JP4743974B2 - 樹脂フィルムおよび多層プリント配線板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、多層プリント配線板の製造に用いられる樹脂フィルム、および、多層プリント配線板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
信号の高周波化に伴って、パッケージ基板の材料は、低誘電率、低誘電正接であることが求められるようになってきている。そのためパッケージ基板の材料は、セラミックから樹脂へとその主流が移りつつある。
【0003】
いわゆる多層ビルドアップ配線基板と呼ばれる多層プリント配線板は、セミアディティブ法等により製造されており、コアと呼ばれる0.5〜1.5mm程度のガラスクロス等で補強された樹脂基板の上に、銅等による導体回路と層間樹脂絶縁層とを交互に積層することにより製造される。この多層プリント配線板の層間樹脂絶縁層を介した導体回路間の接続は、バイアホール等により行われている。
【0004】
従来、ビルドアップ多層プリント配線板は、例えば、特開平4−55555号公報等に開示された方法により製造されている。
すなわち、まず、銅箔が張り付けられた銅張積層板に貫通孔を形成し、続いて無電解銅めっき処理を施すことによりスルーホールを形成する。続いて、基板の表面を導体パターン状にエッチング処理して導体回路を形成し、この導体回路の表面に、無電解めっきやエッチング等により粗化面を形成する。そして、この粗化面を有する導体回路上にエポキシアクリレート等を含む樹脂絶縁層を形成した後、露光、現像処理を行ってバイアホール用開口を形成し、その後、UV硬化、本硬化を経て層間樹脂絶縁層を形成する。
【0005】
さらに、層間樹脂絶縁層に酸や酸化剤などにより粗化処理を施した後、薄い無電解めっき膜を形成し、この無電解めっき膜上にめっきレジストを形成し、電解めっきにより厚付けを行い、めっきレジスト剥離後にエッチングを行って、下層の導体回路とバイアホールとにより接続された導体回路を形成する。
この工程を繰り返した後、最後に導体回路を保護するためのソルダーレジスト層を形成し、ICチップ等との接続のために開口を形成し、露出した導体回路にめっき等を施し、半田ペーストを印刷して半田バンプを形成することにより、ビルドアップ多層プリント配線板の製造を完了する。
【0006】
このようにして製造されたビルドアップ多層プリント配線板は、マザーボードやドータボードとよばれる他の基板に接続し、このマザーボード等に抵抗、コンデンサ等の電子部品を実装し、かつ、配線を形成することより特性インピーダンス等の電気特性を整合した後、パッケージ基板として使用する。
【0007】
このような多層プリント配線板の製造方法においては、導体回路の形成された基板上に感光性樹脂を含む樹脂組成物からなる層間樹脂絶縁層を形成し、その後、露光現像処理によりバイアホール用開口を形成していた。
具体的には、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とからなり、感光性が付与された樹脂複合体等の特開平7−33991号公報や特開平7−102175号公報等に開示されている樹脂組成物を用いて、層間樹脂絶縁層を形成していた。
【0008】
近年、多層プリント配線板の高密度化、高機能化に伴い、導体回路のL/S〔Line/Space:導体回路の幅/導体回路間の距離〕が小さくなってきており、バイアホール用開口の径も小さくする必要がでてきている。しかしながら、上記したような樹脂組成物を用い、露光現像処理を行うバイアホール用開口の形成方法では、径が小さく、かつ、所望の形状のバイアホール用開口を形成することは難しかった。
また、露光現像処理によりバイアホール用開口を形成する場合には、この処理で用いた現像液の処理や再利用に環境上の配慮を施す必要があり、経済的な負担が付加されることとなっていた。
【0009】
これに対し、一般的には、レーザを用いることにより、露光現像処理を用いる場合に比べて、より径の小さい開口を形成することができるとされている。
そこで、上記特開平7−33991号公報等に開示された樹脂組成物を用い、レーザ処理によりバイアホール用開口等を形成する方法について検討したが、形成された層の平坦性等に起因して、レーザ処理により、径が小さく、かつ、所望の形状のバイアホール用開口を形成することは難しかった。
【0010】
一方、特開平11−1547号公報、特開平11−87927号公報等では、樹脂フィルムを減圧下または真空下で圧着して張り付けた後、レーザ処理によりバイアホール用開口等を形成して層間樹脂絶縁層とし、その後、樹脂フィルムからなる絶縁層表面に粗化面を設け、さらに金属層を設けて導体回路とバイアホールとを形成する多層プリント配線板の製造方法が開示されている。
【0011】
特開平11−1547号公報に開示されているエポキシ樹脂とフェノール樹脂組成物とゴム成分と硬化促進剤とを含むエポキシ樹脂組成物からなる樹脂フィルムを導体回路が形成された基板上に張り付けて層間樹脂絶縁層を形成する場合、導体回路の表面に形成された粗化面の形状に起因して、張り付けられた樹脂フィルムの上面が平坦にならなかったり、導体回路上面と導体回路非形成部との高低差に起因して、導体回路非形成部に樹脂フィルムが完全に充填されなかったり、張り付けられた樹脂フィルムの上面に凹凸(うねり)が生じたりすることがあった。即ち、この樹脂フィルムは、圧着時の形状保持性が充分でなく、均一な膜厚の樹脂フィルム層(層間樹脂絶縁層)を形成することは難しかった。
従って、このような樹脂フィルム層に、レーザ処理によりバイアホール用開口等を形成した場合には、均一な形状の開口を形成することができず、樹脂フィルムを用いて製造する多層プリント配線板の接続性、信頼性の低下に繋がるという問題があった。
このような問題を解消するために、樹脂フィルム中に添加剤を分散させる方法についても検討したが、添加剤の分散性、可溶性粒子との相互作用等の点で、上記問題を解消するに充分な添加剤を得ることができなかった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
一方、特開平11−87927号公報に開示されている樹脂フィルムは、常温で液状のエポキシ樹脂等と、機械的強度や可撓性等を向上させるためのバインダーポリマー(例えば、熱可塑性樹脂)と、硬化剤とを含む樹脂フィルムであった。この1種の熱硬化性樹脂と1種の熱可塑性樹脂とを含む樹脂フィルムは、導体回路が形成された基板上に張り付ける際に、導体回路の表面に形成された粗化面の形状に追従することができるため、形成される樹脂フィルム層の上面は平坦であり、また、導体回路非形成部にも完全に充填された場合にも、熱可塑性樹脂等のバインダーポリマーが配合されているため樹脂フィルム層の上面に凹凸(うねり)が発生することもなかった。
従って、このような樹脂フィルムは、レーザ処理により、径が小さく、所望の形状のバイアホール用開口を形成するのに適していた。
【0013】
しかしながら、この樹脂フィルム層を硬化させることにより層間樹脂絶縁層を形成した場合、硬化後の層間樹脂絶縁層に要求される特性(耐熱性、導体回路との密着性、耐クラック性等)を充分に満足することができなかった。
これは、上記樹脂フィルムの組成が、硬化前の粗化面やバイアホール等への追従性や形状保持性等の特性を確保するために選択されたもので、硬化後の層間樹脂絶縁層の特性について深く考慮した結果、選択された組成ではなかったからである。
即ち、硬化前に要求される凹凸への追従性や形状保持性を満足させるためには、比較的低分子で凹凸等に追従しやすい熱硬化性樹脂と、比較的高分子で形状保持機能等を有する熱可塑性樹脂とを一定範囲で配合する必要があり、1種の熱硬化性樹脂と1種の熱可塑性樹脂を用いて、上記特性を満足するような組成物を形成した場合には、硬化後の層間樹脂絶縁層に要求される特性を完全に満足することは困難であった。
【0014】
本発明は、上述の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、多層プリント配線板を製造する際に用いる樹脂フィルムであって、導体回路の形成された基板上に張り付ける際の追従性および形状保持性を満足することは勿論、硬化により形成した層間樹脂絶縁層に要求される特性にも優れるものであり、さらには、その表面に所望の凹凸を有する粗化面を形成することができる樹脂フィルムを提供することにある。
また、本発明の別の目的は、上記樹脂フィルムを用いた多層プリント配線板の製造方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者らは、硬化前の樹脂フィルムに要求される特性(追従性、形状保持性等)を満足することは勿論、硬化後の層間樹脂絶縁層に要求される特性をも満足する樹脂フィルムの配合組成について、鋭意研究した結果、酸または酸化剤に難溶性の樹脂中に、酸または酸化剤に可溶性の粒子が分散しており、該酸または酸化剤に難溶性の樹脂として、2種の熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とからなる樹脂複合体が用いられた樹脂フィルムは、上記要求特性を満足させ得るものであることを見いだし、以下に示す内容を要旨構成とする発明に到達した。
【0016】
すなわち、本発明の樹脂フィルムは、基板上に導体回路と層間樹脂絶縁層とが順次積層形成された多層プリント配線板の製造に用いられる樹脂フィルムであって、
上記樹脂フィルムは、酸または酸化剤に難溶性の樹脂中に、酸または酸化剤に可溶性の粒子が分散しており、
上記難溶性の樹脂は、2種の熱硬化性樹脂と少なくとも1種の熱可塑性樹脂とからなる樹脂複合体であることを特徴とする。
