JP6834631B2 - ポリエステルの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリエステルの製造方法に関する。詳しくは、食品容器、医療用包材に好適なポリエステルの製造方法に関する。
従来、ポリエステル樹脂、例えばポリエチレンテレフタレートは、機械的強度、化学的安定性、ガスバリア性、保香性、衛生性等に優れ、又、比較的安価で軽量であるために、各種飲食品等の包装容器等として広く用いられている。但し、一般的にポリエステルは柔軟性が劣ることよりその改良が求められていた。特許文献1、2及び3では、ジカルボン酸成分としてダイマー酸を共重合した柔軟性が改良されたポリエステルが記載されている。特許文献4にはテレフタル酸を主たるジカルボン酸成分とするポリエステルについて、固相重縮合工程等における固着防止のために剪断処理を行うことが開示されている
特開2002−179781号公報 特開2007−186677号公報 特開2007−191506号公報 特開2009−001716号公報
しかしながら、これら従前知られたダイマー酸を共重合したポリエステルでは、固有粘度が低く、ブロー成形性や押出フィルム成形性に乏しく、大型の食品容器や医療用包材等へ成形することが困難であった。又それを改良するために従前知られた剪断処理方法を適用したのちに固相重縮合を実施しても成形外観が悪化するという問題があった。
本発明は上記問題点を解決するためになされたものである。すなわち、ブロー成形性、押出フィルム成形性が良好で、且つフィッシュアイが少ない等成形外観が良好な成形品を得ることができるダイマー酸を共重合したポリエステルを提供することを目的とする。
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ダイマー酸を特定割合含有するジカルボン酸成分とジオール成分を原料とし、ポリエステル重縮合触媒存在下、溶融重縮合によりプレポリマーを得る工程、該プレポリマーに剪断処理を施す工程及び該剪断処理されたプレポリマーを固相重縮合によりポリエステルとする工程を含むポリエステルの製造方法であって、該剪断処理の温度を該プレポリマーのガラス転移温度以上とすることにより、得られたポリエステルが良好な固有粘度を有し、且つ微粉量が少なくすることができることから、ブロー成形性や押出フィルム成形性が良好で、且つフィッシュアイが少ない等成形外観が良好な成形品を得ることができることを見いだし、本発明に至った。
すなわち、本発明は以下である。
[1]ダイマー酸及び/又はそのエステル形成性誘導体が5モル%以上20モル%以下含有するジカルボン酸成分とジオール成分を原料とし、ポリエステル重縮合触媒存在下、溶融重縮合によりプレポリマーを得る工程、該プレポリマーに剪断処理を施す工程及び該剪断処理されたプレポリマーを固相重縮合によりポリエステルとする工程を含むポリエステルの製造方法であって、該剪断処理の温度(T)が該プレポリマーのガラス転移温度(T
g)以上であるポリエステルの製造方法。
[2]前記プレポリマーのガラス転移温度(Tg)が0℃以上60℃以下である[1]に記載のポリエステルの製造方法。
[3]前記剪断処理の温度(T)が下記式(1)を満たす[1]又は[2]に記載のポリエステルの製造方法。
Tg ≦ T ≦ Tg+30℃ (1)
[4]前記ジオール成分がジエチレングリコールを含有する[1]乃至[3]のいずれかに記載のポリエステルの製造方法。
[5]前記ポリエステル重縮合触媒がチタン化合物を含有する[1]乃至[4]のいずれかに記載のポリエステルの製造方法。
[6]前記ポリエステル重縮合触媒がマグネシウム化合物を含有する[1]乃至[5]のいずれかに記載のポリエステルの製造方法。
[7]前記ポリエステル重縮合触媒がリン化合物を含有する[1]乃至[6]のいずれかに記載のポリエステルの製造方法。
本発明のポリエステルの製造方法により製造されたポリエステルは、良好な固有粘度を有し、且つ微粉量が少ないポリエステルとすることができることから、ブロー成形性や押出フィルム成形性が良好で、且つフィッシュアイが少ない等成形外観が良好な成形品を得ることができることより、種々の食品用の容器、又は包装材料に適用することができる。
以下に本発明のポリエステルの製造方法の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の代表例であり、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。
