JP7035473B2 - 3次元物体のラピッドプロトタイピング装置の使用方法 - Google Patents

3次元物体のラピッドプロトタイピング装置の使用方法 Download PDF

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Description

本発明はポリエステルの熱処理方法に関する。特に、固相重合時の重合度コントロール精度の向上や高融点化の抑制が可能で、3次元物体のラピッドプロトタイピング装置(SLS法3Dプリンタ)による造形時の高重合度化や低重合度化の抑制、高融点化の抑制効果に優れたポリエステルの熱処理方法に関する。
本発明の熱処理方法を用いて得られるポリエステルは、自動車、電気電子、雑貨などのエンプラ向け成形品や飲料用ボトルをはじめとする中空成形体、フィルム、シ-トなどの成形体の素材として好適に用いることができる。
ポリエステルは、その優れた機械的性質と化学的性質から、工業的に重要な位置を占めている。例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと表記する場合がある)やポリブチレンテレフタレート(以下、PBTと表記する場合がある)などの芳香族ポリエステルは、耐熱性、耐薬品性に優れた樹脂であり、また、成形加工の容易さと経済性から、繊維、フィルム、シート、ボトル、電気電子部品、自動車部品、精密機器部品などの押出成形用途、射出成形用途等の分野で広く使用されている。
ポリエステルをこれらの用途に適用する際に、製品品質に影響を及ぼす低分子量成分を除去したり、耐熱性や剛性等の物性を向上させたりする目的で、従来、ポリエステルの熱処理が行われている。
例えば、特許文献1には、微粉の少ないポリエステルペレットを用いて、重合度を保持しつつ、環状オリゴマーを減少させるために、ポリエステルを不活性ガス雰囲気下又は減圧下で、所定の温度に加熱することが記載されている。
また、特許文献2には、ポリエステルの耐熱性、剛性を上げるために、不活性ガス雰囲気の加圧下で所定の温度に加熱して高融点、高結晶化することが記載されている。
これら特許文献1,2では、ポリエステルをその融点に近い温度で加熱して熱処理を行っているが、熱処理による高融点化の抑制、重合度の維持に関する検討はなされていない。
特開2002-173528号公報 特開平7-300530号公報
本発明者の検討により、従来法でポリエステルをその融点近傍で熱処理した場合、ポリエステルの重合度が低くなったり高くなったりして、重合度を精度よくコントロールすることが難しいことが判明した。また、意に反した高融点化が進行する問題もあることが判明した。
本発明は上記従来の問題点を解決し、熱処理によりポリエステルの重合度を精度よくコントロールすることができ、また、高融点化を抑制することが可能なポリエステルの熱処理方法を提供することを課題とする。
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の熱処理方法を採用することで、上記の課題を解決することが可能であることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1] 融点が170℃以上で、タイラー100メッシュを通過し、目開き10μmのニッケルスクリーンを通過しない微粉の含有量が0.10重量%を超え、含水率が0.30重量%以下であるポリエステルを加熱するポリエステルの熱処理方法であって、該熱処理を下記(1)の密閉系熱処理又は下記(2)の流通系熱処理で行うことを特徴とするポリエステルの熱処理方法。
(1)不活性ガスで密閉した熱処理領域内で、圧力を該熱処理温度において大気圧以上0.98MPa未満として熱処理する。
(2)不活性ガスを流通させた熱処理領域内で、該不活性ガスの流通条件を、該熱処理領域内のガスを100回/10時間以下置換する条件とし、圧力を該熱処理温度において大気圧を超えて0.98MPa未満として熱処理する。
[2] 前記ポリエステルがポリブチレンテレフタレート又は共重合ポリブチレンテレフタレートである[1]に記載のポリエステルの熱処理方法。
[3] 前記ポリエステルが共重合ポリエチレンテレフタレートである[1]に記載のポリエステルの熱処理方法。
[4] [1]~[3]のいずれかに記載のポリエステルの熱処理方法を用いる、固相重合方法。
[5] [1]~[3]のいずれかに記載のポリエステルの熱処理方法を用いる、3次元物体のラピッドプロトタイピング装置の使用方法。
本発明のポリエステルの熱処理方法によれば、熱処理によりポリエステルの重合度を精度よくコントロールすることができ、また、高融点化を抑制することができる。本発明のポリエステルの熱処理方法は、例えば、固相重合によるポリエステルの高重合度化においては、固相重合の終了付近での重合度コントロールの精度向上、高融点化を防止するための手法として活用が可能である。このため、安定した品質のポリエステルを得ることができる。また、SLS法3Dプリンタ用途であれば、長時間における造形時の加熱保持状態において、造形材料であるポリエステルの高重合度化、低重合度化、高融点化等のポリエステルの好ましくない変質を防ぐことができ、安定した造形が可能になる。更には、余剰なポリエステルをリサイクル使用する際も、ポリエステルの変質を抑えて安定した造形が可能になる。
