JP5365296B2 - 湿式めっき方法及び湿式めっき装置 - Google Patents

湿式めっき方法及び湿式めっき装置 Download PDF

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Description

本発明は、例えば、LSI配線やプリント配線板の、ビアホールやスルーホール等に、めっきを施す際に用いられる、湿式めっき方法及び湿式めっき装置に関する。
電解めっき等のいわゆる湿式めっきに用いられるめっき液では、その種類や用途により、めっき液中に様々な添加剤が添加されている。
上記湿式めっきは様々な産業分野に利用されているが、例えば、エレクトロニクス分野におけるLSI配線やプリント配線板の、ビアホールやスルーホールには、電解Cuめっきが施されている。これらLSI配線やプリント配線板は、近年の高密度化・小型軽量化に伴って、高い製品安定性が望まれている。
特に、上記のビアホールやスルーホールに対する、めっきの均一電着性(対象物のめっき被着面に、めっきを均一に付着させる性能)は製品性能に大きく影響する。このめっきの均一電着性は、めっき液中の添加成分に影響されるものと言われている。
上記の電解Cuめっきにおける添加剤としては、一般的に3種類の有機物が用いられている。すなわち、めっき反応に抑制効果をもたらすポリマー、レベラー、及び、促進効果を持つブライトナーである。
前記ポリマーは、ポリエチレングリコール(PEG)などに代表されるポリエチレンエーテル化合物が用いられ、被めっき物表面で単分子層を形成してめっき析出の抑制効果を発揮する。
前記レベラーは、ヤーヌスグリーンB(JGB)に代表される4級化アミン化合物が用いられ、基板表面に多く吸着することで基板表面のめっき析出を抑制し、穴部に優先的にめっきさせる。
前記ブライトナーは、ビス(3−スルホプロピル)ジスルフィド(SPS)に代表されるスルホン基を有する有機硫黄化合物が用いられ、緻密な微結晶を形成することで光沢皮膜が得られる。
上記各添加剤は、各量のバランスによって、めっきの均一電着性に大きく影響を与えるため、めっき液中のそれぞれの濃度を常に把握することが重要である。特に、めっき反応の促進効果を有するブライトナー(めっき促進剤)は、ビアの穴埋めめっきにとって最も重要であり、通常1mg/L程度と微量なため正確な管理が必要になる。
添加剤を正確に管理する方法としては、サイクリックボルタンメトリックストリッピング(CVS)が一般的に知られている。これは、めっきの析出と剥離を行い、そのときの電気量を測定することで添加剤濃度を算出する方法である。
しかし、実際のめっき管理においては、CVS測定で添加剤濃度を管理しても、めっきの均一電着性が低下してしまうという問題があった。すなわち、めっき液中の添加剤の有効成分は、経時的に劣化して、その効果が低減することが知られているが、上記CVSでは、この劣化した成分も含めて添加剤として測定するために、添加剤を正確に管理することができず、上記問題が生じたものと考えられている。
上記問題を解決するため下記特許文献1には、二つの電気化学セルの一方に銅電極と高速回転電極を浸し、他方に銅電極と低速回転電極を浸し、両回転電極の電位差の経時変化から、銅めっき液の埋めこみ性を判断する電気銅めっき液の分析方法及びそれを用いた電気銅めっき液の分析装置が開示されている。
下記特許文献2には、CVS測定をするに際し、所定量の銅金属が析出する電位と析出した銅金属の全量が剥離する電位との間を、著しく低速度で掃引することにより、電解時の電位変動を捉えて、ビアホール内への銅充填能を維持するようにした、電解銅めっき液の管理方法が開示されている。
下記特許文献3には、ブラインドビアホールを電気銅めっきで穴埋めする際に、間隔を隔てて隣接する電極を備える試験片を用いた電気化学的モニターの結果により、促進剤、抑制剤等を含むめっき液の制御(促進剤あるいは抑制剤の補給量の変更による濃度制御)を行う配線基板の製造方法が開示されており、更に電気化学的モニターの手法の1つとして「微小交流信号を印加したときの位相の変化」が例示されている。
特開2005−226085号公報 特開2005−171347号公報 特開2002−368384号公報
上記特許文献1では、二つの電気化学セルの両者に、それぞれ銅電極と回転電極を浸す構成とされているので、装置構造が複雑で、更にめっき液の抜き取りも必要となるので、測定に時間と手間がかかるというデメリットが生じる。
また、上記特許文献2においては、電解時の電位変動、つまり、めっき処理時の電位変動を測定しているので、めっき促進剤であるブライトナーだけでなく、めっき液中の他成分や不純物の影響を受けることがあり、ブライトナー成分のみを正確に測定することが困難なことがあった。また、作用電極として白金回転電極が用いられているので、コストが高く、構造も複雑となっている。
更に、上記特許文献3には、電気銅めっき時に行う、電気化学的モニターの手法として、微小交流信号を印加したときの位相の変化や、交流インピーダンス波形等を用いることが記載されているが、これらをどのように処理して、めっき液の制御を行うかについては何ら開示されていない。
したがって、本発明の目的は、比較的簡単な手段で、めっき液中の他成分等に影響されることなく、めっき促進剤の濃度を確実に管理でき、均一なめっきを施すことができる、湿式めっき方法及び湿式めっき装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の湿式めっき方法は、めっき促進剤を含有するめっき液を用いた湿式めっき方法において、
めっき促進剤の濃度を変えた各めっき液を用いて交流インピーダンスを測定して、めっき促進剤の各濃度における位相差−周波数特性図を作成し、
この位相差−周波数特性図から位相差のめっき促進剤の濃度に対する依存性の大きい周波数領域を求め、この周波数領域から特定周波数を選択すると共に、該特定周波数でのめっき促進剤の濃度と位相差との関係を求めておき、
使用するめっき液の前記特定周波数での交流インピーダンスを測定してその位相差を求め、該位相差が位相差許容範囲に保持されるように、めっき促進剤の補給量を制御することを特徴とする(請求項1の発明)。
上記請求項1の発明によれば、めっき促進剤の濃度を変えた各めっき液を用いて交流インピーダンスを測定して、めっき促進剤の各濃度における位相差−周波数特性図(ボード線図)を作成し、この位相差−周波数特性図(ボード線図)から位相差のめっき促進剤の濃度に対する依存性の大きい周波数領域を求め、この周波数領域から特定周波数を選択すると共に、該特定周波数でのめっき促進剤の濃度と位相差との関係を求めておく。このため、使用するめっき液の前記特定周波数での交流インピーダンスを測定してその位相差を求めることにより、この特定周波数での位相差値は、めっき促進剤の濃度に対応する測定量となっているので、この位相差値に基づき該めっき液中のめっき促進剤の濃度を算出することができるとともに、上記位相差値を、めっき促進剤の濃度管理のための制御に用いることができる。したがって、上記位相差許容範囲をめっき促進剤の維持されるべき濃度許容範囲に対応させて設定しておけば、上記位相差が上記位相差許容範囲に保持されるように、めっき促進剤の補給量を制御することにより、めっき液中のめっき促進剤の濃度を維持されるべき濃度許容範囲に維持することが可能となる。
このようにめっき液の特定周波数での交流インピーダンスを測定するという、回転電極が不要の簡単な手段で、めっき液中の他成分等に影響されることなく、めっき促進剤の濃度を管理することが可能となり、ビアホールやスルーホールの均一なめっきを可能にすることができる。
更に、交流インピーダンス測定用の電極をめっき液に浸漬させるだけでよく、めっき液をめっき槽外に取り出す必要がないので、その場測定が可能となり、その結果、めっき促進剤の濃度管理を容易に行うことができる。
