JP5915123B2 - 画像読取装置および画像形成装置 - Google Patents

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Description

この発明は、原稿の表裏(おもて面と裏面)の画像を読み取る両面読み取り型の画像読取装置(デジタル複合機,デジタル複写機,ファクシミリ装置等の画像形成装置に通信可能に接続された画像読取装置あるいは単体の画像読取装置)、およびその画像読取装置を搭載した画像形成装置に関する。
上記のような画像読取装置では、原稿の表裏の画像を読み取る読取手段として、可動な読取開口部(可動ミラー部など)を有する第1読取手段(例えば原稿の表面画像を読み取る手段)と、固定された密着型の第2読取手段(例えば原稿の裏面画像を読み取る手段)とが使用されることが多い。そして、原稿の搬送性やシェーディングデータの生成を考えた場合に、第1読取手段と第2読取手段とで異なる背景部材を用いることがある。その場合、第1読取手段の背景部材はガイド板や搬送ベルトが、第2読取手段の背景部材は白板ローラがそれぞれ用いられることが既に知られている。
しかし、第1読取手段と第2読取手段とで異なる背景部材が使用されている場合に、薄紙原稿の画像読み取り時に背景部材の色味の影響を受けて、同じ原稿の画像を読んでも、その表裏の読み取り画像で色味に差が生じる。特に、無彩色では、僅かな色づきで異なる色に見えるようになるという問題があった。なお、色味とは、色の濃淡やずれの具合、色合い、あるいは色加減のことを云う。
上記問題をもう少し詳細に説明する。
原稿の表裏画像を読み取る際に、第1読取手段と第2読取手段とをそれぞれ構成するセンサに入射される光には、主に以下の2つがある。
(1)原稿からの反射光
(2)背景部材からの反射光
第1読取手段と第2読取手段とで異なる背景部材を使用している場合、第1読取手段と第2読取手段とでセンサに入射される原稿からの反射光は変わらない。
しかし、背景部材からの反射光は、使用している背景部材の分光特性の影響を受けるため、第1読取手段と第2読取手段とでセンサに入射される光量に差異が生じる。そして、原稿が薄くなるほど、原稿からの反射光の割合が減少し、背景部材からの反射光の割合が増加する。このように、背景部材の分光特性が異なることで、薄紙原稿の表裏画像の読み取り時に、その表裏の読み取り画像で色味に差異が生じる。
そこで、例えば特許文献1に見られるようなものが提案されている。
特許文献1には、原稿の表裏から読み取った表裏画像の色を合わせるため、画像読取装置自体が色補正チャートを出力し、色域全体あるいは特定の色相を基準に表裏画像の色を合わせる技術について開示されている。
しかしながら、特許文献1に記載のものでも、上述したような背景部材の影響による表裏画像の色味差という問題は解消できていない。
特許文献1に記載のものでは、出力した色補正チャートの紙厚と紙種が一致した場合に特定の色相のみ表裏で色を合わせる。しかし、薄紙原稿でチャートを作成した場合、それを表裏で読み取る時点で背景部材の影響を受けることになり、適切な補正ができない。
この発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、第1読取手段と第2読取手段とで異なる背景部材が使用されている場合でも、それらの背景部材の影響による表裏画像の色味差の発生を回避できるようにすることを目的とする。
この発明は、光源が点灯された状態で原稿の表面(おもて面)を主走査方向に光走査して、その原稿の表面からの反射光をアナログ画像信号に変換し、そのアナログ画像信号をデジタル信号に変換して出力することにより、上記原稿の表面画像を読み取る第1読取手段と、光源が点灯された状態で上記原稿の裏面を主走査方向に光走査して、その原稿の裏面からの反射光をアナログ画像信号に変換し、そのアナログ画像信号をデジタル信号に変換して出力することにより、上記原稿の裏面画像を読み取る第2読取手段とを有し、上記第1読取手段と上記第2読取手段において異なる背景部材を用いる画像読取装置であって、上記の目的を達成するため、以下のようにしたことを特徴とする。
この発明による画像読取装置は、上記第1読取手段と上記第2読取手段の出力のうち、上記原稿の表面および裏面の地肌部分にそれぞれ対応する出力を地肌出力として検出する地肌出力検出手段と、それによって検出された上記第1読取手段と上記第2読取手段の地肌出力の比率から上記原稿の厚みを算出する厚み算出手段と、それによる算出結果に基づいて、上記第1読取手段および上記第2読取手段による上記原稿の表面画像および裏面画像の読み取り時の出力を補正する出力補正手段とを設けたものである。
この発明の画像読取装置によれば、第1読取手段と第2読取手段とで異なる背景部材が使用されている場合でも、それらの背景部材の影響による表裏画像の色味差の発生を回避することができる。
この発明の第1実施形態である画像読取装置の機構部の構成例を示す図である。 その画像読取装置の制御系の構成例を示すブロック図である。 図1,図2の第2読取部25の制御系の要部構成例を示すブロック図である。 図1の第1読取部20の代わりに使用するスキャナ方式の第1読取部の概略構成例を示す縦断正面図である。 図1の第1読取部20によって原稿表面の画像を読み取る際のセンサへの入射光の説明に供する説明図である。
原稿の紙厚に対する背景部材の影響による原稿表面読み取り時のRGB出力の特性例を示す線図である。 同じく原稿表面読み取り時のRGB比率の特性例を示す線図である。 同じく原稿裏面読み取り時のRGB出力の特性例を示す線図である。 同じく原稿裏面読み取り時のRGB比率の特性例を示す線図である。 原稿の紙厚に対する原稿表裏の各読み取り時のレッドの出力の特性例を示す線図である。
同じくレッドの出力比率の特性例を示す線図である。 図11に示した関係に基づいた補正テーブルの概念の説明に供する線図である。 その補正テーブルの内容を示す図である。 図7に示した原稿の紙厚に対する原稿表面読み取り時のRGB比率の特性の一部を数値化したものである。 原稿表裏の各読み取り時のレッドの出力比率に対する原稿紙厚の特性例を示す線図である。
図7に示した原稿の紙厚に対する背景部材の影響による原稿表面読み取り時のRGB比率の特性に相当する線図である。 原稿全域で地肌を検出する処理の説明に供する説明図である。 原稿先端で地肌を検出する処理の説明に供する説明図である。 補正係数に対応する色空間マトリックスの一例を示す図である。 図2に示した本体制御部111およびコントローラ部100によるこの発明に関わる具体的な処理の一例を示すフロー図である。
この発明の第2実施形態である画像読取装置の制御系の機能構成例を示すブロック図である。 図21に示した画像読取装置における全域検出方式と先端検出方式を用いた連続動作を従来の読み取り方式を用いた連続動作と比較して示すタイミング図である。 同じく全域検出方式を用いた原稿両面に対する読み取り動作の第1例を示すフロー図である。 同じく先端検出方式を用いた原稿両面に対する読み取り動作の第1例を示すフロー図である。 同じく全域検出方式先端と先端検出方式を前原稿との比較により切り替える原稿両面に対する読み取り動作の一例を示すフロー図である。
同じく全域検出方式を用いた原稿両面に対する読み取り動作の第2例を示すフロー図である。 同じく全域検出方式を用いた原稿両面に対する読み取り動作の第2例を示すフロー図である。 同じく原稿裏面の読み取り画像データのみに実施する色味差補正を含む全域検出方式と先端検出方式を用いた連続動作を示すタイミング図である。 この発明の第3実施形態である画像形成装置の機構部の構成例を示す全体構成図である。
以下、この発明を実施するための形態について説明する。
以下の実施形態では、1パス両面同時読み取りを行うのに際して、以下の特徴を有する。つまり、原稿が薄くなるほど、原稿を透過する光が増加して出力が低下するが、低下の挙動は背景部材の反射光が異なることで表裏出力の変化に差異が生じる。その時の出力比率は、原稿の厚み(以下「紙厚」ともいう)に応じて変化する。この比率の変化より紙厚を特定し、対応している紙厚での背景部材の影響を排除する補正係数(背景部材の色味差補正係数)を用いて表面および裏面全域を補正することが特徴になっている。
そこで、その特徴について、図1〜図29を参照して具体的に説明する。なお、以下の実施形態では、読取原稿(以下単に「原稿」ともいう)を固定の読取部に搬送し、所定の速度で搬送しながら原稿の画像読み取りを行う自動原稿給送機能を有する画像読取装置を使用する例について説明する。また、説明の便宜上、原稿の表面又は裏面の画像を読み取ることと、原稿の表面又は裏面を読み取ることを同義とする。更に、原稿は紙を用いたものに限らないが、以下の実施形態では紙を用いたものとする。
〔第1実施形態〕
まず、この発明の第1実施形態である画像読取装置の構成について説明する。
