JP5160063B2 - ポリエステルの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリエステルの製造方法に関する。詳しくは、ポリエステル製造における製造中間体でもある、固相重縮合に適した比較的低分子量のポリエステルプレポリマー粒状体を、単純化された溶融重縮合装置で連続的に製造し、その製造方法で得られるポリエステルプレポリマー粒状体を固相重縮合することによりポリエステルを製造する方法に関する。
ポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエステルは、機械的性質、熱的性質、電気的性質などに優れているため、繊維や、各種用途のフィルム、シート、ボトルなどの成形品に広く使われ、需要も拡大している。
ポリエチレンテレフタレートは、その用途に応じて求められる物性は異なるが、ボトル等の容器材料として用いられるような高分子量のポリエステルは、通常、ジカルボン酸成分としてのジカルボン酸及び/又はそのエステル形成性誘導体とジオール成分とをエステル化及び/又はエステル交換反応を経て低分子量オリゴマーを生成し、引き続き溶融重縮合反応、固相重縮合することにより製造される。
現在、工業的に広く実施されているポリエステル製造方法においては、高分子量のポリエステルは、溶融重縮合反応により比較的高分子量のポリエステルプレポリマーを得、これを固相重縮合することにより製造されているが、その場合比較的高分子量のポリエステルプレポリマーを得るために、溶融重縮合の最終段において、複雑な攪拌翼を備えた横型のプラグフロー性を有する反応機が用いられている。一方、溶融重縮合反応装置としてこの様な複雑な構造の反応機を使用しないで効率的にポリエステルを製造する方法として、例えば特許文献1には、溶融重縮合反応により重合度5から35の比較的低分子量のポリエステルプレポリマーを得、これを特定条件で結晶化した後、固相重縮合工程に供するポリエステルの製造方法が提案されている。しかしながら、この方法における特定条件での結晶化は連続生産への適用において必ずしも容易でなく、また、比較的長い固相重縮合時間を要する点で、必ずしも満足できる方法ではなかった。
また、ポリエステル製造における固相重縮合速度を制御するために種々の試みが提案されている。例えば、特許文献2には、固相重縮合速度が重縮合触媒量やプレポリマーの末端カルボキシル基濃度に依存することが記載されており、プレポリマーの末端カルボキシル基濃度をエステル化反応におけるテレフタル酸とエチレングリコールとの仕込み比率を変化させることにより、或いは反応の後段階で初期仕込み量に対して過剰量のエチレングリコールを添加することにより調整すること、更に、溶融重縮合工程に部分真空が掛けられた後から触媒を添加することによって調整することが記載されている。しかしながら、この方法はポリエステルの連続的製造方法への適用において煩雑さを伴い、また、重縮合速度の点で必ずしも満足できる方法ではなかった。
更に、特許文献3には、低分子量のポリエチレンテレフタレートを固相重縮合する際に、カルボキシル末端基量とヒドロキシル末端基量との比が特定範囲の結晶化ポリエチレンテレフタレートプレポリマーを用いることが記載されている。しかしながら、この方法は比較的カルボキシル末端基量が多い条件を規定しており、また、実施例においても、カルボキシル末端基量が165eq/10g(ポリエステルプレポリマー1トン当たり165当量)以上であり、本願のような、末端カルボキシル基濃度が小さい領域での固相重縮合に関しては記載されていない。
特表平10−512608号公報 特開昭55−133421号公報 特開2000−204145号公報
本発明は、容器材料等としての実用性に適合した高分子量で高品質のポリエステルを、複雑な構造の溶融重縮合反応装置を用いることなく、しかも比較的短い固相重縮合時間で製造することができ、それによって安価で効率よくポリエステルを製造し得る方法を提供することを目的とするものである。
本発明者は上記課題に鑑み鋭意検討の結果、特定の物性を有するポリエステルプレポリマー粒状体を連続プロセスで製造し、該粒状体を固相重縮合することにより所望物性のポリエステルを効率よく製造できることを見出し本発明に到達した。即ち、本発明の要旨は以下のとおりである。
テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分とエチレングリコールを主成分とするジオール成分とをエステル化反応させてオリゴマーを得るエステル化工程(a)、得られたオリゴマーを溶融重縮合反応させてポリエステルプレポリマーを得る溶融重縮合工程(b)、得られたポリエステルプレポリマーを造粒してポリエステルプレポリマー粒状体を得る造粒工程(c)、得られたポリエステルプレポリマー粒状体を固相重縮合反応させることによりポリエステルを得る固相重縮合工程(d)、を有するポリエステルの製造方法であって、下記1乃至3の要件を充たすことよりなるポリエステルの製造方法。
1.各工程(a)、(b)及び(c)が連続プロセスであること
2.工程(c)で得られるポリエステルプレポリマー粒状体の固有粘度が0.18dL/g以上0.35dL/g以下であること
3.工程(c)で得られるポリエステルプレポリマー粒状体の末端カルボキシル基濃度が、該粒状体1トン当たり1当量以上50当量以下であること。
本発明のポリエステルの製造方法によれば、ボトル等の容器材料等に実用上求められる物性を有する高分子量、高品質のポリエステルを、複雑な構造の溶融重縮合反応装置を用いることなく、短い固相重縮合時間で製造することができる。その結果、安価で効率よくポリエステルを製造することが可能となるので、本発明方法は工業的に極めて有用な方法である。
