JP5444803B2 - ポリエチレンテレフタレートの製造方法 - Google Patents
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1)第1段固相重縮合工程が、ポリエチレンテレフタレートプレポリマーを不活性ガス雰囲気下又は減圧下で熱処理する工程であり、かつその熱処理の最高温度(T1)が195℃以上215℃以下の工程である。
2)急昇温工程が、第1段固相重縮合工程を経たポリエチレンテレフタレートプレポリマーを不活性ガス雰囲気下又は減圧下で、第1段固相重縮合工程の熱処理の最高温度(T1)又はそれ以下の温度から昇温を開始して温度(T2)まで昇温する工程であり、第1段固相重縮合工程の熱処理の最高温度T1(℃)から(T1+20)℃までを15分以内で昇温し、かつ第1段固相重縮合工程の熱処理の最高温度T1(℃)及びT2(℃)が下記(式1)及び(式2)を満足する工程である。
T1+20≦T2 (式1)
222℃≦T2≦240℃ (式2)
3)第2段固相重縮合工程が、第1段固相重縮合工程及び急昇温工程を経たポリエチレンテレフタレートプレポリマーを不活性ガス雰囲気下又は減圧下で熱処理する工程であり、かつ、第2段固相重縮合工程の熱処理の最高温度(T3)が190℃以上240℃以下の工程である。
2 ガス流量計
3 窒素導入管
4 窒素予熱管
5 オイルバス
6 分散板
7 試料層
8 フィルター
9 ガスパージ口
10 枝管
11 熱電対
12 温度計
21 熱処理管
22 ガス流量計
23 窒素導入管
24 窒素予熱管
25 オイルバス
26 分散板
27 試料層
28 フィルター
29 ガスパージ口
30 金網
31 支柱
32 ピン
33 台座
本発明に用いるPETプレポリマーは、固有粘度が0.40dL/gを超え0.80dL/g以下であり、例えばPETの慣用の製造方法により製造することができる。具体的には、通常、テレフタル酸(以下TPAと略すことがある)及び/又はそのエステル形成性誘導体を主成分とするジカルボン酸成分とエチレングリコール(以下EGと略すことがある)を主成分とするジオール成分とを、要すればエステル化又はエステル交換反応触媒の存在下エステル化反応及び/又はエステル交換反応を行い、次いで重縮合触媒を使用して溶融重縮合させることにより製造される。詳しくは、例えば、原料のジカルボン酸成分とジオール成分とを、スラリー調製槽に投入して攪拌・混合して原料スラリーとし、エステル化反応槽で常圧〜加圧下、加熱下で、反応によって生ずる水などを留去しつつエステル化反応させた後、得られたエステル化反応物としてのPET低分子量体(オリゴマー)を重縮合槽に移送し、減圧下、加熱下で、重縮合触媒を使用して溶融重縮合させPETプレポリマーを得る。
なお、テレフタル酸のエステル形成性誘導体としては、例えば、各々の炭素数が1〜4程度のアルキル基を有するエステル、及びハロゲン化物等が挙げられる。
又、得られるポリエチレンテレフタレートの用途が肉厚のダイレクトブローボトル用などのように、固有粘度1.0dL/g程度以上が求められる用途の場合、目的とする用途に必要な物性に応じて上記のテレフタル酸以外のジカルボン酸やエチレングリコール以外のジオールを共重合成分として含むことができる。この場合、上記テレフタル酸以外のジカルボン酸としては、工業的入手のしやすさ、重縮合反応性などの観点から、イソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、2,6ナフタレンジカルボン酸が、上記エチレングリコール以外のジオールとしては、工業的入手のしやすさ、重縮合反応性などの観点から、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメチロールを好ましく用いることができる。
本発明における熱処理は、主として固相重縮合工程及び急昇温工程での処理を意味するが、結晶化工程、乾燥工程等の通常、常温を超える温度条件下で固体状のPETプレポリマーを処理する工程などの処理を必要に応じて行ってもよい。
上記のようにして得られたPETプレポリマーの粒子は、本発明の方法により、固体状態で熱処理され所定の固有粘度まで固相重縮合される。本発明の熱処理により固有粘度が0.30dL/g以上、好ましくは0.40dL/g以上、更に好ましくは0.45dL/g以上上昇する。固有粘度の上昇が0.30dL/g未満の場合、従来法に比較し固相重縮合反応速度を大きくできるという本発明の効果が十分発揮されず、好ましくない。
本発明の熱処理は、主として段階的固相重縮合工程及び急昇温工程を包含する。これらの工程は回分法でも行うことができるが連続方法で行うことが生産効率の点で好ましい。
本発明の方法で得られるPETの固有粘度は通常0.71dL/g以上、好ましくは0.85dL/g以上、より好ましくは0.93dL/g以上、更に好ましくは1.00dL/g以上、特に好ましくは1.10dL/g以上である。固有粘度が0.71dL/g未満のPETを製造する場合には、従来法に比較し固相重縮合反応速度を大きくできるという本発明の効果が十分発揮されない場合がある。
