JP2005041903A - ポリエステルの製造方法 - Google Patents

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Michiko Yoshida
道子 吉田
Kazushi Matsumoto
一志 松本
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Abstract

【課題】ポリエステル製造の、固相重合工程におけるポリエステルの融着を防止し、固相重合をきわめて効率的に実施する方法を提供する。
【解決手段】溶融縮重合により得られた固有粘度が0.08dl/g以上0.40dl/g以下の範囲にある共重合量5.5以下、平均粒径10μm以上500μm以下のポリエステルプレポリマーを結晶化処理し、結晶化処理後のポリエステルプレポリマーの溶融吸熱量 ΔH235を1J/g以下とした後に固相重合を行うポリエステルの製造方法。
(ここで溶融吸熱量ΔH235とはポリエステルプレポリマー粒子10mgを示差走査熱量計により20℃/minで昇温させたときの、235℃までの溶融吸熱量をグラムあたりに換算した量である。)
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はポリエステルの製造方法に関するものであり、更に詳しくはポリエステルの固相重合をきわめて効率的に実施する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリエチレンテレフタレートは数多くの材料及び製品、例えば繊維、生地、成型用樹脂及び飲料用ボトルなどで幅広く用いられている。上記用途に必要な成型加工性、機械的特性を引き出すためには重合度を所定のレベルまで上げる必要があり、その方法として溶融重合に引き続き固相重合を行う方法が工業的に広く用いられているが、固相重合は比較的長時間を要するために、より生産性に優れた製造方法が望まれている。かかる方法として、溶融重合で比較的低重合度の非晶ポリエステルプレポリマーを得、いったん加熱結晶化させてから固相重合する方法が提案されている。例えば特許文献1には低重合度で粒径が500ミクロンから2cmの固体状プレポリマーの平均温度を15秒以内にTminからTmaxに及ぶ範囲[ここでTmin=Tc―0.5(Tc―Tg)、Tmax=Tc+0.5(Tm−Tc)、Tc=0.5(Tm+Tg)、Tmは、該オリゴマーの融点、Tgはガラス転移点]内の温度に加熱して結晶化させる方法が提案されている。例えば天板上にプレポリマー粒子を並べオーブン中で急激に400℃で15秒間加熱して取り出す方法が取られるが、同方法で結晶化したプレポリマーを高温で固相重合にかけると、融着が発生する傾向があった。また粒径が比較的大きいためか発明者らの検討では必ずしも満足できる重合速度が得られなかった。
【0003】
さらに、特許文献2によると、成型温度が低く透明性の高いボトル用の共重合ポリエステルとして、ジカルボン酸成分の共重合量(モル%)とジオール成分の共重合量(モル%)の和(すなわち本発明の共重合量)が6以上のポリエステルであって固有粘度が0.25から0.40dl/gのプレポリマーを特定条件下で固相重合する方法が開示されている。しかしながら、我々の検討によれば、共重合成分が多いためにプレポリマーの融点が比較的低く、従って固相重合温度を高く設定できないため固相重合速度が小さく効率的とはいえない。
【0004】
【特許文献1】
特表平10−512610
【特許文献2】
USP6284866号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、固相重合工程におけるポリエステルの融着を防止し、固相重合をきわめて効率的に実施する方法を提供する事を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は特定の熱的性質、粒子の大きさ、固有粘度をもつプレポリマーを高温下で固相重合することにより、上記目的を達成することを見いだし本発明に到達した。
【0007】
即ち、溶融縮重合により得られた固有粘度が0.08dl/g以上0.40dl/g以下の範囲にある共重合量5.5以下、平均粒径10μm以上500μm以下のポリエステルプレポリマーを結晶化処理し、結晶化処理後のポリエステルプレポリマーの溶融吸熱量ΔH235を1J/g以下とした後に固相重合を行うポリエステルの製造方法をその要旨とする。
