JP2016220267A - 電機子の製造方法および電機子 - Google Patents

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啓太 松本
吉田 康平
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Abstract

【課題】永久磁石を積層鉄心に対して、設計通りに位置決めすることができ、かつ永久磁石が積層鉄心に対して通電可能に接触することを防止できる電機子の製造方法を提供する。【解決手段】積層鉄心1に形成された磁石挿入孔4に樹脂を注入して、磁石挿入孔4の内部に樹脂層12を形成する樹脂層形成工程と、磁石挿入孔4に永久磁石13を挿入して、永久磁石13と磁石挿入孔4の内壁との間に樹脂層12を介在させた状態で、磁石挿入孔4内で永久磁石13を積層鉄心1に保持させる永久磁石挿入工程と、磁石挿入孔4に再度、樹脂を注入して、永久磁石13を積層鉄心1に固定する樹脂再注入工程とを有する。【選択図】図1

Description

本発明は、永久磁石埋込型の電機子の製造方法、及び永久磁石埋込型の電機子に関するものである。
永久磁石が積層鉄心内に埋め込まれた電機子、例えば永久磁石埋込型同期電動機(IPMモータ)の回転子は、積層鉄心に設けられた複数の磁石挿入孔に永久磁石を挿入し、磁石挿入孔内で永久磁石を積層鉄心に固定している。
永久磁石を積層鉄心に固定するに当たっては、永久磁石を積層鉄心に対して正しく位置決めする必要がある。つまり、設計された位置に永久磁石を位置決めする必要がある。永久磁石が積層鉄心に対して正しく位置決めされていないと、回転子における磁気分布及び質量分布に不均衡が生じ、トルクが変化、または低下することがある。また、モータに機械的な振動が生じることがある。
永久磁石の積層鉄心に対する位置決めと固定を目的とする発明は、既に多数が出願されている。例えば、特許文献1には、回転子積層鉄心を加圧拘束する下型と上型に電磁石を備えて、磁石挿入孔と永久磁石の間の隙間に樹脂を充填する前に、電磁石に通電することを特徴とする回転子の製造方法が記載されている。この製造方法によれば、電磁石による引き寄せ力で、永久磁石を磁石挿入孔の回転子軸心側の壁面に引き寄せて、該壁面を基準に永久磁石を位置決めすることができる。
また、特許文献2には、磁石挿入孔の入口近傍において、磁石挿入孔の内面に接着剤を塗布して、その後に、永久磁石を磁石挿入孔に挿入することを特徴とする回転子の製造方法が記載されている。この製造方法によれば、永久磁石の挿入後に、接着剤は硬化し、永久磁石は回転子積層鉄心に固定される。
特開2013−9452号公報 特開2007−159361号公報
特許文献1に記載の製造方法では、永久磁石が磁石挿入孔の回転子の軸心側の壁面に接触するので、回転子積層鉄心を構成する鋼板同士が永久磁石を介して相互に通電可能となる。このような状態では、電動機の運転中に回転子積層鉄心に渦電流が発生するので渦電流損失が増加する。渦電流損失が増加すれば、モータの出力や効率が低下する。
一方、特許文献2に記載の製造方法では、永久磁石と積層鉄心の間に接着剤が介在するので、永久磁石が積層鉄心に対して通電可能に接触することを防止できる。しかしながら、特許文献2に記載の製造方法では、接着剤が硬化する前に永久磁石が磁石挿入孔内で位置ずれする可能性がある。つまり、永久磁石を積層鉄心に対して正しく位置決めできない場合がある。
本発明はこのような背景の下でなされたものであり、永久磁石を積層鉄心に対して、設計通りに位置決めすることができ、かつ永久磁石が積層鉄心に対して通電可能に接触することを防止できる電機子の製造方法を提供することを目的とする。また、かかる電機子を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る電機子の製造方法は、積層鉄心に形成された磁石挿入孔に樹脂を注入して、前記磁石挿入孔の内部に樹脂層を形成する樹脂層形成工程と、前記磁石挿入孔に永久磁石を挿入して、前記永久磁石と前記磁石挿入孔の内壁との間に前記樹脂層を介在させた状態で、前記磁石挿入孔内で前記永久磁石を前記積層鉄心に保持させる永久磁石挿入工程と、前記磁石挿入孔に再度、樹脂を注入して、前記永久磁石を前記積層鉄心に固定する樹脂再注入工程とを有するものである。