図1は、その画像読取装置の機構部の構成例を示す図である。
図2は、その画像読取装置の制御系の構成例を示すブロック図である。なお、図2では、図示の都合上、図1の第1読取部20の図示を省略している。
この第1実施形態の画像読取装置は、自動原稿給送手段である自動原稿給送装置(以下「ADF」という)に原稿の表裏両面の画像を略同時に読み取るための第1,第2読取部を備えた両面同時読み取り型の画像読取装置(両面同時読取装置)である。
この画像読取装置は、図1に示すように、原稿束をセットする原稿セット部A、そのセットされた原稿束から1枚毎に原稿を分離して給送する分離給送部B、および分離給送部Bによって給送された原稿を一次突き当て整合する働きと、整合後の原稿を引き出し搬送する働きのレジスト部Cを備えている。
また、レジスト部Cによって搬送される原稿をターンさせて、その読み取り面(片面原稿であれば画像面,両面原稿であれば一方の面である表面)を読み取り側(下方)に向けて搬送するターン部D、および原稿の表面画像をコンタクトガラス18の下方より読み取る第1読取搬送部Eも備えている。
さらに、読み取り後の原稿(両面原稿)の裏面画像を読み取る第2読取搬送部F、表面画像又は両面画像の読み取りが完了した原稿を機外に排出する排紙部G、および読み取り完了後の原稿を積載保持するスタック部Hも備えている。
また、図2に示すように、上述した各搬送動作の駆動を行う各モータ101〜105、および一連の動作を制御するコントローラ部100も備えている。
画像読み取りを行う原稿束1をセットするのは、原稿セット部Aの可動原稿テーブル3を含む原稿テーブル2上であり、ユーザが原稿束1を画像面(両面原稿であれば表面)が上向きの状態でセットする。更に、原稿束1の幅方向(搬送方向と直交する方向)の位置決めを図示しないサイドガイドによって行う。原稿のセットは、セットフィラ4および原稿セットセンサ5により検知され、その検知情報がコントローラ部100からインタフェース(以下「I/F」ともいう)107により本体制御部111へ送信される。
さらに、原稿テーブル2のテーブル面に設けられた原稿長さ検知センサ30又は31(反射型センサ又は原稿1枚でも検知可能なアクチェータ・タイプのセンサが用いられる)により、原稿の搬送方向の長さの概略が判定される。なお、その判定を可能にするため、少なくとも同一原稿サイズの縦か横かを判断可能なセンサ配置が必要となる。
可動原稿テーブル3は、底板上昇モータ105により図1に示すa,b方向に上下動可能な構成になっていて、通常は底板HPセンサ6によって検知されるホームポジション(HP)に位置している。
その後、原稿がセットされたことをセットフィラ4および原稿セットセンサ5によって検知されると、その検知情報を受けたコントローラ部100が、底板上昇モータ105を正転させて、原稿束1の最上面がピックアップローラ7と接触する位置まで可動原稿テーブル3を上昇させる。
ピックアップローラ7は、ピックアップモータ101によりカム機構で図1に示すc,d方向に動作すると共に、可動原稿テーブル3が上昇し、可動原稿テーブル3上の原稿上面により押されてc方向に上がり、給紙適正位置センサ8により上限が検知可能となっている。
本体操作部108上のプリントキーが押下され、その旨がI/F106を介して本体制御部111へ通知され、その本体制御部111からI/F107を介してコントローラ部100へ原稿給紙信号が送信されると、ピックアップローラ7は給紙モータ102の正転によりコロが回転駆動し、原稿テーブル2上の数枚(理想的には1枚)の原稿をピックアップする。回転方向は、最上位の原稿を給紙口に搬送(給紙)する方向である。
給紙ベルト9は給紙モータ102の正転により給紙方向に駆動され、分離給送部Bのリバースローラ10は給紙モータ102の正転により給紙と逆方向に回転駆動され、最上位の原稿とその下の原稿とを分離して、最上位の原稿のみを給紙できる構成となっている。
さらに詳しく説明すると、リバースローラ10は給紙ベルト9と所定圧で接し、給紙ベルト9と直接接している時、又は原稿1枚を介して接している状態では給紙ベルト9の回動につられて反時計方向に連れ回りし、原稿が万が一2枚以上給紙ベルト9とリバースローラ10との間に侵入した時には、連れ回り力がトルクリミッタのトルクよりも低くなるように設定されている。そして、リバースローラ10は本来の駆動方向である時計方向に回転駆動して、余分な原稿を押し戻す働きをし、重送が防止される。
給紙ベルト9とリバースローラ10との作用によって1枚に分離された原稿は、給紙ベルト9によって更に送られ、レジスト部Cの突き当てセンサ11によって先端が検知され、更に進んで停止しているプルアウトローラ12に突き当たる。
そのプルアウトローラ12に突き当たった原稿は、突き当てセンサ11の検知時点から所定量定められた距離だけ送られ、結果的には、プルアウトローラ12に所定量撓みを持って押し当てられた状態で給紙モータ102を停止させることにより、給紙ベルト9の駆動が停止し、待機状態となる。
このとき、ピックアップモータ101を回転させることでピックアップローラ7を原稿上面から退避させ、原稿を給紙ベルト9の搬送力のみで送ることにより、原稿先端は、プルアウトローラ12の上下ローラ対のニップに進入し、先端の整合(スキュー補正)が行われる。
プルアウトローラ12は、上記スキュー補正の機能を有すると共に、分離後にスキュー補正された原稿を中間ローラ14まで搬送するためのローラであり、給紙モータ102の逆転により駆動される。また、この時(給紙モータ102逆転時)、プルアウトローラ12と中間ローラ14は駆動されるが、ピックアップローラ7と給紙ベルト9は駆動されていない。
原稿幅センサ13は、奥行き方向に複数個並べられ、プルアウトローラ12により搬送された原稿の搬送方向(副走査方向)に直交する幅方向(主走査方向)のサイズを検知する。
また、原稿の搬送方向の長さは、原稿の先端と後端を突き当てセンサ11で検知し、その先端検知時点から後端検知時点まで給紙モータ102の出力パルスをカウントすることによって検知する。
プルアウトローラ12および中間ローラ14の駆動により、レジスト部Cからターン部Dに原稿が搬送される際には、レジスト部Cでの搬送速度を第1読取搬送部Eでの搬送速度よりも高速に設定して原稿を第1読取搬送部Eへ送り込む処理時間の短縮が図られている。
原稿の先端が読取入口センサ15によって検出されると、読取入口ローラ16の上下ローラ対のニップに原稿の先端が進入する前に、原稿搬送速度を読取搬送速度と同速にするために減速を開始する。同時に、読取モータ103を正転駆動して読取入口ローラ16,第1読取ローラ19,読取出口ローラ23,第2読取ローラ26,およびCIS出口ローラ27を駆動する。
原稿の先端をレジストセンサ17にて検知すると、コントローラ部100が、所定の搬送距離をかけて減速させ、第1読取手段である第1読取部20による読取位置の手前で一時停止させると共に、本体制御部111へI/F107を介してレジスト停止信号を送信する。
その後、コントローラ部100が本体制御部111より読取開始信号を受信すると、レジスト停止していた原稿は、第1読取部20による読取位置に先端が到達するまでに所定の搬送速度に立ち上がるように増速されて搬送される。
そして、読取モータ103の出力パルスをカウントすることによって検出された原稿の先端が第1読取部20による読取位置に到達するタイミングで、コントローラ部100により本体制御部111に対して原稿の第1面(表面)の副走査方向有効画像領域を示すゲート信号の送信が開始され、第1読取部20による読取位置を原稿の後端が抜けるまで送信される。
片面原稿の画像読み取りを行う場合には、第1読取搬送部Eを通過した原稿は第2読取搬送部Fの第2読取部25を経て排紙部Gへ搬送される。この際、コントローラ部100が排紙センサ24により原稿の先端を検知すると、排紙モータ104を正転駆動して排紙ローラ28を回転させる。また、排紙センサ24による原稿の先端検知からの排紙モータ104の出力パルスをカウントすることにより、原稿の後端が排紙ローラ28の上下ローラ対のニップから抜ける直前に排紙モータ104の駆動速度を減速させて、スタック部Hを構成する排紙トレイ29上に排出される原稿が飛び出さないように制御される。
両面原稿の画像読み取りを行う場合には、コントローラ部100が排紙センサ24にて原稿の先端を検知してから読取モータ103の出力パルスをカウントすることにより、第2読取手段である第2読取部25による読取位置に原稿先端が到達するタイミングで、コントローラ部100により本体制御部111に対して原稿の第2面(裏面)の副走査方向有効画像領域を示すゲート信号の送信が開始され、第2読取部25の読取位置を原稿の後端が抜けるまで送信される。
