本発明は、大きな面積のガラス基板、半導体ウェハーなどの脆性材料基板を貼り合せた貼り合わせ基板(以下、「マザー基板」と記す)を上下面基板を瞬時に、或いは上面基板を小面積にブレイク(「ブレイク」、或いは「切断」)してから下面基板を小面積にブレイクする、或いはその反対の方法でブレイクする、所定の小面積の基板を多数枚得る貼り合わせ基板の基板ブレイク装置及びその基板ブレイク方法に関するものである。
先ず、図23乃至図25を用いて、従来技術の貼り合わせ基板の基板ブレイク方法及びその装置を説明する。なお、以下の説明においては、「貼り合わせ基板の基板ブレイク方法」を特別な場合を除いて単に「基板ブレイク方法」と、そして「貼り合わせ基板の基板ブレイク装置」を特別な場合を除いて単に「基板ブレイク装置」と記して説明する。
図23は従来の基板ブレイクプロセスのフローチャート、図24は従来の基板ブレイク方法でブレイクした場合の一部分の表示パネルを示していて、同図Aはその平面図、同図Bはその断面側面図、そして図25は従来技術の基板ブレイク装置を示す概念図である。
例えば、大きな面積の2枚のガラス基板を貼り合わせたマザー基板から、例えば、複数枚の小面積の小パネルにブレイクする従来技術の基板ブレイク方法では、マザー基板の両ガラス表面に予め削って引かれたスクライブラインに基板ブレイク装置のブレイクバーを合わせ、そのブレイクバーにより応力以上の荷重を加え、マザー基板の下面方向に垂直にクラックを成長させることにより、そのマザー基板を所定の小さな面積のパネルにブレイクし、多数枚の小パネルを得るブレイク方法で行われている。
液晶表示装置用基板などは、2枚のガラス基板を貼り合わせた2枚構造のマザー基板となっているため、ブレイクプロセス上、表裏片面側毎に予め引かれているスクライブラインに沿ってブレイクする必要がある。
そのようなマザー基板のブレイクプロセスでは、図23に示したように、マザー基板をスクライブ装置に搬入し(ステップS30)、先ず、一方の薄膜トランジスタ(TFT)が形成されている上面基板側のガラス基板に所定の間隔で碁盤目状にスクライブラインを形成し(ステップS31)、その後、スクライブ装置からそのマザー基板を搬出、反転させて、基板ブレイク装置に搬入し(ステップS32)、前記のように形成されているスクライブラインに沿って上方からブレイクバーにより押圧して前記上面基板(TFT面)側をブレイクし(ステップS33)、次に、そのように上面基板(TFT面)側がブレイクされたマザー基板を、一旦、基板ブレイク装置から搬出した後、再度、スクライブ装置に搬入して(ステップS34)、前記上面基板(TFT面)側ガラス基板とは異なる他方のカラーフィルム(CF)が形成されている下面基板側のガラス基板の表面に、前記上面基板に形成したスクライブラインと合致するようにスクライブラインを形成する(ステップS35)。そして前記と同様に、再度、そのマザー基板をスクライブ装置から搬出し、反転して基板ブレイク装置に搬入し(ステップS36)、上方からブレイクバーで上面基板(TFT面)を押圧して、形成されているスクライブラインに沿って下面基板(CF面)側をブレイクし(ステップS37)、その上下両面がブレイクされた表示パネルを基板ブレイク装置から搬出すると(ステップS38)、小面積の多数の表示パネルを得る(ステップS39)基板ブレイク方法が一般的に採られている。
このように、従来の基板ブレイクプロセスにおいては、
1.ブレイク後にマザー基板を反転させる工程(ステップS32、ステップS36)が2 工程もあること
2.また、これらマザー基板の反転作業においては、小面積の個々の表示パネルのブレイ ク面同士がぶつかり合う(以下、「干渉」と呼ぶ)ことが考えられ、図24に示したよ うに、この干渉によってそれぞれのブレイク面などに割れ、欠けなどの損傷Cが発生し 、表示パネルの歩留まりが悪くなること
3.そしてまた、従来の基板ブレイクプロセスにおいては、マザー基板を反転するための 作業として、基板ブレイク装置内にあるマザー基板を作業テーブルから搬入、搬出する 場合に高圧静電気が発生し、マザー基板内に形成されているTFTが絶縁破壊されるこ とがあること
などの課題がある。
前記の基板ブレイクプロセスにおいては、マザー基板を反転させなければならない工程があり、そのために前記干渉による不具合が生じたが、その反転工程を無くす技術が[特許文献1]に開示されている。
この[特許文献1]に開示されて技術は、「ガラスブレイク方法とその装置」と称され、図25に示したように、ガラス基板Gを2枚貼り合わせてなるパネルを両面ブレイクするガラスブレイク方法であって、前記パネルの一方の面をブレイクする第1のブレイク刃Br1の対向側に、そのパネルを支える機構Sp3を設け、更に前記パネルの他方の面をブレイクする第2のブレイク刃Br2の対向側にも同様にパネルを支える機構Sp4を設け、ブレイク刃Br1、Br2の対向側からパネルを支えながら前記パネルの両面からブレイクするガラスブレイク方法を採っている。
第1ブレイク刃Br1及び第2ブレイク刃Br2はダイヤモンドホイールカッターであり、それぞれに対向して配設されている機構Sp3及び機構Sp4は鉄、アルミ、ステンレスなどの金属製または樹脂製などのローラを使用し、そのローラの表面にガラスへのダメージ防止や空転防止の目的で樹脂製やゴム製のシートなどを取り付けた構造としてもよいとされている。
特開昭2003−313036号(第3頁、図1)
前記のように、[特許文献1]のガラスブレイク方法は、貼り合わせガラス基板(マザー基板)の両面のブレイク(ブレイク)をそれぞれの面側から行う方法を採っているため、前記パネルの反転は不要であるが、ブレイク箇所が2箇所であり、ブレイクされる表示パネルの大きさが小さい場合には、2対の第1ブレイク刃Br1と機構Sp3及び第2ブレイク刃Br2と機構Sp4とを接近して設け難く、逆にブレイクされた表示パネルの面積が広い面積の場合には、両者を離間して設けなければならず、そのような場合には、基板ブレイク装置は大型になる。
また、マザー基板のブレイクには、ダイヤモンドホイールカッターと硬質のローラが用いられてスクライブライン毎に一方の端から他方の端までダイヤモンドホイールカッターを転がしながらブレイクする方法を採っているので、これは従来のガラス基板のブレイク方法と変わりは無いなどの課題がある。
それ故、本発明は、前記のような様々な課題を解決しようとするものであって、基板ブレイク装置における基板ブレイクプロセスで基板ブレイク装置にセットされたマザー基板を上下同一場所にて、上面基板及び下面基板を個別にブレイクでき、或いは上面基板及び下面基板を殆ど同時にブレイクできる貼り合わせ基板の基板ブレイク装置及びその基板ブレイク方法を得ることを目的とする。
それ故、本発明の基板ブレイク装置は、スクライブラインがブレイクしたい位置の表面に形成されている貼り合わせ脆性材料基板を前記スクライブラインに沿ってブレイクする基板ブレイク装置であって、開口部が形成されている基板支持板と、その基板支持板の上面に前記開口部を覆って搭載され、前記脆性材料基板を固定する弾性板と、その弾性板の上方に在って、そして前記基板支持板の前記開口部の上方に在って上下動できるように配設され、中央に前記スクライブラインに沿ってブレイクする上ブレイクバーとその上ブレイクバーの両側に形成された上基板固定バーとを備えた上ブレイクユニットと、前記上ブレイクバーと前記両上基板固定バーとの移動を個別に制御する移動制御部と、前記基板支持板の前記開口部の下方の前記弾性板に相対して上下動できるように配設され、中央に前記スクライブラインに沿ってブレイクする下ブレイクバーとその下ブレイクバーの両側に形成された下基板固定バーとを備えた下ブレイクユニットと、前記下ブレイクバーと前記両下基板固定バーとの移動を個別に制御する移動制御部とを備えて構成されていることを特徴とする。
前記弾性板は前記基板支持板上で左右90度の角範囲にわたって、或いは一方向に90度の角範囲にわたって回動できるように搭載されている。そして前記弾性板は、その上に搭載された前記貼り合わせ脆性材料基板を吸引、保持できる機能を備えている。また、前記基板支持板は表面が水平な定盤上に、少なくとも一方向に移動できるように搭載されている。そしてまた、前記上ブレイクバーには第1振動センサが、前記上基板固定バーには第2振動センサが搭載され、それら両振動センサには上切断検知部及び上ブレイクユニット移動制御部が連結されており、前記下ブレイクバーにも第1振動センサが、前記下基板固定バーには第2振動センサが搭載され、それら両振動センサには下切断検知部及び下ブレイクユニット移動制御部が連結されている。
また、本発明の基板ブレイク方法は、開口部が形成され、表面が水平状態の基板支持板上に、前記開口部を覆って弾性板を水平に搭載し、その弾性板上にブレイクしようとする大判の、表面にスクライブラインが形成されている2枚の脆性材料の上面基板と下面基板とが貼り合わされたマザー基板を水平状態で固定し、そのマザー基板のブレイクしたい位置の前記スクライブラインを前記開口部の中間部に位置せしめ、前記開口部に露出している前記下面基板の下に存在する弾性板部分に前記ブレイクしようとするスクライブラインを跨ぐように一対の下基板固定バーを当接した状態で、前記上面基板の前記ブレイクしようとするスクライブラインに沿って上ブレイクバーにより加圧して、前記マザー基板をV字状に屈曲させることにより前記下面基板をブレイクすることを特徴とする。(図9)
そしてまた、本発明の基板ブレイク方法は、開口部が形成され、表面が水平状態の基板支持板上に、前記開口部を覆って弾性板を水平に搭載し、その弾性板上にブレイクしようとする大判の、表面にスクライブラインが形成されている2枚の脆性材料の上面基板と下面基板とが貼り合わされたマザー基板を水平状態で固定し、そのマザー基板のブレイクしたい位置の前記スクライブラインを前記開口部の中間部に位置せしめ、前記上面基板の上面に前記ブレイクしようとするスクライブラインを跨ぐように一対の上基板固定バーを当接した状態で、前記下面基板の前記ブレイクしようとするスクライブラインに沿って前記開口部に露出している前記弾性板を介して下ブレイクバーにより加圧し、前記マザー基板を逆V字状に屈曲させることにより前記上面基板をブレイクすることを特徴とする。
更に、本発明の基板ブレイク方法は、開口部が形成され、表面が水平状態の基板支持板上に、前記開口部を覆って弾性板を水平に搭載し、その弾性板上にブレイクしようとする大判の、表面にスクライブラインが形成されている2枚の脆性材料の上面基板及び下面基板が貼り合わされたマザー基板を水平状態で固定し、そのマザー基板のブレイクしたい位置の前記スクライブラインを前記開口部の中間部に位置せしめ、前記上面基板の上面に前記ブレイクしようとするスクライブラインに沿って上ブレイクバーを当接した状態で、前記下面基板の前記ブレイクしようとするスクライブラインを跨ぐように前記開口部に露出している前記弾性板を介して一対の前記下基板固定バーにより加圧し、前記マザー基板をV字状に屈曲させることにより前記下面基板をブレイクすることを特徴とする。