本発明のポリエステルの製造方法(以下、「本発明の製造方法」ともいう)は、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分とエチレングリコールを主成分とするジオール成分とをエステル化反応させてオリゴマーを得るエステル化工程(a)、得られたオリゴマーを溶融重縮合反応させてポリエステルプレポリマーを得る溶融重縮合工程(b)、得られたポリエステルプレポリマーを造粒してポリエステルプレポリマー粒状体を得る造粒工程(c)、得られたポリエステルプレポリマー粒状体を固相重縮合反応させることによりポリエステルを得る固相重縮合工程(d)を有するポリエステルの製造方法であって、少なくとも各工程(a)、(b)及び(c)が連続プロセスであることが必要である。
ここで、連続プロセスとは、回分法に対する用語であり、各工程(a)、(b)及び(c)のそれぞれにおけるプロセスが連続的に実施されること、並びに工程(a)、(b)及び(c)を一連の連続法として実施することを包含するものである。
本発明の製造方法によれば、少なくとも工程(a)、(b)及び(c)のそれぞれが連続プロセスであることにより、固有粘度や末端カルボキシル基濃度などの点で、品質が安定したポリエステルプレポリマー粒状体が得られるので、それによって工程(d)を経て得られるポリエステルもその品質を安定化することができる。本発明の製造方法においては、更に、工程(d)も連続プロセスであることが好ましい。
工程(a)、(b)及び(c)が連続プロセスで行われず、例えば回分法で行われる場合には、エステル化反応を行い、それに引き続いて溶融重縮合反応を行った後、それによって得られるポリエステルプレポリマーを粒状化するが、該プレポリマーを粒状体に造粒するときに、造粒経過時間に応じて固有粘度が低下し、末端カルボキシル基濃度が増加する為、均一な品質のポリエステルプレポリマー粒状体が得にくい。
本発明の製造方法においては、工程(c)で得られるポリエステルプレポリマー粒状体の固有粘度は、0.18dL/g以上、0.40dL/g以下である。下限値は好ましくは0.19dL/g、より好ましくは0.20dL/gであり、上限値は好ましくは0.35dL/g、好ましくは0.32dL/gである。該プレポリマー粒状体の固有粘度が下限値未満であると、工程(c)の後工程である固相重縮合工程(d)での反応に要する時間が長くなる等の点で好ましくなく、他方、上限値を越える場合は溶融重縮合工程における重縮合反応機としてプラグフロー性をもった横型反応機を用いる必要があるなど、複雑で高価な設備を要することとなり、好ましくない。
また、工程(c)で得られるポリエステルプレポリマー粒状体の末端カルボキシル基濃度は、該プレポリマー粒状体1トン当たり50当量以下であり、好ましくは30当量/トン以下、より好ましくは20当量/トン以下である。末端カルボキシル基濃度がこの値を超えて高すぎると固相重縮合速度が小さくなる傾向があり好ましくない。下限値は、小さいほど好ましいが、通常は、実質的に1当量/トンである。
本発明の製造方法において、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分とは、ポリエステルを製造する際に使用する全ジカルボン酸成分に対して95モル%以上がテレフタル酸成分であるジカルボン酸成分をいい、好ましくは97モル%以上である。テレフタル酸成分の含有量が前記範囲未満では、得られるポリエステルを成形体とした際に耐熱ボトル等の成形体としての耐熱性が劣る傾向となる。
またエチレングリコールを主成分とするジオール成分とは、ポリエステルを製造する際に使用する全ジオール成分に対してエチレングリコール成分が95モル%以上であることをいい、好ましくは97モル%以上である。
本発明の製造方法で使用し得るテレフタル酸以外のジカルボン酸成分としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、ジブロモイソフタル酸、スルホイソフタル酸ナトリウム、フェニレンジオキシジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルケトンジカルボン酸、4,4’−ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等の脂環式ジカルボン酸、及びコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカジカルボン酸、ドデカジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸等が挙げられる。
また、エチレングリコール以外のジオール成分としてはジエチレングリコールの他、例えば、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタメチレングリコール、デカメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等の脂肪族ジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,1−シクロヘキサンジメチロール、1,4−シクロヘキサンジメチロール、2,5−ノルボルナンジメチロール等の脂環式ジオール、及びキシリレングリコール、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン酸等の芳香族ジオール、並びに、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパンのエチレンオキサイド付加物又はプロピレンオキサイド付加物等が挙げられる。
