以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。本実施形態においては、複合機(MFP:Multi Function Peripheral)としての画像形成装置を例として説明する。本実施形態に係る画像形成装置は、電子写真方式による画像形成装置であり、撮像対象となる原稿を読取る画像読取装置を備える。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置のハードウェア構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、一般的なサーバやPC(Personal Computer)等の情報処理端末と同様の構成に加えて、画像形成を実行するエンジンを有する。即ち、本実施形態に係る画像形成装置1は、CPU(Central Processing Unit)10、RAM(Random Access Memory)11、ROM(ReA/D Only Memory)12、エンジン13、HDD(Hard Disk Drive)14及びI/F15がバス18を介して接続されている。また、I/F15にはLCD(Liquid Crystal Display)16及び操作部17が接続されている。
CPU10は演算手段であり、画像形成装置1全体の動作を制御する。RAM11は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU10が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM12は、読み出し専用の不揮発性記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。エンジン13は、画像形成装置1において実際に画像形成を実行する機構である。
HDD14は、情報の読み書きが可能な不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーション・プログラム等が格納されている。I/F15は、バス18と各種のハードウェアやネットワーク等を接続し制御する。LCD16は、ユーザが画像形成装置1の状態を確認するための視覚的ユーザインターフェースである。操作部17は、キーボードやマウス等、ユーザが画像形成装置1に情報を入力するためのユーザインターフェースである。
このようなハードウェア構成において、ROM12やHDD14若しくは図示しない光学ディスク等の記録媒体に格納されたプログラムがRAM11に読み出され、CPU10の制御に従って動作することにより、ソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、ハードウェアとの組み合わせによって、本実施形態に係る画像形成装置1の機能を実現する機能ブロックが構成される。
次に、図2を参照して、本実施形態に係る画像形成装置の機能構成について説明する。図2は、本実施形態に係る画像形成装置の機能構成を示すブロック図である。図2に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、コントローラ20、ADF(Auto Documennt Feeder:原稿自動搬送装置)21、スキャナユニット22、排紙トレイ23、ディスプレイパネル24、給紙テーブル25、プリントエンジン26、排紙トレイ27及びネットワークI/F28を有する。ADF21、スキャナユニット22、及び排紙トレイ23を総称して画像読取装置100という。
また、コントローラ20は、主制御部30、エンジン制御部31、入出力制御部32、画像処理部33及び操作表示制御部34を有する。図2に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、スキャナユニット22及びプリントエンジン26を有する複合機として構成されている。尚、図2においては、電気的接続を実線の矢印で示しており、用紙の流れを破線の矢印で示している。
ディスプレイパネル24は、画像形成装置1の状態を視覚的に表示する出力インターフェースであると共に、タッチパネルとしてユーザが画像形成装置1を直接操作し若しくは画像形成装置1に対して情報を入力する際の入力インターフェース(操作部)でもある。ネットワークI/F28は、画像形成装置1がネットワークを介して他の機器と通信するためのインターフェースであり、Ethernet(登録商標)やUSB(Universal Serial Bus)インターフェースが用いられる。
コントローラ20は、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせによって構成される。具体的には、ROM12や不揮発性メモリ並びにHDD14や光学ディスク等の不揮発性記録媒体に格納されたファームウェア等の制御プログラムが、RAM11等の揮発性メモリ(以下、メモリ)にロードされ、CPU10の制御に従って構成されるソフトウェア制御部と集積回路などのハードウェアとによってコントローラ20が構成される。コントローラ20は、画像形成装置1全体を制御する制御部として機能する。
