JP2008274071A - ポリエステル重縮合用触媒の製造方法、該触媒を用いたポリエステルの製造方法 - Google Patents

ポリエステル重縮合用触媒の製造方法、該触媒を用いたポリエステルの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】チタン原子、アルカリ土類金属原子、及びリン原子を同一触媒内に含み、ポリエステルを生成する重縮合反応の触媒活性が高く、長期保存安定性に優れ、かつ酸性リン酸エステル化合物以外のリン化合物を原料としたポリエステル重縮合用触媒、及びそれを用いるポリエステルの製造方法を提供する。
【解決手段】アルコール、チタン化合物、アルカリ土類金属化合物、及び2リン酸結合を有するリン化合物を混合してポリエステル重縮合用触媒を製造し、これをジカルボン酸成分とジオール成分とのエステルの重縮合に用いてポリエステルを製造する。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリエステル重縮合用触媒の製造方法、詳しくはチタン原子、アルカリ金属原子、リン原子を含むポリエステル重縮合用触媒の製造方法、及び該重縮合用触媒を用いたポリエステルの製造方法に関する。
ポリエステルは、化学的、物理的性質に優れていることから、ボトル等の容器、フィルム、シート、繊維等の各種用途に広範囲に使用されている。一般に、ポリエステルは、ジカルボン酸とジオールとをエステル化反応又はエステル交換反応、及び溶融重縮合反応を経て、更に必要に応じて、特に容器用においては固相重縮合反応させることにより製造される。そして、その重縮合反応にはアンチモン、ゲルマニウム、チタン等の化合物がポリエステル重縮合用触媒として使用されている。
しかし、アンチモン化合物を触媒としたポリエステルにおいては、特有のくすみを有することや、アンチモン化合物において懸念されている安全衛生性、環境への配慮等の点から、アンチモン化合物の使用量を低減化し、又はそれらに代わるポリエステル重縮合用触媒の出現が強く望まれていた。また、ゲルマニウム化合物を触媒としたポリエステルにおいては、透明性や安全衛生性等の面では好適であるものの、ゲルマニウム化合物自体が極めて高価であり経済的不利が避けられない等の点から、ゲルマニウム化合物についても、使用量を低減化するか、それらに代わるポリエステル重縮合用触媒の出現が強く望まれていた。
一方、チタン化合物は、安価で、安全衛生性等への懸念もないことから注目され、アンチモン化合物やゲルマニウム化合物の代わりに使用されるに到っている。
例えば、特許文献1にはチタン化合物、マグネシウム化合物、リン化合物のそれぞれを、個別にエチレングリコール溶液として、分割して特定の割合で添加することで、品質の優れたポリエステルを製造する方法が提案されている。しかしながら、この方法では、少なくとも3つの独立した触媒添加装置が必要となり、従来のアンチモン触媒等を用いるポリエステル製造設備からの転用が容易ではなく、新たな設備の増設が必要となるため更に投資が必要となりコスト高を招くことになる。したがって、チタン原子、マグネシウムのようなアルカリ土類金属原子、及びリン原子を同一触媒内に含有し、従来から用いられているポリエステル製造設備を、そのまま安定して使用できるポリエステル重縮合用触媒が望まれていた。
このようなポリエステル重縮合用触媒として、特許文献2、3では、チタン化合物、アルカリ土類金属化合物、及び酸性リン酸エステル化合物を混合して得られた均一液状触媒が開示されている。この触媒はチタン元素、アルカリ土類金属元素、リン元素を一液に含んで重合系に添加できるため分割添加の必要がなく、また良好な重合活性と良好な長期保存安定性を示す。
特許文献2、3で使用される酸性リン酸エステル化合物については、特許文献2には、モノエステル体とジエステル体の混合物で、混合比が40:60〜60:40の範囲が特に好ましいと記載されている。また、特許文献3では、その組成について、モノエステル体、又はモノエステル体を30重量%以上含むモノエステル体とジエステル体の混合物を用いるのが好ましいと記載されている。
一般的に、酸性リン酸エステル化合物は、有機ヒドロキシル化合物と、リン酸又はその活性な誘導体とのエステル化反応により製造されるが、通常、得られた反応生成物はモノ、ジ、トリエステル体の混合物として得られる。その混合比率を安定的に任意の比率に調整し、又は混合物からモノエステル体のみを取り出す方法としては、カラムクロマトグラフィー精製を用いる方法が知られているが、その場合にはモノ体、及びジ体の単体を各々得、その後に必要に応じ所定の割合で混合するという煩雑な操作が必要である。また、前記精製等に多量の溶媒を必要とするため溶媒の回収設備も別途必要となってしまう。
酸性リン酸エステル化合物の製造方法で、カラムクロマトグラフィーを必要としない比率の調整方法としては、リン酸モノエステル体とリン酸ジエステル体の混合物と非水溶性有機溶媒及び塩基性化合物を混合しリン酸エステル塩として所定量の水を加え水相に抽出した後、水相に酸を加えてリン酸エステルに戻し、かつ所定量の非水溶性有機溶媒を添加して任意の割合のリン酸モノエステル化合物とリン酸ジエステル化合物の混合物を非水溶性有機溶媒層に抽出するという2段階抽出方法(例えば、特許文献4参照。)や、リン酸モノエステルとリン酸ジエステルの混合物中に所定量の金属酸化物と所定量の水を共存させることで組成比を制御する方法(例えば、特許文献5参照。)も報告されているが、いずれの方法においても組成比の調整工程は煩雑とならざるを得ない。
さらに、上記工程で組成を調整した後、引き続き、所定の組成に調整されていることを高速液体クロマトグラフ等の分析機器を使用して確認する分析工程も必要である。
このように、酸性リン酸エステル化合物は、その組成を安定的に調節して供給する上で複雑な製造工程が必要であり、またそのためにコスト高をも招くという弱点を有するため、このような観点によれば、ポリエステル重縮合用触媒の製造時に用いるリン化合物としては好適とは言いがたい。
したがって、チタン原子、アルカリ土類金属原子、リン原子を同一触媒内に含んで分割添加の必要がなく、良好な重合活性を示し、保管安定性が良好なポリエステル重縮合用触媒の製造方法として、酸性リン酸エステル化合物以外のリン化合物を用いた製造方法の開発が望まれていた。
特開2004−124068号公報 特開2006−199870号公報 特開2006−342320号公報 特開平10−182673号公報 特開平10−212294号公報
本発明は、上記実状に鑑みてなされたものであり、チタン原子、アルカリ土類金属原子、及びリン原子を同一触媒内に含み、ポリエステルを生成する重縮合反応の触媒活性が高く、長期保存安定性に優れ、かつ酸性リン酸エステル化合物以外のリン化合物を原料としたポリエステル重縮合用触媒の製造方法、並びにその触媒を用いたポリエステルの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、チタン原子、アルカリ土類金属原子、及びリン原子を同一触媒内に含み、ポリエステルを生成する重縮合反応において優れた触媒活性を示し、優れた保存安定性を示すポリエステル重縮合用触媒を製造するのに、リン化合物として酸性リン酸エステル化合物以外の特定のリン化合物を用いる方法を見出し本発明に到達した。
