JP2004067997A - ポリエステル樹脂の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】固相重縮合速度の速いポリエステル樹脂の製造方法を提供する。
【解決手段】テレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体を主成分とするジカルボン酸成分と、エチレングリコールを主成分とするジオール成分とを、エステル化反応或いはエステル交換反応を経て重縮合させることにより製造された溶融重合ポリマーを固相重縮合してポリエステル樹脂を製造する方法に於いて、(1)テレフタル酸成分およびエチレングリコール成分以外の共重合成分量が5.5以下、固有粘度が0.08dl/g以上0.50dl/g以下、かつ見掛け結晶子サイズが9nm未満の溶融重合ポリマーを得、
(2)該溶融重合ポリマーを、該溶融重合ポリマーのガラス転移温度より140℃高い温度以上、融点以下の温度で固相重縮合することにより、見掛け結晶子サイズ9nm未満のポリエステル樹脂を得る、
ことを特徴とするポリエステル樹脂の製造方法。
【選択図】   なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はポリエステル樹脂の製造方法に関するものである。更に詳しくは、ポリエステルの固相重縮合を極めて高速に実施する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステル樹脂、中でもテレフタル酸とエチレングリコールを原料として製造されるポリエチレンテレフタレート(以下PETと略すことがある)は数多くの材料および製品、例えば繊維、生地、成形用樹脂および飲料用ボトルなどで幅広く用いられている。
上記用途に必要な成形加工性、機械的特性を引き出すためには、ポリエステル樹脂の重合度を所定のレベルまで上げる必要があり、その方法としてポリエステル原料を溶融重縮合することにより比較的高い粘度を有する重縮合品を得て、引き続き該重縮合品を固相重縮合する方法が工業的に広く用いられている。しかしながら、かかる従来法における固相重縮合は比較的長時間を要するために、より生産性に優れた製造方法が望まれている。
生産性の改良されたポリエステル樹脂の製造方法として、ポリエステル原料モノマーの溶融重縮合で比較的低重合度の溶融重合ポリマーを得て、この溶融重合ポリマーを固相重縮合する方法が提案されている。例えば特表平10−512608号公報(WO96/22319)には、溶融重縮合で得られた平均重合度約5から約35(固有粘度約0.10から0.36dl/g)の低重合度溶融重合ポリマーを、結晶子サイズが9nm以上となるように結晶化させてから固相重縮合する方法が開示されている。この方法によれば、重縮合をより高い温度、例えば230℃、好適には240℃で出発して直接行うことが可能になるとされている。しかしながら、我々の検討によれば、固相重縮合スタート時の重合度が低すぎるためかあるいは結晶が成長して分子の移動を抑制するためか、理由は不明なるも必ずしも満足な固相重縮合速度は得られない。
【0003】
一方、USP6284866号公報には、低温でのヘーズの少ないボトル用の共重合ポリエステルとして、ジカルボン酸成分の共重合量(モル%)とジオール成分の共重合量(モル%)の和が6以上のポリエステルであって固有粘度が0.25から0.40dl/gの溶融重合ポリマーを特定条件下で固相重縮合する方法が開示されている。しかしながら、該公報の方法では、固相重縮合を、rotary−vacumn tumble dryerを用いて行っており、高真空状態での固相重縮合であるため、工業的に必ずしも有利ではない。又、我々の検討によれば、共重合成分が多いために溶融重合ポリマーの融点が比較的低く、従って高真空でない場合には、固相重縮合温度を高く設定できないため固相重縮合速度が遅く効率的とはいえない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ポリエステルの固相重縮合を極めて高速に実施し、よってポリエステルを生産性良好に製造する方法を提供することを目的とする。更に、本発明は、高真空等の特殊な条件を採用しなくても高速でポリエステルの固相重縮合が可能であり、しかも得られるポリエステル樹脂同士の融着、或いは反応装置へのポリエステル樹脂の付着等の取り扱い性の問題なくポリエステルを生産性良好に製造する方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、固相重合に供する溶融重合ポリマーの共重合量、固有粘度、見かけ結晶子サイズ、及び固相重縮合温度をコントロールして固相重縮合を行うことにより、上記目的を達成することを見いだし本発明に到達した。
【0006】
即ち、本発明の要旨はテレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体を主成分とするジカルボン酸成分と、エチレングリコールを主成分とするジオール成分とを、エステル化反応或いはエステル交換反応を経て重縮合させることにより製造された溶融重合ポリマーを固相重縮合してポリエステル樹脂を製造する方法に於いて、
(1)テレフタル酸成分およびエチレングリコール成分以外の共重合成分量が5.5以下、固有粘度が0.08dl/g以上0.50dl/g以下、かつ見掛け結晶子サイズが9nm未満の溶融重合ポリマーを得、
