以下に添付図面を参照して、画像形成装置の実施の形態を詳細に説明する。図1は、実施の形態にかかる画像形成装置1の構成を示す図である。図1に示すように、画像形成装置1は、画像読取装置としての機能を有する自動原稿搬送装置(ADF:Auto Document Feeder)10と、給紙部2と、画像形成部3とを備えている。
給紙部2は、用紙サイズの異なる記録紙を収納する給紙カセット21,22と、給紙カセット21,22に収納された記録紙を画像形成部3の画像形成位置まで搬送する各種ローラーからなる給紙手段23とを有している。
画像形成部3は、露光装置31と、感光体ドラム32と、現像装置33と、転写ベルト34と、定着装置35とを備えている。画像形成部3は、ADF10内部の画像読取部により読み取られた原稿の画像データに基づいて、露光装置31により感光体ドラム32を露光して感光体ドラム32に潜像を形成し、現像装置33により感光体ドラム32に異なる色のトナーを供給して現像するようになっている。そして、画像形成部3は、転写ベルト34により感光体ドラム32に現像された像を給紙部2から供給された記録紙に転写した後、定着装置35により記録紙に転写されたトナー画像のトナーを溶融して、記録紙にカラー画像を定着するようになっている。
次に、ADF10について詳述する。図2は、ADF10の構成を示す断面図である。図3は、ADF10を制御するコントローラ11及びその周辺の概要を示すブロック図である。ADF10は、被読取原稿を固定された読取装置部に搬送し、所定の速度で搬送しながら画像読取を行う。コントローラ11は、図示しないCPUを含み、ADF10を構成する各部を制御する。
ADF10は、原稿セット部A、分離給送部B、レジスト部C、ターン部D、第1読取搬送部E、第2読取搬送部F、排紙部G、及びスタック部Hを有する。原稿セット部Aは、読取原稿束をセットする。分離給送部Bは、セットされた原稿束から一枚毎に原稿を分離して給送する。レジスト部Cは、給送された原稿を一次突当整合する働きと、整合後の原稿を引き出し搬送する働きを有する。ターン部Dは、搬送される原稿をターンさせて、原稿面を読取り側(下方)に向けて搬送する。第1読取搬送部Eは、原稿の表面画像を、コンタクトガラスの下方より読取を行わせる。第2読取搬送部Fは、読取後の原稿の裏面画像を読み取る。排紙部Gは、表裏の読取が完了した原稿を機外に排出する。スタック部Hは、読取完了後の原稿を積載保持する。
読取を行う原稿束130をセットするのは、可動原稿テーブル131を含む原稿テーブル132上で、原稿面を上向きの状態でセットする。更に原稿束130の幅方向を図示しないサイドガイドによって搬送方向と直行する方向の位置決めを行う。原稿のセットはセットフィラー133、原稿セットセンサ100により検知され、I/F114により本体制御部122に送信される。
更に原稿テーブル面に設けられた原稿長さ検知センサ134又は135(反射型センサ又は、原稿1枚も検知可能なアクチュエーター・タイプのセンサが用いられる)により原稿の搬送方向長さの概略が判定される。
可動原稿テーブル131は、底板上昇モータ112により図に示すa、b方向に上下動可能な構成になっていて、原稿がセットされた事をセットフィラー133、原稿セットセンサ100により検知すると底板上昇モータ112を正転させて原稿束130の最上面がピックアップローラー148と接触するように可動原稿テーブル131を上昇させる。ピックアップローラー148は、ピックアップモータ108によりカム機構で図に示すc、d方向に動作すると共に、可動原稿テーブル131が上昇し可動原稿テーブル131上の原稿上面により押されてc方向に上がり給紙適正位置センサ102により上限を検知可能となっている。
操作部121よりプリントキーが押下され、本体制御部122からI/F114を介してコントローラ11に原稿給紙信号が送信されると、ピックアップローラー148は給紙モータ109の正転によりコロが回転駆動し、原稿テーブル132上の数枚(理想的には1枚)の原稿をピックアップする。回転方向は、最上位の原稿を給紙口に搬送する方向である。なお、操作部121は、ユーザによる入力に応じて、ADF10に対する設定を行う設定部となっている。
給紙ベルト136は、給紙モータ109の正転により給紙方向に駆動され、リバースローラー137は給紙モータ109の正転により給紙と逆方向に回転駆動され、最上位の原稿とその下の原稿を分離して、最上位の原稿のみを給紙できる構成となっている。さらに詳しく説明すると、リバースローラー137は給紙ベルト136と所定圧で接し、給紙ベルト136と直接接している時、又は原稿1枚を介して接している状態では給紙ベルト136の回転につられて反時計方向に連れ回りし、原稿が2枚以上給紙ベルト136とリバースローラー137の間に侵入した時は連れ回り力がトルクリミッターのトルクよりも低くなるように設定されており、リバースローラー137は本来の駆動方向である時計方向に回転し、余分な原稿を押し戻す働きをし、重送が防止される。