ここで溶融発熱量ΔH235とは結晶化処理後のポリエステルプレポリマー10mgを示差走査熱量計により20℃/minで昇温させたときの、235℃までの溶融吸熱量をグラムあたりに換算した量である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明におけるポリエステルプレポリマー(以下、プレポリマーと称することがある)は、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体を主成分とするジカルボン酸成分と、エチレングリコールを主成分とするジオール成分とを、エステル化反応またはエステル交換反応させた後溶融縮合反応をさせることにより製造されたエチレンテレフタレート単位を主たる構成繰り返し単位とするプレポリマーであり、該ポリエステルのテレフタル酸成分及びエチレングリコール成分以外の共重合成分量が5.5以下であるものをいう。ここで、テレフタル酸成分及びエチレングリコール成分以外の共重合成分量が5.5以下とは、全ジカルボン酸成分に対するテレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体以外の成分の量比(モル%)をA、全ジオール成分に対するエチレングリコール以外のジオール成分の量比(モル%)をBとしたとき、A+Bが5.5以下であることを示す。該共重合成分量は、好ましくは4.5以下である。共重合成分量が5.5を超えると、ポリエステル樹脂の融点が低下することとなり、固相重合温度に固相重合温度に制約が生じるため重合速度が低くなるため、好ましくない。
【0009】
尚、テレフタル酸のエステル形成性誘導体としては、テレフタル酸ジメチルエステル等テレフタル酸の炭素数1〜4程度のアルキルエステルおよびハロゲン化物などがあげられる。テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体以外のジカルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、1,3−フェニレンジオキシジ酢酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルケトンジカルボン酸、4,4’−ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステル等の、芳香族ジカルボン酸の炭素数1〜4程度のアルキルエステル、およびハロゲン化物;ヘキサヒドロテレフタル酸等の脂環式ジカルボン酸;コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸;並びに、これらの脂環式ジカルボン酸や脂肪族ジカルボン酸の炭素数1〜4程度のアルキルエステル、およびハロゲン化物等が挙げられる。
【0010】
エチレングリコール以外のジオールとしては、例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−2−ブチル−1,3プロパンジオール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等の脂肪族ジオール、1,4―シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメチロール等の脂環式ジオールおよびキシレングリコール等の芳香族ジオール、並びに2,2―ビス(4’―ヒドロキシフェニル)プロパンのエチレンオキサイド付加物またはプロピレンオキサイド付加物等が挙げられる。
更に、例えば、ステアリルアルコール、ステアリン酸、安息香酸、等の単官能成分、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール等の三官能以上の多官能成分、等の一種または二種以上が、共重合成分として用いられていてもよい。
【0011】
