JP2005015707A - ポリエステル樹脂の製造方法 - Google Patents

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JP2005015707A JP2003185204A JP2003185204A JP2005015707A JP 2005015707 A JP2005015707 A JP 2005015707A JP 2003185204 A JP2003185204 A JP 2003185204A JP 2003185204 A JP2003185204 A JP 2003185204A JP 2005015707 A JP2005015707 A JP 2005015707A
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Kazuya Nakamichi
一也 中道
Kazushi Matsumoto
一志 松本
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Abstract

【課題】溶融重縮合および固相重縮合を経てポリエステル樹脂を得るに際し、固相重縮合時にポリエステル樹脂粒体同士の融着が起こりにくく、充分な固相重縮合速度を得ることができ、効率良くポリエステル樹脂を製造することが可能な製造方法を提供する。
【解決手段】溶融重合ポリエステルポリマー形成工程と、固相重合工程とを有するポリエステル樹脂の製造方法において、上記固相重合工程では、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体およびエチレングリコール以外の共重合成分量が5.5以下であり、固有粘度が0.20〜0.50dl/gの範囲内である上記溶融重合ポリエステルポリマーを固相重縮合槽に供給し、供給する不活性ガスの温度を、上記溶融重合ポリエステルポリマーのガラス転移温度よりも120℃高い温度以上、上記ポリマーの融点よりも5℃低い温度以下の範囲内にして行い、さらに、上記固相重縮合槽に供給する溶融重合ポリエステルポリマーの密度が1.410g/cm3以上であることを特徴とするポリエステル樹脂の製造方法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はポリエステル樹脂の製造方法に関するものであり、さらに詳しくは高品質のポリエステル樹脂を安価に製造する方法であり、融着の生じる心配が少なく、高温で効率良く固相重縮合を行うことが可能なポリエステル樹脂の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリエチレンテレフタレート樹脂(以下PETと略すことがある)は数多くの材料および製品、例えば繊維、フィルム、成形用樹脂および飲料用ボトルなどで幅広く用いられている。
【0003】
上記用途に必要な成形加工性、機械的特性を引き出すためには重合度を所定のレベルまで上げる必要があり、その方法として溶融重縮合に引き続き固相重縮合を行う方法が工業的に広く用いられているが、固相重縮合は比較的長時間を要するために、より生産性に優れた製造方法が望まれている。かかる方法として、溶融重縮合で比較的低重合度の溶融重合ポリエステルポリマーを得てこの溶融重合ポリエステルポリマー樹脂を固相重縮合する方法が提案されている。この場合、固相重縮合スタート時における重縮合度が低いので固相重縮合速度を上げるために、高温で固相重縮合をする必要がある。例えば、溶融重縮合で得られた平均重縮合度約5から約35(固有粘度約0.10から0.36dl/g)の低重合度溶融重合ポリエステルポリマー樹脂を、結晶子サイズが9nm以上となるように結晶化させてから固相重縮合する方法(特許文献1参照)が開示されている。しかしながら、本発明者等の検討によれば、樹脂粒体同士の融着という問題に関し必ずしも満足な結果が得られない。更に、このような低重縮合度溶融重合ポリエステルポリマー樹脂は強度が未だ不十分で、固相重縮合時にペレット状粒体の割れを生じる等、ハンドリング性が悪いという問題を有している。
【0004】
また、透明性の高いボトルを低温成形で得られる共重合ポリエステルとして、ジカルボン酸成分の共重合量(モル%)とジオール成分の共重合量(モル%)の和が6以上のポリエステルであって固有粘度が0.25から0.40dl/gの溶融重合ポリエステルポリマー樹脂を特定条件下で固相重縮合する方法(特許文献2参照)が開示されている。しかしながら、共重合成分が多いために溶融重合ポリエステルポリマー樹脂の融点が比較的低く、従って固相重縮合温度を高く設定出来ないため固相重縮合速度が小さく効率的とは言えなかった。また、樹脂粒体同士の融着という問題に関し必ずしも満足な結果が得られなかった。
【0005】
【特許文献1】
特表平10−512608号公報
【特許文献2】
USP6284866号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、溶融重縮合および固相重縮合を経てポリエステル樹脂を得るに際し、固相重縮合時にポリエステル樹脂粒体同士の融着が起こりにくく、充分な固相重縮合速度を得ることができ、効率良くポリエステル樹脂を製造することが可能なポリエステル樹脂の製造方法を提供することを主目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、溶融重合ポリエステルポリマーの組成、その固有粘度、固相重縮合槽に供給する際の密度および固相重縮合槽に供給する不活性ガスの温度を調整して固相重縮合を行うことにより、上記目的を達成することを見出し本発明に到達した。
【0008】
すなわち、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体を主成分とするジカルボン酸成分と、エチレングリコールを主成分とするジオール成分とを、エステル化反応またはエステル交換反応を経て溶融重縮合させることにより溶融重合ポリエステルポリマーを形成する溶融重合ポリエステルポリマー形成工程と、
上記溶融重合ポリエステルポリマーを固相重縮合してポリエステル樹脂を製造する固相重合工程とを有するポリエステル樹脂の製造方法において、
上記固相重合工程では、上記テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体および上記エチレングリコール以外の共重合成分量が5.5以下であり、固有粘度が0.20〜0.50dl/gの範囲内である上記溶融重合ポリエステルポリマーを固相重縮合槽に供給し、
また、上記固相重縮合槽に供給する不活性ガスの温度を、上記溶融重合ポリエステルポリマーのガラス転移温度よりも120℃高い温度以上、上記溶融重合ポリエステルポリマーの融点よりも5℃低い温度以下の範囲内にして行い、
さらに、上記固相重縮合槽に供給する溶融重合ポリエステルポリマーの密度が1.410g/cm以上であることを特徴とするポリエステル樹脂の製造方法を提供する。
【0009】
本発明においては、固相重縮合槽に供給する溶融重合ポリエステルポリマーの組成、固有粘度および密度、さらには、固相重縮合槽に供給する不活性ガスの温度を上述した範囲内に調整し固相重合工程を行うことにより、ポリエステル樹脂粒体同士の融着といった不都合の発生を抑制でき、また、満足な固相重縮合速度を得ることができる。したがって、高効率なポリエステル樹脂の製造が可能となる。
【0010】