給紙ベルト136とリバースローラー137との作用により1枚に分離された原稿は給紙ベルト136によって更に送られ、突き当てセンサ105によって先端が検知され更に進んで停止しているプルアウトローラー138に突き当たる。その後突き当てセンサ105の検知から所定量定められた距離送られ、結果的には、プルアウトローラー138に所定量撓みを持って押し当てられた状態で給紙モータ109を停止させることにより、給紙ベルト136の駆動が停止する。この時、ピックアップモータ108を回転させることでピックアップローラー148を原稿上面から退避させ原稿を給紙ベルト136の搬送力のみで送ることにより、原稿先端は、プルアウトローラー138の上下ローラー対のニップに進入し、先端の整合(スキュー補正)が行われる。
プルアウトローラー138は、スキュー補正機能を有すると共に、分離後にスキュー補正された原稿を中間ローラー139まで搬送するためのローラーで、給紙モータ109の逆転により駆動される。またこの時(給紙モータ109逆転時)、プルアウトローラー138と中間ローラー139は駆動されるが、ピックアップローラー148と給紙ベルト136は駆動されていない。
原稿幅センサ104は奥行き方向に複数個並べられ、プルアウトローラー138により搬送された原稿の搬送方向に直行する幅方向のサイズを検知する。また、原稿の搬送方向の長さは原稿の先端後端を突き当てセンサ105で読取ることによりモータパルスから原稿の長さを検知する。
プルアウトローラー138及び中間ローラー139の駆動によりレジスト部Cからターン部Dに原稿が搬送される際には、レジスト部Cでの搬送速度を第1読取搬送部Eでの搬送速度よりも高速に設定して原稿を読取部へ送り込む処理時間の短縮が図られている。原稿先端が読取入口センサ103により検出されると、読取入口ローラー140の上下ローラー対のニップに原稿先端が進入前に、原稿搬送速度を読取搬送速度と同速にする為に減速を開始すると同時に、読取モータ110を正転駆動して読取入口ローラー140、読取出口ローラー141、CIS出口ローラー142を駆動する。原稿の先端をレジストセンサ107にて検知すると、所定の搬送距離をかけて減速し、読取位置143の手前で一時停止すると共に、本体制御部122にI/F114を介してレジスト停止信号を送信する。
続いて本体制御部122より読取り開始信号を受信すると、レジスト停止していた原稿は、読取位置に原稿先端が到達するまでに所定の搬送速度に立上がるように増速されて搬送される。読取モータ110のパルスカウントにより検出された原稿先端が読取部に到達するタイミングで、本体制御部122に対して第1面の副走査方向有効画像領域を示すゲート信号が、第1読取部を原稿後端が抜けるまで送信される。
片面原稿読取りの場合には、第1読取搬送部Eを通過した原稿は第二読取り部を経て排紙部Gへ搬送される。この際、排紙センサ106により原稿の先端を検知すると、排紙モータ111を正転駆動して排紙ローラー144を反時計方向に回転させる。また、排紙センサ106による原稿の先端検知からの排紙モータパルスカウントにより、原稿後端が排紙ローラー144の上下ローラー対のニップから抜ける直前に排紙モータ駆動速度を減速させて、排紙トレイ145上に排出される原稿が飛び出さない様に制御される。
両面原稿読取りの場合には、排紙センサ106にて原稿先端を検知してから読取りモータのパルスカウントにより第2読取部113に原稿先端が到達するタイミングで第2読取部113に対してコントローラ11から副走査方向の有効画像領域を示すゲート信号が読取り部を原稿後端が抜けるまで送信される。第2読取ローラー146は、第2読取り部における原稿の浮きを抑えると同時に、第2読取部113におけるシェーディングデータを取得する為の基準白部(白色基準部材)を兼ねるものである。なお、ADF10は、第2読取ローラー146に代えて、固定された板状の白色基準部材が設けられてもよい。
次に、第2読取部113について詳述する。図4は、第2読取部113の概要を例示する図である。第2読取部113は、例えば一方向に延びるロッドレンズアレイを用いた読取モジュール(CIS:Contact Image Sensor)となっている。第2読取部113においては、例えばLEDなどの光源部40が主走査方向に延びる導光体41の両端にそれぞれ設けられている。導光体41、ロッドレンズアレイ42及びセンサ基板43は、それぞれ略平行に配置されている。光源部40及び導光体41は、一方向に延びて光を照射する照射部となっている。ロッドレンズアレイ42は、主走査方向に配列された略同じ直径の複数のロッドレンズ420を有する。なお、略同じとは、差分が所定の閾値以下であることをいう。センサ基板43には、例えば約7000画素分のセンサ(光電変換素子)430が主走査方向に配列されている。ロッドレンズアレイ42は、照射部が照射した光の原稿や白色基準部材による反射光(又は透過光)をセンサ430へ結像する。各センサ430は、ロッドレンズアレイ42により結像された光の光量を、主走査方向に配列された複数の画素を示す電気信号に変換する。