本発明におけるプレポリマーは、基本的には、ポリエステル樹脂の慣用の製造方法により製造される。すなわち、前記テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体を主成分とするジカルボン酸とエチレングリコールを主成分とするジオールとを、エステル化反応槽で、通常240〜280℃程度の温度、通常、常圧ないし0.4MPa程度の加圧下で、攪拌下に1〜10時間程度エステル化反応させる。この場合、ジカルボン酸成分に対するジオール成分のモル比率は通常1.0〜2.0であり好ましくは1.05〜1.60である。或いは、エステル交換反応触媒の存在下にエステル交換反応させた後、得られたエステル化反応生成物或いはエステル交換反応生成物としてのポリエステル低分子量体を重縮合槽に移送し、重縮合触媒の存在下に、通常250〜290℃程度の温度、常圧から漸次減圧として最終的に通常1333〜13.3Pa程度の減圧下で、攪拌下に0.5〜5時間程度溶融重縮合させることにより製造される。これらは連続式、または回分式でなされる。またエステル化反応槽および重縮合槽はそれぞれ一段としても多段としてもよい。また上述のポリエステル低分子量体を粒体化してプレポリマーとして固相重合にかける場合は溶融重縮合を省略する事もできる。
【0012】
エステル化反応においては特に触媒を使用しなくてもよいが必要に応じて、二酸化ゲルマニウム、四酸化ゲルマニウム、水酸化ゲルマニウム、蓚酸ゲルマニウム、ゲルマニウムテトラエトキシド、ゲルマニウムテトラ−n−ブトキシド等のゲルマニウム化合物、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、酢酸アンチモン、アンチモントリスエチレングリコキシド等のアンチモン化合物、チタニウムテトラエトキシド、チタニウムテトラ−n−プロポキシド、チタニウムテトラ−i−プロポキシド、チタニウムテトラ−n−ブトキシド、蓚酸チタン、蓚酸チタンカリウム等のチタン化合物などの公知の触媒を用いることも出来る。
【0013】
エステル交換反応触媒としてはチタン、マグネシウム、カルシウム、マンガン、リチウム、亜鉛などの金属の化合物のうちから一種または複数種が使用される。具体的には、これら金属の有機酸塩、アルコラート、炭酸塩などが挙げられる。中でも酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸マンガン、酢酸リチウムなどが好ましく用いられる。
【0014】
重縮合反応触媒としては二酸化ゲルマニウム、四酸化ゲルマニウム、水酸化ゲルマニウム、蓚酸ゲルマニウム、ゲルマニウムテトラエトキシド、ゲルマニウムテトラ−n−ブトキシド等のゲルマニウム化合物、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、酢酸アンチモン、アンチモントリスエチレングリコキシド等のアンチモン化合物、チタニウムテトラエトキシド、チタニウムテトラ−n−プロポキシド、チタニウムテトラ−i−プロポキシド、チタニウムテトラ−n−ブトキシド、蓚酸チタン、蓚酸チタンカリウム等のチタン化合物、蟻酸コバルト、酢酸コバルト、ステアリン酸コバルト、蓚酸コバルト、炭酸コバルト、臭化コバルト等のコバルト化合物、酢酸錫、蓚酸錫、臭化錫などの錫化合物等が用いられ、これらは単独で、もしくは2種以上あわせて使用される。好ましくはゲルマニウム、アンチモン及びチタンから選ばれる少なくとも一種の金属の酸化物、無機酸塩、有機酸塩、アルコラート化合物が使用される。重縮合反応触媒の使用量は、該触媒に由来する金属原子としての含有量が、得られるポリエステルに対して、通常、1〜500ppm程度となる量である。
【0015】
またエステル化反応またはエステル交換反応、および重縮合反応時には、安定剤としてトリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリ−n−ブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェートなどのリン酸エステル類、トリフェニルホスファイト、トリスドデシルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイトなどの亜リン酸エステル類、メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、イソプロピルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、ジブチルホスフェート、モノブチルホスフェート、ジオクチルホスフェートなどの酸性リン酸エステル、およびリン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ポリリン酸などのリン化合物を、またエーテル結合生成抑制剤としてトリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ベンジルジメチルアミン等の第三級アミン、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラn−ブチルアンモニウム、水酸化トリメチルベンジルアンモニウム等の水酸化第四級アンモニウム、または炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸マグネシウム等の塩基性化合物を共存させることができる。
