JP4535598B2 - 多層プリント配線板および多層プリント配線板の製造方法 - Google Patents

多層プリント配線板および多層プリント配線板の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多層プリント配線板、および、多層プリント配線板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、多層配線基板に対する高密度化の要請から、いわゆるビルドアップ多層配線基板が注目されている。このビルドアップ多層配線基板は、例えば、特公平4−55555号公報に開示されているような方法により製造される。即ち、下層導体回路が形成されたコア基板上に、感光性樹脂からなる無電解めっき用接着剤を塗布し、これを乾燥したのち露光、現像処理することにより、バイアホール用開口を有する層間樹脂絶縁層を形成する。次いで、この層間樹脂絶縁層の表面を酸化剤等による処理にて粗化した後、該感光性樹脂層に露光、現像処理を施してめっきレジストを設け、その後、めっきレジスト非形成部分に無電解めっき等を施してバイアホールを含む導体回路パターンを形成する。そして、このような工程を複数回繰り返すことにより、多層化したビルドアップ配線基板が製造されるのである。
【0003】
このようなビルドアップ配線基板の製造方法において、コア基板にスルーホールを形成する際に、コア基板に貫通孔を形成し、該貫通孔の壁面に導体層を形成するのみでは、スルーホール内に空隙ができることとなる。このような空隙を有するまま、層間樹脂絶縁層の積層工程を行おうとすると、無電解めっき用接着剤を塗布した際に、該無電解めっき用接着剤が空隙に流れこみ、その結果、無電解めっき用接着剤からなる層に凹部(窪み)やうねりが発生することとなる。このような凹部等の発生は、接続不良の原因となり、ビルドアップ配線基板の信頼性の低下に繋がるという問題があった。
【0004】
そこで、このような問題を解消するため技術として、例えば、特開昭63−137499号公報では、空隙内をエポキシ樹脂ペーストで充填する方法が記載されている。
【0005】
しかしながら、この方法により製造した多層プリント配線板は、層間樹脂絶縁層に凹部やうねりは発生していなかったものの、ヒートサイクル条件下において、樹脂充填材層にクラックが発生したり、樹脂充填材層と導体層との間で剥離が発生したりすることがあった。
これは、樹脂充填材層と基板との熱膨張係数の違いに起因して、多層プリント配線板に応力が発生し、該樹脂充填材層が応力を緩和するように構成されていないために、剥離やクラックが発生したものと考えられる。
【0006】
また、本発明の出願人らは、上記した問題を解決するために、特開平10−200265号公報において、ビスフェノールF型エポキシ樹脂とシリカ等の無機粒子とを含む樹脂充填材がスルーホール内に充填された多層プリント配線板を開示している。
このような多層プリント配線板では、樹脂充填材層が無機粒子を含んでいるため、ヒートサイクル条件下で発生した応力を緩和することができ、樹脂充填材層にクラックが発生したり、樹脂充填材層と導体層との間で剥離が発生したりしにくい。
【0007】
しかしながら、ここに開示された多層プリント配線板は、基板のみを挟む導体回路間がスルーホールを介して電気的に接続された構成を有するものであり、基板と層間樹脂絶縁層とを挟む導体回路間がスルーホールを介して電気的に接続された構成を有する多層プリント配線板については、何ら言及されておらず、両者の熱膨張係数等については、特に考慮されていなかった。
【0008】
また、特開2000−165046号公報には、スルーホールの直上にバイアホールを形成して、多層プリント配線板内の配線長を短くし、信号伝送時間を短縮することによりICチップの高速化に対応した多層プリント配線板が開示されている。
このような多層プリント配線板では、無機粒子を含む樹脂充填材がスルーホール内に充填され、この樹脂充填材層を覆う導体層がスルーホール上に形成され、この導体層上にバイアホールが形成されている。
【0009】
しかしながら、ここで開示された多層プリント配線板では、樹脂充填材層とこれを覆う導体層との間の密着性等については、何ら言及されておらず、ヒートサイクル条件下において、樹脂充填材層と導体層との間で剥離が発生してしまうことがあった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明者らは、基板と層間樹脂絶縁層とを挟んだ導体回路間が、スルーホールによって接続されるとともに、スルーホール上にバイアホールが形成されている構成を有する多層プリント配線板において、ヒートサイクル条件下でも、樹脂充填材層にクラックが発生せず、該樹脂充填材層と導体層との間で剥離が発生しない多層プリント配線板について鋭意検討した結果、エポキシ樹脂と硬化剤と無機粒子とを含む樹脂充填材を硬化させた樹脂充填材層における無機粒子の含有比率が10〜50重量%であれば、上記要求特性を満足することを見出し、本発明を完成した。
【0011】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明の多層プリント配線板は、基板の両面に導体回路と層間樹脂絶縁層とが順次積層され、上記基板および上記層間樹脂絶縁層を挟んだ導体回路間がスルーホールを介して接続され、上記層間樹脂絶縁層を挟んだ導体回路間がバイアホールを介して接続されてなる多層プリント配線板であって、
上記スルーホール内には、エポキシ樹脂と硬化剤と無機粒子とを含む樹脂充填材を硬化させた樹脂充填材層が形成されており、
上記樹脂充填材層中の上記無機粒子の含有比率は、10〜50重量%であり、
上記スルーホール上には、上記樹脂充填材層の表層部を覆う導体層が導体回路の一部として形成され、
上記導体層上には、バイアホールが形成されていることを特徴とする。
【0012】
また、上記無機粒子は、アルミニウム化合物、カルシウム化合物、カリウム化合物、マグネシウム化合物およびケイ素化合物からなる群より選択される少なくとも一種からなることが望ましい。
【0013】
また、上記無機粒子の形状は、球状、楕円球状、破砕状、または、多面体状であるであることが望ましい。
【0014】
また、上記多層プリント配線板において、上記スルーホールを構成する導体層の表面の少なくとも一部には、粗化面が形成されていることが望ましい。
【0015】
本発明の多層プリント配線板の製造方法は、少なくとも下記(A)〜(I)の工程を含むことを特徴とする。
(A)その両面に下層導体回路と下層層間樹脂絶縁層とが形成された基板に、貫通孔を形成する貫通孔形成工程、
(B)上記貫通孔の壁面と、上記下層層間樹脂絶縁層の表面の一部とに導体層を形成する導体層形成工程、
(C)その壁面に導体層を形成した上記貫通孔内に、エポキシ樹脂と硬化剤と無機粒子とを含み、硬化後の上記無機粒子の含有比率が10〜50重量%である貫通孔充填用樹脂組成物を充填する樹脂充填工程、
(D)上記貫通孔充填用樹脂組成物を乾燥する乾燥工程、
(E)上記貫通孔から露出した上記貫通孔充填用樹脂組成物の表面に、研磨処理を施す研磨工程、
(F)上記貫通孔充填用樹脂組成物を硬化し、その内部に樹脂充填材層が形成されたスルーホールを形成するスルーホール形成工程、
(G)上記樹脂充填材層の表層部を覆う導体層を導体回路の一部として形成する蓋めっき層形成工程、
(H)その表面に導体層を形成した下層層間樹脂絶縁層上に、バイアホール用開口を有する上層層間樹脂絶縁層を積層形成する上層層間樹脂絶縁層形成工程、および、
(I)上記バイアホール用開口内に導体層を形成するバイアホール形成工程。
【0016】
また、上記多層プリント配線板の製造方法において、上記研磨工程は、少なくとも一回のバフ研磨処理を行う工程であることが望ましい。
【0017】
また、上記導体層形成工程においては、導体層を形成した後に、該導体層の表面の少なくとも一部に、粗化面を形成することが望ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の多層プリント配線板は、基板の両面に導体回路と層間樹脂絶縁層とが順次積層され、上記基板および上記層間樹脂絶縁層を挟んだ導体回路間がスルーホールを介して接続され、上記層間樹脂絶縁層を挟んだ導体回路間がバイアホールを介して接続されてなる多層プリント配線板であって、
上記スルーホール内には、エポキシ樹脂と硬化剤と無機粒子とを含む樹脂充填材を硬化させた樹脂充填材層が形成されており、
上記樹脂充填材層中の上記無機粒子の含有比率は、10〜50重量%であり、
上記スルーホール上には、上記樹脂充填材層の表層部を覆う導体層が導体回路の一部として形成され、
上記導体層上には、バイアホールが形成されていることを特徴とする。
【0019】
上記多層プリント配線板では、スルーホール内に10〜50重量%の無機粒子を含む樹脂充填材層が形成されているため、該樹脂充填材層と層間樹脂絶縁層や基板との間で熱膨張係数に大きな差がなく、また,該樹脂充填材層とその表層部を覆う導体層とは密着性に優れるため、ヒートサイクル条件下においても、樹脂充填材層にクラックが発生したり、樹脂充填材層と導体層との間で剥離が発生したりすることがなく、接続信頼性に優れる。
【0020】
また、上記多層プリント配線板のスルーホール上には、樹脂充填材層の表層部を覆う導体層が導体回路の一部として形成され、この導体層上にバイアホールが形成されているため、多層プリント配線板内の配線長が短く、信号伝送時間も短いため、ICチップの高速化に対応することができる。
【0021】
本発明の多層プリント配線板では、スルーホール内に、エポキシ樹脂と硬化剤と無機粒子とを含む樹脂充填材を硬化させた樹脂充填材層が形成されている。
上記エポキシ樹脂としては特に限定されないが、ビスフェノール型エポキシ樹脂およびノボラック型エポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも一種が望ましい。
ビスフェノール型エポキシ樹脂は、A型やF型の樹脂を選択することにより、希釈溶媒を使用しなくてもその粘度を調製することができ、ノボラック型エポキシ樹脂は、高強度で耐熱性や耐薬品性に優れ、無電解めっき液等の強塩基性溶液中であっても分解せず、また、熱分解もしにくいからである。
【0022】
上記ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂やビスフェノールF型エポキシ樹脂が望ましく、低粘度で、かつ、無溶剤で使用することができる点からビスフェノールF型エポキシ樹脂がより望ましい。
また、上記ノボラック型エポキシ樹脂としては、フェノールノボラック型エポキシ樹脂およびクレゾールノボラック型エポキシ樹脂から選択される少なくとも一種が望ましい。
【0023】
また、ビスフェノール型エポキシ樹脂とクレゾールノボラック型エポキシ樹脂とを混合して使用してもよい。
この場合、ビスフェノール型エポキシ樹脂とクレゾールノボラック型エポキシ樹脂との混合比率は、重量比で1/1〜1/100であることが望ましい。
この範囲で混合することにより、粘度の上昇を抑制することができるからである。
【0024】
上記樹脂充填材に含まれる硬化剤は特に限定されず、従来公知の硬化剤を用いることができるが、イミダゾール系硬化剤、酸無水物硬化剤、または、アミン系硬化剤が望ましい。
これらの硬化剤を用いた場合には、硬化時の収縮の程度が小さく、スルーホールを構成する導体層等と樹脂充填材層との密着性に特に優れるからである。
【0025】
また、上記樹脂充填材に含まれる無機粒子としては、例えば、アルミニウム化合物、カルシウム化合物、カリウム化合物、マグネシウム化合物、ケイ素化合物等からなるものが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0026】
上記アルミニウム化合物としては、例えば、アルミナ、水酸化アルミニウム等が挙げられ、上記カルシウム化合物としては、例えば、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム等が挙げられ、上記カリウム化合物としては、例えば、炭酸カリウム等が挙げられ、上記マグネシウム化合物としては、例えば、マグネシア、ドロマイト、塩基性炭酸マグネシウム、タルク等が挙げられ、上記ケイ素化合物としては、例えば、シリカ、ゼオライト等が挙げられる。
【0027】
また、上記無機粒子の樹脂充填材中の含有比率は、10〜50重量%である。
この範囲であれば、基板や層間樹脂絶縁層との間で、熱膨張係数の整合を図ることができるからである。
上記無機粒子の含有比率が10重量%未満では、ガラス繊維等の無機成分を含む基板との間で熱膨張係数の整合を図ることが困難であり、一方、上記無機粒子の含有比率が50重量%を超えると、無機粒子の含有量が少ない層間樹脂絶縁層との間で熱膨張係数の整合を図ることが困難である。
より望ましい含有比率は、20〜40重量%である。
【0028】
また、上記無機粒子の形状は特に限定されず、球状、楕円球状、破砕状、多面体状等が挙げられる。
これらのなかでは、球状や楕円球状が望ましい。粒子の形状に起因したクラックの発生を抑制することができるからである。
また、上記無機粒子は、シランカップリング剤等により、コーティングされていてもよい。無機粒子とエポキシ樹脂との密着性が向上するからである。
【0029】
また、上記スルーホールを構成する導体層の表面の少なくとも一部には、粗化面が形成されていることが望ましい。該導体層と樹脂充填材層との密着性が一層高められ、熱履歴を受けた際の膨張収縮を抑制することができ、両者の間で剥離等がより発生しにくくなるからである。
【0030】
上記粗化面の平均粗度は、0.05〜5μmであることが望ましい。上記平均粗度が0.05μm未満では、導体回路の表面を粗化面にする効果をほとんど得ることができず、一方、5μmを超えると、信号伝達時の表皮効果に起因して、信号遅延や信号エラーが発生するおそれがあるからである。
【0031】
上記樹脂充填材中には、上記したエポキシ樹脂等以外に、他の熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂等が含まれていてもよい。