前記樹脂層形成工程は、前記磁石挿入孔に成形型を挿入する成形型挿入工程と、前記磁石挿入孔と前記成形型の間に樹脂を注入する樹脂注入工程と、前記樹脂の硬化後に、前記成形型を抜去する成形型除去工程とを有していても良い。
前記成形型は、前記積層鉄心の上面から前記磁石挿入孔に挿入される上部成形型と、前記積層鉄心の下面から前記磁石挿入孔に挿入される下部成形型とで構成されるようにしても良い。
前記成形型を前記積層鉄心の中心軸と直交する平面で切断した断面形は、前記成形型の基部から先端に向かうに従って、小さくなるようにテーパーしていても良い。
前記樹脂層形成工程において、前記樹脂層は前記磁石挿入孔の内面の全面に形成されても良い。
前記樹脂層形成工程において、前記樹脂層は前記磁石挿入孔の水平断面の一部に形成されるようにしても良い。
本発明に係る電機子は、積層鉄心に形成された磁石挿入孔に挿入されて、前記磁石挿入孔内に固定された永久磁石と、前記磁石挿入孔の内壁と前記永久磁石の間に形成されて、前記永久磁石と前記積層鉄心を互いに離隔するとともに、前記永久磁石を前記磁石挿入孔内に固定する樹脂層を備える電機子において、前記樹脂層は、前記永久磁石の前記磁石挿入孔への挿入に先立って、前記磁石挿入孔内に形成された第1の樹脂層と、前記永久磁石の前記磁石挿入孔への挿入後に、前記磁石挿入孔の内壁と前記永久磁石の間に形成された第2の樹脂層とからなる、ことを特徴とする。
本発明によれば、磁石挿入孔に永久磁石を挿入する永久磁石挿入工程に先立って、樹脂層形成工程を実行して、磁石挿入孔の内部に樹脂層を形成するので、永久磁石挿入工程において、永久磁石と磁石挿入孔の間に樹脂層を介在させた状態で、磁石挿入孔内で永久磁石を積層鉄心に保持させて、永久磁石を積層鉄心に対して位置決めすることができる。また、永久磁石と積層鉄心の間に樹脂層が介在するので、積層鉄心を構成する鋼板同士が永久磁石を介して通電可能な状態になることがない。そのため、渦電流損の増加を防止することができる。その結果、本発明に係る電機子を備える電機の性能が向上する。
第1の実施形態に係る電機子の製造過程を時系列に示す説明図であって、(a)は加工前の積層鉄心の縦断面図、(b)は積層鉄心の磁石挿入孔に成形型を挿嵌して樹脂注入装置に取り付けた状態の縦断面図、(c)は永久磁石を(b)のA−A’線で切断した水平断面図、(d)は積層鉄心の磁石挿入孔内に樹脂層が形成された状態を示す縦断面図、(e)は樹脂層を(d)のB−B’線で切断した水平断面図、(f)は磁石挿入孔内に永久磁石を挿入して樹脂注入装置に取り付けた状態の縦断面図である。 成形型と該成形型によって形成される樹脂層の別例を示す図であって、(a),(c),(e),(g)は成形型を図1(b)のA−A’線で切断した水平断面図であり、(b),(d),(f),(h)は樹脂層を図1(d)のB−B’線で切断した横断面図である。 第2の実施形態において、積層鉄心の磁石挿入孔に成形型を挿嵌して樹脂注入装置に取り付けた状態の縦断面図である。 第3の実施形態において、積層鉄心の磁石挿入孔に成形型を挿嵌して樹脂注入装置に取り付けた状態の縦断面図である。 第4の実施形態に係る電機子の製造過程を時系列に示す説明図であって、(a)は積層鉄心の磁石挿入孔に成形型を挿嵌して樹脂注入装置に取り付けた状態を、(b)は積層鉄心の磁石挿入孔内に樹脂層が形成された状態を、(c)は磁石挿入孔に永久磁石を挿入して樹脂注入装置に取り付けた状態を、それぞれ示す縦断面図である。