即ち本発明の要旨は、ポリエステルが生成する重縮合反応に用いられる、チタン、アルカリ土類金属、及びリンを含有するポリエステル重縮合用触媒を製造する方法であって、アルコール、チタン化合物、アルカリ土類金属化合物、及び2リン酸結合を有するリン化合物を混合し、混合物を得る工程(A)を含むことを特徴とするポリエステル重縮合用触媒の製造方法である。
本発明は、前記工程(A)で得られた混合物から前記アルコールを除去する工程(B)がさらに含まれているのが好ましく、さらには、前記工程(A)で前記アルコールとして炭素数1〜8の一価のアルコールを使用し、前記工程(B)が、前記工程(A)で得られた混合物に、前記一価のアルコールよりも沸点の高い炭素数2〜8の二価のアルコールを加えて混合し、得られた混合物から前記一価のアルコールを除去する工程であるのが好ましい。
また本発明は、前記アルカリ土類金属化合物のアルカリ土類金属原子と前記リン化合物のリン原子とのモル比をM/Pとし、前記チタン化合物のチタン原子と前記リン化合物のリン原子とのモル比をT/Pとしたときに、チタン化合物、アルカリ土類金属化合物、及びリン化合物を、下記式(1)及び(2)を満足する範囲で使用するのが好ましい。ただし、下記式中、Mはアルカリ土類金属原子のモル数を表し、Pはリン原子のモル数を表し、Tはチタン原子のモル数を表す。
0.1≦M/P≦3 (1)
0.1≦T/P≦5 (2)
また本発明は、前記2リン酸結合を有するリン化合物が無水リン酸であるのが好ましい。
また本発明は、前記アルカリ土類金属化合物がアルカリ土類金属の有機酸塩及び/又はその水和物であるのが好ましく、さらには前記アルカリ土類金属化合物の有機酸塩及び/又はその水和物が酢酸マグネシウム及び/又はその水和物であるのが好ましい。
また本発明は、前記チタン化合物がアルキルチタネートであるのが好ましく、さらには前記アルキルチタネートがテトラブチルチタネートであるのが好ましい。
また本発明は、前記二価のアルコールが、エチレングリコール又は1,4−ブタンジオールであるのが好ましい。
また本発明の別の要旨は、ジカルボン酸成分とジオール成分とのエステルから重縮合用触媒を用いる重縮合反応によりポリエステルを製造する方法において、該重縮合用触媒として前記ポリエステル重縮合用触媒の製造方法によって製造されたポリエステル重縮合用触媒を用いることを特徴とするポリエステルの製造方法に存する。
本発明によれば、チタン原子、アルカリ金属原子、及びリン原子を同一触媒内に含み、ポリエステルが生成する重縮合反応における優れた触媒活性と、優れた長期保存安定性とを有するポリエステル重縮合用触媒を、製造方法が複雑でコスト高な酸性リン酸エステル化合物を用いずとも製造することができる。
また、本発明の製造方法により製造されたポリエステル重縮合用触媒を用いて製造されるポリエステルは、各種成形品原料として有用であり、色調等の品質に優れた成形品を得ることができる。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の代表例であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらの内容に限定されるものではない。なお、本明細書中において、「ppm」や「%」は、「モルppm」「モル%」と特記しない場合はすべて「重量ppm」、「重量%」を意味する。
本発明のポリエステル重縮合用触媒の製造方法に使用されるチタン化合物、アルカリ土類金属化合物、及びリン化合物は、これら全てをアルコールに混合したときに、ポリエステル重縮合用触媒として機能するのに十分に分散する化合物であればよいが、均一透明なアルコール溶液が得られる化合物であることが好ましい。前記各化合物が、アルコールに添加したときに、アルコールに溶解し、又はアルコールと反応して透明なアルコール溶液を形成する化合物であることがより好ましい。
本発明のポリエステル重縮合用触媒の製造方法に使用されるアルコールは、チタン化合物、アルカリ土類金属化合物、及びリン化合物を混合して均一液になるアルコールであり、炭素数1〜8のアルコールが好ましい。中でも、メタノール、エタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−ブタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、2−エチルヘキサノール等の一価アルコールが好ましく用いられ、その中でもエタノールが特に好ましい。また、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール等のポリエステルの構成成分となる二価のアルコールも用いることが可能である。二価のアルコールは、エチレングリコール又は1,4−ブタンジオールであることが好ましい。一価及び/又は二価アルコールは一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用しても良い。
本発明のポリエステル重縮合用触媒の製造方法に使用されるチタン化合物としては、テトラ−n−プロピルチタネート、テトラ−i−プロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネートテトラマー、テトラ−t−ブチルチタネート、アセチル−トリ−i−プロピルチタネート等のテトラアルキルチタネート、酢酸チタン等が挙げられ、中でも、アルキルチタネートが好ましく、テトラアルキルチタネートがより好ましく、テトラプロピルチタネート、テトラブチルチタネートがさらに好ましく、テトラ−i−プロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネートが一層好ましく、テトラ−n−ブチルチタネートが特に好ましい。これらのチタン化合物は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
本発明のポリエステル重縮合用触媒の製造方法に使用されるアルカリ土類金属化合物はアルカリ土類金属の有機酸塩及び/又はその水和物が好ましい。中でも好ましい化合物としてはマグネシウム、カルシウム等の有機酸塩及び/又はその水和物が挙げられるが、特にマグネシウム化合物が触媒活性の点で好ましい。例えば、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム等の無機化合物、酢酸マグネシウム、酪酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム有機酸塩、マグネシウムアルコキシド等がある。中でも酢酸マグネシウム及びその水和物の一方又は両方が好ましい。アルカリ土類金属化合物には、これらの化合物の一種を単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
