JP3916946B2 - 電解めっき液の評価方法および多層プリント配線板の製造方法 - Google Patents

電解めっき液の評価方法および多層プリント配線板の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電解めっき液の評価方法および多層プリント配線板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
いわゆる多層ビルドアップ配線基板と呼ばれる多層プリント配線板は、セミアディティブ法等により製造されており、コアと呼ばれる0.5〜1.5mm程度のガラスクロス等で補強された樹脂基板の上に、銅等による導体回路と層間樹脂絶縁層とを交互に積層することにより作製される。この多層プリント配線板の層間樹脂絶縁層を介した導体回路間の接続は、バイアホールにより行われている。
【0003】
従来、ビルドアップ多層プリント配線板は、例えば、特開平9−130050号公報等に開示された方法により製造されている。
すなわち、まず、銅箔が貼り付けられた銅張積層板に貫通孔を形成し、続いて無電解銅めっき処理を施すことによりスルーホールを形成する。続いて、基板の表面を導体パターン状にエッチング処理して導体回路を形成し、この導体回路の表面に、無電解めっきやエッチング等により粗化面を形成する。そして、この粗化面を有する導体回路上に樹脂絶縁層を形成した後、露光および現像処理等を行ってバイアホール用開口を形成し、その後、UV硬化、本硬化を経て層間樹脂絶縁層を形成する。
【0004】
さらに、層間樹脂絶縁層に酸や酸化剤などにより粗化処理を施した後、薄い金属層を形成し、この金属層上にめっきレジストを形成した後、電解めっきにより厚付けを行い、めっきレジスト剥離後にエッチングを行って、下層の導体回路とバイアホールにより接続された導体回路を形成する。
この工程を繰り返した後、最後に導体回路を保護するためのソルダーレジスト層を形成し、ICチップ等の電子部品やマザーボード等との接続のために開口を露出させた部分にめっき等を施した後、半田ペーストを印刷して半田バンプを形成することにより、ビルドアップ多層プリント配線板の製造を完了する。
【0005】
このようなビルドアップ多層プリント配線板の製造において、無電解めっきと電解めっきとを行うことにより下層の導体回路とバイアホールにより接続された導体回路を形成する場合、バイアホール用開口は金属で完全に充填されておらず、図9に示すように、バイアホールの上面には凹部が形成されていた。なお、図9は、従来の多層プリント配線板のバイアホールの断面を示す断面図である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来のビルドアップ多層プリント配線板では、バイアホールの上面が平坦ではなかったため、層間樹脂絶縁層を形成した場合、該層間樹脂絶縁層にうねりが生じてしまい、層間樹脂絶縁層の剥離やクラックの原因となったり、層間樹脂絶縁層の上層に形成する導体回路に断線を引き起こす原因となることがあった。
【0007】
また、プリント配線板の高速化、ファイン化のため、配線距離を短縮するビルドアップ多層プリント配線板の構造として、スタックビア構造(バイアホールの直上にバイアホールを形成する構造)が要求されている。しかしながら、上述したように従来の方法で製造されたビルドアップ多層プリント配線板は、バイアホール用開口が金属で完全に充填されていないため、スタックビア構造をとることが難しかった。
【0008】
そこで、本発明の出願人は、先に、バイアホール用開口が完全に金属で充填され、その上面が平坦なバイアホール(以下、フィールドビアともいう)を形成することができる電解めっき液として、特定のレベリング剤と添加剤とを特定の割合で含有する電解めっき液、具体的には、50〜300g/lの硫酸銅、30〜200g/lの硫酸、25〜90mg/lの塩素イオン、および、少なくともレベリング剤と光沢剤とからなる1〜1000mg/lの添加剤を含有する電解めっき液を提案した。
このような電解めっき液を用いることにより、フィールドビアを形成することができる。
【0009】
また、特開2000−68651号公報では、ポリエーテル化合物と、3,3′−ジチオジプロパンスルホン酸ナトリウム等とを含む硫酸銅めっき浴を用い、一定の周期で電流の方向を逆転させながら電解めっきを行うPPR(Pulse Periodic Reverse)電解法によりフィールドビアを形成することができる旨が開示されている。
【0010】
このような電解めっき液を用いて電解めっき膜を形成する場合、めっきが進行するに伴い、電解めっき液の組成は変化する。従って、所望の形状の電解めっき膜を形成することができるように調製した電解めっき液を用いてめっき処理を行った場合であっても、時間が経つと共に所望の形状の電解めっき膜を形成することができなくなってくる。そこで、所望の形状の電解めっき膜を形成することができる電解めっき液であるか否かを評価する方法が必要とされている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、電解めっき液を評価する方法について鋭意検討した結果、その表面に導体層の形成された被めっき物を電解めっき液中に浸漬した後、導体層の両端に交流を印加して電気特性を測定した場合、この電解めっき液により形成される電気めっき膜の形状を、上記電気特性により評価することができることを見出し、以下に示す内容を要旨構成とする発明に到達した。
【0012】
即ち、第一の本発明の電解めっき液の評価方法は、凹部を有する樹脂層が形成された基板の表面に薄膜導体層を形成した後、上記薄膜導体層上に電解めっき膜を形成する際に使用する電解めっき液の評価方法であって、
上記薄膜導体層が形成された上記基板を電解めっき液中に浸漬した後、上記薄膜導体層の両端に25Vの交流を印加して電流値を測定し、
該電流値が5〜15Aの範囲内であるか否かにより電解めっき液を評価することを特徴とする。
上記電解めっき液の評価方法において、上記5〜15Aの範囲とは、上記電解めっき液により形成される電解めっき膜の形状が平坦となる際の電流値の範囲であることが望ましい。
【0013】
また、本発明の多層プリント配線板の製造方法は、
(1)バイアホール用開口を有する層間樹脂絶縁層を形成する工程、
(2)上記バイアホール用開口の内壁および上記層間樹脂絶縁層の表面に薄膜導体層を形成する工程、
(3)上記薄膜導体層が形成された上記基板を電解めっき液中に浸漬した後、上記薄膜導体層の両端に交流を印加して電流値を測定し、該電流値が所望の範囲内であるか否かにより電解めっき液を評価するめっき液評価工程、および、
上記めっき液評価工程により電流値が所望の範囲内である際には、上記薄膜導体層上に電解めっき層を形成する工程
を含む多層プリント配線板の製造方法であって、
上記(3)の工程で使用される上記電解めっき液は、上記薄膜導体層の両端に25Vの交流を印加して電流値を測定した際、該電流値が5〜15Aの範囲内であり、形成される電解めっき膜の形状が平坦となることを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
まず、第一の本発明の電解めっき液の評価方法について説明する。
第一の本発明の電解めっき液の評価方法は、凹部を有する樹脂層が形成された基板の表面に薄膜導体層を形成した後、上記薄膜導体層上に電解めっき膜を形成する際に使用する電解めっき液の評価方法であって、
上記薄膜導体層が形成された上記基板を電解めっき液中に浸漬した後、上記薄膜導体層の両端に25Vの交流を印加して電流値を測定し、
該電流値が5〜15Aの範囲内であるか否かにより電解めっき液を評価することを特徴とする。
【0016】
第一の本発明の電解めっき液の評価方法によれば、電解めっき液中に薄膜導体層が形成された樹脂層が形成された基板を浸漬した後、薄膜導体層の両端に交流を印加して測定した電気特性と、形成される電解めっき膜の形状との間に相関関係があるため、上記電気特性により、所望の形状の電解めっき膜を形成することができる電解めっき液か否かを評価することができる。
【0017】
上記電解めっき液の評価方法においては、被めっき物を電解めっき液中に浸漬した後、上記薄膜導体層の両端に交流を印加して電気特性を測定する。
上記被めっき物は、凹部を有する樹脂層が形成された基板の表面に薄膜導体層の形成されたものであればよく、樹脂層や薄膜導体層の材質は特に限定されない。また、基板の材質も特に限定されず、樹脂であってもよいし、セラミックであってもよい。
また、上記樹脂層が有する凹部の形状についても特に限定されないが、通常、その深さは10〜50μm程度であることが望ましい。また、上記凹部の横断面の形状が円形状の場合、その径は40〜200μmであることが望ましい。
【0018】
また、上記薄膜導体層の両端に印加する交流の電圧は特に限定されず、樹脂層や薄膜導体層の材質等を考慮して適宜選択すればよく、通常、0.01〜100V程度の電圧を印加する。
また、測定する電気特性としては、薄膜導体層のインピーダンスに応じて、変化する電気特性が望ましく、例えば、電流値、位相等が挙げられる。
【0019】
次に、上記電気特性として電流値を測定することにより、所望の形状の電気めっき膜を形成することができる電解めっき液か否かを評価する具体的な方法について、図面を参照しながら説明する。図1(a)〜(c)は、その表面に薄膜導体層の形成された樹脂層を有すると、電解めっきにより形成された電解めっき膜とを模式的に示す断面図である。
【0020】
例えば、電解めっき液として、50〜300g/lの硫酸銅、30〜200g/lの硫酸、25〜90mg/lの塩素イオン、および、少なくともレベリング剤と光沢剤とからなる1〜1000mg/lの添加剤を含有する電解めっき液(電解めっき液A)を用いて電解めっき膜を形成した場合、図1(a)に示すように、表面に薄膜導体層102の形成された樹脂層101上に、その上面全体が平坦な電解めっき膜103を形成することができる。
【0021】
これに対し、添加剤の含有量が1mg/l未満で、その他の成分やその含有量は電解めっき液Aと同一である電解めっき液(電解めっき液B)を用いて薄膜導体層を形成した場合、電解めっき膜の形状は、図1(b)に示すように、表面に薄膜導体層202の形成された樹脂層201上に、厚さが全体に略均一な電解めっき膜203が形成されるため、樹脂層201の凹部の上に形成された電解めっき膜203の上面が凹んだ形状となり、その上面全体が平坦な電解めっき膜を形成することができない。
