以下に添付図面を参照して、この発明にかかる画像読取装置及び画像処理装置の最良な実施の形態を詳細に説明する。
図1は、MFP(Multi Function Peripheral)1の内部構成例を示す断面図である。図1に示すMFP1は、画像読取部(スキャナ)2、画像形成部(プリンタ)3、原稿自動送り装置(ADF)4および操作部(コントロールパネル(図1には図示しない))を有する。画像読取部2は、原稿面を光学的に走査することにより原稿上の画像をカラー画像データ(多値の画像データ)あるいはモノクロ画像データとして読取る。画像形成部3は、カラー画像データ(多値の画像データ)あるいはモノクロ画像データに基づく画像を用紙上に形成する。ADF4は、原稿載置部にセットされた原稿を1枚ずつ搬送する。ADF4は、画像読取部2が原稿面の画像を読み取れるように、所定の速度で原稿を搬送する。上記操作部は、ユーザが操作指示を入力したり、ユーザに対する案内を表示したりする。
また、MFP1は、画像データを入出力する種々の外部インターフェースを有する。例えば、MFP1は、ファクシミリデータを送受信するためのファクシミリインターフェース、および、ネットワーク通信を行うためのネットワークインターフェースなどを有する。このような構成により、MFP1は、コピー機、スキャナ、プリンタ、ファクシミリ、および、ネットワーク通信機として機能する。
まず、画像読取部2の構成について説明する。画像読取部2は、図1に示すように、原稿台ガラス10、光源11、リフレクタ12、第1ミラー13、第1キャリッジ14、第2ミラー16、第3ミラー17、第2キャリッジ18、集光レンズ20、光電変換部21、CCD基板22、および、CCD制御基板23とから構成されている。
ADF4は、画像読取部2の上方に設けられる。ADF4は、複数の原稿を保持する原稿載置部を有し、この原稿載置部にセットされた原稿を1枚ずつ取り出して原稿台ガラス10まで搬送する。ADF4は、画像読取部2が原稿台ガラス10上にある原稿面の画像を読み取れるように、一定の搬送速度で原稿を搬送する。ADF4は、同様に画像が読取られた原稿を、順次、原稿台ガラス10から排出部に排出する機能も有する。
原稿台ガラス10は、原稿を保持するガラスである。上記原稿台ガラス10に保持された原稿面からの反射光は、ガラスを透過する。上記ADF4は、搬送される原稿を背面から原稿台ガラス10へ押圧するとともに原稿台ガラス10全体を覆う。このためADF4は、原稿台ガラス10上の原稿をガラス面に密着して固定する。また、ADF4は、原稿台ガラス10上の原稿に対する背景としても機能する。
光源11は、原稿台ガラス10上に載置された原稿面を露光する。光源11は、原稿の搬送方向にほぼ垂直な方向に延伸して設けられ、例えば、蛍光灯、キセノンランプ、あるいは、ハロゲンランプ等が挙げられる。リフレクタ12は、光源11からの配光分布を調整する部材である。第1ミラー13は、原稿面からの光を第2ミラー16へ導く。第1キャリッジ14は、光源11、リフレクタ12、および、第1ミラー13を搭載している。第1キャリッジ14は、図示しない駆動部から与えられる駆動力により原稿台ガラス10上の原稿面に対する副走査方向に速度(V)で移動することができるが、静止状態のままで原稿の読み取りを行う場合もある。
第2ミラー16および第3ミラー17は、第1ミラー13からの光を集光レンズ20へ導く。第2キャリッジ18は、第2ミラー16および第3ミラー17を搭載している。第2キャリッジ18は、第1キャリッジ14の速度(V)の半分の速度(V/2)で副走査方向に移動する。原稿面の読取位置から光電変換部21の受光面までの距離が一定の光路長に保つため、第2キャリッジ18は第1キャリッジの1/2の速度で従動する。
原稿面からの光は、第1、第2、第3ミラー13、16、17を介して集光レンズ20に入射する。集光レンズ20は、入射する光を電気信号に変換する光電変換部21へ導く。原稿面からの反射光は、原稿台ガラス10のガラスを透過し、第1ミラー13、第2ミラー16、第3ミラー17で順次反射され、集光レンズ20を介して光電変換部21の受光面で結像する。
光電変換部21は、複数のラインセンサを有する。光電変換部21を構成する各ラインセンサは、光を電気信号に変換する複数の光電変換素子を主走査方向に並べた構成である。これらのラインセンサは、副走査方向の間隔が規定の間隔となるように平行に並べて配置する。
本実施例を示す図4では、光電変換部21は、4つのラインCCDセンサを有する。光電変換部21としての4ラインCCDセンサは、1つのモノクロラインセンサ61Kと3つのカラーラインセンサ61R、61G、61Bとで構成する。モノクロラインセンサ61Kは、黒の画像データを読取る。3つのカラーラインセンサ61R、61G、61Bは、それぞれ3色のカラー画像データを読取る。カラー画像をR(赤)、G(緑)、B(青)の3色で読取る場合、カラー用のラインセンサは、R(赤)の画像を読取る赤ラインセンサ61Rと、緑の画像を読取る緑ラインセンサ61Gと、青の画像を読取る青ラインセンサ61Bとにより構成する。
図1のCCD基板22は、光電変換部21を駆動させるためのセンサ駆動回路(図示しない)を実装する。CCD制御基板23は、CCD基板22及び光電変換部21を制御する。CCD制御基板23は、CCD基板22及び光電変換部21を制御する制御回路(図示しない)、および、光電変換部21からの画像信号の処理を行う画像処理回路(図示しない)を有する。
次に、画像形成部3の構成について説明する。上記画像形成部3は、図1に示すように、用紙供給部30、露光装置40、第1〜第4の感光体ドラム41a〜41d、第1〜第4の現像装置42a〜42d、転写ベルト43、クリーナ44a〜44d、転写装置45、定着装置46、ベルトクリーナ47、ストック部48を有する。
露光装置40は、第1〜第4の感光体ドラム41a〜41dに潜像を形成する。露光装置40は、画像データに応じた露光光を各色ごとの像担持体としての各感光体ドラム41a〜41dに照射する。上記第1〜第4の感光体ドラム41a〜41dは、各色に対応した静電潜像を保持する。感光体ドラム41a〜41dは、露光装置40から照射される露光光の強度に応じた静電潜像を形成する。
第1〜第4の現像装置42a〜42dは、各感光体ドラム41a〜41dが保持する潜像をそれぞれの色で現像する。すなわち、現像装置42a〜42dは、対応する各感光体ドラム41a〜41dが保持する潜像に各色のトナーを供給することにより画像を現像する。例えば、当該画像形成部がシアン(Cyan、深紫色)、マゼンタ(MaGenta、鮮赤色)、イエロー(Yellow、黄色)の3色でとする減法混色によりカラー画像を得る構成である。
この場合、第1〜第4の現像装置42a〜42dは、イエロー、マゼンタ、シアン、あるいは、ブラック(BlacK、黒色)の何れかの色で各感光体ドラム41a〜41dが保持する潜像を可視化(現像)する。つまり、第1〜第4の現像装置42a〜42dは、それぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、あるいは、ブラック(BlacK、黒色)の何れかの色のトナーを収容する。各第1〜第4の現像装置42a〜42dに収納する色(各色の画像を現像する順序)は、画像形成プロセスあるいはトナーの特性に応じて決定する。
