JP5938426B2 - 電気めっきセル、及び、金属皮膜の製造方法 - Google Patents

電気めっきセル、及び、金属皮膜の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、電気めっきセル、及び、金属皮膜の製造方法に関し、さらに詳しくは、陰極(被めっき物)表面に簡便に金属皮膜を形成することが可能な電気めっきセル、及び、これを用いた金属皮膜の製造方法に関する。
導電性基体上に簡便な方法で金属皮膜からなるパターン(以下、「金属パターン」ともいう)を形成する技術が求められている。従来は、金属パターン以外の部分をマスクして湿式電気めっきを行うことが最も一般的であった。ただし、マスク形成工程及びマスク除去工程が必要であり、めっき液の管理や廃液処理コストが高いという課題がある。
近年ではこのような課題の無い物理蒸着、スパッタリング等の「物理的方法」で金属皮膜を形成した後にマスキング部を除去する方法が採られつつある。ただし、これらの物理的金属皮膜形成方法は、一般に成膜スピードが遅く、真空系が必要であり、経済的な高速生産システムとは言い難い。
一方、マスキングが不要な別な方法として、導電性微粉とバインダーとを混合したインクをスクリーン印刷、インクジェット等の「印刷法」で塗布した後、バインダーを焼成除去する方法も行われている。しかしながら、これらの「印刷法」で体積比抵抗の小さな回路を形成することは、たとえ揮発性又は昇華性のバインダーを採用したとしても困難である。
ところで近年、電気めっきにおいてはマスキング不要な回路形成をなす試みとして、ゲル状電解質(特許文献1)や固体電解質膜等の隔膜を利用する試み(特許文献2、3)がなされている。
これらの隔膜を用いた場合、例えば水溶液からの電析が比較的容易なCuめっきにおいては、室温で10mA/cm2程度の電流密度が得られる。しかしながら、更なる高速成膜(高電流密度電析)は、金属イオン濃度を高め、かつ温度を上げる等の操作をしなければならず、高コストとなっていた。
特に、電析反応(還元析出反応)がH+イオンの放電反応(水素発生反応)と競合する金属(例えば、ニッケルイオン、亜鉛イオン、すずイオン等の析出電位が卑な金属)を、H+濃度の高い酸性〜弱酸性の水溶液から隔膜を用いて電析することは困難であった。
その理由の詳細は不明であるが、次の(1)〜(3)に示す理由によるものと思われる。
(1)電析部で水素が発生し、欠陥(ボイド)が形成される。
(2)析出過電圧が小さすぎて微粉状あるいは塊状に電析し、隔膜と陰極を密着させて電析を行った場合には隔膜と電析物が噛み込む。
(3)水素発生に伴うpH増加が原因で水酸化物が生成し、不働態化(浴電圧増加)が進行する。
上記課題を解決するために、例えば析出皮膜の物性を改良したり、水素発生反応を抑える「めっき用有機添加剤」を、通常の電気めっきと同様に、隔膜を用いるめっき浴に添加することが考えられる。しかしながら、めっき浴へ有機添加剤を加えると、これらの精密な濃度管理が必要となる。更には、電極上で有機添加剤が分解・消耗するため、老廃物の除去も必要になる。また、有機添加剤をめっき浴へ多量に加えると、電析効率の低下を招きやすいという問題がある。
さらに、隔膜がイオン交換膜で有機添加剤がイオン性化合物の場合は、有機添加剤が隔膜に吸着し、導電性を低下させ、浴電圧が増加する課題があった。
例えば、めっき浴の金属イオンがカチオン(陽イオン)の場合、隔膜としてカチオン輸率の高い固体電解質膜(カチオン交換膜)を採用することが、めっきの高速化に有利である。にもかかわらず、カチオン交換膜を用いる電気めっきにおいては、添加剤を用いない半光沢めっき(特許文献4)とするか、あるいは、有機添加剤による膜汚染のおそれが小さい非イオン性(中性)の隔膜を用いることが一般的であった。
さらには、有機添加剤として、皮膜物性改善作用は弱いがカチオン交換膜に吸着され難いノニオン界面活性剤(特許文献5)若しくは中性の添加剤(特許文献6)を用いることが推奨されていた。あるいは、カチオン交換膜に添加剤が吸着されないように、カチオン交換膜の陰極室側に中性隔膜を重ねて積層し、陰極室液のみに有機添加剤を加えることが推奨されていた(特許文献7)。
以上のように従来技術では、隔膜(特に、カチオン交換膜等の固体電解質膜)の内部に積極的にめっき用有機添加剤を保持する試みは、知られていなかった。
特開2005−248319号公報 特開2012−219362号公報 国際公開WO2013/12563号 特開2009−173992号公報 特開2007−002274号公報 特表2007−523996号公報 特開2008−038208号公報
本発明が解決しようとする課題は、簡便に金属皮膜を形成することが可能な電気めっきセル、及び、これを用いた金属皮膜の製造方法を提供することにある。
本発明が解決しようとする他の課題は、水素発生しやすい金属イオンを含むめっき液を用いて、基材表面に高速でパターン電析することが可能な電気めっきセル、及び、これを用いた金属皮膜の製造方法を提供することにある。
本発明が解決しようとする他の課題は、めっき液に含まれる添加剤が隔膜に吸着されることにより生ずる浴電圧の増加を抑制することが可能な電気めっきセル、及び、これを用いた金属皮膜の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る電気めっきセルは、以下の構成を備えていることを要旨とする。
(1)前記電気めっきセルは、
陽極室液を保持するための陽極室と、
前記陽極室と陰極とを隔離するための隔膜と
を備え、
前記隔膜は、基材にめっき用有機添加剤が添加されたものであって、前記陽極室液に含まれる金属イオンを選択的に透過させることが可能なものからなる。
(2)前記隔膜の基材は、固体電解質膜からなる。
(3)前記めっき用有機添加剤は、イオン性化合物からなり、
前記めっき用有機添加剤の含有量は、前記固体電解質膜のイオン交換容量の0.1〜50%に相当する量である。
(4)前記電気めっきセルは、前記隔膜に含まれる前記めっき用有機添加剤を含まない前記陽極室液を用いて、前記陰極の表面に金属皮膜を形成するために用いられる。
電気めっきセルは、陰極室液を保持するための陰極室をさらに備えていても良い。
本発明に係る金属皮膜の製造方法は、
本発明に係る電気めっきセルを用いて、前記陰極の表面に金属皮膜を形成する
ことを要旨とする。
金属皮膜の性状を改良するためのめっき用有機添加剤を陽極室液に添加する場合、相対的に多量の添加剤が必要となる。陽極室液への多量の添加剤の添加は、添加剤の分解・消耗に起因する電析効率の低下や濃度管理の煩雑さの原因となる。
これに対し、隔膜にめっき用有機添加剤を添加すると、隔膜から徐々に添加剤が陰極室液に移行し必要量が補充される。そのため、良質な金属皮膜を簡便に得ることができる。
また、隔膜を用いて電析を行う場合、陰極室液の量をほぼゼロか、あるいは極めて少なくすることできる。そのため、隔膜への添加剤の添加量が極めて少量であっても、陰極側での添加剤濃度は相対的に高くなり、皮膜の性状が改善される。さらに、添加剤は必要最低限量しか隔膜に固定されていないので、浴電圧が上昇することもない。
本発明の第1の実施の形態に係る電気めっきセルの概略図である。 本発明の第2の実施の形態に係る電気めっきセルの概略図である。 実施例6(右図)及び比較例7(左図)で得られた金属皮膜の断面のSEM写真である。
以下、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
[1. 電気めっきセル(1)]
図1に、本発明の第1の実施の形態に係る電気めっきセルの概略図を示す。
図1において、電気めっきセル10は、陽極室12と、陰極室14と、隔膜16とを備えている。陽極室12には、陽極室液20が充填され、陽極室液20中には、陽極22が浸漬されている。さらに、陽極22は、電源24のプラス極に接続されている。
陰極室14には、陰極室液24が充填され、陰極室液24中には、陰極26が浸漬されている。さらに、陰極26は、電源24のマイナス極に接続されている。この電気めっきセル10を用いてめっきを行うと、陰極26の表面に金属皮膜28が析出する。
[1.1. 陽極室]
陽極室12は、陽極室液20を保持するためのものである。陽極室12の大きさや形状、陽極室12を構成する材料等は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適なものを選択することができる。
[1.2. 陽極室液]
陽極室12には、所定の組成を有する陽極室液20が充填される。なお、陽極室液20の詳細については、後述する。
陽極室12に充填される陽極室液20の量は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適な量を選択することができる。
[1.3. 陽極]
陽極22は、少なくともその表面が導電性を有する材料からなるものであれば良い。陽極22は、全体が導電性を有する材料からなるものでも良く、あるいは、表面のみが導電性を有する材料からなるものでも良い。さらに、陽極22は、不溶性電極でも良く、あるいは、可溶性電極でも良い。
陽極22を構成する導電性材料としては、例えば、
(1)酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ、酸化イリジウム、酸化オスミウム、フェライト、酸化白金などの金属酸化物、
(2)黒鉛、ドープシリコンなどの非酸化物、
(3)銅、鉄、ニッケル、ベリリウム、アルミニウム、亜鉛、インジウム、銀、金、白金、スズ、ジルコニウム、タンタル、チタン、鉛、マグネシウム、マンガンなどの金属、
(4)ステンレス鋼などの2種以上の金属を含む合金、
などがある。
陽極22又はその表面を構成する導電性材料は、耐酸化性の観点から、白金、金、酸化イリジウム、DSA(ペルメレック電極(株)製、登録商標;Dimension Stable Anode:寸法安定性陽極)、フェライト電極、又は黒鉛電極が好ましい。陽極22又は導電性材料は、特に、白金、又は酸化イリジウムが好ましい。
陽極22が基材の表面に導電性薄膜が形成されたものからなる場合、導電性薄膜の厚さは、その材料に応じて最適な厚さを選択するのが好ましい。
例えば、導電性薄膜が金属酸化物からなる場合、その厚さは、0.1〜5μmが好ましく、さらに好ましくは、0.5〜1μmである。
また、導電性薄膜が金属又は合金からなる場合、その厚さは、5〜1000μmが好ましく、さらに好ましくは、10〜100μmである。
陽極22の大きさや形状は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適なものを選択することができる。陽極22は、緻密質でも良く、あるいは、多孔質でも良い。
なお、後述するように、本発明に係る電気めっきセル10は、実質的に陰極室液24が無い状態、すなわち、隔膜16と陰極26とを密着させた状態でも使用することができる。この場合、陽極22として、所定のパターン形状を有するものを使用し、かつ、陽極22を隔膜16に密着させた状態で電析を行うと、陰極26上に陽極22の形状を転写すること、すなわち、陽極22のパターン形状と同一の形状を有する金属皮膜28を形成することができる。本発明により形成することが可能な金属パターンは、電流が流れる形状であれば特に限定されない。金属パターンとしては、例えば、メッシュ、矩形、櫛形、各種電気回路パターンなどがある。
[1.4. 陰極室]
