JP4735321B2 - ポリエステルの連続的製造方法、ポリエステルプレポリマー粒状体及びポリエステル - Google Patents
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即ち、本発明の要旨は、(a)テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分とエチレングリコールを主成分とするジオール成分とをエステル化反応させてオリゴマーを得るエステル化工程、(b)得られたオリゴマーを溶融重縮合反応させてポリエステルプレポリマーを得る溶融重縮合工程、(c)得られたポリエステルプレポリマーを造粒してポリエステルプレポリマー粒状体を得る造粒工程、(d)得られたポリエステルプレポリマー粒状体を固相重縮合反応させることによりポリエステルを得る固相重縮合工程、を有するポリエステルを連続的に製造する方法において、触媒として下記(1)〜(3)を満足する少なくとも2種の触媒1及び触媒2を、造粒工程(c)に先立つ任意の異なる2箇所に順次添加し、ここで該触媒1はエステル化工程(a)に添加するものであり、かつ、工程(c)で得られるポリエスルプレポリマー粒状体の固有粘度を0.18dL/g以上0.3
5dL/g以下、固相重縮合工程(d)で得られるポリエステルの固有粘度を0.70dL/g以上とすることを特徴とするポリエステルの連続的製造方法。
(1)触媒1が、タングステン化合物及びチタン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であり、その活性比(K1)が0.5以上である
(2)触媒2が、アンチモン化合物及びゲルマニウム化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物、又は、チタン元素及び珪素元素、チタン元素及びマグネシウム元素、或いは、マグネシウム元素及びリン元素を含むものであり、その活性比(K2)が0.6未満である
(3)K1>K2
(ここで、触媒の活性比とは、触媒のエステル化反応触媒活性とエステル交換反応触媒活性の合計に対するエステル化反応触媒活性の比率の指標であり、明細書に記載の方法で定義される。)に存する。
又、3官能以上の化合物、例えばトリメリット酸、ピロメリット酸などのポリカルボン酸及びこれらの無水物及び、トリメチロールメタン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセロール、ヘキサントリオール等のポリオール、及びリンゴ酸、クエン酸などのヒドロキシカルボン酸等を得られるポリエステルの物性を調整する等の目的により必要に応じて共重合成分として使用しても良い。
(1)触媒1の活性比(K1)が0.5以上である
(2)触媒2の活性比(K2)が0.6未満である
(3)K1>K2
ここで、触媒活性比は、下記で定義される。
触媒活性比(K)とは、エステル化反応触媒活性とエステル交換反応触媒活性の合計に対する、エステル化反応触媒活性の比率の指標であり、下記式で算出される。
K=2×(AV0−AV1)/(TEV0−TEV1)
(i i)1.33kPaA到達時点を0分目とし、0分目、及び、20分目のサンプルを採取する。
(i i i)0分目及び20分目の両サンプルにつき、末端カルボキシ基濃度及び全末端基濃度を測定し、それぞれ、下記の通り、AV0、TEV0、AV1、TEV1とする。
AV0 :0分目のサンプルの末端カルボキシ基濃度
TEV0 :0分目のサンプルの全末端基濃度
AV1 :20分目のサンプルの末端カルボキシ基濃度
TEV1 :20分目のサンプルの全末端基濃度
Mn=(固有粘度(dL/g)×10000/7.55)(1/0.685)
TEV(当量/ton)=2×1000×1000/Mn
ここで、Mnは数平均分子量である。また、AV(当量/ton)は、滴定により測定する。