以下に本発明を実施するための形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の代表例であり、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。
本発明のポリエステルの熱処理方法では、特定のポリエステルに対して下記(1)の密閉系熱処理又は下記(2)の流通系熱処理を行う。
(1)不活性ガスで密閉した熱処理領域内で、圧力を該熱処理温度において大気圧以上0.98MPa未満として熱処理する。
(2)不活性ガスを流通させた熱処理領域内で、該不活性ガスの流通条件を、該熱処理領域内のガスを100回/10時間以下置換する条件とし、圧力を該熱処理温度において大気圧を超えて0.98MPa未満として熱処理する。
上記2通りの熱処理方法を採用することで、本発明の効果が奏される理由の詳細は明らかではないが、(1)の密閉系熱処理であれば、上記特定の条件とすることにより、脱グリコール反応、脱水反応等の縮合反応が抑制され、固有粘度の上昇がコントロールできることによると考えられる。しかも、高融点化の抑制という効果も達成される。
また、(2)の流通系熱処理であれば、上記特定の条件とすることにより、流通系であっても加圧することで脱グリコール反応、脱水反応等の縮合反応が抑制される。さらに、その流通量が少ないことで、密閉系と同様の効果が奏され、脱グリコール反応、脱水反応等の縮合反応を抑制して、固有粘度の上昇をコントロールできると考えられる。しかも、高融点化の抑制という効果も達成される。
以下において、本発明の熱処理対象とする特定のポリエステルを「本発明のポリエステル」と称す場合がある。
[ポリエステル]
本発明のポリエステルとしては、好ましくは、ポリブチレンテレフタレート、共重合ポリブチレンテレフタレート又は共重合ポリエチレンテレフタレートが挙げられる。
ポリブチレンテレフタレートとは、反応原料のジカルボン酸成分としてテレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体100重量%と、ジオール成分として1,4-ブタンオール100重量%とを用いて得られるポリエステルである。
共重合ポリブチレンテレフタレートとは、反応原料のジカルボン酸成分としてテレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体とその他のジカルボン酸成分を用い、ジオール成分として1,4-ブタンオールのみを用いて得られる共重合ポリブチレンテレフタレートであってもよく、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体のみを用い、ジオール成分として1,4-ブタンオールとその他のジオール成分を用いて得られる共重合ポリブチレンテレフタレートであってもよく、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体とその他のジカルボン酸成分を用い、ジオール成分として1,4-ブタンオールとその他のジオール成分を用いて得られる共重合ポリブチレンテレフタレートであってもよい。
ジカルボン酸成分として、テレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体に加えその他のジカルボン酸成分を共重合する場合、テレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体の割合は、全ジカルボン酸成分に対して70モル%以上であることが好ましく、85モル%以上であることがより好ましく、90モル%以上であることが更に好ましい。テレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体の割合が上記下限以上であることによって、結晶性が高く機械物性に優れるポリエステルを得ることができる。
また、用途によっては、結晶性を保持しつつ、融点を低くした組成が好まれる場合もある。この場合、テレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体の割合は、全ジカルボン酸成分に対して90モル%以下であることが好ましく、85モル%以上90モル%未満であることがより好ましく、70モル%以上85モル%未満であることが更に好ましい。
テレフタル酸以外の他のジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸のような芳香族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸のような脂環族ジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸のような脂肪族ジカルボン酸などの1種又は2種以上を用いることができる。
ジオール成分として、1,4-ブタンジオールに加えその他のジオール成分を共重合する場合、1,4-ブタンオールの割合は、全ジオール成分に対して70モル%以上であることが好ましく、85モル%以上であることがより好ましく、90モル%以上であることが更に好ましい。1,4-ブタンジオールの割合が上記下限以上であることによって、結晶性が高く機械特性に優れたポリエステルを得ることができる。
