JP4704761B2 - 電気銅メッキ浴、並びに銅メッキ方法 - Google Patents

電気銅メッキ浴、並びに銅メッキ方法 Download PDF

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Description

本発明は電気銅メッキ浴並びに銅メッキ方法に関して、素地表面への均一電着性に優れ、特に、ビアホール及びスルーホールの混在する基板などに電気銅メッキを施した場合、ビアホールへの銅充填(ビアフィリング)とスルーホールへの均一電着性を共に良好に達成できるものを提供する。
電気銅メッキ浴としては、従来、硫酸をベース酸とする硫酸銅浴、ピロリン酸銅浴、或はシアン化銅浴などが公知である。このうち、シアン化銅浴は均一電着性は良いが、レベリング能力が不足するうえ、排水処理にも慎重を要する。
また、硫酸銅浴やピロリン酸浴はシアン化銅浴よりレベリング作用は大きいが、均一電着性の点で未だ不充分な点が残る。しかも、ビアホール並びにスルーホールの混在する基板に適用した場合、ビアフィリングはビアの底部には厚く、ビア周辺には薄く膜厚形成する必要があり、メカニズム的に均一電着性とは別ものである(或は、相反する)ため、ビアフィリングとスルーホールへの均一電着性の両立は容易でない。
そこで、銅の有機酸浴の従来技術を挙げると、下記のものがある。
先ず、特許文献1には、ミクロン又はサブミクロン寸法のトレンチ又はビアの金属化や、銅の種層に対する腐食性が低減するなどの目的で、銅アルカンスルホン酸塩及び遊離のアルカンスルホン酸を含有する電気銅メッキ液が開示されている(請求項1、段落8〜13参照)。当該アルカンスルホン酸として、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸などを挙げている(請求項3〜5参照)。
特許文献2には、10〜200g/Lの有機酸を含有する銅メッキ浴が記載され、有機酸としてはアルカンスルホン酸及びアルカノールスルホン酸を記載している(請求項4と8参照)。また、硫酸銅を銅塩に使用した電気銅メッキ浴の実施例として、本発明品2〜3と7にメタンスルホン酸浴(メタンスルホン酸の含有濃度は80〜100g/L)を、本発明品4にプロパノールスルホン酸浴(プロパノールスルホン酸の濃度は80g/L)の例を挙げている。
特許文献3には、請求項4と6に、50〜200g/Lの有機酸を含有する酸性銅メッキ浴が記載され、有機酸として、メタンスルホン酸、プロパンスルホン酸などのアルカンスルホン酸、イセチオン酸、プロパノールスルホン酸などのアルカノールスルホン酸、クエン酸、酒石酸、ギ酸を記載している(請求項6と段落28〜29)。但し、同文献3の実施例には硫酸をベース酸とする従来の硫酸銅浴の例しか記載がない。
また、特許文献4〜5についても、同様に、請求の範囲では、アルカンスルホン酸、アルカノールスルホン酸などの有機酸を含有する酸性銅メッキ浴を記載するが、実施例には硫酸をベース酸とする従来の硫酸銅浴の例しか記載がない。
特許文献6には、銅を含むアルカリ性電解質として酒石酸系メッキ浴を挙げている(請求項1と6)。また、実施例1〜8には、硫酸銅、ロッシェル塩、水酸化ナトリウムを組成とする酒石酸銅メッキ浴が記載されている(段落20)。
特開2001−115294号公報 再公表WO2002/90623号公報 特開2003−253490号公報 特開2003−328179号公報 特開2004−307898号公報 特開平8−192015号公報
上記特許文献1〜5に記載されている銅のアルカンスルホン酸浴又はアルカノールスルホン酸浴では、均一電着作用は硫酸銅浴より改善され、スルーホールへの均一電着性は向上するが、未だ不充分な点が少なくない(後述の試験例参照)。
さらに、ビアホール及びスルーホールの混在する基板に適用すると、上述の通り、ビアフィリングと均一電着性はメカニズム的に別ものであるため、これらを同時に達成するには課題が多い。
また、上記特許文献6に記載されている銅の酒石酸浴も同様の課題が残る。
本発明は、酸性の電気銅メッキ浴において、均一電着性に優れると共に、ビアフィリングにも良好に対処できることを技術的課題とする。
本発明者らは、上記特許文献1〜6に記載されているアルカンスルホン酸などの各種有機酸をベース酸として選択した銅浴を用いて電気メッキを施した場合に、素地表面への均一電着性とビアフィリングの達成度合を鋭意研究した結果、上記特許文献6に記載された酒石酸が属するオキシカルボン酸の中で、グリコール酸、クエン酸などの特定のオキシカルボン酸又はその塩に、メタンスルホン酸やイセチオン酸などの有機スルホン酸を併用した混合酸をベース酸に選択すると、先ず、均一電着性に優れ、次いで、ビアフィリングをも良好に達成できることを見い出して、本発明を完成した。
即ち、本発明1は、(a)可溶性銅塩と、