本発明の熱処理における、熱処理の温度とは、熱処理管、熱処理用オーブン等の内部の試料の温度をいう。
1)第1段固相重縮合工程;
PETプレポリマーを不活性ガス雰囲気下又は減圧下で熱処理する工程であり、かつその熱処理の最高温度(T1)が190℃以上215℃以下の工程である。また、第1段固相重縮合工程の一部として後述する結晶化工程を含んでいてもよい。
2)急昇温工程;
第1段固相重縮合工程を経たポリエチレンテレフタレートプレポリマーを不活性ガス雰囲気下又は減圧下で、第1段固相重縮合工程の熱処理の最高温度(T1)又はそれ以下の温度から昇温を開始して温度(T2)まで昇温する工程であり、温度T1(℃)から(T1+20)℃までを15分以内で昇温し、かつ温度T1(℃)及びT2(℃)が下記(式1)及び(式2)を満足する工程である。
T1+20≦T2 (式1)
222℃≦T2≦240℃ (式2)
3)第2段固相重縮合工程;
第1段固相重縮合工程及び急昇温工程を経たPETプレポリマーを不活性ガス雰囲気下又は減圧下で熱処理する工程であり、かつ、第2段固相重縮合工程の熱処理の最高温度(T3)が190℃以上240℃以下の工程である。
また本発明の第1段固相重縮合後の急昇温工程ではT1とT2は、T1+20℃≦T2(式1)を満たすことが必要であり、少なくともT1(℃)からT1+20(℃)までを15分以内に昇温する必要があり、好ましくは12分以内で昇温する。こうすることにより急昇温工程後の固相重縮合の速度が大きいという本発明の効果が得られる。
本発明の効果が得られる理由は明らかではないが、以下のように推定している。即ち、PETプレポリマーを結晶化させた場合、結晶構造が形成されることでポリエステル分子鎖の運動性が低下し、一部の末端基が結晶中に取り残され、不活性化し、固相重縮合途中で重縮合反応速度が小さくなる。これに対し、途中でT1(℃)からT1+20(℃)までの加熱処理を短時間で与えることにより、固体状態は保つものの、一部の結晶の溶融と再結晶化が起こり、再度、多数の末端基が存在する非晶領域が形成されるため、不活性化していた末端基の一部が活性を取り戻し、重縮合反応速度が増大すると推定している。
昇温幅が20℃以下の場合や、T1(℃)からT1+20(℃)までの昇温に要する時間が15分超過の場合は、本発明の固相重縮合反応速度の向上効果、特に第2段固相重縮合での効果が得られない。尚、T1(℃)からT1+20(℃)までの昇温に要する時間は、通常0.1分以上である。
急昇温工程の温度(T2)は222℃以上240℃以下であり、下限値は好ましくは224℃更に好ましくは227℃である。上限値は好ましくは236℃、更に好ましくは233℃である。急昇温工程の温度(T2)が222℃未満であると、(式1)を満足させるための第1段固相重縮合工程の最高温度T1を低くせざるを得ず、第1段固相重縮合工程における固相重縮合速度が小さくなり、非効率である。また、急昇温工程の温度(T2)が240℃超過であると、PET粒子同士の融着が起き易いなどの不都合が生じる。
第1段固相重縮合工程の平均滞留時間は、その温度にもよるが、通常0.5時間以上30時間以下であり、下限値は好ましくは1.0時間である。上限値は好ましくは25時間、更に好ましくは20時間である。0.5時間以上であると、第1段固相重縮合工程での固有粘度上昇値が大きくなり第2段固相重縮合工程の負荷が軽減される。また、30時間以下であると第1段固相重縮合工程における後半の固相重縮合反応速度の低下が軽微であり、それぞれ効率的であり、一層好ましい。
急昇温工程を経た後に第2段固相重縮合に工程に供されるPETプレポリマーは、所望のPETの固有粘度にもよるが、通常、固有粘度が0.45dL/g以上であるのが好ましく、0.47dL/g以上であるのがより好ましく、更に好ましくは0.55dL/g以上、特に好ましくは0.60dL/g以上、最も好ましくは0.65dL/g以上である。急昇温工程を経たプレポリマーの固有粘度がこの範囲である場合、本発明の第2段固相重縮合工程における固相重縮合反応速度が大きくなると共に、特に荷重下において、共重合成分を有するPETの熱融着を抑制できる傾向にあるため、一層好ましい。急昇温工程を経た後に第2段固相重縮合工程に供されるプレポリマーの固有粘度の上限は、通常、目標とする製品の固有粘度より0.10dL/g小さい値、より好ましくは、0.20dL/g小さい値である。
第2段固相重縮合工程の平均滞留時間は、その温度にもよるが、通常2時間以上50時間以下であり、下限は好ましくは4時間以上である。平均滞留時間がこの範囲である場合、第2段固相重縮合工程での固有粘度上昇値が大きくなり、所望の重合度のPETを効率的に得ることができるため、一層好ましい。