更にまた、3官能以上の化合物、例えばトリメリット酸、ピロメリット酸などのポリカルボン酸及びこれらの無水物、及びトリメチロールメタン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセロール、ヘキサントリオール等のポリオール、並びにリンゴ酸、クエン酸などのヒドロキシカルボン酸等の一種又は二種以上を得られるポリエステルの所望物性を調整する等の目的により必要に応じて共重合成分として使用してもよい。
本発明の製造方法は、上記の如く少なくとも工程(a)、(b)及び(c)のそれぞれを連続プロセスで行い、そのプロセスにおける反応触媒、反応温度、反応圧力及び反応時間等の反応条件を適宜調整することによって工程(c)で得られるポリエステルプレポリマー粒状体の固有粘度及び末端カルボキシル基濃度を上記の所定値となす以外は、公知のポリエステルの製造方法に準じて行うことができる。
以下、本発明の製造方法における製造条件について説明する。
本発明の製造方法においては、通常、ジカルボン酸成分とジオール成分を混合して原料スラリーを調製する。原料スラリーの調製は、テレフタル酸を主成分とするシカルボン酸成分とエチレングリコールを主成分とするジオール成分、及び必要に応じて用いられる共重合成分等とを、ジカルボン酸成分に対するジオール成分のモル比を1.0〜2.0として調製する。このモル比は1.05〜1.8とするのが好ましく、1.1〜1.6とするのが更に好ましい。
次いで、調製した原料スラリーを、単数又は複数のエステル化反応槽を備えたエステル化工程に連続的に移送し、常圧〜加圧下、加熱下で、エステル化反応させてオリゴマーとする(エステル化工程(a))。
本発明の製造方法では、エステル化反応においてエステル化反応触媒を用いるのが好ましい。エステル化反応触媒を用いることにより反応速度を大きくすることができるだけでなく、生成オリゴマーの溶融重縮合で得られるポリエステルプレポリマーの末端カルボキシル基濃度を小さくできることが容易となる。
エステル化反応触媒としては特に限定されず、公知の触媒から適宜選定することが出来るが、具体例としては、例えばタングステン化合物、チタン化合物が挙げられる。タングステン化合物としては、例えば、パラタングステン酸、メタタングステン酸、タングステン酸、ケイタングステン酸、リンタングステン酸及びそれらの塩が挙げられ、なかでもメタタングステン酸アンモニウム、パラタングステン酸アンモニウム、タングステン酸ナトリウム、タングステン酸が好ましく、特に好ましくはメタタングステン酸アンモニウム、パラタングステン酸アンモニウムである。
チタン化合物としては、例えば、テトラ−n−プロピルチタネート、テトラ−i−プロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネートテトラマー、テトラ−t−ブチルチタネート、アセチル−トリ−i−プロピルチタネートなどのテトラアルコキシチタネート、酢酸チタン、蓚酸チタン、塩化チタン等が挙げられ、なかでも、テトラ−i−プロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネートが好ましく、テトラ−n−ブチルチタネートが特に好ましい。
エステル化反応における反応条件は、単一のエステル化反応槽の場合、通常、温度を240〜310℃程度、圧力を0〜400kPaG(0〜4kg/cm2 G)程度とし、攪拌下に1〜10時間程度の反応時間(滞留時間)とする。また、複数のエステル化反応槽の場合は、第1段目のエステル化反応槽における反応温度を、通常240〜310℃、好ましくは245〜305℃、圧力を、通常5〜300kPaG(0.05〜3kg/cm2G)、好ましくは10〜200kPaG(0.1〜2kg/cm2 G)とし、最終段における反応温度を、通常250〜310℃、好ましくは255〜300℃、圧力を、通常0〜150kPaG(0〜1.5kg/cm2G)、好ましくは0〜130kPaG(0〜1.3kg/cm2 G)とする。ここでkPaGは大気圧に対する相対圧力をkPa単位で表したものである。
本発明の製造方法において、エステル化反応生成物としてのオリゴマーのエステル化率(原料ジカルボン酸成分の全カルボキシル基のうちジオール成分と反応してエステル化したものの割合)は、90%以上とするのが好ましく、94%以上とするのが更に好ましい。
エステル化工程(a)で得られたオリゴマーを、引き続いて重縮合反応槽を備えた溶融重縮合工程に連続的に移送し、減圧下、加熱下で溶融重縮合反応させる(溶融重縮合工程(b))。溶融重縮合反応は連続プロセスにより1段又は複数段で行うことができるが、通常は、1段又は2段、場合により1段で所望の物性のプレポリマー得ることができる。
本発明の製造方法においては、溶融重縮合反応で得られるポリエステルプレポリマーの固有粘度は、そのプレポリマーを粒状化した粒状体の固有粘度が0.40dL/g以下、好ましくは0.35dL/g以下となるように低く調整されるので、高分子プレポリマーを得るために従来広く使用されている高粘度用攪拌翼を備えた横型プラグフロー型の第2段、第3段の重縮合反応槽は必ずしも必要でなく、溶融重縮合工程は単純化され設備コストも低減することができ、更には攪拌翼を備えた完全混合型の単一の反応槽で行うこともできる。
