JP4784216B2 - ポリエチレンテレフタレートの製造方法 - Google Patents

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本発明は、低分子量のポリエチレンテレフタレートを固体状態で熱処理する方法に関する。詳しくは、低分子量のポリエチレンテレフタレートプレポリマーを所定条件下、段階的に熱処理する固相重縮合を行うことにより、高速度で高分子量のポリエチレンテレフタレートを製造する方法に関するものである。
ポリエチレンテレフタレート(以下PETと略すことがある)は、機械的強度、化学的安定性等その優れた特性により数多くの材料および製品、例えば繊維、生地、成形用樹脂および飲料用ボトルなどで幅広く用いられている。そして、PETは、その用途に応じて必要とされる分子量(固有粘度)が異なり、例えば、通常、ボトル用では0.70〜0.95dL/gであり、タイヤコード用では0.95〜1.20dL/gであるとされている。
そのため上記用途に必要な成形加工性、機械的特性を引き出すためには分子量(固有粘度)を所定のレベルにまで上げる必要があり、その方法としてポリエチレンテレフタレート原料を溶融重縮合して得られるPETプレポリマーを引き続き固相重縮合し、高分子化する方法が工業的に広く用いられている。固相重縮合は、通常溶融重縮合によって得られたPETプレポリマーを不活性ガス雰囲気下または減圧下で熱処理することにより行われるが、所望の分子量に達するのに比較的長時間を要するために、より生産性に優れた製造方法が望まれている。かかる方法として、溶融重縮合で比較的低重合度のPETプレポリマーを得、このプレポリマーを高温で固相重縮合する方法が提案されている。
例えば特許文献1には、溶融重縮合で得られた平均重合度約5から約35(固有粘度約0.10から0.36dL/g)の低分子量プレポリマーを、見掛け結晶子サイズが9nm以上となるように結晶化させてから固相重縮合する方法が開示されている。しかしながら、我々の検討によれば、この方法では固相重縮合開始時の重合度が低すぎるためか、あるいは結晶が成長して分子の移動が抑制されるためか、必ずしも満足な固相重縮合反応速度は得られない。
また、特許文献2には、固有粘度0.08から0.5dL/gのPETプレポリマーの粒子をそのガラス転移温度より140℃以上の高温で固相重縮合することが記載されているが、この場合プレポリマーの平均粒子径が1mm程度以上で、粒子同士が融着しない程度の温度範囲では必ずしも十分な固相重縮合反応速度が得られない。更に特許文献3には、重合の進行が結晶化の進行より優先される固相重縮合方法、即ち、低分子量PETプレポリマー粒子を熱伝導媒体と接触させて約205℃〜240℃の範囲の温度まで10分未満で昇温した後、不活性ガス流中で固相重縮合する方法が開示されている。しかしながら、この開示されている方法では熱衝撃を与えて約205℃〜240℃の範囲の温度まで極めて短時間で昇温するため、粒子同士が融着しやすく、これを防止するためには、PETプレポリマー粒子同士を接触させないように特別の設備的工夫が要ること、また、この方法では固相重縮合反応に要する時間を短縮する効果が得られないことなど、必ずしも満足できる方法ではなかった。
一方、特許文献4は、PETを固相重縮合することにより分子量を高める方法に係わり、その固相重縮合工程において連続した2段以上の移動床を用いる熱処理工程が開示されているが、この開示された技術は固有粘度が概ね0.5〜0.65dL/gである中程度の分子量のPETプレポリマー粒子を固相重縮合するにあたり粒子同士が融着しないように段階的に昇温するものであり、重縮合反応速度は必ずしも改良されるものではない。また、この中程度の分子量のプレポリマーを得るには、その溶融重縮合設備は低分子量のプレポリマーを得る設備より高価になるので、総合的な観点から必ずしも満足できる方法ではなかった。
特許3626758号公報 特開2004−67997号公報 特表2004-537622号公報 米国特許5408035号公報
本発明の課題は、上記技術背景に鑑み、低分子量のポリエチレンテレフタレートプレポリマー粒子を熱処理して、粒子の融着を生ずることなく高い重縮合反応速度で固相重縮合し、より高分子量のポリエチレンテレフタレートを効率良く製造しうる工業的に有用な製造方法を提供することである。
本発明者は上記課題に鑑み、固相重縮合工程における温度と重縮合反応速度との関係を詳細に検討した結果、固相重縮合工程を段階的に行い、その工程中の前段工程、即ち第1段固相重縮合工程を、後段工程、即ち第2段固相重縮合工程の温度より15℃以上低い温度で実施すると、第1及び第2段固相重縮合工程の全体を通じての固相重縮合反応速度が大きくなることを見出し本発明に到達した。
即ち本発明の要旨は、固有粘度が0.18dL/g以上0.40dL/g以下のポリエチレンテレフタレートプレポリマーを固体状態における熱処理工程を経て固有粘度0.70dL/g以上のポリエチレンテレフタレートとするポリエチレンテレフタレートの製造方法であって、熱処理工程が下記の1)第1段固相重縮合工程及び2)第2段固相重縮合工程を、この順序で含むことを特徴とするポリエチレンテレフタレートの製造方法に存する。
1)第1段固相重縮合工程;
該ポリエチレンテレフタレートプレポリマーを、温度(T1)200℃以上225℃以下で、不活性ガス雰囲気下または減圧下、平均滞留時間が0.5時間以上10時間以下で熱処理し、該プレポリマーの固有粘度上昇値を0.03dL/g以上となす工程、
2)第2段固相重縮合工程;
