改善を図ることができる。
次に、デジタル複写機41(画像読取装置1)による解像度変換処理、異常検出処理、及び画像補正処理等の詳細について説明する。
例えば、R信号、G信号、B信号の解像度を300dpi、K信号の解像度を600dpiと仮定する。図1は、R信号、G信号、B信号が300dpi、K信号が600dpiの場合のセンサ読取の一例を示す図である。
K信号の解像度がR信号、G信号、B信号の2倍である為、同範囲の画像を読み取った場合、読取範囲は図1に示すとおりとなる。デジタル複写機41(画像読取装置1)は、例えば、図1に示すR信号、G信号、B信号、K信号を用いて異物検出処理、異物による画質劣化補正処理、解像度変換処理を行う。
図2は、デジタル複写機41(画像読取装置1)による解像度変換処理等の一例を示すフローチャートである。
画像読取装置1(画像処理部64)は、K信号の解像度をR信号、G信号、B信号と同等の解像度へ変換する(ACT1)。次に、画像読取装置1(画像処理部64)は、RGBK信号それぞれにおいて、キャリッジ走査方向(読取走査方向)に画像データ(R信号、G信号、B信号、K信号)を加算する(ACT2)。図3は、ACT1、2を説明するための概念図である。
画像読取装置1(CPU61)は、上記ACT1、2を経て得られた加算RGBK信号を用いて異物検出処理を行う。CPU61は、異物の有無判定処理としてRGBK信号のそれぞれを1ライン単位又は複数ライン単位で比較し、異常の有無を検出する。例えば、CPU61は、異物の有無判定処理としてRGBK信号のそれぞれの1ライン単位又は複数ライン単位の差分を算出し、特異点(異常)の有無を検出する。CPU61は、特異点の検出に対応して異物有信号(異常有信号)1を算出し、特異点の無検出に対応して異物無信号(異常無信号)0を算出する。
また、CPU61は、上記異物有無判定処理とは別に、RGBK信号のそれぞれの色信号毎に注目画素と注目画素の周辺の周辺画素との差分量を算出し、RGB信号とK信号のどちらが周辺からの差分量が大きいかを算出する差分算出処理を行う。CPU61は、RGB信号側の方の差分量が大きい場合は差分検出信号1を算出し、K信号側の方の差分量が大きい場合は差分検出信号2を算出する。
さらに、CPU61は、上記異物有無判定処理の結果(異常発生の有無の検出結果)と差分算出処理の結果(異常発生の色信号の検出結果)の積を異物検出処理の結果として出力する。例えば、CPU61は、異物無しに対応して異物検出処理結果0を出力し、RGB信号に異物有りに対応して異物検出処理結果1を出力し、K信号に異物有りに対応して異物検出処理結果2を出力する(ACT3)。
画像読取装置1は、CCDセンサ19(ラインセンサ)を備えており、ラインセンサ内に物理的なライン差がある為、自動原稿送り装置2の読取面に付着したゴミ、読取装置内の反射ミラーに付着したゴミ等の異物による画質劣化は、RGBK信号のいずれかに発生する場合が多い。画像読取装置1(CPU61)は、異物の影響による画質劣化を、RGB信号に含まれるノイズ(異物の影響によるノイズ)による画質劣化、K信号に含まれるノイズ(異物の影響によるノイズ)による画質劣化に切り分け、画像読取装置1(画像処理部64)は、解像度変換処理を可変制御し、出力画像のRGB600dpi信号の画質劣化を補正する。
上記説明したように、RGBK信号の画素毎に異物検出処理を行うが、自動原稿送り装置2の読取面に付着したゴミ、読取装置内の反射ミラーに付着したゴミ等の異物による画質劣化は、読取信号上で読取方向に対して水平のスジ状のノイズとして現れる。この為、読取方向に対して加算した信号を用いて異常を検出しても、各画素単位で異常を検出する場合と同等の検出結果を得ることができる。また、読取方向に対して信号を加算した結果を利用した異常検出処理によれば、例えば、画像読取装置1(CPU61)は、上記した異物の影響によるノイズと、上記した異物の影響以外によるノイズとを区別することができる。つまり、画像読取装置1(CPU61)が、上記した異物の影響以外によるノイズを、上記した異物の影響によるノイズとして誤検出してしまうことを防止できる。なお、上記した異物の影響以外によるノイズとは、例えば、電気的なノイズ、読取り動作時に発生する駆動ばらつき等に起因する突発的なノイズである。
次に異物検出結果に基づく各種処理について説明する。
まず、異物検出結果0の場合について説明する。異物検出結果0の場合、つまり、画像読取装置1(CPU61)が、異物の影響によるノイズが発生していないと判定した場合(ACT4→判定結果:0)、画像読取装置1(画像処理部64)は、RGBK信号を用いて解像度変換処理を行い、RGB信号の解像度をK信号同等の600dpiに変換して出力する(ACT5)
次に、異物検出結果1が含まれる場合について説明する。異物検出結果1が含まれる場合、つまり、画像読取装置1(CPU61)が、RGB信号側に異物の影響によるノイズが発生していると判定した場合(ACT4→判定結果:1)、画像読取装置1(CPU61)は、異物の影響を受けた画素の周辺に位置する異物の影響を受けていない画素のRGBK信号を用いて、異物の影響を受けた画素と異物の影響を受けていない画素の相関を検出する。つまり、画像読取装置1(CPU61)は、R信号とK信号、G信号とK信号、B信号とK信号の相関係数を算出する。その相関係数と異物の有る画素のK信号を用いて、R信号、G信号、B信号を算出する。画像読取装置1(画像処理部64)は、相関係数とK信号とに基づく解像度変換処理を用いて、画質劣化を補正する(ACT6)。