そして、上記請求項1の発明においては、前記位相差許容範囲内で,めっき促進剤の補給開始条件となる位相差管理基準値を設定しておき、使用するめっき液の前記特定周波数での交流インピーダンスを測定して求めた位相差値が、使用するめっき液におけるめっき促進剤の濃度の低下に伴い、前記位相差管理基準値に到達するか,または,前記位相差管理基準値よりも低濃度に対応する位相差値側に外れたときに、前記めっき促進剤を所定量補給することが好ましい(請求項2の発明)。これによれば、例えばめっき促進剤の濃度が高いほど、前記特定周波数での位相差が小さくなる(0に近づき、ずれが小さくなる)というような、特定周波数での位相差とめっき促進剤の濃度との関係に基づき、めっき処理の進行に伴いめっき促進剤の濃度が低下し、上記位相差値が前記位相差管理基準値に到達するか、または、前記位相差管理基準値よりも低濃度に対応する位相差値側に外れたときにめっき促進剤を所定量補給することにより、めっき促進剤の濃度を維持されるべき濃度許容範囲に維持することができる。
また、本発明の湿式めっき方法は、めっき促進剤を含有するめっき液を用いた湿式めっき方法において、
めっき促進剤の濃度を変えた各めっき液を用いて交流インピーダンスを測定して、めっき促進剤の各濃度における位相差−周波数特性図を作成し、
この位相差−周波数特性図から位相差のめっき促進剤の濃度に対する依存性の大きい周波数領域を求め、この周波数領域から特定周波数を選択すると共に、該特定周波数でのめっき促進剤の濃度と位相差との関係を求めておき、
使用するめっき液の前記特定周波数での交流インピーダンスを測定してその位相差を求めるとともに該位相差から上記関係に基づきめっき促進剤の濃度を算出し、該濃度が濃度許容範囲に保持されるように、めっき促進剤の補給量を制御するようにすることもできる(請求項3の発明)。
上記請求項1の発明は、めっき促進剤の補給制御のための測定量として,上記特定周波数での位相差を用いるものであるが、これに対して、上記請求項3の発明は、めっき促進剤の補給制御のための測定量として,特定周波数での位相差から算出されためっき促進剤の濃度を用い、該濃度が濃度許容範囲に保持されるようにめっき促進剤の補給制御を行うものである。
そして、上記請求項3の発明においては、前記濃度許容範囲内で,めっき促進剤の補給開始条件となる濃度管理基準値を設定しておき、使用するめっき液の前記特定周波数での交流インピーダンスを測定して求めた位相差から算出されためっき促進剤の濃度値が、使用するめっき液におけるめっき促進剤の濃度の低下に伴い、前記濃度管理基準値に到達するか、または、前記濃度管理基準値よりも低濃度側に外れたときに、前記めっき促進剤を所定量補給することが好ましい(請求項4の発明)。上記請求項2の発明は、めっき促進剤の補給制御のための測定量として、上記特定周波数での位相差を用いるとともに、位相差許容範囲内で、めっき促進剤の補給開始条件となる位相差管理基準値を設定して、めっき促進剤の補給制御を行うものであるが、これに対して、上記請求項4の発明は、めっき促進剤の補給制御のための測定量として、特定周波数での位相差から算出されためっき促進剤の濃度を用いるとともに、濃度許容範囲内で、めっき促進剤の補給開始条件となる濃度管理基準値を設定して、めっき促進剤の補給制御を行うものである。
そして、請求項1ないし4のいずれか1項の発明においては、前記めっき促進剤が、ビス(3−スルホプロピル)ジスルフィドであることが好ましい(請求項5の発明)。これによれば、めっき促進剤としてビス(3−スルホプロピル)ジスルフィドを用いると、本発明の方法によって、特に精度よく濃度を維持することができる。
そして、上記請求項1ないし5のいずれか1項の発明においては、前記特定周波数を選択するに際し、めっき促進剤の各濃度における位相差−周波数特性図から位相差のめっき促進剤の濃度に対する依存性の大きい第1の周波数領域を求め、それと共に、めっき液中に含有される一又は複数のめっき反応抑制剤について,めっき反応抑制剤の濃度または平均分子量を変えた各めっき液を用いて交流インピーダンスを測定して、めっき反応抑制剤の各濃度または各平均分子量における位相差−周波数特性図を作成し、この位相差−周波数特性図から位相差のめっき反応抑制剤の濃度または平均分子量に対する依存性の小さい第2の周波数領域を求め、めっき促進剤について求めた第1の周波数領域と、めっき反応抑制剤について求めた第2の周波数領域とを比較し、両周波数領域のいずれにも含まれる周波数から、前記特定周波数を選択することが好ましい(請求項6の発明)。これによれば、位相差のめっき促進剤の濃度に対する依存性が大きく、かつ、めっき液中の他の添加成分の影響を受けないでめっき促進剤のみを選択的に測定できる特定周波数を確実に求めることができる。
一方、本発明の湿式めっき装置は、めっき促進剤を含有するめっき液を用いた湿式めっき装置において、
使用するめっき液の特定周波数での交流インピーダンスを測定する交流インピーダンス測定手段と、
めっき液中にめっき促進剤を補給する促進剤補給手段と、
前記交流インピーダンス測定手段によって求められた位相差に基づいて、前記促進剤補給手段に作動信号を送り、めっき促進剤を補給させる促進剤補給制御手段とを備え、
前記特定周波数は、めっき促進剤の濃度を変えた各めっき液を用いて交流インピーダンスを測定して、めっき促進剤の各濃度における位相差−周波数特性図を作成し、この位相差−周波数特性図から求められた、位相差のめっき促進剤の濃度に対する依存性の大きい周波数領域から選択されると共に、該特定周波数でのめっき促進剤の濃度と位相差との関係が求められたものであり、
前記補給制御手段は、前記交流インピーダンス測定手段によって求められた位相差に基づいて、該位相差が位相差許容範囲に保持されるように、前記促進剤補給手段にめっき促進剤補給のための作動信号を送るように構成されていることを特徴とする(請求項7の発明)。
上記請求項7の発明によれば、使用するめっき液について、前記位相差−周波数特性図(ボード線図)から求められた位相差のめっき促進剤の濃度に対する依存性の大きい周波数領域から選択された特定周波数における交流インピーダンスを、交流インピーダンス測定手段によって測定し、その位相差を求める。また、該特定周波数でのめっき促進剤の濃度と位相差との関係が求められている。このため、使用するめっき液について求められた前記特定周波数での位相差値は、めっき促進剤の濃度に対応する測定量となっているので、この位相差値に基づき該めっき液中のめっき促進剤の濃度を算出することができるとともに、上記位相差値を、めっき促進剤の濃度管理のための制御に用いることができる。したがって、上記位相差許容範囲をめっき促進剤の維持されるべき濃度許容範囲に対応させて設定しておけば、促進剤補給制御手段により、上記位相差に基づいて、該位相差が上記位相差許容範囲に保持されるように、促進剤補給手段にめっき促進剤補給のための作動信号を送ることにより、めっき液中のめっき促進剤の濃度を維持されるべき濃度許容範囲に維持することが可能となる。
このようにめっき液の特定周波数での交流インピーダンスを測定するという、回転電極が不要の簡単な手段で、めっき液中の他成分等に影響されることなく、めっき促進剤の濃度を管理することが可能となり、ビアホールやスルーホールの均一なめっきを可能にすることができる。
更に、交流インピーダンス測定用の電極をめっき液に浸漬させるだけでよく、めっき液をめっき槽外に取り出す必要がないので、その場測定が可能となり、その結果、めっき促進剤の濃度管理を容易に行うことができる。
そして、上記請求項7の発明においては、前記促進剤補給制御手段は、前記位相差許容範囲内で,めっき促進剤の補給開始条件となる位相差管理基準値が設定されていると共に、前記交流インピーダンス測定手段によって測定された特定周波数における交流インピーダンスに基づく位相差値が、使用するめっき液におけるめっき促進剤の濃度の低下に伴い、前記位相差管理基準値に到達するか,または,前記位相差管理基準値よりも低濃度に対応する位相差値側に外れたときに、前記めっき促進剤を所定量補給するように前記促進剤補給手段に作動信号を送るように構成されていることが好ましい(請求項8の発明)。これによれば、例えばめっき促進剤の濃度が高いほど、前記特定周波数での位相差が小さくなる(0に近づき、ずれが小さくなる)というような、特定周波数での位相差とめっき促進剤の濃度との関係に基づき、めっき処理の進行に伴いめっき促進剤の濃度が低下し、上記位相差値が前記位相差管理基準値に到達するか、または、前記位相差管理基準値よりも低濃度に対応する位相差値側に外れたときにめっき促進剤を所定量補給することにより、めっき促進剤の濃度を維持されるべき濃度許容範囲に維持することができる。