本発明のポリエステルの製造方法は、ポリエステルの原料としてはジカルボン酸成分とジオール成分からなる。ジカルボン酸成分のうち、ダイマー酸及び/又はそのエステル形成性誘導体の含有量は5モル%以上20モル%以下であり、好ましくは5モル%以上15モル%以下、より好ましくは6モル%以上12モル%以下である。ダイマー酸及び/又はそのエステル形成性誘導体が前記範囲内であることにより柔軟なポリエステルとすることが可能である。
尚、本発明におけるダイマー酸とは、炭素数16以上の不飽和脂肪族カルボン酸の二量体又はその水添物をいう。このダイマー酸は、例えば、大豆油や菜種油、牛脂、トール油などの非石油原料から抽出された炭素数16以上の不飽和カルボン酸(例えば、リノール酸やオレイン酸を主成分とする不飽和脂肪族カルボン酸)の混合物を二量体化又はそれを水添して得ることができる。このような製法を用いてダイマー酸を得ると、不純物として、過剰に反応した三量体、未反応物である不飽和脂肪族カルボン酸が含有される。該不純物はポリエステルにおいてはブリードアウトやゲル化の原因となるため、可能な限り少ないことが好ましい。
ダイマー酸は不飽和結合を含み、そのまま使用すると重合中に分岐反応が進行したり、ポリエステル樹脂の色調を悪化させる可能性があることから水添されたものであることが好ましい。
ダイマー酸及び/又はそのエステル形成性誘導体以外のジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フランジカルボン酸、フタル酸、スルホイソフタル酸ナトリウム、フェニレンジオキシジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルケトンジカルボン酸、4,4’−ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、2
,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等の脂環式ジカルボン酸、及び、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカジカルボン酸、ドデカジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、並びにこれらの炭素数1〜4程度のアルキル基を有するエステル、及びハロゲン化物等が挙げられるが、耐熱性を考えると、芳香族ジカルボン酸及び/又はそのエステル形成性誘導体が好ましく、中でも、コスト面、入手のしやすさから、テレフタル酸及び/又はそのエステル形成性誘導体、イソフタル酸及び/又はそのエステル形成性誘導体、又は、テレフタル酸及び/又はそのエステル形成性誘導体とイソフタル酸及び/又はそのエステル形成性誘導体の混合物がより好ましい。
ジオール成分としては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタメチレングリコール、デカメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、等の脂肪族ジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,1−シクロヘキサンジメチロール、1,4−シクロヘキサンジメチロール、2,5−ノルボルナンジメチロール等の脂環式ジオール、及び、キシリレングリコール、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン酸等の芳香族ジオール、並びに、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパンのエチレンオキサイド付加物又はプロピレンオキサイド付加物、ダイマージオール等が挙げられるが、柔軟性を付与することより、脂肪族ジオールを含有することが好ましく、中でも、耐熱性を考慮すると、1,4−ブタンジオール、又はエチレングリコールを含有することがより好ましく、エチレングリコールを含有することが更に好ましい。
(ポリエステルの製造方法)
以下に本発明のポリエステルの製造方法では、ダイマー酸及び/又はそのエステル形成性化合物以外のジカルボン酸成分が、テレフタル酸及び/又はそのエステル形成性誘導体、イソフタル酸及び/又はそのエステル形成性誘導体を含み、ジオール成分がエチレングリコールを含むものであるとして説明する。
