JP4784216B2 - ポリエチレンテレフタレートの製造方法 - Google Patents
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1)第1段固相重縮合工程;
該ポリエチレンテレフタレートプレポリマーを、温度(T1)200℃以上225℃以下で、不活性ガス雰囲気下または減圧下、平均滞留時間が0.5時間以上10時間以下で熱処理し、該プレポリマーの固有粘度上昇値を0.03dL/g以上となす工程、
2)第2段固相重縮合工程;
第1固相重縮合工程を経たプレポリマーを、温度(T2)215℃以上240℃以下で、不活性ガス雰囲気下または減圧下、平均滞留時間が2時間以上となる条件で熱処理する工程、
但し、上記温度T1(℃)及びT2(℃)は下記(式1)を満足する。
T1+15≦T2 (式1)
以下に本発明の詳細を説明する。
本発明に用いるPETプレポリマーを得る方法は特に限定されず、PETの慣用の製造方法により製造することができる。具体的には、通常、テレフタル酸及び/又はそのエステル形成性誘導体を主成分とするジカルボン酸成分とエチレングリコールを主成分とするジオール成分とを、要すればエステル化又はエステル交換触媒の存在下エステル化反応及び/又はエステル交換反応を行い、次いで重縮合触媒を使用して溶融重縮合させることにより製造される。詳しくは、例えば、原料のジカルボン酸成分とジオール成分とを、スラリー調製槽に投入して攪拌・混合して原料スラリーとし、エステル化反応槽で常圧〜加圧下、加熱下で、反応によって生ずる水などを留去しつつエステル化反応させた後、得られたエステル化反応物としてのPET低分子量体(オリゴマー)を重縮合槽に移送し、減圧下、加熱下で、重縮合触媒を使用して溶融重縮合させPETを得る。
また、上記の反応は連続式、回分式、半回分式の何れか1以上の方法で行うことができ、また、エステル化反応槽(またはエステル交換反応槽)、溶融重縮合反応槽は、それぞれ一段としても多段としてもよい。
試料を粉砕した後、熱風乾燥機にて140℃で15分間乾燥させ、デシケーター内で室温まで冷却した試料から、0.1gを精秤して試験管に採取し、ベンジルアルコール3mLを加えて、乾燥窒素ガスを吹き込みながら195℃、3分間で溶解させ、次いで、クロロホルム5mLを徐々に加えて室温まで冷却した。この溶液にフェノールレッド指示薬を1〜2滴加え、乾燥窒素ガスを吹き込みながら攪拌下に、0.1規定の水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液で滴定し、黄色から赤色に変じた時点で終了とした。また、ブランクとして、ポリエステル樹脂試料を使用せずに同様の操作を実施し、以下の式により算出した。
AV(当量/トン)=(A−B)×0.1×f/W
〔ここで、Aは、滴定に要した0.1規定の水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の量(μL)、Bは、ブランクでの滴定に要した0.1規定の水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の量(μL)、Wは、ポリエステル樹脂試料の量(g)、fは、0.1規定の水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の力価である。〕
以下の式により力価(f)を算出した。
力価(f)=0.1規定の塩酸水溶液の力価×0.1規定の塩酸水溶液の採取量(μL)/0.1規定の水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の滴定量(μL)
上記のようにして得られたPETプレポリマーの粒子は、本発明の方法により、固体状態で熱処理をされ所定の固有粘度まで固相重縮合される。本発明の熱処理工程は、主として段階的固相重縮合工程及び昇温工程を包含するが、これらの工程は回分法でも行うことができるが連続方法で行うことが生産効率の点で好ましい。本発明の方法で得られるPETの固有粘度は0.70dL/g以上である。0.70dL/g未満のPETを製造する場合には、従来法に比較し固相重縮合反応速度を大きくできるという本発明の効果が十分発揮されず、好ましくない。
