JP2016086508A - 電機子鉄心及び電機子鉄心の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】鉄心片2、2’を積層して構成された電機子鉄心1であって、特定の部位の積層高さが他の部位の積層高さと異なるように構成することができる電機子鉄心1を提供する。
【解決手段】複数の鉄心片2、2’を積層してなる固定子鉄心1において、複数の部位を形成する形状を備える鉄心片2を積層してなる中心部5と、中心部5に接するとともに、中心部5を構成する鉄心片2が形成する形状の一部を欠いた形状を備える鉄心片2’を積層してなる上端部6と下端部7と、を備える。
【選択図】図2
【解決手段】複数の鉄心片2、2’を積層してなる固定子鉄心1において、複数の部位を形成する形状を備える鉄心片2を積層してなる中心部5と、中心部5に接するとともに、中心部5を構成する鉄心片2が形成する形状の一部を欠いた形状を備える鉄心片2’を積層してなる上端部6と下端部7と、を備える。
【選択図】図2
Description
本発明は、複数の鉄心片を積層してなる電機子鉄心及び電機子鉄心の製造方法に関する。
電動機や発電機の固定子や回転子を総称して電機子と呼ぶ。電機子は、電機子鉄心に、巻線を巻装して構成される。電機子鉄心は複数の部位からなる。例えば特許文献1に開示された電機子鉄心は、巻線が巻装される複数のティース部と、ティース部の背後にあって、複数のティース部を互いに連結するヨーク部とからなる。また、この電機子鉄心は、複数の鉄心片を積層して構成されていて、鉄心片は全て同一の形状を備えている。つまり、全ての鉄心片は、ヨーク部とティース部の両方を形成する形状を備えている。このように、従来の電機子鉄心は、同一の形状を備える鉄心片を積層して構成されているので、ティース部とヨーク部の積層高さは同一である。
電動機や発電機は、効率の最大化、出力の最大化、寸法の最小化等を目標にして設計されるが、これらの設計目標はトレードオフの関係にあって、複数の設計目標の調和を図るような設計がなされる。また、設計目標を達成するためには、ティース部及びヨーク部における磁気飽和の緩和、つまりティース部とヨーク部の断面積の最大化、あるいは巻線の占積率の最大化が要求されるが、これらもトレードオフの関係にある。したがって、電動機や発電機の設計にあたっては、ティース部とヨーク部の断面積及び巻線の占積率の組み合わせが最適になるように、電機子の形状を最適化する必要がある。しかしながら、従来の電機子鉄心では、ティース部とヨーク部の積層高さが同一のものに限定されるので、設計の自由度が低いという問題がある。そのため、ティース部とヨーク部の断面積及び巻線の占積率の組み合わせを最適化することが難しいという問題がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、鉄心片を積層して構成された電機子鉄心であって、特定の部位の積層高さが他の部位の積層高さと異なるように構成することができる電機子鉄心及び電機子鉄心の製造方法を提供するものである。
上記課題を解決するために、本発明の第1の観点に係る電機子鉄心は、複数の鉄心片を積層してなる電機子鉄心において、複数の部位を形成する形状を備える前記鉄心片を積層してなる中心部と、前記中心部に接するとともに、前記中心部を構成する前記鉄心片が備える形状の一部を欠いた形状を備える前記鉄心片を積層してなる端部と、を備えることを特徴とする。
前記電機子鉄心は、ヨーク部とティース部を備えるとともに、前記中心部を構成する前記鉄心片は、前記ヨーク部と前記ティース部の両方を形成する形状を備え、前記端部を構成する前記鉄心片は、前記ティース部の全てと、前記ヨーク部の一部であって前記ティース部と連続する部分を形成する形状を欠いているようにしても良い。
前記電機子鉄心は、ヨーク部とティース部を備えるとともに、前記中心部を構成する前記鉄心片は、前記ヨーク部と前記ティース部の両方を形成する形状を備え、前記端部を構成する前記鉄心片は、前記ティース部の全てと、前記ヨーク部の一部であって前記ティース部と連続する部分を形成する形状を備えるようにしても良い。前記ヨーク部の前記ティース部と連続する部分は、環状に連続した形態でも良いし、前記ティース毎に独立した形態でも良い。