【0017】
上記樹脂フィルムにおいて、上記熱硬化性樹脂のうちの1種は、エポキシ樹脂であることが望ましい。
また、上記2種の熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂とフェノール樹脂、または、エポキシ樹脂とポリイミド樹脂であることが望ましい。
また、上記熱可塑性樹脂は、フェノキシ樹脂、ポリエーテルスルホンおよびポリスルホンからなる群より選択される少なくとも1種であることが望ましい。
【0018】
また、上記可溶性の粒子は、樹脂粒子、無機粒子および金属粒子からなる群より選択される少なくとも1種であることが望ましい。
また、本発明の多層プリント配線板の製造方法は、基板上に導体回路と層間樹脂絶縁層とを順次積層形成する多層プリント配線板の製造方法であって、
上記層間樹脂絶縁層を形成する際に、本発明の樹脂フィルムを用い、
上記樹脂フィルムを減圧下または真空下において、0.2〜1MPaの圧力で圧着した後、
非貫通孔および/または貫通孔を形成することを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の樹脂フィルムは、基板上に導体回路と層間樹脂絶縁層とが順次積層形成された多層プリント配線板の製造に用いられる樹脂フィルムであって、
上記樹脂フィルムは、酸または酸化剤に難溶性の樹脂中に、酸または酸化剤に可溶性の粒子が分散しており、
上記難溶性の樹脂は、2種の熱硬化性樹脂と少なくとも1種の熱可塑性樹脂とからなる樹脂複合体であることを特徴とする。
【0020】
本発明の樹脂フィルムによれば、酸または酸化剤に難溶性の樹脂中に、酸または酸化剤に可溶性の粒子が分散しており、該難溶性の樹脂として、2種の熱硬化性樹脂と少なくとも1種の熱可塑性樹脂とからなる樹脂複合体が用いられているため、該樹脂フィルムを張り付ける際には、導体回路表面を含む該導体回路の形成された基板表面の形状への追従性、および、形状保持性に優れる。
これは、上記樹脂フィルムは、硬化前には、相対的に柔らかい熱硬化性樹脂と相対的に硬い熱可塑性樹脂とが共存しているため、相対的に柔らかい熱硬化性樹脂の存在により、粗化面への追従性に優れることとなり、相対的に硬い熱可塑性樹脂の存在により形状保持性に優れることとなるからである。
【0021】
また、上記樹脂フィルムを硬化させることにより形成される層間樹脂絶縁層は、2種の熱硬化性樹脂を含んでいるため、異なる特性を同時に確保することができる。特に、単一種の樹脂のみ(例えば、エポキシ樹脂のみ)からなる層間樹脂絶縁層では難しかった、複数の特性の両立を果たすことができる。
具体的には、例えば、機械的特性と導体回路との密着性との両立や、機械的特性と耐熱性との両立等を果たすことができる。
また、本発明の樹脂フィルムでは、酸または酸化剤に難溶性の樹脂中に、酸または酸化剤に可溶性の粒子が分散しており、形成される層間樹脂絶縁層の表面に所望の凹凸を有する粗化面を形成することができる。また、上記樹脂フィルムは、バイアホール用開口を形成した後、該バイアホール用開口の壁面に所望の凹凸を形成するのに適している。
【0022】
従来、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との樹脂複合体からなる樹脂フィルムを用いて多層プリント配線板を製造する場合は、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とが各1種類ずつ配合された樹脂フィルムを用い、これを硬化させるともに、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを相溶させることで層間樹脂絶縁層を形成していた。
しかしながら、上記樹脂複合体からなる樹脂組成物をフィルム化する場合、熱可塑性樹脂が樹脂フィルム中に均一に存在せず、粗密になってしまうことがあり、この熱可塑性樹脂の存在の偏りに起因して、形成した層間樹脂絶縁層に脆い部分が発生し、酸や酸化剤等の粗化液やめっき液に浸漬した場合に層間樹脂絶縁層にクラック等が生じ、上記層間樹脂絶縁層を挟んだ導体回路間で短絡が発生してしまうことがあった。
【0023】
これに対し、本発明の樹脂フィルムは、2種類の異なる熱硬化性樹脂を含んでいるため、第一の熱硬化性樹脂として熱可塑性樹脂と高い親和性を有する樹脂を選択することにより、これらの樹脂が均一に混在しあった複合樹脂を形成し、第二の熱硬化性樹脂として、第一の熱硬化性樹脂との親和性に優れた樹脂を選択することにより、上記複合樹脂が第二の熱硬化性樹脂中に相溶状態で分散したものを得ることができ、これにより熱硬化性樹脂が硬化する前に熱可塑性樹脂が凝集したり、不均一に分散したりすることを防止することができ、上記した熱可塑性樹脂の存在の偏りに起因する不都合を回避することができ、また、酸または酸化剤に可溶性の粒子の凝集や不均一な分散も防止することができる。
また、本発明の樹脂フィルムにおいて、熱硬化性樹脂として硬化温度の異なる2種類の熱硬化性樹脂を選択した場合、ある温度においては、第一の熱硬化性樹脂のみを硬化状態にし、第二の熱硬化性樹脂を未硬化状態にすることができ、さらに、温度を高めることにより全ての熱硬化性樹脂を硬化させることができる。この場合、第二の熱硬化性樹脂の存在により、第一の熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂の存在に起因する硬化時の応力を緩和することができ、硬化時に層間樹脂絶縁層にクラック等が発生することを防止することができる。また、硬化温度のプロファイル(硬化温度、ステップキュア)を調整することによって、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とが完全に相溶した層間樹脂絶縁層を形成することができる。
なお、この場合の相溶とは、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とが、完全に混ざり合って1種類の樹脂となっている状態ではなく、それぞれが樹脂の状態で複雑に絡み合うように構成され、擬似的に相溶している状態をいい、場所によっては、球状ドメイン構造や共連続構造となっていてもよい。
【0024】
本発明の樹脂フィルムは、酸または酸化剤に難溶性の樹脂(以下、難溶性樹脂という)中に、酸または酸化剤に可溶性の粒子(以下、可溶性粒子という)が分散しており、該難溶性の樹脂として、2種の熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とからなる樹脂複合体が用いられている。
【0025】
なお、本発明で使用する「難溶性」「可溶性」なる語は、同一の酸または酸化剤からなる溶液に同一時間浸漬した場合に、相対的に溶解速度の早いものを便宜上「可溶性」と呼び、相対的に溶解速度の遅いものを便宜上「難溶性」と呼ぶ。
【0026】
上記可溶性粒子としては、例えば、酸または酸化剤に可溶性の樹脂粒子(以下、可溶性樹脂粒子という)、酸または酸化剤に可溶性の無機粒子(以下、可溶性無機粒子という)、酸または酸化剤に可溶性の金属粒子(以下、可溶性金属粒子という)等が挙げられる。これらの可溶性粒子は、単独で用いても良いし、2種以上併用してもよい。
【0027】
上記可溶性粒子の形状は特に限定されず、球状、破砕状等が挙げられる。また、上記可溶性粒子の形状は、一様な形状であることが望ましい。均一な粗さの凹凸を有する粗化面を形成することができるからである。
【0028】
上記可溶性粒子の平均粒径としては、0.1〜10μmが望ましい。また、可溶性粒子は同一の粒径を有するもののみからなってもよいし、上記粒径の範囲であれば、2種類以上の異なる粒径のものを含有してもよい。例えば、平均粒径が0.1〜0.5μmの可溶性粒子と平均粒径が1〜3μmの可溶性粒子とを含有する等である。この場合、より複雑な形状の粗化面を形成することができる。なお、本発明において、可溶性粒子の粒径とは、可溶性粒子の一番長い部分の長さである。
【0029】
上記可溶性樹脂粒子としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等からなるものが挙げられ、酸あるいは酸化剤からなる溶液に浸漬した場合に、上記難溶性樹脂よりも溶解速度が速いものであれば特に限定されない。
上記可溶性樹脂粒子の具体例としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂等からなるものが挙げられ、これらの樹脂の1種からなるものであってもよいし、2種以上の樹脂の混合物からなるものであってもよい。可溶性粒子としてこのような可溶性樹脂粒子を用いる場合、その粒子径は、0.1〜5μmであることが望ましい。
【0030】
また、上記可溶性樹脂粒子としては、ゴムからなる樹脂粒子を用いることもできる。上記ゴムとしては、例えば、ポリブタジエンゴム、エポキシ変性、ウレタン変性、(メタ)アクリロニトリル変性等の各種変性ポリブタジエンゴム、カルボキシル基を含有した(メタ)アクリロニトリル・ブタジエンゴム等が挙げられる。これらのゴムを使用することにより、可溶性樹脂粒子が酸あるいは酸化剤に溶解しやすくなる。つまり、酸を用いて可溶性樹脂粒子を溶解する際には、強酸以外の酸でも溶解することができ、酸化剤を用いて可溶性樹脂粒子を溶解する際には、比較的酸化力の弱い過マンガン酸でも溶解することができる。また、クロム酸を用いた場合でも、低濃度で溶解することができる。そのため、酸や酸化剤が樹脂表面に残留することがなく、後述するように、粗化面形成後、塩化パラジウム等の触媒を付与する際に、触媒が付与されなたかったり、触媒が酸化されたりすることがない。