また、用途によっては、結晶性を保持しつつ、融点を低くした組成が好まれる場合もある。この場合、1,4-ブタンオールの割合は、全ジオール成分に対して90モル%以下であることが好ましく、85モル%以上90モル%未満であることがより好ましく、70モル%以上85モル%未満であることが更に好ましい。
1,4-ブタンオール以外の他のジオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノールなどの1種又は2種以上を用いることができる。
共重合ポリエチレンテレフタレートとは、反応原料のジカルボン酸成分としてテレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体とその他のジカルボン酸成分を用い、ジオール成分としてエチレングリコールのみを用いて得られる共重合ポリエチレンテレフタレートであってもよく、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体のみを用い、ジオール成分としてエチレングリコールとその他のジオール成分を用いて得られる共重合ポリエチレンテレフタレートであってもよく、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体とその他のジカルボン酸成分を用い、ジオール成分としてエチレングリコールとその他のジオール成分を用いて得られる共重合ポリエチレンテレフタレートであってもよい。
ジカルボン酸成分として、テレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体に加えその他のジカルボン酸成分を共重合する場合、テレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体の割合は、全ジカルボン酸成分に対して70モル%以上であることが好ましく、85モル%以上であることがより好ましく、90モル%以上であることが更に好ましい。テレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体の割合が上記下限以上であることによって、結晶性が高く機械物性に優れるポリエステルを得ることができる。
また、用途によっては、結晶性を保持しつつ、融点を低くした組成が好まれる場合もある。この場合、テレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体の割合は、全ジカルボン酸成分に対して90モル%以下であることが好ましく、85モル%以上90モル%未満であることがより好ましく、70モル%以上85モル%未満であることが更に好ましい。
テレフタル酸以外の他のジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸のような芳香族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸のような脂環族ジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸のような脂肪族ジカルボン酸などの1種又は2種以上を用いることができる。
ジオール成分として、エチレングリコールに加えその他のジオール成分を共重合する場合、エチレングリコールの割合は、全ジオール成分に対して70モル%以上であることが好ましく、85モル%以上であることがより好ましく、90モル%以上であることが更に好ましい。エチレングリコールの割合が上記下限以上であることによって、結晶性が高く機械特性に優れたポリエステルを得ることができる。
また、用途によっては、結晶性を保持しつつ、融点を低くした組成が好まれる場合もある。この場合、エチレングリコールの割合は、全ジオール成分に対して90モル%以下であることが好ましく、85モル%以上90モル%未満であることがより好ましく、70モル%以上85モル%未満であることが更に好ましい。
エチレングリコール以外の他のジオールとしては、1,4-ブタンオール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノールなどの1種又は2種以上を用いることができる。
上記のようなポリエステルの製造方法は特に制限されるものではなく、通常の方法を適用することができる。例えば、テレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体を含むジカルボン酸成分と、1,4-ブタンジオール又はエチレングリコールを含むジオール成分とを、所定の割合で撹拌下に混合して原料スラリーとする工程、次いで該原料スラリーを減圧下、常圧又は加圧下で加熱してエステル化反応又はエステル交換反応を行ってポリエステル低重合体(以下「オリゴマー」と表記する場合がある)を得る工程、次いで、得られたオリゴマーを減圧下、加熱して、溶融重縮合反応させる溶融重縮合工程を経てポリエステルを得ることができる。