以下、本発明の実施形態に係る電機子の製造方法と、本発明の実施形態に係る電機子を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図面においては、同一または同等の部分に同一の符号を付している。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る電機子の製造方法の説明図である。第1の実施形態においては、積層鉄心の具体例として、図示しないIPMモータの回転子を構成する積層鉄心1を例示する。なお、本明細書では、積層鉄心1をその回転軸を含む平面で切断した断面を縦断面と言い、回転軸と直交する平面で切断した断面を水平断面と言うことにする。しかしながら、積層鉄心1を備える電動機は、積層鉄心1の「水平断面」が水平になるように設置され、あるいは使用されるものには限定されない。積層鉄心1を備える電動機は、回転軸を鉛直方向に立てて設置され、あるいは使用されるものには限定されない。
前述したように、積層鉄心1は図示しないIPMモータの回転子を構成する部品である。積層鉄心1は、図1(a)に示すように、複数の素板2を積層し、カシメ加工等によって、相互に結合して構成される。素板2は鋼板を打ち抜き加工等して形成される。前記打ち抜き加工等の際に、素板2には貫通穴3が打ち抜かれる。素板2には貫通穴3が形成されているので、積層鉄心1には、その上面から下面まで貫通する磁石挿入孔4が形成される。なお、積層鉄心1の中心には、図示しない回転軸が挿嵌される軸穴1aが形成されている。また、素板2の素材は特に限定されないが、一般には、電磁鋼板あるいは珪素鋼板とよばれる特殊鋼が使用される。
まず、積層鉄心1は、図1(b)に示すように、図示しない樹脂注入装置の下型5の上に載置された治具6の上に載置される。治具6には、積層鉄心1の軸穴1aに挿嵌されるガイド軸6aと図示しない位置決めピンが立設されている。ガイド軸6aを積層鉄心1の軸穴1aに挿嵌することによって、積層鉄心1は治具6に対して位置決めされる。なお、治具6の素材は特に限定されないが、例えば、工具鋼のような、耐熱性及び耐摩耗性を備える材料が好ましい。
積層鉄心1を治具6の上に載置したら、成形型7を積層鉄心1の上面から磁石挿入孔4の中に挿入する。つまり、成形型挿入工程が実行される。なお、成形型7の外形寸法は磁石挿入孔4の内法寸法より小さく構成されていて、図1(b)及び図1(c)に示すように、成形型7と磁石挿入孔4の間には隙間8が生じる。成形型7の素材は特に限定されないが、例えば、工具鋼のような、耐熱性及び耐摩耗性を備える材料が使用される。また、成形型7には、後で隙間8に充填される樹脂に対する親和性が低い材料を使用することが望ましい。したがって、隙間8に充填される樹脂と同一又は同種の樹脂は成形型7の材料として不適である。また、成形型7の表面を滑らかに研磨しておけば、樹脂の硬化後における成形型7の抜き取りが容易になる。
成形型7を磁石挿入孔4の中に挿入したら、積層鉄心1の上にダミープレート9を載置する。ダミープレート9は樹脂注入装置から注入された樹脂が、積層鉄心1の上面で広がって、積層鉄心1の上面に付着することを防ぐ一種のカバーであり、カルプレートとも呼ばれる。ダミープレート9は樹脂注入装置から注入された樹脂を積層鉄心1に導く図示しない樹脂注入口と、治具6に立設された位置決めピンが挿嵌される図示しない位置決め穴が形成されている。ダミープレート9は、位置決め穴に治具6の位置決めピンを挿嵌させることによって、治具6に対して位置決めされる。前述したように、積層鉄心1は治具6に対して位置決めされているから、ダミープレート9を治具6に対して位置決めすれば、治具6、積層鉄心1及びダミープレート9の三者は相互に位置決めされる。ダミープレート9の素材は、特に限定されないが、例えば、工具鋼のような、耐熱性及び耐摩耗性を備える材料が素材として使用される。なお、治具6とダミープレート9の詳細な構成については、必要であれば、特開2012−223024号公報等を参照されたい。