【0031】
上記可溶性無機粒子としては、例えば、アルミニウム化合物、カルシウム化合物、カリウム化合物、バリウム化合物、マグネシウム化合物およびケイ素化合物からなる群より選択される少なくとも1種からなる粒子等が挙げられる。
【0032】
上記アルミニウム化合物としては、例えば、アルミナ、水酸化アルミニウム等が挙げられ、上記カルシウム化合物としては、例えば、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム等が挙げられ、上記カリウム化合物としては、炭酸カリウム等が挙げられ、上記バリウム化合物としては、炭酸バリウム等が挙げられ、上記マグネシウム化合物としては、マグネシア、ドロマイト、塩基性炭酸マグネシウム等が挙げられ、上記ケイ素化合物としては、シリカ、ゼオライト等が挙げられる。これらは単独で用いても良いし、2種以上併用してもよい。
これらのなかでは、ケイ素化合物が望ましく、特に、シリカが望ましい。
このような可溶性無機粒子を含む樹脂フィルムを用いて層間樹脂絶縁層を形成し、この層間樹脂絶縁層の表面に酸や酸化剤を用いて粗化面を形成する場合、後述するように、可溶性無機粒子が溶解する作用に加えて、可溶性無機粒子が脱落する作用によっても粗化面が形成される。従って、この場合には、短時間で層間樹脂絶縁層の表面に粗化面を形成することができ、そのため、層間樹脂絶縁層に悪影響を与えるおそれが少なくなる。
【0033】
上記可溶性無機粒子としては、2種以上の可溶性無機粒子を併用することが望ましい。混合して用いる可溶性無機粒子の組み合わせとしては、酸や酸化剤に相対的に溶解しやすい可溶性無機粒子と酸や酸化剤により脱落しやすい可溶性無機粒子との組み合わせが望ましい。このような組み合わせの可溶性無機粒子を併用することにより、より複雑な形状の粗化面を形成することができる。
また、上記可溶性無機粒子としては、異なる粒径を有するものを併用することが望ましい。例えば、平均粒径が2μm前後の可溶性無機粒子と平均粒径が0.5〜1.5μmの可溶性無機粒子とを併用する等である。これにより、より複雑な形状の粗化面を形成することができる。
従って、このような無機粒子を含む樹脂フィルムを用いて多層プリント配線板を製造した場合、層間樹脂絶縁層と導体回路とが密着性に優れたものとなる。
【0034】
上記可溶性金属粒子としては、例えば、銅、ニッケル、鉄、亜鉛、鉛、金、銀、アルミニウム、マグネシウム、カルシウムおよびケイ素からなる群より選択される少なくとも1種からなる粒子等が挙げられる。また、これらの可溶性金属粒子は、絶縁性を確保するために、表層が樹脂等により被覆されていてもよい。
【0035】
上記可溶性粒子は、1種のみを用いても良いが、2種以上を混合して用いることが望ましい。2種以上の可溶性粒子を組み合わせて用いることにより、より複雑な形状の粗化面を形成することができる。この場合、混合して用いる2種の可溶性粒子の組み合わせとしては、樹脂粒子と無機粒子との組み合わせが望ましい。
【0036】
これは、樹脂粒子と無機粒子とを組み合わせて用いる場合、両者の酸や酸化剤による溶解プロセスの違いに起因して複雑な形状の粗化面を形成することができるからである。
即ち、可溶性樹脂粒子は、難溶性樹脂と同じ樹脂同士であるため、幾分か難溶性樹脂との相溶性を有し、難溶性樹脂との親和性に富み、酸化剤等により完全に溶解される前に、可溶性樹脂粒子が難溶性樹脂の層から剥離することはなく、形成される凹部の大きさも浸漬時間に比例して大きくなり、樹脂粒子の輪郭と同じ壁面を有する凹部は形成されにくい。
これに対して、可溶性無機粒子は、難溶性樹脂とは、異質の粒子であり、難溶性樹脂と親和性や相溶性を有さないため、酸化剤等により可溶性無機粒子を溶解する際に、該可溶性無機粒子と難溶性樹脂との界面から溶解し始め、無機粒子が完全に溶解しなくても、可溶性無機粒子が難溶性樹脂から剥離し、ある程度の大きさになると、可溶性無機粒子が脱落して樹脂粒子の輪郭と同じ壁面を有する凹部が形成されることとなる。
従って、このように異なる溶解プロセスを経て形成される粗化面の形状は、より複雑なものとなる。特に、可溶性無機粒子としてシリカを用いた場合には、樹脂粒子により形成される凹部とは、全く異なる形状の凹部を形成することができるため、より複雑な形状の粗化面を形成することができる。
【0037】
また、樹脂粒子と無機粒子とを併用した場合には、両者とも導電性が低くいため樹脂フィルムの絶縁性を確保することができるとともに、難溶性樹脂との間で熱膨張の調整が図りやすい。従って、該樹脂フィルムを用いて層間樹脂絶縁層を形成した多層プリント配線板を製造した場合、得られた多層プリント配線板では、この層間樹脂絶縁層にクラックが発生しにくく、また、層間樹脂絶縁層と導体回路との間で剥離が発生しにくい。
【0038】
上記難溶性樹脂は、層間樹脂絶縁層に酸または酸化剤を用いて粗化面を形成する際に、粗化面の形状を保持できるものであり、2種の熱硬化性樹脂と少なくとも1種の熱可塑性樹脂とからなる樹脂複合体である。
難溶性樹脂として、このような樹脂複合体を用いることにより、上述したように、上記樹脂フィルムを張り付ける際には、粗化面等に対する追従性と、形状保持性とを同時に得ることができる。
【0039】
上記熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、メラミン、尿素樹脂等のアミノ樹脂、エポキシ樹脂、エポキシ変成ポリイミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。
上記樹脂複合体には、このような熱硬化性樹脂が2種含まれている。また、上記樹脂複合体に含まれる2種の熱硬化性樹脂は、そのうちの1種がエポキシ樹脂であることが望ましく、エポキシ樹脂とフェノール樹脂との組み合わせや、エポキシ樹脂とポリイミド樹脂との組み合わせがより望ましい。
【0040】
上記エポキシ樹脂の具体例としては、例えば、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、アルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェノールF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、フェノール類とフェノール性水酸基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物のエポキシ化物、トリグリシジルイソシアヌレート、脂環式エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。それにより、より耐熱性等に優れるものとなる。
また、これらのなかでは、1分子中に、2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂がより望ましい。所望の形状の粗化面を形成するのに適しているばかりでなく、耐熱性等にも優れているため、このようなエポキシ樹脂を含む樹脂フィルムを用いて形成した多層プリント配線板では、ヒートサイクル条件下においても、層間樹脂絶縁層にクラックが発生したり、層間樹脂絶縁層と導体回路との間で剥離が発生したりしにくい。
【0041】
上記樹脂複合体中に、このような熱硬化性樹脂を2種含む場合、該樹脂複合体は、異なる特性を同時に確保することができる。
具体的には、例えば、エポキシ樹脂とフェノール樹脂とを含む場合、樹脂複合体は、エポキシ樹脂の存在に起因して耐クラック性等の機械的特性に優れ、フェノール樹脂の存在に起因して金属層との密着性に優れることとなる。
この場合、フェノール樹脂として、トリアジン構造含有フェノール樹脂を用いることにより、より優れた金属層との密着性を得ることができる。
また、樹脂複合体が、熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂とポリイミド樹脂とを含む場合には、上記同様、エポキシ樹脂の存在に起因して耐クラック性等の機械的特性に優れるとともに、ポリイミド樹脂の存在に起因して耐熱性に優れることとなる。
また、上述したように、熱可塑性樹脂との親和性が異なる2種の熱硬化性樹脂を選択することにより、熱可塑性樹脂の局在化を防止し、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とが完全に相溶した樹脂フィルムを形成することができ、また、硬化温度の異なる熱硬化性樹脂を選択することにより、硬化温度が低い熱硬化性樹脂を硬化する際に発生する応力を緩和することができる。このような効果は、具体的には、例えば、エポキシ樹脂/フェノール樹脂/ポリエーテルスルホン、ポリイミド樹脂/フェノール樹脂/ポリエーテルスルホン、エポキシ樹脂/フェノール樹脂/フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂/フェノール樹脂/フェノキシ樹脂等の組み合わせからなる樹脂複合体を用いることにより得ることができる。
【0042】
上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、フェノキシ樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリアクリレート、ポリアミドイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリオキシベンゾエート、ポリ塩化ビニル、ポリアセタール、ポリカーボネート等が挙げられる。
これらの熱可塑性樹脂は、単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