オリゴマーを得る工程の例としては、単一のエステル化反応槽、又は複数のエステル化反応槽を直列に接続した多段反応装置を用いて、エステル化反応で生成する水と余剰のジオール成分の系外への除去を、エステル化反応率(原料ジカルボン酸成分の全カルボキシル基のうちジオール成分と反応してエステル化したものの割合)が90%以上に達するまで行う方法を挙げることができる。
溶融重縮合工程の例としては、単一の溶融重縮合槽、又は複数の溶融重縮合槽を直列に接続した多段反応装置を用いて、生成するジオールを減圧下に系外に留出させながら行う方法が挙げられる。
この際用いるポリエステル重縮合触媒としては、アンチモン、ゲルマニウム、チタン、アルミニウムなどの化合物が挙げられる。ポリエステル重縮合触媒の反応系への添加は、ジカルボン酸成分とジオール成分からのスラリーを得る段階、オリゴマーを得る工程、又は溶融重縮合工程の初期のいずれでの段階であってもよい。
本発明のポリエステルの製造においては、オリゴマーを得る工程や溶融重縮合工程において、熱分解やジオールの二量化などの副反応を抑制するために、酸化防止剤や塩基性化合物を添加することもできる。具体的には、酸化防止剤としては、イルガノックス1330(BASF社製)、イルガノックス1010(BASF社製)等が挙げられる。塩基性化合物としては、トリエチルアミン、トリ-n-ブチルアミン、ベンジルジメチルアミン等の第三級アミン、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラ-n-ブチルアンモニウム、水酸化トリメチルベンジルアンモニウム等の水酸化第四級アンモニウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸ナトリウム等が挙げられる。
溶融重縮合工程で得られたポリエステルは、通常、溶融重縮合槽の底部に設けられた抜き出し口からストランド状又はシート状で抜き出した後、水冷しながら又は水冷後、カッターで切断してペレット状又はチップ状などのポリエステル粒状体とする。この粒状体はその後、移送工程に供されるが、この工程においてしばしば微粉が発生し、あるいは意図的に微粉を発生させ、微粉が含まれるようになる場合がある。
上記工程により製造されたポリエステルは、例えば、固相重合又はSLS法3Dプリンタに供することができる。
固相重合は、溶融重縮合で得たポリエステルをさらに高重合度化したり、環状オリゴマー量を低減させたりするための熱処理である。
固相重合して得られるポリエステルの用途としては、繊維、フィルム、シート、ボトル、電気電子部品、自動車部品、精密機器部品などの押出成形用途、射出成形用途等が挙げられ、様々な分野で広く使用される。
なお、このようなポリエステルには、必要に応じて、結晶核剤、酸化防止剤、着色防止剤、顔料、染料、紫外線吸収剤、離型剤、易滑剤、難燃剤、帯電防止剤、無機粒子及び有機粒子などを配合することができる。また、本発明の趣旨を損なわない範囲で他のポリエステルを含むポリマーを配合してもよい。
3Dプリンタにおけるポリエステルの使用においても、ポリエステルに必要に応じて結晶核剤、酸化防止剤、着色防止剤、顔料、染料、紫外線吸収剤、離型剤、易滑剤、難燃剤、帯電防止剤、無機粒子及び有機粒子などを配合することができる。また、本発明の趣旨を損なわない範囲で他のポリエステルを含むポリマーを配合してもよい。
本発明のポリエステルは、その目的に応じて粒状体、微粉などの単独又は混在した形態をとることができる。
ポリエステルを固相重合に供する原料として使用する場合は、粒状体を主体とする形態として使用するのが好ましい。すなわち、固相重合においては例えばポリエステルのペレットを向流の高温のガスを用いて熱処理するが、この場合、微粉であると舞い上がったりして熱処理の安定性が損なわれるし、また部分的に固相重合速度が速くなったりして反応速度の制御が難しくなるので、その微粉含有量を制御することが好ましい。
一方、SLS法3Dプリンタでは、微粉状としたポリエステルにレーザー照射することにより造形を施すので、微粉状とする必要がある。
本発明のポリエステルは、融点が170℃以上、微粉の含有量(以下、「微粉量」又は「含有微粉量」と称す。)が0.10重量%を超え、含水率が0.30重量%以下であるポリエステルであり、本発明のポリエステルの熱処理方法では、このような特定の融点、微粉量及び含水率のポリエステルを熱処理する。
本発明のポリエステルの融点は170℃以上である必要がある。融点が170℃未満では、熱処理時にポリエステル同士の融着が起こりやすく好ましくない。本発明のポリエステルの融点は、好ましくは175℃以上である。
本発明のポリエステルの融点の上限は特に限定されないが、好ましくは270℃である。これを超えると熱処理後のポリエステルを溶融成形する場合に高めの温度を必要とするため、より多くのエネルギーを要するようになる。本発明のポリエステルの融点はより好ましくは260℃以下、さらに好ましくは230℃以下である。
なお、ポリエステルの融点の測定方法は後述の実施例の項に記載される通りである。
本発明のポリエステルに含まれる微粉量は0.10重量%を超え、好ましくは0.11重量%以上、より好ましくは0.13重量%以上である。この含有微粉量が0.10重量%以下の場合は、熱処理工程に供給する粒状体を主体とするポリエステルの滑り性が悪く、しばしば円滑な供給に支障が生じるようになる。本発明のポリエステルに含まれる微粉量の上限は100.0重量%、即ち、すべてが微粉ポリエステルである。