さらに本発明においては、上記溶融重合ポリエステルポリマーを結晶化し、結晶化された上記溶融重合ポリエステルポリマーを固相重縮合することが好ましい。結晶化された溶融重合ポリエステルポリマーを固相重縮合することにより、より大きな分子量を有するポリエステル樹脂を製造することができるからである。
【0011】
また、本発明においては、上記固相重縮合に供する上記溶融重合ポリエステルポリマーの密度と、上記固相重縮合により得られた上記ポリエステル樹脂の密度との差が、0.0050g/cm未満であることが好ましい。0.0050g/cm以上であると融着が生じやすくなる場合があるため好ましくないからである。
【0012】
さらに本発明においては、上記溶融重合ポリエステルポリマー形成工程における溶融重縮合を、チタン化合物、ジルコニウム化合物およびハフニウム化合物から選択される少なくとも一つの化合物を有するチタン族化合物類と、1A族金属化合物、2A族金属化合物、アルミニウム化合物、亜鉛化合物、ガリウム化合物、マンガン化合物、コバルト化合物および鉄化合物から選択される少なくとも一つの化合物を有する金属化合物類と、リン化合物との存在下で行うことが好ましく、さらに、上記チタン族化合物類、金属化合物類およびリン化合物由来の金属原子およびリン原子の上記ポリエステル樹脂1トン中に占める量は、上記チタン族化合物類由来の金属原子の総量が0.02〜0.2モルの範囲内、上記金属化合物類由来の金属原子の総量が0.04〜0.6モルの範囲内、上記リン化合物由来のリン原子が0.02〜0.4モルの範囲内であることが好ましい。
【0013】
チタン族化合物類、金属化合物類およびリン化合物由来の金属原子およびリン原子において、ポリエステル樹脂1トンに占めるその量を上記範囲外とすると、重縮合性、特に固相重合工程における固相重縮合性、アセトアルデヒド含有量および色調等に代表される品質のバランスが低下する場合があるからである。
【0014】
さらに本発明においては、上記固相重縮合槽に供給する溶融重合ポリエステルポリマーの温度が、220℃以上255℃以下であることが好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のポリエステル樹脂の製造方法について説明する。
【0016】
本発明のポリエステル樹脂の製造方法は、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体を主成分とするジカルボン酸成分と、エチレングリコールを主成分とするジオール成分とを、エステル化反応またはエステル交換反応を経て溶融重縮合させることにより溶融重合ポリエステルポリマーを形成する溶融重合ポリエステルポリマー形成工程と、
前記溶融重合ポリエステルポリマーを固相重縮合してポリエステル樹脂を製造する固相重合工程とを有するポリエステル樹脂の製造方法において、
前記固相重合工程では、前記テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体および前記エチレングリコール以外の共重合成分量が5.5以下であり、固有粘度が0.20〜0.50dl/gの範囲内である前記溶融重合ポリエステルポリマーを固相重縮合槽に供給し、
また、前記固相重縮合槽に供給する不活性ガスの温度を、前記溶融重合ポリエステルポリマーのガラス転移温度よりも120℃高い温度以上、前記溶融重合ポリエステルポリマーの融点よりも5℃低い温度以下の範囲内にして行い、
さらに、前記固相重縮合槽に供給する溶融重合ポリエステルポリマーの密度が1.410g/cm以上であることを特徴とするものである。
【0017】
本発明においては、固相重縮合槽に供給する溶融重合ポリエステルポリマーの組成、固有粘度および密度、さらには、固相重縮合槽に供給する不活性ガスの温度を上述した範囲内に調整し固相重合工程を行うことにより、ポリエステル樹脂粒体同士の融着といった不都合の発生を抑制でき、また、満足な固相重縮合速度を得ることができる。したがって、高効率なポリエステル樹脂の製造が可能となる。
【0018】
以下、このようなポリエステル樹脂の製造方法について各工程に分けて説明する。
【0019】
1.溶融重合ポリエステルポリマー形成工程
本発明における溶融重合ポリエステルポリマーは、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体を主成分とするジカルボン酸成分と、エチレングリコールを主成分とするジオール成分とを、エステル化反応またはエステル交換反応を経て溶融重縮合させることにより溶融重合ポリエステルポリマーを形成する工程である。
【0020】
このような本工程において形成される溶融重合ポリエステルポリマーは、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体を主成分とするジカルボン酸成分と、エチレングリコールを主成分とするジオール成分とを、エステル化反応またはエステル交換反応させることによりエステル化反応生成物またはエステル交換反応生成物を得た後、この生成物を溶融重縮合させることにより製造されたものであり、エチレンテレフタレート単位を主たる構成繰り返し単位とするものである。
【0021】
以下、本工程におけるエステル化反応またはエステル交換反応、および、溶融重縮合について詳細に説明する。
【0022】
(1)エステル化反応またはエステル交換反応
本発明におけるエステル化反応またはエステル交換反応は、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体を主成分とするジカルボン酸成分と、エチレングリコールを主成分とするジオール成分とをエステル化反応またはエステル交換反応させるものである。
【0023】
なお、ここでいうテレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体を主成分とするジカルボン酸成分とは、50モル%以上のテレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体を含有するものを意味する。
【0024】
具体的にテレフタル酸のエステル形成性誘導体としては、テレフタル酸ジメチルエステル等のテレフタル酸の炭素数が1〜4程度のアルキルエステルおよびハロゲン化物等を挙げることができる。
【0025】
このような本発明におけるテレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体を主成分とするジカルボン酸成分において、ジカルボン酸成分に占めるテレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体の量は、全ジカルボン酸成分の95モル%以上であることが好ましく、さらに好ましくは97モル%以上である。
【0026】
また、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体を主成分とするジカルボン酸成分において、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体以外のジカルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、1,3−フェニレンジオキシジ酢酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルケトンジカルボン酸、4,4’−ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステル等の芳香族ジカルボン酸の炭素数1〜4程度のアルキルエステルおよびハロゲン化物;ヘキサヒドロテレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸;並びに、これらの脂環式ジカルボン酸や、脂肪族ジカルボン酸の炭素数1〜4程度のアルキルエステルおよびハロゲン化物等が挙げられる。