これらのなかでは、フェノキシ樹脂、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン等が望ましく、フェノキシ樹脂がより望ましい。これは、フェノキシ樹脂がこれらの樹脂のなかでは、比較的柔らかく、どのような熱硬化性樹脂と組み合わせても層分離が発生しにくく、形成する層間樹脂絶縁層にクラック等が発生しにくいからである。
このような樹脂フィルムにおける熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との配合比率は、重量比で、10:1〜5であることが望ましい。上記した特性、即ち、追従性と形状保持性とを同時に確保することができるからである。
【0043】
本発明の樹脂フィルムにおいて、上記可溶性粒子は、上記難溶性樹脂中にほぼ均一に分散されていることが望ましい。均一な粗さの凹凸を有する粗化面を形成することができ、樹脂フィルムにバイアホールやスルーホールを形成しても、その上に形成する導体回路との密着性を確保することができるからである。また、粗化面を形成する表層部だけに可溶性粒子を含有する樹脂フィルムを用いてもよい。それによって、樹脂フィルムの表層部以外は酸または酸化剤にさらされることがないため、層間樹脂絶縁層を介した導体回路間の絶縁性が確実に保たれる。
【0044】
上記樹脂フィルムにおいて、難溶性樹脂中に分散している可溶性粒子の配合量は、樹脂フィルムに対して、3〜40重量%が望ましい。可溶性粒子の配合量が3重量%未満では、所望の凹凸を有する粗化面を形成することができない場合があり、40重量%を超えると、酸または酸化剤を用いて可溶性粒子を溶解した際に、樹脂フィルムの深部まで溶解してしまい、樹脂フィルムからなる層間樹脂絶縁層を介した導体回路間の絶縁性を維持できず、短絡の原因となる場合がある。
【0045】
上記樹脂フィルムは、上記可溶性粒子、上記難溶性樹脂以外に、硬化剤、その他の成分等を含有していることが望ましい。
上記硬化剤としては、例えば、イミダゾール系硬化剤、アミン系硬化剤、グアニジン系硬化剤、これらの硬化剤のエポキシアダクトやこれらの硬化剤をマイクロカプセル化したもの、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスフォニウム・テトラフェニルボレート等の有機ホスフィン系化合物等が挙げられる。
【0046】
上記硬化剤の含有量は、樹脂フィルムに対して0.05〜10重量%であることが望ましい。0.05重量%未満では、樹脂フィルムの硬化が不十分であるため、酸や酸化剤が樹脂フィルムに侵入する度合いが大きくなり、樹脂フィルムの絶縁性が損なわれることがある。一方、10重量%を超えると、過剰な硬化剤成分が樹脂の組成を変性させることがあり、信頼性の低下を招いたりしてしまうことがある。
【0047】
上記その他の成分としては、例えば、粗化面の形成に影響しない無機化合物あるいは樹脂等のフィラーが挙げられる。上記無機化合物としては、例えば、シリカ、アルミナ、ドロマイト等が挙げられ、上記樹脂としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリフェニレン樹脂、メラニン樹脂、オレフィン系樹脂等が挙げられる。これらのフィラーを含有させることによって、熱膨脹係数の整合や耐熱性、耐薬品性の向上などを図ることができ、ひいては、樹脂フィルムを用いて製造した多層プリント配線板の性能を向上させることができる。
【0048】
また、上記樹脂フィルムは、溶剤を含有していてもよい。上記溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテートやトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上併用してもよい。
【0049】
本発明の樹脂フィルムは、例えば、以下の方法により作製することができる。
即ち、まず、可溶性粒子および難溶性樹脂と、必要に応じて配合する硬化剤等とを混合し、可溶性粒子が難溶性樹脂中に均一に分散した樹脂フィルム形成用組成物を調整する。次に、この樹脂フィルム形成用組成物を成形型にいれ、乾燥、半硬化させることにより樹脂フィルムとする。
なお、樹脂フィルム形成用組成物を成形型に入れる代わりに、PETフィルム等の離型フィルム上にロールコーター等を用いて、樹脂フィルム形成用組成物を塗布した後、乾燥、半硬化させることにより樹脂フィルムを形成してもよい。
なお、成形した樹脂フィルムの片面に銅箔等の金属層を形成してもよい。
【0050】
このような樹脂フィルムは、基板上に導体回路と層間樹脂絶縁層とが順次積層形成された多層プリント配線板の製造に用いられるものであり、この樹脂フィルムを用いて製造された多層プリント配線板は、ヒートサイクル条件下においても、クラックが発生したり、導体回路との間で剥離が発生したりしにくく、かつ、耐熱性と導体回路との密着性等の優れた異なる特性を有する層間樹脂絶縁層が形成されたものとなる。
【0051】
次に、本発明の多層プリント配線板の製造方法について説明する。
本発明の多層プリント配線板の製造方法は、基板上に導体回路と層間樹脂絶縁層とを順次積層形成する多層プリント配線板の製造方法であって、
上記層間樹脂絶縁層を形成する際に、本発明の樹脂フィルムを用い、
上記樹脂フィルムを減圧下または真空下において、0.2〜1MPaの圧力で圧着した後、
非貫通孔および/または貫通孔を形成することを特徴とする。
【0052】
本発明の多層プリント配線板の製造方法によれば、本発明の樹脂フィルムが用いられているため、層間樹脂絶縁層を形成した後、その表面に所望の凹凸を有する粗化面を形成することができ、ヒートサイクル条件下においても、クラックが発生したり、導体回路との間で剥離が発生したりしにくく、貫通孔や非貫通孔を形成した際にも形状保持性に優れる層間樹脂絶縁層を形成することができる。
また、本発明の製造方法では、複数の異なる特性(例えば、機械的特性および導体回路との密着性)に優れた層間樹脂絶縁層を形成することができる。
【0053】
以下、本発明の多層プリント配線板の製造方法について、工程順に説明する。
(1)本発明の製造方法においては、まず、絶縁性基板の表面に導体回路が形成された基板を作製する。
上記絶縁性基板としては、樹脂基板が望ましく、具体的には、ガラスエポキシ基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、ビスマレイミド−トリアジン樹脂基板、熱硬化性ポリフェニレンエーテル基板、フッ素樹脂基板、銅張積層板、RCC基板等が挙げられる。
このとき、必要に応じて、絶縁性基板に貫通孔を設けてもよい。この場合、貫通孔は直径100〜300μmのドリル、レーザ光等を用いて形成することが望ましい。
【0054】
(2)次に、無電解めっきを施した後、基板上に導体回路形状のエッチングレジストを形成し、エッチングを行うことにより導体回路を形成する。無電解めっきとしては銅めっきが望ましい。また、絶縁性基板に貫通孔を設けた場合には、該貫通孔の壁面にも同時に無電解めっきを施してスルーホールを形成することにより、基板の両面の導体回路間を電気的に接続してもよい。
【0055】
さらに、この無電解めっきの後、無電解めっき層表面とスルーホールを形成した場合にはスルーホール内壁との粗化形成処理を施し、導体回路表面を粗化面とすることが望ましい。上記粗化形成処理方法としては、例えば、黒化(酸化)−還元処理、有機酸と第二銅錯体の混合水溶液によるスプレー処理、Cu−Ni−P針状合金めっきによる処理等が挙げられる。
【0056】
上記黒化(酸化)−還元処理の具体的な方法としては、NaOH(10〜20g/l)、NaClO2 (40〜50g/l)、Na3 PO4 (6〜15g/l)を含む水溶液を黒化浴(酸化浴)とする黒化処理、および、NaOH(2.7〜10g/l)、NaBH4 (1.0〜6.0g/l)を含む水溶液を還元浴とする還元処理を行う方法等が挙げられる。
【0057】
上記エッチング処理に用いるエッチング液としては、有機酸と第二銅錯体との混合溶液が望ましい。上記有機酸としては、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、アクリル酸、クロトン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、マレイン酸、安息香酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、スルファミン酸等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。上記エッチング液において、上記有機酸の含有量は、0.1〜30重量%が望ましい。酸化された銅の溶解性を維持し、かつ触媒安定性を確保することができるからである。
【0058】
上記第二銅錯体としては、アゾール類の第二銅錯体が望ましい。このアゾール類の第二銅錯体は、金属銅等を酸化する酸化剤として作用する。アゾール類としては、例えば、ジアゾール、トリアゾール、テトラゾール等が挙げられる。これらのなかでも、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾールが望ましい。上記エッチング液において、上記第二銅錯体の含有量は、1〜15重量%が望ましい。溶解性および安定性に優れ、また、触媒核を構成するPd等の貴金属をも溶解させることができるからである。
【0059】
