(実施の形態)
以下に添付図面を参照して、画像読取装置、画像形成装置、画像処理装置、及び画像処理方法の実施の形態を詳細に説明する。以下では、上記「画像読取装置」として、上記「画像形成装置」への適用例を示す。
図1は、実施の形態にかかる画像形成装置の構成の一例を示す図である。図1において、画像形成装置1は、プリンタ機能、スキャナ機能、及びコピー機能を利用可能な複合機として構成されている。
図1において、画像形成装置1は、上記「画像読取装置」としての画像読取ユニット10と、記録紙供給ユニット20と、画像形成ユニット30とを備えている。更に、画像形成装置1は、筐体上部に操作パネル(不図示)を備えている。
操作パネルは、例えば液晶ディスプレイ上にタッチパネルを重ねて配置した表示入力装置などであり、ユーザによる画像読取ユニット10や、記録紙供給ユニット20や、画像形成ユニット30などの操作指示(例えば読取開始の指示など)を受け付ける。
画像読取ユニット10は、スキャナ10aと、スキャナ10a上面のコンタクトガラス11の上に配設された原稿自動搬送装置(以下、ADF(Auto Document Feeder)という)10bとを有し、ADF10bにセットした原稿を所定速度で搬送させながら固定式の読取ユニットにより原稿を読み取らせる読取方式を有する。
ADF10bは、本体カバーに、読取前の原稿束を載置するための原稿載置台12と、読取後の原稿束をスタックするための原稿スタック台13とを有する。ADF10bの本体内部には、原稿を原稿載置台12からコンタクトガラス11上を通過して原稿スタック台13へ排出する原稿搬送路14を有する。当該ADF10bは、スキャナ10aに開閉自在に蝶番により固定され、ADF10bが開かれることによりスキャナ10a上面のコンタクトガラス11が露出し、コンタクトガラス11に載置した原稿の読み取りも可能になっている。
スキャナ10aはコンタクトガラス11の下方に第1の固定読取ユニット15を有し、ADF10bは原稿搬送路14沿いに第2の固定読取ユニット16を有する。画像読取ユニット10は、原稿を原稿搬送路14を搬送させ、第1の固定読取ユニット15で原稿の第1面(表面)を読み取る。続いて、画像読取ユニット10は、第2の固定読取ユニット16で原稿の第2面(裏面)を読み取る。
図2は、ADF10bの具体的な構成の一例を示す断面図である。図2を参照し、ADF10bの構成と、その動作について説明する。
ADF10bは、原稿搬送路14に沿い、原稿セットユニットAと、分離搬送ユニットBと、レジストユニットCと、ターンユニットDと、第1読取搬送ユニットEと、第2読取搬送ユニットFと、排紙ユニットGと、スタックユニットHとを有する。
原稿セットユニットAは、主に原稿束MSを搬送開始状態にスタンバイする構成要素を有する。分離搬送ユニットBは、主に原稿載置台12にスタンバイ状態にされた原稿束MSから原稿を一枚ずつ分離して給送する構成要素を有する。レジストユニットCは、主に、分離搬送ユニットBから給送された原稿を一時的に突き当て原稿を整合し、その後、原稿を送り出す構成要素を有する。ターンユニットDは、主に、原稿搬送路14に含まれるC字状に湾曲する湾曲搬送路を有し、この湾曲搬送路を原稿が通り抜けることにより原稿の表裏を反転する。第1の読取搬送ユニットEは、主に原稿の第1面(表面)を読み取る構成要素を有する。第2の読取搬送ユニットFは、主に原稿の第2面(裏面)を読み取る構成要素を有する。排紙ユニットGは、主に読取後の原稿をスタックユニットHに向けて排出する構成要素を有する。スタックユニットHは、主に読取後の原稿をスタックする原稿スタック台13を有する。
具体的に、原稿セットユニットAは、原稿載置台12や、セットフィラー42や、ピックアップローラ43などにより構成されている。原稿載置台12は、原稿束MSの先端側を支持する可動原稿テーブル40と、原稿束MSの後端側を支持する固定原稿テーブル41とから構成されている。
固定原稿テーブル41には、原稿束MSの搬送方向の長さを検知する原稿長さセンサ60が所定間隔に配置されている。原稿長さセンサ60により、原稿束MSの搬送方向の長さの概略が判定される。原稿長さセンサ60には、反射型フォトセンサや、原稿1枚でも検知可能なアクチュエーター・タイプのセンサなどが使用されている。
また、固定原稿テーブル41は、原稿束MSの搬送方向に直交する方向(幅方向)の両端にサイドガイド(不図示)を有し、これが原稿束MSに突き当てられることで、原稿束MSの幅方向の位置決めがなされる。
可動原稿テーブル40はカム機構によって図中矢印a、b方向に上下動可能に設けられている。また、可動原稿テーブル40の上方に、レバー部材であるセットフィラー42が揺動可能に設けられている。原稿束MSが原稿の第1面が上向きになるように原稿載置台12へセットされると、原稿束MSがセットフィラー42を押し上げ、原稿セットセンサ61が原稿束MSのセットを検知する。そして、原稿束MSの最上面がピックアップローラ43と接触するように可動原稿テーブル40が上昇する。
可動原稿テーブル40の上方にはピックアップローラ43が設けられている。ピックアップローラ43は、カム機構により図中矢印c、d方向に動作可能となっている。ピックアップローラ43は、可動原稿テーブル40が上昇することにより原稿束MSの上面により図中矢印c方向に押し上げられる。可動原稿テーブル40の上昇は、テーブル上昇センサ62が上限を検知することにより停止する。
操作パネルの読取開始キーが押下されると、ピックアップローラ43が原稿束MSの最上位の原稿を給紙口44に搬送する方向に回転し、最上位から1枚〜数枚の原稿をピックアップする。ピックアップされた1枚〜数枚の原稿は、分離搬送ユニットBに進入し、給紙ベルト45とリバースローラ46との間に送り込まれる。