1)第1段固相重縮合工程;
PETプレポリマーを、温度(T1)200℃以上225℃以下で、不活性ガス雰囲気下または減圧下、平均滞留時間が0.5時間以上10時間以下で熱処理し、該プレポリマーの固有粘度上昇値を0.03dL/g以上となす工程、
2)第2段固相重縮合工程;
第1段固相重縮合工程を経たプレポリマーを、温度(T2)215℃以上240℃以下で、不活性ガス雰囲気下または減圧下、平均滞留時間が2時間以上となる条件で熱処理する工程、
但し、上記温度T1(℃)及びT2(℃)は下記(式1)を満足する。
T1+15≦T2 (式1)
またT1とT2は、T1+15℃≦T2(式1)を満たすことが必要であり、T2がT1+15℃未満であると本発明の固相重縮合反応速度の向上効果が得られない場合がある。
本発明の上記第1段固相重縮合工程及び第2段固相重縮合工程は、連続法が好ましく、連続式移動床が特に好ましく用いられる。
また、押出成形や延伸成形によりフィルム、シートにして包装材料など各種用途に供することができる。また、押出・延伸成形により、繊維とすることができる。
なお、本発明における物性評価の測定は、以下の方法により行った。
試料約0.25gを、フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン(重量比 1/1)の混合溶媒約25mLに、濃度が1.00×10-2kg/Lとなるように、非晶状態のPETは110℃30分で、固相重縮合後のPETは140℃30分でそれぞれ溶解させた後、30℃まで冷却し、全自動溶液粘度計(センテック社製「2CH型DJ504」)にて、濃度が1.00×10-2kg/Lの試料溶液及び溶媒のみの落下秒数を測定し、下式により算出した。
ここで、 ηsp=η/η0−1 であり、ηは試料溶液の落下秒数、η0は溶媒の落下秒数、Cはポリマー溶液濃度(kg/L)、KHはハギンズの定数である。KHは0.33を採用した。
JIS K0069に記載の乾式ふるい分け試験法により、積算分布曲線を作成し、積算百分率が50%に達する値を平均粒径とする。
試料を粉砕した後、熱風乾燥機にて140℃で15分間乾燥させ、デシケーター内で室温まで冷却した試料から、0.1gを精秤して試験管に採取し、ベンジルアルコール3mLを加えて、乾燥窒素ガスを吹き込みながら195℃、3分間で溶解させ、次いで、クロロホルム5mLを徐々に加えて室温まで冷却した。この溶液にフェノールレッド指示薬を1〜2滴加え、乾燥窒素ガスを吹き込みながら攪拌下に、0.1規定の水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液で滴定し、黄色から赤色に変じた時点で終了とした。また、ブランクとして、ポリエステル樹脂試料を使用せずに同様の操作を実施し、以下の式により算出した。
〔ここで、Aは、滴定に要した0.1規定の水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の量(μL)、Bは、ブランクでの滴定に要した0.1規定の水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の量(μL)、Wは、ポリエステル樹脂試料の量(g)、fは、0.1規定の水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の力価である。〕
以下の式により力価(f)を算出した。
力価(f)=0.1規定の塩酸水溶液の力価×0.1規定の塩酸水溶液の採取量(μL)/0.1規定の水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の滴定量(μL)
<PETプレポリマーAの製造>
撹拌機、エチレングリコール仕込み配管およびテレフタル酸仕込み配管を有するスラリー調製槽;スラリーやエステル化反応物を各エステル化反応槽へ移送する配管;撹拌機、分離塔、原料受入れ口、触媒仕込み配管、反応物移送配管を有する完全混合型第一および第二エステル化反応槽;エステル化反応物(オリゴマー)を溶融重縮合反応槽へ移送する配管;撹拌機、分離塔、オリゴマー受入れ口、触媒仕込み配管を有する完全混合型第一溶融重縮合反応槽;撹拌機、分離塔、ポリマー受入れ口、ポリマー抜き出し口を有するプラグフロー型第二及び第三溶融重縮合反応槽;プレポリマーを抜き出し口よりギヤポンプを介してダイプレートからストランド状に取り出し水冷下ストランドカットする粒子化装置(ストランドカッターはリーター・オートマチック社製ペレタイザー(P−USG100))を備えたPETプレポリマー連続製造装置を用いた。