上記熱硬化性樹脂としては、例えば、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂等が挙げられ、上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、4フッ化エチレン6フッ化プロピレン共重合体(FEP)、4フッ化エチレンパーフロロアルコキシ共重合体(PFA)等のフッ素樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスルフォン(PSF)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、熱可塑型ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンスルフォン(PPES)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリオレフィン系樹脂等が挙げられる。
これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、上記エポキシ樹脂に代えて、これらの樹脂を用いてもよい。
【0032】
また、上記多層プリント配線板において、スルーホール上には、上記樹脂充填材層の表層部を覆う導体層(以下、蓋めっき層ともいう)が導体回路の一部として形成され、該導体層上には、バイアホールが形成されている。
上記樹脂充填材層は、上記範囲の無機粒子を含むため、これを覆う導体層との密着性に優れる。これについては、本発明の多層プリント配線板の製造方法を説明する際に詳述する。
【0033】
また、上記蓋めっき層を形成し、該蓋めっき層上にバイアホールを形成することにより、スルーホールとバイアホールとが直線状となり、配線長さが短くなるため、信号伝送時間を短くすることができ、ICチップの高速化に対応することができる。
また、上記蓋めっき層を導体回路の一部とし、該蓋めっき層上にバイアホールを形成することができるため、配線密度がより高い多層プリント配線板とすることができる。
【0034】
本発明の多層プリント配線板は、基板の両面に導体回路と層間樹脂絶縁層とが順次積層され、上記した構成からなるスルーホールにより、基板および層間樹脂絶縁層を挟んだ導体回路間が電気的に接続されている。
即ち、基板と層間樹脂絶縁層とを挟んだ2層の導体回路間は勿論のこと、この2層の導体回路と基板の両面に形成された2層の導体回路との計4層の導体回路間がスルーホールにより電気的に接続されている。
上記基板としては、樹脂基板が望ましく、具体例としては、例えば、ガラスエポキシ基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、ビスマレイミド−トリアジン樹脂基板、熱硬化性ポリフェニレンエーテル基板、フッ素樹脂基板、FR−4基板、FR−5基板等が挙げられる。また、銅張積層板やRCC基板であってもよい。
【0035】
また、上記導体回路の材質としては、特に限定されず、例えば、スズ、亜鉛、銅、ニッケル、コバルト、タリウム、鉛等が挙げられる。
また、上記導体回路は、単層からなるものであってもよいし、2層以上からなるものであってもよい。
これらのなかでは、電気特性、経済性等を考慮すると、銅や銅およびニッケルからなるものが望ましい。
【0036】
また、上記導体回路は、その表面が粗化面であってもよい。
導体回路の表面が粗化面である場合、導体回路と層間樹脂絶縁層との密着性がより強固なものとなるからである。
また、上記粗化面の平均粗度は、0.05〜5μmであることが望ましい。上記粗度が0.05μm未満では、導体回路の表面を粗化面にする効果をほとんど得ることができず、一方、5μmを超えると、信号伝達時の表皮効果に起因して、信号遅延や信号エラーが発生するおそれがあるからである。
【0037】
このような導体回路において、層間樹脂絶縁層を挟んだ導体回路間は、上記したスルーホールや、バイアホールにより電気的に接続されている。
上記バイアホールの材質は、上記導体回路の材質と同様のものが望ましい。
また、上記バイアホールは、フィールドビア構造であってもよい。フィールドビア構造を有するバイアホールでは、バイアホールの上にバイアホールを設けるのに適している。
バイアホール上にバイアホールを形成した場合には、スルーホール上にバイアホールを形成する場合と同様、信号伝送時間を短縮することができ、ICチップの高速化に対応することができる。
【0038】
また、上記層間樹脂絶縁層の材質としては、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂、これらの複合体等が挙げられる。
上記熱硬化性樹脂の具体例としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂等が挙げられる。
【0039】
上記エポキシ樹脂としては、例えば、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、アルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェノールF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、フェノール類とフェノール性水酸基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物のエポキシ化物、トリグリシジルイソシアヌレート、脂環式エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。それにより、耐熱性等に優れるものとなる。
【0040】
上記ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、シクロオレフィン系樹脂、これらの樹脂の共重合体等が挙げられる。
【0041】
また、上記ポリオレフィン系樹脂の市販品としては、例えば、住友スリーエム社製の商品名:1592等が挙げられる。また、融点が200℃以上の熱可塑型ポリオレフィン系樹脂を用いることができ、具体的な市販品としては、例えば、三井石油化学工業社製の商品名:TPX(融点240℃)、出光石油化学社製の商品名:SPS(融点270℃)等が挙げられる。
これらのなかでは、誘電率および誘電正接が低く、GHz帯域の高周波信号を用いた場合でも信号遅延や信号エラーが発生しにくく、さらには、剛性等の機械的特性にも優れている点からシクロオレフィン系樹脂が望ましい。
【0042】
上記シクロオレフィン系樹脂としては、2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネンまたはこれらの誘導体からなる単量体の単独重合体または共重合体等が望ましい。上記誘導体としては、上記2−ノルボルネン等のシクロオレフィンに、架橋を形成するためのアミノ基や無水マレイン酸残基あるいはマレイン酸変性したもの等が結合したもの等が挙げられる。
上記共重合体を合成する場合の単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン等が挙げられる。
【0043】
上記シクロオレフィン系樹脂は、上記した樹脂の2種以上の混合物であってもよく、シクロオレフィン系樹脂以外の樹脂を含むものであってもよい。
また、上記シクロオレフィン系樹脂が共重合体である場合には、ブロック共重合体であってもよく、ランダム共重合体であってもよい。
【0044】
また、上記シクロオレフィン系樹脂は、熱硬化性シクロオレフィン系樹脂であることが望ましい。加熱を行って架橋を形成させることにより、より剛性が高くなり、機械的特性が向上するからである。
上記シクロオレフィン系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、130〜200℃であることが望ましい。
【0045】
上記シクロオレフィン系樹脂は、既に樹脂シート(フィルム)として成形されたものを使用してもよく、単量体もしくは一定の分子量を有する低分子量の重合体が、キシレン、シクロヘキサン等の溶剤に分散した未硬化溶液の状態であってもよい。
また、樹脂シートの場合には、いわゆるRCC(RESIN COATED COPPER:樹脂付銅箔)を用いてもよい。
上記シクロオレフィン系樹脂は、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、リン酸エステル等の難燃剤を含むものであってもよい。
【0046】
また、上記ポリオレフィン樹脂は、有機フィラーを含むものであってもよい。
上記有機フィラーを含むことにより、例えば、層間樹脂絶縁層にレーザ光を照射してバイアホール用開口を形成する際に、所望の形状のバイアホール用開口を良好に形成することができる。
【0047】
即ち、炭酸ガスレーザ等の赤外線レーザを照射してバイアホール用開口等を形成する場合には、上記有機フィラーは、熱に対する緩衝剤の役割を果たし、発生した熱や導体回路より反射した熱を一部吸収する。また、上記有機フィラーは、樹脂組成物が所定の形状を維持するための機械的な強化剤の役割を果たし、その結果、周囲の樹脂の形状を維持することができ、目的の形状のバイアホール用開口等を形成することができる。
【0048】
また、紫外線レーザを照射してバイアホール用開口等を形成する場合、有機フィラーが紫外線を吸収し、このため、紫外線レーザが照射された部分の層間樹脂絶縁層が分解、消失し、目的とする形状のバイアホール用開口等を形成することができる。
【0049】
従って、上記レーザの照射によりバイアホール用開口を形成し、この開口に金属層を形成することによりバイアホールを形成すると、該金属層は下の導体回路に密着して剥がれにくくなり、得られる多層プリント配線板の接続性、信頼性が向上する。
【0050】
上記有機フィラーとしては特に限定されるものではないが、例えば、メラミン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、PPO、PPE等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0051】
上記有機フィラーの含有量は、5〜60重量%が好ましい。上記有機フィラーの含有量が5重量%未満であると、有機フィラーの含有量が少なすぎるため、レーザ光を照射した際に上記した役割を果たすことができず、目的とする形状のバイアホール用開口等を形成することができない場合がある。一方、有機フィラーの含有量が60重量%を超えると、ポリオレフィン系樹脂の特性が失われ、例えば、誘電率が高くなりすぎること等があるため好ましくない。より好ましい有機フィラーの含有量は、14〜60重量%である。
【0052】
上記有機フィラーの形状は特に限定されず、例えば、球状、多面形状等が挙げられるが、これらのなかでは、クラックが発生しにくく、熱や熱衝撃によって層間樹脂絶縁層に応力が発生しても、その応力が緩和されやすい点から、球状が好ましい。
【0053】
また、上記有機フィラーの粒径は、0.05〜0.2μmが好ましい。上記有機フィラーの粒径が0.05μm未満であると、粒径が小さすぎるため、均一に有機フィラーを配合することが困難となる場合があり、一方、上記有機フィラーの粒径が0.2μmを超えると、有機フィラーの粒径が大きすぎるため、レーザ光を照射した際に完全に分解除去されない場合が発生する。
【0054】
上記有機フィラーを配合する場合、その粒径が異なる2種以上の有機フィラーを配合してもよいが、余り多種類の粒径の異なる有機フィラーを配合すると、有機フィラーが凝集しやすくなり、凝集物の径が0.2μmを超え、0.2μmを超えるものを使用した場合と同様の不都合が発生する場合があるので、径が異なる有機フィラーを配合する場合には、2種類の配合に留めることが望ましい。
【0055】
上記ポリフェニレンエーテル樹脂としては、例えば、下記化学式(1)で表される繰り返し単位を有する熱可塑性ポリフェニレンエーテル樹脂や下記化学式(2)で表される繰り返し単位を有する熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂等が挙げられる。
【0056】
【化1】
Figure 0004535598
【0057】
(式中、nは、2以上の整数を表す。)
【0058】
【化2】
Figure 0004535598
【0059】
(式中、mは、2以上の整数を表す。また、R1 、R2 は、メチレン基、エチレン基または−CH2 −O−CH2 −を表し、両者は同一であってもよいし、異なっていてもよい。)
【0060】
また、上記化学式(1)で表される繰り返し単位を有する熱可塑性ポリフェニレンエーテル樹脂は、ベンゼン環にメチル基が結合した構造を有しているが、本発明で用いることのできるポリフェニレンエーテル樹脂としては、上記メチル基が、エチル基等の他のアルキル基等で置換された誘導体や、メチル基の水素がフッ素で置換された誘導体等であってもよい。
【0061】
また、上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン等が挙げられる。
また、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との複合体(樹脂複合体)としては、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを含むものであれば特に限定されず、その具体例としては、例えば、粗化面形成用樹脂組成物等が挙げられる。
【0062】
上記粗化面形成用樹脂組成物としては、例えば、酸、アルカリおよび酸化剤から選ばれる少なくとも1種からなる粗化液に対して難溶性の未硬化の耐熱性樹脂マトリックス中に、酸、アルカリおよび酸化剤から選ばれる少なくとも1種からなる粗化液に対して可溶性の物質が分散されたもの等が挙げられる。
なお、上記「難溶性」および「可溶性」という語は、同一の粗化液に同一時間浸漬した場合に、相対的に溶解速度の早いものを便宜上「可溶性」といい、相対的に溶解速度の遅いものを便宜上「難溶性」と呼ぶ。