給紙ベルト45は、駆動ローラ47と従動ローラ48とによって張架されており、給紙方向に無端移動する。リバースローラ46は、給紙ベルト45の下面に当接し、給紙方向とは逆方向に回転する。これにより、最上位の原稿とそれよりも下の原稿を分離して、最上位の原稿のみを給紙する。
1枚に分離された原稿は、レジストユニットCに進入する。原稿は、給紙ベルト45により先に送られ、突き当てセンサ63によって先端が検知される。すると、ピックアップローラ43を原稿の上面から退避させ原稿を給紙ベルト45の搬送力のみで送る。原稿の先端は、プルアウトローラ49の上下ローラのニップに進入し、先端の整合(スキュー補正)が行われる。
プルアウトローラ49は、スキュー補正機能を有し、スキュー補正した原稿を中間ローラ50まで送る。送り出された原稿は、原稿幅センサ64を通過する。
原稿幅センサ64は、反射型フォトセンサなどからなる紙検知センサを原稿の幅方向に複数個並べたセンサであり、原稿の幅方向のサイズを検知する。一方、原稿の長さ方向(搬送方向)のサイズについては、突き当てセンサ63により原稿の後端の通過を検知し、原稿の先端の検知からのモータパルスのカウントにより検知する。
原稿は、プルアウトローラ49および中間ローラ50によって搬送され、ターンユニットDに進入する。進入した原稿は、中間ローラ50および読取入口ローラ51によって湾曲搬送路を通過し、表裏を反転する。
原稿の先端が読取入口センサ65に検出されると、読取入口ローラ51の上下ローラ対のニップに原稿の先端が進入する前に、原稿の搬送速度が減速される。更に原稿が第1の読取搬送ユニットEに進入して原稿の先端がレジストセンサ66により検知されると、第1の固定読取ユニット15の第1の読取位置52の手前で原稿の搬送が一時停止する。
その後、読取の開始が許可されると、搬送が開始され、原稿が所定の搬送速度で第1の読取位置52を通過しながら原稿の第1面が第1の固定読取ユニット15に読み取られる。
第1の読取搬送ユニットEの通過後、原稿は第2の読取搬送ユニットFを所定速度で通過する。原稿の両面(第1面および第2面)を読み取る際には、原稿の先端が排紙センサ67により検知される。そして、原稿が第2の読取位置53を通過しながら原稿の第2面が第2の固定読取ユニット16に読み取られる。
第2の固定読取ユニット16は、例えば密着型イメージセンサ(CIS:Contact Image Sensor)である。第2の読取位置53の原稿が通過する搬送路を挟む対向位置には、濃度基準部材54を設けている。
第2の読取搬送ユニットFの通過後、原稿は、排紙ユニットGへ搬送され、排紙ローラ55の回転により排紙ローラ55のローラ対のニップから抜け出てスタックユニットHの原稿スタック台13に排紙される。
図1に戻り、残りの箇所について説明する。記録紙供給ユニット20は、多段に配設された2つの記録紙給紙カセット21、22、記録紙給紙カセット21、22から記録体である記録紙を送り出す記録紙送出ローラ23、送り出された記録紙を分離して記録紙供給路24に供給する記録紙分離ローラ25を有している。
記録紙供給路24に供給された記録紙は、記録紙供給ユニット20から画像形成ユニット30内に入り、レジストローラを介して二次転写装置36に送り込まれる。
画像形成ユニット30は、主に、光書込装置31と、タンデム方式の作像ユニット32Y、32M、32C、32Kと、中間転写ベルト35と、定着装置37とを備え、記録紙上に液体(一例としてトナーとする)により画像を形成する。
具体的に、作像ユニット32Y、32M、32C、32Kは、それぞれ、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の、4つの感光体ドラム33を、図の反時計回りに回転可能に並設して備え、各感光体ドラム33の周囲に、帯電ローラ、現像器、一次転写ローラ34、クリーナーユニット、及び除電器を含む作像要素を備える。
中間転写ベルト35は、各感光体ドラム33と各一次転写ローラ34との間のニップに、駆動ローラと従動ローラとにより張架して配置している。
この構成を有する画像形成ユニット30は、各感光体ドラム33の表面を帯電器により帯電し、帯電した各感光体ドラム33の表面に向けて光書込装置31から例えばレーザ光を照射する。そのレーザ光の照射により、各感光体ドラム33の表面に静電潜像画像が形成される。続いて、画像形成ユニット30は、各感光体ドラム33に向けて現像装置から該当色のトナーを供給して静電潜像画像を現像する。
更に、画像形成ユニット30は、各感光体ドラム33の表面の、現像された各色のトナー画像を、図の時計回りに走行する中間転写ベルト35に一次転写ローラ34により一次転写する。続いて、画像形成ユニット30は、中間転写ベルト35上の一次転写されたトナー画像を、二次転写装置36により、その位置に搬送されてきた記録紙に二次転写する。その後、画像形成ユニット30は、トナー画像が転写された記録紙を定着装置37に搬送し、定着装置37において記録紙上の各色のトナー像を加圧や加熱によりカラー画像として定着させ、機外の排紙トレイへ排出する。
なお、一次転写後の各感光体ドラム33の表面に残留する電荷やトナーは、各感光体ドラム33の周囲の除電器やクリーナーユニットなどにより除去する。
定着装置37の下には、記録紙反転装置であるスイッチバック装置38が配設されている。これは、両面プリントを行う場合において、片面を画像定着させた記録紙を反転し、再び二次転写装置36に進入させるためのものである。
