JP2002344143A - 多層プリント配線板の製造方法 - Google Patents

多層プリント配線板の製造方法

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JP2002344143A
JP2002344143A JP2001145538A JP2001145538A JP2002344143A JP 2002344143 A JP2002344143 A JP 2002344143A JP 2001145538 A JP2001145538 A JP 2001145538A JP 2001145538 A JP2001145538 A JP 2001145538A JP 2002344143 A JP2002344143 A JP 2002344143A
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hole
resin
holes
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filling
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Katsuyuki Tsutsumi
克幸 堤
Hiroshi Segawa
博史 瀬川
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Ibiden Co Ltd
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Ibiden Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 確実にスルーホール用貫通孔内に樹脂組成物
を充填することができるため、スルーホール形成後、層
間樹脂絶縁層を積層形成した際に、該層間樹脂絶縁層に
うねりや凹凸が発生しない多層プリント配線板を製造方
法を提供する。 【解決手段】 下記(a)〜(e)の工程を経ることに
より、その内部に樹脂充填材層を有する複数のスルーホ
ールを形成する多層プリント配線板を製造方法。 (a)その壁面に導体層を有するスルーホール用貫通孔
を複数形成する貫通孔形成工程、(b)スルーホール用
貫通孔の一部に、その片側から樹脂組成物を充填する樹
脂充填工程A、(c)上記(b)の工程で樹脂組成物を
充填しなかったスルーホール用貫通孔に、上記(b)の
工程と反対側から一回以上樹脂組成物を充填する樹脂充
填工程B、(d)上記樹脂組成物の表面を研磨する研磨
工程、および、(e)上記樹脂組成物を硬化し、スルー
ホールを形成するスルーホール形成工程。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多層プリント配線
板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】いわゆる多層ビルドアップ配線基板と呼
ばれる多層プリント配線板は、セミアディティブ法等に
より製造されており、コアと呼ばれる0.5〜1.5m
m程度のガラスクロス等で補強された樹脂基板の上に、
銅等による導体回路と層間樹脂絶縁層とを交互に積層す
ることにより作製される。この多層プリント配線板の層
間樹脂絶縁層を介した導体回路間の接続は、バイアホー
ルにより行われている。
【0003】従来、ビルドアップ多層プリント配線板
は、例えば、特公平9−130050号公報等に開示さ
れた方法により製造されている。すなわち、まず、銅箔
が貼り付けられた銅張積層板に貫通孔を形成し、続いて
無電解銅めっき処理を施すことによりスルーホールを形
成する。続いて、基板の表面をフォトリソグラフィーの
手法を用いて導体パターン状にエッチング処理して導体
回路を形成する。次に、形成された導体回路の表面に、
無電解めっきやエッチング等により粗化層を形成し、そ
の粗化層の上に絶縁樹脂の層を形成した後、露光、現像
処理を行ってバイアホール用開口を形成し、その後、U
V硬化、本硬化を経て層間樹脂絶縁層を形成する。さら
に、層間樹脂絶縁層に酸や酸化剤などにより粗化処理を
施した後、薄い無電解めっき膜を形成し、この無電解め
っき膜上にめっきレジストを形成した後、電解めっきに
より厚付けを行い、めっきレジスト剥離後にエッチング
を行って導体回路を形成する。これを繰り返すことによ
り、ビルドアップ多層プリント配線板が得られる。
【0004】このような多層プリント配線板において、
銅張基板をエッチングすることにより導体回路を形成す
ると、基板上に凹凸が形成される。また、スルーホール
が形成された直後の基板では、基板内に多数の貫通孔が
