JP2005325270A - ポリエステルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
芳香族ジカルボン酸及び/又はそのエステル形成性誘導体、ジオール並びに3個以上の官能基を有する多官能化合物を、エステル化反応及び/又はエステル交換反応を経て溶融重縮合反応を行うことによりポリエステルプレポリマーを生成し、該ポリエステルプレポリマーを固相重縮合するポリエステルの製造方法において、該ポリエステルプレポリマーが、該多官能化合物をジカルボン酸成分に対して0.15モル%以上、1.00モル%以下含有しており、且つその固有粘度が0.15dL/g以上、0.30dL/g以下であり、また固相重縮合反応を200℃以上、該ポリエステルプレポリマーの融点よりも5℃低い温度以下の温度で、不活性ガス雰囲気において行うことを特徴とする固有粘度が0.70dL/g以上、1.50dL/g以下のポリエステルの製造方法。
【選択図】なし
Description
ボトル等の中空成形品の包装材料を製造するための原料として用いられる高分子量のポリエステルは、通常、芳香族ジカルボン酸及び/又はそのエステル形成性誘導体とジオールとをエステル化及び/又はエステル交換反応を経て、溶融重縮合、固相重縮合することにより製造されている。このような製造過程のなかで固相重縮合は反応時間を通常10数時間以上要するため、固相重縮合の反応速度が改善された効率的な製造法が求められている。
更に、特許文献3にはゲル生成を抑制する方法として、3個以上の官能基を有する多官能化合物の使用量を少量にすることが開示されているが、これによると重縮合時間短縮の効果が小さく、工業的な製造法としては不利である。
このようなテレフタル酸及びエチレングリコールを主成分とする組成物から得られるポリエステルプレポリマーは、エチレンテレフタレート単位が繰り返し構成単位の90モル%以上を占めるものであることが好ましく、エチレンテレフタレート単位が90モル%以上の場合、該プレポリマーを固相重縮合して得られるポリエステルは樹脂として機械的強度や耐熱性が優れる傾向となるため、一層好ましい。
本発明の製造方法で用いられる芳香族ジカルボン酸及びそのエステル形成性誘導体における芳香族ジカルボン酸としては、上記の如く、好ましくはテレフタル酸を主成分とするが、本発明の所望の特性を損なわない範囲において他のジカルボン酸及びそのエステル形成性誘導体を共重合成分として併用することができる。
テレフタル酸以外のジカルボン酸及びそのエステル形成性誘導体成分として、例えば、フタル酸、イソフタル酸、1,4−フェニレンジオキシジカルボン酸、1,3−フェニレンジオキシジ酢酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルケトンジカルボン酸、4,4’−ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等の脂環式ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体、及びコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカジカルボン酸、ドデカジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体等が挙げられ、これらの一種又は二種以上を用いることができる。また、これらエステル形成性誘導体は炭素数1〜4のアルコールのジエステルが好ましく、なかでもジメチルエステルが更に好ましい。
本発明の製造方法で用いられるジオールは、上記の如く、好ましくはエチレングリコールを主成分とするが、本発明ポリエステルの所望の特性を損なわない範囲において他のジオール成分を共重合成分として併用することができる。
エチレングリコール以外のジオール成分としては、例えば、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタメチレングリコール、デカメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等の脂肪族ジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,1−シクロヘキサンジメチロール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ジオール、及びキシリレングリコール、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(4’-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン酸等の芳香族ジオールが挙げられ、これらの一種又は二種以上を用いることができる。