本発明の上記第1段固相重縮合工程及び第2段固相重縮合工程は、連続法が好ましく、連続式移動床が特に好ましく用いられる。ここで、連続法とは、原料が上流側の工程から各反応器に連続的に供給され、各反応器中の滞留量がほぼ一定量を保つよう、製品が連続的に下流側の工程に移送される方法を指す。また、連続式移動床の代表例としては、上部に原料の入口、下部に製品の出口を有する縦型容器であり、内部の滞留量がほぼ一定量を保つよう、上流側の工程から原料が連続的に供給され、製品が連続的に下流側の工程に移送される反応器が挙げられる。
第1段重縮合工程に供するPETプレポリマーの結晶化度は15質量%以上であるのが好ましい。PETプレポリマーが実質的に非晶状態である時は、本発明の熱処理の第1段固相重縮合工程に、先ず実質的に非晶状態のPETプレポリマーの一部を結晶化する結晶化工程を設けることが好ましい。PETプレポリマーの一部が結晶化されることでその後の固相重縮合反応や、第2段固相重縮合工程などでPET粒子同士が融着するのを軽減することができる。結晶化は、PETプレポリマーを熱処理することにより行われるが、その結晶化工程の温度(Tx)は通常、110℃以上200℃以下であることが好ましく、より好ましくは下限が140℃、更に好ましくは下限が160℃である。結晶化工程の温度(Tx)がこの範囲である場合、該プレポリマー粒子同士が融着しにくく、かつ、比較的短時間で十分な結晶化度に到達するため、一層好ましい。また、次工程以降で融着しにくい傾向にあるため、一層好ましい。
尚、本発明における物性の測定は、以下の方法により行った。
<固有粘度(IV)>
試料約0.25gを、フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン(質量比 1/1)の混合溶媒約25mLに、濃度が1.00×10-2kg/Lとなるように、非晶状態のPETは110℃30分で、固相重縮合後のPETは140℃30分でそれぞれ溶解させた後、30℃まで冷却し、全自動溶液粘度計(センテック社製「2CH型DJ504」)にて、濃度が1.00×10-2kg/Lの試料溶液及び溶媒のみの落下秒数を測定し、下式により算出した。
IV=[(1+4KHηsp)0.5−1]/(200KHC)
ここで、 ηsp=η/η0−1 であり、ηは試料溶液の落下秒数、η0は溶媒の落下秒数、Cはポリマー溶液濃度(kg/L)、KHはハギンズの定数である。KHは0.33を採用した。
精密天秤を用いて、PETプレポリマー粒子30粒の合計質量を0.1mgの桁まで測定し、測定値を30で除することにより、粒子1粒当たりの平均質量を算出した。
<末端カルボキシル基濃度 (AV)>
試料を粉砕した後、熱風乾燥機にて140℃で15分間乾燥させ、デシケーター内で室温まで冷却した試料から、0.1gを精秤して試験管に採取し、ベンジルアルコール3mLを加えて、乾燥窒素ガスを吹き込みながら195℃、3分間で溶解させ、次いで、クロロホルム5mLを徐々に加えて室温まで冷却した。この溶液にフェノールレッド指示薬を1〜2滴加え、乾燥窒素ガスを吹き込みながら攪拌下に、0.1規定の水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液で滴定し、黄色から赤色に変じた時点で終了とした。また、ブランクとして、ポリエステル樹脂試料を使用せずに同様の操作を実施し、以下の式により算出した。
AV(当量/トン)=(A−B)×0.1×f/W
〔ここで、Aは、滴定に要した0.1規定の水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の量(μL)、Bは、ブランクでの滴定に要した0.1規定の水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の量(μL)、Wは、ポリエステル樹脂試料の量(g)、fは、0.1規定の水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の力価である。〕
尚、0.1規定の水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の力価(f)は、試験管にメタノール5mLを採取し、フェノールレッドのエタノール溶液を指示薬として1〜2滴加え、0.1規定の水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液0.4mLで変色点まで滴定し、次いで、力価既知の0.1規定の塩酸水溶液を標準液として0.2mL採取して加え、再度、0.1規定の水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液で変色点まで滴定した。(以上の操作は、乾燥窒素ガスを吹き込みながら行った。)
以下の式により力価(f)を算出した。
力価(f)=0.1規定の塩酸水溶液の力価×0.1規定の塩酸水溶液の採取量(μL)/0.1規定の水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の滴定量(μL)