また、本発明の湿式めっき装置は、めっき促進剤を含有するめっき液を用いた湿式めっき装置において、
使用するめっき液の特定周波数での交流インピーダンスを測定する交流インピーダンス測定手段と、
めっき液中にめっき促進剤を補給する促進剤補給手段と、
前記交流インピーダンス測定手段によって求められた位相差から算出されためっき促進剤の濃度に基づいて、前記促進剤補給手段に作動信号を送り、めっき促進剤を補給させる促進剤補給制御手段とを備え、
前記特定周波数は、めっき促進剤の濃度を変えた各めっき液を用いて交流インピーダンスを測定して、めっき促進剤の各濃度における位相差−周波数特性図を作成し、この位相差−周波数特性図から求められた、位相差のめっき促進剤の濃度に対する依存性の大きい周波数領域から選択されると共に、該特定周波数でのめっき促進剤の濃度と位相差との関係が求められたものであり、
前記補給制御手段は、前記交流インピーダンス測定手段によって求められた位相差から上記関係に基づき算出されためっき促進剤の濃度に基づいて、該濃度が濃度許容範囲に保持されるように、前記促進剤補給手段にめっき促進剤補給のための作動信号を送るように構成されているようにすることもできる(請求項9の発明)。
上記請求項7の発明は、めっき促進剤の補給制御のための測定量として,上記特定周波数での位相差を用いるものであるが、これに対して、上記請求項9の発明は、めっき促進剤の補給制御のための測定量として、特定周波数での位相差から算出されためっき促進剤の濃度を用い、該濃度が濃度許容範囲に保持されるようにめっき促進剤の補給制御を行うものである。
そして、上記請求項9の発明においては、前記促進剤補給制御手段は、前記濃度許容範囲内で,めっき促進剤の補給開始条件となる濃度管理基準値が設定されていると共に、前記交流インピーダンス測定手段によって測定された特定周波数における交流インピーダンスに基づく位相差から算出されためっき促進剤の濃度値が、使用するめっき液におけるめっき促進剤の濃度の低下に伴い、前記濃度管理基準値に到達するか、または、前記濃度管理基準値よりも低濃度側に外れたときに、前記めっき促進剤を所定量補給するように前記促進剤補給手段に作動信号を送ることが好ましい(請求項10の発明)。上記請求項8の発明は、めっき促進剤の補給制御のための測定量として,上記特定周波数での位相差を用いるとともに、位相差許容範囲内で、めっき促進剤の補給開始条件となる位相差管理基準値を設定して、めっき促進剤の補給制御を行うものであるが、これに対して、上記請求項10の発明は、めっき促進剤の補給制御のための測定量として,特定周波数での位相差から算出されためっき促進剤の濃度を用いるとともに、濃度許容範囲内で,めっき促進剤の補給開始条件となる濃度管理基準値を設定して、めっき促進剤の補給制御を行うものである。
そして、上記請求項7ないし10のいずれか1項の発明においては、前記めっき促進剤が、ビス(3−スルホプロピル)ジスルフィドであることが好ましい(請求項11の発明)。これによれば、めっき促進剤としてビス(3−スルホプロピル)ジスルフィドを用いると、本発明の装置によって、特に精度よく濃度を維持することができる。
そして、上記請求項7ないし11のいずれか1項の発明においては、前記特定周波数は、めっき促進剤の各濃度における位相差−周波数特性図から位相差のめっき促進剤の濃度に対する依存性の大きい第1の周波数領域を求め、それと共に、めっき液中に含有される一又は複数のめっき反応抑制剤について,めっき反応抑制剤の濃度または平均分子量を変えた各めっき液を用いて交流インピーダンスを測定して,めっき反応抑制剤の各濃度または各平均分子量における位相差−周波数特性図を作成し,この位相差−周波数特性図から位相差のめっき反応抑制剤の濃度または平均分子量に対する依存性の小さい第2の周波数領域を求め、めっき促進剤について求めた第1の周波数領域と,めっき反応抑制剤について求めた第2の周波数領域とを比較し、両周波数領域のいずれにも含まれる周波数から選択されたものであることが好ましい(請求項12の発明)。これによれば、位相差のめっき促進剤の濃度に対する依存性が大きく、かつ、めっき液中の他の添加成分の影響を受けないでめっき促進剤のみを選択的に測定できる特定周波数を確実に求めることができる。
本発明によれば、めっき促進剤の濃度を変えた各めっき液を用いて交流インピーダンスを測定して、めっき促進剤の各濃度における位相差−周波数特性図(ボード線図)を作成し、この位相差−周波数特性図(ボード線図)から位相差のめっき促進剤の濃度に対する依存性の大きい周波数領域を求め、この周波数領域から特定周波数を選択すると共に、該特定周波数でのめっき促進剤の濃度と位相差との関係を求めておくことにより、使用するめっき液の前記特定周波数での交流インピーダンスを測定してその位相差を求めるだけで、この特定周波数での位相差値は、めっき促進剤の濃度に対応する測定量となっているので、この位相差値に基づき該めっき液中のめっき促進剤の濃度を算出することができるとともに、上記位相差値を、めっき促進剤の濃度管理のための制御に用いることができる。したがって、めっき促進剤の維持されるべき濃度許容範囲に対応して位相差許容範囲を設定しておき、上記位相差が上記位相差許容範囲に保持されるように、めっき促進剤の補給量を制御することにより、めっき液中のめっき促進剤の濃度を維持されるべき濃度許容範囲に維持することが可能となる。
また、本発明によれば、めっき促進剤の補給量制御のための測定量として,上記特定周波数での位相差の代わりに,特定周波数での位相差から算出されためっき促進剤の濃度を用いるようにすることもでき、これによっても、めっき液中のめっき促進剤の濃度を維持されるべき濃度許容範囲に維持することができる。
このようにめっき液の特定周波数での交流インピーダンスを測定するという簡単な手段で、めっき液中の他成分等に影響されることなく、めっき促進剤の濃度を管理することが可能となり、ビアホールやスルーホールの均一なめっきを可能にすることができる。
本発明の湿式めっき装置の一実施形態を示す概略構成図である。 めっき液中に添加されためっき促進剤の、各濃度における位相差−周波数特性図(ボード線図)を示す図表である。 特定周波数での、めっき促進剤濃度と位相差との相関を示す図表である。 めっき液中に添加されるPEGの影響を検討するためのもので、(a)は各分子量におけるPEGの、電析量に対する濃度の関係を示す図表で、(b)はPEGの各劣化状態における位相差−周波数特性図(ボード線図)を示す図表である。 めっき液中に添加されるJGBの影響を検討するためのもので、(a)は各電流密度におけるJGBの、電析量に対する濃度の関係を示す図表で、(b)JGBの各劣化状態における位相差−周波数特性図(ボード線図)を示す図表である。 (a)は、めっき液中の各添加剤について、めっき液の処理時間に対する電極の電位変動を示す図表で、(b)は各電流密度におけるSPS(めっき促進剤)の、電析量に対する濃度の関係を示す図表である。 めっき準備工程を示すフローチャートである。 量産めっき工程を示すフローチャートである。 めっき処理量と位相差との関係を示す図表である。
めっき処理に用いられるめっき液は、主に硫酸銅五水和物、硫酸、塩化物イオン(HCl)からなり、更に添加剤として、めっき反応の抑制効果を有するめっき反応抑制剤(ポリマー、レベラー)、めっきの促進効果を有するめっき促進剤(ブライトナー)が含有されている。前記ポリマーとしては、ポリエチレングリコール(以下、「PEG」)、前記レベラーとしては、ヤーヌスグリーンB(以下、「JGB」)、前記めっき促進剤としては、ビス(3−スルホプロピル)ジスルフィド(以下、「SPS」)が、一般的に用いられる。