陰極室14は、陰極室液24を保持するためのものである。陰極室14の大きさや形状、陰極室14を構成する材料等は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適なものを選択することができる。なお、陰極室14及び陰極室液24は、必ずしも必要ではなく、省略することもできる。
[1.5. 陰極室液]
陰極室14には、所定の組成を有する陰極室液24が充填される。なお、陰極室液24の詳細については、後述する。
陰極室14に充填される陰極室液24の量は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適な量を選択することができる。
[1.6. 陰極]
陰極26は、被めっき物である。陰極26は、少なくともその表面が導電性を有する材料からなるものであれば良い。陰極26は、全体が導電性を有する材料からなるものでも良く、あるいは、表面のみが導電性を有する材料からなるものでも良い。
陰極26を構成する導電性材料の具体例は、陽極22と同様であるので、説明を省略する。また、陰極26が基材の表面に導電性薄膜が形成されたものからなる場合において、好適な導電性薄膜の厚さについても、陽極22と同様であるので、説明を省略する。
陰極26又はその表面を構成する導電性材料は、材料コストの観点から、ITO、酸化スズ、銅、又はアルミニウムが好ましく、特に、ITO、酸化スズ、又は銅が好ましい。
[1.7. 隔膜]
隔膜16は、陰極26(被めっき物)を陽極室12から隔離するためのものである。陰極室14を備えた電気めっきセル10の場合、隔膜16は、陽極室12と陰極室14の境界に設けられる。一方、陰極室14が無い場合、隔膜16は、陰極26の表面に接するように設けられる。
本発明において、隔膜26は、基材と、前記基材に添加されためっき用有機添加剤とを備えている。また、隔膜26は、所定量のめっき用有機添加剤が添加された状態において、陽極室液20に含まれる金属イオンを選択的に透過させることが可能なものからなる。この点が、従来とは異なる。
ここで、「金属イオンを選択的に透過可能」とは、電場をかけた場合に、隔膜16内を金属イオンが陽極室12から陰極室14方向に移動し、対として存在するイオンが移動できない状態であることをいう。
隔膜16は、めっき用有機添加剤に加えて、金属皮膜28を構成する金属のイオンをさらに含んでいても良い。
[1.7.1. 隔膜の基材]
隔膜16の基材が備える必要条件としては、以下の(1)〜(4)が挙げられる。
(1)陽極室液20中の金属イオンに電圧を加えた場合に、金属イオンを陽極室12から陰極室14(又は、陰極26の表面)に移動させることができる。
(2)非電子導電性である(隔膜16上に、金属皮膜が析出しない)。
(3)めっき浴中で安定である(陽極室液20又は陰極室液24に溶解せず、十分な機械的強度を保持する)。
(4)陽極22として可溶性陽極を用いた場合、可溶性陽極で生成した微粒子(陽極スラッジ)の陰極室14への拡散を防止できる(アノードバックとして働く)。
これらの条件を満たす隔膜16の基材としては、具体的には、
(1)金属イオンを選択的に透過させることが可能な大きさの連通孔(平均孔径100μm以下)を有する微多孔膜、
(2)イオン透過性の固体電解質膜、
などがある。隔膜16の基材は、特に、カチオン交換膜が好ましい。
上記条件を満たす限りにおいて、隔膜16の基材は、有機材料でも良く、あるいは、無機材料でも良い。
なお、上述したように、有機添加剤が添加された隔膜16はアノードバックとしても働くが、有機添加剤が添加された隔膜16と、アノードバックとして機能する通常の中性隔膜とを積層しても良い。
[A. 微多孔膜の具体例]
有機材料からなる微多孔膜としては、例えば、
(1)セルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリケトン、ポリカーボネート、ポリテルペン、ポリエポキシ、ポリアセタール、ポリアミド、ポリイミド、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリ塩化ビニリデン等の有機系ポリマーからなる微多孔膜、
(2)アクリル系樹脂、カルボキシル基含有ポリエステル系樹脂、カルボキシル基含有ポリアミド系樹脂、ポリアミド酸系樹脂(ポリアミック酸系樹脂)、ポリエーテルスルホン酸樹脂、ポリスチレンスルホン酸樹脂等の固体高分子電解質からなる微多孔膜、
などがある。
有機系の微多孔膜は、従来から知られている方法で細孔の内表面を改質し、細孔の内表面にカルボン酸基やアミノ基などのイオン交換基を付与しても良い。
有機系の微多孔膜は、1種類の有機材料からなるものでも良く、あるいは、2種以上の有機材料からなるものでも良い。
また、2種以上の有機材料を含む微多孔膜は、2種以上の樹脂膜を接合した積層膜でも良く、あるいは、2種以上の樹脂をポリマーアロイ化した複合膜でも良い。
無機材料を含む微多孔膜としては、例えば、
(1)アルミナ、ジルコニア、シリカ等の無機系セラミックスフィルター、
(2)多孔質ガラス、
(3)ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン製多孔膜に、アルミナ、シリカ等を分散させた有機/無機ハイブリッド膜、
などがある。
微多孔膜の孔径は、金属イオンを選択的に透過させることが可能な大きさである必要がある。金属イオンの選択透過に適した微多孔膜としては、例えば、
(1)孔径が0.001μm〜0.01μmの限外ろ過膜UF、
(2)孔径が0.05μm〜10μmの精密ろ過膜MF
などがある。
なお、孔径が0.002μm以下の逆浸透膜ROは、イオン透過阻止率が高すぎるため、隔膜16には適さない。
微多孔膜は、不織布、又は織布のどちらでも良く、電界紡糸(エレクトロスピニング)法で作製したナノファイーバーからなるものでも良い。
また、微多孔膜は、
(1)有機ポリマーを溶融した後に、押し出し及び延伸成形した膜、あるいは、
(2)有機ポリマーを溶剤に溶かした後に、溶液をPET基材等に塗布し、塗膜から溶剤を揮発させる「キャスト法」で得た膜、
でも良い。
さらに、微多孔膜は、無機系多孔質セラミックスでも良い。
これらの微多孔膜は、必要に応じて、
(1)ゴム状弾性体を接合して機械的強度を補強すること、
(2)網状多孔体を芯材として機械的強度を補強すること、又は、
(3)イオン導電部の表面の一部を絶縁被覆体で被覆することによって、イオン導電部をパターン成形すること、
が可能である。
[B. 固体電解質膜の具体例]
隔膜16の基材は、固体電解質膜でも良い。
電析するべき金属イオンがカチオンである場合において、隔膜16の基材として固体電解質膜を用いる時には、隔膜16の基材は、陽イオン交換基(カルボキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基など)を有するカチオン交換膜が好ましい。
一方、電析するべきイオンがアニオン(例えば、亜鉛酸イオン、スズ酸イオン等の酸素酸アニオン、シアンイオン錯体など)である場合において、隔膜16の基材として固体電解質膜を用いる時には、隔膜16の基材は、陰イオン交換基(例えば、四級アンモニウム基)を有するアニオン交換膜が好ましい。
カチオン交換樹脂としては、例えば、
(1)カルボキシル基含有アクリル系樹脂、カルボキシル基含有ポリエステル系樹脂、カルボキシル基含有ポリアミド系樹脂、ポリアミド酸系樹脂(ポリアミック酸系樹脂)などのカルボキシル基含有樹脂、
(2)パーフルオロスルホン酸樹脂などのスルホン酸基含有樹脂、
(3)ホスホン酸基含有樹脂、
などがある。
耐熱性、耐薬品性、及び機械的強度が大きい観点から、カチオン交換膜は、フッ素系カチオン交換膜が好ましく、特にパーフルオロスルホン酸樹脂膜が好ましい。
また、上述したカチオン交換樹脂は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
[C. 固体電解質膜の利点]
以下に、隔膜16の基材として、特に固体電解質膜が好ましい理由を記す。これは、原理的に固体電解質膜を利用すると、中性隔膜を用いた場合に比べ、高速めっきが可能となるためである。
限界電流密度IL(最大電析速度)は、金属イオンの拡散定数D、価数z、電析イオン濃度C、電析面での拡散厚さδ、電析イオンの輸率αとにより(1)式で表される(「ニッケルめっきの限界電流密度について」、星野重夫他、金属表面技術1、vol.23、No.5、1972、p263)。
L=DzFC/(δ(1−α)) ・・・(1)
(1)式より、めっきの高速化には、電析イオンの輸率αをできるだけ大きくすることが有効であることがわかる。
中性の隔膜(微多孔膜)を用いた電気めっきでは、隔膜中の金属イオンの輸率αは、α=0.5前後である。一方、固体電解質膜はイオンの輸率が大きく、カチオン交換膜ではαが1に近いものが存在する。そのため、(1)式より、大きな限界電流密度ILが得られることが理解される。
[1.7.2. めっき用有機添加剤]
[A. めっき用有機添加剤の概要]
「めっき用有機添加剤」とは、析出皮膜の平滑性(光沢)向上や、ピット(マクロな欠陥)生成防止機能を持つ有機化合物をいう。
めっき用有機添加剤は、イオン性化合物でも良く、あるいは、非イオン性化合物でも良い。また、めっき用有機添加剤は、水溶性の化合物でも良く、あるいは、水に対して難溶性の化合物でも良い。
ここで、「イオン性化合物」とは、酸、塩基、及び、これらの塩(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)のようなイオン結合性の化合物をいう。
「非イオン性化合物」とは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールのように電荷を持たない共有結合性の化合物をいう。
「水溶性」とは、室温での水への溶解度が1g/Lを超えることをいう。
「水に対して難溶性」とは、室温での水への溶解度が1g/L以下であることをいう。
例えば、ニッケルめっきの場合、めっき用有機添加剤としては、具体的には、
(1)めっき皮膜の結晶を微細化し、光沢を付与する一次光沢剤(例えば、ベンゼンスルホン酸、サッカリンなど)、
(2)めっき皮膜の平滑化機能を持つ二次光沢剤(例えば、ホルムアルデヒド、ブチンジオールなど)、
(3)めっき浴の表面張力を下げて濡れ性を改善し、ピットを防止する界面活性剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウムなど)、
(4)析出金属イオンに強く配位子て水酸化物の沈殿生成を防止する錯化剤(例えば、有機酸、アミノカルボン酸など)、
が挙げられる。
その他の添加剤としては、チオ尿素、ベンゾチアゾール、ナフタレンスルホン酸ナトリウム、ボロン酸、プロパギルアルコール、クマリン等がある。これらは、いずれも平滑性を付与する有機添加剤(二次光沢剤)である。
ニッケルめっき以外のめっきにおいても、通常用いられる有機添加剤を隔膜16に添加して用いることができる。
めっき用有機添加剤は、通常の電気めっきにおいては、めっき浴に適量添加され、その消耗量を管理する必要がある。しかし、添加剤の消耗量の管理は、一般に煩雑なものである。
本発明においては、必要最小限量の添加剤が隔膜16に添加される。そのため、陰極室液24がある場合には、隔膜16から添加剤が徐々に溶出するため、効果を長期間発揮できる。また、陰極室液24が無い場合でも、隔膜16に固定された添加剤は、析出金属表面と強力な相互作用を発揮し、析出金属の物性及び平滑性を改善することができる。