試料となるPET粒子5.00gに、4N−KOH/メタノール溶液50mlを加えて環流冷却器をセットし、マグネチックスターラ付きホットプレート(表面温度200℃)上で攪拌しながら、2時間加熱環流し加水分解する。放冷後、高純度テレフタル酸約20gを加えて、十分振とうして中和し、pHを9以下としたスラリーを、11G−4グラスフィルターを用いて濾過した後、メタノール2mlで2回洗浄して濾液と洗液を合わせ、ガスクロマトグラフィーへの供試液とする。供試液1μLをマイクロシリンジにて、島津製作所社製ガスクロマトグラフィー(形式GC−14APF)に注入し、エチレングリコール(EG)及びジエチレングリコール成分のピークの面積から、全グリコール成分に対するジエチレングリコール成分のモル%を、下式に従い計算した。
DEGの共重合モル%=(ADEG×CfDEG)/(Σ(A×Cf))×100
ADEG : ジエチレングリコール成分の面積(μV・秒)
CfDEG : そのグリコール成分の補正係数
A : 各グリコール成分の面積(μV・秒)
Cf : 各グリコール成分の補正係数
試料となるPET粒子サンプルを重水素化トリフルオロ酢酸に常温で溶解して、約3重量%溶液とした。日本電子社製JNM−EX270型核磁気共鳴装置を用いて、室温下でこの溶液の1H−NMRスペクトルを測定し、全グリコール成分に対する1,4−シクロヘキサンジメチロール成分量をモル%であらわした。
<結晶化度(Xc)>
結晶化度Xcの測定は、完全非晶の密度da=1335kg/m3、完全結晶の密度dc=1455kg/m3として、試料の密度d(kg/m3)から、下式により算出した。
Xc=(d−da)dc/(dc−da)d×100 (質量%)
また、試料の密度dは、測定セルに試料6〜8gを精秤し、測定温度23℃にて乾式自動密度測定装置(島津製作所製Accupyc1330)を用いて測定した。
<PETプレポリマー粒子(A)の製造工程>
ジカルボン酸仕込み口、ジオール仕込み口、スラリー移送配管及び攪拌器を備えたスラリー調製槽、スラリー受け入れ口、分離塔を備えた留出管、反応物移送配管反応温度コントロール装置及び攪拌器を備えたエステル化反応槽、エステル化反応物受け入れ口、触媒、助剤添加口、その他成分添加口、留出管、減圧付加装置、反応温度コントロール装置、反応物取出し口及び攪拌器を備えた溶融重縮合反応槽、溶融重縮合反応物(PETプレポリマー)を粒子化するペレタイザーを有するポリエステル製造設備を用いて、PETプレポリマー粒子を製造した。具体的には以下の通りである。
スラリー調製槽に、テレフタル酸/エチレングリコール(モル比1:1.2)を仕込み攪拌、混合してスラリーを調製した。
溶融重縮合反応槽では、移送後の反応液を攪拌しながら、常圧の窒素雰囲気下、温度250℃で保持し、1,4−シクロヘキサンジメチロール50質量%EG溶液3.1質量部、正リン酸1.6質量%EG溶液0.380質量部、二酸化ゲルマニウム0.52質量%EG溶液0.926質量部、EG1.1質量部をそれぞれこの順に添加した。その後、温度を280℃まで徐々に上げながら、圧力を0.13kPaA(AはkPaが絶対圧力であることを示す)まで徐々に下げ、所定の溶融粘度となるまで溶融重縮合反応を行い、溶融PETプレポリマーを得た。
その結果、長さ4.0mm、幅2.5mm、厚さ1.8mmのほぼ楕円柱状のPETプレポリマー粒子を得た。この粒子の固有粘度は0.705dL/g、末端カルボキシル基濃度は21当量/トン、ジエチレングリコールの共重合量は1.9モル%、1,4−シクロヘキサンジメチロールの共重合量は4.0モル%、粒子の平均質量は20mg/粒であった。以降、このPETプレポリマー粒子を、「プレポリマーA粒子」と称する。
<結晶化工程>
上記のプレポリマーA粒子60gを底面が130mm×170mmの角形で、深さが30mmのステンレス製バットに広げて置き、内部のガス温度が160℃のイナートオーブン(タバイエスペック社製IPHH−201M型)に入れ、イナートオーブンの内部に流通させる窒素の流量を50NL/分、温度を160℃の窒素流通下として、160℃で1時間の結晶化処理を行った。ここで、NLとは0℃1気圧における体積(L)のことである。結晶化処理後の試料の固有粘度は0.692dL/g、結晶化度は29質量%であった。
上記の、プレポリマーA粒子を結晶化処理した試料を、図1に示すガラス製熱処理装置を用いて熱処理を行った。
以下、該熱処理装置について説明する。
図1に示す熱処理装置において、試料は、試料充填部の内径が45mmのガラス製熱処理管(1)に充填される。熱処理管(1)には、ガス流量計(2)、窒素導入管(3)、窒素予熱管(4)を経由して、オイルバス(5)に充填されたオイルにより加熱された窒素が導入される。導入された窒素は、熱処理管(1)下部にある分散板(6)により分散され、熱処理管(1)内部で略均一な線速度を有する上昇流となって、試料層(7)を通過する。試料層(7)を通過した窒素は、熱処理管(1)上部にあるフィルター(8)を経由して、ガスパージ口(9)から熱処理管(1)の外部に排出される。熱処理管(1)は枝管(10)を有しており、その上部にある開口部(通常はガラス栓にて閉止してある)から試料の投入や試料の採取が可能である。また、熱処理管(1)内部の試料の温度は、熱電対(11)を備えた温度計(12)で測定できる。本実施例の範囲の温度、空塔線速度においては、熱処理管(1)の内部温度は、オイルバス中のオイル温度よりも2℃低い温度となるため、目標とする熱処理温度(固相重縮合温度)に対して、オイルの温度は2℃高い温度に調節した。