主制御部30は、コントローラ20に含まれる各部を制御する役割を担い、コントローラ20の各部に命令を与える。エンジン制御部31は、プリントエンジン26やスキャナユニット22等を制御若しくは駆動する駆動手段としての役割を担う。
入出力制御部32は、ネットワークI/F28を介して入力される信号や命令を主制御部30に入力する。また、主制御部30は、入出力制御部32を制御し、ネットワークI/F28を介して他の機器にアクセスする。
画像処理部33は、主制御部30の制御に従い、入力された印刷ジョブに含まれる印刷情報に基づいて描画情報を生成する。この描画情報とは、画像形成部であるプリントエンジン26が画像形成動作において形成すべき画像を描画するための情報である。また、印刷ジョブに含まれる印刷情報とは、PC等の情報処理装置にインストールされたプリンタドライバによって画像形成装置1が認識可能な形式に変換された画像情報である。操作表示制御部34は、ディスプレイパネル24に情報表示を行い若しくはディスプレイパネル24を介して入力された情報を主制御部30に通知する。
画像形成装置1がプリンタとして動作する場合は、まず、入出力制御部32がネットワークI/F28を介して印刷ジョブを受信する。入出力制御部32は、受信した印刷ジョブを主制御部30に転送する。主制御部30は、印刷ジョブを受信すると、画像処理部33を制御して、印刷ジョブに含まれる印刷情報に基づいて描画情報を生成させる。
画像処理部33によって描画情報が生成されると、エンジン制御部31は、生成された描画情報に基づき、給紙テーブル25から搬送される用紙に対して画像形成を実行する。即ち、プリントエンジン26が画像形成部として機能する。プリントエンジン26によって画像形成が施された文書は排紙トレイ27に排紙される。
画像形成装置1がスキャナとして動作する場合は、ユーザによるディスプレイパネル24の操作若しくはネットワークI/F28を介して外部のPC等から入力されるスキャン実行指示に応じて、操作表示制御部34若しくは入出力制御部32が主制御部30にスキャン実行信号を転送する。主制御部30は、受信したスキャン実行信号に基づき、エンジン制御部31を制御する。
エンジン制御部31は、ADF21を駆動し、ADF21にセットされた撮像対象原稿(以下「原稿」と略記する)をスキャナユニット22に搬送する。また、エンジン制御部31は、スキャナユニット22を駆動し、ADF21から搬送される原稿を撮像する。また、ADF21に原稿がセットされておらず、スキャナユニット22に直接原稿がセットされた場合、スキャナユニット22は、エンジン制御部31の制御に従い、セットされた原稿を撮像する。即ち、スキャナユニット22が原稿読取部として動作する。
撮像動作においては、スキャナユニット22に含まれる撮像素子が原稿を光学的に走査し、光学情報に基づいて生成された撮像情報が生成される。エンジン制御部31は、スキャナユニット22が生成した撮像情報を画像処理部33に転送する。画像処理部33は、主制御部30の制御に従い、エンジン制御部31から受信した撮像情報に基づき画像情報を生成する。
画像処理部33によって生成された画像情報は、ユーザの指示に応じてそのままHDD14等に格納され若しくは入出力制御部32及びネットワークI/F28を介して外部の装置に送信される。
また、画像形成装置1が複写機として動作する場合は、エンジン制御部31がスキャナユニット22から受信した撮像情報若しくは画像処理部33が生成した画像情報に基づき、画像処理部33が描画情報を生成する。その描画情報に基づいてプリンタ動作の場合と同様に、エンジン制御部31がプリントエンジン26を駆動する。
次に、図3を参照して、本実施形態に係る画像形成装置の概略構成について説明する。図3は、本実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。
図3に示すように、画像形成装置1は画像読取装置100と、給紙部200と、画像形成部300とを備えている。
給紙部200は、用紙サイズの異なる記録紙を収納する給紙カセット221,222と、給紙カセット221,222に収納された記録紙を画像形成部300の画像形成位置まで搬送する各種ローラからなる給紙手段223とを有している。
