JP2015100157A - ロータの製造方法 - Google Patents

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【課題】磁石挿入孔に充填した樹脂材によってバリが生じることを防止し、ロータの製造効率向上を実現するロータの製造方法を提供する。【解決手段】複数の電磁鋼板10a・10a・・・を板厚方向に積層して構成されるロータコア10と、複数の磁石13・13・・・と、を備え、ロータコア10に形成される複数の磁石挿入孔11・11・・・に磁石13・13・・・を挿入するとともに、磁石挿入孔11に樹脂材12を充填することで、ロータコア10により複数の磁石13・13・・・が保持されるロータ20の製造方法であって、磁石挿入孔11の両端において、孔の断面積を拡大した部位である拡大部11aを設け、拡大部11aを設けた磁石挿入孔11に対して樹脂材12を充填する。【選択図】図7

Description

本発明は、モータの構成部品であるロータの製造方法の技術に関する。
従来、電磁鋼板を積層してロータコアを形成し、該ロータコアに形成した複数の孔部(磁石挿入孔と呼ぶ)に磁石を挿入するとともに、各磁石挿入孔において磁石を樹脂でモールドすることで製造されるロータ(回転子)が知られており、例えば、以下に示す特許文献1にその技術が開示され公知となっている。
特許文献1に示された従来のロータは、ロータコアを上型と下型からなる樹脂封止装置にセットし、上型および下型に組み込まれたヒータにより、ロータコアを樹脂材の溶融温度以上にまで昇温した後で、磁石挿入孔に対して、液状で流動性の高い状態の樹脂材を注入し、磁石挿入孔に樹脂材を充填することで製造される。
このような方法で製造をすることにより、磁石挿入孔に挿入した磁石の周囲に隙間なく樹脂材を充填することができ、ロータコアに対して堅固に磁石を固定することが可能になっている。
特開2008−42967号公報
しかしながら、特許文献1に示された従来のロータの製造方法では、樹脂材の注入圧力によって、ロータコアと上型および下型の間に隙間が生じ、この隙間に樹脂材が流入することで、樹脂材からなるバリが生じていた。
このため、特許文献1に示された製造方法で製造したロータは、樹脂材を充填した後でバリを除去する工程を経る必要があり、バリの除去工程を要する分だけロータの製造効率が悪化していた。
本発明は、斯かる現状の課題を鑑みてなされたものであり、磁石挿入孔に充填した樹脂材によってバリが生じることを防止し、ロータの製造効率向上を実現するロータの製造方法を提供することを目的としている。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
即ち、請求項1においては、複数の電磁鋼板を板厚方向に積層して構成されるロータコアと、複数の磁石と、を備え、前記ロータコアに形成される複数の磁石挿入孔に前記磁石を挿入するとともに、前記磁石挿入孔に樹脂材を充填することで、前記ロータコアにより前記複数の磁石が保持されるロータの製造方法であって、前記磁石挿入孔の両端において、孔の断面積を拡大した部位である拡大部を設け、前記拡大部を設けた前記磁石挿入孔に対して前記樹脂材を充填するものである。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
請求項1においては、磁石挿入孔に充填する樹脂材にバリが生じるのを防止することができる。
本発明の一実施形態に係るロータの製造方法に用いる樹脂封止装置を示す模式図。 本発明の一実施形態に係るロータの製造方法を適用するロータコアを示す模式図、(a)平面模式図、(b)図2(a)におけるX−X断面図。 本発明の一実施形態に係るロータの製造方法により製造するロータを示す模式図、(a)平面模式図、(b)磁石挿入孔周辺の部分拡大模式図。 本発明の一実施形態に係るロータの製造方法における磁石挿入孔に対する磁石の配置状態を示す断面模式図。 本発明の一実施形態に係るロータの製造方法の磁石挿入孔における拡大部の形成状況を示す断面模式図。 本発明の一実施形態に係るロータの製造方法における拡大部の別実施形態を示す断面模式図、(a)半径方向外側に拡大部を追加した場合、(b)段差を有する形状の拡大部を示す図。 磁石挿入孔に対する樹脂材の充填状況を示す模式図、(a)本発明の一実施形態に係るロータの製造方法の場合、(b)従来のロータの製造方法の場合。 バリがあるロータを示す部分拡大模式図。