第1固相重縮合工程を経たプレポリマーを、温度(T2)215℃以上240℃以下で、不活性ガス雰囲気下または減圧下、平均滞留時間が2時間以上となる条件で熱処理する工程、
但し、上記温度T1(℃)及びT2(℃)は下記(式1)を満足する。
T1+15≦T2 (式1)
本発明により、低分子量のPETプレポリマー粒子を融着させることなく高い重縮合反応速度で固相重縮合するPETの製造方法を提供することができる。この方法により得られるPETは、分子量が高く飲料用ボトルや工業用繊維など幅広い用途に用いることができる。また、低分子量のPETプレポリマーが利用できるので、溶融重縮合工程における設備負荷も低減することができ、経済的に利するところが大きい方法である。
本発明は、溶融重縮合によって得られたPETプレポリマー粒子を不活性ガス雰囲気下または減圧下で熱処理、即ち固体状態で重縮合(固相重縮合)を進めることにより成形に適した所望の高分子量のPETを効率よく製造する方法に係わるが、その際、PETプレポリマーとして低分子量のものを使用し、上記の所定条件下で段階的に固相重縮合を行うことを要件とするものである。この所定条件に制御された方法により、従来法におけるような高温、つまり本発明の第2段固相重縮合工程における温度ではじめから固相重縮合する場合よりも、高分子量領域において大きな重縮合反応速度が得られるため、固相重縮合時間の短縮、重縮合に要する熱量の低減等の生産性向上が可能となるのである。
本発明における熱処理工程は、主として固相重縮合工程及び昇温工程を意味するが、結晶化工程、乾燥工程等の通常、常温を超える温度条件下で固体状のPETプレポリマーを処理する工程などが含まれていてもよい。また、本発明では、PETの分子量の指標として固有粘度を用いる。
以下に本発明の詳細を説明する。
<PETプレポリマー>
本発明に用いるPETプレポリマーを得る方法は特に限定されず、PETの慣用の製造方法により製造することができる。具体的には、通常、テレフタル酸及び/又はそのエステル形成性誘導体を主成分とするジカルボン酸成分とエチレングリコールを主成分とするジオール成分とを、要すればエステル化又はエステル交換触媒の存在下エステル化反応及び/又はエステル交換反応を行い、次いで重縮合触媒を使用して溶融重縮合させることにより製造される。詳しくは、例えば、原料のジカルボン酸成分とジオール成分とを、スラリー調製槽に投入して攪拌・混合して原料スラリーとし、エステル化反応槽で常圧〜加圧下、加熱下で、反応によって生ずる水などを留去しつつエステル化反応させた後、得られたエステル化反応物としてのPET低分子量体(オリゴマー)を重縮合槽に移送し、減圧下、加熱下で、重縮合触媒を使用して溶融重縮合させPETを得る。
本発明においてテレフタル酸を主成分とするとは、PETを製造するのに使用する全ジカルボン酸成分に対して90モル%以上、好ましくは95モル%以上がテレフタル酸及び/又はそのエステル形成性誘導体であることをいい、またエチレングリコールを主成分とするとはPETを製造するのに使用する全ジオール成分に対してエチレングリコールが90%以上、好ましくは95モル%以上であることをいう。
ここで、テレフタル酸以外のジカルボン酸成分としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、ジブロモイソフタル酸、スルホイソフタル酸ナトリウム、フェニレンジオキシジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルケトンジカルボン酸、4,4’−ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等の脂環式ジカルボン酸、及びコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカジカルボン酸、ドデカジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸等とこれらのエステル形成性誘導体が挙げられる。
また、エチレングリコール以外のジオール成分としてはジエチレングリコールの他、例えば、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタメチレングリコール、デカメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等の脂肪族ジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,1−シクロヘキサンジメチロール、1,4−シクロヘキサンジメチロール、2,5−ノルボルナンジメチ ロール等の脂環式ジオール、及びキシリレングリコール、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン酸等の芳香族ジオール、並びに、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパンのエチレンオキサイド付加物又はプロピレンオキサイド付加物等が挙げられる。