なお、上述では、画像形成ユニット30が画像を形成する記録体を紙媒体である記録紙として説明したが、この限りではない。記録紙の他、記録フィルムなど他の媒体であっても良い。
続いて、画像形成装置1を制御する制御ユニットの構成について説明する。
図3は、制御ユニット100のハードウエア構成の一例を示す図である。ここでは、制御ユニット100の構成として、後述する異物判定の処理に関わる画像読取ユニット10の構成を主に示している。
本体制御ボード102は、マイクロコンピュータを備え、画像読取ユニット10(図1参照)や、記録紙供給ユニット20(図1参照)や、画像形成ユニット30(図1参照)などを統括的に制御する。具体的に、本体制御ボード102は、マイクロコンピュータや、操作パネル101の入出力インタフェース回路や、通信インタフェース回路(「送信手段」と「受信手段」とを含む)などを備える。操作パネル101の入出力インタフェース回路や、通信インタフェース回路などは、マイクロコンピュータにバスを介して接続されている。
マイクロコンピュータは、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を有し、CPUがROMの制御プログラムをRAMにロードして実行する。制御プログラムの実行により、マイクロコンピュータは、画像読取ユニット10や、記録紙供給ユニット20や、画像形成ユニット30などを、それぞれのコントローラと通信インタフェース回路を介して通信して制御する。また、マイクロコンピュータは、操作パネル101と入出力インタフェース回路を介して通信し、操作パネル101に対するユーザ操作(読取開始キーの操作など)の検知や、操作パネル101への表示情報の表示(「報知手段」としての報知情報の表示も含む)を行う。
読取コントローラ103は、ADF10bに設けられており、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などに構成される。読取コントローラ103は、外部インタフェース(I/F)として、本体制御ボード102と通信する通信I/F200や、画像読取ユニット10の各種検知センサからの出力を入力する入力I/Fや、画像読取ユニット10の各種駆動モータに制御信号を出力する出力I/Fや、第2の固定読取ユニット16にタイミング信号を出力したり第2の固定読取ユニット16からの出力データを入力したりする入出力I/Fなどを有する。他方の第1の固定読取ユニット15(図2参照)は、スキャナ10aに設けられており、本体制御ボード102に通信可能に接続されている。
読取コントローラ103は、本体制御ボード102などから電源の供給を受けて起動し、所定手順で読取動作を行う。例えば、読取コントローラ103は、検知センサからの出力のモニタや、モータ制御や、第2の固定読取ユニット16の制御や、本体制御ボード102との通信などを伴いながら、以下のような手順で読取動作を行う。なお、ここでは、本体制御ボード102との通信を含む読取動作の主な手順のみを示すことにする。
読取コントローラ103は、原稿セットセンサ61から原稿束MSの検知信号を読み取ると、読取原稿セット動作を完了させる。そして、読取コントローラ103は、本体制御ボード102からユーザによる読取開始キーの操作を示す読取開始信号を受信すると、原稿束MSから原稿を1枚ずつ分離して搬送する動作を行う。原稿が所定の搬送動作によりレジスト停止位置に到達すると、読取コントローラ102は、レジスト停止位置で原稿を停止し、本体制御ボード102にレジスト停止信号を送信する。そして、本体制御ボード102から動作開始の信号を受信すると、読取コントローラ103は、所定速度での原稿の搬送を開始し、第1の固定読取ユニット15や第2の固定読取ユニット16を制御して所定の読取動作を行う。
読取コントローラ103はディジタル画像処理回路300を備えている。ディジタル画像処理回路300は、第2の固定読取ユニット16から出力された読取データ(画像データ)の黒補正や白補正などを行い、補正後の画像データを形式変換して本体制御ボード102に出力する。
また、ディジタル画像処理回路300は、起動後、第2の読取位置53(図2参照)に原稿が無い所定のタイミングで、第2の固定読取ユニット16に濃度基準部材54を読み取らせ、その読取データから生成したシェーディングデータを基に異物判定処理を行う。「異物判定処理」とは、第2の固定読取ユニット16のイメージセンサに結像する光の光路上の部材に付着した汚れなどの異物を検出するための処理のことである。光路上の部材とは、例えば原稿を密着させる第2の固定読取ユニット16のコンタクトガラスや、濃度基準部材54(図2参照)などのことである。
(異物判定)
図4は、第2の固定読取ユニット16(図2参照)と濃度基準部材54(図2参照)との配置関係の一例を示す図である。図4に示すように、第2の固定読取ユニット16は、イメージセンサ161や、ロッドレンズアレイ162などを有する。この他、図示を省略しているが、コンタクトガラスや、照明装置なども有する。
イメージセンサ161は、CMOS(Complementary MOS)イメージセンサなどである。イメージセンサ161は、主走査方向に敷き詰めた光電変換素子を有する。ここでは、説明を容易にするため、光電変換素子を主走査方向に一列敷き詰めたものを想定して説明するが、R(Red)G(Green)B(Blue)のカラーフィルタを設け、それぞれの色に対応させて複数列にして配置しても良い。
ロッドレンズアレイ162は、「レンズ」の一例であり、主走査方向に複数のロッドレンズを一列に配列したものである。
原稿Xは、原稿Xの第1面側を濃度基準部材54に沿わせながら搬送され、原稿Xの第2面側が照明装置により照明される。原稿Xが無い場合は濃度基準部材54が照明される。