次に、発明の実施の形態を説明する。
まず始めに、本発明の一実施形態に係るロータの製造方法に用いる樹脂封止装置について、説明をする。
図1に示す如く、樹脂封止装置1は、ロータコア10に形成した磁石挿入孔11・11・・・に対して樹脂材を充填して、トランスファー成形をするための装置であり、上型2、下型3、ランナープレート4、固定板5、加圧装置6等を備える構成としている。
尚、本発明の一実施形態に係るロータの製造方法は、トランスファー成形をするための樹脂封止装置1のみならず、射出成形を行うための装置においても適用することが可能である。
樹脂封止装置1による樹脂材の供給対象たるロータコア10は、図2(a)(b)に示すように、複数の電磁鋼板10a・10a・・・を板厚方向に積層して構成した略円環状の部材であり、複数の磁石挿入孔11・11・・・が、周方向において等間隔となるように形成されている。各電磁鋼板10a・10a・・・は、ズレを防止するために互いにカシメられている構成であることが好ましいが、互いにカシメられていない構成であってもよい。
また、ロータコア10の中心軸上には、シャフト(図示せず)を通すためのシャフト孔10bが形成されている。
磁石挿入孔11は、ロータコア10の軸心方向視において、略矩形の形状を有する孔部であり、ロータコア10の軸心方向に貫通している。
略矩形である磁石挿入孔11の長手方向の各辺部は、ロータコア10の半径方向に直交しており、長手方向の各辺部と短手方向の各辺部との境界には、直線状あるいは曲線状の内面取り部を有している。
図3(a)(b)に示す如く、磁石挿入孔11には、該磁石挿入孔11よりも一回り小さい外形形状を有する磁石13が挿入される。
磁石13は、磁石挿入孔11の内面に接しないように配置される。
磁石挿入孔11内に磁石13を配置した状態において、磁石挿入孔11と磁石13との間には隙間が形成される。
そして、磁石挿入孔11と磁石13との隙間に樹脂材12を充填することで、磁石挿入孔11において樹脂材12を介して磁石13を保持し、これにより、ロータ20が構成される。
樹脂材12には、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂を用いることができる。
図1に示す樹脂封止装置1は、磁石挿入孔11において形成される、磁石挿入孔11と磁石13との隙間に、樹脂材12を充填するための装置である。
図1に示すように、上型2および下型3は、ロータコア10を軸心方向(即ち、積層方向)に向けて挟圧するための部位であり、上型2とロータコア10の上面との間にランナープレート4を配置し、下型3とロータコア10の下面との間に固定板5を配置している。
上型2には、溶融させた樹脂材12を貯溜するための空間である複数のプランジャポット2a・2a・・・が形成されている。
そして、プランジャポット2aの下方には、プランジャポット2aから流出する樹脂材12の通り道であり、後述するゲート4aと連通する流路2bが形成されている。
尚、本実施形態では、上型2側から磁石挿入孔11に樹脂材12を供給する場合を例示しているが、樹脂材12は、下型3側から供給してもよい。
図1および図4に示す如く、ランナープレート4には、樹脂材12の通り道となる孔部であるゲート4aが形成されている。
ゲート4aは、上方において流路2b(図1参照)と連通し、下方において磁石挿入孔11と連通するように形成されている。
また、ゲート4aは、磁石挿入孔11の半径方向における中央よりも外側の位置で、該磁石挿入孔11と連通している。これにより、ゲート4aから磁石挿入孔11へと流入する樹脂材12の拡大部11aに向けた流れ(図1における横向きの流れ)を形成するための助走区間長さを確保している。
また固定板5には、磁石挿入孔11に挿入した磁石13を位置決めするための部位である位置決めピン5aが形成されており、固定板5によって、ロータコア10を位置決めするとともに、磁石挿入孔11に挿入した磁石13を位置決めする構成としている。