前記電機子鉄心の端部に積層される前記鉄心片の前記ティース部を形成する部分の幅は、前記電機子鉄心の他の前記鉄心片の当該部分の幅より小さくなるように構成されても良い。
本発明に係る電機子鉄心は、前記電機子鉄心を貫く貫通孔が形成されていて、前記貫通孔に樹脂材料が充填されているようにしても良い。
本発明に係る電機子鉄心は、前記電機子鉄心に巻装される巻線と前記電機子鉄心の間に配置されて、両者を電気的に絶縁する絶縁体を備えるとともに、前記絶縁体は前記樹脂材料と同一の樹脂で成形されているようにしても良い。
本発明の第2の観点に係る電機子鉄心の製造方法は、上記の電機子鉄心の製造方法であって、前記鉄心片を積層する積層工程と、積層された前記鉄心片を成形型の中に入れて、前記樹脂材料を前記成形型に注入して、前記樹脂材料を前記貫通孔に充填するとともに、前記樹脂材料と同一の樹脂で前記絶縁体を成形する充填成形工程と、を有する。
本発明によれば、鉄心片を積層して構成された電機子鉄心において、特定の部位の積層高さを自由に変更できるので、電機子鉄心設計の自由度が大きくなる。その結果、電機子鉄心の設計が容易になる。
また、本発明に係る方法によれば、貫通穴への樹脂材料の充填と、前記樹脂材料による絶縁体の成型を同一工程で実行するので、製造工程を合理化して、製造コストを削減することができる。
以下、本発明に係る電機子鉄心、及び該電機子鉄心の製造方法について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、ここでは、電動機用の電機子鉄心を例に挙げて説明する。
まず、図1〜図3を参照して、本発明の第1の実施形態にかかる固定子鉄心1の構成を説明する。なお、図1は、固定子鉄心1の全体の外形を示す斜視図であって、図2は固定子鉄心1を、回転軸Xを含む平面で切断した縦断面図である。固定子鉄心1は、後述する電動機の構成部品の一つであって、図2に示すように、鉄心片2を積層して構成され、ヨーク部3とティース部4を備えている。ヨーク部3は固定子鉄心1の外郭を構成する円輪状の部分であって、ヨーク部3の内側には、複数のティース部4が突出している。なお、鉄心片2は、例えばケイ素等を添加して鉄損を低下させた鋼板(いわゆる電磁鋼板)の薄板をプレスで打ち抜いて成形される。
また、固定子鉄心1は、中心部5、上端部6及び下端部7に区分される。中心部5は、固定子鉄心1の積層高さ方向において中心部を占める位置に配置されていて、ヨーク部3とティース部4を構成する鉄心片2を積層して構成されている。上端部6は中心部5の上面に接して、下端部7は中心部5の下面に接して、それぞれ配置された部分であって、鉄心片2’を積層して構成されている。鉄心片2がヨーク部3とティース部4を形成する形状を備えているのに対して、鉄心片2’はヨーク部3を形成する形状だけを備え、ティース部4を構成する形成を備えていない。つまり、上端部6及び下端部7を構成する鉄心片2’は中心部5を構成する鉄心片2とは形状が異なる。なお、鉄心片2’は、鉄心片2と同様に、電磁鋼板の薄板をプレスで打ち抜いて成形される。また、図2においては、煩雑を避けるために、鉄心片2、2’の断面にハッチングを施していない。図3以下についても同様である。
このように、中心部5は鉄心片2を積層して構成され、上端部6と下端部7は鉄心片2’を積層して構成されるので、ティース部4は中心部5にだけ形成されて、上端部6と下端部7には形成されない。このため、ティース部4の積層高さはヨーク部3の積層高さに比べて小さくなる。
また、固定子鉄心1のヨーク部3には、固定子鉄心1の上面から下面までを貫く貫通孔8が形成されている。貫通孔8は、鉄心片2、2’をプレスで打ち抜いて成形する際に、鉄心片2、2’を貫く透穴を形成して、該透穴の位置を合わせて、鉄心片2、2’を積層することによって形成される。貫通孔8には、図3に示すように、樹脂材料10が充填されている。樹脂材料10は、貫通孔8内で硬化して、鉄心片2、2’を互いに締結している。