転写ベルト43は、中間転写体として機能する。各感光体ドラム41a〜41d上に形成された各色のトナー像は、順に中間転写体としての転写ベルト43に転写される。各感光体ドラム41a〜41dは、中間転写位置において、それぞれのドラム表面上のトナー像を中間転写電圧で転写ベルト43上に転写する。上記転写ベルト43は、各感光体ドラム41a〜41dが転写した4色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)の画像を重ねたカラーのトナー像を保持する。転写装置45は、転写ベルト43上に生成したトナー像を被画像形成媒体としての用紙に転写する。
また、用紙供給部30は、中間転写体としての転写ベルト43からトナー像を転写する用紙を転写装置45へ供給する。用紙供給部30は、適切なタイミングで転写装置45によるトナー像の転写位置へ供給する構成を有している。図1に示す構成例では、用紙供給部30は、複数のカセット31、ピックアップローラ33、分離機構35、複数の搬送ローラ37、および、アライニングローラ39などを有する。
複数のカセット31は、それぞれ被画像形成媒体としての用紙を収納する。カセット31は、任意のサイズの用紙を収容する。ピックアップローラ33は、カセット31から用紙を1枚ずつ取り出す。分離機構35は、ピックアップローラ33がカセットから取り出す用紙が2枚以上になることを阻止する(1枚に分離する)。複数の搬送ローラ37は、分離機構35が1枚に分離した用紙をアライニングローラ39に向けて送る。アライニングローラ39は、転写装置45が転写ベルト43からトナー像を転写する(トナー像が(転写位置で)移動する)タイミングに合わせて、用紙を転写装置45と転写ベルト43が接する転写位置に送る。
定着装置46は、転写されたトナー像を用紙に定着させる。定着装置46は、例えば、用紙を加圧状態で加熱することによりトナー像を用紙上に定着する。定着装置46は、転写装置45でトナー像が転写された用紙に定着処理を施し、定着処理した用紙をストック部48へ搬送する。ストック部48は、画像形成処理(画像がプリント)された用紙が排紙される排紙部である。また、上記ベルトクリーナ47は、転写ベルト43をクリーニングする。ベルトクリーナ47は、転写ベルト43上のトナー像が転写される転写面に残留している廃トナーを転写ベルト43から除去する。
次に、MFP1の制御系統の構成について説明する。図2は、MFP1における制御系統の構成例を示すブロック図である。図2に示すように、MFP1は、制御系統の構成として、画像読取部(スキャナ)2、画像形成部(プリンタ)3、主制御部50、操作部51および外部インターフェース52を有する。
主制御部50は、MFP1全体を制御する。すなわち、主制御部50は、操作部(コントロールパネル)51においてユーザから操作指示を受け付け、画像読取部2、画像形成部3、外部インターフェース52を制御する。
画像読取部2および画像形成部3は、上述したように、カラー画像を取り扱う構成を有している。例えば、カラーコピー処理を行う場合、主制御部50は、画像読取部2が読取った原稿のカラー画像をプリント用のカラー画像データに変換して画像形成部3によりプリント処理する。なお、画像形成部3は、任意の画像形成方式のプリンタが適用できる。例えば、画像形成部3は、上述したような電子写真方式のプリンタに限らず、インクジェット方式のプリンタあるいは熱転写方式のプリンタであっても良い。
操作部(コントロールパネル)51は、ユーザが操作指示を入力したり、ユーザに対して案内を表示したりする。操作部51は、表示装置および操作キーなどにより構成される。例えば、上記操作部51は、タッチパネル内蔵の液晶表示装置とテンキーなどのハードキーとを有する。上記外部インターフェース52は、外部機器と通信を行うためのインターフェースである。外部インターフェース52は、例えば、ファクシミリ通信部(FAX部)あるいはネットワークインターフェースなどの外部機器とである。
次に、主制御部50内の構成について説明する。図2は、一実施形態における、MFPにおける制御系統の構成例を示すブロック図である。図2に示すように、上記主制御部50は、CPU53、メインメモリ54、HDD(ハードディスクドライブ)55、入力画像処理部56、ページメモリ57、および、出力画像処理部58などを有する。CPU53は、当該MFP1全体の制御を司る。CPU53は、例えば、図示しないプログラムメモリに記憶されているプログラムを実行することにより、種々の機能を実現する。メインメモリ54は、作業用のデータなどが格納されるメモリである。CPU53は、メインメモリ54を使用して種々のプログラムを実行することにより種々の処理を実現する。例えば、CPU53は、コピー制御用のプログラムに従って上記スキャナ2および上記プリンタ3を制御することにより、コピー制御を実現する。
HDD55は、不揮発性の大容量のメモリである。例えば、HDD55は、画像データを保存する。また、HDD55は、各種の処理における設定値(デフォルト設定値)を記憶する。例えば、HDD55には、後述する量子化テーブルが記憶される。さらに、HDD55には、CPU53が実行するプログラムを記憶するようにしても良い。
入力画像処理部56は、入力画像を処理する。入力画像処理部56は、当該MFPの動作モードに応じてスキャナ2などから入力する入力画像データを処理する。ページメモリ57は、処理対象とする画像データを記憶するメモリである。例えば、ページメモリ57は、1ページ分のカラー画像データを格納する。ページメモリ57は、図示しないページメモリ制御部により制御される。出力画像処理部58は、出力画像を処理する。図2に示す構成例では、出力画像処理部58は、プリンタ3が用紙にプリントする画像データを生成する。
図3は、一実施形態における光電変換部21としての4ラインCCDセンサモジュールの外観図である。図4は、一実施形態における光電変換部21内の構成例を示す図である。上記光電変換部21は、光を受光するための受光部21aを有する。上記光電変換部21は、赤ラインセンサ61R、緑ラインセンサ61G、青ラインセンサ61Bおよびモノクロラインセンサ61Kの4つのラインセンサを有する。各ラインセンサは、受光素子としての光電変換素子(フォトダイオード)を主走査方向に複数画素分並べたものである。これらのラインセンサ61R、61G、61B、61Kは、光電変換部21の受光部21aに平行に並べて配置する。これらのラインセンサ61R、61G、61B、61Kは、副走査方向の間隔が規定の間隔となるように、平行に並べて配置する。
赤ラインセンサ61Rは、赤色の光を電気信号に変換する。赤ラインセンサ61Rは、赤色の波長範囲の光に感度を有するラインCCDセンサである。赤ラインセンサ61Rは、赤色の波長範囲の光のみを透過する光学フィルタを配置したラインCCDセンサである。
緑ラインセンサ61Gは、緑色の光を電気信号に変換する。緑ラインセンサ61Gは、緑色の波長範囲の光に感度を有するラインCCDセンサである。緑ラインセンサGは、緑色の波長範囲の光のみを透過する光学フィルタを配置したラインCCDセンサである。
青ラインセンサ61Bは、青色の光を電気信号に変換する。青ラインセンサ61Bは、青色の波長範囲の光に感度を有するラインCCDセンサである。上記青ラインセンサ61Bは、青色の波長範囲の光のみを透過する光学フィルタを配置したラインCCDセンサである。