(2)該溶融重合ポリマーを、該溶融重合ポリマーのガラス転移温度より140℃高い温度以上、融点以下の温度で固相重縮合することにより、見掛け結晶子サイズ9nm未満のポリエステル樹脂を得る、
ことを特徴とするポリエステル樹脂の製造方法、に存する。
他の要旨は、テレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体を主成分とするジカルボン酸成分と、エチレングリコールを主成分とするジオール成分とを、エステル化反応或いはエステル交換反応を経て重縮合させることにより製造された溶融重合ポリマーを固相重縮合してポリエステル樹脂を製造する方法に於いて、
(1)テレフタル酸成分およびエチレングリコール成分以外の共重合成分量が5.5以下、固有粘度が0.08〜0.50dl/g、かつ見掛け結晶子サイズが9nm未満の溶融重合ポリマーを、
(2)該溶融重合ポリマーの見掛け結晶子サイズを9nm未満に維持した状態で、該溶融重合ポリマーのガラス転移温度より140℃高い温度以上、融点以下の温度で固相重縮合する、
ことを特徴とするポリエステル樹脂の製造方法、に存する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明のポリエステル樹脂の製造方法における溶融重合ポリマーは、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体を主成分とするジカルボン酸成分と、エチレングリコールを主成分とするジオール成分とを、エステル化反応またはエステル交換反応させた後溶融重縮合反応をさせることにより製造されたエチレンテレフタレート単位を主たる構成繰り返し単位とする溶融重合ポリマーであり、該ポリエステル樹脂のテレフタル酸成分およびエチレングリコール成分以外の共重合成分量が5.5以下であるものをいう。ここで、テレフタル酸成分およびエチレングリコール成分以外の共重合成分量が5.5以下とは、全ジカルボン酸成分に対するテレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体以外の成分の量比(モル%)をA、全ジオール成分に対するエチレングリコール以外のジオール成分の量比(モル%)をBとしたとき、A+Bが5.5以下であることを示す。該共重合成分量は、好ましくは4.5以下である。共重合成分量が5.5を越えると、ポリエステル樹脂の融点が低下することとなり、固相重縮合温度に制約が生じるため重縮合速度が遅くなり、又、耐熱性が劣るためポリエステル樹脂の成型時、特に強度、耐熱性を向上させるために延伸、ヒートセットを施す場合、延伸、ヒートセットの効果が十分に発揮されないこととなる。
【0008】
テレフタル酸のエステル形成性誘導体としては、テレフタル酸ジメチルエステル等テレフタル酸の炭素数1〜4程度のアルキルエステルおよびハロゲン化物などがあげられる。テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体以外のジカルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、1,3−フェニレンジオキシジ酢酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルケトンジカルボン酸、4,4’−ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステル等の、芳香族ジカルボン酸の炭素数1〜4程度のアルキルエステル、およびハロゲン化物;ヘキサヒドロテレフタル酸等の脂環式ジカルボン酸;コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸;並びに、これらの脂環式ジカルボン酸や脂肪族ジカルボン酸の炭素数1〜4程度のアルキルエステル、およびハロゲン化物等が挙げられる。
【0009】
エチレングリコール以外のジオールとしては、例えばトリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等の脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメチロール、等の脂環式ジオール、及び、キシリレングリコール、等の芳香族ジオール、並びに、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパンのエチレンオキサイド付加物またはプロピレンオキサイド付加物等が挙げられる。
【0010】
更に、例えば、ステアリルアルコール、ステアリン酸、安息香酸、等の単官能成分、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール等の三官能以上の多官能成分、等の一種または二種以上が、共重合成分として用いられていてもよい。
【0011】
本発明の溶融重合ポリマーの共重合量が上記範囲であることから、テレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体の、全ジカルボン酸成分に対する割合は、94.5モル%以上が好ましく、更に96モル%以上が好ましく、一方、エチレングリコールの全ジオール成分に対する割合は94.5モル%以上が好ましく、更に96モル%以上が好ましい。
【0012】
