JP4726602B2 - 積層鉄心及びその製造方法 - Google Patents
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Description
そこで、これらの障害を回避するため、ローター90を載置する治具96に、樹脂注入の際に、樹脂を外部へ逃がすことなく、磁石挿入孔93内の残存空気を外部へ逃がす溝型のエアーベント97が設けられている。
なお、樹脂注入が行われる際に、エアーベントには微量の樹脂が付着するため、治具の清掃を頻繁に行う必要があり、ローターの生産性の低下を招いている。
前記樹脂部材の注入側の反対側に位置する前記鉄心片及び該鉄心片に隣り合う前記鉄心片のいずれか1又は2には、前記磁石挿入部内への前記樹脂部材の注入の際に、前記磁石挿入部に連通して該磁石挿入部内の空気を外部へ逃がすベントが設けられている。
第1の発明に係る積層鉄心において、前記磁石挿入部は有底又は貫通していることが好ましい。
前記樹脂部材の注入側の反対側に位置する前記鉄心片及び該鉄心片に隣り合う前記鉄心片のいずれか1又は2に、押圧加工、切削加工、放電加工、及びエッチング加工のいずれか1又は2以上を行い、前記磁石挿入部に連通して該磁石挿入部内の空気を外部へ逃がすベントを設ける。
第2の発明に係る積層鉄心の製造方法において、前記ベントを、前記鉄心片の半径方向外側及び前記軸孔側のいずれか1又は2へ向けて設けることが好ましい。
また、ベントを、樹脂部材の注入側の反対側に位置する鉄心片及びこの鉄心片に隣り合う鉄心片のいずれか1又は2に設けるので、例えば、樹脂部材を磁石挿入部の上方から磁石挿入部へ注入する場合、この樹脂部材によって下方へ押し出される磁石挿入部内の空気を、磁石挿入部内に残存させることなく容易に外部へ押し出すことができ、良好な品質の製品を製造できる。
請求項3記載の積層鉄心は、磁石挿入部が有底となっている場合、磁石挿入部と積層鉄心を載置する治具表面との直接接触を防止できる。これにより、磁石挿入部内へ注入した樹脂部材が、治具表面へ漏れ出して付着することを防止できるので、治具の清掃を頻繁に行う必要がなく、積層鉄心の生産性の低下を抑制、更には防止できる。
また、磁石挿入部が貫通している場合、例えば、最下層に位置する鉄心片の磁気的特性も備えた積層鉄心を製造できる。
ここで、図1(A)、(B)はそれぞれ本発明の一実施の形態に係る積層鉄心の製造方法の説明図、積層鉄心の最下層の上に位置する鉄心片の部分裏面図、図2(A)〜(C)はそれぞれ第1〜第3の変形例に係る積層鉄心の部分側断面図、図3(A)〜(C)はそれぞれ第4〜第6の変形例に係る積層鉄心の鉄心片の部分裏面図である。
各鉄心片11〜13の中央部には、円形の軸孔部19が開けられているので、各鉄心片11〜13を積層した際に、中央部に軸孔14が形成される。
また、積層鉄心10の最下層に位置する鉄心片11を除いた全ての鉄心片12、13については、軸孔14の周囲に、軸孔14を中心として実質的に等角度に、複数個の貫通孔20が設けられているので、各鉄心片11〜13を積層した際に、有底となった磁石挿入部15が形成される。この磁石挿入部15は、平面視して長方形の両側に半円をそれぞれ取付けた形状となっているが、これに限定されるものではない。
このベント18は、例えば、深さが15μm以上30μm以下程度、内幅が30μm以上50μm以下程度の断面半円形のものであり、鉄心片12の周辺部に設けられた貫通孔20の両側に連通してそれぞれ設けられている。なお、ベント18は貫通孔20の片側のみに設けてもよい。これにより、各鉄心片11〜13を積層した際に、形成される磁石挿入部15内がベント18を介して外部と連通状態になる。
ベントの断面形状は、これに限定されるものでなく、例えば、鉄心片の厚み、外径、又は樹脂部材の種類に応じて、楕円形、U字、V字、又は凹形に適宜設定できる。また、ベントの深さ、内幅、及びベントの設置数についても、上記した諸条件に応じて適宜変更可能である。
磁石挿入部15内に永久磁石16を挿入した際、その周囲には隙間が形成されるが、この隙間の上方から隙間に溶融状態の樹脂部材17を流し込み、固化させることで、永久磁石16の位置を固定できる。なお、この樹脂部材としては、例えば、従来半導体の製造に使用されているエポキシ樹脂のような熱硬化性樹脂を使用できる。
このように、隙間に樹脂部材17を注入することで、隙間内の空気は下方へ移動し、磁石挿入部15の樹脂部材17注入側と対峙する側の端部に連通するベント18を介して、外部へ押し出される。
図2(A)に示す積層鉄心25は、有底となった磁石挿入部26が形成されたものであり、その最下層に位置し、磁石挿入部26の貫通孔が形成されていない鉄心片27の表面側、即ち隣り合う鉄心片28(鉄心片28には磁石挿入部26の貫通孔が形成されている)との接触面側に、鉄心片27の半径方向外側へ向けて、磁石挿入部26内の空気を外部へ逃がすベント29が設けられている。なお、ベント29の半径方向内側端部は、磁石挿入部26の端部と連通状態になっている。
このように、ベント29を最下層に位置する鉄心片27の接触面側に形成するので、ベント29内に樹脂部材が残存しても、積層鉄心25の表面(積層鉄心25を載置する治具表面)には樹脂部材が漏れ出さないため、外観品質が優れた積層鉄心25になる。