次に、異物検出結果2が含まれる場合について説明する。異物検出結果2が含まれる場合、つまり、画像読取装置1(CPU61)が、K信号側に異物の影響によるノイズが発生していると判定した場合(ACT4→判定結果:2)、K信号の画素が異物の影響を受けているため、K信号を使う解像度変換処理を適用できない。よって、画像読取装置1(画像処理部64)は、異物の有る画素では、解像度変換処理を適用しない(ACT7)。これにより、異物の影響によるノイズを含まないRGB信号を出力することができる。
上記説明したように、画像読取装置1は、異物検出結果1、2に基づいて処理を切り替えることにより、異物の付着による画質劣化を補正することができる。
また、画像読取装置1(画像処理部64)は、ACT1における解像度を可変することもでき、また、ACT2における加算ライン数を可変することもできる。
図4は、読取走査方向の加算ライン数をNラインに設定するケースの一例を示す概念図である。読取走査方向の全ラインの1/2をNとすると、RGBKそれぞれの加算ラインメモリの消費量を1ビット削減することが可能となる。また、1/4、1/8と削減することにより、加算ラインメモリの削減量を2ビット、3ビットと増やすことも可能となる。このように、読取走査方向の全ラインの1/2ライン等で比較しても、つまり、先端からある範囲の読取結果で比較しても、RGBK信号の何れかに「白」でははない読取結果(RGBK信号の何れかに異なる読取結果)が含まれていれば異物の影響が発生している可能性が高い。
図5は、読取走査方向の加算処理において、主走査方向の解像度を下げるケースの一例を示す概念図である。例えば、K信号を600dpi、RGB信号を300dpiとし、K信号の画素数をM画素、RGB信号の画素数をM/2画素としたとき、加算ラインを算出する際の解像度を150dpiと設定することにより、RGBKそれぞれの加算ラインメモリはM/4画素となり、加算ラインメモリの消費量を半減することが可能となる。また、100dpi、75dpiと削減することにより加算ラインメモリの削減量をM/6、M/8と増やすことも可能となる。
また、上記説明では、カラー信号が300dpi、モノクロ信号が600dpiのケースについて説明したが、この解像度の組み合わせに限定されるものではなく、カラー信号の解像度がモノクロ信号の解像度と比較して低い解像度の信号の組み合わせを用いた場合において、同様の効果を得ることができる。
また、カラー信号とモノクロ信号の解像度が同じ場合であっても、同様の効果を得ることが可能となる。カラー信号とモノクロ信号の解像度が同じ場合は、ゴミ検知処理の0の処理がスルー処理となる。
以下、本実施形態についてまとめる。本実施形態の画像読取装置は、以下のように構成される。
(1)画像読取装置は、
画素数の異なる複数のラインセンサ有するCCDラインセンサと、
ラインセンサからの出力信号を得る手段と、
ラインセンサからの出力信号を読取走査方向に加算する手段と、
を有し、
前記読取走査方向に加算した信号を用いて画像読取装置内の読取光路上に付着した異物の影響により発生する画質劣化を検知する劣化検出装置を有し、検出結果に基づいて画質劣化を補正する。
(2)さらに、画像読取装置の前記ラインセンサからの出力信号の解像度は、モノクロ信号の解像度が高く、カラー信号の解像度が低い。
(3)さらに、画像読取装置の前記劣化検出装置に用いる読取走査方向に加算した信号は、複数のラインセンサの出力信号の中で低い解像度に併せた信号を用いる。
(4)さらに、画像読取装置の前記劣化検出装置に用いる読取走査方向に加算するライン数を所定の値とする。
(5)さらに、画像読取装置の前記劣化検出装置に用いる読取走査方向に加算するメモリの解像度を所定の値とする。
(6)さらに、画像読取装置の前記劣化検出装置に用いる読取走査方向に加算するメモリの解像度は、後段の異物補正処理に用いる画素サイズと同じ解像度にする。
(7)さらに、画像読取装置の前記劣化検出装置は、前記ラインセンサからの出力信号それぞれの差分を用いた結果による異物有無判定手段と、前記ラインセンサからの出力信号毎に周辺画素と注目画素の差分を用いた結果による信号分別手段と、を有し、
前記異物有無判定手段と信号分別手段の結果を組み合わせて検出結果を出力する。
(8)さらに、画像読取装置は、検出結果に応じて、周辺画素の相関係数を用いて解像度変換処理を行う。
(9)さらに、画像読取装置は、自動原稿送り装置の読取面(原稿台ガラス)に付着した異物の影響を検知し、異物検知結果に基づき画像データを補正する。
(10)さらに、画像読取装置は、反射ガラスに付着した異物の影響を検知し、異物検知結果に基づき画像データを補正する。
(11)さらに、画像読取装置は、CCDセンサの結像面(読取面)上に付着した異物の影響を検知し、異物検知結果に基づき画像データを補正する。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。