リン化合物の使用量は、リン化合物に由来するリン原子としての含有量が、得られるポリエステルに対して、通常、1〜200ppm程度となる量である。
【0016】
本発明のプレポリマーの固有粘度は、0.08dl/g以上0.40dl/g以下である。好ましくは、0.1dl/g以上、更に好ましくは0.15dl/g以上である。一方、0.35dl/g以下が好ましく、特に0.30dl/g以下が好ましい。固有粘度が0.08dl/g未満では、引き続き行う固相重合での重合速度が著しく遅くなり、0.40dl/gより高いと、その固有粘度まで上昇させるための溶融重合装置が高価になる上に、その重合度まで上昇させるための溶融重合に時間がかかるため、かえって生産に要する時間が長くなる。
【0017】
溶融重縮合により得られたプレポリマーは、重縮合槽の底部に設けられた細孔から外部へ噴射し微小粒体としても良いし、重縮合槽の底部に設けられた抜き出し口から空気中又は水中に液滴状粒体として抜き出しても良い。またストランド状に抜き出して、水冷しながらもしくは水冷後、カッターで切断されてペレット状粒体としても良い。得られたペレットを粉砕して更に粒径を細かな粒体としても良い。上で述べたいずれの方法においても、その結晶構造を成長させないためにできるだけ速やかに溶融状態から室温まで冷却することが重要である。具体的には溶融状態からできるだけ早く比熱が高く、温度の低い流体、例えば水と接触させるという方法を挙げることができる。
【0018】
また、プレポリマーの酸価は、通常10から1000meq/kgの範囲であり、環状三量体の含有量は、通常、4000以上12000ppm以下の範囲である。
尚、固相重合に供されるプレポリマー粒体の平均粒径は10μm以上500μm以下であり、50μm以上400μm以下がより好ましく、80μm以上300μm以下が最も好ましい。平均粒径が500μmを越えると固相重合速度が遅くなり、また平均粒径が10μm未満であると空中への飛散が起こりやすくなる問題が生じることとなる。
【0019】
本発明のプレポリマーのガラス転移点Tgと結晶化開始温度Tc1’の温度差Tc1’―Tgは60℃以下が好ましく、より好ましくは50℃以下である。ここで言うTc1’とは、示差走査熱量計を用い、20℃/分の速度で昇温したときに非晶質プレポリマーが示す結晶化発熱開始温度をさす。ガラス転移点とTgの温度差Tc1’―Tgが60℃を超えると、結晶化処理時に融着が生する傾向がある。結晶化開始温度Tc1’の範囲は95℃以上140℃以下が好ましい。さらに好ましくは100℃以上135℃以下、特に好ましくは105℃以上130℃以下である。結晶化開始温度が95℃を下回ると、固相重合速度が重合進行とともに遅くなる傾向があり、140℃を上回ると、結晶化処理中に融着傾向になる。
【0020】
本発明では、プレポリマーの結晶化処理によりΔH235を1J/g以下とする必要がある。それによって、230℃以上の高温度でも融着を起こすことなく固相重合を行うことが出来、それ故、融着防止のための機械的攪拌を行う必要が無くなるため、製造設備が簡略なものとなり、安価にポリマーを製造できる。ΔH235を1J/g以下にするためには、口述のエージング工程の条件のコントロールで行う。特に高めの温度でエージングすることで満足する傾向がある。
平均粒径10μm以上500μm以下のポリエステルプレポリマーのΔH235を1J/g以下とする結晶化処理工程は、融着防止の観点から通常固相重合温度より低い温度で必要に応じ攪拌を与えながら、プロセスコスト削減の観点から極力短時間の内に行う。
【0021】
プレポリマー結晶化処理工程は昇温工程とエージング工程からなる。
昇温工程は必要に応じ攪拌を与えながら、不活性雰囲気下、ガラス転移温度以下から225℃以上融点以下のエージング温度まで昇温する工程である。昇温工程に於いて、ポリエステルプレポリマーをガラス転移温度からエージング温度迄の昇温は昇温時間は5分以上60分以内が好ましく、より好ましくは10分以上50分以内、更に好ましくは15分以上40分以内の時間で昇温する。5分以内ではその後のエージング工程で融着を起こしやすい傾向となり、60分を越えると生産効率上無駄が大きくなる。