画像形成部300は、露光装置331と、感光体ドラム332と、現像装置333と、転写ベルト334と、定着装置335とを備えている。画像形成部300は、画像読取装置100内部の読取部により読取られた原稿の画像データに基づいて、露光装置331により感光体ドラム332を露光して感光体ドラム332に潜像を形成し、現像装置333により感光体ドラム332に異なる色のトナーを供給して現像するようになっている。そして、画像形成部300は、転写ベルト334により感光体ドラム332に現像された像を給紙部200から供給された記録紙に転写した後、定着装置335により記録紙に転写されたトナー画像のトナーを溶融して、記録紙にカラー画像を定着するようになっている。
画像読取装置100は、原稿を固定の読取装置部に搬送し所定の速度で搬送しながら画像読取を行う装置である。その基本的な構成及び機能について、図4及び図5を基に説明する。図4は、画像読取装置の構成を示す図である。また図5は、画像読取装置の制御系の構成を示すブロック図である。
図4及び図5に示すように、画像読取装置100は、大きくは、読取原稿束をセットする原稿セット部A、セットされた原稿束から一枚毎原稿を分離して給送する分離給送部B、給送された原稿を一次突当整合する働きと、整合後の原稿を引き出し搬送する働きのレジスト部C、搬送される原稿をターンさせて、原稿面を読取り側(下方)に向けて搬送するターン部D、原稿の一方の面(以下「表面」という)の画像を、コンタクトガラスの下方より読取を行わせる第一読取搬送部E、原稿の他方の面(以下「裏面」という)の画像を読取る第二読取搬送部F、表裏の読取が完了した原稿を機外に排出する排紙部G、読取完了後の原稿を積載保持するスタック部H、これら搬送動作の駆動を行う駆動部190、及び一連の動作を制御するコントローラ180を含んで構成される。分離給送部B、第一読取搬送部E、第二読取搬送部F、及び排紙部Gが原稿搬送部に相当する。
駆動部190には、図5に示すように、ピックアップモータ191、給紙モータ192、読取モータ193、排紙モータ194、及び底板上昇モータ195が含まれる。
読取を行う原稿101の束をセットするのは、可動原稿テーブル103を含む原稿テーブル102上で、原稿101の表面を上向きの状態でセットする。更に原稿101の幅方向を図示しないサイドガイドによって搬送方向と一致する方向に位置決めを行う。原稿101のセットはセットフィラー104、セットセンサ(図示を省略)により検知され、エンジン制御部31を介して主制御部30に送信される。なお、画像読取装置100のコントローラ180に画像読取装置100の制御を行う機能を担わせたときには、主制御部30ではなくコントローラ180に上記検知結果を示す信号を出力してもよい。
更に原稿テーブル面に設けられた原稿長さ検知センサ130又は131(反射型センサ又は、原稿が1枚にても検知可能なアクチェーター・タイプのセンサが用いられる)により原稿の搬送方向長さの概略が判定される。原稿長さ検知センサに代えて、同一原稿サイズの縦か横かを判断可能なセンサを配置してもよい。
可動原稿テーブル103は底板上昇モータ195により、図4に示すa、b方向に上下動可能な構成になっている。そして、原稿がセットされた事をセットフィラー104及びセットセンサが検知すると、底板上昇モータ195を正転させて原稿束の最上面がピックアップローラ107と接触するように可動原稿テーブル103を上昇させる。ピックアップローラ107はカム機構を有し、ピックアップモータ191により図4に示すc、d方向に動作する。これと共に、可動原稿テーブル103が上昇し、可動原稿テーブル103上の原稿上面により押されてc方向に上がり、テーブル給紙適正位置センサ108により上限が検知可能となる。
操作部17よりプリントキーが押下され、読み取り開始の指示が操作表示制御部34を介して主制御部30に入力されると、主制御部30からエンジン制御部31を介して画像読取装置100に原稿給紙信号が送信される。ピックアップローラ107は給紙モータ192の正転によりコロが回転駆動し、原稿テーブル102上の数枚(理想的には1枚)の原稿をピックアップする。回転方向は、最上位の原稿を給紙口に搬送する方向である。
給紙ベルト109は、給紙モータ192の正転により給紙方向に駆動され、リバースローラ110は給紙モータ192の正転により給紙と逆方向に回転駆動され、最上位の原稿とその下の原稿を分離して、最上位の原稿のみを給紙できる構成となっている。さらに詳しく説明すると、リバースローラ110は給紙ベルト109と所定圧で接し、給紙ベルト109と直接接している状態、又は1枚の原稿を介して接している状態では給紙ベルト109の回転につられて反時計方向に回り、万が一、2枚以上の原稿が給紙ベルト109とリバースローラ110との間に侵入すると連れ回り力がトルクリミッターのトルクよりも低くなるように設定されており、リバースローラ110は本来の駆動方向である時計方向に回転し、余分な原稿を押し戻す働きをし、重送が防止される。