【0063】
上記耐熱性樹脂マトリックスとしては、層間樹脂絶縁層に上記粗化液を用いて粗化面を形成する際に、粗化面の形状を保持できるものが好ましく、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、これらの複合体等が挙げられる。また、感光性樹脂を用いることにより、層間樹脂絶縁層に露光、現像処理を用いてバイアホール用開口を形成してもよい。
【0064】
上記熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。また、上記熱硬化性樹脂を感光化する場合は、メタクリル酸やアクリル酸等を用い、熱硬化基を(メタ)アクリル化反応させる。特にエポキシ樹脂の(メタ)アクリレートが望ましい。さらに、1分子中に、2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂がより望ましい。上述の粗化面を形成することができるばかりでなく、耐熱性等にも優れているため、ヒートサイクル条件下においても、導体回路に応力の集中が発生せず、導体回路と層間樹脂絶縁層との間で剥離が発生しにくい。
【0065】
上記熱可塑性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリフェニレンスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニルエーテル、ポリエーテルイミド等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0066】
上記酸、アルカリおよび酸化剤から選ばれる少なくとも1種からなる粗化液に対して可溶性の物質は、無機粒子、樹脂粒子、金属粒子、ゴム粒子、液相樹脂および液相ゴムから選ばれる少なくとも1種であることが望ましい。
【0067】
上記無機粒子としては、例えば、アルミニウム化合物、カルシウム化合物、カリウム化合物、マグネシウム化合物、ケイ素化合物等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0068】
上記アルミニウム化合物としては、例えば、アルミナ、水酸化アルミニウム等が挙げられ、上記カルシウム化合物としては、例えば、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム等が挙げられ、上記カリウム化合物としては、例えば、炭酸カリウム等が挙げられ、上記マグネシウム化合物としては、例えば、マグネシア、ドロマイト、塩基性炭酸マグネシウム、タルク等が挙げられ、上記ケイ素化合物としては、例えば、シリカ、ゼオライト等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0069】
上記アルミナ粒子は、ふっ酸で溶解除去することができ、炭酸カルシウムは塩酸で溶解除去することができる。また、ナトリウム含有シリカやドロマイトはアルカリ水溶液で溶解除去することができる。
【0070】
上記樹脂粒子としては、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等からなるものが挙げられ、酸、アルカリおよび酸化剤から選ばれる少なくとも1種からなる粗化液に浸漬した場合に、上記耐熱性樹脂マトリックスよりも溶解速度の早いものであれば特に限定されず、具体的には、例えば、アミノ樹脂(メラミン樹脂、尿素樹脂、グアナミン樹脂等)、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、ビスマレイミド−トリアジン樹脂等挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0071】
なお、上記エポキシ樹脂は、酸や酸化剤に溶解するものや、これらに難溶性のものを、オリゴマーの種類や硬化剤を選択することにより任意に製造することができる。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂をアミン系硬化剤で硬化させた樹脂はクロム酸に非常によく溶けるが、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂をイミダゾール硬化剤で硬化させた樹脂は、クロム酸には溶解しにくい。
【0072】
上記樹脂粒子は予め硬化処理されていることが必要である。硬化させておかないと上記樹脂粒子が樹脂マトリックスを溶解させる溶剤に溶解してしまうため、均一に混合されてしまい、酸や酸化剤で樹脂粒子のみを選択的に溶解除去することができないからである。
【0073】
上記金属粒子としては、例えば、金、銀、銅、スズ、亜鉛、ステンレス、アルミニウム、ニッケル、鉄、鉛等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
また、上記金属粒子は、絶縁性を確保するために、表層が樹脂等により被覆されていてもよい。
【0074】
上記ゴム粒子としては、例えば、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ポリクロロプレンゴム、ポリイソプレンゴム、アクリルゴム、多硫系剛性ゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、ABS樹脂等が挙げられる。
【0075】
また、上記ゴム粒子として、例えば、ポリブタジエンゴム、エポキシ変性、ウレタン変性、(メタ)アクリロニトリル変性等の各種変性ポリブタジエンゴム、カルボキシル基を含有した(メタ)アクリロニトリル・ブタジエンゴム等を使用することもできる。これらのゴム粒子を使用することにより、該ゴム粒子が酸あるいは酸化剤に溶解しやすくなる。つまり、酸を用いてゴム粒子を溶解する際には、強酸以外の酸でも溶解することができ、酸化剤を用いてゴム粒子を溶解する際には、比較的酸化力の弱い過マンガン酸でも溶解することができる。また、クロム酸を用いた場合でも、低濃度で溶解することができる。そのため、酸や酸化剤が層間樹脂絶縁層表面に残留することがなく、後述するように、粗化面形成後、塩化パラジウム等の触媒を付与する際に、触媒が付与されなたかったり、触媒が酸化されたりすることがない。これらは、単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0076】
上記可溶性の物質を、2種以上混合して用いる場合、混合する2種の可溶性の物質の組み合わせとしては、樹脂粒子と無機粒子との組み合わせが望ましい。両者とも導電性が低くいため、層間樹脂絶縁層の絶縁性を確保することができるとともに、難溶性樹脂との間で熱膨張の調整が図りやすく、粗化面形成用樹脂組成物からなる層間樹脂絶縁層にクラックが発生せず、層間樹脂絶縁層と導体回路との間で剥離が発生しないからである。
【0077】
上記液相樹脂としては、上記熱硬化性樹脂の未硬化溶液を使用することができ、このような液相樹脂の具体例としては、例えば、未硬化のエポキシオリゴマーとアミン系硬化剤の混合液等が挙げられる。
上記液相ゴムとしては、例えば、上記したポリブタジエンゴム、エポキシ変性、ウレタン変性、(メタ)アクリロニトリル変性等の各種変性ポリブタジエンゴム、カルボキシル基を含有した(メタ)アクリロニトリル・ブタジエンゴム等の未硬化溶液等を使用することができる。
【0078】
上記液相樹脂や液相ゴムを用いて上記感光性樹脂組成物を調製する場合には、耐熱性樹脂マトリックスと可溶性の物質とが均一に相溶しない(つまり相分離するように)ように、これらの物質を選択する必要がある。
上記基準により選択された耐熱性樹脂マトリックスと可溶性の物質とを混合することにより、上記耐熱性樹脂マトリックスの「海」の中に液相樹脂または液相ゴムの「島」が分散している状態、または、液相樹脂または液相ゴムの「海」の中に、耐熱性樹脂マトリックスの「島」が分散している状態の感光性樹脂組成物を調製することができる。
【0079】
そして、このような状態の感光性樹脂組成物を硬化させた後、「海」または「島」の液相樹脂または液相ゴムを除去することにより粗化面を形成することができる。
【0080】
上記粗化液として用いる酸としては、例えば、リン酸、塩酸、硫酸、硝酸や、蟻酸、酢酸等の有機酸等が挙げられるが、これらのなかでは有機酸を用いることが望ましい。粗化処理した場合に、バイアホールから露出する金属導体層を腐食させにくいからである。
上記酸化剤としては、例えば、クロム酸、クロム硫酸、アルカリ性過マンガン酸塩(過マンガン酸カリウム等)の水溶液等を用いることが望ましい。
また、上記アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水溶液が望ましい。
【0081】
上記可溶性の物質の平均粒径は、10μm以下が望ましい。
また、平均粒径が2μm以下の平均粒径の相対的に大きな粗粒子と平均粒径が相対的に小さな微粒子とを組み合わせて使用してもよい。即ち、平均粒径が0.1〜0.5μmの可溶性の物質と平均粒径が1〜2μmの可溶性の物質とを組み合わせる等である。
【0082】
このように、平均粒子が相対的に大きな粗粒子と平均粒径が相対的に小さな微粒子とを組み合わせることにより、無電解めっき膜の溶解残渣をなくし、めっきレジスト下のパラジウム触媒量を少なくし、さらに、浅くて複雑な粗化面を形成することができる。
さらに、複雑な粗化面を形成することにより、粗化面の凹凸が小さくても実用的なピール強度を維持することができる。
上記粗粒子は平均粒径が0.8μmを超え2.0μm未満であり、微粒子は平均粒径が0.1〜0.8μmであることが望ましい。
【0083】
上記粗粒子と微粒子とを組み合わせることにより、浅くて複雑な粗化面を形成することができるのは、使用する粒子径が粗粒子で平均粒径2μm未満であると、これらの粒子が溶解除去されても形成されるアンカーは浅くなり、また、除去される粒子は、相対的に粒子径の大きな粗粒子と相対的に粒子径の小さな微粒子の混合粒子であるから、形成される粗化面が複雑になるのである。このような複雑な粗化面を形成することにより、浅い粗化面でも実用的なピール強度を維持することができる。
【0084】
また、この場合、使用する粒子径が、粗粒子で平均粒径2μm未満であると、粗化が進行しすぎて空隙を発生させることはなく、形成した層間樹脂絶縁層は層間絶縁性に優れている。
なお、上記層間面形成用樹脂組成物において、可溶性の物質の粒径とは、可溶性の物質の一番長い部分の長さである。
【0085】
また、粗粒子は平均粒径が0.8μmを超え、2.0μm未満であり、微粒子は平均粒径が0.1〜0.8μmであると、粗化面の深さは概ねRmax=3μm程度となり、セミアディテイブ法では、無電解めっき膜をエッチング除去しやすいだけではなく、無電解めっき膜下のPd触媒をも簡単に除去することができ、また、実用的なピール強度1.0〜1.3kg/cmを維持することができる。
【0086】
上記可溶性の物質の形状は特に限定されず、球状、破砕状等が挙げられる。また、上記可溶性の物質の形状は、一様な形状であることが望ましい。均一な粗さの凹凸を有する粗化面を形成することができるからである。
【0087】
上記粗化面形成用樹脂組成物は基板上等に塗布することができるように有機溶剤を含有するものであってもよいが、基板上等に圧着することができるようにフィルム状に成形されたもの(以下、粗化面形成用樹脂フィルムともいう)が望ましい。
これは、層間樹脂絶縁層を形成する際に、粗化面形成用樹脂組成物が液状である場合には、混練工程や塗布工程において、温度や湿度等の管理項目が多くなるのに対し、粗化面形成用樹脂フィルムは、取り扱いが容易だからである。
上記粗化面形成用樹脂組成物が有機溶剤を含有する場合、その含有量は、10重量%以下であることが望ましい。
【0088】
上記粗化面形成用樹脂フィルムにおいて、上記可溶性の物質は、上記耐熱性樹脂マトリックス中にほぼ均一に分散されていることが望ましい。均一な粗さの凹凸を有する粗化面を形成することができ、樹脂フィルムにバイアホールやスルーホールを形成しても、その上に形成する導体回路の金属層の密着性を確保することができるからである。また、上記粗化面形成用樹脂フィルムは、粗化面を形成する表層部だけに可溶性の物質を含有するよう形成されていてもよい。それによって、粗化面形成用樹脂フィルムの表層部以外は酸または酸化剤にさらされることがないため、層間樹脂絶縁層を介した導体回路間の絶縁性が確実に保たれる。
【0089】
上記粗化面形成用樹脂フィルムにおいて、難溶性樹脂中に分散している可溶性の物質の配合量は、粗化面形成用樹脂フィルムに対して、3〜40重量%が望ましい。可溶性の物質の配合量が3重量%未満では、所望の凹凸を有する粗化面を形成することができない場合があり、40重量%を超えると、酸または酸化剤を用いて可溶性の物質を溶解した際に、樹脂フィルムの深部まで溶解してしまい、樹脂フィルムからなる層間樹脂絶縁層を介した導体回路間の絶縁性を維持できず、短絡の原因となる場合がある。
【0090】
上記粗化面形成用樹脂フィルムは、上記可溶性の物質、上記耐熱性樹脂マトリックス以外に、硬化剤、その他の成分等を含有していることが望ましい。
上記硬化剤としては、例えば、イミダゾール系硬化剤、アミン系硬化剤、グアニジン系硬化剤、これらの硬化剤のエポキシアダクトやこれらの硬化剤をマイクロカプセル化したもの、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスフォニウム・テトラフェニルボレート等の有機ホスフィン系化合物等が挙げられる。
【0091】
上記硬化剤の含有量は、粗化面形成用樹脂フィルムに対して0.05〜10重量%であることが望ましい。0.05重量%未満では、粗化面形成用樹脂フィルムの硬化が不充分であるため、酸や酸化剤が粗化面形成用樹脂フィルムに侵入する度合いが大きくなり、粗化面形成用樹脂フィルムの絶縁性が損なわれることがある。一方、10重量%を超えると、過剰な硬化剤成分が樹脂の組成を変性させることがあり、信頼性の低下を招いたりしてしまうことがある。