上記のエステル化又はエステル交換触媒、及び重縮合反応触媒としては特に制限されず、公知の触媒から適宜選択して使用することができる。触媒としては、例えば、二酸化ゲルマニウム、四酸化ゲルマニウム、水酸化ゲルマニウム、蓚酸ゲルマニウム、ゲルマニウムテトラエトキシド、ゲルマニウムテトラ−n−ブトキシド等のゲルマニウム化合物、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、酢酸アンチモン、メトキシアンチモン等のアンチモン化合物、テトラ−n−プロピルチタネート、テトラ−i−プロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、蓚酸チタン、蓚酸チタンカリウム等のチタン化合物等が挙げられ、これらは単独で或いは併用して用いることができる。なかでもチタン化合物は重縮合反応活性が高いため好ましく用いられる。触媒使用量は、得られるPETプレポリマーに対して通常1〜400質量ppmである。なお、チタン化合物はエステル化及び/又はエステル交換触媒としての作用も有するので、これらの反応に使用する場合はその使用量を考慮してこの範囲となるように用いるのが好ましい。
また上記反応の際、正リン酸、正リン酸アルキルエステル、エチルアシッドホスフェート、トリエチレングリコールアシッドホスフェート、亜リン酸、亜リン酸アルキルエステル等のリン化合物を安定剤として用いることができる。その使用量は、得られるPETプレポリマーに対して1〜1000質量ppmとなる量とするのが好ましく、2〜200質量ppmとなる量とするのが特に好ましい。
更に、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、マグネシウムアルコキシド、炭酸マグネシウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、酢酸カルシウム、炭酸カルシウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の化合物を前記触媒と共に使用することもできる。
本発明に用いるPETプレポリマーの具体的な製造条件は、例えば、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸及び/又はそのエステル形成性誘導体とエチレングリコールを主成分とするジオールとを、通常、ジカルボン酸成分:グリコール成分を1:1〜1:2(モル比)で用い、エステル化反応槽で要すればエステル化触媒の存在下、通常240〜280℃程度の温度、通常常圧乃至0.4MPa程度の加圧下で、1〜10時間程度エステル化反応させるか、或いはエステル交換触媒の存在下エステル交換反応を行い、得られた生成物(PET低分子量体)を重縮合反応槽に移送し、次いで溶融重縮合する等の方法で製造することができる。溶融重縮合は、重縮合触媒を使用して通常、250〜290℃程度の温度、常圧から漸次減圧として最終的に通常10〜0.1kPa程度の減圧下で、撹拌下、固有粘度が0.18dL/g〜0.40dL/gとなる時間溶融重縮合させる。
なお、ジカルボン酸成分がジカルボン酸のエステル形成性誘導体、例えばテレフタル酸ジメチルなど適度な融点のものである場合、ジオールとのスラリーとせずに溶融してからジオールとのエステル交換反応に供することもできる。
また、上記の反応は連続式、回分式、半回分式の何れか1以上の方法で行うことができ、また、エステル化反応槽(またはエステル交換反応槽)、溶融重縮合反応槽は、それぞれ一段としても多段としてもよい。
溶融重縮合反応で得られたPETプレポリマーは、溶融重縮合反応槽に配管及び/又はギヤポンプ及び/又はフィルターを介して接続されたダイヘッドに供給され、ダイの先端に設けられた複数のダイホールから、ストランド状又は滴状に吐出される。ストランド状に吐出されたPETは、例えばストランドカッターなどで切断されペレット状に粒子化される。
本発明に用いる溶融重縮合反応で得られたPETプレポリマー粒子は、通常、平均粒径が0.5〜3.0mmであり、下限は0.6mmが更に好ましく、特に好ましくは0.65mmであり、一方、上限は2.0mmが更に好ましく、より好ましくは1.8mm、特に好ましくは1.6mmである。平均粒径が0.5mm未満であると粒子化する時に微粉が多くなりその後の工程で移送中のトラブルが起き易い。平均粒径が3.0mmを越えると本発明の効果の有無に関わらず、所望の分子量に達するのに必要な固相重縮合反応時間が長くなる傾向となる。
ここで粒子の平均粒径はJISK0069に記載の乾式ふるい分け試験法により、積算分布曲線を作成し、積算百分率が50%に達する値を平均粒径とする。
本発明に用いられるPETプレポリマーの固有粘度は0.18〜0.40dL/gである。固有粘度の下限値は好ましくは0.20dL/gであり、上限値は好ましくは0.38dL/g、特に好ましくは0.35dL/gである。該プレポリマーの固有粘度が下限値未満の場合、粒子化する時に微粉が発生しやすく、また、本発明の効果を加味しても、所望の高分子量に到達するのに必要な固相重縮合反応時間が非常に長くなるので好ましくない。他方、上限値を超えると、比較的固有粘度が高いプレポリマーであっても、高分子量のPETを得るのに反応時間を短縮する効果は得られず、加えて溶融重縮合工程における高粘度液体撹拌、高真空反応を行う高価な設備が必要となり、製造プロセス全体としては本発明の効果が減殺される。
本発明に用いるPETプレポリマーの末端カルボキシル基濃度は100当量/トン以下であることが好ましい。より好ましくは70当量/トン以下、更に好ましくは40当量/トン以下、特に好ましくは20当量/トン以下である。100当量/トンを超えるとその後工程である固相重縮合において重縮合反応速度が小さくなる傾向がある。
末端カルボキシル基濃度は、以下の方法により測定される。