すなわち、有機添加剤が対極(陽極22)で酸化分解したり、被めっき物(陰極26)で還元されて消耗する速度を極めて小さくすることができる。従って、有機添加剤の濃度管理は不要である。また、有機添加剤をめっき浴へ過剰に添加した場合に起きる電析効率の低下や、電極で分解した生成物がめっき浴中に濃縮したことにより起きる皮膜の柔軟性の低下やはんだ付け性の低下が起きることがない。
めっき用有機添加剤は、電気めっきにおいて通常一般的に用いられている水溶性の化合物が好ましいが、水に難溶性の化合物でも良い。例えば、サッカリンは、比較的水に難溶性であるが、有機溶媒には良く溶ける。そこで、サッカリンを有機溶媒に溶かして隔膜16に含浸させ添加すれば、そこから添加剤が陰極室14に徐々に溶け出す。その結果、光沢作用を長期間発揮できる。これは、水に易溶のサッカリンナトリウム(Na塩)を浴に添加した場合には、成し得ない利点である。
特にニッケルめっきにおいては、添加剤は、サッカリンのようなN又はPを含む有機化合物が好ましい。これは、このような有機化合物は、皮膜の平滑性及び物性を向上させる作用が大きいためである。
ニッケルめっき用の添加剤であって、Nを含む有機化合物としては、アミン、アンモニウム、イミダゾリウム、ピリジニウム、アミド、アミノカルボン酸、ベタイン、これらの塩(化合物)が挙げられる。アンモニウムは、特に、カチオン部として四級アンモニウムを持つ化合物が好ましい。これは、四級アンモニウム化合物は、皮膜の平滑性を上げる作用が大きいためである。
ニッケルめっき用の添加剤であって、Pを含む有機化合物としては、例えば、ホスホニウム化合物が挙げられる。
これらの添加剤は、単独で用いても良く、あるいは、2種以上を組み合わせて用いても良い。また、添加剤は、めっき液の表面張力を下げて、
(1)陰極26から発生する水素ガス、及び、
(2)不溶性電極(陽極22)から発生する酸素ガス
の脱泡を促す作用が大きい物質(いわゆる「界面活性剤」)でも良い。
隔膜16としてカチオン交換膜を用いた場合において、添加剤として界面活性剤を用いる時には、界面活性剤は、カチオン界面活性剤又は両面界面活性剤が好ましい。これらの界面活性剤は、カチオン交換膜の酸基との静電的相互作用があるため、カチオン交換膜に固定されやすい。
一方、隔膜16としてアニオン交換膜を用いる場合において、添加材として界面活性剤を用いる時には、界面活性剤は、アニオン界面活性剤又は両性界面活性剤が好ましい。
特に、隔膜16としてカチオン交換膜を用い、添加材としてカチオン界面活性剤又は両性界面活性剤を用いるのが好ましい。
[B. 添加剤の具体例]
[B.1. Nを含む有機化合物]
[B.1.1. 四級アンモニウム化合物]
四級アンモニウムのフッ化物としては、テトラエチルアンモニウムフルオリド水和物、テトラブチルアンモニウムフルオリド、テトラエチルアンモニウムフルオリド三ふっ化水素酸塩、テトラエチルアンモニウムフルオリド四ふっ化水素酸塩、テトラメチルアンモニウムフルオリド四水和物が挙げられる。
四級アンモニウムの塩化物としては、アセチルコリンクロリド、ベンジルジメチルテトラデシルアンモニウムクロリド水和物、(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルテトラデシルアンモニウムクロリド水和物、ベンゼトニウムクロリド、ベンゾイルコリンクロリド、ベンジルセチルジメチルアンモニウムクロリド水和物、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルフェニルアンモニウムクロリド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムクロリド水和物、ベンジルトリブチルアンモニウムクロリド、N−ベンジルキニジウムクロリド、ベンジルドデシルジメチルアンモニウムクロリド二水和物、ベンジルドデシルジメチルアンモニウムクロリド二水和物、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムクロリド、
DL−カルニチン塩酸塩、クロロコリンクロリド、コリンクロリド、カルバミンコリンクロリド、(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド、ラウロイルコリンクロリド水和物、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、デシルトリメチルアンモニウムクロリド、ジメチルジステアリルアンモニウムクロリド、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキサメトニウムクロリド二水和物、テトラブチルアンモニウムクロリド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、メタコリンクロリド、トリエチル(2−メトキシエトキシメチル)アンモニウムクロリド、トリエチルメチルアンモニウムクロリド、メタクロイルコリンクロリド、β−メチルコリンクロリド、n−オクチルトリメチルアンモニウムクロリド、トリエチルフェニルアンモニウムクロリド、トリメチルフェニルアンモニウムクロリド、
ホスホコリンクロリドカルシウム四水和物、ホスホコリンクロリドナトリウム水和物、トリメチルステアリルアンモニウムクロリド、スクシニルコリンクロリド二水和物、スタキドリン塩酸塩、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムクロリド、トリオクチルメチルアンモニウムクロリド、トリメチルテトラデシルアンモニウムクロリド、トリメチル[2,3−(ジオレイルオキシ)プロピル]アンモニウムクロリド、メチルトリ−n−オクチルアンモニウムクロリド、テトラアミルアンモニウムクロリド、テトラプロピルアンモニウムクロリド、トリメチル[3−(トリエトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロリド、トリブチルメチルアンモニウムクロリドが挙げられる。
四級アンモニウムの臭化物としては、アセチルコリンブロミド、ベンゾイルコリンブロミド、ベンジルトリエチルアンモニウムブロミド、ブロモコリンブロミド、ベンジルトリブチルアンモニウムブロミド、1,1’−(ブタン−1,4−ジイル)ビス[4−アザ−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン]ジブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、1−ブチル−1−メチルピペリジニウムブロミド、ベンジルドデシルジメチルアンモニウムブロミド、コリンブロミド、エチルヘキサデシルジメチルアンモニウムブロミド、デカメトニウムブロミド、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ジラウリルジメチルアンモニウムブロミド、ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド、ジメチルジパルミチルアンモニウムブロミド、ジメチルジミリスチルアンモニウムブロミド、
ジデシルジメチルアンモニウムブロミド、ジメチルジオクチルアンモニウムブロミド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、臭化メチルホマトロピン、ヘキサメトニウムブロミド、ヘキシルトリメチルアンモニウムブロミド、ヘキシルジメチルオクチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムブロミド、メタコリンブロミド、ネオスチグミンブロミド、n−オクチルトリメチルアンモニウムブロミド、トリメチルフェニルアンモニウムブロミド、トリメチルステアリルアンモニウムブロミド、テトラエチルアンモニウムブロミド、テトラメチルアンモニウムブロミド、トリメチルビニルアンモニウムブロミド、テトラプロピルアンモニウムブロミド、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド、3−(トリフルオロメチル)フェニルトリメチルアンモニウムブロミド、テトラ(デシル)アンモニウムブロミド、テトラアミルアンモニウムブロミド、テトラヘキシルアンモニウムブロミド、テトラヘプチルアンモニウムブロミド、テトラ−n−オクチルアンモニウムブロミド、トリメチルノニルアンモニウムブロミド、トリメチルプロピルアンモニウムブロミド、バレタマードブロミドが挙げられる。
四級アンモニウムのヨウ化物としては、アセチルコリンヨージド、アセチルチオコリンヨージド、ベンゾイルコリンヨージド、ベンゾイルチオコリンヨージド、ベンジルトリエチルアンモニウムヨージド、ブチルコリンヨージド、ブチルチオコリンヨージド、コリンヨージド、デカメトニウムヨージド、1,1−ジメチル−4−フェニルピペラジニウムヨージド、ジメチルジオクタデシルアンモニウムヨージド、エチルトリメチルアンモニウムヨージド、エチルトリプロピルアンモニウムヨージド、トリエチルコリンヨージド、トリメチルフェニルアンモニウムヨージド、テトラブチルアンモニウムヨージド、テトラエチルアンモニウムヨージド、テトラメチルアンモニウムヨージド、テトラプロピルアンモニウムヨージド、テトラヘキシルアンモニウムヨージド、テトラアミルアンモニウムヨージド、3−(トリフルオロメチル)フェニルトリメチルアンモニウムヨージド、テトラ−n−オクチルアンモニウムヨージド、テトラヘプチルアンモニウムヨージド、トリメチル[2−(トリメチルシリル)メチル]ベンジル]アンモニウムヨージドが挙げられる。
四級アンモニウムの水酸化物としては、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、3−(トリフルオロメチル)フェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラヘキシルアンモニウムヒドロキシド、トリス(2−ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムヒドロキシドが挙げられる。
その他の四級アンモニウム化合物としては、過塩素酸アセチルコリン、アミルトリエチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、無水ベタイン、ベタイン塩酸塩、重クロム酸ビス(テトラブチルアンモニウム)、ベンジルトリメチルアンモニウムテトラクロロよう素酸塩、ジクロロよう素酸ベンジルトリメチルアンモニウム、ジデシルジメチルアンモニウムアジペート、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ベンジルトリエチルアンモニウムボロヒドリド、L−カルニチン、重酒石酸コリン、1−シクロヘキシル−3−(2−モルホリノエチル)カルボジイミドメト−p−トルエンスルホナート、3−[(3−コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホナート、シクロヘキシルトリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、L−カルニチンL−酒石酸塩、