そして更に、本発明の基板ブレイク方法は、開口部が形成され、表面が水平状態の基板支持板上に、前記開口部を覆って弾性板を水平に搭載し、その弾性板上にブレイクしようとする大判の、表面にスクライブラインが形成されている2枚の脆性材料の上面基板と下面基板とが貼り合わされたマザー基板を水平状態で固定し、そのマザー基板のブレイクしたい位置の前記スクライブラインを前記開口部の中間部に位置せしめ、前記下面基板の前記ブレイクしようとするスクライブラインに沿って前記開口部に露出している前記弾性板を介して下ブレイクバーを当接した状態で、前記上面基板の上面に前記ブレイクしようとするスクライブラインを跨ぐように一対の上基板固定バーにより加圧し、前記マザー基板を逆V字状に屈曲させることにより前記上面基板をブレイクすることを特徴とする。
そして更にまた、本発明の基板ブレイク方法は、先ず、前記マザー基板の下面基板の表面に形成されている全てのスクライブラインに沿って前記請求項7または請求項9に記載の基板ブレイク方法によって前記下面基板をブレイクし、その後、前記マザー基板の上面基板の表面に形成されている全てのスクライブラインに沿って前記請求項8または請求項10に記載の基板ブレイク方法によって前記上面基板をブレイクすることを特徴とする。
そして更にまた、本発明の基板ブレイク方法は、先ず、前記マザー基板の上面基板の表面に形成されている全てのスクライブラインに沿って前記上面基板をブレイクし、その後、前記マザー基板の下面基板の表面に形成されている全てのスクライブラインに沿って前記下面基板をブレイクすることを特徴とする。(図19)前記のようにマザー基板の下面基板の表面に形成されているスクライブラインに沿って前記下面基板をブレイクし、前記上面基板の内面に形成されている電極端子を露出させることを特徴とする。
そして更にまた、本発明の基板ブレイク方法は、開口部が形成され、表面が水平状態の基板支持板上に、前記開口部を覆って弾性板を水平に搭載し、その弾性板上にブレイクしようとする大判の、表面にスクライブラインが形成されている2枚の脆性材料の上面基板と下面基板とが貼り合わされたマザー基板を水平状態で固定し、そのマザー基板のブレイクしたい位置の前記スクライブラインを前記開口部の中間部に位置せしめ、前記開口部に露出している前記下面基板の下に存在する弾性板部分に前記ブレイクしようとするスクライブラインを跨ぐように一対の下基板固定バーを当接した状態で、前記上面基板の前記ブレイクしようとするスクライブラインに沿って上ブレイクバーにより加圧して、前記マザー基板をV字状に屈曲させることにより前記下面基板をブレイクした後、殆ど瞬時に、前記上面基板の上面に前記ブレイクしようとするスクライブラインを跨ぐように一対の前記上基板固定バーを当接した状態で、前記下面基板の前記ブレイクしようとするスクライブラインに沿って前記開口部に露出している前記弾性板を介して前記下ブレイクバーにより加圧し、前記マザー基板を逆V字状に屈曲させることにより前記上面基板をブレイクすることを特徴とする。
そして更にまた、本発明の基板ブレイク方法は、開口部が形成され、表面が水平状態の基板支持板上に、前記開口部を覆って弾性板を水平に搭載し、その弾性板上にブレイクしようとする大判の、表面にスクライブラインが形成されている2枚の脆性材料の上面基板と下面基板とが貼り合わされたマザー基板を水平状態で固定し、前記上面基板の上面に前記ブレイクしようとするスクライブラインを跨ぐように一対の前記上基板固定バーを当接した状態で、前記下面基板の前記ブレイクしようとするスクライブラインに沿って前記開口部に露出している前記弾性板を介して前記下ブレイクバーにより加圧し、前記マザー基板を逆V字状に屈曲させることにより前記上面基板をブレイクした後、殆ど瞬時に、前記下面基板の前記ブレイクしようとするスクライブラインを跨ぐように前記開口部に露出している前記弾性板を介して一対の前記下基板固定バーを当接した状態で、前記上面基板の上面に前記ブレイクしようとするスクライブラインに沿って前記上ブレイクバーにより加圧し、前記マザー基板をV字状に屈曲させることにより前記下面基板をブレイクすることを特徴とする法。
そして更にまた、本発明の基板ブレイク方法は、開口部が形成され、表面が水平状態の基板支持板上に、前記開口部を覆って弾性板を水平に搭載し、その弾性板上にブレイクしようとする大判の、表面にスクライブラインが形成されている2枚の脆性材料の上面基板と下面基板とが貼り合わされたマザー基板を水平状態で固定し、前記下面基板の前記ブレイクしようとするスクライブラインに沿って前記開口部に露出している前記弾性板を介して下ブレイクバーを当接した状態で、前記上面基板の上面に前記ブレイクしようとするスクライブラインを跨ぐように一対の前記上基板固定バーにより加圧し、前記マザー基板を逆V字状に屈曲させることにより前記上面基板をブレイクした後、殆ど瞬時に、前記上面基板の上面に前記ブレイクしようとするスクライブラインに沿って前記上ブレイクバーを当接した状態で、前記下面基板の前記ブレイクしようとするスクライブラインを跨ぐように前記開口部に露出している前記弾性板を介して一対の前記下基板固定バーにより加圧し、前記マザー基板をV字状に屈曲させることにより前記下面基板をブレイクすることを特徴とする。
そして更にまた、本発明の基板ブレイク方法は、開口部が形成され、表面が水平状態の基板支持板上に、前記開口部を覆って弾性板を水平に搭載し、その弾性板上にブレイクしようとする大判の、表面にスクライブラインが形成されている2枚の脆性材料の上面基板と下面基板とが貼り合わされたマザー基板を水平状態で固定し、そのマザー基板のブレイクしたい位置の前記スクライブラインを前記開口部の中間部に位置せしめ、前記上面基板の上面に前記ブレイクしようとするスクライブラインを跨ぐように一対の上基板固定バーを当接した状態で、前記下面基板の前記ブレイクしようとするスクライブラインに沿って前記開口部に露出している前記弾性板を介して下ブレイクバーにより加圧し、前記マザー基板を逆V字状に屈曲させることにより前記上面基板をブレイクした後、殆ど瞬時に、前記上面基板の上面に前記ブレイクしようとするスクライブラインに沿って前記上ブレイクバーを当接した状態で、前記下面基板の前記ブレイクしようとするスクライブラインを跨ぐように前記開口部に露出している前記弾性板を介して一対の前記下基板固定バーにより加圧し、前記マザー基板をV字状に屈曲させることにより前記下面基板をブレイクすることを特徴とする貼り合わせ基板の基板ブレイク方法。(図17)
そして更にまた、本発明の基板ブレイク方法は、開口部が形成され、表面が水平状態の基板支持板上に、前記開口部を覆って弾性板を水平に搭載し、その弾性板上にブレイクしようとする大判の、表面にスクライブラインが形成されている2枚の脆性材料の上面基板と下面基板とが貼り合わされたマザー基板を水平状態で固定し、そのマザー基板のブレイクしたい位置の前記スクライブラインを前記開口部の中間部に位置せしめ、前記下面基板の前記ブレイクしようとするスクライブラインに沿って前記開口部に露出している前記弾性板を介して前記下ブレイクバーを当接した状態で、前記上面基板の上面に前記ブレイクしようとするスクライブラインを跨ぐように一対の前記上基板固定バーにより加圧し、前記マザー基板を逆V字状に屈曲させることにより前記上面基板をブレイクした後、殆ど瞬時に、前記開口部に露出している前記下面基板の下に存在する弾性板部分に前記ブレイクしようとするスクライブラインを跨ぐように一対の下基板固定バーを当接した状態で、前記上面基板の前記ブレイクしようとするスクライブラインに沿って上ブレイクバーにより加圧して、前記マザー基板をV字状に屈曲させることにより前記下面基板をブレイクすることを特徴とする。
従って、本発明の貼り合わせ基板の基板ブレイク装置及びその基板ブレイク方法によれば、その基板ブレイク装置が貼り合わせ基板を吸着、保持する弾性板を境にして上方に上ブレイクバー及び一対の上基板固定バーを、下方に下ブレイクバー及び一対の下基板固定バーを対称的位置に配設した構成を採っていることから、この基板ブレイク装置に搬入された貼り合わせ基板を反転させることなく、上下同一の位置で上面基板或いは下面基板を、或いは上下両基板をスクライブラインに沿ってほぼ瞬時にブレイクすることができる。
また、本発明の貼り合わせ基板の基板ブレイク装置及びその基板ブレイク方法によれば、貼り合わせ基板を弾性板で吸着、保持し、そのブレイク位置における前記弾性板がブレイク時に屈曲することから貼り合わせ基板をより一層大きく屈曲させることができ、スクライブラインに沿って垂直クラックを成長させ、良好にブレイクを促進することができる。
更に、本発明の貼り合わせ基板の基板ブレイク方法によれば、上面基板をブレイクしてから下面基板をブレイクすることにより、ブレイク面同士の干渉(ぶつかり合い、以下、「干渉」と記す))が減少する。
本発明の貼り合わせ基板の基板ブレイク装置及びその基板ブレイク方法によれば、次のような効果が得られる。
1.ブレイク時の割れ、欠けの不具合を削減できること
2.完成品の品質が向上すること
3.高スループットの生産が可能であること
4.基板ブレイク装置からブレイクされた基板を搬出する際に発生する高電圧静電気によ る前記基板内に形成された半導体素子などの破壊を防ぐことができること
5.基板ブレイク工程の処理効率が向上すること
6.生産設備の省スペース化が図れること
7.生産設備の投資金の低減化が図れること
など、数々の優れた効果が得られる。
本発明は、以下に記すようなマザー基板を構成する2枚の脆性材料基板の両基板の表面に形成されているスクライブラインに応力以上の荷重を加えてブレイクする基板ブレイク方法及びその装置で、前記マザー基板の上面/下面をブレイクするためのブレイクロボットにより上下に駆動されるブレイクユニットとマザー基板を吸引、固定する作業ステージから構成される基板ブレイク装置において、基板ブレイク装置内に搬送されたマザー基板を搬出、搬入/反転作業などを伴わずに両面を同一工程内の同一箇所で殆ど同時にブレイクして小面積の小型パネルを得ることを特徴とする基板ブレイク方法及びその装置を開発した。
以下、図を用いて、本発明の貼り合わせ基板のブレイク方法及びその装置を説明する。
図1は液晶型表示パネル用のマザー基板を示していて、同図Aはその平面図、同図Bは同図AのY1−Y2線上における断面図、図2は本発明の一実施例の基板ブレイク装置の構成を示す正面図、図3は図2に示した基板ブレイク装置における基板支持台を模式図で表していて、同図Aはその平面図、同図Bは同図AのA−A線上における断面側面図、図4はマザー基板を載置した状態の作業ステージとブレイクユニットとの関係を模式図で表した断面側面図、図5は図1に示したマザー基板に対する図2に示した基板ブレイク装置の要部を原理的に示した側面図、図6は本発明にかかる実施形態において、下面基板104を切断する様子を一部拡大して示した側面図、図7は本発明の基板ブレイク装置1において、第1振動データV1と第2振動データV2と差分データDとを示す波形図であって、同図Aは外乱による振動を上ブレイクバー31Aと上基板固定バー32Aとが受けた場合の波形図、同図Bはブイクバー31が振動を受けた場合の波形図、同図Cは上基板固定バー32Aが振動を受けた場合の波形図、そして図8は本発明にかかる実施形態において、上ブレイクバー移動制御部51Aにより制御された上ブレイクバー移動部41Aによって移動する上ブレイクバー31Aの垂直方向における位置データPと、第1振動データV1と第2振動データV2との差分データDとを示す波形図である。
先ず、図1を用いて、多数の表示パネルを切り出すマザー基板の構成、構造について説明する。