ここで、本体制御部111は、CPU,ROM,RAM,およびフラッシュメモリ等の不揮発性メモリを含むマイクロコンピュータを構成している。よって、本体制御部111内のCPUが、ROMや不揮発性メモリからRAMに読み込んだプログラムを実行し、コントローラ部100等を制御することにより、地肌出力検出手段,厚み算出手段,出力補正手段,および色判断手段としての機能を果す。
また、第1読取ローラ19は、第1読取部20における原稿の浮きを抑えるためのものである。搬送ガイド32は、第1読取ローラ19による搬送をガイドすると共に、第1読取部20におけるシェーディングデータ(シェーディング補正用の基準白データ)を取得するための基準白部を兼ねる背景部材である。第2読取ローラ26は、第2読取部25における原稿の浮きを抑えると同時に、第2読取部25におけるシェーディングデータを取得するための基準白部を兼ねる背景部材である。
なお、第1読取部20の代わりに、スキャナ方式の読取部を使用することもできる。それについては、追って詳細に説明する。
次に、図1,図2の第2読取部25の制御系の要部構成について説明する。
図3は、その第2読取部25の制御系の要部構成例を示すブロック図である。なお、第1読取部20の制御系も同様の構成なので、その図示および説明は省略する。
第2読取部25は、CISによる読み取り方式を用いた画像読取部であり、LEDアレイ,蛍光灯,又は冷陰極管などからなる照明手段である光源部200を備えている。
また、主走査方向(原稿幅方向に対応する方向)に並ぶ複数のセンサICチップ(以下「センサチップ」ともいう)201と、その各センサチップ201に個別に接続された複数のアンプ回路202、およびその各アンプ回路202に個別に接続された複数の各A/D変換手段である各A/Dコンバータ203も備えている。
さらに、その各A/Dコンバータ203の出力信号であるデジタル画像信号(以下「画像データ」ともいう)にはそれぞれ信号成分以外に黒レベルオフセットがあり、これを除去する複数の黒補正部204も備えている。
さらにまた、画像処理部205,フレームメモリ206,出力制御回路207,I/F回路208も備えている。
複数のセンサチップ201はそれぞれ、等倍密着イメージセンサと称される光電変換素子と集光レンズとを備えたものである。
ここで、第2読取部25による読取位置に原稿が進入するのに先立って、コントローラ部100から光源部200に点灯ON信号が送られる。
これにより、光源部200が点灯して、その光を原稿の画像面に向けて照射し、その画像面を主走査方向(ライン方向)に光走査する。そして、原稿の画像面で反射された反射光は、各センサチップ201においてそれぞれ、集光レンズによって光電変換素子に集光されてライン毎に光電変換され、アナログ画像信号として読み取られる。
各センサチップ201でそれぞれ読み取られたアナログ画像信号は、対応する各アンプ回路202によってそれぞれ増幅された後、対応する各A/Dコンバータ203によってそれぞれデジタル画像信号に変換される。
これらデジタル画像信号は、対応する各黒補正部204でそれぞれオフセット成分を除去するオフセット補正(黒レベル補正)が行われ、画像処理部205に入力されてシェーディング補正などが施された後、フレームメモリ206に一時記憶される。
なお、第2読取部25では、画像処理部205がシェーディング補正を行うため、光源部200を含む各部を用いてシェーディング補正用の基準白データ(シェーディングデータ)を生成する処理も行う。
フレームメモリ206に一時記憶されたデジタル画像信号は、出力制御回路207によって本体制御部111に受入可能なデータ形式に変換された後、I/F回路208を経由して本体制御部111に出力される。
なお、コントローラ部100からは原稿の先端が第2読取部25による読取位置に到達するタイミング(そのタイミング以降の画像データが有効データとして扱われる)を知らせるためのタイミング信号や光源部200の点灯信号、電源等が出力されるようになっている。
この実施形態では、第1読取部20,第2読取部25は、いずれも等倍密着イメージセンサを用いた(CISによる読み取り方式を用いた)構成例として記載しているが、例えば縮小光学系を用いた(CCDによる読み取り方式を用いた)構成であっても何ら問題は無い。
そこで、図1の第1読取部20の代わりに使用する、図1のスタック部Hの下方に設置される縮小光学系を用いた第1読取部について説明する。
図4は、その縮小光学系を用いた第1読取部の機構部の構成例を示す図である。
この第1読取部301は、スキャナ装置であり、搬送中の原稿の画像を読み取るための読取窓に相当するコンタクトガラス18と、原稿を載置する原稿ガラスであるコンタクトガラス(プラテンガラス)303とを備えている。また、原稿の露光用の光源部304および第1反射ミラー305からなる第1キャリッジ306と、第2反射ミラー307および第3反射ミラー308からなる第2キャリッジ309も備えている。更に、イメージセンサであるCCD(Charge Coupled Devices)310と、CCD310に結像するためのレンズユニット311も備えている。
CCD310は、センサ基板313上に設けられている。このセンサ基板313は、CCD310が出力する画像信号に対して各種の信号処理を施す信号処理回路(図3と同様な回路)が搭載された信号処理基板314と、接続ケーブル315によって接続されている。
光源部304、第1,第2,第3反射ミラー305,307,308、およびレンズユニット311は、走査光学系を構成する。
光源部304は、コンタクトガラス18,303の読み取り面に対して、所定角度で光を照射し、背景部材である図1の搬送ガイド32又は原稿で反射した光は、第1,第2,第3反射ミラー305,307,308およびレンズユニット311を経由してCCD310に入射する。
CCD310は、入射光量に対応する電圧をアナログ画像信号として出力する。
第1,第2キャリッジ306,309は、搬送中の原稿の読み取り時には停止しているが、スキャンモード時には、図示しないステッピングモータの駆動により、コンタクトガラス303上に載置された原稿の読み取り面とCCD310との間の距離を一定に保ちながら副走査方向(矢印A方向)に移動し、原稿を露光走査する。
次に、図1の第1読取部20によって原稿表面の画像を読み取る際のセンサへの入射光について説明する。なお、第2読取部25によって原稿裏面の画像を読み取る際のセンサへの入射光も略同様なので、図示および説明は省略する。
図5は、その入射光の説明に供する説明図である。なお、図示の都合上、第1読取部20と搬送ガイド32との位置関係を図1とは逆にしている。また、第2読取部25を構成する各部と対応する部分には同一符号を付している。
第1読取部20において、光源部200からの照射光はガラス220を通って背景部材である搬送ガイド32又は原稿Pに照射され、搬送ガイド32又は原稿Pからの反射光(拡散光)は集光レンズである屈折率分布型レンズ(例えばセルフォック(登録商標)・レンズ・アレイ)221を介してセンサ基板222上のイメージセンサ(光電変換素子)223によって受光され、光電変換されることでアナログ画像信号に変換される。
第1読取部20によって原稿表面の画像を読み取る際にイメージセンサ(以下単に「センサ」ともいう)223に入射される光には、図5の(a)に示す原稿Pからの反射光と、同図の(b)に示す背景部材である搬送ガイド32からの反射光の2パターンがある。
そして、原稿Pが厚ければ、原稿Pを透過する光が減少し、搬送ガイド32からの反射光の影響は小さくなるが、原稿Pが薄ければ、搬送ガイド32からの反射光の影響は大きくなる。
次に、具体的な背景部材の影響によるRGBバランス(RGB出力とRGB比率)の変化について説明する。ここでは、図1の第1読取部20で原稿表面の地肌(以下単に「原稿表面」ともいう)を、第2読取部25で原稿裏面の地肌(以下単に「原稿裏面」ともいう)をそれぞれ読み取る(検出する)場合について説明する。なお、以下の「R」はレッド(Red)を、「G」はグリーン(Green)を、「B」はブルー(Blue)をそれぞれ示す。
図6は、原稿の紙厚を変化させた場合における、その紙厚に対する背景部材(搬送ガイド32)の影響による原稿表面読み取り時のRGB出力(RGBデジタル画像信号の階調レベル)の特性例を示す線図である。
図7は、原稿の紙厚を変化させた場合における、その紙厚に対する背景部材の影響による原稿表面読み取り時のRGB比率の特性例を示す線図である。
図8は、原稿の紙厚を変化させた場合における、その紙厚に対する背景部材(第2読取ローラ26)の影響による原稿裏面読み取り時のRGB出力の特性例を示す線図である。
図9は、原稿の紙厚を変化させた場合における、その紙厚に対する背景部材の影響による原稿裏面読み取り時のRGB比率の特性例を示す線図である。
この例では、原稿表面を読み取る第1読取部20が用いる背景部材は、ブルーの色味が強くグリーンの色味が弱いものとし、原稿裏面を読み取る第2読取部25が用いる背景部材は、グリーンの色味が強くレッドの色味が弱い場合とする。