給紙ベルト109とリバースローラ110との作用により1枚に分離された原稿101は給紙ベルト109によって更に送られ、突き当てセンサ111によって先端が検知され更に進んで停止しているプルアウトローラ112に突き当たる、その後、上述の突き当てセンサ111の検知から所定量定められた距離送られ、結果的には、プルアウトローラ112に所定量撓みを持って押し当てられた状態で給紙モータ192を停止させることにより、給紙ベルト109の駆動が停止する。この時、ピックアップモータ191を回転させることでピックアップローラ107を原稿上面から退避させ、原稿101を給紙ベルト109の搬送力のみで送ることにより、原稿先端は、プルアウトローラ112の上下ローラ対のニップに進入し、先端の整合(スキュー補正)が行われる。
プルアウトローラ112は、前記スキュー補正機能を有すると共に、分離後にスキュー補正された原稿を中間ローラ114まで搬送するためのローラで、給紙モータ192の逆転により駆動される。またこの時(給紙モータ192逆転時)、プルアウトローラ112と中間ローラ114は駆動されるが、ピックアップローラ107と給紙ベルト109は駆動されていない。
原稿幅センサ113は主走査方向に複数個並べられ、プルアウトローラ112により搬送された原稿の主走査方向のサイズ(原稿幅サイズ)を検知する。また、原稿の搬送方向の長さは原稿の先端後端を突き当てセンサ111で読取ることによりモータパルスから原稿の長さを検知する。
プルアウトローラ112及び中間ローラ114の駆動によりレジスト部Cからターン部Dに原稿が搬送される際には、レジスト部Cでの搬送速度を読取搬送部Eでの搬送速度よりも高速に設定して原稿を読取部へ送り込む処理時間の短縮が図られている。原稿先端が読取入口センサ115により検出されると、読取入口ローラ116の上下ローラ対のニップに原稿先端が進入前に、原稿搬送速度を読取搬送速度と同速にする為に減速を開始すると同時に、読取モータ193を正転駆動して読取入口ローラ116、読取出口ローラ123、出口ローラ127を駆動する。原稿101の先端をレジストセンサ117にて検知すると、所定の搬送距離をかけて減速し、第1読取部120の手前で一時停止すると共に、主制御部30にエンジン制御部31を介して一時停止したことを示すレジスト停止信号を送信する。
続いて主制御部30より読取り開始信号を受信すると、一時停止していた原稿101は、第1読取部120の読取位置に原稿先端が到達するまでに所定の搬送速度に立ち上がるように増速されて搬送される。読取モータ193のパルスカウントにより検出された原稿先端が読取部に到達するタイミングで、主制御部30に対して第1面の副走査方向有効画像領域を示すゲート信号が、第1読取部120を原稿後端が抜けるまで送信される。
片面原稿読取りの場合には、読取搬送部Eを通過した原稿は第2読取部125を経て排紙部Gへ搬送される。この際、排紙センサ124により原稿の先端を検知すると、排紙モータ194を正転駆動して排紙ローラ128を反時計方向に回転させる。また、排紙センサ124による原稿の先端検知からの排紙モータパルスカウントにより、原稿後端が排紙ローラ128の上下ローラ対のニップから抜ける直前に排紙モータ駆動速度を減速させて、排紙トレイ23上に排出される原稿が飛び出さない様に制御される。
両面原稿読取りの場合には、排紙センサ124にて原稿先端を検知してから読取モータ193のパルスカウントにより第2読取部125に原稿先端が到達するタイミングで第2読取部125に対して主制御部30から副走査方向の有効画像領域を示すゲート信号が第2読取部125を原稿後端が抜けるまで送信される。第2読取ローラ126は第2読取部125における原稿の浮きを抑えると同時に、第2読取部125における白補正データを取得する為の白基準部材を兼ねるものである。すなわち、白基準部材が濃度基準となる。
次に図6乃至図8に基づいて、第2読取部125の構成について説明する。図6は、第2読取部の電気回路の要部を示す図である。図7は、第2読取部の構成部品を示す図である。図8は、第2読取部に含まれるLEDの配置位置を示す図である。
図6に示すように、第2読取部125は、光源部250、イメージセンサ251、アンプ回路252、アナログデジタルコンバータ(以下「A/Dコンバータ」という)253、黒補正部254、白補正部255、画像処理部256、フレームメモリ257、出力制御回路258、インターフェース回路(以下「I/F回路」と記す)259、及び位置ずれ量算出部260を含む。
光源部250は、図7に示すように、点光源としてのLED2501及び導光部2502を含む。このLED2501が発光部に相当する。
イメージセンサ251は、光電変換素子を含むセンサチップ2511を主走査方向に沿って配列したラインセンサとして構成される。センサチップ2511は、等倍密着イメージセンサ(CIS:Contact Image Sensor)と称される光電変換素子と集光レンズとを具備するものである。本実施形態では光電変換素子としてCISを用いるが、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)でもよい。光電変換素子は、原稿や白基準部材からの反射光を主走査方向全範囲にわたって受光して光量に応じた電子信号を出力するものである。よって光電変換素子が、光電変換部に相当する。集光レンズはLED2501から照射された光が光電変換部に入射する光路において、光の集光状態を調整するものである。