安息香酸デナトニウム、ドデシルジメチル(3−スルホプロピル)アンモニウムヒドロキシド分子内塩、デシルジメチル(3−スルホプロピル)アンモニウムヒドロキシド分子内塩、ジメチル(n−オクチル)(3−スルホプロピル)アンモニウムヒドロキシド分子内塩、N−フルオロ−N’−(クロロメチル)トリエチレンジアミンビス(テトラフルオロボラート)、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムヘキサフルオロホスファート、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムテトラフルオロボラート、過塩素酸ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、ヘキサデシルジメチル(3−スルホプロピル)アンモニウムヒドロキシド分子内塩、(2−ヒドロキシエチル)ジメチル(3−スルホプロピル)アンモニウムヒドロキシド分子内塩、テトラブチルアンモニウムホスファート、テトラブチルアンモニウム硫酸水素塩、
(メトキシカルボニルスルファモイル)トリエチルアンモニウムヒドロキシド分子内塩、メチルトリ−n−オクチルアンモニウム硫酸水素塩、メチルトリ−n−オクチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、りん酸2−(メタクリロイルオキシ)エチル2−(トリエチルアンモニオ)エチル、1−メチル−1−プロピルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、メチル硫酸ネオスチグミン、オクタデシルジメチル(3−スルホプロピル)アンモニウムヒドロキシド分子内塩、プロピオニルコリンp−トルエンスルホナート、トリメチルフェニルアンモニウムトリブロミド、硝酸メチルスコポラミン、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウムボロヒドリド、過塩素酸テトラエチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム硫酸水素塩、過塩素酸テトラメチルアンモニウム、
テトラメチルアンモニウムテトラフルオロボラート、テトラメチルアンモニウムp−トルエンスルホナート、テトラメチルアンモニウムボロヒドリド、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボラート、テトラブチルアンモニウムボロヒドリド、テトラブチルアンモニウムアジド、テトラエチルアンモニウムp−トルエンスルホナート、テトラフルオロほう酸テトラエチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウムアセタート、テトラブチルアンモニウムジクロロブロミド、テトラブチルアンモニウムジブロモクロリド、テトラブチルアンモニウムブロモジヨージド、テトラブチルアンモニウムトリヨージド、テトラブチルアンモニウムサリチラート、テトラブチルアンモニウムチオシアナート、テトラブチルアンモニウムヘキサフルオロホスファート、
テトラブチルアンモニウムトリブロミド、テトラブチルアンモニウムビフルオリド、テトラメチルアンモニウムヘキサフルオロホスファート、ベンジルトリメチルアンモニウムトリブロミド、テトラメチルアンモニウムアセタート、テトラブチルアンモニウムテトラフェニルボラート、テトラメチルアンモニウムトリアセトキシボロヒドリド、トリフルオロメタンスルホン酸テトラブチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム三ふっ化二水素、テトラエチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホナート、テトラブチルアンモニウムジフルオロトリフェニルシリカート、トリエチルメチルアンモニウムテトラフルオロボラート、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボラート、テトラデシルジメチル(3−スルホプロピル)アンモニウムヒドロキシド分子内塩、テトラブチルアンモニウムp−ニトロフェノキシド、テトラブチルアンモニウムアセタートが挙げられる。
[B.1.2. イミダゾリウム化合物]
イミダゾリウム化合物としては、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムブロミド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスファート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホナート、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムクロリド、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスファート、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラクロロフェラート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヨージド、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、
1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロ(トリフルオロメチル)ボラート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムトリブロミド、1,3−ジメチルイミダゾリウムジメチルホスファート、1,3−ジメチルイミダゾリウムクロリド、1,3−ジメチルイミダゾリウムクロリド、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリウムクロリド、1,3−ジ(1−アダマンチル)イミダゾリウムテトラフルオロボラート、1,3−ジイソプロピルイミダゾリウムテトラフルオロボラート、1,3−ジ−tert−ブチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート、1,3−ジシクロヘキシルイミダゾリウムテトラフルオロボラート、1,3−ジシクロヘキシルイミダゾリウムクロリド、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムヨージド、2,3−ジメチル−1−プロピルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、
1−デシル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスファート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムブロミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヨージド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムエチルスルファート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムp−トルエンスルホナート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム2−(2−メトキシエチル)エチルスルファート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラクロロフェラート、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム硫酸水素塩、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムメタンスルホナ−ト、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロ(トリフルオロメチル)ボラート、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムクロリド、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスファート、
1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムブロミド、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムヨージド、1−メチル−3−n−オクチルイミダゾリウムブロミド、1−メチル−3−n−オクチルイミダゾリウムクロリド、1−メチル−3−n−オクチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスファート、1−メチル−3−[6−(メチルスルフィニル)ヘキシル]イミダゾリウムp−トルエンスルホナート、1−メチル−3−[6−(メチルチオ)ヘキシル]イミダゾリウムp−トルエンスルホナートが挙げられる。
[B.1.3. ピリジニウム化合物]
ピリジニウム化合物としては、1−アミノピリジニウムヨージド、1−アセトニルピリジニウムクロリド、1−(カルバモイルメチル)ピリジニウムクロリド、アンプロリウム塩酸塩、4−ブロモピリジン塩酸塩、テトラフルオロほう酸2−ブロモ−1−エチルピリジニウム、臭化水素酸4−ブロモピリジン、1−ブチルピリジニウムクロリド、1,1’−ビス(2,4−ジニトロフェニル)−4,4’−ビピリジニウムジクロリド、1−ブチルピリジニウムブロミド、1−ブチルピリジニウムヘキサフルオロホスファート、1,1’−[ビフェニル−4,4’−ジイルビス(メチレン)]ビス(4,4’−ビピリジニウム)ジブロミド、ビス(2,4,6−トリメチルピリジン)ブロモニウムヘキサフルオロホスファート、1−ブチル−4−メチルピリジニウムブロミド、
1−ブチル−4−メチルピリジニウムヘキサフルオロホスファート、1−ブチル−3−メチルピリジニウムブロミド、1−ブチルピリジニウムテトラフルオロボラート、1−ブチル−4−メチルピリジニウムクロリド、4−クロロピリジン塩酸塩、2−(クロロメチル)ピリジン塩酸塩、3−(クロロメチル)ピリジン塩酸塩、2−クロロ−1−メチルピリジニウムヨージド、2−クロロ−1−メチルピリジニウムp−トルエンスルホナート、4−カルバモイル−1−ヘキサデシルピリジニウムクロリド、1−ドデシルピリジニウムクロリド、1,1’−ジヘプチル−4,4’−ビピリジニウムジブロミド、2,6−ジメチルピリジニウムp−トルエンスルホナート、4−ジメチルアミノピリジニウムブロミドペルブロミド、4−ジメチルアミノ−1−ネオペンチルピリジニウムクロリド、1,1’−ジ−n−オクチル−4,4’−ビピリジニウムジブロミド、
2,6−ジヒドロキシピリジン塩酸塩、1,1’−ジベンジル−4,4’−ビピリジニウムジクロリド水和物、1,1’−ジフェニル−4,4’−ビピリジニウムジクロリド、1−(ジメチルカルバモイル)−4−(2−スルホエチル)ピリジニウムヒドロキシド分子内塩、4−(ジメチルアミノ)−1−(トリフェニルメチル)ピリジニウムクロリド、1,1’−ジメチル−4,4’−ビピリジニウムジクロリド、1,1’−ジフルオロ−2,2’−ビピリジニウムビス(テトラフルオロボラート)、1−(2,4−ジニトロフェニル)ピリジニウムクロリド、1−エチルピリジニウムブロミド、1−エチル−4−(メトキシカルボニル)ピリジニウムヨージド、1−エチルピリジニウムクロリド、1−エチル−3−メチルピリジニウムエチルスルファート、1−エチル−3−(ヒドロキシメチル)ピリジニウムエチルスルファート、