【0092】
上記その他の成分としては、例えば、粗化面の形成に影響しない無機化合物あるいは樹脂等のフィラーが挙げられる。上記無機化合物としては、例えば、シリカ、アルミナ、ドロマイト等が挙げられ、上記樹脂としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリフェニレン樹脂、メラニン樹脂、オレフィン系樹脂等が挙げられる。これらのフィラーを含有させることによって、熱膨脹係数の整合や耐熱性、耐薬品性の向上等を図りプリント配線板の性能を向上させることができる。
【0093】
また、上記粗化面形成用樹脂フィルムは、溶剤を含有していてもよい。上記溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテートやトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0094】
また、上記層間樹脂絶縁層の厚さは特に限定されないが、5〜50μmであることが望ましい。
上記厚さが5μm未満であると、上下に隣合う導体回路間の絶縁性が維持できない場合があり、一方、50μmを超えると、非貫通孔等を形成した際に、その底部に樹脂残りが発生したり、その非貫通孔等の形状が底部に向かって先細り形状になることがある。
このような本発明の多層プリント配線板は、例えば、後述する本発明の多層プリント配線板の製造方法により製造することができる。
【0095】
次に、本発明の多層プリント配線板の製造方法について、説明する。
本発明の多層プリント配線板の製造方法は、少なくとも下記(A)〜(I)の工程を含むことを特徴とする。
(A)その両面に下層導体回路と下層層間樹脂絶縁層とが形成された基板に、貫通孔を形成する貫通孔形成工程、
(B)上記貫通孔の壁面と、上記下層層間樹脂絶縁層の表面の一部とに導体層を形成する導体層形成工程、
(C)その壁面に導体層を形成した上記貫通孔内に、エポキシ樹脂と硬化剤と無機粒子とを含み、硬化後の上記無機粒子の含有比率が10〜50重量%である貫通孔充填用樹脂組成物を充填する樹脂充填工程、
(D)上記貫通孔充填用樹脂組成物を乾燥する乾燥工程、
(E)上記貫通孔から露出した上記貫通孔充填用樹脂組成物の表面に、研磨処理を施す研磨工程、
(F)上記貫通孔充填用樹脂組成物を硬化し、その内部に樹脂充填材層が形成されたスルーホールを形成するスルーホール形成工程、
(G)上記樹脂充填材層の表層部を覆う導体層を導体回路の一部として形成する蓋めっき層形成工程、
(H)その表面に導体層を形成した下層層間樹脂絶縁層上に、バイアホール用開口を有する上層層間樹脂絶縁層を積層形成する上層層間樹脂絶縁層形成工程、および、
(I)上記バイアホール用開口内に導体層を形成するバイアホール形成工程。
【0096】
本発明の多層プリント配線板の製造方法では、無機粒子を含む貫通孔充填用樹脂組成物を貫通孔内に充填した後、該貫通孔から露出した貫通孔充填用樹脂組成物の表面に研磨処理を施すため、その表層部が平坦なスルーホールを形成することができる。そのため、さらに層間樹脂絶縁層を積層形成した場合に、形成される層間樹脂絶縁層にうねり等が発生することがなく、信頼性に優れた多層プリント配線板を製造することができる。
また、上記製造方法では、貫通孔充填用樹脂組成物の無機粒子の含有比率が、上記範囲にあるため、貫通孔から露出した貫通孔充填用樹脂組成物の表面を容易に平坦化することができる。この理由を以下に説明する。
【0097】
従来、貫通孔充填用樹脂組成物としては、例えば、無機粒子の含有比率が50重量%を超えるものを使用していたが、このような無機粒子の含有比率が多い貫通孔充填用樹脂組成物では、その貫通孔から露出した表面を平坦化するために、先ず、硬い被研磨物を研磨の対象とするベルトサンダー研磨等により粗い研磨処理を施し、その後、バフ研磨等の細かい砥粒を用いた研磨処理を施すなど、複数の研磨工程の施す必要があった。ここで、ベルトサンダー研磨処理等では、無機粒子が脱落したり、貫通孔充填用樹脂組成物や層間樹脂絶縁層にクラックが発生し、欠陥に繋がることがあった。
【0098】
これに対し、本発明の製造方法で用いる貫通孔充填用樹脂組成物は、硬化後の含有比率が10〜50重量%の無機粒子を含有しているため、バフ研磨等の細かい砥粒を用いた研磨処理のみで、貫通孔から露出した貫通孔充填用樹脂組成物の表面を平坦化することができる。これは、無機粒子の含有比率が小さいため、露出部に存在する無機粒子の絶対量が少なくなるからである。
また、バフ研磨等の細かい研磨処理のみで平坦化を行った場合には、無機粒子が脱落したり、貫通孔充填用樹脂組成物にクラックが発生したりしにくい。
【0099】
また、本発明の製造方法では、樹脂充填材層を形成した後、該樹脂充填材層を覆う導体層(蓋めっき層)を形成するが、この樹脂充填材層は上述したように10〜50重量%の無機粒子を含有しているため、蓋めっき層を形成するのに適している。
これは、上記樹脂充填材層の無機粒子の含有比率が少ないため、該樹脂充填材層の表層部に存在する無機粒子の絶対量が少ないからである。
無機粒子の表面には、Pd等の無電解めっき用の触媒が付きにくく、無機粒子が被めっき部位に多量に存在する場合には、均一な無電解めっき層を形成することが困難である。
また、無電解めっき液の無機粒子に対するぬれは、無電解めっき液の樹脂に対するぬれに比べて悪く、無機粒子が被めっき部位に多量に存在する場合には、均一な無電解めっき層を形成することができない。
しかしながら、本発明の製造方法で形成する樹脂充填材層は、その表層部に存在する無機粒子の絶対量が少ないため、良好に無電解めっき膜を形成することができる。
【0100】
また、上記製造方法では、樹脂充填材層の表層部を覆う導体層を導体回路の一部として形成し、この導体層上にバイアホールが形成するため、多層プリント配線板内の配線長が短く、ICチップの高速化に対応した多層プリント配線板を製造することができる。
さらに、本発明の製造方法により得られた多層プリント配線板は、ヒートサイクル条件下においても、樹脂充填材層にクラックが発生しにくく、樹脂充填材層と蓋めっき層との間での剥離も発生しにくいため、接続信頼性に優れる。
【0101】
ここでは、まず、上記多層プリント配線板の製造方法の(A)〜(I)の工程について説明することとし、この(A)〜(I)の工程を含む全製造工程については、後に詳述する。
本発明の多層プリント配線板の製造方法の上記(A)の工程(貫通孔形成工程)においては、その両面に下層導体回路と下層層間樹脂絶縁層とが一層ずつ形成された基板に、貫通孔を形成する。
なお、本明細書においては、必要に応じて、基板の直上に形成する導体回路と層間樹脂絶縁層とをそれぞれ下層導体回路および下層層間樹脂絶縁層といい、この下層導体回路および下層層間樹脂絶縁層の上にさらに積層する導体回路と層間樹脂絶縁層とをそれぞれ上層導体回路および上層層間樹脂絶縁層ということにより区別することとする。
【0102】
貫通孔は、ドリル加工やレーザ処理等により形成することができる。なお、基板の材質が、ガラスエポキシ樹脂等の補強材を有するものである場合には、ドリル加工により貫通孔を形成することが望ましい。
また、上記貫通孔の径は特に限定されず、多層プリント配線板の配線密度等を考慮して適宜選択すればよいが、高密度配線基板では、通常、100〜400μm程度である。
【0103】
また、貫通孔形成後、該貫通孔の壁面にデスミア処理を施してもよい。
デスミア処理を施すことにより、後工程で形成する導体層との密着性が向上するからである。
上記デスミア処理は、例えば、クロム酸、過マンガン酸塩等の水溶液からなる酸化剤を使用して行うことができる。また、酸素プラズマ、CF4 と酸素との混合プラズマ、コロナ放電等により処理してもよい。
なお、その両面に導体回路と層間樹脂絶縁層とが一層ずつ形成された基板を作製する方法については、後述する。
【0104】
上記(B)の工程(導体層形成工程)においては、基板に貫通孔を形成した後、上記貫通孔の壁面と、上記下層層間樹脂絶縁層の表面の一部とに導体層を形成する。
この工程で、貫通孔の壁面に形成した導体層はスルーホールを構成することとなり、下層層間樹脂絶縁層の表面の一部に形成した導体層は上層導体回路となる。また、予め、下層層間樹脂絶縁層にバイアホール用開口を形成しておき、この工程で導体層を形成する際に、バイアホール用開口内にも導体層を形成し、バイアホールとしてもよい。バイアホールを形成することにより、下層層間樹脂絶縁層を挟む下層導体回路と上層導体回路とを電気的に接続することができる。
【0105】
上記導体層は、例えば、無電解めっき処理により形成することができる。
また、無電解めっき処理に代えて、スパッタリング処理により導体層を形成してもよく、両者を併用して複数層からなる導体層としてもよい。
さらに、無電解めっき層の上に、電解めっき層を積層することにより無電解めっき層と電解めっき層とからなる導体層を形成してもよい。
【0106】
これらのなかでは、無電解めっき層と電解めっき層とからなる導体層が望ましく、特に、下層層間樹脂絶縁層の表面の一部に形成される導体層(上層導体回路)は、以下の理由により、このような構成であることが望ましい。
下層に無電解めっき層を形成することにより、層間樹脂絶縁層表面に対する追従性に優れた導体層を形成することができ、特に、層間樹脂絶縁層の表面に粗化面が形成されている場合に、該粗化面に対する追従性および密着性に優れる導体層を形成することができる。また、この無電解めっき層上に電解めっき層を形成した場合には、該電解めっき層は無電解めっき層に比べて柔らかく、展性に富むため、ヒートサイクル時に基板に反りが発生したとしても、層間樹脂絶縁層の寸法変化に追従することができる。従って、無電解めっき層と電解めっき層とからなる導体回路が形成することにより、接続信頼性に優れた多層プリント配線板を製造することができる。
また、無電解めっき処理を行う場合には、予め、被めっき部分に触媒を付与しておく。該触媒としては、例えば、パラジウム等が挙げられる。
【0107】
この工程で形成する導体層のうち、貫通孔の壁面に形成する導体層は、スルーホールを構成するため、上記壁面の全体に均一に形成すればよいが、下層層間樹脂絶縁層の表面の一部に形成する導体層は、上層導体回路となるため、配線パターンに応じて形成しなければならない。
なお、下層層間樹脂絶縁層の表面に配線パターンに応じた導体層を形成する方法については、後述する。
【0108】
また、導体層を形成した後には、該導体層の表面の少なくとも一部に、粗化面を形成することが望ましい。樹脂充填材層や上層層間樹脂絶縁層との密着性を向上させることができるからである。
上記粗化面を形成する方法としては、例えば、黒化(酸化)−還元処理、エッチング処理、Cu−Ni−P針状合金めっきによる処理などが挙げられる。
【0109】
上記黒化(酸化)−還元処理の具体的な方法としては、NaOH(10〜20g/l)、NaClO2 (40〜50g/l)、Na3 PO4 (6〜15g/l)を含む水溶液を黒化浴(酸化浴)とする黒化処理、および、NaOH(2.7〜10g/l)、NaBH4 (1.0〜6.0g/l)を含む水溶液を還元浴とする還元処理を行う方法等が挙げられる。
【0110】
上記エッチング処理に用いるエッチング液としては、有機酸と第二銅錯体との混合溶液が望ましい。
上記有機酸と第二銅錯体との混合溶液をエッチング液として用いる場合、該エッチング液と銅等からなる導体層との酸素共存下における反応、即ち、下記反応式(3)および(4)に示す反応が進行して、導体層がエッチングされる。
【0111】
【化3】
Figure 0004535598
【0112】
なお、上記反応式(3)および(4)は、導体層の材質が銅の場合に進行する反応式である。
【0113】
上記有機酸は、酸化銅を溶解させるために配合させるものであり、具体例としては、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、アクリル酸、クロトン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、マレイン酸、安息香酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、スルファミン酸等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。上記エッチング液において、上記有機酸の含有量は、0.1〜30重量%が望ましい。酸化された銅の溶解性を維持し、かつ、触媒安定性を確保することができるからである。
なお、発生した第一銅錯体は、酸の作用により溶解し、酸素と結合して第二銅錯体となって、再び銅の酸化に寄与する。
また、上記有機酸に加えて、ホウフッ酸、塩酸、硫酸等の無機酸を添加してもよい。
【0114】
上記第二銅錯体としては、アゾール類の第二銅錯体が望ましい。このアゾール類の第二銅錯体は、金属銅等を酸化する酸化剤として作用する。アゾール類としては、例えば、ジアゾール、トリアゾール、テトラゾール等が挙げられる。これらのなかでも、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾールが望ましい。上記エッチング液において、上記第二銅錯体の含有量は、1〜15重量%が望ましい。溶解性および安定性に優れ、また、触媒核を構成するPd等の貴金属をも溶解させることができるからである。
【0115】
この有機酸と第二銅錯体との混合溶液からなるエッチング液は、銅の溶解やアゾール類の酸化作用を補助するために、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン等を含んでいてもよい。上記ハロゲンイオンは、塩酸や塩化ナトリウム等を混合溶液に添加することにより供給することができる。
なお、供給されるハロゲンイオンの量は、0.01〜20重量%であることが望ましい。
この範囲のハロゲンイオンを含んでいるエッチング液により形成された粗化面は、樹脂充填材層や上層層間樹脂絶縁層との密着性に優れているからである。
なお、上記有機酸と第二銅錯体との混合溶液は、アゾール類の第二銅錯体、有機酸、および、必要によりハロゲンイオンを水に溶解して調製する。