ダミープレート9は、樹脂注入口と位置決め穴の他に、成形型7が嵌合される嵌合穴10を備える。嵌合穴10は水平断面形において成形型7と実質的に同寸同形であって、成形型7は嵌合穴10に嵌合されることによって、ダミープレート9に対して位置決めされる。また、成形型7は、その下端を治具6に当接させることによって、治具6に対して上下方向に位置決めされる。そして、前述したように、治具6、積層鉄心1及びダミープレート9の三者は相互に位置決めされているから、成形型7をダミープレート9と治具6に対して位置決めすれば、成形型7は積層鉄心1に対して位置決めされる。
このように、成形型7を積層鉄心1に対して位置決めしたら、治具6に載置されて、ダミープレート9を載置した積層鉄心1を、樹脂注入装置の下型5と上型11に挟んで、隙間8に樹脂を注入する。つまり樹脂注入工程を実行する。なお、樹脂の種類は特に限定されないが、一般には、例えば、エポキシ樹脂のような熱硬化性樹脂が使用される。熱硬化性樹脂に代えて熱可塑性樹脂が使用されても良い。
そして、隙間8に注入された樹脂が硬化したら、積層鉄心1を樹脂注入装置から取り外し、治具6とダミープレート9を積層鉄心1から取り外す。その後で、成形型7を積層鉄心1から取り外す。つまり、成形型除去工程を実行する。その結果、図1(d)に示すように積層鉄心1の磁石挿入孔4の内面に樹脂層12が形成される。なお、樹脂層12の水平断面は、図1(e)に示すように、「ロ」字形をなしている。つまり、磁石挿入孔4の水平断面において、その全周に樹脂層12が形成されている。以上で樹脂層形成工程が完了する。
樹脂層形成工程が完了したら、図1(f)に示すように、積層鉄心1の磁石挿入孔4の内部に永久磁石13を挿入し、積層鉄心1を治具14の上に載置し、積層鉄心1の上にダミープレート15を載置する。この時、永久磁石13と磁石挿入孔4の間には樹脂層12が介在していて、永久磁石13は磁石挿入孔4内で積層鉄心1に保持される。なお、樹脂層12はその内法寸法が永久磁石13の外形寸法よりわずかに大きくなるように形成されていて、樹脂層12と永久磁石13の間には、図示しないわずかな隙間が生じる。以上で、永久磁石挿入工程が完了する。なお、治具14及びダミープレート15の機能及び素材等は治具6及びダミープレート9と共通する。また、治具14には、ガイド軸14aと図示しない位置決めピンが立設されている。この点でも治具14は治具6と共通する。
永久磁石挿入工程が完了したら、治具14に載置されて、ダミープレート15を載置した積層鉄心1を、樹脂注入装置の下型5と上型11に挟んで、樹脂を磁石挿入孔4内に注入する。注入された樹脂は、前述した樹脂層12と永久磁石13の間の隙間に流入して硬化する。その結果、永久磁石13は磁石挿入孔4内で樹脂層12を介して積層鉄心1に固定される。なお、永久磁石13の固定に使用する樹脂の種類は特に限定されないが、樹脂層12の形成に使用した樹脂と同一又は同種の樹脂を使用すれば、樹脂層12に対する親和性が良いので、より確実に固定される。以上で、樹脂再注入工程が完了する。
樹脂再注入工程の完了後に、樹脂が硬化して、磁石挿入孔4内での永久磁石13の固定が完了したら、積層鉄心1を樹脂注入装置から取り外す。そして、治具14とダミープレート15を積層鉄心1から取り外す。以上で積層鉄心1への永久磁石13の取り付けと固定が完了する。
上記方法によれば、積層鉄心1に形成された磁石挿入孔4に挿入されて、磁石挿入孔4内に固定された永久磁石13と、磁石挿入孔4の内壁と永久磁石13の間に樹脂層を備える電機子が製造される。該樹脂層は、永久磁石13と積層鉄心1を互いに離隔し、永久磁石13を磁石挿入孔4内に固定する。そして、該樹脂層は、樹脂層形成工程において、磁石挿入孔4内に形成された樹脂層12(第1の樹脂層)と、永久磁石挿入工程の完了後の樹脂再注入工程において、磁石挿入孔4の内壁と永久磁石13の間に形成された樹脂層(第2の樹脂層)とからなる。