モノクロラインセンサ61Kは、全色の光を電気信号に変換する。モノクロラインセンサ61Kは、各色の波長範囲を含む広域の波長範囲の光に感度を有するラインCCDセンサである。モノクロラインセンサ61Kは、光学フィルタを配置しないラインCCDセンサ、または、透明なフィルタを配置したラインCCDセンサである。
次に、光電変換部21としての4ラインCCDセンサから出力される信号の処理について説明する。図5は、一実施形態における光電変換部21からの信号を処理するスキャナ画像処理部70の構成例を示す図である。図5に示す構成例では、スキャナ画像処理部70は、AD変換回路71、シェーディング補正回路72、ライン間補正回路73および高画質化回路74を有する。
図4に示すように、光電変換部21は、ラインセンサ61R、61G、61Bからの出力信号としての3つのカラー信号OS−R、OS−G、OS−Bと、ラインセンサ61Kからの出力信号としての輝度信号OS−KO、OS−KEとの5系統の信号を出力する。
図5において、これら5系統の信号はスキャナ画像処理部70内のA/D変換回路71へ供給される。A/D変換回路71は、入力した5系統の各信号をそれぞれデジタルデータに変換する。A/D変換回路71は、デジタルデータに変換したデータをシェーディング補正回路72に出力する。シェーディング補正回路72は、図示しないシェーディング補正板(白基準板)の読取り結果に応じた補正値により、A/D変換回路71からの各信号を補正する。シェーディング補正回路72は、シェーディング補正した各信号をライン間補正回路73へ出力する。
ライン間補正回路73は、各信号における副走査方向の位相ずれを補正する。即ち、4ラインCCDセンサで読取った画像は、副走査方向にずれる。このため、ライン間補正回路は、その副走査方向のずれを修正する。例えば、ライン間補正回路73は、先に読取った画像データ(デジタルデータ)をラインバッファに蓄積し、後から読まれた画像データにタイミングを合わせて出力する。ライン間補正回路73は、ライン間補正した各信号を高画質化回路74へ出力する。
高画質化回路74は、ライン間補正回路73からの5つの信号に基づいて高解像度化した3つのカラー信号を出力する。光電変換部21で読取る画像データは、モノクロ(輝度)の画像信号が各カラーの画像信号よりも解像度が高い。ここでは、各カラーの画像データが300dpi(R300、G300、B300)で、モノクロ(輝度)の画像データがカラーの2倍の600dpi(600−O、K600−E)であることを想定する。この場合、上記高画質化回路74は、300dpiのカラー画像データと600dpiのモノクロの画像データに基づいて、600dpiのカラーの画像データ(R600、G600、B600)を生成する。また、上記高画質化回路74は、ノイズの低減や、ブレの補正を行う。
以下に、一実施形態の画像処理について詳述する。ここでは、カラーR信号、G信号、B信号の解像度が300dpi、モノクロK信号の解像度が600dpiとして、処理の一例を説明する。
図6には、センサ読取概要図である。図6はカラーR信号、G信号、B信号が300dpi、モノクロK信号600dpiの場合を示す。K信号の解像度がR信号、G信号、B信号の2倍である為、同範囲の画像を読取った場合、読取範囲は図6に示すとおり、R信号R00〜R44、G信号G00〜G44、B信号B00〜B44、K信号K00〜K99となる。K00、K01、K10、K11とR00、G00、B00が同範囲の画像データとなる、本画像処理では、図6に示すR信号、G信号、B信号、K信号を用いて異物検出処理、異物による画質劣化補正処理、および高解像度変換処理を行う。
図7に一実施形態における画像処理のフローチャートを示す。以下、フローチャートの順に詳細な処理の形態について説明する。
まず異物検出処理のために、高画質化回路74は、カラー信号(R、G、B信号)とモノクロ信号(K信号)との相関関係を求める。高画質化回路74は、上記相関関係を求めるため、ステップS100により、モノクロ信号をカラー信号と同等の(低い)解像度へ変換する。輝度データが600dpiで、かつ、カラーデータが300dpiである場合、高画質化回路74は、輝度データを300dpiに変換する。ここで同等の解像度へ変換しているのは、異物検知処理をしやすくするためである。
図8に、K信号をR信号、G信号、B信号同等の解像度へ変換した信号の概要図を示す。K信号を低解像度に変換することにより、RGB信号と同等の解像度でK’00〜K’44となる。RGBK信号の解像度を同等にして異物検出処理を行う。K信号をR、G、B信号と同等の解像度にする解像度変換処理は、RGB信号と同範囲のK信号4画素を平均して求める処理を行う。
次に、高画質化回路74は図7のステップS101において異物検出処理を行う異物検出処理の具体的なフローチャートを図9に示す。注目画素を図8のK’02、R02、G02、B02とする。まず、S200の異物の有無判定処理としてRGB信号のそれぞれとK信号との差分を算出し、これらの差分から異物検知用の信号を求める。
具体的な算出方法としては、まず、RGBそれぞれの信号とK信号の差分RK、GK、BKを算出する。
RK=R−K
GK=G−K
BK=B−K
次にそれらの差分量の加算を行い、異物検知用の信号Aを算出する。
A=RK+GK+BK
このAの絶対値が異物検知用にあらかじめ設定した閾値D以上の場合は異物有り(異物信号=1)、閾値D以下の場合は異物無し(異物信号=0)と判定する。
ここで、実際に値を代入した例を挙げる。まず、背景が白色で異物なしの場合の例を示す。R=215、G=210、B=219、K=220とする。これらの値を上記に示した式に代入すると、RK=−5、GK=−10、BK=−1より、A=(−5)+(−10)+(−1)=‐16となる。
続いて、背景が白色で異物有りの場合の例を示す。R=190、G=219、K=220とする。これらの値を上記に示した式に代入すると、RK=−30、GK=−15、BK=−1より、A=(−30)+(−15)+(−1)=−46となる。Aの絶対値をとって、閾値Dを30と設定しておけば、異物の有無を検知することができる。これらのデータは1色256階調とした場合のデータである。
閾値Dは任意に設定が可能である。例えば、異物の無い箇所においては、R−K、G−K、B−Kの加算値は0に近い値となる。一方、異物のある箇所においては、これが大きな値となる。読取時のばらつきなどの影響で異物の無い位置においても完全には0にならないので、それを考慮して例えば20などと、異物の位置のみを抽出できるように値を設定する。
また、S200の異物有無判定処理と並行して、注目画素であるK’02、R02、G02、B02のそれぞれの色毎に周辺画素からの差分量を算出し、RGB信号とK信号のどちらが周辺画素からの差分量が大きいかを算出する差分算出処理(S201)を行う。
まず、注目画素周辺の複数の画素(以下、周辺画素群と呼ぶ)を色ごとに選択する。周辺画素群は、注目画素を含み、注目画素の近くに存在する画素群であることが好ましい。たとえば、RGBK信号それぞれに対して、R00〜R04、G00〜G04、B00〜G04、K’00〜K’04を選択する。そして、これらの選択画素の平均値R_ave1、G_ave1、B_ave1、K_ave1を算出する。