【0116】
上記めっき処理としては、例えば、硫酸銅(1〜40g/l)、硫酸ニッケル(0.1〜6.0g/l)、クエン酸(10〜20g/l)、次亜リン酸ナトリウム(10〜100g/l)、ホウ酸(10〜40g/l)および界面活性剤(日信化学工業社製、サーフィノール465)(0.01〜10g/l)を含むpH=9の無電解めっき浴にて無電解めっきを施し、Cu−Ni−P合金からなる粗化層を形成する方法等が挙げられる。
この範囲で析出するめっき被膜の結晶構造は、針状構造となるため、アンカー効果に優れるからである。上記無電解めっき浴には、上記化合物に加えて錯化剤や添加剤を加えてもよい。
【0117】
さらに、上記(C)の工程(樹脂充填工程)においては、その壁面に導体層を形成した上記貫通孔内に、エポキシ樹脂と硬化剤と無機粒子とを含み、硬化後の上記無機粒子の含有比率が10〜50重量%である貫通孔充填用樹脂組成物を充填する。
上記貫通孔充填用樹脂組成物に含まれるエポキシ樹脂、硬化剤および無機粒子の具体例としては、本発明の多層プリント配線板の樹脂充填材に含まれるものと同様のもの等が挙げられる。
【0118】
また、上記貫通孔充填用樹脂組成物は、上記したエポキシ樹脂以外に、他の熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂等が含まれていてもよい。上記他の熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂の具体例としては、本発明の多層プリント配線板の樹脂充填材に含まれるものと同様のもの等が挙げられる。
また、これらの熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂をエポキシ樹脂の代わりに用いることもできる。
【0119】
また、上記貫通孔充填用樹脂組成物は、NMP(ノルマルメチルピロリドン)、DMDG(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、グリセリン、水、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、メチルセルソルブ、メチルセルソルブアセテート、メタノール、エタノール、ブタノール、プロパノール等の溶剤を含んでいてもよいが、溶剤を含まないものが望ましい。
上記貫通孔充填用樹脂組成物が溶剤を含んでいる場合、後の乾燥工程で、この溶剤を除去しなければならないが、溶剤を完全に除去することは難しく、貫通孔充填用樹脂組成物内に溶剤が残留したまま、硬化処理を行うと、硬化時の熱処理や後工程での熱処理によって、溶剤が揮発し、これが、樹脂充填材層にクラックが発生したり、樹脂充填材層と該樹脂充填材層を覆う導体層(蓋めっき層)等との間で剥離発生したりする原因になることがある。
【0120】
また、上記貫通孔充填用樹脂組成物は、硬化後の含有比率が10〜50重量%となるように無機粒子を含有しているため、貫通孔内に充填するのに適した粘度を有している。
即ち、無機粒子の含有比率が10重量%未満では、貫通孔充填用樹脂組成物の粘度が低く、貫通孔の一端から充填した貫通孔充填用樹脂組成物が、貫通孔の他端から流出してしまうことがある。
なお、上記含有比率が50重量%を超える場合には、貫通孔充填用樹脂組成物を充填する際に、粘度に起因した問題は発生しにくいが、上述したように研磨時に不都合が発生したり、後述するように無電解めっき時に不都合が発生したりする。
【0121】
上記貫通孔充填用樹脂組成物を貫通孔内に充填する方法としては、例えば、貫通孔に相当する部分に開口を有するマスクを、下層導体回路と下層層間樹脂絶縁層とが形成された基板上に載置し、スキージを用いて充填する方法や、下層導体回路と下層層間樹脂絶縁層とが形成された基板上に印刷機を用いて貫通孔充填用樹脂組成物を塗布することにより、該貫通孔充填用樹脂組成物を貫通孔内充填する方法等を用いることができる。
なお、上記(B)の工程で、バイアホールを形成した場合には、この工程で、バイアホール内に貫通孔充填用樹脂組成物を充填してもよい。
【0122】
さらに、上記(D)の工程(乾燥工程)においては、充填した貫通孔充填用樹脂組成物を乾燥する。
具体的な乾燥条件は特に限定されず、貫通孔充填用樹脂組成物の組成等を考慮して適宜選択すればよいが、通常、50〜180℃で、20〜90分程度行う。
【0123】
さらに、上記(E)工程(研磨工程)においては、上記貫通孔から露出した上記貫通孔充填用樹脂組成物の表面に、研磨処理を施す。
上記研磨工程は、少なくとも一回のバフ研磨処理であることが望ましい。
上述したように、バフ研磨処理では、無機粒子が脱落したり、貫通孔充填用樹脂組成物にクラックが発生したりすることがほとんどないからである。
なお、研磨処理は、上記貫通孔充填用樹脂組成物を半硬化させた後に行ってもよい。
【0124】
さらに,上記(F)の工程(スルーホール形成工程)においては、貫通孔充填用樹脂組成物を硬化し、その内部に樹脂充填材層が形成されたスルーホールを形成する。
上記貫通孔充填用樹脂組成物の硬化条件は特に限定されず、貫通孔充填用樹脂組成物の組成等を考慮して適宜選択すればよいが、通常、50〜180℃で、20〜90分間程度行う。
また、ここで行う硬化処理は、必要に応じて、順次低い温度から高い温度へと温度を変化させて硬化させるステップ硬化であってもよい。
【0125】
さらに、上記(G)の工程(蓋めっき層形成工程)においては、樹脂充填材層を覆う導体層(蓋めっき層)を導体回路の一部として形成する。
また、本発明の多層プリント配線板の製造方法は、上記研磨工程を経ることにより、貫通孔から露出した表面が平坦な樹脂充填材層を容易に形成することができるため、蓋めっき層を形成するのに適している。
【0126】
また、蓋めっき層は、無電解めっきを用いて形成することが望ましい。本発明の製造方法で形成する樹脂充填材層は、無機粒子の含有比率が10〜50重量%であるため、上述したように、無電解めっきを用いて蓋めっき層を形成するのに適しているからである。また、無電解めっき処理の後、電解めっきを施し、蓋めっき層の厚さを調整してもよい。
また、蓋めっき層を形成した後、該蓋めっき層の表面に粗化面を形成してもよい。上記粗化面を形成する方法としては、例えば、上記導体層形成工程で用いた方法と同様の方法等を用いることができる。
【0127】
さらに、上記(H)の工程(上層層間樹脂絶縁層形成工程)においては、上記下層層間樹脂絶縁層上に、バイアホール用開口を有する上層層間樹脂絶縁層を積層形成する。
具体的には、例えば、以下の方法を用いることにより上層層間樹脂絶縁層を形成することができる。
即ち、まず、その表面の一部に導体層が形成された下層層間樹脂絶縁層上に熱硬化性樹脂や樹脂複合体からなる未硬化の樹脂絶縁層を形成するか、または、熱可塑性樹脂からなる樹脂層を形成する。
上記未硬化の樹脂絶縁層は、例えば、未硬化の樹脂をロールコーター、カーテンコーター等により塗布したり、未硬化(半硬化)の樹脂フィルムを熱圧着したりすることにより形成する。
また、熱可塑性樹脂からなる樹脂層は、例えば、フィルム状に成形した樹脂成形体を熱圧着することにより形成する。
【0128】
上記未硬化の樹脂を塗布することにより上層層間樹脂絶縁層を形成する場合には、樹脂を塗布した後、加熱処理を施す。
上記加熱処理を施すことにより、未硬化の樹脂を熱硬化(半硬化)させることができる。なお、上記熱硬化は、場合によっては、バイアホール用開口を形成した後に行ってもよい。
【0129】
また、上記樹脂フィルムを張り付けることにより上層層間樹脂絶縁層を形成する場合、該上層層間樹脂絶縁層の形成は、例えば、真空ラミネーター等の装置を用い、減圧下または真空下で樹脂フィルムを圧着し、その後、樹脂フィルムを熱硬化することにより行う。なお、樹脂フィルムを圧着した後、熱硬化する方法に代えて、上記樹脂フィルムの圧着を加熱しながら行ってもよい。
また、上記熱硬化は、場合によっては、バイアホール用開口を形成した後に行ってもよい。
【0130】
また、フィルム状に成形した熱可塑性樹脂を熱圧着することにより上層層間樹脂絶縁層を形成する場合は、例えば、真空ラミネーター等の装置を用い、減圧下または真空下でフィルム状に成形した熱可塑性樹脂を圧着する。
【0131】
また、その材料として熱硬化性樹脂や樹脂複合体を用いた上層層間樹脂絶縁層を形成する場合には、未硬化の樹脂絶縁層に硬化処理を施すとともに、バイアホール用開口を形成し、上層層間樹脂絶縁層とする。
上記バイアホール用開口は、レーザ処理により形成することが望ましい。上記レーザ処理は、上記硬化処理前に行ってもよいし、硬化処理後に行ってもよい。
また、感光性樹脂からなる上層層間樹脂絶縁層を形成した場合には、露光、現像処理を行うことにより、バイアホール用開口を設けてもよい。なお、この場合、露光、現像処理は、上記硬化処理前に行う。
【0132】
また、その材料として熱可塑性樹脂を用いた上層層間樹脂絶縁層を形成する場合には、熱可塑性樹脂からなる樹脂層にレーザ処理によりバイアホール用開口を形成し、上層層間樹脂絶縁層とすることができる。
【0133】
このとき、使用するレーザとしては、例えば、炭酸ガスレーザ、エキシマレーザ、UVレーザ、YAGレーザ等が挙げられる。
これらのレーザは、形成するバイアホール用開口の形状等を考慮して使い分けてもよい。
【0134】
上記バイアホール用開口を形成する場合、マスクを介して、ホログラム方式のエキシマレーザによるレーザ光照射することにより、一度に多数のバイアホール用開口を形成することができる。
また、短パルスの炭酸ガスレーザを用いて、バイアホール用開口を形成すると、開口内の樹脂残りが少なく、開口周縁の樹脂に対するダメージが小さい。
【0135】
また、光学系レンズとマスクとを介してレーザ光を照射することにより、一度に多数のバイアホール用開口を形成することができる。
光学系レンズとマスクとを介することにより、同一強度で、かつ、照射角度が同一のレーザ光を複数の部分に同時に照射することができるからである。
【0136】
上記マスクに形成された貫通孔は、レーザ光のスポット形状を真円にするために、真円であることが望ましく、上記貫通孔の径は、0.1〜2mm程度が望ましい。
また、上記炭酸ガスレーザを用いる場合、そのパルス間隔は、10-4〜10-8秒であることが望ましい。また、開口を形成するためのレーザを照射する時間は、10〜500μ秒であることが望ましい。
【0137】
レーザ光にてバイアホール用開口を形成した場合、特に炭酸ガスレーザを用いた場合には、デスミア処理を行うことが望ましい。上記デスミア処理は、クロム酸、過マンガン酸塩等の水溶液からなる酸化剤を使用して行うことができる。また、酸素プラズマ、CF4 と酸素の混合プラズマやコロナ放電等で処理してもよい。また、低圧水銀ランプを用いて紫外線を照射することにより、表面改質することもできる。
【0138】
また、上記上層層間樹脂絶縁層の厚さは特に限定されないが、5〜50μmが望ましい。
また、上記バイアホール用開口の開口径は特に限定されないが、通常、40〜200μmが望ましい。
【0139】
上記工程を経て、バイアホール用開口を有する上層層間樹脂絶縁層を形成した後には、バイアホール用開口の内壁を含む上層層間樹脂絶縁層の表面に、酸または酸化剤を用いて粗化面を形成してもよい。
上記酸としては、硫酸、硝酸、塩酸、リン酸、蟻酸等が挙げられ、上記酸化剤としては、クロム酸、クロム硫酸、過マンガン酸ナトリウム等の過マンガン酸塩等が挙げられる。
また、上記粗化面の形成は、プラズマ処理等を用いて行ってもよい。
【0140】
具体的には、上層層間樹脂絶縁層を粗化面形成用樹脂組成物等を用いて形成した場合には、酸や酸化剤を用いて粗化面を形成することが望ましく、ポリオレフィン系樹脂等を用いて形成した場合には、プラズマ処理等を用いて粗化面を形成することが望ましい。
なお、酸を用いて粗化面を形成した場合はアルカリ等の水溶液を用い、酸化剤を用いて粗化面を形成した場合は中和液を用いて、バイアホール用開口内を中和する。この操作により酸や酸化剤を除去し、次工程に影響を与えないようにする。
【0141】
さらに、上記(I)の工程(バイアホール形成工程)においては、上記バイアホール用開口内に導体層を形成する。
上記導体層は、上記(B)の工程(導体層形成工程)で用いた方法と同様の方法、即ち、無電解めっき処理や電解めっき処理、スパッタリング等を用いて形成することができる。
また、この工程では、バイアホール用開口内に導体層を形成する際に、同時に、上記上層層間樹脂絶縁層上の一部に上層導体回路となる導体層を形成してもよい。なお、この上層導体回路の形成は、後述する第一または第二の上層導体回路形成方法と同様の方法等を用いて行うことができる。
【0142】
このような(A)〜(I)の工程を経ることにより、導体層(スルーホール用導体層)との密着性に優れ、層間樹脂絶縁層や基板との間で熱膨張係数の整合がはかられた樹脂充填材層を有するスルーホールと、樹脂充填材層との密着性に優れ、その表面が平坦な蓋めっき層とを形成することができ、該蓋めっき層を形成することにより、スルーホールの直上にバイアホールを形成することができる。
【0143】
次に、本発明の多層プリント配線板の製造方法の全製造工程について、工程順に説明する。
(1)本発明の第一の多層プリント配線板の製造方法においては、まず、基板上に下層導体回路を形成する。
具体的には、例えば、基板の両面に無電解めっき処理等を施すことによりベタの導体層を形成した後、該導体層上に導体回路パターンに対応したエッチングレジストを形成し、その後、エッチングを行うことにより形成すればよい。
なお、無電解めっき処理を施した後、電解めっきを施すことにより導体層の厚さを厚くしてもよい。
また、銅張積層板やRCC基板等を、ベタの導体層が形成された基板として用いてもよい。
【0144】
また、上記した方法に代えて、例えば、以下のような方法を用いてもよい。