(b)グリコール酸、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、グルコン酸、グルコヘプトン酸よりなる群から選ばれたオキシカルボン酸又はこれらの塩の少なくとも一種と、アルカンスルホン酸、アルカノールスルホン酸よりなる群から選ばれた有機スルホン酸の少なくとも一種との混合酸からなるベース酸とを
含有する電気銅メッキ浴を用いた電気銅メッキ装置により、
ビアホール及びスルーホールの混在する被メッキ物に銅メッキ皮膜を形成することを特徴とする電気銅メッキ方法である。
本発明2は、電気銅メッキ装置が、メッキ槽と補給槽を別々に設け、メッキ槽に被メッキ物からなる陰極と不溶性陽極を配置し、陽極室をイオン交換膜でメッキ槽から隔離し、メッキ槽に電気銅メッキ浴を収容するとともに、補給槽に陰極と銅を材質とする可溶性陽極を配置し、補給槽に電解質液を収容し、補給槽とメッキ槽を補給路を介して連通させて、
メッキ槽及び補給槽の夫々の陽極と陰極の間に直流電流を印加して、補給槽の陽極から溶解した銅イオンを補給路を介して銅イオン濃度の低下したメッキ槽に補給可能に構成したものであることを特徴とする電気銅メッキ方法である。
本発明3は、上記本発明1又は2において、オキシカルボン酸又はこれらの塩がグリコール酸又はその塩であることを特徴とする電気銅メッキ方法である。
本発明4は、上記本発明3において、グリコール酸の含有量が0.1〜12モル/Lであることを特徴とする電気銅メッキ方法である。
本発明5は、可溶性銅塩及びベース酸を含有する電気銅メッキ浴において、
ベース酸がグリコール酸、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、グルコン酸、グルコヘプトン酸よりなる群から選ばれたオキシカルボン酸又はこれらの塩の少なくとも一種と、アルカンスルホン酸、アルカノールスルホン酸よりなる群から選ばれた有機スルホン酸の少なくとも一種との混合酸であることを特徴とする電気銅メッキ浴である。
特定のオキシカルボン酸と特定の有機スルホン酸の混合酸をベース酸にする銅メッキ浴であるため、従来の硫酸をベース酸とした銅浴、或は、メタンスルホン酸をベース酸とした銅浴などに比して、素地表面への均一電着性に優れ、特に、スルーホールでの均一電着性に高い能力を発揮することができる(後述の試験例参照)。
次いで、本発明の銅メッキ浴は均一電着性のみならず、ビアフィリングにも充分に対処でき、ビアホール及びスルーホールの混在する被メッキ物に適用しても、ビアホールへの銅充填とスルーホールへの均一電着性を共に良好に達成できる。
本発明は、第一に、グリコール酸などの特定のオキシカルボン酸と有機スルホン酸の混合酸をベース酸にする電気銅メッキ浴を用いて、ビアホール及びスルーホールの混在する被メッキ物に銅メッキ皮膜を形成する電気銅メッキ方法であり、第二に、上記混合酸をベース酸とする電気銅メッキ浴である。
尚、本発明の電気銅メッキ浴は特定の有機酸をベース酸とする酸性銅メッキ浴であり、従来のアルカリ性の銅浴に比べて浴管理は容易になる。
本発明1の方法で用いる電気銅メッキ浴、或いは本発明5の電気銅メッキ浴は、可溶性銅塩と、ベース酸としての特定のオキシカルボン酸又はその塩及び特定の有機スルホン酸の混合酸とを基本組成とする。
上記可溶性銅塩は、水溶液中で第一又は第二銅イオンを発生させる可溶性の塩であれば任意のものが使用でき、特段の制限はなく、難溶性塩をも排除するものではない。具体的には、硫酸銅、酸化銅、塩化銅、炭酸銅、酢酸銅、ピロリン酸銅、シュウ酸銅などが挙げられ、硫酸銅、酸化銅が好ましい。
上記特定のオキシカルボン酸はグリコール酸、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、グルコン酸、グルコヘプトン酸よりなる群から選ばれた酸をいい、好ましくはグリコール酸、クエン酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸である。
オキシカルボン酸の塩は、オキシカルボン酸のナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグムシウム塩、アンモニウム塩又はアミン塩などをいう。
本発明5の電気銅メッキ浴では、オキシカルボン酸又はその塩は銅メッキ皮膜への均一電着作用に優れ、有機スルホン酸も同様に有効であるため、オキシカルボン酸又はその塩に有機スルホン酸を混合した酸をベース酸に選択したものである。この場合、有機スルホン酸は、排水処理や銅塩の溶解性の点でも優れている。
上記有機スルホン酸にはアルカンスルホン酸、アルカノールスルホン酸を選択でき、アルカンスルホン酸としては、化学式Cn2n1SO3H(例えば、n=1〜5)で示されるものが使用でき、具体的には、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1―プロパンスルホン酸、2―プロパンスルホン酸、1―ブタンスルホン酸、2―ブタンスルホン酸、ペンタンスルホン酸などの外、ヘキサンスルホン酸、デカンスルホン酸、ドデカンスルホン酸などが挙げられる。好ましい例は、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1―プロパンスルホン酸、2―プロパンスルホン酸である。