R_ave1=(R00+R01+R02+R03+R04)/5
G_ave1=(G00+G01+G02+G03+G04)/5
B_ave1=(B00+B01+B02+B03+B04)/5
K_ave1=(K’00+K’01+K’02+K’03+K’04)/5
上記の式に関する平均値を算出する範囲は任意に設定できるものとする。
例えば、周辺画素群、R12〜R32、G12〜G32、B12〜G32、K’12〜K’32の平均値R_ave1、G_ave1、B_ave1、K_ave1算出すると、以下のようになる。
R_ave1=(R12+R22+R32)/3
G_ave1=(G12+G22+G32)/3
B_ave1=(B12+B22+B32)/3
K_ave1=(K’12+K’22+K’32)/3
次にRGBKそれぞれの注目画素からの上記の式で算出した周辺画素群の平均値の差分の絶対値R_diff、G_diff、B_diff、K_diffを算出する。
R_diff=|R02−R_ave1|
G_diff=|G02−G_ave1|
B_diff=|B02−B_ave1|
K_diff=|K02−K_ave1|
ここで算出されたRGBKそれぞれの差分の絶対値、R_diff、G_diff、B_diff、及びK_diffの比較を行う。比較を行い、RGB信号のいずれかの信号が最大値をとったときは、その信号が周辺画素からの差分が一番大きい為、RGB信号に異常があると判断する(信号:1)。K信号が最大値をとったときは、K信号が周辺画素からの差分が一番大きい為、K信号に異常があると判断する(信号:2)。
図9のステップS202では、異物有無判定処理と差分算出処理の結果を組み合わせることにより、RGB信号側に異常有り、K信号側に異常有り、及び異常無しの3つの判定結果を出力する。RGB信号側の差分量が大きい場合は差分検出信号1を、K信号側の差分量が大きい場合は差分検出信号2を算出する。
上記の異物有無判定処理結果と差分算出処理結果の積を異物検出処理の結果として出力する。
0(異物無し)*1(RGB信号側の差分量>K信号側の差分量)=0
0(異物無し)*2(RGB信号側の差分量<K信号側の差分量)=0
1(異物有り)*1(RGB信号側の差分量>K信号側の差分量)=1
1(異物有り)*2(RGB信号側の差分量<K信号側の差分量)=2
以上のステップS102の判定信号により、異物判定結果は、0:異常無し、1:RGB信号に異常有り、2:K信号に異常有りの3種類となる。
また、ここでは、周辺画素からの注目画素の差分値で算出を行っているが、単に標準偏差などを用いたばらつきを算出し、ばらつきの大きいほうに異物があるという判定を行うことも可能である。
ラインセンサを用いた画像読取装置の場合、ラインセンサ内に物理的なライン差がある為、自動原稿送り装置の読取面に付着したゴミ、読取装置内の反射ミラーに付着したゴミ等の異物による画質劣化は、RGBK信号のいずれかに発生する場合が多い。その異物による画質劣化を、RGB信号に付着した異物による画質劣化、K信号に付着した異物による画質劣化に切り分け、後段の高解像度変換処理部で処理を変えることにより、最終出力画像のRGB600dpi信号の画質劣化を補正する。
上記実施形態では、RGBK信号の画素毎に異物検出処理を行っているが、自動原稿送り装置の読取面に付着したゴミ、読取装置内の反射ミラーに付着したゴミ等の異物による画質劣化は、読取信号上で読取方向に対して水平のスジ状のノイズとして現れる。その為、R信号R02〜R42、G信号G02〜G42、B信号B02〜B42、K信号K’02〜K’42の縦方向の検出結果が全て同等となる場合に、検出結果を出力する方法を用いても同様の効果を得られる。
また読取方向に対して水平のスジ状ノイズで、読取信号の全面に画質劣化が発生する場合、縦方向の画素を全て加算し、RGBK各信号を1ラインの信号として、検出処理を行う方法を用いても同様の効果を得られる。
次にステップS102の判定信号に応じて、図7のステップS103、S104、S105のいずれかを実行する。異物判定結果は上述したように、0:異物なし、1:RGB信号に異物有り、2:K信号に異物有りの3種類ある。まず、ステップS103の異物判定結果が0の場合について説明する。異物判定結果が0の時は、異物によるノイズが発生していない。図6に示すR信号R00〜R44、G信号G00〜G44、B信号B00〜B44、K信号K00〜K99の出力信号の全画素が異物判定結果0の場合、RGBK信号を用いて高解像度変換処理を行い、RGB信号の解像度をK信号同等の600dpiに変換して出力する。RGB信号を高解像度な信号に変換した出力結果を図10に示す。図6に示すR信号R00〜R44、G信号G00〜G44、B信号B00〜B44がそれぞれR信号R’00〜R’99、G信号G’00〜G’99、B信号B’00〜B’99と変換される。
ここで、高画質化回路74における信号処理(高解像度化処理)について、詳細に説明する。以下の説明では、赤の画素値を示す信号OS−Rに対応するデジタルデータをR300、緑の画素値を示す信号OS−Gに対応するデジタルデータをG300、青の画素値を示す信号OS−Bに対応するデジタルデータをB300、奇数番目の画素の輝度を示す信号OS−KOに対応するデジタルデータをK600−O、偶数番目の画素の輝度を示す信号OS−KEに対応するデジタルデータをK600−Eと呼ぶ。
まず、ラインセンサ61R、61G、61Bで読取ったカラー画像信号の解像度をラインセンサ61Kと同等の解像度に向上させる手順について説明する。図11と図12とは、ラインセンサ61Kの読取り画素とラインセンサ61R、61G、61Bの読取り画素との関係を示す。
以下の説明では、紙面の左右をラインセンサにおける受光素子(画素)の並び方向としての主走査方向とし、紙面の上下方向を副走査方向(キャリッジの移動方向または原稿の移動方向)とする。また、ラインセンサ61Kからの画素データとしての輝度の画像データ(K600−O及びK600−E)は、奇数および偶数の順序通りに並び替えたものとする。すなわち、図11に示す例において、K600の(1,1)、(1,3)、(1,5)、(2,1)、(2,3)、…、(6,5)は、奇数番目の画素信号(K600−O)の出力である。また、図11に示す例において、K600の(1,2)、(1,4)、(1,6)、(2,2)、(2,4)、…、(6,6)は、偶数番目の画素信号(K600−E)の出力に相当する。
モノクロラインセンサ61Kの解像度は、カラーのラインセンサ61R、61G、61Bの2倍の解像度である。これは、カラーのラインセンサ61R、61G、61Bで読取った1画素がモノクロラインセンサ61Kで読取った4(=2×2)画素に対応することを意味する。例えば、図11に示すK600(1,1)、K600(1,2)、K600(2,1)およびK600(2,2)からなる4画素の範囲は、図12に示すRGB300(1,1)の1画素に相当する。つまり、ラインセンサ61Kで読取った6画素×6画素の読取り範囲(36画素分)は、ラインセンサ61R、61G、61Bが読取った3画素×3画素の読取り範囲(9画素分)に対応する。この場合、ラインセンサ61Kで読取った6画素×6画素の読取り範囲の面積は、ラインセンサ61R、61G、61Bが読取った3画素×3画素の読取り範囲と等しい面積となる。