上記実施形態の方法によれば、次のような利点がある。第1に、永久磁石13を磁石挿入孔4に挿入する前に、磁石挿入孔4内に樹脂層12を形成するので、磁石挿入孔4内で永久磁石13が積層鉄心1に接触して、素板2同士が永久磁石13を介して通電可能になる恐れがない。第2に、永久磁石13は樹脂層12に接触して保持されるので、永久磁石13は磁石挿入孔4内で正確に位置決めされる。なお、樹脂層12と永久磁石13の間の隙間は、永久磁石13の挿入と、永久磁石13を固定する樹脂の注入に必要な最小の隙間であって、永久磁石13の積層鉄心1に対する位置決めにおいて許容される誤差の範囲で設定される。従って、成形型7の形状と寸法は、かかる樹脂層12が形成されるように決定される。
水平断面に現れる樹脂層12の形状は、「ロ」字形には限定されない。例えば、図2(a)あるいは図2(c)に示すような形状の成形型7を使用して、図2(b)あるいは図2(d)に示すように、磁石挿入孔4の水平断面形において対向する2辺にのみ樹脂層12が形成されて、他の2辺には樹脂層12が形成されないようにしても良い。あるいは、図2(e)に示すような形状の成形型7を使用して、図2(f)に示すように、磁石挿入孔4の水平断面形の2箇所において「コ」字形の樹脂層12が形成されて、「コ」字形の樹脂層12の間に樹脂層12が形成されない部位が配置されるようにしても良い。また、図2(g)に示すような形状の成形型7を使用して、図2(h)に示すように、磁石挿入孔4の水平断面形の短辺に形成された樹脂層12と長辺に形成された樹脂層12の間に樹脂層12が形成されない部位が配置されるようにしても良い。このように、水平断面において、樹脂層12が形成されない部位を備えれば、樹脂再注入工程において、該部位に樹脂が流れるので樹脂注入が容易になる。注入不良が発生しにくくなり、より確実な固定が期待できる。
(第2の実施形態)
第1の実施形態においては、成形型7をダミープレート9の嵌合穴10に嵌合させて、成形型7を積層鉄心1に対して位置決めするようにしたが、成形型7を位置決めする手段は、これには限定されない。例えば、図3に示すように、治具6に嵌合穴10を設けて、成形型7を治具6の嵌合穴10に嵌合させるようにしても良い。この場合、成形型7の高さ方向の位置決めは、成形型7の上端をダミープレート9に当接させることによって、なされる。
(第3の実施形態)
第1及び第2の実施形態においては、1個の成形型7で樹脂層12を形成することを例示したが、例えば、図4に示すように、成形型7を、上部成形型7uと下部成形型7lに分割しても良い。なお、上部成形型7uは積層鉄心1の上面から磁石挿入孔4に挿入され、ダミープレート9の嵌合穴10に嵌合されて位置決めされる。下部成形型7lは積層鉄心1の下面から磁石挿入孔4に挿入され、治具6の嵌合穴10に嵌合されて位置決めされる。また、上部成形型7uと下部成形型7lは、磁石挿入孔4の内部で互いに当接することによって、上下方向の位置決めがなされる。なお、上部成形型7uと下部成形型7lの当接面は、互いに隙間なく当接するように、滑らかに研磨されていることが望ましいが、多少の凹凸や、それに起因する隙間は許容される。例えば、樹脂層12を形成する樹脂に含まれるフィラーの粒径より小さい隙間は許容される。
このように、成形型7を、上部成形型7uと下部成形型7lに分割すれば、樹脂層12の形成後(樹脂の硬化後)に成形型7を取り外す際の、引き抜きストロークが短くなる。そのため、成形型7の取り外しが容易になる。
(第4の実施形態)
図5(a)に示すように、成形型7を積層鉄心1の回転軸を含む平面で切断した断面形において、下端に近づくにしたがって成形型7の幅が狭くなるようにしても良い。つまり、縦断面形において成形型7をテーパーさせても良い。このような形状を選べば、樹脂層12の形成後(樹脂の硬化後)に成形型7を取り外す際に、成形型7をわずかに引き出すと、成形型7の全ての表面が樹脂層12から離れる。このため、成形型7の取り外しが容易になる。
また、図5(b)に示すように、成形型7をテーパーさせれば、樹脂層12の内法形状もテーパーするので、樹脂層12の内法の幅は積層鉄心1の下端において最も狭くなる。そのため、磁石挿入孔4に挿入された永久磁石13は、積層鉄心1の下層において樹脂層12の間で挟持される。一方、積層鉄心1の上層においては、樹脂層12と永久磁石13の間に隙間16が生じる。樹脂再注入工程において、この隙間16に樹脂を注入して硬化させると、永久磁石13は磁石挿入孔4において、積層鉄心1に対して固定される。なお、図5(b)から明らかなように、隙間16の幅は積層鉄心1の上端において最大になるので、積層鉄心1の上面からの樹脂の注入は容易である。