本発明における溶融重合ポリマーは、基本的には、ポリエステル樹脂の慣用の製造方法により製造される。すなわち、前記テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体を主成分とするジカルボン酸とエチレングリコールを主成分とするジオールとを、通常、ジカルボン酸:ジオールを1:1〜1:2(モル比)の割合で使用し、エステル化反応槽で、通常240〜280℃程度の温度、通常、常圧ないし0.4MPa程度の加圧下で、攪拌下に1〜10時間程度でエステル化反応させ、或いは、エステル交換反応触媒の存在下にエステル交換反応させた後、得られたエステル化反応生成物或いはエステル交換反応生成物としてのポリエステル低分子量体を重縮合槽に移送し、重縮合触媒の存在下に、通常250〜290℃程度の温度、常圧から漸次減圧として最終的に通常1333〜13.3Pa程度の減圧下で、攪拌下に、固有粘度が0.08〜0.50dl/gの範囲となる時間、通常、0.5〜5時間程度溶融重縮合させることにより製造される。但し、上記の如く、本発明の溶融重合ポリマーは、テレフタル酸成分およびエチレングリコール成分以外の共重合成分量が5.5以下であることにより、本発明においては、テレフタル酸成分、エチレングリコール成分、及びテレフタル酸成分およびエチレングリコール成分以外の共重合成分を、該共重合成分量が5.5以下で使用する。
上記反応は、連続式、または回分式でなされるが、連続式が好ましい。またエステル化反応槽および重縮合槽はそれぞれ一段としても多段としてもよい。また上述のポリエステル低分子量体を粒体化して溶融重合ポリマーとして固相重縮合にかける場合は溶融重縮合を省略することもできる。
【0013】
上記エステル化反応においては特に触媒を使用しなくてもよいが必要に応じて、二酸化ゲルマニウム、四酸化ゲルマニウム、水酸化ゲルマニウム、蓚酸ゲルマニウム、ゲルマニウムテトラエトキシド、ゲルマニウムテトラ−n−ブトキシド等のゲルマニウム化合物、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、酢酸アンチモン、アンチモントリスエチレングリコキシド等のアンチモン化合物、チタニウムテトラエトキシド、チタニウムテトラ−n−プロポキシド、チタニウムテトラ−i−プロポキシド、チタニウムテトラ−n−ブトキシド、蓚酸チタン、蓚酸チタンカリウム等のチタン化合物などの公知の触媒を用いることもできる。
【0014】
エステル交換反応触媒としてはチタン、マグネシウム、カルシウム、マンガン、リチウム、亜鉛などの金属の化合物のうちから一種または複数種が使用される。具体的には、これら金属の有機酸塩、アルコラート、炭酸塩などが挙げられる。なかでも酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸マンガン、酢酸リチウムなどが好ましく用いられる。エステル交換反応触媒の使用量は、通常、該触媒に由来する金属原子としての含有量が、得られるポリエステル樹脂に対して、通常、1〜200ppm程度となる量である。
【0015】
重縮合反応触媒としては二酸化ゲルマニウム、四酸化ゲルマニウム、水酸化ゲルマニウム、蓚酸ゲルマニウム、ゲルマニウムテトラエトキシド、ゲルマニウムテトラ−n−ブトキシド等のゲルマニウム化合物、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、酢酸アンチモン、アンチモントリスエチレングリコキシド等のアンチモン化合物、チタニウムテトラエトキシド、チタニウムテトラ−n−プロポキシド、チタニウムテトラ−i−プロポキシド、チタニウムテトラ−n−ブトキシド、蓚酸チタン、蓚酸チタンカリウム等のチタン化合物、蟻酸コバルト、酢酸コバルト、ステアリン酸コバルト、蓚酸コバルト、炭酸コバルト、臭化コバルト等のコバルト化合物、酢酸錫、蓚酸錫、臭化錫等の錫化合物等が用いられ、これらは単独で、もしくは2種以上併せて使用される。好ましくはゲルマニウ、アンチモン及びチタンから選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物、無機酸塩、有機酸塩、アルコラート化合物が使用される。重縮合反応触媒の使用量は、通常、該触媒に由来する金属原子としての含有量が、得られるポリエステル樹脂に対して、通常、1〜500ppm程度となる量である。
【0016】
またエステル化反応またはエステル交換反応、および重縮合反応時には、安定剤としてトリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリ−n−ブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェートなどのリン酸エステル類、トリフェニルホスファイト、トリスドデシルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイトなどの亜リン酸エステル類、メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、イソプロピルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、ジブチルホスフェート、モノブチルホスフェート、ジオクチルホスフェートなどの酸性リン酸エステル、およびリン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ポリリン酸などのリン化合物を、またエーテル結合生成抑制剤としてトリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ベンジルジメチルアミン等の第三級アミン、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラn−ブチルアンモニウム、水酸化トリメチルベンジルアンモニウム等の水酸化第四級アンモニウム、または炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸マグネシウム等の塩基性化合物を共存させることができる。