ここで、一例として、シアンのベタ画像とマゼンタのベタ画像とが接する画像を読取った場合を想定する。また、シアンのベタ画像とマゼンタのベタ画像との境界は、図11及び図12に点線で示したように、読取範囲の中心にあるものとする。図11及び図12の紙面に向かって境界線としての点線より左側がシアンのベタ画像であり、右側がマゼンタのベタ画像である。
図11に示す点線の左側に位置する各画素{K600(1,1)、K600(1,2)、K600(1,3)、K600(2,1)、K600(2,2)、K600(2,3)、…、K600(6,3)}は、ラインセンサ61Kがシアンのベタ画像を読み取った画素である。図11に示す点線の右に位置する各画素{K600(1,4)、K600(1,5)、K600(1,6)、K600(2,4)、K600(2,5)、K600(2,6)、…、K600(6,6)}は、ラインセンサ61Kがマゼンタのベタ画像を読取った画素である。
これに対して、図12に示す点線の左側に位置する各画素{RGB300(1,1)、RGB300(2,1)、RGB300(3,1)}は、ラインセンサ61R、61G、61Bがシアンのベタ画像を読み取った画素である。図12に示す点線の右側に位置する各画素{RGB300(1,3)、RGB300(2,3)、RGB300(3,3)}は、ラインセンサ61R、61G、61Bがマゼンタのベタ画像を読取った画素である。さらに、図10に示す点線上に位置する各画素{RGB300(1,2)、RGB300(2,2)、RGB300(3,2)}は、ラインセンサ61R、61G、61Bがシアンのベタ画像とマゼンタのベタ画像の境界を読取った画素である。なお、RGB300は、図10に示すR300、G300、B300を略したものである。
上記のように、ラインセンサ61Kは、図11の左に位置する18画素でシアンのベタ画像を読取り、右に位置する18画素でマゼンタのベタ画像を読取る。これに対して、ラインセンサ61R、61G、61Bは、図12に示すように、左側に位置する3画素でシアンのベタ画像を読取り、右側に位置する3画素でマゼンタのベタ画像を読取り、中央に位置する3画素でシアンのベタ画像とマゼンタのベタ画像との両方を読取る。
上述したように、A/D変換回路71は、各ラインセンサの各受光素子から出力された画素信号をデジタルデータ(例えば、8ビットで示す256階調のデータ値)に変換する。受光素子が出力する画素信号が大きいほど、その画素のデジタルデータは、大きい値(例えば、256階調なら255に近い値)となる。上記シェーディング補正回路72は、白基準よりも白い画素(最も明るい画素)の値を大きな値(例えば255)とし、黒基準よりも黒い画素(最も暗い画素)の値を小さな値(例えば0)にする。
以下、A/D変換回路71およびシェーディング補正回路72が各画素の信号を8ビットのデジタルデータにする場合、各ラインセンサが、それぞれどのような値を出力するかを説明する。
シアンのベタ画像を読取った場合、例えば、ラインセンサ61Rは「18」、ラインセンサ61Gは「78」、ラインセンサ61Bは「157」というデータ値をそれぞれ出力する。これは、シアンのベタ画像からの反射光は、赤成分が小さく、青成分が大きいことを示す。マゼンタのベタ画像を読取った場合、例えば、ラインセンサ61Rは「150」、ライ
ンセンサ61Gは「22」、ラインセンサ61Bは「49」という値をそれぞれ出力する。これは、マゼンタのベタ画像からの反射光は、赤成分が大きく、緑成分が小さいことを示す。
シアンのベタ画像とマゼンタのベタ画像とを両方含む画素は、シアンのベタ画像とマゼンタのベタ画像との比率に応じた出力値となる。図12に示す例では、点線上(中央)に位置する3画素{RGB300(1,2)、RGB300(2,2)、RGB300(3,2)}は、シアンのベタ画像とマゼンタのベタ画像とが面積比が50%である。このため、点線上の3画素{RGB300(1,2)、RGB300(2,2)、RGB300(3,2)}は、シアンのベタ画像を読取った場合の出力値とマゼンタのベタ画像を読取った場合の出力値との平均となる。
すなわち、ラインセンサ61Rの出力値{R300(1,2)、R300(2,2)、R300(3,2)}は、84(=(18+150)/2)となる。ラインセンサ61Gの出力値{G300(1,2)、G300(2,2)、G300(3,2)}は、50(=(78+22)/2)となる。ラインセンサ61Bの出力値{B300(1,2)、B300(2,2)、B300(3,2)}は103(=(157+49)/2)という値になる。
ラインセンサ61Kの読取り画素は、図11に示すように、点線の左の18画素がシアンのベタ画像の領域であり、点線の右の18画素がマゼンタのベタ画像の領域である。シアンのベタ画像を構成する画素に対するラインセンサ61Kの出力値が「88」である場合、点線の左の各画素は、出力値が「88」となる。マゼンタのベタ画像を構成する画素に対するラインセンサ61Kの出力値が「70」である場合、点線の右側の各画素は出力値が「70」となる。
図13は、上記のようなセンサの出力値をグラフ(プロファイル)で示す図である。図13では、図11及び図12で示す読取り範囲より広い範囲の主走査方向における信号変化の様子を示す。つまり、図13は、ラインセンサ61R、61G、61Bで5画素分、ラインセンサ61Kで10画素分の出力値を表す。例えば、図11及び図12に示す横1ライン目と図13に示すグラフとの対応関係は、図13に示すグラフの横軸における「3」、「4」、「5」がK600(1,1)、K600(1,2)、K600(1,3)に対応し、「6」,「7」,「8」がK600(1,4)、K600(1,5)、K600(1,6)に対応する。
ラインセンサ61R、61G、61Bは、主走査方向にラインセンサ61Kの2画素分の検知範囲がある。このため、図13に示すグラフの横軸における「3」、「4」がRGB300(1,1)に対応し、「5」、「6」がRGB300(1,2)に対応し、「7」,「8」がRGB300(1,3)に対応する。なお、図13に示すグラフの横軸における「1」、「2」と「9」、「10」は、図11及び図12に示すエリア外になる。
図13に示すグラフは、主走査方向について、ラインセンサ61Kの2画素に対してラインセンサ61R、61G、61Bで読取った1画素の値が対応する。図13に示すグラフの横軸における数値「1」〜「10」に対し、ラインセンサ61Kは、10画素分の値が対応する。また、ラインセンサ61R、61G、61Bは、図13に示すグラフの横軸における数値「1」〜「10」に対し、5画素分の値が対応する。これは、ラインセンサ61R、61G、61Bは、図13に示すグラフの横軸における「1」と「2」、「3」と「4」、「5」と「6」、「7」と「8」、「9」と「10」に、それぞれ1画素が対応するためである。
従って、図13に示すグラフの横軸における「5」及び「6」は、ラインセンサ61R、61G、61Bによりシアンとマゼンタとがそれぞれ50%の画素を読取った値(図12に示す点線上の画素の出力値)である。図13に示すグラフから明らかなように、「5」および「6」に対応する画素の出力値は、シアンの信号成分とマゼンタの信号成分とが混じる。このため、「5」および「6」に対応する画素の出力値は、シアンのベタ画像を読取った値とマゼンタのベタ画像を読取った値との平均値となる。この結果として、図13に示すグラフの横軸における「5」及び「6」に対応する部分は、境界が不鮮明なプロファイルとなる。