以上説明したように、本発明によれば、磁石挿入孔に樹脂を注入して、磁石挿入孔の内部に樹脂層を形成し、永久磁石を樹脂層の間で挟持させるので、永久磁石の積層鉄心に対する位置決めが容易になる。永久磁石と磁石挿入孔の間に樹脂層が介在するので、永久磁石と積層鉄心が直接接触することがない。そのため、積層鉄心を構成する鋼板同士が永久磁石を介して相互に通電可能となって、渦電流損の増加を招く恐れがない。
なお、上記実施形態は本発明の具体的な実施態様の例示であって、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の記載によっては限定されない。本発明は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲において、自由に変形あるいは改良して実施することが出来る。また、上記実施形態において開示されていない構成要素を追加することも可能である。
例えば、上記実施形態においては、本発明の適用対象である電機子の具体例として、IPMモータの回転子を例示したが、本発明に係る方法で製造される電機子は電動機の回転子には限定されない。本発明に係る方法で発電機の回転子を製造することもできる。また、本発明の適用対象は回転子には限定されない。固定子の製造に、本発明を適用することができる。
また、上記実施形態においては、素板2を相互に結合する手段としてカシメ加工を例示したが、該手段はカシメ加工には限定されない。例えば、溶接や樹脂充填など各種の結合手段を任意に選択することができる。あるいは、樹脂層12を形成することによって、素板2が相互に結合されるようにしても良い。
また、図1(e)及び図2(b),(d),(f),(h)において、樹脂層12の水平断面形状を例示したが、本発明はこれらのような水平断面形状を形成するものには限定されない。各種の形状を任意に選択することができる。
また、上記実施形態においては、永久磁石13の水平断面形状を矩形とし、磁石挿入孔4の水平断面形状も矩形としたが、これらは例示にすぎない。本発明は、矩形の水平断面を有する永久磁石13を矩形の水平断面を有する磁石挿入孔4に挿入するものに限定されない。各種の形状を任意に選択することができる。例えば、永久磁石13と磁石挿入孔4の水平断面形状は、円弧状に湾曲していても良い。
また、上記実施形態においては、1個の磁石挿入孔4の水平断面において、永久磁石13を1個ずつ埋め込む例(図2(a)〜(d))を示したが、本発明の技術的範囲は、これには限定されない。1個の磁石挿入孔4の水平断面に、複数個の永久磁石13が配置されるようにしても良い。
また、第1の実施形態において、ガイド軸6aを積層鉄心1の軸穴1aに挿嵌して、積層鉄心1を治具6に対して位置決めする例を示したが、ガイド軸6aと軸穴1a、単なる円柱や丸穴には限定されない。さまざまな変形例が想定される。例えば、ガイド軸6aにキーを形成し、軸穴1aに該キーと嵌合するキー溝を形成しても良い。あるいは、ガイド軸6aにキー溝を形成し、軸穴1aに該キー溝と嵌合するキーを形成しても良い。
積層鉄心1を治具6に対して位置決めする手段はガイド軸6aと軸穴1aの組には限定されない。例えば、積層鉄心1に軽め穴が形成される場合に、治具6に該軽め穴と嵌合する位置決めピンを備えて、位置決めピンを軽め穴に嵌合させることによって積層鉄心1を治具6に対して位置決めするようにしても良い。なお、位置決めピンと軽め穴の組は、ガイド軸6aと軸穴1aの組の代わりに備えるものであっても良いし、位置決めピンを軽め穴の組とガイド軸6aと軸穴1aの組の両方を備えるようにしても良い。