【0017】
リン化合物の使用量は、リン化合物に由来するリン原子としての含有量が、得られるポリエステル樹脂に対して、通常、1〜200ppm程度となる量である。尚、上記触媒及び添加剤の中で、特にチタン化合物、マグネシウム化合物、リン化合物を併用することが好ましく、そのときの使用割合としては下記の範囲が挙げられる。
T :0.02〜0.6モル(対ポリエステル樹脂1トン中)
M :0.04〜0.6モル(対ポリエステル樹脂1トン中)
P :0.02〜4モル(対ポリエステル樹脂1トン中)
(但し、T:チタン原子の総量、M:マグネシウム原子の総量、P:リン原子の総量)
又、触媒及び添加剤の好ましい組み合わせ、及び使用割合としては、例えば、 EP1273610−A1 に記載されているものが挙げられる。
溶融重縮合により得られた溶融重合ポリマーは、重縮合槽の底部に設けられた細孔から外部へ噴射し微小粒体としても良いし、重縮合槽の底部に設けられた抜き出し口から空気中又は水中に液滴状粒体として抜き出しても良い。またストランド状に抜き出して、水冷しながらもしくは水冷後、カッターで切断されてペレット状粒体としても良い。更に、得られたペレットを粉砕して更に粒径を細かな粒体としても良い。本発明においては、上で述べたいずれの方法においても、その結晶構造を成長させないためにできるだけ速やかに溶融状態から室温まで冷却することが重要である。具体的には溶融状態からできるだけ早く比熱が高く、温度の低い流体、例えば水と接触させるという方法を挙げることができる。
【0018】
本発明においては、上記の如くして得られた溶融重合ポリマーを固相重縮合によりポリエステル樹脂を製造するが、冷却によって得られた、固相重縮合に供する溶融重合ポリマーの見かけ結晶子サイズ(ACS010)は9nm未満であり、好ましくは8nm以下、更に好ましくは7nm以下である。溶融重合ポリマーの見かけ結晶子サイズが9nm以上であると固相重縮合速度が遅くなる。尚、溶融重合ポリマーの結晶子サイズは固相重縮合における初期反応速度をできるだけ速く保つという観点から小さい程好ましく、下限は0である。
尚、ここでいう見掛け結晶子サイズとは、結晶構造の大きさを表すパラメータであり、広角X線回折スペクトル解析より求まる(010)反射に関する見掛け結晶子サイズ(ACS010)を意味する。
【0019】
又、本発明の溶融重合ポリマーの固有粘度は、0.08dl/g以上0.50dl/g以下である。好ましくは、0.1dl/g以上、更に好ましくは0.15dl/g以上、特に好ましくは0.20dl/g以上であり、一方、0.45dl/g以下が好ましく、特に0.40dl/g以下が好ましい。固有粘度が0.08dl/g未満では、引き続き行う固相重縮合での重縮合速度が著しく遅くなり、0.50dl/gより高いと、その固有粘度まで上昇させるための溶融重縮合装置が高価になる上に、その重合度まで上昇させるための溶融重縮合に時間がかかるため、生産に要する時間が長くなる。
【0020】
溶融重合ポリマーの見かけ結晶子サイズを上記範囲にコントロールするには、上述のように、溶融状態の溶融重合ポリマーを速やかに冷却すること、即ち、冷却速度をできるだけ速くする方法が挙げられる。該冷却速度は、溶融重合ポリマーの分子量により結晶化速度が異なるので一概に規定できないが、溶融状態から溶融重合ポリマーの結晶化温度以下まで、10秒以内、好ましくは5秒以内、さらに好ましくは1秒以内に冷却すればよい。又、固有粘度を上記範囲にコントロールするには、重縮合温度、時間、減圧度をコントロールすることにより行われる。 本発明記載の溶融重合ポリマーの固有粘度範囲は、通常用いられる溶融重合ポリマーの粘度範囲より低いためより低温、短時間、弱い減圧度で到達可能であり、副反応が抑えられるため、製品品質が良好であり、又、プロセスが簡略化できるため低コストで製造が可能であるメリットもある。
【0021】
又、溶融重合ポリマーの酸価は、通常10から1000mmol/kgの範囲であり、環状三量体の含有量は、通常、4000以上12000ppm以下の範囲である。
尚、固相重縮合に供される溶融重合ポリマー粒体の平均粒径は10μm以上が好ましく、50μm以上が更に好ましく、特に100μm以上が好ましい。一方、1500μm以下が好ましく、更に1300μm以下が好ましく、1000μm以下が更に好ましく、特に500μm以下が好ましい。平均粒径が1500μmを越えると固相重縮合速度が遅くなる傾向があり、また平均粒径が10μm未満であると空中への飛散が起こりやすくなる問題が生じる傾向がある。
【0022】