アンプ回路252及びA/Dコンバータ253はセンサチップ2511と同数備え、センサチップ2511、アンプ回路252、及びA/Dコンバータ253の順に直列に接続される。センサチップ2511から出力されるアナログ信号はアンプ回路252で増幅され、A/Dコンバータ253においてデジタル信号に変換される。
A/Dコンバータ253から出力される信号には、信号成分以外に黒オフセットレベルがある。黒補正部254は、原稿読取期間外、すなわち紙間において、発光部消灯状態の下、光源部250の消灯時におけるイメージセンサ251からの出力を基に、黒オフセットレベルを補正するための黒補正データ(黒シェーディングデータと呼ばれることもある。)を生成し、図示しないメモリに格納しておく。すなわち、黒補正データの取得に際して、発光部の消灯状態が濃度基準となる。黒補正データは、画素毎のオフセットレベル差や、ランダムノイズの影響を考慮して、画素単位で複数ラインの平均値として求めることが望ましい。そして、イメージセンサ251が原稿を読取って得た出力に対して黒オフセットレベル相当の信号を除去する補正(以下「黒補正」という)を実行する。すなわち、光源部250の消灯時の照度が、オフセット補正の濃度基準となる。
白補正部255は、光源部250の主走査方向ムラやイメージセンサ251の感度不均一による画像データへの影響の除去をするために、白基準部材(第2読取ローラ126が白基準部材を兼ねる)を読取って得た出力を基に白補正データを生成し、その白補正データを用いて、黒補正後の画像に対し、白補正を行う。なお、本実施形態では、白補正部は、白基準部材を読み取った出力を基に、光電変換部からの出力基準を示す基準レベルを生成し、原稿を読み取って得られた画像に対し、基準レベルを用いて光量補正を行う出力レベル補正部としての機能を兼ね備えるものとする。そして、位置ずれ量算出部260が算出した位置ずれ量と、予め定められた閾値との比較結果を基に、光量補正と白補正データの再生成とを切り替えて実行する。この詳細は後述する。
黒補正、白補正などを施された画像データは、画像処理部256においてその他種々の画像処理がなされる。そしてフレームメモリ257に一時的に格納される。その後、フレームメモリ257に格納された画像データは、出力制御回路258によって主制御部30に受入可能なデータ形式に変換された後、I/F回路259を経由してエンジン制御部31を介して主制御部30に出力される。
位置ずれ量算出部260は、白補正データ生成時の出力信号の強度分布と、白補正データ生成時よりも後に、再度白基準部材を読み取って得た出力信号の強度分布と、を比較し、各強度分布の出力ピーク位置の位置ずれ量を算出する。この位置ずれ量が予め定めた許容量よりも大きい場合に、白補正部255に対して白補正データの再生成を指示する。更に、同じタイミングで黒補正部254に対して黒補正データの再生成を指示してもよい。この位置ずれ量算出部260の動作が、本発明の要旨である。
上記黒補正部254、白補正部255(出力レベル補正機能を含む)、画像処理部256及び位置ずれ量算出部260は、各部の機能を実現する各種プログラムと、演算・制御装置(例えばCPU)及び記憶装置(例えばメモリ)を含むハードウェアとが協働することにより構成されて、その機能を実現する。
上述した第2読取部125の動作は、コントローラ180により統括的に制御される。例えば、コントローラ180は、原稿101の先端が第2読取部125による読取位置に到達するタイミング(そのタイミング以降の画像データが有効データとして扱われる)を知らせるためのタイミング信号や、イメージセンサ251の各センサチップ2511を駆動するためのタイミング信号、光源部250の点灯信号などを出力して、第2読取部125の動作を制御する。また、第2読取部125への電源供給は、コントローラ180の制御のもとで行われる。
図7に示すように、第2読取部125に含まれる光源部250は、発光部としてのLED2501と、LED2501から放射される光を照射方向に導く導光部2502と、を含んで形成される。また、導光部2502は、端面から受光し、受光した光を主走査方向全範囲に拡散して、出射面から光を出射する長尺状の光学部材を用いて構成される。導光部2502の軸方向は主走査方向と一致する。ここでいう導光部2502とは、LED2501から放射される光を主走査方向の全範囲に拡散して照射する機能を有するものであればよく、例えば、プリズムのように光を屈折させて原稿101に出射するものや、ミラーのように光を反射させて原稿101に照射するものでもよい。また、発光部は、発光素子の他、蛍光灯、あるいは冷陰極管でもよい。更に、発光部の配置位置は、本例では主走査方向端部としたが、この位置に限定されない。