なお、図7および図9に示したRGB比率の演算(算出)式のうち、レッド(R)の比率は、以下の演算式(数1)によって求めることができる。
レッドの比率
=レッドの出力/(レッドの出力+グリーンの出力+ブルーの出力)・・・数1
グリーン,ブルーの比率は、数1の分子をそれぞれグリーン,ブルーの出力に置き換えればよい。
図6および図8より、原稿の紙厚が薄くなると、その原稿からの反射光が減り、出力が減少する。しかし、背景部材からの反射光がセンサに入射されるため、RGB出力の減少の挙動は異なる。そして、その減少の挙動が異なることにより、図7および図9に示すようにRGB比率に変化が生じ、厚紙の場合と比較して色味が変化する(特に無彩色部では僅かな色づきが目立つ)。
また、RGB比率の変化は、異なる背景部材を使用していることで第1読取部20と第2読取部25で変化の挙動が変わる。つまり、薄紙原稿の表裏面を読み取った場合に表面と裏面の色味が異なる。
今回の例では、第1読取部20の背景部材はブルーの色味が強いため、原稿が薄くなるほどブルーの比率が高くなる。第2読取部25の背景部材はグリーンの色味が強いため、原稿が薄くなるほどグリーンの比率が高くなる。
このとき、厚紙で無彩色だったものが、薄紙になるほど表面は青みが増し、裏面は緑色が強くなる。
ここで、背景部材の影響による表裏画像の色味差の発生を回避することが、この発明の目的である。そのため、出力補正を行う際に必要となる補正テーブルの作成方法に関して説明する。ここでも、図1の第1読取部20で原稿表面を、第2読取部25で原稿裏面をそれぞれ読み取る場合について説明する。なお、図2の本体制御部111は、補正テーブルを作成する際には、同じ種類の原稿で厚みを変化させた場合における、その各紙厚に対する原稿表裏(原稿の表面と裏面)の各読み取り時の出力(以下単に「原稿表裏の出力」ともいう)を求めて、出力比率を算出する。この例では、レッドの出力比率より原稿の紙厚を算出し、紙厚100〔g/m2〕の場合に原稿表裏の出力を245〔digit〕に揃えている。出力比率等の算出は、コントローラ部100が行ってもよい。
図10は、原稿を同じ種類の紙で厚さを変えた場合における、その紙厚に対する原稿表裏の各読み取り時のレッドの出力(原稿表裏のレッドの出力)の特性例を示す線図である。
図11は、原稿を同じ種類の紙で厚さを変えた場合における、その紙厚に対する原稿表裏のレッドの出力比率の特性例を示す線図である。
図12は、図11に示した関係に基づいた補正テーブルの概念の説明に供する線図である。
図13は、その補正テーブルの内容を示す図である。
原稿表裏の各読み取りで異なる背景部材を使用している場合、図10に示すように、原稿が薄くなるにつれて背景部材からの反射光の影響が原稿表裏で変化し、その原稿表裏の出力に差異が生じる。つまり、原稿が薄くなるほど、その原稿を透過する光が増加して出力が低下するが、その低下の挙動は背景部材の反射光が異なることで、原稿表裏の出力の変化に差異が生じる。そして、図11に示すように、原稿の紙厚に応じて、原稿表裏の出力比率が変化する。図11の例では、原稿の紙厚が薄くなるにつれて原稿表裏の出力比率は100%から離れていく。このとき、本体制御部111は、原稿表裏の出力比率に応じて、図12に示す関係より、図13に示すような補正テーブルを作成する。この補正テーブルは、工程で作成し、本体制御部111に内蔵されている(外付けされたものでもよい)記憶手段である図示しないフラッシュメモリ等の不揮発性メモリに格納しておく。
例えば、原稿表裏の出力比率が96.5〔%〕だった場合、その出力比率から紙厚を特定(算出)して表面全域に対して補正係数α(2)を演算し、裏面全域に対しては補正係数β(2)を演算することで、原稿表裏の各読み取り(第1読取部20と第2読取部25の読み取り)で使用する背景部材の影響による色味の変化を補正する。
すなわち、原稿表裏の出力比率の変化より紙厚を特定(算出)し、対応している紙厚での背景部材の影響を排除する補正係数を用いて、第1読取部20および第2読取部25による原稿の表面全域および裏面全域の読み取り時の出力を表裏画像の色味差が発生しないように補正する。つまり、背景部材の影響による表裏画像の色味の変化を補正する。この補正を、「色味差補正」という。
次に、具体的な補正係数算出方法の一例(補正テーブルを用いたもの)について説明する。
図14は、図7に示した原稿の紙厚に対する原稿表面読み取り時のRGB比率の特性の一部を数値化したものである。なお、図13に示した補正テーブルはRGB毎に存在する。
図7の例では、原稿の紙厚が100〔g/m2〕の場合、つまり厚紙の原稿の場合に、RGBの出力が同一(比率がRGB共に33.3%)となる。
原稿表面読み取り時の対応色の補正係数(対応色の表面補正係数)は、以下の演算式(数2)によって算出できる。
対応色の表面補正係数
=厚紙原稿の表面を読み取った場合における対応色の比率
/使用する紙厚の原稿の表面を読み取った場合における対応色の比率・・・数2
例えば、紙厚50〔g/m2〕の原稿の場合における対応色がレッドの場合の比率は、図14から33.7であるから、原稿の表面のレッドの補正係数は、数2の演算式によって以下に示すように算出できる。
レッドの補正係数=33.3/33.7
なお、原稿裏面読み取り時の対応色の補正係数(対応色の裏面補正係数)は、数2の演算式の「表面」を「裏面」に置き換えたものである。
本体制御部111は、数2等の演算式より、工程で原稿の表面および裏面を第1読取部20および第2読取部25でそれぞれ読み取った場合における原稿の紙厚に応じた補正係数を算出し、それらの値を含む補正テーブルを本体制御部111内の不揮発性メモリに格納しておく。
そして、原稿の表面および裏面の各画像読み取り時に、その原稿表裏の出力より紙厚を算出し、補正テーブルより原稿表裏それぞれに対応する補正係数を選定し、原稿の表面および裏面の読み取り画像全域に対応する出力の補正に必要な補正係数をRGB毎に次式(数3)によって演算する。
対応色の補正後出力=対応色の補正前出力×対応色補正係数・・・数3
数3の演算式による演算を行うことで、原稿の表面および裏面の各読み取り画像全域に対応する出力の補正(背景部材の影響によるRGBバランスの変化分の補正)を行うことが可能となり、背景部材の影響による色味の変化に対応することができる。
次に、具体的な補正係数算出方法の他の例(近似式を用いたもの)について説明する。
図10〜図14では、補正テーブルを用いて原稿の表面および裏面の各読み取り画像に対応する出力を補正する手法について説明した。ここでは、近似式を用いて紙厚に応じてリニアに、原稿の表面および裏面の各読み取り画像に対応する出力を補正する手法について説明する。なお、ここではレッドの出力補正を例に説明する。
図15は、原稿表裏のレッドの出力比率に対する原稿紙厚の特性例を示す線図である。
その関係は、原稿を同じ種類の紙で厚さを変えた場合における、図11に示した原稿の紙厚に対するレッドの出力比率の特性に対応するものであり、細線は前述した補正テーブル作成のための工程から得られた値(実際値)を、太線は以下の演算式(数4)によって演算した値(理論値)をそれぞれ示している。
y=10-0618.375x ・・・数4
ここで、数4の「x」はレッドの出力比率を、「y」は原稿の紙厚をそれぞれ示す。
図16は、図7に示した原稿の紙厚を変化させた場合における、その紙厚に対する背景部材の影響による原稿表面読み取り時のRGB比率の特性に相当するものであり、細線はそのRGB比率のうちのグリーン,ブルーの比率を、太線はそのレッドの比率に相当する数5の近似式(数5)によって演算した値をそれぞれ示す。
y=−3×10-083+8×10-062−0.0007x+0.3575 ・・・数5
ここで、数5の「x」は原稿の紙厚を、「y」はレッドの比率をそれぞれ示す。
本体制御部111は、原稿の表面および裏面の各画像読み取り時に、その原稿表裏のレッドの出力(原稿表面および原稿裏面のレッドの地肌出力)より原稿表裏のレッドの出力比率を算出し、数4の演算式より原稿の紙厚を算出する。その算出した紙厚より、数5の演算式を用いて紙厚に対するレッドの比率を求め、数2の演算式よりレッドの補正係数を算出する。そして、算出した補正係数を用いて数3の演算式より原稿の表面および裏面の各読み取り画像全域に対応する出力の補正を行う。
次に、具体的な地肌出力(地肌レベル)の検出処理の一例(原稿全域)について説明する。
図17は原稿全域で地肌を検出する処理の説明に供する説明図であり、原稿Pの斜線で示す箇所が地肌レベルの検出エリアを示す。
図2の本体制御部111は、コントローラ部100を介して原稿Pの読み取り開始ラインから主走査方向全域にかけて地肌レベルを検出し、副走査方向全域まで地肌を追従する。そして、RGB毎に地肌レベル(Ph値)の全ラインの平均値を算出し、各色の地肌レベルとする。地肌追従については、既知の方法を用いることとする。なお、この例での地肌レベルの検出は、実際には原稿Pの表裏面について行う。