特に、本発明のポリエステルをSLS法3Dプリンタに用いる場合、本発明のポリエステルに含まれる微粉量は、好ましくは99.0重量%以上、100.0重量%以下である。
また、本発明のポリエステルを固相重合に供する場合、本発明のポリエステルに含まれる微粉量は、好ましくは0.10重量%を超え、1.0重量%以下である。
微粉量がこれより多い場合、ポリエステルには粒状体以外に、粒状体が割れた破片やかけら等が含まれ、固相重合に供するには不均一な形態であり、品質的に好ましくない。また、3Dプリンタ用途にも、粒子が大き過ぎ、不向きな傾向がある。
なお、本発明において「微粉量」とは、タイラー100メッシュを通過し、かつ目開き10μmのニッケルスクリーンを通過しない微粉の量であり、次のようにして求めることができる。
<微粉量の測定>
ポリエステルをタイラー100メッシュ上に載せて篩分し、水で篩を洗浄して篩に付着したものを水と共に通過させ、次いで、篩下の微粉を含む水を目開き10μmのニッケルスクリーンで濾過し、微粉含有水の濾過で微粉が付着したニッケルスクリーンを120℃で4時間乾燥し、該ニッケルスクリーン上にある固形物の重量(微粉重量)を計量し、以下の式で微粉量を算出する。
微粉量(重量%)=(微粉重量/測定に供したポリエステル重量)×100
なお、具体的な微粉量の測定方法は後述の実施例の項に記載する通りである。
本発明のポリエステルの上記微粉以外のものは、長さ3mm程度、長径3mm程度、短径2mm程度の粒状体であることが好ましい。この粒状体としては、例えば、前述の溶融重縮合工程で得られたポリエステルをカッターで切断して得られるペレット或いはチップが該当する。
本発明のポリエステルの含水率は0.30重量%以下、好ましくは0.20重量%以下、より好ましくは0.10重量%以下である。含水率が0.30重量%を超えると熱処理の間に加水分解が著しく進行し、得られるポリエステルの重合度が低下してしまう。
本発明のポリエステルの含水率は低い程好ましく、0重量%であるのが最も好ましいが、乾燥工程等の事情により0.005重量%でも使用できる。
なお、ポリエステルの含水率の測定方法は後述の実施例の項に記載する通りである。
[熱処理]
本発明では、上記の本発明のポリエステルに対して、下記(1)の密閉系熱処理又は下記(2)の流通系熱処理を行う。
(1)不活性ガスで密閉した熱処理領域内で、圧力を該熱処理温度において大気圧以上0.98MPa未満として熱処理する。
(2)不活性ガスを流通させた熱処理領域内で、該不活性ガスの流通条件を、該熱処理領域内のガスを100回/10時間以下、好ましくは0.004回/10時間以上100回/10時間以下、置換する条件とし、圧力を該熱処理温度において大気圧を超えて0.98MPa未満として熱処理する。
なお、本発明において圧力はゲージ圧を指し、大気圧はゲージ圧0MPaとなる。
本発明において、熱処理領域とは、不活性ガスを存在させてポリエステルの熱処理を行う領域のことであり、ポリエステルと空間部分からなる。その大きさは任意でよくcmオーダーからmオーダーまでをとることができる。熱処理領域を取り囲む構造物の形状には制約はなく、所望の熱処理が行える条件が満たされている状態であればよい。
通常、(1)の密閉系熱処理であれば、密閉容器が該当し、(2)の流通系熱処理であれば、不活性ガスの流通手段を有する容器が該当する。
なお、熱処理に供する本発明のポリエステルの体積と熱処理容器の容量との関係には特に制限はないが、熱処理容器の容量が過度に小さいと、不活性ガス雰囲気での特定の圧力条件とすることによる効果を十分に得ることができず、熱処理容器の容量が過度に大きいと、熱処理容器が過大となって好ましくない。通常、熱処理容器の容量は、熱処理に供する本発明のポリエステルの見掛け体積に対して2~20倍で、熱処理容器内の容積の1/2~1/20程度をポリエステルが占めるような大きさとすることが好ましい。
熱処理のための熱エネルギーの供給は、熱処理領域の外からの加熱によることが多いが、不活性ガスを流通させる場合は加熱した不活性ガスを用いる方法を併用してもよい。
不活性ガスとしては、窒素、二酸化炭素、アルゴンなどの不活性ガスの1種又は2種以上が挙げられる。特に窒素を95体積%以上、好ましくは99体積%以上含有する不活性ガスが好ましく採用される。
なお、熱処理領域においてポリエステルを熱処理する場合、ポリエステルは静置状態にあってもよいし、移動や撹拌を受けるなど動的な状態にあってもよい。
熱処理温度としては、特に限定されないが、165℃以上で、熱処理対象のポリエステルの融点以下が好ましい。例えば固相重合に供する場合には、その反応の進行のために165℃以上、熱処理対象のポリエステルの融点以下、特に180℃以上であって、熱処理対象のポリエステルの融点より10~40℃程度低い温度が好ましい。SLS法3Dプリンタに供する場合には、急激な結晶化の進行を抑制するために165℃以上、熱処理対象のポリエステルの融点以下、特に167℃以上であって熱処理対象のポリエステルの融点より3~40℃以上程度低い温度が好ましい。