例えば、テレフタル酸及び/又はそのエステル形成性誘導体、イソフタル酸及び/又はそのエステル形成性誘導体を含むジカルボン酸成分とエチレングリコールを含むジオール成分とを、所定割合で攪拌下に混合して原料スラリーとする工程、次いで、該原料スラリーを常圧又は加圧下で加熱して、エステル化反応させ工ポリエステル低重合体(以下「オリゴマー」と称する場合がある。)とする工程、次いで、得られたオリゴマーにダイマー酸及び/又はそのエステル形成性誘導体を添加したのちに、ポリエステル重縮合触媒存在下に、漸次減圧するとともに、加熱して、溶融重縮合によりプレポリマーを得る工程を含む。
尚、ダイマー酸及び/又はそのエステル形成性誘導体は前記原料スラリーに添加する方法、前記オリゴマーに添加する方法のいずれの方法も適用することができる。
[溶融重縮合]
前記オリゴマーはポリエステル重縮合触媒存在下、溶融重縮合によりプレポリマーとなる。
該ポリエステル重縮合触媒としては、例えば、三酸化二アンチモン等のアンチモン化合物;二酸化ゲルマニウム、四酸化ゲルマニウム等のゲルマニウム化合物;テトラメチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート等のチタンアルコラ
ート、テトラフェニルチタネート等のチタンフェノラート等のチタン化合物;ジブチルスズオキサイド、メチルフェニルスズオキサイド、テトラエチルスズ、ヘキサエチルジスズオキサイド、シクロヘキサヘキシルジスズオキサイド、ジドデシルスズオキサイド、トリエチルスズハイドロオキサイド、トリフェニルスズハイドロオキサイド、トリイソブチルスズアセテート、ジブチルスズジアセテート、ジフェニルスズジラウレート、モノブチルスズトリクロライド、トリブチルスズクロライド、ジブチルスズサルファイド、ブチルヒドロキシスズオキサイド、メチルスタンノン酸、エチルスタンノン酸、ブチルスタンノン酸等のスズ化合物;酢酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、マグネシウムアルコキサイド、燐酸水素マグネシウム等のマグネシウム化合物、酢酸カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、カルシウムアルコキサイド、燐酸水素カルシウム等のカルシウム化合物等が挙げられる。中でも、反応効率が良好であることよりチタン化合物、マグネシウム化合物が好ましい。チタン化合物としてテトラブチルチタネートがより好ましく、マグネシウム化合物としては酢酸マグネシウムがより好ましい。尚、これらの触媒は、単独でも2種以上混合して使用することもできる。
使用するポリエステル重縮合触媒の量としては、ポリエステル重縮合触媒としてチタン化合物の場合、チタン化合物の使用量は、チタン原子として溶融重縮合に供されたオリゴマー及びジカルボン酸成分の総量に対して、3質量ppm〜30質量ppmであることが好ましく、3質量ppm〜20質量ppmであることがより好ましく、5質量ppm〜10質量ppmであることがさらに好ましい。前記範囲内であることより、熱安定性が良好で、黄色度の小さい色調が良い品質となる傾向にある。
ポリエステル重縮合触媒としてマグネシウム化合物の場合、マグネシウム化合物の使用量は、マグネシウム原子として溶融重縮合に供されたオリゴマー及びジカルボン酸成分の総量に対して、3質量ppm〜30質量ppmであることが好ましく、3質量ppm〜20質量ppmであることがより好ましく、5質量ppm〜10質量ppmであることがさらに好ましい。前記範囲内であることより、重合反応性が良好となる傾向にある。
また、該ポリエステル重縮合触媒と共に更にリン化合物をポリエステル重縮合触媒として加えることが好ましく、リン化合物としては、正リン酸、ポリリン酸、及び、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリ−n−ブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリス(トリエチレングリコール)ホスフェート、エチルジエチルホスホノアセテート、メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、イソプロピルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、モノブチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、トリエチレングリコールアシッドホスフェート等の5価のリン化合物、亜リン酸、次亜リン酸、及びジエチルホスファイト、トリスドデシルホスファイト、トリスノニルデシルホスファイト、トリフェニルホスファイト等の3価のリン化合物等が挙げられる。