ロッドレンズ420は、中心付近では光を集光し易く出力が高いが、端部においては出力が低下する。そのため、ロッドレンズアレイ42は、ロッドレンズ420が配列された周期で出力の高い位置と低い位置が周期的に発生する。
図5は、第2読取部113の電気回路の要部を例示するブロック図である。図5に示すように、第2読取部113は、LED、蛍光灯、又は冷陰極管などからなる光源部500を有する。なお、光源部500は、図4に示した光源部40及び導光体41に相当し、図示しない導光体などと共に光を主走査方向に照射する照射部を構成する。また、図5に示した第2読取部113を構成する各部は、コントローラ11の制御によって動作する。
また、第2読取部113は、主走査方向(原稿幅方向に対応する方向)に並ぶ複数のセンサ(光電変換素子)501、それぞれのセンサ501に個別に接続された複数のアンプ回路502、それぞれのアンプ回路502に個別に接続された複数のA/D変換部503も有している。A/D変換部503の出力信号には、信号成分以外に黒レベルオフセットがある。第2読取部113は、黒レベルオフセットを除去する黒補正部504を有している。黒補正部504の出力信号に対し、光源部500のムラやセンサ501の感度不均一による画像データへの影響の除去をする白補正を白補正部6が行う。また、白補正部6は、白色基準部材を読み取り、この白色基準部材の読み取り結果と過去の白色基準部材の読み取り結果との比較に基づいて光量低下の度合い(補正係数)を求め、シェーディング補正データによる補正結果にさらに補正する機能も搭載していてもよい。更に、第2読取部113は、画像処理部506、フレームメモリ507、出力制御回路508、I/F回路509なども有している。
センサ501は、例えば等倍密着イメージセンサ(CIS)と称される光電変換素子と図示しない集光レンズ(ロッドレンズ)とを具備する。第2読取部113による読取位置に図示しない原稿が進入するのに先立って、コントローラ11から光源部500に点灯ON信号が送られる。これにより、光源部500が点灯し、その光を図示しない原稿に向けて照射する。
原稿で反射した反射光は、複数のセンサ501において、集光レンズによって光電変換素子に集光されて画像情報として読み取られる。それぞれのセンサ501で読み取られた画像情報は、アンプ回路502によって増幅された後、A/D変換部503によってデジタル画像情報(複数の画素それぞれの画素値)に変換される。デジタル画像情報は、例えば8bitで示される場合には、黒の画素値が0となり、白の画素値が255となる。
これらデジタル画像情報は、黒補正部504によりオフセット成分を除去(黒補正)され、白補正部6により補正され、画像処理部506に入力されてライン間補正などが施された後、フレームメモリ507に一時記憶される。
その後、デジタル画像情報は、出力制御回路508によって本体制御部122に受入可能なデータ形式に変換された後、I/F回路509を経由して本体制御部122に出力される。なお、コントローラ11からは原稿の先端が第2読取部113による読取位置に到達するタイミング(そのタイミング以降の画像データが有効データとして扱われる)を知らせるためのタイミング信号や光源の点灯信号、電源等が出力されるようになっている。
次に、白補正部6について詳述する。図6は、白補正部6の概要を示す機能ブロック図である。図6に示すように、白補正部6は、第1記憶部60、第1比較部61、第2比較部62、判定部63、第1補正部64及び第2補正部65を有する。
第1記憶部60は、例えば揮発性メモリなどであり、黒補正部504がオフセット成分を除去した画素データ(シェーディングデータ)を記憶し、白補正部6内で補正された画素データを画像処理部506からのアクセスによって出力する。ここで、第1記憶部60は、ADF10が白色基準部材を読取る動作を行った場合に、シェーディングデータを記憶する。また、第1記憶部60は、ADF10が原稿を読取る動作を行った場合には、シェーディングデータを保持しつつ、原稿画像を示す画素データを記憶する。つまり、第1記憶部60は、シェーディングデータと、原稿画像を示す画素データとの両方を記憶する機能を有する。
第1比較部61は、光源部40及び導光体41(照射部)が白色基準部材に照射する光の反射光をロッドレンズ420それぞれがセンサ430に結像した場合に、シェーディングデータにおける注目画素の画素データと、注目画素からロッドレンズ420の配列間隔の略整数倍の間隔をあけてセンサ430が光電変換した第1比較画素の画素データとを比較する。なお、略整数倍とは、整数倍に対する差分が所定の閾値以下であることをいう。
第2比較部62は、シェーディングデータにおける注目画素の画素データと、第1比較画素とは異なる画素であり注目画素からロッドレンズ420の配列間隔の略整数倍の間隔をあけてセンサ430が光電変換した第2比較画素の画素データとを比較する。
