以下に添付図面を参照して、読取装置、画像形成装置および補正方法の実施の形態を詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態にかかる画像処理装置100の一例の構成を示す図である。図1において、異常画素検出装置として機能する画像処理装置100は、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する一般に複合機(MFP)と称される画像形成装置である。
画像処理装置100は、読取装置である画像読取部101およびADF(Automatic Document Feeder:自動原稿給送装置)102を有し、その下部に画像形成部103を有する。画像形成部103については、内部の構成を説明するために、外部カバーを外して内部の構成を示している。
ADF102は、画像を読み取らせる原稿(対象物)を読取位置に位置づける原稿支持部である。ADF102は、載置台に載置した原稿を読取位置に自動搬送する。画像読取部101は、ADF102により搬送された原稿を所定の読取位置で読み取る。また、画像読取部101は、原稿を載置する原稿支持部であるコンタクトガラスを上面に有し、読取位置であるコンタクトガラス上の原稿を読み取る。具体的に画像読取部101は、内部に光源や、光学系や、CCD(Charge Coupled Device)等のイメージセンサを有するスキャナであり、光源で照明した原稿の反射光を光学系を通じてイメージセンサで読み取る。
画像形成部103は、画像読取部101で読み取った原稿画像を印刷する。画像形成部103は、記録紙を手差しする手差ローラ104や、記録紙を供給する記録紙供給ユニット107を有する。記録紙供給ユニット107は、多段の記録紙給紙カセット107aから記録紙を繰り出す機構を有する。供給された記録紙は、レジストローラ108を介して二次転写ベルト112に送られる。
二次転写ベルト112上を搬送する記録紙は、転写部114において中間転写ベルト113上のトナー画像が転写される。
また、画像形成部103は、光書込装置109や、タンデム方式の作像ユニット(Y、M、C、K)105や、中間転写ベルト113や、上記二次転写ベルト112などを有する。作像ユニット105による作像プロセスにより、光書込装置109が書き込んだ画像を中間転写ベルト113上にトナー画像として形成する。
具体的に、作像ユニット(Y、M、C、K)105は、4つの感光体ドラム(Y、M、C、K)を回転可能に有し、各感光体ドラムの周囲に、帯電ローラ、現像器、一次転写ローラ、クリーナーユニット、及び除電器を含む作像要素106をそれぞれ備える。各感光体ドラムにおいて作像要素106が機能し、感光体ドラム上の画像が各一次転写ローラにより中間転写ベルト113上に転写される。
中間転写ベルト113は、各感光体ドラムと各一次転写ローラとの間のニップに、駆動ローラと従動ローラとにより張架して配置されている。中間転写ベルト113に一次転写されたトナー画像は、中間転写ベルト113の走行により、二次転写装置で二次転写ベルト112上の記録紙に二次転写される。その記録紙は、二次転写ベルト112の走行により、定着装置110に搬送され、記録紙上にトナー画像がカラー画像として定着する。その後、記録紙は、機外の排紙トレイへと排出される。なお、両面印刷の場合は、反転機構111により記録紙の表裏が反転されて、反転された記録紙が二次転写ベルト112上へと送られる。
なお、画像形成部103は、上述したような電子写真方式によって画像を形成するものに限るものではなく、インクジェット方式によって画像を形成するものであってもよい。
次に、画像読取部101およびADF102について説明する。
図2は、画像読取部101およびADF102の構成を概略的に示す図である。図2に示すように、画像読取部101は、本体11内に、撮像素子であるイメージセンサ9を備えたセンサ基板10、イメージセンサ9に結像するためのレンズユニット8、第1キャリッジ6及び第2キャリッジ7を有する。イメージセンサ9は、例えばCCDやCMOSイメージセンサなどである。第1キャリッジ6は、LED(Light Emitting Diode)である光源2及びミラー3を有する。第2キャリッジ7は、ミラー4,5を有する。本実施形態の読取手段を構成する読取部10は、イメージセンサ9および光源2を有している。
また、画像読取部101は、上面にコンタクトガラス1及び基準白板である基準部材13を設けている。基準部材13は、読み取り光学系等における各種の歪みを補正するためなどに用いる。また、画像読取部101は、ADF102により搬送された原稿を読みとるためのシートスルー読み取り用スリットであるコンタクトガラス14も備えている。
ADF102は、コンタクトガラス1に対して開閉できるように、ヒンジ等を介して画像読取部101に連結される。
ADF102は、複数枚の原稿からなる原稿束を載置可能な原稿載置台としての原稿トレイ15を備えている。また、ADF102は、原稿トレイ15に載置された原稿束から原稿を1枚ずつ分離してコンタクトガラス14へ向けて自動給送する給送ローラ16を含む分離・給送手段も備えている。
さらに、ADF102は、ADF背景部材17をコンタクトガラス14に対向する位置に備えている。ADF背景部材17は、主走査方向の濃度が一様になるように構成されている。
このように構成された画像処理装置100において、原稿12の画像面をスキャン(走査)して原稿12の画像を読み取るスキャンモード時には、画像読取部101は、第1キャリッジ6及び第2キャリッジ7を待機位置(ホームポジション)から副走査方向(A方向)に移動させながら光源2から光を上方に向けて照射する。このとき、コンタクトガラス1からイメージセンサ9までの光路長を一定に維持するために、第2キャリッジ7は第1キャリッジ6の1/2の速度で移動する。そして、第1キャリッジ6及び第2キャリッジ7は、原稿12からの反射光を、レンズユニット8を介してイメージセンサ9上に結像させる。そして、イメージセンサ9の光電変換により信号が出力され、後段の信号処理部によりデジタル信号に変換される。それによって、原稿12の画像が読み取られ、デジタルの画像データが得られる。
一方、原稿を自動給送して原稿の画像を読み取るシートスルーモード時には、画像読取部101は、第1キャリッジ6および第2キャリッジ7をコンタクトガラス14の下側へ移動する。その後、ADF102の原稿トレイ15に載置された原稿が給送ローラ16によって矢示B方向(副走査方向)へ自動給送され、画像読取部101は、コンタクトガラス14の位置において原稿に対して光源2から光を上方に向けて照射する。そして、第1キャリッジ6及び第2キャリッジ7は、原稿からの反射光を、レンズユニット8を介してイメージセンサ9上に結像させる。そして、イメージセンサ9の光電変換により信号が出力され、後段の信号処理部によりデジタル信号に変換される。それによって、ADF102によって搬送される原稿の画像が読み取られ、デジタルの画像データが得られる。このようにして画像の読み取りが完了した原稿は、排出口に排出される。