溶融重縮合反応における触媒としては特に制限されず、公知の触媒を用いることができる。具体的には、例えば、二酸化ゲルマニウム、四酸化ゲルマニウム、水酸化ゲルマニウム、蓚酸ゲルマニウム、ゲルマニウムテトラエトキシド、ゲルマニウムテトラ−n−ブトキシド等のゲルマニウム化合物、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、酢酸アンチモン、メトキシアンチモン等のアンチモン化合物、テトラ−n−プロピルチタネート、テトラ−i−プロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、蓚酸チタン、蓚酸チタンカリウム等のチタン化合物等が挙げられ、これらは単独で或いは併用して用いられる。なかでもチタン化合物は重縮合反応活性が高いため好ましく用いられる。触媒使用量は、得られるポリエステルプレポリマーに対して通常1〜400質量ppmである。
また、正リン酸、正リン酸アルキルエステル、エチルアシッドフォスフェート、トリエチレングリコールアシッドフォスフェート、亜リン酸、亜リン酸アルキルエステル等のリン化合物を安定剤として用いることができる。その使用量は、得られるポリエステルプレポリマーに対して1〜1000質量ppmとなる量とするのが好ましく、2〜200質量ppmとなる量とするのが特に好ましい。
更に、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、マグネシウムアルコキシド、炭酸マグネシウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、酢酸カルシウム、炭酸カルシウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の化合物も前記重縮合触媒と共に使用することもできる。その使用量は、得られるポリエステルプレポリマーに対して、通常1〜100質量ppmである。
連続プロセスによる溶融重縮合反応における反応条件は、通常、温度が260〜290℃、好ましくは270〜280℃、圧力が100〜0.1kPaA、好ましくは50〜0.1kPaAである。反応時間(滞留時間)は、温度及び圧力に依存するが、溶融重縮合工程で得られるポリエステルプレポリマーを後述の造粒工程で粒状化して得られるポリエステルプレポリマー粒状体の固有粘度を上記の所定範囲となるように調節すればよく、通常0.5〜3時間程度である。ここでkPaAは絶対圧力をkPa単位で表したものである。
溶融重縮合反応を多段、例えば2段で行う場合には、反応条件は1段目の温度が、260〜280℃、圧力が100〜1kPaA、2段目の温度が270〜290℃、圧力が10〜0.1kPaAで行われる。2段目の反応の最終時の温度は重合反応を十分行わせるために、少なくとも270℃以上で行うのが好ましい。
溶融重縮合工程(b)で得られたポリエステルプレポリマーは、引き続き連続的に造粒工程(c)で造粒され粒状体となる。粒状体化されたポリエステルプレポリマー粒状体の固有粘度の下限値は、0.18dL/g、好ましくは0.19dL/g、より好ましくは0.20dL/gであり、上限値は0.40dL/g、好ましくは0.35dL/g、より好ましくは0.32dL/gである。
また、ポリエステルプレポリマー粒状体の末端カルボキシル基濃度は、該プレポリマー粒状体1トン当たり50当量以下であり、好ましくは30当量/トン以下、より好ましくは20当量/トン以下である。下限値は、小さいほど好ましいが、通常は、実質的に1当量/トンである。
上記のプレポリマー粒状体の固有粘度、及び末端カルボキシル基濃度は本質的に溶融重縮合工程(b)で得られたプレポリマーと同じである。
本発明の製造方法において、造粒工程(c)における造粒方法としては、滴下法、及びストランドカット法が好適に採用できる。滴下法は溶融重縮合反応によって得られた溶融状態のポリエステルプレポリマーを、鉛直下方を向いたノズルヘッドからガス中にストランド状に滴下後、重力加速度を利用して粒子化すると共に、雰囲気ガスとの熱交換により固化させ、粒状体とする方法である。この方法は、通常、固有粘度が0.25dL/g以下、好ましくは0.20dL/g以下のプレポリマーを粒状体とする際に、好ましく採用できる。滴下法の中でも、特に、ポリエステルプレポリマーに振動を与える方法(例えば特表2003−531259号公報参照)が好ましく採用できる。振動を与えることで、ストランドを粒子化するのに必要な落下距離を小さくすることができるため、装置全体の大きさを小さくすることが可能となる。
滴下法においては、固化に必要とされる落下長(距離)を小さくするために、プレポリマーの落下点に水浴等を設け、水等の液体で冷却固化させてもよい。水浴を設ける場合は、固化した粒状体同士が融着するのを防止するため、水浴中の水に流速を与えることが好ましい。流速の与え方は特に制限されないが、例えばポリエチレンテレフタレートのように比重が1を超えるポリエステルの場合には、ロート状の水浴の上部全体から水を流し、下部の中心付近から水とプレポリマー粒状体からなるスラリーを排出する構造とすることや、傾斜面の上部全体から水を流し、下部で水とプレポリマー粒状体からなるスラリーを回収する構造とすることが好ましい。また、回転移動している金属製ベルト等の上に滴下して冷却固化させる方法も採用できる。このような方法を採用することで、効率的にポリエステルプレポリマー粒状体を得ることができる。
一方、ストランドカット法は溶融重縮合反応によって生成した溶融状態のポリエステルプレポリマーを、ギヤポンプなどを介して、複数の細孔(ダイホール)を有するダイプレートから気相中に吐出してストランド状とし、引き続き、水冷しながら、又は、水冷後、吐出方向とほぼ直交方向の回転軸を有する回転歯と固定歯にて切断することにより粒状体とする方法である。この方法は、通常、固有粘度が0.18dL/g以上、好ましくは0.20dL/g以上のプレポリマーを粒状体とする際に、好ましく採用できる。