エージング工程はポリエステルプレポリマーがΔH235を1J/g以下となるまで、不活性雰囲気下、必要に応じて機械的攪拌や流動攪拌下、上記昇温後の温度付近でプレポリマーを保持する工程である。その条件としては225℃以上融点以下が好ましく、後述の固相重合温度より5〜15℃低い温度で5〜60分保持するという例を挙げることができる。
昇温工程とエージング工程を合わせた結晶化処理時間は、20分以上120分以内が好ましく、より好ましくは30分以上100分以内、更に好ましくは40分以上90分以内である。昇温工程とエージング工程を合わせた結晶化処理時間が20分より短いと、結晶化不足により固相重合工程で融着する可能性があり、120分より長いと、生産効率上好ましくない。攪拌、昇温の手法としては、パドル式の攪拌装置で昇温しながら結晶化処理をしてもよく、不活性ガス気流下流動状態で結晶化処理を行ってもよい。
【0022】
かかる結晶化処理により結晶化したプレポリマー10mgを示差走査熱量計により20℃/minで昇温させたとき、235℃までの溶融吸熱量ΔH235は1J/g以下とする。好ましくは0.5J/g以下、更に好ましくは0.1J/g以下である。ΔH235が1J/gより大きいと、固相重合中に融着が発生するため好ましくない。
【0023】
本発明での固相重合反応条件としては、不活性ガス気流下、流動状態で行うことが好ましい。反応時間は好ましくは15分以上300分未満、より好ましくは30分以上180分未満である。反応時間が15分より短いと、固有粘度が上がらず、300分より長いと、生産効率上の無駄が大きくなる。。反応温度は好ましくは220℃以上240℃以下、より好ましくは225℃以上235℃以下で行うとよい。反応温度が低いと固有粘度が上がらず、反応温度が高いと融着が発生する傾向がある。
【0024】
固相重合によって得られるポリエステル樹脂の固有粘度は通常0.60dl/g以上が好ましく、より好ましくは0.65dl/g以上、更に好ましくは0.70dl/g以上である。又好ましくは1.20dl/g以下、より好ましくは1.10dl/g以下、更に好ましくは1.00dl/g以下である。0.60dl/g未満の場合、特にブロー成形に用いた場合に肉厚ムラが発生しやすく、1.20dl/gであると特に射出成形時に金型への樹脂充填量不足による形状異常(ヒケ)が発生しやすい。
【0025】
また固相重合によって得られるポリエステル樹脂中の末端カルボキシル基濃度は、通常5meq/kg以上100meq/kg以下であり、同樹脂中に含まれる環状三量体量は通常1500ppm以上8000ppm以下である。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例中「部」とあるのは重量部を意味する。又、本発明における各種物性の測定法は以下に示すとおりである。
【0026】
(1)ガラス転移温度(Tg)、結晶化温度(Tc1’、Tc1)
パーキンエルマー社製示差走査熱量計DSC7を用い測定した。プレポリマー10mgを測り取り固体用標準パンに詰め、窒素流通下300℃まで試料を加熱した後10分間保持し、セルよりサンプルパンを取り出し液体窒素中でサンプルパンを急冷した後、再びセルに戻し20℃/分の速度で20℃より300℃まで昇温し、以下の手順でデータ処理を行い値を算出した。図1にDSCチャートを示した。
ガラス転移温度…上記条件により昇温したとき最初に階段状にベースラインが変化する時の傾きの立ち上がり温度をガラス転移温度とした(図1参照)。
結晶化温度…ガラス転移点以上に出る発熱ピークの発熱開始温度を結晶化開始温度(Tc1’)とし、ピークトップを結晶化温度(Tc1)とした。
【0027】
(2)溶融吸熱量ΔH235(J/g)
パーキンエルマー社製示差走査熱量計DSC7を用い測定した。結晶化処理終了後の試料10mgを測り取りパンに詰め、30℃より20℃/分の速度で300℃まで昇温した時の溶融ピーク面積のうち、235℃までに溶融したピークの面積から吸熱量をグラムあたりに換算した値ΔH235(J/g)を求めた(図2参照)。尚、図2中の参考は、値ΔH235(J/g)の面積を示す参考チャートである。
【0028】
(3)固有粘度(IV)