これらの中、3価のリン化合物は5価のリン化合物よりも一般に還元性が強く、ポリエステル重縮合触媒として添加した金属化合物が還元されて析出し、異物を発生する原因となる場合があるので、5価のリン化合物の方が好ましい。
リン化合物の使用量は、リン原子として溶融重縮合に供されたオリゴマー及びジカルボン酸成分の総量に対して、3質量ppm〜30質量ppmであることが好ましく、3質量ppm〜20質量ppmであることがより好ましく、5質量ppm〜10質量ppmであることがさらに好ましい。
該溶融重縮合における反応圧力は絶対圧力で0.001kPa〜1.33kPaであることがこのましい。又反応温度としては、220℃〜280℃であることが好ましく、230℃〜260℃であることがより好ましい。更に反応時間としては1時間〜8時間であ
ることが好ましく、2時間〜6時間であることがより好ましい。
前記反応圧力、反応温度、反応時間とすることにより重合度の高く、色調が良好なプレポリマーを製造することができる。
前記溶融重縮合を経て得られるプレポリマーのガラス転移温度(Tg)は示差走査熱量計により求めることができる。その下限値は0℃であることが好ましく、より好ましくは5℃である。また、その上限値は60℃であることが好ましく、より好ましくは50℃である。ガラス転移温度(Tg)が低すぎると熱安定性が劣る傾向がある。一方、高すぎると柔軟性に劣る場合がある。
前記溶融重縮合を経て得られるプレポリマーの固有粘度は、フェノール/テトラクロロエタン(質量比1/1)の混合液を溶媒として30℃で測定した値として求められる。その下限値は0.20dL/gであることが好ましく、より好ましくは0.40dL/gである。また、その上限値は1.50dL/gであることが好ましく、より好ましくは1.30dL/gである。固有粘度が0.02dL/g未満では、機械物性が劣る傾向がある。一方、1.50dL/g超過では重合時間が長時間化し、色調が悪くなる場合がある。
前記溶融重縮合工程を経て得られるプレポリマーの末端カルボキシル基量は、30当量/トン以下が好ましく、より好ましくは20当量/トン以下である。末端カルボキシル基量がこの値を超えると耐加水分解性が悪化する傾向となる。尚、プレポリマーの末端カルボキシル基量は水酸化ナトリウムによる滴定法により求めることができる。
前記溶融重縮合工程により得られるプレポリマーは、通常、重縮合槽の底部に設けられた抜き出し口からストランド状に抜き出した後、該ストランド状のプレポリマーを水冷しながら、または水冷後、カッターで切断してペレット状または、チップ状等の粒状体とすることが好ましい。
[剪断処理]
本発明では、上記のようにして得られるプレポリマーに対して、剪断処理を施すことによって粒状体表面を粗面化する。
剪断処理の方法としては、特に制限は無く、公知の剪断処理装置を用いて行うことができる。一般的には、しんとう機、精米機、ヘンシェルミキサー、Vブレンダー、リボンブレンダー、タンブラーブレンダーなどを用いて、樹脂ペレット同士が互いにこすれあうように樹脂ペレットを攪拌することにより実施される。本発明における該剪断処理の温度(T)は該プレポリマーのガラス移転温度(Tg)以上の温度である。又、該剪断処理の温度(T)の好ましい範囲は、下記式(1)を満たす範囲内である。
Tg ≦ T ≦ Tg+30℃ (1)
該剪断処理の温度(T)を前記範囲内とすることにより、該剪断処理されたプレポリマーを固相重縮合したポリエステルは、良好な固有粘度を有し、微粉量を少なくすることができることから、ブロー成形性や押出フィルム成形性が良好で、且つフィッシュアイが少ない等成形外観が良好な成形品を得ることができる。尚、剪断処理の温度(T)とは、該剪断処理装置により、剪断処理を実施しているときの該剪断処理装置内の最高温度のことである。
[固相重縮合]