上記の如くして得られた、テレフタル酸成分およびエチレングリコール成分以外の共重合成分量が5.5以下、固有粘度が0.08〜0.50dl/g、かつ見かけ結晶子サイズ(ACS010)は9nm未満の溶融重合ポリマーは、引き続き、見かけ結晶子サイズ(ACS010)を9nm未満に保った状態、好ましくはACS010が8nm以下の溶融重合ポリマーを、ACS010を8nm以下に保った状態、更に好ましくは7nm以下に保った状態で固相重縮合する。尚、固相重縮合をACS010を9nm未満に保った状態で行っていることは、固相重縮合後のポリエステルのACS010が9nm未満であることにより確認できる。又、ACS010を8nm以下に保った状態で行っていることは、固相重縮合後のポリエステルのACS010が8nm以下であることにより確認できる。
尚、溶融重合ポリマーの固相重縮合温度への昇温条件により、例えば、昇温速度の選定や、例えば190℃以下の温度に一定時間保つ等により、固相重縮合温度に到達する昇温過程において、溶融重合ポリマー表面の結晶化が進行することもあるが、適度な結晶化は反応機への付着や、溶融重合ポリマー同士の融着による固相重縮合速度低下が防止できる傾向がある。該昇温過程において、溶融重合ポリマー表面の結晶化を行う場合であっても、引き続き行う固相重縮合速度の低下を極力抑えるため、必要最低限の熱履歴にとどめ、固相重縮合後のポリエステル樹脂の見掛け結晶子サイズが9nm未満を維持するようにコントロールする。
【0023】
本発明の固相重縮合温度は、溶融重合ポリマーのガラス転移温度より140℃高い温度以上、融点以下である。好ましくは、溶融重合ポリマーのガラス転移温度より145℃高い温度以上融点以下の温度であり、更に好ましくは溶融重合ポリマーのガラス転移温度より150℃高い温度以上、特に好ましくは160℃高い温度以上であり、溶融重合ポリマーの融点以下の温度である。上記範囲で固相重縮合を行うことにより、結晶化の進行を最小限におさえながら効率よく固相重縮合を進めることができる。固相重縮合温度が上記未満では、重縮合速度が遅く、生産性が劣ることとなり、上記範囲を越えると、溶融重合ポリマーの溶融により、該ポリマー同士の融着や該ポリマーが反応機に付着する等の問題が生じ、製品品質或いは生産性に問題を生じる。固相重縮合は、通常、不活性ガス雰囲気下で行われ、必要に応じ溶融重合ポリマー粒体同士が粘着しないように流動等させながら、10時間程度以下の時間で行われる。尚、ここで言う融点とは、示差走査熱量計を用い、20℃/分の速度で昇温したときに試料(溶融重合ポリマー)が示す融解ピークのピークトップ温度をさす。
【0024】
この固相重縮合により、更に高重合度化させ得ると共に、ある程度オリゴマーやアセトアルデヒド等を低減化したものとすることができる。固相重縮合は、1333〜13.3Pa程度の減圧下でも行うことができるが、ある程度規模が大きい工業生産では減圧装置、固相重縮合槽などの設備費用が大きくなり経済的観点からは、常圧付近、特に100kPa〜150kPaの圧力で行うのが好ましい。
【0025】
本発明では、上記温度で固相重縮合を行うが、固相重縮合に供する溶融重合ポリマーの固相重縮合温度への昇温は、少なくとも200℃に到達するまでは100℃/分以下の速度で温度上昇させることが好ましく、更に好ましくは、少なくとも180℃に到達するまでは、100℃/分以下の速度で温度上昇させることが好ましい。即ち、例えば、ポリエチレンテレフタレートは180℃前後での結晶化速度が速いため、急速にこの温度範囲まで到達させると結晶子の成長が急激に進み結晶子サイズが大きくなり、上記本発明の結晶子サイズを維持するのが困難となる傾向があり、その結果、固相重縮合速度が遅くなる。結晶子サイズの増大とともに固相重縮合速度が遅くなる理由としては、結晶サイズが大きくなると非晶部に存在する分子鎖末端の運動が制限され、末端同士が反応しうる距離まで接近する頻度が小さくなるためであることが考えられる。
【0026】
固相重縮合によって得られるポリエステル樹脂の固有粘度は通常、0.60dl/g以上、好ましくは0.65dl/g以上、更に好ましくは70dl/g以上である。又、通常、1.20dl/g以下、好ましくは1.10dl/g以下、より好ましくは1.00dl/g以下である。0.60dl/g未満の場合、特にブロー成形に用いた場合に肉厚ムラが発生しやすく、1.20dl/gであると特に射出成形時に金型への樹脂充填量不足による形状異常(ヒケ)が発生しやすい。
【0027】
また固相重縮合によって得られるポリエステル樹脂中の酸末端濃度は、通常5mmol/kg以上100mmol/kg以下であり、同樹脂中に含まれる環状三量体量は通常1500ppm以上8000ppm以下である。
固相重合により得られるポリエステル樹脂の平均粒径は、溶融重合ポリマーの平均粒径に依存し、10μm以上が好ましく、50μm以上が更に好ましく、特に100μm以上が好ましい。一方、1500μm以下が好ましく、更に1300μm以下が好ましく、1000μm以下が更に好ましく、特に500μm以下が好ましい。
尚、固相重縮合によって得られるポリエステル樹脂粒体は、更に必要に応じて顆粒状などの取り扱いやすい形状に造粒してもよい。
【0028】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例中「部」とあるのは重量部を意味する。又、本発明における各種物性の測定法は以下に示すとおりである。
【0029】
(1)見かけ結晶子サイズ(ACS010