試料を粉砕した後、熱風乾燥機にて140℃で15分間乾燥させ、デシケーター内で室温まで冷却した試料から、0.1gを精秤して試験管に採取し、ベンジルアルコール3mLを加えて、乾燥窒素ガスを吹き込みながら195℃、3分間で溶解させ、次いで、クロロホルム5mLを徐々に加えて室温まで冷却した。この溶液にフェノールレッド指示薬を1〜2滴加え、乾燥窒素ガスを吹き込みながら攪拌下に、0.1規定の水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液で滴定し、黄色から赤色に変じた時点で終了とした。また、ブランクとして、ポリエステル樹脂試料を使用せずに同様の操作を実施し、以下の式により算出した。
AV(当量/トン)=(A−B)×0.1×f/W
〔ここで、Aは、滴定に要した0.1規定の水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の量(μL)、Bは、ブランクでの滴定に要した0.1規定の水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の量(μL)、Wは、ポリエステル樹脂試料の量(g)、fは、0.1規定の水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の力価である。〕
尚、0.1規定の水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の力価(f)は、試験管にメタノール5mLを採取し、フェノールレッドのエタノール溶液を指示薬として1〜2滴加え、0.1規定の水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液0.4mLで変色点まで滴定し、次いで、力価既知の0.1規定の塩酸水溶液を標準液として0.2mL採取して加え、再度、0.1規定の水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液で変色点まで滴定した。(以上の操作は、乾燥窒素ガスを吹き込みながら行った。)
以下の式により力価(f)を算出した。
力価(f)=0.1規定の塩酸水溶液の力価×0.1規定の塩酸水溶液の採取量(μL)/0.1規定の水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の滴定量(μL)
<熱処理工程>
上記のようにして得られたPETプレポリマーの粒子は、本発明の方法により、固体状態で熱処理をされ所定の固有粘度まで固相重縮合される。本発明の熱処理工程は、主として段階的固相重縮合工程及び昇温工程を包含するが、これらの工程は回分法でも行うことができるが連続方法で行うことが生産効率の点で好ましい。本発明の方法で得られるPETの固有粘度は0.70dL/g以上である。0.70dL/g未満のPETを製造する場合には、従来法に比較し固相重縮合反応速度を大きくできるという本発明の効果が十分発揮されず、好ましくない。
本発明の熱処理工程は、下記の少なくとも第1段固相重縮合工程と第2段固相重縮合工程の2工程をこの順に含有する。
1)第1段固相重縮合工程;
PETプレポリマーを、温度(T1)200℃以上225℃以下で、不活性ガス雰囲気下または減圧下、平均滞留時間が0.5時間以上10時間以下で熱処理し、該プレポリマーの固有粘度上昇値を0.03dL/g以上となす工程、
2)第2段固相重縮合工程;
第1段固相重縮合工程を経たプレポリマーを、温度(T2)215℃以上240℃以下で、不活性ガス雰囲気下または減圧下、平均滞留時間が2時間以上となる条件で熱処理する工程、
但し、上記温度T1(℃)及びT2(℃)は下記(式1)を満足する。
T1+15≦T2 (式1)
これら第1段及び第2段固相重縮合工程は不活性ガス雰囲気下または減圧下で行われるが、ここで「不活性ガス」とは、酸素濃度が0.1体積%以下、好ましくは0.05体積%以下であり、かつ、実質的にポリエステル(PET)と反応しない気体のことである。実質的にポリエステルと反応しない気体として、具体的には、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、キセノン、二酸化炭素等が例示でき、主に経済性の点から窒素が好ましく用いられる。また、「減圧下」とは、絶対圧力2kPa以下の圧力の状態にあることをいう。
第1段固相重縮合工程の温度(T1)は200℃以上225℃以下であり、下限値は好ましくは205℃である。上限値は好ましくは222℃、更に好ましくは220℃である。200℃未満であると、第1段工程での重縮合反応速度が小さくなり、その後の第2段工程の負荷が大きくなる。225℃超過であると第2段固相重縮合工程の温度(T2)が上限値240℃を超え、PET粒子同士の融着が起き易いなど不都合である。
またT1とT2は、T1+15℃≦T2(式1)を満たすことが必要であり、T2がT1+15℃未満であると本発明の固相重縮合反応速度の向上効果が得られない場合がある。
第1段固相重縮合工程の平均滞留時間は、その温度にもよるが、通常0.5時間以上10時間以下であり、下限値は好ましくは1.0時間である。上限値は好ましくは9時間、更に好ましくは8時間である。0.5時間未満であると、第1段工程での固有粘度上昇値が小さくなり第2段工程の負荷が大きくなる。5時間超過であると第1段工程における後半の固相重縮合反応速度が小さくなり、効率的ではない。
第1段固相重縮合工程における固有粘度の上昇は0.03dL/g以上であり、好ましくは0.05dL/g以上である。0.03dL/g未満であると第2段工程での固相重縮合反応速度の向上効果が十分得られない。第1段工程における固有粘度の上昇幅の上限は、本熱処理工程全体の時間が最短になること及び/又は投入熱量が最小になることを充たすように設定すればよく、通常0.30dL/g程度である。