照明装置の照明により、濃度基準部材54や、第2の読取位置53に搬送された原稿Xなどからの反射光がロッドレンズアレイ162に入射してイメージセンサ161上に結像する。
濃度基準部材54は、イメージセンサ161が読み取ったデータを補正するための基準白部として機能する。また、濃度基準部材54は、ここでは第2の読取位置53での原稿の浮きを抑える機能も担う。
図5は、第2の固定読取ユニット16の制御ブロックの構成の一例を示す図である。図5に示すように、第2の固定読取ユニット16は、照明装置として光源部201を有し、イメージセンサ161として、画素回路202と、アンプ203と、A/D(Analog-to-Digital)変換回路204とを有する。
光源部201は、LED(Light Emitting Diode)、蛍光灯、冷陰極管などの光源を有し、光源を駆動する。画素回路202は、光電変換素子を有し、光電変換素子に結像した光を光電変換して電気信号(アナログの画素信号)を出力する。アンプ203は、各画素回路202から出力される画素信号を増幅する。A/D変換回路204は、増幅後の信号をディジタル信号に変換する。
図5に示すように、読取コントローラ103から第2の固定読取ユニット16には、出力I/FC10を介し、照明装置を駆動するオン/オフ信号d1や、画素回路202を駆動する駆動タイミング信号d2などが入力される。この他、読取コントローラ103から第2の固定読取ユニット16には、駆動用の電源なども供給される。第2の固定読取ユニット16から読取コントローラ103には、A/D変換回路204から出力されるデータ列D1、つまり濃度基準部材54の読取データ(後のシェーディングデータ)や原稿Xの読取データ(後の画像データ)が、入力I/FC11を介して入力される。
図6は、ディジタル画像処理回路300のブロック構成の一例を示す図である。ディジタル画像処理回路300は、第2の固定読取ユニット16から入力された読取データをディジタル画像処理する回路である。ディジタル画像処理回路300は、黒補正処理ブロック301と、白補正処理ブロック302と、画像処理ブロック303と、画像処理ブロック303が出力する画像データを格納するフレームメモリ304と、フレームメモリ304の画像データを本体制御ボード102に形式変換するための出力制御回路305とを有する。更に、ディジタル画像処理回路300は、異物判定処理ブロック400を有する。
黒補正処理ブロック301は、オフセットメモリを有し、黒レベルのオフセット成分を示すデータ(オフセットデータ)をオフセットメモリに格納する。オフセットデータは、光源部201(図5参照)を消灯した状態で第2の固定読取ユニット16(図5参照)からデータ列D1(この場合、画素毎の黒レベルのデータ)を入力したものである。
白補正処理ブロック302は、シェーディングデータメモリを有し、原稿Xの読取データ(つまり画像データ)をシェーディングデータにより白補正する。シェーディングデータメモリのシェーディングデータを生成する手順については後述する。
画像処理ブロック303は、白補正後の原稿Xの画像データについて画像処理を行う。具体的に、光源部201が点灯された状態で第2の固定読取ユニット16からデータ列D1(原稿Xの画像データ)が入力されると、先ず、白補正処理ブロック302が入力画像に白補正を行い、その白補正後の画像を画像処理ブロック303がライン間補正などの画像処理を施して、処理後の画像をフレームメモリ304に格納する。
異物判定処理ブロック400は、シェーディングデータを基に異物判定処理を行う。異物判定処理ブロック400は異物が無いと判定した場合に通信I/F200などにその旨を通知する。
図7は、ディジタル画像処理回路300がシェーディングデータを生成する際の制御手順の一例を示す図である。先ず、白補正処理ブロック302が黒補正処理ブロック301のオフセットメモリからオフセットデータを取得する(S1)。
続いて、ディジタル画像処理回路300が光源部201を点灯し(S2)、白補正処理ブロック302が第2の固定読取ユニット16からデータ列D1(濃度基準部材54の読取データ)を入力する(S3)。
そして、白補正処理ブロック302は、濃度基準部材54の読取データからシェーディングデータを生成し、シェーディングデータメモリに格納する(S4)。具体的に、白補正処理ブロック302は、濃度基準部材54の読取データからのオフセットデータの減算によりシェーディングデータを生成する。
このオフセットデータの減算により、シェーディングデータは、各光電変換素子が個別に有するオフセット成分を除去したものになる。
本実施の形態において、ディジタル画像処理回路300の、主に、白補正処理ブロック302が、「データ処理手段」に対応する。また、主に異物判定処理ブロック400が「抽出手段」や「出力手段」に対応する。以下、異物判定処理ブロック400の実施例について示す。
(実施例1)
図8は、実施例1の異物判定処理ブロック400の詳細ブロックの構成の一例を示す図である。図8に示す異物判定処理ブロック400は、「平滑化手段」の一例の平滑化部401と、「第1の判定手段」の一例の判定部402とを有する。
平滑化部401は、シェーディングデータメモリ3000の出力データ(シェーディングデータ)を平滑化する処理を行う処理部である。判定部402は、異物を含むか否かを判定する処理を行う処理部である。平滑化部401と判定部402の各処理について図9〜図11を参照しながら具体的に説明する。
図9は、異物判定処理の説明図である。図9の各図に示す黒点は、各画素の出力レベルを主走査方向の並びで表したものである。