判定部63は、第1比較部61が比較した結果、及び第2比較部62が比較した結果のいずれもが予め定められた閾値を超える相違を示す場合に、シェーディングデータにおける注目画素の画素データは有効でないと判定する。
第1補正部64は、画素データは有効でないと判定部63が判定した注目画素に対応する画素データを、第1比較画素又は第2比較画素の画素データによって置換することにより、シェーディングデータにおける画素データを補正する。
第2補正部65は、第1記憶部60が記憶する原稿画像を示す画素データに対し、(補正されたシェーディングデータを用いて)照射部のムラやセンサ430(センサ501)の感度不均一による画像データへの影響の除去をする白補正を行う。また、第2補正部65は、白色基準部材の読み取り結果と過去の白色基準部材の読み取り結果との比較に基づいて光量低下の度合い(補正係数)を求め、シェーディングデータをさらに補正する機能も有する。
なお、白補正部6は、第2補正部65を備えない構成にされてもよい。この場合、第2補正部65に代えて、例えば画像処理部506が白補正を行うようにされればよい。
図7は、第1補正部64及び第2補正部65が補正を行う前に、第1記憶部60が記憶しているシェーディングデータを示す図である。図8は、第1補正部64及び第2補正部65が補正を行う前に、第1記憶部60が記憶している異物の影響を受けたシェーディングデータを示す図である。
密着型イメージセンサでは、原稿からの反射光は、主走査方向に配列された複数のロッドレンズ420(ロッドレンズアレイ42)によりセンサ430に集光されるため、入力される光量はロッドレンズ420の配列間隔とほぼ同じ周期で変化する。したがって、シェーディングデータ(白色基準部材からの反射光の光量)もロッドレンズ420の配列間隔と略同じ周期で変化する。
例えば、ロッドレンズ420の配列間隔は14画素相当であるため、図7に示すようにシェーディングデータにも14画素周期の変動が現れている。ここで、白色基準部材の表面に紙粉などの異物があった場合は、異物箇所のシェーディングデータは、出力レベルが低下又は上昇する。この異物による出力レベルの変化量を抽出すると、抽出した変化量が所定の閾値を越えた場合に異物ありと判断することができる。
ただし、例えば図8に示したように、複数のロッドレンズ420による周期的な光量の変動量が10digitであり、異物による変化量も10digitであり、異物ありと判定する閾値を5digitとすると、誤って異物の判定がなされる。つまり、異物がある画素データaと、異物がない画素データbと比較した場合、差分が略0digitになるため、異物なしと判断されてしまう。また、異物がない画素データbと、異物がない画素データcとを比較した場合は、差分が10digitとなり、異物ありと判断されてしまう。このように、第1補正部64及び第2補正部65が補正を行う前に、第1記憶部60が記憶しているシェーディングデータでは、有効でない画素データを精度よく検出することができないために、精度よくシェーディングデータを生成することを可能にできない。
次に、白補正部6を有するADF10が精度よくシェーディングデータを生成するために行う処理について説明する。図9は、白補正部6を有するADF10が精度よくシェーディングデータを生成するために行う処理を示すフローチャートである。
ステップ100(S100)において、黒補正部504は、センサ501のオフセット成分を除去するために必要となる光源部500がオフの状態(光源消灯時)の読取データを取得し、画素毎の黒レベルデータを生成する。
ステップ102(S102)において、コントローラ11は、光源部500を点灯させる(光源点灯)。
ステップ104(S104)において、センサ501は、基準白板などの白色基準部材を読み取る。
ステップ106(S106)において、黒補正部504は、S104の処理で読取った画素データから、S100の処理で生成した黒レベルデータを減じることにより、シェーディングデータを生成する(黒補正)。
ステップ108(S108)において、コントローラ11は、S106の処理で生成したシェーディングデータを第1記憶部60に格納する。
ステップ110(S110)において、白補正部6は、画素毎にシェーディングデータが有効であるか否かの判定(異常判定)を行い、有効でない(異常あり)と判定した画素データを補正する。
ステップ112(S112)において、白補正部6は、S110の処理で補正した画素データを第1記憶部60に格納する。つまり、第1記憶部60には、異物の影響が除去されたシェーディングデータが格納される。
図10は、白補正部6を有するADF10がシェーディングデータに対して行う判定(異常判定)と、画素データを補正するために行う処理の詳細を示すフローチャートである。
ステップ200(S200)において、コントローラ11は、異常判定対象の画素(注目画素)の主走査方向の位置を示すポインタPを初期化する。例えば、コントローラ11は、ポインタPの値を15とする。