また、添加剤の含有量が1000mg/lより多く、その他の成分やその含有量は電解めっき液Aと同一である電解めっき液(電解めっき液C)を用いて電解めっき膜を形成した場合、電気めっき膜の形状は、図1(c)に示すように、樹脂層301の表面の薄膜導体層302上に銅がほとんど析出しないため、電解めっき膜303は薄く、その上面全体が平坦な電解めっき膜を形成することができない。
【0022】
これら3種類の電解めっき液について、薄膜導体層が形成された基板をそれぞれ電解めっき液中に浸漬した後、上記薄膜導体層の両端に一定電圧の交流を印加して電流値を測定した場合、電解めっき膜の上面が凹んだ形状となる電解めっき液Bの電流値は、電解めっき液Aの電流値より小さいものとなる。一方、銅がほとんど析出しない電解めっき液Cの電流値は、電解めっき液Aの電流値より大きいものとなる。
これは、それぞれの電解めっき液において添加剤の含有量が異なるため、薄膜導体層表面に付着する添加剤の量が異なることとなり、この添加剤の付着量の差に起因して、薄膜導体層のインピーダンスが異なるものとなるため、それぞれの電解めっき液の電流値が異なるものとなると考えられる。
【0023】
従って、この場合、その上面が平坦な電解めっき膜を形成することができる電解めっき液の電流値を予め測定しておき、この電流値と、評価対象の電解めっき液の電流値とを比較することにより、所望の形状の電解めっき膜を形成することができる電解めっき液であるか否かを評価することができる。
【0024】
このような電解めっき液の評価方法により評価した電解めっき液を用いて、製造されるものとしては、例えば、後述する製造工程を経て製造される多層プリント配線板のほか、可撓性フィルム上に絶縁層を挟んで導体回路が形成されたフレキシブル基板や、セラミック基板上に絶縁層を挟んで導体回路が形成された多層配線板等が挙げられる。
【0025】
また、電解めっき処理においては、めっきが進行するにともなって、電解めっき液の組成が変化する。そのため、通常、連続した電解めっき処理においては、電解めっき液の成分を補充したり、電解めっき液を交換したりすることが必要であり、そのため、液組成を管理する必要がある。
第一の本発明の電解めっき液の評価方法は、上記のような液組成を管理する際にも、好適に用いることができる。
【0026】
次に、第二の本発明の電解めっき液の評価方法について、説明する。
第二の本発明の電解めっき液の評価方法は、
(1)バイアホール用開口を有する層間樹脂絶縁層を形成する工程、
(2)上記バイアホール用開口の内壁および上記層間樹脂絶縁層の表面に薄膜導体層を形成する工程、および、
(3)上記薄膜導体層上に電解めっき層を形成する工程
を含む製造方法を用いて、基板上に導体回路と層間樹脂絶縁層とが積層形成され、上記導体回路間がバイアホールを介して接続された多層プリント配線板を製造する際に使用する電解めっき液の評価方法であって、
上記(1)および(2)の工程により薄膜導体層が形成された基板を得、上記薄膜導体層の形成された基板を上記(3)の工程で使用する電解めっき液中に浸漬した後、上記基板を挟んだ薄膜導体層間に交流を印加して電気特性を測定し、該電気特性により、形成される電解めっき膜の形状を評価することを特徴とする。
【0027】
第二の本発明の電解めっき液の評価方法によれば、バイアホール用開口を有する層間樹脂絶縁層を形成した後、該バイアホール用開口の内壁および層間樹脂絶縁層の表面に薄膜導体層を形成することにより薄膜導体層が形成された基板を得、この基板を電解めっき液中に浸漬した後、基板を挟んだ薄膜導体層間に交流を印加して電気特性を測定する。このとき、測定した電気特性と、形成される電解めっき膜の形状との間に相関関係があるため、上記電気特性により、所望の形状の電解めっき層を形成することができる電解めっき液か否かを評価することができる。
【0028】
第二の本発明の評価方法では、下記(1)〜(10)の工程を経て作製されるその表面に薄膜導体層の形成された基板を用いて電解めっき液の評価を行うことを特徴とするものである。そこで、上記基板を用いた電解めっき液の評価方法について、先に説明し、その表面に薄膜導体層の形成された基板を作製する工程を含む多層プリント配線板の製造工程については、後に説明することとする。
【0029】
第二の本発明の電解めっき液の評価方法においては、その表面に薄膜導体層の形成された基板を電解めっき液に浸漬した後、基板を挟んだ薄膜導体層間に交流を印加して電気特性を測定することにより、形成される電解めっき膜の形状を評価することができる。
この場合も、第一の本発明の評価方法と同様、例えば、交流を印加した際の電流値の大小等により形成される電解めっき膜の形状を評価することができる。
【0030】
このような電解めっき液の評価を行うことにより、バイアホールの上面を平坦にすることができる電解めっき液を選択することができ、この電解めっき液を用いてることによりフィールドビアを有する多層プリント配線板を製造することができる。
【0031】
第二の本発明の評価方法においては、測定する電気特性は、第一の本発明の評価方法と同様である。従って、これについては、説明を省略する。なお、第二の本発明においても、測定する電気特性は電流値であることが望ましい。
また、上記層間樹脂絶縁層が有するバイアホール用開口の形状については、後述する製造工程の説明において、説明することとする。
【0032】
本発明の多層プリント配線板の製造方法について説明する。
本発明の多層プリント配線板の製造方法は、
(1)バイアホール用開口を有する層間樹脂絶縁層を形成する工程、
(2)上記バイアホール用開口の内壁および上記層間樹脂絶縁層の表面に薄膜導体層を形成する工程、
(3)上記薄膜導体層が形成された上記基板を電解めっき液中に浸漬した後、上記薄膜導体層の両端に交流を印加して電流値を測定し、該電流値が所望の範囲内であるか否かにより電解めっき液を評価するめっき液評価工程、および、
上記めっき液評価工程により電流値が所望の範囲内である際には、上記薄膜導体層上に電解めっき層を形成する工程
を含む多層プリント配線板の製造方法であって、
上記(3)の工程で使用される上記電解めっき液は、上記薄膜導体層の両端に25Vの交流を印加して電流値を測定した際、該電流値が5〜15Aの範囲内であり、形成される電解めっき膜の形状が平坦となることを特徴とする。
【0033】
(1)本発明の多層プリント配線板の製造方法では、まず、絶縁性基板の表面に導体回路が形成された基板を作製する。
また、基板を挟んだ導体回路間の接続をスルーホールにより行う場合には、レーザの照射により、または、ドリル等を用いて絶縁性基板にスルーホール用貫通孔を設ける。
上記絶縁性基板としては、上記基板が望ましく、具体的には、ガラスエポキシ基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、ビスマレイミド−トリアジン樹脂基板、熱硬化性ポリフェニレンエーテル基板、フッ素樹脂基板、銅貼積層板、RCC基板等が挙げられる。
また、レーザとしては、炭酸ガスレーザ、UVレーザ、エキシマレーザ等を用いることができる。
【0034】
(2)次に、スルーホール用貫通孔を形成した場合には、上記絶縁性基板に粗化処理を施した後に無電解めっきを施し、該貫通孔の壁面および銅箔等の表面に表面導電膜およびスルーホールを形成する。無電解めっきとしては銅めっきが好ましい。
その後、無電解めっきが施された絶縁性基板上に下層導体回路等のパターン形状のエッチングレジストを形成し、エッチングを行うことにより下層導体回路等を形成する。
【0035】
(3)次に、必要に応じて、スルーホールの内壁および下層導体回路の表面の粗化処理を行う。粗化処理方法としては、例えば、黒化(酸化)−還元処理、有機酸と第二銅錯体の混合水溶液によるスプレー処理、Cu−Ni−P針状合金めっきによる処理などが挙げられる。
【0036】
上記黒化(酸化)−還元処理の具体的な方法としては、NaOH(10〜20g/l)、NaClO2 (40〜50g/l)、Na3 PO4 (6〜15g/l)を含む水溶液を黒化浴(酸化浴)とする黒化処理、および、NaOH(2.7〜10g/l)、NaBH4 (1.0〜6.0g/l)を含む水溶液を還元浴とする還元処理を行う方法等が挙げられる。
【0037】
上記エッチング処理に用いるエッチング液としては、有機酸と第二銅錯体との混合溶液が望ましい。上記有機酸としては、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、アクリル酸、クロトン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、マレイン酸、安息香酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、スルファミン酸等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。上記エッチング液において、上記有機酸の含有量は、0.1〜30重量%が望ましい。酸化された銅の溶解性を維持し、かつ触媒安定性を確保することができるからである。
【0038】
上記第二銅錯体としては、アゾール類の第二銅錯体が望ましい。このアゾール類の第二銅錯体は、金属銅等を酸化する酸化剤として作用する。アゾール類としては、例えば、ジアゾール、トリアゾール、テトラゾール等が挙げられる。これらのなかでも、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾールが望ましい。上記エッチング液において、上記第二銅錯体の含有量は、1〜15重量%が望ましい。溶解性および安定性に優れ、また、触媒核を構成するPd等の貴金属をも溶解させることができるからである。
【0039】
上記めっき処理としては、例えば、硫酸銅(1〜40g/l)、硫酸ニッケル(0.1〜6.0g/l)、クエン酸(10〜20g/l)、次亜リン酸ナトリウム(10〜100g/l)、ホウ酸(10〜40g/l)および界面活性剤(日信化学工業社製、サーフィノール465)(0.01〜10g/l)を含むpH=9の無電解めっき浴にて無電解めっきを施し、Cu−Ni−P合金からなる粗化層を形成する方法等が挙げられる。