また、第1の実施形態においては成形型7の上端を、第2の実施形態においては成形型7の下端を、それぞれダミープレート9あるいは治具6に形成された嵌合穴10に嵌合させる例を示したが、成形型7を積層鉄心1に対して位置決めする手段は、成形型7のいずれか一方の端を嵌合穴10に嵌合させるものには限定されない。ダミープレート9と治具6の両方に嵌合穴10を備えて、成形型7の上端と下端の両方を、それぞれダミープレート9に形成された嵌合穴10と治具6に形成された嵌合穴10に嵌合させるようにしても良い。
また、樹脂層形成工程と樹脂再注入工程で使用される樹脂注入装置は、同一の装置であっても、別の装置であっても良い。同一の樹脂注入装置で樹脂層形成工程と樹脂再注入工程を実行しても良いし、製造ライン上に、樹脂層形成工程専用の樹脂注入装置と樹脂再注入工程専用の樹脂注入装置を別個に配置しても良い。
また、上記実施形態に示した成形型7及び樹脂の素材は例示であって、例示された素材を使用するものには限定されない。
1 積層鉄心
1a 軸穴
2 素板
3 貫通穴
4 磁石挿入孔
5 下型
6 治具
6a ガイド軸
7 成形型
7u 上部成形型
7l 下部成形型
8 隙間
9 ダミープレート
10 嵌合穴
11 上型
12 樹脂層
13 永久磁石
14 治具
14a ガイド軸
15 ダミープレート
16 隙間

Claims (7)

  1. 積層鉄心に形成された磁石挿入孔に樹脂を注入して、前記磁石挿入孔の内部に樹脂層を形成する樹脂層形成工程と、
    前記磁石挿入孔に永久磁石を挿入して、前記永久磁石と前記磁石挿入孔の内壁との間に前記樹脂層を介在させた状態で、前記磁石挿入孔内で前記永久磁石を前記積層鉄心に保持させる永久磁石挿入工程と、
    前記磁石挿入孔に再度、樹脂を注入して、前記永久磁石を前記積層鉄心に固定する樹脂再注入工程とを有する、
    電機子の製造方法。
  2. 前記樹脂層形成工程は、
    前記磁石挿入孔に成形型を挿入する成形型挿入工程と、
    前記磁石挿入孔と前記成形型の間に樹脂を注入する樹脂注入工程と、
    前記樹脂の硬化後に、前記成形型を抜去する成形型除去工程とを有する、
    請求項1に記載の電機子の製造方法。
  3. 前記成形型は、
    前記積層鉄心の上面から前記磁石挿入孔に挿入される上部成形型と、
    前記積層鉄心の下面から前記磁石挿入孔に挿入される下部成形型と、
    で構成される請求項2に記載の電機子の製造方法。
  4. 前記成形型を前記積層鉄心の中心軸と直交する平面で切断した断面形は、
    前記成形型の基部から先端に向かうに従って、小さくなるようにテーパーしている、
    請求項2に記載の電機子の製造方法。
  5. 前記樹脂層形成工程において、前記樹脂層を前記磁石挿入孔の内面の全面に形成する、
    請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の電機子の製造方法。
  6. 前記樹脂層形成工程において、前記樹脂層を前記磁石挿入孔の水平断面の一部に形成する、
    請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の電機子の製造方法。
  7. 積層鉄心に形成された磁石挿入孔に挿入されて、前記磁石挿入孔内に固定された永久磁石と、
    前記磁石挿入孔の内壁と前記永久磁石の間に形成されて、前記永久磁石と前記積層鉄心を互いに離隔するとともに、前記永久磁石を前記磁石挿入孔内に固定する樹脂層を備える電機子において、
    前記樹脂層は、
    前記永久磁石の前記磁石挿入孔への挿入に先立って、前記磁石挿入孔内に形成された第1の樹脂層と、
    前記永久磁石の前記磁石挿入孔への挿入後に、前記磁石挿入孔の内壁と前記永久磁石の間に形成された第2の樹脂層とからなる、
    ことを特徴とする電機子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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