【0027】
また、本発明におけるエチレングリコールを主成分とするジオール成分とは、50モル%以上のエチレングリコールを含有するものを意味する。中でも、ジオール成分に占めるエチレングリコールの量は、全ジオール成分の95モル%以上であることが好ましく、さらに好ましくは96モル%である。
【0028】
エチレングリコール以外のジオール成分としては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等の脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメチロール等の脂環式ジオール、および、キシリレングリコール等の芳香族ジオール、並びに、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパンのエチレンオキサイド付加物またはプロピレンオキサイド付加物等が挙げられる。
【0029】
さらに、本発明におけるエステル化反応またはエステル交換反応には、共重合成分を用いてもよい。具体的に共重合成分としては、ステアリルアルコール、ステアリン酸、安息香酸等の単官能成分、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール等の三官能以上の多官能成分等を挙げることができる。これらから選択して1種、または2種以上を共重合成分として用いることができる。
【0030】
上記エステル化反応またはエステル交換反応において、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体を主成分とするジカルボン酸成分と、エチレングリコールを主成分とするジオール成分との混合比は特に限定はされないが、具体的には、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体を主成分とするジカルボン酸成分と、エチレングリコールを主成分とするジオール成分とのモル比(ジオール成分/ジカルボン酸成分)の下限が1.02以上、好ましくは、1.05以上であり、上限が、3.0以下、好ましくは2.0以下である。
【0031】
また、このようなエステル化反応またはエステル交換反応としては、慣用の方法を用いることができる。例えば、上記範囲内のモル比でテレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体を主成分とするジカルボン酸成分と、エチレングリコールを主成分とするジオール成分とを混合した後、一般的には、エステル化反応槽において、240℃〜280℃の範囲内、常圧〜0.4MPa程度の加圧下で、1〜10時間程度でエステル化反応または、エステル交換反応触媒の存在下にエステル交換反応させた後、エステル化反応生成物またはエステル交換反応生成物として、ポリエステル低分子量体を得ることができる。このポリエステル低分子量体におけるエステル化反応率は、90%以上、好ましくは93%以上とする。上記範囲内であれば、ポリエステル樹脂における酸末端濃度の低減を図ることができるからである。
【0032】
本発明におけるエステル化反応においては、特に触媒を使用しなくてもよいが、必要に応じて用いることも可能である。このような場合には、二酸化ゲルマニウム、四酸化ゲルマニウム、水酸化ゲルマニウム、蓚酸ゲルマニウム、ゲルマニウムテトラエトキシド、ゲルマニウムテトラ−n−ブトキシド等のゲルマニウム化合物、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、酢酸アンチモン、アンチモントリスエチレングリコキシド等のアンチモン化合物、チタニウムテトラエトキシド、チタニウムテトラ−n−プロポキシド、チタニウムテトラ−i−プロポキシド、チタニウムテトラ−n−ブトキシド、蓚酸チタン、蓚酸チタンカリウム等のチタン化合物等の公知の触媒を用いることができる。
【0033】
また、テレフタル酸のエステル形成性誘導体を用いた場合には、エステル交換反応が行われるが、この際、エステル交換反応触媒を用いることが好ましい。具体的に、エステル交換反応触媒としては、チタン、マグネシウム、カルシウム、マンガン、リチウム、亜鉛等の金属の化合物を挙げることができる。これら金属の化合物のうち、一種または複数種を混合して用いることができる。具体的に上記金属の化合物としては、有機酸塩、アルコラート、炭酸塩等を挙げることができる。中でも、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸マンガン、酢酸リチウム等を好ましく用いることができる。
【0034】
また、エステル化反応またはエステル交換反応においては、添加剤として安定剤を用いてもよい。具体的に安定剤としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリ−n−ブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート等のリン酸エステル類、トリフェニルホスファイト、トリスドデシルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト等の亜リン酸エステル類、メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、イソプロピルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、ジブチルホスフェート、モノブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート等の酸性リン酸エステル、およびリン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ポリリン酸等のリン化合物等を挙げることができる。上述した安定剤の使用量としては、上記リン化合物由来のリン原子の含有量が、最終的に得られるポリエステル樹脂に対して、1〜200ppmの範囲内にあるように、使用量を適宜調整することが好ましい。
【0035】
さらに、その他に添加剤としては、エーテル結合生成抑制剤を用いることも可能である。具体的にエーテル結合生成抑制剤としては、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ベンジルジメチルアミン等の第三級アミン、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラ−n−ブチルアンモニウム、水酸化トリメチルベンジルアンモニウム等の水酸化第四級アンモニウム、または炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸マグネシウム等の塩基性化合物等を挙げることができる。
【0036】
本工程において使用するエステル化反応またはエステル交換反応に用いる反応槽は、一段としてもよく、または多段としてもよい。また、エステル化反応またはエステル交換反応は、連続式または回分式のいずれであってもよい。
【0037】
(2)溶融重縮合
本発明における溶融重縮合は、例えば、上記エステル化反応またはエステル交換反応により得られたエステル化反応生成物またはエステル交換反応生成物を重縮合槽に移送し、一般的に、重縮合反応触媒の存在下で、250〜290℃程度の温度、常圧から漸次減圧させ、最終的に1333Pa〜13.3Pa程度の減圧下で、0.5〜5時間程度攪拌し重縮合を行うものである。これにより、溶融重合ポリエステルポリマーを得ることができる。