ストランドカット法においては、溶融したポリエステルプレポリマーをダイホールからストランド状に吐出する際のポリエステルの線速度は、0.1m/秒以上、30m/秒以下が好ましい。また、回転歯と固定歯に導かれたストランド状ポリエステルは、切断可能な程度に固化している必要がある。ここで切断可能な程度に固化しているとは、ストランドの表面温度を当該ポリエステルのガラス転移温度以下、好ましくはガラス転移温度よりも5℃低い温度以下にまで冷却し、固化した状態をいう。例えば、当該ポリエステルがポリエチレンテレフタレートである場合、ストランドの表面温度を75℃以下、好ましくは70℃以下にまで冷却すればよい。このため、使用する水の温度は、通常、5℃以上90℃以下の範囲で、ポリエステルの溶融時の温度、融点、軟化点、ガラス転移点、あるいはストランドの太さなどに応じて適宜に選ばれる。特にポリエステルがポリエチレンテレフタレートの場合は、水の温度の下限は10℃がより好ましく、上限は65℃がより好ましい。
本発明の製造方法において、粒状体の平均粒径は0.1〜3.0mmが好ましい。平均粒径の下限値は、0.5mmが更に好ましく、特に好ましくは0.65mmであり、一方、上限値は、2.0mmが更に好ましく、より好ましくは1.8mm、特に好ましくは1.6mmである。平均粒径が0.1mm未満であると粒子化する時に微粉が多くなりその後の工程で移送中のトラブルが起き易い。平均粒径が3.0mmを越えると、所望の固有粘度を有する高分子量のポリエステルを製造するのに必要な固相重縮合時間が非常に大きくなる傾向となり、好ましくない。ここで粒状体の平均粒径はJISK0069に記載の乾式ふるい分け試験法により、積算分布曲線を作成し、積算百分率が50%になるときの値を平均粒径とする。
本発明の製造方法において、固相重縮合工程(d)の具体的方法としては特に制限されず、公知の方法に準じて行われる。例えば、造粒工程(c)で得られるポリエステルプレポリマー粒状体を、必要に応じて、例えば120〜180℃の不活性ガス気流中で0.5〜12時間流動化させることで結晶化及び乾燥処理を行った後、通常180℃以上、ポリエステルの融点よりも5℃低い温度以下で不活性ガスが流通している移動床で連続的に固相重縮合を実施することができる。固相重縮合時間は、生成ポリエステルの所望固有粘度に応じて設定すればよく、通常、1〜50時間程度である。固相重縮合後の固有粘度は、通常、下限が好ましくは0.70dL/g、より好ましくは0.72dL/g、更に好ましくは0.74dL/gであり、上限が通常1.50dL/g、好ましくは1.45dL/g、更に好ましくは1.40dL/gである。本発明の製造方法により得られるポリエステルの固相重縮合後の固有粘度がこの範囲である場合、そのポリエステルを成形してなる成形体の機械的強度や溶融成形性が優れるため、一層好ましい。
本発明の製造方法により得られるポリエステルは、射出成形や押出成形によりプリフォームを成形後、延伸ブロー成形により、飲料包装等に用いられるボトルにすることができ、また、ダイレクトブロー成形により、ボトルにすることもできる。
更にまた、押出成形や延伸成形によりフィルム、シートにして包装材料など各種用途に供することができる。また、押出・延伸成形により、繊維とすることができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例における各種物性の測定方法は以下に述べる通りである。
<固有粘度(IV)>
試料約0.25gを、フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン(質量比1/1)の混合溶媒約25mLに、濃度が1.00g/dLとなるように溶解させた後、30℃まで冷却、保持し、全自動溶液粘度計(センテック社製「2CH型DJ504」)にて、試料溶液及び溶媒のみの落下秒数を測定し、下式により固有粘度(IV)を算出した。
(式1)
IV=((1+4KHηsp0.5−1)/(2KHC)
上記式において、ηsp=η/η0−1であり、ηは試料溶液の落下秒数、η0は溶媒のみの落下秒数、Cは試料溶液濃度(g/dL)、KHはハギンズの定数である。KHは0.33を採用した。
試料の溶解条件は、試料がプレポリマーの場合は110℃で30分間、固相重縮合後のポリエステルの場合は140℃で30分間とした。
<末端カルボキシル基濃度(AV)>
試料(ポリエステルプレポリマー粒状体)を粉砕した後、熱風乾燥機にて140℃で15分間乾燥させ、デシケーター内で室温まで冷却した試料から、0.1gを精秤して試験管に採取し、ベンジルアルコール3mLを加えて、乾燥窒素ガスを吹き込みながら195℃、3分間で溶解させ、次いで、クロロホルム5mLを徐々に加えて室温まで冷却した。この溶液にフェノールレッド指示薬を1〜2滴加え、乾燥窒素ガスを吹き込みながら攪拌下に、0.1規定の苛性ソーダのベンジルアルコール溶液で滴定し、黄色から赤色に変じた時点で終了とした。また、ブランクとして、該プレポリマー粒状体(樹脂)試料を用いずに同様の操作を実施した。以下の式により、プレポリマー樹脂1トン当たりの末端カルボキシル基濃度(AV)を算出した。
(式2)
AV(当量/トン)=(A−B)×0.1×f/W
上記式において、Aは、滴定に要した0.1規定の苛性ソーダのベンジルアルコール溶液の量(μL)、Bは、ブランクでの滴定に要した0.1規定の苛性ソーダのベンジルアルコール溶液の量(μL)、Wは、プレポリマー樹脂試料の量(g)、fは、0.1規定の苛性ソーダのベンジルアルコール溶液の力価である。