上記アルカノールスルホン酸としては、化学式Cm2m1-CH(OH)-Cp2p-SO3H(例えば、m=0〜6、p=1〜5)で示されるものが使用でき、具体的には、2―ヒドロキシエタン―1―スルホン酸、2―ヒドロキシプロパン―1―スルホン酸、2―ヒドロキシブタン―1―スルホン酸、2―ヒドロキシペンタン―1―スルホン酸などの外、1―ヒドロキシプロパン―2―スルホン酸、3―ヒドロキシプロパン―1―スルホン酸、4―ヒドロキシブタン―1―スルホン酸、2―ヒドロキシヘキサン―1―スルホン酸、2―ヒドロキシデカン―1―スルホン酸、2―ヒドロキシドデカン―1―スルホン酸などが挙げられる。好ましい例は、2―ヒドロキシエタン―1―スルホン酸(イセチオン酸)である。
尚、上記有機スルホン酸としては、アルカンスルホン酸、アルカノールスルホン酸を挙げているが、これ以外に芳香族スルホン酸も有効である。
当該芳香族スルホン酸としては、ベンゼンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、フェノールスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸などであって、具体的には、1−ナフタレンスルホン酸、2―ナフタレンスルホン酸、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、p―フェノールスルホン酸、クレゾールスルホン酸、スルホサリチル酸、ニトロベンゼンスルホン酸、スルホ安息香酸、ジフェニルアミン―4―スルホン酸などが挙げられる。
本発明1は、上記混合酸をベース酸とする電気銅メッキ浴を用いてビアホール及びスルーホールの混在する被メッキ物に銅メッキ皮膜を形成する電気銅メッキ方法である。
この場合、ベース酸としての混合酸の一方のオキシカルボン酸又はその塩は単用又は併用できる。グリコール酸などのオキシカルボン酸又はその塩のメッキ浴に対する含有量は0.1〜12モル/Lが適当であり、好ましくは0.2〜3.0モル/Lである。0.1モル/L未満では、銅皮膜の均一電着性を良好に担保できず、銅塩の溶解性にも問題がある。12モル/L以上では効果にあまり差がなく、コストの無駄である。
また、ベース酸としての混合酸の他方の有機スルホン酸も単用又は併用できる。混合酸のメッキ浴に対する含有量は0.1〜12モル/Lが適当であり、好ましくは0.2〜3.0モル/Lである。オキシカルボン酸又はその塩と有機スルホン酸との混合比率(モル/L換算)はオキシカルボン酸又はその塩/有機スルホン酸=1/10〜10/1であるが、オキシカルボン酸又はその塩には銅皮膜の均一電着性を促進する作用に優れることから、オキシカルボン酸又はその塩のモル比率は1/2を越えることが好ましい。
尚、本発明の銅メッキ浴では、特定の酸成分をベース酸に使用することに特徴があるが、硫酸、ピロリン酸などの特定以外の酸が少量混入することを排除するものではない。
本発明の電気銅メッキ浴は、上記基本組成以外に、レベラー、ブライトナー、塩化物などの各種添加剤を含有できることは勿論である。レベラーやブライトナーは銅皮膜に対して光沢作用や平滑化作用を奏する。塩化物はレベラーやブライトナーの光沢作用、平滑化作用を促進する働きがある。
上記レベラーは界面活性剤や染料を主とする窒素系有機化合物などである。
この界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン系界面活性剤、或はアニオン系界面活性剤を単用又は併用できる。
当該ノニオン系界面活性剤の具体例としては、ポリエチレングリコール(以下、PEGという)、ポリプロピレングリコールを初め、C1〜C20アルカノール、フェノール、ナフトール、ビスフェノール類、(ポリ)C1〜C25アルキルフェノール、(ポリ)アリールアルキルフェノール、C1〜C25アルキルナフトール、C1〜C25アルコキシル化リン酸(塩)、ソルビタンエステル、ポリアルキレングリコール、C1〜C22脂肪族アミン、C1〜C22脂肪族アミドなどにエチレンオキシド(EO)及び/又はプロピレンオキシド(PO)を2〜300モル付加縮合させたものや、C1〜C25アルコキシル化リン酸(塩)などが挙げられる。