即ち、まず、無電解めっき処理やスパッタリング処理等により、基板の表面に薄い導体層を形成する。次に、薄い導体層上の導体回路非形成部分にめっきレジストを形成し、めっきレジスト非形成部分に、薄い導体層をめっきリードとして電気めっき層を形成する。さらに、めっきレジスト剥離し、該めっきレジスト下に存在していた薄膜導体層をエッチング除去することにより基板上に下層導体回路を形成することができる。
【0145】
(2)次に、必要に応じて、下層導体回路の表面の粗化処理を行う。粗化処理方法としては、例えば、上記した黒化(酸化)−還元処理、エッチング処理、Cu−Ni−P針状合金めっきによる処理等を用いることができる。
【0146】
(3)次に、下層導体回路上に熱硬化性樹脂や樹脂複合体からなる未硬化の樹脂絶縁層を形成するか、または、熱可塑性樹脂からなる樹脂層を形成する。
上記未硬化の樹脂絶縁層や上記熱可塑性樹脂からなる樹脂層は、例えば、上述した上層層間樹脂絶縁層形成工程で用いた方法と同様の方法等を用いて形成する。なお、未硬化の樹脂層を形成する場合には、その片面に銅箔等の金属層が形成された樹脂フィルムを貼付してもよい。
【0147】
(4)次に、その材料として熱硬化性樹脂や樹脂複合体を用いた下層層間樹脂絶縁層を形成する場合には、未硬化の樹脂絶縁層に硬化処理を施すとともに、バイアホール用開口を形成し、下層層間樹脂絶縁層とする。
また、その材料として熱可塑性樹脂を用いた下層層間樹脂絶縁層を形成する場合には、熱可塑性樹脂からなる樹脂層にバイアホール用開口を形成し、下層層間樹脂絶縁層とする。
なお、バイアホール用開口の形成は、上記上層層間樹脂絶縁層形成工程で用いた方法と同様の方法、即ち、レーザ処理や露光現像処理等により行えばよい。
【0148】
上記下層層間樹脂絶縁層の厚さは特に限定されないが、通常、5〜50μmが望ましい。
また、上記バイアホール用開口の開口径は特に限定されないが、通常、40〜200μmが望ましい。
【0149】
(5)次に、バイアホール用開口の内壁を含む下層層間樹脂絶縁層の表面に、必要に応じて、酸または酸化剤を用いて粗化面を形成する。
また、上記粗化面の形成は、プラズマ処理等を用いて行ってもよい。
【0150】
この粗化面は、下層層間樹脂絶縁層とその上に形成する無電解めっき膜との密着性を高めるために形成するものであり、上記下層層間樹脂絶縁層と上記無電解めっき膜との間に充分な密着性がある場合には形成しなくてもよい。
【0151】
その後、酸を用いて粗化面を形成した場合はアルカリ等の水溶液を用い、酸化剤を用いて粗化面を形成した場合は中和液を用いて、バイアホール用開口内を中和する。この操作により酸や酸化剤を除去し、次工程に影響を与えないようにする。
このような(1)〜(5)の工程を経ることにより、その両面に下層導体回路と下層層間樹脂絶縁層とが形成された基板を作製することができる。
【0152】
(6)次に、上記(A)の工程(貫通孔形成工程)で説明したように、基板に貫通孔を形成する。なお、この貫通孔形成工程は、上記(4)の工程を行った後に行い、上記(5)の工程で粗化面を形成する際に、同時に貫通孔の壁面に粗化面を形成してもよい。
(7)次に、上記(B)の工程(導体層形成工程)で説明したように、上記貫通孔の壁面と上記下層層間樹脂絶縁層の表面の一部とに導体層を形成する。
ここでは、上述したように、スルーホールを構成する導体層の形成と、上層導体回路(バイアホールを含む)の配線パターンに応じた導体層の形成とを行う。
そこで、配線パターンに応じた導体層の形成方法について、具体的に説明する。
【0153】
なお、上述したように、導体層の形成を無電解めっき処理により行う場合は、パラジウム等の触媒を予め付与しておく必要があるが、このとき、触媒を確実に付与するため、触媒付与前に、酸素、窒素等のプラズマ処理やコロナ処理等のドライ処理を施すことにより、酸または酸化剤の残渣を除去するとともに下層層間樹脂絶縁層の表面を改質することにより、触媒を確実に付与し、無電解めっき時の金属の析出、および、無電解めっき層の下層層間樹脂絶縁層への密着性を向上させることができ、特に、バイアホール用開口の底面において、大きな効果が得られる。
【0154】
まず、貫通孔の壁面に無電解めっき等により導体層(薄膜導体層)を形成する際に、同時に、下層層間樹脂絶縁層の表面(バイアホール用開口の内壁面を含む)全体に薄膜導体層を形成する。
次に、上記薄膜導体層上の上層導体回路非形成部分にめっきレジストを形成する。該めっきレジストは、例えば、感光性ドライフィルム等を張り付け、露光現像処理を施すことにより形成することができる。
【0155】
次に、上記薄膜導体層をめっきリードとして電気めっきを行い、上記めっきレジスト非形成部に電気めっき層を形成する。
【0156】
さらに、電気めっき層を形成した後、めっきレジストを剥離し、めっきレジスト下に存在していた薄膜導体層をエッチングにより除去する。
ここでは、エッチング液として、例えば、硫酸−過酸化水素水溶液、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩水溶液、塩化第二鉄、塩化第二銅の水溶液、塩酸、硝酸、熱希硫酸等が挙げられる。また、第二銅錯体と有機酸とを含有するエッチング液を用いることもできる。
【0157】
このような方法(第一の上層導体回路形成方法)を用いることより、下層層間樹脂絶縁層上に上層導体回路を形成することができ、また、同時に下層層間樹脂絶縁層を挟んだ上下の導体回路間(即ち、下層導体回路と上層導体回路との間)を電気的に接続するバイアホールを形成することもできる。
なお、バイアホール用開口を電気めっきで充填してフィールドビア構造としてもよく、また、電気めっき終了後、バイアホール用開口に導電性ペースト等を充填し、その上に蓋めっき層を形成してフィールドビア構造としてもよい。
【0158】
また、上記した第一の上層導体回路形成方法に代えて、以下のような方法(第二の上層導体回路形成方法)を用いることにより上層導体回路を形成することもできる。
即ち、まず、第一の上層導体回路形成方法と同様に、貫通孔の壁面と下層層間樹脂絶縁層の表面全体とに薄膜導体層を形成する。
【0159】
次に、上記薄膜導体層をめっきリードとして電気めっきを行い、上記薄膜導体層の表面全体に電気めっき層を形成する。
さらに、上記電気めっき層上の上層導体回路形成部分にエッチングレジストを形成する。該エッチングレジストは、例えば、感光性ドライフィルム等を張り付け、露光現像処理を施すことにより形成することができる。
さらに、エッチングレジスト非形成部分下に存在するの電気めっき層と薄膜導体層とをエッチングにより除去する。
なお、エッチング液として第一の上層導体回路形成方法で使用したものと同様のものを用いることができる。
【0160】
このような第二の上層導体回路形成方法を用いることよっても、下層層間樹脂絶縁層上に上層導体回路を形成することができる。
なお、第二の上層導体回路形成方法においても、電気めっきを行う際に、バイアホール用開口を充填してフィールドビア構造としてもよく、また、電気めっき終了後、バイアホール用開口に導電性ペースト等を充填し、その上に蓋めっき層を形成してフィールドビア構造としてもよい。
【0161】
(8)次に、上記(C)の工程(樹脂充填工程)で説明したように、貫通孔内に、貫通孔充填用樹脂組成物を充填する。
なお、この工程では、貫通孔内に樹脂充填材を充填するとともに、バイアホール内や上層導体回路間に、上記貫通孔充填用樹脂組成物を充填してもよい。
バイアホール内等にも貫通孔充填用樹脂組成物を充填し、後述する研磨処理を施すことにより、該貫通孔充填用樹脂組成物からなる層の表層部と上層導体回路の表面とを平坦化することができるため、後工程で、上層層間樹脂絶縁層を積層形成した際に、該上層層間樹脂絶縁層にうねり等がより発生しにくくなる。
【0162】
(9)次に、上記(D)の工程(乾燥工程)〜(F)の工程(スルーホール形成工程)で説明したように、貫通孔内に充填した貫通孔充填用樹脂組成物に、乾燥、研磨、および、硬化の処理を施しスルーホールを形成する。
【0163】
(10)次に、上記(G)の工程(蓋めっき層形成工程)で説明したように、樹脂充填材層を覆う導体層(蓋めっき層)を導体回路の一部として形成する。
(11)さらに、上記(H)の工程(上層層間樹脂絶縁層形成工程)で説明したように、上記下層層間樹脂絶縁層上に、バイアホール用開口を有する上層層間樹脂絶縁層を積層形成する。
【0164】
(12)さらに、上記(I)の工程(バイアホール形成工程)で説明したように、上記バイアホール用開口内に導体層を形成し、バイアホールとする。
このバイアホール形成工程では、バイアホールとなる導体層を形成すると同時に上層導体回路を形成してもよいし、バイアホールとなる導体層を形成した後、上層導体回路を形成してもよい。勿論、上層導体回路とバイアホールとを同時に形成するほうが経済的に有利であるため望ましい。
なお、上層導体回路の形成は、上述した第一または第二の上層導体回路形成方法を用いて行うことができる。
このように、上層導体回路を形成した後、必要に応じて、上層導体回路(バイアホールを含む)の表面に粗化面を形成してもよい。
【0165】
(13)次に、必要により、上記(11)および(12)の工程を繰り返すことにより、上層導体回路と上層層間樹脂絶縁とをさらに積層形成してもよい。
なお、上記(11)および(12)の工程を繰り返す前に、バイアホール内や上層導体回路間に貫通孔充填用樹脂組成物を充填してもよい。
【0166】
(14)次に、最上層の導体回路を含む基板面にソルダーレジスト層を形成し、さらに、該ソルダーレジスト層を開口して半田パッドを形成した後、上記半田パッドに半田ペーストを充填し、リフローすることにより半田バンプを形成する。その後、外部基板接続面に、ピンを配設したり、半田ボールを形成したりすることにより、PGA(Pin Grid Array)やBGA(Ball Grid Array) とする。
【0167】
上記ソルダーレジスト層は、例えば、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、熱可塑性エラストマー、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等からなるソルダーレジスト組成物を用いて形成することができ、これらの樹脂の具体例としては、例えば、層間樹脂絶縁層に用いた樹脂と同様の樹脂等が挙げられる。
【0168】
また、上記以外のソルダーレジスト組成物としては、例えば、ノボラック型エポキシ樹脂の(メタ)アクリレート、イミダゾール硬化剤、2官能性(メタ)アクリル酸エステルモノマー、分子量500〜5000程度の(メタ)アクリル酸エステルの重合体、ビスフェノール型エポキシ樹脂等からなる熱硬化性樹脂、多価アクリル系モノマー等の感光性モノマー、グリコールエーテル系溶剤などを含むペースト状の流動体が挙げられ、その粘度は25℃で1〜10Pa・sに調整されていることが望ましい。
上記ノボラック型エポキシ樹脂の(メタ)アクリレートとしては、例えば、フェノールノボラックやクレゾールノボラックのグリシジルエーテルをアクリル酸やメタクリル酸等と反応させたエポキシ樹脂等が挙げられる。
【0169】
上記2官能性(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては特に限定されず、例えば、各種ジオール類のアクリル酸やメタクリル酸のエステル等が挙げられ、その市販品としては、日本化薬社製のR−604、PM2、PM21等が挙げられる。
【0170】
また、上記ソルダーレジスト組成物は、エラストマーや無機フィラーが配合されていてもよい。
エラストマーが配合されていることにより、形成されるソルダーレジスト層は、エラスキマーの有する柔軟性および反発弾性により、ソルダーレジスト層に応力が作用した場合でも、該応力を吸収したり、緩和したりすることができ、その結果、多層プリント配線板の製造工程や製造した多層プリント配線板にICチップ等の電子部品を搭載した後のソルダーレジスト層にクラックや剥離が発生することを抑制でき、さらに、クラックが発生した場合でも該クラックが大きく成長することができない。
【0171】
上記ソルダーレジスト層を開口する方法としては、例えば、バイアホール用開口を形成する方法と同様に、レーザ光を照射する方法等が挙げられる。
【0172】
また、ソルダーレジスト組成物として、感光性のソルダーレジスト組成物を使用した場合には、ソルダーレジスト層を形成した後、該ソルダーレジスト層上にフォトレジストを載置し、露光現像処理を施すことにより、ソルダーレジスト層を開口することができる。
【0173】
上記ソルダーレジスト層を開口することにより露出した導体回路部分は、通常、ニッケル、パラジウム、金、銀、白金等の耐食性金属により被覆することが望ましい。具体的には、ニッケル−金、ニッケル−銀、ニッケル−パラジウム、ニッケル−パラジウム−金等の金属により被覆層を形成することが望ましい。
上記被覆層は、例えば、めっき、蒸着、電着等により形成することができるが、これらのなかでは、被覆層の均一性に優れるという点からめっきが望ましい。
【0174】
なお、製品認識文字などを形成するための文字印刷工程やソルダーレジスト層の改質のために、酸素や四塩化炭素などのプラズマ処理を適時行ってもよい。
【0175】
【実施例】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
(実施例1)
A.層間樹脂絶縁層用樹脂フィルムの作製
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量469、油化シェルエポキシ社製エピコート1001)30重量部、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量215、大日本インキ化学工業社製 エピクロンN−673)40重量部、トリアジン構造含有フェノールノボラック樹脂(フェノール性水酸基当量120、大日本インキ化学工業社製 フェノライトKA−7052)30重量部をエチルジグリコールアセテート20重量部、ソルベントナフサ20重量部に攪拌しながら加熱溶解させ、そこへ末端エポキシ化ポリブタジエンゴム(ナガセ化成工業社製 デナレックスR−45EPT)15重量部と2−フェニル−4、5−ビス(ヒドロキシメチル)イミダゾール粉砕品1.5重量部、微粉砕シリカ2重量部、シリコン系消泡剤0.5重量部を添加しエポキシ樹脂組成物を調製した。