なお、0.1規定の苛性ソーダのベンジルアルコール溶液の力価(f)は、試験管にメタノール5mLを採取し、フェノールレッドのエタノール溶液を指示薬として1〜2滴加え、0.1規定の苛性ソーダのベンジルアルコール溶液0.4mLで変色点まで滴定し、次いで、力価既知の0.1規定の塩酸水溶液を標準液として0.2mL採取して加え、再度、0.1規定の苛性ソーダのベンジルアルコール溶液で変色点まで滴定した。(以上の操作は、乾燥窒素ガス吹き込み下で行った。)以下の式によって力価(f)を算出した。
(式3)
力価(f)=0.1規定の塩酸水溶液の力価×0.1規定の塩酸水溶液の採取量(μL)/0.1規定の苛性ソーダのベンジルアルコール溶液の滴定量(μL)
<ポリエステル粒状体の平均粒径>
JIS K0069に記載の乾式篩い分け方法により作成した積算分布曲線における積算百分率が50%になるときの値を平均粒径とした。
(実施例1)
撹拌機、エチレングリコール仕込み配管及びテレフタル酸仕込み配管を有するスラリー調製槽;スラリーをエステル化第一槽へ移送する配管;撹拌機、分離塔、原料受入れ口、触媒仕込み配管、反応物移送配管を有する完全混合型第一及び第二エステル化反応槽;エステル化反応物(オリゴマー)を溶融重縮合反応槽へ移送する配管(但し、触媒仕込み配管を備える);撹拌機、分離塔、オリゴマー受入れ口、触媒仕込み配管を有する完全混合型溶融重縮合反応槽;ポリエステルプレポリマーを抜き出し配管、ギヤポンプを介して、ダイプレートから水流中にストランド状に吐出させ、カッティングして粒状体とするストランドカッター(リーター・オートマチック社製ペレタイザー(P−USG100))を備えたポリエステルプレポリマーの連続製造装置を用いてポリエステルプレポリマー粒状体を製造した。すべての反応は窒素雰囲気下で行った。
まずビス−(β−ヒドロキシエチル)テレフタレート450質量部を第一エステル化反応槽に投入し槽内を窒素置換後、温度262℃にて溶融する。また、スラリー調製槽にテレフタル酸及びエチレングリコールを、テレフタル酸に対するエチレングリコールのモル比が1.5となるように仕込み撹拌してスラリーとなし、このスラリーを135質量部/時間で、平均滞留時間4.5時間になるように連続的に圧力96kPaG、温度262℃の、第一エステル化反応槽に仕込んだ(スラリー移送工程)。同時にメタタングステン酸アンモニウムのエチレングリコール溶液(濃度:タングステン原子として1.1質量%)を、得られるポリエステルプレポリマーに対してタングステンとして80質量ppmとなる量を第一エステル化反応槽の気相部分より連続的に添加し、分離塔から生成する水を留去しつつエステル化反応を行い(エステル化工程)、反応生成液を連続的に抜き出し第二エステル化反応槽に移送した。第二エステル化反応槽で温度260℃、圧力5kPaG下、滞留時間1.5時間でエステル化反応を行った(エステル化工程)。
第二エステル化反応槽から得られたオリゴマーを移送配管を通じ溶融重縮合反応槽へ連続的に移送した。この移送配管の三酸化二アンチモンを添加する箇所より上流側の箇所から、正リン酸のエチレングリコール溶液(濃度:リン原子として1.6質量%)を、得られるポリエステルプレポリマーに対してリンとして12質量ppmとなる量を連続的に添加し、さらに、三酸化二アンチモンのエチレングリコール溶液(濃度:アンチモン原子濃度として1.8質量%)を得られるポリエステルプレポリマーに対してアンチモンとして209質量ppmとなる量を連続的に添加し溶融重縮合反応槽へ供給した。
溶融重縮合反応槽では、圧力2.5kPaA、温度273℃、滞留時間1.0時間にて反応を行い(溶融重縮合工程)、得られたポリエステルプレポリマーを抜き出し配管、ギヤポンプを介して、ダイプレートからストランド状に吐出させた。このストランド状のポリエステルプレポリマーを、ストランドカッター(リーター・オートマチック社製ペレタイザー(P−USG100))の水流中で冷却固化させると共に、回転歯と固定歯により切断して粒状体とした。溶融重縮合反応開始から15時間経過以降の粒状体を固相重縮合に供するサンプルとした。
ポリエステルプレポリマー粒状体(サンプル)の固有粘度(IV)は0.211dL/g、末端カルボキシル基濃度(AV)は16当量/トン、平均粒径は1.0mmであった。
このプレポリマー粒状体18gを、底面が130mm×170mmの角形で、深さが30mmのステンレス製バットに載せた状態で、内部のガス温度が180℃のイナートオーブン(タバイエスペック社製IPHH−201M型)に入れ、イナートオーブンの内部に流通させる窒素の流量を50NL/分、温度を180℃として、2時間の結晶化処理を行った。ここで、NLとは0℃、101.3kPaにおける気体の体積(L)のことである(以下同様)。
結晶化処理を行った結晶化済のポリエステルプレポリマー粒状体2gを、前記のステンレス製バットに均一に載せ、内部のガス温度が50℃の前記のイナートオーブンに入れ、イナートオーブンの内部に流通させる窒素の流量を50NL/分、温度を50℃から210℃まで30分掛けて昇温し、210℃で20分保持後、0.5℃/分の昇温速度で230℃まで昇温し、230℃で所定時間保持することで、固相重縮合を行った(固相重縮合工程)。
230℃到達後の保持時間を固相重縮合時間として、固相重縮合時間を16時間としたときに得られたポリエステルの固有粘度は0.760dL/gであった。その結果をまとめて表1に示す。
(比較例1)