第2段固相重縮合工程の温度(T2)は215℃以上240℃以下であり、下限値は好ましくは220℃である。上限値は好ましくは237℃、更に好ましくは235℃である。215℃未満であると、目標の重合度に到達するまでに長時間を要し、好ましくない。240℃超過であるとPET粒子同士の融着が起き易いなど不都合である。
第2段固相重縮合工程の平均滞留時間は2時間以上、好ましくは4時間以上であり、通常、36時間以下である。2時間未満であると、第2段工程での固有粘度上昇値が小さくなり、所望重合度のPETを得るためには第1段工程の負荷が大きくなる。
本発明の上記第1段固相重縮合工程及び第2段固相重縮合工程は、連続法が好ましく、連続式移動床が特に好ましく用いられる。
本発明の方法において、第1段固相重縮合工程から第2段固相重縮合工程へ移行する際のPET粒子同士の融着を防止するためには、第1段工程と第2段工程との間に昇温工程を設けることが好ましい。昇温工程における温度(Th)条件は、T1以上250℃以下であることが好ましく、T2以上250℃以下であることが更に好ましい。Thをこの範囲とすることにより、第2段固相重縮合工程でのポリマー粒子同士の融着を起こりにくくすることができる。また、第1段と第2段工程で段階的に温度を変化させるが、その間に第1段での熱処理を経たPET粒子を、特にThがT2以上となる温度で短時間処理することにより、温度を漸増させて処理した場合に比べ、PETの固有粘度の若干の上昇や何らかの結晶構造の変化を生じ、そのことが第2段工程における固相重縮合の反応速度をより大きくするのに好影響を与え、また第2段固相重縮合工程における融着を防止するのに有効であると推察される。
昇温工程における滞留時間は、通常、30分以下、好ましくは25分以下、より好ましくは20分以下である。昇温工程の滞留時間がこの範囲である場合、昇温工程に用いる設備を小型化できるため、好ましい。昇温工程に用いる設備はPET粒子を加熱昇温できる設備であれば特に制限されず、不活性ガスを用いた流動床が、粒子同士の融着などが少ないため好ましい。
本発明の熱処理工程の第1段固相重縮合工程に先立って、実質的に非晶状態のPETプレポリマーの一部を結晶化する結晶化工程を設けることが好ましい。PETプレポリマーの一部が結晶化されることでその後の第1段、第2段固相重縮合工程などでPET粒子同士が融着するのを軽減することができる。結晶化は、PETプレポリマーを熱処理することにより行われるが、その結晶化工程の温度(Tc)は140℃以上200℃以下であることが好ましい。140℃未満では該プレポリマー粒子同士が融着しない程度に結晶化させるのに長時間を要し本発明の効果を減ずる。200℃を超えるとプレポリマー粒子同士の融着が生じ易い傾向となる。滞留時間は、通常90分以下、好ましくは60分以下である。
結晶化工程では、PETプレポリマーの結晶化が進行し、その到達結晶化度は通常30〜60重量%程度である。結晶化工程はPET粒子を加熱できる設備であれば特に制限されず、不活性ガスを用いた流動床で行うと粒子同士の融着などが少なく、好ましい。結晶化工程の前にTcまで昇温する工程を設けることもできるし、結晶化工程で昇温及び結晶化を行ってもよい。また結晶化工程でプレポリマーの乾燥を行ってもよい。また、プレポリマーの乾燥は第1段固相重縮合工程の初期に行ってもよい。
本発明の製造方法により得られるPETは繊維、フィルム、ボトルなどの成形原料に好適に使用できる。特に射出成形や押出成形によりプリフォームを成形後、延伸ブロー成形により、飲料包装等に用いられるボトルにすることができる。また、ダイレクトブロー成形により、ボトルにすることができる。
また、押出成形や延伸成形によりフィルム、シートにして包装材料など各種用途に供することができる。また、押出・延伸成形により、繊維とすることができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
なお、本発明における物性評価の測定は、以下の方法により行った。
<固有粘度(IV)>
試料約0.25gを、フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン(重量比 1/1)の混合溶媒約25mLに、濃度が1.00×10-2kg/Lとなるように、非晶状態のPETは110℃30分で、固相重縮合後のPETは140℃30分でそれぞれ溶解させた後、30℃まで冷却し、全自動溶液粘度計(センテック社製「2CH型DJ504」)にて、濃度が1.00×10-2kg/Lの試料溶液及び溶媒のみの落下秒数を測定し、下式により算出した。
IV=[(1+4KHηsp0.5―1]/(200KHC)
ここで、 ηsp=η/η0−1 であり、ηは試料溶液の落下秒数、η0は溶媒の落下秒数、Cはポリマー溶液濃度(kg/L)、KHはハギンズの定数である。KHは0.33を採用した。
<PET粒子の平均粒径>
JIS K0069に記載の乾式ふるい分け試験法により、積算分布曲線を作成し、積算百分率が50%に達する値を平均粒径とする。
<末端カルボキシル基濃度(AV)>
試料を粉砕した後、熱風乾燥機にて140℃で15分間乾燥させ、デシケーター内で室温まで冷却した試料から、0.1gを精秤して試験管に採取し、ベンジルアルコール3mLを加えて、乾燥窒素ガスを吹き込みながら195℃、3分間で溶解させ、次いで、クロロホルム5mLを徐々に加えて室温まで冷却した。この溶液にフェノールレッド指示薬を1〜2滴加え、乾燥窒素ガスを吹き込みながら攪拌下に、0.1規定の水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液で滴定し、黄色から赤色に変じた時点で終了とした。また、ブランクとして、ポリエステル樹脂試料を使用せずに同様の操作を実施し、以下の式により算出した。