【0038】
本発明においては、このような溶融重縮合を行う際に、(1)重縮合反応触媒としてのチタン化合物、ジルコニウム化合物およびハフニウム化合物から選択される少なくとも一つの化合物を有するチタン族化合物類と、(2)1A族金属化合物、2A族金属化合物、アルミニウム化合物、亜鉛化合物、ガリウム化合物、マンガン化合物、コバルト化合物および鉄化合物から選択される少なくとも一つの化合物を有する金属化合物類と、(3)リン化合物との存在下で行うことが好ましい。これらの化合物を混合して用いることにより重縮合の触媒として機能し、効率的に溶融重縮合を行うのに効果を有するからである。
【0039】
まず、本発明におけるチタン族化合物類について説明する。本発明におけるチタン族化合物類とは、周期表第4A族のチタン族元素、すなわち、チタン、ジルコニウム、ハフニウムの化合物から選択される少なくとも一つの化合物を有するものを意味する。
【0040】
具体的に、これら元素の化合物としては、酸化物、水酸化物、アルコキシド、酢酸塩、炭酸塩、蓚酸塩、及びハロゲン化物等を挙げることができる。中でも、チタン化合物が好ましい。具体的に、チタン化合物としては、テトラ−n−プロピルチタネート、テトラ−i−プロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネートテトラマー、テトラ−t−ブチルチタネート、テトラシクロヘキシルチタネート、テトラフェニルチタネート、テトラベンジルチタネート等のチタンアルコキシド、チタンアルコキシドの加水分解により得られるチタン酸化物、チタンアルコキシドと珪素アルコキシド若しくはジルコニウムアルコキシドとの混合物の加水分解により得られるチタン−珪素若しくはジルコニウム複合酸化物、酢酸チタン、蓚酸チタン、蓚酸チタンカリウム、蓚酸チタンナトリウム、チタン酸カリウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸−水酸化アルミニウム混合物、塩化チタン、塩化チタン−塩化アルミニウム混合物、臭化チタン、フッ化チタン、六フッ化チタン酸カリウム、六フッ化チタン酸コバルト、六フッ化チタン酸マンガン、六フッ化チタン酸アンモニウム、チタンアセチルアセトナート等が挙げられ、中でも、テトラ−n−プロピルチタネート、テトラ−i−プロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート等のチタンアルコキシド、蓚酸チタン、蓚酸チタンカリウムが好ましく、テトラ−n−ブチルチタネートが特に好ましい。
【0041】
次に、本発明における金属化合物類について説明する。本発明における金属化合物類とは、周期表第1A族の金属化合物、周期表第2A族の金属化合物、アルミニウム化合物、亜鉛化合物、ガリウム化合物、マンガン化合物、鉄化合物、コバルト化合物から選択される少なくとも1つの化合物を有するものを意味する。
【0042】
具体的に、これらの化合物としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、亜鉛、ガリウム、マンガン、鉄、コバルト等の、酸化物、水酸化物、アルコキシド、酢酸塩、炭酸塩、蓚酸塩、及びハロゲン化物等を挙げることができる。例えば、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、マグネシウムアルコキシド、酢酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、酢酸カルシウム、炭酸カルシウム、酢酸アルミニウム、アルミニウムn−プロポキサイド、酢酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸ガリウム、酸化マンガン、水酸化マンガン、酢酸マンガン、酢酸第二鉄、蟻酸コバルト、酢酸コバルト、蓚酸コバルト、炭酸コバルト、臭化コバルト、コバルトアセチルアセトナート等が挙げられる。中でも、マグネシウム化合物が好ましく、酢酸マグネシウムが特に好ましい。
【0043】
さらに、本発明におけるリン化合物について説明する。本発明におけるリン化合物としては、具体的に正リン酸、ポリリン酸、及び、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリ−n−ブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリス(トリエチレングリコール)ホスフェート、メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、イソプロピルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、モノブチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、トリエチレングリコールアシッドホスフェート等のリン酸エステル等の5価のリン化合物、並びに、亜リン酸、次亜リン酸、及び、トリメチルホスファイト、ジエチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリスドデシルホスファイト、トリスノニルデシルホスファイト、エチルジエチルホスホノアセテート、トリフェニルホスファイト等の亜リン酸エステル、リチウム、ナトリウム、カリウム等の金属塩等の3価のリン化合物等が挙げられ、中でも、5価のリン化合物のリン酸エステルが好ましい。さらに、トリメチルホスフェート、エチルアシッドホスフェートが特に好ましい。
【0044】
次に、このようなチタン族化合物類、金属化合物類およびリン化合物の添加量としては、これら化合物由来の金属原子およびリン原子の、ポリエステル樹脂1トンに占める量が、以下に記載する範囲内となるような添加量とすることが好ましい。
【0045】
まず、チタン族化合物類由来の金属原子、すなわち、チタン、ジルコニウムまたはハフウニウムの総量の下限が、0.02モル以上であることが好ましく、中でも、0.06モル以上、さらには、0.07モル以上であることが特に好ましい。また、上限は、0.2モル以下であることが好ましく、中でも、0.1モル以下、さらには、0.09モル以下であることが最も好ましい。
【0046】
さらに、金属化合物類由来の金属原子、すなわち、周期表第1A族の金属、周期表第2A族の金属、アルミニウム、亜鉛、ガリウム、マンガン、鉄またはコバルトの総量の下限が、0.04モル以上であることが好ましく、中でも、0.06モル以上、さらには、0.11モル以上であることが最も好ましい。上限は、0.6モル以下であることが好ましく、中でも、0.4モル以下、さらには、0.22モル以下であることが最も好ましい。
【0047】
さらに、リン化合物由来のリン原子の場合は、下限が、0.02モル以上であることが好ましく、中でも、0.05モル以上、さらには、0.08モル以上であることが好ましく、特に好ましくは、0.09モル以上である。上限は、0.40モル以下であることが好ましく、中でも、0.30モル以下、さらにその中でも、0.20モル以下、特に、0.15モル以下であることが最も好ましい。
【0048】
チタン族化合物類、金属化合物類およびリン化合物由来の金属原子およびリン原子において、ポリエステル樹脂1トンに占める量が上記範囲外となると、重縮合性、特に後述する固相重合工程における固相重縮合性、アセトアルデヒド含有量および色調等に代表される品質のバランスが低下する場合がある。