実施例1において、第一エステル化反応槽へのメタタングステン酸アンモニウムのエチレングリコール溶液の添加を省略した以外は実施例1と同様に行った。その結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例1において、第一エステル化反応槽へのメタタングステン酸アンモニウムのエチレングリコール溶液の添加、及び、第二エステル化反応槽から溶融重縮合反応槽への移送配管への正リン酸及び三酸化二アンチモンのエチレングリコール溶液の添加を省略し、テトラブチルチタネートのエチレングリコール溶液(濃度:チタン原子として0.075質量%)を、得られるポリエステルプレポリマーに対してチタンとして8質量ppmとなるようにスラリー調製槽の気相部より添加し、更に、酢酸マグネシウム4水塩のエチレングリコール溶液(濃度:マグネシウム原子として0.040質量%))を得られるポリエステルプレポリマーに対してマグネシウムとして8質量ppmとなるように、また、エチルアシッドフォスフェートのエチレングリコール溶液(濃度:リン原子として0.030質量%)を得られるポリエステルプレポリマーに対してリンとして8質量ppmとなるように溶融重縮合反応槽の反応液相に連続的に添加した以外は実施例1と同様に行った。その結果を表1に示す。
実施例1、2に対し、比較例1はプレポリマーの末端カルボキシル基濃度が大きいため、固相重縮合後の固有粘度が小さい(固相重縮合速度が小さい)結果であった。
(実施例3)
攪拌機、エチレングリコール仕込み配管及びテレフタル酸仕込み配管を具備するスラリー調製槽;スラリーやエステル化反応物を各エステル化反応槽へ移送する各配管;攪拌機、分離塔、原料受入れ口、触媒仕込み配管、反応物移送配管を具備する完全混合型第一及び第二エステル化反応槽;エステル化反応物(オリゴマー)を溶融重縮合反応槽へ移送する配管;撹拌機、分離塔、オリゴマー受入れ口、触媒仕込み配管を具備する完全混合型第一溶融重縮合反応槽;撹拌機、分離塔、ポリマー受入れ口、ポリマー抜き出し口を具備するプラグフロー型第二及び第三溶融重縮合反応槽;プレポリマーを抜き出し口よりギヤポンプを介してダイプレートからストランド状に取り出し水冷下ストランドカットする粒子化装置(ストランドカッターはリーター・オートマチック社製ペレタイザー(P−USG100))を備えたポリエステル(PET)プレポリマー連続製造装置を用いてポリエステルプレポリマー粒状体を製造した。すべての反応は窒素雰囲気下で行った。
スラリー調製槽にてテレフタル酸、イソフタル酸、エチレングリコールを撹拌混合すると共に、テトラ−n−ブチルチタネートのエチレングリコール(EG)溶液を添加して、得られるポリエステルに対してチタン原子として8質量ppmとなる量のテトラ−n−ブチルチタネートを含有するテレフタル酸/イソフタル酸/エチレングリコール(モル比0.97:0.03:1.5)スラリーを調製した。また、ビス−(β−ヒドロキシエチル)テレフタレート400質量部を第一エステル化反応槽に仕込み窒素雰囲気下で溶融し、温度262℃、圧力96kPaGに保たれた中へ、前記のスラリー調製槽で調製されたスラリーを135質量部/時間で、ポリエステルとしての平均滞留時間が4.5時間になるように連続的に仕込み、分離塔から生成する水を留去しながらエステル化反応を行いつつ、反応液を連続的に第二エステル化反応槽へ移送した。
第二エステル化反応槽では温度260℃、圧力5kPaG下、滞留時間1.5時間でエステル化反応を行い、移送配管を通じ完全混合型第一溶融重縮合反応槽へ連続的に移送した。
第一溶融重縮合反応槽では温度270℃、圧力3.8kPaA下、滞留時間1.0時間にて反応を行い、移送配管を通じ第二溶融重縮合反応槽へ連続的に移送した。第二溶融重縮合反応槽では温度275℃、圧力3.8kPaA下、滞留時間1.0時間にて溶融重縮合反応を行い、移送配管を通じ第三溶融重縮合反応槽へ移送した.第三溶融重縮合反応槽では温度275℃、圧力3.8kPaA下、滞留時間1.2時間にて溶融重縮合反応を行った。
このようにして得られた溶融ポリエステルプレポリマーをそのまま、ギヤポンプ及び抜き出し配管を通じてダイヘッドへ導き、ダイホールからストランド状に吐出させた。このストランド状のポリエステルプレポリマーを、ストランドカッター(リーター・オートマチック社製ペレタイザー(P−USG100))の水流中で冷却固化させると共に、回転歯と固定歯により切断して粒状体とした。溶融重縮合反応開始から15時間経過以降の粒状体を固相重縮合に供するサンプルとした。
ポリエステルプレポリマー粒状体(サンプル)の固有粘度(IV)は0.323dL/g、末端カルボキシル基濃度(AV)は26当量/トン、イソフタル酸、ジエチレングリコールの共重合量は2.9モル%、2.2モル%、平均粒径は1.1mmであった。
このプレポリマー粒状体30gを底面が130mm×170mmの角形で、深さが30mmのステンレス製パットに広げて置き、内部のガス温度が180℃のイナートオーブン(タバイエスペック社製IPHH−201M型)に入れ、イナートオーブンの内部に流通させる窒素の流量を50NL/分、温度を180℃として、1時間の結晶化処理を行った。
上記の結晶化処理を行ったプレポリマー粒状体を、図1に示すガラス製熱処理装置を用いて熱処理(固相重縮合)を行った。
以下、該熱処理装置について説明する。
図1に示す熱処理装置において、試料は、試料充填部の内径が45mmのガラス製熱処理管(1)に充填されている。熱処理管(1)には、ガス流量計(2)、窒素導入管(3)、窒素予熱管(4)を経由して、オイルバス(5)に充填されたオイルにより加熱された窒素が導入される。導入された窒素は、熱処理管(1)下部にある分散板(6)により分散され、熱処理管(1)内部で略均一な線速度を有する上昇流となって、試料層(7)を通過する。試料層(7)を通過した窒素は、熱処理管(1)上部にあるフィルター(8)を経由して、ガスパージ口(9)から熱処理管(1)の外部に排出される。