図9(a)は、シェーディングデータメモリ3000の出力データ(つまり「シェーディングデータ」)の各画素の出力レベルを示す出力パターンの一例である。図9(a)には、異物の存在を示す黒点P1が急激に降下し、異物信号が近傍の最大振幅と最小振幅との間に埋もれているときの状態のものを一例として示している。
平滑化部401は、図9(a)の各黒点がとる値(出力値)をロッドレンズのピッチ間隔に相当する画素数を単位に移動平均により平滑化する。例えば、ロッドレンズのピッチ間隔を0.3mmとし、主走査方向の解像度を600dpiとする。この場合、ロッドレンズのピッチ間隔に対応する画素数は、約7.09となるため、移動平均画素数のパラメータ「m」を「m=7」として移動平均を行う。
図10は、平滑化部401の、移動平均を伴う平滑化処理の説明図である。平滑化部401は、シェーディングデータメモリ3000から出力されたシェーディングデータの主走査方向順の各画素値(出力値)を、この順に平滑化部401の入力部M1の画素番号0〜画素番号nに入力する。更に、平滑化部401は、パラメータα=(m−1)/2(小数点以下切り捨て)と定義し、移動平均画素数(m=7)で平均を算出し、画素番号をずらしながらそれぞれの平均結果を、出力部M2の、次の式(1)の関係を満たす画素番号に出力する。
「出力部M2の画素番号」=「入力部M1の平均化終了画素番号」−α ・・・(1)
例えば、本例のようにm=7でα=3になるため、入力部M1の画素番号0から画素番号6までについては「入力部M1の平均化終了画素番号」=「6」となる。従って、式(1)より「出力部M2の画素番号」が「3」となり、平均結果の出力先は出力部M2の画素番号3になる。同様に、入力部M1の、画素番号を1つずらした画素番号1から画素番号7までについては「入力部M1の平均化終了画素番号」=「7」となる。従って式(1)より「出力部M2の画素番号」が「4」となり、平均結果の出力先は出力部M2の画素番号4になる。
このように画素番号を1つずつずらしていくと、最後に、入力部M1の画素番号n−6から画素番号nまでは「入力部M1の平均化終了画素番号」=「n」となる。式(1)より「出力部M2の画素番号」が「n−3」となり、平均結果の出力先は出力部M2の画素番号n−3となる。
この移動平均では、シェーディングデータに含まれるランダムノイズも除去される。
図9(b)は、図9(a)の黒点がとる値(出力値)を平滑化部401で移動平均により平滑化した場合の結果で、主走査方向の移動平均結果のデータ列に対応し、これが出力部M2から出力される。
図9(b)に示すように、図9(a)の黒点P1の不連続点を含まない7画素の各平均値は、略同じ値を示し略一定(出力Q1)になる。一方、黒点P1の不連続点を含む7画素の各平均値、この例では7回分の連続する移動平均結果のそれぞれは、不連続点があるため値が略同じ幅で降下し、略一定(出力Q2)になる。つまり、近傍の最大振幅と最小振幅の間に埋もれていた黒点P1(異物信号)を、移動平均の結果、異物のない画素の出力Q1から分離し、抽出可能になる。判定部402は、平滑化部401から出力された移動平均結果(出力部M2の主走査方向の移動平均結果のデータ)から、前後画素の変化量を算出して異物を判定する。
図11は、平滑化部401が出力する移動平均結果(移動平均データ)の画素番号と、判定部402が移動平均データの前後画素の変化量を出力する画素番号との対応関係を示す図である。判定部402は、平滑化部401から出力された移動平均結果を主走査方向の前後画素の差分をとって出力部M3に出力する。差分データの出力先の画素番号は、次の条件(2)に従う。
「出力部M3の画素番号」=前後の画素番号の内の後方側の「画素番号」・・・(2)
例えば、判定部402は、前後の画素番号として、画素番号3(後方側)と画素番号4(前方側)のそれぞれの移動平均結果の差分をとり、その差分結果(差分データ)を条件(2)より、出力部M3の画素番号3に出力する。同様に、判定部402は、画素番号4(後方側)と画素番号5(前方側)のそれぞれの移動平均結果の差分をとり、その差分結果(差分データ)を条件(2)より、出力部M3の画素番号4に出力する。
このように、主走査方向に沿って順次差分をとり、最後に、判定部402は、画素番号n−4(後方側)と画素番号n−3(前方側)のそれぞれの移動平均結果の差分をとり、その差分結果(差分データ)を出力部M3の画素番号n−4に出力する。
図9(c)は、図9(b)に黒点で示す移動平均結果を判定部402で差分処理した場合の結果、つまり出力部M3のデータを示している。図9(c)に示すように、図9(b)の出力Q1と出力Q2のそれぞれにおいては、前後画素の差分が略0となるため、出力は略0になる。一方、出力Q1と出力Q2とを前後画素に含む境界では、差分=出力Q1−出力Q2(差分>0)又は差分=出力Q2−出力Q1(差分<0)となり、出力は正の値又は負の値をとる。
判定部402は、予め上限値H1と下限値L1とを設定し、出力部M3の差分から、差分が上限値H1と下限値L1の範囲内に収まる場合に正常範囲と判定し、上限値H1と下限値L1の範囲から外れる場合に異物と判定する。なお、予め、所定の大きさを超える汚れや所定の濃さを超える汚れなどを異物として、それ以外の正常範囲を決定しておき、その上限値H1と下限値L1を閾値として設定するものとする。
図9(c)に示すように異物があった場合に正常範囲を超え、異物と判定することができる。なお、図9(c)においては、2箇所で異物が検出されるが、実際の異物は、その内の主走査方向寄りの1箇所にある。
判定部402は、異物と判定すると、読取コントローラ103の通信I/F200を介し、本体制御ボード102に異物の発見を通知する。
(実施例2)