該剪断処理されたプレポリマーは固相重縮合によりポリエステルとする。固相重縮合は、例えば、窒素、二酸化炭素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、大気圧に対する相対圧力として、通常100kPa以下、好ましくは20kPa以下の加圧下で通常5時間〜30時間程度、或いは、絶対圧力として、上限は通常6.5kPa、好ましくは1.3kPa、下限は通常0.013kPa、好ましくは0.065kPaの減圧下で通常1時間〜
20時間程度、下限温度が通常190℃、好ましくは195℃、上限温度が通常230℃、好ましくは225℃で加熱することにより一般に行われる。この固相重縮合により、更に高重合度化することができると共に、アセトアルデヒド等の副生物を低減することもできる。
前記固相重縮合により得られるポリエステルの固有粘度(IV)は、フェノール/テトラクロロエタン(重量比1/1)の混合液を溶媒として30℃で測定した値として、下限が通常0.70dl/g、好ましくは0.73dl/g、上限が通常1.5dl/g、好ましくは1.3dl/gとなる。固有粘度(IV)が前記範囲内であることにより、ブロー成形性、押出フィルム成形性が良好となる可能性がある。
前記固相重縮合により得られるポリエステルの末端カルボキシル基量は、30当量/トン以下が好ましく、より好ましくは20当量/トン以下である。末端カルボキシル基量がこの値を超えると耐加水分解性が悪化する傾向となる。尚、ポリエステルの末端カルボキシル基量は水酸化ナトリウムによる滴定法により求めることができる。
前述の溶融重縮合又は固相重縮合により得られたポリエステルを、含まれるポリエステル重縮合触媒を失活させるために、以下のような処理を行うことができる。ポリエステル重縮合触媒を失活させるための処理としては、40℃以上の温水に10分以上浸漬させる水処理、60℃以上の水蒸気又は水蒸気含有ガスに30分以上接触させる水蒸気処理、有機溶剤による処理、各種鉱酸、有機酸、燐酸、亜燐酸、燐酸エステル等の酸性水溶液若しくは有機溶剤溶液による処理、或いは、第1A族金属、第2A族金属、アミン等のアルカリ性水溶液若しくは有機溶剤溶液による処理等が一般に行われる。
前記溶融重縮合反応条件、固相重縮合反応条件とすることにより所望の固有粘度を有するポリエステルとすることが可能となる。
本発明のポリエステルは、その用途に応じて更に結晶核剤、酸化防止剤、着色防止剤、顔料、染料、紫外線吸収剤、離型剤、易滑剤、難燃剤、帯電防止剤、無機及び/又は有機粒子等を配合することができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
<固有粘度(IV)>
試料約0.25gを、フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン(質量比1/1)の混合溶媒約25mLに、濃度が1.00g/dLとなるように溶解させた後、30℃まで冷却し、30℃において全自動溶液粘度計(センテック社製、「DT553」)にて、試料溶液の落下速度、溶媒のみの落下秒数それぞれを測定し、以下の式により、固有粘度(IV)を算出した。
IV=((1+4KHηsp0.5−1)/(2KHC)
ここで、ηsp=η/η−1 であり、ηは試料溶液の落下速度、ηは溶媒のみの
落下秒数、Cは試料溶液濃度(g/dL)、KHはハギンズの定数である。KHは0.33を採用した。なお試料の溶解条件は、110℃で30分間とした。
<末端カルボキシル基量>
試料を粉砕した後、熱風乾燥機にて140℃で15分間、乾燥させ、デシケーター内で室温まで冷却した試料から、0.1gを精秤して試験管に採取し、ベンジルアルコール3mlを加えて、乾燥窒素ガスを吹き込みながら195℃、3分間で溶解させ、次いで、クロロホルム5mlを徐々に加えて室温まで冷却した。この溶液にフェノールレッド指示薬を1〜2滴加え、乾燥窒素ガスを吹き込みながら撹拌下に、0.1Nの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液で滴定し、黄色から赤色に変じた時点で終了とした。また、ブランクとして、ポリエステル試料を溶解させずに同様の操作を実施し、以下の式によって
末端カルボキシル基量(酸価)を算出した。
末端カルボキシル基量(当量/トン)=(a−b)×0.1×f/w