同じく、図3に示すように、固定子9のティース部4には絶縁体11が取り付けられていて、絶縁体11の上には巻線12が巻装されている。絶縁体11は、固定子鉄心1と巻線12を電気的に絶縁する部材であって、一般にインシュレータと呼ばれる。なお、絶縁体11は、樹脂材料10の貫通孔8への充填と同一工程において、樹脂材料10と同一の樹脂で成型される。この工程の詳細については後述する。
樹脂材料10は、硬化前は流動性を有していて、加圧注入による充填と成型が可能であって、硬化後は所望の機械的強度と電気的絶縁性を発揮するものであれば、その種類は特に限定されないが、本実施形態では樹脂材料10としてエポキシ系樹脂を使用している。エポキシ系樹脂は熱硬化樹脂であって、固定子9の製造過程あるいは使用中に高温に曝されても、軟化、液化することがないので都合が良い。もっとも、製造過程あるいは使用中において、固定子9が曝される温度が、当該樹脂が軟化する温度よりも低ければ、熱可塑性樹脂を樹脂材料10として使用することも可能である。
固定子鉄心1と巻線12を電気的に絶縁する方法としては、ティース部に絶縁フィルムや絶縁紙を巻きつけて絶縁層を形成する方法や、別工程で成形した絶縁部材をティースに装着する方法等もあるが、樹脂材料10を貫通孔8への充填と絶縁体11の成形を同一工程で実行すれば、生産性が向上する。
次に、図4と図5を参照して、本発明の他の実施形態に係る固定子鉄心1の構成を説明する。本発明の第2の実施形態に係る固定子鉄心1は、図4(a)に示すように、中心部5はヨーク部3とティース部4の両方を備え、上端部6及び下端部7はティース部4の全てと、前記ヨーク部3の一部を欠いた形状を備えることを特徴としている。つまり、上端部6及び下端部7は、ティース部4の全てと、全体として環状に構成されたヨーク部3の内側にあってティース部4と連続する環状部を欠いた形状を備えている。第2の実施形態に係る固定子鉄心1は、図4(b)に示すように、上端部6において、ヨーク部3のティース部4とつながる部分を部分的に切り欠くようにしても良い。この場合、上端部6のヨーク部3の内、ティース部4とつながらない部分の幅は、中心部5のヨーク部3の幅と同じになる。
本発明の第3の実施形態に係る固定子鉄心1は、図5(a)に示すように、中心部5はヨーク部3とティース部4の両方を備え、上端部6及び下端部7はティース部4の全てと、ヨーク部3の一部を備えることを特徴としている。また、上端部6及び下端部7が備えるヨーク部3の一部は全体として環状に構成され、ティース部4と連続している。つまり、上端部6及び下端部7は、第2の実施形態において欠いていた部分を備え、第2の実施形態において備えていた部分を備えていないことを特徴としている。なお、図5(a)においては、下端部7は中心部5の下に隠れて見えない。
本発明の第4の実施形態に係る固定子鉄心1は、図5(b)に示すように、中心部5はヨーク部3とティース部4の両方を備え、上端部6及び下端部7は、ティース部4毎に分割された形状であって、ティース部4の全てとヨーク部3の一部を備える形状を備えることを特徴としている。なお、図5(b)においても、下端部7は中心部5の下に隠れて見えない。
次に、図6を参照して、第2の実施形態に係る固定子鉄心1と固定子9の特徴を説明する。前述したように、上端部6及び下端部7は、ティース部4の全てと、全体として環状に構成されたヨーク部3の内側にあってティース部4と連続する環状部を欠いている。そのため、縦断面図(電動機の回転軸を含む平面で切断して得られる断面)で見ると、図6(a)に示すように、上端部6と下端部7におけるヨーク部3の幅は、中心部5におけるヨーク部3の幅より小さくなる。なお、図中の破線は中心部5における、ヨーク部3とティース部4の境界を示している。このように構成されているので、図6(b)に示すように、ティース部4の周囲に絶縁部11を形成する場合に、絶縁部11の一部(図において左端)をヨーク部3側に張り出すように成型できる。つまり、上端部6及び下端部7において、ヨーク部3の一部が切り欠かれた部分に絶縁部11の左端部を形成することができる。そのため絶縁部11の内側寸法を拡大して、巻線12の占積率を拡大することができる。