上記めっき処理としては、例えば、硫酸銅(1〜40g/l)、硫酸ニッケル(0.1〜6.0g/l)、クエン酸(10〜20g/l)、次亜リン酸ナトリウム(10〜100g/l)、ホウ酸(10〜40g/l)および界面活性剤(日信化学工業社製、サーフィノール465)(0.01〜10g/l)を含むpH=9の無電解めっき浴にて無電解めっきを施し、Cu−Ni−P合金からなる粗化層を形成する方法等が挙げられる。
この範囲で析出するめっき被膜の結晶構造は、針状構造となるため、アンカー効果に優れるからである。上記無電解めっき浴には、上記化合物を加えて錯化剤や添加剤を加えてもよい。
このような粗化面の形成は必要に応じて行えばよく、導体回路の表面を粗化面にすることなく、次の工程を行ってもよい。
【0060】
また、この工程で、スルーホールを形成した場合には、樹脂充填材をスルーホールに充填する。また、必要に応じて、絶縁性基板表面の下層導体回路が形成されていない凹部に樹脂充填材を充填し、その後、研磨等を行って下層導体回路および樹脂充填材の表面を平坦化してもよい。
【0061】
スルホール内に樹脂充填材を充填した場合には、該樹脂充填材を、例えば、100℃/20分の条件で乾燥させた後、硬化させる。
硬化は、温度50〜250℃の間で行うことが望ましい。この硬化条件の一例としては、100℃で1時間加熱した後、150℃で1時間加熱する方法が挙げられる。必要に応じて、順次低い温度から高い温度へと温度を変化させて硬化させるステップ硬化を行ってもよい。
【0062】
研磨を行って下層導体回路等の表面を平坦化した場合には、必要に応じて、もう一度、下層導体回路の粗化処理を行ってもよい。粗化処理方法としては、例えば、黒化(酸化)−還元処理、有機酸と第二銅錯体との混合水溶液によるスプレー処理、Cu−Ni−P合金めっきによる処理等が挙げられる。
【0063】
(3)次に、導体回路が形成された基板上に、本発明の樹脂フィルムを圧着することにより未硬化(半硬化)の樹脂フィルム層を形成する。
上記樹脂フィルムの圧着は、真空ラミネータ等の装置を用い、減圧下または真空下において、0.2〜1MPaの圧力で行う。
【0064】
上記樹脂フィルムを圧着する際の圧力が、0.2MPa未満では、樹脂フィルム層の下部に形成された導体回路と樹脂フィルム層との密着性が低く、層間樹脂絶縁層を形成した際に、該層間樹脂絶縁層と導体回路との間で剥離が発生したり、バイアホール用開口等を形成した層間樹脂絶縁層に、酸や酸化剤を用いて粗化面を形成する際に、該酸や酸化剤がバイアホール用開口の底面付近から層間樹脂絶縁層と導体回路との界面に侵入しやすく、両者の間で剥離が発生する原因となる場合がある。一方、上記樹脂フィルムを圧着する際の圧力が1MPaを超えると、可溶性粒子が層間樹脂絶縁層の表層部に凝集してしまう部分が発生し、凝集した可溶性粒子が溶解または脱落した場合には、粗化面に所望の形状の凹凸を形成することができず、層間樹脂絶縁層と層間樹脂絶縁層の上に形成する導体回路との密着強度が0.5kg以下となり、導体回路の剥離が発生しやすくなる。
【0065】
上記樹脂フィルムを圧着する際の圧力は、0.3〜0.7MPaが望ましい。
これは、可溶性粒子の大きさ、密度等にあまり関係なく均一な凹凸を有する粗化面を形成することができ、層間樹脂絶縁層と導体回路との間に所望の密着強度を維持することができるため、該層間樹脂絶縁層と導体回路との間で剥離が発生しないからである。
【0066】
また、上記樹脂フィルムの圧着は、加熱下で行うことが望ましく、40〜70℃の温度下で行うことがより望ましい。
加熱温度が40℃未満では、加熱する効果がほとんど得られず、加熱温度が70℃を超えると、樹脂フィルムが硬化剤や溶剤を含有する場合に、これらの硬化剤や溶剤が揮発したり、変性したりしてしまい、硬化が不充分であったり、硬化が進行しすぎてバイアホール用開口の底面に樹脂が残渣として残ることがあり、バイアホールを含む導体回路の接続信頼性が低下してしまうことがある。
【0067】
より望ましい加熱温度は、50〜60℃である。樹脂フィルム中の可溶性粒子が凝集することがなく、また、樹脂フィルムが含有する硬化剤やその他の成分が、硬化前に揮発したり、変性したりすることがないからである。
【0068】
また、上記樹脂フィルムを圧着する時間は、10〜120秒が望ましい。
圧着時間が10秒未満では、樹脂フィルムの圧着が不充分であり、一方、圧着時間が120秒を超えても樹脂フィルムと導体回路との密着性はほとんど向上しないからである。
【0069】
また、上記樹脂フィルムを圧着する際の真空度は、13〜1300Paが望ましい。
上記真空度を13Pa未満にすることは、技術的に容易でなく、時間もかかる。一方、1300Paを超えると、配線間隔が50μm未満の導体回路間に樹脂フィルムが完全に充填されないことがある。
【0070】
(6)次に、未硬化の樹脂フィルム層に硬化処理を施すとともに、非貫通孔および/または貫通孔し、層間樹脂絶縁層とする。また、この工程では、必要に応じて、貫通孔を形成してもよい。
なお、上記非貫通孔とは、例えば、バイアホール用開口であり、上記貫通孔とは、例えば、スルホール用貫通孔である。
【0071】
上記バイアホール用開口は、レーザ処理により形成することが望ましい。上記レーザ処理は、上記硬化処理前に行ってもよいし、硬化処理後に行ってもよい。
また、樹脂フィルム層の材料や、形成する開口径によっては露光、現像処理を行うことにより、バイアホール用開口を設けてもよい。なお、この場合、露光、現像処理は、上記硬化処理前に行う。
【0072】
上記レーザ処理で使用するレーザとしては、例えば、炭酸ガスレーザ、エキシマレーザ、UVレーザ、YAGレーザ等が挙げられる。
これらのレーザは、形成するバイアホール用開口や貫通孔の形状等を考慮して使い分けてもよい。
【0073】
上記バイアホール用開口を形成する場合、マスクを介して、ホログラム方式のエキシマレーザによりレーザ光を照射することにより、一度に多数のバイアホール用開口を形成することができる。
また、短パルスの炭酸ガスレーザを用いて、バイアホール用開口を形成すると、開口内の樹脂残りが少なく、開口周縁の樹脂に対するダメージが小さい。
【0074】
また、光学系レンズとマスクとを介してレーザ光を照射することにより、一度に多数のバイアホール用開口を形成することができる。
光学系レンズとマスクとを介することにより、同一強度で、かつ、照射角度が同一のレーザ光を複数の部分に同時に照射することができるからである。
【0075】
上記マスクに形成された貫通孔は、レーザ光のスポット形状を真円にするために、真円であることが望ましく、上記貫通孔の径は、0.1〜2mm程度が望ましい。
また、上記炭酸ガスレーザを用いる場合、そのパルス間隔は、10-4〜10-8秒であることが望ましい。また、開口を形成するためのレーザを照射する時間は、10〜500μ秒であることが望ましい。
【0076】
レーザ光にてバイアホール用開口を形成した場合、特に炭酸ガスレーザを用いた場合には、デスミア処理を行うことが望ましい。上記デスミア処理は、クロム酸、過マンガン酸塩等の水溶液からなる酸化剤を使用して行うことができる。また、酸素プラズマ、CF4 と酸素の混合プラズマやコロナ放電等で処理してもよい。また、低圧水銀ランプを用いて紫外線を照射することにより、表面改質することもできる。
【0077】
上記層間樹脂絶縁層の厚さとしては特に限定されないが、5〜50μmが望ましい。
上記厚さが5μm未満であると、上下に隣合う導体回路間の絶縁性が維持できない場合があり、一方、50μmを超えると、非貫通孔等を形成した際に、その底部に樹脂残りが発生したり、その非貫通孔等の形状が底部に向かって先細り形状になることがある。
【0078】
また、層間樹脂絶縁層を形成した基板に、貫通孔を形成する場合には、直径50〜300μmのドリル、レーザ光等を用いて貫通孔を形成する。
上記貫通孔を形成した場合、後述する工程において、貫通孔の内壁面に導体層を形成することにより、スルーホールとすることができ、該スルーホールを形成することにより、上記基板および上記層間樹脂絶縁層を介した導体回路間を電気的に接続することができる。
【0079】
(7)次に、バイアホール用開口の内壁を含む層間樹脂絶縁層の表面と上記工程で貫通孔を形成した場合には貫通孔の内壁とに、必要に応じて、酸または酸化剤を用いて粗化面を形成する。
上記酸としては、硫酸、硝酸、塩酸、リン酸、蟻酸等が挙げられ、上記酸化剤としては、クロム酸、クロム硫酸、過マンガン酸ナトリウム等の過マンガン酸塩等が挙げられる。
また、層間樹脂絶縁層をフェノキシ樹脂を含む樹脂フィルムを用いて形成した場合には、上記過マンガン酸塩を用いて粗化面を形成することが望ましい。
【0080】
その後、酸を用いて粗化面を形成した場合はアルカリ等の水溶液を用い、酸化剤を用いて粗化面を形成した場合は中和液を用いて、バイアホール用開口内や貫通孔内を中和する。この操作により酸や酸化剤を除去し、次工程に影響を与えないようにする。
【0081】
(8)次に、形成された粗化面に、必要により、触媒を付与する。上記触媒としては、例えば、塩化パラジウム等が挙げられる。
このとき、触媒を確実に付与するために、酸素、窒素等のプラズマ処理やコロナ処理等のドライ処理を施すことにより、酸または酸化剤の残渣を除去するとともに層間樹脂絶縁層の表面を改質することにより、触媒を確実に付与し、無電解めっき時の金属の析出、および、無電解めっき層の層間樹脂絶縁層への密着性を向上させることができ、特に、バイアホール用開口の底面において、大きな効果が得られる。
【0082】
(9)ついで、バイアホール用開口の内壁面を含む層間樹脂絶縁層の表面に、薄膜導体層を形成する。
上記薄膜導体層は無電解めっきにより形成することが望ましいが、スパッタリング、蒸着等の方法を用いて形成してもよい。