1−エチル−3−メチルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、2−フルオロ−1−メチルピリジニウムp−トルエンスルホナート、1−フルオロピリジニウムトリフルオロメタンスルホナート、1−フルオロ−2,4,6−トリメチルピリジニウムトリフルオロメタンスルホナート、2,6−ジクロロ−1−フルオロピリジニウムトリフルオロメタンスルホナート、1−フルオロピリジニウムテトラフルオロボラート、1−フルオロ−2,6−ジクロロピリジニウムテトラフルオロボラート、1−フルオロ−2,4,6−トリメチルピリジニウムテトラフルオロボラート、
1−(ヒドラジノカルボニルメチル)ピリジニウムクロリド、ヘキサデシルピリジニウムクロリド一水和物、ヘキサデシルピリジニウムブロミド水和物、1−ヘキサデシル−4−メチルピリジニウムクロリド水和物、イソニコチノイルクロリド塩酸塩、3−カルバミル−1−メチルピリジニウムクロリド、1−メチルピリジニウム−2−アルドキシムクロリド、1−メチルピリジニウムクロリド、
N−フェニルニコチンアミド塩酸塩、ピリジン−2−カルボン酸塩酸塩、ピリドキサミン二塩酸塩一水和物、ピリドキシン塩酸塩、1−(4−ピリジル)ピリジニウムクロリド塩酸塩水和物、ピリジン−2−カルボニルクロリド塩酸塩、3−ピリジル酢酸塩酸塩、1−フェナシルピリジニウムブロミド、ピリジニウムブロミドペルブロミド、クロロクロム酸ピリジニウム、重クロム酸ピリジニウム、ピリジニウム3−ニトロベンゼンスルホナート、ピリジニウムp−トルエンスルホナート、2−ピリジル酢酸塩、フルオロクロム酸ピリジニウム、ピリドスチグミンブロミド、1−プロピルピリジニウムクロリド、ピリジニウムトリフルオロメタンスルホナート、ピリジン塩酸塩、ピリジン臭化水素酸、1−(3−スルホプロピル)ピリジニウムヒドロキシド分子内塩、2,4,6−トリメチルピリジニウムp−トルエンスルホナート、トリゴネリン塩酸塩、1−(トリフルオロアセチル)−4−(ジメチルアミノ)ピリジニウムトリフルオロアセタートが挙げられる。
[B.1.4. アミノカルボン酸化合物]
アミノカルボン酸化合物としては、エチルイミノ−N,N−ジ酢酸、グリシン、イミノジ酢酸、ヒドロキシエチル・エチレンジアミン三酢酸、ニトリロトリ酢酸、EDTA、トリエチレンジアミンテトラ酢酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、ベータ−アラニン−N,N−ジ酢酸、トリカルバリル酸が挙げられる。
[B.1.5. アミン化合物]
アミン化合物としては、パラトルエンスルファミド(サッカリン)、ポリオキシアルキレン付加アルキルアミドが挙げられる。
[B.2. Pを含む化合物]
[B.2.1. ホスホニウム化合物]
ホスホニウム化合物としては、アミルトリフェニルホスホニウムブロミド、アリルトリフェニルホスホニウムブロミド、アリルトリフェニルホスホニウムクロリド、アセトニトリルトリフェニルホスホニウムクロリド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロリド、ブチルトリフェニルホスホニウムブロミド、(ブロモメチル)トリフェニルホスホニウムブロミド、3−ブロモプロピルトリフェニルホスホニウムブロミド、1H−ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスファート、1H−ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスファート、
ベンジルトリフェニルホスホニウムブロミド、trans−2−ブテン−1,4−ビス(トリフェニルホスホニウムクロリド)、ブロモトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスファート、ブロモトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスファート、(tert−ブトキシカルボニルメチル)トリフェニルホスホニウムブロミド、(クロロメチル)トリフェニルホスホニウムクロリド、(4−カルボキシブチル)トリフェニルホスホニウムブロミド、シンナミルトリフェニルホスホニウムブロミド、シクロプロピルトリフェニルホスホニウムブロミド、(4−クロロベンジル)トリフェニルホスホニウムクロリド、(3−カルボキシプロピル)トリフェニルホスホニウムブロミド、(2−クロロベンジル)トリフェニルホスホニウムクロリド、クロロトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスファート、2−ジメチルアミノエチルトリフェニルホスホニウムブロミド、
2−(1,3−ジオキサン−2−イル)エチルトリフェニルホスホニウムブロミド、2−(1,3−ジオキソラン−2−イル)エチルトリフェニルホスホニウムブロミド、(1,3−ジオキソラン−2−イル)メチルトリフェニルホスホニウムブロミド、(2,4−ジクロロベンジル)トリフェニルホスホニウムクロリド、トリブチルドデシルホスホニウムブロミド、ジ−tert−ブチルメチルホスホニウムテトラフェニルボラート、(3,4−ジメトキシベンジル)トリフェニルホスホニウムブロミド、エチルトリフェニルホスホニウムブロミド、エトキシカルボニルメチル(トリフェニル)ホスホニウムブロミド、4−エトキシベンジルトリフェニルホスホニウムブロミド、エチルトリフェニルホスホニウムヨージド、(ホルミルメチル)トリフェニルホスホニウムクロリド、ヘキシルトリフェニルホスホニウムブロミド、ヘプチルトリフェニルホスホニウムブロミド、
トリブチルヘキサデシルホスホニウムブロミド、(2−ヒドロキシベンジル)トリフェニルホスホニウムブロミド、イソプロピルトリフェニルホスホニウムヨージド、メチルトリフェニルホスホニウムヨージド、メチルトリフェニルホスホニウムブロミド、(メトキシメチル)トリフェニルホスホニウムクロリド、(N−メチル−N−フェニルアミノ)トリフェニルホスホニウムヨージド、メトキシカルボニルメチル(トリフェニル)ホスホニウムブロミド、トリブチルメチルホスホニウムヨージド、(1−ナフチルメチル)トリフェニルホスホニウムクロリド、(4−ニトロベンジル)トリフェニルホスホニウムブロミド、トリブチル−n−オクチルホスホニウムブロミド、フェナシルトリフェニルホスホニウムブロミド、トリフェニルプロピルホスホニウムブロミド、トリフェニルプロパギルホスホニウムブロミド、テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウムクロリド、
テトラフェニルホスホニウムブロミド、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボラート、テトラフェニルホスホニウムクロリド、テトラエチルホスホニウムブロミド、テトラフェニルホスホニウムヨージド、2−(トリメチルシリル)エトキシメチルトリフェニルホスホニウムクロリド、(3−トリメチルシリル−2−プロピニル)トリフェニルホスホニウムブロミド、
トリフェニル(テトラデシル)ホスホニウムブロミド、(2−トリメチルシリルエチル)トリフェニルホスホニウムヨージド、トリフェニルビニルホスホニウムブロミド、テトラブチルホスホニウムクロリド、テトラ−n−オクチルホスホニウムブロミド、テトラエチルホスホニウムヘキサフルオロホスファート、テトラエチルホスホニウムテトラフルオロボラート、テトラブチルホスホニウムベンゾトリアゾラート、テトラブチルホスホニウムテトラフルオロボラート、
テトラブチルホスホニウムヘキサフルオロホスファート、テトラブチルホスホニウムテトラフェニルボラート、トリ−tert−ブチルホスホニウムテトラフェニルボラート、トリブチル(2−メトキシエチル)ホスホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、テトラブチルホスホニウムヒドロキシド、トリ−tert−ブチルホスホニウムテトラフルオロボラート、トリシクロヘキシルホスホニウムテトラフルオロボラート、テトラフェニルホスホニウムテトラ−p−トリルボラート、トリブチルメチルホスホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリブチル(1,3−ジオキソラン−2−イルメチル)ホスホニウムブロミドが挙げられる。
[B.3. 界面活性剤]
[B.3.1. カチオン界面活性剤]
カチオン界面活性剤としては、アルキルアミン塩(例えば、花王(株)製:アセタミン24、アセタミン86)、第四級アンモニウム塩(例えば、花王(株)製:コータミン24P、コータミン86P コンク、コータミン60W、コータミン86W、コータミンD86P、サニゾールC、サニゾールCB−50、三洋化成工業(株)製:オスモリンDA−50、カチオンDDC−50、カチオンDDC−80、日油(株)製:ニッサンカチオンシリーズ)が挙げられる。
フッ素系カチオン界面活性剤としては、AGCセイミケミカル(株)製:サーフロンS−221、S−121、3M社製:フロラーFC−134、大日本インキ工業(株)製:メガファックF−150が挙げられる。
[B.3.2. 両性界面活性剤]
両性界面活性剤としては、アルキルベタイン(例えば、花王(株)製:アンヒトール20BS、アンヒトール24B、アンヒトール86B、アンヒトール20Y−B)、アルキルアミンオキサイド(例えば、花王(株)製:アンヒトール20N)が挙げられる。
また、両性界面活性剤として、三洋化成工業(株)製:レボン15、レボンLAG−40、レボン50、レボンS、レボンT−2、日油(株)製:ニッサンアノンシリーズが挙げられる。
フッ素系両性界面活性剤としては、AGCセイミケミカル(株)製:サーフロンS−231、S−232、S−233、3M社製:フロラーFX−172、大日本インキ工業(株)製:メガファックF−120が挙げられる。
[C. 添加剤の添加量]
通常の電気めっきで使用される添加剤の量は、数100ppm〜数1000ppmである。
これに対し、添加剤をめっき浴に添加して隔膜16に含浸吸着させる場合(後述の「直接法」)、良好な金属皮膜28を得るために必要な添加剤の量は、通常の電気めっき法に比べて大幅に少ない。この点は、隔膜16に予め添加剤を添加する場合も同様である。
一般に、添加剤の量が少なすぎると、良好な金属皮膜28が得られない。
一方、隔膜16の基材が金属イオンを選択的に透過可能な材料からなる場合であっても、添加剤の量が多くなるほど、金属イオンは、隔膜16を透過しにくくなる。また、添加剤の量が過剰になると、隔膜16の金属イオン透過性(イオン伝導性)が著しく低下する。その結果、浴電圧が増加し、金属皮膜28を析出させるのが困難となる。
浴電圧を増加させることなく良好なめっき膜を得るためには、めっき用有機添加剤の含有量は隔膜16の重量の0.004〜10%に相当する量が好ましい。
また、隔膜16が固体電解質膜であり、かつ、めっき用有機添加剤がイオン性化合物である場合、めっき用有機添加剤の含有量は、固体電解質膜のイオン交換容量の0.1〜50%に相当する量が好ましい。
例えば、膜厚:25μm、大きさ:30mm×30mm、イオン交換容量:1mEq/gであるイオン交換膜と、70gのめっき浴とが接する場合を考える。分子量:300程度の有機添加剤が膜酸基と1:1にイオン結合する場合、膜酸基の0.1〜50%と結合(イオン交換)する添加剤の量は、
(1)70gのめっき浴重量に対して重量割合で0.2ppm〜90ppmに、また、
(2)膜重量に対して0.004wt%〜2wt%に、
それぞれ相当する。
有機添加剤を添加した隔膜16を使用すると、従来法に比べて有機添加剤の使用量を低減することができる。これは、以下の理由による。