本発明において、少なくとも2種の触媒1及び触媒2を造粒工程(c)に先立つ任意の異なる2箇所に順次添加するとは、少なくとも触媒1と触媒2を造粒工程(c)に先立つ工程の何れかの異なる箇所からこの順序で添加する、即ち触媒1を触媒2の添加箇所よりも上流側の工程に添加する限り、同一の工程、例えば、複数のエステル化工程の異なる位置に添加しても、異なる工程に添加しても良い。なかでも、触媒1をエステル化工程(a)に、触媒2をエステル化工程(a)で得られたオリゴマーを溶融重縮合工程(b)に移送する工程又はそれ以降の工程に添加するのが好ましい。触媒1、触媒2の順に添加することにより、ポリエステルプレポリマーの末端カルボキシル基濃度が低いものを得やすくなり、その結果、固相重縮合速度が大きくなる傾向がある。
触媒1の活性比K1は、0.5以上であるが、好ましくは0.55以上、より好ましくは0.60以上、特に好ましくは0.65以上である。一方、K1の値は高いほど好ましいが、通常、その上限は、1.0である。K1が0.5未満であると溶融重縮合工程後に得られるポリエステルプレポリマーの末端カルボキシル基濃度が大きくなり、固相重縮合反応速度が小さくなり、好ましくない。
触媒2の活性比K2は、0.6未満であるが、好ましくは0.55未満である。その下限は、通常、0.2、好ましくは、0.3である。触媒2の活性比K2は、固相重縮合反応に有効なエステル交換反応活性と関係し、K2が0.6以上であると固相重縮合反応速度が小さくなり、好ましくない。
タングステン化合物としては、例えば、パラタングステン酸、メタタングステン酸、タングステン酸、ケイタングステン酸、リンタングステン酸およびそれらの塩があげられ、塩としては、アンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩が挙げられる。なかでも、メタタングステン酸アンモニウム、パラタングステン酸アンモニウム、タングステン酸ナトリウム、タングステン酸が好ましく、特に好ましくはメタタングステン酸アンモニウム、パラタングステン酸アンモニウムである。
触媒1の使用量は触媒種により一概に言えないが、得られるポリエステル中の触媒1に由来する金属元素の濃度が、通常0.5重量ppm〜500重量ppmから適宜選択すればよい。該濃度の下限は好ましくは1重量ppmであり、上限は好ましくは300重量ppm、より好ましくは200重量ppm、特に好ましくは100重量ppmである。尚、触媒1として異なる金属を含む2種以上の化合物を組み合わせて使用する場合、上記金属元素の濃度は、異なる金属元素の合計の濃度とする。
ゲルマニウム化合物としては、二酸化ゲルマニウム、四酸化ゲルマニウム、水酸化ゲルマニウム、蓚酸ゲルマニウム、ゲルマニウムテトラエトキシド、ゲルマニウムテトラ−n−ブトキシド等が挙げられ、中でも、二酸化ゲルマニウムが好ましい。アンチモン化合物としては、三酸化二アンチモン、五酸化アンチモン、酢酸アンチモン、メトキシアンチモン等が挙げられ、中でも、三酸化二アンチモンが好ましい。
又、触媒2としては、チタン化合物と1種以上の助触媒成分とを組み合わせたものも好ましく、中でも、チタン元素と珪素元素、チタン元素とマグネシウム元素、あるいはチタン元素、マグネシウム元素、及びリン元素の3元素を含む触媒が好ましい。この場合のチタン化合物としては、テトラ−n−プロピルチタネート、テトラ−i−プロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネートテトラマー、テトラ−t−ブチルチタネート、酢酸チタン、蓚酸チタン、蓚酸チタンカリウム、蓚酸チタンナトリウム、チタン酸カリウム、チタン酸ナトリウム、塩化チタン、塩化チタン−塩化アルミニウム混合物等が挙げられ、中でも、テトラ−n−プロピルチタネート、テトラ−i−プロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート等のチタンアルコキシドが好ましい。また、助触媒成分としては、テトラメトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラフェノキシシラン、テトラベンジルオキシシラン等のケイ酸エステル化合物、酢酸ケイ素などのケイ素のカルボン酸塩、ジシロキサン、トリシロキサン、ジメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン等のシロキサン化合物、シラノール、シランジオール、フェニルシラントリオールなどのシラノール化合物、ナトリウムトルフェニルシラノールなどのシラノレート化合物、または、ケイ酸エステル化合物の加水分解物であるポリアルコキシシロキサン化合物等の珪素化合物や、酢酸マグネシウム等のマグネシウム化合物が挙げられる。