本発明の湿式めっき方法及び湿式めっき装置は、めっき液の添加剤の一つである、めっき促進剤の濃度管理を確実に行うことを目的としている。この実施形態では、めっき促進剤として上記SPSを用いているが、このSPSと同様の化学構造を有する有機硫黄化合物、例えば、2−メルカプトベンゾチアゾールSプロパンスルホン酸なども、好適に用いることができる。
[湿式めっき装置の構造]
以下、本発明における湿式めっき装置について説明する。
図1には、本発明の湿式めっき装置1(以下、「めっき装置1」)の概略構成図が示されている。同図1に示すように、めっき装置1は、所定量のめっき液が貯留されためっき槽3と、めっき液中に浸漬されたアノード4とを有し、更にプリント配線板等の被めっき物5(カソード)がめっき液中に浸漬され、該被めっき物5及び前記アノード4が直流電源6に接続されている。そして、直流電源6により電圧が印加されると、被めっき物5にめっきが施されるようになっている。
更にめっき装置1には、使用するめっき液の特定周波数での交流インピーダンス測定手段10(以下、「測定手段10」)と、めっき液中にめっき促進剤を補給する促進剤補給手段20(以下、「補給手段20」)と、前記測定手段10によって求められた位相差に基づいて、前記補給手段20に作動信号を送り、めっき促進剤を補給させる促進剤補給制御手段30(以下、「制御手段30」)とを備えている。
前記測定手段10は、めっき液に浸漬された第1電極(作用電極)11(この実施形態ではCu電極),第2電極(参照電極)12(同Ag|AgCl電極),第3電極(補助電極)13(同Pt電極)と、これらの電極11,12,13にそれぞれ接続されたインピーダンスアナライザ15(以下、「アナライザ15」)と、該アナライザ15に交流電圧を供給する交流電源16と、前記アナライザ15を制御するための制御端末17とを備えている。
そして、交流電源16によりめっき液に交流電圧が印加されると、めっき液の交流インピーダンスの経時的変化が、各電極11,12,13を介してアナライザ15によって測定される(交流インピーダンス測定)。
この交流インピーダンス測定は、セル(作用電極、補助電極からなる)に交流信号を印加すると、応答電流と電圧の位相にずれが生じ、その位相差を測定することにより、セルのインピーダンス(交流における抵抗)を測定するものである。交流インピーダンスは、物性等に影響されることが知られており、この交流インピーダンスを測定することにより、状態の変化が分かるようになっている。
そして、上記交流インピーダンス測定により得られた位相差が、前記アナライザ15により内部的に処理され、図2に示すような、横軸を周波数(Hz:対数目盛)、縦軸を位相差(rad)とした、いわゆるボード線図(Bode線図)が作成される。なお、一般には、ゲインの対数値および位相角をそれぞれ、周波数(角周波数)の対数値を横軸にとって描いたゲイン曲線図および位相曲線図が合わせてボード線図と称される。以下では、図2に示すようなボード線図(位相曲線図)を「位相差−周波数特性図」とも称する。
本発明では、めっき促進剤の濃度を変えた各めっき液が、それぞれ交流インピーダンス測定されるようになっている。この実施形態では、めっき促進剤を0mg/L、0.25mg/L、0.5mg/L、0.75mg/L、1.0mg/Lの5種類の濃度としためっき液に対して、交流インピーダンス測定がなされる。
図2は、めっき促進剤がSPSである場合について各SPS濃度における位相差−周波数特性図(ボード線図)を示すものである。図2に示すように、位相差とめっき促進剤の濃度との相関関係は、ほとんどの周波数範囲で明確ではないが、ある周波数領域では、位相差とめっき促進剤の濃度との相関関係が明確となる。そして、この実施形態では、図2に示すように、位相差とめっき促進剤(SPS)の濃度との相関関係が明確である周波数領域から、例えば30Hzを特定周波数として選択することができる。この特定周波数(30Hz)での、めっき促進剤(SPS)濃度(mg/L:横軸)と、位相差(rad:縦軸)との関係を図3に示す。この実施形態では、めっき促進剤(SPS)の濃度が高くなるにつれて、一定の割合で位相差が小さくなっている(0に近づき、ずれが小さくなる)。
このように、測定手段10においては、めっき促進剤の濃度と位相差との間に特定の相関関係を生じさせるような周波数領域であって、位相差のめっき促進剤の濃度に対する依存性の大きい周波数領域を求め、この周波数領域から、使用するめっき液の交流インピーダンス測定で用いる特定周波数を選択できるようにする役割を果たすようになっている。なお、上記の「位相差のめっき促進剤の濃度に対する依存性の高い周波数領域」としては、めっき促進剤の濃度によって位相差に比較的大きな差が生じていて、しかも、位相差とめっき促進剤の濃度との間に、濃度値に対応する位相差値が一義的に求められる関係の有るような周波数領域が求められ、このような周波数領域から前記特定周波数が選択される。
また、前記測定手段10は、選択された特定周波数における、濃度と位相差との関係を求める役割を果たすと共に、計測された位相差に基づいて、めっき促進剤の濃度を算出するという役割もなしている。
前記補給手段20は、補給用のめっき促進剤が充填された補給タンク21と、該補給タンク21から垂設された補給ノズル22と、該補給ノズル22の途中に形成され、制御手段30により開閉制御される補給コック23とを有している。
また、前記制御手段30は、前記測定手段10のアナライザ15と、前記補給手段20の補給コック23とにそれぞれ接続され、更にめっき促進剤の補給開始条件となる特定の位相差、すなわち、位相差管理基準値が予め記憶されている。この制御手段30は、測定手段10から順次送られる特定周波数の位相差の値が、めっき促進剤の濃度の低下に伴い、前記位相差管理基準値に到達するか、または、前記位相差管理基準値よりも低濃度に対応する位相差値側に外れたときに、めっき促進剤の補給開始時期と判断して、前記補給コック23に補給開始の作動信号を送るようになっている。
[めっき促進剤の濃度依存性の高い特定周波数の特定]
1.他の添加成分の影響を受けないで、めっき促進剤のみを選択的に測定できる理由
上述したように、この実施形態においては、使用するめっき液の交流インピーダンス測定で用いる特定周波数として、30Hzを特定している。この特定にあたっては、めっき液に含有されるめっき促進剤以外の、他の添加剤の影響も考慮している。すなわち、めっき液には、2つのめっき反応抑制剤(PEG、JGB)が含有され、これらのめっき反応抑制剤もめっき処理に伴って濃度変化(劣化)するが、本実施形態においては、以下に説明するように、めっき反応抑制剤の影響が極力排除されるようになっている。
まず、ポリエチレングリコール(PEG)の影響について検討した。すなわち、PEGについて、図4(a)に示すように、各分子量におけるPEGについて、電析(めっき処理)量に対する濃度を測定した。
その結果、建浴時(めっき前の状態)には、高い分子量(8000)におけるPEG濃度が高いが、高い分子量(8000)におけるPEG濃度は、電析量240Cでは急激に下がっており、電析量600Cではほぼ0となっている。一方、低い分子量(440、600、1000)におけるPEG濃度は、建浴時には、ほぼ0であるが、電析量600Cでは上がっている。すなわち、めっき処理の進行に伴って、PEG分子が分解して低分子化し、PEGが劣化していくことが分かる。なお、上記のような、めっき処理の進行に伴うPEGの劣化態様は、特定の分子量に着目した場合に当該分子量のPEGの濃度が変化していく現象(すなわち、高い分子量のPEGの濃度が低下していき、低い分子量のPEGの濃度が上昇していく現象)とみなすことができるとともに、PEGの平均分子量、例えば数平均分子量が低下していく現象とみなすこともできるが、後者の場合、単なる数平均分子量だけでなく、分子量分布の形(パターン)も含めて評価することがより適当と考えられる。