(ここで、aは、滴定に要した0.1Nの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の量(μl)、bは、無試料で滴定に要した0.1Nの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の量(μl)、wはポリエステルの試料の量(g)、fは、0.1Nの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の力価である。)
<プレポリマーのガラス転移温度(Tg)>
プレポリマーのガラス転移温度(Tg)はDSC(示差走査熱量計)により測定した。測定条件としては、−10℃から300℃まで20℃/minで昇温し、300℃で3分間保持したのち20℃/minで急冷した後に、再度−10℃から300℃まで20℃/minで昇温し、ガラス転移変曲点をガラス転移温度(Tg)とした。
<曲げ弾性率 MPa>
ポリエステルぺレットを120℃で8時間、空気乾燥機により乾燥し、FE80S12ASE(日精樹脂工業社製射出成形機)を用いて以下の成形条件で射出成形し、試験片を得た。該試験片をJIS K7171に準じた方法でベンドグラフII 型式:B(株式会社東洋精
機製作所製曲げ試験機)により曲げ弾性率を測定した。
成形条件
成形温度:250℃(シリンダー設定)
金型温度:80℃(表面温度)
射出速度:200mm±100mm/秒(射出時間約2秒)
保圧時間:20秒
冷却時間:10秒
<フィッシュアイ(FE)数の測定>
ポリエステルペレットを窒素雰囲気下80℃で8時間乾燥し、型式ME−20/26V2(オプティカルコントロールシステムズ社製フィルム成形機)により、厚さ50μmのフィルムとした。
該フィルムをFilm Quality Testing System(オプティカル
コントロールシステムズ社 形式FS−5)を使用し、1m当たりの25μm以上のフ
ィッシュアイの数を測定した。
(実施例1)
テレフタル酸50.0質量部、イソフタル酸2.60質量部およびエチレングリコール53.6質量部を攪拌装置、昇温装置及び留出液分離塔を備えたエステル反応槽に仕込み、温度を250℃、まで上昇させ、圧力0.90kg/cm2にてエステル化反応を4時間行った。
次に、低重合体の存在するエステル化反応缶にテレフタル酸33.3質量部、イソフタル酸1.89質量部およびエチレングリコール16.9質量部で調製したスラリーを連続的にエステル反応槽に仕込み、温度250℃、常圧下で4時間攪拌保持すると共に水を留去しながらエステル反応を行ない、実質的にエステル反応を終了して共重合ポリエステル低重合体(オリゴマー)を得た。
次いで、該オリゴマー42kgを留出管を備えた攪拌機付き重縮合反応槽へ移送し、炭素数36の水添ダイマー酸(クローダジャパン製Pripol1009)を8.9質量部添加し、さらにポリエステル重縮合触媒として、酢酸マグネシウムのエチレングリコール溶液(3.0重量%濃度)を0.15質量部、テトラブトキシチタネートのエチレングリ
コール溶液(1.0重量%濃度)を0.36質量部、エチルアシッドホスフェートのエチレングリコール溶液(1.5重量%濃度)を0.15質量部添加した。
該重縮合反応槽内温度を250℃に保ちながら、2時間かけて圧力を0.13kPaに減圧し、次いで、同圧力にて3時間重縮合反応を行った。反応系を常圧に戻し重縮合反応を終了した。得られたプレポリマーを該重縮合反応槽の底部からストランドとして抜き出し、水中を潜らせた後、カッターで該ストランドをカットすることによりプレポリマーのペレット(以下「ペレット」と称する場合がある)とした。
得られたペレットを内壁に紙ヤスリを巻き付けたポリビン中にペレットを充填した。その後、ポリビンをしんとう機により剪断処理を行った。
その後、ポリビンに水を入れ、ペレットに付着した部分を分散する。ポリビン入った水、ペレットを篩(1700μm(10.5メッシュ))により篩別し、水を回収する。回収した水を#3600フィルターで減圧濾過を行い、微粉を回収した。該#3600フィルターを乾燥(100℃で1時間)し、該#3600フィルターの重量を計量した。ろ過後の#3600フィルター重量からろ過前の#3600フィルター重量を引いた値をペレット重量で除した値を微粉量(ppm)とした。
得られた剪断処理したペレットの固有粘度は、0.61であった。
次に、該剪断処理したペレットを、190℃、減圧下(0.133Kpa以下)で固相重縮合を74時間行ってポリエステルとした。種々物性等の結果を表1に示す。