AV(当量/トン)=(A−B)×0.1×f/W
〔ここで、Aは、滴定に要した0.1規定の水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の量(μL)、Bは、ブランクでの滴定に要した0.1規定の水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の量(μL)、Wは、ポリエステル樹脂試料の量(g)、fは、0.1規定の水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の力価である。〕
尚、0.1規定の水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の力価(f)は、試験管にメタノール5mLを採取し、フェノールレッドのエタノール溶液を指示薬として1〜2滴加え、0.1規定の水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液0.4mLで変色点まで滴定し、次いで、力価既知の0.1規定の塩酸水溶液を標準液として0.2mL採取して加え、再度、0.1規定の水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液で変色点まで滴定した。(以上の操作は、乾燥窒素ガスを吹き込みながら行った。)
以下の式により力価(f)を算出した。
力価(f)=0.1規定の塩酸水溶液の力価×0.1規定の塩酸水溶液の採取量(μL)/0.1規定の水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の滴定量(μL)
(PETプレポリマーの製造例)
<PETプレポリマーAの製造>
撹拌機、エチレングリコール仕込み配管およびテレフタル酸仕込み配管を有するスラリー調製槽;スラリーやエステル化反応物を各エステル化反応槽へ移送する配管;撹拌機、分離塔、原料受入れ口、触媒仕込み配管、反応物移送配管を有する完全混合型第一および第二エステル化反応槽;エステル化反応物(オリゴマー)を溶融重縮合反応槽へ移送する配管;撹拌機、分離塔、オリゴマー受入れ口、触媒仕込み配管を有する完全混合型第一溶融重縮合反応槽;撹拌機、分離塔、ポリマー受入れ口、ポリマー抜き出し口を有するプラグフロー型第二及び第三溶融重縮合反応槽;プレポリマーを抜き出し口よりギヤポンプを介してダイプレートからストランド状に取り出し水冷下ストランドカットする粒子化装置(ストランドカッターはリーター・オートマチック社製ペレタイザー(P−USG100))を備えたPETプレポリマー連続製造装置を用いた。
まず、 スラリー調製槽にて、得られるPETプレポリマー中のリンの濃度がリン原子として22質量ppmとなるよう正リン酸のエチレングリコール溶液(濃度:リン原子として0.50質量%)を添加したテレフタル酸/エチレングリコール(モル比1:1.5)スラリーを調製した。また、ビス−(ベータヒドロキシエチル)テレフタレート400質量部を第一エステル化反応槽に仕込み窒素雰囲気下で溶融し、温度262℃、圧力96kPaG(以下、Gは大気圧に対する相対圧力であることを示す)に保たれた中へ、前記のスラリー調製槽で調製されたスラリーを135質量部/時間で、PETプレポリマーとしての平均滞留時間が4.5時間になるように連続的に仕込み、生成する水を分離塔から留去しながらエステル化反応を行いつつ、反応液を連続的に第二エステル化反応槽へ移送した。
第二エステル化反応槽では温度260℃、圧力5kPaG下、滞留時間1.5時間で、得られるPETプレポリマー中のアンチモンの濃度がアンチモン原子として183質量ppmとなるよう三酸化二アンチモンのエチレングリコール溶液(濃度:アンチモン原子の濃度として1.8質量%)を連続的に添加しながらエステル化反応を行い、移送配管を通じ完全混合型第一溶融重縮合反応槽へ連続的に移送した。第一溶融重縮合反応槽では重縮合反応槽の圧力2.5kPaA(以下、Aは絶対圧力であることを示す)、温度273℃、滞留時間1.0時間にて反応を行い、得られたPETプレポリマーを、第二溶融重縮合反応槽、第三溶融重縮合反応槽を通過させ、連続的にポリマー抜き出し口よりギヤポンプを介してダイプレートからストランド状に取り出し水流下ストランドカットしてPETプレポリマーAの粒子(平均粒径1.2mm)4000質量部を得た。
得られたPETプレポリマーAの固有粘度は0.247dL/g、末端カルボキシル基濃度は55当量/トンであった。
<PETプレポリマーBの製造>
PETプレポリマーAの製造に用いたとの同じPETプレポリマー連続製造装置を用いてPETプレポリマーBの製造を行った。
まず、スラリー調製槽にて、得られるPETプレポリマー中のチタンの濃度がチタン原子として8質量ppmとなるようにテトラブチルチタネートのエチレングリコール溶液(濃度:チタン原子として0.075質量%)を添加したテレフタル酸/エチレングリコール(モル比1:1.5)スラリーを調製した。また、ビス−(ベータヒドロキシエチル)テレフタレート400質量部を第一エステル化反応槽に仕込み窒素雰囲気下で溶融し、温度262℃、圧力96kPaGに保たれた中へ、前記のスラリー調製槽で調製されたスラリーを135質量部/時間で、PETプレポリマーとしての平均滞留時間が4.5時間になるように連続的に仕込み、分離塔から生成する水を留去しながらエステル化反応を行いつつ、反応液を連続的に第二エステル化反応槽へ移送した。