本発明のポリエステル重縮合用触媒の製造方法に使用されるリン化合物は、分子中に2リン酸結合(−P−O−P−)を有する化合物であり、具体的には、下記構造式(I)で示される無水リン酸、下記一般式(II)で表される直鎖の縮合リン酸、及び分岐鎖及び環状鎖の縮合リン酸から選ばれる一種又は二種以上の混合物である。これらのリン化合物は、一種を単独で用いても良く、二種以上を混合して用いても良いが、中でも、触媒製造時の仕込み重量を最小にして製造作業を容易化し、かつ低コスト化するために、リン化合物の単位重量当たりに含まれるリン原子の量が最も多い、無水リン酸を用いることが好まし
い。なお、下記一般式(II)中、nは2以上の数を表す。nの上限は特に限定されないが、通常は10以下である。
10 (I)
Figure 2008274071
本発明によって製造されるポリエステル重縮合用触媒はチタン元素、アルカリ土類金属元素、リン元素を含むが、含まれるチタン(T)とアルカリ土類金属(M)とリン(P)の各元素のモル比は下記式(1)及び(2)の範囲であることが好ましい。ただし下記式中、「M」はアルカリ土類金属原子のモル数を表し、「P」はリン原子のモル数を表し、「T」はチタン原子のモル数を表す。
0.1≦M/P≦3 (モル比) (1)
0.1≦T/P≦5 (モル比) (2)
M/P(モル比)が3を超えると、混合されるチタン化合物とアルカリ土類金属化合物が反応し不溶性の化合物を生成し易い傾向となる。また、M/Pが0.1未満であると触媒活性が低下する傾向となる。T/P(モル比)が5を超えると、触媒液がチタン及びリンより成る不溶性の化合物を含み易い。T/Pが0.1未満であると、触媒活性が低下する傾向となる。
<ポリエステル重縮合用触媒の製造方法>
次に、本発明のポリエステル重縮合用触媒の製造方法を説明する。
本発明のポリエステル重縮合用触媒は、ポリエステルを生成する重縮合反応に用いられるポリエステル重縮合用触媒を製造する方法において、アルコールに、チタン化合物、アルカリ土類金属化合物、及び2リン酸結合を有するリン化合物を混合することによって製造することができ、混合時に反応を伴う場合もある。すなわち、本発明のポリエステル重縮合用触媒の製造方法は、前記アルコール、前記チタン化合物、前記アルカリ土類金属化合物、及び前記リン化合物を混合し、混合物を得る工程(A)を含む。前記混合物は、ポリエステル重縮合用触媒として機能する程度に各化合物が均一に分散する組成物であればスラリーであってもよいが、スラリーでは固形物が沈降して取り扱いが困難となったり、触媒濃度が不均一となる場合があるので、透明な溶液であることが好ましい。
前記工程(A)では、一般には前記アルコールに、前記チタン化合物、前記アルカリ土類金属化合物、及び前記リン化合物を混合する。チタン化合物、アルカリ土類金属化合物、及びリン化合物の添加の順序は、特には限定されないが、一般には、アルコールにリン化合物を添加した後にアルカリ土類金属化合物、チタン化合物を添加することが、均一な溶液で得やすく、また均一溶液を得るための操作がより容易になり、好ましい。
工程(A)で得られた溶液はそのまま重縮合用触媒として使用することが可能であるが、工程(A)に引き続き以下の工程(B)を用いて粉末状の触媒、又は濃縮された液状の触媒として製造するとその容積が小さくなるので、長距離輸送時、又は保管時の利便性をより向上させることができる。
すなわち前記工程(A)で得られた混合物から前記アルコールを除去する工程(B)をさらに含むと、粉末状のポリエステル重縮合用触媒が得られる。アルコールの除去には、
エバポレータ等の減圧濃縮装置を用いることが、アルコールの除去条件でアルコールと共に除去できる低沸点成分を前記混合物から除去する観点から好ましい。なお、アルコールの除去は、粉末状のポリエステル重縮合用触媒が得られる程度であればよく、全てのアルコール及び低沸点成分を除去しなくてもよい。
さらに前記アルコールに低沸点のアルコールを使用し、工程(B)においてより高沸点のアルコールに置換することによって、濃縮された液状のポリエステル重縮合用触媒が得られる。
例えば、前記工程(A)で前記アルコールとして炭素数1〜8の一価のアルコールを使用し、工程(B)は、前記工程(A)で得られた混合物に、前記一価のアルコールよりも沸点の高い炭素数2〜8の二価のアルコールを加えて混合し、得られた混合物から前記一価のアルコールを除去する。一価のアルコールの除去には、前述したようにエバポレータ等の減圧濃縮装置を用いることが、一価のアルコール及び低沸点成分を二価のアルコールの混合物から除去する観点から好ましい。二価のアルコールは、一価のアルコールに対して、100℃程度沸点が高いことが、減圧濃縮によって一価のアルコール及び低沸点成分を二価のアルコールの混合物から効率よく除去する観点から好ましい。また二価のアルコールへの置換において、一価のアルコールは完全に除去されていなくてもよく、例えば5%程度は含まれていてもよい。
前記工程(B)が一価のアルコールから二価のアルコールへの置換を含むことは、二価のアルコールとしてエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール等のポリエステルの構成成分となる二価のアルコールを用いた液状触媒とする場合に特に有効であり、二価のアルコールがエチレングリコール又は1,4−ブタンジオールであるのが好ましい。
各工程における液の温度は通常100℃以下、好ましくは60℃以下に制御される。
以下に本発明の好ましい液状触媒の製造方法の例として、一価のアルコールとしてエタノール、二価アルコールとしてエチレングリコール、チタン化合物としてテトラ−n−ブチルチタネート、アルカリ土類金属化合物として酢酸マグネシウム・4水和物、リン化合物として無水リン酸を用いる場合を例として、本発明のポリエステル重縮合用触媒の製造方法をより具体的に説明する。製造工程は次のイ、ロである。
(イ):エタノール中に無水リン酸を混合し、酢酸マグネシウム・4水和物、及びテトラ−n−ブチルチタネートを混合し、均一な溶液とする工程。
(ロ):工程(イ)で得られた溶液にエチレングリコールを加えて混合して均一な溶液とした後に、該溶液からエタノール、低沸点成分等を留去し、触媒液中のアルコールの主成分がエチレングリコールである液状触媒を得る工程。
液状触媒中における触媒活性成分の濃度は、得られた液状触媒が使用しやすい濃度を適宜選べばよい。例えば、液状触媒をそのままポリエステル重縮合反応に使用する場合は希薄であってもよく、また液状触媒を長期保管、又は長距離輸送する場合は高濃度を選ぶと良い。長期保存する場合のチタン濃度はチタン原子としては通常1〜15重量%であり、好ましくは3〜6重量%であり、更に好ましくは3.5〜4.5重量%である。チタン濃度が上限より高濃度であると、液状触媒の粘性が高くなり、ポンプによる移送が困難になる場合がある。このような液状の高濃度触媒は、使用時にはさらにエチレングリコールで希釈して使用することができる。
なお、ポリエステル重縮合用触媒中のチタン原子、アルカリ土類金属原子、及びリン原子の濃度は、プラズマ発光分析法によって測定することができる。より具体的には、0.