上記エチレンオキシド(EO)及び/又はプロピレンオキシド(PO)を付加縮合させるC1〜C20アルカノールとしては、メタノール、エタノール、n−ブタノール、t−ブタノール、n−ヘキサノール、オクタノール、デカノール、ラウリルアルコール、テトラデカノール、ヘキサデカノール、ステアリルアルコール、エイコサノール、オレイルアルコール、ドコサノールなどが挙げられる。同じく上記ビスフェノール類としては、ビスフェノールA、ビスフェノールB、ビスフェノールFなどが挙げられる。上記(ポリ)C1〜C25アルキルフェノールとしては、モノ、ジ、若しくはトリアルキル置換フェノール、例えば、p−メチルフェノール、p−ブチルフェノール、p−イソオクチルフェノール、p−ノニルフェノール、p−ヘキシルフェノール、2,4−ジブチルフェノール、2,4,6−トリブチルフェノール、ジノニルフェノール、p−ドデシルフェノール、p−ラウリルフェノール、p−ステアリルフェノールなどが挙げられる。上記アリールアルキルフェノールとしては、2−フェニルイソプロピルフェノール、クミルフェノール、(モノ、ジ又はトリ)スチレン化フェノール、(モノ、ジ又はトリ)ベンジルフェノールなどが挙げられる。上記C1〜C25アルキルナフトールのアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、オクタデシルなどが挙げられ、ナフタレン核の任意の位置にあって良い。上記ポリアルキレングリコールとしては、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン・コポリマーなどが挙げられる。
上記C1〜C25アルコキシル化リン酸(塩)は、下記の一般式(a)で表されるものである。
Ra・Rb・(MO)P=O …(a)
(式(a)中、Ra及びRbは同一又は異なるC1〜C25アルキル、但し、一方がHであっても良い。MはH又はアルカリ金属を示す。)
上記ソルビタンエステルとしては、モノ、ジ又はトリエステル化した1,4−、1,5−又は3,6−ソルビタン、例えばソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンジステアレート、ソルビタンジオレエート、ソルビタン混合脂肪酸エステルなどが挙げられる。上記C1〜C22脂肪族アミンとしては、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ラウリルアミン、ミリスチルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、牛脂アミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミンなどの飽和及び不飽和脂肪酸アミンなどが挙げられる。上記C1〜C22脂肪族アミドとしては、プロピオン酸、酪酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘン酸、ヤシ油脂肪酸、牛脂脂肪酸などのアミドが挙げられる。
更に、上記ノニオン系界面活性剤としては、
1N(R2)2→O
(上式中、R1はC5〜C25アルキル又はRCONHR3(R3はC1〜C5アルキレンを示す)、R2は同一又は異なるC1〜C5アルキルを示す。)などで示されるアミンオキシドを用いることができる。
上記カチオン系界面活性剤としては、下記の一般式(b)で表される第4級アンモニウム塩
(R1・R2・R3・R4N)≡・X≡ …(b)
(式(b)中、Xはハロゲン、ヒドロキシ、C1〜C5アルカンスルホン酸又は硫酸、R1、R2、R3及びR4は同一又は異なるC1〜C20アルキル、アリール又はベンジルを示す。)或は、下記の一般式(c)で表されるピリジニウム塩などが挙げられる。
6−(C54N−R5)≡・X≡ …(c)
(式(c)中、C54Nはピリジン環、Xはハロゲン、ヒドロキシ、C1〜C5アルカンスルホン酸又は硫酸、R5はC1〜C20アルキル、R6はH又はC1〜C10アルキルを示す。)
塩の形態のカチオン系界面活性剤の例としては、ラウリルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニウム塩、ラウリルジメチルエチルアンモニウム塩、オクタデシルジメチルエチルアンモニウム塩、ジメチルベンジルラウリルアンモニウム塩、セチルジメチルベンジルアンモニウム塩、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム塩、トリメチルベンジルアンモニウム塩、トリエチルベンジルアンモニウム塩、ジメチルジフェニルアンモニウム塩、ベンジルジメチルフェニルアンモニウム塩、ヘキサデシルピリジニウム塩、ラウリルピリジニウム塩、ドデシルピリジニウム塩、ステアリルアミンアセテート、ラウリルアミンアセテート、オクタデシルアミンアセテートなどが挙げられる。
上記アニオン系界面活性剤としては、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、{(モノ、ジ、トリ)アルキル}ナフタレンスルホン酸塩などが挙げられる。アルキル硫酸塩としては、ラウリル硫酸ナトリウム、オレイル硫酸ナトリウムなどが挙げられる。ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩としては、ポリオキシエチレン(EO5)ノニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(EO15)ドデシルエーテル硫酸ナトリウムなどが挙げられる。ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩としては、ポリオキシエチレン(EO15)ノニルフェニルエーテル硫酸塩などが挙げられる。アルキルベンゼンスルホン酸塩としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。また、{(モノ、ジ、トリ)アルキル}ナフタレンスルホン酸塩としては、ナフタレンスルホン酸塩、ジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物などが挙げられる。