なお、画像読取部101は、電源ON時などのスキャンモード時又はシートスルーモード時の画像読み取り前に、光源2による照明により、基準部材13からの反射光を読取って基準を設定する。
即ち、画像読取部101は、第1キャリッジ6を基準部材13の直下に移動させ、光源2を点灯させて基準部材13からの反射光をイメージセンサ9の上に結像させる。基準部材13からの反射光がイメージセンサ9でアナログ信号に変換され、後段の信号処理部によりデジタル信号に変換される。それによって、基準部材13が読み取られ、その読み取り結果(デジタル信号)に基づいて原稿の画像読み取り時のシェーディング補正が行われる。
また、ADF102に搬送ベルトを備えている場合には、スキャンモードであっても、ADF102によって原稿をコンタクトガラス1上の読み取り位置に自動給送して、その原稿の画像を読み取ることができる。
なお、本実施形態においては、読取部10は、対象物からの反射光を読み取るものとして説明しているが、これに限るものではなく、読取部10は、対象物からの透過光を読み取るものであってもよい。
ここで、図3は画像読取装置での搬送ギャップについて説明する図である。上述した画像読取部101では、図3に示すように、シートスルー読み取り用スリットであるコンタクトガラス14とADF背景部材17との間に読取深度方向のギャップがある。このようなギャップが、対象物である原稿又は出力紙が搬送路内で最下部を通過した時(パターン1)と最上部を通過した時(パターン2)とでは、読取深度方向の特性差により、読取結果が異ならせてしまう。この点について、以下において詳述する。
図4は、画像読取装置における搬送ギャップによる特性劣化について説明する図である。例えば図3において、対象物である原稿がパターン1で搬送された時に最もピントが合う(解像力が高くなる)フォーカス位置となるように調整されていた場合、原稿がパターン2で搬送されてきた際には、図4に示すようにMTF特性が劣化し、読取画像の解像力が低下してピンボケした画像となってしまう。
図5は、画像読取部101の画像補正に係る各部の電気的接続を示すブロック図である。図5に示すように、画像読取部101は、上述したイメージセンサ9、光源2に加え、画像処理部22と、制御部23と、光源駆動部24と、を備えている。光源駆動部24は、光源2を駆動する。
制御部23は、光源駆動部24、イメージセンサ9、画像処理部22の各部を制御する。
画像処理部22は、第一検出部25と、第二検出部26と、補正部27と、を備える。なお、画像処理部22は、ハードウェア、ソフトウェアのどちらで実現されても良い。
第一検出部25は、読取部10で対象物表面を読み取った画像データに基づく読取結果を検出する。また、第一検出部25は、検出した読取結果を保持する。
第二検出部26は、読取部10で対象物表面を読み取った画像データに基づき、読取深度方向に変化する特徴量(MTF特性)を検出する。
補正部27は、第二検出部26で検出した特徴量を用い、第一検出部25で検出して保持している読取結果を補正する。
以下において、第二検出部26が、MTF特性を用いて読取深度方向に変化する特徴量を検出する例を示す。
図6は、深度方向の特徴量検出について説明する図である。図6(a)は、特徴量の検出パターンの一例を示す図である。図6(a)に示すように、例えば黒縦線を4本と黒ベタ部とを有する検出パターンP1を、対象物である白色原稿の読取面に予め形成しておく。
図6(b)は、検出パターンP1の読取りを示す図である。図6(b)に示すように、原稿が読取位置に搬送されてくるタイミングで、読取部10が、原稿の読取面に形成されている検出パターンP1を読み取る。
図7は、深度方向の特徴量検出結果について説明する図である。図6(b)に示したようにして、検出パターンP1(4本の縦線と黒ベタ部)及び紙白部分を読み取った際の読取値分布は、図7に示すようになる。紙白部分のレベルをW、黒ベタ部分のレベルをB、縦線読取時のMAXレベルとMINレベルの差をAとすると、
MTF=A/(W-B)×100 (%)
となる。
図8は、第二検出部26によるMTF特性を用いた読取深度方向の特徴量検出例を示す図である。
図7で説明したMTFの算出手法により、第二検出部26は、読取深度方向の特徴量をMTFとして算出する。第二検出部26は、対象物である原稿の読取面(対象物表面)において特徴量(MTF)を検出しているため、従来技術で発生していた紙厚分の検出誤差は発生せず、図8(a)に示すように、本来検出したい特徴量(本例の場合は、MAXレベルとMINレベルの差=A)を検出することができる。
補正部27は、第二検出部26で検出したMTF特性に対し、所定のMTFとなるように、解像力復元処理を行う。これにより、深度方向のばたつきによる特性劣化した画像を補正し、所望の読取画像とすることが可能となる。なお、解像力の復元処理については、特許第5760426号公報に開示の技術等と同一の処理を実施すれば良い。
このように本実施形態によれば、読取部10の読取深度方向に変化する特徴量を、対象物表面で検出して補正するため、紙厚や紙種に関わらず、読取部10の読取深度方向に変化する特徴量を精度良く検出して補正することができる。
なお、図8(b)に示すように、黒色原稿を使用する場合にも、検出用パターンP2(4本の縦線と黒ベタ部)を白色材で形成することにより、白色原稿に黒色の検出パターンP1を形成する際と同様にして、読取深度方向の特徴量(MTF)を検出することができる。
さらには、従来技術では用紙の紙厚が変わると誤差になってしまっていたが、本実施形態では、原稿がコンタクトガラス14側に貼り付いて搬送される場合(図8(c))、それ以外の場合(図8(d))でも、原稿表面にパターンを形成してMTFを検出するため、本来検出したい原稿表面におけるMTF特性を検出しており、原稿の紙厚が変化してもその影響を受けることなく精度良く検知することができる。
また、図4に示したように、コンタクトガラス14側でMTFが最大(フォーカス位置)となるように調整されているとすると、図7に示すようにして検出したMTFとの差分から、搬送される原稿のばたつき量を検出することも可能となる。
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態について説明する。
第2の実施の形態は、プロダクションプリンタの検査装置に読取装置を設ける点が、第1の実施の形態と異なる。第1の実施の形態では読取装置としてMFPの画像読取部101を適用する例を示しているが、読取装置をプロダクションプリンタの検査装置内に配置して、転写紙上に印刷された印刷画像を検査する用途でも用いられる場合がある。この場合にも、転写紙の搬送ばたつきにより、読取位置で深度方向の特性変化により、検査結果が変わってしまうため、図6(a)に記載したパターンを使用して、深度方向の特徴量を検出して補正する。以下、第2の実施の形態の説明では、第1の実施の形態と同一部分の説明については省略し、第1の実施の形態と異なる箇所について説明する。