また、PEGの劣化に対して、交流インピーダンス測定による位相差がどのように変動するかについて検討した。すなわち、図4(b)に示すように、PEGの各劣化状態において交流インピーダンス測定を行い、各劣化状態での位相差−周波数特性図(ボード線図)(周波数に対する位相差の線図)を作成した。同図には、建浴時(PEG濃度:300mg/L)における位相差−周波数特性図、電析量240Cのめっき処理でPEGが劣化した状態における位相差−周波数特性図、及び電析量600Cのめっき処理でPEGが劣化した状態における位相差−周波数特性図を示しているが、30Hz付近においては、めっき処理によるPEGの劣化状態の進行(PEGの平均分子量の低下)に伴う位相差の変動は見受けられない。
次に、ヤーヌスグリーンB(JGB)の影響について検討した。図5(a)には、JGBについての、電析(めっき処理)量に対する濃度の関係が示されている。すなわち、各電流密度(A/dm)の条件で、JGBについて、電析量に対する濃度を測定した。なお、図5(a)におけるJGBの測定は、他の添加剤成分(PEG、SPS)が共存する状態においてなされたものである。
その結果、5A/dmの電流密度の場合、JGBは、電析量120Cでの濃度がほぼ半分(1.0mg/L)となり、電析量240Cでの濃度がほぼ0となっている。その他の電流密度の場合も、電析量の増加に伴って、JGB濃度が低下している。このように、めっき処理の進行に伴ってJGBが分解し、JGBの濃度が低下(劣化)していくことが分かる。
また、JGBの劣化に対して、交流インピーダンス測定による位相差がどのように変動するかについて検討した。すなわち、図5(b)に示すように、JGBの各劣化状態において交流インピーダンス測定を行い、各劣化状態での位相差−周波数特性図(ボード線図)(周波数に対する位相差の線図)を作成した。同図には、建浴時(JGB濃度:2.0mg/L)における位相差−周波数特性図、電析量120Cのめっき処理でJGBが劣化した状態(JGB濃度:1.0mg/L)における位相差−周波数特性図、及び電析量240Cのめっき処理でJGBが劣化した状態(JGB濃度:0.0mg/L)における位相差−周波数特性図を示しているが、図4(b)に示すPEGの各劣化状態における位相差−周波数特性図と同様に、30Hz付近においては、めっき処理によるJGBの劣化状態の進行(JGBの濃度の低下)に伴う位相差の変動は見受けられない。
なお、図5(b)において、めっき促進剤(SPS)が共存しているにも係わらず、30Hz付近での位相差変化がないことは、次のように推察される。すなわち、めっき促進剤(SPS)の分解速度(消費速度:同じ電析量に対する分解量)は、JGBの分解速度よりも小さいため、JGBの急激な分解をもたらす程度のめっき処理(電析量240C)では、めっき促進剤(SPS)の分解の程度が小さく、位相差変化として現れないものと考えられる。
以上のように、めっき液中のPEG及びJGBのそれぞれについて、図4(b)および図5(b)のように、各劣化状態における交流インピーダンス測定結果に基づく位相差−周波数特性図(ボード線図)を作成し、めっき促進剤(SPS)に対応する特定周波数(30Hz)では、めっき処理によるPEG及びJGBの劣化(分解)の進行に伴う位相差の変動が現れないことを確認した。その結果、めっき促進剤(SPS)の濃度依存性の高い特定周波数(30Hz)では、共存するPEG、JGBの分解の影響を受けないで、SPSの濃度変化(分解)のみに対応した位相差変化が現れると考えられ、めっき促進剤(SPS)が添加されためっき液の交流インピーダンスの測定において、他の添加剤成分(PEG,JGB)の濃度または平均分子量の変化(分解)の影響を極力排除することができるようになっている。
このように、この実施形態では、
使用するめっき液に対する交流インピーダンス測定で用いられる上記特定周波数を選択するに際し、
めっき促進剤の各濃度における位相差−周波数特性図(ボード線図)から、位相差のめっき促進剤の濃度に対する依存性の大きい周波数領域(第1の周波数領域)を求め、
それと共に、めっき液中に含有される一又は複数のめっき反応抑制剤について、めっき反応抑制剤の濃度または平均分子量を変えた各めっき液を用いて交流インピーダンスを測定して、めっき反応抑制剤の各濃度または各平均分子量における位相差−周波数特性図(ボード線図)を作成し、この位相差−周波数特性図(ボード線図)から位相差のめっき反応抑制剤の濃度または平均分子量に対する依存性の小さい周波数領域(第2の周波数領域)を求め、
めっき促進剤について求めた周波数領域(第1の周波数領域)と、めっき反応抑制剤について求めた周波数領域(第2の周波数領域)とを比較し、両周波数領域のいずれにも含まれる周波数から,前記特定周波数を選択するように構成されている。
その結果、位相差のめっき促進剤の濃度に対する依存性が大きく、かつ、めっき液中の他の添加成分の影響を受けないで、めっき促進剤のみを選択的に測定できる特定周波数を確実に求めることが可能となっている。
そして、上記特定周波数を選択するために、上述のように、めっき反応抑制剤の濃度または平均分子量を変えた各めっき液を用いて交流インピーダンスを測定する場合、めっき反応抑制剤の濃度または平均分子量を変えた各めっき液のサンプルとしては、上記の図4および図5で説明したように、めっき処理に伴う劣化によりめっき反応抑制剤の濃度または平均分子量が変化した各劣化状態のめっき液を用いるようにしてもよく、また、建浴時のめっき液として各濃度または各平均分子量のめっき反応抑制剤を添加しためっき液を用いるようにしてもよい。なお、特に、めっき反応抑制剤の平均分子量を変えた各めっき液を用いて交流インピーダンスを測定する場合には、前者のように実際のめっき処理による各劣化状態のめっき液を用いるようにした方が、分子量分布の形(パターン)の変化も実際の劣化態様に合わせることができるので、より好適と考えられる。
2.めっき促進剤の劣化している成分を除外して測定できる理由
めっき促進剤も、めっき処理に伴って分解されて成分が劣化して、濃度が低下する。このとき、めっき促進剤の劣化した成分が、交流インピーダンス測定から作成される位相差−周波数特性図(ボード線図)に影響を及ぼすことが懸念される。しかし、以下の理由によりその影響は少ない。
すなわち、めっき液中の各添加剤について、めっき処理(電析)に伴う分解(低分子化)挙動を検討した。すなわち、めっき液の処理時間(sec)に対する、Ag|AgCl電極の電位(V)の変動について測定した(図6(a)参照)。なお、電流密度は、3A/dmとなっている。
図中、Aは基本浴(PEG、JGB、SPSが添加されていないめっき液)の変動線、BはPEGが添加されためっき液の変動線、CはJGBが添加されためっき液の変動線、DはSPS(めっき促進剤)が添加されためっき液の変動線、EはPEG及びJGBが添加されためっき液の変動線、FはPEG及びSPSが添加されためっき液の変動線、GはPEG、JGB、及びSPSが添加されためっき液の変動線を示す。
また、図6(b)には、図6(a)に示されるめっき処理(電析)工程において、所定電析量の時点で採取されためっき液サンプルについて液体クロマトグラフィーによる定量分析を行い、SPS濃度の変動を測定した結果が示されている。なお、図6(b)には、図6(a)の電流密度3A/dmに対応した変動線の他、電流密度1A/dm、電流密度5A/dmに対応した変動線も併記されている。
その結果、めっき液中の各添加剤は、次のような分解(低分子化)挙動が現れていることが分かった。前述の各分子量におけるPEGの電析量に対する濃度変動(すなわち電析量に対する平均分子量の変動)(図4(a)参照)、及び、JGBの電析量に対する濃度変動(図5(a)参照)も併せて説明する。
(ア)PEGは徐々に分解する(図6(a)中、Bの変動線参照)。図4(a)からもその傾向が認められる。
(イ)JGBは急激に分解する。すなわち、JGBの濃度は、PEGの場合よりも大幅に少ない電析量で急低下している(図5(a)参照)。図6(a)中、Cの変動線には、処理時間500〜750sec前後の部分で、JGBの急激な分解に起因する急な電位変動が現れている(図中、円で囲った部分)。
(ウ)SPS(めっき促進剤)は徐々に消費される。図6(a)中、Dの変動線に示すように、SPSによる顕著な電位変動は認められない。