得られたエポキシ樹脂組成物を厚さ38μmのPETフィルム上に乾燥後の厚さが50μmとなるようにロールコーターを用いて塗布した後、80〜120℃で10分間乾燥させることにより、層間樹脂絶縁層用樹脂フィルムを作製した。
【0176】
B.貫通孔充填用樹脂組成物の調製
ビスフェノールF型エポキシモノマー(油化シェル社製、分子量:310、YL983U)100重量部、表面にシランカップリング剤がコーティングされた平均粒径が1.6μmで、最大粒子の直径が15μm以下のSiO2 球状粒子(アドテック社製、CRS 1101−CE)72重量部およびレベリング剤(サンノプコ社製 ペレノールS4)1.5重量部を容器にとり、攪拌混合することにより、その粘度が23±1℃で30〜60Pa・sの樹脂充填材を調製した。
なお、硬化剤として、イミダゾール硬化剤(四国化成社製、2E4MZ−CN)6.5重量部を用いた。
【0177】
C.多層プリント配線板の製造
(1)厚さ0.8mmのガラスエポキシ樹脂またはBT(ビスマレイミドトリアジン)樹脂からなる絶縁性基板30の両面に18μmの銅箔32がラミネートされている銅張積層板を出発材料とした(図1(A)参照)。まず、この銅張積層板を下層導体回路パターン状にエッチングすることにより、基板の両面に下層導体回路34を形成した(図1(B)参照)。
【0178】
(2)下層導体回路34を形成した基板30を水洗いし、乾燥した後、NaOH(10g/l)、NaClO2 (40g/l)、Na3 PO4 (6g/l)を含む水溶液を黒化浴(酸化浴)とする黒化処理、および、NaOH(10g/l)、NaBH4 (6g/l)を含む水溶液を還元浴とする還元処理を行い、下層導体回路34の表面に粗化面34aを形成した(図1(C)参照)。
【0179】
(3)次に、上記Aで作製した層間樹脂絶縁層用樹脂フィルムを、温度50〜150℃まで昇温しながら、0.5MPaで真空圧着ラミネートして貼り付け、樹脂フィルム層50αを形成した(図1(D)参照)。
さらに、樹脂フィルム層50αを貼り付けた基板30に、ドリル加工により直径300μmの貫通孔35を形成した(図1(E)参照)。
【0180】
(4)次に、樹脂フィルム層50α上に、厚さ1.2mmの貫通孔が形成されたマスクを介して、波長10.4μmのCO2 ガスレーザにて、ビーム径4.0mm、トップハットモード、パルス幅8.0μ秒、マスクの貫通孔の径1.0mm、1ショットの条件で樹脂フィルム層50αに、直径80μmのバイアホール用開口52を形成し、下層層間樹脂絶縁層50とした(図2(A)参照)。
【0181】
(5)バイアホール用開口52を形成した基板を、60g/lの過マンガン酸を含む80℃の溶液に10分間浸漬し、貫通孔35の壁面にデスミア処理を施すとともに、下層層間樹脂絶縁層50の表面に存在するエポキシ樹脂粒子を溶解除去することにより、バイアホール用開口52の内壁面を含むその表面に粗化面50a、52aを形成した(図2(B)参照)。
【0182】
(6)次に、上記処理を終えた基板を、中和溶液(シプレイ社製)に浸漬してから水洗いした。
さらに、粗面化処理(粗化深さ3μm)した該基板の表面に、パラジウム触媒を付与することにより、下層層間樹脂絶縁層50の表面(バイアホール用開口52の内壁面を含む)、および、貫通孔35の壁面に触媒核を付着させた(図示せず)。即ち、上記基板を塩化パラジウム(PbCl2 )と塩化第一スズ(SnCl2 )とを含む触媒液中に浸漬し、パラジウム金属を析出させることにより触媒を付与した。
【0183】
(7)次に、以下の組成の無電解銅めっき水溶液中に、基板を浸漬し、下層層間樹脂絶縁層50の表面(バイアホール用開口52の内壁面を含む)、および、貫通孔35の壁面に厚さ0.6〜3.0μmの無電解銅めっき膜42を形成した(図2(C)参照)。
〔無電解めっき水溶液〕
NiSO4 0.003 mol/l
酒石酸 0.200 mol/l
硫酸銅 0.030 mol/l
HCHO 0.050 mol/l
NaOH 0.100 mol/l
α、α′−ビピリジル 100 mg/l
ポリエチレングリコール(PEG) 0.10 g/l
〔無電解めっき条件〕
34℃の液温度で40分
【0184】
(8)次に、無電解銅めっき膜42が形成された基板に市販の感光性ドライフィルムを張り付け、マスクを載置して、100mJ/cm2 で露光し、0.8%炭酸ナトリウム水溶液で現像処理することにより、厚さ20μmのめっきレジスト43を設けた(図2(D)参照)。
【0185】
(9)ついで、基板を50℃の水で洗浄して脱脂し、25℃の水で水洗後、さらに硫酸で洗浄してから、以下の条件で電解めっきを施し、めっきレジスト43非形成部に、厚さ20μmの電解銅めっき膜44を形成した(図2(E)参照)。
〔電解めっき液〕
硫酸 2.24 mol/l
硫酸銅 0.26 mol/l
添加剤 19.5 ml/l
(アトテックジャパン社製、カパラシドGL)
〔電解めっき条件〕
電流密度 1 A/dm2
時間 65 分
温度 22±2 ℃
【0186】
(10)さらに、めっきレジスト43を5%KOHで剥離除去した後、そのめっきレジスト43下の無電解めっき膜を硫酸と過酸化水素との混合液でエッチング処理して溶解除去し、スルーホール用導体層36、および、上層導体回路(バイアホール46を含む)とした(図3(A)参照)。
【0187】
(11)次に、、スルーホール用導体層36等を形成した基板30をエッチング液に浸漬し、スルーホール用導体層36、および、上層導体回路(バイアホール46を含む)の表面に粗化面36a、46aを形成した(図3(B)参照)。
なお、エッチング液としては、イミダゾール銅(II)錯体10重量部、グリコール酸7重量部、塩化カリウム5重量部からなるエッチング液(メック社製、メックエッチボンド)を使用した。
【0188】
(12)次に、上記Bに記載した貫通孔充填用樹脂組成物を調製した後、下記の方法により調製後24時間以内に、その壁面にスルーホール用導体層36を形成した貫通孔35内、および、基板30の片面のバイアホール46内に貫通孔充填用樹脂組成物を充填した。
即ち、まず、スキージを用いて貫通孔35内に貫通孔充填用樹脂組成物を押し込んだ後、100℃、20分の条件で乾燥させた。次に、バイアホール46に相当する部分が開口したマスクを基板上に載置し、スキージを用いてバイアホール46内に貫通孔充填用樹脂組成物を充填し、100℃、20分の条件で乾燥を行った。
さらに、同様にして、基板の他方の面のバイアホール46内にも貫通孔充填用樹脂組成物を充填した(図3(C)参照)。
【0189】
(13)次に、上記(12)の処理を終えた基板の両面にバフ研磨を施し、貫通孔35およびバイアホール46から露出した貫通孔充填用樹脂組成物の表面を平坦にした。
次いで、100℃で1時間、150℃で1時間の加熱処理を行うことにより、貫通孔充填用樹脂組成物を硬化させて樹脂充填材層54を形成し、スルーホール37とした(図3(D)参照)。
【0190】
(14)次に、下層層間樹脂絶縁層50の表面、および、樹脂充填材層54の露出面に、上記(6)と同様の処理を行いてパラジウム触媒(図示せず)を付与した。
次に、上記(7)と同様の条件で無電解めっき処理を施し、下層層間樹脂絶縁層50の表面、および、樹脂充填材層54の露出面に無電解めっき膜56を形成した(図4(A)参照)。
【0191】
(15)次に、上記(8)と同様の方法を用いて、無電解めっき膜56上に、厚さ20μmのめっきレジストを設けた(図示せず)。さらに、上記(9)と同様の条件で電解めっきを施して、めっきレジスト非形成部に電解めっき膜57を形成した。その後、めっきレジストと、その下に存在する無電解めっき膜56とを除去し、スルーホール37上およびバイアホール46上に、無電解めっき膜56と電解めっき膜57とからなる蓋めっき層58を形成した(図4(B)参照)。
【0192】
(16)次に、蓋めっき層58の表面に上記(11)で用いたエッチング液(メックエッチボンド)を用いて粗化面58aを形成した(図4(C)参照)。
(17)次に、上記(3)〜(11)の工程を繰り返すことにより、さらに上層層間樹脂絶縁層60、上層導体回路(バイアホール66を含む)を形成し、多層配線板を得た(図4(D)参照)。なお、この工程では、スルーホールを形成しなかった。
【0193】
(18)次に、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG)に60重量%の濃度になるように溶解させた、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬社製)のエポキシ基50%をアクリル化した感光性付与のオリゴマー(分子量:4000)46.67重量部、メチルエチルケトンに溶解させた80重量%のビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェル社製、商品名:エピコート1001)15.0重量部、イミダゾール硬化剤(四国化成社製、商品名:2E4MZ−CN)1.6重量部、感光性モノマーである2官能アクリルモノマー(日本化薬社製、商品名:R604)4.5重量部、同じく多価アクリルモノマー(共栄化学社製、商品名:DPE6A)1.5重量部、分散系消泡剤(サンノプコ社製、S−65)0.71重量部を容器にとり、攪拌、混合して混合組成物を調製し、この混合組成物に対して光重合開始剤としてベンゾフェノン(関東化学社製)2.0重量部、光増感剤としてのミヒラーケトン(関東化学社製)0.2重量部、を加えることにより、粘度を25℃で2.0Pa・sに調整したソルダーレジスト組成物を得た。
なお、粘度測定は、B型粘度計(東京計器社製、DVL−B型)で60rpmの場合はローターNo.4、6rpmの場合はローターNo.3によった。
【0194】
(19)次に、多層配線基板の両面に、上記ソルダーレジスト組成物を20μmの厚さで塗布し、70℃で20分間、70℃で30分間の条件で乾燥処理を行い、ソルダーレジス組成物の層70αを形成した(図5(A)参照)。次いで、ソルダーレジスト開口部のパターンが描画された厚さ5mmのフォトマスクをソルダーレジスト層に密着させて1000mJ/cm2 の紫外線で露光し、DMTG溶液で現像処理し、200μmの直径の開口71を形成した。
そして、さらに、80℃で1時間、100℃で1時間、120℃で1時間、150℃で3時間の条件でそれぞれ加熱処理を行ってソルダーレジスト層を硬化させ、開口を有し、その厚さが20μmのソルダーレジスト層70を形成した(図5(B)参照)。なお、上記ソルダーレジスト組成物としては、市販のソルダーレジスト組成物を使用することもできる。
【0195】
(20)次に、ソルダーレジスト層70を形成した基板を、塩化ニッケル(2.3×10-1mol/l)、次亜リン酸ナトリウム(2.8×10-1mol/l)、クエン酸ナトリウム(1.6×10-1mol/l)を含むpH=4.5の無電解ニッケルめっき液に20分間浸漬して、開口部71に厚さ5μmのニッケルめっき層72を形成した。さらに、その基板をシアン化金カリウム(7.6×10-3mol/l)、塩化アンモニウム(1.9×10-1mol/l)、クエン酸ナトリウム(1.2×10-1mol/l)、次亜リン酸ナトリウム(1.7×10-1mol/l)を含む無電解金めっき液に80℃の条件で7.5分間浸漬して、ニッケルめっき層72上に、厚さ0.03μmの金めっき層74を形成した(図5(C)参照)。
【0196】
(21)この後、基板のICチップを載置する面のソルダーレジスト層70の開口71に、スズ−鉛を含有するはんだペーストを印刷し、200℃でリフローすることによりはんだバンプ(はんだ体)76を形成し、他方のの面には、半田ペーストを印刷した後、導電性接続ピン78を取り付けることにより、多層プリント配線板を製造した(図6参照)。
【0197】
(実施例2)
実施例1のB(貫通孔充填用樹脂組成物の調製)において、SiO2 粒子に代えて、平均粒径2.0μmで、最大粒径12μmのアルミナ粒子を用いて貫通孔充填用樹脂組成物を調製した以外は、実施例1と同様にして多層プリント配線板を製造した。
なお、調製した樹脂組成物の粘度は、23±1℃で30〜50Pa・sであった。
【0198】
(実施例3)
実施例1のB(貫通孔充填用樹脂組成物の調製)において、SiO2 粒子に代えて、平均粒径1.5μmで、最大粒径16μmの炭酸カルシウム粒子を用いて貫通孔充填用樹脂組成物を調製した以外は、実施例1と同様にして多層プリント配線板を製造した。
なお、調製した樹脂組成物の粘度は、23±1℃で25〜60Pa・sであった。
【0199】
(実施例4)
実施例1のB(貫通孔充填用樹脂組成物の調製)において、SiO2 粒子に代えて、平均粒径3.0μmで、最大粒径15μmの炭酸カリウム粒子を用いて貫通孔充填用樹脂組成物を調製した以外は、実施例1と同様にして多層プリント配線板を製造した。
なお、調製した樹脂組成物の粘度は、23±1℃で30〜50Pa・sであった。
【0200】
(実施例5)
実施例1のB(貫通孔充填用樹脂組成物の調製)において、SiO2 粒子に代えて、平均粒径1.5μmで、最大粒径12μmのマグネシア粒子を用いて貫通孔充填用樹脂組成物を調製した以外は、実施例1と同様にして多層プリント配線板を製造した。
なお、調製した樹脂組成物の粘度は、23±1℃で25〜60Pa・sであった。
【0201】
(比較例1)
実施例1のB(貫通孔充填用樹脂組成物の調製)において、SiO2 粒子の配合量を5.7重量部にした以外は、実施例1と同様にして多層プリント配線板を製造した。
なお、調製した樹脂組成物の粘度は、23±1℃で30〜60Pa・sであった。
【0202】
(比較例2)
実施例1のB(貫通孔充填用樹脂組成物の調製)において、SiO2 粒子の配合量を132重量部にした以外は、実施例1と同様にして多層プリント配線板を製造した。
なお、調製した樹脂組成物の粘度は、23±1℃で30〜60Pa・sであった。
【0203】