熱処理時間は、目的に応じて選べばよいが、例えば熱処理対象ポリエステルの熱処理領域内の滞留時間として1~48時間、特に3~30時間程度が好ましい。
(1)の密閉系熱処理においては、圧力を熱処理温度において大気圧以上、0.98MPa未満として熱処理する。圧力が大気圧未満の場合は、高重合度化や高融点化が進み好ましくない。一方、圧力が0.98MPa以上の場合は熱処理領域を耐圧構造にする必要があり、コスト高になってしまう。密閉系熱処理における圧力は、好ましくは大気圧以上、0.5MPa未満、より好ましくは0.001MPaから0.3MPa、更に好ましくは0.01MPaから0.2MPaである。
密閉系として熱処理を行う場合は、容器に不活性ガスを導入した後、導入口、導出口を閉じて熱処理を行えばよい。
(2)の流通系熱処理においては、圧力を熱処理温度において大気圧を超えて0.98MPa未満として熱処理する。圧力が0.98MPa以上の場合は熱処理領域を耐圧構造にする必要があり、コスト高になってしまう。一方、圧力が大気圧以下の場合、流通させる不活性ガス以外のガスが意図せず熱処理領域内に混入する可能性があり好ましくない。流通系熱処理における圧力は、好ましくは0.001MPaから0.5MPa、より好ましくは0.005MPaから0.3MPa、更に好ましくは0.01MPaから0.2MPaである。
流通系熱処理における不活性ガスの流通状態は連続であっても、間欠であってもよい。熱処理領域に不活性ガスを流通させるためには、例えば、熱処理領域を構成する容器に設けられた一方の開口部から不活性ガスを導入し、もう一方の開口部から不活性ガスを導出する方法を採用し得るが、これらの開口部はそれぞれ複数であってもよい。
(2)の流通系熱処理では、熱処理領域を構成する容器内のガスを100回/10時間以下置換する条件(以下、この条件を「置換回数」と称す場合がある。)で不活性ガスを流通させる。
この置換回数とは、「10時間の間に供給する不活性ガス量を熱処理領域の空間の体積で割った値」を指す。熱処理領域の空間の体積は、熱処理領域に占める空間であり、例えば、熱処理容器の容積からこの容器内に入れたポリエステルの体積を差し引いた体積である。この置換回数が大きいほど熱処理領域への不活性ガスの流通量が多いことを意味する。本発明では、この置換回数を100回/10時間以下、好ましくは25回/10時間以下、より好ましくは5回/10時間以下とする。置換回数の下限としては特に限定されないが、好ましくは0.004回/10時間以上、より好ましくは0.05回/10時間以上である。このような穏やかな不活性ガス流通量とすることで、熱処理時のポリエステルの重合度の変化や高融点化を抑制する。
このような本発明のポリエステルの熱処理方法は、固相重合によるポリエステルの高重合度化において、固相重合の終了付近での重合度コントロールの精度向上、高融点化を防止するための手法として活用が可能であり、安定した品質のポリエステルを得ることができる。
また、SLS法3Dプリンタ用途であれば、長時間における造形時の加熱保持状態において、造形材料であるポリエステルの高重合度化又は低重合度化や、高融点化等のポリエステルの好ましくない変質を防ぐことができ、安定した造形が可能になる。
更には、余剰なポリエステルをリサイクル使用する際も、ポリエステルの変質を抑えて安定した造形が可能になる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
<微粉量の測定>
粒状体や微粉を含むポリエステル1Kgをタイラー100メッシュ上に載せて、篩分し、更に水2Lを5回に分割して散布してタイラー100メッシュ上のポリエステルを洗浄した。篩分けした微粉と洗浄に供した水をタイラー100メッシュ下で回収した。次いで、該回収した微粉を含む水を更に目開き10μmのニッケルスクリーンにより濾過し、このニッケルスクリーンを120℃で4時間乾燥して、ニッケルスクリーン上にある固形物を回収し、微粉とした。微粉重量を計量し、以下の式で微粉量を算出した。
微粉量(重量%)=(微粉(Kg)/測定に供したポリエステル(Kg))×100
<水分の測定>
ポリエステル約1~3gをドライボックス内で水分測定用サンプリング容器に精秤した。この試料をダイアインスツルメンツ社製水分気化装置「VA-200」に入れ、180℃の加熱下、200mL/分の窒素ガスを流して、揮発した水分を、ダイアインスツルメンツ社製微量水分測定装置「CA-200」の無水となっている滴定槽で捕集した。微量水分測定装置にて水分量の測定を行い、含水率を求めた。
<融点の測定>
ポリエステル3~9mgを切り出して計量し、サンプルパンに詰め、測定用パンを作成した。
メトラートレド社製DSC測定装置「DSC 822e」を用いて窒素下、昇温速度20℃/分で30℃から300℃まで測定し、得られたDSC曲線の解析を行い、吸熱ピークから融点を求めた。
<固有粘度の測定>
ポリエステル約0.25gを、フェノール/1,1,2,2-テトラクロロエタン(重量比1/1)の混合溶媒約25mLに、濃度が1.00g/dLとなるように溶解させた後、30℃まで冷却し、30℃においてセンテック社製全自動溶液粘度計「DT553」にて、試料溶液の落下秒数、溶媒のみの落下秒数をそれぞれを測定し、以下の式により、固有粘度を算出した。