1gのポリエステル重縮合用触媒又は0.2gの該触媒のエチレングリコール溶液をケルダールフラスコ中で硫酸存在下、過酸化水素で湿式分解した後、蒸留水で定容したものについて、プラズマ発光分光分析装置(例えばJOBIN YUON社製 ICP−AES
Ultrace JY−138U型)を用いて定量分析することによって測定することができる。
得られた液状触媒は空気中での取り扱いが可能だが、3ヶ月以上の長期保存の場合は窒素等の不活性ガス雰囲気下で保存することが好ましい。
また、長期保存が必要とされる場合には、少量の水を含んでいることが好ましい。この場合、好ましい水分含量としては、液状触媒全体に対する重量濃度として、10重量%以下が好ましく、更に好ましくは5重量%以下、特には1.5重量%以下が好ましい。また、0.01重量%以上が好ましく、更に好ましくは0.1重量%以上、特には0.5重量%以上が好ましい。水分含量が上記上限を超えると、チタン化合物が水と反応することによりゲル化して均一な溶液が得にくい傾向となり、また0.01重量%未満であると得られる液状触媒を長期保存する場合に析出が起き白濁しやすい傾向となる。また、水は液状触媒製造時に使用するエチレングリコール中に適量添加してもよいし、液状触媒製造中及び/又は製造後に添加してもよい。
又、本発明の液状触媒は脂肪族カルボン酸を含むことができる。脂肪族カルボン酸を含むことにより液状触媒から金属成分等が析出するのをより一層抑制することができる。脂肪族カルボン酸としては酢酸、プロピオン酸、酪酸、ヘキサン酸、ステアリン酸、ベヘン酸等の脂肪族飽和モノカルボン酸、蓚酸、マロン酸、コハク酸、クエン酸、グルタル酸、リンゴ酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカジカルボン酸、ドデカジカルボン酸等の脂肪族飽和ジカルボン酸及びそれらの無水物、マレイン酸、フマル酸等の脂肪族不飽和ジカルボン酸及びそれらの無水物、トリカルバリル酸等の脂肪族多価カルボン酸及びそれらの無水物、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等の脂環式ジカルボン酸及びそれらの無水物が挙げられる。中でも、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸が好ましく、触媒の安定性に特に効果が認められるクエン酸が好ましく使用できる。
脂肪族カルボン酸を使用する場合には、該カルボン酸は上記工程(イ)〜(ロ)のどの工程で添加しても良い。
次に、本発明の好ましい粉末状触媒の製造方法の例として、アルコールとしてエタノール、チタン化合物としてテトラ−n−ブチルチタネート、アルカリ土類金属化合物として酢酸マグネシウム・4水和物、リン化合物として無水リン酸を用いる場合を例として、本発明のポリエステル重縮合用触媒の製造方法をより具体的に説明する。製造工程は次のハ及び二である。
(ハ):エタノール中に無水リン酸を混合し、酢酸マグネシウム・4水和物、及びテトラ−n−ブチルチタネートを混合し均一溶液とする工程。
(ニ):工程(ハ)で得られた反応液からエバポレータ等を用いてエタノール、低沸点成分等を蒸留留去し粉末状の触媒を得る工程。
得られた粉末状触媒は、空気中で取り扱いが可能である。また、密閉した容器中で保存することが好ましく、3ヶ月以上の長期保存の場合は窒素等の不活性ガス雰囲気下で保存することが好ましい。
得られた粉末状触媒は、直接、エチレングリコール及び/又は1,4−ブタンジオール等のポリエステル原料となるグリコールに容易に溶解可能であり、触媒のグリコール溶液
としてポリエステルの製造に用いることが可能である。
<ポリエステルの製造方法>
本発明のポリエステルの製造方法は、ジカルボン酸成分とジオール成分との重縮合反応において重縮合用触媒を用いてポリエステルを製造する方法において、前記重縮合用触媒に前記本発明のポリエステル重縮合用触媒を用いる方法である。本発明のポリエステルの製造方法は、上述の本発明の製造方法を用いて製造されたポリエステル重縮合用触媒を用いる以外は特に制限されず、本発明のポリエステルの製造方法には、基本的には、ポリエステルの慣用の製造方法を用いることができる。
以下に、ポリエステルの慣用の製造方法の一例として、ポリエチレンテレフタレートの製造を例示しつつ本発明のポリエステルの製造方法を説明する。
ポリエチレンテレフタレートの製造方法としては、具体的には、テレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体を主成分とするジカルボン酸成分と、エチレングリコールを主成分とするジオール成分とを、エステル化反応槽でエステル化反応させ、又は、エステル交換触媒を添加してエステル交換反応させた後、得られたエステル化反応生成物又はエステル交換反応生成物であるポリエステル低重合体(好ましくは数平均分子量が500〜5,000)を重縮合槽に移送し、重縮合用触媒を添加して、溶融重縮合させ、更に必要に応じて固相重縮合する方法が挙げられる。また、この製造方法は連続式でも、回分式でもよく、特に制限はされない。エステル交換触媒には、例えば酢酸カルシウム等の、ポリエステルの原料の製造におけるエステル交換用の公知の触媒を用いることができる。
用いられる原料において、テレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体を主成分とする、とは、該ジカルボン酸成分に占めるテレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体の割合が85モル%以上であることをいい、90モル%以上、さらには95モル%以上、特には97モル%以上であるのが好ましい。また、エチレングリコールを主成分とする、とは、ジオール成分に占めるエチレングリコールの割合が85モル%以上であることをいい、90モル%以上、さらには95モル%以上、特には97モル%以上であるのが好ましい。テレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体のジカルボン酸成分に占める割合、及びエチレングリコールのジオール成分に占める割合が前記範囲未満では、得られるポリエステルの成形体としての機械的強度、ガスバリア性、及び耐熱性が低下する傾向がある。
なお、テレフタル酸のエステル形成性誘導体としては、例えば、各々のアルキル基が炭素数1〜4程度のアルキルエステル、及びハロゲン化物等が挙げられる。また、テレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体以外のジカルボン酸成分として、例えば、フタル酸、イソフタル酸、ジブロモイソフタル酸、スルホイソフタル酸ナトリウム、フェニレンジオキシジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルケトンジカルボン酸、4,4’−ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等の脂環式ジカルボン酸、及び、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカジカルボン酸、ドデカジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、並びにこれらの各々のアルキル基が炭素数1〜4程度のアルキルエステル、及びハロゲン化物等が挙げられ、これらのジカルボン酸成分の一種又は二種以上が共重合成分として用いられてもよい。
また、エチレングリコール以外のジオール成分としては、例えばジエチレングリコールが挙げられ、そのジエチレングリコールのジオール成分に占める割合は、反応系内で副生する分も含め3モル%以下であるのが好ましく、1.5モル%以上、3.0モル%以下で