上記薄膜導体層の材質としては、例えば、銅やニッケルこれらの合金等が挙げられる。
これらなかでは、電気特性、経済性の点から銅が望ましい。
【0083】
上記無電解めっきにより形成した薄膜導体層の厚さは、0.3〜2.0μmが望ましい。
上記薄膜導体層の厚さが0.3μm未満では、上面の平坦な薄膜導体層を形成することができず、一方、2.0μmを超えると、後工程で薄膜導体層を除去する際に、層間樹脂絶縁層の表面に薄膜導体層が残留することがある。
【0084】
また、上記(6)の工程で貫通孔を形成した場合は、この工程で貫通孔の内壁面にも金属からなる薄膜導体層を形成することにより、スルーホールとしてもよい。
【0085】
上記(6)の工程で、スルーホールを形成した場合には、以下のような処理工程を行うことが望ましい。即ち、無電解めっき層表面とスルーホール内壁とを黒化(酸化)−還元処理、有機酸と第二銅錯体の混合水溶液によるスプレー処理、Cu−Ni−P針状合金めっきによる処理等を用いて粗化形成処理を行う。この後、さらに、樹脂充填材等を用いてスルーホール内を充填し、ついで、樹脂充填材の表層部と無電解めっき層表面とをバフ研磨等の研磨処理方法を用いて、平坦化する。
さらに、無電解めっきを行い、既に形成した金属からなる薄膜導体層と樹脂充填材の表層部とに無電解めっき層を形成することにより、スルーホールの上に蓋めっき層を形成する。
【0086】
(10)次に、上記層間樹脂絶縁層上の一部にドライフィルムを用いてめっきレジストを形成し、その後、上記薄膜導体層をめっきリードとして電気めっきを行い、上記めっきレジスト非形成部に電気めっき層を形成する。
このとき、バイアホール用開口を電気めっきで充填してフィールドビア構造としてもよく、バイアホール用開口に導電性ペースト等を充填した後、その上に蓋めっき層を形成してフィールドビア構造としてもよい。フィールドビア構造を形成することにより、バイアホールの直上にバイアホールを設けることができる。
【0087】
(11)電気めっき層を形成した後、めっきレジストを剥離し、めっきレジストの下に存在していた金属からなる薄膜導体層をエッチングにより除去し、独立した導体回路とする。
エッチング液としては、例えば、硫酸−過酸化水素水溶液、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩水溶液、塩化第二鉄、塩化第二銅の水溶液、塩酸、硝酸、熱希硫酸等が挙げられる。また、前述した第二銅錯体と有機酸とを含有するエッチング液を用いて、導体回路間のエッチングと同時に粗化面を形成してもよい。
さらに、必要により、酸または酸化剤を用いて層間樹脂絶縁層上に触媒を除去してもよい。触媒を除去することにより、触媒に用いたパラジウム等の金属がなくなるため、電気特性の低下を防止することができる。
【0088】
(12)この後、上記(3)〜(11)の工程を必要に応じて繰り返すことにより、導体回路と層間樹脂絶縁層とが順次積層された基板を作製する。
【0089】
(13)次に、最上層の導体回路を含む基板面にソルダーレジスト層を形成し、さらに、該ソルダーレジスト層を開口して半田パッドを形成した後、上記半田パッドに半田ペーストを充填し、リフローすることにより半田バンプを形成する。その後、外部基板接続面に、ピンを配設したり、半田ボールを形成したりすることにより、PGA(Pin Grid Array)やBGA(Ball Grid Array) とする。
【0090】
上記PGAを配設する場合には、はんだペースト等の導電性接着剤層を介して、コバール、42アロイ等の合金で形成されたピンを接続させることが望ましく、該ピンは、T型ピンが望ましい。
【0091】
上記ソルダーレジスト層は、例えば、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、熱可塑性エラストマー、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等からなるソルダーレジスト組成物を用いて形成することができ、これらの樹脂の具体例としては、例えば、層間樹脂絶縁層に用いた樹脂と同様の樹脂等が挙げられる。
【0092】
また、上記以外のソルダーレジスト組成物としては、例えば、ノボラック型エポキシ樹脂の(メタ)アクリレート、イミダゾール硬化剤、2官能性(メタ)アクリル酸エステルモノマー、分子量500〜5000程度の(メタ)アクリル酸エステルの重合体、ビスフェノール型エポキシ樹脂等からなる熱硬化性樹脂、多価アクリル系モノマー等の感光性モノマー、グリコールエーテル系溶剤などを含むペースト状の流動体が挙げられ、その粘度は25℃で1〜10Pa・sに調整されていることが望ましい。
上記ノボラック型エポキシ樹脂の(メタ)アクリレートとしては、例えば、フェノールノボラックやクレゾールノボラックのグリシジルエーテルをアクリル酸やメタクリル酸等と反応させたエポキシ樹脂等が挙げられる。
【0093】
上記2官能性(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては特に限定されず、例えば、各種ジオール類のアクリル酸やメタクリル酸のエステル等が挙げられ、市販品としては、日本化薬社製のR−604、PM2、PM21等が挙げられる。
【0094】
また、上記ソルダーレジスト組成物はエラストマーや無機フィラーが配合されていてもよい。
エラストマーが配合されていることにより、形成されるソルダーレジスト層は、エラストマーの有する柔軟性および反発弾性により、ソルダーレジスト層に応力が作用した場合でも、該応力を吸収したり緩和したりすることができ、その結果、多層プリント配線板の製造工程や製造した多層プリント配線板にICチップ等の電子部品を搭載した後のソルダーレジスト層にクラックや剥離が発生することを抑制でき、さらに、クラックが発生した場合でも該クラックが大きく成長することがない。
【0095】
上記ソルダーレジスト層を開口する方法としては、例えば、バイアホール用開口を形成する方法と同様に、レーザ光を照射する方法等が挙げられる。
【0096】
また、ソルダーレジスト組成物として、感光性のソルダーレジスト組成物を使用した場合には、ソルダーレジスト層を形成した後、該ソルダーレジスト層上にフォトレジストを載置し、露光、現像処理を施すことにより、ソルダーレジスト層を開口することができる。
【0097】
上記ソルダーレジスト層を開口することにより露出した導体回路部分は、通常、ニッケル、パラジウム、金、銀、白金等の耐食性金属により被覆することが望ましい。具体的には、ニッケル−金、ニッケル−銀、ニッケル−パラジウム、ニッケル−パラジウム−金等の金属により被覆層を形成することが望ましい。
上記被覆層は、例えば、めっき、蒸着、電着等により形成することができるが、これらのなかでは、被覆層の均一性に優れるという点からめっきが望ましい。
【0098】
なお、製品認識文字などを形成するための文字印刷工程やソルダーレジスト層の改質のために、酸素や四塩化炭素などのプラズマ処理を適時行ってもよい。
以上の方法は、セミアディティブ法によるものであるが、フルアディティブ法を採用してもよい。
【0099】
【実施例】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
(実施例1)
A.樹脂フィルムの作製
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量185、油化シェルエポキシ社製 エピコート828EL)30重量部、トリアジン構造含有フェノールノボラック樹脂(トリアジン:フェノール=1:9、大日本インキ化学工業社製 フェノライトLA−7052)30重量部をエチルジグリコールアセテート20重量部、ソルベントナフサ20重量部に攪拌しながら加熱溶解させ、そこへポリエーテルスルホン(PES)(三井化学社製)8重量部、末端エポキシ化ポリブタジエンゴム15重量部、2−フェニル−4、5−ビス(ヒドロキシメチル)イミダゾール粉砕品1.5重量部、シリコン系消泡剤0.5重量部を添加し樹脂組成物を調製した。
得られた樹脂組成物を厚さ38μmのPETフィルム上に乾燥後の厚さが50μmとなるようにロールコーターを用いて塗布した後、80〜120℃で10分間乾燥させることにより、樹脂フィルムを作製した。
【0100】
B.樹脂充填材の調製
ビスフェノールF型エポキシモノマー(油化シェル社製、分子量:310、YL983U)100重量部、表面にシランカップリング剤がコーティングされた平均粒径が1.6μmで、最大粒子の直径が15μm以下のSiO2 球状粒子(アドテック社製、CRS 1101−CE)170重量部およびレベリング剤(サンノプコ社製 ペレノールS4)1.5重量部を容器にとり、攪拌混合することにより、その粘度が23±1℃で45〜49Pa・sの樹脂充填材を調製した。なお、硬化剤として、イミダゾール硬化剤(四国化成社製、2E4MZ−CN)6.5重量部を用いた。
【0101】
C.プリント配線板の製造方法
(1)厚さ0.8mmのガラスエポキシ樹脂またはBT(ビスマレイミド−トリアジン)樹脂からなる基板1の両面に18μmの銅箔8がラミネートされている銅張積層板を出発材料とした(図1(a)参照)。まず、この銅張積層板をドリル削孔し、無電解めっき処理を施し、パターン状にエッチングすることにより、基板1の両面に下層導体回路4とスルーホール9を形成した。
【0102】
(2)スルーホール9および下層導体回路4を形成した基板を水洗いし、乾燥した後、NaOH(10g/l)、NaClO2 (40g/l)、Na3 PO4 (6g/l)を含む水溶液を黒化浴(酸化浴)とする黒化処理、および、NaOH(10g/l)、NaBH4 (6g/l)を含む水溶液を還元浴とする還元処理を行い、そのスルーホール9を含む下層導体回路4の全表面に粗化面4a、9aを形成した(図1(b)参照)。