ステップ202(S202)において、第1比較部61及び第2比較部62は、第1記憶部60からポインタPが示す画素データ(SD0:注目画素)を読み出す。
ステップ204(S204)において、第1比較部61は、第1記憶部60からポインタ(P+14)が示す画素データを読み出し、第1比較画素データ(SD1)とする。
ここで、第1比較部61は、複数のロッドレンズ420(ロッドレンズアレイ42)による周期的な光量変動を考慮して、ロッドレンズ420の配列間隔の略整数倍(例えば1倍)離れた位置の画素データを第1比較画素データとしている。ただし、第1比較画素データの位置は、異常判定対象の画素に対してなるべく近いほうが、シェーディングデータの主走査方向における緩やかな変動の影響等による誤差が小さくなるため望ましい。ここでは、第1比較画素データは、異常判定対象となる画素位置からロッドレンズ420の配列間隔の1周期にあたる14画素分離れた画素データとされている。よって、第1比較部61は、第1記憶部60からポインタ(P+14)が示す画素データを読み出している。
ステップ206(S206)において、第1比較部61は、異常判定対象の画素データと第1比較画素データの差分の絶対値を下式1によって算出する。
△SD1=|SD0−SD1| ・・・(1)
ステップ208(S208)において、第1比較部61は、△SD1が所定の閾値(例えば5digit)を超えているか否かを判定する。△SD1が所定の閾値を超えている場合、SD0及びSD1のいずれかに異常があるとしている。コントローラ11は、△SD1が所定の閾値を超えていると第1比較部61が判定した場合(S208:Yes)には、S210の処理に進む。また、コントローラ11は、△SD1が所定の閾値以下であると第1比較部61が判定した場合(S208:No)には、S218の処理に進む。
ステップ210(S210)において、第2比較部62は、第1記憶部60からポインタ(P−14)が示す画素データを読み出し、第2比較画素データ(SD2)とする。
ここで、第2比較部62は、第1比較画素データとは異なる位置の画素データであり、且つ複数のロッドレンズ420(ロッドレンズアレイ42)による周期的な光量変動を考慮して、ロッドレンズ420の配列間隔の略整数倍(例えば1倍)離れた位置の画素データを第2比較画素データとしている。ただし、第2比較画素データの位置は、異常判定対象の画素に対してなるべく近いほうが、シェーディングデータの主走査方向における緩やかな変動の影響等による誤差が小さくなるため望ましい。ここでは、第2比較画素データは、異常判定対象となる画素位置からロッドレンズ420の配列間隔の−1周期分離れた画素データとされている。よって、第2比較部62は、第1記憶部60からポインタ(P−14)が示す画素データを読み出している。
ステップ212(S212)において、第2比較部62は、異常判定対象の画素データと第2比較画素データの差分の絶対値を下式2によって算出する。
△SD2=|SD0−SD2| ・・・(2)
ステップ214(S214)において、第2比較部62は、△SD2が所定の閾値(例えば5digit)を超えているか否かを判定する。コントローラ11は、△SD2が所定の閾値を超えていると第2比較部62が判定した場合(S214:Yes)には、S216の処理に進む。また、コントローラ11は、△SD2が所定の閾値以下であると第2比較部62が判定した場合(S214:No)には、S218の処理に進む。
ステップ216(S216)において、判定部63は、第1比較部61が比較した結果、及び第2比較部62が比較した結果のいずれもが予め定められた閾値(例えば5digit)を超える相違を示していることにより、注目画素(SD0)の画素データは有効でない(異常である)と判定する。そして、第1補正部64は、異常判定対象の画素データ(SD0)を第1比較画素データ(SD1)で置換し、第1記憶部60に書き込む(SD0←SD1)。なお、第1補正部64は、異常判定対象の画素データ(SD0)を第1比較画素データ(SD1)に代えて第2比較画素データ(SD2)で置換し、第1記憶部60に書き込んでもよい(SD0←SD2)。
ステップ218(S218)において、コントローラ11は、処理した画素が最終画素か否かを判定する。コントローラ11は、処理した画素が最終画素でない場合(S218:No)には、S220の処理に進む。また、コントローラ11は、処理した画素が最終画素である場合(S218:Yes)には、処理を終了する。
ステップ220(S220)において、コントローラ11は、異常判定対象の画素の位置を示すポインタをインクリメント(P=P+1)し、S202の処理に進む。