次に、異物判定処理の実施例2について説明する。ロッドレンズアレイ162を使用すると、各ロッドレンズを通過した入射光は、イメージセンサ161上の各位置に応じて強度に差が現れる。この差は、主走査方向にかけて長周期的に変化する変位で表される。イメージセンサ161から出力される読取データには、当該変位が低周波成分として重層されている。そこで、実施例2では、イメージセンサ161から出力される読取データの、当該低周波成分を含む主走査方向全体の振れ幅に埋もれている異物を検出するための異物判定処理について説明する。
図12は、実施例2の異物判定処理の説明図である。なお、図12において、各画素の出力レベルを示す黒点は省略している。
図12(a)は上記低周波成分を有するシェーディングデータの出力パターン(これを「オリジナル出力パターン」と呼ぶ)の一例である。実線で示すパターンR1はオリジナル出力パターンである。破線で示すパターンR2はパターンR1に含まれる低周波成分である。
パターンR1の山と山との間隔がロッドレンズのピッチに相当する。1ピッチ内でロッドレンズの光軸の位置(山の位置)から遠ざかるにつれ出力が低下する。
図12(a)に異物を示す信号として出力値T1を示している。出力値T1は、パターンR1の振動範囲(パターンR2を中心とする振動の振動範囲)から外れているため、異物として検出されるべきものである。しかし、パターンR2の影響により主走査方向全体としての振れ幅が広げられ、その振れ幅内に当該出力値T1が埋もれてしまっているので、当該出力値T1を検出することはできない。具体的に、パターンR1全体に共通する振幅の最大値と振幅の最小値との間隔がパターンR2により広げられ、この結果、当該最大値と当該最小値とで示される主走査方向全体の振れ幅内に異常を示す出力値T1が埋もれてしまう。
そこで実施例2では、図12(b)に示すように、オリジナル出力パターン(パターンR1)に含まれる低周波成分(パターンR2)を検出し、図12(c)に示すように、オリジナル出力パターン(パターンR1)から低周波成分(パターンR2)を除去して、除去後の高周波成分(パターンR3)からの出力値T1の検出を可能にする。実施例2では、異物判定処理ブロック400を次のように構成する。
図13は、異物判定処理ブロック400の実施例2の詳細ブロックの構成の一例を示す図である。図13に示す異物判定処理ブロック400は、平滑化部401と、「低周波成分除去手段」の一例の演算部500と、「閾値決定手段」の一例の振幅推定部501と、「第2の判定手段」の一例の判定部502とを有する。図13に示す矢印は、処理対象のデータの流れを示すものである。なお、実施例1と同様の処理ブロックについては、同じ符号を付している。以下、実施例2の詳細ブロックの処理と処理の流れについて具体的に説明する。
図14は、実施例2の詳細ブロックの処理の流れの一例を示す図である。図14に示すように、先ず、平滑化部401が、シェーディングデータメモリ3000から出力されるオリジナル出力パターンデータを平滑化する処理を行う(S11)。
具体的に、平滑化部401は、オリジナル出力パターンデータを移動平均処理することにより、オリジナル出力パターン(図12(a)のパターンR1参照)から、オリジナル出力パターンの平滑化により生成される低周波成分出力パターン(図12(b)のパターンR2参照)を検出する。なお、移動平均処理については実施例1の繰り返しの説明になるため説明を省略する。
続いて、演算部500が、シェーディングデータメモリから出力されるオリジナル出力パターンデータ(パターンR1のデータ)と、平滑化部401から出力される平滑化後の出力パターンデータ(パターンR2のデータ)とを入力し、演算により、オリジナル出力パターンから低周波成分の出力パターンを取り除いた出力パターン(図12(c)のパターンR3参照)のデータ(高周波成分出力パターンデータ)を抽出する(S12)。
例えば、演算部500は、オリジナル出力パターンデータの各画素番号の出力値において低周波成分出力パターンデータの対応する画素番号の出力値を減算(又は除算)することにより、高周波成分出力パターンデータを抽出する。なお、対応する画素番号がないものは、後段の判定の対象から外すものとする。
続いて、振幅推定部501が、演算部500から高周波成分出力パターンデータを入力し、高周波成分出力パターンの振幅の最大値と最小値を算出して正常範囲を決定する(S13)。更に、振幅推定部501は、その正常範囲の閾値を判定部502に設定する(S14)。
なお、当該処理では正常範囲の閾値を求めるため、製品製造時や濃度基準部材54などの読取対象部品の交換時など、濃度基準部材54などの光軸上の部品に異物がない状態で行うことが望ましい。従って、当該処理は、製品製造時や濃度基準部材54の部品交換時などに、例えば操作パネル101により指示を受け付けて本体制御ボード102から指示があった場合に選択的に実行する。或いは読取コントローラ103にDIPスイッチなどの切替スイッチを設け、それを手動で切り替えることにより、当該処理を実行させても良い。
ステップS13とステップS14の選択的な実行後、判定部502が、演算部500から入力される高周波成分出力パターンデータの各値を、設定された閾値と比較して、高周波成分出力パターン内の異物の有無を判定する(S15)。
ここで、ステップS13〜ステップS15の振幅推定部501と判定部502の処理について更に詳しく説明する。なお、高周波成分の振幅は、組立バラツキや部品の個体バラツキにより変化するため、ここでは、個体毎に振幅を算出する方法について説明する。