【0049】
このようなチタン族化合物類、金属化合物類およびリン化合物の反応系への添加時期としては、溶融重縮合時にこれらの化合物が反応系に存在していれば特に限定はされない。具体的には、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体を主成分とするジカルボン酸成分と、エチレングリコールを主成分とするジオール成分とを混合しスラリーを調製する段階、エステル化反応またはエステル交換反応における任意の段階、または、溶融重縮合における初期の段階等を挙げることができる。
【0050】
例えば、チタン族化合物類の場合には、エステル化反応またはエステル交換反応における任意の段階、または、エステル化またはエステル交換反応から溶融重縮合へ移送する段階であることが好ましい。その中でも、エステル化反応またはエステル交換反応が多段反応装置を用いて行った場合、最終段のエステル化またはエステル交換反応の反応槽に、または、エステル化またはエステル交換の反応槽から溶融重縮合へ移送する段階で、エステル化反応生成物またはエステル交換反応生成物に添加することが好ましい。
【0051】
また、金属化合物類の場合にも、エステル化反応またはエステル交換反応における任意の段階、または、エステル化またはエステル交換反応から溶融重縮合へ移送する段階で添加することが好ましく、特に、エステル化反応またはエステル交換反応が多段反応装置を用いて行った場合、最終段のエステル化またはエステル交換反応の反応槽に添加することが好ましい。
【0052】
さらに、リン化合物の場合は、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体を主成分とするジカルボン酸成分と、エチレングリコールを主成分とするジオール成分とを混合してスラリーを調製する際のスラリー調製槽に、または第1段目のエステル化反応またはエステル交換反応の反応槽に添加することが好ましい。中でも、スラリー調製槽に添加することが好ましい。
【0053】
本発明においては、チタン族化合物類、金属化合物類およびリン化合物の添加順序をリン化合物、次いで、金属化合物類、さらにチタン族化合物類とすることが好ましい。
【0054】
このようにチタン族化合物類、金属化合物類およびリン化合物において、上述した添加時期および添加順序で添加することにより、樹脂の熱安定性が改良されると共に、溶融成形時のアセトアルデヒド等の副生の原因となる反応系内でのジエチレングリコールの副生も抑制され、さらに、溶融重縮合性および固相重縮合性の改良効果を有効に発現させることができる。
【0055】
また、チタン族化合物類、金属化合物類およびリン化合物を反応系へ添加する際には、エチレングリコール等のアルコールや水等の溶媒を用い、適切な溶媒に上記化合物が溶解した溶液として添加することが好ましい。例えば、チタン族化合物類としてチタン化合物を用い、溶媒としてエチレングリコールを用いた場合には、反応系へのチタン化合物の分散性およびそれによる溶融重縮合性及び固相重縮合性の改良の面から、溶液におけるチタン原子の濃度を0.01〜0.3重量%とし、かつ水分濃度を0.1〜1重量%とすることが好ましい。
【0056】
尚、前記のチタン族化合物類以外の重縮合反応触媒としては、二酸化ゲルマニウム、四酸化ゲルマニウム、水酸化ゲルマニウム、蓚酸ゲルマニウム、ゲルマニウムテトラエトキシド、ゲルマニウムテトラ−n−ブトキシド等のゲルマニウム化合物、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、酢酸アンチモン、アンチモントリスエチレングリコキシド等のアンチモン化合物等が挙げられる。
【0057】
このような本工程により得られた溶融重合ポリエステルポリマーにおいては、所定の範囲内の平均粒径を有する粒体とすることが好ましい。粒体化させることにより、溶融重合ポリエステルポリマーの表面積の増大を図ることができるため、後述する固相重合工程において、固相重縮合の効率を向上させることができ、固相重合速度の向上に効果を有するからである。
【0058】
溶融重合ポリエステルポリマーを粒体化させる場合に、その平均粒径の下限は、10μm以上であることが好ましく、その中でも、50μm以上であることが好ましく、さらには、100μm以上であることが特に好ましい。また、平均粒径の上限は、1000μm以下であることが好ましく、その中でも、700μm以下であることが好ましく、さらには、500μm以下であることが特に好ましい。溶融重合ポリエステルポリマーの平均粒径を上記範囲未満とすると、粒体の飛散といった不都合が生じやすくなる場合があり、取扱い上の点から好ましくない。一方、上記範囲よりも大きくすると、後述する固相重合工程において固相重合速度の向上の効果が十分に得られない場合があるからである。
【0059】
また、溶融重合ポリエステルポリマーを粒体化させる方法としては特に限定はされないが、具体的には、重縮合槽の底部に設けられた細孔から外部へ噴射し微小粒体とする方法、重縮合槽の底部に設けられた抜き出し口から空気中又は水中に液滴状粒体として抜き出す方法、または、ストランド状に抜き出して、水冷しながらもしくは水冷した後、カッターで切断することにより、ペレット状、チップ状等の形状で粒体化させる方法を挙げることができる。
【0060】
本工程において、溶融重合ポリエステルポリマーを生成する際に使用する重縮合槽は、一段としてもよく、または多段としてもよい。また、本工程における溶融重縮合は、連続式または回分式のいずれであってもよい。
【0061】
2.固相重合工程
次に、本発明における固相重合工程について説明する。固相重合工程とは、上述した溶融重合ポリエステルポリマー形成工程により得られた溶融重合ポリエステルポリマーを固相重縮合することによりポリエステル樹脂を製造する工程である。
【0062】
本発明は、固相重縮合槽に供給する溶融重合ポリエステルポリマーの組成、固有粘度および密度、さらには、固相重縮合槽に供給する不活性ガスの温度を所定の範囲に調整し、本工程を行うことを特徴とするものである。これにより、本工程における固相重縮合を高温に設定することができることから、充分な固相重合速度を実現することができる。さらに、ポリエステル樹脂同士の融着といった不都合の発生も回避することもできる。
【0063】
このような本工程において、固相重縮合槽に供給する溶融重合ポリエステルポリマーの組成は、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体およびエチレングリコール以外の共重合成分を5.5以下としたものとする。さらに、4.5以下であることが好ましい。
【0064】
なお、ここでいう、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体およびエチレングリコール以外の共重合成分とは、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体を主成分とする全ジカルボン酸成分に対して、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体以外のジカルボン酸が占める量比(モル%)をAとし、エチレングリコールを主成分とする全ジオール成分に対して、エチレングリコール以外のジオール成分が占める量比(モル%)をBとしたとき、A+Bを意味する。このような上記A+Bで示されるテレフタル酸またはそのエチレン形成性誘導体およびエチレングリコール以外の共重合成分量が、上記範囲よりも大きい溶融重合ポリエステルポリマーを用いると、ポリエステル樹脂の融点が低くなるため、固相重縮合温度を充分に上げることが困難となる。したがって、固相重縮合速度の低下を招き、さらに、ポリエステル樹脂粒体同士の融着が生じやすくなるため好ましくない。さらに、耐熱性が劣るためポリエステル樹脂の成型時、特に強度、耐熱性を向上させるための延伸、ヒートセットを行う場合、その効果が十分に発揮されないといった不都合も生じ得る。