あるのが更に好ましい。
また、その他のジオール成分として、例えば、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタメチレングリコール、デカメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等の脂肪族ジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,1−シクロヘキサンジメチロール、1,4−シクロヘキサンジメチロール、2,5−ノルボルナンジメチロール等の脂環式ジオール、及び、キシリレングリコール、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン酸等の芳香族ジオール、並びに、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパンのエチレンオキサイド付加物又はプロピレンオキサイド付加物等が挙げられ、これらのジオール酸成分の一種又は二種以上が共重合成分として用いられてもよい。
更にまた、例えば、グリコール酸、p−ヒドロキシ安息香酸、p−β−ヒドロキシエトキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸やアルコキシカルボン酸、及び、ステアリルアルコール、ヘネイコサノール、オクタコサノール、ベンジルアルコール、ステアリン酸、ベヘン酸、安息香酸、t−ブチル安息香酸、ベンゾイル安息香酸等の単官能成分、トリカルバリル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、ナフタレンテトラカルボン酸、没食子酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、等の、三官能以上の多官能成分等の一種又は二種以上が共重合成分として用いられてもよい。
本発明において、テレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体を主成分とする前記ジカルボン酸成分と、エチレングリコールを主成分とする前記ジオール成分、及び必要に応じて用いられる前記共重合成分とを、エステル化反応又はエステル交換反応させるに当たっては、これらの、ジカルボン酸成分に対するジオール成分のモル比は、下限として通常1.02、好ましくは1.03、上限として通常2.0、好ましくは1.7の範囲である。
なお、エステル交換反応の場合は、一般にエステル交換触媒を用いる必要があり、かつ、該触媒を多量に用いる必要があるので触媒に起因する異物の発生が生じ易いことから、本発明におけるポリエステルの製造方法としては、エステル交換反応よりも、原料としてジカルボン酸を用いてエステル化反応を経て製造する方法が好ましい。
エステル化反応は、例えば、テレフタル酸とエチレングリコールとを上記モル比の範囲で混合しスラリーとなし、このスラリーを単一のエステル化反応槽、又は、複数のエステル化反応槽を直列に接続した多段反応装置を用いて、エチレングリコールの還流下、反応で生成する水と余剰のエチレングリコールを系外に除去しながら、エステル化率(原料ジカルボン酸成分の全カルボキシル基のうちジオール成分と反応してエステル化したものの割合)が、通常90%以上、好ましくは93%以上に達するまで行われる。また、得られるエステル化反応生成物としてのポリエステル低分子量体の数平均分子量は500〜5,000であるのが好ましい。
エステル化反応における反応条件の例としては、単一のエステル化反応槽を用いる場合、通常200〜280℃程度の温度、大気圧に対する相対圧力を通常0〜400kPaG(以下、Gは大気圧に対する相対圧力であることを表す)程度とし、撹拌下に1〜10時間程度の反応時間とする方法が一般的である。また、複数のエステル化反応槽を用いる場合は、第1段目のエステル化反応槽における反応温度の下限は通常240℃、好ましくは
245℃、上限は通常270℃、好ましくは265℃、圧力は下限が通常5kPaG、好ましくは10kPaG、上限は通常300kPaG、好ましくは200kPaGとし、最終段における反応温度を、下限を通常250℃、好ましくは255℃、上限を通常280℃、好ましくは275℃、圧力は通常0〜150kPaG、好ましくは0〜130kPaGとする方法が通常用いられる。
なお、エステル化反応においては、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ベンジルジメチルアミン等の第三級アミン、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラ−n−ブチルアンモニウム、水酸化トリメチルベンジルアンモニウム等の水酸化第四級アンモニウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸ナトリウム等で例示されるような塩基性化合物等を少量添加しておくことにより、エチレングリコールからのジエチレングリコールの副生を抑制することができる。
このようにして得られるポリエステル低分子量体の溶融重縮合法としては、単一の溶融重縮合槽、又は、複数の溶融重縮合槽を直列に接続した反応装置が用いられ、例えば、第1段目が撹拌翼を備えた完全混合型の反応器、第2段及び第3段目が撹拌翼を備えた横型プラグフロー型の反応器からなる多段反応装置を用いて、減圧下に、生成するエチレングリコールを系外に留出させながら行う方法が一般に用いられる。
溶融重縮合における反応条件の例としては、単一の重縮合槽を用いる場合、通常250〜290℃程度の温度において、常圧から、漸次減圧として最終的に圧力を絶対圧力で通常1.3〜0.013kPaA(以下、Aは絶対圧力であることを表す)程度とし、撹拌下に1〜20時間程度の反応時間とする方法が一般的である。また、複数の重縮合槽を用いる場合の一例としては、第1段目の重縮合槽における反応温度を、下限は通常250℃、好ましくは260℃、上限は通常290℃、好ましくは280℃、反応圧力を、上限は通常65kPaA、好ましくは26kPaA、下限を通常1.3kPaA好ましくは2kPaAとし、最終段における反応温度を、下限は通常265℃、好ましくは270℃、上限は通常300℃、好ましくは295℃、反応圧力を絶対圧力で、上限を通常1.3kPaA、好ましくは0.65kPaA、下限を通常0.013kPaA、好ましくは0.065kPaAとする方法が挙げられる。更に、第1段目と最終段との間に中間段を用いる場合の反応条件としては、上記条件の中間の条件が選択され、例えば、3段反応装置における第2段の反応条件の一例として、反応温度を、下限は通常265℃、好ましくは270℃、上限は通常295℃、好ましくは285℃、反応圧力は、上限は通常6.5kPaA、好ましくは4kPaA、下限は通常0.13kPaA、好ましくは0.26kPaAとする方法が挙げられる。
なお、従来法では通常重縮合反応開始以前の段階でリン化合物を添加することが多いが、本発明のポリエステル重縮合用触媒はリン化合物を予め含んでいるので、本発明のポリエステルの製造方法では、重縮合用触媒に別途リン化合物を添加せずに重縮合反応を行うこともできる。ただし、本発明の方法はリン化合物の添加をなんら排除するものではない。
なお、本発明の製造方法により製造されるポリエステル重縮合用触媒の反応系への添加は、前記ジカルボン酸成分とジオール成分の混合、調製段階、前記エステル化反応の任意の段階、又は、溶融重縮合における初期の段階のいずれであってもよいが、前記エステル化反応におけるエステル化率が90%以上となった段階以降に行うのが好ましく、実質的にエステル化工程が終了した後、溶融重縮合工程の初期の段階までの間、特には溶融重縮合開始前までに添加するのがより好ましい。中でも、多段反応装置における最終段のエステル化反応槽、又はエステル化反応槽から溶融重縮合工程への移送段階へのエステル化反応生成物に添加するのが好ましい。エステル化率が90%未満の段階で重縮合用触媒を添