熱処理管(1)は枝管(10)を有しており、その上部にある開口部(通常はガラス栓にて閉止してある)から試料の投入や試料の採取が可能である。また、熱処理管(1)内部の試料の温度は、熱電対(11)を備えた温度計(12)で測定できる。本実施例の範囲の温度、空塔線速度においては、熱処理管(1)の内部温度は、オイルバス中のオイル温度よりも2℃低い温度となるため、目標とする固相重縮合温度に対して、オイルの温度は2℃高い温度に調節した。
熱処理管(1)に枝管(10)の開口部より、上記結晶化処理後のプレポリマー粒状体30gを仕込み、窒素を流通して内部を窒素置換した。その後熱処理管(1)内の窒素の空塔線速度(ここで「空塔線速度」とは、試料層の空塔線速度を意味する(以下同様))が210℃で0.30m/秒となるように窒素の流量をガス流量計(2)で設定し、オイルの湿度が212℃に調節された第一のオイルバス(5)に熱処理装置を2時間浸漬した。
引き続き、窒素の空塔線速度が235℃で1.0m/秒となるように窒素の流量を変更し、オイルの温度が237℃に調節された第二のオイルバス(5)に熱処理装置を移し、10分間浸漬した。
引き続き、窒素の空塔線速度が230℃で0.30m/秒となるように窒素の流量を変更し、オイルの温度が232℃に調節された第三のオイルバス(5)に熱処理装置を移し、24時間浸漬した。
このようにして得られたポリエステルの固有粘度(IV)は0.850dL/gであった。その結果をまとめて表2に示す。
(比較例2)
実施例3において、テトラ−n−ブチルチタネートのEG溶液の添加位置を、スラリー調製槽から、第二エステル化反応槽と第一溶融重縮合反応槽との問の移送配管に変更した以外は実施例3と同様に行った。その結果を表2に示す。
(実施例4)
比較例2において、第一エステル化反応槽の温度を273℃、圧力を150kPaG、ポリエステルとしての平均滞留時間を3.0時間にそれぞれ変更し、第二エステル化反応槽の温度を270℃、圧力を10kPaG、ポリエステルとしての平均滞留時間を1.0時間にそれぞれ変更した以外は比較例2と同様に行った。その結果を表2に示す。
実施例3及び4に対し、比較例2はプレポリマーの末端カルボキシル基濃度が大きいため、固相重縮合後の固有粘度が小さい(固相重縮合速度が小さい)結果であった。
実施例3で使用した熱処理装置の概略図である。
符号の説明
1:熱処理管
2:ガス流量計
3:窒素導入管
4:窒素予熱管
5:オイルバス
6:分散板
7:試料層
8:フィルター
9:ガスパージ口
10:枝管(10)
11:熱電対
12:温度計

Claims (10)

  1. テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分とエチレングリコールを主成分とするジオール成分とをエステル化反応させてオリゴマーを得るエステル化工程(a)、得られたオリゴマーを溶融重縮合反応させてポリエステルプレポリマーを得る溶融重縮合工程(b)、得られたポリエステルプレポリマーを造粒してポリエステルプレポリマー粒状体を得る造粒工程(c)、得られたポリエステルプレポリマー粒状体を固相重縮合反応させることによりポリエステルを得る固相重縮合工程(d)を有するポリエステルの製造方法であって、下記1乃至3の要件を充たすことを特徴とするポリエステルの製造方法。
    1.各工程(a)、(b)及び(c)が連続プロセスであること
    2.工程(c)で得られるポリエステルプレポリマー粒状体の固有粘度が0.18dL/g以上0.35dL/g以下であること
    3.工程(c)で得られるポリエステルプレポリマー粒状体の末端カルボキシル基濃度が、該粒状体1トン当たり1当量以上50当量以下であること。
  2. 工程(b)の連続プロセスによる溶融重縮合反応を1段又は2段で行うことを特徴とする請求項1に記載のポリエステルの製造方法。
  3. 工程(c)の造粒方法が滴下法であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリエステルの製造方法。
  4. 工程(c)の造粒方法がストランドカット法であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリエステルの製造方法。
  5. 工程(c)で得られるポリエステルプレポリマー粒状体の平均粒径が、0.1mm以上3.0mm以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のポリエステルの製造方法。
  6. 工程(a)においてエステル化反応を、エステル化反応触媒存在下行うことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のポリエステルの製造方法。
  7. 工程(a)におけるエステル化反応触媒がタングステン化合物及び/又はチタン化合物を含むことを特徴とする請求項6に記載のポリエステルの製造方法。
  8. 工程(d)で得られるポリエステルの固有粘度が0.70dL/g以上であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のポリエステルの製造方法。
  9. 工程(d)が連続プロセスであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のポリエステルの製造方法。
  10. 各工程(a)、(b)及び(c)が一連の連続プロセスであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のポリエステルの製造方法。
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