尚、触媒2として異なる金属を含む2種以上の化合物を組み合わせて使用する場合、上記金属元素の濃度は、異なる金属元素の合計の濃度とする。
尚、本発明の製造方法においては、触媒1および2を使用する限り、安定剤としてのリン化合物等を使用しても良い。
尚、上記に従って得られる、固有粘度が0.18dL/g以上0.35dL/g以下、末端カルボキシル基濃度が30当量/ton以下、平均粒径が0.1mm以上2.0mm以下であり、好ましい触媒1及び2に由来するタングステン元素、及び、アンチモン元素、ゲルマニウム元素、チタン元素から選ばれる少なくとも1種の元素を含有することを特徴とするポリエステルプレポリマー粒状体は新規であり、本発明のポリエステルの連続的製造方法の中間生成物として有用である。
以下、製造条件について説明する。
本発明においては、通常、ジカルボン酸成分とジオール成分を混合して原料スラリーを調製する。原料スラリーの調製は、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分とエチレングリコールを主成分とするジオール成分、及び必要に応じて用いられる共重合成分等とを、ジカルボン酸成分に対するジオール成分のモル比を1.0〜2.0として調製する。このモル比は1.05〜1.8とするのが好ましく、1.1〜1.6とするのが更に好ましい。
則ち、本発明の方法における固相重縮合反応は、温度の下限が、通常、200℃、好ましくは205℃、更に好ましくは208℃、温度の上限が当該ポリエステルの融点よりも5℃低い温度、好ましくは融点よりも8℃低い温度、更に好ましくは融点よりも10℃低い温度の不活性ガス雰囲気において実施する。ここで、ポリエステルの融点とは、当該ポリエステルを、示差走査熱量計を用いて、窒素気流下、0℃から20℃/分の速度で300℃まで昇温した際のDSC曲線における、最も高温側の吸熱ピークの頂点に対応する温度のことである。また、不活性ガスとは、酸素濃度が0.1体積%以下、好ましくは0.05体積%以下であり、かつ、実質的にポリエステルと反応しない気体のことである。実質的にポリエステルと反応しない気体としては、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、キセノン、二酸化炭素等が例示でき、主に経済性の点から窒素が好ましく用いられる。
試料約0.25gを、フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン(重量比1/1)の混合溶媒約25mLに、濃度が1.00g/dLとなるように溶解させた後、30℃まで冷却、保持し、全自動溶液粘度計(センテック社製「2CH型DJ504」)にて、濃度が1.00g/dLの試料溶液及び溶媒のみの落下秒数を測定し、下式により算出した。
ここで、ηsp=η/η0−1 であり、ηは試料溶液の落下秒数、η0は溶媒のみの落下秒数、Cは試料溶液濃度(g/dL)、KHはハギンズの定数である。KHは0.33を採用した。
試料を乳鉢で粉砕し、その1.0gをビーカーに精秤し、これにジメチルホルムアミド40mlを加えて攪拌しながら180℃で20分間加熱して溶解させた後、180℃のジメチルホルムアミド10mlでビーカー壁を洗浄し、室温まで冷却する。この溶液を、メトローム社製ポテンショグラフ「E−536型」自動滴定装置にて、複合pH電極「EA−120」を用い、0.1N 水酸化カリウムメタノール溶液で滴定した。尚、0.1N 水酸化カリウムメタノール溶液は、JIS K8006の方法により調製、標定した。得られた滴定曲線の変曲点から求めた滴定量〔A(ml)〕と、前記方法により調製、標定し、算出した、0.1N 水酸化カリウムメタノール溶液のファクター〔f1 〕、及び試料重量〔W(g)〕とから、下式により、遊離の末端カルボキシル基量〔AV(当量/ton)〕を求めた。