加すると、未反応のカルボン酸によって重縮合用触媒が失活し、重縮合速度が低下したり、失活した触媒が得られるポリエステル中で異物となる場合がある。
また、本発明の製造方法により製造されるポリエステル重縮合用触媒は、製造するポリエステルの主原料ジオール成分、例えばエチレングリコール、1,4−ブタンジオールで希釈して、本発明のポリエステルの製造方法において重縮合用触媒として反応系に添加することができる。本発明のポリエステル重縮合用触媒は、得られるポリエステル中のチタン濃度が、チタン原子換算で通常0.1〜200重量ppm、好ましくは0.5〜100重量ppm、より好ましくは4〜50重量ppm、更に好ましくは3〜20重量ppmの範囲で使用される。
このような溶融重縮合により得られるポリエステルを繊維、フィルム等の成形体原料に使用する場合、その固有粘度([η])は、フェノール/テトラクロロエタン(重量比1/1)の混合液を溶媒として30℃で測定した値として、下限は通常0.35dL/g、好ましくは0.50dL/g、上限は通常0.75dL/g、好ましくは0.65dL/gである。固有粘度([η])が前記範囲未満では、繊維フィルム等の成形品の機械物性が不十分になることがあり、前記上限超過では成形性が悪化する場合がある。
前述のような溶融重縮合により得られたポリエステルは、通常、重縮合槽の底部に設けられた抜き出し口からストランド状に抜き出して、水冷しながら又は水冷後、カッターで切断してペレット状、チップ状等の粒状体とするが、更に、ボトル用等の原料としては、この溶融重縮合後の粒状体を、固相重縮合して高重合度とし、含有するアセトアルデヒド、低分子オリゴマー等を低減させるのが好ましい。
固相重縮合の方法としては、例えば、窒素、二酸化炭素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、又は水蒸気雰囲気下、又は水蒸気含有不活性ガス雰囲気下で、通常60〜180℃、好ましくは150〜170℃の温度で加熱して樹脂粒状体表面を結晶化させた後、不活性ガス雰囲気下、及び/又は、絶対圧力0.013〜1.3kPaA程度の減圧下で、通常、樹脂の粘着温度(通常は融点)直下〜80℃低い温度、好ましくは粘着温度(通常は融点)より10〜60℃低い温度で、粒状体同士が膠着しないように流動等させながら、通常50時間以下の時間で加熱処理して固相重縮合させることができる。この固相重縮合により、得られるポリエステルを更に高重合度化させ得ると共に、反応副生物のアセトアルデヒドや低分子オリゴマー等を低減化することができる。
固相重縮合に供される溶融重縮合後のポリエステルの末端カルボキシル基量は、通常5当量/トン以上50当量/トン以下であり、好ましくは10当量/トン以上35当量/トン以下である。この末端カルボキシル基量が上限を超える場合には、固相重縮合時の重縮合速度が低下する場合があると同時に、固相重縮合後に得られるポリエステルが加水分解を受けやすくなる場合がある。逆にこの下限を下回ると固相重縮合時の重縮合速度が低下する傾向となる。この末端カルボキシル基量は、ポリエステル低分子量体調製時のジカルボン酸成分とジオール成分のモル比、本発明の製造方法に用いるジオール等のアルコールの量、重縮合温度等によって所望の範囲に調節することが可能である。
前記固相重縮合により得られるポリエステルの固有粘度([η])は、フェノール/テトラクロロエタン(重量比1/1)の混合液を溶媒として30℃で測定した値として、下限が通常0.70dL/g、好ましくは0.73dL/g、上限が通常1.50dL/g、好ましくは1.00dL/gである。固有粘度([η])が前記範囲未満では、成形体としての機械的強度が低下する傾向となり、一方、前記範囲超過では、溶融成形時のアセトアルデヒド等の副生を抑制することが困難な場合がある。
前記固相重縮合では、本発明のポリエステル重縮合用触媒を前記溶融重縮合と同様に用いることができる。例えば、前記溶融重縮合において本発明のポリエステル重縮合用触媒が用いられた場合には、得られたポリエステルをそのまま固相重縮合することで、本発明のポリエステル重縮合用触媒を用いる固相重縮合を行うことができる。
また、前記のような溶融重縮合又は固相重縮合により得られたポリエステルに、重縮合触媒を失活させる等の目的に応じて、更に処理を加えても良い。例えば、ポリエステル中における本発明のポリエステル重縮合用触媒を失活させるための処理としては、40℃以上の水に10分以上浸漬させる水処理、又は、60℃以上の水蒸気又は水蒸気含有ガスに30分以上接触させる水蒸気処理等の処理を施すことができる。
本発明の製造方法で製造されるポリエステルを中空成型体、特にボトルの用途に使用する場合、その色調としては、JIS Z8730に記載されるLab表色系によるハンターの色差式の色座標b値が4以下であるのが好ましく、3以下であるのが更に好ましい。b値が前記範囲超過では、ボトル等の成型体とした場合に、その色調が黄味がかる傾向となる。
一方、フィルムや繊維に代表されるその他の用途、特に繊維にするために、後述の如く酸化チタンを添加するような場合には、b値が12以下、特に10以下であるのが、できあがった繊維の色調の面で好ましい。なお、色座標b値を前記範囲とするために、所謂、有機系調色剤を添加してもよく、その有機系調色剤としては、例えば、ソルベントブルー104、ソルベントレッド135、ソルベントレッド179、ソルベントバイオレット36、ピグメントブルー29、同15:1、同15:3、ピグメントレッド187、同263、ピグメントバイオレット19等の染顔料等が挙げられる。このような調色剤については、例えば、エチレングリコールのスラリーとして、テレフタル酸/エチレングリコールスラリー調製工程のようなジカルボン酸成分とジオール成分とのスラリーを調製する工程、エステル化反応工程、及び重縮合工程の何れかの工程に添加することによって、本発明の製造方法で製造されるポリエステルのフィルムや繊維の色調の調整に用いることができる。色調は染顔料の添加量で調整することができる。
また、本発明の製造方法により製造された重縮合用液状触媒は、特に繊維用等の、顔料として酸化チタンを添加するポリエステルを製造するためにも用いられる。酸化チタンを含有するポリエステルは、エステル化反応から重縮合反応までのいずれかの時点で、酸化チタンを、例えばエチレングリコールスラリーとして添加することにより製造できる。
しかし、酸化チタンを本発明のポリエステル重縮合用触媒と混合して添加すると重縮合用触媒の活性が低下する傾向となるので、本発明のポリエステル重縮合用触媒と酸化チタンとは別個に添加する方が好ましい。混合による活性の低下の理由としては、本発明のポリエステル重縮合用触媒と酸化チタンを混合すると、ポリエステル重縮合用触媒として活性を有するチタン化合物成分が酸化チタンの表面に吸着されるため、重縮合反応の活性が低下するものと考えられる。
本発明の製造方法により製造されるポリエステル、特に固相重縮合を経たポリエステルは、例えば、射出成形や押出成形によって予備成形体に成形した後、延伸ブロー成形することによって、ボトル等の中空成形容器に成形することができる。
本発明の製造方法により製造されたポリエステル重縮合用触媒を用いて製造されるポリエステルは、従来の酸性リン酸エステルから調製される触媒を用いる製法によるポリエテルと同様に透明性に優れ、またこの従来の製法と同等の、製造時における環境への影響の懸念が小さな製造方法によって得られ、さらには前記従来の製法よりもより安価な触媒が