なお、シェーディングデータの主走査方向の両端側の画素(先端側14画素、後端側14画素)に関しては、図10に示した例では比較する画素データがないため、異常判定ができないことになる。しかし、主走査方向両端側の画素に対しては、比較する画素データを異常判定対象の画素の前後に14画素離れた画素ではなく、後方に14画素離れた画素と28画素離れた画素、又は前方に14画素離れた画素と28画素離れた画素とすれば、異常判定ができる。又は、シェーディングデータの主走査方向両端側に対しては、予め異常判定範囲から除外しておけばよい。このとき、画像読取装置のイメージセンサの読取範囲は、通常、原稿読取領域よりも大きいため、主走査両端側の画素データは画像読取りに使われないことが多く、大きな問題とはならない。
また、ADF10は、異常判定対象となる画素データSD0と比較画素データ(SD1、SD2)との比較は、差分でなくてもよい。例えば、ADF10は、比率(SD1/SD0、1−SD1/SD0など)と所定の閾値とを比較して異常判定をすることにより、異物範囲を検出するように構成されてもよい。
図11は、ADF10がシェーディングデータに対して異常判定を行った結果を示す図である。図11(a)は、主走査方向における異常判定対象のシェーディングデータ(SD0)を示す。図11(b)は、SD0と比較される第1比較画素データ(SD1)を示す。また、図11(c)は、SD0と比較される第2比較画素データ(SD2)を示す。
なお、第1比較画素データSD1は、シェーディングデータSD0の位相をロッドレンズアレイ42による周期変動の1周期分(+14画素)ずらしたデータとする。また、第2比較画素データSD2は、シェーディングデータSD0の位相をロッドレンズアレイ42による周期変動の−1周期分(−14画素)ずらしたデータとする。
ここで、第1比較部61がSD0とSD1の差分の絶対値△SD1を算出すると、図11(d)に示すように、ロッドレンズアレイ42による光量の周期的な変動分が除去される。よって、白色基準部材に付着した異物による変動成分が抽出できるため、△SD1の各画素は、所定の閾値(T)より大きい場合には異常である可能性があると判断される。
この時点では、位置P=n付近の画素データと、位置P=nから−14画素離れた位置のP=n−14付近の画素データのどちらかに異物があることになる。つまり、位置P=n−14付近において、SD0には異物がない。しかし、異物のあるSD1との差分が算出されるため、位置P=n−14付近においても異物による変動成分が抽出されてしまう。
次に、第2比較部62がSD0とSD2の差分の絶対値△SD2を算出すると、図11(e)に示すように、ロッドレンズアレイ42による光量の周期的な変動分が除去される。よって、白色基準部材に付着した異物による変動成分が抽出できるため、△SD2の各画素は、所定の閾値より大きい場合には異常である可能性があると判断される。
ここで、判定部63は、△SD1で異常である可能性があると判断され、△SD2でも異常である可能性があると判断された位置を、異物がある範囲(画素列)と判定する。つまり、精度よくシェーディングデータを生成することを可能にしている。
そして、第1補正部64は、判定部63が異物範囲と判定した位置において、SD0の画素データを、SD1又はSD2の画素データに置き換えて第1記憶部60に格納する。つまり、ロッドレンズアレイ42による光量の周期的な変動を再現でき、精度のよいシェーディングデータを生成することができる。
次に、第1比較画素及び第2比較画素の位置について説明する。第1比較画素及び第2比較画素の位置は、白色基準部材へ付着することなどによりシェーディングデータに有効でない(異常である)画素データを生じさせる異物の大きさに応じて予め又は設定により決定される。
つまり、ユーザがシェーディングデータから除去したい有効でない画素列の長さ(検出対象の異物の大きさに相当)に応じて、第1比較画素及び第2比較画素の位置は決定される。ここで、異物の大きさは、複数の隣接する画素の画素データが有効でないことを判定部63が判定すべき複数の隣接する画素が形成する画素列により示される。例えば、第1比較画素データ及び第2比較画素データの位置は、ユーザが操作部(設定部)121を介して入力したデータに応じて設定される。
例えば、シェーディングデータSD0のユーザが除去したい異物範囲が600dpiで24画素(約1mmの異物を検出可能)の場合、第1比較画素データは、異常検出対象画素から24画素以上離れており、且つロッドレンズ420の配列間隔の略整数倍の位置の画素データとなればよい。つまり、第1比較画素データは、異常検出対象画素から28画素(2周期)分離れた位置の画素データとなる。ここで、24画素は、検出対象の異物の大きさに相当する設定された画素列の最短長である。
また、第2比較画素データは、異常検出対象画素から24画素以上離れており、且つロッドレンズ420の配列間隔の略整数倍の位置の第1比較画素データとは異なる画素データとされる。
ただし、例えば図12(b)、(c)に示したように、第1比較画素データを異常判定対象画素(注目画素)から前方に2周期分離れた位置の画素データとし、第2比較画素データを前方に3周期分離れた位置の画素データとした場合、検出(有効でないと判定)される異物範囲は、図12(e)に示した異物範囲A,Bの2箇所となる。つまり、異物範囲Bは、本来異物がない範囲にも関わらず異物があると判定されてしまう。