尚、磁石13には、位置決めピン5aに対応した凹部(図示せず)が形成されており、該凹部を位置決めピン5aに嵌め合わせることで、磁石13を位置決めできるように構成している。
尚、本実施形態では、磁石13に凹部(図示せず)を設けて、該凹部に位置決めピン5aを差し込むことで磁石13の位置決めをする場合を例示しているが、磁石13には凹部を設けずに、例えば、固定板5に凹部や凸部を形成して、該凹部や凸部で磁石13の配置位置を規制して位置決めする構成としてもよい。
加圧装置6は、プランジャポット2aの個数に対応する個数のプランジャピン6a・6a・・・を備えている。
プランジャピン6aは、プランジャポット2aに対して進退可能に構成されており、プランジャピン6aをプランジャポット2a内に降下させることで、プランジャポット2a内に供給された樹脂材12を加圧し、流路2bに供給する構成としている。
次に、磁石挿入孔11の形状について、さらに詳細に説明をする。
本発明の一実施形態に係るロータの製造方法では、ロータコア10に形成する磁石挿入孔11の形状に特徴を有している。
本発明の一実施形態に係るロータ20の製造方法では、図2乃至図5に示すように、磁石挿入孔11の両側の端部に、拡大部11a・11aを形成している。
拡大部11aは、磁石挿入孔11の貫通方向における断面積を中間部位の断面積に比して拡大した部位であり、図5に示すように、拡大部11aにおける磁石挿入孔11と磁石13との隙間Bを、それ以外の部位における磁石挿入孔11と磁石13との隙間Aに比して大きくしている。
また、拡大部11aの深さCは、隙間の幅Aに比して大きく、磁石挿入孔11と磁石13との隙間に流入してきた樹脂材12が、幅Aの隙間よりも、拡大部11a側に流れ込みやすいように構成されている。
尚、拡大部11aの深さCは、0.35mm以下とすることが好ましい。
磁石挿入孔11における拡大部11aは、ロータコア10の積層方向における最外部に配置する各電磁鋼板10a・10aに形成する(磁石挿入孔11となる)孔を、その他の電磁鋼板10a・10a・・・に形成する孔に比して大きくすることで形成する構成としている。
尚、電磁鋼板10aに対して拡大した孔を形成する方法としては、電磁鋼板10aをパンチで打ち抜き加工をするときに、一度開けた孔をさらに大きいパンチで打ち抜く方法や、あるいは、一度打ち抜いた孔の内側を削って孔を広げる方法等が採用できる。
尚、本実施形態では、磁石挿入孔11を、ロータコア10の半径方向内側にむけて拡大し、拡大部11aを設けた場合を例示したが、磁石挿入孔11に形成する拡大部11aの態様はこれに限定されない。
拡大部11aは、磁石挿入孔11をロータコア10の半径方向外側に拡大するように形成してもよく、例えば、図6(a)に示すように、磁石挿入孔11をロータコア10の半径方向内側および外側の両側に拡大するように形成してもよい。
そして、拡大部11aをロータコア10の半径方向内側および外側の両側に拡大する態様を採用する場合は、ゲート4aと磁石挿入孔11が連通する位置を磁石挿入孔11の半径方向における中央付近とすることにより、樹脂材12が、内側および外側の両側の拡大部11a・11aに向けて流れるようにすることができる。
あるいは、拡大部11aの形状は、図6(b)に示すように、深い部分と浅い部分を有するように段差を設けた形状であってもよい。
次に、本発明の一実施形態に係るロータ20の製造方法における、磁石挿入孔11に対する樹脂材12の充填状況について説明をする。
磁石挿入孔11に対する樹脂材12の充填は、前述した樹脂封止装置1を用いて行う。
樹脂封止装置1を用いた樹脂材12の充填作業においては、まず初めに、ロータコア10の各磁石挿入孔11・11・・・にそれぞれ磁石13・13・・・を挿入し、かつ、積層方向における両端部にランナープレート4および固定板5をセットしておく。そして、このようにセットした部材を、温風炉やIHヒータ等によって、所定の温度まで加熱しておく。
次に、その加熱しておいた前記部材を樹脂封止装置1に対してセットする。
このとき、上型2および下型3等の前記部材に接触する部位については、前記部材の所定の加熱温度と同じ温度まで昇温しておくことが好ましい。
次に、プランジャポット2aに樹脂材12をセットし、該樹脂材12が溶融するまで待機する。