上記のような境界部分の信号がラインセンサK信号並みにメリハリのある信号になれば、当該画像は、高画質になる。このような処理を実現するため、高画質化回路74は、ラインセンサ61Kの出力値(輝度データ:モノクロ画像データ)とラインセンサ61R、61G、61Bの出力値(カラーデータ:カラー画像データ)との相関関係を利用して画像データを処理する。
ここで、輝度データとカラーデータとの関係について説明する。一般に、輝度データ(Kデータ)は、カラーデータ(例えば、R、G、Bの各データ)から算出できる。一方、カラーデータは、輝度データから算出できない。即ち、画像における各画素の明るさ(輝度データ)が定まったからといって、各画素のカラーデータ(Rデータ、GデータおよびBデータ)を決定することはできない。しかしながら、「ある範囲」に限定すれば、カラーデータと輝度データとには特定の関係がある。このような特定の関係が成立する範囲内においては、カラーデータは、輝度データから算出できる。上記「ある範囲」における特定の関係とは、輝度データとカラーデータとの相関関係である。相関関係を参照すれば、低解像度(第1の解像度)のカラーデータは、高解像度(第2の解像度)の輝度データを用いて、輝度データと同等の解像度のカラーデータに変換できる。上記高画質化回路74は、上記のような相関関係に基づいてカラー画像データを高解像度化する。
以下、高解像度化処理の手順について説明する。以下の説明では、高解像度変換処理に用いる画像データは、図12に示す3×3画素のマトリックス内における各カラーデータ(9個分のカラー画素データからなるカラー画像データ)と、カラーデータの3×3画素のマトリックスに対応する図11に示す6×6画素のマトリックス内における輝度データ(36個分のモノクロ画素データからなるモノクロ画像データ)とである。つまり、300dpiのカラーデータにおける3×3画素のマトリックスは、600dpiの輝度データにおける6×6画素のマトリックスに対応する。
まず、高画質化回路74は、カラーデータ(Rデータ、Gデータ、Bデータ)と輝度データ(Kデータ)との相関関係を求める。高画質化回路74は、上記相関関係を求めるため、輝度データをカラーデータと同じ解像度に変換する。輝度データが600dpiで、かつ、カラーデータが300dpiである場合、高画質化回路74は、輝度データを300dpiに変換する。高画質化回路74は、例えば、以下の手順で、高解像度の輝度データをカラーデータと同じ解像度の輝度データに変換する。
高画質化回路74は、ラインセンサ61Kの読取り画素をラインセンサ61R、61G、61Bの読取り画素に対応づける。高画質化回路74は、例えば、図11に示すラインセンサ61Kの各画素を図12に示すラインセンサ61R、61G、61Bの読取り画素に対応づける。この場合、輝度データにおける2×2画素のマトリックスが、カラーデータ(カラー読取領域)における個々の画素に対応する。従って、高画質化回路74は、カラーデータ(カラー読取領域)の個々の画素に対応する2×2画素のマトリックス内における輝度データの平均値を求める。この処理結果として、36画素分の輝度データ(600dpiの輝度データ)は、300dpi相当の9画素分の輝度データになる。ここでは、300dpi相当の輝度データは、K300と表す。
上述した例では、シアンのベタ画像は輝度データの値が「88」であり、マゼンタのベタ画像は輝度データの値が「70」である。シアンのベタ画像とマゼンタのベタ画像とがそれぞれ2画素からなる2×2画素のマトリックスは、輝度データの値(平均値)が「79(=(88+70+88+70)/4)」となる。したがって、シアンとマゼンタとの境界を含む4画素からなる300dpi相当の輝度データは、「79」という値になる。
図14は、上記のような300dpi相当の輝度データ(K300)をグラフで示すプロファイルである。図14に示すように、300dpi相当の輝度データK300は、R300、G300、B300と同様に、グラフの横軸における「5」および「6」(つまり、境界部分に対応する画素)において、シアンのベタ画像とマゼンタのベタ画像との平均値としての「79」という値である。
図15は、シアンのベタ画像の領域(シアン画像部分)と、マゼンタのベタ画像の領域(マゼンタ画像部分)と、シアンのベタ画像とマゼンタのベタ画像とが混在する境界線を含む画素の領域(境界部分)とに対応する各値をまとめた図である。
次に、輝度データ(Kデータ)とカラーデータ(Rデータ、Gデータ、Bデータ)との相関関係について説明する。図16は、横軸を輝度データとし、縦軸を各カラーデータの値とする散布図である。ここでは、図14を参照して、輝度データとカラーデータとの相関関係について説明する。まず、輝度データ(Kデータ)と赤データ(Rデータ)と相関関係について説明する。
図16に示すように、(Kデータ,Rデータ)とすると、(70,150)、(79,84)、(88,18)の3点は、直線KR上に並ぶ。この直線KRは、輝度データと赤データとの相関関係を示す。この直線KRは、右下がりの直線である。この直線KRは、3×3画素のマトリックス内の9画素において、輝度データが増加すると赤データが減少し、輝度データが減少すると赤データが増加することを表す。即ち、輝度データと赤データとは、負の相関があることを表す。また、この直線KRは、(70,150)と(88,18)を通過する。したがって、輝度データと赤データとの相関関係としては、次式(K−R)が成り立つ。
R−150=(150−18)/(70−88)*(K−70)…(K−R)
R≒−7.33*K+663.3。
ここで、図16に示す直線KRは、300dpiのKデータとRデータとの相関関係を表す。このような相関関係は、3×3画素のマトリックス内、即ち「ある範囲」内においては、600dpiでも同様の関係が成り立つと考える。この考えに従って、上述の式(K−R)の「K」に600dpiの輝度データ(K600)を代入すると、600dpi相当の各画素のRデータが求まる。
例えば、シアンのベタ画像とマゼンタのベタ画像とが混在する境界領域の300dpiの画素(Rデータが「84」の画素)について、600dpiのKデータ(K600)が「70」の画素部分は600dpi相当のRデータが
「150」となり、600dpiのKデータ(K600)が「88」の画素部分は600dpi相当のRデータが「18」となる。
次に、Kデータ(輝度データ)とGデータ(緑データ)との相関関係について説明する。Rデータの場合と同様に、シアンのベタ画像の輝度データは「88」、Gデータは「78」、マゼンタのベタ画像の輝度データは「70」、Gデータは「22」、シアンとマゼンタの境界部を読取った輝度データは79、Gデータは50となる。
したがって、(Kデータ,Gデータ)とすると、(70,22)、(79,50)、(88,78)の3点は、直線KG上に並ぶ。図16に示すように、輝度データと緑データとの相関関係を示す直線KGは、右上がりの直線となる。これは、3×3画素のマトリックス内の範囲内では、輝度データが増加すると緑データも増加し、輝度データが減少すると緑データも減少することを表す。即ち、輝度データと緑データとは、正の相関があることを表す。この直線KGは、(70,22)と(88,78)を通過する。したがって、輝度データと緑データの相関関係を示す式としては、次式(K−G)が成り立つ。