図9は、第2の実施の形態にかかるプロダクションプリンタ200の構成を例示的に示す図である。図9に示すように、商用印刷用の画像形成装置であるプロダクションプリンタ200は、画像形成部201と、検査装置202と、を備えている。
画像形成部201は、A3全域を余白の無い仕上がりとするために、A3よりも大きい用紙(SRA3サイズなど)を用いてA3領域全面に画像形成を行い、余白部分を裁ち落として使用する。
検査装置202は、画像形成部201で生成されて出力された出力紙に対して、後段に配置される。検査装置202は、読取装置203を備えており、出力紙に対してスキャンを実行し、印刷画像の色味や位置検出等を実施する。
図10は、検査装置202に備えられる読取装置203を例示的に示す構成図である。図10に示すように、光源2031、第1反射ミラー2032、第2反射ミラー2033、第3反射ミラー2034、撮像素子2035、撮像素子2035に結像するためのレンズユニット2036を備えている。また、読取装置203は、出力紙が搬送される搬送経路上にコンタクトガラス204を有しており、コンタクトガラス204の対向側には基準部材を備えた背景部材205が配置される。光源2031は、コンタクトガラス204と背景部材205との間に位置する出力紙を露光する。
検査装置202は、読取装置203により搬送されてくる出力紙を読み取り、出力紙上に形成されている画像の色味や画像形成位置を検出して画像形成部201にフィードバックする。
なお、本実施形態では縮小光学系による読取装置203を例として示しているが、この限りではなく、等倍光学系等でも良い。
図11は、プロダクションプリンタ200での画像形成例を示す図である。第1の実施の形態では、画像読取部101で読み取る原稿に対して予め検出パターンP1を形成していた。しかしながら、原稿に検出パターンP1を形成することは、原稿画像が変化してしまうため許容されないことも考えられる。本実施形態においては、図11に示すように、転写紙の画像形成部分である実使用領域外(仕上がりサイズ領域外)に余白(裁ち落とし領域)が存在する。余白部分は印刷後に裁断されるため、余白部分に検出パターンを形成することで、ユーザに検出パターンを形成した副作用を与えることなく読取面の深度方向の特徴量を算出することが可能となる。
図12は、検出パターンを実使用領域外に形成する例を示す図である。具体的には、図12に示すように、画像形成時に、転写紙の実使用領域外(仕上がりサイズ領域外、図12に示す例ではA3領域外)にMTF検出用の検出パターンP3を形成する。読取装置203は、読取位置に搬送されてくる転写紙画像を読み取る。そして、読取装置203の第二検出部26は、読取結果を用いて、図7と同様にして読取面での深度方向の特徴量(MTF)を検出することができる。これにより、図8(a)のように従来技術で発生していた紙厚分の検出誤差は発生せず、本来検出したい特徴量を検出することができる。
このように本実施形態によれば、余白部分を裁断して使用することが多いプロダクションプリンタ200では、余白部分に読取深度方向の特徴量を検出する検出パターンP3を形成し、画像形成部201の後段に配置された読取装置203で転写紙を読み取ることにより、ユーザ画像に副作用を与えることなく読取深度方向の特徴量を検出して補正することができる。
なお、第1の実施の形態で説明したMFPの画像読取部101においても、原稿の余白部分に検出パターンP1を予め形成しておくことにより、同様に読取深度方向の特徴量を検出することができる。
(第3の実施の形態)
次に、第3の実施の形態について説明する。
第3の実施の形態は、検出パターンを可視光下で不可視の色材、または人目に認識しづらい略不可視の色材で形成する点が、第1の実施の形態ないし第2の実施の形態と異なる。プロダクションプリンタ200において転写紙は、図11に示すような態様で使用されるケースが多いが、必ずしも検出パターンを形成できる余白(裁ち落とし領域)がある訳ではない。また、第1の実施の形態のように読取装置をMFPの画像読取部101として使用する場合、原稿に検出パターンP1を形成できない時の検出については解決できていない。このようなケースに対応するために、検出パターンを可視光下で不可視の色材、または人目に認識しづらい略不可視の色材で形成する。以下、第3の実施の形態の説明では、第1の実施の形態ないし第2の実施の形態と同一部分の説明については省略し、第1の実施の形態ないし第2の実施の形態と異なる箇所について説明する。
図13は、第3の実施の形態にかかる検出パターンの形成例を示す図である。具体的には、図13(a)に示すように、例えば、可視光下では不可視だが、紫外光を照射すると特定色を発光する不可視色材(例えば、赤色を発色するインビジブルレッドトナー)で、転写紙上、又は原稿上にMTF検出用の検出パターンP4を形成する。
なお、本実施形態において、プロダクションプリンタ200の検査装置202内の読取装置203やMFPの画像読取部101は、通常の可視光に加え、不可視光である紫外光の照射を可能とする。
図13(b)に示すように、不可視色材で形成した検出パターンP4は可視光下では不可視のため、通常、不可視色材で形成した検出パターンP4をユーザが認識することはできない。
不可視色材で形成した検出パターンP4が形成された転写紙、又は不可視色材で形成した検出パターンP4が形成された原稿を可視光下で読み取ると、図13(c)に示すように、人の目の認識とほぼ同様に、転写紙、又は原稿の絵柄が読み取られる。
一方、不可視色材で形成した検出パターンP4が形成された転写紙、又は不可視色材で形成した検出パターンP4が形成された原稿を紫外光下で読み取ると、図13(d)に示すように、絵柄が除かれた検出パターンP4のみが検出される。
この時、不可視色材としてインビジブルレッドトナーを使用している場合には紫外光の照射で赤色に発光する。そのため、MFPの画像読取部101や読取装置203では、MFPの画像読取部101や読取装置203で読み取る色(Red/Green/Blue)の中で、色材が発光する色域に合わせて検出する色を選択(Redの読取結果を選択)することにより、精度良く検出することができる。
このように本実施形態によれば、上記のようにして得た読取結果を用いて、図7と同様にして読取面での深度方向の特徴量(MTF)を検出することができ、図8(a)のように従来技術で発生していた紙厚分の検出誤差は発生せず、本来検出したい特徴量を検出することができる。
なお、本実施形態では、不可視の色材として紫外光を照射して可視となる色材(インビジブルレッドトナー)を挙げたがこの限りではなく、赤外光の照射で可視となる色材(IRトナー)でもよい。なお、赤外光の照射で可視となる色材を用いる場合、プロダクションプリンタ200の検査装置202内の読取装置203やMFPの画像読取部101は、通常の可視光に加え、不可視光である赤外光の照射を可能とする。
また、用紙紙白部分にイエロー色材で低濃度パターンを形成した時、人目にはほとんど認識できず、画像印刷時に左記のパターンを形成することで、どの画像形成装置で印刷されたかを判別する追跡パターンとして用いられるが、同様にイエロー色材でMTF検出用の検出パターンを形成して検出しても良い。その際は、イエローの補色であるBlueで検出することが望ましい。