【0065】
次に、固相重縮合槽に供給する溶融重合ポリエステルポリマーの固有粘度の下限は、0.20dl/g以上とし、上限は、0.50dl/g以下とする。さらに、上限は、0.45dl/g以下であることが好ましく、より好ましくは、0.40dl/g以下である。溶融重合ポリエステルポリマーの固有粘度を上記範囲未満とすると、本工程において固相重縮合を行う際、その速度が著しく遅くなり、一方、溶融重合ポリエステルポリマーの固有粘度を上記範囲よりも高くすると、この範囲まで固有粘度を上昇させるために用いる溶融重合装置が高価となるため好ましくない。
【0066】
固相重縮合槽に供給する溶融重合ポリエステルポリマーの固有粘度を上記範囲に調整するには、重縮合温度、時間、減圧度を調整することにより行うことができる。また、溶融重合ポリエステルポリマーの固有粘度の上記範囲は、通常用いられる溶融重合ポリエステルポリマーの同様の範囲よりも低いため、より低温、短時間、弱い減圧度で到達可能であり、副反応を抑制することができる。したがって、製品品質を高めることができ、また、製造工程を簡略化できるため低コスト化を図ることができるといった利点を有する。
【0067】
さらに、固相重縮合槽に供給する溶融重合ポリエステルポリマーの密度は、その下限を1.410g/cm以上とする。また、好ましくは、1.412g/cm以上であり、さらに好ましくは1.415g/cm以上である。また、上限は、通常1.430g/cm以下、好ましくは1.420g/cm以下である。
【0068】
溶融重合ポリエステルポリマーの密度が、上記範囲未満の場合は、ポリエステル樹脂粒体同士の融着が起こりやすくなり、その密度を上記範囲よりも高くすると、粘度が高くなりすぎ、得られるポリエステルの成型等における取り扱いが劣る傾向となるため好ましくない。
【0069】
さらに、溶融重合ポリエステルポリマーの酸価は、通常10〜1000meq/kgの範囲であることが好ましく、また、環状三量体の含有量は、通常、4000以上12000ppm以下の範囲とすることが好ましい。
【0070】
また、本工程において固相重縮合時は窒素、二酸化炭素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行う。この際、固相重縮合槽に供給する不活性ガスの温度は、溶融重合ポリエステルポリマーのガラス転移温度より120℃高い温度以上、溶融重合ポリエステルポリマーの融点よりも5℃低い温度以下の範囲内とする。中でも、溶融重合ポリエステルポリマーのガラス転移温度より130℃高い温度以上、溶融重合ポリエステルポリマーの融点よりも5℃低い温度以下の範囲内であることが好ましく、より好ましくは、溶融重合ポリエステルポリマーのガラス転移温度より140℃高い温度以上からその融点よりも5℃低い温度以下の範囲内である。特に好ましくは、溶融重合ポリエステルポリマーのガラス転移温度より150℃高い温度以上からその融点よりも5℃低い温度以下の範囲内である。必要に応じ溶融重合ポリエステルポリマー樹脂粒体同士が融着しないように流動等させながら、1〜20時間程度の時間で加熱処理して固相重縮合させる。しかしながら、この場合、供給する不活性ガス温度が低いと樹脂温度が低下し、固相重縮合速度が低下するため、上記範囲内の温度で不活性ガスを固相重縮合槽に供給することが好ましい。
【0071】
なお、ここでいう溶融重合ポリエステルポリマーの融点とは、示差走査熱量計を用い、20℃/分の速度で昇温したときに試料(溶融重合ポリエステルポリマー)が示す融解ピークのピークトップ温度をさし、ガラス転移温度とは非晶状態の溶融重合ポリエステルポリマーを示差走査熱量計を用い、20℃/分の速度で0℃から昇温したときに、0℃からの昇温過程において最初にベースラインが階段状に変化する箇所における最大傾斜を示す温度を指す。
【0072】
このように、固相重縮合槽に供給する溶融重合ポリエステルポリマーの組成、固有粘度および密度、さらには、固相重縮合槽に供給する不活性ガスの温度を上記範囲内に調製し、本工程を行うことにより、固相重縮合における温度を高温に設定することができ、固相重合速度の低下、ポリエステル樹脂粒体同士の融着といった不都合の発生を防止することができる。
【0073】
さらに、本工程においては、固相重縮合を行う以前に、溶融重合ポリエステルポリマーを結晶化し、結晶化された溶融重合ポリエステルポリマーを固相重縮合に供することが好ましい。溶融重合ポリエステルポリマーを結晶化する際の温度としては、190℃以上とすることが好ましく、中でも、200℃以上、さらに好ましくは210℃以上、特に好ましくは220℃以上である。また、1分から4時間程度加熱することが好ましい。このような溶融重縮合ポリエステルポリマーの結晶化は、不活性ガス雰囲気下、水蒸気雰囲気下または水蒸気含有不活性ガス雰囲気下で結晶化を行う場合が挙げられ、中でも、不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
【0074】
このような結晶化は複数の段階に分けて実施しても良く、その内の1つ以上の段階で固相重縮合の際の温度より高くすると、本工程においてポリエステル樹脂粒体同士の融着や反応缶壁への融着が起こりにくくなり好ましい。これは、結晶構造がより完全になるためと考えられる。
【0075】
このような本工程において溶融重合ポリエステルポリマーを固相重縮合するには、流動床を用いてもよく、また、溶融重合ポリエステルポリマーの平均粒径が約500μm以上の場合は移動床を用いることもできる。
【0076】
また、固相重縮合に供する溶融重合ポリエステルポリマー樹脂の密度と、本工程により得られたポリエステル樹脂の密度との差は、0.0050g/cm未満であることが好ましく、中でも、0.0040g/cm未満であることが好ましい。上記範囲以上であると融着が生じやすくなる場合があるため好ましくない。
【0077】
この固相重縮合により、更にポリエステル樹脂を高重合度化させ得ると共に、ボトルなどへの成型時、金型など装置汚れの原因となる環状三量体などのオリゴマーや悪臭の原因となるアセトアルデヒドを低減化したものとすることができる。固相重縮合は、1333〜13.3Pa程度の減圧下でも行うことができるが、ある程度規模が大きい工業生産では減圧装置、固相重縮合槽などの設備費用が大きくなり経済的観点からは、常圧付近の圧力で行うのが好ましい。
【0078】
固相重縮合によって得られるポリエステル樹脂の固有粘度の下限は、0.50dl/g以上、好ましくは0.60dl/g以上、更に好ましくは0.70dl/g以上である。上限は、1.20dl/g以下、好ましくは1.10dl/g以下、より好ましくは1.00dl/g以下である。上記範囲未満の場合、特にブロー成形に用いた場合に肉厚ムラが発生しやすく、上記範囲よりも固有粘度が高いと特に射出成形時に金型への樹脂充填量不足による形状異常(ヒケ)が発生しやすいため好ましくない。
【0079】
また固相重縮合によって得られるポリエステル樹脂中の酸末端濃度は、通常5meq/kg以上100meq/kg以下であり、同樹脂中に含まれる環状三量体量は通常1500ppm以上8000ppm以下である。