存在することとなる。従って、このままの状態の基板上
に層間樹脂絶縁層を形成しようとすると、これら基板表
面の凹凸や貫通孔のために、形成される層間樹脂絶縁層
も凹凸が激しくなり、層間樹脂絶縁層に形成するバイア
ホール等が変形し、接続不良を引き起こす可能性があ
る。そこで、通常は、導体回路が形成された基板の表面
を平坦化するために、樹脂充填材の層をスルーホール内
に形成することが行われている。
【0005】具体的には、例えば、本発明の出願人によ
って開示された特開平9−191178号公報には、基
板上に樹脂組成物を塗布することにより、スルーホール
内に樹脂充填材層を形成する方法が記載されている。即
ち、基板上に導体回路を形成し、さらに、基板を挟んだ
導体回路間を接続するスルーホールを形成した後、スル
ーホール内が充填されるように基板上に樹脂組成物を塗
布し、その後、乾燥処理および研磨処理を施すことによ
り、スルーホールのランド部分と下層導体回路の上面と
を露出させる。このような工程を経ることによりその内
部に樹脂充填材層を有するスルーホールが形成される。
【0006】このようなスルーホール内を樹脂充填材で
充填する工程を経ることにより、層間樹脂絶縁層にうね
りや凹凸が存在しない多層プリント配線板を製造するこ
とができる。しかしながら、上述した方法では、基板の
全面に樹脂組成物を塗布するため、研磨をおこなっても
導体回路が完全に露出しない場合があり、この場合に
は、接続不良が発生する。さらに、導体回路を完全に露
出させようとして、再度、研磨を行うと、導体回路の一
部が薄くなりすぎたり、完全になくなってしまうという
不都合も発生する。
【0007】また、特開平12−261140では、ス
ルーホール内や導体回路非形成部のみに選択的に樹脂充
填材を充填する方法が開示されている。即ち、導体回路
が形成された基板上に、スルーホールと導体回路非形成
部とに重なる部分に開口部が形成されたマスクを載置し
て、樹脂組成物を充填するとスルーホール内と導体回路
非形成部のみに樹脂組成物が充填され、導体回路は露出
されているので、上述したような研磨不足に起因する接
続不良の問題は発生せず、その結果、信頼性に優れた多
層プリント配線板を製造することができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近年、
ICチップの高周波数化に伴い、多層プリント配線板の
高速化、高密度化が要求されており、これに対応するた
め、スルーホールの設計が高密度化するとともに、スル
ーホール用貫通孔の径が小さくなってきている。従っ
て、上記したような方法で、スルーホール用貫通孔内に
樹脂充填材を充填した場合、樹脂充填材で完全に充填さ
れないスルーホール用貫通孔が生じることがあった。
【0009】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者等は、
その径が小さく、高密度に設計されたスルーホール用貫
通孔に確実に樹脂充填材を充填する方法について、鋭意
検討した結果、樹脂充填材の充填を複数回に分けて行う
ことにより、全てのスルーホール用貫通孔に確実に樹脂
充填材を充填することができることを見出し、本発明に
到達した。
【0010】即ち、第一の本発明の多層プリント配線板
の製造方法は、基板上に導体回路と層間樹脂絶縁層とを
積層形成するとともに、上記基板を挟んだ導体回路間を
接続するスルーホールを形成する多層プリント配線板の
製造方法であって、少なくとも下記(a)〜(e)の工
程を経ることにより、その内部に樹脂充填材層を有する
複数のスルーホールを形成することを特徴とする。 (a)基板を貫通し、その壁面に導体層を有するスルー
ホール用貫通孔を複数形成する貫通孔形成工程、(b)
スルーホール用貫通孔の一部に、該スルーホール用貫通
孔の片側から、樹脂組成物を充填する樹脂充填工程A、
(c)前記(b)の工程で樹脂組成物を充填しなかった
スルーホール用貫通孔に、前記(b)の工程と反対側か
ら一回以上樹脂組成物を充填する樹脂充填工程B、
(d)前記スルーホール用貫通孔から露出した前記樹脂
組成物の表面を研磨する研磨工程、および、(e)前記
樹脂組成物を硬化し、その内部に樹脂充填材層が形成さ
れたスルーホールを形成するスルーホール形成工程。
【0011】第一の本発明の多層プリント配線板の製造
方法においては、上記(b)の工程において、充填方向
に少なくとも一列おきに存在するスルーホール用貫通孔
にのみ樹脂組成物を充填することが望ましい。
【0012】また、第一の本発明の多層プリント配線板
の製造方法においては、上記(a)の工程で、スルーホ
ール用貫通孔を、平面視した際にマトリックス状に配設