図1において、符号101はマザー基板101を指す。このマザー基板101には、複数の表示パネル102が形成されている。また、同図Bに示したように、マザー基板101は、カラーフィルタ基板103(以下、「上面基板103」と記す)とアレイ基板104(以下、「下面基板104」と記す)とからなり、上面基板103とアレイ基板104とが僅かな間隔を隔てて互いに対面するように貼り合わせられている。
上面基板103は、同図Bに示したように、光を着色するカラーフィルタ層103aが表示パネル102の画素領域に対応するように形成されている。カラーフィルタ層103aは、ブラックマトリクス層(不図示)と、赤色と青色と緑色のそれぞれの着色層(不図示)を有し、ブラックマトリクス層により区画された領域に各着色層がモザイク状に形成されている。また、上面基板103は、下面基板104の画素電極に対向するように共通電極(不図示)が形成されている。この共通電極は、例えば、ITO(Indium Tin Oxido)を用いて、表示パネル102の画素領域に対応するように形成されている。また、この共通電極は、カラーフィルタ層103aを被覆するように一体的に形成されている。
一方、下面基板104は、同図Bに示したように、画素をスイッチング制御する画素スイッチング素子104aが、表示パネル102における画素領域の画素のそれぞれに対応するようにアレイ状に形成されている。画素スイッチング素子104aは、例えば、薄膜トランジスタ(TFT)であり、例えば、多結晶シリコンの半導体薄膜を用いてチャネル領域が形成されている。また、下面基板104は、画素電極(不図示)が画素に対応するようにアレイ状に形成されており、その画素電極が上面基板103の共通電極に対向している。画素電極は、例えば、ITOにより形成されており、画素スイッチング素子104aに接続している。
そして、同図Aに示したように、マザー基板101には、その表示パネル102に対応するように、各表示パネル102の周囲の切断位置にスクライブライン105がマトリックス状に形成されている。ここでは、同図Bに示したように、このスクライブライン105として、上面基板103と下面基板104とが対面している面に対して反対側になる上面基板103の一方面に、第1スクライブライン105aが線状の溝になるように削られて形成されている。また、更に、スクライブライン105として、上面基板103と下面基板104とが対面している面に対して反対側になる下面基板104の一方面に、第2スクライブライン105bが線状の溝になるように削られて形成されている。第1スクライブライン105aと第2スクライブライン105bとは、マザー基板101の切断位置において互いに対向するように形成されている。そして、マザー基板101は、第1スクライブライン105aと第2スクライブライン105bとのそれぞれのスクライブライン105が形成された切断位置で、後記の基板ブレイク装置1によって表示パネル102毎に切断される。そして、切断された表示パネル102においては、上面基板103と下面基板104との間隔に液晶層が注入されて、液晶パネルとして形成される。
次に、図2乃至図4に示したように、本発明の一実施例の基板ブレイク装置の構成、構造について、順次、説明する。
図2において、符号1は本発明の一実施例の基板ブレイク装置を指す。この基板ブレイク装置1は、基板ブレイク装置本体11とブレイクバー制御部50とを備えて構成されている。
基板ブレイク装置本体11の中間部分には基板支持台21が水平に配設されており、この基板ブレイク装置本体11は基板支持台21を中心にして上方に上収容空間111Aが、下方に下収容空間111Bが形成されている。
上収容空間111Aには、基板支持台21の上方の上収容空間111Aには上ブレイクユニット30Aと上ブレイクバー移動部41Aなどが、基板支持台21の下方の下収容空間111Bには下ブレイクユニット30Bと下ブレイクバー移動部41Bなどが配設されている。
そして前記上ブレイクバー移動部41Aには、ブレイクバー制御部50の上ブレイクバー移動制御部51Aが、前記上ブレイクユニット30Aには、ブレイクバー制御部50の上ブレイク検知部61Aが連結されている。
同様にして、前記下ブレイクバー移動部41Bには、下ブレイクバー移動制御部51Bが、前記下ブレイクユニット30Bには、ブレイクバー制御部50の下ブレイク検知部61Bが連結されている。
基板支持台21は、基板支持板211とその上に載置されている弾性板212を備えたターンテーブル213とからなる。この基板支持台21の構成、構造については図3を用いて後記する。
上ブレイクユニット30Aは、図5にも模式図で示したように、中央部に設けられ、マザー基板101の幅よりやや長い長さの1本の上ブレイクバー31Aとこの上ブレイクバー31Aを中心にして両側に所定の間隔を開けて左右対称的に配設され、マザー基板101の幅よりやや長い長さの一対の上基板固定バー32Aとを備えた構造のものであり、この上ブレイクバー31Aにはマザー基板101をブレイクした瞬間及びブレイクの振動を検知する第1振動センサ611aが、また、上基板固定バー32Aには第2振動センサ611bが取り付けられていて(図2、図4)、それらは前記上ブレイク検知部61Aに連結されている。
同様に上ブレイクユニット30Bは、中央部に設けられ、マザー基板101の幅よりやや長い長さの1本の下ブレイクバー31Bとこの下ブレイクバー31Bを中心にして両側に所定の間隔を開けて左右対称的に配設され、マザー基板101の幅よりやや長い長さの一対の下基板固定バー32Bとを備えた構造のものであり、この下ブレイクバー31Bにはマザー基板101をブレイクした瞬間及びブレイクの振動を検知する第1振動センサ611aが、下基板固定バー32Bには第2振動センサ611bが取り付けられていて(図2)、それらは前記下ブレイク検知部61Bに連結されている。
前記上ブレイクバー移動部41Aは、上サーボモータ411Aと上ボールネジ412Aなどとから構成されており、ブレイクバー制御部50の上ブレイクバー移動制御部51Aで上ブレイクバー31A及び上基板固定バー32Aを個別に上下動するように制御され、前記下ブレイクバー移動部41Bは、下サーボモータ411Bと下ボールネジ412Bなどとから構成されていて、下ブレイク検知部61B及び下ブレイクバー移動制御部51Bにより下ブレイクバー31B及び下基板固定バー32Bが個別に上下動するように制御され、マザー基板101の上面基板103及び下面基板104を固定或いはブレイクする。
従って、本発明の基板ブレイク装置1は、後記する本発明の基板ブレイク方法によりマザー基板101を上下相対向する同一位置に配設されているブレイクバー31A、31B及び基板固定バー32A、32Bを用いてその上方からでも下方からでも、或いはその両面からでも連続してほぼ同時ににブレイクすることができる。
前記基板支持台21は、図3に示したように、基板支持板211と、弾性板212とを備えており、ブレイク対象であるマザー基板101を支持する。基板支持板211は、図示していない定盤の水平な表面に配設されているリニアモータガイド上に設置されていて、矢印Yで示したようなY軸方向に移動するように構成されている。
また、この基板支持板211の中央部には、細長い開口部214が貫通して開けられている。この開口部214は下ブレイクユニット30Bの一対の下基板固定バー32Bと下ブレイクバー31Bとが十分に出入りできる幅と長さのものである。
前記弾性板212は2枚の薄くて長方形の弾性板(不図示)を貼り合わせたもので、それらの内部には多数の空気流通溝215が形成されており、上面の薄い弾性板にはマザー基板101を均一に吸着保持できるように多数の吸引口(不図示)が開けられている。また、この弾性板212は円形のターンテーブル213に表裏同一水平面を形成するように装着されている。当然の事ながら弾性板212の下面の一部分は開口部214で露出する。
この弾性板212の厚みは約5mm位で、その材質はウレタンゴムなどからなるゴム状弾性体を用いるとよい。
そしてこの弾性板212を備えたターンテーブル213は、その外周端面に接触して配設され、基板支持板211上に回転自在に軸支された複数のターンローラ216により矢印Rで示したように、図示の状態で左右に90度の角度の範囲で回動できるように軸支されている。
このような弾性板212を備えた基板支持板211は、その弾性板212の表面が水平な載置面上に、好ましくは通気性のある薄紙(不図示)を敷いてマザー基板101を載置し、そのマザー基板101を吸着、保持することができる。弾性板212は、後記するように、載置されたマザー基板101を上ブレイクバー31A、或いは下ブレイクバー31Bにより応力が加えてブレイクする際に、その応力を緩和する働きをする。なお、前記の薄紙は、ブレイクし終えたマザー基板101を弾性板212の表面から剥離し易くするものである。
前記上ブレイクユニット30Aは、図2を用いて前記したように、基板ブレイク装置本体11の上収容空間111Aに収容されている。その上ブレイクバー31Aは、マザー基板101のスクライブライン105に沿って延在するように形成されている。つまり、上ブレイクバー31Aは、直線状にマザー基板101に形成されたスクライブライン105と同様に、直線状に延在している。例えば、上ブレイクバー31Aは、プラスチックなどの硬質材料によって形成されている。また、上ブレイクバー31Aは、図4及び図5に示すように、基板支持台21側の一端部が、基板支持台21側に向かって細くなるようにテーバー形状に形成されている。そして、上ブレイクバー31Aは、基板支持台21側に対して反対側となる他端部が前記のように上ブレイクバー移動部41Aに結合されており、基板支持台21により支持されたマザー基板101へ向かう第1方向Z1と、基板支持台21により支持されたマザー基板101から離れる第2方向Z2とに、上ブレイクバー移動部41Aによって移動される。そして、上ブレイクバー31Aは、上ブレイクバー移動部41Aにより第1方向Z1へ移動されることにより、基板支持台21により支持されたマザー基板101のブレイク位置を一端部で接触して押圧し、マザー基板101をブレイク(切断)する。
前記上ブレイクバー31Aの上ブレイクバー31Aを挟んで両側に対称的に形成されている一対の上基板固定バー32Aは、基板ブレイク装置本体11の上収容空間111Aに収容されている。これらの上基板固定バー32Aは、図1に示すように、マザー基板101のスクライブライン105に沿って延在するように形成されている。つまり、一対の上基板固定バー32Aは、直線状にマザー基板101に形成されたスクライブライン105と同様に、直線状に延在している。これらの上基板固定バー32Aは、例えば、プラスチックなどの硬質材料によって形成されている。また、これらの上基板固定バー32Aは、図2に示すように、基板支持台21上の弾性板212が吸着、保持するマザー基板101に接触し、第1方向Z1へ押圧する2つの押圧面が、スクライブライン105を跨ぐように上ブレイクユニット30Aの一端部に形成されている。そして、こららの上基板固定バー32Aは、マザー基板101のブレイク位置以外にあってマザー基板101のスクライブライン105に沿った領域を、これらの押圧面で第1方向Z1へ押圧することにより、マザー基板101を押圧、固定できるようになされている。