次に、具体的な地肌出力の検出処理の他の例(原稿先端)について説明する。
図18は原稿先端で地肌を検出する処理の説明に供する説明図であり、原稿Pの斜線で示す箇所が地肌レベルの検出エリアを示す。
図2の本体制御部111は、コントローラ部100を介して原稿Pの読み取り開始ラインから主走査方向全域にかけて地肌レベルを検出し、副走査方向の原稿先端から距離γまで地肌を追従する。そして、RGB毎に地肌レベルの全ラインの平均値を算出し、各色の地肌レベルとする。
この例の場合、プレゼン資料等の原稿における副走査方向の原稿先端領域では余白部分があり、その原稿先端から距離γまでの地肌レベルを検出することができる。また、原稿全域の地肌レベルの検出と比較して、メモリ容量を低減することも可能である。地肌追従については、既知の方法を用いることとする。なお、この例での地肌レベルの検出も、実際には原稿Pの表裏面について行う。
次に、具体的な色変換について説明する。
図19は、補正係数に対応する色空間マトリックスの一例を示す図である。
図2の本体制御部111は、算出した紙厚を元に、原稿の表面および裏面の各読み取り画像全域に対応するRGB出力に対してRGB別の各補正テーブル内の対応する補正係数(表面補正係数,裏面補正係数)をかける。その際に、各補正テーブル内の補正係数に応じた色空間マトリックス(表面色空間マトリックス,裏面色空間マトリックス)を用意することで、より精度よく色変換を行うことが可能となる。
次に、図2に示した本体制御部111およびコントローラ部100による原稿両面に対する読み取り動作について説明する。
図20は、その読み取り動作の一例を示すフローチャートである。
本体制御部111は、本体操作部108上のモード切替キーの操作に応じた信号により、原稿(両面原稿)の両面画像を読み取る両面モードを設定した後、プリントキーの押下に応じた信号により、コントローラ部100に図1によって説明した原稿の給紙を開始させると共に、コントローラ部100と共に図20に示す読み取り動作を開始する。
本体制御部111は、図20に示す読み取り動作の開始により、まずステップS1において、コントローラ部100経由で第1読取部20によって原稿の表面画像の読み取りを行わせ、ステップS2において、コントローラ部100経由で受信した第1読取部20の出力(読み取り画像)から地肌レベルであるPh値(1)を検出する。
次に、ステップS3において、コントローラ部100経由で第2読取部25によって原稿の裏面画像の読み取りを行わせ、ステップS4において、コントローラ部100経由で受信した第2読取部25の出力から地肌レベルであるPh値(2)を検出する。
その後、ステップS5において、検出したPh値(1)とPh値(2)とに基づいて原稿表裏のRGBの出力比率(RGBバランス)を算出し、出力比率が30%以下の色の有無を判断する。
そして、出力比率が30%以下の色がある場合には、表裏画像の読み取りを行った原稿を色つき原稿と判断して、ステップS6へ移行し、表裏画像の読み取りを行った原稿の表面および裏面の各読み取り画像全域に対応するRGB出力の補正は行わない。
出力比率が30%以下の色がない場合には、ステップS7へ移行し、算出した原稿表裏のRGBの出力比率より表裏画像の読み取りを行った原稿の厚みを算出する。
その後、ステップS8へ進み、RGB別の各補正テーブルよりステップS7で算出した厚みに対応する補正係数(表面補正係数,裏面補正係数)を読み出し、その補正係数を用いて表裏画像の読み取りを行った原稿の表面および裏面の各読み取り画像全域に対応するRGB出力に対して補正を行う。
このように、この第1実施形態の画像読取装置では、第1読取部と第2読取部の出力のうち、原稿の表面および裏面の地肌部分にそれぞれ対応する出力を地肌出力として検出し、その検出した地肌出力の比率から原稿の厚みを算出して、その算出結果に基づいて第1読取部および第2読取部による原稿の表面画像および裏面画像の読み取り時の出力(実際には出力の色味差)を補正することにより、第1読取部と第2読取部で異なる背景部材が使用されている場合でも、それらの背景部材の影響による表裏画像の色味差の発生を回避することができる。
さらに、以下の(1)〜(6)に示す作用効果を得ることもできる。
(1)上記算出結果に基づいて対応する補正係数を算出し、第1読取部および第2読取部による原稿の表面画像および裏面画像の読み取り時の出力を上記算出した補正係数を用いて補正することにより、メモリ容量を低減することもできる。
(2)使用可能な原稿の厚み毎に異なる補正係数を有する補正テーブルを備え、上記算出結果に基づいて補正テーブルから対応する補正係数を読み出し、第1読取部および第2読取部による原稿の表面画像および裏面画像の読み取り時の出力を上記読み出した補正係数を用いて補正することにより、正確な出力補正を行うができる。
(3)上記補正テーブルとしてRGBにそれぞれ対応する複数の補正テーブルを備え、その各補正テーブルにそれぞれ対応する色空間マトリックスを備えることにより、RGBの出力補正を行う際に、より精度よく色変換を行うことが可能となる。
(4)第1読取部と第2読取部の原稿全体に対応する出力から地肌出力を検出することにより、その地肌出力の検出を確実に行うことができる。
(5)原稿の先端に対応する出力から地肌出力を検出することにより、メモリ容量を低減することができる。
(6)検出した地肌出力に応じて原稿の色を判断することにより、原稿表裏の出力比率が所定値以下の色の原稿を色つき原稿と判断して、出力補正を行わないため、処理効率の向上につながる。
〔第2実施形態〕
次に、この発明の第2実施形態である画像読取装置の制御系の機能構成について説明する。なお、その画像読取装置の機構部および制御系のハードウェア構成は、図1〜図4によって説明した第1実施形態と同様である。
図21は、この発明の第2実施形態である画像読取装置の制御系の機能構成例を示すブロック図であり、図1,図2と同じ部分には同一符号を付している。
この画像読取装置は、第1読取部20、第2読取部25、第1地肌検出部501、第2地肌検出部502、紙厚特定部503、第1面蓄積部504、第2面蓄積部505、色味補正部506、および画像転送部507を備えている。これらのうち、第1地肌検出部501、第2地肌検出部502、紙厚特定部503、色味補正部506、および画像転送部507としての機能を、図2の本体制御部111がコントローラ部100と共に本体制御部111が果す。また、第1面蓄積部504および第2面蓄積部505は、本体制御部111に内蔵されている(外付けされたものでもよい)フレームメモリ120上に割り当てられた領域(蓄積領域)に相当する。なお、第1読取部20に代えて図4に示した第1読取部301を使用しても勿論よい。
原稿の表面(第1面)を読み取る第1読取部20より入力される画像データは、対となる第1地肌検出部501を経てフレームメモリ120内の対応する第1面蓄積部504へと蓄積される。また、原稿の裏面(第2面)を読み取る第2読取部25より入力される画像データは同じく対となる第2地肌検出部502を経てフレームメモリ120内の対応する第2面蓄積部505へと蓄積される。これらの処理は、第1読取部20および第2読取部25が配置されるレイアウト差に基づいて並行もしくは連続的に実施される。なお、第1読取部20および第2読取部25より入力される画像データを、以下「読み取り画像データ」という。
このとき、第1地肌検出部501による原稿表面の地肌検出結果と第2地肌検出部502による原稿裏面の地肌検出結果との差異に基づいて、紙厚特定部503により、その原稿の紙厚を特定(算出)する。なお、原稿の紙厚を特定する紙厚特定方式としては、第1実施形態における図17および図18等によって説明したように、原稿の表裏面全域の各地肌レベル検出結果の差異から紙厚を特定する方式(全域検出方式)と、原稿の表裏面先端領域の各地肌レベル検出結果の差異から紙厚を特定する方式(先端検出方式)とがある。つまり、この第2実施形態でも、それらの紙厚特定方式を用いることを前提としている。
フレームメモリ120へ蓄積された原稿の表裏面(各読み取り面)の読み取り画像データについては、紙厚特定部503により特定(算出)された紙厚に応じた補正係数(背景部材の色味差補正係数)を色味補正部506へ反映したうえで原稿の読み取り面毎に順次出力を実施する。このとき、色味補正部506が補正係数を用いて色味差補正を行う。そして、色味差補正を行った画像データを画像転送部507により画像利用者へ提供する。つまり、その画像利用者が使用するプリンタ(図29に示す本体装置500等)又はパーソナルコンピュータなどの外部機器へ転送する。
図22は、図21に示した画像読取装置における全域検出方式と先端検出方式を用いた連続動作(複数枚の原稿両面に対する連続読み取り動作)を従来の読み取り方式(色味差補正を実施しない方式)を用いた連続動作と比較して示すタイミングチャートである。