このように、第1比較画素データと第2比較画素データの位置関係は、シェーディングデータから除去(又は検出)したい異物範囲の大きさに応じて設定されなければ、異物範囲の誤検出を生じさせる可能性がある。
そこで、注目画素と第2比較画素との間隔は、注目画素と第1比較画素との間隔の略2倍以上の間隔であるように設定されることにより、異物範囲の誤検出を防止することができる。例えば、図13に示したように、異物範囲が24画素である場合、注目画素と第1比較画素との間隔はロッドレンズ420の2周期分(28画素)に設定され、注目画素と第2比較画素との間隔はロッドレンズ420の4周期分(56画素)に設定される。なお、検出対象の異物の大きさに相当する画素列の最短長は、ユーザの操作に応じて操作部121が設定する。
つまり、白補正部6は、第1比較部61、第2比較部62及び判定部63によって有効でない画素データを精度よく検出することができ、第1補正部64が画素データを補正するので、精度よくシェーディングデータを生成することができる。
(白補正部の変形例)
次に、白補正部6の変形例について説明する。図14は、白補正部6の変形例(白補正部6a)の概要を示す機能ブロック図である。図14に示すように、白補正部6aは、第2記憶部66、除去部67、第1記憶部60、第1比較部61、第2比較部62、判定部63、第1補正部64及び第2補正部65を有する。なお、図14に示した白補正部6aを構成する各部において、図6に示した白補正部6を構成する各部と実質的に同一の機能を有する部分には同一の符号が付してある。
第2記憶部66は、例えば揮発性メモリなどであり、黒補正部504がオフセット成分を除去した画素データ(シェーディングデータ)を記憶する。なお、第2記憶部66は、少なくともADF10が白色基準部材を読取る動作を行った場合に、シェーディングデータを記憶する。除去部67は、第2記憶部66が記憶するシェーディングデータにおける画素データに対し、導光体41を含む照射部の長さに対応する周期で変動する成分(低周波数成分)を除去する。
図15は、除去部67が低周波数成分を除去する前後のシェーディングデータを示す図である。図15(a)に示すように、主走査方向端部のシェーディングデータは、主走査方向の緩やかな変動(低周波数成分)による光量の低下と、複数のロッドレンズ420による周期的な光量の変動とを含む。このため、異物がない範囲でも異常判定対象画素データと比較画素データの差が大きくなり、判定部63が異常と判定してしまい誤検出が発生してしまう可能性がある。
まず、除去部67は、第2記憶部66が記憶しているシェーディングデータを平滑化することにより、シェーディングデータの低周波数成分を抽出する。次に、除去部67は、第2記憶部66が記憶しているシェーディングデータから、抽出したシェーディングデータの低周波数成分を減じる。これにより、除去部67は、図15(b)に示した低周波数成分を除去したシェーディングデータ(FSD0)を算出することができる。低周波数成分を除去したシェーディングデータ(FSD0)は、ロッドレンズアレイ42による光量の周期変動と、異物による変動とを含むデータである。そして、除去部67は、低周波数成分を除去したシェーディングデータを上書きとして第2記憶部66に記憶させる。
第1比較部61は、除去部67が低周波数成分を除去したシェーディングデータにおける注目画素及び第1比較画素の画素データを比較する。第2比較部62は、除去部67が低周波数成分を除去したシェーディングデータにおける注目画素及び第2比較画素の画素データを比較する。
判定部63は、第1比較部61が比較した結果、及び第2比較部62が比較した結果のいずれもが予め定められた閾値を超える相違を示す場合に、シェーディングデータ(FSD0)における注目画素の画素データは有効でないと判定する。
第1補正部64は、シェーディングデータ(FSD0)における有効でないと判定部63が判定した注目画素と、第1比較画素(又は第2比較画素)のそれぞれの画素位置を用いて、画素位置が対応している第1記憶部60が記憶した(低周波数成分を除去されていない)シェーディングデータにおける注目画素の画素データを補正する。つまり、第1補正部64は、画素位置が対応している第1比較画素(又は第2比較画素)の画素データによって注目画素の画素データを置換することにより、第1記憶部60が記憶している(低周波数成分を除去されていない)シェーディングデータにおける画素データを補正する。
第2補正部65は、第1記憶部60が記憶する原稿画像を示す画素データに対し、(補正されたシェーディングデータを用いて)照射部のムラやセンサ430(センサ501)の感度不均一による画像データへの影響の除去をする白補正を行う。また、第2補正部65は、白色基準部材の読み取り結果と過去の白色基準部材の読み取り結果との比較に基づいて光量低下の度合い(補正係数)を求め、シェーディングデータをさらに補正する機能も有する。