更には、乳酸等のヒドロキシカルボン酸を少量用いてもよい。
本発明の製造方法においては、3個以上の官能基を有する多官能化合物(分岐成分)を所定割合で用いることが必須である。
分岐成分は特に限定されないが、通常、炭素原子数が2以上、30以下であり、官能基としてカルボキシル基、ヒドロキシル基及びそれらのエステル形成性基から選ばれる1種又は2種以上の基を有する化合物が好ましい。分岐成分の官能基数の下限は3個であり、上限は、通常、8個、好ましくは5個である。
また、これらの分岐成分は、絶対圧力4kPaにおける沸点が200℃以上である化合物の場合、添加した分岐成分の共重合成分としてのポリエステルの分子鎖への含有率が高くなるため、一層好ましい。
分岐成分は、溶融重縮合反応時にその一部が留出し、添加量に対してポリエステルプレポリマー分子鎖中の含有量が少なくなることがある。従って、分岐成分の添加量を決める際には、そのことを考慮することが望ましい。
前記ポリエステルプレポリマーは、芳香族ジカルボン酸及び/又はそのエステル形成性誘導体とジオールと分岐成分とを、エステル化反応及び/又はエステル交換反応を経て、重縮合触媒を使用して溶融重縮合させることにより製造されるが、基本的には、ポリエステル樹脂の慣用の製造方法を用いるのが一般的である。即ち、例えば、芳香族ジカルボン酸とジオールと分岐成分等を、スラリー調製槽に投入して攪拌・混合して原料スラリーとし、エステル化反応槽で常圧〜加圧下、加熱下で、反応によって生ずる水などを留去しつつエステル化反応させた後、得られたエステル化反応生成物としてのポリエステル低分子量体(オリゴマー)を重縮合槽に移送し、減圧下、加熱下で、重縮合触媒を使用して溶融重縮合させポリエステルプレポリマーを生成する。得られたプレポリマーは、造粒処理した後固相重縮合に供される。
なお、芳香族ジカルボン酸成分が芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体、例えばテレフタル酸ジメチルなどのように適度な融点を有するものである場合、ジオールとのスラリーとせずに溶融してからジオールとのエステル交換反応に供することもできる。
これらの反応は連続式、回分式、半回分式の何れか1以上の方法で行うことができ、また、エステル化反応槽、溶融重縮合反応槽、及び固相重縮合装置は、それぞれ一段としても多段としてもよい。
エステル化反応は、触媒の不存在下で行うこともできるが、触媒としてゲルマニウム化合物、アンチモン化合物、チタン化合物等の存在下行ってもよい。これらの触媒としては、後記の重縮合触媒として挙げた公知の触媒化合物から適宜選択して使用することができる。また、芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体とジオールなどのアルコールとのエステル交換反応の場合に使用するエステル交換反応触媒としては例えばリチウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、コバルト、マンガンなどの金属化合物があげられ、中でもカルシウム、マグネシウムの酢酸塩及びその水和物が好ましい。
重縮合触媒としての上記化合物の添加量は特に制限されないが、本発明の製造方法により得られるポリエステルプレポリマーに対して1〜400ppmとなる量とするのが好ましく、2〜300ppmとなる量とするのが特に好ましい。
これらのリン化合物の中で、色調改善効果、溶融熱安定性の改善効果、及び重合速度制御の観点から、5価のリン化合物が好ましく、正リン酸、トリメチルホスフェート、エチルアシッドホスフェートが更に好ましい。
リン化合物の使用量は特に制限されないが、通常、本発明の製造方法により得られるポリエステルプレポリマーに対して1〜1000ppmとなる量とするのが好ましく、2〜200ppmとなる量とするのが特に好ましい。
これら各化合物の添加の時期は特に制限はないが、例えば、リン化合物ついでアルカリ又はアルカリ土類金属化合物ついでゲルマニウム、アンチモン、チタンなどの金属化合物の順に添加すればよい。
また、必要に応じて色剤、滑剤、紫外線吸収剤などを添加しても良い。
ここで、「粒子の平均粒径」とは、当該粒子と同体積を有する球の直径の重量平均値のことであり、レーザー回折式粒径分布測定装置や、JIS K0069に記載の乾式手動篩い分け方法により測定することができる。また、当該粒子100粒の平均重量と比重とを測定して算出することもできる。