本実施形態では、イメージセンサ251としてCISを用いることとし、複数の等倍レンズを原稿の主走査方向全範囲にわたって配置したレンズアレイ2511aと、センサ基板2511c上に積層された光電変換素子2511bと、を含む。LED2501より照射された光は、導光部2502を介して原稿または白基準部材に照射される。そして、原稿または白基準部材からの反射光は、レンズアレイ2511aを介して光電変換素子2511bに入射する。
LED2501から生じる熱は、レンズアレイ2511a、光電変換素子2511b、及びセンサ基板2511cの熱膨張を引き起こす。この熱膨張が、画像の縦スジの発生要因となる。以下、図8及び図9に基づいて、この熱膨張による影響について説明する。図8は、熱影響でレンズアレイが膨張した場合の、イメージセンサ端部の出力レベルの分布変動を示す図である。図9は、熱影響でセンサ基板が膨張した場合のイメージセンサ端部の出力レベルの分布変動を示す図である。以下では、第2読取部125に含まれるCISが、白基準部材170を読取ってシェーディングデータを生成する処理を例に挙げて説明するが、熱膨張による弊害は、読取対象が白基準部材170だけでなく原稿であっても同様に生じる。
図8に示すように、白基準部材170からの反射光は、レンズアレイ2511aに含まれる等倍レンズ2511a1、2511a2の其々により集光されて、光電変換素子2511bに入射する。そのため、等倍レンズ2511a1、2511a2の其々の中心付近では光を集光し易く、高いセンサ出力が得られるが、等倍レンズ2511a1、2511a2の其々の端部においてはセンサ出力が低下する。その結果、白補正データ及びシェーディング補正前の画像の出力の強度分布は、出力の高い位置と低い位置とが、主走査方向に沿って等倍レンズ2511a1、2511a2の配列周期で交互に繰り返される分布となる。なお、等倍レンズ2511a1、2511a2の1周期毎の画素値は、等倍レンズの種類によって異なる。
図8のグラフ800は、白補正データ生成時(以下「0分時」という)に白基準部材170を読取って得た主走査方向の強度分布(実線で図示する)と、0分時からX分後の出力の強度分布(一点鎖線で図示する)と、を示す。グラフ800に示すように、LED2501の連続点灯による発熱で、光量の低下が発生すると共に、出力の高い位置及び低い位置が、主走査方向に沿って経時で僅かにシフトする現象が発生する。図8の例では、0分時では、m画素目が出力強度の高いピーク画素であるが、X分後では、m+1画素目が出力強度の高いピーク画素である。ピーク値の画素位置は、白補正データ生成時や光量補正用のデータ取得時に観測する。そして、白補正データ生成時のピーク値の画素位置及び時間毎のピーク値の画素位置を観測し続けて、シフト量Z(図8では1画素(m画素→m+1画素))を求める。
ゴミの影響や光量の短期変動に含まれるノイズを除去する為に、取得した白補正データ等に移動平均をかけてからピーク値を検出することで、より精度良く出力ピーク位置を算出することができる。なお、移動平均の画素数は任意に変更可能とする。これにより、等倍レンズ2511a1、2511a2の配列周期に合わせる事が可能となり、検出精度向上が見込める。なお、図8では、X分後に後端側に強度分布がシフトしているが、光電変換素子2511b、センサ基板2511c、及びレンズアレイ2511aの位置決めの仕方や主走査方向の位置によりシフトする向きは異なる。
また、図9に示すように、LED2501が点灯してからの時間(X分とする)が経過した際に、LED2501等からの発熱によりセンサ基板2511cの膨張が予想される。この場合は、センサ基板2511cがシフトすることで、等倍レンズ2511a1、2511a2のうち、集光率が高い位置を読む画素もシフトする。その結果、白補正データ生成時はn画素目で読んでいた出力が、X分後ではn−1画素目で読むことになる。このときの出力波形は、グラフ900に示すように、X分後の出力は、白補正データ生成時と比較して先端側(左)に1画素シフトした波形になる。
すなわち、レンズアレイ2511aが熱膨張した場合と、センサ基板2511cが熱膨張した場合とでは、出力ピーク位置の位置ずれ方向が逆となる。レンズアレイ2511aとセンサ基板2511cとがともに熱膨張を起した場合は、変化の大きい方向に移動する。なお、シフト量Zの算出方法や出力ピーク位置の検出方法は、図8での説明と同じであるので省略する。