なお、図6(b)において、電析開始の初期段階(「1A/dm,3A/dm」で約50C程度、「5A/dm」では120C)において、SPS濃度が一度急激に低下した後、ほぼ元の濃度レベルに急激に復帰するように変動している。上記SPS濃度低下時には、SPSの補充は行っていない。
上記の初期濃度変動の原因は、電析の初期段階で、電極にSPSが吸着されることにより、めっき液中でのSPS濃度が低下するとともに、その後、電析の進行に伴って、電極に吸着されていたSPSがめっき液中に戻り、SPS濃度が復帰するものと推察される。
すなわち、上記の初期濃度変動を除けば、めっき促進剤であるSPSは、めっき処理(電析)の進行に伴って、徐々に消費されていく挙動を示している。
また、液体クロマトグラフィーによる分析におけるピークとしては、SPSのピークしか見つかっておらず、SPSの分解による成分は検出されていない。
以上のように、SPSの分解挙動が徐々に消費されるものであると共に、分解による成分は検出されないことが確認された。すなわち、めっき液中のめっき添加剤(SPS)は、めっき処理に伴って、その濃度が低下していくものの、上記の初期濃度変動が起きる初期工程以外は、その濃度変動(濃度低下の時間的勾配)がほぼ一定であり、十分に予測可能なものとなっている。
したがって、交流インピーダンス測定結果から位相差−周波数特性図(ボード線図)を作成して、位相差のめっき促進剤の濃度に対する依存性の大きい周波数領域を求め、この周波数領域から、使用するめっき液の交流インピーダンス測定で用いる特定周波数を選択する際に、めっき促進剤自体の劣化による測定への影響を考慮する必要はなく、位相差のめっき促進剤の濃度に対する依存性が大きいことを第1の選択条件として特定周波数を選択することができるので、めっき液中のめっき促進剤の濃度管理の精度を高いものとすることができる。
[湿式めっき装置によるめっき工程]
次に、上記構造のめっき装置1によるめっき工程について説明する。このめっき工程では、めっき促進剤を補給するための判断基準を策定する、めっき準備工程と、実際に被めっき物5にめっき処理を施していく、量産めっき工程との2つの工程を有している。
まず、めっき準備工程について、図7のフローチャートを参照して説明する。この工程でのめっき液は、下記表1に示す成分となっている。
すなわち、交流電源16によりめっき液に交流電圧を印加して、測定手段10によりインピーダンス測定を開始すると、めっき液の交流インピーダンスが、各電極11,12,13を介してアナライザ15によって測定され、各濃度(めっき液に対して、めっき促進剤が0,0.25,0.5,0.75,1.0mg/Lの濃度)における位相差−周波数特性図(ボード線図)がそれぞれ作成される(ステップS1)。次いで、位相差のめっき促進剤の濃度に対する依存性が高い周波数領域が求められ、この周波数領域から特定周波数が選択されると共に、選択された特定周波数における、濃度と位相差との関係が求められる(ステップS2)。
上記工程と並行して又は上記工程に先だって、めっき液に対してめっき促進剤をどの程度添加すれば、被めっき物5に対して目的の仕様のめっきが施されるかを確認して、濃度管理基準値を設定する工程、すなわち、目的の仕様のめっきを施すために必要なめっき促進剤の濃度値(濃度下限値)を特定し、めっき促進剤の補給開始条件の基準となる濃度の管理基準値(濃度管理基準値)を設定する工程が行われる。めっき仕様としては、LSI配線やプリント配線板などの被めっき物5におけるビアホールやスルーホール等の孔に対するめっきの均一電着性(スローイングパワー)が、目的の仕様のめっきを施すために必要なめっき促進剤の濃度値(濃度下限値)を特定するための主要な評価項目となる。そして、上記の均一電着性(スローイングパワー)は、(孔内部のめっき厚さ)/(被めっき物(における孔部以外)の表面のめっき厚さ)×100(%)で表すことができ、被めっき物の表面と孔内部とのめっき厚さが均一のときスローイングパワーは100%となる。なお、均一電着性だけでなく、めっき品質に係わる他の評価項目も評価することにより、目的の仕様のめっきを施すために維持されるべきめっき促進剤の濃度許容範囲として上記の濃度下限値に加えて濃度上限値も設定し、この濃度上限値を考慮して、めっき促進剤の補給量を適正に設定するようにすることが好ましい。
また、めっき処理の進行に伴うめっき促進剤(SPS)の濃度低下は緩やかであることから、めっき仕様(均一電着性等)の評価に基づいて特定された濃度下限値を、そのまま、めっき促進剤の補給開始条件の基準となる濃度管理基準値としてもよいが、測定系の誤差やめっき促進剤補給操作の遅れなども考慮し、上記濃度下限値に所定の余裕分を加えた濃度値を濃度管理基準値として設定することが、めっき液におけるめっき促進剤の濃度をより確実に濃度許容範囲(濃度下限値以上)に維持する上で好適である。
そして、この工程では、めっき促進剤の濃度を0,0.25,0.5,0.75,1.0mg/Lとした5種類のめっき液を用いて、図1のめっき装置1或いは別のめっき装置で、被めっき物5にめっき処理を施して、めっき促進剤とめっき仕様(均一電着性等)との関係を求め(ステップS3)、目的の仕様のめっきを施すために必要なめっき促進剤の濃度値(濃度下限値)を特定し、この濃度下限値に基づき、必要に応じて所定の余裕分を加えて、めっき促進剤の濃度管理基準値を設定する(ステップS4)。
そして、上記ステップS2で得られた、特定周波数における濃度と位相差の関係と、上記ステップS4で得られた、めっき促進剤の濃度管理基準値とに基づき、めっき促進剤の濃度管理基準値に対応する、位相差の管理基準値(位相差管理基準値)を設定する(ステップS5)。この位相差管理基準値は、めっき促進剤の補給開始条件となる位相差値であり、制御手段30に予め記憶させておく。
次に、量産めっき工程について、図8のフローチャートを参照して説明する。
すなわち、図1に示すように、被めっき物5を直流電源6に接続し、同直流電源6によりめっき液中に浸漬されたアノード4と被めっき物5(カソード)との間に電圧が印加されると、めっき処理が開始する。その後、測定手段10により、濃度依存性の高い周波数領域から選択された特定周波数における位相差を測定し、そのデータがアナライザ15を介して制御手段30に送られる(ステップS1)。
そして、めっき工程の進行に伴うめっき促進剤の濃度低下とともに、制御手段30に送られてくる位相差の値が、めっき促進剤の低濃度側に対応する方向(例えば図3では、位相差が大きくなる(0から遠ざかり、ずれが大きくなる)方向)に変化していき、制御手段30に予め記憶された位相差管理基準値に到達するか、または、位相差管理基準値よりも低濃度に対応する位相差値側に外れたときに、めっき促進剤の濃度が低下して濃度管理基準値以下になったと判定され、制御手段30から補給手段20の補給コック23に作動信号が送られる(ステップS2)。それによって、補給手段20の補給コック23が開き、補給タンク21内に貯留された、めっき促進剤が補給ノズル22を通して、めっき液中に補給される(ステップS3)。
図9には、めっき処理量(電析量)を横軸にとり、量産めっき工程の進行に伴う位相差の変動を表す図表が示されている。図9の縦軸(位相差)は、図3の縦軸(位相差)と対応するものであって、図示されている位相差領域は(例えば図3における「−0.67rad」〜「−0.6rad」に対応する)マイナス値の位相差領域である。そして、図9の縦軸における上方向が、めっき促進剤の濃度が高くなるのに対応して位相差が小さくなる(0に近づき、ずれが小さくなる)方向であり、下方向が、めっき促進剤の濃度が低くなるのに対応して位相差が大きくなる(0から遠ざかり、ずれが大きくなる)方向である。図9に示されるように、量産めっき工程の進行によりめっき処理量が多くなると、それに伴うめっき促進剤の濃度低下に対応して位相差が徐々に大きくなり(0から遠ざかり)、位相差が所定値(すなわち、補給時期の位相差である位相差管理基準値)となったとき、または、前記位相差管理基準値よりも低濃度に対応する位相差値側に外れたときに、めっき促進剤の補給がなされて、めっき促進剤の濃度が再び高くなることにより、位相差が再び小さくなり(0に近づき、ずれが小さくなり)、所定範囲、すなわち、上記濃度許容範囲に対応する位相差許容範囲に収まるようになっており、これに対応して、めっき促進剤の濃度も、目的の仕様のめっきを施すために維持されるべき濃度許容範囲内に収まるようになっている。