得られたPETプレポリマーAの固有粘度は0.247dL/g、末端カルボキシル基濃度は55当量/トンであった。
PETプレポリマーAの製造に用いたとの同じPETプレポリマー連続製造装置を用いてPETプレポリマーBの製造を行った。
まず、スラリー調製槽にて、得られるPETプレポリマー中のチタンの濃度がチタン原子として8質量ppmとなるようにテトラブチルチタネートのエチレングリコール溶液(濃度:チタン原子として0.075質量%)を添加したテレフタル酸/エチレングリコール(モル比1:1.5)スラリーを調製した。また、ビス−(ベータヒドロキシエチル)テレフタレート400質量部を第一エステル化反応槽に仕込み窒素雰囲気下で溶融し、温度262℃、圧力96kPaGに保たれた中へ、前記のスラリー調製槽で調製されたスラリーを135質量部/時間で、PETプレポリマーとしての平均滞留時間が4.5時間になるように連続的に仕込み、分離塔から生成する水を留去しながらエステル化反応を行いつつ、反応液を連続的に第二エステル化反応槽へ移送した。
第一溶融重縮合反応槽では酢酸マグネシウム4水塩のエチレングリコール溶液(濃度:マグネシウム原子として0.040質量%))を得られるPET中のマグネシウム濃度がマグネシウム金属原子として8質量ppmとなるように、またエチルアシッドフォスフェートのエチレングリコール溶液(濃度:リン原子として0.030質量%)を得られるPET中のリン濃度がリン原子として8質量ppmとなるように反応液相に連続的に添加しつつ、重縮合反応槽の圧力4.5kPaA、温度271℃、滞留時間1.0時間にて反応を行い、反応物を連続的に第二溶融重縮合反応槽へ移送した。第二溶融重縮合反応槽では圧力3.5kPaA、温度274℃、滞留時間1.0時間にて溶融重縮合反応を行い、反応物を移送配管を通じ第三溶融重縮合反応槽へ連続的に移送した。
得られたPETプレポリマーBの固有粘度は0.308dL/g、末端カルボキシル基濃度は35当量/トンであった。
上記製造例で得たPETプレポリマーAの粒子30gを底面が130mm×170mmの角形で、深さが30mmのステンレス製バットに広げて置き、内部のガス温度が180℃のイナートオーブン(タバイエスペック社製IPHH−201M型)に入れ、イナートオーブンの内部に流通させる窒素の流量を50NL/分、温度を180℃の窒素流通下として、180℃で1時間の結晶化処理を行った。ここで、NLとは0℃1気圧における体積(L)のことである。
結晶化処理後の試料PETプレポリマーAの固有粘度は0.250dL/gであった。
PETプレポリマーBの粒子を、同様にして結晶化処理を行った。結晶化処理後の試料PETプレポリマーBの固有粘度IVは0.321dL/gであった。
上記の結晶化処理したPETプレポリマーAの粒子を図に示すガラス製熱処理装置で熱処理を行った。
以下、該熱処理装置について説明する。
実施例1において、第一のオイルバス温度を212℃にすることで第1段固相重縮合温度を210℃とし、その固相重縮合時間を2時間に変えた以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
実施例2において第1段固相重縮合時間を4時間に変えた以外は実施例2と同様に行った。結果を表1に示す。
実施例2において第1段固相重縮合時間を8時間に変えた以外は実施例2と同様に行った。結果を表1に示す。
実施例2において結晶化処理後のPETプレポリマーAの粒子を投入後、第1段固相重縮合操作をすべて省き、昇温工程及び第2段固相重縮合を実施例2と同様に行った。結果を表1に示す。
実施例2において第一のオイルバス温度を222℃にすることで第1段固相重縮合温度を220℃に変えた以外は実施例2と同様に行った。結果を表1に示す。