この範囲で析出するめっき被膜の結晶構造は、針状構造となるため、アンカー効果に優れるからである。上記無電解めっき浴には、上記化合物を加えて錯化剤や添加剤を加えてもよい。
【0040】
(4)上記工程の後、スルーホールを形成した場合には、樹脂充填材をスルーホールに充填する。また、必要に応じて、絶縁性基板表面の下層導体回路が形成されていない凹部に樹脂充填材を充填し、その後、研磨等を行って絶縁性基板表面を平坦化してもよい。
【0041】
(5)スルーホール内に樹脂充填材を充填した場合には、該樹脂充填材を、例えば、100℃/20分の条件で乾燥させた後、硬化させる。
硬化は、温度50〜250℃の間で行うのが望ましい。その硬化条件の一例としては、100℃で1時間加熱した後、150℃で1時間加熱する方法が挙げられる。必要に応じて、順次低い温度から高い温度と温度を変化させて硬化させるステップ硬化を行ってもよい。
【0042】
研磨を行って導体層の表面を平坦化した場合には、必要に応じて、もう一度、下層導体回路の粗化処理を行ってもよい。粗化処理方法としては、例えば、黒化(酸化)−還元処理、有機酸と第二銅錯体の混合水溶液によるスプレー処理、Cu−Ni−P合金めっきによる処理等が挙げられる。
【0043】
(6)下層導体回路上に熱硬化性樹脂や樹脂複合体からなる未硬化の樹脂絶縁層を形成するか、または、熱可塑性樹脂からなる樹脂層を形成する。
上記未硬化の樹脂絶縁層は、未硬化の樹脂をロールコーター、カーテンコーター等により塗布して成形してもよく、また、未硬化(半硬化)の樹脂フィルムを熱圧着して形成してもよい。さらに、未硬化の樹脂フィルムの片面に銅箔等の金属層が形成された樹脂フィルムを貼付してもよい。
また、熱可塑性樹脂からなる樹脂層は、フィルム状に成形した樹脂成形体を熱圧着することにより形成することが望ましい。
【0044】
上記未硬化の樹脂を塗布する場合には、樹脂を塗布した後、加熱処理を施す。
上記加熱処理を施すことにより、未硬化の樹脂を熱硬化させることができる。
なお、上記熱硬化は、後述するバイアホール用開口および貫通孔を形成した後に行ってもよい。
【0045】
また、上記樹脂フィルムを貼り付けることにより層間樹脂絶縁層を形成する場合、該層間樹脂絶縁層の形成は、真空ラミネーター等の装置を用い、減圧下または真空下で樹脂フィルムを圧着し、その後、樹脂フィルムを熱硬化することにより行う。
なお、上記熱硬化は、後述するバイアホール用開口および貫通孔を形成した後に行ってもよい。
【0046】
また、フィルム状に成形した熱可塑性樹脂を熱圧着して導体回路上に張り付ける場合も、真空ラミネーター等の装置を用い、減圧下または真空下でフィルム状に成形した熱可塑性樹脂を圧着することが望ましい。
【0047】
上記熱硬化性樹脂の具体例としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂等が挙げられる。
【0048】
上記エポキシ樹脂としては、例えば、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、アルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェノールF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、フェノール類とフェノール性水酸基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物のエポキシ化物、トリグリシジルイソシアヌレート、脂環式エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。それにより、耐熱性等に優れるものとなる。
【0049】
上記ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、シクロオレフィン系樹脂、これらの樹脂の共重合体等が挙げられる。
【0050】
また、上記ポリオレフィン系樹脂の市販品としては、例えば、住友スリーエム社製の商品名:1592等が挙げられる。また、融点が200℃以上の熱可塑型ポリオレフィン系樹脂の市販品としては、例えば、三井石油化学工業社製の商品名:TPX(融点240℃)、出光石油化学社製の商品名:SPS(融点270℃)等が挙げられる。
これらのなかでは、誘電率および誘電正接が低く、GHz帯域の高周波信号を用いた場合でも信号遅延や信号エラーが発生しにくく、さらには、剛性等の機械的特性にも優れている点からシクロオレフィン系樹脂が望ましい。
【0051】
上記シクロオレフィン系樹脂としては、2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネンまたはこれらの誘導体からなる単量体の単独重合体または共重合体等が望ましい。上記誘導体としては、上記2−ノルボルネン等のシクロオレフィンに、架橋を形成するためのアミノ基や無水マレイン酸残基あるいはマレイン酸変性したもの等が結合したもの等が挙げられる。
上記共重合体を合成する場合の単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン等が挙げられる。
【0052】
上記シクロオレフィン系樹脂は、上記した樹脂の2種以上の混合物であってもよく、シクロオレフィン系樹脂以外の樹脂を含むものであってもよい。
また、上記シクロオレフィン系樹脂が共重合体である場合には、ブロック共重合体であってもよく、ランダム共重合体であってもよい。
【0053】
また、上記シクロオレフィン系樹脂は、熱硬化性シクロオレフィン系樹脂であることが望ましい。加熱を行って架橋を形成させることにより、より剛性が高くなり、機械的特性が向上するからである。
上記シクロオレフィン系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、130〜200℃であることが望ましい。
【0054】
上記シクロオレフィン系樹脂は、既に樹脂シート(フィルム)として成形されたものを使用してもよく、単量体もしくは一定の分子量を有する低分子量の重合体が、キシレン、シクロヘキサン等の溶剤に分散した未硬化溶液の状態であってもよい。
また、樹脂シートの場合には、いわゆるRCC(RESIN COATED COPPER:樹脂付銅箔)を用いてもよい。
上記シクロオレフィン系樹脂は、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、リン酸エステル等の難燃剤を含むものであってもよい。
【0055】
また、上記ポリオレフィン樹脂は、有機フィラーを含むものであってもよい。
上記有機フィラーを含むことにより、例えば、層間樹脂絶縁層にレーザ光を照射してバイアホール用開口を形成する際に、所望の形状のバイアホール用開口を良好に形成することができる。
【0056】
即ち、炭酸ガスレーザ等の赤外線レーザを照射してバイアホール用開口等を形成する場合には、上記有機フィラーは、熱に対する緩衝剤の役割を果たし、発生した熱や導体回路より反射した熱を一部吸収する。また、上記有機フィラーは、樹脂組成物が所定の形状を維持するための機械的な強化剤の役割を果たし、その結果、周囲の樹脂の形状を維持することができ、目的の形状のバイアホール用開口等を形成することができる。
【0057】
また、紫外線レーザを照射してバイアホール用開口等を形成する場合、有機フィラーが紫外線を吸収し、このため、紫外線レーザが照射された部分の層間樹脂絶縁層が分解、消失し、目的とする形状のバイアホール用開口等を形成することができる。
【0058】
従って、上記レーザの照射によりバイアホール用開口を形成し、この開口に金属層を形成することによりバイアホールを形成すると、該金属層は下の導体回路に密着して剥がれにくくなり、得られる多層プリント配線板の接続性、信頼性が向上する。
【0059】
上記有機フィラーとしては特に限定されるものではないが、例えば、メラミン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、PPO、PPE等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0060】
上記有機フィラーの含有量は、5〜60重量%が好ましい。上記有機フィラーの含有量が5重量%未満であると、有機フィラーの含有量が少なすぎるため、レーザ光を照射した際に上記した役割を果たすことができず、目的とする形状のバイアホール用開口等を形成することができない場合がある。一方、有機フィラーの含有量が60重量%を超えると、ポリオレフィン系樹脂の特性が失われ、例えば、誘電率が高くなりすぎること等があるため好ましくない。より好ましい有機フィラーの含有量は、14〜60重量%である。
【0061】
上記有機フィラーの形状は特に限定されず、例えば、球状、多面形状等が挙げられるが、これらのなかでは、クラックが発生しにくく、熱や熱衝撃によって層間樹脂絶縁層に応力が発生しても、その応力が緩和されやすい点から、球状が好ましい。
【0062】
また、上記有機フィラーの粒径は、0.05〜0.2μmが好ましい。上記有機フィラーの粒径が0.05μm未満であると、粒径が小さすぎるため、均一に有機フィラーを配合することが困難となる場合があり、一方、上記有機フィラーの粒径が0.2μmを超えると、有機フィラーの粒径が大きすぎるため、レーザ光を照射した際に完全に分解除去されない場合が発生する。
【0063】
上記有機フィラーを配合する場合、その粒径が異なる2種以上の有機フィラーを配合してもよいが、余り多種類の粒径の異なる有機フィラーを配合すると、有機フィラーが凝集しやすくなり、凝集物の径が0.2μmを超え、0.2μmを超えるものを使用した場合と同様の不都合が発生する場合があるので、径が異なる有機フィラーを配合する場合には、2種類の配合に留めることが望ましい。
【0064】
上記ポリフェニレンエーテル樹脂としては、例えば、下記化学式(1)で表される繰り返し単位を有する熱可塑性ポリフェニレンエーテル樹脂や下記化学式(2)で表される繰り返し単位を有する熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂等が挙げられる。
【0065】
【化1】
Figure 0003916946
【0066】
(式中、nは、2以上の整数を表す。)
【0067】
【化2】
Figure 0003916946