全域検出方式は、色味差補正の精度は高くなるが、例えば図22の(a)に示すように、原稿の各読み取り面の全域の読み取り画像データをフレームメモリ120へ蓄積した後に色味差補正・転送を行うことになるため、連続動作時の読み取り効率およびメモリ使用量が不利となる。
しかし、先端検出方式は、全域検出方式と比較すると、色味差補正の精度は劣るが、例えば図22の(b)に示すように、原稿の各読み取り面の先端部の読み取り画像データのみをフレームメモリ120へ蓄積した後に色味差補正・転送を行うため、連続動作時の読み取り効率およびメモリ使用量が有利となる。
なお、原稿の地肌検出による色味差補正を実施しない従来の読み取り方式の場合、例えば図22の(c)に示すように、原稿の表面(第1面)の読み取り画像データについてはフレームメモリ120への蓄積は実施せずにそのまま外部機器への転送を実施する。
したがって、全域検出方式および先端検出方式のいずれを用いる場合でも、原稿の紙厚が特定されるまでは読み取り画像データを転送せずフレームメモリ120へ蓄積するため、1枚当たりの両面読み取り処理に要する時間が従来読み取り方式と比較して長くなり、連続読み取り時も含めて読み取り速度・効率が落ちてしまうという課題がある。
以下、図22の(a)と(b)で示したそれぞれの検出方式と対応する表裏の色味差補正の内容について、図23のフローチャートを用いて説明する。
まず、図21に示した画像読取装置における全域検出方式を用いた原稿両面に対する読み取り動作の第1例について説明する。
図23は、その原稿両面に対する読み取り動作の第1例を示すフローチャートである。
この画像読取装置では、図20によって説明した読み取り動作と同様のタイミングで図23に示す読み取り動作を開始し、まずステップS11において、原稿の両面画像を読み取るために、シートスルー読み取り動作(ADFを用いた読み取り動作)を開始する。このとき、図1の原稿テーブル2上の原稿を1枚給紙する。
それによって、第1読取部20が原稿表面の読み取りを、第2読取部25が原稿裏面の読み取りをそれぞれ開始し、原稿表裏のそれぞれの各読み取り面(表裏面)の読み込みを行う。このとき、その各読み取り面の読み取り画像データは、フレームメモリ120へと蓄積される。この読み取り画像データは、少なくとも対応する原稿の紙厚が特定されるまでそのまま保持される。
ステップS12では、第1地肌検出部501および第2地肌検出部502により、原稿の各読み取り面の全領域を読み込んだ結果に基づいて、その各読み取り面の地肌レベルを検出する。このとき、原稿の各読み取り面の読み取り画像データは、全領域分がフレームメモリ120へ蓄積されている。
ステップS13では、紙厚特定部503により、前ステップ12で検出した原稿の各読み取り面の地肌レベルの差異(原稿表裏のRGBの出力比率)に基づいて、その原稿の紙厚を特定(算出)し、その紙厚に応じた補正係数を算出(決定)する。
ステップS14では、色味補正部506により、前ステップ13で算出した補正係数を用いて色味差補正を開始する。
ステップS15では、画像転送部507により、フレームメモリ120に蓄積された原稿の各読み取り面の読み取り画像データを読み取り面毎に順次転送する。このとき、その読み取り面毎に順次転送される読み取り画像データに対し、色味補正部506によって色味差補正が実施される。
以上のステップ11〜15を順次実施した後、ステップ16で図1の原稿テーブル2から次に給紙すべき原稿(次の原稿)の有無をチェックする。
そして、次の原稿がない場合には、図23の動作を終了する。
次の原稿がある場合には、その原稿が給紙されるため、ステップS11に戻る。
そして、再びステップ11〜16の動作を順次行うが、その動作は次の原稿がなくなるまで繰り返し行われる。
したがって、連続動作時にも、各原稿の表裏画像の色味差の発生を回避することができる。
次に、図21に示した画像読取装置における先端検出方式を用いた原稿両面に対する読み取り動作の第1例について説明する。
図24は、その先端検出方式を用いた原稿両面に対する読み取り動作の第1例を示すフローチャートである。
この画像読取装置では、ステップS21,S23〜S26において、図23によって説明した全域検出方式を用いた原稿両面に対する読み取り動作のうち、ステップS11,S13〜S16の動作と同様の動作を行う。
ステップS22では、第1地肌検出部501および第2地肌検出部502により、原稿の各読み取り面の先端部分(先端領域)を読み込んだ結果に基づいて、その各読み取り面の地肌レベルを検出する。このとき、原稿の第1面の読み取り画像データは、地肌検出用の先端部分+レイアウト配置差分(第1読み取り位置〜第2読み取り位置)がフレームメモリ120へ蓄積されている。原稿の第2面の読み取り画像データは、地肌検出用の先端部分のみがフレームメモリ120へ蓄積されている。これらの読み取り画像データは、少なくとも対応する原稿の紙厚が特定されるまでそのまま保持される。
したがって、図24によって説明した読み取り動作(先端検出方式を用いた原稿両面に対する読み取り動作)によっても、図23によって説明した読み取り動作(全域検出方式を用いた原稿両面に対する読み取り動作)と同様の効果を得ることができる。また、図24によって説明した読み取り動作は、図23によって説明した読み取り動作と比較すると、連続動作時の読み取り効率を考慮したタイミング制御、およびメモリ使用量という制御上の観点では有利となる。
次に、全域検出方式先端と検出方式を切り替えることによって、表裏色味差補正制御を効率良く、且つ補正精度も確保しつつ実施する原稿両面に対する読み取り動作について説明する。
図25は、図21に示した画像読取装置における全域検出方式先端と先端検出方式を前原稿(前ページ)との比較により切り替える原稿両面に対する読み取り動作の一例を示すフローチャートである。
この画像読取装置では、ステップS31〜S33において、図24によって説明した先端検出方式を用いた原稿両面に対する読み取り動作のうち、ステップS21〜S23の動作と同様の動作を行う。
ステップS34では、ステップ33で特定(算出)した原稿の紙厚を紙厚履歴として設定されている前原稿(前回給紙された原稿)の紙厚と比較する。
そして、特定(算出)した原稿の紙厚が前原稿の紙厚と同じ場合には、ステップS35へ移行し、色味補正部506により、ステップ33で算出した補正係数を用いて色味差補正を開始する。
一方、特定(算出)した原稿の紙厚が前原稿の紙厚と異なる場合(今回給紙された原稿が1枚目の原稿などで比較対象の履歴がクリアされている場合を含む)には、ステップS40へ移行する。そして、より精度の高い方式である全域地肌検出方式に切り替えて、ステップS40とS41を経てステップS35以降の読み取り画像データの色味差補正と転送を実施できるようにする。
ステップS40では、全域地肌検出方式に切り替えるため、図23のステップS12と同様に、第1地肌検出部501および第2地肌検出部502により、原稿の各読み取り面の全領域を読み込んだ結果に基づいて、その各読み取り面の地肌レベルを検出する。
ステップS41では、紙厚特定部503により、前ステップ40で検出した原稿の各読み取り面の地肌レベルの差異に基づいて、その原稿の紙厚を再度特定(算出)し、その紙厚に応じた補正係数を再度算出(決定)する。
その後のステップS35では、色味補正部506により、ステップ41で再度算出した補正係数を用いて色味差補正を開始する。
ステップS36では、ステップS33又はS41で特定(算出)した原稿の紙厚の内容を、次の原稿(次回給紙する原稿)の紙厚と比較するために、紙厚履歴として本体制御部111内の不揮発性メモリに記憶(設定)する。
ステップS37では、画像転送部507により、フレームメモリ120に蓄積された原稿の各読み取り面の読み取り画像データを読み取り面毎に順次転送する。このとき、その読み取り面毎に順次転送される読み取り画像データに対し、色味補正部506によって色味差補正が実施される。
その後のステップ38では、図1の原稿テーブル2から次に給紙すべき原稿の有無をチェックし、次の原稿がなければ、つまり最終原稿の画像読み取りが完了した場合には、次回の両面画像の読み取りの際に、補正精度の高い全域検出方式による動作を行うために、不揮発性メモリ内の紙厚履歴をクリア(消去)し、図25の動作を終了する。
次の原稿がある場合には、その原稿が給紙されるためステップS31に戻り、再びステップ31〜38の動作を順次行うが、その動作は次の原稿がなくなるまで繰り返し行われる。
したがって、図25によって説明した読み取り動作によれば、原稿の紙厚が不明確な場合には、処理速度が低下するが、より高精度な色味差補正を表裏面の読み取り画像データに対して実施することができる。また、原稿の紙厚が前原稿と同様であるならば、処理速度を向上させて連続読み取り動作を実施することができ、読み取り効率の向上と補正精度の向上の両立を図ることができる。