試料の広角X線散乱スペクトルを測定し、(010)面からの回折角θ、回折ピークの半値幅β010、X線の波長λ、常数K(1と仮定)を下記式(1)に代入することにより算出した。
広角x線粉末回折で平均結晶子サイズを測定したが、測定方法または手順は下記の通りである。
[試料調製]
ポリエステル試料を凍結粉砕した後、該試料を、片面に厚み8μmのポリイミドフィルムを貼った約1mm厚みのドーナツ型の金属製スペーサー中に入れ、ポリイミドを貼っていない面より軽く押し固め、厚さ約1mmの測定試料とした。
[測定条件]
X線発生装置:リガク(株)URTRAX18 [40kV, 250mA]
ターゲット:CuKα、
検出器:シンチレーションカウンター
測定法:対称透過法
コリメーター:1mmφ
受光スリット:1°
スキャンモード:2θ=5〜35°を0.05°/ステップでスキャンした。各ステップでの積算時間は5秒/ステップとした。
[ACS010の算出]
a.サンプルの回折プロファイルから、測定に用いたポリイミドフィルムの散乱を差し引く。
b.測定によって得られたデータにローレンツ補正を行う。
c.2θ=15°−19°領域のバックグラウンド散乱分として2θ=15.00°から2θ=1  9.00°へと伸びる直線を仮定して、差し引く。
d.15−19°領域の重なりをガウス分布を仮定して(010)、(011)の2つのピークに  分離し(010)ピークの位置、半値幅、高さを求め式1に代入しACS010を算出する。Kは1  .0と仮定した。
なお、λはX線の波長[Å]、β010は(010)ピークの半値幅[rad]、θ010は(010)ピークの回折角[rad]である。
【0030】
【数1】
Figure 2004067997
【0031】
(2)ガラス転移温度(Tg)
セイコー電子社製示差走査熱量計DSC220Cを用い、300℃まで試料を加熱した後10分間保持し、セルよりサンプルパンを取り出し液体窒素中でサンプルパンを急冷した後、再びセルに戻し20℃/分の速度で昇温することにより測定した。
【0032】
(3)固有粘度(IV)
a.凍結粉砕した樹脂試料0.25gを、フェノール/テトラクロロエタン(重量比1/1)の混合溶媒に、濃度(c)を1.0g/dlとして、140℃で30分間で溶解させた後、ウベローデ型毛細粘度管を用いて、30℃で、溶媒との相対粘度(ηrel )を測定した。
b.この相対粘度(ηrel )−1から求めた比粘度(ηsp)と濃度(c)との比(ηsp/c)を求めた。
c.同じく濃度(c)を0.5g/dl、0.2g/dl、0.1g/dlとしたときについてもそれぞれの比(ηsp/c)を求めた。
d.これらの値より、濃度(c)を0に外挿したときの比(ηsp/c)を固有粘度〔η〕(dl/g)として求めた。
(4)平均粒径
JISK0069に記載の方法により積算分布曲線を作成し、積算百分率が50%になるときの値を平均粒径とした。
【0033】
(5)共重合成分量
試料をトリフルオロ酢酸に溶解させた溶液について、核磁気共鳴装置(日本電子社「JNM−EX270型」)を用いて、1H−NMRを測定して各ピークを帰属し、ピークの積分値から、全カルボン酸成分に対するテレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体以外のジカルボン酸成分のモル%(A)、及び、全ジオール成分に対するエチレングリコール以外のジオール成分のモル%(B)を算出し、その和(A+B)を算出した。
(6)融着有無
溶融重合ポリマーの固相重縮合後、室温まで冷却し、金属板からポリエステル樹脂を回収する際の剥がれ易さを◎○×で表1に示した。
◎:ポリエステル樹脂の金属板への付着は少なく、容易に剥離できた
○:ポリエステル樹脂の金属板への付着が認められたが、容易に剥離できた
×:ポリエステルが金属板に強固に付着しており、剥がれにくかった
【0034】
実施例1
テレフタル酸およびエチレングリコールを、テレフタル酸13.0部とエチレングリコール5.82部となる様にスラリー調製槽に連続的に供給し、スラリーを調製した。該スラリーを第1段のエステル化反応槽へ連続的に供給し、略常圧下260℃で連続的にエステル化反応を行い、エステル反応率84%のビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート及びその低重合体を調製した。反応物を第2段のエステル化反応槽に連続的に供給し、略常圧下255℃で連続して反応を行い、エステル反応率95%のビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートおよびその低重合体を得た。
【0035】
更に、反応物を第1段の重縮合反応槽に連続的に供給し、正リン酸0.011部及び三酸化二アンチモン0.038部を連続的に上記反応物に加え、2〜4kPaの減圧下280℃で、滞留時間約1時間で連続的に反応を行い、次いで、第1段の重縮合反応槽の反応物を第2段の重縮合反応槽に連続的に供給し200〜400Paの減圧下280℃で、滞留時間約1時間で連続的に重縮合反応を行った。
【0036】
得られた重縮合反応物をストランドとして連続的に水中に抜き出し、ペレット化した。このときペレットは透明で実質結晶化を起こしていなかった。得られたペレットを回転式ミルにより粉砕し、粉砕品(固相重縮合原料である溶融重合ポリマー)を得た。固相重縮合原料(溶融重合ポリマー)の分析結果を表1の固相重縮合原料欄に示す。