このように、ベント33を最下層に位置する鉄心片32の接触面側に形成し、更に鉄心片32には磁石挿入部31を形成する貫通孔34が形成されているため、磁石挿入部31への樹脂部材の充填状態を目視で観察することができる。これにより、製品品質を更に向上できる。
このように、ベント38を最下層に位置する鉄心片37の裏面側に形成し、更に鉄心片37には磁石挿入部36を形成する貫通孔39が形成されているため、前記した積層鉄心10と比較して外観品質は多少劣るものの、樹脂部材の充填状態及びベント38の効果を目視で確認できる。
図3(A)に示すベント40は、平面視して、磁石挿入部41の中央部から鉄心片42の半径方向外側へ向けて設けられている。なお、このベント40は、磁石挿入部41内に永久磁石16を挿入した際に形成される隙間が、連続的に繋がっている場合に設けるとよい。
これにより、ベント40の数を少なくして、より均等に外部への空気の排出を可能にする。
これにより、ベント43の数を更に少なくして、更に効果的な空気の排出が可能になる。
図3(C)に示すベント46は、平面視して、隣り合う磁石挿入部47を連通し、この連通した部分から鉄心片48の半径方向軸孔部19側へ向けて設けられたものである。
このように形成することで、製品の種類に応じたベント46の形成が可能になる。
なお、ベントは、鉄心片の半径方向外側及び軸孔側のいずれか1へ向けて設けられた場合について説明したが、必要に応じて両方に設けることもできる。
まず、電磁鋼板(図示しない)を搬送しながら、複数の金型(図示しない)を使用して所定形状の複数の鉄心片11〜13を打抜き、順次かしめ積層した後、形成される磁石挿入部15内に永久磁石16を挿入する。
ここで、最下層に配置される鉄心片11は、これ以外の鉄心片12、13とは異なり、貫通孔20を形成するための金型による打抜きは施されない。
また、この鉄心片11の上に配置される鉄心片12には、更にベント18を設けるための金型によって押圧加工(潰し加工又はコイニング)が施される。なお、ベント18は、切削加工、放電加工、及びエッチング加工のいずれか1、又は押圧加工、切削加工、放電加工、及びエッチング加工のいずれか2以上を組み合わせて形成することもできる。
そして、上板部材50に設けられたプランジャ52を押し下げ、溶融状態の樹脂部材17を、各磁石挿入部15内へそれぞれ注入する。このとき、磁石挿入部15内の空気は、樹脂部材17によって下方へ押し出されると共に、ベント18を介して外部へ逃がされる。
これによって、磁石挿入部15内に樹脂部材17が封入され、この樹脂部材17が固化することにより、内部に配置される永久磁石16が固定され、積層鉄心10が完成する。
また、前記実施の形態においては、樹脂部材として熱硬化性樹脂を用いたが、例えば、モータ製品の発熱温度が低い場合には、熱可塑性樹脂を用いることもできる。
そして、前記実施の形態においては、最下層の鉄心片及びその上に配置される鉄心片のいずれか1にベントを設けた場合について説明したが、双方にベントを設けてもよい。
更に、前記実施の形態においては、樹脂部材を磁石挿入部の上方から磁石挿入部内へ注入した場合について説明したが、樹脂部材を磁石挿入部の下方から磁石挿入部内へ注入することもできる。この場合、樹脂部材の注入側の反対側、即ち最上層の鉄心片及びその下に配置される隣り合う鉄心片のいずれか1又は2にベントを設ける。
Claims (5)
- 複数の鉄心片を積層して構成され、中央に形成された軸孔と、その周囲に形成された複数の磁石挿入部とを備え、該磁石挿入部に挿入した永久磁石を該磁石挿入部に注入した樹脂部材によって固定した積層鉄心において、
前記樹脂部材の注入側の反対側に位置する前記鉄心片及び該鉄心片に隣り合う前記鉄心片のいずれか1又は2には、前記磁石挿入部内への前記樹脂部材の注入の際に、前記磁石挿入部に連通して該磁石挿入部内の空気を外部へ逃がすベントが設けられていることを特徴とする積層鉄心。 - 請求項1記載の積層鉄心において、前記ベントは、前記鉄心片の半径方向外側及び前記軸孔側のいずれか1又は2へ向けて設けられていることを特徴とする積層鉄心。
- 請求項1及び2のいずれか1項に記載の積層鉄心において、前記磁石挿入部は有底又は貫通していることを特徴とする積層鉄心。
- 複数の鉄心片を積層し、中央の軸孔の周囲に形成された複数の磁石挿入部に永久磁石を挿入した後、該磁石挿入部内に樹脂部材を注入し固化して前記永久磁石を固定する積層鉄心の製造方法において、
前記樹脂部材の注入側の反対側に位置する前記鉄心片及び該鉄心片に隣り合う前記鉄心片のいずれか1又は2に、押圧加工、切削加工、放電加工、及びエッチング加工のいずれか1又は2以上を行い、前記磁石挿入部に連通して該磁石挿入部内の空気を外部へ逃がすベントを設けることを特徴とする積層鉄心の製造方法。 - 請求項4記載の積層鉄心の製造方法において、前記ベントを、前記鉄心片の半径方向外側及び前記軸孔側のいずれか1又は2へ向けて設けることを特徴とする積層鉄心の製造方法。
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