なお、第2記憶部66は、第1記憶部60が有する機能を全て備えていてもよい。また、第2記憶部66及び第1記憶部60は、例えば1つの揮発性メモリ内に構成され、低周波数成分を除去したシェーディングデータ、補正されたシェーディングデータ、及び原稿画像を示す画素データを記憶するように構成されてもよい。
図16は、変形例の白補正部6aを有するADF10がシェーディングデータに対して行う判定(異常判定)と、画素データを補正するために行う処理の詳細を示すフローチャートである。
ステップ300(S300)において、コントローラ11は、異常判定対象の画素(注目画素)の主走査方向の位置を示すポインタPを初期化する。例えば、コントローラ11は、ポインタPの値を15とする。
ステップ302(S302)において、第1比較部61及び第2比較部62は、第2記憶部66からポインタPが示す画素データ(FSD0:注目画素)を読み出す。
ステップ304(S304)において、第1比較部61は、第2記憶部66からポインタ(P+14)が示す画素データを読み出し、第1比較画素データ(FSD1)とする。
ステップ306(S306)において、第1比較部61は、異常判定対象の画素データと第1比較画素データの差分の絶対値を下式3によって算出する。
△FSD1=|FSD0−FSD1| ・・・(3)
ステップ308(S308)において、第1比較部61は、△FSD1が所定の閾値(例えば5digit)を超えているか否かを判定する。△FSD1が所定の閾値を超えている場合、FSD0及びFSD1のいずれかに異常があるとしている。コントローラ11は、△FSD1が所定の閾値を超えていると第1比較部61が判定した場合(S308:Yes)には、S310の処理に進む。また、コントローラ11は、△FSD1が所定の閾値以下であると第1比較部61が判定した場合(S308:No)には、S318の処理に進む。
ステップ310(S310)において、第2比較部62は、第2記憶部66からポインタ(P−14)が示す画素データを読み出し、第2比較画素データ(FSD2)とする。
ステップ312(S312)において、第2比較部62は、異常判定対象の画素データと第2比較画素データの差分の絶対値を下式4によって算出する。
△FSD2=|FSD0−FSD2| ・・・(4)
ステップ314(S314)において、第2比較部62は、△FSD2が所定の閾値(例えば5digit)を超えているか否かを判定する。コントローラ11は、△FSD2が所定の閾値を超えていると第2比較部62が判定した場合(S314:Yes)には、S316の処理に進む。また、コントローラ11は、△FSD2が所定の閾値以下であると第2比較部62が判定した場合(S314:No)には、S318の処理に進む。
ステップ316(S316)において、判定部63は、第1比較部61が比較した結果、及び第2比較部62が比較した結果のいずれもが予め定められた閾値(例えば5digit)を超える相違を示していることにより、第2記憶部66が記憶している注目画素(FSD0)に対応する画素位置の第1記憶部60が記憶している注目画素(SD0)の画素データは有効でない(異常である)と判定する。そして、第1補正部64は、異常判定対象の画素データ(SD0:P)を第1比較画素データ(SD1:P+14)で置換し、第1記憶部60に書き込む(SD0←SD1)。なお、第1補正部64は、異常判定対象の画素データ(SD0)を第1比較画素データ(SD1)に代えて第2比較画素データ(SD2)で置換し、第1記憶部60に書き込んでもよい(SD0←SD2)。
ステップ318(S318)において、コントローラ11は、処理した画素が最終画素か否かを判定する。コントローラ11は、処理した画素が最終画素でない場合(S318:No)には、S320の処理に進む。また、コントローラ11は、処理した画素が最終画素である場合(S318:Yes)には、処理を終了する。
ステップ320(S320)において、コントローラ11は、異常判定対象の画素の位置を示すポインタをインクリメント(P=P+1)し、S302の処理に進む。
このように、白補正部6aを有するADF10は、異常判定対象となるシェーディングデータに主走査方向の緩やかな変動があった場合にも、予め低周波成分を除去したシェーディングデータに対して異常判定を行うので、精度のよいシェーディングデータを生成することができる。
なお、上記実施の形態では、本発明の画像形成装置1をコピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能及びファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する複合機に適用した例を挙げて説明したが、複写機、スキャナ装置、ファクシミリ装置等の画像読取装置を備える画像形成装置であれば、いずれにも適用することができる。