されるように形成し、上記(b)の工程において、充填
方向に少なくとも一列おきに存在するスルーホール用貫
通孔にのみ樹脂組成物を充填することも望ましい。
【0013】また、第一の本発明の多層プリント配線板
の製造方法においては、上記(b)および/または
(c)の工程の後、スルーホール用貫通孔内の樹脂組成
物を半硬化させる半硬化工程を行うことが望ましい。
【0014】第二の本発明の多層プリント配線板の製造
方法は、基板上に導体回路と層間樹脂絶縁層とを積層形
成するとともに、上記基板と前記層間樹脂絶縁層とを挟
んだ導体回路間を接続するスルーホールを形成する多層
プリント配線板の製造方法であって、少なくとも下記
(a)〜(e)の工程を経ることにより、その内部に樹
脂充填材層を有する複数のスルーホールを形成すること
を特徴とする。 (a)基板と層間樹脂絶縁層とを貫通し、その壁面に導
体層を有するスルーホール用貫通孔を複数形成する貫通
孔形成工程、(b)スルーホール用貫通孔の一部に、該
スルーホール用貫通孔の片側から、樹脂組成物を充填す
る樹脂充填工程A、(c)上記(b)の工程で樹脂組成
物を充填しなかったスルーホール用貫通孔に、上記
(b)の工程と反対側から一回以上樹脂組成物を充填す
る樹脂充填工程B、(d)上記スルーホール用貫通孔か
ら露出した前記樹脂組成物の表面を研磨する研磨工程、
および、(e)上記樹脂組成物を硬化し、その内部に樹
脂充填材層が形成されたスルーホールを形成するスルー
ホール形成工程。
【0015】第二の本発明の多層プリント配線板の製造
方法においては、上記(b)の工程において、充填方向
に少なくとも一列おきに存在するスルーホール用貫通孔
にのみ樹脂組成物を充填することが望ましい。
【0016】また、第二の本発明の多層プリント配線板
の製造方法においては、上記(a)の工程で、スルーホ
ール用貫通孔を、平面視した際にマトリックス状に配設
されるように形成し、上記(b)の工程において、充填
方向に少なくとも一列おきに存在するスルーホール用貫
通孔にのみ樹脂組成物を充填することも望ましい。
【0017】また、第二の本発明の多層プリント配線板
の製造方法においては、上記(b)および/または
(c)の工程の後、スルーホール用貫通孔内の樹脂組成
物を半硬化させる半硬化工程を行うことが望ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】第一の本発明の多層プリント配線
板の製造方法は、基板上に導体回路と層間樹脂絶縁層と
を積層形成するとともに、上記基板を挟んだ導体回路間
を接続するスルーホールを形成する多層プリント配線板
の製造方法であって、少なくとも下記(a)〜(e)の
工程を経ることにより、その内部に樹脂充填材層を有す
る複数のスルーホールを形成することを特徴とする。 (a)基板を貫通し、その壁面に導体層を有するスルー
ホール用貫通孔を複数形成する貫通孔形成工程、(b)
スルーホール用貫通孔の一部に、該スルーホール用貫通
孔の片側から、樹脂組成物を充填する樹脂充填工程A、
(c)上記(b)の工程で樹脂組成物を充填しなかった
スルーホール用貫通孔に、上記(b)の工程と反対側か
ら一回以上樹脂組成物を充填する樹脂充填工程B、
(d)上記スルーホール用貫通孔から露出した前記樹脂
組成物の表面を研磨する研磨工程、および、(e)上記
樹脂組成物を硬化し、その内部に樹脂充填材層が形成さ
れたスルーホールを形成するスルーホール形成工程。
【0019】第一の本発明の多層プリント配線板の製造
方法では、その内部に樹脂充填材層を有するスルーホー
ルを形成する工程において、複数のスルーホール用貫通
孔内に樹脂組成物を充填する際に、スルーホール用貫通
孔への樹脂組成物の充填を複数回に分けて行い、各充填
工程において、別のスルーホール用貫通孔に樹脂組成物
を充填するため、それぞれの充填工程で、確実にスルー
ホール用貫通孔内に樹脂組成物を充填することができ
る。従って、スルーホール形成後、層間樹脂絶縁層を積
層形成した際に、該層間樹脂絶縁層にうねりや凹凸は発
生せず、そのため、信頼性に優れた多層プリント配線板
を製造することができる。
【0020】第一の本発明の多層プリント配線板の製造
方法(以下、単に第一の製造方法ともいう)は、上述し
たように、スルーホールの形成工程、即ち、スルーホー
ル用貫通孔を形成した後、該スルーホール用貫通孔内に
樹脂充填材を充填する工程に特徴を有するものであるた
め、まず、このスルーホールの形成工程について、詳細
に説明し、多層プリント配線板を製造する全製造工程に
ついては、後に詳述する。
【0021】第一の製造方法の(a)の工程、即ち、貫
通孔形成工程では、基板を貫通し、その壁面に導体層を
有するスルーホール用貫通孔を複数形成する。具体的に