【0080】
なお、固相重縮合によって得られるポリエステル樹脂は、必要に応じて顆粒状などの取り扱いやすい形状に造粒してもよい。
【0081】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0082】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例中「部」とあるのは重量部を意味する。又、本発明における各種物性の測定法は以下に示すとおりである。
【0083】
<エステル化反応率>
エステル化反応率(%)=(ケン化価−酸価)/ケン化価)×100
なお、ここで、酸価はエステル化反応物をジメチルホルムアミドに溶解し0.1N水酸化カリウムで滴定により得た反応物中の酸当量値であり、ケン化価はオリゴマーを水−エタノール中水酸化カリウムでアルカリ加水分解し0.5N塩酸で逆滴定して得た反応物中の酸およびエステル化された酸の合計当量値である。
【0084】
<金属原子含有量>
試料5gを、硫酸存在下に過酸化水素で常法により灰化、完全分解後、蒸留水にて50mlに定容したものについて、プラズマ発光分光分析装置(JOBINYVON社製ICP−AES「JY46P型」)を用いて定量し、ポリエステル樹脂1トン中のモル量に換算した。
【0085】
<ガラス転移温度(Tg)>
試料(溶融重合ポリエステルポリマー)を、アルミニウム製オープンパン及びパンカバー(常圧タイプ、セイコー電子社製「P/N SSC000E030」及び「P/N SSC000E032」)を用いて封入し、示差走査熱量計(セイコー社製「DSC220C」)を用いて、窒素気流下、0℃から20℃/分の速度で300℃まで昇温した際のDSC曲線から、0℃からの昇温過程において最初にベースラインが階段状に変化する箇所における最大傾斜を示す温度をガラス転移点とした。
【0086】
<固有粘度(〔η〕)>
凍結粉砕した樹脂試料0.25gを、フェノール/テトラクロロエタン(重量比1/1)の混合溶媒に、濃度(c)を1.0g/dlとして、140℃で30分間で溶解させた後、ウベローデ型毛細粘度管を用いて、30℃で、溶媒との相対粘度(ηrel )を測定し、この相対粘度(ηrel )−1から求めた比粘度(ηsp)と濃度(c)との比(ηsp/c)を求め、同じく濃度(c)を0.5g/dl、0.2g/dl、0.1g/dlとしたときについてもそれぞれの比(ηsp/c)を求め、これらの値より、濃度(c)を0に外挿したときの比(ηsp/c)を求め、これらの値より、濃度(c)を0に外挿したときの比(ηsp/c)を固有粘度〔η〕(dl/g)として求めた。
【0087】
<平均粒径>
JISK0069に記載の方法により積算分布曲線を作成し、積算百分率が50%になるときの値を平均粒径とした。
【0088】
<密度>
測定セルに試料6〜8gを精秤し、測定温度23℃にて乾式自動密度測定装置(島津制作所製:Accupyc 1330)を用いて測定した。
【0089】
(実施例1)
スラリー調製槽、及びそれに直列に接続された2段のエステル化反応槽、及び2段目のエステル化反応槽に直列に接続された2段の溶融重縮合槽からなる連続重縮合装置を用い、スラリー調製槽に、テレフタル酸とエチレングリコールを重量比で865:485の割合で連続的に供給すると共に、エチルアシッドホスフェートの0.3重量%エチレングリコール溶液を、得られるポリエステル樹脂1トン当たりのリン原子としての総量Pが0.161モル/樹脂トンとなる量で連続的に添加して、攪拌、混合することによりスラリーを調製した。該スラリーを第1段のエステル化反応槽へ連続的に供給し、略常圧下260℃で連続的にエステル化反応を行い、エステル化反応率84%のビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート及びその低重縮合体を調製した。反応物を第2段のエステル化反応槽に連続的に供給し、略常圧下255℃で連続して反応を行い、エステル化反応率95%のビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートおよびその低重縮合体を調製した。
【0090】
また、その際、第2段目のエステル化反応槽に設けた上部配管を通じて、酢酸マグネシウム4水和物の0.6重量%エチレングリコール溶液を、得られるポリエステル樹脂1トン当たりのマグネシウム原子としての総量Mが0.206モル/樹脂トンとなる量で連続的に添加した。
【0091】
引き続いて、前記で得られたエステル化反応生成物を連続的に溶融重縮合槽に移送する際、その移送配管中のエステル化反応生成物に、テトラ−n−ブチルチタネートを、チタン原子の濃度0.15重量%、水分濃度を0.5重量%としたエチレングリコール溶液として、得られるポリエステル樹脂1トン当たりのチタン原子としての総量Tが0.104モル/樹脂トンとなる量で連続的に添加しつつ、2.66〜3.99kPaの減圧下280℃に設定された第1段目の重縮合反応槽、次いで、反応物を第2段の重縮合反応槽に連続的に供給し0.67〜1.33kPaの減圧下280℃で連続的に重縮合反応を行い溶融重合ポリエステルポリマーを得た。
【0092】
溶融重合ポリエステルポリマーをストランド状に連続的に水中に抜き出し、ペレット化した。このときペレットは透明で実質結晶化を起こしていなかった。得られたペレットを回転式ミルにより粉砕し、固有粘度0.30dl/g、平均粒径153μmの粉砕品(固相重縮合原料(溶融重合ポリエステルポリマー))を得た。
【0093】
続いて粉砕品10gを、30cm四方の金属板上に均一に広げ、オーブン中50L/分の窒素流通下、静置状態で120℃で2時間予備乾燥した後、240℃まで5分かけて昇温し、240℃で10分間結晶化したのち、オーブンより取り出す事により室温まで冷却し、固相重縮合原料(結晶化品)を得た。
【0094】
次に、固相重縮合原料(結晶化品)をオイルジャケット付きガラス製の反応管(内径=25mmφ)に入れ、下部から225℃にコントロールされた窒素ガス(ガス線速=0.2m/s)を導入し、235℃のオイル循環下で2時間、固相重縮合を行った。
【0095】
また、前記溶融重縮合樹脂の固有粘度(〔η1 〕)及び固相重縮合樹脂の固有粘度(〔η2 〕)は前記に示す方法により測定し、又、それらの結果から以下に示す方法により、固相重縮合速度(V)を算出し、結果を表1に示した。
【0096】
なお、固相重縮合処理品は、ガラス壁面及び、粉砕品間に融着は見られなかった。
【0097】
得られた固相重縮合品について、以下の基準で評価し、結果を表1に示した。
○:ガラス壁面及び、粉砕品間又はペレット間に融着が無いもの。
△:ガラス壁面及び、粉砕品間又はペレット間に融着が僅かにあるもの。
×:ガラス壁面及び、粉砕品間又はペレット間に融着が激しいもの。
【0098】
(実施例2)
実施例1と同様にしてエステル化反応及び重縮合反応後、ペレット化を行った。
【0099】
得られたペレットは、回転式ミルによる粉砕時間を変更し、平均粒径1200μmの粉砕品を用いた以外は、表1記載の固相重縮合温度、固相重縮合時間とし、実施例1と同様にして固相重縮合樹脂を製造し、各種測定を行い、結果を表1に示した。
【0100】
尚、固相重縮合処理品は、ガラス壁面及び、粉砕品間に融着は見られなかった。
【0101】
(実施例3および実施例4)
重縮合時の触媒添加量を表1に示す量とした以外は、実施例1と同様にしてエステル化反応及び重縮合反応後、ペレット化及び粉砕を行った。引き続き表1記載の固相重縮合温度、固相重縮合時間とした以外は実施例1と同様にして固相重縮合樹脂を製造し、各種測定を行い、結果を表1に示した。