上ブレイクバー移動部41Aは、図2及び図4に示したように、サーボモータ411とボールネジ412とを有している。サーポモータ411は、図2に示すように、基板ブレイク装置本体11に固定されている。また、ボールネジ412は、基板支持台21側の一端部に上ブレイクバー31Aが設けられており、基板支持台21側の反対側の他端部がサーボモータ411に接続されている。上ブレイクバー移動部41Aにおいては、サーボモータ411がボールネジ412を回転させることにより、上ブレイクバー31Aを垂直方向に移動させる。具体的には、上ブレイクバー移動部41Aは、基板支持台21により支持されたマザー基板101へ向かう第1方向Z1と、基板支持台21により支持されたマザー基板101から離れる第2方向Z2とに、上ブレイクバー31Aを移動させる。また、上ブレイクバー移動部41Aは、図2に示したように、上ブレイクバー移動制御部51Aに接続されており、上ブレイクバー移動制御部51Aによって、上ブレイクバー31Aの移動動作が制御される。
上ブレイクバー移動制御部51Aは、上ブレイクバー移動部41Aの移動動作を制御する。上ブレイクバー移動制御部51Aは、コンピュータと、このコンビュータを前記の手段として機能させるプログラムとを含む。上ブレイクバー移動制御部51Aは、上ブレイク検知部61Aに接続されており、上ブレイクバー移動部41Aに上ブレイクバー31Aを、第1方向Z1へ移動させてマザー基板101をブレイクさせる際には、その上ブレイク検知部61Aにより検知されたマザー基板101のブレイクの情報に基づいて、上ブレイクバー移動部41Aの移動動作を制御する。具体的には、上ブレイクバー移動制御部51Aは、上ブレイク検知部61Aにより検知されたマザー基板101のブレイクの情報であるブレイクデータSを受けた際に、マザー基板101がブレイクされた時点に対応するように、第1方向Z1から第2方向Z2ヘ上ブレイクバー31Aの移動方向を上ブレイクバー移動部41Aに切替えさせる。
上ブレイク検知部61Aは、第1方向Z1へ移動し、マザー基板101のブレイク位置を押圧する上ブレイクバー31Aによって、そのブレイク位置にて切断されるマザー基板101のブレイクを検知する。
図4には、基板支持台21に載置、固定されたマザー基板101に対する上ブレイクユニット30A、上ブレイクバー移動部41A、上ブレイクバー移動制御部51A、上ブレイク検知部61A及び弾性板212の下方に配設した下ブレイクバー31Bと一対の下基板固定バー32Bとからなる下ブレイクユニット30Bのみを示したが、図示した下ブレイクユニット30Bには、図示していないが、下ブレイクバー検知部61Bが接続されており、そして下ブレイクユニット30Bを制御する下ブレイクバー移動制御部51Bも上下対称的に配設されており、この下ブレイクユニット30Bを制御する下ブレイクバー移動部41B、下ブレイクバー移動制御部51B、及び下ブレイク検知部61Bに連結されているものの構成、動作も同一の構成、動作を行うので、図4では省略したが、図2にサフィックスAを付した符号で示した上方部分のみを採り上げて、以下に説明する。
なお、図4においては、上ブレイクユニット30Aの上ブレイクバー31Aが上面基板103のスクライブライン105aに沿って加圧され、下ブレイクユニット30Bの一対の下基板固定バー32Bがスクライブライン105a、105bを跨いで弾性板212の下面を支持して、上ブレイクバー31Aにより下面基板104をスクライブライン105bに沿ってブレイクする場合を示している。また、サーボモータ411Aは1個のみ、そしてボールネジ412Aは1本のみで表した。
図4に示したように、上ブレイク検知部61Aは、第1振動センサ611aと、第2振動センサ611bと、アンプ612と、A/D変換器613と、振動演算器614とを有しており、マザー基板101の振動の時間変化に基づいて、マザー基板101のブレイクを検知する。上ブレイク検知部61Aは、第1振動センサ611aにて検知された上ブレイクバー31Aの振動による第1振動データV1と、第2振動センサ611bにて検知された上基板固定バー32Aの振動による第2振動データV2との差分データDの時間変化に基づいて、マザー基板101のブレイクを検知する。上ブレイク検知部61Aの各部について説明する。
第1振動センサ611aは、上ブレイクバー31Aに設けられ、上ブレイクバー31Aの振動を検知する。第1振動センサ611aは、例えば、接触型であって圧電素子式の加速度ピックアップセンサであり、上ブレイクバー31Aの加速度を測定することにより振動を検知する。例えば、加速度0.318m/s2 に対して、直流電圧2Vを出力する加速度ピックアップセンサを用いる。そして、第1振動センサ611aは、検知した振動による第1振動データV1をアナログ信号としてアンプ612へ出力する。
一方、第2振動センサ611bは、上基板固定バー32Aに設けられ、上基板固定バー32Aの振動を検知する。第2振動センサ611bは、第1振動センサ611aと同様に、加速度ピックアップセンサであり、上基板固定バー32Aの加速度を測定することにより振動を検知する。第2振動センサ611bは、検知した振動による第2振動データV2をアナログ信号としてアンプ612へ出力する。
アンプ612は、第1振動センサ611aと第2振動センサ611bとのそれぞれに接続している。アンプ612は、第1振動センサ611aと第2振動センサ611bとのそれぞれから、第1振動データV1と第2振動データV2とのそれぞれのアナログ信号が入力される。そして、アンプ612は、その第1振動データV1と第2振動データV2とのそれぞれを処理して、アナログ信号の差分データDを生成し、その差分データDをA/D変換器613へ出力する。つまり、アンプ612は、振動直流電圧としての第1振動データV1と第2振動データV2とのそれぞれを差分して、相対振動直流電圧としての差分データDをアナログ信号でA/D変換器613に出力する。
A/D変換器613はアンプ612に接続されており、アンプ612によって生成された差分データDがアナログ信号として入力される。そして、A/D変換器613はアナログ信号である差分データDをデジタル信号に変換し、振動演算器614に出力する。
振動演算器614は、A/D変換器613に接続しており、A/D変換器613によってデジタル信号に変換された差分データDが入力される。そして振動演算器614はその差分データDと、予め設定され、記憶してある比較データHと演算比較処理することによって、マザー基板101のブレイクのタイミングを示すブレイクデータSを生成する。例えば、振動演算器614は、ブレイクの瞬間の相対振動直流電圧値が4V以上であるものとする比較データHを記憶しており、A/D変換器613からの差分データDが相対振動直流電圧値4V以上を示す場合に、マザー基板101がブレイクされたものと判断して、マザー基板101のブレイクのタイミングを示すブレイクデータSを生成する。そして振動演算器614は、そのブレイクデータSを上ブレイクバー移動制御部51Aへ出力して、上ブレイクバー移動制御部51Aに、マザー基板101がブレイクされた時点に対応して第1方向Z1から第2方向Z2ヘ上ブレイクバー31Aの移動方向を切替えるように上ブレイクバー移動部41Aの移動動作を制御させる。
以上、説明したように、上ブレイクユニット30A、上ブレイクバー移動部41A、上ブレイクバー移動制御部51A、及び上ブレイク検知部61Aの構成及び動作は、下ブレイクユニット30B、下ブレイクバー移動部41B、下ブレイクバー移動制御部51B及び下ブレイク検知部61Bにおいても同様であるが、例えば、この下方部分の下ブレイクユニット30Bの下ブレイクバー31Bは、前記上方部分の上ブレイクユニット30Aの上ブレイクバー31Aが作動してマザー基板101の下面基板104をブレイクした時の振動が下ブレイクユニット30Bに配設されている第1振動センサ及び第2振動センサに伝達され、それぞれの第1振動データV1と第2振動データV2とを下ブレイク検知部61Bに配設されているアンプ612に入力され、A/D変換器613、振動演算器614で前記のようにブレイクデータSを生成し、下ブレイクバー31Bを作動させてマザー基板101の上面基板103を所定の第1スクライブライン105aに沿って加圧する。その際、上ブレイクユニット30Aの一対の上基板固定バー32Aは上ブレイクバー移動制御部51Aにより制御され、スクライブライン105aを跨いで上面基板103を支持する。従って、下ブレイクユニット30Bで弾性板212を介してマザー基板101に、その応力以上の荷重を加圧することにより上面基板103が逆V字状に屈曲し、そのスクライブライン105aに沿ってブレイクされる。
図6はマザー基板101の下面基板104がブレイクされる状態を示した側面図であって、下面基板104をブレイクする場合には、例えば、第1方向Z1ヘ上ブレイクバー31Aを上面基板103の上方から移動し、また、一対の下基板固定バー32Bを弾性板212の下方から移動して支持することによって、マザー基板101の上面基板103側からブレイクしようとするスクライブライン105aを加圧する。そして、この加圧により、下面基板104に形成されたスクライブライン105bを起点にブレイクを伸長させて、下面基板104を2つにブレイクする。
そして、この時、第1方向Z1へ移動する上ブレイクバー31Aによって、マザー基板101のブレイク位置にてブレイクされる下面基板104のブレイクを上ブレイク検知部61Aが検知する。
本実施形態においては、マザー基板101の振動の時間変化に基づいて、上ブレイク検知部61Aがマザー基板101のブレイクを検知する。具体的には、第1振動センサ611aにて検知された上ブレイクバー31Aの第1振動データV1と、第2振動センサ611bにて検知された上基板固定バー32Aの第2振動データV2との差分データDの時間変化に基づいて、上ブレイク検知部61Aがマザー基板101のブレイクを検知する。
ここでは、上ブレイク検知部61Aの第1振動センサ611aが上ブレイクバー31Aの振動を検知して、第1振動データV1をアンプ612ヘアナログ信号として出力する。また、上ブレイク検知部61Aの第2振動センサ611bが一対の基板固定バー32Aの振動を検知して、第2振動データV2をアンプ612ヘアナログ信号として出力する。その後、その第1振動データV1と第2振動データV2とのそれぞれの差分データDをアンプ612が生成してA/D変換器613へ出力する。
図7は第1振動データV1と第2振動データV2と差分データDとを示す波形図である。図7において、同図Aは外乱による振動を上ブレイクバー31Aと上基板固定バー32Aとが受けた場合の波形図であり、同図Bは上ブレイクバー31Aが振動を受けた場合の波形図であり、同図Cは上基板固定バー32Aが振動を受けた場合の波形図である。
なお、図7のそれぞれにおいては、横軸が時間、縦軸が電圧値を示しており、縦軸においては、第1振動データV1と第2振動データV2と差分データDとの原点が異なる位置になるように示しており、上方から第1振動データV1、第2振動データV2、差分データDの順で示している。
図7Aに示すように、外乱による振動を上ブレイクバー31Aと上基板固定バー32Aとの両者が受けた場合には、上ブレイクバー31Aと上基板固定バー32Aとは、同様に振動する。このため、第1振動センサ611aによって検知された上ブレイクバー31Aの第1振動データV1と、第2振動センサ611bによって検知された上基板固定バー32Aの第2振動データV2とは、互いに同様な波形で出力される。そして、第1振動データV1と第2振動データV2との差分データDは、外乱による振動の有無に関わらず、時間経過において変化しないように、アンプ612から出力される。つまり、マザー基板101のブレイクによる振動でなく、外乱による振動を受けた場合には、第1振動データV1と第2振動データV2との差分データDは、時間経過において変化しないように、アンプ612から出力される。