【0068】
(式中、mは、2以上の整数を表す。また、R1 、R2 は、メチレン基、エチレン基または−CH2 −O−CH2 −を表し、両者は同一であってもよいし、異なっていてもよい。)
【0069】
また、上記化学式(1)で表される繰り返し単位を有する熱可塑性ポリフェニレンエーテル樹脂は、ベンゼン環にメチル基が結合した構造を有しているが、本発明で用いることのできるポリフェニレンエーテル樹脂としては、上記メチル基が、エチル基等の他のアルキル基等で置換された誘導体や、メチル基の水素がフッ素で置換された誘導体等であってもよい。
【0070】
また、上記熱可塑性樹脂としては、フェノキシ樹脂、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン等が挙げられる。
また、これらの複合体(樹脂複合体)としては、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを含むものであれば特に限定されず、その具体例としては、例えば、粗化面形成用樹脂組成物等が挙げられる。
【0071】
上記粗化面形成用樹脂組成物としては、例えば、酸、アルカリおよび酸化剤から選ばれる少なくとも1種からなる粗化液に対して難溶性の未硬化の耐熱性樹脂マトリックス中に、酸、アルカリおよび酸化剤から選ばれる少なくとも1種からなる粗化液に対して可溶性の物質が分散されたもの等が挙げられる。
なお、上記「難溶性」および「可溶性」という語は、同一の粗化液に同一時間浸漬した場合に、相対的に溶解速度の早いものを便宜上「可溶性」といい、相対的に溶解速度の遅いものを便宜上「難溶性」と呼ぶ。
【0072】
上記耐熱性樹脂マトリックスとしては、層間樹脂絶縁層に上記粗化液を用いて粗化面を形成する際に、粗化面の形状を保持できるものが好ましく、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、これらの複合体等が挙げられる。また、感光性樹脂を用いることにより、層間樹脂絶縁層に露光、現像処理を用いてバイアホール用開口を形成してもよい。
【0073】
上記熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。また、上記熱硬化性樹脂を感光化する場合は、メタクリル酸やアクリル酸等を用い、熱硬化基を(メタ)アクリル化反応させる。特にエポキシ樹脂の(メタ)アクリレートが望ましい。さらに、1分子中に、2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂がより望ましい。上述の粗化面を形成することができるばかりでなく、耐熱性等にも優れているため、ヒートサイクル条件下においても、導体回路に応力の集中が発生せず、導体回路と層間樹脂絶縁層との間で剥離が発生しにくい。
【0074】
上記熱可塑性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリフェニレンスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニルエーテル、ポリエーテルイミド等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0075】
上記酸、アルカリおよび酸化剤から選ばれる少なくとも1種からなる粗化液に対して可溶性の物質は、無機粒子、樹脂粒子、金属粒子、ゴム粒子、液相樹脂および液相ゴムから選ばれる少なくとも1種であることが望ましい。
【0076】
上記無機粒子としては、例えば、アルミニウム化合物、カルシウム化合物、カリウム化合物、マグネシウム化合物、ケイ素化合物等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0077】
上記アルミニウム化合物としては、例えば、アルミナ、水酸化アルミニウム等が挙げられ、上記カルシウム化合物としては、例えば、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム等が挙げられ、上記カリウム化合物としては、例えば、炭酸カリウム等が挙げられ、上記マグネシウム化合物としては、例えば、マグネシア、ドロマイト、塩基性炭酸マグネシウム、タルク等が挙げられ、上記ケイ素化合物としては、例えば、シリカ、ゼオライト等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0078】
上記アルミナ粒子は、ふっ酸で溶解除去することができ、炭酸カルシウムは塩酸で溶解除去することができる。また、ナトリウム含有シリカやドロマイトはアルカリ水溶液で溶解除去することができる。
【0079】
上記樹脂粒子としては、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等からなるものが挙げられ、酸、アルカリおよび酸化剤から選ばれる少なくとも1種からなる粗化液に浸漬した場合に、上記耐熱性樹脂マトリックスよりも溶解速度の早いものであれば特に限定されず、具体的には、例えば、アミノ樹脂(メラミン樹脂、尿素樹脂、グアナミン樹脂等)、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、ビスマレイミド−トリアジン樹脂等挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0080】
なお、上記エポキシ樹脂は、酸や酸化剤に溶解するものや、これらに難溶性のものを、オリゴマーの種類や硬化剤を選択することにより任意に製造することができる。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂をアミン系硬化剤で硬化させた樹脂はクロム酸に非常によく溶けるが、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂をイミダゾール硬化剤で硬化させた樹脂は、クロム酸には溶解しにくい。
【0081】
上記樹脂粒子は予め硬化処理されていることが必要である。硬化させておかないと上記樹脂粒子が樹脂マトリックスを溶解させる溶剤に溶解してしまうため、均一に混合されてしまい、酸や酸化剤で樹脂粒子のみを選択的に溶解除去することができないからである。
【0082】
上記金属粒子としては、例えば、金、銀、銅、スズ、亜鉛、ステンレス、アルミニウム、ニッケル、鉄、鉛等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
また、上記金属粒子は、絶縁性を確保するために、表層が樹脂等により被覆されていてもよい。
【0083】
上記ゴム粒子としては、例えば、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ポリクロロプレンゴム、ポリイソプレンゴム、アクリルゴム、多硫系剛性ゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、ABS樹脂等が挙げられる。
【0084】
また、上記ゴム粒子として、例えば、ポリブタジエンゴム、エポキシ変性、ウレタン変性、(メタ)アクリロニトリル変性等の各種変性ポリブタジエンゴム、カルボキシル基を含有した(メタ)アクリロニトリル・ブタジエンゴム等を使用することもできる。これらのゴム粒子を使用することにより、該ゴム粒子が酸あるいは酸化剤に溶解しやすくなる。つまり、酸を用いてゴム粒子を溶解する際には、強酸以外の酸でも溶解することができ、酸化剤を用いてゴム粒子を溶解する際には、比較的酸化力の弱い過マンガン酸でも溶解することができる。また、クロム酸を用いた場合でも、低濃度で溶解することができる。そのため、酸や酸化剤が層間樹脂絶縁層表面に残留することがなく、後述するように、粗化面形成後、塩化パラジウム等の触媒を付与する際に、触媒が付与されなたかったり、触媒が酸化されたりすることがない。これらは、単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0085】
上記可溶性の物質を、2種以上混合して用いる場合、混合する2種の可溶性の物質の組み合わせとしては、樹脂粒子と無機粒子との組み合わせが望ましい。両者とも導電性が低くいため、層間樹脂絶縁層の絶縁性を確保することができるとともに、難溶性樹脂との間で熱膨張の調整が図りやすく、粗化面形成用樹脂組成物からなる層間樹脂絶縁層にクラックが発生せず、層間樹脂絶縁層と導体回路との間で剥離が発生しないからである。
【0086】
上記液相樹脂としては、上記熱硬化性樹脂の未硬化溶液を使用することができ、このような液相樹脂の具体例としては、例えば、未硬化のエポキシオリゴマーとアミン系硬化剤の混合液等が挙げられる。
上記液相ゴムとしては、例えば、上記したポリブタジエンゴム、エポキシ変性、ウレタン変性、(メタ)アクリロニトリル変性等の各種変性ポリブタジエンゴム、カルボキシル基を含有した(メタ)アクリロニトリル・ブタジエンゴム等の未硬化溶液等を使用することができる。
【0087】
上記液相樹脂や液相ゴムを用いて上記感光性樹脂組成物を調製する場合には、耐熱性樹脂マトリックスと可溶性の物質とが均一に相溶しない(つまり相分離するように)ように、これらの物質を選択する必要がある。
上記基準により選択された耐熱性樹脂マトリックスと可溶性の物質とを混合することにより、上記耐熱性樹脂マトリックスの「海」の中に液相樹脂または液相ゴムの「島」が分散している状態、または、液相樹脂または液相ゴムの「海」の中に、耐熱性樹脂マトリックスの「島」が分散している状態の感光性樹脂組成物を調製することができる。
【0088】
そして、このような状態の感光性樹脂組成物を硬化させた後、「海」または「島」の液相樹脂または液相ゴムを除去することにより粗化面を形成することができる。
【0089】
上記粗化液として用いる酸としては、例えば、リン酸、塩酸、硫酸、硝酸や、蟻酸、酢酸等の有機酸等が挙げられるが、これらのなかでは有機酸を用いることが望ましい。粗化処理した場合に、バイアホールから露出する金属導体層を腐食させにくいからである。
上記酸化剤としては、例えば、クロム酸、クロム硫酸、アルカリ性過マンガン酸塩(過マンガン酸カリウム等)の水溶液等を用いることが望ましい。
また、上記アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水溶液が望ましい。