固有粘度=((1+4Kηsp0.5-1)/(2K・C)
ここで、 ηsp=η/η-1 であり、ηは試料溶液の落下秒数、ηは溶媒のみの落下秒数、Cは試料溶液濃度(g/dL)、Kはハギンズの定数である。Kは0.33を採用した。なお試料の溶解条件は、110℃で30分間とした。
(実施例1)
テレフタル酸1モルに対して1,4-ブタンジオールを1.8モルの割合とした出発原料を原料供給口からスラリー調製槽に供給し、撹拌、混合してスラリーを調製した。該スラリーを温度230℃、圧力78.7kPaに調整したエステル化反応槽に1,836重量部/時間で連続的に供給すると共に、エステル化反応槽に具備された触媒供給口からテトラ-n-ブチルチタネートを1.06重量部/時間で連続的に供給し、撹拌下、滞留時間3時間としてエステル化反応させて、エステル化反応率97.5%のオリゴマーを得た。
次いで得られたオリゴマーを温度250℃、圧力2.66kPaに調整した第1重合反応槽に連続的に供給し、撹拌下、滞留時間2時間で重合反応させ、PBTプレポリマーを得た。このPBTプレポリマーの固有粘度は0.250dL/gであった。
このPBTプレポリマーを温度250℃、圧力0.133kPaに調整した第2重合反応槽に連続的に供給し、撹拌下、滞留時間3時間で重合反応を更に進めて、PBTを得た。
該PBTを第2重合反応槽より抜き出しダイに移送し、円柱状のストランドとして押し出し、20℃の冷却水で0.9秒間冷却した後、長さ3mm、長径3mm、短径2mmのペレット状にカッティングした後乾燥してPBTを得た。このPBTの融点は224℃、固有粘度は0.85dL/g、含有微粉量は0.15重量%、含水率は0.05重量%であった。PBTの微粉の残りは粒状体(上記のペレット状)であった。
次にこのPBT10g(見掛け体積として12.5mL)を容積140mLのステンレス製耐圧容器に入れた。そして10時間で該容器の容積からこの容器内に入れたポリエステルの体積を差し引いた体積の50倍の容積の窒素を均一に流通させる条件(置換回数50回/10時間)下、ゲージ圧0.05MPaの窒素加圧状態にて195℃で20時間、加熱処理した。加熱処理後のポリエステルの融点及び固有粘度を測定し、結果を表1に示した。
(実施例2)
実施例1で得たPBT(熱処理前のPBT)10gを容積140mLのステンレス製耐圧容器に入れた。そして10時間で該容器の容積からこの容器内に入れたポリエステルの体積を差し引いた体積の0.5倍の容積の窒素を均一に流通させる条件(置換回数0.5回/10時間)下、ゲージ圧0.05MPaの窒素加圧状態にて195℃で20時間、加熱処理した。加熱処理後のポリエステルの融点及び固有粘度を測定し、結果を表1に示した。
(実施例3)
実施例1で得たPBT(熱処理前のPBT)10gを容積140mLのステンレス製耐圧容器に入れた。そして10時間で該容器の容積からこの容器内に入れたポリエステルの体積を差し引いた体積の50倍の容積の窒素を均一に流通させる条件(置換回数50回/10時間)下、ゲージ圧0.01MPaの窒素加圧状態にて195℃で20時間、加熱処理した。加熱処理後のポリエステルの融点及び固有粘度を測定し、結果を表1に示した。
(実施例4)
実施例1で得たPBT(熱処理前のPBT)10gを容積140mLのステンレス製耐圧容器に入れた。そしてゲージ圧0MPaの大気圧下に窒素で密閉して195℃で20時間、加熱処理した。加熱処理後のポリエステルの融点及び固有粘度を測定し、結果を表1に示した。
(実施例5)
ジメチルテレフタレート64.62重量部、1,4-ブタンジオール39.3重量部、イソフタル酸6.14重量部、及び触媒としてテトラブチルチタネートを用いてエステル交換反応を行った。次いで減圧下、重縮合反応を行った。次に槽内を減圧状態から窒素で復圧し、次いでポリマー抜き出しのため加圧状態にした。抜き出しの際の口金の熱媒温度を235℃としてポリマーを口金からストランド状にして押出し、次いで冷却水槽内でストランドを冷却した後、長さ3mm、長径3mm、短径2mmのペレット状にカッティングした後乾燥して共重合PBTを得た。得られた共重合PBTの融点は208℃、固有粘度は0.85dL/g、含有微粉量は0.15重量%、含水率は0.05重量%であった。共重合PBTの微粉の残りは粒状体(上記のペレット状)であった。
次いで、この共重合PBTを用いて、熱処理温度を190℃とするほかは実施例1と同様にして加熱処理を行った。加熱処理後のポリエステルの融点及び固有粘度を測定し、結果を表1に示した。
(実施例6)
テレフタル酸93.6重量部、イソフタル酸26.4重量部、エチレングリコール54重量部、及び触媒として三酸化アンチモンを用いてエステル反応を行った。次いで、酢酸マグネシウム四水塩を加え、減圧下、溶融重縮合反応を行った。
反応終了後にストランド状に抜き出し、水冷しながら長さ3mm、長径3mm、短径2mmのペレット状にカッティングした後乾燥して共重合PETを得た。
得られた共重合PETの融点は198℃、固有粘度は0.71dL/g、含有微粉量は0.15重量%、含水率は0.05重量%であった。共重合体PETの微粉の残りは粒状体(上記のペレット状)であった。