熱処理管(1)に上記結晶化処理後のプレポリマーA粒子40gを仕込み、窒素を流通して内部を窒素置換した。その後熱処理管(1)内の窒素の空塔線速度(ここで「空塔線速度」とは、試料層の空塔線速度を意味する(以下同様))が200℃で0.30m/秒となるように窒素の流量をガス流量計(2)で設定し、オイルの温度が162℃に調節された第一のオイルバス(5)に熱処理装置を浸漬した。この時点を第1段固相重縮合の開始とする。
第1段固相重縮合の開始から10分後に、オイルバスの温度を0.5℃/分の昇温速度で上げ始め、80分間かけて202℃まで昇温し、その後、202℃で90分間保持した。このときの熱処理管(1)の内部の試料の温度は200℃であった。90分間保持が終了した時点を第1段固相重縮合の終了とする。その後、熱処理管(1)をオイルバス(5)から取り出し、常温の窒素で10分間冷却し、第1段固相重縮合後の試料を得た。この試料の固有粘度は0.738dL/g、結晶化度は42質量%であった。
熱処理管(1)に上記第1段固相重縮合後の試料20gを仕込み、窒素を流通して内部を窒素置換した。このとき、熱処理管(1)の内部の試料の温度は25℃だった。その後熱処理管(1)内の窒素の空塔線速度が230℃で1.0m/秒となるように窒素の流量を変更し、オイルの温度が232℃に調節されたオイルバス(5)に熱処理装置を移した。この時点を230℃での急昇温工程の開始とする。熱処理管(1)の内部の試料の温度が230℃に到達するまでに10分を要したので、T1℃から(T1+20)℃までの昇温は10分以内であった。熱処理管(1)の内部の試料の温度が230℃に到達した後、熱処理管(1)をオイルバス(5)から取り出し、常温の窒素で10分間冷却し、急昇温後の試料を得た。この試料の固有粘度は0.752dL/gであった。
上記の急昇温後の試料3gを底面が130mm×170mmの角形で、深さが30mmのステンレス製バットに広げて置き、イナートオーブン(タバイエスペック社製IPHH−201M型)に入れた。イナートオーブンの内部に流通させる窒素の流量を50NL/分とし、内部の温度を50℃から30分間かけて200℃まで上げ、200℃で16時間保持後、室温まで速やかに冷却し、第2段固相重縮合後の試料を得た。この試料の固有粘度は0.981dL/gであった。また、200℃での保持時間を32時間、48時間にそれぞれ変更する以外は同様にして、第2段固相重縮合後のPET粒子試料を得た。内部の温度50℃の時点を第2段固相重縮合の開始とし、200℃保持時間終了の時点を第2段固相重縮合の終了とした。第2段固相重縮合後の試料の固有粘度はそれぞれ、1.104dL/g、1.175dL/gであった。保持時間48時間のサンプルの熱処理(第1段固相重縮合、急昇温、第2段固相重縮合)に要した時間tは51.7時間、熱処理前後の固有粘度はそれぞれ0.692dL/g、1.175dL/gであり、その上昇幅Dは0.483dL/gであり、(D/t)Mの値は0.187であった。 結果を表1に示す。
尚、第1段固相重縮合工程、急昇温工程、第2段固相重縮合工程を通じて、PET粒子同士の融着はほとんど見られなかった。
実施例1において急昇温工程を全て省略した以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
実施例1及び比較例1は、第1段固相重縮合及び第2段固相重縮合の温度が比較的低めの例であるが、実施例1は、本願発明で規定する急昇温工程がない以外同一の比較例1に対して、最終的に得られるPETの固有粘度が高く、(D/t)/Mも高くなっている。
実施例1のプレポリマーA粒子を用いて、実施例1と同様の装置にて、以下の通り熱処理を行った。
<結晶化工程>
実施例1と同様に行った。
<第1段固相重縮合工程>
上記の結晶化後の試料30gを底面が130mm×170mmの角形で、深さが30mmのステンレス製バット2枚に広げて置き、イナートオーブン(タバイエスペック社製IPHH−201M型)に入れた。イナートオーブンの内部に流通させる窒素の流量を50NL/分とし、内部の温度を、50℃から30分間かけて160℃まで上げ160℃で1時間保持し、その後、160℃から30分間かけて180℃まで上げ180℃で12分間保持し、その後、180℃から30分間かけて210℃まで上げ210℃で8時間保持した後、室温まで速やかに冷却し、第1段固相重縮合後の試料を得た。内部の温度50℃の時点を第1段固相重縮合の開始とし、210℃保持の終了の時点を第1段固相重縮合の終了とした。この試料の固有粘度は0.879dL/gであった。
実施例1と同様に行い、急昇温後の試料を得た。この試料の固有粘度は0.881dL/gであった。
<第2段固相重縮合工程>