(第4の実施の形態)
次に、第4の実施の形態について説明する。
第4の実施の形態は、複数の縦線およびベタパターンよりも簡素な検出パターンを用いる点が、第1の実施の形態ないし第3の実施の形態と異なる。以下、第4の実施の形態の説明では、第1の実施の形態ないし第3の実施の形態と同一部分の説明については省略し、第1の実施の形態ないし第3の実施の形態と異なる箇所について説明する。
図14は、第4の実施の形態にかかる検出パターンP5の検出例を示す図である。図14(a)に示すように、本実施形態は、転写紙上、又は原稿上にMTF検出用の検出パターンとして、白紙の転写紙又は原稿の読取面上に、簡素な検出パターンの一例である黒い検出パターンP5を形成する。図14(b)は、この時、検出パターンP5において枠で示す部分の読取値の分布である。
一方、図15は、読取値の分布例を示す図である。図15に示す例は、枠X1で示す黒→白に変化した部分に注目した時の読取値の分布を示すものである。
解像力(MTF)が高い場合、図15(a)に示すように、黒→白変化が急峻に変化する。図15(a)に示す例では、黒→白が2画素で変化している。
一方、解像力(MTF)が低い場合、図15(b)に示すように、黒→白変化が緩やかな変化となる。図15(b)に示す例では、黒→白が6画素で変化している。
例えば、図15(a)に示す状態が狙いのMTF特性である場合、図15(b)に示す状態では読取深度方向にMTF特性が変化してピンボケした画像となっており、黒→白変化が緩やかになっている。このため、補正部27は、読取画像の強調処理を行い、図15(a)に示す状態と同じ特性となるように補正する。
このように本実施形態によれば、第二検出部26は、画像読取を行う用紙の読取面上に1つパッチを配置し、その読取結果の黒白変化の急峻さを検出することで、深度方向の解像力(MTF)変化を検出していることと同義となり、読取深度方向に変化する特徴量として検出することが可能である。
また、予め黒→白変化の急峻さとMTFを紐付けておくことにより、読み取った原稿や転写紙自体が深度方向にばたついている量を検知することもできる。
(第5の実施の形態)
次に、第5の実施の形態について説明する。
第5の実施の形態は、検出パターンを形成せずに、用紙端の読取結果から紙地肌とのレベル変化の急峻さを検出する点が、第1の実施の形態ないし第4の実施の形態と異なる。第4の実施の形態では、用紙上に検出パターンを形成して紙地肌とのレベル変化の急峻さを検出する例を示したが、検出パターンを形成しなくて同様のことが用紙端の読取結果からでも検出することができる。以下、第5の実施の形態の説明では、第1の実施の形態ないし第4の実施の形態と同一部分の説明については省略し、第1の実施の形態ないし第4の実施の形態と異なる箇所について説明する。
図16は、第5の実施の形態にかかる検出例を示す図である。本実施形態では、プロダクションプリンタ200の検査装置202内の読取装置203やMFPの画像読取部101は、読取位置でのADF背景部材17を黒色とする。図16(a)に示すように、本実施形態は、転写紙上、又は原稿上にMTF検出用の検出パターンを形成せずに、黒色のADF背景部材17を利用する。図16(b)は、この時、白色の転写紙又は原稿の端部近傍において枠X2で示す部分の読取値の分布である。
一方、図17は、転写紙又は原稿の端部部分の読取値の分布例を示す図である。図15に示す例は、黒→白変化(点線で囲んだ部分)に注目した時の読取値の分布を示すものである。
解像力(MTF)が高い場合、図17(a)に示すように、黒→白変化が急峻に変化する。図17(a)に示す例では、黒→白が2画素で変化している。
一方、解像力(MTF)が低い場合、図17(b)に示すように、黒→白変化が緩やかな変化となる。図17(b)に示す例では、黒→白が6画素で変化している。
例えば、図17(a)に示す状態が狙いのMTF特性である場合、図17(b)に示す状態では読取深度方向にMTF特性が変化してピンボケした画像となっており、黒→白変化が緩やかになっている。このため、補正部27は、読取画像の強調処理を行い、図17(a)に示す状態と同じ特性となるように補正する。
このように本実施形態によれば、第二検出部26は、画像読取を行う転写紙又は原稿端部の黒白変化の急峻さを検出することで、深度方向の解像力(MTF)変化を検出していることと同義となり、読取深度方向に変化する特徴量として検出することが可能である。
また、予め黒→白変化の急峻さとMTFを紐付けておくことにより、読み取った原稿や転写紙自体が深度方向にばたついている量を検知することもできる。
(第6の実施の形態)
次に、第6の実施の形態について説明する。
第6の実施の形態は、深度方向に変化する特徴量として、倍率変化を検出する点が、第1の実施の形態ないし第5の実施の形態と異なる。以下、第6の実施の形態の説明では、第1の実施の形態ないし第5の実施の形態と同一部分の説明については省略し、第1の実施の形態ないし第5の実施の形態と異なる箇所について説明する。
ここで、図18は縮小光学系での倍率変化について説明する図、図19は縮小光学系と転写紙ばらつきについて説明する図、図20は倍率変化した時の問題点について説明する図である。
プロダクションプリンタ200の検査装置202内の読取装置203やMFPの画像読取部101において縮小光学系方式を用いる場合、読取位置において搬送される転写紙や原稿が深度方向にばたつくと、読取画像の縮率が変化する。図18は、解像度400dpiで画素サイズ4.7μmのセンサ(例えば、イメージセンサ9)で読み取る時の、読取深度方向の変化と倍率変化を示したものである。また、プロダクションプリンタ200の検査装置202内の読取装置203やMFPの画像読取部101を模擬的に示したものである。
例えば、図19に示すように、プロダクションプリンタ200の検査装置202内の読取装置203やMFPの画像読取部101が、読取位置において2mmの搬送ギャップがあり、解像度400dpiで画素サイズ4.7μmのセンサ(例えば、イメージセンサ9)で読み取る時、搬送ギャップの最も上側(例えば、コンタクトガラス14側)を通過する際に330mmの紙幅で読み取られるものが、搬送ギャップの最も下側(例えば、ADF背景部材17側)を通過する際には0.25%縮小された読取画像となってしまう。
また、図20に示すように、紙外形を検知する際には、329.2mmの紙幅として読み取られてしまい、330mmの紙幅に対し0.8mmの検知誤差が発生してしまう。
そこで、本実施形態においては、深度方向に変化する特徴量として、倍率変化を検出するようにしたものである。
図21は、第6の実施の形態にかかる倍率変化の検出について説明する図である。図21に示すように、転写紙や原稿である用紙内に縦線を2本設ける。第二検出部26は、2本の線間距離から読取深度方向の変化量を算出する。
より詳細には、図21(a)に示すように、例えば中央と端部付近160mmの距離で縦線パターンP6を形成する。プロダクションプリンタ200の検査装置202内の読取装置203やMFPの画像読取部101は、縦線パターンP6が形成された用紙を読み取る。