また、図7Bに示すように、上ブレイクバー31Aが振動を受けた場合には、第1振動センサ611aによって検知された上ブレイクバー31Aの第1振動データV1と、第2振動センサ611bによって検知された上基板固定バー32Aの第2振動データV2とは、互いに異なる波形で出力される。そして、第1振動データV1と第2振動データV2との差分データDは、上ブレイクバー31Aの振動に応じて、時間経過において変化するようにアンプ612から出力される。つまり、マザー基板101のブレイクによる振動を受けた場合には、第1振動データV1と第2振動データV2とが異なるため、差分データDは時間経過において変化するようにアンプ612から出力される。
また、図7Cに示すように、上基板固定バー32Aが振動を受けた場合には、上ブレイクバー31Aが振動を受けた場合と同様に、第1振動センサ611aによって検知された上ブレイクバー31Aの第1振動データV1と、第2振動センサ611bによって検知された上基板固定バー32Aの第2振動データV2とは、互いに異なる波形で出力される。そして、第1振動データV1と第2振動データV2との差分データDは、上ブレイクバー31Aの振動に応じて、時間経過において変化するようにアンプ612から出力される。つまり、マザー基板101のブレイクによる振動を受けた場合には、第1振動データV1と第2振動データV2とは異なるため、差分データDは時間経過において変化するようにアンプ612から出力される。
このようにして、アンプ612が差分データDをA/D変換器613へ出力する。そして、アナログ信号である差分データDをA/D変換器613がデジタル信号に変換して、振動演算器614に出力する。
そして、その差分データDと、予め設定され、記憶していた比較データHとを振動演算器614が比較演算処理して、マザー基板101のブレイクのタイミングを示すブレイクデータSを生成する。例えば、振動演算器614は、ブレイクの瞬間の相対振動直流電圧値が4V以上であるものとする比較データHと、A/D変換器613からブレイク動作に対してリアルタイムに出力される差分データDとを比較演算処理する。そして、比較データHである相対振動直流電圧値4V以上を差分データDが示した時に、マザー基板101のブレイクのタイミングを示すブレイクデータSを生成する。
次に、第2方向Z2ヘ上ブレイクバー31Aの移動を切替える。
この瞬間に、前記のように上ブレイク検知部61Aにより検知されたマザー基板101のブレイクの情報に基づいて、マザー基板101の下面基板104がブレイクされた時点に対応して(図6)、第1方向Z1から、マザー基板101から離れる第2方向Z2ヘ上ブレイクバー31Aが上昇するように、そして上基板固定バー32Aがマザー基板101の方へ下降するように上ブレイクバー移動部41Aが切替えるように、上ブレイクバー移動制御部51Aがその上ブレイクバー移動部41Aを制御する。
このブレイクされた振動が下ブレイクユニット30Bの第1振動センサ611a及び第2振動センサ611bに伝達され、下基板固定バー32Bは弾性板212から下方へ離れるように、そして下基板固定バー32Bが弾性板212の方へ上昇するように下ブレイクバー移動部41Bが切替えるように、下ブレイクバー移動制御部51Bがその下ブレイクバー移動部41Bを制御する。
図8は、上ブレイクバー移動制御部51Aにより制御された上ブレイクバー移動部41Aによって移動する上ブレイクバー31Aの垂直方向における位置を示す位置データPと、第1振動データV1と第2振動データV2との差分データDとを示す波形図である。図8においては、横軸は時間を示している。一方、図8において、縦紬は、位置データPについては初期位置P0から第1方向Z1へ進行した垂直方向の位置を示しており、差分データDについては、電圧値を示している。
図8に示すように、上ブレイクバー31Aが移動を開始した時点t0から、差分データDの電圧値が比較データHの比較電圧値以上となった時点t1までの間においては、上ブレイクバー移動制御部51Aは、上ブレイクバー移動部41Aに上ブレイクバー31Aを初期位置P0から第1方向Z1へ移動させる。例えば、1000μm/secの速度で上ブレイクバー31Aを移動させる。
そして、差分データDの電圧値が比較データHの比較電圧値以上となった時点t1にて、振動演算器614から出力されるブレイクデータSを受けて、上ブレイクバー移動制御部51Aは、上ブレイクバー移動部41Aに上ブレイクバー31Aを第1方向Z1から第2方向Z2へ移動方向を切替えさせる。ここでは、ブレイクの瞬間から12msec後に、第1方向Z1へのオーバーストローク量が12μmになるように、移動の切り替えを完了させる。なお、このオーバーストローク量は50μm以下が好ましい。
そして、上ブレイクバー31Aを第2方向Z2へ進行させて、切替え位置PKから初期位置P0まで移動させる。例えば、15mm/secの速度で上ブレイクバー31Aを移動させる。
このようにして、マザー基板101の下面基板104を加圧し、ブレイクされる。
以上のように、図6に図示の例においては、スクライブライン105a、105bが形成され、基板支持台21の開口部214を覆っている弾性板212上に吸着、保持されたマザー基板101のスクライブライン101に沿って上ブレイクバー31Aを接触させ、弾性板212の下方から下基板固定バー32Bで支持した状態で加圧することにより、そのマザー基板101の下面基板104のスクライブライン105bに沿ってブレイクする。ここでは、上ブレイクバー移動制御部51Aが上ブレイクバー移動部41Aの移動動作を制御し、弾性板212により吸着、保持されたマザー基板101へ向かう第1方向Z1へ、上ブレイクバー31Aを上ブレイクバー移動部41Aが移動させる。一方、下ブレイクバー移動制御部51Bが下ブレイクバー移動部41Bの移動動作を制御し、弾性板212の下面に下基板固定バー32Bを移動させる。
この状態でマザー基板101の上面基板103のスクライブライン105aに沿って上ブレイクバー31Aを加圧し、マザー基板101をV字状に屈曲してブレイクする。そして、この時、第1方向Z1へ移動する上ブレイクバー31Aによる上面基板103のブレイクをブレイク検知部81が検知する。その後、上ブレイクバー移動制御部51Aは、その上ブレイク検知部61Aにより検知された下面基板104のブレイクの情報に基づいて、下面基板104がブレイクされた時点に対応して、マザー基板101から離れる第2方向Z2ヘ上ブレイクバー31Aの移動方向を切替えるように上ブレイクバー移動部41Aを制御し、そして上基板固定バー32Aがマザー基板101の上面基板103を支持するように下方へ移動方向を切替えるように上ブレイクバー移動部41Aを制御し、ほぼ同時に下基板固定バー32Bが弾性板212から下方へ移動方向を切替えるように下ブレイクバー移動部41Bを制御し、そして下ブレイクユニット30Bを上昇するように下ブレイクバー移動部41Bを制御する。
上面基板103を下基板固定バー32Bで支持した状態で上ブレイクバー31Aを弾性板212を介して加圧すると、マザー基板101は逆V字状に屈曲して上面基板103がスクライブライン105aに沿ってブレイクする。このようにしてマザー基板101は小面積の個々の表示パネル102が得られる。
その後、表示パネル102毎にブレイクされたマザー基板101の上面基板103と下面基板104との間に、液晶(不図示)を注入し、液晶層を配向させて液晶パネルを形成する。そして、駆動回路、備光板、バックライトなどを実装し表示装置を完成させる。
次に、図2乃至図5に示した本発明の基板ブレイク装置1を用いて、以下にマザー基板101の上下両基板103、104をブレイクする各種の基板ブレイク方法を説明するが、図5に示したように、図面を簡単に表すため、基板ブレイク装置1の基板支持台21、上ブレイクユニット30Aの上ブレイクバー31Aと上基板固定バー32A、下ブレイクユニット30Bの下ブレイクバー31Bと下基板固定バー32B、及びマザー基板101の要部のみを取り出して説明する。そしてマザー基板101に対する上ブレイクバー31A及び下ブレイクバー31B、上基板固定バー32A及び下基板固定バー32Bの制御は図2乃至図8を用いて説明した制御の組合せで行われるため、以下の各種の基板ブレイク方法の説明においてはそれらの制御方法の説明は省略する。
本発明の基板ブレイク方法の特徴は、前記のように、マザー基板101の上面基板103と下面基板104とを上下同一の位置で上方から上ブレイクユニット30Aを用い、そして下方から下ブレイクユニット30Bを用い、両者の共同動作で上下両基板103、104を上面基板103のみを、或いは下面基板104のみを、また、上下両基板103、104をマザー基板101を反転させることなく連続して瞬時にブレイクできる点にある。
次に、図9乃至図10を用いて、本発明の第1基板ブレイク方法を説明する。この第1基板ブレイク方法は、上ブレイクバー31A及び下ブレイクバー31Bを用いてマザー基板101の応力以上の荷重を掛け、一対の上基板固定バー32A及び一対の下基板固定バー32Bでその上面基板103または下面基板104を支持し、その上面基板103及び下面基板104をブレイクするブレイク方法である。
即ち、この第1基板ブレイク方法は、上ブレイクバー31A及び下ブレイクバー31Bをマザー基板101に対して、その応力以上の荷重を加え、加圧することによってマザー基板101の上面基板103及び下面基板104をブレイクする方法である。
先ず、図9Aに示したように、弾性板212の載置面に、基板支持板211の開口部214(図3)の中央位置にマザー基板101のブレイクしようとするスクライブライン105a、105bが合致するように載置し、弾性板212で吸着、保持する(図9A)。
その状態のマザー基板101の下面基板104をブレイクするには、図9Bに示したように、下ブレイクバー移動部41Bなどを作動させて、下ブレイクユニット30Bの一対の下基板固定バー32Bを弾性板212下の予め教示した位置まで移動させる。この位置が下面基板104のブレイク時の支持の位置となる。一対の下基板固定バー32Bがこの支持の位置に待機させた状態で、上ブレイクバー移動部41Aなどを作動させて上ブレイクユニット30Aの上ブレイクバー31Aを下降させ、マザー基板101の上面基板103の、例えば、行方向の全てのスクライブライン105aに沿って上ブレイクバー31Aを当接し、この上ブレイクバー31Aによりマザー基板101に応力以上の荷重を加えて加圧する。
スクライブライン105a、105bと上下のブレイクバー31A、31Bとの位置合わせは、本発明者が発明し、本出願人が2004年6月16日に出願した特許願(特許出願番号2004−17834「基板ブレイク方法」を用いて行っている。
前記の動作によりマザー基板101が上ブレイクバー31Aを中心にして∨字状に屈曲し、より一層屈曲する下面基板104が列方向のスクライブライン105bに沿ってブレイクされる。
次に、図3に示したマザー基板101が載置されているターンテーブル213を90度回動して、列方向の全スクライブライン105a、105bに沿って下面基板104をブレイクする。なお、以下の説明においては、このターンテーブル213を回動して行及び列のスクライブライン105a、105bに沿ってブレイクする作業は当然行われることとして、その説明を省略する。