次いで、この共重合PETを用いて、熱処理温度を170℃とするほかは実施例1と同様にして加熱処理を行った。加熱処理後のポリエステルの融点及び固有粘度を測定し、結果を表1に示した。
(実施例7)
実施例1で得た熱処理前のPBT粒状体の一部をSPEX社製#6750フリーザーミルを用いて液体窒素で冷却し、5分間凍結粉砕した。この粉砕物は、全てタイラー100メッシュを通過し、目開き10μmのニッケルスクリーンを通過しないPBT微粉であった。
次いで、PBT粒状体の残部6.67重量部と上記PBT微粉3.33重量部を、均一混合し、PBT微粉とPBT粒状体との混合物を調製した。このPBT混合物の含水率は0.05重量%であった。次いで、このPBT混合物を用いて実施例1と同様にして加熱処理を行った。加熱処理後のポリエステルの融点及び固有粘度を測定し、結果を表1に示した。
(実施例8)
実施例7において、PBT粒状体を3.34重量部、PBT微粉を6.66重量部とするほかは実施例7と同様にしてPBT混合物を調製した。このPBT混合物の含水率は0.05重量%であった。次いで、このPBT混合物を用いて実施例1と同様にして加熱処理を行った。加熱処理後のポリエステルの融点及び固有粘度を測定し、結果を表1に示した。
(実施例9)
実施例7で得られたPBT微粉の含水率は0.05重量%であった。このPBT微粉のみを用いるほかは実施例1と同様にして加熱処理を行った。加熱処理後のポリエステルの融点及び固有粘度を測定し、結果を表1に示した。
(比較例1)
実施例1で得たPBT(熱処理前のPBT)を用いて、10時間で該容器の容積からこの容器内に入れたポリエステルの体積を差し引いた体積の50倍の容積の窒素を均一に流通させる条件下、ゲージ圧0MPaの大気圧で195℃で20時間、加熱処理を行った。加熱処理後のポリエステルの融点及び固有粘度を測定し、結果を表1に示した。
(比較例2)
実施例1で得たPBT(熱処理前のPBT)を用いて、ゲージ圧が-0.05MPaの窒素ガス密閉下、195℃で20時間、加熱処理を行った。加熱処理後のポリエステルの融点及び固有粘度を測定し、結果を表1に示した。
(比較例3)
実施例4において、熱処理に供するPBTの含水率を0.35重量%とした以外は、実施例4と同様にして加熱処理を行った。加熱処理後のポリエステルの融点及び固有粘度を測定し、結果を表1に示した。
Figure 0007035473000001
表1より次のことが分かる。
本発明による熱処理を行ったポリエステルは、実施例で示されている通り、熱処理前後で融点の変化が小さく、また固有粘度の変化も小さい。従って、本発明の熱処理方法は、固相重合による高重合度化においては、固相重合の終了付近での重合度コントロールの精度向上、固相重合の終了付近での不要な高融点化を防止するための手法として活用が可能であり、安定した品質のポリエステルを得ることができることが分かる。また、SLS法3Dプリンタ用途であれば、長時間における造形時の加熱保持状態において、造形材料であるポリエステルの高重合度化、低重合度化、高融点化等の、ポリエステルの望まない変質を防ぐことができ、安定した造形が可能になることが分かる。更には、余剰なポリエステルをリサイクル使用する際も、変質が少なく安定した造形が可能になることが分かる。
これに対して、比較例1では、流通系熱処理での圧力が低いために、また、比較例2では密閉系熱処理での圧力が低いために、固有粘度が大きく変化し、また高融点化が起こっている。
比較例3では、熱処理に供したポリエステルの含水率が高く、高融点化の問題はないものの固有粘度が低下しており、熱処理時に加水分解が起こり、重合度が低下していることが分かる。
本発明の熱処理方法を用いて得られるポリエステルは、自動車、電気電子、雑貨などのエンプラ向け成形品や飲料用ボトルをはじめとする中空成形体、フィルム、シ-トなどの成形体の素材として好適に用いることができる。

Claims (3)

  1. 融点が170℃以上で、タイラー100メッシュを通過し、目開き10μmのニッケルスクリーンを通過しない微粉の含有量が0.10重量%を超え、含水率が0.05重量%以下であるポリエステルを加熱するポリエステルの熱処理方法を用いる、3次元物体のラピッドプロトタイピング装置の使用方法であって、該熱処理を下記(1)の密閉系熱処理又は下記(2)の流通系熱処理で行うことを特徴とする3次元物体のラピッドプロトタイピング装置の使用方法
    (1)不活性ガスで密閉した熱処理領域内で、圧力を該熱処理温度において大気圧以上0.98MPa未満として熱処理する。
    (2)不活性ガスを流通させた熱処理領域内で、該不活性ガスの流通条件を、該熱処理領域内のガスを50回/10時間以下置換する条件とし、圧力を該熱処理温度において大気圧を超えて0.98MPa未満として熱処理する。
  2. 前記ポリエステルがポリブチレンテレフタレート又は共重合ポリブチレンテレフタレートである請求項1に記載の3次元物体のラピッドプロトタイピング装置の使用方法
  3. 前記ポリエステルが共重合ポリエチレンテレフタレートである請求項1に記載の3次元物体のラピッドプロトタイピング装置の使用方法
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