【0090】
上記可溶性の物質の平均粒径は、10μm以下が望ましい。
また、平均粒径が2μm以下の平均粒径の相対的に大きな粗粒子と平均粒径が相対的に小さな微粒子とを組み合わせて使用してもよい。即ち、平均粒径が0.1〜0.5μmの可溶性の物質と平均粒径が1〜2μmの可溶性の物質とを組み合わせる等である。
【0091】
このように、平均粒子と相対的に大きな粗粒子と平均粒径が相対的に小さな微粒子とを組み合わせることにより、無電解めっき膜の溶解残渣をなくし、めっきレジスト下のパラジウム触媒量を少なくし、さらに、浅くて複雑な粗化面を形成することができる。
さらに、複雑な粗化面を形成することにより、粗化面の凹凸が小さくても実用的なピール強度を維持することができる。
上記粗粒子は平均粒径が0.8μmを超え2.0μm未満であり、微粒子は平均粒径が0.1〜0.8μmであることが望ましい。
【0092】
上記粗粒子と微粒子とを組み合わせることにより、浅くて複雑な粗化面を形成することができるのは、使用する粒子径が粗粒子で平均粒径2μm未満であると、これらの粒子が溶解除去されても形成されるアンカーは浅くなり、また、除去される粒子は、相対的に粒子径の大きな粗粒子と相対的に粒子径の小さな微粒子の混合粒子であるから、形成される粗化面が複雑になるのである。このような複雑な粗化面を形成することにより、浅い粗化面でも実用的なピール強度を維持することができる。
【0093】
また、この場合、使用する粒子径が、粗粒子で平均粒径2μm未満であると、粗化が進行しすぎて空隙を発生させることはなく、形成した層間樹脂絶縁層は層間絶縁性に優れている。
なお、上記層間面形成用樹脂組成物において、可溶性の物質の粒径とは、可溶性の物質の一番長い部分の長さである。
【0094】
また、粗粒子は平均粒径が0.8μmを超え2.0μm未満であり、微粒子は平均粒径が0.1〜0.8μmであると、粗化面の深さは概ねRmax=3μm程度となり、セミアディテイブ法では、無電解めっき膜をエッチング除去しやすいだけではなく、無電解めっき膜下のPd触媒をも簡単に除去することができ、また、実用的なピール強度1.0〜1.3kg/cmを維持することができる。
【0095】
上記可溶性の物質の形状は特に限定されず、球状、破砕状等が挙げられる。また、上記可溶性の物質の形状は、一様な形状であることが望ましい。均一な粗さの凹凸を有する粗化面を形成することができるからである。
【0096】
上記粗化面形成用樹脂組成物は基板上等に塗布することができるように有機溶剤を含有するものであってもよいし、基板上等に圧着することができるようにフィルム状に成形されたもの(以下、粗化面形成用樹脂フィルムともいう)でもよい。
上記粗化面形成用樹脂組成物が有機溶剤を含有する場合、その含有量は、10重量%以下であることが望ましい。
【0097】
上記粗化面形成用樹脂フィルムにおいて、上記可溶性の物質は、上記耐熱性樹脂マトリックス中にほぼ均一に分散されていることが望ましい。均一な粗さの凹凸を有する粗化面を形成することができ、樹脂フィルムにバイアホールやスルーホールを形成しても、その上に形成する導体回路の金属層の密着性を確保することができるからである。また、上記粗化面形成用樹脂フィルムは、粗化面を形成する表層部だけに可溶性の物質を含有するよう形成されていてもよい。それによって、粗化面形成用樹脂フィルムの表層部以外は酸または酸化剤にさらされることがないため、層間樹脂絶縁層を介した導体回路間の絶縁性が確実に保たれる。
【0098】
上記粗化面形成用樹脂フィルムにおいて、難溶性樹脂中に分散している可溶性の物質の配合量は、粗化面形成用樹脂フィルムに対して、3〜40重量%が望ましい。可溶性の物質の配合量が3重量%未満では、所望の凹凸を有する粗化面を形成することができない場合があり、40重量%を超えると、酸または酸化剤を用いて可溶性の物質を溶解した際に、樹脂フィルムの深部まで溶解してしまい、樹脂フィルムからなる層間樹脂絶縁層を介した導体回路間の絶縁性を維持できず、短絡の原因となる場合がある。
【0099】
上記粗化面形成用樹脂フィルムは、上記可溶性の物質、上記耐熱性樹脂マトリックス以外に、硬化剤、その他の成分等を含有していることが望ましい。
上記硬化剤としては、例えば、イミダゾール系硬化剤、アミン系硬化剤、グアニジン系硬化剤、これらの硬化剤のエポキシアダクトやこれらの硬化剤をマイクロカプセル化したもの、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスフォニウム・テトラフェニルボレート等の有機ホスフィン系化合物等が挙げられる。
【0100】
上記硬化剤の含有量は、粗化面形成用樹脂フィルムに対して0.05〜10重量%であることが望ましい。0.05重量%未満では、粗化面形成用樹脂フィルムの硬化が不充分であるため、酸や酸化剤が粗化面形成用樹脂フィルムに侵入する度合いが大きくなり、粗化面形成用樹脂フィルムの絶縁性が損なわれることがある。一方、10重量%を超えると、過剰な硬化剤成分が樹脂の組成を変性させることがあり、信頼性の低下を招いたりしてしまうことがある。
【0101】
上記その他の成分としては、例えば、粗化面の形成に影響しない無機化合物あるいは樹脂等のフィラーが挙げられる。上記無機化合物としては、例えば、シリカ、アルミナ、ドロマイト等が挙げられ、上記樹脂としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリフェニレン樹脂、メラニン樹脂、オレフィン系樹脂等が挙げられる。これらのフィラーを含有させることによって、熱膨脹係数の整合や耐熱性、耐薬品性の向上等を図りプリント配線板の性能を向上させることができる。
【0102】
また、上記粗化面形成用樹脂フィルムは、溶剤を含有していてもよい。上記溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテートやトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0103】
(7)次に、その材料として熱硬化性樹脂や樹脂複合体を用いた層間樹脂絶縁層を形成する場合には、未硬化の樹脂絶縁層に硬化処理を施すとともに、バイアホール用開口を形成し、層間樹脂絶縁層とする。また、この工程では、必要に応じて、貫通孔を形成してもよい。
上記バイアホール用開口は、レーザ処理により形成することが望ましい。上記レーザ処理は、上記硬化処理前に行ってもよいし、硬化処理後に行ってもよい。
また、感光性樹脂からなる層間樹脂絶縁層を形成した場合には、露光、現像処理を行うことにより、バイアホール用開口を設けてもよい。なお、この場合、露光、現像処理は、上記硬化処理前に行う。
【0104】
また、その材料として熱可塑性樹脂を用いた層間樹脂絶縁層を形成する場合には、熱可塑性樹脂からなる樹脂層にレーザ処理によりバイアホール用開口を形成し、層間樹脂絶縁層とすることができる。
【0105】
このとき、使用するレーザとしては、例えば、炭酸ガスレーザ、エキシマレーザ、UVレーザ、YAGレーザ等が挙げられる。
これらのレーザは、形成するバイアホール用開口や貫通孔の形状等を考慮して使い分けてもよい。
【0106】
上記バイアホール用開口を形成する場合、マスクを介して、ホログラム方式のエキシマレーザによるレーザ光照射することにより、一度に多数のバイアホール用開口を形成することができる。
また、短パルスの炭酸ガスレーザを用いて、バイアホール用開口を形成すると、開口内の樹脂残りが少なく、開口周縁の樹脂に対するダメージが小さい。
【0107】
また、光学系レンズとマスクとを介してレーザ光を照射することにより、一度に多数のバイアホール用開口を形成することができる。
光学系レンズとマスクとを介することにより、同一強度で、かつ、照射角度が同一のレーザ光を複数の部分に同時に照射することができるからである。
【0108】
上記マスクに形成された貫通孔は、レーザ光のスポット形状を真円にするために、真円であることが望ましく、上記貫通孔の径は、0.1〜2mm程度が望ましい。
また、上記炭酸ガスレーザを用いる場合、そのパルス間隔は、10-4〜10-8秒であることが望ましい。また、開口を形成するためのレーザを照射する時間は、10〜500μ秒であることが望ましい。
【0109】
レーザ光にてバイアホール用開口を形成した場合、特に炭酸ガスレーザを用いた場合には、デスミア処理を行うことが望ましい。上記デスミア処理は、クロム酸、過マンガン酸塩等の水溶液からなる酸化剤を使用して行うことができる。また、酸素プラズマ、CF4 と酸素の混合プラズマやコロナ放電等で処理してもよい。また、低圧水銀ランプを用いて紫外線を照射することにより、表面改質することもできる。
【0110】
上記層間樹脂絶縁層の厚さは特に限定されないが、5〜50μmが望ましい。
上記厚さが5μm未満であると、上下に隣合う導体回路間の絶縁性が維持できない場合があり、一方、50μmを超えると、バイアホール用開口等を形成した際に、その底部に樹脂残りが発生したり、そのバイアホール用開口等の形状が底部に向かって先細り形状になることがある。
また、上記バイアホール用開口の開口径は特に限定されないが、通常、40〜200μmが望ましい。
【0111】
また、層間樹脂絶縁層を形成した基板に、貫通孔を形成する場合には、直径50〜300μmのドリル、レーザ光等を用いて貫通孔を形成する。
上記貫通孔を形成した場合、後述する工程において、貫通孔の内壁面に導体層を形成することにより、スルーホールとすることができ、該スルーホールを形成することにより、上記基板および上記層間樹脂絶縁層を介した導体回路間を電気的に接続することができる。
【0112】
(8)次に、バイアホール用開口の内壁を含む層間樹脂絶縁層の表面と上記工程で貫通孔を形成した場合には貫通孔の内壁とに、必要に応じて、酸または酸化剤を用いて粗化面を形成する。
上記酸としては、硫酸、硝酸、塩酸、リン酸、蟻酸等が挙げられ、上記酸化剤としては、クロム酸、クロム硫酸、過マンガン酸ナトリウム等の過マンガン酸塩等が挙げられる。
また、上記粗化面の形成は、プラズマ処理等を用いて行ってもよい。
【0113】
具体的には、層間樹脂絶縁層を粗化面形成用樹脂組成物等を用いて形成した場合には、酸や酸化剤を用いて粗化面を形成することが望ましく、ポリオレフィン系樹脂等を用いて形成した場合には、プラズマ処理等を用いて粗化面を形成することが望ましい。