次いで、乳鉢で粉砕した試料0.3gを三角フラスコに精秤し、これに0.5N KOHエタノール溶液をホールピペットで20ml加え、更に純水10mlを加えて還流冷却器をセットし、表面温度を200℃にしたプレートヒーター上で、時々攪拌しながら2時間加熱還流して試料を加水分解した。このときの試料液は透明となっている。放冷後、フェノールフタレインを指示薬として0.5N 塩酸水溶液で滴定した。尚、ここで、0.5N KOHエタノール溶液と0.5N 塩酸水溶液は、JIS K8006の方法により調製、標定した。又、フェノールフタレインは、1gをエタノール90mlに溶解し、純水で100mlに定容したものを用いた。また、同一条件で試料を入れないブランクの状態においても滴定した。その際の、試料の滴定量〔Vs (ml)〕、ブランクの滴定量〔Vb (ml)〕、前記方法により調製、標定し、算出した、0.5N 塩酸水溶液のファクター〔f2 〕、及び試料重量〔W(g)〕とから、下式により、全カルボン酸由来のカルボキシル基量〔SV(当量/ton)〕を求めた。
次いで、得られたAV(当量/ton)、及びSV(当量/ton)とから、下式により、エステル化率(%)を求めた。
<ポリエステル末端カルボキシル基濃度(当量/ton)>
試料を粉砕した後、熱風乾燥機にて140℃で15分間乾燥させ、デシケーター内で室温まで冷却した試料から、0.1gを精秤して試験管に採取し、ベンジルアルコール3mlを加えて、乾燥窒素ガスを吹き込みながら195℃、3分間で溶解させ、次いで、クロロホルム5mlを徐々に加えて室温まで冷却した。この溶液にフェノールレッド指示薬を1〜2滴加え、乾燥窒素ガスを吹き込みながら攪拌下に、0.1Nの苛性ソーダのベンジルアルコール溶液で滴定し、黄色から赤色に変じた時点で終了とした。又、ブランクとして、ポリエステル樹脂試料抜きで同様の操作を実施し、以下の式によって酸価を算出した。
〔ここで、Aは、滴定に要した0.1Nの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の量(μl)、Bは、ブランクでの滴定に要した0.1Nの苛性ソーダのベンジルアルコール溶液の量(μl)、Wは、ポリエステル樹脂試料の量(g)、fは、0.1Nの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の力価である。〕
尚、0.1Nの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の力価(f)は、試験管にメタノール5mlを採取し、フェノールレッドのエタノール溶液を指示薬として1〜2滴加え、0.1Nの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液0.4mlで変色点まで滴定し、次いで、力価既知の0.1Nの塩酸水溶液を標準液として0.2ml採取して加え、再度、0.1Nの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液で変色点まで滴定した。(以上の操作は、乾燥窒素ガス吹き込み下で行った。)以下の式によって力価(f)を算出した。
<ポリエステル粒状体の平均粒径>
JIS K0069に記載の乾式篩い分け方法により作成した積算分布曲線における積算百分率が50%になるときの値を平均粒径とした。
「触媒活性比(K)」は、エステル化反応触媒活性とエステル交換反応触媒活性の合計に対する、エステル化反応触媒活性の比率の指標であり、
K=2×(AV0−AV1)/(TEV0−TEV1)
で表す。ここで
AV0、TEV0、AV1、TEV1は、それぞれ、以下のように定義される。
(ii)1.33kPaA到達時点を0分目とし、0分目、及び、20分目のサンプルを採取する。
(iii)0分目及び20分目の両サンプルにつき、末端カルボキシル基濃度及び全末端基濃度を測定し、それぞれ、AV0、TEV0、AV1、TEV1とする。
AV0 :0分目のサンプルの末端カルボキシ基濃度
TEV0 :0分目のサンプルの全末端基濃度
AV1 :20分目のサンプルの末端カルボキシ基濃度
TEV1 :20分目のサンプルの全末端基濃度