【0103】
(3)上記Bに記載した樹脂充填材を調製した後、下記の方法により調製後24時間以内に、スルーホール9内、および、基板1の片面の導体回路非形成部と導体回路4の外縁部とに樹脂充填材10の層を形成した。
即ち、まず、スキージを用いてスルーホール内に樹脂充填材を押し込んだ後、100℃、20分の条件で乾燥させた。次に、導体回路非形成部に相当する部分が開口したマスクを基板上に載置し、スキージを用いて凹部となっている導体回路非形成部に樹脂充填材10の層を形成し、100℃、20分の条件で乾燥させた(図1(c)参照)。
【0104】
(4)上記(3)の処理を終えた基板の片面を、#600のベルト研磨紙(三共理化学製)を用いたベルトサンダー研磨により、内層銅パターン4の表面やスルーホール9のランド表面に樹脂充填材10が残らないように研磨し、次いで、上記ベルトサンダー研磨による傷を取り除くためのバフ研磨を行った。このような一連の研磨を基板の他方の面についても同様に行った。
次いで、100℃で1時間、150℃で1時間の加熱処理を行って樹脂充填材10を硬化した。
【0105】
このようにして、スルーホール9や導体回路非形成部に形成された樹脂充填材10の表層部および下層導体回路4の表面を平坦化し、樹脂充填材10と下層導体回路4の側面4aとが粗化面を介して強固に密着し、またスルーホール9の内壁面9aと樹脂充填材10とが粗化面を介して強固に密着した絶縁性基板を得た(図1(d)参照)。即ち、この工程により、樹脂充填材10の表面と下層導体回路4の表面とが同一平面となる。
【0106】
(5)上記基板を水洗、酸性脱脂した後、ソフトエッチングし、次いで、エッチング液を基板の両面にスプレイで吹きつけて、下層導体回路4の表面とスルーホール9のランド表面と内壁とをエッチングすることにより、下層導体回路4の全表面に粗化面4a、9aを形成した(図2(a)参照)。
エッチング液としては、イミダゾール銅(II)錯体10重量部、グリコール酸7重量部、塩化カリウム5重量部からなるエッチング液(メック社製、メックエッチボンド)を使用した。
【0107】
(6)基板の両面に、Aで作製した基板より少し大きめの層間樹脂絶縁層用樹脂フィルムを基板上に載置し、圧力4kgf/cm2 、温度80℃、圧着時間10秒の条件で仮圧着して裁断した後、さらに、以下の方法により真空ラミネーター装置を用いて張り付けることにより層間樹脂絶縁層を形成した(図2(b)参照)。即ち、層間樹脂絶縁層用樹脂フィルムを基板上に、真空度65Pa、圧力0.4MPa、温度80℃、圧着時間60秒の条件で本圧着し、その後、170℃で30分間熱硬化させた。
【0108】
(7)次に、層間樹脂絶縁層2上に、厚さ1.2mmの貫通孔が形成されたマスクを介して、波長10.4μmのCO2 ガスレーザにて、ビーム径4.0mm、トップハットモード、パルス幅8.0μ秒、マスクの貫通孔の径1.0mm、1ショットの条件で層間樹脂絶縁層2に、直径80μmのバイアホール用開口6を形成した(図2(c)参照)。
【0109】
(8)バイアホール用開口6を形成した基板を、60g/lの過マンガン酸を含む80℃の溶液に10分間浸漬し、層間樹脂絶縁層2の表面に存在するエポキシ樹脂粒子を溶解除去することにより、バイアホール用開口6の内壁を含む層間樹脂絶縁層2の表面を粗面とした(図2(d)参照)。
【0110】
(9)次に、上記処理を終えた基板を、中和溶液(シプレイ社製)に浸漬してから水洗いした。
さらに、粗面化処理(粗化深さ3μm)した該基板の表面に、パラジウム触媒を付与することにより、層間樹脂絶縁層2の表面およびバイアホール用開口6の内壁面に触媒核を付着させた。
【0111】
(10)次に、以下の組成の無電解銅めっき水溶液中に基板を浸漬して、粗面全体に厚さ0.6〜3.0μmの無電解銅めっき膜12を形成した(図3(a)参照)。
〔無電解めっき水溶液〕
NiSO4 0.003 mol/l
酒石酸 0.200 mol/l
硫酸銅 0.030 mol/l
HCHO 0.050 mol/l
NaOH 0.100 mol/l
α、α′−ビピリジル 40 mg/l
ポリエチレングリコール(PEG) 0.10 g/l
〔無電解めっき条件〕
35℃の液温度で40分
【0112】
(11)市販の感光性ドライフィルムを無電解銅めっき膜12に張り付け、マスクを載置して、100mJ/cm2 で露光し、0.8%炭酸ナトリウム水溶液で現像処理することにより、厚さ30μmのめっきレジスト3を設けた(図3(b)参照)。
【0113】
(12)ついで、基板を50℃の水で洗浄して脱脂し、25℃の水で水洗後、さらに硫酸で洗浄してから、以下の条件で電解銅めっきを施し、厚さ20μmの電解銅めっき膜13を形成した(図3(c)参照)。
〔電解めっき水溶液〕
硫酸 2.24 mol/l
硫酸銅 0.26 mol/l
添加剤 19.5 ml/l
(アトテックジャパン社製、カパラシドHL)
〔電解めっき条件〕
電流密度 1 A/dm2
時間 65 分
温度 22±2 ℃
【0114】
(13)めっきレジスト3を5%NaOHで剥離除去した後、そのめっきレジスト3下の無電解めっき膜12を硫酸と過酸化水素の混合液でエッチング処理して溶解除去し、無電解銅めっき膜12と電解銅めっき膜13からなる厚さ18μmの導体回路(バイアホール7を含む)5を形成した(図3(d)参照)。
【0115】
(14)(5)と同様の処理を行い、第二銅錯体と有機酸とを含有するエッチング液によって、粗化面を形成した(図4(a)参照)。
【0116】
(15)上記(6)〜(14)の工程を繰り返すことにより、さらに上層の導体回路を形成し、多層配線板を得た(図4(b)〜図5(b)参照)。
【0117】
(15)次に、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG)に60重量%の濃度になるように溶解させた、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬社製)のエポキシ基50%をアクリル化した感光性付与のオリゴマー(分子量:4000)46.67重量部、メチルエチルケトンに溶解させた80重量%のビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェル社製、商品名:エピコート1001)15.0重量部、イミダゾール硬化剤(四国化成社製、商品名:2E4MZ−CN)1.6重量部、感光性モノマーである2官能アクリルモノマー(日本化薬社製、商品名:R604)4.5重量部、同じく多価アクリルモノマー(共栄化学社製、商品名:DPE6A)1.5重量部、分散系消泡剤(サンノプコ社製、S−65)0.71重量部を容器にとり、攪拌、混合して混合組成物を調製し、この混合組成物に対して光重合開始剤としてベンゾフェノン(関東化学社製)2.0重量部、光増感剤としてのミヒラーケトン(関東化学社製)0.2重量部、を加えることにより、粘度を25℃で2.0Pa・sに調整したソルダーレジスト組成物を得た。
なお、粘度測定は、B型粘度計(東京計器社製、DVL−B型)で60rpmの場合はローターNo.4、6rpmの場合はローターNo.3によった。
【0118】
(17)次に、多層配線基板の両面に、上記ソルダーレジスト組成物を20μmの厚さで塗布し、70℃で20分間、70℃で30分間の条件で乾燥処理を行った後、ソルダーレジスト開口部のパターンが描画された厚さ5mmのフォトマスクをソルダーレジスト層に密着させて1000mJ/cm2 の紫外線で露光し、DMTG溶液で現像処理し、200μmの直径の開口を形成した。
そして、さらに、80℃で1時間、100℃で1時間、120℃で1時間、150℃で3時間の条件でそれぞれ加熱処理を行ってソルダーレジスト層を硬化させ、開口を有し、その厚さが20μmのソルダーレジストパターン層14を形成した。上記ソルダーレジスト組成物としては、市販のソルダーレジスト組成物を使用することもできる。
【0119】
(18)次に、ソルダーレジスト層14を形成した基板を、塩化ニッケル(2.3×10-1mol/l)、次亜リン酸ナトリウム(2.8×10-1mol/l)、クエン酸ナトリウム(1.6×10-1mol/l)を含むpH=4.5の無電解ニッケルめっき液に20分間浸漬して、開口部に厚さ5μmのニッケルめっき層15を形成した。さらに、その基板をシアン化金カリウム(7.6×10-3mol/l)、塩化アンモニウム(1.9×10-1mol/l)、クエン酸ナトリウム(1.2×10-1mol/l)、次亜リン酸ナトリウム(1.7×10-1mol/l)を含む無電解金めっき液に80℃の条件で7.5分間浸漬して、ニッケルめっき層15上に、厚さ0.03μmの金めっき層16を形成した。
【0120】
(19)この後、基板のICチップを載置する面のソルダーレジスト層14の開口に、スズ−鉛を含有するはんだペーストを印刷し、さらに他方の面のソルダーレジスト層14の開口にスズ−アンチモンを含有するはんだペーストを印刷した後、200℃でリフローすることによりはんだバンプ(はんだ体)17を形成し、はんだバンプ17を有する多層プリント配線板を製造した(図5(c)参照)。
【0121】
(実施例2)
以下に示す方法で作製した樹脂フィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして多層プリント配線板を製造した。
樹脂フィルムの作製