第二検出部26は、読取画像から2本の縦線間の距離を求め、倍率を算出する。具体的には、図21(a)に示すように、第二検出部26は、用紙の枠X3で示す部分の読取値の推移から縦線位置の画素を特定し、画素aと画素bとの間の距離を算出して縦線距離とする。読取解像度が400dpiの時は、
(b-a)*25.4/400
として算出できる。
図21(b)に示すように、第二検出部26は、縦線間距離が159.6mmと検出されたとすると、元々160mmに対し、0.25%縮小されていることを検出することができる。
また、第二検出部26は、図18での関係から、0.25%倍率変化している時、読取位置では2mm用紙がばたついていたことを検出することができる。
補正部27は、上記のようにして検出した倍率に対し、0.25%拡大する処理を行う。これにより、深度方向の特性変化を補正した読取画像とすることができる。
また、図18のように倍率変化と読取深度の関係を対応付けることにより、搬送される用紙のばたつき量を検出することも可能となる。
このように本実施形態によれば、読取部10の読取深度方向に変化する特徴量を、対象物表面で検出して補正するため、紙厚や紙種に関わらず、読取部10の読取深度方向に変化する特徴量を精度良く検出して補正することができる。
ここで、図22は、縦線パターンを実使用領域外に形成する例を示す図である。図11で説明したように、プロダクションプリンタ200において、A3全域を余白の無い仕上がりとするために、A3よりも大きい用紙(SRA3サイズなど)を用いてA3領域全面に画像形成を行い、余白部分を裁ち落として使用するケースが多くある。
そこで図22に示すように、図12の検出パターンと同様に、実使用領域外(仕上がりサイズ領域外)の余白(裁ち落とし領域)部分に縦線パターンP6を形成するようにしてもよい。これにより、縦線パターンP6が形成されている部分は印刷後に裁断されるため、ユーザに縦線パターンP6を形成した副作用を与えることなく読取面の深度方向の特徴量を算出することが可能となる。
上記のように、余白部分を裁断して使用することが多いプロダクションプリンタ200では、余白部分に読取深度方向の特徴量を検出する縦線パターンP6を形成し、画像形成部201の後段に配置された読取装置203により、転写紙を読み取ることにより、ユーザ画像に副作用を与えることなく読取深度方向の特徴量を検出することができる。
なお、第1の実施の形態で説明したMFPの画像読取部101においても、原稿余白部分に縦線パターンP6を予め形成しておくことにより、同様に読取深度方向の特徴量を検出することができる。
(第7の実施の形態)
次に、第7の実施の形態について説明する。
第7の実施の形態は、倍率検出用の縦線パターンを可視光下で不可視の色材、または人目に認識しづらい略不可視の色材で形成する点が、第1の実施の形態ないし第6の実施の形態と異なる。以下、第7の実施の形態の説明では、第1の実施の形態ないし第6の実施の形態と同一部分の説明については省略し、第1の実施の形態ないし第6の実施の形態と異なる箇所について説明する。
図23は、第7の実施の形態にかかる倍率検出用の縦線パターンP7の形成例を示す図である。具体的には、図23(a)に示すように、例えば、可視光下では不可視だが、紫外光を照射すると特定色を発光する不可視色材(例えば、赤色を発色するインビジブルレッドトナー)で、転写紙上、又は原稿上に倍率検出用の縦線パターンP7を形成する。
なお、本実施形態において、プロダクションプリンタ200の検査装置202内の読取装置203やMFPの画像読取部101は、通常の可視光に加え、不可視光である紫外光の照射を可能とする。
図23(b)に示すように、不可視色材で形成した倍率検出用の縦線パターンP7は可視光下では不可視のため、通常、不可視色材で形成した倍率検出用の縦線パターンP7をユーザが認識することはできない。
不可視色材で形成した倍率検出用の縦線パターンP7が形成された転写紙、又は不可視色材で形成した倍率検出用の縦線パターンP7が形成された原稿を可視光下で読み取ると、図23(c)に示すように、人の目の認識とほぼ同様に、転写紙、又は原稿の絵柄が読み取られる。
一方、不可視色材で形成した倍率検出用の縦線パターンP7が形成された転写紙、又は不可視色材で形成した倍率検出用の縦線パターンP7が形成された原稿を紫外光下で読み取ると、図23(d)に示すように、絵柄が除かれた倍率検出用の縦線パターンP7のみが検出される。
この時、不可視色材としてインビジブルレッドトナーを使用している場合には紫外光の照射で赤色に発光する。そのため、MFPの画像読取部101や読取装置203では、MFPの画像読取部101や読取装置203で読み取る色(Red/Green/Blue)の中で、色材が発光する色域に合わせて検出する色を選択(Redの読取結果を選択)することにより、精度良く検出することができる。
このように本実施形態によれば、上記のようにして得た読取結果を用いて、図21と同様にして読取面での深度方向の特徴量(倍率)を検出することができる。
また、本実施形態のように不可視の色材を使用する際には、用紙に形成する倍率検出用の縦線パターンP7は、図22に示すような余白部分に限定されず、用紙上のどこに形成しても良い。ここで、図24は倍率検出用の縦線パターンP7の形成位置の変形例を示す図である。図24(b)に示すように、可視光下では不可視で人目に見えないため、ユーザ画像に影響を与えることはなく、図24(d)に示すように読取時に不可視光を照射することにより倍率検出用の縦線パターンP7を検出することができる。
なお、本実施形態では、不可視の色材として紫外光を照射して可視となる色材(インビジブルレッドトナー)を挙げたがこの限りではなく、赤外光の照射で可視となる色材(IRトナー)でもよい。なお、赤外光の照射で可視となる色材を用いる場合、プロダクションプリンタ200の検査装置202内の読取装置203やMFPの画像読取部101は、通常の可視光に加え、不可視光である赤外光の照射を可能とする。
また、用紙紙白部分にイエロー色材で低濃度パターンを形成した時、人目にはほとんど認識できず、画像印刷時にパターンを形成することで、どの画像形成装置で印刷されたかを判別する追跡パターンとして用いられるが、同様にイエロー色材で倍率検出用の縦線パターンP7を形成して検出しても良い。その際は、イエローの補色であるBlueで検出することが望ましい。
(第8の実施の形態)
次に、第8の実施の形態について説明する。
第8の実施の形態は、倍率検出用の縦線パターンを形成せずに、用紙端の読取結果から倍率変化を検出する点が、第1の実施の形態ないし第7の実施の形態と異なる。以下、第8の実施の形態の説明では、第1の実施の形態ないし第7の実施の形態と同一部分の説明については省略し、第1の実施の形態ないし第7の実施の形態と異なる箇所について説明する。