図10に基づいて、原稿位置合わせが主走査方向中心の場合におけるシフト量の主走査特性を示す。図10は、原稿位置合わせが主走査方向中心の場合におけるシフト量の主走査特性を示す図であって、(a)はLEDに相対的に近い位置に設けられた観測点Aにおけるシフト量の主走査特性を示し、(b)はLEDからは観測点Aよりも相対的に遠い位置に設けられた観測点B及びCでのシフト量の主走査特性を示す。図10は、1例として1分後と2分後の主走査位置毎のズレ量の特性と原稿位置合わせが中心基準の場合のA3原稿およびA4原稿の通紙領域を示している。また、縦軸ではスジが発生する許容シフト量、観測点AにおいてA3原稿とA4原稿の端部が許容シフト量に達する際の閾値Y1とY2を記載している。
原稿において最もスジが発生する可能性が高いのは、ズレ量の大きい領域であり、本例では端部である。原稿位置決めが主走査方向の中心で行われる場合は、図10の(a)に示すように、原稿サイズに応じて原稿領域内の端部でスジが発生する時間は異なる。(図10ではA3原稿は1分後に許容シフト量に達し、A4原稿では2分後に許容シフト量に達する。)その為、ユーザが操作部で設定した、又は画像形成装置が自動的に取得した原稿サイズに応じて観測点Aにおける許容シフト量を変更することで、原稿サイズに応じた最適なタイミングで白補正データの再生成を行うことが可能となる。そうすることで、原稿サイズが相対的に小さい場合は、白補正データの再生成間隔が相対的に長くなり、紙間が短くなる。その結果、読み取り生産性をより高めることができる。
そこで、図10の(b)に示すように、A3原稿読取時は、A3原稿通紙領域の端部に観測点Bを設け、A4原稿読取時は、A4原稿通紙領域の端部に観測点Cを設けてもよい。このように、原稿サイズに応じて観測点の位置を変更する場合は、許容シフト量は常に同じ値(図では閾値=許容シフト量)でもよい。これにより、図10の(a)と同様の効果を得ることが出来る。
次に図11に基づいて、本実施形態に係る画像形成装置の動作の流れについて説明する。図11は、本実施形態に係る画像形成装置の動作の流れの一例を示すフローチャートである。以下、図11のステップ順に沿って説明する。
まず、画像読み取り開始前に光源を消灯する(S1101)。黒補正部254は、発光部の消灯時において光電変換素子2511bから出力された電気信号を基に、画素単位で黒補正データを生成する(S1102)。次いで、光源を点灯する(S1103)。白補正部255は、発光部の点灯時において光電変換素子2511bから出力された電気信号を基に、画素単位で白補正データを生成する(S1104)。ここでは、画素単位で白補正データを生成するので、白基準部材を兼ねる第2読取ローラ126(図4参照)1周分のデータを算出する。そのため、紙間時間が長くなる。
次に、白補正部255は、出力レベル補正用に、任意のエリアの白基準部材の出力レベルを算出する(S1105)。位置ずれ量算出部260は、ステップS1104で生成された白補正データを取得し、主走査方向端部に配置された等倍レンズの中心部位置(出力ピーク位置)を算出する(S1106)。この位置が観測点に相当する。そして、シェーディングデータ生成フラグ(sh_flag)をクリアする(sh_flag=0)(S1107)。
次いで、原稿読み取りを開始する(S1108)。ここでいう原稿の読み取りには、原稿からの反射光を読み取って得た電気信号に対する黒レベル補正及び白レベル補正を含む。
次原稿がない場合(S1109/No)画像読取動作を終了する(S1115)。次原稿がある場合(S1109/Yes)、シェーディングデータ生成フラグが立っているか否か(sh_flag=1であるか否か)の判断がされ、シェーディングデータ生成フラグがたっている場合(S1110/Yes)、ステップS1104へ進み、白補正データの再生成を行う。
シェーディングデータ生成フラグが立っていない場合(sh_flag=0)の場合(S1110/No)、ステップS1105で算出した白基準部材の出力レベルと現在の白基準部材の出力レベルとの比を算出して、光量変化率を補正する(S1111)。この光量変化量の補正は、読取ローラ1周分のデータを算出しない為、白補正データを生成する場合と比べて紙間時間が短くなる。
位置ずれ量算出部260は、ステップS1106で算出した等倍レンズの中心部位置と、現在の等倍レンズの中心部位置との主走査方向のシフト量Zを算出する(S1112)。ここで算出したシフト量Zが、予め定められた許容シフト量以上である場合(S1113/No)、位置ずれ量算出部260は、シェーディングデータ生成フラグを立てる(sh_flag=1)(S1114)。その後ステップS1108へ進み、次原稿の読取を開始する。シフト量Zが設定した許容シフト量未満である場合(S1113/Yes)も、ステップS1108へ進み、画像の読取を開始する。
上記白補正データの生成(ステップS1104)及び光量補正のための基準レベルの生成(ステップS1105)において、白基準部材にごみが付着すると、光電変換素子2511bからの出力強度に影響を与えうる。そこで、白基準部材に付着するごみへの対応が求められる。