Mn=(固有粘度(dL/g)×10000/7.55)(1/0.685)
TEV(当量/ton)=2×1000×1000/Mn
なる式にて算出する。ここで、Mnは数平均分子量である。
撹拌機、分離塔、連続抜き出し装置の付属した反応器に、ビス−(β−ヒドロキシエチル)テレフタレート100重量部を仕込み窒素雰囲気下で溶融し、温度260℃、圧力100kPaGに保ち、テレフタル酸:エチレングリコール(=1:1.5モル比)スラリーを30重量部/時間で、平均滞留時間6時間になるように連続的に仕込み、分離塔から精製する水を留去しつつエステル化反応を行い、連続的に抜き出し冷却し、原料オリゴマーを得た。
エチレングリコールを29.168g計量した三角フラスコに、メタタングステン酸アンモニウム濃厚水溶液(タングステン原子の濃度が40重量%)を0.832g滴下し、十分に混合することで、タングステン原子として1.1重量%の濃度であるメタタングステン酸アンモニウムのエチレングリコール溶液を調製した。
エチレングリコールを200mL計量したフラスコに、撹拌しながらテトラエトキシシランを2.2g滴下し、十分に混合した。この混合液に、撹拌しながらテトラ−n−ブチルチタネートを0.7g滴下し、再度、十分に混合し、チタンと珪素の混合比が16:46(重量比)である、チタン−シリカ混合触媒を調製した。
1Lの摺り栓付きの三角フラスコに酢酸マグネシウム・4水和物を60.72g入れ、360gの無水エタノールを加えて30分間攪拌後、テトラ−n−ブチルチタネートを96.26g入れて20分間攪拌して均一溶液を得た。次に、激しく攪拌しながら、モノエチルアシッドホスフェート(城北化学工業社製 JAMP-2、純度72.6重量%、ジエチルアシッドホスフェート14.5重量%、正リン酸を13.0重量%含む)を30分かけて添加し、やや白濁した溶液を得た。この溶液を1Lのナスフラスコに移し、オイルバス温度80℃、減圧下で内容物が322.2gとなるまでエタノールを留去した。次に窒素常圧下で389.25gのエチレングリコールを添加して、15分間混合させて均一溶液を調製した。次に1.33kPa(10Torr)の減圧下で40分処理することで、低沸点物を除去して、淡黄色の重縮合用触媒溶液(チタン−マグネシウム−リン合成触媒)508.0gを得た。
本溶液のpHは5.4であり、均一溶液として安定であった。また、チタン、マグネシウム、リンの濃度はそれぞれ2.6重量ppm、1.4重量ppm、0.9重量ppmであった。
撹拌機、エチレングリコール仕込み配管およびテレフタル酸仕込み配管を有するスラリー調製槽;スラリーをエステル化第一槽へ移送する配管;撹拌機、分離塔、原料受入れ口、触媒仕込み配管、反応物移送配管を有する完全混合型第一および第二エステル化反応槽;エステル化反応物(オリゴマー)を溶融重縮合槽へ移送する配管(但し、触媒仕込み配管を備える);撹拌機、分離塔、オリゴマー受入れ口、触媒仕込み配管を有する完全混合型溶融重縮合槽;ポリエステルプレポリマー抜き出し配管(但し、触媒仕込み配管を備える)、を備えたポリエステルプレポリマーの連続製造装置を用いてポリエステルプレポリマーを製造した。すべての反応は窒素雰囲気下で行った。
固化したプレポリマーをサンプルミル(協立理工社製SK−M2型)にて粉砕し、篩い分けすることにより、JIS規格の目開き350μmは通過するが150μmは通過しない平均粒径0.25mmのプレポリマー粒状体を得た(造粒工程)。
実施例1において、正リン酸のエチレングリコール溶液(濃度:リン原子として1.6重量%)を、第二エステル化反応槽から重縮合槽への移送配管の三酸化二アンチモンを添加する箇所より上流側の箇所から、得られるポリエステルに対してリンとして12重量ppmとなる量を連続的に添加した以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
実施例1において、三酸化二アンチモンのエチレングリコール溶液に替えて上記にて調製したチタン−シリカ混合触媒を、得られるポリエステルに対してチタンとして16重量ppm、シリカとして46重量ppmとなる量を連続的に添加した以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