マザー基板101の上面基板103のブレイクは上ブレイクバー移動部41A及び下ブレイクバー移動部41Bなどを下面基板104のブレイクの際の動作とは反対方向への動作を行わせてブレイクする。
即ち、図10に示したように、そのブレイク動作手順は、スクライブライン105bに沿って下面基板104がブレイクされた状態のマザー基板101を吸着、保持している弾性板212が水平状態に戻った状態で(同図A)、同図Bに示したように、一対の上基板固定バー32Aを上ブレイクバー移動部41Aなどを作動、降下させてスクライブライン105aを跨いで予め教示した位置まで移動させた後、その位置に待機させた状態で、下ブレイクバー移動部41Bなどを作動させて下ブレイクバー31Bを上昇させ、弾性板212を介してマザー基板101が下ブレイクバー31Bを中心にして上方に逆∨字状に屈曲するように、その応力以上の荷重を加圧する。この動作により、上面基板103がスクライブライン105aに沿ってブレイクする。
以上のような工程を経てマザー基板101が下面基板104から上面基板103へと上下同一位置で瞬時にブレイクすることができる。
上ブレイクバー31Aがマザー基板101の下面基板104をブレイクしてから下ブレイクバー31Bがマザー基板101の上面基板103をブレイクする時間差は約200mSecか、それ以下の時間であって、この時間差は極めて僅少であり、従って、この上下の各基板のブレイクは上下同一位置で下面基板104側から上面基板103側に連続して殆ど同時に行われると言っても過言ではないほど一瞬の内に行われる。
また、逆に、この上下の各基板のブレイクは、同様にして上下同一位置で、上面基板103側から下面基板104側に連続して殆ど同時に行われるほど一瞬の内に行われる。
その後、ブレイクされた小面積の表示パネル102(図1)毎にブレイクされたマザー基板101の上面基板103と下面基板104との間の間隔に、液晶層(不図示)を注入して液晶層を配向させ、液晶パネルを形成する。そして、駆動回路、備光板、バックライトなどを実装させて表示装置を完成させることができる。
次に、図11及び図12を用いて、本発明の第2基板ブレイク方法を説明する。
この第2基板ブレイク方法は、上ブレイクバー31A及び下ブレイクバー31Bで上面基板103または弾性板212を介して下面基板104を支持しながら、一対の上基板固定バー32A及び一対の下基板固定バー32Bをマザー基板101に対して、その応力以上の荷重を掛けて加圧することによって上面基板103及び下面基板104をブレイクする方法である。
先ず、図11Aに示したように、弾性板212の載置面に、基板支持板211の開口部214(図3)の中央位置にマザー基板101のブレイクしようとするスクライブライン105a、105bが合致するように載置し、弾性板212で吸着、保持する。
その状態のマザー基板101の下面基板104をブレイクするには、図11Bに示したように、上ブレイクバー移動部41Aなどを作動させ、上ブレイクユニット30Aの上ブレイクバー31Aをスクライブライン105aの予め教示した位置まで移動させる。この位置が下面基板104のブレイク時の支持の位置となる。
次に、下ブレイクユニット30Bの一対の下基板固定バー32Bを上昇させ、弾性板212を介して下面基板104に対して応力以上の荷重を加圧する。
この動作によりマザー基板101が上ブレイクバー31Aを中心にして上方に∨字状に屈曲し、より一層屈曲する下面基板104がスクライブライン105bに沿ってブレイクされる。
続いて行うマザー基板101の上面基板103のブレイクは、上ブレイクバー移動部41A及び下ブレイクバー移動部41Bなどを下面基板104のブレイクの際の動作とは反対方向への動作を行わせてブレイクできる。
即ち、図12Aに示したように、弾性板212の載置面に、基板支持板211の開口部214(図3)の中央位置にマザー基板101のブレイクしようとするスクライブライン105a、105bが合致するように載置し、弾性板212で吸着、保持する。
次に、このように弾性板212上にマザー基板101が吸着、保持されている状態で、同図Bに示したように、下ブレイクバー移動部41Bなどを作動させて下ブレイクユニット30Bの下ブレイクバー31Bをスクライブライン105b上の予め教示した位置まで移動させた後、その位置に待機させた状態で、上ブレイクバー移動部41Aなどを作動させて上ブレイクユニット30Aの一対の上基板固定バー32Aを下降させ、マザー基板101が下ブレイクバー31Bを中心にして上方に逆∨字状に屈曲するように、その応力以上の荷重を掛けて加圧する。この動作により、上面基板103がスクライブライン105aに沿ってブレイクする。
以上のような工程を経て上基板固定バー32A及び下基板固定バー32Bを作動させ、マザー基板101の上面基板103及び下面基板104を上下同一位置で瞬時にブレイクすることができる。
次に、第1基板ブレイク方法及び第2基板ブレイク方法を用いて、マザー基板101の上下面基板103、104を上下同一位置で連続して瞬間にブレイクする方法を図13乃至図18を用いて説明する。
先ず、図13及び図14を用いて、上下上ブレイクバーを加圧に、基板固定バーをマザー基板101の支持に用いて、下面基板104から上面基板103へとマザー基板101を瞬時にブレイクする本発明の第3基板ブレイク方法を説明する。
先ず、本発明の基板ブレイク装置1内に搬入されたマザー基板101の上面基板103を上側にして基板支持台21上の弾性板212の載置面にマザー基板101を載置し、吸着、保持する(ステップS1)。
次に、同図Aに示したように、その状態のマザー基板101の上下両面に予め形成されている多数本のスクライブラインの所定のスクライブライン105a、105bと上下上ブレイクバー31A、31Bとの位置合わせ行い、先ず、その状態のマザー基板101の下面基板104をブレイクする。
そのために、同図Bに示したように、下ブレイクバー移動部41Bなどを作動させて、一対の下基板固定バー32Bを弾性板212下の予め教示した位置まで移動させる。この位置が下面基板104のブレイク時の支持位置となる(ステップS2)。続いて、上ブレイクバー移動部41Aなどを作動させて上ブレイクユニット30Aのスクライブライン105a上にブレイクバー31Aを下降させ、マザー基板101に対して応力以上の荷重を掛けて加圧する。この動作によりマザー基板101が上ブレイクバー31Aを中心にして∨字状に屈曲し、より一層屈曲する下面基板104のスクライブライン105bに沿って垂直クラックが成長して下面基板104がブレイクされる(ステップS3)。
次に、同図Cに示したように、上ブレイクバー移動部41A及び下ブレイクバー移動部41Bなどを逆に作動させて、上基板固定バー32Aを上面基板103から、下ブレイクバー31Bを弾性板212から、それぞれ予め教示した位置まで後退させる。
そうすると、弾性板212は自らの弾性でバウンドして、同図Cの水平状態を瞬時に経て、弾性板212は上方に逆V字状に屈曲する(不図示)。
そして、同図Dに示したように、このブレイクされた瞬間の振動を第1振動センサ611a及び第2振動センサ611bが検知し(ステップS4)、上ブレイク検知部61A及び上ブレイクバー移動制御部51Aの制御の下に上ブレイクバー移動部41Aを作動させて上ブレイクバー31Aを上昇方向への移動に切り替え、一方、下ブレイク検知部61B及び下ブレイクバー移動制御部51Bの下に下ブレイクバー移動部41Bを下降方向へ切り換え、弾性板212の下面に対する下基板固定バー32Bの固定を解除する(ステップS5、S6)。
マザー基板101の上面基板103のブレイクは、上ブレイクバー移動部41A及び下ブレイクバー移動部41Bなどを下面基板104のブレイクの際の動作とは反対方向への動作を行わせてブレイクする。
即ち、図13Dに示したように、下面基板104がスクライブライン105bに沿ってブレイクされた状態のマザー基板101を吸着、保持している弾性板212が、上ブレイクバー31Aが上面基板103から離れて後退すると同時に上ブレイクユニット30Aの上基板固定バー32Aは予め教示した位置まで降下し、そして同時に弾性板212が水平状態に戻ろうとする時のバウンドで前記の位置に止まっている上基板固定バー32Aの位置まで、或いはその下方の位置まで跳ね上がり(ステップS7)、そして同時に下ブレイクバー移動部41Bなどが作動して下ブレイクバー31Bを上昇させ、弾性板212を介してスクライブライン105bに沿ってマザー基板101を下ブレイクバー31Bを中心にして上方に逆∨字状に屈曲するように応力以上の荷重を加圧する(ステップS8)。この動作により、上面基板103がスクライブライン105aに沿って垂直クラックが成長してブレイクする。
次に、上面基板103がスクライブライン105aに沿ってブレイクされた瞬間の振動を第1振動センサ611a及び第2振動センサ611bが検知し(ステップS9)、同図Eに示したように、上ブレイク検知部61A及び上ブレイクバー移動制御部51Aの制御の下に上ブレイクバー移動部41Aを作動させて上基板固定バー32Aを上昇方向へ移動するように切り替え、一方、下ブレイク検知部61B及び下ブレイクバー移動制御部51Bの制御の下に下ブレイクバー移動部41Bを下降方向へ切り換え、弾性板212の下面に対する下ブレイクバー31Bの押圧を解除し(ステップS10)、そして上ブレイクユニット30A及び下ブレイクユニット30Bを予め教示された位置まで後退させる(ステップS11)。
上基板固定バー32A及び下ブレイクバー31Bの押圧が解除されると、瞬時に弾性板212は多少バウンドするが、最終的には、図10Eに示したように、元の水平状態となる(ステップS12)。
以上のようなプロセスを経てマザー基板101が下面基板104から上面基板103へと上下同一位置で瞬時にブレイクすることができる。
次に、第1基板ブレイク方法及び第2基板ブレイク方法を用いて、マザー基板101を上面基板103から下面基板104へと瞬時にブレイクする本発明の第4実施例の基板ブレイク方法を図15を用いて説明する。
先ず、同図Aに示したように、本発明の基板ブレイク装置1内に搬入されたマザー基板101の上面基板103を上側にして基板支持台21上の弾性板212の載置面にマザー基板101を載置し、吸着、保持する。
次に、同図Bに示したように、その状態のマザー基板101の上下両面に予め形成されている多数本のスクライブラインの所定のスクライブライン105a、105bと上下ブレイクバー31A、31Bとの位置合わせ行い、先ず、その状態のマザー基板101の上面基板103をブレイクする。
そのために、同図Bに示したように、上ブレイクバー移動部41Aなどを作動させて、一対の上ブレイクバー31Aを予め教示した位置まで降下させる。この位置が上面基板103のブレイク時の支持位置となる。続いて、下ブレイクバー移動部41Bなどを作動させて下ブレイクユニット30Bの下ブレイクバー31Bを上昇させ、マザー基板101に対して応力以上の荷重を加え、加圧する。この動作によりマザー基板101が下ブレイクバー31Bを中心にして上方に逆∨字状に屈曲し、より一層屈曲する上面基板103がスクライブライン105aに沿って垂直クラックが成長してブレイクされる。
次に、同図Cに示したように、前記ブレイクの瞬間を第1振動センサ611a及び第2振動センサ611bが検知し、上ブレイク検知部61A及び上ブレイクバー移動制御部51Aの制御の下に前記のように上ブレイクバー移動部41A及び下ブレイクバー移動部41Bなどが逆に作動して、上基板固定バー32Aを上面基板103から、下ブレイクバー31Bを弾性板212から、それぞれ予め教示した位置まで後退させる。