次に、図7を参照して、第3の実施形態に係る固定子鉄心1と固定子9の特徴を説明する。前述したように、第3の実施形態に係る固定子鉄心1は、上端部6及び下端部7にティース部4の全てと、ヨーク部3の一部を備えることを特徴としている。また、ヨーク部3の前記一部は全体として環状に構成され、ティース部4と連続している。これを縦断面図で見ると、図7(a)に示すように、上端部6と下端部7の左端は、ヨーク部3とティース部4の境界を越えて図の左側に張り出している。このように構成されているので、図7(b)に示すように、絶縁部11の一部(図において左端)をヨーク部3側に張り出すように成型でき、第2の実施の形態と同様に、絶縁部11の内側寸法を拡大して、巻線12の占積率を拡大することができる。また、第3の実施形態に係る固定子鉄心1は、ヨーク部3に形成された貫通孔8に加えて、ティース部4に貫通孔8’が形成される。図7(b)に示すように、貫通孔8’には樹脂材料10と同一の樹脂材料10’が充填されて、上端部6と下端部7を中心部5と締結している。
第1の実施形態に係る固定子9は、図8に示すように構成されても良い。この固定子9は、図8(a)に現れる縦断面形においては、図3に示した固定子9と同様に構成されているが、ティース部4をA−A線で切断した横断面形に特徴がある。すなわち、図8(b)に示すように、ティース部4の最上段と最下段にある鉄心片2’aの幅、つまり図8(b)に現れる横方向の長さが、他の鉄心片2に比べて小さい。このように構成することによって、絶縁体11の横断面の隅部の曲率半径を大きくできるので、巻線12(図8において図示せず)の巻装が容易になる。また、隅部の曲率半径を大きくすると、絶縁体11の横断面の周長が短くなる。その結果、巻線12の長さが短くなるので、銅損が減少し、電動機の効率が向上する。幅を短くする鉄芯は最上段と最下段にある鉄心片2’aに限られない。図8(c)に示すように、ティース部4の最上段と最下段において、鉄心片2’a、2’b、2’cを順に積層して、ティース部4の幅が漸増するようにしても良い。なお、このような構成は、他の実施形態に係る固定子9にも適用することができる。
次に、固定子鉄心1の製造方法について説明する。なお、以下において、第2の実施形態に係る固定子鉄心1を例にして、その製造方法を説明するが、他の実施形態に係る固定子鉄心1も同じ方法で製造できる。
固定子鉄心1の製造にあたっては、まず、硅素鋼鈑等の電磁鋼鈑をプレスで打ち抜いて、鉄心2及び鉄心2’を形成する。そして、貫通孔8が形成されるように、位置を揃えて、鉄心片2及び鉄心片2’を積層する(積層工程)。この時、鉄心片2及び鉄心片2’を正しく積層するために治具を使用しても良いし、積層された鉄心片2及び鉄心片2’を一時的に固定するクリップのようなものを使用しても良い。次に、積層された鉄心片2及び鉄心片2’を、後述する成形型に入れて、貫通孔8に樹脂を注入して、貫通孔8を樹脂材料10で充填するとともに、樹脂材料10と同一の樹脂を前記成形型に注入して絶縁体11を成型する(充填成型工程)。
充填成型工程において使用される成形型は図9に示すような上金型13と下金型14とから構成されていて、充填成型工程は、固定子鉄心1を上金型13と下金型14の間に挟んで行う。上金型13と下金型14は図示しない樹脂充填装置に取り付けられて、固定子鉄心1を押圧する。上金型13は充填用樹脂注入口15と成型用樹脂注入口16を備えている。充填用樹脂注入口15は貫通孔8に連通している。成型用樹脂注入口16は固定子鉄心1と上金型13及び下金型14の間に形成された隙間17に連通している。隙間17は絶縁体11を成形する鋳型として機能する形状を備えている。そして、前記樹脂充填装置から樹脂材料10の原料樹脂が供給され、充填用樹脂注入口15と成型用樹脂注入口16を通じて、貫通孔8と隙間17に注入される。その後、所定の温度に加温すると、前記原料樹脂は貫通孔8と隙間17において硬化して樹脂材料10を形成する。隙間17において硬化した前記原料樹脂は絶縁体11を形成する。その後、固定子鉄心1を上金型13と下金型14から取り出して、ゲートの切断等の後処理を行えば、充填成型工程は完了する。なお、前記樹脂充填装置は公知であるので、その詳細な機構の説明は省略する。必要ならば、例えば、特開2014−7899号公報、特開2014−96942号公報等を参照されたい。