本発明の製造方法におけるポリエステルプレポリマーの固相重縮合反応は、所定の条件下で行うことが必要である。プレポリマーは、固相重縮合反応に先立ち、必要に応じて公知の方法、例えば120〜180℃の不活性ガス気流中で0.5〜12時間流動化させることで結晶化及び乾燥処理を行うことができる。本発明の固相重縮合反応は、温度の下限が200℃、好ましくは205℃、更に好ましくは208℃であり、温度の上限が当該ポリエステルプレポリマーの融点よりも5℃低い温度、好ましくは融点よりも8℃低い温度、更に好ましくは融点よりも10℃低い温度である。この温度範囲内で不活性ガス雰囲気下、固相重縮合反応を実施する。
固相重縮合温度が低すぎると固相重縮合速度が遅く好ましくなく、他方、固相重縮合温度が高すぎると、固相重縮合時にポリエステル粒子が融着するため好ましくない。
また、不活性ガスとは、実質的にポリエステルと反応しない気体のことであり、ガス中の酸素濃度は0.1体積%以下、好ましくは0.05体積%以下である。実質的にポリエステルと反応しない気体としては、具体的には窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、キセノン等が例示できるが、主に経済性の点から窒素が好ましく用いられる。
なお、固相重縮合後の平均粒径は、通常、固相重縮合前のプレポリマーの平均粒径とほぼ一致する。
実施例及び比較例において、本発明方法を代表する実施の形態として、原料成分には芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体としてテレフタル酸ジメチル、芳香族ジカルボン酸としてテレフタル酸(以下、TPAと略す)、ジオールとしてエチレングリコール(以下、EGと略す)を用い、これらの原料成分からポリエステルプレポリマーとして、TPAとEG、及び、TPAとEGと分岐成分のエステル化反応物又はその溶融重縮合反応物(以下、PETプレポリマーと略す)を製造し、固相重合後のポリエステルとしてホモポリエチレンテレフタレート、又は分岐成分共重合ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略す)を製造する場合について説明する。
トリメチロールプロパン(以下、TMPと略す):[脂肪族3官能アルコール、絶対圧力4kPaにおける沸点が292℃、三菱瓦斯化学(株)製]
トリメリット酸無水物(以下、TMAと略す):[芳香族3官能カルボン酸無水物、絶対圧力2kPaにおける沸点が240℃、和光純薬(株)製]
DL−リンゴ酸(以下、MAと略す):[脂肪族3官能ヒドロキシカルボン酸、常圧における沸点が150℃、川崎化成工業(株)製]
ペンタエリスリトール(PEと略す):[脂肪族4官能アルコール、絶対圧力4kPaにおける沸点が276℃、東京化成工業(株)製]
<ポリエステルプレポリマーの融点>
試料を、アルミニウム製オープンパン及びパンカバー(常圧タイプ、セイコー電子社製「P/N SSC000E030」及び「P/N SSC000E032」)を用いて封入し、示差走査熱量計(セイコー社製「DSC220C」)を用いて、窒素気流下、0℃から20℃/分の速度で300℃まで昇温した際のDSC曲線における、最も高温側の吸熱ピークの頂点に対応する温度を融点とした。
試料を重水素化トリフルオロ酢酸に溶解し、標線としてテトラメチルシランを加え、核磁気共鳴装置(NMR)により1Hをモニターすることにより分析し、分岐成分の全ジカルボン酸成分に対するモル比率を求めた。
「平均粒径」とは、当該粒子と同体積を有する球の直径の重量平均値のことであり、平均粒径が2.0mm以下の場合は、レーザー回折式粒径分布測定装置にて測定して算出した。また、平均粒径が2.0mmを越える場合は、当該粒子100粒の平均重量と比重とを測定して算出した。
試料約0.25gを、フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン(重量比1/1)の混合溶媒約25mLに、濃度が1.00×10-2kg/Lとなるように溶解させた後、30℃まで冷却し、全自動溶液粘度計(中央理化社製「2CH型DJ504」)にて、濃度が1.00×10-2kg/Lの試料溶液及び溶媒のみの落下秒数を測定し、下式により算出した。
(数1)
[η]=((1+4KHηsp)0.5−1)/(200KHC)
ここで、 ηsp=η/η0−1 であり、ηは試料溶液の落下秒数、η0は溶媒の落下秒数、Cはポリマー溶液濃度(kg/L)、KHはハギンズの定数である。KHは0.33を採用した。
試料の溶解条件は、試料がプレポリマーの場合は110℃で30分間、固相重縮合後のポリエステルの場合は140℃で30分間とした。