【0102】
尚、固相重縮合処理品は、ガラス壁面及び、粉砕品間に融着は見られなかった。
【0103】
(比較例1)
実施例1と同様にしてエステル化反応及び重縮合反応後、ペレット化及び粉砕を行った。引き続き表1記載の供給窒素のガス温度を255℃に変更した以外は実施例1と同様にして固相重縮合樹脂を製造し、各種測定を行い、結果を表1に示した。
【0104】
尚、固相重縮合処理品は、供給窒素のガス温度が高かった為か、ガラス壁面及び、粉砕品間に激しい融着が見られた。
【0105】
(比較例2)
実施例1と同様にしてエステル化反応及び重縮合反応後、ペレット化及び粉砕を行った。引き続き結晶化条件を、静置状態で120℃で2時間予備乾燥した後、180℃まで5分かけて昇温し、180℃で10分間とした以外は、実施例1と同様にして固相重縮合樹脂を製造し、各種測定を行い、結果を表1に示した。
【0106】
尚、固相重縮合工程前の溶融重合ポリエステルポリマー樹脂の密度が、1.3938g/cmと低かった為か、固相重縮合工程前の溶融重合ポリエステルポリマー樹脂の密度と固相重縮合後のポリエステル樹脂の密度との差が、0.0221g/cmと大きかった為か、固相重縮合処理品は、ガラス壁面及び、粉砕品間に激しい融着が見られた。
【0107】
(比較例3)
第1段目の重縮合反応槽の圧力を、0.67〜1.33kPaの減圧下280℃に設定、次いで、反応物を第2段の重縮合反応槽に連続的に供給し0.13〜0.26kPaの減圧下280℃で連続的に重縮合反応を行い、固有粘度0.49dl/gの溶融重合ポリエステルポリマーを得た以外は、実施例1と同様にしてエステル化反応及び重縮合反応後、ペレット化を行った。得られたペレットは、回転式ミルによる粉砕時間を変更し、平均粒径153μmの粉砕品を用いた以外は、引き続き、表1記載の固相重縮合温度、固相重縮合時間とし、実施例1と同様にして固相重縮合樹脂を製造し、各種測定を行い、結果を表1に示した。
【0108】
尚、固相重縮合工程前の溶融重合ポリエステルポリマー樹脂の密度が、1.4019g/cmと低かった為か、固相重縮合工程前の溶融重合ポリエステルポリマー樹脂の密度と固相重縮合後のポリエステル樹脂の密度との差が、0.0072g/cmと大きかった為か、固相重縮合処理品は、ガラス壁面及び、粉砕品間に僅かに融着が見られた。
【0109】
(比較例4)
第1段目の重縮合反応槽の圧力を、0.67〜1.33kPaの減圧下280℃に設定、次いで、反応物を第2段の重縮合反応槽に連続的に供給し0.13〜0.26kPaの減圧下280℃で連続的に重縮合反応を行い、固有粘度0.60dl/gの溶融重合ポリエステルポリマーを得た以外は、実施例1と同様にしてエステル化反応及び重縮合反応後、ペレット化を行った。得られたペレットは、回転式ミルによる粉砕時間を変更し、平均粒径153μmの粉砕品を用いた以外は、実施例1と同様にして固相重縮合樹脂を製造し、各種測定を行い、結果を表1に示した。
【0110】
尚、固相重縮合工程前の溶融重合ポリエステルポリマー樹脂の密度が、1.3919g/cmと低かった為か、固相重縮合工程前の溶融重合ポリエステルポリマー樹脂の密度と固相重縮合後のポリエステル樹脂の密度との差が、0.0112g/cmと大きかった為か、固相重縮合処理品は、ガラス壁面及び、ペレット間に激しい融着が見られた。
【0111】
【表1】
Figure 2005015707
【0112】
【発明の効果】
本発明によれば、固相重縮合槽に供給する溶融重合ポリエステルポリマーの組成、固有粘度および密度、さらには、固相重縮合槽に供給する不活性ガスの温度を上述した範囲内に調整し固相重合工程を行うことにより、ポリエステル樹脂粒体同士の融着といった不都合の発生を抑制でき、また、満足な固相重縮合速度を得ることができる。したがって、高効率なポリエステル樹脂の製造が可能となる。

Claims (7)

  1. テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体を主成分とするジカルボン酸成分と、エチレングリコールを主成分とするジオール成分とを、エステル化反応またはエステル交換反応を経て溶融重縮合させることにより溶融重合ポリエステルポリマーを形成する溶融重合ポリエステルポリマー形成工程と、
    前記溶融重合ポリエステルポリマーを固相重縮合してポリエステル樹脂を製造する固相重合工程とを有するポリエステル樹脂の製造方法において、
    前記固相重合工程では、前記テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体および前記エチレングリコール以外の共重合成分量が5.5以下であり、固有粘度が0.20〜0.50dl/gの範囲内である前記溶融重合ポリエステルポリマーを固相重縮合槽に供給し、
    また、前記固相重縮合槽に供給する不活性ガスの温度を、前記溶融重合ポリエステルポリマーのガラス転移温度よりも120℃高い温度以上、前記溶融重合ポリエステルポリマーの融点よりも5℃低い温度以下の範囲内にして行い、
    さらに、前記固相重縮合槽に供給する溶融重合ポリエステルポリマーの密度が1.410g/cm以上であることを特徴とするポリエステル樹脂の製造方法。
  2. 前記溶融重合ポリエステルポリマーを結晶化し、結晶化された前記溶融重合ポリエステルポリマーを固相重縮合することを特徴とする請求項1に記載のポリエステル樹脂の製造方法。
  3. 前記固相重縮合に供する前記溶融重合ポリエステルポリマーの密度と、前記固相重縮合により得られた前記ポリエステル樹脂の密度との差が、0.0050g/cm未満であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のポリエステル樹脂の製造方法。
  4. 前記溶融重合ポリエステルポリマーの平均粒径が10〜1000μmであることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか請求項に記載のポリエステル樹脂の製造方法。
  5. 前記溶融重合ポリエステルポリマー形成工程における溶融重縮合を、チタン化合物、ジルコニウム化合物およびハフニウム化合物から選択される少なくとも一つの化合物を有するチタン族化合物類と、1A族金属化合物、2A族金属化合物、アルミニウム化合物、亜鉛化合物、ガリウム化合物、マンガン化合物、コバルト化合物および鉄化合物から選択される少なくとも一つの化合物を有する金属化合物類と、リン化合物との存在下で行うことを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載のポリエステル樹脂の製造方法。
  6. 前記チタン族化合物類、金属化合物類およびリン化合物由来の金属原子およびリン原子の前記ポリエステル樹脂1トン中に占める量は、
    前記チタン族化合物類由来の金属原子の総量が0.02〜0.2モルの範囲内、
    前記金属化合物類由来の金属原子の総量が0.04〜0.6モルの範囲内、
    前記リン化合物由来のリン原子が0.02〜0.4モルの範囲内であることを特徴とする請求項5に記載のポリエステル樹脂の製造方法。
  7. 前記固相重縮合槽に供給する溶融重合ポリエステルポリマーの温度が、220℃以上255℃以下であることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれかの請求項に記載のポリエステル樹脂の製造方法。
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