続いて粉砕品1gを、30cm四方の金属板上に均一に広げ、オーブン中50L/分の窒素流通下、静置状態で120℃で2時間保持した後、170℃まで30分かけて昇温し、170℃で2時間保持した。さらに250℃まで10分で昇温し250℃で10分保持し固相重縮合を行った。その後、250℃から室温まで冷却したが、冷却は窒素の供給を継続したままヒーターのスイッチを切ることにより行った。オーブン内温度が250℃から200℃まで下がるのに要した時間は25分であった。得られたポリマーの分析結果を表1の製品欄に示す。
【0037】
実施例2
正リン酸および三酸化二アンチモンのかわりに、エチルアシッドホスフェート0.000135部、酢酸マグネシウム4水塩0.000794部及びテトラブトキシチタン0.00213部を第1段の重縮合反応槽に連続的に供給した以外は実施例1と同様にして粉砕品(固相重縮合原料(溶融重合ポリマー))を得た。固相重縮合原料(溶融重合ポリマー)の分析結果を表1の固相重縮合原料欄に示す。引き続き表1記載の固相重縮合温度、固相重縮合時間とした以外は実施例1と同様にして固相重縮合を行った。得られたポリマーの分析結果を表1の製品欄に示す。
実施例3
テトラブトキシチタンの量を0.00324部とした以外は実施例2と同様にして粉砕品(固相重縮合原料(溶融重合ポリマー))を得た。固相重縮合原料(溶融重合ポリマー)の分析結果を表1の固相重縮合原料欄に示す。引き続き表1記載の固相重縮合温度、固相重縮合時間とした以外は実施例1と同様にして固相重縮合を行った。得られたポリマーの分析結果を表1の製品欄に示す。
実施例4
イソフタル酸0.34部とテレフタル酸12.7部とをテレフタル酸13部の代わりとしてスラリー調製槽に連続的に供給した以外は実施例3と同様にして粉砕品(固相重縮合原料(溶融重合ポリマー))を得た。固相重縮合原料(溶融重合ポリマー)の分析結果を表1の固相重縮合原料欄に示す。引き続き表1記載の固相重縮合温度、固相重縮合時間とした以外は実施例1と同様にして固相重縮合を行った。得られたポリマーの分析結果を表1の製品欄に示す。
実施例5
280℃、200〜400Paの減圧下での重縮合反応時間を延長した点と、粉砕に凍結粉砕機を用いた以外は実施例3と同様にして粉砕品(固相重縮合原料(溶融重合ポリマー))を得た。固相重縮合原料(溶融重合ポリマー)の分析結果を表1の固相重縮合原料欄に示す。引き続き表1記載の固相重縮合温度、固相重縮合時間とした以外は実施例1と同様にして固相重縮合を行った。得られたポリマーの分析結果を表1の製品欄に示す。
実施例6
回転式ミルでの粉砕時間を短縮した以外は実施例3と同様にして粉砕品(固相重縮合原料(溶融重合ポリマー))を得た。固相重縮合原料(溶融重合ポリマー)の分析結果を表1の固相重縮合原料欄に示す。引き続き表1記載の固相重縮合温度、固相重縮合時間とした以外は実施例1と同様にして固相重縮合を行った。得られたポリマーの分析結果を表1の製品欄に示す。
実施例7
実施例3で得られた粉砕品(固相重縮合原料(溶融重合ポリマー))1gを、30cm四方の金属板上に均一に広げ、オーブン中50L/分の窒素流通下、静置状態で120℃で2時間保持した後、170℃まで30分かけて昇温し、170℃で30分間保持した。いったん室温まで冷却し、回収した粉砕品を固相重縮合原料(溶融重合ポリマー)として用い、実施例1と同様にして固相重縮合を行った。得られたポリマーの分析結果を表1の製品欄に示す。
【0038】
比較例1
実施例1と同様にしてエステル化反応及び重縮合反応を行った。
重縮合反応物約50gを、重縮合槽底部に取り付けたノズルから180℃±10℃に保ったホットプレート上に、ホットプレート表面からの高さが2mm以下となるように抜き出し、5分保持し結晶化させた。得られた結晶化物をコーヒーミルにより粉砕し、粉砕品(固相重縮合原料(溶融重合ポリマー))を得た。固相重縮合原料(溶融重合ポリマー)の分析結果を表1の固相重縮合原料欄に示す。
【0039】
続いて、粉砕品について、実施例1と同様にして固相重縮合を行った。得られたポリマーの分析結果を表1の製品欄に示す。
比較例1と同じ固相重縮合時間で、得られたポリマーの固有粘度が低いことから、重縮合速度が遅いことが分かる。
比較例2
実施例2と同様にしてエステル化反応及び重縮合反応を行った後、得られた重縮合反応物について、比較例1と同様に処理して粉砕品(固相重縮合原料(溶融重合ポリマー))を得た。固相重縮合原料(溶融重合ポリマー)の分析結果を表1の固相重縮合原料欄に示す。
【0040】
続いて、粉砕品について、実施例1と同様にして固相重縮合を行った。得られたポリマーの分析結果を表1の製品欄に示す。
比較例2と同じ固相重縮合時間で、得られたポリマーの固有粘度が低いことから、重縮合速度が遅いことが分かる。
比較例3
イソフタル酸0.73部とテレフタル酸12.3部とをテレフタル酸13部の代わりとしてスラリー調製槽に連続的に供給した以外は実施例3と同様にして粉砕品(固相重縮合原料(溶融重合ポリマー))を得た。固相重縮合原料(溶融重合ポリマー)の分析結果を表1の固相重縮合原料欄に示す。引き続き表1記載の固相重縮合温度、固相重縮合時間とした以外は実施例1と同様にして固相重縮合を行った。得られたポリマーの分析結果を表1の製品欄に示す。
比較例4
実施例3によって得られた粉砕品(固相重縮合原料(溶融重合ポリマー))を用い、表1記載の固相重縮合温度、固相重縮合時間とした以外は実施例1と同様にして固相重縮合を行った。得られたポリマーの分析結果を表1の製品欄に示す。