図15と図16は、振幅推定部501による最大値と最小値とを算出する方法(図14のステップS13)の説明図である。振幅推定部501は、演算部500の出力データ(つまり高周波成分出力パターンデータ)からロッドレンズの対応画素数(画素数m=7)を単位に画素番号順に最大値と最小値とを順次抽出して保持し、最大値の平均値と最小値の平均値とを算出する。
具体的に、振幅推定部501は、図15に示すように高周波成分出力パターンデータの最初の画素番号(一例として画素番号3とする)を基準に、この基準画素からロッドレンズの対応画素数分(本例では基準画素を含めて対応画素数を「7」にする)を範囲に、つまり画素番号3〜画素番号9を範囲に、その中の最大値maxと最小値minとを抽出する。
続いて、振幅推定部501は、次の画素番号4を基準に、その基準の画素番号からロッドレンズの対応画素数分を範囲に、つまり画素番号4〜画素番号10を範囲に、その中の最大値maxと最小値minとを抽出する。
振幅推定部501は、このような最大値maxと最小値minの抽出処理を、基準画素とする画素番号を1ずつ大きくしながら、対応画素数分の最後の画素が最終画素n−3となるまで繰り返す。
図16は、振幅推定部501の高周波成分出力パターンデータの入力部M4の画素番号と、最大値maxと最小値minの保持部M5の画素番号との対応関係の一例を示す図である。
振幅推定部501は、次の条件(3)を満たすように最大値maxと最小値minを保持部M5に出力する。
「画素番号」=「基準画素番号」+m−1−α ・・・(3)
ただし、「基準画素番号」は、画素番号n−(m−1)を上限とする。
図16に示す例は、m=7、α=3の場合のものである。例えば、振幅推定部501は、入力部M4の画素番号3を基準画素とする画素番号3〜画素番号9までの範囲の最大値maxと最小値minとを、条件(3)により、保持部M5の画素番号6に出力する。また、入力部M4の画素番号4を基準画素とする画素番号4〜画素番号10までの範囲の最大値maxと最小値minとを、条件(3)により、保持部M5の画素番号7に出力する。このように、振幅推定部501は、基準画素の画素番号を1つ大きくしながら当該基準画素からの範囲の最大値maxと最小値minとを保持部M5の1つ大きな画素番号に出力することを、保持部M5の画素番号n−6が埋まるまで繰り返す。
振幅推定部501は、保持部M5の各画素番号に保持されている最大値maxと最小値minとに基づいて正常範囲を示す閾値を決定する。具体的に、振幅推定部501は、各画素番号のそれぞれの最大値maxの平均値を算出し、算出した平均値に所定の正の値(マージン)を加算した加算結果を正常範囲の上限を示す閾値(上限値H1(図17参照))に決定する。また、振幅推定部501は、各画素番号のそれぞれの最小値minの平均値を算出し、算出した平均値に所定の正の値(マージン)を減算した減算結果を正常範囲の下限を示す閾値(下限値L1(図17参照))に決定する。
ただし、上限のマージンは、上限値H1が各画素番号のそれぞれの最大値maxよりも大きな値をとるように設定し、下限のマージンは、下限値L1が各画素番号のそれぞれの最小値minよりも小さな値をとるように設定する。
図17は、判定部502の判定処理の説明図である。判定部502は、図17に示すように、低周波成分(パターンR2)の除去後の高周波成分(パターンR3)に現れる出力値T1(異物を示す信号)を正常範囲を示す閾値(上限値H1と下限値L1)を基準に判定する。
この例では、出力値T1は下限側に現れ、その値が下限値L1を下回っている。このため、判定部502は、下限値L1を基準とする判定により出力値T1を異物と判定する。
(実施例3)
次に、異物判定処理の実施例3について説明する。密着型イメージセンサの組立時にロッドレンズアレイ162が撓んだ状態で配置されるとシェーディングデータの出力パターンの振幅が主走査方向に向けて減衰するなどして一定ではなくなる。実施例3では、実施例2を前提に、更にシェーディングデータを主走査方向にNブロックに分割し、ブロックごとに正常範囲の閾値を設定する場合のものについて示す。
図18は、イメージセンサにロッドレンズが撓んだ状態で配置されている場合のセンサとロッドレンズとのズレの状態の一例を示す図である。図18には、ロッドレンズアレイ162がイメージセンサ161に対し水平面内で撓んだ状態で配置されている場合を想定し、ロッドレンズアレイ162の上方(図4のロッドレンズアレイ162の上方)から見た場合のロッドレンズアレイ162とイメージセンサ161とのズレの状態の一例を示している。
図18に示すロッドレンズアレイ162の中心線J2は、各ロッドレンズの配列を示す線であり、イメージセンサ161の中心線J1は、イメージセンサ161の長手方向の中心線である。図18に示すようにロッドレンズアレイ162の中心線J2がイメージセンサ161の中心線J1から反れると、ロッドレンズアレイ162の中心線J2上にある範囲の光電変換素子に比べ、中心線J2から反れた範囲の光電変換素子の光強度が低下し出力が低下する。
図19は、図18に示す配置構成で生成されたシェーディングデータから低周波成分を除去して得たデータの高周波成分出力パターンの一例を示す図である。図19に示すように、主走査方向において、高周波成分出力パターンP3の振幅が減衰する。
このように振幅が一定でない場合、振幅が小さな位置で正常範囲の閾値(上限値H1、下限値L1)とのギャップが大きくなり、ここに異物が含まれていたときに、その検出が困難になる。そこで、このように振幅が減衰(又は増幅)により一定とならない場合に、高周波成分出力パターンP3をNブロックに分割し、ブロックごとに正常範囲の閾値を設定する。