次に、図21に示した画像読取装置における全域検出方式を用いた原稿両面に対する読み取り動作の第2例について説明する。但し、図23によって説明した全域検出方式を用いた原稿両面に対する読み取り動作と異なる部分を中心に説明する。
図26は、図21に示した画像読取装置における全域検出方式を用いた原稿両面に対する読み取り動作の第2例を示すフローチャートである。
この画像読取装置では、ステップS52において、ステップS51で図1の原稿テーブル2から給紙された原稿が1枚目の原稿であるか否かを判断する。
そして、1枚目の原稿である場合には、ステップS53,S54の動作を許可し、ステップS53,S54において、図23のステップS12,S13の動作と同様の動作を行う。ここで、ステップS53,S54の動作を許可する機能が動作許可手段としての機能であり、この機能は図2の本体制御部111がコントローラ部100と共に果す。
続いて、ステップS55において、ステップS54で決定した補正係数(特定した原稿の紙厚でもよい)を本体制御部111内の不揮発性メモリに記憶する。
その後のステップS56では、色味補正部506により、ステップS54で算出(決定)した補正係数を用いて色味差補正を開始する。
一方、ステップS51で給紙された原稿が1枚目の原稿でない場合には、直ちにステップS56へ移行し、色味補正部506により、ステップS55で不揮発性メモリに記憶した補正係数を用いて色味差補正を開始する。なお、不揮発性メモリに補正係数ではなく紙厚が記憶されている場合には、色味補正部506により、その紙厚に応じた補正係数を算出したうえで、その補正係数を用いて色味差補正を開始する。
その後、図1の原稿テーブル2から次に給紙すべき原稿がなくなり、ステップS59へ移行すると、不揮発性メモリ内の補正係数をクリアし、図26の動作を終了する。
したがって、図26によって説明した読み取り動作によれば、1枚目の原稿の各読み取り面の地肌レベルのみを検出して、その原稿の紙厚を特定(算出)し、その紙厚に応じた補正係数を算出するだけで、連続動作時における各原稿の表裏画像の色味差の発生を回避することができる。
次に、図21に示した画像読取装置における先端検出方式を用いた原稿両面に対する読み取り動作の第2例について説明する。但し、図26によって説明した全域検出方式を用いた原稿両面に対する読み取り動作と異なる部分であるステップS63の地肌検出についてのみ説明する。
図27は、図21に示した画像読取装置における全域検出方式を用いた原稿両面に対する読み取り動作の第2例を示すフローチャートである。
この画像読取装置では、ステップS61,S62,S64〜S69において、図26によって説明した全域検出方式を用いた原稿両面に対する読み取り動作のうち、ステップS51,S52,S54〜S59の動作と同様の動作を行う。
ステップS63では、図24のステップS22の動作と同様の動作を行う。
したがって、図27によって説明した読み取り動作によっても、図26によって説明した読み取り動作と同様の効果を得ることができる。また、図27によって説明した読み取り動作は、図26によって説明した読み取り動作と比較すると、連続動作時の読み取り効率を考慮したタイミング制御、およびメモリ使用量という制御上の観点では有利となる。
なお、図23,図24,図26,図27によって説明した読み取り動作時における色味差補正の実施の有無やその実施時に使用する紙厚特定方式を、ユーザからの指示(実際にはユーザによる操作部上での操作によって発生する指示)によって予め設定しておくことも可能である。
次に、図21に示した画像読取装置が、色味差補正を原稿裏面の読み取り画像データのみに実施して、原稿の画像読み取りのスループット(生産性)を向上させる例について説明する。
図28は、図21に示した画像読取装置における原稿裏面の読み取り画像データのみに実施する色味差補正を含む全域検出方式と先端検出方式を用いた連続動作を示すタイミングチャートであり、(a)は全域検出方式を用いた連続動作を、(b)は先端検出方式を用いた連続動作をそれぞれ示している。
図22の(a)(b)によって説明した連続動作は、原稿の表面(第1面)と裏面(第2面)の地肌検出結果から、その原稿の紙厚を特定し、表裏面の読み取り画像データのそれぞれに色味差補正を実施するものである。しかし、図28の(a)(b)に示す連続動作は、原稿表面の読み取り画像データには色味差補正を実施せず、原稿裏面の読み取り画像データのみに色味差補正を実施することで、更に原稿の画像読み取りのスループットを向上させることもできる。
具体的には、原稿の表裏面の地肌検出結果から得られた原稿の紙厚に対応する、原稿表面の読み取り画像データに対する色味差補正を実施するための係数をαとし、原稿裏面の読み取り画像データに対する色味差補正を実施するための係数をβとしたときに、次のようにする。つまり、原稿表面の読み取り画像データに対しては色味差補正を実施せず、原稿裏面の読み取り画像データに対してのみ補正係数を「β/α」として色味差補正を実施する。このとき、原稿表面の読み取り画像データについては、フレームメモリ120への蓄積および色味差補正は実施せずにそのまま転送を実施し、原稿裏面の読み取り画像データのみ必要に応じてフレームメモリ120へ蓄積して補正係数「β/α」により色味差補正を実施する。
したがって、このような全域検出方式又は先端検出方式を用いた原稿両面に対する読み取り動作によれば、図23又は図24によって説明した読み取り動作と同様の効果に加え、以下に示す効果も得ることができる。つまり、原稿裏面の読み取り画像データに対する色味差補正を実施して原稿表面の読み取り画像データとの色味差を低減することができる。また、表裏面の読み取り画像データに対してそれぞれ色味差補正を行う場合と比較して、処理速度を向上させて連続読み取りを実施することができ、読み取り効率の向上を図ることができる。
以上、この発明を画像読取装置に適用した実施形態について説明したが、この発明はこれに限らず、その画像読取装置を搭載したデジタル複写機,ファクシミリ装置,プリンタ等の各種画像形成装置にも適用可能である。それによって、画像形成装置本体が画像読取装置からの色味差補正がなされたR,G,Bの画像データ(又は単色の画像データ)を画像形成用のイエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)の画像データ(又は単色の画像データ)に変換し、可視画像として用紙等の記録媒体に画像形成することができ、高品質の画像を得ることができる。
〔第3実施形態〕
次に、この発明の第3実施形態である画像形成装置の機構部の構成について説明する。
図29は、この発明の第3実施形態である画像形成装置の機構部の構成例を示す全体構成図であり、図1,図4と同じ部分には同一符号を付している。
この第3実施形態の画像形成装置は、プリンタ機能、コピー機能、およびファクシミリ機能を有する複合機(MFP:Multifunction Peripheral)である。
この画像形成装置は、図1の第1読取部20を図4に示した第1読取部301に変更した画像読取装置(両面同時読取装置)300を搭載する共に、プリンタを構成する本体装置500を備えている。よって、この画像形成装置は、第1又は第2実施形態の画像読取装置と同様の機能も有する。
この画像形成装置の本体装置500は、画像読取装置300によって読み取った画像データ(カラー画像データ又はモノクロ画像データ)を可視画像として用紙(他の記録媒体でもよい)に画像形成(以下「印刷」ともいう)する。
また、通信機能を介して外部からファクシミリ受信した画像データ、あるいはインターネットを介して受信した画像データを可視画像として用紙に印刷することもできる。
さらに、画像読取装置300によって読み取った画像データをファクシミリ送信、あるいはインターネットを介した通信によって外部のファクシミリ装置や情報処理装置へ送ることもできる。
この本体装置500は、図2のコントローラ部100からの画像データに基づく指示により、4個の感光体(ドラム状の感光体の場合「感光体ドラム」とも呼ぶ)51y〜51kのそれぞれの表面上に静電潜像を形成する複数のミラーやレンズを含む露光部を備えた露光装置55を備えている。各感光体51y〜51kは、それぞれ表面にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各トナー画像が書き込まれる像担持体である。
各感光体51y〜51kの周りには、各感光体51y〜51kのそれぞれの表面を帯電処理する各帯電装置52y〜52kと、各感光体51y〜51kのそれぞれの表面に形成された静電潜像をそれぞれの色のトナーで可視像化してトナー画像を形成する各現像装置53y〜53kとを設けている。また、各感光体51y〜51k上にそれぞれ形成されたトナー画像を中間転写ベルト50上に重ねるように転写した後に、各感光体51y〜51kに残ったトナーを回収する各クリーニング装置54y〜54kも設けている。