上記両性界面活性剤としては、カルボキシベタイン、イミダゾリンベタイン、スルホベタイン、アミノカルボン酸などが挙げられる。また、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドとアルキルアミン又はジアミンとの縮合生成物の硫酸化、或はスルホン酸化付加物も使用できる。
代表的なカルボキシベタイン、或はイミダゾリンベタインは、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ミリスチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−ウンデシル−1−カルボキシメチル−1−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、2−オクチル−1−カルボキシメチル−1−カルボキシエチルイミダゾリニウムベタインなどが挙げられ、硫酸化及びスルホン酸化付加物としてはエトキシル化アルキルアミンの硫酸付加物、スルホン酸化ラウリル酸誘導体ナトリウム塩などが挙げられる。
上記スルホベタインとしては、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアンモニウム−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、N−ココイルメチルタウリンナトリウム、N−パルミトイルメチルタウリンナトリウムなどが挙げられる。アミノカルボン酸としては、ジオクチルアミノエチルグリシン、N−ラウリルアミノプロピオン酸、オクチルジ(アミノエチル)グリシンナトリウム塩などが挙げられる。
上記界面活性剤において、好ましいノニオン系界面活性剤としてはPEG、α−ナフトールポリエトキシレート(EO10モル)、エチレンオキシド(EO18モル)とプロピレンオキシド(PO20モル)の共重合体、好ましいカチオン系界面活性剤としてはラウリルトリメチルアンモニウム塩、好ましい両性界面活性剤としてはラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインが挙げられる。
上記染料を主とする窒素系有機化合物は、染料或はその誘導体を初め、アミド系化合物、チオアミド系化合物、アニリン又はピリジン環を有する化合物、各種複素単環式化合物、各種縮合複素環式化合物、アミノカルボン酸類などである。
具体例としては、C.I.(Color Index)ベーシックレッド2、トルイジンブルーなどのトルイジン系染料、C.I.ダイレクトイエロー1、C.I.ベーシックブラック2などのアゾ系染料、3−アミノ−6−ジメチルアミノ−2−メチルフェナジン一塩酸などのフェナジン系染料、コハク酸イミド、2′−ビス(2−イミダゾリン)などのイミダゾリン類、イミダゾール類、ベンゾイミダゾール類、インドール類、2−ビニルピリジン、4−アセチルピリジン、4−メルカプト−2−カルボキシルピリジン、2,2′−ビピリジル、フェナントロリンなどのピリジン類、キノリン類、イソキノリン類、アニリン、チオ尿素、ジメチルチオ尿素などのチオ尿素類、3,3′,3′′−ニトリロ三プロピオン酸、ジアミノメチレンアミノ酢酸、グリシン、N−メチルグリシン、ジメチルグリシン、β−アラニン、システイン、グルタミン酸、アスパラギン酸、アミノ吉草酸、オルニチンなどが挙げられる。
好ましい例は、C.I.ベーシックレッド2、ヤーナスグリーンB、トルイジンブルー、コハク酸イミドが挙げられる。
前記ブライトナーとしては、チオ尿素又はその誘導体、2−メルカプトベンゾイミダゾール、チオグリコール酸などのメルカプタン類、2,2′−チオジグリコール酸、ジエチルスルフィドなどのスルフィド類、3−メルカプトプロパン−1−スルホン酸ナトリウム、ビス(3−スルホプロピル)ジスルフィド(2ナトリウム塩)(以下、SPSという)などのメルカプトスルホン酸類などが挙げられる。
前述の通り、塩化物は上記ブライトナーやレベラーの光沢作用や平滑化作用を促進する働きがあり、塩素イオンを供給可能な化合物を意味する。塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、塩酸、塩化銅などの無機物、第4アルキルアンモニウムクロリド、クロリ酢酸などの塩素系有機化合物が挙げられる。