実施例2において結晶化処理後のPETプレポリマーAの粒子をPETプレポリマーBの粒子に置き替え、第2段固相重縮合工程におけるサンプル採取時間を8時間、16時間、32時間の時点に変更した以外は実施例2と同様に行った。結果を表2に示す。表中、固有粘度IV=0.80dL/gへ到達までの時間はIV=0.80の直近のデータを直交座標にて直線で結び、IV=0.80となる熱処理時間を第2段固相重縮合工程時間とし、これに第1段固相重縮合時間と昇温工程時間を加算することで求めた。結晶化工程時間は含めない。
実施例5において第1段固相重縮合後、235℃昇温工程を省き、ただちに230℃の第2段固相重縮合に移した以外は実施例5と同様に行った。結果を表2に示す。
実施例6において第一のオイルバス温度を222℃にすることで第1段固相重縮合温度を220℃に変えた以外は実施例6と同様に行った。結果を表2に示す。
実施例5において結晶化処理後のPETプレポリマーBの粒子を投入後、第1段固相重縮合及び235℃昇温工程を省き、ただちに230℃の第2段固相重縮合に移した以外は実施例5と同様に行った。結果を表2に示す。
比較例1において固相重縮合工程が高温の第2段だけであり固相重縮合反応速度が小さい。
比較例2、3においては、第1段と第2段における固相重縮合温度の差が15℃未満なので固相重縮合反応速度が小さく、比較例4においては高温の第2段だけであるので固相重縮合反応速度が小さい。
2: 流量計
3: 窒素導入管
4: 窒素予熱管
5: オイルバス
6: 分散板
7: 試料層
8: フィルター
9: ガスパージ口
10: 枝管
11: 熱電対
12: 温度計
Claims (8)
- 固有粘度が0.18dL/g以上0.40dL/g以下のポリエチレンテレフタレートプレポリマーを固体状態における熱処理工程を経て固有粘度0.70dL/g以上のポリエチレンテレフタレートとするポリエチレンテレフタレートの製造方法であって、熱処理工程が下記の1)第1段固相重縮合工程及び2)第2段固相重縮合工程を、この順序で含むことを特徴とするポリエチレンテレフタレートの製造方法。
1)第1段固相重縮合工程;
該ポリエチレンテレフタレートプレポリマーを、温度(T1)200℃以上225℃以下で、不活性ガス雰囲気下または減圧下、平均滞留時間が0.5時間以上10時間以下で熱処理し、該プレポリマーの固有粘度上昇値を0.03dL/g以上となす工程
2)第2段固相重縮合工程;
第1段固相重縮合工程を経たプレポリマーを、温度(T2)215℃以上240℃以下で、不活性ガス雰囲気下または減圧下、平均滞留時間が2時間以上となる条件で熱処理する工程、
但し、上記温度T1(℃)及びT2(℃)は下記(式1)を満足する。
T1+15≦T2 (式1) - 第1段固相重縮合工程に先立ち、ポリエチレンテレフタレートプレポリマーを、温度(Tc)140℃以上200℃以下で熱処理し、その一部を結晶化する結晶化工程を設けることを特徴とする請求項1に記載のポリエチレンテレフタレートの製造方法。
- 固体状態における熱処理が連続的に行われることを特徴とする請求項1または2に記載のポリエチレンテレフタレートの製造方法。
- 第1段固相重縮合工程及び/又は第2段固相重縮合工程が連続式移動床で実施される請求項1乃至3のいずれか1項に記載のポリエチレンテレフタレートの製造方法。
- 結晶化工程が流動床で実施されることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載のポリエチレンテレフタレートの製造方法。
- ポリエチレンテレフタレートプレポリマーの平均粒径が0.5mm以上3.0mm以下であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のポリエチレンテレフタレートの製造方法。
- ポリエチレンテレフタレートプレポリマーの末端カルボキシル基濃度が100当量/トン以下であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のポリエチレンテレフタレートの製造方法。
- ポリエチレンテレフタレートがチタン化合物を含有する請求項1乃至7のいずれか1項に記載のポリエチレンテレフタレートの製造方法。
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