【0041】
【表1】
Figure 2004067997
【0042】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、固相重縮合速度が速く、極めて高速に高分子量のポリエステル樹脂を得ることができる。
又、本発明の方法によれば、高真空等の特殊な条件を採用しなくても高速でポリエステルの固相重縮合が可能であり、しかも得られるポリエステル樹脂同士の融着、或いは反応装置へのポリエステル樹脂の付着等の取り扱い性の問題がないため、ポリエステルを工業的有利に、生産性良好に製造できる。

Claims (16)

  1. テレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体を主成分とするジカルボン酸成分と、エチレングリコールを主成分とするジオール成分とを、エステル化反応或いはエステル交換反応を経て重縮合させることにより製造された溶融重合ポリマーを固相重縮合してポリエステル樹脂を製造する方法に於いて、
    (1)テレフタル酸成分およびエチレングリコール成分以外の共重合成分量が5.5以下、固有粘度が0.08dl/g以上0.50dl/g以下、かつ見掛け結晶子サイズが9nm未満の溶融重合ポリマーを得、
    (2)該溶融重合ポリマーを、該溶融重合ポリマーのガラス転移温度より140℃高い温度以上、融点以下の温度で固相重縮合することにより、見掛け結晶子サイズ9nm未満のポリエステル樹脂を得る、
    ことを特徴とするポリエステル樹脂の製造方法。
  2. 固相重縮合を、該溶融重合ポリマーのガラス転移温度より145℃高い温度以上の温度で行うことを特徴とする請求項1記載のポリエステル樹脂の製造方法。
  3. 固相重縮合を、該溶融重合ポリマーのガラス転移温度より150℃高い温度以上の温度で行うことを特徴とする請求項2記載のポリエステル樹脂の製造方法。
  4. 溶融重合ポリマーの見掛け結晶子サイズが8nm以下であり、ポリエステル樹脂の見掛け結晶子サイズが8nm以下であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のポリエステル樹脂の製造方法。
  5. 溶融重合ポリマーの固有粘度が、0.10dl/g以上0.45dl/g以下であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のポリエステル樹脂の製造方法。
  6. テレフタル酸成分およびエチレングリコール成分以外の共重合成分量が4.5以下である請求項1〜5の何れか1項に記載のポリエステル樹脂の製造方法。
  7. 該溶融重合ポリマーの平均粒径が10〜1500μmである請求項1〜6の何れかに記載のポリエステル樹脂の製造方法。
  8. ポリエステル樹脂の平均粒径が10〜1500μmであることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載のポリエステル樹脂の製造方法。
  9. 溶融重合ポリマーの固相重縮合温度への昇温を、200℃に到達するまでは100℃/分以下の速度で行う請求項1〜8の何れか1項に記載のポリエステル樹脂の製造方法。
  10. ジカルボン酸成分に対するジオール成分の使用割合(モル比)が1〜2倍である請求項1〜9の何れか1項に記載のポリエステル樹脂の製造方法。
  11. 溶融重合を、250〜290℃で行うことを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載のポリエステル樹脂の製造方法。
  12. 溶融重合を、1333〜13.3Paの圧力下で行うことを特徴とする請求項1〜11の何れか1項に記載のポリエステル樹脂の製造方法。
  13. 固相重縮合を、100〜150kPaの圧力下行う請求項1〜12の何れか1項に記載のポリエステル樹脂の製造方法。
  14. ポリエステル樹脂の固有粘度を0.60dl/g以上とする請求項1〜13のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂の製造方法。
  15. 重縮合を、触媒としてチタン化合物の存在下行うことを特徴とする請求項1〜14の何れか1項に記載のポリエステル樹脂の製造方法。
  16. テレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体を主成分とするジカルボン酸成分と、エチレングリコールを主成分とするジオール成分とを、エステル化反応或いはエステル交換反応を経て重縮合させることにより製造された溶融重合ポリマーを固相重縮合してポリエステル樹脂を製造する方法に於いて、
    (1)テレフタル酸成分およびエチレングリコール成分以外の共重合成分量が5.5以下、固有粘度が0.08dl/g以上0.50dl/g以下、かつ見掛け結晶子サイズが9nm未満の溶融重合ポリマーを、
    (2)該溶融重合ポリマーの見掛け結晶子サイズを9nm未満に維持した状態で、該溶融重合ポリマーのガラス転移温度より140℃高い温度以上、融点以下の温度で固相重縮合する、
    ことを特徴とするポリエステル樹脂の製造方法。
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