図25は、第8の実施の形態にかかる検出例を示す図である。第6の実施の形態ないし第7の実施の形態では、倍率検出用の縦線パターンを形成して深度方向の特徴量(倍率)を検出していたが、本実施形態では倍率検出用の縦線パターンを用いず、転写紙又は原稿の紙端を検出することにより倍率変化を検出する例を示す。
図25(a)に示す例において、第二検出部26は、幅330mmの白色の転写紙又は原稿である用紙の読取値の推移から紙端に相当する画素a、画素bを特定し、画素aから画素b間の距離を算出し、倍率誤差を検出する。図25(a)に示す例では、用紙幅330mmに対して第二検出部26で検出した用紙幅も330mmのため、倍率誤差は0であり、用紙が読取深度方向にばたついていない時である。
一方、図25(b)に示す例では、第二検出部26は、紙端に相当する画素c~画素d間の距離が329.2mmと算出し、用紙幅330mmに対し、0.25%縮小していることを検出している。この場合、これまで同様に図18に示した関係から、読取位置において用紙が深度方向に2mmばたついていることを検出することができる。
このように本実施形態によれば、読取部10の読取深度方向に変化する特徴量を、対象物表面で検出して補正するため、紙厚や紙種に関わらず、読取部10の読取深度方向に変化する特徴量を精度良く検出して補正することができる。
(第9の実施の形態)
次に、第9の実施の形態について説明する。
第9の実施の形態は、読取深度方向の特徴量として、光源の光量変化を検出する点が、第1の実施の形態ないし第8の実施の形態と異なる。以下、第9の実施の形態の説明では、第1の実施の形態ないし第8の実施の形態と同一部分の説明については省略し、第1の実施の形態ないし第8の実施の形態と異なる箇所について説明する。
図26は、照明深度特性による光量変化について説明する図である。例えば、MFPの画像読取部101では、搬送ギャップ内で用紙を露光する光源の光量が変化する。図26(a)に示す例では、搬送ギャップが2mmである例を示している。図26(b)に示すように、ギャップ0mm(コンタクトガラス14面)で光源の照度が最大となるような構成の場合、ギャップ2mmの位置(ADF背景部材17)では、5%光源の照度が低下する。
すなわち、図26に示す例によれば、用紙がコンタクトガラス14側にばたついた時とADF背景部材17側にばたついた時では、同じものを読み取っても5%の濃度差が発生してしまうことになる。
以下、読取深度方向の特徴量として、光源の光量変化を検出して補正する方法について説明する。
図27は、第9の実施の形態にかかる光源の照度変化による高さ検出について説明する図である。図27(a)に示す例では、搬送ギャップが2mmである例を示している。図27(b)は、図26(b)と同様に、搬送ギャップ2mmの位置で原稿面照度が5%低下する例を示している。したがって、本光源を用いて用紙を読み取った時、ギャップ0mmの位置(図27(a)に示すパターン1)と、ギャップ2mmの位置(図27(a)に示すパターン2)で同じ原稿を読み取った場合、図27(c)に示すように、原稿面照度の変化と同様に、読取レベルに5%の差が生じる。
本実施形態の第二検出部26は、ギャップ0mm(パターン1)の時と、ギャップ2mm(パターン2)の時とにおける読取レベル低下分5%を検出する。
具体的には、第二検出部26は、読取部10において予め取得したギャップ0mm位置での複数紙種の読取レベルを保持する。そして、第二検出部26は、該当の紙種を読み取る際に、その読取レベルと保持している読取レベルの比較から照度変化量を検出する。さらには、第二検出部26は、読取位置での用紙ばたつき量を検出する。
ここで、図28は光源の照度変化による高さ検出例について説明する図である。例えば図28に示すように、紙種Aにおいて、保持しているギャップ0mmでの読取レベルが220digit/8bitで、今回読み取った読取レベルが209digit/8bitの場合、読取レベルは5%低下しているため、原稿面照度も5%低下していることとなる。そして、図27に示した関係から、第二検出部26は、読取位置ではギャップ2mmであることを検出する。
上記のようにして、第二検出部26で検出した原稿面照度の低下量5%を補正するために、補正部27は、第一検出部25で保持している読取結果に対して、220/209(≒1.05%)を乗算したものを補正後の読取結果とする。
このように本実施形態によれば、MTF(濃淡の急峻さ)、倍率誤差、光源の照度を読取深度方向の3つの特徴量を複数同時に検出して補正することにより、MTF、倍率誤差、光源の照度の特性変化の複数を補正することができ、より特性劣化が小さい読取結果に補正することが可能となる。
(第10の実施の形態)
次に、第10の実施の形態について説明する。
第10の実施の形態は、第二検出部26が、予め読取深度方向の特徴量基準値を保持しておくことにより、基準値からの相対差を検出する点が、第1の実施の形態ないし第9の実施の形態と異なる。以下、第10の実施の形態の説明では、第1の実施の形態ないし第9の実施の形態と同一部分の説明については省略し、第1の実施の形態ないし第9の実施の形態と異なる箇所について説明する。
図29は、第10の実施の形態にかかる画像読取部101の画像補正に係る各部の電気的接続を示すブロック図である。図29に示すように、第二検出部26は、予め読取深度方向の特徴量基準値を保持しておくことにより、基準値からの相対差を検出する。
ここで、図30はMTF特性と基準位置との関係を示す図である。例えば、MTF特性を特徴量として検出する場合、プロダクションプリンタ200の検査装置202内の読取装置203やMFPの画像読取部101において、第二検出部26は、基準位置(ギャップ0mmの位置、図3でのパターン1)でのMTF特性(図30(a)の場合は50%)を予め取得しておき、保持しておく。
そして、図6~図8のようにして画像読取位置に搬送されてくる転写紙又は原稿である用紙を読み取った際のMTFが35%だった時、第二検出部26は、図30(a)に示すMTFの深度特性を予め把握しておくことにより、ギャップ1.5mmの位置において読み取ったことを検出することができる。
なお、必ずしも基準位置においてMTFが最適になるようにする必要はなく、図30(b)に示すように、基準位置でのMTFが最適値からずれた特性であっても、基準位置でのMTF(図30(b)の場合は45%)と検出したMTF(図30(b)の場合は20%)の変化量から、読取位置での用紙搬送ギャップ1.5mmを検出することができる。
ここで、図31は予め読取深度方向の特徴量として読取倍率を検出する場合について説明する図である。予め読取深度方向の特徴量基準値を保持しておくことにより、基準値からの相対差を検出する別例として、読取倍率を特徴量として検出する場合について説明する。
例えば、読取倍率を特徴量として検出する場合、プロダクションプリンタ200の検査装置202内の読取装置203やMFPの画像読取部101において、第二検出部26は、基準位置(ギャップ0mmの位置、図3でのパターン1)での倍率誤差(図31の場合、倍率誤差0%)を予め取得しておき、保持しておく。