図2は本発明の電気銅メッキ方法を実施するためのメッキ装置である。一般の電気銅メッキでは、銅を材質とする可溶性陽極を使用して、通電時に銅を溶解させてメッキ槽に銅イオンを補給しているため、銅の表面積が徐々に減少して表面積を一定に保持することが困難であり、メッキ浴の組成が変動し、電流密度の分布が不均一になり、また、陽極スライムが発生する問題もある。そこで、本発明2は、メッキ槽には不溶性陽極を配置し、メッキ槽とは別に設けた補給槽に銅陽極を配置して、補給槽からメッキ槽に銅イオンを補給可能に構成した電気銅メッキ装置により、本発明1の銅メッキを施す方法である。これにより、陽極の形状変化がなく、メッキ槽の浴管理が容易になるうえ、陽極でのスライムの発生を防止できるなどの利点がある。
即ち、上記メッキ装置は函型のメッキ槽1と補給槽2から構成される。メッキ槽1には被メッキ物からなる陰極3と白金又はカーボンなどの不溶性陽極4を配置し、ケース状のイオン交換膜5で陽極4を下方から遊嵌し、陽極室6をメッキ槽1から隔離するとともに、メッキ槽1に本発明の電気銅メッキ浴7を収容する。
上記補給槽2に陰極9と銅を材質とする可溶性陽極8を配置し、補給槽2に電解質液10を収容する。補給槽2とメッキ槽1を補給路12を介して連通させ、補給路11には搬送ポンプ12及びフィルタ13を介装する。また、仮想線で示すように、補給路12とは別に、還流路14を介してメッキ槽1と補給槽2を連通し、還流路14に搬送ポンプ15を介装することにより、メッキ槽1と補給槽2を循環可能に連通しても良い。
そして、メッキ槽1及び補給槽2の夫々の陽極と陰極の間に直流電流を印加して、補給槽2の銅陽極8から溶解した銅イオンを補給路11を介して銅イオン濃度の低下したメッキ槽1に補給可能にしながら、被メッキ物に銅メッキを施す。
銅メッキ浴に含有されるレベラーやブライトナーなどの添加剤は不溶性陽極で分解され易いため、上記メッキ槽1のイオン交換膜5は当該添加剤が不溶性陽極3に移動するのを防止し、電子の移動だけを行うためのものであり、アニオン、カチオンのいずれであっても良い。銅イオンを透過可能にしたい場合にはカチオン交換膜を、透過不能にしたい場合にはアニオン交換膜を選択すると良い。
陽極室6をイオン交換膜5でメッキ槽1から隔離する形態としては、不溶性陽極4を囲繞するタイプのアノードケース(図2参照)に代えて、陽極室と陰極室を隔壁状のイオン交換膜5で隔離しても良い。
補給槽2に収容する電解質液10は特に制限はないが、本発明で特定された酸(グリコール酸と有機スルホン酸の混合酸など)、本発明の銅メッキ浴から銅塩を除いた液、或は、蒸留水などが適当である。尚、メッキ槽1と補給槽2を循環式にする場合には、メッキ槽1に収容される銅メッキ浴のベース酸を本発明の特定の酸又はその塩に良好に保持するため、電解質液10に本発明の特定以外の酸(例えば、硫酸など)を選択することは避けた方が良い。
以下、本発明の電気銅メッキ浴の実施例、当該メッキ浴を用いたハルセルテストによる均一電着性並びにスルーホールでの均一電着性の各評価試験例を順次説明する。
尚、本発明は、下記の実施例、試験例に拘束されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意の変形をなし得ることは勿論である。
《電気銅メッキ浴の実施例》
実施例1〜5は特定のオキシカルボン酸と有機スルホン酸との混合酸をベース酸にする例である。このうち、実施例4は混合酸の濃度を上記標準濃度から増量した例である。
また、比較例1〜4のうち、比較例1と2は従来公知の硫酸をベース酸とする銅浴の例である。比較例3は冒述の特許文献1〜5に準拠した銅の有機酸浴の例であり、具体的にはメタンスルホン酸をベース酸にする例である。比較例4は冒述の特許文献6に準拠して酒石酸塩(ロッシェル塩)をベース酸にする例である。
尚、実施例及び比較例の各銅メッキ浴について、銅塩と酸の夫々の種類と含有量を図1の左半部の欄にまとめた(濃度の単位Mはモル/Lを表す)。
先ず、下記に標準組成の電気銅メッキ浴を示す。
[標準組成の電気銅メッキ浴]
可溶性銅塩(Cuイオンとして) 0.8モル/L
酸 0.5モル/L
PEG(平均分子量2000) 10ppm
ヤーナスグリーンB 10ppm
SPS 10ppm
塩化物イオン 10ppm
当該電気メッキ浴のメッキ条件は浴温25℃、陰極電流密度2A/dm2とする。
(1)実施例1
上記標準メッキ浴を基本として、可溶性銅塩に酸化銅、酸にグリコール酸とメタンスルホン酸(MSA)の混合酸を各々使用して、電気銅メッキ浴を建浴した。混合酸のうちのグリコール酸の含有量は0.3モル/L、MSAは0.2モル/Lに調整した(従って、酸の合計量は0.5モル/Lである;下記の実施例2〜3、5も同様)。
(2)実施例2
上記標準メッキ浴を基本として、可溶性銅塩に酸化銅、酸にグリコール酸とイセチオン酸の混合酸を各々使用して、電気銅メッキ浴を建浴した。混合酸のうちのグリコール酸の含有量は0.3モル/L、イセチオン酸は0.2モル/Lに調整した。
(3)実施例3
上記標準メッキ浴を基本として、可溶性銅塩に酸化銅、酸にグリコール酸とMSAの混合酸を各々使用して、電気銅メッキ浴を建浴した。混合酸のうちのグリコール酸の含有量は0.1モル/L、MSAは0.4モル/Lに調整した。