用いられることからより安価に製造することができる。したがって本発明の製造方法により製造されるポリエステルは、このような中空成形容器用予備成形体や中空成形容器に限らず、各種の中空成形体、中空成形体用予備成形体、中空成形体用予備成形体、フィルム、繊維等の成形用原料として有用であり、色調等の品質に優れた成形品を得ることができる。
以下に実施例及び比較例を用いて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以下の実施例において、得られたポリエステルの固有粘度[η]は下記の方法に従って測定した。
<固有粘度[η]の測定>
凍結粉砕したポリエステル試料0.25gをフェノール/テトラクロロエタン(重量比1/1)の混合液を溶媒として、ポリエステル試料の濃度(c)を1.0g/dLとして、120℃で30分間の条件で溶解させた後、得られた試料溶液の粘度ηを、ウベローデ型毛細粘度管を用いて、30℃で測定し、一方で同様に前記混合液の粘度η0を測定し、前記試料溶液の前記混合液に対する相対粘度(ηrel)をηrel=η/η0から算出し、この相対粘度ηrelからηsp=ηrel−1より求めた比粘度(ηsp)と濃度(c)との比(ηsp/c)を求め、同じく濃度(c)を0.5g/dL、0.2g/dL、0.1g/dLとしたときについてもそれぞれの比(ηsp/c)を求め、これらの値より、濃度(c)を0に外挿したときの比(ηsp/c)を固有粘度[η](dL/g)として求めた。
また以下の実施例において、得られた触媒のTi濃度(重量%)は下記の方法にしたがって測定した。
<Ti濃度の測定>
ポリエステル重縮合用触媒0.1g又はポリエステル重縮合用触媒のエチレングリコール液0.2gをケルダールフラスコ中で硫酸存在下、過酸化水素で湿式分解の後、蒸留水にて定容したものについて、プラズマ発光分光分析装置(JOBIN YUON社製 ICP−AES Ultrace JY−138U型)を用いて定量分析した。
<実施例1>
触媒Aの調製(組成 Ti/Mg/P=1/1/1(モル比) 液状触媒)
フラスコにエタノール100gをいれ、水冷しつつ無水リン酸1.04g(7.33mmol)を加え撹拌し、次に酢酸マグネシウム・四水和物(酢酸Mg)3.15g(14.7mmol)を添加し、最後にテトラ−n−ブチルチタネート(TBT)5.00g(14.7mmol)を加え撹拌すると、完全に溶解し、均一かつ透明な液が得られた。30分後にエチレングリコール(EG)17.2gを加え撹拌した。この間の液温は25℃〜30℃であった。エバポレータで低沸点成分を除去すると、均一かつ透明な液が得られた。得られた液の収量は20.56gであり、Ti濃度は3.4重量%であった。
このようにして得られた液状触媒は、窒素雰囲気下室温(23℃)の条件で1ヶ月保管しても均一透明のままであった。
<実施例2>
触媒Bの調製(組成 Ti/Mg/P=1/2/2(モル比) 液状触媒)
実施例1において、無水リン酸を2.08g(14.7mmol)、酢酸Mgを6.30g(29.4mmol)とし、30分後に加えたEGを14.9gとした他は、実施例1と同様の操作を行ったところ、均一かつ透明な液が得られた。得られた液の収量は21.89gであり、Ti濃度は3.2重量%であった。
このようにして得られた液状触媒は実施例1と同様の条件で1ヶ月保管しても均一透明のままであった。
<実施例3>
触媒Cの調製(組成 Ti/Mg/P=1/1/1(モル比) 粉末状触媒)
実施例1において、30分後にEGを加えなかった他は実施例1と同様の操作を行ったところ、均一かつ透明な液が得られた。得られた溶液をエバポレータで低沸点成分を除去すると白色の粉末が得られた。得られた粉末の収量は5.99gであり、Ti濃度は11.8重量%であった。
<実施例4>
触媒Dの調製(組成 Ti/Mg/P=1/2/2(モル比) 粉末状触媒)
実施例2において、30分後にEGを加えなかった他は実施例2と同様の操作を行ったところ、均一かつ透明な液が得られた。得られた溶液をエバポレータで低沸点成分を除去すると、白色の粉末が得られた。得られた粉末の収量は9.19gであり、Ti濃度は7.7重量%であった。
<比較例1>
触媒E(酸性リン酸エステル化合物としてエチルアシッドフォスフェート(商品名:JP502、城北化学社製、モノエステル体とジエステル体の重量比0.82:1)を使用)の調製(組成Ti/Mg/P=1/1.9/1.9(モル比) 液状触媒)
フラスコにエタノール100gを入れ、酢酸Mg6.20g(28.9mmol)、エチルアシッドフォスフェート4.00g(28.5mmol)を添加し、次にTBT5.00g(14.7mmol)を添加して攪拌すると、完全に溶解し、均一透明な液が得られた。EG13.1gを加え攪拌した。この間の液温は25℃〜30℃であった。エバポレータで低沸点成分を除去すると、均一透明な液が得られた。得られた液の収量は20.3gであり、Ti濃度は3.5重量%であった。
<実施例5>
実施例1で得られたチタン元素、マグネシウム元素、リン元素を含む触媒Aを用いて重縮合反応を行った。
[原料オリゴマーの製造]
テレフタル酸ジメチル2,012kg(10.4×10モル)とエチレングリコール1,286kg(20.7×10モル)とをエステル化反応槽に供給して溶解後、エチレングリコールに溶解させた酢酸カルシウムを、カルシウム原子として0.20kg(エステル交換反応により得られる生成物に対して100ppm)となるように添加し、エステル化反応槽に収容されている液の温度を220℃に保持しつつ、生成するメタノールを留出させながらエステル交換反応を行った。
エステル交換反応が終了した後、このエステル化反応槽に、テレフタル酸1,721kg(10.4×10モル)とエチレングリコール772kg(12.4×10モル)とをスラリー調製槽で攪拌・混合して得られたスラリーを3時間かけて連続的に移送し、常圧下、250℃でエステル化反応を行い、移送開始から4時間反応を行った後に、反応液の50%をエステル化反応槽から系外へ抜き出した。
このエステル化反応槽において、前記と同様にして得られたテレフタル酸とエチレングリコールからなるスラリーを追加してエステル化反応を行い、反応液の50%を重縮合反応槽を移送する工程を、計10回繰り返して行い、エステル化反応中の酢酸カルシウムの濃度を0.5ppm以下とした。
このようにして、実質的にエステル交換触媒成分を含有しないテレフタル酸とエチレングリコールからなるエステル化反応生成物を製造した。このエステル化反応生成物を、エステル化反応槽から重縮合反応槽に移送する途中で抜き出し、大気下で冷却・固化することにより、以下の実施例で使用する原料オリゴマーを得た。この原料オリゴマーの製造に用いられたエチレングリコールのテレフタル酸に対するモル比は、最終的に1.2となり、得られた原料オリゴマーの数平均分子量(Mn)は2,280であった。
[重縮合反応]
前記原料オリゴマーのうち、104gをトルクメータ付属攪拌装置付き重縮合反応器に移して、系内を窒素で置換した後、常圧下オイルバス(260℃一定)中でオリゴマーの溶解を行った。以下、オリゴマー溶解開始時間を0時間として時間を表記する。
60分後にオリゴマーが完全に溶解していることを確認後、50rpmで攪拌を開始、70分後に、ポリエステル中のチタン原子濃度が4ppmとなるように触媒Aをエチレングリコールに希釈して3mL添加した。80分後に減圧を開始し、140分後に0.27kPaAまで減圧した。減圧操作は圧力の対数値が時間に逆比例するように行った。重縮合温度は、80分から160分の間に260℃から280℃まで一定速度で昇温した。到達固有粘度が0.50〜0.60(dL/g)程度になるように、表1に示す重縮合時間、溶融重縮合反応を行った。なお、重縮合時間は減圧開始から窒素にて常圧に戻すまでの時間とした。