中間転写ベルト50は、各感光体51y〜51kのいずれか1つに書き込まれた単色のトナー画像が転写、又は各感光体51y〜51kにそれぞれ書き込まれた各色のトナー画像が重ねて転写される転写体(転写手段)である。
この本体装置500は、カラー印刷の場合、中間転写ベルト50に、各感光体51y〜51kに書き込まれた各トナー画像を重ねるように転写し、カラーのトナー画像を形成する。また、モノクロ印刷の場合、中間転写ベルト50に、感光体51kに書き込まれたブラックのトナー画像を転写し、モノクロのトナー画像を形成する。
一方、それぞれ異なるサイズの用紙を収納している複数の給紙カセット部56のいずれかから対応する給紙ローラ57によって給紙された用紙Sは、レジストローラ部58において一旦停止し、中間転写ベルト50の回動と同期をとって再給紙され、転写ローラ部59によって中間転写ベルト50上のトナー画像を用紙Sに転写する。トナー画像が転写された用紙Sは定着装置60によって定着処理され、最後に排紙ロ―ラ61によって排紙収納部62に排出される。
なお、この画像形成装置の画像読取装置300を、図1に示したものに変更することも勿論できる。
〔プログラム〕
このプログラムは、機器(第1又は第2実施形態の画像読取装置あるいは第3実施形の画像形成装置)を制御するコンピュータ(CPU)に、地肌出力検出手段,厚み算出手段,出力補正手段,色判断手段,および動作許可手段等としての機能を実現させるためのプログラムであり、このようなプログラムをコンピュータに実行させることにより、上述したような作用効果を得ることができる。
このようなプログラムは、はじめから機器に備えるROM、あるいは不揮発性メモリ(フラッシュROM,EEPROM等)、あるいはHDD(ハードディスク装置)などの記憶手段に格納しておいてもよいが、記録媒体であるCD−ROM、あるいはメモリカード,フレキシブルディスク,MO,CD−R,CD−RW,DVD+R,DVD+RW,DVD−R,DVD−RW,又はDVD−RAM等の不揮発性記録媒体(メモリ)に記録して提供することもできる。それらの記録媒体に記録されたプログラムを機器にインストールしてCPUに実行させるか、CPUにそれらの記録媒体からこのプログラムを読み出して実行させることにより、上述した各手順を実行させることができる。
さらに、ネットワークに接続され、プログラムを記録した記録媒体を備える外部機器あるいはプログラムを記憶手段に記憶した外部機器からダウンロードして実行させることも可能である。
なお、この発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが対象となることは言うまでもない。
18,303:コンタクトガラス 19:第1読取ローラ
20,301:第1読取部 25:第2読取部 26:第2読取ローラ
32:搬送ガイド 100:コントローラ部 111:本体制御部
120,206:フレームメモリ 200,304:光源部 201:センサチップ
202:アンプ回路 203:A/Dコンバータ 204:黒補正部
205:画像処理部 207:出力制御回路 208:I/F回路
300:画像読取装置 305:第1反射ミラー 306:第1キャリッジ
307:第2反射ミラー 308:第3反射ミラー 309:第2キャリッジ
310:CCD 314:信号処理基板 500:本体装置
501:第1地肌検出部 502:第2地肌検出部 503:紙厚特定部
504:第1面蓄積部 505:第2面蓄積部 506:色味補正部
507:画像転送部
特開2008−187466号公報

Claims (12)

  1. 光源が点灯された状態で原稿の表面を主走査方向に光走査して、該原稿の表面からの反射光をアナログ画像信号に変換し、該アナログ画像信号をデジタル信号に変換して出力することにより、前記原稿の表面画像を読み取る第1読取手段と、光源が点灯された状態で前記原稿の裏面を主走査方向に光走査して、該原稿の裏面からの反射光をアナログ画像信号に変換し、該アナログ画像信号をデジタル信号に変換して出力することにより、前記原稿の裏面画像を読み取る第2読取手段とを有し、前記第1読取手段と前記第2読取手段において異なる背景部材を用いる画像読取装置であって、
    前記第1読取手段と前記第2読取手段の出力のうち、前記原稿の表面および裏面の地肌部分にそれぞれ対応する出力を地肌出力として検出する地肌出力検出手段と、
    該地肌出力検出手段によって検出された前記第1読取手段と前記第2読取手段の地肌出力の比率から前記原稿の厚みを算出する厚み算出手段と、
    該厚み算出手段による算出結果に基づいて、前記第1読取手段および前記第2読取手段による前記原稿の表面画像および裏面画像の読み取り時の出力を補正する出力補正手段とを設けたことを特徴とする画像読取装置。
  2. 前記第1読取手段および前記第2読取手段は、異なる光学系で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
  3. 前記第1読取手段および前記第2読取手段は、同じ光学系で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の画像読取装置において、
    前記出力補正手段は、前記厚み算出手段による算出結果に基づいて対応する補正係数を算出し、前記第1読取手段および前記第2読取手段による前記原稿の表面画像および裏面画像の読み取り時の出力を前記算出した補正係数を用いて補正することを特徴とする画像読取装置。
  5. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の画像読取装置において、
    使用可能な原稿の厚み毎に異なる補正係数を有する補正テーブルを記憶する記憶手段を設け、
    前記出力補正手段は、前記厚み算出手段による算出結果に基づいて、前記補正テーブルから対応する補正係数を読み出し、前記第1読取手段および前記第2読取手段による前記原稿の表面画像および裏面画像の読み取り時の出力を前記読み出した補正係数を用いて補正することを特徴とする画像読取装置。
  6. 前記第1読取手段および前記第2読取手段は、それぞれ複数色のデジタル画像信号を出力する手段であり、
    前記記憶手段は、前記補正テーブルとして前記複数色にそれぞれ対応する複数の補正テーブルを記憶する手段であり、
    前記複数の補正テーブルは、それぞれ対応する色空間マトリックスを有することを特徴とする請求項5に記載の画像読取装置。
  7. 前記地肌出力検出手段は、前記第1読取手段と前記第2読取手段の前記原稿全体に対応する出力から地肌出力を検出することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の画像読取装置。
  8. 前記地肌出力検出手段は、前記第1読取手段と前記第2読取手段の前記原稿の先端に対応する出力から地肌出力を検出することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の画像読取装置。
  9. 請求項1乃至8のいずれか一項に記載の画像読取装置において、
    前記地肌出力検出手段によって検出された地肌出力に応じて前記原稿の色を判断する色判断手段を設けたことを特徴とする画像読取装置。
  10. 前記厚み算出手段は、前記地肌出力検出手段によって検出された前記第1読取手段と前記第2読取手段の赤色,緑色,又はブルーの地肌出力の比率から前記原稿の厚みを算出することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の画像読取装置。
  11. 請求項1乃至8のいずれか一項に記載の画像読取装置において、
    複数枚の原稿を1枚ずつ前記第1読取手段および前記第2読取手段によって画像読み取りが可能な位置に自動給送する自動原稿給送手段と、
    該自動原稿給送手段によって1枚目の原稿が給送された場合にのみ、前記地肌出力検出手段および前記厚み算出手段の動作を許可する動作許可手段と、
    前記厚み算出手段による算出結果を記憶する記憶手段とを設け、
    前記出力補正手段は、前記自動原稿給送手段によって2枚目以降の原稿が給送された場合に、前記記憶手段に記憶されている前記算出結果に基づいて、前記第1読取手段および前記第2読取手段による前記2枚目以降の原稿の表面画像および裏面画像の読み取り時の出力を補正することを特徴とする画像読取装置。
  12. 請求項1乃至11のいずれか一項に記載の画像読取装置を備え、該画像読取装置から出力されるデジタル画像信号に基づいて画像形成を行うようにしたことを特徴とする画像形成装置。
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