(1)隔膜16を用いて電析すれば、添加材が陽極室12に移動し、酸化分解により消耗することが妨げられる。
(2)隔膜16に添加材を固定すれば、そこから電析中に徐々に添加材が陰極室14に移行し、必要量が補充される。
(3)隔膜16を用いて電析すれば、陰極室液24の量をゼロか、極めて少なくすることができる。析出金属表面での添加剤濃度を高められるので、添加剤の必要量は、極めて少量で良い。
[D. めっき用有機添加剤の添加方法]
めっき溶融機添加剤の添加方法について、Nを含む有機化合物を例に説明する。
[D.1. 第1の方法(直接法)]
第1の方法は、隔膜16に直接添加するのではなく、間接的にめっき浴に必要量を溶解させ、隔膜16と接触させ、含浸吸着させる方法(直接法)である。
特に、隔膜16として、カチオン交換膜を用いた場合には、膜のイオン交換容量(アニオン)と添加剤のカチオン部分N+とが強固に結びつき、固定される。
例えば、スルホン酸基RSO3 -のある隔膜16においては、Nを含む有機化合物のカチオン部分R'N+が(2)式のように強固に結合する。
RSO3 - + R'N+ → RSO3NR' ・・・(2)
この場合、添加剤によるカチオン交換膜の酸基喪失が50%を超えないように添加剤を溶解した浴で建浴するのが好ましい。また、建浴の直後に電析を開始するよりも、40℃以上で10分以上加温し、隔膜16内に添加剤が十分吸着されてから電析を行うと、電極における不要な添加剤の消耗を防ぐことができる。
一般に、イオン交換膜を用いる電気めっき浴に両性又はカチオン性の界面活性剤を添加することは、隔膜16を汚染して導電性を低下させるため、好ましくないとされている。しかしながら、本発明においては、隔膜16への添加剤の吸着量が、浴電圧が増加しない程度のごく少量であるため、膜汚染の問題や電析効率が大きく低下する問題がない。それゆえ、たとえ生物分解性の低い界面活性剤を使用した場合でも、廃水処理のコストを低減できる。
なお、この「直接法」は、後述する「イオン交換処理法」よりも簡便であるが、添加剤の対イオンがめっき浴に残存してしまう欠点と、必ずしもめっき浴に添加した添加剤の100%が隔膜16に吸着(含浸固定)しない欠点とがある。この観点から、上記「直接法」よりも、後述する膜に予め添加する方法が好ましく、その中でも特に「イオン交換処理法」が好ましい。
[D.2. 第2の方法(隔膜に予め添加する方法)]
第2の方法は、予め隔膜に添加剤を添加する方法である。これには、大きく分けて、以下の4つの方法A〜Dがある。
[D.2.1. 方法A(イオン交換処理法)]
方法Aは、添加剤が水溶性の場合において、イオン交換により添加剤を隔膜16に固定する方法(イオン交換処理法)である。
例えば、隔膜16がカチオン交換膜である場合、pHが弱酸性〜強アルカリ性の条件下で、隔膜16と水溶性有機添加剤を溶解させた処理液とを接触させると、水溶性有機添加剤のカチオン部分のほぼ100%がイオン交換によってカチオン交換膜に固定される。
具体的には、カチオン交換膜のイオン交換容量の0.1〜50%となるように、純水に水溶性有機添加剤を溶解し、処理液を調製する。次いで、カチオン交換膜と処理液とを、浸漬、スプレー塗布等の方法で接触させる。この場合、処理液の温度を40℃〜80℃に加温すると、数時間以内に大半の有機添加剤はカチオン交換膜に固定される。処理液による処理を行った後、必要に応じてイオン交換膜を加温した純水ですすぎ洗浄し、ハロゲン等の対イオン(アニオン)を除去するのが好ましい。
ここで、イオン交換処理法の特筆される利点は、添加剤の対イオン(アニオン)を除去できることにある。一般に、水溶性の添加剤の対イオンは、腐食性の高い塩化物イオン、臭化物イオン、弗化物イオン等であることが多い。しかし、上記イオン交換処理法によれば、これらの不要な対イオンは除かれており、めっき浴へ持ち込まない。それゆえ、装置や治具の腐食を抑えることができる。
なお、添加剤は、主に電析面側で作用する。そのため、膜の両面(全面)を処理液と接触させるのではなく、膜の片側(電析面側)のみを処理液と接触させて添加剤を付与しても良い。
また、上記では隔膜16がカチオン交換膜の場合について説明したが、隔膜16がアニオン交換膜である場合においても、上記と同様に処理することができる。アニオン交換膜と処理液とを接触させると、有機添加剤のアニオン部分が隔膜16のアニオン交換基とイオン交換し、隔膜16に固定される。
[D.2.2. 方法B(有機溶剤含浸法)]
方法Bは、添加剤が水に難溶性である場合において、添加剤を有機溶剤に溶かして処理液とし、隔膜16と処理液とを接触させて隔膜16内に添加剤を固定する方法(有機溶剤含浸法)である。
方法Bの場合、隔膜16内に添加された添加剤は水に難溶性であるため、めっき液に徐々に放出される。それゆえ、添加剤がめっき液中に過剰に存在することによる悪影響(電析効率の低下や、添加剤の共析によるめっき皮膜の物性低下)を低減することができる。
また、有機溶媒として適度に隔膜16を膨潤させられる溶媒を用いれば、多量の添加剤を膜に含浸させることができる。
カチオン交換膜を用いた「イオン交換処理法」では、添加剤のカチオン部分のみがカチオン交換基の酸基と結合して固定されるが、添加剤のアニオンは固定され難い。これに対し、方法Bは、添加剤のアニオンを固定することができる。
例えば、サッカリンを例にとると、サッカリンは水に難溶性の化合物であり、アニオンとして振る舞う。それゆえ、通常の電気めっきにおいては、水への溶解度の大きいサッカリンNa塩を用いることが一般的である。ここで、サッカリンNa塩の水溶液とカチオン交換膜とを接触させても、Na+部分が膜に固定されるだけで、アニオン部分はほとんど膜に固定されない。
これに対し、サッカリン(Na塩ではない)は、アルコール、DMF等の非水系溶媒に高濃度で溶ける。また、カチオン交換膜は、非水系溶媒により大きく膨潤する。従って、サッカリンを非水系溶媒に溶解させて処理液とし、カチオン交換膜と処理液とを接触させ、その後に溶媒を除去すれば、高濃度のサッカリン(添加剤)を膜に添加できる。
[D.2.3. 方法C(キャスト成膜法)]
方法Cは、隔膜16の基材を有機溶媒に溶解させた溶液に添加剤を溶解又は分散させ、この溶液を基板表面にキャストし、溶媒を乾燥除去する方法(キャスト成膜法)である。方法Cの場合、水に難溶性の添加剤であっても、方法Bと同様に、有機溶媒を適宜選定することにより膜への添加が可能である。
添加剤の添加量は、第1の方法と同様に、膜のイオン交換容量の0.1〜50%、又は、膜重量の0.004〜10%とするのが好ましい。また、不要な水溶性成分やアニオンを除去するために、成膜後に温水洗浄するのが好ましい。
[D.2.4. 方法D(溶融押し出し法)]
方法Dは、隔膜16の基材が溶融可能な材料(例えば、有機系材料)からなる場合において、隔膜16の基材と添加剤とを加熱混練し、混練物を押し出し成型してフィルム化する方法(溶融押し出し法)である。方法Dの場合、水に難溶性の添加剤であっても、膜への添加が可能である。
添加剤の添加量は、第1の方法と同様に、膜のイオン交換容量の0.1〜50%、又は、膜重量の0.004〜10%とするのが好ましい。また、不要な水溶性成分やアニオンを除去するために、成膜後に温水洗浄するのが好ましい。
上述した方法の中でも、イオン交換処理法は、簡便で、かつ、最も経済的な方法である。イオン交換処理法によれば、添加剤を隔膜16に均一に添加することができ、特別の処理装置も必要としない。
[1.7.3. 金属イオン]
隔膜16は、めっき用有機添加剤に加えて、金属皮膜28を構成する金属のイオンをさらに含んでいても良い。隔膜16に金属イオンを添加する方法としては、
(1)隔膜16を作製した後、隔膜16に金属イオンを含有する溶液を含浸させる方法、
(2)隔膜16の基材と金属イオンを含有する化合物とを溶媒に溶解又は分散させ、この溶液を基材表面に塗布し、溶媒を除去する方法、
などがある。
隔膜16に金属イオンを添加するための化合物は、水溶性金属化合物が好ましい。また、隔膜16に金属イオンを添加するための溶液は、陽極室液と同様の組成を有する溶液が好ましい。水溶性金属化合物及び陽極室液の詳細については、後述する。
[1.7.4. 隔膜の製造方法]
隔膜16の基材が有機系材料からなる場合、隔膜16(又は、隔膜16の基材)は、慣用の薄膜形成方法を用いて形成することができる。薄膜形成方法としては、例えば、浸漬法、スプレーコーティング法、スピンコーティング法、ロールコーティング法などがある。
また、本発明においては、陰極室14を省略することができる。この場合、陰極26の表面に、直接、隔膜16を形成しても良い。
なお、後述するように陽極12が多孔体又はパターン電極である場合、陽極12の表面に隔膜16を形成することもできる。
浸漬法により隔膜16を形成する場合、浸漬温度は、0〜100℃が好ましく、さらに好ましくは、5〜20℃である。また、浸漬時間は、0.01〜100分が好ましく、さらに好ましくは、0.05〜10分である。
隔膜16を形成した後に、乾燥を行っても良い。乾燥時間は、1〜100分が好ましく、さらに好ましくは、5〜30分である。
隔膜16の厚みは、特に限定されないが、0.01〜200μmが好ましく、さらに好ましくは、0.1〜50μmである。
隔膜16を形成した後に、隔膜16に金属イオンを含有する溶液を含浸させる場合において、溶媒が水又はアルコール類であるときは、減圧下(例えば、0.01〜1atm)において、0〜100℃(好ましくは、5〜25℃)で含浸させるのが好ましい。
[1.8. 電源]
電源24は、特に限定されるものではなく、陽極22−陰極26間に所定の電圧を印加できるものであればよい。
[2. 電気めっきセル(1)を用いた金属皮膜の製造方法]
[2.1. 陽極室液の調製]
まず、陰極(被めっき物)26上に析出させる金属のイオンを含む陽極室液20を調製する。陽極室液20は、析出させる金属元素を含む水溶性金属化合物を水に溶解させたものからなる。陽極室液20は、さらに必要に応じて、
(1)水溶性有機溶媒(アルコール類等)、
(2)pH調整剤(塩基、例えばエチレンジアミン等のアミン類;酸、例えば塩酸等)、
(3)緩衝剤(例えば、有機酸など)
などが含まれていても良い。
[2.1.1. 水溶性金属化合物]
本発明において、析出させる金属は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適なものを選択することができる。析出させる金属としては、例えば、チタン、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、すず、パラジウム、白金、銅、銀、亜鉛、カドミウム、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ケイ素、ゲルマニウム、ヒ素、アンチモン、ビスマス、セレン、テルル等が挙げられる。
これらの中でも、析出させる金属は、銀、銅、金、ニッケル、すず、白金、パラジウムが好ましい。これらの金属は、いずれも水溶液からの電析が可能で、かつ、金属皮膜の比抵抗も小さいためである。
また、Niは、通常、電気めっきの際に陰極26表面から水素が発生しやすく、水酸化物も生成しやすい金属である。しかしながら、Niめっきに対して本発明を適用すると、水素の発生や水酸化物の生成を抑制することができる。
水溶性金属化合物としては、例えば、
(1)塩化物などのハロゲン化物、
(2)硫酸塩(例えば、硫酸銅、硫酸ニッケルなど)、硝酸塩(例えば、硝酸銀など)などの無機酸塩、