そうすると、弾性板212は自らの弾性でバウンドして、同図Cの水平状態を瞬時に経て同図Dに示したように、弾性板212は上方にV字状に屈曲する。この状態で上ブレイクバー31Aを降下させ、下基板固定バー32Bを上昇させて弾性板212の下面にマザー基板101の応力以上の荷重を加え、加圧すると、弾性板212及びマザー基板101は上ブレイクバー31Aを中心にして∨字状に屈曲し、より一層屈曲する下面基板104がスクライブライン105bに沿って垂直クラックが成長してブレイクされる。
そして、このブレイクされた瞬間の振動を第1振動センサ611a及び第2振動センサ611bが検知し、上ブレイク検知部61A及び上ブレイクバー移動制御部51Aの制御の下に上ブレイクバー移動部41Aが作動して、上ブレイクバー31Aは上昇方向へ移動を切り替え、一方、下ブレイク検知部61B及び上ブレイクバー移動制御部51Aの下に下ブレイクバー移動部41Bが作動して下降方向へ切り換え、弾性板212の下面に対する下基板固定バー32Bを下降させ、その固定を解除する。
マザー基板101の下面基板104のブレイクは、上ブレイクバー移動部41A及び下ブレイクバー移動部41Bなどを上面基板103のブレイクの際の動作とは反対方向への動作を行わせてブレイクする。
下面基板104がスクライブライン105bに沿ってブレイクされた状態のマザー基板101を吸着、保持している弾性板212が、上ブレイクバー31Aが上面基板103から離れて後退すると同時に下ブレイクユニット30Bの下基板固定バー32Bは予め教示した位置まで降下し、そして同時に弾性板212が水平状態に戻ろうとする時のバウンドで前記の位置に止まっている上ブレイクバー31Aの下方の位置まで一旦跳ね上がり、その後、同図Eに示したように、弾性板212及びマザー基板101は水平状態に戻る。
以上のようなプロセスを経てマザー基板101が上面基板103から下面基板104へと上下同一位置で瞬時にブレイクすることができる。
前記第1基板ブレイク方法及び第1基板ブレイク方法による上面基板103及び下面基板104のブレイク方法は、上面基板103及び下面基板104の脆性材料基板のブレイク条件に従って任意に組み合わせて用いることも可能であり、柔軟にブレイク工程を構築することが可能である。
これら両者の基板ブレイク方法においても荷重を加えてブレイクする工程においては同様であるが、相違点は、加圧の伝達とその際に発生するマザー基板101の変位量による違いである。
即ち、図15の工程Dの場合、上ブレイクバー31Aによる下方向の荷重は、上面基板103に直接伝達されるため、弾性板212を介して発生する下方向のマザー基板101の変位量は少ない。これに対して、図13の工程Dでは、下ブレイクバー31Bによる上方向の荷重は弾性板212介して下面基板104に伝達されるため、上方向に発生するマザー基板101の変位量が大きくなる。
この相違により、ブレイク終了動作時において、ブレイク時に生じた変位量に応じてバウンド量、時間に差が出る。この差がブレイク面同士の干渉(ぶつかり合い)に大きく影響し、割れ、欠けなどの損傷になって現れる。
この影響を受け難いブレイクプロセスとして、上面基板103のブレイク後に下面基板104のブレイクを行うことが効果的であると思われ、従って、本第4実施例の基板ブレイク方法の方が前記第3実施例の基板ブレイク方法より優位性がある。
次に、図16を用いて、本発明の第5基板ブレイク方法を説明する。この第5基板ブレイク方法も、本発明の基板ブレイク装置1を用いることにより、マザー基板101を反転することなく、マザー基板101の上下面をブレイクして小面積の多数の表示パネルを得る方法の一例であるが、その特徴は上基板固定バー32A及び下基板固定バー32Bを用いてマザー基板101に応力以上の荷重を加え、加圧し、上ブレイクバー31A及び下ブレイクバー31Bはマザー基板101の支持に用いられていることである。
先ず、同図Aに示したように、本発明の基板ブレイク装置1内に搬入されたマザー基板101の上面基板103を上側にして弾性板212の載置面にマザー基板101を載置し、吸着、保持する。
次に、同図Bに示したように、その状態のマザー基板101の上面基板103に予め形成されている多数本のスクライブラインの所定のスクライブライン105aを跨いで上基板固定バー32Aを当接し、一方、下面基板104のスクライブライン105bの位置に相当する弾性板212の下面に下ブレイクバー31Aを当接し、この状態で上基板固定バー32Aを降下させてマザー基板101に対して応力以上の荷重を加え、加圧する。この動作によりマザー基板101が下ブレイクバー31Bを中心にして上方に逆∨字状に屈曲し、より一層屈曲する上面基板103にスクライブライン105aに沿って垂直クラックが成長して上面基板103がブレイクされる。
次に、この上面基板103のブレイク後、上面基板103から上基板固定バー32Aを上昇させ、弾性板212からは下ブレイクバー31Bを下降させて、それぞれ予め教示した位置まで後退させると、弾性板212及びマザー基板101は同図Cに示したように瞬時に水平状態を経た後、同図Dに示したように、V字状に屈曲する状態になる。
この状態で上面基板103のスクライブライン105a上に沿って上ブレイクバー31Aを降下させ、一方、下基板固定バー32Bを上昇させ、弾性板212の下面にマザー基板101の応力以上の荷重を加え、加圧すると、弾性板212及びマザー基板101は上ブレイクバー31Aを中心にして∨字状に屈曲し、より一層屈曲する下面基板104がスクライブライン105bに沿って垂直クラックが成長してブレイクされる。
そして、このようにブレイクされると、同図Eに示したように、上ブレイクバー31Aを上昇させ、一方、下基板固定バー32Bを下降させ、それぞれ予め教示した位置まで後退させると、弾性板212及びマザー基板101は同図Eに示した水平状態となる。
以上のようなプロセスを経てマザー基板101が上面基板103から下面基板104へと上下同一位置で瞬時にブレイクすることができる。
次に、図17を用いて、本発明の第6基板ブレイク方法を説明する。この第6基板ブレイク方法も、本発明の基板ブレイク装置1を用いることにより、マザー基板101を反転することなく、マザー基板101の上下面をブレイクして小面積の多数の表示パネルを得る方法の一例であるが、その特徴は下ブレイクバー31B及び下基板固定バー32Bを用いてマザー基板101に応力以上の荷重を加え、加圧し、上ブレイクバー31Aをマザー基板101の支持に用いていることである。
先ず、同図Aに示したように、本発明の基板ブレイク装置1内に搬入されたマザー基板101の上面基板103を上側にして弾性板212の載置面にマザー基板101を載置し、吸着、保持する。
次に、同図Bに示したように、その状態のマザー基板101の上面基板103に予め形成されている多数本のスクライブラインの所定のスクライブライン105aを跨いで上基板固定バー32Aを当接し、一方、下面基板104のスクライブライン105bの位置に相当する弾性板212の下面に下ブレイクバー31Aを当接し、この状態で下ブレイクバー31Bを上昇させて弾性板212を介してマザー基板101に対して応力以上の荷重を加え、加圧する。この動作によりマザー基板101が下ブレイクバー31Bを中心にして上方に逆∨字状に屈曲し、より一層屈曲する上面基板103にスクライブライン105aに沿って垂直クラックが成長して上面基板103がブレイクされる。
次に、この上面基板103のブレイク後、上面基板103から上基板固定バー32Aを上昇させ、弾性板212からは下ブレイクバー31Bを下降させて、それぞれ予め教示した位置まで後退させると、弾性板212及びマザー基板101は同図Cに示したように瞬時に水平状態を経た後、同図Dに示したように、V字状に屈曲する状態になる。
続いて、上面基板103の上方から上ブレイクバー31Aを下降させ、ブレイクしようとするスクライブライン105aに沿って上ブレイクバー31Aを当接、支持し、弾性板212の下方からは一対の下基板固定バー32Bを上昇させて、弾性板212の下面にマザー基板101の応力以上の荷重を加え、加圧すると、弾性板212及びマザー基板101は上ブレイクバー31Aを中心にして∨字状に屈曲し、より一層屈曲する下面基板104がスクライブライン105bに沿って垂直クラックが成長してブレイクされる。
そして、このようにブレイクされると、同図Eに示したように、上ブレイクバー31Aを上昇させ、一方、下基板固定バー32Bを下降させ、それぞれ予め教示した位置まで後退させると、弾性板212及びマザー基板101は同図Eに示した水平状態となる。
以上のようなプロセスを経てマザー基板101が上面基板103から下面基板104へと上下同一位置で瞬時にブレイクすることができる。
次に、図18を用いて、本発明の第7基板ブレイク方法を説明する。この第7基板ブレイク方法も、本発明の基板ブレイク装置1を用いることにより、マザー基板101を反転することなく、マザー基板101の上下面をブレイクして小面積の多数の表示パネルを得る方法の一例であるが、その特徴は上面基板103のブレイクには一対の上基板固定バー32Aを用いてマザー基板101に、その応力以上の荷重をかけて加圧し、下面基板104のブレイクには上ブレイクバー31Aを用いてマザー基板101に、その応力以上の荷重をかけて加圧することによりブレイクしていることである。
先ず、同図Aに示したように、本発明の基板ブレイク装置1内に搬入されたマザー基板101の上面基板103を上側にして弾性板212の載置面にマザー基板101を載置し、吸着、保持する。
次に、同図Bに示したように、下面基板104のブレイクしようとするスクライブライン105bに沿って開口部214に露出している弾性板212を介して下ブレイクバー31Bを当接した状態で、上面基板103の上面に、そのブレイクしようとするスクライブライン105aを跨ぐように一対の上基板固定バー32Aにより、マザー基板101の応力以上の荷重を加えて加圧し、そのマザー基板101を逆V字状に屈曲させて上面基板103をブレイクする。
次に、この上面基板103のブレイク後、上面基板103から上基板固定バー32Aを上昇させ、弾性板212の下面からは下ブレイクバー31Bを下降させて、それぞれ予め教示した位置まで後退させると、弾性板212及びマザー基板101は同図Cに示したように瞬時に水平状態を経た後、同図Dに示したように、V字状に屈曲する状態になる。
続いて、弾性板212の下方から一対の下基板固定バー32Bを上昇させてその弾性板212を当接、支持し、一方、上面基板103の上方から上ブレイクバー31Aを下降させ、ブレイクしようとするスクライブライン105aに沿って上ブレイクバー31Aを当接させ、マザー基板101の応力以上の荷重を加え、加圧すると、マザー基板101は上ブレイクバー31Aを中心にして∨字状に屈曲し、より一層屈曲する下面基板104がスクライブライン105bに沿って垂直クラックが成長してブレイクされる。
そして、このようにブレイクされると、同図Eに示したように、上ブレイクバー31Aを上昇させ、一方、下基板固定バー32Bを下降させ、それぞれ予め教示した位置まで後退させると、弾性板212及びマザー基板101は同図Eに示した水平状態となる。