上記製造方法によれば、貫通孔8へ樹脂材料10を充填するのと、実質的に同時に、樹脂材料10で絶縁体11を成型するので、固定子鉄心の製造工程を合理化して生産コストを低減することができる。また、固定子鉄心1に合わせて絶縁体11を成形するので、絶縁体11を別工程で成形してティースに装着する場合に必要な、固定子鉄心1の寸法のばらつきに対応する余裕を絶縁体11に持たせる必要がない。そのため、絶縁体11の寸法余裕に起因する巻線12の占積率の低下や鉄心占積率の低下が生じない。
最後に、図10と図11を参照して、本発明の実施形態に係る電動機18について、説明する。図10に示した電動機18は、回転軸19を介してハウジング20に回転自在に支持された回転子21を備え、固定子9はハウジング20の内部に、回転子21と同軸に配置されている。固定子9は図3に示した固定子鉄心1を備えている。また、固定子9の上下にあって、固定子9とハウジング20に挟まれた空隙22,23には、電動機18の図示しない構成部品、例えば、端子台や、巻線12に電力を供給する配線が収容される。
図10に示した電動機18の固定子鉄心1は、ヨーク部3を形成する形状だけを備える鉄心片2’を積層して上端部6及び下端部7を構成しているので、ティース部4の積層高さを変えずに、ヨーク部3の積層高さだけを高くすることができる。ヨーク部3の積層高さを高くすれば、ヨーク部3の断面積が大きくなるから、ヨーク部3を通過する磁束密度が小さくなる。その結果、鉄損が減少するから、電動機18の効率が向上する。なお、この時、ティース部4の積層高さは変らないから、巻線12の長さも変わらないので、銅損は変わらない。ヨーク部3の断面積を一定にして、ヨーク部3の積層高さを高くする設計を選択すれば、ヨーク部3の幅を小さくできるので、その分、ティース部4の長さを長くして、巻線12の占積率を拡大できる。その結果、電動機18の出力と効率が向上する。電動機18の外径とティース部4の長さを一定にした場合に、ヨーク部3の積層高さを高くして、ヨーク部3の幅を小さくすれば、回転子21の外径を大きくすることができる。その結果、電動機18の出力が向上する。
また、図10に示した電動機18の固定子鉄心1は、ヨーク部3において鉄心片2’を積み上げているので、ヨーク部3とハウジング20に挟まれた空隙22を、図12に示した従来技術に係る電動機18に比べて、小さくすることができる。つまり、ハウジング20内の無駄なスペースを小さくできる。
図11に示した電動機18の固定子9の固定子鉄心1は、ティース部4を構成する形状だけを備える鉄心片2’を積層して上端部6及び下端部7を構成している。したがって、図10に示した電動機18の固定子9の固定子鉄心1の場合とは逆に、この固定子鉄心1においては、ティース部4の積層高さはヨーク部3より高い。また、ヨーク部3の上下に空隙22が形成されていて、空隙22に、端子台や、巻線12に電力を供給する配線を収容できる。
このように、図11に示した電動機18は、ティース部4の積層高さを高くしているので、ティース部4の断面積を拡大して、ティース部4を通過する磁束密度を小さくすることができる。その結果、ティース部4における鉄損が減少するので、電動機18の効率が向上する。あるいは、ティース部4に生じる磁束を大きくすることができるので、電動機18の出力を大きくすることができる。
また、図11に示した電動機18の固定子鉄心1は、ティース部4において鉄心片2’を積み上げているので、図12に示した従来技術に係る電動機18にあった、ティース部4とハウジング20に挟まれた空隙23を無くすことができる。つまり、ハウジング20内の無駄なスペースを小さくできる。