尚、実施例1のポリエステルは、ジカルボン酸成分として、テレフタル酸が88モル%、イソフタル酸が5モル%及びダイマー酸が7モル%であり、ジオール成分として、エチレングリコール100モル%を原料として製造されたポリエステルである。
<実施例2>
実施例1において、テレフタル酸量を30.5質量部、イソフタル酸量を1.79質量部、ダイマー酸量を12.1質量部、エチレングリコール量を16.1質量部に変更、すなわち、ジカルボン酸成分として、テレフタル酸が85モル%、イソフタル酸が5モル%及びダイマー酸が10モル%とした以外は、実施例1と同様の方法で行った。結果を表1にまとめた。
<比較例1>
実施例2において剪断処理の温度を10℃にした以外は、実施例2と同様の方法で行った。結果を表1にまとめた。
<比較例2>
実施例1において、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸100モル%とした以外は、実施例1と同様の方法で行った。結果を表1にまとめた。
<比較例3>
比較例2において、剪断処理の温度を80℃とした以外は比較例2と同様の方法で行った。結果を表1にまとめた。
<比較例4>
比較例2においてジカルボン酸成分としてテレフタル酸が85モル%及びイソフタル酸が15モル%とした以外は、比較例2と同様の方法で行った。結果を表1にまとめた。
<比較例5>
比較例4において、剪断処理の温度を80℃とした以外は比較例4と同様の方法で行っ
た。結果を表1にまとめた。
<比較例6>
実施例1においてジカルボン酸成分として、テレフタル酸が94モル%、イソフタル酸が5モル%、ダイマー酸が1モル%とした以外は、実施例1と同様の方法で行った。結果を表1にまとめた。
<比較例7>
比較例6において、剪断処理の温度を80℃とした以外は比較例6と同様の方法で行った。結果を表1にまとめた。
Figure 0006834631
本発明の製造方法により製造されたポリエステルは実施例より明らかなように、固有粘
度が高いことより、ブロー成形性や押出フィルム成形性が良好であり、又、曲げ弾性率が低いことより成形品の柔軟性にすぐれ、更に、フィルムのフィッシュアイ数が少ないことより成形外観が良好な成形品を得ることができ、とりわけ大型の食品容器や医療用包材等への利用が可能となる。特に実施例2と比較例1を対比すると、ポリエステルの原料であるジカルボン酸成分、ジオール成分が本願で規定する範囲内で同じでありながら、実施例2は剪断処理の温度が、プレポリマーのガラス転移温度よりも高く、比較例1は低い。すると、比較例1に比し実施例2は微粉量が30%余り低減し、フィルムのフィッシュアイ数に至っては半減している。
一方、ジカルボン酸成分、ジオール成分が本願で規定する範囲外であるポリエステルにおいては、プレポリマーのガラス転移温度を挟んで剪断処理の温度を変化させても、本発明で明らかとなった効果は見出されておらず(比較例2と比較例3の対比等)、本発明は極めて有用な製造方法であることが分かる。

Claims (6)

  1. ダイマー酸及び/又はそのエステル形成性誘導体が5モル%以上20モル%以下含有するジカルボン酸成分とジオール成分を原料とし、ポリエステル重縮合触媒存在下、溶融重縮合によりプレポリマーを得る工程、該プレポリマーに剪断処理を施す工程及び該剪断処理されたプレポリマーを固相重縮合によりポリエステルとする工程を含むポリエステルの製造方法であって、
    該剪断処理の温度(T)が該プレポリマーのガラス転移温度(Tg)以上であり、下記式(1)を満たすポリエステルの製造方法。
    Tg ≦ T ≦ Tg+30℃ (1)
  2. 前記プレポリマーのガラス転移温度(Tg)が0℃以上60℃以下である請求項1に記載のポリエステルの製造方法。
  3. 前記ジオール成分がジエチレングリコールを含有する請求項1又は2に記載のポリエステルの製造方法。
  4. 前記ポリエステル重縮合触媒がチタン化合物を含有する請求項1乃至のいずれか1項に記載のポリエステルの製造方法。
  5. 前記ポリエステル重縮合触媒がマグネシウム化合物を含有する請求項1乃至のいずれか1項に記載のポリエステルの製造方法。
  6. 前記ポリエステル重縮合触媒がリン化合物を含有する請求項1乃至のいずれか1項に記載のポリエステルの製造方法。
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