【0114】
この粗化面は、層間樹脂絶縁層とその上に形成する薄膜導体層との密着性を高めるために形成するものであり、上記層間樹脂絶縁層と上記薄膜導体層との間に充分な密着性がある場合には形成しなくてもよい。
【0115】
その後、酸を用いて粗化面を形成した場合はアルカリ等の水溶液を用い、酸化剤を用いて粗化面を形成した場合は中和液を用いて、バイアホール用開口内や貫通孔内を中和する。この操作により酸や酸化剤を除去し、次工程に影響を与えないようにする。
【0116】
(9)次に、形成された粗化面に、必要により、触媒を付与する。上記触媒としては、例えば、塩化パラジウム等が挙げられる。
このとき、触媒を確実に付与するために、酸素、窒素等のプラズマ処理やコロナ処理等のドライ処理を施すことにより、酸または酸化剤の残渣を除去するとともに層間樹脂絶縁層の表面を改質することにより、触媒を確実に付与し、無電解めっき時の金属の析出、および、無電解めっき層の層間樹脂絶縁層への密着性を向上させることができ、特に、バイアホール用開口の底面において、大きな効果が得られる。
【0117】
(10)次に、バイアホール用開口の内壁面を含む層間樹脂絶縁層の表面に薄膜導体層を形成する。
上記薄膜導体層は、無電解めっき、スパッタリング、蒸着等の方法を用いて形成することができる。
また、上記層間樹脂絶縁層に粗化面を形成しなかった場合は、上記薄膜導体層をスパッタリングにより形成することが望ましい。
【0118】
上記薄膜導体層の形成方法は、層間樹脂絶縁層の材質に応じて選択することが望ましい。
具体的には、粗化面形成用樹脂組成物からなる層間樹脂絶縁層に薄膜導体層を形成する場合は、無電解めっきにより形成することが望ましく、その厚さは0.6〜1.2μmが望ましい。
また、ポリオレフィン系樹脂等の低誘電樹脂フィルムからなる層間樹脂絶縁層に薄膜導体層を形成する場合は、スパッタリングや蒸着により形成することが望ましく、その厚さは0.1〜1.0μmが望ましい。また、このとき形成する薄膜導体層は、ニッケルと銅との二層からなるものが望ましい。また、スパッタリング等により形成した薄膜導体層の上に無電解めっきからなる層を形成してもよい。
【0119】
また、上記(7)の工程で貫通孔を形成した場合は、この工程で貫通孔の内壁面にも金属からなる薄膜導体層を形成することにより、スルーホールとしてもよい。
【0120】
上記(10)の工程で、スルーホールを形成した場合には、以下のような処理工程を行うことが望ましい。即ち、無電解めっき層表面とスルーホール内壁とを黒化(酸化)−還元処理、有機酸と第二銅錯体の混合水溶液によるスプレー処理、Cu−Ni−P針状合金めっきによる処理等を用いて粗化形成処理を行う。この後、さらに、樹脂充填材等を用いてスルーホール内を充填し、ついで、樹脂充填材の表層部と無電解めっき層表面とをバフ研磨等の研磨処理方法を用いて、平坦化する。
さらに、無電解めっきを行い、既に形成した金属からなる薄膜導体層と樹脂充填材の表層部とに無電解めっき層を形成することにより、スルーホールの上に蓋めっき層を形成する。
【0121】
このような(1)〜(10)の工程を経ることにより、第二の本発明の評価方法において、測定対象となる薄膜導体層の形成された基板を製造することができる。従って、この基板を用いて電解めっき液を評価し、その評価結果が良好な場合には、この電解めっき液を用いてフィールドビアを形成することができる。
次に、この基板を用いた多層プリント配線板の製造方法について説明する。
【0122】
(11)上記薄膜導体層が形成された基板の上にめっきレジストを配設する。めっきレジストとしては、市販の感光性ドライフィルムや液状レジストを使用することができる。
そして、感光性ドライフィルムを貼り付けたり、液状レジストを塗布した後、紫外線等による露光処理を行い、その後、アルカリ水溶液等で現像処理する。
【0123】
(12)ついで、上記処理を行った基板を所望の形状の電解めっき膜を形成することができる電気めっき液(この場合、フィルードビアを形成することができる電解めっき液)に浸漬した後、薄膜導体層をカソードとし、めっき被着金属をアノードとして直流電気めっきを行い、めっきレジスト非形成部に電気めっき膜を形成する。
【0124】
(13)ついで、めっきレジストを強アリカリ水溶液で剥離した後にエッチングを行い、無電解めっき層を除去することにより、上層導体回路およびバイアホールを独立パターンとする。
上記エッチング液としては、硫酸/過酸化水素水溶液、塩化第二鉄、塩化第二銅、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩の水溶液、塩酸、硝酸、熱希硫酸等を用いることができる。また、第二銅錯体と有機酸とを含有するエッチング液を用いて、薄膜導体層を除去するととも、導体回路の表面に粗化面を形成してもよい。
【0125】
(14)この後、必要により、(5)に記載した方法と同様の方法で導体回路の粗化処理を行った後、(6)〜(13)の工程を繰り返すことにより、導体回路と層間上記絶縁層とが順次積層された基板を製造することができる。
【0126】
(15)次に、最上層の導体回路を含む基板面にソルダーレジスト層を形成し、さらに、該ソルダーレジスト層を開口して半田パッドを形成した後、上記半田パッドに半田ペーストを充填し、リフローすることにより半田バンプを形成する。その後、外部基板接続面に、ピンを配設したり、半田ボールを形成したりすることにより、PGA(Pin Grid Array)やBGA(Ball Grid Array) とする。
【0127】
上記ソルダーレジスト層は、例えば、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、熱可塑性エラストマー、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等からなるソルダーレジスト組成物を用いて形成することができ、これらの樹脂の具体例としては、例えば、層間樹脂絶縁層に用いた樹脂と同様の樹脂等が挙げられる。
【0128】
また、上記以外のソルダーレジスト組成物としては、例えば、ノボラック型エポキシ樹脂の(メタ)アクリレート、イミダゾール硬化剤、2官能性(メタ)アクリル酸エステルモノマー、分子量500〜5000程度の(メタ)アクリル酸エステルの重合体、ビスフェノール型エポキシ樹脂等からなる熱硬化性樹脂、多価アクリル系モノマー等の感光性モノマー、グリコールエーテル系溶剤などを含むペースト状の流動体が挙げられ、その粘度は25℃で1〜10Pa・sに調整されていることが望ましい。
上記ノボラック型エポキシ樹脂の(メタ)アクリレートとしては、例えば、フェノールノボラックやクレゾールノボラックのグリシジルエーテルをアクリル酸やメタクリル酸等と反応させたエポキシ樹脂等が挙げられる。
【0129】
上記2官能性(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては特に限定されず、例えば、各種ジオール類のアクリル酸やメタクリル酸のエステル等が挙げられ、市販品としては、日本化薬社製のR−604、PM2、PM21等が挙げられる。
【0130】
また、上記ソルダーレジスト組成物はエラストマーや無機フィラーが配合されていてもよい。
エラストマーが配合されていることにより、形成されるソルダーレジスト層は、エラストマーの有する柔軟性および反発弾性により、ソルダーレジスト層に応力が作用した場合でも、該応力を吸収したり緩和したりすることができ、その結果、多層プリント配線板の製造工程や製造した多層プリント配線板にICチップ等の電子部品を搭載した後のソルダーレジスト層にクラックや剥離が発生することを抑制でき、さらに、クラックが発生した場合でも該クラックが大きく成長することがない。
【0131】
上記ソルダーレジスト層を開口する方法としては、例えば、バイアホール用開口を形成する方法と同様に、レーザ光を照射する方法等が挙げられる。
【0132】
また、ソルダーレジスト組成物として、感光性のソルダーレジスト組成物を使用した場合には、ソルダーレジスト層を形成した後、該ソルダーレジスト層上にフォトレジストを載置し、露光、現像処理を施すことにより、ソルダーレジスト層を開口することができる。
【0133】
上記ソルダーレジスト層を開口することにより露出した導体回路部分は、通常、ニッケル、パラジウム、金、銀、白金等の耐食性金属により被覆することが望ましい。具体的には、ニッケル−金、ニッケル−銀、ニッケル−パラジウム、ニッケル−パラジウム−金等の金属により被覆層を形成することが望ましい。
上記被覆層は、例えば、めっき、蒸着、電着等により形成することができるが、これらのなかでは、被覆層の均一性に優れるという点からめっきが望ましい。
【0134】
なお、製品認識文字などを形成するための文字印刷工程やソルダーレジスト層の改質のために、酸素や四塩化炭素などのプラズマ処理を適時行ってもよい。
以上の方法は、セミアディティブ法によるものであるが、フルアディティブ法を採用してもよい。
【0135】
このように第二の本発明の評価方法により評価した電解めっき液を用いて多層プリント配線板を製造した場合、所望の形状のバイアホールを有する多層プリント配線板を製造することができる。
特に、フィールドビアを有する多層プリント配線板を製造した場合には、その上に形成された層間樹脂絶縁層にうねりが発生しにくい。従って、層間樹脂絶縁層と導体回路との間で剥離が発生したり、層間樹脂絶縁層にクラックが発生したりしにくい。
また、フィールドビアを有する多層プリント配線板では、その構造をスタックビア構造とすることができ、高速化、ファイン化の要求に対応した多層プリント配線板となる。
【0136】
【実施例】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
(実施例1)
A.層間樹脂絶縁層用の樹脂フィルムの作製
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量469、油化シェルエポキシ社製エピコート1001)30重量部、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量215、大日本インキ化学工業社製 エピクロンN−673)40重量部、トリアジン構造含有フェノールノボラック樹脂(フェノール性水酸基当量120、大日本インキ化学工業社製 フェノライトKA−7052)30重量部をエチルジグリコールアセテート20重量部、ソルベントナフサ20重量部に攪拌しながら加熱溶解させ、そこへ末端エポキシ化ポリブタジエンゴム(ナガセ化成工業社製 デナレックスR−45EPT)15重量部と2−フェニル−4、5−ビス(ヒドロキシメチル)イミダゾール粉砕品1.5重量部、微粉砕シリカ2重量部、シリコン系消泡剤0.5重量部を添加しエポキシ樹脂組成物を調製した。