なお、試料中にゲルがあり溶け残りがある場合は、溶け残りを40メッシュの金網で除去し、乾燥後に重量を測定し、濃度補正をして、固有粘度を求めた。
固有粘度測定時の溶解操作後、肉眼観察でポリエステル中の不溶分の有無にて判断した。即ち、不溶分がある場合はゲル生成ありと判断した。
(原料オリゴマーの製造)
テレフタル酸ジメチル約2012kg(約10.4×103モル)とEG約1286kg(約20.7×103モル)とをエステル化反応槽に供給して溶解後、EGに溶解させた酢酸カルシウムを、カルシウム原子として約0.26kg(エステル交換反応により得られる生成物に対して約100ppm)となるように添加し、約220℃に保持しつつ、生成するメタノールを留出させながらエステル交換反応を行った。
エステル交換反応が終了した後、このエステル化反応槽に、EGに溶解させた正リン酸を正リン酸として0.26kg(エステル交換反応により得られる生成物に対して約100ppm)となるように添加した後、TPA約1721kg(約10.4×103モル)とEG約772kg(約12.4×103モル)とをスラリー調製槽で攪拌・混合して得られたスラリーを3時間掛けて連続的に供給し、常圧下、約250℃でエステル化反応を行い、供給開始から約4時間後に、反応液の約50%を重縮合反応槽に移送した。
このようにして、実質的に触媒成分を含有しないTPAとEGとのエステル化生成物を製造した。このエステル化生成物を、エステル化反応槽から重縮合反応槽に移送する途中で抜き出し、大気下で冷却・固化させることにより以下の実施例で使用する原料オリゴマーを得た。この原料オリゴマーのエステル化反応率は96%であった。
上記の如く製造した原料オリゴマー156gと分岐成分としてTMP0.52g(0.50モル%対TPA)とをガラス管に計量し、ガラス管を260℃のオイルバスに浸漬することで、系内温度(管内温度)を260℃とし、窒素雰囲気下で融解させた。融解した原料オリゴマーを攪拌しながら、オイルバスの温度を250℃に下げることで系内温度を250℃とし、二酸化ゲルマニウム/EG0.52重量%溶液4.99g(ゲルマニウムメタルとして120ppm対ポリマー)、正リン酸/EG1.5重量%溶液1.0g(正リン酸として100ppm対ポリマー)をそれぞれ添加した後、オイルバスの温度を調節することで、系内の温度を60分掛けて250℃から270℃まで昇温すると共に、60分掛けて常圧から絶対圧力133Paに減圧して同圧を保持しつつ、溶融重縮合させた。圧力が絶対圧力133Paに到達してから10分経過後、攪拌を停止し、窒素にて常圧に戻し、ガラス管をオイルバスから取り出した。オイルバスから取り出した後、速やかにガラス管下部に抜き出し口を開け、窒素で微加圧にすることで、PETプレポリマーをストランド状に抜き出し、水冷・固化させた。固化させたストランドは、付着した水分を除去してから、サンプルミル(協立理工社製SK−M2型)にて粉砕した。この粉砕品を篩分し、目開き150μmの篩上、355μmの篩下を、固相重縮合に供するPETプレポリマー粒子とした。
このPETプレポリマー粒子の分岐成分含有量、平均粒径の測定結果を表1に示す。また、このPETプレポリマーの融点は253℃であった。
前記のPETプレポリマー粒子18gを、底面が130mm×170mmの角形で、深さが30mmのステンレス製バットに載せた状態で、内部のガス温度が180℃のイナートオーブン(タバイエスペック社製IPHH−201M型)に入れ、イナートオーブンの内部に流通させる窒素の流量を50NL/分、温度を180℃として、2時間の結晶化処理を行った。ここで、NLとは0℃、1気圧における体積(L)のことである。
この様にして結晶化処理したポリエステルプレポリマー粒子2gを、前記のステンレス製バットに均一に載せ、内部のガス温度が50℃の前記のイナートオーブンに入れ、イナートオーブンの内部に流通させる窒素の流量を50NL/分、温度を50℃から210℃まで30分掛けて昇温し、210℃で20分保持後、0.5℃/分の昇温速度で230℃まで昇温し、230℃で所定時間保持することで、固相重縮合を行った。
230℃到達後の保持時間を固相重縮合時間として、固相重縮合時間を2時間及び3時間としたときに得られたPETにつき、その固有粘度測定、ゲル生成観察、粒子融着の有無観察を行った。
TMPを添加しなかった以外は実施例1と同様にして、PETプレポリマー(融点253℃)及び固相重縮合後のPETを得た。実施例1と同様にして行ったPETプレポリマー及びPETの物性測定及び観察結果を表1に示す。
この例は、分岐成分を添加しない場合は、固相重縮合に依る固有粘度の上昇幅が小さいことを示す。