そして、上記のステップS1〜S3が、所定のめっき処理時間が経過するまで、或いは、めっき処理量(電析量)が所定量となるまで繰り返されて、めっき促進剤の補給動作が適宜行われ、めっき処理が終了する。
なお、上述の図7〜図8による説明では、めっき促進剤の補給制御のための測定量として,特定周波数での位相差を用いるとともに、めっき促進剤の補給開始条件となる位相差管理基準値を設定してめっき促進剤の補給制御を行う構成例を示したが、本発明は、これに限定されるものでなく、めっき促進剤の補給制御のための測定量として,特定周波数での位相差から算出されためっき促進剤の濃度を用い、めっき促進剤の補給開始条件となる濃度管理基準値を設定してめっき促進剤の補給制御を行う構成とすることもできる。この後者の構成では、めっき準備工程に関する図7のフローチャートにおいて、位相差管理基準値を設定するステップS5は不要であり、位相差管理基準値の代わりに、ステップS4で設定されためっき促進剤の濃度管理基準値をめっき促進剤の補給開始条件となる濃度値として制御手段30に予め記憶させておくことになる。また、上記後者の構成では、量産めっき工程に関する図8のフローチャートにおいて、特定周波数における位相差を測定するステップS1の後に、この位相差から(図7のフローチャートのステップS2で求められているめっき促進剤の濃度と特定周波数での位相差との関係に基づき)めっき促進剤の濃度を算出するステップを追加するとともに、ステップS3では、位相差と位相差管理基準値との比較判定処理の代わりに、めっき促進剤の濃度と濃度管理基準値との比較判定処理を行うことになる。
[湿式めっき方法及び作用効果]
次に、上記構成からなる本発明の湿式めっき装置1を用いた、本発明による湿式めっき方法について説明する。なお、各工程については既に詳述したので簡単に述べる。
すなわち、めっき準備工程として、図7のフローチャートに示すように、測定手段10により、複数種のめっき促進剤濃度(めっき促進剤濃度が0,0.25,0.5,0.75,1.0mg/L)のめっき液の位相差−周波数特性図(ボード線図)をそれぞれ作成し(ステップS1)、位相差の濃度依存性が高い周波数領域から特定周波数を選択すると共に、選択された特定周波数での濃度と位相差との関係を求める(ステップS2)。また、上記複数の濃度と同一の濃度の各めっき液で、被めっき物5にめっき処理を施して、めっき促進剤とめっき仕様(均一電着性等)の関係を求め(ステップS3)、目的の仕様のめっきを施すために必要なめっき促進剤の濃度値(濃度下限値)を特定し、この濃度下限値に基づき、必要に応じて所定の余裕分を加えて、めっき促進剤の濃度管理基準値を設定する(ステップS4)。上記ステップS2,S4に基づいて、めっき促進剤の濃度管理基準値に対応する位相差管理基準値を設定し(ステップS5)、制御手段30に予め記憶する。
そして、実際に被めっき物5にめっき処理を施す量産めっき工程は、図8に示すフローチャートのように、被めっき物5を直流電源6に接続後、めっき液中に浸漬されたアノード4と被めっき物5(カソード)との間に電圧を印加することにより、めっき処理を開始する。その後、測定手段10により、濃度依存性の高い周波数領域から選択された特定周波数における位相差を測定し、該位相差の測定値は、アナライザ15を介して制御手段30に送られる。なお、めっき準備工程において、図3に示すような、選択された特定周波数でのめっき促進剤の濃度と位相差との関係が求められているので(図7のステップS2)、上記位相差の測定値に対応して、めっき液中のめっき促進剤の濃度を算出することができ、これにより、量産めっき工程におけるめっき液中のめっき促進剤の濃度を定常的に監視することができる。
そして、送られた位相差の測定値が、めっき促進剤の濃度の低下に伴い、制御手段30に予め記憶された位相差管理基準値に到達するか、または、前記位相差管理基準値よりも低濃度に対応する位相差値側に外れたときに、制御手段30から補給コック23に作動信号が送ることにより(ステップS2)、補給コック23を開いて、めっき促進剤をめっき液中に補給する(ステップS3)。その後、上記ステップS1〜S3が繰り返されることにより、めっき液中のめっき促進剤の濃度を、目的の仕様のめっきを施すために維持されるべき濃度許容範囲内に保つことができる。
以上説明したように、この湿式めっき方法においては、めっき促進剤の各濃度における位相差−周波数特性図(ボード線図)を作成し、これから求められる濃度依存性の高い周波数領域から特定周波数を選択すると共に、該特定周波数でのめっき促進剤の濃度と位相差との関係を求めておく。このため、使用するめっき液の前記特定周波数での交流インピーダンスを測定してその位相差を求めることにより、この特定周波数での位相差値は、めっき促進剤の濃度に対応する測定量となっているので、この位相差値に基づきめっき液中のめっき促進剤の濃度を算出することができるとともに、上記位相差値を、めっき促進剤の濃度管理のための制御に用いることができる。
したがって、目的の仕様のめっきを施すためにめっき促進剤の維持されるべき濃度許容範囲に対応して位相差許容範囲を設定しておき、上記位相差が上記位相差許容範囲に保持されるように、めっき促進剤の補給量を制御することにより、めっき液中のめっき促進剤の濃度を、維持されるべき濃度許容範囲に維持することが可能となる。このようにめっき液の特定周波数での交流インピーダンスを測定するという簡単な手段で、めっき液中の他成分等に影響されることなく、めっき促進剤の濃度を管理することが可能となり、ビアホールやスルーホール等の孔部を有するLSI配線やプリント配線板などの被めっき物に対する均一なめっきを施すことができる。
また、この湿式めっき方法においては、めっき促進剤が、ビス(3−スルホプロピル)ジスルフィドであることが好ましい。これによれば、めっき促進剤としてビス(3−スルホプロピル)ジスルフィドを用いると、特に精度よく濃度を維持することができる。
また、上記実施形態では、量産めっき工程におけるめっき促進剤の補給制御方式として、上記特定周波数での位相差値を補給制御のための測定量とし、この位相差値が位相差管理基準値に到達するか、または、位相差管理基準値よりも低濃度に対応する位相差値側に外れたときにめっき促進剤を所定量補給する構成としているが、本発明におけるめっき促進剤の補給制御方式は、上記構成に限定されるものではなく、特定周波数での位相差値から算出されためっき促進剤の濃度値を補給制御のための測定量とし、この濃度値が濃度管理基準値に到達するか、または、濃度管理基準値よりも低濃度側に外れたときにめっき促進剤を所定量補給する構成としてもよい。なお、本発明ではめっき準備工程において上記特定周波数でのめっき促進剤の濃度と位相差との関係を予め求めておくので、量産めっき工程において特定周波数での位相差値からめっき促進剤の濃度値を算出することは、例えば制御手段30内で短時間に処理できると考えられるが、より直接的な測定量である特定周波数での位相差値の方を補給制御のための測定量とし、めっき促進剤の濃度値の方はめっき浴管理のための監視用データとしてのみ用いるようにした方が、めっき促進剤の補給制御における制御,演算処理内容を極力簡素化し、補給制御の時間遅れを極力小さくする上では、より好適と考えられる。
1 湿式めっき装置
3 めっき槽
4 アノード
5 被めっき物
6 直流電源
10 交流インピーダンス測定手段(測定手段)
11 第1電極
12 第2電極
13 第3電極
15 インピーダンスアナライザ(アナライザ)
16 交流電源
17 制御端末
20 促進剤補給手段(補給手段)
21 補給タンク
22 補給ノズル
23 補給コック
30 促進剤補給制御手段(制御手段)

Claims (12)

  1. めっき促進剤を含有するめっき液を用いた湿式めっき方法において、