(4)実施例4
上記標準メッキ浴を基本として、可溶性銅塩に酸化銅、酸にグリコール酸とMSAの混合酸を各々使用し、酸化銅の含有量を0.5モル/Lから0.3モル/Lに減量し、酸の含有量を0.5モル/Lから2.0モル/Lに増量して、電気銅メッキ浴を建浴した。混合酸のうちのグリコール酸の含有量は1.0モル/L、MSAは1.0モル/Lに調整した。
(5)実施例5
上記標準メッキ浴を基本として、可溶性銅塩に酸化銅、酸にグリコール酸とイセチオン酸の混合酸を各々使用して、電気銅メッキ浴を建浴した。混合酸のうちのグリコール酸の含有量は0.4モル/L、イセチオン酸は0.1モル/Lに調整した。
(15)比較例1
上記標準メッキ浴を基本として、可溶性銅塩に硫酸銅、酸に硫酸を各々使用して、電気銅メッキ浴を建浴した。
(16)比較例2
上記標準メッキ浴を基本として、可溶性銅塩に酸化銅、酸に硫酸を各々使用して、電気銅メッキ浴を建浴した。
(17)比較例3
上記標準メッキ浴を基本として、可溶性銅塩に酸化銅、酸にMSAを各々使用して、電気銅メッキ浴を建浴した。
(18)比較例4
下記の組成で電気銅メッキ浴を建浴した。
酸化銅(Cuイオンとして) 0.16モル/L
ロッシェル塩 0.35モル/L
水酸化ナトリウム 50g/L
当該電気メッキ浴のメッキ条件は浴温60℃、陰極電流密度2A/dm2とする。
そこで、上記実施例1〜5及び比較例1〜4の各電気銅メッキ浴を用いてハルセルテストを行い、均一電着性を評価した。
《ハルセルテストによる均一電着性の評価試験例》
即ち、鉄製のハルセル板を用いて、1A−5分−無撹拌の条件で通電しながら銅メッキを行って、高電流端から1.0cm、3.5cm、6.0cm、8.5cmの膜厚を蛍光X線膜厚計により測定し、下記に示すFieldの式に基づいて、異なる2点間の均一電着性の比率T(%)を算出した。異なる2点間の組み合わせは、6.0/8.5→P4.5、3.5/8.5→P10、1.0/8.5→P22とした。
[Fieldの式]
T(%)=100(P−M)/(P−M−2)
T:均一電着性
P:2点間の一次電流分布比
M:2点間のメッキ膜厚の比
(但し、ハルセルの陰極上の一次電流密度の分布は、i=I(5.10−5.24LogL)で表される。i:電流密度(A/dm2)、I:全電流(A)、L:高電流密度側端部からの距離(cm);所定の組み合わせによる2点間の電流密度の比が、夫々の一次電流密度分布比Pの数値(P4.5、P10、P22)となり、当該組み合わせによる測定点のメッキ膜厚の比が夫々Mの数値となる。)
図1の右寄り中央の欄は、均一電着性の試験結果をP4.5、P10、P22に分けて示したものである。
理論的に、一次電流密度分布比Pでは、P4.5<P10<P22の順に数値が良くなり、固定した2点間のP値ごとに均一電着性は評価することができる。下記の評価はP22の項目に該当する実施例と比較例の対比に基づいて行ったが、P4.5、P10でも同様の傾向を示した。
従来公知の硫酸をベース酸とする比較例1〜2の均一電着性(P22)は37.7〜33.1%であったが、実施例1〜5では、52.0〜69.8%(P22)を示し、特に、酸濃度の高い実施例4では概ね70%を示した。一般の目安として、P22で70%以上はきわめて優れた数値である。
従って、本発明の特定のオキシカルボン酸と有機スルホン酸の混合酸をベース酸とする銅メッキ浴は、均一電着性の点で比較例1〜2に対して顕著な優位性を示した。
冒述の特許文献1〜5に準拠したメタンスルホン酸をベース酸とする比較例3の均一電着性は40.0%であり、やはり実施例1〜5の均一電着性の数値の方が優れていることが認められた。とりわけ、比較例3と酸濃度が同じ(0.5モル/L)実施例を対比すると、実施例1では56.7%、実施例2では58.4%、実施例3では52.0%、実施例5では60.1%を示したことから、比較例3との対比で優れた均一電着性が確認できた。例えば、メタンスルホン酸とグリコール酸との混合酸をベース酸とする実施例1が、メタンスルホン酸をベース酸に単用した比較例3より均一電着性が大きく向上している点は注目に値し、グリコール酸の併用が均一電着性の改善に大きく寄与したことが推定できる。
冒述の特許文献6に準拠したロッシェル塩をベース酸とする比較例4の均一電着性は43.9%であり、実施例1〜5の数値はすべて上回った。従って、本発明の特定のオキシカルボン酸と有機スルホン酸の混合酸をベース酸とする銅メッキ浴は、均一電着性の点で比較例4より概ね優位性があることが確認できた。
次いで、実施例1〜5の均一電着性を詳細に評価する。
即ち、特定のオキシカルボン酸(グリコール酸)と有機スルホン酸との混合酸をベース酸とする実施例1〜5を見ると、グリコール酸とメタンスルホン酸を混合した実施例1では、メタンスルホン酸を単用した比較例3より優れた均一電着性を示した。また、混合酸の種類と濃度が同じ場合、グリコール酸の割合が増すと(実施例3→1、実施例2→5)、均一電着性は向上した。さらに、混合酸の濃度が増すと、均一電着性は向上した(実施例1、3→実施例4)。