(3)酢酸塩などの有機酸塩、
などがある。材料コストの点から、無機酸塩が好ましい。
陽極室液20には、これらのいずれか1種の水溶性金属化合物が含まれていても良く、あるいは、2種以上が含まれていても良い。
陽極室液20に含まれる水溶性金属化合物の濃度は、特に限定されるものではなく、水溶性金属化合物の種類などに応じて最適な値を選択する。
例えば、金属イオンがニッケルイオンである場合、ニッケルイオン濃度が低すぎると、水素発生主体の電析反応となり、電析効率が低下する。従って、ニッケルイオン濃度は、0.001M/L以上が好ましい。
一方、ニッケルイオン濃度が過剰になると、水酸化ニッケルが沈殿しやすくなる。従って、ニッケルイオン濃度は、2.0M/L以下が好ましい。
[2.1.2. pH調整剤]
陽極室液20には、必要に応じてpH調整剤が添加される。陽極室液20のpHは、特に限定されるものではなく、水溶性金属化合物の種類などに応じて最適な値を選択する。
例えば、金属イオンがニッケルイオンである場合、pHが低すぎると、水素発生主体の電析反応となり、電析効率が低下する。従って、pHは1以上が好ましい。
一方、pHが高くなりすぎると、水酸化ニッケルが沈殿しやすくなる。従って、pHは7以下が好ましい。
[2.1.3. 緩衝剤]
陽極室液20には、必要に応じて緩衝剤が添加される。緩衝剤としては、例えば、有機酸などがある。
有機酸を含まない陽極室液20と不溶性電極(陽極22)とを用いてめっきを行うと、陽極22上での酸素発生により、陽極室液20のpHが大幅に低下し、電析効率が低下しやすい。これは、陽極室液20と隔膜16内部のイオン平衡が達成されていると仮定すると、容易に理解される。
例えば、Ni2+イオンからの電析を考えた場合、陽極室12でpHが低下しH+が濃化すると、隔膜16内部でもH+濃度が増加し、Ni2+濃度は低下する。そのため、電析時に隔膜16内でのNi2+イオンの輸送割合(輸率)が低下し、(1)式より限界電流密度ILが低下するものと考えられる。
一般に、隔膜16が存在すると、隔膜16はH+移動のバリアーとなるため、隔膜16非存在の場合よりも陰極室液24のpH低下は抑えられる。この場合、有機酸が添加されていると、有機酸(弱酸)はpHの低下を抑制する緩衝剤として働く。従って、隔膜16と有機酸とを併用すれば、さらに電析効率を改善できる。また、有機酸には、水酸化ニッケルの生成を防ぐ作用がある観点からも、適量添加することが好ましい。
有機酸としては、
(1)ギ酸、酢酸、プロピオン酸等の飽和カルボン酸、
(2)ピルビン酸等のケトンカルボン酸、
(3)グリコール酸、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸等のヒドロキシカルボン酸、
(4)メタンスルホン酸、エタンスルホン酸等のスルホン酸、
(5)グリシン、アラニン、グルタミン酸、アスパラギン酸等のアミノカルボン酸、
(6)タウリン等のアミノスルホン酸、
(7)安息香酸等の芳香族カルボン酸、
が挙げられる。
低毒性、廃水処理の容易性(環境負荷及び臭気)の観点からは、有機酸は、酢酸、グリコール酸、クエン酸が好ましい。特に、電析効率を高くできること及び臭気もないことから、グリコール酸が好適である。
陽極室液20の有機酸の濃度が低すぎると、pH緩衝作用が小さく、pHが変動しやすい。従って、陽極室液20の有機酸の濃度は、0.01M/L以上が好ましい。
一方、有機酸の濃度が高すぎると、廃水処理コストが高くなり、経済的でない。従って、陽極室液20の有機酸の濃度は、1M/L以下が好ましい。
また、金属イオン濃度に対する有機酸のモル比(有機酸/金属イオン)は、0.1〜10が好ましい。
これらの有機酸の他に、pHを調整するために、めっき浴にアンモニア、NaOH、KOH等の塩基(pH調整剤)を適量加えても良い。
[2.1.4. 陽極室液の量]
陽極室液20の量は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適な量を選択することができる。
[2.2. 陰極室液の調製]
[2.2.1. 陰極室液の組成]
次に、陰極室液24を調製する。陰極室液24の組成については、陽極室液20と同様であるので説明を省略する。
[2.2.2. 陰極室液の量]
陰極室液24の量は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適な量を選択することができる。
なお、本発明において、陰極室液24の量は、少量でも良い。具体的には、陰極室液24の量は、陰極26の単位面積当たり100μL/cm2以下でも良い。また、陰極室14及び陰極室液24を省略すること、すなわち、隔膜16と陰極26とを密着させることもできる。
実質的に陰極室液24が無い状態でも、電気浸透現象により隔膜16から電析面(陰極26の表面)に極微量の水が輸送される。そのため、隔膜16−陰極26間に連続的界面が形成され、電気化学反応(電析)を行うことができる。隔膜16と陰極26の表面との密着性を改善するため、必要に応じて加圧機構を用いて両者を加圧した状態で電析を行うのが好ましい。
このように実質的に陰極室液24が無く、かつ、隔膜16を用いた電気めっきセルを用いて、水素発生しやすい金属を水溶液中から高速で電析する方法は、知られていない。実質的に陰極室液24が無い状態で電気めっきを行えば、陽極12の形状を被めっき物に転写することができ、マスクレスでの金属パターンの形成が容易に行える。また、陰極室液24が無いので、被めっき物へのめっき液の付着・持ち出しをなくすことが可能となり、電析後の水洗工程及び廃水処理工程を大幅に簡略化できる。
[2.3. 電析]
所定量の陽極室液20及び陰極室液24を、それぞれ、陽極室12及び陰極室14に入れる。次いで、電源24を用いて、隔膜16を挟んで配置された陽極22−陰極26間に電圧を印加する。これにより、陰極室液24内の金属イオンが還元され、陰極26上に金属皮膜28が析出する。
金属皮膜28の析出が進行すると、陰極室液24の金属イオン濃度が低下する。その結果、陰極室液24と陽極室液20との間で金属イオンの濃度勾配が発生する。この濃度勾配を駆動力として、陽極室液20内の金属イオンが隔膜16を通って陰極室液24に拡散する。これと同時に、隔膜16内の添加剤も陰極室液24に補給される。
電極間に与える電圧、電析時のめっき浴の温度、及び電析時間は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適な値を選択することができる。
例えば、ニッケルめっきの場合、電圧は、0.01〜100Vが好ましく、さらに好ましくは、0.05〜10Vである。めっき浴の温度は、0〜100℃が好ましく、さらに好ましくは、10〜25℃である。さらに、電析時間は、0.01〜100分が好ましく、さらに好ましくは、0.05〜5分である。
[3. 電気めっきセル(2)]
本発明の第2の実施の形態に係る電気めっきセルは、陽極室液を保持するための陽極室と、前記陽極室と陰極とを隔離するための隔膜とを備えている。また、前記隔膜は、基材にめっき用有機添加剤が添加されたものであって、前記陽極室液に含まれる金属イオンを選択的に透過させることが可能なものからなる。
すなわち、本実施の形態に係る電気めっきセルは、陰極室液を保持するための陰極室を備えていない。この点が、第1の実施の形態とは異なる。
図2に、本発明の第2の実施の形態に係る電気めっきセルの概略図を示す。
図2において、電気めっきセル40は、陽極室12と、隔膜16と、陽極22と、陰極26と、電源24と、加圧装置42とを備えている。
陽極室12は、陽極室液20を保持するためのものである。陽極室12の上部には、陽極室液タンク(図示せず)から陽極室12内に陽極室液20を供給するための供給孔12aが設けられている。また、陽極室12の側面には、陽極室12から廃液タンク(図示せず)に陽極室液20を排出するための排出口12bが設けられている。
陽極室12の下端の開口部には、陽極22が勘合されている。さらに、陽極22の下面には、隔膜16が接合されている。
陽極室12の上面には、加圧装置42が設けられている。加圧装置42は、陽極室12、陽極22、及び隔膜16を鉛直方向に移動させるためのものである。
陽極室12の下方には、基台46が配置されている。基台46の上面には、陰極(被めっき物)26が配置されている。陰極26の上面の外周には、通電部48が設けられている。通電部48は、陰極26に電圧を印加するためのものであり、陰極26の表面の成膜領域を囲うように設けられている。図2に示す例において、通電部48は、リング状になっており、そのリング内に隔膜16の先端部分を挿入できるようになっている。さらに、陽極22及び通電部48(すなわち、陰極26)は、電源24に接続されている。
本実施の形態において、陽極22には、陽極室液20を隔膜16の表面に供給可能な電極が用いられる。陽極22としては、具体的には、陽極室液20を透過させることが可能な孔径を有する多孔質電極、所定の形状パターンを有するパターン電極などがある。
なお、連続的な金属皮膜28の成膜を行わない場合、陽極22内部に存在する空隙を陽極室として用いること、すなわち、陽極22に必要量の陽極室液を含浸させ、実質的に陽極室12を省略することもできる。
陽極室12、隔膜16、陽極22、陰極26、及び電源24に関するその他の点については、第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
[4. 電気めっきセル(2)を用いた金属皮膜の製造方法]
まず、図2(a)に示すように、基台46と隔膜16とを離間させた状態で、基台46上に陰極26を配置し、陰極26の周囲に通電部48を配置する。また、供給孔12aを介して、陽極室12内に陽極室液20を供給する。陽極室液20は、陽極22内の空隙(図示せず)を通って隔膜16の表面まで供給される。
次に、図2(b)に示すように、加圧装置42を用いて陽極室12を下方に移動させ、隔膜16の下面と陰極26の上面とを接触させる。この時、加圧装置42の押圧力を調整し、隔膜16と陰極26との界面に適度な圧力を付与する。
この状態で電源24を用いて陽極22及び通電部48(すなわち、陰極26)に所定の電圧を印加すると、隔膜16と陰極26の界面に金属皮膜28が析出する。この時、必要に応じて、消耗した陽極室液20を排出口12bから排出しながら、供給孔12aを介して新たな陽極室液20を陽極室12内に補給すると、連続的にめっきを行うことができる。所定時間経過後、加圧装置42を用いて陽極室12を上昇させ、隔膜16と陰極26とを離間させる。
[5. 金属皮膜]
本発明に係る金属皮膜は、本発明に係る方法により得られたものからなる。従来の方法を用いて電気めっきを行った場合、得られた金属皮膜は、スジ状の欠陥を含んでいたり、平滑性が不足していることが多い。さらに、隔膜と陰極とを接触させてめっきを行う場合、金属皮膜が隔膜に噛み込むことがある。
これに対し、めっき用有機添加剤を添加した隔膜を用いて電気めっきを行うと、スジ状の欠陥がなく、平滑性に優れた金属皮膜が得られる。これは、隔膜に添加剤を添加することによって、添加剤の分解が抑制されたためと考えられる。さらに、隔膜と陰極とを接触させてめっきを行う場合であっても、金属皮膜が隔膜に噛み込むこともない。
[6. 作用]
金属皮膜の性状を改良するためのめっき用有機添加剤を陽極室液に添加する場合、相対的に多量の添加剤が必要となる。陽極室液への多量の添加剤の添加は、添加剤の分解・消耗に起因する電析効率の低下や濃度管理の煩雑さの原因となる。