凍結粉砕した樹脂粒体試料0.50gを、フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン(重量比1/1)の混合溶媒に、濃度(c)を1.0g/dlとして、140℃で30分間で溶解させた後、ウベローデ型毛細粘度管を用いて、30℃で、原液との相対粘度(ηrel)を測定し、この相対粘度(ηrel)―1から求めた比粘度(ηsp)と濃度(c)との比(ηsp/c)を求め、同じく濃度(c)を0.5g/dl、0.2g/dl、0.1g/dlとしたときについてもそれぞれの比(ηsp/c)を求め、これらの値より、濃度(c)を0に外挿したときの比(ηsp/c)を固有粘度〔η〕(dl/g)として求めた。
【0029】
(4)共重合量
試料をトリフルオロ酢酸に溶解させた溶液について、核磁気共鳴装置(日本電子社「JNM−EX270型」)を用いて、1H−NMRを測定して各ピークを帰属し、ピークの積分値から、全カルボン酸成分に対するテレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体以外のジカルボン酸成分のモル%(A)、及び、全ジオール成分に対するエチレングリコール以外のジオール成分のモル%(B)を算出し、その和(A+B)を共重合量とした。
【0030】
(5)融着評価
結晶化処理後、固相重合後に重合管を室温まで冷却し粒子を取り出すとき、ガラス壁に粒子が付着し簡単に剥がれない場合、また、粒子がかたまり簡単に剥がれない場合は融着ありとした。
(6)平均粒径
JISK0069に記載の方法により積算分布曲線を作成し、積算百分率が50%になるときの値を平均粒径とした。
【0031】
[実施例1]
テレフタル酸及びエチレングリコールを、テレフタル酸13.0部とエチレングリコール5.82部となる様にスラリー調整槽に連続的に供給し、スラリーを調整した。該スラリーを第一段のエステル化反応槽へ連続的に供給し、略常圧下260℃で連続的にエステル化反応を行い、エステル反応率84%のビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート及びその低重合体を調整した。反応物を第2段のエステル化反応槽に連続的に供給し、略常圧下255℃で連続して反応を行い、エステル反応率95%のビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート及びその低重合体を調整した。
【0032】
更に、反応物を第1段の重縮合反応槽に連続的に供給し、正リン酸0.011部及び三酸化二アンチモン0.038部を連続的に上記の調整物に加え、2〜4kPaの減圧下280℃で連続的に反応を行い、次いで、反応物を第2段の重縮合反応槽に連続的に供給し0.2〜0.4kPaの減圧下280℃で連続的に重縮合反応を行った。
【0033】
反応物をストランドとして連続的に水中に抜き出し、ペレット化した。このときペレットは透明で実質結晶化を起こしていなかった。得られたペレットを回転式ミルにより粉砕し、標準フルイ規格(JIS Z―8801)でいう寸法300のふるい(目開き標準300μm)を通過するものを回収し、更に該回収品を同規格で寸法106のふるい(目開き標準106μm)を通過しないものを回収し、プレポリマーとした。
【0034】
攪拌装置、下部に窒素導入管を備えた内径59mmの重合管底部に200メッシュの金網を敷き、水分量を100ppm以下に乾燥させたプレポリマー50gを投入し、60℃に調整したオイルバス中に入れた。、60℃に調整した窒素ガスを毎分5Lの流量で重合管中に流通させながらプレポリマーを攪拌し、窒素温度、オイルバス温度ともに20分間かけて一定速度で230℃まで上昇させた。230℃に到達後更に230℃で15分間エージング処理した後、プレポリマーを観察したが融着はなかった。続いて攪拌を止めて窒素ガスの流量を15L/minに変更し、プレポリマーが重合管中で流動している状態で窒素ガスおよびオイルバスの設定温度を235℃に変更し、120分間固相重合を行った。その後冷却し取り出したところ融着は見られなかった。また、同条件で結晶化処理後取り出したプレポリマーを示差走査熱量計で測定すると、ΔH235は0J/gだった。(表1にプレポリマー固有粘度、プレポリマー平均粒径、プレポリマーTg、プレポリマーTc1’ 、プレポリマーTc1、プレポリマーTc1’−Tg、プレポリマー共重合量、結晶化処理時昇温時間、結晶化処理温度、結晶化時間、結晶化後の融着の有無、ΔH235、固相重合後の融着の有無、固相重合後の固有粘度を示した。)