得られたエポキシ樹脂組成物を厚さ38μmのPETフィルム上に乾燥後の厚さが50μmとなるようにロールコーターを用いて塗布した後、80〜120℃で10分間乾燥させることにより、層間樹脂絶縁層用樹脂フィルムを作製した。
【0137】
B.樹脂充填材の調製
ビスフェノールF型エポキシモノマー(油化シェル社製、分子量:310、YL983U)100重量部、表面にシランカップリング剤がコーティングされた平均粒径が1.6μmで、最大粒子の直径が15μm以下のSiO2 球状粒子(アドテック社製、CRS 1101−CE)170重量部およびレベリング剤(サンノプコ社製 ペレノールS4)1.5重量部を容器にとり、攪拌混合することにより、その粘度が23±1℃で45〜49Pa・sの樹脂充填材を調製した。なお、硬化剤として、イミダゾール硬化剤(四国化成社製、2E4MZ−CN)6.5重量部を用いた。
【0138】
C.薄膜導体層の形成された基板の作製
(1)厚さ0.8mmのガラスエポキシ樹脂またはBT(ビスマレイミドトリアジン)樹脂からなる絶縁性基板1の両面に18μmの銅箔8がラミネートされている銅貼積層板を出発材料とした(図2(a)参照)。まず、この銅貼積層板をドリル削孔し、無電解めっき処理を施し、パターン状にエッチングすることにより、基板の両面に下層導体回路4とスルーホール9を形成した。
【0139】
(2)スルーホール9および下層導体回路4を形成した基板を水洗いし、乾燥した後、NaOH(10g/l)、NaClO2 (40g/l)、Na3 PO4 (6g/l)を含む水溶液を黒化浴(酸化浴)とする黒化処理、および、NaOH(10g/l)、NaBH4 (6g/l)を含む水溶液を還元浴とする還元処理を行い、そのスルーホール9を含む下層導体回路4の全表面に粗化面4a、9aを形成した(図2(b)参照)。
【0140】
(3)上記Bに記載した樹脂充填材を調製した後、調製後24時間以内に、スルーホール9内に樹脂充填材を充填し、続いて、基板上の導体回路非形成部に樹脂充填材10の層を形成し、100℃、20分の条件で乾燥させた(図2(c)参照)。
【0141】
(4)上記(3)の処理を終えた基板の片面を、#600のベルト研磨紙(三共理化学製)を用いたベルトサンダー研磨により、内層銅パターン4の表面やスルーホール9のランド表面に樹脂充填材10が残らないように研磨し、次いで、上記ベルトサンダー研磨による傷を取り除くためのバフ研磨を行った。このような一連の研磨を基板の他方の面についても同様に行った。
次いで、100℃で1時間、150℃で1時間の加熱処理を行って樹脂充填材10を硬化した。
【0142】
このようにして、スルーホール9や導体回路非形成部に形成された樹脂充填材10の表層部および下層導体回路4の表面を平坦化し、樹脂充填材10と下層導体回路4の側面4aとが粗化面を介して強固に密着し、またスルーホール9の内壁面9aと樹脂充填材10とが粗化面を介して強固に密着した基板を得た(図2(d)参照)。すなわち、この工程により、樹脂充填材10の表面と下層導体回路4の表面とが同一平面となる。
【0143】
(5)上記基板を水洗、酸性脱脂した後、ソフトエッチングし、次いで、エッチング液を基板の両面にスプレイで吹きつけて、下層導体回路4の表面とスルーホール9のランド表面と内壁とをエッチングすることにより、下層導体回路4の全表面に粗化面4a、9aを形成した(図3(a)参照)。
エッチング液としては、イミダゾール銅(II)錯体10重量部、グリコール酸7重量部、塩化カリウム5重量部からなるエッチング液(メック社製、メックエッチボンド)を使用した。
【0144】
(6)基板の両面に、Aで作製した基板より少し大きめの層間樹脂絶縁層用樹脂フィルムを基板上に載置し、圧力4kgf/cm2 、温度80℃、圧着時間10秒の条件で仮圧着して裁断した後、さらに、以下の方法により真空ラミネーター装置を用いて貼り付けることにより層間樹脂絶縁層20を形成した(図3(b)参照)。すなわち、層間樹脂絶縁層用樹脂フィルムを基板上に、真空度0.5Torr、圧力4kgf/cm2 、温度80℃、圧着時間60秒の条件で本圧着し、その後、170℃で30分間熱硬化させた。
【0145】
(7)次に、層間樹脂絶縁層20上に、厚さ1.2mmの貫通孔が形成されたマスクを介して、波長10.4μmのCO2 ガスレーザにて、ビーム径4.0mm、トップハットモード、パルス幅8.0μ秒、マスクの貫通孔の径1.0mm、1ショットの条件で層間樹脂絶縁層20に、直径80μmのバイアホール用開口6を形成した(図3(c)参照)。
【0146】
(8)バイアホール用開口6を形成した基板を、60g/lの過マンガン酸を含む80℃の溶液に10分間浸漬し、層間樹脂絶縁層20の表面に存在するエポキシ樹脂粒子を溶解除去することにより、バイアホール用開口6の内壁を含む層間樹脂絶縁層20の表面を粗面とした(図3(d)参照)。
【0147】
(9)次に、上記処理を終えた基板を、中和溶液(シプレイ社製)に浸漬してから水洗いした。
さらに、粗面化処理(粗化深さ3μm)した該基板の表面に、パラジウム触媒を付与することにより、層間樹脂絶縁層20の表面およびバイアホール用開口6の内壁面に触媒核を付着させた。
【0148】
(10)次に、以下の組成の無電解銅めっき水溶液中に基板を浸漬して、粗面全体に厚さ0.6〜3.0μmの無電解銅めっき膜12を形成し、バイアホール用開口の内壁を含む層間樹脂絶縁層の表面に無電解銅めっき膜12が形成された基板を得た(図4(a)参照)。
〔無電解めっき水溶液〕
NiSO4 0.003 mol/l
酒石酸 0.200 mol/l
硫酸銅 0.030 mol/l
HCHO 0.050 mol/l
NaOH 0.100 mol/l
α、α′−ビピリジル 40 mg/l
ポリエチレングリコール(PEG) 0.10 g/l
〔無電解めっき条件〕
35℃の液温度で40分
【0149】
D.電解めっき液の評価
上記(1)〜(10)の工程を経ることにより得た、最外面に無電解銅めっき膜の形成された基板を以下の組成の電解めっき液(液温度25℃)中に浸漬した後、基板と層間樹脂絶縁層とを挟んだ無電解銅めっき膜間に25Vの交流を印加した際の電流値を測定した。結果を表1に示した。
〔電解めっき液〕
CuSO4 ・5H2 O 140 g/l
硫酸 120 g/l
Cl- 50 mg/l
ゼラチン 300 mg/l
スルホン酸アミド 100 mg/l
【0150】
E.多層プリント配線板の製造
次に、上記(1)〜(10)の工程を経ることにより作製した無電解銅めっき膜が形成された基板と同様の基板を用いて、下記の方法により多層プリント配線板を製造した。
【0151】
(11)無電解銅めっき膜12が形成された基板に市販の感光性ドライフィルムを張り付け、マスクを載置して、100mJ/cm2 で露光し、0.8%炭酸ナトリウム水溶液で現像処理することにより、厚さ20μmのめっきレジスト23を設けた(図5(a)参照)。
【0152】
(12)ついで、基板を50℃の水で洗浄して脱脂し、25℃の水で水洗後、さらに硫酸で洗浄してから、上記Dで電気特性を測定した電解めっき液を用い、下記の条件で電解めっきを施し、めっきレジスト23非形成部に、厚さ20μmの電解銅めっき膜13を形成した(図5(b)参照)。
〔電解めっき条件〕
電流密度 0.8 A/dm2
時間 30 分
温度 25 ℃
【0153】
(13)めっきレジスト23を5%NaOHで剥離除去した後、そのめっきレジスト23下の無電解めっき膜12を硫酸と過酸化水素の混合液でエッチング処理して溶解除去し、無電解銅めっき膜12と電解銅めっき膜13からなる厚さ18μmの導体回路(バイアホール7を含む)5を形成した(図5(c)参照)。
【0154】
(14)ついで、上記(5)と同様の処理を行い、第二銅錯体と有機酸とを含有するエッチング液によって、粗化面を形成した(図6(a)参照)。
(15)上記(6)〜(14)の工程を繰り返すことにより、さらに上層の導体回路を形成し、多層配線板を得た(図6(b)〜図7(b)参照)。
【0155】
(16)次に、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG)に60重量%の濃度になるように溶解させた、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬社製)のエポキシ基50%をアクリル化した感光性付与のオリゴマー(分子量:4000)46.67重量部、メチルエチルケトンに溶解させた80重量%のビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェル社製、商品名:エピコート1001)15.0重量部、イミダゾール硬化剤(四国化成社製、商品名:2E4MZ−CN)1.6重量部、感光性モノマーである2官能アクリルモノマー(日本化薬社製、商品名:R604)4.5重量部、同じく多価アクリルモノマー(共栄化学社製、商品名:DPE6A)1.5重量部、分散系消泡剤(サンノプコ社製、S−65)0.71重量部を容器にとり、攪拌、混合して混合組成物を調製し、この混合組成物に対して光重合開始剤としてベンゾフェノン(関東化学社製)2.0重量部、光増感剤としてのミヒラーケトン(関東化学社製)0.2重量部、を加えることにより、粘度を25℃で2.0Pa・sに調整したソルダーレジスト組成物を得た。
なお、粘度測定は、B型粘度計(東京計器社製、DVL−B型)で60min-1(rpm)の場合はローターNo.4、6min-1(rpm)の場合はローターNo.3によった。
【0156】
(17)次に、多層配線基板の両面に、上記ソルダーレジスト組成物を20μmの厚さで塗布し、70℃で20分間、70℃で30分間の条件で乾燥処理を行った後、ソルダーレジスト開口部のパターンが描画された厚さ5mmのフォトマスクをソルダーレジスト層に密着させて1000mJ/cm2 の紫外線で露光し、DMTG溶液で現像処理し、200μmの直径の開口を形成した。