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量185、油化シェルエポキシ社製 エピコート828EL)30重量部、トリアジン構造含有フェノールノボラック樹脂(トリアジン:フェノール=1:9、大日本インキ化学工業社製フェノライトLA−7052)30重量部をエチルジグリコールアセテート20重量部、ソルベントナフサ20重量部に攪拌しながら加熱溶解させ、そこへフェノキシ樹脂(東都化成社製 YPB−40−PXM40)5重量部、末端エポキシ化ポリブタジエンゴム15重量部、2−フェニル−4、5−ビス(ヒドロキシメチル)イミダゾール粉砕品1.5重量部、シリコン系消泡剤0.5重量部を添加し樹脂組成物を調製した。
得られた樹脂組成物を厚さ38μmのPETフィルム上に乾燥後の厚さが50μmとなるようにロールコーターを用いて塗布した後、80〜120℃で10分間乾燥させることにより、樹脂フィルムを作製した。
【0122】
(実施例3)
実施例1の樹脂フィルムの作製において、末端エポキシ化ポリブタジエンゴム15重量部に代えて、微粉砕シリカ(粒子径0.5μm)15重量部を用いて樹脂フィルムを作製した以外は、実施例1と同様にして多層プリント配線板を製造した。
【0123】
(実施例4)
実施例2の樹脂フィルムの作製において、末端エポキシ化ポリブタジエンゴム15重量部に代えて、微粉砕シリカ(粒子径0.5μm)10重量部を用いて樹脂フィルムを作製した以外は、実施例1と同様にして多層プリント配線板を製造した。
【0124】
(実施例5)
実施例1の樹脂フィルムの作製において、末端エポキシ化ポリブタジエンゴム15重量部に代えて、ケイ素(粒子径1μm)10重量部を用いて樹脂フィルムを作製した以外は、実施例1と同様にして多層プリント配線板を製造した。
【0125】
(実施例6)
実施例1の樹脂フィルムの作製において、末端エポキシ化ポリブタジエンゴム15重量部に代えて、ケイ素(粒子径0.3μm)10重量部を用いて樹脂フィルムを作製した以外は、実施例2と同様にして多層プリント配線板を製造した。
【0126】
(実施例7)
実施例1の樹脂フィルムの作製において、末端エポキシ化ポリブタジエンゴム4重量部と微粉砕シリカ(粒子径0.01μm)2重量部とを加えて樹脂フィルムを作製した以外は、実施例1と同様にして多層プリント配線板を製造した。
【0127】
(実施例8)
実施例1の樹脂フィルムの作製において、末端エポキシ化ポリブタジエンゴム3重量部と微粉砕シリカ(粒子径0.5μm)5重量部とを加えて樹脂フィルムを作製した以外は、実施例2と同様にして多層プリント配線板を製造した。
【0128】
(実施例9)
実施例1の樹脂フィルムの作製において、末端エポキシ化ポリブタジエンゴム2重量部とケイ素(粒子径0.3μm)10重量部とを加えて樹脂フィルムを作製した以外は、実施例1と同様にして多層プリント配線板を製造した。
【0129】
(実施例10)
実施例1の樹脂フィルムの作製において、末端エポキシ化ポリブタジエンゴム5重量部とケイ素(粒子径1μm)3重量部とを加えて樹脂フィルムを作製した以外は、実施例2と同様にして多層プリント配線板を製造した。
【0130】
実施例1〜10で得られた多層プリント配線板について、130℃で3分、−65℃で3分を1サイクルとする信頼性試験を1000サイクル行い、信頼性試験前後の(1)ピール強度、(2)層間樹脂絶縁層でのクラックの発生の有無、(3)層間樹脂絶縁層と導体回路との間での剥離の発生の有無、(4)層間樹脂絶縁層の平坦性、(5)バイアホール用開口の形状を評価した。結果を表1に示した。なお、上記(2)〜(5)の評価は、多層プリント配線板を刃物で切断し、その断面を顕微鏡で観察することにより行った。また、(4)および(5)の評価は、信頼性試験前にのみ行った。
なお、(4)層間樹脂絶縁層の平坦性、および、(5)バイアホール用開口の形状の評価は以下の評価基準で行った。
【0131】
評価基準
(4)層間樹脂絶縁層の平坦性
層間樹脂絶縁層の上面において、下層導体回路表面の凹凸に起因した凹凸が観察されず、かつ、下層導体回路形成部と下層導体回路非形成部の高低差に起因した凹凸(うねり)が観察されないものを良好、それ以外を不良と評価した。
(5)バイアホール用開口の形状
その断面の形状が、逆台形状または矩形状のものを良好とし、その他の形状、例えば、左右の壁面が非対称の歪んだ形状のものを不良とした。
【0132】
【表1】
【0133】
表1に記載したように、実施例1〜10で製造した多層プリント配線板は、信頼性試験後であってもピール強度が1.0kg/cm以上で、導体回路と層間樹脂絶縁層との密着性は充分であった。また、信頼性試験前後において、層間樹脂絶縁層にクラックが発生しているものはなく、また、層間樹脂絶縁層と導体回路との間で剥離が発生しているものも無かった。これらの多層プリント配線板では、層間樹脂絶縁層の平坦性、および、バイアホール用開口の形状についても良好であった。
【0134】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の樹脂フィルムは、酸または酸化剤に難溶性の樹脂中に、酸または酸化剤に可溶性の粒子が分散しており、該難溶性の樹脂として、2種の熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とからなる樹脂複合体が用いられているため、該樹脂フィルムを張り付ける際には、導体回路表面を含む該導体回路の形成された基板表面の形状への追従性、および、形状保持性に優れる。
また、上記樹脂フィルムは、硬化させることにより異なる特性を同時に確保した層間樹脂絶縁層を形成することができる。
また、本発明の樹脂フィルムでは、難溶性樹脂中に可溶性粒子が分散しているため、層間樹脂絶縁層の表面に所望の凹凸を有する粗化面を形成することができる。
従って、本発明の樹脂フィルムによれば、ヒートサイクル条件下においても、クラックが発生したり、導体回路との間で剥離が発生したりしにくく、貫通孔や非貫通孔を形成した際にも形状保持性に優れる層間樹脂絶縁層を形成することができる。
【0135】
また、本発明の多層プリント配線板の製造方法によれば、本発明の樹脂フィルムが用いられているため、層間樹脂絶縁層を形成した後、その表面に所望の凹凸を有する粗化面を形成することができ、ヒートサイクル条件下においても、クラックが発生したり、導体回路との間で剥離が発生したりしにくく、貫通孔や非貫通孔を形成した際にも形状保持性に優れる層間樹脂絶縁層を形成することができる。
また、本発明の製造方法では、複数の異なる特性を獲得した層間樹脂絶縁層を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(d)は、本発明の多層プリント配線板の製造工程の一部を示す断面図である。
【図2】(a)〜(d)は、本発明の多層プリント配線板の製造工程の一部を示す断面図である。
【図3】(a)〜(d)は、本発明の多層プリント配線板の製造工程の一部を示す断面図である。
【図4】(a)〜(c)は、本発明の多層プリント配線板の製造工程の一部を示す断面図である。
【図5】(a)〜(c)は、本発明の多層プリント配線板の製造工程の一部を示す断面図である。
【符号の説明】
1 基板
2 層間樹脂絶縁層
3 めっきレジスト
4 下層導体回路
4a 粗化面
5 導体回路
6 バイアホール用開口
7 バイアホール
8 銅箔
9 スルーホール
9a 粗化面
10 樹脂充填材
12a 無電解銅めっき層
12b 無電解銅めっき層
13 電解銅めっき膜
14 ソルダーレジスト層
15 ニッケルめっき膜
Claims (8)
- 基板上に導体回路と層間樹脂絶縁層とが順次積層形成された多層プリント配線板の製造に用いられる樹脂フィルムであって、
前記樹脂フィルムは、酸または酸化剤に難溶性の樹脂中に、酸または酸化剤に可溶性の粒子が分散しており、
前記難溶性の樹脂は、2種の熱硬化性樹脂と1種の熱可塑性樹脂とからなる樹脂複合体であり、
前記熱可塑性樹脂は、ポリエーテルスルホンであり、
前記可溶性の粒子は、無機粒子、金属粒子、樹脂粒子と無機粒子との組み合わせ、または、樹脂粒子と金属粒子との組み合わせからなることを特徴とする樹脂フィルム。 - 前記熱硬化性樹脂のうちの1種は、エポキシ樹脂である請求項1に記載の樹脂フィルム。
- 前記2種の熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂とフェノール樹脂、または、エポキシ樹脂とポリイミド樹脂である請求項1に記載の樹脂フィルム。
- 前記可溶性の粒子は、無機粒子、または、樹脂粒子と無機粒子との組み合わせからなる請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂フィルム。
- 前記無機粒子は、シリカからなる粒子である請求項4に記載の樹脂フィルム。
- 前記可溶性の粒子の形状は、球状または破砕状である請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂フィルム。
- 前記可溶性の粒子の平均粒径は、0.01〜10μmである請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂フィルム。
- 基板上に導体回路と層間樹脂絶縁層とを順次積層形成する多層プリント配線板の製造方法であって、
前記層間樹脂絶縁層を形成する際に、請求項1〜7のいずれかに記載の樹脂フィルムを用い、
前記樹脂フィルムを減圧下または真空下において、0.2〜1MPaの圧力で圧着した後、
非貫通孔および/または貫通孔を形成することを特徴とする多層プリント配線板の製造方法。
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