なお、図6(b)と図7(b)に示した固定子9を用いれば、それぞれ、第2の実施形態と第3の実施形態に係る電動機18を構成することができる。図5(b)に示した固定子鉄心1を用いれば、第4の実施形態に係る電動機18を構成することができる。
なお、上記の実施形態は本発明の具体的実施態様を例示するものであって、本発明の技術的範囲を画すものではない。本発明は特許請求の範囲に記述された技術的思想の限りにおいて、自由に変形、応用あるいは改良して実施することができる。
上記実施形態においては、本発明を固定子鉄心1に適用する例を示したが、本発明の適用対象は、固定子鉄心には限定されない。本発明は、回転子鉄心に適用することもできる。
図1等に示した固定子鉄心1の形状や形態は例示であって、本発明の適用対象は、かかる形状や形態を備える電機子鉄心には限定されない。例えば、ヨーク部3の形状、ティース部4の形状や個数、中心部5、上端部6及び下端部7の寸法比率は例示であって、本発明の技術的範囲は、これらによっては限定されない。
上記実施形態において、本発明に係る「端部」の具体例として、上端部6と下端部7を例示したが、「端部」を「上端部」と「下端部」に限定する意図はない。例えば、固定子鉄心1を反転させれば、上端部6と下端部7は入れ替わるし、固定子鉄心1を横転させれば、左端部と右端部が「端部」になる。
上記実施形態においては、中心部の両端面に端部が対称に配置された例を例示したが、本発明の技術的範囲は、対称に配置された端部を備えるものには限定されない。例えば、上端部6と下端部7の形状や寸法は異なっていても良いし、上端部6あるいは下端部7のいずれか一方だけを備えるものであっても良い。
上記実施形態においては、貫通孔8をヨーク部3に形成した例(図1〜5,6,8〜10,12)と貫通孔8に加えて、貫通孔8’をティース部4に形成した例(図7,11)を例示したが、本発明の技術的範囲は、これらには限定されない。貫通孔をどこに形成するかは、全くの任意である。
上記実施形態においては、貫通孔8に充填され、絶縁体11を形成する樹脂材料10としてエポキシ系樹脂を例示したが、本発明の技術的範囲はエポキシ系樹脂を使用するものには限定されない。樹脂材料の選択は全くの任意である。
上記実施形態においては、貫通孔へ樹脂材料を充填すると同時に、前記樹脂材料による絶縁体の成形を実行したが、両者は同一工程において実行されれば良い。つまり、充填と成形は同時に実行されても良いし、連続して実行されても良い。また、連続して実行される場合の順序は限定されない。なお、貫通孔8に充填する樹脂材料10と同一の樹脂材料で絶縁体11を成形したが、貫通孔8への充填と絶縁体11の成形のそれぞれに適した樹脂材料となるように、添加するフィラー等の種類、量を異なるものにしても良い。この場合、複数種の原料樹脂を供給できるように、樹脂充填装置を構成すれば良い。
上記実施形態において示した、絶縁体11及び上金型13、下金型14の形状は例示であって、本発明の技術的範囲はこれらによっては限定されない。
図10、11において、空隙22、23を例示したが、本発明の技術的範囲は、空隙22、23の有無や位置によっては限定されない。
上記実施形態においては、鉄心片の材料として電磁鋼板を例示したが、本発明の技術的範囲は電磁鋼板を使用するものには限定されない。冷延鋼板やアモルファス等、電機子鉄心を構成可能な材料であれば良く、材料の選択は全くの任意である。
上記実施形態においては、いわゆる一体型の固定子鉄心1を例示したが、固定子鉄心1は図13に示すような分割型の固定子鉄心1であっても良い。すなわち、図13(a)に示すような分割固定子鉄心24を8個、環状に配列して、図13(b)に示すような固定子鉄心1を構成しても良い。なお、分割固定子鉄心24は、固定子鉄心1を8分割したものには限定されない。例えば、分割固定子鉄心24は、固定子鉄心1を4分割したものであっても良いし、12分割したものであっても良い。つまり、4個の分割固定子鉄心24を組み合わせて固定子鉄心1が構成されても良いし、12個の分割固定子鉄心24を組み合わせて固定子鉄心1が構成されても良い。また、1個の分割固定子鉄心24が備えるティース部4は1個には、限定されない。1個の分割固定子鉄心24が複数個のティース部4を備えるようにしても良い。