実施例3においてメタタングステン酸アンモニウムのエチレングリコール溶液の替わりにテトラ−n−ブチルチタネートのエチレングリコール溶液(濃度:チタン原子として0.15重量%)を、得られるポリエステルに対してチタンとして4重量ppmとなる量を連続的に添加した以外は実施例3と同様に行った。結果を表1に示す。
実施例1において、三酸化二アンチモンのエチレングリコール溶液の添加箇所を第二エステル化反応槽の気相部分に替えた以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
実施例1において、三酸化二アンチモンのエチレングリコール溶液の添加箇所を溶融重縮合反応後のプレポリマー抜き出し配管に替えた以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
実施例6において、メタタングステン酸アンモニウムのエチレングリコール溶液の替わりにテトラ−n−ブチルチタネートのエチレングリコール溶液(濃度:チタン原子として0.15重量%)を、得られるポリエステルに対してチタンとして8重量ppmとなる量を連続的に添加したこと、三酸化二アンチモンのエチレングリコール溶液の替わりに酢酸マグネシウム4水塩のエチレングリコール溶液(濃度:マグネシウム原子として0.040重量%))とエチルアシッドホスフェートのエチレングリコール溶液(濃度:リン原子として0.030重量%)の混合液(酢酸マグネシウム−エチルアシッドホスフェート混合触媒)を得られるポリエステルプレポリマーに対してマグネシウムとして8重量ppm、リンとして6重量ppmとなる量を連続的に添加したこと以外は実施例6と同様に行った。結果を表1に示す。
実施例7において、酢酸マグネシウム−エチルアシッドホスフェート混合触媒の替わりに酢酸マグネシウム4水塩のエチレングリコール溶液(濃度:マグネシウム原子として0.030重量%))とジブチルホスフェートのエチレングリコール溶液(濃度:リン原子として0.040重量%)の混合液(酢酸マグネシウム−ジブチルホスフェート混合触媒)を得られるポリエステルプレポリマーに対してマグネシウムとして4重量ppm、リンとして5重量ppmとなる量を連続的に添加したこと以外は実施例7と同様に行った。結果を表1に示す。
実施例7において、第一エステル化槽に添加するテトラ−n−ブチルチタネートのエチレングリコール溶液の添加量を、得られるポリエステルに対してチタンとして4重量ppmとなる量に変更し、酢酸マグネシウム−エチルアシッドホスフェート混合触媒の替わりに上記にて調製したチタン−マグネシウム−リン合成触媒のエチレングリコール希釈液(濃度:チタン原子として0.020重量%))を得られるポリエステルプレポリマーに対してチタン、マグネシウム、リンとしてそれぞれ4重量ppm、2重量ppm、3重量ppmとなる量を連続的に添加したこと以外は実施例7と同様に行った。結果を表1に示す。
三酸化二アンチモンのエチレングリコール溶液を添加しないこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
触媒2に相当する触媒成分を添加しないため、固相重縮合反応が遅い結果であった。
メタタングステン酸アンモニウムのエチレングリコール溶液を添加しないこと以外は実施例2と同様に行った。結果を表1に示す。
触媒1に相当する触媒成分を添加しないため、プレポリマーのAVが高く、固相重縮合反応速度が小さい結果であった。
実施例1において、メタタングステン酸アンモニウムのエチレングリコール溶液の添加箇所を実施例1の三酸化二アンチモンのエチレングリコール溶液添加箇所に替え、三酸化二アンチモンのエチレングリコール溶液添加箇所を実施例1のメタタングステン酸アンモニウムのエチレングリコール溶液の添加箇所に替えた以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
2種の触媒を使用したが本願発明と添加順序が異なり、触媒1と触媒2の活性の大小が逆転した本例では、固相重縮合反応速度が小さい結果であった。