G−22=(22−78)/(70−88)*(K−70)…(K−G)
G≒3.11*K−195.8。
Rデータの場合と同様に、上述の式(K−G)の「K」に600dpiの輝度データを当てはめると、600dpiのGデータが求まる。従って、300dpiのGデータが「50」である画素について、600dpiの輝度データ(K600)が「70」ならば600dpi相当のGデータは「22」となり、600dpiの輝度データ(K600)が「88」ならば600dpi相当のGデータは「78」となる。
次に、Kデータ(輝度データ)とBデータ(青データ)との相関関係について説明する。Rデータ或いはGデータの場合と同様に、シアンのベタ画像は輝度データが「88」で、Bデータが「157」であり、マゼンタのベタ画像は輝度データが「70」で、Bデータが「49」であり、シアンのベタ画像とマゼンタのベタ画像とが混在する境界部分は輝度データが「79」で、Bデータが「103」である。(Kデータ,Bデータ)とすると、図14に示すように、(70,49)、(79,103)および(88,157)の3点は、直線KB上に並ぶ。輝度データと青データとの相関関係を示す直線KBは、右上がりの直線となる。
これは、3×3画素のマトリックス内の範囲内において、輝度データが増加すると青データも増加し、輝度データが減少すると青データも減少することを表す。即ち、輝度データと青データとは、正の相関関係があることを表す。この直線KBは、(70,49)と(88,157)とを通過する。したがって、輝度データと青データの相関関係を示す式としては、次式(K−B)が成り立つ。
B−49=(49−157)/(70−88)*(K−70)…(K−B)
B=6*K−371。
Rデータ或いはGデータの場合と同様に、上述の式(K−B)の「K」に600dpiの輝度データ(K600)を当てはめると、600dpiのBデータが求まる。従って、300dpiのBデータが「103」である画素について、600dpiの輝度データが「70」ならば600dpi相当のBデータは「49」となり、600dpiの輝度データが「88」ならば600dpi相当のGデータは「157」となる。
図17は、図16に示す相関関係に基づいて生成した600dpi相当のカラーデータを示すグラフである。上記のような相関関係に基づく計算例によれば、図17に示すように、グラフの横軸における「5」(境界部分の画素のうち左側に相当)において、Rデータが「18」になり、Gデータが「78」になり、Bデータが「157」になる。また、グラフの横軸における「5」(境界部分の画素のうち右側に相当)において、Rデータが「150」になり、Gデータが「22」になり、Bデータが「49」になる。このように境界を含む300dpiの画素部分は、600dpiに相当する「5」の信号と「6」の信号に分離する。
すなわち、図17に示すような処理結果では、境界部分のR、G、Bデータは、シアンのベタ画像に相当する画素値とマゼンタのベタ画像に相当する画素値とに分離する。このような処理結果によれば、当該画像における境界部分がはっきりとする。このことは、カラー信号の解像度が向上したことを意味する。
次に、一般的な画像データに対する高解像度変換処理について説明する。上述した高解像度変換処理では、解像度の高い輝度データ(モノクロデータ)を用いて、カラーデータの解像度を元のカラーデータよりも向上する。上述の説明は、高解像度変換処理の基本原理である。特に、上述の説明は、輝度データとカラーデータとの相関関係がほぼ1直線上に並ぶ場合について好適である。ただし、実際の画像データでは、輝度データとカラーデータとの相関関係が直線上に並ばないこともある。
以下に、高解像度変換処理を一般化した処理について説明をする。図18は、高画質化回路74内における処理を示すブロック図である。図18に示す構成例では、高画質化回路74は、シリアル化回路81、解像度変換回路82、画質劣化検出回路83、相関関係算出回路84およびデータ変換回路85を有する。高画質化回路74は、300dpiのR(赤)データ(R300)、300dpiのG(緑)データ(G300)、300dpiのB(青)データ(B300)、600dpiの画素のうち偶数番目の画素の輝度データ(K600−E)、600dpiの画素のうち奇数番目の画素の輝度データ(K600−O)を入力する。
シリアル化回路81は、偶数番目の輝度データ(K600−E)と奇数番目の輝度データ(K600−O)とをシリアルデータである輝度データ(K600)に変換する。上記シリアル化回路81は、シリアル化した輝度データ(K600)を解像度変換回路82とデータ変換回路85とへ出力する。
解像度変換回路82は、600dpiの輝度データ(K600)を300dpiの輝度データ(K300)に変換する。600dpiの解像度から300dpiの解像度に変換する。上記解像度変換回路82は、600dpiの輝度データ(K600)の各画素を300dpiのカラーデータの各画素とを対応づける。上述したように、300dpiのカラーデータの各画素は、600dpiの輝度データ(K600)の各画素からなる2×2画素のマトリックスに対応する。上記解像度変換回路82は、カラーデータの各画素に対応するマトリックスを形成する2×2画素の各輝度データの平均値(300dpi相当の輝度データ(K300))を求める。
画質劣化検出回路83は、R300、G300、B300およびK300を入力し、画質劣化があるかどうかを判別する。
相関関係算出回路84は、R300、G300、B300およびK300を入力する。相関関係算出回路84は、R300とK300との回帰直線、G300とK300との回帰直線、B300とK300との回帰直線を求める。それぞれの回帰直線は、次式で表す。
R300=Ar×K300+Br…(KR−2)
G300=Ag×K300+Bg…(KG−2)
B300=Ab×K300+Bb…(KB−2)
ここで、Ar、Ag、Abは、それぞれの回帰直線の傾き(定数)を表し、Br、Bg、Bbは、縦軸との切片(定数)を表す。
したがって、相関関係算出回路84は、輝度データと各カラーデータとの相関関係として、上述した各定数(Ar、Ag、Ab、Br、Bg、Bb)を算出する。ここでは、説明を簡単にするため、輝度データ(K300)とカラーデータ(R300)とに基づいて、定数Ar及びBrを算出する方法を説明する。
まず、相関関係算出回路84は、3×3画素の9画素を注目エリアとする。相関関係算出回路84は、9画素からなる注目エリアにおける相関係数を求める。なお、3×3画素の注目エリアの各画素に対する輝度データおよびカラーデータは、それぞれKijおよびRijと表現する。ただし、ijは1〜3までの変数である。例えば、R300(2,2)は、R22と表現する。また、注目エリアのKデータ(K300)の平均値をKaveとし、Rデータの平均値をRaveとすると、相関関係算出回路84は、KデータとRデータとの相関係数(Cr)を次式で算出する。
上記の式によれば、相関係数(Cr)は、偏差積の総和を、Kの標準偏差とRの標準偏差で割ったものと同じである。ここで、相関係数(Cr)は、−1〜+1までの値である。相関係数(Cr)がプラスである場合、KデータとRデータとの相関関係は、正の相関であることを表し、マイナスの場合は負の相関であることを表す。また、相関係数(Cr)は、絶対値が1に近いほど相関が強いことを表す。