上記実施形態においては、貫通孔に樹脂材料を充填することで鉄心片を相互に接合した固定子鉄心を例示したが、接合手段は樹脂材料の充填には限定されない。かしめ等の別の接合手段を選択してもよい。
上記実施形態においては、固定子の内径側に回転子を配置するインナーロータタイプを例示したが、固定子の外径側に回転子を配置するアウターロータタイプでも良い。
1 固定子鉄心
2 鉄心片
2’鉄心片
3 ヨーク部
4 ティース部
5 中心部
6 上端部
7 下端部
8 貫通孔
8’貫通孔
9 固定子
10 樹脂材料
11 絶縁体
12 巻線
13 上金型
14 下金型
15 充填用樹脂注入口
16 成型用樹脂注入口
17 隙間
18 電動機
19 回転軸
20 ハウジング
21 回転子
22 空隙
23 空隙
24 分割固定子鉄心
2 鉄心片
2’鉄心片
3 ヨーク部
4 ティース部
5 中心部
6 上端部
7 下端部
8 貫通孔
8’貫通孔
9 固定子
10 樹脂材料
11 絶縁体
12 巻線
13 上金型
14 下金型
15 充填用樹脂注入口
16 成型用樹脂注入口
17 隙間
18 電動機
19 回転軸
20 ハウジング
21 回転子
22 空隙
23 空隙
24 分割固定子鉄心
Claims (7)
- 複数の鉄心片を積層してなる電機子鉄心において、
複数の部位を形成する形状を備える前記鉄心片を積層してなる中心部と、
前記中心部に接するとともに、前記中心部を構成する前記鉄心片が備える形状の一部を欠いた形状を備える前記鉄心片を積層してなる端部と、
を備えることを特徴とする電機子鉄心。 - 前記電機子鉄心は、ヨーク部とティース部を備えるとともに、
前記中心部を構成する前記鉄心片は、前記ヨーク部と前記ティース部の両方を形成する形状を備え、
前記端部を構成する前記鉄心片は、前記ティース部の全てと、前記ヨーク部の一部であって前記ティース部と連続する部分を形成する形状を欠いている、
ことを特徴とする請求項1に記載の電機子鉄心。 - 前記電機子鉄心は、ヨーク部とティース部を備えるとともに、
前記中心部を構成する前記鉄心片は、前記ヨーク部と前記ティース部の両方を形成する形状を備え、
前記端部を構成する前記鉄心片は、前記ティース部の全てと、前記ヨーク部の一部であって前記ティース部と連続する部分を形成する形状を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の電機子鉄心。 - 前記電機子鉄心の端部に積層される前記鉄心片の前記ティース部を形成する部分の幅は、前記電機子鉄心の他の前記鉄心片の当該部分の幅より小さくなるように構成されている、
ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の電機子鉄心。 - 前記電機子鉄心を貫く貫通孔が形成されていて、前記貫通孔に樹脂材料が充填されている、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の電機子鉄心。 - 前記電機子鉄心に巻装される巻線と前記電機子鉄心の間に配置されて、両者を電気的に絶縁する絶縁体を備えるとともに、
前記絶縁体は前記樹脂材料と同一の樹脂で成形されている、
ことを特徴とする請求項5に記載の電機子鉄心。 - 請求項6に記載の電機子鉄心の製造方法であって、
前記鉄心片を積層する積層工程と、
積層された前記鉄心片を成形型の中に入れて、前記樹脂材料を前記成形型に注入して、前記樹脂材料を前記貫通孔に充填するとともに、前記樹脂材料と同一の樹脂で前記絶縁体を成形する充填成形工程と、
を有する電機子鉄心の製造方法。
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