実施例1〜5および比較例1、2で得られた多層プリント配線板について、樹脂充填材層の表層部の形状、ならびに、ヒートサイクル条件下での樹脂充填材層でのクラックの発生の有無、樹脂充填材層とスルーホール用導体層や蓋めっき層との間での剥離の発生の有無、および、無電解めっき膜の形状は、下記の評価方法により評価した。結果を表1に示した。
【0204】
(1)樹脂充填材層表層部の形状
多層プリント配線板をスルーホールを含むように縦に切断し、樹脂充填材層表層部の形状を顕微鏡により観察し、以下の評価基準で評価した。
評価基準
○:樹脂充填材層表層部が、平坦に研磨されている。
×:樹脂充填材層表層部が、無機粒子の脱落に起因する凹部が形成されていたり、充分に研磨されていないため、平坦でない。
【0205】
(2)無電解めっき膜の形状
上記(1)と同様、多層プリント配線板をスルーホールを含むように縦に切断し、顕微鏡で観察することにより、無電解めっき膜の形状を評価した。なお、評価基準は以下のとおりである。
評価基準
○:厚さの均一な無電解めっき膜が形成されていた。
×:無電解めっき膜の厚さが不均一である部分や、無電解めっきの形成されていない部分が見られた。
【0206】
(3)樹脂充填材層でのクラックの発生の有無
上記(1)と同様、多層プリント配線板をスルーホールを含むように縦に切断し、顕微鏡で観察することにより、樹脂充填材層にクラックが発生しているか否かを評価した。なお、評価基準は以下のとおりである。
評価基準
○:クラックの発生は見られなかった。
△:若干、クラックが発生していたものの、製品の品質に影響を与えるほどのものではなかった。
×:大きなクラックが発生しており、製品として使用することができなかった。
【0207】
(4)樹脂充填材層とスルーホール用導体層や蓋めっき層との間での剥離の発生の有無
上記(1)と同様、多層プリント配線板をスルーホールを含むように縦に切断し、顕微鏡で観察することにより、樹脂充填材層とスルーホール用導体層や蓋めっき層との間での剥離の発生しているか否かを評価した。なお、評価基準は以下のとおりである。
評価基準
○:剥離の発生は見られなかった。
△:若干、剥離が発生していたものの、製品の品質に影響を与えるほどのものではなかった。
×:大きく剥離しており、製品として使用することができなかった。
【0208】
なお、上記(3)および(4)の評価は、ヒートサイクル試験前、ヒートサイクル1000回終了後、および、ヒートサイクル2000回終了後に行った。
また、ヒートサイクル試験は、多層プリント配線板を125℃で3分間維持した後、−55℃の雰囲気下で3分間維持する条件を1サイクルとして行った。
【0209】
【表1】
Figure 0004535598
【0210】
表1に示したように、実施例1〜5の多層プリント配線板では、樹脂充填材層の表層部は平坦に研磨されており、また、該樹脂充填材層の表層部には厚さの均一な無電解めっき膜が形成されていた。
また、ヒートサイクル条件下においても、樹脂充填材層でのクラックの発生や、樹脂充填材層とスルーホール用導体層等との間での剥離の発生は見られなかった。
【0211】
一方、比較例1の多層プリント配線板では、樹脂充填材層の表層部は平坦に研磨されており、また、該樹脂充填材層の表層部には厚さの均一な無電解めっき膜が形成されていた。しかしながら、ヒートサイクル条件下においては、樹脂充填材層にクラックが発生しており、また、樹脂充填材層とスルーホール用導体層等との間で剥離が発生していた。
また、比較例2の多層プリント配線板では、樹脂充填材層の表層部は平坦に研磨されておらず、研磨が不充分な部分や無機粒子の脱落に起因した凹部がみられた。また、形成した無電解めっき膜は厚さが不均一であり、無電解めっき膜が未析出の部分も見られた。そのため、樹脂充填材層とスルーホール用導体層等との間で剥離が発生していた。
【0212】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の多層プリント配線板では、スルーホール内に10〜50重量%の無機粒子を含む樹脂充填材層が形成されているため、該樹脂充填材層と層間樹脂絶縁層や基板との間で熱膨張係数に大きな差がなく、また,該樹脂充填材層とその表層部を覆う導体層とは密着性に優れるため、ヒートサイクル条件下においても、樹脂充填材層にクラックが発生したり、樹脂充填材層と導体層との間で剥離が発生したりすることがなく、接続信頼性に優れる。
また、上記多層プリント配線板のスルーホール上には、樹脂充填材層の表層部を覆う導体層が導体回路の一部として形成され、この導体層上にバイアホールが形成されているため、多層プリント配線板内の配線長が短く、信号伝送時間を短くすることができるため、ICチップの高速化に対応することができる。
【0213】
また、本発明の多層プリント配線板の製造方法では、無機粒子を含む貫通孔充填用樹脂組成物を貫通孔内に充填した後、該貫通孔から露出した貫通孔充填用樹脂組成物の表面に研磨処理を施すため、その表層部が平坦なスルーホールを形成することができる。そのため、さらに層間樹脂絶縁層を積層形成した場合に、形成される層間樹脂絶縁層にうねり等が発生することがなく、信頼性に優れた多層プリント配線板を製造することができる。
また、上記製造方法では、貫通孔充填用樹脂組成物の無機粒子の含有比率が、上記範囲にあるため、貫通孔から露出した貫通孔充填用樹脂組成物の表面を容易に平坦化することができる。
【0214】
また、上記多層プリント配線板の製造方法では、樹脂充填材層と蓋めっき層とを形成するが、この樹脂充填材層は状述したように10〜50重量%の無機粒子を含有しているため、蓋めっき層を形成するのに適しており、上記製造方法で形成する樹脂充填材層と蓋めっき層は密着性に優れている。
【0215】
また、上記製造方法では、樹脂充填材層の表層部を覆う導体層を導体回路の一部として形成し、この導体層上にバイアホールが形成するため、多層プリント配線板内の配線長が短く、ICチップの高速化に対応した多層プリント配線板を製造することができる。
さらに、本発明の製造方法により得られた多層プリント配線板は、ヒートサイクル条件下においても、樹脂充填材層にクラックが発生しにくく、樹脂充填材層と蓋めっき層との間での剥離も発生しにくいため、接続信頼性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)〜(E)は、本発明の多層プリント配線板の製造方法の工程の一部を示す断面図である。
【図2】(A)〜(E)は、本発明の多層プリント配線板の製造方法の工程の一部を示す断面図である。
【図3】(A)〜(D)は、本発明の多層プリント配線板の製造方法の工程の一部を示す断面図である。
【図4】(A)〜(D)は、本発明の多層プリント配線板の製造方法の工程の一部を示す断面図である。
【図5】(A)〜(C)は、本発明の多層プリント配線板の製造方法の工程の一部を示す断面図である。
【図6】本発明の多層プリント配線板の一実施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
30 基板
32 銅箔
34 下層導体回路
35 貫通孔
52 バイアホール用開口
42 無電解めっき膜
43 めっきレジスト
44 電解めっき膜
50 下層層間樹脂絶縁層
54 樹脂充填材層
58 蓋めっき層
60 上層層間樹脂絶縁層
70 ソルダーレジスト層
76 半田バンプ
78 導電性ピン

Claims (19)

  1. 基板の両面に導体回路と層間樹脂絶縁層とが順次積層され、前記基板および前記層間樹脂絶縁層を挟んだ導体回路間がスルーホールを介して接続され、前記層間樹脂絶縁層を挟んだ導体回路間がバイアホールを介して接続されてなる多層プリント配線板であって、
    前記スルーホール内には、エポキシ樹脂と硬化剤と粒子とを含み、かつ、粒子として無機粒子のみを含む樹脂充填材を硬化させた樹脂充填材層が形成されており、
    前記樹脂充填材層中の前記無機粒子の含有比率は、10〜40重量%であり、
    前記スルーホール上には、前記樹脂充填材層の表層部を覆う導体層が導体回路の一部として形成され、
    前記スルーホールを構成する導体層の表面の少なくとも一部には、粗化面が形成され、
    前記導体層上には、バイアホールが形成されていることを特徴とする多層プリント配線板。
  2. 前記無機粒子は、アルミニウム化合物、カルシウム化合物、カリウム化合物、マグネシウム化合物およびケイ素化合物からなる群より選択される少なくとも一種からなる請求項1に記載の多層プリント配線板。
  3. 前記無機粒子の形状は、球状、楕円球状、破砕状、または、多面体状である請求項1または2に記載の多層プリント配線板。
  4. 前記無機粒子は、シランカップリング剤によりコーティングされている請求項1〜3のいずれかに記載の多層プリント配線板。
  5. 前記粗化面の平均粗度は、0.05〜5μmである請求項1〜4のいずれかに記載の多層プリント配線板。
  6. 前記導体層は、無電解めっき層と電解めっき層とからなる請求項1〜5のいずれかに記載の多層プリント配線板。
  7. 前記層間樹脂絶縁層は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリオレフィン系樹脂およびポリフェニレンエーテル樹脂からなる群より選択される少なくとも一種からなる請求項1〜6のいずれかに記載の多層プリント配線板。
  8. 前記層間樹脂絶縁層は、酸、アルカリおよび酸化剤から選ばれる少なくとも1種からなる粗化液に対して難溶性の未硬化の耐熱性樹脂マトリックス中に、酸、アルカリおよび酸化剤から選ばれる少なくとも1種からなる粗化液に対して可溶性の物質が分散された粗化面形成用樹脂組成物からなり、
    前記粗化面形成用樹脂組成物は、前記耐熱性樹脂マトリックスの中に前記可溶性の物質が分散している状態であるか、または、前記可溶性の物質の中に前記耐熱性樹脂マトリックスが分散している状態である請求項1〜7のいずれかに記載の多層プリント配線板。
  9. 前記スルーホール上の導体層上に形成されたバイアホールにおいて、多層プリント配線板の一方の面に形成されたバイアホール上には、半田バンプが形成され、多層プリント配線板の他方の面に形成されたバイアホール上には、導電性接続ピンが形成されている請求項1〜8のいずれかに記載の多層プリント配線板。
  10. 少なくとも下記(A)〜(I)の工程を含むことを特徴とする多層プリント配線板の製造方法。
    (A)その両面に下層導体回路と下層層間樹脂絶縁層とが形成された基板に、貫通孔を形成する貫通孔形成工程、
    (B)前記貫通孔の壁面と、前記下層層間樹脂絶縁層の表面の一部とに導体層を形成する導体層形成工程、
    前記導体層形成工程においては、導体層を形成した後に、該導体層の表面の少なくとも一部に、粗化面を形成する、
    (C)その壁面に導体層を形成した前記貫通孔内に、エポキシ樹脂と硬化剤と粒子とを含み、粒子として無機粒子のみを含み、かつ、硬化後の前記無機粒子の含有比率が10〜40重量%である貫通孔充填用樹脂組成物を充填する樹脂充填工程、
    (D)前記貫通孔充填用樹脂組成物を乾燥する乾燥工程、
    (E)前記貫通孔から露出した前記貫通孔充填用樹脂組成物の表面に、研磨処理を施す研磨工程、
    (F)前記貫通孔充填用樹脂組成物を硬化し、その内部に樹脂充填材層が形成されたスルーホールを形成するスルーホール形成工程、
    (G)前記樹脂充填材層の表層部を覆う導体層を導体回路の一部として形成する蓋めっき層形成工程、
    (H)その表面に導体層を形成した下層層間樹脂絶縁層上に、バイアホール用開口を有する上層層間樹脂絶縁層を積層形成する上層層間樹脂絶縁層形成工程、および、
    (I)前記バイアホール用開口内に導体層を形成するバイアホール形成工程。
  11. 前記研磨工程は、少なくとも一回のバフ研磨処理を行う工程である請求項10に記載の多層プリント配線板の製造方法。
  12. 前記無機粒子は、アルミニウム化合物、カルシウム化合物、カリウム化合物、マグネシウム化合物およびケイ素化合物からなる群より選択される少なくとも一種からなる請求項10または11に記載の多層プリント配線板の製造方法。
  13. 前記無機粒子の形状は、球状、楕円球状、破砕状、または、多面体状である請求項10〜12のいずれかに記載の多層プリント配線板の製造方法。
  14. 前記無機粒子は、シランカップリング剤によりコーティングされている請求項10〜13のいずれかに記載の多層プリント配線板の製造方法。
  15. 前記粗化面の平均粗度は、0.05〜5μmである請求項10〜14のいずれかに記載の多層プリント配線板の製造方法。
  16. 無電解めっき層と電解めっき層とからなる前記導体層を形成する請求項10〜15のいずれかに記載の多層プリント配線板の製造方法。
  17. 前記層間樹脂絶縁層は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリオレフィン系樹脂およびポリフェニレンエーテル樹脂からなる群より選択される少なくとも一種からなる請求項10〜16のいずれかに記載の多層プリント配線板の製造方法。
  18. 前記層間樹脂絶縁層は、酸、アルカリおよび酸化剤から選ばれる少なくとも1種からなる粗化液に対して難溶性の未硬化の耐熱性樹脂マトリックス中に、酸、アルカリおよび酸化剤から選ばれる少なくとも1種からなる粗化液に対して可溶性の物質が分散された粗化面形成用樹脂組成物からなり、
    前記粗化面形成用樹脂組成物は、前記耐熱性樹脂マトリックスの中に前記可溶性の物質が分散している状態であるか、または、前記可溶性の物質の中に前記耐熱性樹脂マトリックスが分散している状態である請求項10〜17のいずれかに記載の多層プリント配線板の製造方法。
  19. 前記スルーホール上の導体層上に形成されたバイアホールにおいて、多層プリント配線板の一方の面に形成されたバイアホール上に、半田バンプを形成し、多層プリント配線板の他方の面に形成されたバイアホール上に、導電性接続ピンを形成する請求項10〜18のいずれかに記載の多層プリント配線板の製造方法。
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