相関関係算出回路84は、輝度データ(K)とカラーデータ(R)との回帰直線の傾き(Ar)を次式で算出する。なお、次式では、縦軸をRとし、横軸をKとしている。
Ar=Cr×((Rの標準偏差)/(Kの標準偏差))
また、相関関係算出回路84は、切片(Br)を次式で算出する。
Rの切片(Br)=Rave−(傾き×Kave)
なお、相関関係算出回路84は、Rの標準偏差、および、Kの標準偏差をそれぞれ次式で算出する。
相関関係算出回路84は、Gデータ、Bデータについても、上述の手法と同様の手法で、回帰直線における傾きAg、Abおよび切片Bg、Bbを算出する。相関関係算出回路84は、算出した各定数(Ar、Ag、Ab、Br、Bg、Bb)をデータ変換回路85へ出力する。
データ変換回路85は、高解像度の輝度データを用いて、輝度データと同等な解像度のカラーデータを算出する。例えば、データ変換回路85は、600dpiの輝度データ(K600)を用いて600dpiのカラーデータ(R600、G600、B600)を算出する。データ変換回路85は、相関関係算出回路84が算出した各定数を用いた次式により、K600からR600、G600、B600をそれぞれ算出する。
R600=Ar×K600+Br
G600=Ag×K600+Bg
B600=Ab×K600+Bb
すなわち、データ変換回路85は、上記の各式に、600dpiの輝度データ(K600)を代入することにより、600dpiのカラーデータ(R600、G600、B600)を算出する。
なお、上記各式に代入する輝度データ(K600)は、300dpiの3画素×3画素の中心の画素に相当する600dpiの2×2画素の4画素分である。例えば、輝度データK600は、図9に示すK600(3,3)、K600(3,4)、K600(4,3)、K600(4,4)に相当し、高解像度化する対象画素は、図10に示すR300、G300、B300(2,2)である。
以上のように、高画質化回路74では、300dpiのカラーデータの9画素の中心に位置する600dpiの輝度データの36画素のデータを用いて、300dpiの1画素を600dpiの4画素のカラーデータに変換する。高画質化回路74では、注目画素を順次変えて上述の処理を全画素について実施する。この結果として、高画質化回路74は、300dpiのカラーデータを600dpiの高解像なカラーデータに変換する。
上記の高解像度変換処理の結果として得られる600dpiのカラーデータと600dpiのモノクロデータとの相関関係は、600dpiのカラーデータを求めるために用いた300dpiのモノクロデータと300dpiのカラーデータとの相関関係と同等となる。すなわち、処理対象の範囲内(本処理例では、600dpiで9×9画素、300dpiで3×3画素)において、300dpiのデータで正の相関がある場合には600dpiのデータでも正の相関となり、300dpiのデータで負の相関がある場合には600dpiのデータでも負の相関となる。本実施例の高解像度変換処理では、高解像度の輝度データを用いて、低解像度のカラーデータの解像度を、彩度低下あるいは混色などの画質劣化なく、向上できる。
なお、輝度データとカラーデータとの相関関係を求めるための注目エリア(ある範囲)は、3画素×3画素のエリアに限定されるものではなく、適宜選択することが可能である。例えば、輝度データとカラーデータとの相関関係を求めるためのエリアは、5画素×5画素あるいは4画素×4画素などのエリアを適用しても良い。また、上記高解像度変換処理が適用されるカラーデータおよび輝度データの解像度はそれぞれ300dpi、600dpiに限定されるものではない。例えば、カラーデータが200dpiで、輝度データが400dpiであったり、カラーデータが600dpiで、輝度データが1200dpiであったりしても良い。
次に、ステップS104の異物検出結果に1が含まれる場合について説明する。異物検出結果に1が含まれる場合、RGB信号側に異物による画質劣化が発生する。図6に示すR信号R00〜R44、G信号G00〜G44、B信号B00〜B44、K信号K00〜K99の出力信号の一部に異物検出結果1が含まれている場合の例を図19の異物検出説明図1に示す。図19の説明図内では、縦ラインにR信号R02〜R42、G信号G02〜G42、B信号B02〜B42の範囲に異物の影響による画質劣化が発生している。この時、検出結果が0の時の高解像度変換処理を全画素にて行った場合、図10に示す縦2ラインのR信号R’04〜R’95、G信号G’04〜G’95、B信号B’04〜B’95の範囲の出力信号がRGB信号に異常があるため、劣化を起こす可能性がある。
よってこの場合、RGB信号に異常の有る画素とRGB信号に異常の無い画素で処理を切り替える。RGB信号に異常の有る画素では、RGB信号に異常の有る画素周辺でRGB信号に異常の無い画素を選択し、その選択された画素のRGBK信号を用いてR信号とK信号、G信号とK信号、及びB信号とK信号の相関係数を算出する。その相関係数とRGB信号に異常の有る画素のK信号の縦2ラインK04〜K95の信号を用いて、R信号Ra04〜Ra95、G信号Ga04〜Ga95、B信号Ba04〜Ba95(図20)を算出する。RGB信号に異常の無い画素に関しては、異物検出結果が0となっているので、上記検出結果0の場合に説明した高解像度変換処理を行う。処理を行った結果を図20に示す。検出結果1の部分を周辺画素から算出した相関係数とK信号を用いることにより、画質劣化を補正する。
次に、ステップS105の検出結果に2が含まれる場合について説明する。異物検出結果に2が含まれる場合、K信号側に異物による画質劣化が発生する。図6に示すR信号R00〜R44、G信号G00〜G44、B信号B00〜B44、K信号K00〜K99の出力信号の一部に異物検出結果2が含まれている場合の例を図20の異物検出説明図2に示す。図21の説明図内では、縦2ラインのK信号K04〜K95、の範囲に異物の影響による画質劣化が発生している。この時、検出結果0の時の高解像度変換処理を全画素にて行った場合、図10に示すR信号R’04〜R’95、G信号G’04〜G’95、B信号B’04〜B’95の範囲の出力信号がK信号の異常により劣化を起こす可能性がある。
よってこの場合、異物の有る画素と異物の無い画素で処理を切り替える。異物の有る画素では、K信号に異常が発生している為、高解像度変換処理を行う為に使用するK信号を使うことができない。よって、異物の有る画素では、高解像度変換処理を行わない。よって出力信号は低解像度のRGB信号を用いる。R信号R’04〜R’95、G信号G’04〜G’95、B信号B’04〜B’95の画素の範囲にそれぞれR信号R02〜R42、G信号G02〜G42、B信号B02〜B42を出力する。K信号の異常の無い画素に関しては、異物検出結果が0となっているので、上記検出結果0の場合に説明した高解像度変換処理を行う。処理を行った結果を図22に示す。異物検出結果が2の部分は、高解像度変換が行われていないが、異物によるノイズを除去することが可能となる。
上記に示したように、異常なし、RGB信号に異常有り、及びK信号に異常有りの3つの異物検出結果に基づいて処理を切り替えることにより、異物の付着による画質劣化を補正することができる。