実施例1において、三酸化二アンチモンのエチレングリコール溶液をテトラ−n−ブチルチタネートのエチレングリコール溶液に替えた以外は実施例1と同様に行った。触媒2に相当する触媒成分の触媒活性比が高い本例では、固相重縮合反応速度が小さい結果であった。
W:メタタングステン酸アンモニウム
Ti:テトラブチルチタネート
Sb:三酸化二アンチモン
Ti/Si:チタン−シリカ混合触媒
Mg/EAP:酢酸マグネシウム−エチルアシッドホスフェート混合触媒
Mg/DBP:酢酸マグネシウム−ジブチルホスフェート混合触媒
Ti/Mg/P:チタン−マグネシウム−リン合成触媒
*添加位置
第1Es:第一エステル化槽
第2Es:第二エステル化槽
MSP移送管:第二エステル化槽から溶融重縮合槽への移送配管
PP移送管:溶融重縮合反応後のプレポリマー抜き出し配管
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
Claims (5)
- (a)テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分とエチレングリコールを主成分とするジオール成分とをエステル化反応させてオリゴマーを得るエステル化工程、(b)得られたオリゴマーを溶融重縮合反応させてポリエステルプレポリマーを得る溶融重縮合工程、(c)得られたポリエステルプレポリマーを造粒してポリエステルプレポリマー粒状体を得る造粒工程、(d)得られたポリエステルプレポリマー粒状体を固相重縮合反応させることによりポリエステルを得る固相重縮合工程、を有するポリエステルを連続的に製造する方法において、触媒として下記(1)〜(3)を満足する少なくとも2種の触媒1及び触媒2を、造粒工程(c)に先立つ任意の異なる2箇所に順次添加し、ここで該触媒1はエステル化工程(a)に添加するものであり、かつ、工程(c)で得られるポリエスルプレポリマー粒状体の固有粘度を0.18dL/g以上0.35dL/g以下、固相重縮合工程(d)で得られるポリエステルの固有粘度を0.70dL/g以上とすることを特
徴とするポリエステルの連続的製造方法。
(1)触媒1が、タングステン化合物及びチタン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であり、その活性比(K1)が0.5以上である
(2)触媒2が、アンチモン化合物及びゲルマニウム化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物、又は、チタン元素及び珪素元素、チタン元素及びマグネシウム元素、或いは、マグネシウム元素及びリン元素を含むものであり、その活性比(K2)が0.6未満である
(3)K1>K2
(ここで、触媒の活性比とは、触媒のエステル化反応触媒活性とエステル交換反応触媒活性の合計に対するエステル化反応触媒活性の比率の指標であり、明細書に記載の方法で定義される。) - 造粒工程(c)で得られるポリエスルプレポリマー粒状体の末端カルボキシル基濃度を30当量/ton以下、平均粒径を0.1mm以上2.0mm以下とすることを特徴とする
請求項1に記載のポリエステルの連続的製造方法。 - タングステン化合物が、パラタングステン酸、メタタングステン酸、タングステン酸、ケイタングステン酸、リンタングステン酸およびそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項1又は2に記載のポリエステルの連続的製造方法。
- チタン化合物が、テトラ−n−ブチルチタネート及びテトラ−i−プロピルチタネート
からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項1乃至3の何れか1項に記載のポリエステルの連続的製造方法。 - 触媒1の添加箇所がエステル化工程(a)であり、触媒2の添加箇所がエステル化工程(a)で得られたオリゴマーを溶融重縮合工程(b)に移送する工程又はそれ以降である、ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のポリエステルの連続的製造方法。
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