そして、図21~図22のようにして画像読取位置に搬送されてくる転写紙又は原稿である用紙を読み取った際の倍率誤差が0.2%だった時、第二検出部26は、図31に示すように、基準位置から1.6mmの位置において読み取ったことを検出することができる。
なお、MTF特性を特徴量として検出する場合と同様に、必ずしも基準位置において倍率誤差が0%となるようにする必要はない。例えば、基準位置での倍率誤差が0%からずれた特性であっても、図31の関係性を用いて、基準位置での倍率誤差と検出した倍率誤差の変化量から、読取位置での用紙ばらつき量を検出することができる。
このように本実施形態によれば、特徴量は、予め保持している基準値からの変化量として検出されることで、読取深度方向の特徴量を精度良く検出できる。
(第11の実施の形態)
次に、第11の実施の形態について説明する。
第11の実施の形態は、特徴量基準値を検出するための検出パターンを読取装置内に設けておくことにより、基準値からの相対差を検出する点が、第1の実施の形態ないし第10の実施の形態と異なる。以下、第11の実施の形態の説明では、第1の実施の形態ないし第10の実施の形態と同一部分の説明については省略し、第1の実施の形態ないし第10の実施の形態と異なる箇所について説明する。
図32は、第11の実施の形態にかかる装置内に基準媒体を設ける検出方法について説明する図である。これまでは、予め特徴量基準値を保持しておき、基準値からの相対差を検出する例を示したが、本実施形態は、特徴量基準値を検出するための基準媒体として検出パターンP8を読取装置内に設けておき、基準値からの相対差を検出するようにしたものである。
具体的には、図32(a)に示すように、例えばMFPの画像読取部101の読取位置においてコンタクトガラス14に対向に配置されるADF背景部材17を回転体である回転部材とする。加えて、ADF背景部材17は、読取深度方向の特徴量を検出するための検出パターン(図6や図21に示したパターン)P8を表面に有している。特徴量基準値を取得する際には、ADF背景部材17は、図32(a)に示すように、回転されて読取位置に検出パターンP8を位置させるように制御される。
第二検出部26は、検出パターンP8の読取結果から特徴量基準値を算出して保持しておく。
次に、画像読取位置に搬送されてくる転写紙又は原稿である用紙を読み取る際には、第二検出部26は、図32(b)に示すように、用紙読取面上に形成されている検出パターンP9から特徴量を検出する。
なお、この時、ADF背景部材17上の検出パターンP8が用紙読取時に裏写りしてしまうことを防止するため、ADF背景部材17上の検出パターンP8は読取位置からずらしておくことが望ましい。図32(b)に示す例は、ADF背景部材17上の検出パターンP8を読取位置から180度ずらしている例を示すものである。
このように本実施形態によれば、ADF背景部材17と用紙読取面夫々で検出した特徴量の変化量から基準からの特性変化量を検知することや、図30で示した関係性を用いて、用紙の搬送ばたつき量を検出することが可能となる。
また、本実施形態によれば、各装置内で電源ON毎に取得するなど、任意のタイミングで特徴量基準値を取得しなおすことができ、装置毎の個体差や、経時で読取部10の特性が変化してしまう際にも、特徴量基準値を更新することで、これまでより精度良く検出することが可能となる。
また、本実施形態によれば、MTF、倍率、光量変化の内、複数を検出する際には、図32(c)に示すように特徴量基準値をADF背景部材17に複数用意しておく。そして、第二検出部26は、装置の電源ON時等の任意タイミングで検出した複数の特徴量基準値を保持しておく。用紙搬送タイミングで用紙上に形成した検出パターンP10,P11を検出することにより、第二検出部26は、複数の特徴量を検出することが可能となる。
(第12の実施の形態)
次に、第12の実施の形態について説明する。
第12の実施の形態は、画像位置情報を検出する点が、第1の実施の形態ないし第11の実施の形態と異なる。以下、第12の実施の形態の説明では、第1の実施の形態ないし第11の実施の形態と同一部分の説明については省略し、第1の実施の形態ないし第11の実施の形態と異なる箇所について説明する。
図33は、第12の実施の形態にかかる画像位置情報の検出について説明する図である。図33に示すように、第二検出部26は、読取センサ(例えば、イメージセンサ9)を用いて対象物(転写紙)の位置を検出することにより、対象物の外形形状を推定する。より詳細には、第二検出部26は、転写紙の四隅の座標を検出することにより、外形形状を推定する。
また、第二検出部26は、読取センサ(例えば、イメージセンサ9)を用いて、画像パターンの位置を検出する。これも、転写紙外形同様に、画像パターンの四隅の座標を検出することによって、推定する。
以上のようにしてプロダクションプリンタ200の検査装置202内の読取装置203やMFPの画像読取部101では、転写紙位置(外形)と画像パターン位置を検出し、転写紙への画像パターン印刷位置を補正する。
しかしながら、縮小光学系の読取装置を用いる場合、図19に示したように倍率誤差影響により、図33に示すような、転写紙や画像パターンの検出位置である主走査方向の距離(a、b、c)の検出結果に誤差が発生してしまう。
そこで、倍率誤差影響を補正するために、第二検出部26は、図12で示したようなMTF検出用の検出パターンP3を検出し、図30に示したMTF特性と読取深度方向の関係から用紙の搬送ばたつき量を算出する。
ここで、図34はMTF特性と基準位置との関係を示す図、図35は深度変化と倍率誤差との関係を示す図である。例えば、図33に示すa,b,cの距離を第一検出部25で検出した結果が、a=10mm、b=310mm、c=320mmであるとする。
用紙読取時に図12で示したような検出パターンP3を形成し、第二検出部26で検出したMTFが35%であるとき、図34に示す関係から、用紙表面は1.5mmコンタクトガラス14から離れた位置を搬送されていることとなる。
さらに、図35に示す関係から、コンタクトガラス14から1.5mm離れた位置を通過する用紙を読み取る際には、0.19%倍率が縮小されて読み取られることが分かる。
補正部27は、0.19%縮小されて読み取られている位置検出結果a,b,cに対し、縮小されている分を補正するためそれぞれ100/(100-0.19)を乗算する。補正部27は、算出結果(a=10.02、b=310.59、C=320.61)を読取部10での画像位置検出結果とする。
このように本実施形態によれば、読取深度方向の特性変化を補正した、精度の高い画像位置を検出することができる。
(第13の実施の形態)
次に、第13の実施の形態について説明する。
第13の実施の形態は、色情報を検出する点が、第1の実施の形態ないし第12の実施の形態と異なる。以下、第13の実施の形態の説明では、第1の実施の形態ないし第12の実施の形態と同一部分の説明については省略し、第1の実施の形態ないし第12の実施の形態と異なる箇所について説明する。