    めっき促進剤の濃度を変えた各めっき液を用いて交流インピーダンスを測定して、めっき促進剤の各濃度における位相差−周波数特性図を作成し、
    この位相差−周波数特性図から位相差のめっき促進剤の濃度に対する依存性の大きい周波数領域を求め、この周波数領域から特定周波数を選択すると共に、該特定周波数でのめっき促進剤の濃度と位相差との関係を求めておき、
    使用するめっき液の前記特定周波数での交流インピーダンスを測定してその位相差を求め、該位相差が位相差許容範囲に保持されるように、めっき促進剤の補給量を制御することを特徴とする湿式めっき方法。
  2. 前記位相差許容範囲内で、めっき促進剤の補給開始条件となる位相差管理基準値を設定しておき、使用するめっき液の前記特定周波数での交流インピーダンスを測定して求めた位相差値が、使用するめっき液におけるめっき促進剤の濃度の低下に伴い、前記位相差管理基準値に到達するか、または、前記位相差管理基準値よりも低濃度に対応する位相差値側に外れたときに、前記めっき促進剤を所定量補給する請求項1記載の湿式めっき方法。
  3. めっき促進剤を含有するめっき液を用いた湿式めっき方法において、
    めっき促進剤の濃度を変えた各めっき液を用いて交流インピーダンスを測定して、めっき促進剤の各濃度における位相差−周波数特性図を作成し、
    この位相差−周波数特性図から位相差のめっき促進剤の濃度に対する依存性の大きい周波数領域を求め、この周波数領域から特定周波数を選択すると共に、該特定周波数でのめっき促進剤の濃度と位相差との関係を求めておき、
    使用するめっき液の前記特定周波数での交流インピーダンスを測定してその位相差を求めるとともに該位相差から上記関係に基づきめっき促進剤の濃度を算出し、該濃度が濃度許容範囲に保持されるように、めっき促進剤の補給量を制御することを特徴とする湿式めっき方法。
  4. 前記濃度許容範囲内で、めっき促進剤の補給開始条件となる濃度管理基準値を設定しておき、使用するめっき液の前記特定周波数での交流インピーダンスを測定して求めた位相差から算出されためっき促進剤の濃度値が、使用するめっき液におけるめっき促進剤の濃度の低下に伴い、前記濃度管理基準値に到達するか、または、前記濃度管理基準値よりも低濃度側に外れたときに、前記めっき促進剤を所定量補給する請求項3記載の湿式めっき方法。
  5. 前記めっき促進剤が、ビス(3−スルホプロピル)ジスルフィドである請求項1ないし4のいずれか1項に記載の湿式めっき方法。
  6. 前記特定周波数を選択するに際し、
    めっき促進剤の各濃度における位相差−周波数特性図から位相差のめっき促進剤の濃度に対する依存性の大きい第1の周波数領域を求め、
    それと共に、めっき液中に含有される一又は複数のめっき反応抑制剤について、めっき反応抑制剤の濃度または平均分子量を変えた各めっき液を用いて交流インピーダンスを測定して、めっき反応抑制剤の各濃度または各平均分子量における位相差−周波数特性図を作成し、この位相差−周波数特性図から位相差のめっき反応抑制剤の濃度または平均分子量に対する依存性の小さい第2の周波数領域を求め、
    めっき促進剤について求めた第1の周波数領域と、めっき反応抑制剤について求めた第2の周波数領域とを比較し、両周波数領域のいずれにも含まれる周波数から、前記特定周波数を選択する請求項1ないし5のいずれか1項に記載の湿式めっき方法。
  7. めっき促進剤を含有するめっき液を用いた湿式めっき装置において、
    使用するめっき液の特定周波数での交流インピーダンスを測定する交流インピーダンス測定手段と、
    めっき液中にめっき促進剤を補給する促進剤補給手段と、
    前記交流インピーダンス測定手段によって求められた位相差に基づいて、前記促進剤補給手段に作動信号を送り、めっき促進剤を補給させる促進剤補給制御手段とを備え、
    前記特定周波数は、めっき促進剤の濃度を変えた各めっき液を用いて交流インピーダンスを測定して、めっき促進剤の各濃度における位相差−周波数特性図を作成し、この位相差−周波数特性図から求められた、位相差のめっき促進剤の濃度に対する依存性の大きい周波数領域から選択されると共に、該特定周波数でのめっき促進剤の濃度と位相差との関係が求められたものであり、
    前記補給制御手段は、前記交流インピーダンス測定手段によって求められた位相差に基づいて、該位相差が位相差許容範囲に保持されるように、前記促進剤補給手段にめっき促進剤補給のための作動信号を送るように構成されていることを特徴とする湿式めっき装置。
  8. 前記促進剤補給制御手段は、前記位相差許容範囲内で,めっき促進剤の補給開始条件となる位相差管理基準値が設定されていると共に、前記交流インピーダンス測定手段によって測定された特定周波数における交流インピーダンスに基づく位相差値が、使用するめっき液におけるめっき促進剤の濃度の低下に伴い、前記位相差管理基準値に到達するか,または,前記位相差管理基準値よりも低濃度に対応する位相差値側に外れたときに、前記めっき促進剤を所定量補給するように前記促進剤補給手段に作動信号を送るように構成されている請求項7記載の湿式めっき装置。
  9. めっき促進剤を含有するめっき液を用いた湿式めっき装置において、
    使用するめっき液の特定周波数での交流インピーダンスを測定する交流インピーダンス測定手段と、
    めっき液中にめっき促進剤を補給する促進剤補給手段と、
    前記交流インピーダンス測定手段によって求められた位相差から算出されためっき促進剤の濃度に基づいて、前記促進剤補給手段に作動信号を送り、めっき促進剤を補給させる促進剤補給制御手段とを備え、
    前記特定周波数は、めっき促進剤の濃度を変えた各めっき液を用いて交流インピーダンスを測定して、めっき促進剤の各濃度における位相差−周波数特性図を作成し、この位相差−周波数特性図から求められた、位相差のめっき促進剤の濃度に対する依存性の大きい周波数領域から選択されると共に、該特定周波数でのめっき促進剤の濃度と位相差との関係が求められたものであり、
    前記補給制御手段は、前記交流インピーダンス測定手段によって求められた位相差から上記関係に基づき算出されためっき促進剤の濃度に基づいて、該濃度が濃度許容範囲に保持されるように、前記促進剤補給手段にめっき促進剤補給のための作動信号を送るように構成されていることを特徴とする湿式めっき装置。
  10. 前記促進剤補給制御手段は、前記濃度許容範囲内で、めっき促進剤の補給開始条件となる濃度管理基準値が設定されていると共に、前記交流インピーダンス測定手段によって測定された特定周波数における交流インピーダンスに基づく位相差から算出されためっき促進剤の濃度値が、使用するめっき液におけるめっき促進剤の濃度の低下に伴い、前記濃度管理基準値に到達するか、または、前記濃度管理基準値よりも低濃度側に外れたときに、前記めっき促進剤を所定量補給するように前記促進剤補給手段に作動信号を送るように構成されている請求項9記載の湿式めっき装置。
  11. 前記めっき促進剤が、ビス(3−スルホプロピル)ジスルフィドである請求項7ないし10のいずれか1項に記載の湿式めっき装置。
  12. 前記特定周波数は、
    めっき促進剤の各濃度における位相差−周波数特性図から位相差のめっき促進剤の濃度に対する依存性の大きい第1の周波数領域を求め、それと共に、めっき液中に含有される一又は複数のめっき反応抑制剤について、めっき反応抑制剤の濃度または平均分子量を変えた各めっき液を用いて交流インピーダンスを測定して、めっき反応抑制剤の各濃度または各平均分子量における位相差−周波数特性図を作成し、この位相差−周波数特性図から位相差のめっき反応抑制剤の濃度または平均分子量に対する依存性の小さい第2の周波数領域を求め、めっき促進剤について求めた第1の周波数領域と、めっき反応抑制剤について求めた第2の周波数領域とを比較し、両周波数領域のいずれにも含まれる周波数から選択されたものである請求項7ないし11のいずれか1項に記載の湿式めっき装置。
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