重縮合終了後、攪拌を停止し、重縮合反応器をオイルバスから取り出した。重縮合反応器をオイルバスから取り出した後、速やかに該反応器の抜き出し口を開け、窒素で系内を微加圧にすることでポリエステルを抜き出し、水冷・固化させてストランド状のポリエステルを得た。得られたポリエステルは粒子の重量が11mg/粒のチップ状に裁断された。得られたポリエステルの固有粘度は0.609dL/gであった。
得られたポリエステルチップ2gをアルミ箔製カップ(底部直径4.5cm、上部直径:7.0cm、深さ:5.0cm)にチップ同士が折り重ならないように並べ、内温60℃に設定されたイナートオーブン(ヤマト科学社製、I/O DN4101)中の中央部に設置した。30L/hの窒素流通下で、60℃から160℃まで30分で昇温させ、160℃で2時間乾燥、結晶化を行った。その後、30分かけて210℃まで昇温し、210℃で10時間固相重縮合を行った。固相重縮合終了後、30分かけて60℃まで降温した後、チップを回収した。得られたポリエステルの固有粘度は0.782dL/gであった。
<実施例6>
実施例5において触媒Aに代えて実施例2で得られたチタン元素、マグネシウム元素、リン元素を含む触媒Bを用いた他は、実施例5と同様の方法で235分間溶融重縮合反応を行い、ポリエステルを得た。得られたポリエステルの固有粘度は0.587dL/gであった。
更に、実施例5と同様の方法で固相重縮合を10時間実施した。得られたポリエステルの固有粘度は0.762dL/gであった。
<実施例7>
実施例5において触媒Aに代えて実施例3で得られたチタン元素、マグネシウム元素、リン元素を含む触媒Cを用いた他は、実施例5と同様の方法で180分間溶融重縮合反応を行い、ポリエステルを得た。得られたポリエステルの固有粘度は0.575dL/gで
あった。
更に、実施例5と同様の方法で固相重縮合を10時間実施した。得られたポリエステルの固有粘度は0.736dL/gであった。
<実施例8>
実施例5において触媒Aに代えて実施例4で得られたチタン元素、マグネシウム元素、リン元素を含む触媒Dを用いた他は、実施例5と同様の方法で250分間溶融重縮合反応を行い、ポリエステルを得た。得られたポリエステルの固有粘度0.570dL/gであった。
更に、実施例5と同様の方法で固相重縮合を10時間実施した。得られたポリエステルの固有粘度は0.715dL/gであった。
<比較例2>
実施例5において触媒Aに代えて比較例1で得られたチタン元素、マグネシウム元素、リン元素を含む触媒Eを用いた他は、実施例5と同様の方法で180分間溶融重縮合反応を行いポリエステルを得た。得られたポリエステルの固有粘度は0.552dL/gであった。
更に、実施例5と同様の方法で固相重縮合を10時間実施した。得られたポリエステルの固有粘度は0.694dL/gであった。
実施例5から8及び比較例2の結果を表1に示す。
Figure 2008274071
表1において、[η]m及び[η]sは、各々、溶融重縮合後の固有粘度、及び固相重縮合後の固有粘度である。また、Ksは固相重合反応時間10時間における固有粘度の平均上昇速度であり、下記の式によって求められる。
Ks(dL/g/h)={[η]s−[η]m}/10
表1に示されるように、溶融重縮合反応によるポリエステルの製造において、触媒A〜Dは、酸性リン酸エステルを原料に用いる触媒Eと同等の時間で所期の固有粘度のポリエステルを製造することができる。また固相重縮合において、触媒A〜Dは、触媒Eに比べて高い固有粘度のポリエステルを製造することができ、触媒Eと同等かそれ以上の固有粘度の平均上昇速度を示している。
この結果より、無水リン酸を用いて製造した触媒は良好な重合活性を示すことが明らかである。
以上のごとく、本発明の製造方法を用いれば、チタン原子、アルカリ土類金属原子、及
びリン原子を同一触媒内に含んで重合系に一括添加でき、かつ優れた重縮合反応の触媒活性を示し、かつ優れた長期保存安定性を有するポリエステル重縮合用触媒を、製造方法が複雑でコスト高な酸性リン酸エステル化合物を用いずとも製造できるので工業的に優れた価値を有する。

Claims (11)

  1. ポリエステルが生成する重縮合反応に用いられるポリエステル重縮合用触媒を製造する方法であって、
    アルコール、チタン化合物、アルカリ土類金属化合物、及び2リン酸結合を有するリン化合物を混合し、混合物を得る工程(A)を含むことを特徴とするポリエステル重縮合用触媒の製造方法。
  2. 前記工程(A)で得られた混合物から前記アルコールを除去する工程(B)をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のポリエステル重縮合用触媒の製造方法。
  3. 前記工程(A)で前記アルコールとして炭素数1〜8の一価のアルコールを使用し、
    前記工程(B)が、前記工程(A)で得られた混合物に、前記一価のアルコールよりも沸点の高い炭素数2〜8の二価のアルコールを加えて混合し、得られた混合物から前記一価のアルコールを除去する工程であることを特徴とする請求項2に記載のポリエステル重縮合用触媒の製造方法。
  4. 前記アルカリ土類金属化合物のアルカリ土類金属原子と前記リン化合物のリン原子とのモル比をM/Pとし、前記チタン化合物のチタン原子と前記リン化合物のリン原子とのモル比をT/Pとしたときに、
    チタン化合物、アルカリ土類金属化合物、及びリン化合物を、下記式(1)及び(2)を満足する範囲で使用することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のポリエステル重縮合用触媒の製造方法。
    0.1≦M/P≦3 (1)
    0.1≦T/P≦5 (2)
    (ただし、Mはアルカリ土類金属原子のモル数を表し、Pはリン原子のモル数を表し、Tはチタン原子のモル数を表す。)
  5. 前記2リン酸結合を有するリン化合物が無水リン酸であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のポリエステル重縮合用触媒の製造方法。
  6. 前記アルカリ土類金属化合物がアルカリ土類金属の有機酸塩及び/又はその水和物であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のポリエステル重縮合用触媒の製造方法。
  7. 前記アルカリ土類金属化合物の有機酸塩及び/又はその水和物が酢酸マグネシウム及び/又はその水和物であることを特徴とする請求項6に記載のポリエステル重縮合用触媒の製造方法。
  8. 前記チタン化合物がアルキルチタネートであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載のポリエステル重縮合用触媒の製造方法。
  9. 前記アルキルチタネートがテトラブチルチタネートであることを特徴とする請求項8に記載のポリエステル重縮合用触媒の製造方法。
  10. 前記二価のアルコールが、エチレングリコール又は1,4−ブタンジオールであることを特徴とする請求項3乃至9のいずれか一項に記載のポリエステル重縮合用触媒の製造方法。
  11. ジカルボン酸成分とジオール成分との重縮合反応において重縮合用触媒を用いてポリエ
    ステルを製造する方法において、
    前記重縮合用触媒として請求項1乃至10のいずれか一項に記載の製造方法により製造されたポリエステル重縮合用触媒を用いることを特徴とするポリエステルの製造方法。
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