図36は、第13の実施の形態にかかる色情報の検出について説明する図である。例えばプロダクションプリンタ200は、プロダクションプリンタ200内の画像形成部201の後段に検査装置202を配置して印刷画像の色味を検出する際に、図36に示すカラーパターンを読み取った結果を画像処理部においてRGB→CMYK濃度に変換して画像形成部201にフィードバックする。
しかし、図26で述べたように、用紙の搬送ばたつきによって、読取装置203の照明の読取深度方向の特性が変化することにより、カラーパターンを読み取った際にRGB値に誤差が生じてしまう。
そこで、照明特性の変化影響を補正するために、第二検出部26は、図36において枠X4で示す紙地肌の読取RGB値を検出し、照明の特性変化を検出する。
補正部27は、照明の特性変化の検出結果を用いてカラーパターンの読取結果を補正する。
ここで、図37は色情報の検出・補正について説明する図である。図36で示したカラーパターンの読取りに際し、第一検出部25で検出した紙地肌(枠X4で示す)の読取値が図37(a)に示すように、R/G/B=190/192/195digit、黄色パターン(枠X5で示す)の読取値が図37(b)に示すように、R/G/B=190/170/50digitであったとする。
また、第二検出部26に保持している紙地肌の基準値がR/G/B=200/200/200digitであるとする。
この時、第二検出部26は、用紙搬送ばたつきによって用紙表面読取位置での照明特性を、Rは190/200に、Gは192/200に、Bは195/200に変化しているとして検出する。
補正部27は、黄色パターンの読取値を照明特性の変化分補正する。具体的には、補正部27は、
R=190*200/190=200digit
G=170*200/192=177digit
B=50*200/195=51digit
と補正して、読取部10での色情報検出結果とする。
このように本実施形態によれば、読取深度方向の特性変化を補正した、精度の高い色検出ができる。
(第14の実施の形態)
次に、第14の実施の形態について説明する。
第14の実施の形態は、副走査(用紙搬送方向)に変化する特徴量を検出する点が、第1の実施の形態ないし第13の実施の形態と異なる。これまで、読取深度方向に変化する特徴量を検出して補正する例を示してきたが、特徴量の検出は深度方向に限定されるものではない。本実施形態では、副走査(用紙搬送方向)に変化する特徴量を検出して補正する例を示す。以下、第14の実施の形態の説明では、第1の実施の形態ないし第13の実施の形態と同一部分の説明については省略し、第1の実施の形態ないし第13の実施の形態と異なる箇所について説明する。
図38は、第14の実施の形態にかかる副走査方向に変化する特徴量(搬送速度)について説明する図である。図38は、プロダクションプリンタ200の読取装置203の例を示したものである。図38に示すように、読取装置203は、読取位置の転写紙搬送方向の上流/下流に、転写紙を搬送するための第1搬送ローラ2037、第2搬送ローラ2038を備える。読取装置203は、第1搬送ローラ2037、第2搬送ローラ2038をほぼ同速で動作させる。本実施形態においては、用紙を弛みなくスムーズに搬送するために、読取装置203は、下流の第2搬送ローラ2038を僅かに高速で動作させる。
ここで、図38(a)は第1搬送ローラ2037のみで搬送する状時(状態1)を示し、図38(b)は第1搬送ローラ2037と第2搬送ローラ2038の両方で搬送する状態(状態2)を示し、図38(c)は第2搬送ローラ2038のみで搬送する状態(状態3)を示す。これらの3状態は、それぞれ僅かに搬送速度が異なる。
具体的な例を示すと、読取装置203は、第1搬送ローラ2037を線速400mm/sで動作させて用紙を搬送する時、第2搬送ローラ2038を0.5%程度速い402mm/sの搬送速度となるように動作させる。このため、図38(a)の状態1では、線速400mm/sで用紙が搬送される。また、図38(b)の状態2では、第1搬送ローラ2037と第2搬送ローラ2038の速度が均衡する線速401mm/sで用紙が搬送される。さらに、図38(c)の状態3では、線速402mm/sで用紙が搬送されることとなる。なお、搬送速度の数値は具体例であり、この限りではない。
図39は、搬送速度変化による読取画像の変化について説明する図である。読取部10は、線速400mm/sで等倍読取となるような動作の場合、図39に示すように、状態1では等倍で印刷画像を読み取って読取画像を生成するが、状態2では印刷画像を400/401=0.9975倍の速度で読み取ることになり0.25%縮小して読み取られた読取画像が得られ、状態3では印刷画像を400/402=0.995倍の速度で読み取ることになり0.5%縮小して読み取られた読取画像が得られることになる。
図40は、搬送速度変化の影響の検出について説明する図である。そこで、本実施形態においては、印刷画像の余白部分において、搬送状態の切り替わりに該当する部分である用紙先端から距離aの箇所に搬送速度検出用のパターンPT1を、用紙先端から距離a+bの箇所に搬送速度検出用のパターンPT2を図40に示すように形成しておく。
第二検出部26は、用紙先端から検出パターンPT1の距離A、検出パターンPT1から検出パターンPT2の距離B、検出パターンPT2から用紙後端の距離Cを算出し、本来の各状態に該当する距離であるa,b,cと比較することにより、各状態での倍率変化を検出する。
なお、用紙先端/後端、検出パターンPT1,PT2の検知については、図22や図25で主走査方向の用紙端や検出パターンを検知する例を前述しているが、同様の方法で副走査方向に適用することにより、検出可能である。
上記のようにして、第二検出部26は、状態1ではa=A(等倍)、状態2ではB/b=0.9975(0.25%縮小)、状態3ではC/c=0.995(0.5%縮小)を検出する。
図41は、搬送速度変化の影響の補正について説明する図である。補正部27は、第二検出部26で検出した各状態での副走査方向の倍率変化に応じて、読取画像の各状態に相当する領域を変倍処理する。
図41では、図40において検出した倍率変化分を補正する例を示しているが、状態1に該当する領域では等倍処理を、状態2に相当する領域では0.25%拡大処理を、状態3に相当する領域では0.5%拡大処理を行っている。
上記の結果、補正後の画像は図40の印刷画像と同じとなり、搬送速度の変化により発生する倍率変化影響を補正した画像とすることが可能となる。
なお、本実施形態では搬送速度変化を例に、副走査方向に変化する特徴量を検出して補正することを記載したが、この限りではなく、例えば主走査方向の紙搬送ばたつき(レジストずれ)の補正等にも同様の考え方で適用することができる。
このように本実施形態によれば、副走査(用紙搬送方向)に変化する特徴量を精度良く検出して補正することができる。
なお、上記実施の形態では、本発明の読取装置を、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する画像形成装置である複合機に適用した例を挙げて説明するが、複写機、プリンタ、スキャナ装置、ファクシミリ装置等の画像処理装置であればいずれにも適用することができる。