TMPの添加量を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、PETプレポリマー(融点253℃)及び固相重縮合後のPETを得た。実施例1と同様にして行ったPETプレポリマー及びPETの物性測定及び観察結果を表1に示す。
比較例2(分岐成分の含有量が少ない例)は、固相重縮合に依る固有粘度の上昇幅が小さく、TMPを添加しない比較例1に対してTMPの添加による優位性があまりないことを示す。
比較例3(分岐成分の含有量が多い例)は、固相重縮合を2時間及び3時間行った後のPETの固有粘度測定時に、PETの粘度溶媒溶液と略同一の屈折率の透明な球状ゲルが溶液中に浮遊しており、ゲルが生成していることを示す。
TMPの代わりにTMA0.75g(0.50モル%対TPA)を添加することに変更した以外は実施例1と同様にして、PETプレポリマー(融点253℃)及び固相重縮合後のPETを得た。実施例1と同様にして行ったPETプレポリマー及びPETの物性測定及び観察結果を表1に示す。
TMPの代わりにMA0.52g(0.50モル%対TPA)を添加することに変更した以外は実施例1と同様にして、PETプレポリマー(融点253℃)及び固相重縮合後のPETを得た。実施例1と同様にして行ったPETプレポリマー及びPETの物性測定及び観察結果を表1に示す。
TMPの代わりにPE0.21g(0.20モル%対TPA)を添加することに変更した以外は実施例1と同様にして、PETプレポリマー(融点253℃)及び固相重縮合後のPETを得た。実施例1と同様にして行ったPETプレポリマー及びPETの物性測定及び観察結果を表1に示す。
実施例1で得られた原料オリゴマー約156gと分岐成分としてTMA0.75g(0.50モル%対TPA)とをガラス管に計量し、ガラス管を260℃のオイルバスに浸漬することで、系内温度を260℃とし、窒素雰囲気下で融解させた。融解した原料オリゴマーを攪拌しながら、オイルバスの温度を250℃に下げることで系内温度を250℃とし、二酸化ゲルマニウム/EG0.52重量%溶液4.99g(ゲルマニウムメタルとして120ppm対ポリマー)、正リン酸/EG1.5重量%溶液1.0g(正リン酸として100ppm対ポリマー)をそれぞれ添加した。そのままの状態で5分間保持した後、攪拌を停止し、ガラス管をオイルバスから取り出した。オイルバスから取り出し後、速やかにガラス管下部に抜き出し口を開け、PETプレポリマーをステンレス製バット上に抜き出し、空冷・固化させた。固化させたプレポリマーは、サンプルミル(協立理工社製SK−M2型)にて粉砕した。この粉砕品を篩分し、目開き150μmの篩上、355μmの篩下を、固相重縮合に供するPETプレポリマー粒子(融点253℃)とした。
このPETプレポリマー粒子を、実施例1と同様にして結晶化及び固相重縮合し、固相重縮合後のPETを得た。実施例1と同様にして行ったPETプレポリマー及びPETの物性測定及び観察結果を表1に示す。
更に、固相重縮合時間を48時間としたときの、得られたPETの固有粘度測定結果を表1に示す。
この例は、PETプレポリマーの固有粘度が低い場合は、固相重縮合に依る固有粘度の上昇幅が小さく、かつ、48時間の固相重縮合を行っても、到達固有粘度が低いことを示す。
TMPの添加量を表1に示すように変更し、PETプレポリマーの製造において133Paに到達後直ちに攪拌を停止し、窒素にて常圧に戻し、ガラス管をオイルバスから取り出した以外は実施例1と同様にして、PETプレポリマー(融点253℃)及び固相重縮合後のPETを得た。実施例1と同様にして行ったPETプレポリマー及びPETの物性測定及び観察結果を表1に示す。
PETプレポリマーの製造において圧力が133Paに到達してから40分経過後、攪拌を停止し、窒素にて常圧に戻し、ガラス管をオイルバスから取り出した以外は実施例1と同様にして、PETプレポリマー(融点253℃)及び固相重縮合後のPETを得た。実施例1と同様にして行ったPETプレポリマー及びPETの物性測定及び観察結果を表1に示す。
PETプレポリマーの製造において圧力が133Paに到達してから60分経過後、攪拌を停止し、窒素にて常圧に戻し、ガラス管をオイルバスから取り出した以外は実施例1と同様にして、PETプレポリマー(融点253℃)及び固相重縮合後のPETを得た。実施例1と同様にして行ったPETの物性測定及び観察結果を表1に示す。
この例は、PETプレポリマーの固有粘度が高い場合には、比較例3と同様に、固相重縮合を2時間及び3時間行った後のPETの固有粘度測定時にゲルが生成していることを示す。
TMPを添加せず、PETプレポリマーの製造において、固化させたストランドをニッパーにて裁断し、PETプレポリマー粒子の平均粒径を3.0mmとした以外は実施例7と同様にして、PETプレポリマー(融点253℃)及び固相重縮合後のPETを得た。実施例1と同様にして行ったPETプレポリマー及びPETの物性測定及び観察結果を表1に示す。