そして、樹脂材12が溶融した後に、プランジャポット2aに向けてプランジャピン6a・6aを降下させて、プランジャポット2a内で溶融した樹脂材12を、流路2bを介してゲート4aから磁石挿入孔11に注入する。
磁石挿入孔11に樹脂材12を充填した後は、樹脂材12が硬化するまで待機する。
そしてその後、樹脂封止装置1から前記部材を取り外し、さらに、ランナープレート4および固定板5を除去することで、ロータ20が得られる。
例えば、図7(b)に示すように、磁石挿入孔11に拡大部11aを設けていない場合、磁石挿入孔11に流入してきた樹脂材12は、行き止まりになっている下方から順に硬化反応が開始する。
またこの場合、新しい(即ち、流動性の高い)樹脂材12が次々に注入されることによって、圧力が等方向に作用するため、その圧力によって、ランナープレート4とロータコア10との間にも樹脂材12が流入することとなる。
そして、ランナープレート4とロータコア10の間に流入した樹脂材12によって、図8に示すようなバリ15が形成されたロータ21が製造されることとなる。
一方、図7(a)に示すように、磁石挿入孔11に拡大部11aを設けた場合には、ゲート4aから磁石挿入孔11に流入してきた樹脂材12は、磁石13の上面とランナープレート4の間(助走区間)を横向きに流れて、より流れ込みやすい上方の拡大部11aの方にまず流入し、その後下方に向けて流入していくこととなる。
そして、上方の拡大部11aに流れ込んだ樹脂材12は、該拡大部11aにおいて滞留し、滞留した状態で加熱されることによって、硬化反応が促進される。このため、上方の拡大部11aに流れ込んだ樹脂材12が、より下方へと流れ込む樹脂材12に比して早期に硬化する。
また、より下方へと流れ込んだ樹脂材12は、磁石挿入孔11の最下部に設けた下方の拡大部11aにおいても滞留し、滞留した状態で加熱されることによって、ここでも硬化反応が促進される。このため、下方の拡大部11aに流れ込んだ樹脂材12は、磁石挿入孔11の中間部に流れ込んだ樹脂材12に比して早期に硬化する。
そして、磁石挿入孔11の上端と下端の各拡大部11a・11aで、樹脂材12の硬化を先行して生じさせることにより、硬化した樹脂材12で、ランナープレート4とロータコア10の間や、固定板5とロータコア10の間に、次々供給される樹脂材が流入するのを防ぐことができる。
そして、樹脂材12が、ランナープレート4とロータコア10の間や、固定板5とロータコア10の間に流入するのを防ぐことで、磁石挿入孔11の端部においてバリが生じることが無くなり、図3(a)(b)に示すようなバリの無いロータ20を製造することが可能になる。
即ち、本発明の一実施形態に係るロータ20の製造方法においては、複数の電磁鋼板10a・10a・・・を板厚方向に積層して構成されるロータコア10と、複数の磁石13・13・・・と、を備え、ロータコア10に形成される複数の磁石挿入孔11・11・・・に磁石13・13・・・を挿入するとともに、磁石挿入孔11に樹脂材12を充填することで、ロータコア10により複数の磁石13・13・・・が保持されるロータ20の製造方法であって、磁石挿入孔11の両端において、孔の断面積を拡大した部位である拡大部11aを設け、拡大部11aを設けた磁石挿入孔11に対して樹脂材12を充填するものである。
このような構成により、磁石挿入孔11に充填する樹脂材12にバリが生じるのを防止することができる。
10 ロータコア
10a 電磁鋼板
11 磁石挿入孔
11a 拡大部
12 樹脂材
13 磁石
20 ロータ

Claims (1)

  1. 複数の電磁鋼板を板厚方向に積層して構成されるロータコアと、
    複数の磁石と、
    を備え、
    前記ロータコアに形成される複数の磁石挿入孔に前記磁石を挿入するとともに、前記磁石挿入孔に樹脂材を充填することで、前記ロータコアにより前記複数の磁石が保持されるロータの製造方法であって、
    前記磁石挿入孔の両端において、孔の断面積を拡大した部位である拡大部を設け、前記拡大部を設けた前記磁石挿入孔に対して前記樹脂材を充填する、
    ことを特徴とするロータの製造方法。
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