以上のようなプロセスを経てマザー基板101が上面基板103から下面基板104へと上下同一位置で瞬時にブレイクすることができる。
次に、図19を用いて、本発明の第8基板ブレイク方法を説明する。この第8基板ブレイク方法も、本発明の基板ブレイク装置1を用いることにより、マザー基板101を反転することなく、マザー基板101の上下面をブレイクして小面積の多数の表示パネルを得る方法の一例であるが、その特徴は第1基板ブレイク方法及び第2基板ブレイク方法を組み合わせて使用することにより、マザー基板101の一方の基板面に形成されている全てのスクライブライン105a或いは105bに沿ってブレイクし、その後、他の基板面に形成されている全てのスクライブライン105a或いは105bに沿ってブレイクすることによって小面積の表示パネルが得られる点にある。その技術の要点のみを記す。
ここでの説明は、マザー基板101の上面基板103に形成されている全てのスクライブライン105aに沿って上面基板103を碁盤目状にブレイクし、その後、下面基板104に形成されている全てのスクライブライン105bに沿って碁盤目状にブレイクする基板ブレイク方法を採り上げて説明する。記すまでもないが、先ず、下面基板104をブレイクしてから上面基板103をブレイクしてもよい。また、基板ブレイク方法として第1基板ブレイク方法を用いてブレイクする方法で説明する。
先ず、例えば、マザー基板101を弾性板212の載置面に、上面基板103を上にして水平状態に載置し、弾性板212で吸着、保持する。そのマザー基板101の上面基板103に形成されている全てのスクライブライン105aを跨いで上方から上基板固定バー32Aを当接して支持し、当接している上基板固定バー32Aの中間部の下方に当たる下面基板104のスクライブライン105bに沿うように弾性板212の下面に下ブレイクバー31Bを当接し、そのような状態で、下ブレイクバー31Bにより上面基板103のスクライブライン105aに沿って、マザー基板101の応力以上の荷重を加え、加圧すると、弾性板212及びマザー基板101は下ブレイクバー31Bを中心にして逆∨字状に屈曲し、より一層屈曲する上面基板103がスクライブライン105aに沿って垂直クラックが成長してブレイクされる。
次に、下面基板104をブレイクする。上面基板103がブレイクされた状態のマザー基板101を弾性板212上に保持した状態で、つまりそのマザー基板101を反転させることなく弾性板212上で吸着、保持した状態で下面基板104の全てのスクライブライン105bに沿ってブレイクする。
上面基板103のスクライブライン105aに上ブレイクバー31Aを当接し、そのスクライブライン105aに相当するスクライブライン105bを跨ぐようにして弾性板212の下面に下基板固定バー32Bを当接して支持し、この状態で上ブレイクバー31Aにより弾性板212にマザー基板101の応力以上の荷重を加え、加圧する。そうすると、弾性板212及びマザー基板101は上ブレイクバー31Aを中心にして∨字状に屈曲し、より一層屈曲する下面基板104がスクライブライン105bに沿って垂直クラックが成長してブレイクされる。この第6基板ブレイク方法を採ってもマザー基板101から小面積の多数の表示パネルを得ることもできる。
また、図20に示したように、マザー基板101の上面基板103には、外部の電子回路に電気的に接続するための複数本の電極端子TがTFTなどと共に予め形成されている。そのため、ブレイクされた小面積の表示パネルを得るには、この電極端子Tを露出させておく必要がある。そのためには、下面基板104にスクライブライン105bを形成する時に同時にスクライブライン105cを形成しておき、下面基板104のブレイク作業の際にこれらのスクライブライン105cをもブレイクしておけば、各表示パネル毎に電極端子Tを露出させることができる。
図21にマザー基板101の上面基板103及び下面基板104の上下瞬時ブレイクプロセスによりブレイクされた脆性材料基板のブレイク後のブレイク状態を写真で示した。
図24に示した従来技術におけるマザー基板のブレイク写真と比較して明らかなように、本発明の基板ブレイク方法によるそれには割れ、欠けなどの損傷は見受けられなかった。
本発明の基板ブレイク方法を用いることによって得られる特徴を示すためのブレイクプロセスのフローを図22に示した。このフローから明らかなように、先ず、マザー基板101をスクライブ装置に搬入して(ステップS20)、上面基板103(TFT面)にスクライブラインを碁盤目状に形成し(ステップS21)、このスクライブラインの形成後、スクライブ装置から搬出し、反転して、再度、そのスクライブ装置に搬入し(ステップS22)、下面基板104(CF面)側にスクライブラインを前記スクライブラインに合致するように形成し(ステップS23)、その後、スクライブ装置からそのマザー基板101を搬出して、本発明の基板ブレイク装置1に搬入し、前記本発明の基板ブレイク方法により上下同一の場所で上下両面から殆ど瞬時に上面基板103と下面基板104とをブレイクし、或いは一方の基板のみを先に碁盤目状にブレイクし、その後、他の基板を碁盤目状にブレイクし、その上下面がブレイクされたマザー基板101を基板ブレイク装置1から搬出すると、所定の小面積にブレイクされた多数の表示パネルが得られる。
このように本発明の基板ブレイク装置及び方法を用いることによる本発明の基板ブレイクプロセスの優れている点は、図23に示した従来技術の基板ブレイク方法のブレイクプロセスと比較して明らかなように、反転作業はスクライブ工程の場合のみにあるものの、基板ブレイク工程には無いという点にある。その基板ブレイク工程においても、本発明では基板ブレイク装置1へのマザー基板101の搬入、搬出が1回で済むことが判る。
このブレイクプロセス内の前記作業が削減される効果として、工程内の処理効率の大幅な向上、製造コストの大幅な削減、製品の品質向上などが大いに期待できるものである。
なお、前記の各実施例においては、マザー基板101として2枚のガラス基板を貼り合わせた基板を採り上げて説明したが、ガラス基板と半導体基板との貼り合わせ基板、その他の脆性材料基板にも適用できることを付言しておく。
本発明は映像表示パネル、映像表示装置などの電子機器製造産業、それらの電子部品製造産業などで利用可能である。
液晶型表示パネル用のマザー基板を示していて、同図Aはその平面図、同図Bは同図AのY1−Y2線上における断面図である。
本発明の一実施例の基板ブレイク装置の構成を示す正面図である。
図2に示した基板ブレイク装置における基板支持台を模式図で表していて、同図Aはその平面図、同図Bは同図AのA−A線上における断面側面図である。
マザー基板を載置した状態の作業ステージとブレイクユニットとの関係を模式図で表した断面側面図である。
図1に示したマザー基板に対する図2に示した基板ブレイク装置の要部を原理的に示した側面図である。
本発明にかかる実施形態において、下面基板104を切断する様子を一部拡大して示した側面図である。
本発明の基板ブレイク装置1において、第1振動データV1と第2振動データV2と差分データDとを示す波形図であって、同図Aは外乱による振動を上ブレイクバー31Aと上基板固定バー32Aとが受けた場合の波形図、同図Bはブイクバー31が振動を受けた場合の波形図、同図Cは上基板固定バー32Aが振動を受けた場合の波形図である。
本発明にかかる実施形態において、上ブレイクバー移動制御部51Aにより制御された上ブレイクバー移動部41Aによって移動する上ブレイクバー31Aの垂直方向における位置データPと、第1振動データV1と第2振動データV2との差分データDとを示す波形図である。横軸は時間を、縦軸は位置データPについては初期位置P0から第1方向Z1へ移動した垂直方向の位置を示しており、差分データDについては、電圧値を示している。
下面基板104をブレイクする本発明の第1基板ブレイク方法の一部ブレイク工程を示した概念的側面図である。
図9に続いて上面基板103をブレイクする本発明の第1基板ブレイク方法の一部工程を示した概念的側面図である。
下面基板104をブレイクする本発明の第2基板ブレイク方法の一部ブレイク工程を示した概念的側面図である。
図11に続いて上面基板103をブレイクする本発明の第2基板ブレイク方法の一部工程を示した概念的側面図である。
下面基板104から上面基板103を同一位置でほぼ同時にブレイクする本発明の第3基板ブレイク方法を説明するためのブレイク工程を示した概念的側面図である。
図13に示した本発明の第3基板ブレイク方法のブレイクフローチャートである。
上面基板103から下面基板104を上下ブレイクバーを用いて同一位置でほぼ同時にブレイクする本発明の第4基板ブレイク方法を説明するためのブレイク工程を示した概念的側面図である。
上面基板103から下面基板104を上下基板固定バーを用いて同一位置でほぼ同時にブレイクする本発明の第5基板ブレイク方法を説明するためのブレイク工程を示した概念的側面図である。
上面基板103を下面基板104の下方から下ブレイクバー31Bを用いて、下面基板104をその下方から一対の下基板固定バー32Bを用いて同一位置でほぼ同時にブレイクする本発明の第6基板ブレイク方法を説明するためのブレイク工程を示した概念的側面図である。
上面基板103を、その上方から一対の上基板固定バー32Aを用いて、下面基板104は上面基板103の上方から上ブレイクバー31Aを用いて同一位置でほぼ同時にブレイクする本発明の第7基板ブレイク方法を説明するためのブレイク工程を示した概念的側面図である。
本発明の第8基板ブレイク方法を説明するために用いるマザー基板101の一部側面図である。
電極端子Tが形成されている部分を示したマザー基板101の一部側面図である。
本発明の基板ブレイク装置及び基板ブレイク方法を用いて切断したマザー基板101の拡大写真を示す図であって、同図Aはブレイクされたマザー基板101の一部平面を示す拡大写真、同図Bはブレイクされたマザー基板101の切断面の拡大写真を示す側面図である。
本発明の基板ブレイク装置及び基板ブレイク方法による基板ブレイクプロセスのフローチャートである。
従来の基板ブレイクプロセスのフローチャートである。
従来の基板ブレイク方法でブレイクした場合の一部分の表示パネルを示していて、同図Aはその平面図、同図Bはその断面側面図である。
従来技術の基板ブレイク装置を示す概念図である。
符号の説明
1A…本発明の一実施例の基板ブレイク装置、11…基板ブレイク装置本体、111A…上収容空間、111B…下収容空間、21…基板支持台、211…基板支持板、212…弾性板、213…ターンテーブル、214…基板支持板211に形成されている開口部、31A…上ブレイクバー、31B…下ブレイクバー、32A…一対の上基板固定バー、32B…一対の下基板固定バー、41A…上ブレイクバー移動部、41B…下ブレイクバー移動部、4111A,411B…サーボモータ、412A,412B…ボールネジ、50…ブレイクバー制御部、51A…上ブレイクバー移動制御部、51B…下ブレイクバー移動制御部、61A…上ブレイク検知部、61B…下ブレイク検知部、611a…第1振動センサ、611b…第2振動センサ、612…アンプ、613…A/D変換器、614…振動演算器、101…マザー基板、102…表示パネル、103…上面基板(カラーフィルタ基板)、104…下面基板(アレイ基板)、Z1…第1方向、Z2…第2方向、V1…第1振動データ、V2…第2振動データ、D…差分データ、H…比較データ