【0035】
[実施例2]
正リン酸及び三酸化アンチモンのかわりに、エチルアシッドホスフェート0.00135部、酢酸マグネシウム4水塩0.000794部及びテトラブトキシチタン0.000324部を第1段の重縮合反応槽に連続的に供給した以外は実施例1と同様にして予備重合、粉砕、ふるいを行い、プレポリマーを得た。得られたプレポリマーを用い、エージング処理温度228℃、エージング時間20分とした以外は実施例1と同様に結晶化処理、固相重合を行った。その結果、結晶化処理後、固相重合終了後ともに融着は見られず、結晶化処理後のΔH235は0.3J/gだった。表1に評価結果を示す。
【0036】
[比較例1]
窒素流通下400℃に加熱したオーブン中の天板上に実施例1で粉砕する前のプレポリマーペレット(平均粒径3685μm)を重ならない様に並べ、15秒間結晶化処理した。結晶化処理したプレポリマーペレット50gは天板に融着していた。これを取り外し直ちに攪拌装置、下部に窒素導入管を備えた内径59mmの重合管底部に200メッシュの金網を敷いた中に投入し、235℃に調整した窒素ガスを15L/minの流量で重合管中に流通させながら235℃に設定したオイルバス中で攪拌しないで120分間固相重合し冷却し取り出したところ、ポリマー間の軽い融着が見られ、更に固相重合が十分に進まなかった。同条件で結晶化処理後取り出したプレポリマーペレットを示差走査熱量計で測定したところ、ΔH235は5J/gだった。表1に実施例1と同じ項目の評価結果を示す。
【0037】
[比較例2]
実施例1においてテレフタル酸13.0部に代えてテレフタル酸11.96重量部およびイソフタル酸1.04重量部を用いたこと以外は実施例1と同様にして予備重合、粉砕、ふるい、共重合量10のプレポリマーを得た。得られたプレポリマーを用い実施例1と同条件でに結晶化処理、固相重合を行った。その結果、結晶化処理後、固相重合終了後どちらにも軽い融着がみられ、また結晶化処理後のΔH235は11J/gだった。表1に評価結果を示す。
【0038】
[比較例3]
実施例1で得られたプレポリマーを用い、エージング処理温度205℃、エージング処理時間20分とした以外は実施例1と同条件で結晶化処理、固相重合を行った。その結果、結晶化処理後には融着は見られなかったが固相重合後には融着が発生した。また結晶化処理後のΔH235は14J/gだった。表1に評価結果を示す。
【0039】
【表1】
Figure 2005041903
【0040】
【発明の効果】
本発明によりポリエステル製造の、固相重合工程におけるポリエステルの融着を防止し、固相重合をきわめて効率的に実施する方法を提供する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1のDSCパラメータ(Tg、Tc1′、Tc1)を示すグラフである。
【図2】実施例1及び参考のDSCパラメータ(ΔH235)を示すグラフである。

Claims (3)

  1. 溶融縮重合により得られた固有粘度が0.08dl/g以上0.40dl/g以下の範囲にある共重合量5.5以下、平均粒径10μm以上500μm以下のポリエステルプレポリマーを結晶化処理し、結晶化処理後のポリエステルプレポリマーの溶融吸熱量 ΔH235を1J/g以下とした後に固相重合を行うポリエステルの製造方法。
    (ここで溶融吸熱量ΔH235とはポリエステルプレポリマー粒子10mgを示差走査熱量計により20℃/minで昇温させたときの、235℃までの溶融吸熱量をグラムあたりに換算した量である。)
  2. 結晶化処理前のポリエステルプレポリマーのTc1’が95℃以上140℃以下となり、TgとTc1’が以下の式を満たす請求項1記載の製造方法。
    Tc1’―Tg≦60
    (ここでTc1’はポリエステルプレポリマー未結晶粒子10mgを20℃/minで示差走査熱量計で昇温測定したときの結晶化開始温度、Tgはガラス転移温度である。)
  3. 結晶化処理工程が昇温工程とこれに続くエージング工程を含み、エージング温度が225℃以上融点以下であり、ポリエステルプレポリマーをガラス転移温度からエージング温度まで5分以上60分以下で昇温する請求項1又は2記載の製造方法。
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