第二エステル化反応槽では温度260℃、圧力5kPaG下、滞留時間1.5時間で反応を行い、反応物を移送配管を通じ完全混合型第一溶融重縮合反応槽へ連続的に移送した。
第一溶融重縮合反応槽では酢酸マグネシウム4水塩のエチレングリコール溶液(濃度:マグネシウム原子として0.040質量%))を得られるPET中のマグネシウム濃度がマグネシウム金属原子として8質量ppmとなるように、またエチルアシッドフォスフェートのエチレングリコール溶液(濃度:リン原子として0.030質量%)を得られるPET中のリン濃度がリン原子として8質量ppmとなるように反応液相に連続的に添加しつつ、重縮合反応槽の圧力4.5kPaA、温度271℃、滞留時間1.0時間にて反応を行い、反応物を連続的に第二溶融重縮合反応槽へ移送した。第二溶融重縮合反応槽では圧力3.5kPaA、温度274℃、滞留時間1.0時間にて溶融重縮合反応を行い、反応物を移送配管を通じ第三溶融重縮合反応槽へ連続的に移送した。
第三溶融重縮合反応槽では圧力3.5kPaA、温度275℃、滞留時間1.2時間にて溶融重縮合反応を行った。得られたPETプレポリマーを連続的に抜き出し口よりギヤポンプを介してダイプレートからストランド状に取り出し、水流下ストランドカットしてPETプレポリマーBの粒子(平均粒径1.2mm)4000質量部を得た。
得られたPETプレポリマーBの固有粘度は0.308dL/g、末端カルボキシル基濃度は35当量/トンであった。
<結晶化工程>
上記製造例で得たPETプレポリマーA粒子30gを底面が130mm×170mmの角形で、深さが30mmのステンレス製バットに広げて置き、内部のガス温度が180℃のイナートオーブン(タバイエスペック社製IPHH−201M型)に入れ、イナートオーブンの内部に流通させる窒素の流量を50NL/分、温度を180℃の窒素流通下として、180℃で1時間の結晶化処理を行った。ここで、NLとは0℃1気圧における体積(L)のことである。
結晶化処理後の試料PETプレポリマーAの固有粘度は0.250dL/gであった。
PETプレポリマーB粒子を、同様にして結晶化処理を行った。結晶化処理後の試料PETプレポリマーBの固有粘度IVは0.321dL/gであった。
(実施例1)
上記の結晶化処理したPETプレポリマーAの粒子を図に示すガラス製熱処理装置で熱処理を行った。
以下、該熱処理装置について説明する。
図に示す熱処理装置において、試料は、試料充填部の内径が45mmのガラス製熱処理管(1)に充填されている。熱処理管(1)には、流量計(2)、窒素導入管(3)、窒素予熱管(4)を経由して、オイルバス(5)に充填されたオイルにより加熱された窒素が導入される。導入された窒素は、熱処理管(1)下部にある分散板(6)により分散され、熱処理管(1)内部で略均一な線速度を有する上昇流となって、試料層(7)を通過する。試料層(7)を通過した窒素は、熱処理管(1)上部にあるフィルター(8)を経由して、ガスパージ口(9)から熱処理管(1)の外部に排出される。熱処理管(1)は枝管(10)を有しており、その上部にある開口部(通常はガラス栓にて閉止してある)から試料の投入やサンプルの採取が可能である。また、熱処理管(1)内部の試料の温度は、熱電対(11)を備えた温度計(12)で測定できる。本実施例の範囲の温度、空塔線速度においては、熱処理管(1)の内部温度は、オイルバス中のオイル温度よりも2℃低い温度となるため、目標とする固相重縮合温度に対して、オイルバスの温度は2℃高い温度に調節した。
熱処理管(1)に枝管(10)の開口部より、上記結晶化処理後のPETプレポリマーA粒子30gを仕込み、窒素を流通して内部を窒素置換した。その後熱処理管(1)内の窒素の空塔線速度(ここで「空塔線速度」とは、内径45mm部分の空塔線速度を意味する(以下同様))が200℃で0.30m/秒となるように窒素の流量を流量計(2)で設定し、202℃に調節された第一のオイルバス(5)に熱処理装置を浸漬した。この時点を200℃での第1段固相重縮合の開始とする。4時間後に枝管(10)の開口部より、固有粘度測定用サンプルを採取した。サンプル採取後、窒素の空塔線速度が235℃で1.0m/秒となるように窒素の流量を変更し、237℃に調節された第二のオイルバス(5)に熱処理装置を移した。この時点を235℃での昇温工程の開始とする。10分後に枝管(10)の開口部より、固有粘度測定用サンプルを採取した。
サンプル採取後、窒素の空塔線速度が230℃で0.30m/秒となるように窒素の流量を変更し、232℃に調節されたオイルバス(5)に熱処理装置を移した。この時点を230℃での第2段固相重縮合開始とした。第2段固相重縮合開始点から12時間、24時間、36時間の時点で固有粘度測定用サンプルを採取した。第1段固相重縮合後、昇温工程後、及び第2段固相重縮合後に採取した測定用サンプルにつき固有粘度をそれぞれ測定した。熱処理条件と測定結果を表1に示す。表中、固有粘度IV=0.90dL/gへ到達までの時間は、IV=0.90の直近のデータを直交座標にて直線で結び、IV=0.90となる熱処理時間を第2段固相重縮合工程時間とし、これに第1段固相重縮合時間と昇温工程時間を加算することで求めた。結晶化工程時間は含めない。
(実施例2)
実施例1において、第一のオイルバス温度を212℃にすることで第1段固相重縮合温度を210℃とし、その固相重縮合時間を2時間に変えた以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例2において第1段固相重縮合時間を4時間に変えた以外は実施例2と同様に行った。結果を表1に示す。