上記の急昇温後の試料3gを底面が130mm×170mmの角形で、深さが30mmのステンレス製バットに広げて置き、イナートオーブン(タバイエスペック社製IPHH−201M型)に入れた。イナートオーブンの内部に流通させる窒素の流量を50NL/分とし、内部の温度を、50℃から60分間かけて210℃まで上げ、その後、210℃から34時間かけて200℃まで下げ、その後、室温まで速やかに冷却し、第2段固相重縮合後の試料を得た。内部の温度50℃の時点を第2段固相重縮合の開始とし、210℃到達後34時間の時点を第2段固相重縮合の終了とした。この試料の固有粘度は1.303dL/gであった。結果を表2に示す。尚、第1段固相重縮合工程、急昇温工程、第2段固相重縮合工程を通じて、PET粒子同士の融着はほとんど見られなかった。
実施例2において急昇温工程を全て省略した以外は実施例2と同様に行った。結果を表2に示す。
実施例1に対して、第1段固相重縮合工程が高温長時間であり、第2段固相重縮合工程が高温短時間であることで、実施例2及び比較例2の何れも第1段個相重縮合工程後の固有粘度が高く、最終的に得られるPETの固有粘度が何れも高くなっている。但し、実施例2は、本願発明で規定する急昇温工程がない以外同一の比較例2より最終的に得られるPETの固有粘度が高く、(D/t)/Mも高くなっている。
実施例2の第1段固相重縮合工程において、180℃から30分間かけて210℃まで上げ210℃で8時間保持するのを、180℃から30分間かけて200℃まで上げ200℃で8時間保持に変えた以外は実施例2と同様に行った。結果を表3に示す。尚、第1段固相重縮合工程、急昇温工程、第2段固相重縮合工程を通じて、PET粒子同士の融着はほとんど見られなかった。
実施例3において急昇温工程を全て省略した以外は実施例3と同様に行った。結果を表3に示す。
実施例1より第1段固相重縮合工程の時間が長く、第2段固相重縮合工程が高温短時間であることで、実施例3は、実施例1より固有粘度が高く、又、本願発明で規定する急昇温工程がない以外同一の比較例3より最終的に得られるPETの固有粘度が高く、(D/t)/Mも高くなっている。
実施例3において、プレポリマー粒子として、プレポリマーA粒子の長さを2.0mmとし、粒子の平均粒重を10mg/粒とした粒子を用いた以外は実施例3と同様に行った。結果を表3に示す。尚、第1段固相重縮合工程、急昇温工程、第2段固相重縮合工程を通じて、PET粒子同士の融着はほとんど見られなかった。
実施例4において急昇温工程を全て省略した以外は実施例4と同様に行った。結果を表3に示す。
実施例1より第1段固相重縮合工程の時間が長く、第2段固相重縮合工程が高温短時間であり、プレポリマーの平均質量が小さいことで、実施例4及び比較例4は、最終的に得られるPETの固有粘度が何れも実施例1より高くなっている。又、実施例5は、急昇温工程の温度差が本願発明の範囲を満足しない以外同一の比較例5に対して、最終的に得られるPETの固有粘度が高く、(D/t)/Mも高くなっている。
実施例1のプレポリマーA粒子を用いて、実施例1と同様の装置にて、以下の通り熱処理を行った。
<結晶化工程>
実施しなかった。
<第1段固相重縮合工程>
実施例1のプレポリマーA粒子30gを底面が130mm×170mmの角形で、深さが30mmのステンレス製バット2枚に広げて置き、イナートオーブン(タバイエスペック社製IPHH−201M型)に入れた。イナートオーブンの内部に流通させる窒素の流量を50NL/分とし、内部の温度を、50℃から30分間かけて160℃まで上げ160℃で1時間保持し、その後、160℃から30分間かけて180℃まで上げ180℃で0.1時間保持し、その後、180℃から30分間かけて200℃まで上げ200℃で4時間保持し、その後、200℃から17時間かけて190℃まで下げ、その後、室温まで速やかに冷却し、第1段固相重縮合後の試料を得た。50℃の時点を第1段固相重縮合の開始とし、200℃から17時間かけて190℃下げた時点を第1段固相重縮合の終了とした。この試料の固有粘度は0.881dL/gであった。
実施例1と同様に行い、急昇温後の試料を得た。この試料の固有粘度は0.890dL/gであった。
<第2段固相重縮合工程>
上記の急昇温後の試料3gを底面が130mm×170mmの角形で、深さが30mmのステンレス製バットに広げて置き、イナートオーブン(タバイエスペック社製IPHH−201M型)に入れた。イナートオーブンの内部に流通させる窒素の流量を50NL/分とし、内部の温度を、50℃から30分間かけて220℃まで上げ、その後、220℃から4時間かけて210℃まで下げ、その後、210℃から17時間かけて200℃まで下げ、その後、室温まで速やかに冷却し、第2段固相重縮合後の試料を得た。50℃の時点を第2段固相重縮合の開始とし、210℃から17時間かけて200℃下げた時点を第2段固相重縮合の終了とした。この試料の固有粘度は1.219dL/gであった。結果を表4に示す。尚、第1段固相重縮合工程、急昇温工程、第2段固相重縮合工程を通じて、PET粒子同士の融着はほとんど見られなかった。