そして、さらに、80℃で1時間、100℃で1時間、120℃で1時間、150℃で3時間の条件でそれぞれ加熱処理を行ってソルダーレジスト層を硬化させ、開口を有し、その厚さが20μmのソルダーレジストパターン層14を形成した。上記ソルダーレジスト組成物としては、市販のソルダーレジスト組成物を使用することもできる。
【0157】
(18)次に、ソルダーレジスト層14を形成した基板を、塩化ニッケル(2.3×10-1mol/l)、次亜リン酸ナトリウム(2.8×10-1mol/l)、クエン酸ナトリウム(1.6×10-1mol/l)を含むpH=4.5の無電解ニッケルめっき液に20分間浸漬して、開口部に厚さ5μmのニッケルめっき層15を形成した。さらに、その基板をシアン化金カリウム(7.6×10-3mol/l)、塩化アンモニウム(1.9×10-1mol/l)、クエン酸ナトリウム(1.2×10-1mol/l)、次亜リン酸ナトリウム(1.7×10-1mol/l)を含む無電解金めっき液に80℃の条件で7.5分間浸漬して、ニッケルめっき層15上に、厚さ0.03μmの金めっき層16を形成した。
【0158】
(19)この後、基板のICチップを載置する面のソルダーレジスト層14の開口に、スズ−鉛を含有するはんだペーストを印刷し、さらに他方の面のソルダーレジスト層14の開口にスズ−アンチモンを含有するはんだペーストを印刷した後、200℃でリフローすることによりはんだバンプ(はんだ体)17を形成し、はんだバンプ17を有する多層プリント配線板を製造した(図7(c)参照)。
F.多層プリント配線板の評価
(1)多層プリント配線板をバイアホールを含むように縦に切断し、バイアホールの断面の形状、および、層間樹脂絶縁層の断面の形状を顕微鏡により観察し、以下の評価基準で評価した。結果を表1に示した。
【0159】
評価基準
(i)バイアホールの断面の形状
○.バイアホールの上面が平坦な形状であった。
×.バイアホールの上面が平坦でなく、凹んだ形状であった。
(ii)層間樹脂絶縁層の断面の形状
○.層間樹脂絶縁層にうねりが発生していなかった。
×.層間樹脂絶縁層にうねりが発生していた。
【0160】
(2)得られた多層プリント配線板の導通試験を行い、モニターに表示された結果から導通状態を評価した。結果を表1に示した。なお、導通不良の発生していなかったものを○、導通不良の発生していたものを×と評価した。
【0161】
(実施例2)
実施例1の(1)〜(10)の工程と同様にして、バイアホール用開口の内壁を含む層間樹脂絶縁層の表面に無電解銅めっき膜が形成された基板を得た。
さらに、このようにして得られた基板を以下の組成の電解めっき液中に浸漬した後、基板と層間樹脂絶縁層とを挟んだ無電解銅めっき膜間に25Vの交流を印加し、そのときの電流値を測定した。結果を表1に示した。
〔電解めっき液〕
CuSO4 ・5H2 O 140 g/l
硫酸 120 g/l
Cl- 50 mg/l
ゼラチン 700 mg/l
スルホン酸アミド 350 mg/l
【0162】
また、上記電解めっき液を用いた以外は、実施例1の(11)〜(19)と同様にして多層プリント配線板を製造した。この多層プリント配線板について、実施例1と同様の評価方法により、バイアホールおよび層間樹脂絶縁層の断面の形状の評価、ならびに、導通試験を行った。結果を表1に示した。
【0163】
(実施例3)
実施例1の(1)〜(10)の工程と同様にして、バイアホール用開口の内壁を含む層間樹脂絶縁層の表面に無電解銅めっき膜が形成された基板を得た。
さらに、このようにして得られた基板を以下の組成の電解めっき液中に浸漬した後、基板と層間樹脂絶縁層とを挟んだ無電解銅めっき膜間に25Vの交流を印加し、そのときの電流値を測定した。結果を表1に示した。
〔電解めっき液〕
CuSO4 ・5H2 O 140 g/l
硫酸 120 g/l
Cl- 50 mg/l
ゼラチン 0.1 mg/l
スルホン酸アミド 0.01 mg/l
【0164】
また、上記電解めっき液を用いた以外は、実施例1の(11)〜(19)と同様にして多層プリント配線板を製造した。この多層プリント配線板について、実施例1と同様の評価方法により、バイアホールおよび層間樹脂絶縁層の断面の形状の評価、ならびに、導通試験を行った。結果を表1に示した。
【0165】
【表1】
Figure 0003916946
【0166】
(実施例4)
実施例1の(1)〜(11)の工程と同様にしてバイアホール用開口の内壁を含む層間樹脂絶縁層の表面に無電解銅めっき膜が形成された基板を得た。
次に、実施例1の(12)の工程と同様の方法により電解めっき膜の形成する処理を、電解めっき液の交換、補充を行うことなしに、100回繰り返した。
この電解めっき膜を形成する処理において、処理前、および、10回目、25回目、50回目、100回目の処理が終了した際に、基板と層間樹脂絶縁層とを挟んだ無電解銅めっき膜間に25Vの交流を印加し、そのときの電流値を測定した。結果を表2に示した。
また、10回目、25回目、50回目、100回目の処理後、それぞれの電解めっき液中に添加剤(ゼラチンおよびスルホン酸アミド)の濃度を測定した。結果を表2に示した。
【0167】
また、10回目、25回目、50回目、100回目に電解めっき膜を形成した基板について、実施例1の(13)〜(19)と同様の処理を施すことにより多層プリント配線板とした。得られた多層プリント配線板について、実施例1と同様の評価方法により、バイアホールおよび層間樹脂絶縁層の断面の形状の評価、ならびに、導通試験を行った。結果を表2に示した。
【0168】
【表2】
Figure 0003916946
【0169】
表2に示したように、添加剤の合計量が92.5重量%減少した場合には、電流値が5A以下になっており、この場合にはフィールドビアを形成することができなかった。この結果から明らかなように、電流値を5〜15Aに維持した電解めっき液を用いることにより、フィールドビアを有する多層プリント配線板を製造することができる。
【0170】
【発明の効果】
以上説明してきたように、第一の本発明の電解めっき液の評価方法では、その表面に薄膜導体層が形成された基板を電解めっき液中に浸漬した後、薄膜導体層の両端に交流を印加して測定した電気特性と、形成される電解めっき膜との間に相関関係があるため、上記電気特性により、所望の形状の電解めっき膜を形成することができる電解めっき液か否かを評価することができる。
【0171】
また、第二の本発明の電解めっき液の評価方法では、バイアホール用開口を形成した後、該バイアホール用開口の内壁および層間樹脂絶縁層の表面に薄膜導体層を形成することにより薄膜導体層が形成された基板を得、この基板を電解めっき液中に浸漬し、基板を挟んだ導体回路間に交流を印加して電気特性を測定する。このとき、測定した電気特性と、形成される電解めっき膜の形状との間に相関関係があるため、上記電気特性により、所望の形状の電解めっき層を形成することかできる電解めっき液か否かを評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(c)は、その表面に薄膜導体層の形成された樹脂層を有する基板と、電解めっきにより形成された電解めっき膜とを模式的に示す断面図である。
【図2】(a)〜(d)は、本発明の評価方法で用いる薄膜導体層の形成された基板を製造する工程の一部を示す断面図である。
【図3】(a)〜(d)は、本発明の評価方法で用いる薄膜導体層の形成された基板を製造する工程の一部を示す断面図である。
【図4】(a)は、本発明の評価方法で用いる薄膜導体層の形成された基板を製造する工程の一部を示す断面図である。
【図5】(a)〜(c)は、多層プリント配線板を製造する工程の一部を示す断面図である。
【図6】(a)〜(c)は、多層プリント配線板を製造する工程の一部を示す断面図である。
【図7】(a)〜(c)は、多層プリント配線板を製造する工程の一部を示す断面図である。
【図8】多層プリント配線板に形成されたフィールドビアの断面を示す断面図である。
【図9】多層プリント配線板に形成されたバイアホールの断面を示す断面図である。
【符号の説明】
1 絶縁性基板
4 下層導体回路
4a 粗化面
5 導体回路
6 バイアホール用開口
7 バイアホール
8 銅箔
9 スルーホール
9a 粗化面
10 樹脂充填材
12 無電解銅めっき膜
13 電解銅めっき膜
14 ソルダーレジスト層
15 ニッケルめっき膜
16 金めっき膜
17 はんだバンプ
18 貫通孔
19 はんだ
20 層間樹脂絶縁層
23 めっきレジスト
101、201、301 樹脂層
102、202、302 薄膜導体層
103、203、303 電解めっき膜

Claims (3)

  1. 凹部を有する樹脂層が形成された基板の表面に薄膜導体層を形成した後、前記薄膜導体層上に電解めっき膜を形成する際に使用する電解めっき液の評価方法であって、
    前記薄膜導体層が形成された前記基板を電解めっき液中に浸漬した後、前記薄膜導体層の両端に25Vの交流を印加して電流値を測定し、
    該電流値が5〜15Aの範囲内であるか否かにより電解めっき液を評価することを特徴とする電解めっき液の評価方法。
  2. 前記5〜15Aの範囲とは、前記電解めっき液により形成される電解めっき膜の形状が平坦となる際の電流値の範囲である請求項1に記載の電解めっき液の評価方法。
  3. (1)バイアホール用開口を有する層間樹脂絶縁層を形成する工程、
    (2)前記バイアホール用開口の内壁および前記層間樹脂絶縁層の表面に薄膜導体層を形成する工程、
    (3)前記薄膜導体層が形成された前記基板を電解めっき液中に浸漬した後、前記薄膜導体層の両端に交流を印加して電流値を測定し、該電流値が所望の範囲内であるか否かにより電解めっき液を評価するめっき液評価工程、および、
    前記めっき液評価工程により電流値が所望の範囲内である際には、前記薄膜導体層上に電解めっき層を形成する工程
    を含む多層プリント配線板の製造方法であって、
    前記(3)の工程で使用される前記電解めっき液は、前記薄膜導体層の両端に25Vの交流を印加して電流値を測定した際、該電流値が5〜15Aの範囲内であり、形成される電解めっき膜の形状が平坦となることを特徴とする多層プリント配線板の製造方法。
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