これに対し、隔膜にめっき用有機添加剤を添加すると、隔膜から徐々に添加剤が陰極室に移行し必要量が補充される。そのため、良質な金属皮膜を簡便に得ることができる。
また、隔膜を用いて電析を行う場合、陰極室液の量をほぼゼロか、あるいは極めて少なくすることできる。そのため、隔膜への添加剤の添加量が極めて少量であっても、陰極側での添加剤濃度は相対的に高くなり、被膜の性状が改善される。さらに、添加剤は必要最低限量しか隔膜に固定されていないので、浴電圧が上昇することもない。
めっき用有機添加剤の濃度管理、及び添加剤に由来する老廃物の除去は、通常の電気めっきでも大きな課題である。
これに対し、本発明に係る方法によれば、極めて少量の添加剤を隔膜に添加するだけで良いので、めっき液の濃度管理無しで電析が可能である。また、添加剤の酸化・還元に由来する老廃物の除去も実質的に不要となり、隔膜は繰り返し使用できる。さらに、隔膜内の添加剤の消耗が激しい場合には、通電電気量を考慮して隔膜への添加剤の添加量を調整したり、あるいは、定期的に隔膜に添加剤を再添加することができる。
(実施例1〜2、比較例1〜4)
[1. 金属皮膜の作製]
[1.1. 実施例1〜2]
図1に示す電気めっきセル10を用いて、金属皮膜28を作製した。隔膜16の基材には、パーフルオロスルホン酸系のカチオン交換膜(厚さ:183μm、大きさ:30mm×30mm)を用いた。隔膜16に添加剤を固定させる溶液として、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、又はテトラメチルアンモニウムヒドロキシドを超純水に溶かした水溶液:100mLを用意した。溶液中の添加剤濃度は、カチオン交換膜のイオン交換容量の20〜100%とした。膜のイオン交換は、蓋付きPFA容器を用いた80℃×2hrの浸漬処理により行った。また、イオン交換後に80℃×2hrの温水洗浄を行い、超純水中に隔膜16を保管した。
陽極22及び陰極26(試料極)には、大きさ:2cm×2cm、厚さ:300μmのPt板を用いた。めっき液には、1M/LのNiSO4と、0.5M/LのCH3COOHとからなる液を用い、20wt%NaOH水溶液でpHを0.5に調整した。この溶液を陽極室12及び陰極室14に、それぞれ35gづつ加え、合計70gのめっき浴とした。
開口部の面積が20mm×20mmである塩化ビニル製の2室セルで隔膜16を挟んだ。陽極室液20及び陰極室液24を、それぞれマグネチックスターラーを用いて攪拌しながら、電源24(上限電圧70Vの直流定電流電源)を用いて、室温で100mA/cm2、60min間の定電流電析を行った。
[1.2. 比較例1〜4]
比較として、
(1)隔膜16を用いない電析(比較例1)、
(2)添加剤を含まない隔膜16を用いた電析(比較例2)、
(3)添加剤を含まない隔膜16を用い、かつ、酢酸を含まないめっき浴を用いた電析(比較例3)、及び、
(4)イオン交換容量の100%に相当する添加剤を加えた隔膜16を用いた電析(比較例4)
も行った。
[2. 試験方法]
[2.1. 電析効率]
電析前後の試料の重量変化と、ファラデー則から得られる理論重量増とから、電析効率(%)を算出した。
[2.2. 外観]
皮膜の外観を目視で判定した。「△」は半光沢(平滑)、「○」は光沢(平滑)、「×」は焼け(粗雑)を表す。
[2.3. pH]
電析後に、陽極室液20及び陰極室液24のpHを(株)堀場製作所製pHメーターで測定した。
[3. 結果]
表1に結果を示す。
Figure 0005938426
隔膜16に適量の添加剤を導入したもの(実施例1、2)は、隔膜16を用いない場合(比較例1)、又は添加剤無添加の隔膜16を用いた場合(比較例2)に比べて、電析効率が向上し、かつ、Ni皮膜の光沢性(平滑性)が増した。
実施例1、2において電析効率が向上したのは、隔膜16があることにより、陽極22で生成したH+が陰極室14に侵入し難くなり、陰極室液24のpHが初期値(pH=5)より低下しなかったためと考えられる。
酢酸未添加のめっき浴(比較例3)では、電析効率が低く、陽極室液20及び陰極室液24のpHが大きく変化した。また、目視の結果、析出皮膜は、粉状〜塊状で、緑色のニッケル水酸化物の生成が認められた。
添加剤(光沢剤)の含有量が過剰である場合(比較例4)、隔膜16の導電性が低下した。そのため、浴電圧が電源装置の上限を超え、電析を行うことができなかった。
(実施例3〜5、比較例5〜6)
[1. 金属皮膜の作製]
[1.1. 実施例3〜5]
実施例1と同様の電気めっきセルを用いて、Ni皮膜を形成した。但し、めっき液には、酢酸に代えて、0.5M/Lのグリコール酸(pH=3に調整)を添加した。
電析条件は、温度:室温、電流密度:200mA/cm2、時間:30min、攪拌の有無:無攪拌、とした。
隔膜16には、実施例1と同様のパーフルオロスルホン酸系のカチオン交換膜、膜厚:30μmの天然セルロース膜(ニッポン高度紙工業(株)製)、及び膜厚:230μmのリン酸セルロース膜(3698−875、ワットマン社製)を用いた。有機添加剤には、サッカリン(Na塩でない)を用いた。
サッカリン:0.4gをジメチルホルムアミド(DMF):10gに溶かした溶液に、隔膜16を5分間浸漬した。その後、隔膜16を引き上げ、ろ紙で余剰のDMFを吸い取り、80℃×2hrの真空乾燥を施した。隔膜16に固定されたサッカリンの隔膜16に対する重量割合は、パーフルオロスルホン酸系のカチオン交換膜で6.3wt%(実施例3:20mg)、セルロース膜で3.9wt%(実施例4:0.5mg)、リン酸セルロース膜で2.2wt%(実施例5:1.7mg)であった。
[1.2. 比較例5〜6]
隔膜16としてパーフルオロスルホン酸系のカチオン交換膜を用い、陰極室液24にのみ実施例3と同量(20mg)のサッカリンを添加して電析を行った(比較例5)。
また、隔膜16及び添加剤を用いることなく電析を行った(比較例6)。
[2. 試験方法及び結果]
実施例1と同様にして、電析効率及び皮膜の外観を評価した。表2に結果を示す。
Figure 0005938426
電析効率は、実施例3で92.7%、実施例4で91.8%、実施例5で93.6%であった。また、実施例3〜5で得られたNi膜は、いずれも平滑で光沢を有していた。
一方、比較例5で得られたNi膜は光沢を有していたが、その電析効率は90.4%であった。また、比較例6で得られたNi膜は無光沢でザラツキが有り、その電析効率は82.2%であった。
(実施例6〜13、比較例7)
[1. 金属皮膜の作製]
[1.1. 実施例6〜13]
実施例1と同様の隔膜16に対して、イオン交換処理を行った。各種添加剤の添加量は、膜酸基の10%とした。
めっき液には、1M/LのNiSO4と、0.5M/LのCH3COOHとからなる液を用い、CH3COONaとNaOH水溶液でpHを5に調整した。めっき液を含浸させたPt−Ti多孔体(陽極)/添加剤含有隔膜/基材(AuめっきAl板;陰極)の順で積層し、0.5MPaで加圧した。陰極室液の量はゼロとした。この状態で定電流電析を行った。電流密度は5〜50mA/cm2、電析時間は10minとした。
[1.2. 比較例7]
添加剤を添加しない隔膜16を用いた以外は、実施例6と同様にして、電析を行った(比較例7)。
[2. 試験方法及び結果]
得られた金属皮膜の外観を評価した。また、金属皮膜のTOF−SIMS分析、SEM観察、及びEPMA分析を行った。表3に、電流密度:10mA/cm2、電析時間:10minでの電析結果を示す。
Figure 0005938426
添加剤を添加した隔膜16を用いた場合(実施例6〜13)、いずれも隔膜16と基材との噛み込みが生じず、平滑なNi皮膜が得られた。なお、実施例6の隔膜16については、さらに電流密度を50mA/cm2に上げて電析を行ったが、隔膜16と基材の噛み込みは生じなかった。
一方、未処理の隔膜を用いた場合(比較例7)では、5mA/cm2の電流密度でも、既に析出したNiとカチオン交換膜との噛み込みが生じていた。
実施例6の隔膜16をTOF−SIMSで分析したところ、隔膜16内でのN含有成分の存在が確認できた。また、電析前後でもその検出強度は変わらず、電析終了後も有機添加剤の大半が隔膜16内に残存していることが認められた。
また、P成分(実施例11)についてEPMA分析した結果、電析前後でP強度は変わらず、電析終了後も有機添加剤の大半が隔膜16に残存していることが認められた。
図3に、実施例6(右図)及び比較例7(左図)で得られた金属皮膜(Ni皮膜)の断面のSEM写真を示す。隔膜16に導入された添加剤の働きにより、結晶が微細化している様子が認められ、皮膜欠陥の生成が抑制されていることがわかった。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
本発明に係る電気めっきセルは、各種金属皮膜の形成に用いることができる。
10 電気めっきセル
12 陽極室
14 陰極室
16 隔膜
20 陽極室液
22 陽極
24 陰極室液
26 陰極
28 金属皮膜

Claims (8)

  1. 以下の構成を備えた電気めっきセル。
    (1)前記電気めっきセルは、
    陽極室液を保持するための陽極室と、
    前記陽極室と陰極とを隔離するための隔膜と
    を備え、
    前記隔膜は、基材にめっき用有機添加剤が添加されたものであって、前記陽極室液に含まれる金属イオンを選択的に透過させることが可能なものからなる。
    (2)前記隔膜の基材は、固体電解質膜からなる。
    (3)前記めっき用有機添加剤は、イオン性化合物からなり、
    前記めっき用有機添加剤の含有量は、前記固体電解質膜のイオン交換容量の0.1〜50%に相当する量である。
    (4)前記電気めっきセルは、前記隔膜に含まれる前記めっき用有機添加剤を含まない前記陽極室液を用いて、前記陰極の表面に金属皮膜を形成するために用いられる。
  2. 以下の構成をさらに備えた請求項1に記載の電気めっきセル。
    (5)前記電気めっきセルは、
    陰極室液を保持するための陰極室をさらに備え、
    前記隔膜は、前記陽極室と前記陰極室との境界に設けられている。
    (6)前記電気めっきセルは、前記隔膜に含まれる前記めっき用有機添加剤を含まない前記陰極室液を用いて、前記陰極の表面に金属皮膜を形成するために用いられる。
  3. 前記めっき用有機添加剤は、一次光沢剤、二次光沢剤、界面活性剤、及び、錯化剤からなる群から選ばれるいずれか1種以上を含む
    請求項1又は2に記載の電気めっきセル。
  4. 前記めっき用有機添加剤は、N又はPを含む有機化合物を含む
    請求項1又は2に記載の電気めっきセル。
  5. 前記隔膜の基材は、カチオン交換膜からなり、
    前記めっき用有機添加剤は、カチオン界面活性剤又は両面界面活性剤を含む
    請求項1又は2に記載の電気めっきセル。
  6. 前記めっき用有機添加剤は、四級アンモニウム化合物、イミダゾリウム化合物、アミノカルボン酸化合物、アミド化合物、及びホスホニウム化合物からなる群から選ばれるいずれか1以上の化合物を含む請求項1又は2に記載の電気めっきセル。
  7. 前記めっき用有機添加剤は、イオン交換処理により前記隔膜に添加されたものからなる請求項1から6までのいずれか1項に記載の電気めっきセル。
  8. 請求項1から7までのいずれか1項に記載の電気めっきセルを用いて、前記陰極の表面に金属皮膜を形成する金属皮膜の製造方法。
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