実施例5の急昇温工程を以下のように変更した以外は実施例5と同様に行った。結果を表4に示す。
<急昇温工程>
熱処理管(1)に第1段固相重縮合後の試料20gを仕込み、窒素を流通して内部を窒素置換した。このとき、熱処理管(1)の内部の試料の温度は25℃だった。その後熱処理管(1)内の窒素の空塔線速度が225℃で1.0m/秒となるように窒素の流量を変更し、オイルの温度が227℃に調節されたオイルバス(5)に熱処理装置を移した。この時点を225℃での急昇温工程の開始とする。熱処理管(1)の内部の試料の温度が225℃に到達するまでに10分を要したので、T1℃から(T1+20)℃までの昇温は10分以内であった。熱処理管(1)の内部の試料の温度が225℃に到達した後に熱処理管(1)をオイルバス(5)から取り出し、常温の窒素で10分間冷却し、急昇温後の試料を得た。尚、第1段固相重縮合工程、急昇温工程、第2段固相重縮合工程を通じて、PET粒子同士の融着はほとんど見られなかった。
実施例5のT2を220℃に変更した以外は実施例5と同様に行った。結果を表4に示す。この例の場合、T2が低く、(式2)を満足しないため、第2段固相重縮合工程における固有粘度の上昇幅が、実施例5に比較して小さくなった。
222℃≦T2≦240℃ (式2)
実施例5において急昇温工程を全て省略した以外は実施例5と同様に行った。結果を表4に示す。
プレポリマーA粒子を結晶化することなく使用し、実施例1より第1段固相重縮合工程の時間が長く、第2段固相重縮合工程が高温短時間であることで、実施例5は、最終的に得られるPETの固有粘度が高く、(D/t)Mも高くなっている。又、実施例5は、急昇温工程の温度差が本願発明の範囲を満足しない以外同一の比較例5に対して、最終PETの固有粘度が高く、(D/t)/Mも高くなっている。
急昇温工程の温度が実施例5より低い実施例6は、最終的に得られるPETの固有粘度及び(D/t)/Mが実施例5より若干低くなっている。但し、実施例6は、本願発明で規定する急昇温工程がない以外同一の比較例6より固有粘度が高く、(D/t)/Mも高くなっている。
<融着試験>
本発明の方法においてPET粒子を熱処理する際の粒子の耐融着性を調べるため、図2に示す融着試験装置で荷重負荷を掛けた状態での融着試験を行った。この試験は、粒子に、工業的に有用なスケールの製造装置(実生産機)で想定される荷重負荷を掛けることで、実生産機への適用可否を実験室スケールで評価することを目的としている。
(融着試験装置)
図2に示す融着試験装置において、試料は、試料充填部の内径が14mmのガラス製熱処理管(21)に充填されている。熱処理管(21)には、ガス流量計(22)、窒素導入管(23)、窒素予熱管(24)を経由して、オイルバス(25)に充填されたオイルにより加熱された窒素が導入される。導入された窒素は、熱処理管(21)下部にある分散板(26)により分散され、熱処理管(21)内部で略均一な線速度を有する上昇流となって、試料層(27)を通過する。試料層(27)を通過した窒素は、熱処理管(21)上部にあるフィルター(28)を経由して、ガスパージ口(29)から熱処理管(21)の外部に排出される。ここで、熱処理管(21)内部の試料の温度は、あらかじめ、別の試料を充填して熱電対を備えた温度計で測定することで、オイルバス中のオイル温度と等しい温度になることを確認した。また、試料層(27)の上部には、ステンレス製金網(30)を介してステンレス製中空支柱(31)を載せることができる。また、支柱(31)には、ピン(32)を用いて錘を載せるための台座(33)を固定することができる。
(測定)
実施例1で得られたPET粒子(第2段固相重縮合工程における200℃での保持時間が16時間、32時間、及び、48時間である3種類のPET粒子)を、試料として用い、下記の試験方法により、測定した。
熱処理管(21)に、試料として8gのPET粒子を仕込み、その上に金網(30)と支柱(31)を載せた後、窒素を流通して内部を窒素置換した。その後熱処理管(21)内の窒素の空塔線速度が200℃で0.40m/秒となるように窒素の流量をガス流量計(22)で設定し、200℃に調節されたオイルバス(25)に融着試験装置を浸漬した(この時点を融着試験の開始とする)。そのまま10分間保持することで、試料層の温度を200℃とした。融着試験の開始から10分後、試料層(27)の上に、合計質量が1039gの支柱(31)、ピン(32)、台座(33)、及び、錘(台座(33)の上に置いた)を載せることで、PET粒子に66kPaの荷重を掛けた。この状態で30分間保持した。融着試験の開始から40分後、試料層(27)の上に載せた支柱(31)、ピン(32)、台座(33)、及び、錘を取り除き、直ちに、融着試験装置をオイルバスから引き上げ、融着試験装置内部の試料をステンレス製バットの上に静かに抜き出し、融着状況を確認した。