《スルーホールでの均一電着性評価試験例》
スルーホール径0.4mm、板厚2.0mmのガラス・エポキシ系基板に、常法に従ってPd触媒活性を施し、薄付け無電解銅メッキを行ったものを試験片に用いた。
上記実施例1〜5及び比較例1〜4の各銅メッキ浴を用いて当該試験片に電気メッキした後、スルーホールの中心を軸心方向に切断し、スルーホール端部のメッキ厚さ(T1)と、スルーホール中央部のメッキ厚さ(T2)を顕微鏡で測定し、下式により均一電着性T(%)を算出した。
T(%)=(T2/T1)×100
尚、電気銅メッキの条件は、前述の標準メッキ浴及び比較例4のメッキ浴の欄で示した各条件とした。
図1の右から2欄目はその試験結果である。
比較例1〜4のスルーホールでの均一電着性は78〜81%であるが、実施例1〜5では92%以上の数値を示した。
一般に、スルーホールでの均一電着性の評価では、ハイスロー浴と呼ばれる酸濃度の高いもので90%程度、一般浴で70〜80%程度が目安となるが、特定のオキシカルボン酸と有機スルホン酸の混合酸をベース酸とする実施例では、92%以上の数値であることから、スルーホールでの均一電着性に優れることが確認できた。即ち、グリコール酸とメタンスルホン酸を併用した実施例1では、一般的な酸濃度(0.5モル/L)であるにも拘わらず、95%の高い数値を示したことは注目に値する。
以上のように、本発明の特定の有機酸をベース酸とする銅メッキ浴では、従来公知の硫酸をベース酸とする銅浴やメタンスルホン酸をベース酸とする銅浴に比べて顕著な均一電着性、特に、スルーホールでの均一電着性に優れることが確認できた。
そこで、今度は、上記スルーホールを有する基板に代えて、本発明の銅メッキ方法又はメッキ浴をビアホールを有する基板に適用したところ、良好なビアフィリング能力があることが確認できた。従って、本発明の銅メッキ浴をビアホールとスルーホールが混在する基板に適用した場合、ビアホールでの銅充填とスルーホールでの均一電着性を同時に達成できることが期待できる。尚、前述の通り、ビアフィリングはメカニズム的に均一電着性とは別ものであり、優れた均一電着性を示す一方で、良好なビアフィリング能力を示す理由は現時点では不明である。
実施例1〜5及び比較例1〜4の各電気銅メッキ浴の組成、当該メッキ浴を用いたハルセルテストによる均一電着性並びにスルーホールでの均一電着性の夫々の評価試験の結果を示す図表である。 不溶性陽極を用いたメッキ槽に補給槽を付設した電気銅メッキ装置の概略説明図である。
1…メッキ槽、2…補給槽、3…陰極、4…不溶性陽極、5…イオン交換膜、6…陽極室、7…電気銅メッキ浴、10…電解質液、11…補給路。

Claims (5)

  1. (a)可溶性銅塩と、
    (b)グリコール酸、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、グルコン酸、グルコヘプトン酸よりなる群から選ばれたオキシカルボン酸又はこれらの塩の少なくとも一種と、アルカンスルホン酸、アルカノールスルホン酸よりなる群から選ばれた有機スルホン酸の少なくとも一種との混合酸からなるベース酸とを
    含有する電気銅メッキ浴を用いた電気銅メッキ装置により、
    ビアホール及びスルーホールの混在する被メッキ物に銅メッキ皮膜を形成することを特徴とする電気銅メッキ方法。
  2. 電気銅メッキ装置が、メッキ槽と補給槽を別々に設け、メッキ槽に被メッキ物からなる陰極と不溶性陽極を配置し、陽極室をイオン交換膜でメッキ槽から隔離し、メッキ槽に電気銅メッキ浴を収容するとともに、補給槽に陰極と銅を材質とする可溶性陽極を配置し、補給槽に電解質液を収容し、補給槽とメッキ槽を補給路を介して連通させて、
    メッキ槽及び補給槽の夫々の陽極と陰極の間に直流電流を印加して、補給槽の陽極から溶解した銅イオンを補給路を介して銅イオン濃度の低下したメッキ槽に補給可能に構成したものであることを特徴とする請求項1に記載の電気銅メッキ方法。
  3. オキシカルボン酸又はこれらの塩がグリコール酸又はその塩であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気銅メッキ方法。
  4. グリコール酸の含有量が0.1〜12モル/Lであることを特徴とする請求項3に記載の電気銅メッキ方法。
  5. 可溶性銅塩及びベース酸を含有する電気銅メッキ浴において、
    ベース酸がグリコール酸、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、グルコン酸、グルコヘプトン酸よりなる群から選ばれたオキシカルボン酸又はこれらの塩の少なくとも一種と、アルカンスルホン酸、アルカノールスルホン酸よりなる群から選ばれた有機スルホン酸の少なくとも一種との混合酸であることを特徴とする電気銅メッキ浴。
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