(実施例4)
実施例2において第1段固相重縮合時間を8時間に変えた以外は実施例2と同様に行った。結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例2において結晶化処理後のPETプレポリマーAの粒子を投入後、第1段固相重縮合操作をすべて省き、昇温工程及び第2段固相重縮合を実施例2と同様に行った。結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例2において第一のオイルバス温度を222℃にすることで第1段固相重縮合温度を220℃に変えた以外は実施例2と同様に行った。結果を表1に示す。
(実施例5)
実施例2において結晶化処理後のPETプレポリマーAの粒子をPETプレポリマーBの粒子に置き替え、第2段固相重縮合工程におけるサンプル採取時間を8時間、16時間、32時間の時点に変更した以外は実施例2と同様に行った。結果を表2に示す。表中、固有粘度IV=0.80dL/gへ到達までの時間はIV=0.80の直近のデータを直交座標にて直線で結び、IV=0.80となる熱処理時間を第2段固相重縮合工程時間とし、これに第1段固相重縮合時間と昇温工程時間を加算することで求めた。結晶化工程時間は含めない。
(実施例6)
実施例5において第1段固相重縮合後、235℃昇温工程を省き、ただちに230℃の第2段固相重縮合に移した以外は実施例5と同様に行った。結果を表2に示す。
(比較例3)
実施例6において第一のオイルバス温度を222℃にすることで第1段固相重縮合温度を220℃に変えた以外は実施例6と同様に行った。結果を表2に示す。
(比較例4)
実施例5において結晶化処理後のPETプレポリマーBの粒子を投入後、第1段固相重縮合及び235℃昇温工程を省き、ただちに230℃の第2段固相重縮合に移した以外は実施例5と同様に行った。結果を表2に示す。
Figure 0004784216
前記何れの実施例、比較例においても、本熱処理後の試料は熱処理管(1)から容易に取り出すことが可能で、試料同士の融着も見られなかった。
比較例1において固相重縮合工程が高温の第2段だけであり固相重縮合反応速度が小さい。
比較例2、3においては、第1段と第2段における固相重縮合温度の差が15℃未満なので固相重縮合反応速度が小さく、比較例4においては高温の第2段だけであるので固相重縮合反応速度が小さい。
図は、本発明の実施例及び比較例に用いた熱処理装置及びその付帯機器の説明図である。
符号の説明
1: 熱処理管
2: 流量計
3: 窒素導入管
4: 窒素予熱管
5: オイルバス
6: 分散板
7: 試料層
8: フィルター
9: ガスパージ口
10: 枝管
11: 熱電対
12: 温度計

Claims (8)

  1. 固有粘度が0.18dL/g以上0.40dL/g以下のポリエチレンテレフタレートプレポリマーを固体状態における熱処理工程を経て固有粘度0.70dL/g以上のポリエチレンテレフタレートとするポリエチレンテレフタレートの製造方法であって、熱処理工程が下記の1)第1段固相重縮合工程及び2)第2段固相重縮合工程を、この順序で含むことを特徴とするポリエチレンテレフタレートの製造方法。
    1)第1段固相重縮合工程;
    該ポリエチレンテレフタレートプレポリマーを、温度(T1)200℃以上225℃以下で、不活性ガス雰囲気下または減圧下、平均滞留時間が0.5時間以上10時間以下で熱処理し、該プレポリマーの固有粘度上昇値を0.03dL/g以上となす工程
    2)第2段固相重縮合工程;
    第1段固相重縮合工程を経たプレポリマーを、温度(T2)215℃以上240℃以下で、不活性ガス雰囲気下または減圧下、平均滞留時間が2時間以上となる条件で熱処理する工程、
    但し、上記温度T1(℃)及びT2(℃)は下記(式1)を満足する。
    T1+15≦T2 (式1)
  2. 第1段固相重縮合工程に先立ち、ポリエチレンテレフタレートプレポリマーを、温度(Tc)140℃以上200℃以下で熱処理し、その一部を結晶化する結晶化工程を設けることを特徴とする請求項1に記載のポリエチレンテレフタレートの製造方法。
  3. 固体状態における熱処理が連続的に行われることを特徴とする請求項1または2に記載のポリエチレンテレフタレートの製造方法。
  4. 第1段固相重縮合工程及び/又は第2段固相重縮合工程が連続式移動床で実施される請求項1乃至のいずれか1項に記載のポリエチレンテレフタレートの製造方法。
  5. 結晶化工程が流動床で実施されることを特徴とする請求項2乃至のいずれか1項に記載のポリエチレンテレフタレートの製造方法。
  6. ポリエチレンテレフタレートプレポリマーの平均粒径が0.5mm以上3.0mm以下であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のポリエチレンテレフタレートの製造方法。
  7. ポリエチレンテレフタレートプレポリマーの末端カルボキシル基濃度が100当量/トン以下であることを特徴とする請求項1乃至のいずれ1項に記載のポリエチレンテレフタレートの製造方法。
  8. ポリエチレンテレフタレートがチタン化合物を含有する請求項1乃至のいずれか1項に記載のポリエチレンテレフタレートの製造方法。
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