同様の試験を、オイルバスの温度を205℃に変更することにより試料層の温度を205℃にして実施した。各試料とも、融着程度は2子(2粒の粒子が付着した状態)までであった。各試料の融着比率(融着している粒子の質量/全粒子の質量)を表5に示す。各試料とも、200℃及び205℃での、荷重下における融着は軽微であり、耐融着性が優れる結果となった。
<融着試験>
第2段固相重縮合工程の加熱処理時間を18時間目まで実施した後、室温まで速やかに冷却した以外は実施例3と同様にして得られたPET粒子と、実施例3で得られたPET粒子(第2段固相重縮合工程における熱処理時間が35時間であるPET粒子)を、試料として用い、熱処理管(21)内の窒素の空塔線速度を210℃で0.40m/秒とし、試料層の温度をそれぞれ210℃、215℃とした以外は実施例7と同様に行った。
結果を表6に示す。これらの結果から、各試料とも、210℃及び215℃での、荷重下における融着は軽微であり、耐融着性が優れることを示す結果となった。
Claims (13)
- 固有粘度が0.40dL/gを超え0.80dL/g以下のポリエチレンテレフタレートプレポリマーを、固体状態で熱処理して固有粘度を0.30dL/g以上上昇させるポリエチレンテレフタレートの製造方法であって、固体状態での熱処理が第1段固相重縮合工程、急昇温工程、及び、第2段固相重縮合工程をこの順で含み、かつ、各々の工程が下記1)〜3)を満足することを特徴とするポリエチレンテレフタレートの製造方法。
1)第1段固相重縮合工程が、ポリエチレンテレフタレートプレポリマーを不活性ガス雰囲気下又は減圧下で熱処理する工程であり、かつその熱処理の最高温度(T1)が195℃以上215℃以下の工程である。
2)急昇温工程が、第1段固相重縮合工程を経たポリエチレンテレフタレートプレポリマーを不活性ガス雰囲気下又は減圧下で、第1段固相重縮合工程の熱処理の最高温度(T1)又はそれ以下の温度から昇温を開始して温度(T2)まで昇温する工程であり、第1段固相重縮合工程の熱処理の最高温度T1(℃)から(T1+20)℃までを15分以内で昇温し、かつ第1段固相重縮合工程の最高温度T1(℃)及びT2(℃)が下記(式1)及び(式2)を満足する工程である。
T1+20≦T2 (式1)
222℃≦T2≦240℃ (式2)
3)第2段固相重縮合工程が、第1段固相重縮合工程及び急昇温工程を経たポリエチレンテレフタレートプレポリマーを不活性ガス雰囲気下又は減圧下で熱処理する工程であり、かつ、第2段固相重縮合工程の熱処理の最高温度(T3)が190℃以上240℃以下の工程である。 - 第1段固相重縮合工程に供するポリエチレンテレフタレートプレポリマーの結晶化度が15質量%以上である請求項1に記載のポリエチレンテレフタレートの製造方法。
- 第1段固相重縮合工程に先立つ結晶化工程を有しており、該結晶化工程がポリエチレンテレフタレートプレポリマーを、110℃以上、200℃以下の温度(Tx)で熱処理する工程である請求項1又は2に記載のポリエチレンテレフタレートの製造方法。
- 第2段固相重縮合工程に供するポリエチレンテレフタレートプレポリマーの固有粘度が0.45dL/g以上である請求項1乃至3のいずれか1項に記載のポリエチレンテレフタレートの製造方法。
- 固体状態での熱処理が連続的に行われる請求項1乃至4のいずれか1項に記載のポリエチレンテレフタレートの製造方法。
- 第1段固相重縮合工程及び/又は第2段固相重縮合工程が連続式移動床で実施される請求項1乃至5のいずれか1項に記載のポリエチレンテレフタレートの製造方法。
- 結晶化工程が流動床で実施される請求項3乃至6のいずれか1項に記載のポリエチレンテレフタレートの製造方法。
- 急昇温工程が流動床反応器、及び/又は、スクリュー又はパドルを有する横型加熱装置で実施される請求項1乃至7のいずれか1項に記載のポリエチレンテレフタレートの製造方法。
- ポリエチレンテレフタレートプレポリマーが粒子であり、その平均質量が0.1mg/粒以上30mg/粒以下である請求項1乃至8のいずれか1項に記載のポリエチレンテレフタレートの製造方法。
- ポリエチレンテレフタレートプレポリマーの末端カルボキシル基濃度が100当量/トン以下である請求項1乃至9のいずれか1項に記載のポリエチレンテレフタレートの製造方法。
- ポリエチレンテレフタレートがチタン化合物を含有する請求項1乃至10のいずれか1項に記載のポリエチレンテレフタレートの製造方法。
- ポリエチレンテレフタレートプレポリマーが粒子であり、第1段固相重縮合工程、急昇温工程、及び、第2段固相重縮合工程における熱処理が、ポリエチレンテレフタレートプレポリマー粒子の平均質量をM(mg/粒)、熱処理時間をt(時間)、熱処理前後の固有粘度の上昇幅をD(dL/g)としたときに、下記の(式3)を満足する請求項1乃至11のいずれか1項に記載のポリエチレンテレフタレートの製造方法。
0.12≦(D/t)M (式3) - T2(℃)及びT3(℃)が下記の(式4)を満足する請求項1乃至12のいずれか1項に記載のポリエチレンテレフタレートの製造方法。
T3<T2 (式4)
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