図20は、振幅推定部501が「分割手段」として行うNブロックへの分割とブロック毎の閾値の設定とについて概念的に示す図である。振幅推定部501は、図20(a)に示すように高周波成分出力パターンP3をNブロックに分割し、分割ブロック毎に、図20(b)に示すように閾値(上限値、下限値)=(H1、L1)、(H2、L2)・・・、(HN、LN)を決定する。なお、分割数や各ブロックに含める画素の数については適宜設定して良い。
例えば、主走査方向への減衰が急であれば分割数を増やしてブロック内の画素数を減らし、減衰が緩やかであれば分割数を少なくしてブロック内の画素数を増やす。また、イメージセンサ161がセンサチップを複数組み合わせて構成されているものであれば、1ブロックをセンサチップ毎に割り当てても良い。ただし、N=1の場合は実施例2に相当する。
具体的には、振幅推定部501が保持部M5をNブロック(Nは分割数を示す正の整数とする)に分け、ブロック内の各画素番号に格納した最大値maxと最小値minとから正常範囲を示す閾値の決定をブロックごとに行う。そして、振幅推定部501が、画素番号の範囲を示すブロック情報とそのブロックについて決定した閾値とを判定部502に設定する。
判定部502は、高周波成分出力パターンデータを、画素毎に、その画素が属するブロックの閾値を使用して異物判定を行う。
(実施例4)
密着型イメージセンサなどのセンサチップの内部回路構成に起因し、センサチップ内の所定の光電変換素子が、その他の光電変換素子とは異なる特性を示す場合がある。
図21(a)は、センサチップ端部の数画素がその他の画素に比べて極端に低い出力を示す場合の出力パターンの一例を示す図である。図21(a)に示すようにセンサチップ端部の数画素Y1が他の画素と比べて出力値が極端に低くなっており、その出力が閾値を超えている。この場合、異物が無い場合にも異物があると誤検知されてしまう可能性がある。
図21(b)は、その特異的な特性を示す範囲において異物判定を行わせないために「マスク設定手段」として設定したマスク領域を示す図である。図21(b)に示すように、図21の特異的な特性を示す数画素Y1に異物の判定対象ではないことを示すマスク領域Y2を設定する。
具体的には、判定部502において、演算部500から入力される高周波成分出力パターンデータの判定対象の画素番号の中の、特異的な特性を示す画素番号について予めマスク情報を設定する。
これにより、判定部502は、高周波成分出力パターンデータの内、マスク情報として設定された画素については異物判定を行わず、その他の画素について異物判定を行う。
このように、予め特異的な出力特性を示す範囲にマスク領域を設定しておけば、異物として誤検知をすることを避けられる。また、読取センサの全長が濃度基準部材54の全長よりも長いときにも、濃度基準部材54が無い領域をマスク領域として設定すれば、濃度基準部材54の範囲外のシェーディングデータに対しても異物の誤検知をすることは無くなる。
(実施例5)
異物判定処理ブロック400として実施例1と実施例2の構成を組み合わせたものについて示す。
図22は、異物判定処理ブロック400の実施例5の詳細ブロックの構成の一例を示す図である。図22に示す異物判定処理ブロック400は、平滑化部401と、判定部(第1の判定部)402と、演算部500と、振幅推定部501と、判定部(第2の判定部)502とを有する。図22に示す矢印は、処理対象のデータの流れを示すものである。なお、実施例1、実施例2と同様の処理ブロックについては、同じ符号を付している。
実施例5の構成では、実施例1と実施例2との2つの異物判定処理により異物判定が行える。具体的に、平滑化部401と、判定部(第1の判定部)402とにより、実施例1の異物判定を行う。更に、平滑化部401と、演算部500と、振幅推定部501と、判定部(第2の判定部)502とにより、実施例2の異物判定を行う。
この構成により、低周波成分を含むシェーディングデータに埋もれている、高周波成分の内と外の異物信号を検出することが可能になる。
(実施例6)
異物判定処理ブロック400が異物を判定した場合に、異物があることを示す情報として異物判定処理ブロック400がユーザに異物の除去を報知する処理について説明する。
異物判定処理ブロック400は、異物を検出すると通信I/F200を介して本体制御ボード102に異物の検出を示す信号を通知する。本体制御ボード102は、異物の検出を示す信号を受信すると、操作パネル101にユーザに異物の除去を促す報知画面情報を送信する。報知画面情報には、例えば、「濃度基準部材やコンタクトガラスなどを清掃してください」などの表示情報を含ませる。
なお、ここでは、異物の検出を示す信号を受信した場合に本体制御ボード102が操作パネル101に報知画面情報を送信すると説明したが、異物があることを示す情報として本体制御ボード102が送信する信号は、これに限定されない。例えば、清掃を促す報知音を指定する信号やランプの点灯を指定する信号などであっても良い。
以上のように、本実施の形態では、各画素回路からの出力レベルから全体の振れ幅に埋もれている異物信号を検出することが可能になり、異物の検知精度が向上する。
なお、本実施の形態では、画像読取装置を画像形成装置に適用し、画像読取装置の読取画像を画像形成に利用する例を示したが、画像読取装置を単体で使用し、生成した読取画像をハードディスクや記録メディアにファイル出力するなどしても良い。
また、本実施の形態では、画像読取装置に読取コントローラ103が内蔵されたものを示したが、読取コントローラ103の一部又は全てを画像処理装置(例えばICチップ等)の形態で供給し、供給された画像処理装置を、対応する画像読取装置に搭載して、異物判定を実行しても良い。なお、画像処理装置には、異物判定処理ブロック400を少なくとも含むようにする。