図12は、ごみ対策について説明する図であって、(a)は白補正時の強度分布の違いを示し、(b)は光量補正時の強度分布の違いを示し、(c)は白補正時の主走査分布及び光量補正時の強度分布の違いから生じる出力ピーク位置のシフト量を示す。
ジョブの開始にあたり、図11のステップS1104において白補正データを生成する際には、白基準部材170を兼ねる第2読取ローラ126に付着したゴミや白基準部材170の濃度ムラの影響を排除する為、第2読取ローラ126の1周相当分の出力を得てその移動平均をとる方法と、白基準部材170を副走査方向に移動して得た出力の移動平均をとる方法とがある。これらの場合の白補正データの観測エリア(白補正データを生成するための読み取り領域)1201は、短辺が主査方向の長さ、長辺が第2読取ローラ126の外周一周の長さ、に相当する(図12の(a)参照)。この場合、第2読取ローラ126が1周するための時間、又は第2読取ローラ126を外周相当の距離を副走査方向へ移動させるための時間を要することとなるが、これらの時間が紙間となり、読取生産性の低下を招く。
一方、図11のステップS1105における出力レベル補正の基準レベルの算出に際しては、光量変動を見ればよい為、第2読取ローラ126を1周分観測する必要がない。また、第2読取ローラ126を副走査方向に移動させずに、第2読取部125の対向位置に、白基準部材としての基準白板を用意するだけでよい。前者の場合は、第2読取ローラ126のうち第2読取部125に対向する面が、後者の場合には基準白板における第2読取部125に対向する面が、光量補正に用いる出力レベル生成のための観測エリア1202となる(図12の(b)参照)。この観測エリア1202は、数千画素分あればよい。例えば、主走査方向に300画素、副走査方向に20ラインとすると出力レベル生成のための観測エリア1202は6000画素となる。従って、相対的に短い時間で観測を終えることができる。
出力ピーク位置のシフト量Zを光量補正のタイミングで算出しようとした場合は、シェーディング補正時と比較して副走査の観測ラインが少ない為、ゴミなどの影響を受けて強度分布にノイズがのりやすい。その為、図12の(c)のグラフ1203に示すように、シェーディング補正時と光量補正時とで強度分布のズレは発生していない場合でも、ズレ量Zが観測されることがある。
この問題に関しては、ズレ量の上限値を設定する機能を設けることで解消することができる。この上限値はレジスタにて任意に変更できる。例えば、許容シフト量Y=3画素、上限値=5画素とした場合、以下のように対応する。
ケース1(許容シフト量未満):
シフト量Z<3画素であれば光量補正を行う
ケース2(許容シフト量以上、上限値未満):
3画素≦シフト量Z<5画素であれば白補正データの再生成を行う。
ケース3(上限値以上):
5画素≦シフト量Zであれば光量補正を行う。
ケース1の場合、すなわち、シフト量Zが許容シフト量Yを未満である場合は、スジの発生がないとして光量補正をして紙間時間を短縮する。ケース2の場合、すなわちシフト量Zが許容シフト量Y以上であり、上限値未満である場合は、スジの発生があるとして白補正データを再生成する。ケース3の場合、すなわち、シフト量Zが上限値を超えた場合は、ゴミの影響を受けていると判断して、光量補正を実施して紙間を補正する。なお、ここの説明ではジョブの途中では光量補正を行うと説明したが、光量補正を行わない構成でも良い。
本実施形態では、熱膨張により、出力ピーク位置の位置ずれが、スジを発生させるか否かの判断基準となる許容シフト量以上の場合にのみ、白補正データの再生成を行う。これにより画質の劣化が生じない時間内では、白補正データの再生成を行わないこととなり、紙間時間の短縮化が行え、読取生産性の向上を図ることができる。
上記では、光源から発する熱による影響として、レンズ、センサ、センサ基板の熱膨張による集光率のピーク位置(出力ピーク位置)の位置ずれについて説明した。しかし、光源から発する熱による影響はこれだけには限らず、光電変換素子に蓄積する暗電流の量の変化ももたらす。図13は、発光部消灯時におけるイメージセンサの出力レベルの温度特性を示す図である。発光部消灯時のイメージセンサ出力は温度特性を有している。この温度特性は、一般的に図13に示すように、高温ほどその出力レベルが上昇する特性となる。そのため、黒補正データは、毎ページ紙間で更新するのが望ましいが、生産性向上の観点からは紙間が長くなり好ましくない。
そこで、図11の動作フローにおいて、白補正データの再生成をする直前又は直後に黒補正データの再生成を行ってもよい。例えば、図11のステップS1110で「Yes」と判断されると、ステップS1102へ移行して、黒補正データの再生成を行うようにしてもよい。
これにより、発光部点灯による熱の影響から暗電流の蓄積量が変化しても、白補正データの再生成のタイミングに合わせて、黒補正データも再生成できる。これにより、発光部からの熱が画質の低下を招くことを更に抑止する。