また、固相重縮合時間を48時間としたときの、得られたPETの固有粘度測定結果を表1に示す。
この例は、分岐成分を添加せず、プレポリマー粒子の粒径を大きくした場合は、固相重縮合に依り高分子量のポリエステルを得るのに長時間を要することを示す。
PETプレポリマーの製造において、固化させたストランドをニッパーにて裁断し、PETプレポリマー粒子の平均粒径を3.0mmとした以外は実施例7と同様にして、PETプレポリマー(融点253℃)及び固相重縮合後のPETを得た。実施例1と同様にして行ったPETプレポリマー及びPETの物性測定及び観察結果を表1に示す。
また、固相重縮合時間を48時間としたときの、得られたPETの固有粘度測定結果を表1に示す。
この例は、TMPを添加しない比較例6に対してTMPの添加による優位性があることを示す。
三角フラスコに、TMPを5.00g計量し、45.0gのEGを加え、攪拌することによりスラリー状に混合した後、室温で静置することで、TMPのEGへの溶解性を調べた。その結果、TMPは約4時間でEGへの溶解が完了し、容易にTMP10重量%EG溶液を得ることができた。
同様にして、TMA、MA、PEそれぞれについて、EGへの溶解性を調べた。その結果、EGへの溶解が完了するまでにTMAは3日間、MAは12時間を要し、PEは5日間経過しても溶解が完了しなかった。
TMPの代わりに、参考例1で調製したTMP10重量%EG溶液5.2g(TMPとして0.5モル%対TPA)を添加することに変更した以外は実施例1と同様にして、PETプレポリマー(融点253℃)及び固相重縮合後のPETを得た。TMPのEG溶液を用いても、実施例1と同様、特に問題なく溶融重縮合、固相重縮合を行うことができた。
Claims (8)
- 芳香族ジカルボン酸及び/又はそのエステル形成性誘導体、ジオール並びに3個以上の官能基を有する多官能化合物を、エステル化反応及び/又はエステル交換反応を経て溶融重縮合反応を行うことによりポリエステルプレポリマーを生成し、該ポリエステルプレポリマーを固相重縮合するポリエステルの製造方法において、該ポリエステルプレポリマーが、該多官能化合物をジカルボン酸成分に対して0.15モル%以上、1.00モル%以下含有しており、且つその固有粘度が0.15dL/g以上、0.30dL/g以下であり、また固相重縮合反応を200℃以上、該ポリエステルプレポリマーの融点よりも5℃低い温度以下の温度で、不活性ガス雰囲気において行うことを特徴とする固有粘度が0.70dL/g以上、1.50dL/g以下のポリエステルの製造方法。
- 3個以上の官能基を有する多官能化合物が、炭素原子数が2以上、30以下であり、且つカルボキシル基、ヒドロキシル基及びそれらのエステル形成性基から選ばれる官能基を3個以上、8個以下有することを特徴とする請求項1に記載のポリエステルの製造方法。
- 3個以上の官能基を有する多官能化合物が、絶対圧力4kPaにおける沸点が200℃以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリエステルの製造方法。
- 3個以上の官能基を有する多官能化合物が、ジオールに常温(20℃)で溶解することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のポリエステルの製造方法。
- 芳香族ジカルボン酸及び/又はそのエステル形成性誘導体がテレフタル酸及び/又はそのエステル形成性誘導体を主成分とし、またジオールがエチレングリコールを主成分とすることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のポリエステルの製造方法。
- ポリエステルプレポリマーを、平均粒径が0.1mm以上、2mm以下の粒状物に造粒し、固相重縮合に供することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のポリエステルの製造方法。
- ポリエステルプレポリマーの粒状物が、溶融状態のプレポリマーをガス媒体中に滴下及び/又は噴出させることにより形成されることを特徴とする請求項6に記載のポリエステルの製造方法。
- 固相重縮合を、ポリエステルプレポリマーの固相流動状態にて行うことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のポリエステルの製造方法。
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