は、まず、予めその表面に導体回路を形成しておいた基
板に、ドリル加工等により貫通孔を形成する。次に、こ
の貫通孔の壁面に無電解めっき処理等を施すことにより
導体層を形成し、基板を挟んだ導体回路間を電気的に接
続する。ここで、導体層を形成した後、さらに電解めっ
き処理等を施すことにより、導体層の厚さを厚くしても
よい。
【0022】上記貫通孔の直径は、特に限定されない
が、通常100〜500μm程度である。また、上記貫
通孔は、ドリル加工やレーザ処理等により形成する。こ
こで、貫通孔の直径が300μm以下の場合には、該貫
通孔をレーザ処理により形成することが望ましく、貫通
孔の直径が300μmを超える場合は、該貫通孔をドリ
ル加工により形成することが望ましい。これは貫通孔の
形状が安定するとともに、経済的に有利だからである。
なお、導体回路の形成されていない絶縁性基板に、先に
貫通孔を形成し、該貫通孔の壁面に無電解めっき処理に
より導体層を形成する際に、同時に絶縁性基板の表面に
導体層を形成し、その後、エッチング処理を施すことに
より、スルーホール用貫通孔の形成とともに導体回路の
形成を行ってもよい。
【0023】また、この工程で形成するスルーホール用
貫通孔は、平面視した際にマトリックス状に配設されて
いることが望ましい。スルーホール用貫通孔をマトリッ
クス状に配設すると、スルーホール用貫通孔を高密度に
配設した場合でも、スルーホール用貫通孔同士の間の距
離をある程度確保することができるからである。なお、
「平面視した際にマトリックス状に配設されている」と
は、スルーホール用貫通孔が、平面視した際に規則正し
く格子状に配設される状態をいい、例えば、図2に示す
ような形状に配設されている状態をいう。また、この工
程で形成するスルーホール用貫通孔同士の距離は特に限
定されず、多層プリント配線板の設計等に応じて、適宜
選択すればよい。なお、第一の製造方法は、スルーホー
ル用貫通孔同士の距離が650μm以下の場合に特に顕
著にその効果を得ることができる。
【0024】次に、上記(b)の工程、即ち、上記
(a)の工程で形成したスルーホール用貫通孔の一部
に、該スルーホール用貫通孔の片側から、樹脂組成物を
充填する樹脂充填工程Aを行う。この樹脂充填工程Aで
は、例えば、上記(a)の工程で形成したスルーホール
用貫通孔の一部にのみ対向した部分に開口を有するマス
クを載置し、スキージを用いて、樹脂組成物を印刷する
ことによりスルーホール用貫通孔の一部に樹脂組成物を
印刷する。この工程では、上記(a)の工程で形成した
スルーホール用貫通孔のうちの一部にのみ樹脂組成物を
充填するため、上記(a)の工程で、スルーホール用貫
通孔が高密度に形成されていたとしても、この工程で樹
脂組成物を充填する対象となるスルーホール用貫通孔に
は、確実に樹脂組成物を充填することができる。
【0025】また、この工程では、充填方向に少なくと
も一列おきに存在するスルーホール用貫通孔にのみ樹脂
組成物を充填することが望ましく、特に、上記(a)の
工程において、平面視した際にマトリックス状に配設さ
れているスルーホール用貫通孔を形成した場合には、上
述したように樹脂組成物を充填することが望ましい。
【0026】そこで、充填方向に少なくとも一列おきに
存在するスルーホール用貫通孔にのみ樹脂組成物を充填
する方法の具体例について、図面を参照しながら説明す
る。図1は、基板に形成したスルーホール用貫通孔の配
列状態の一例を模式的に示す平面図であり、図2は、基
板にマトリックス状に形成したスルーホール用貫通孔の
配列状態の一例を模式的に示す平面図であり、図3は、
基板にマトリックス状に形成したスルーホール用貫通孔
の配列状態の一例を模式的に示す平面図である。なお、
図1〜3では、基板上に形成した導体回路については省
略してある。
【0027】図1に示したように、スルーホール用貫通
孔が基板に不均一に分散した状態で形成されている場合
には、この樹脂充填工程Aでは、充填方向に少なくとも
一列おきに存在するスルーホール用貫通孔、即ち、図1
中に◎印で示すスルーホール用貫通孔109aにのみ樹
脂組成物を充填する。
【0028】また、図2や図3に示すようにスルーホー
ル用貫通孔が基板にマトリックス状に形成されている場
合には、この樹脂充填工程Aでは、図2中に◎印で示す
スルーホール用貫通孔209aや、図3中に◎印で示す
スルーホール用貫通孔309aにのみ樹脂組成物を充填
する。また、マトリックス状に形成されたスルーホール
用貫通孔に樹脂組成物を充填する場合には、図3中に◎
印で示すスルーホール用貫通孔のように、充填方向に少
なくとも一列おきに存在するとともに、充填方向に垂直
な方向にも少なくとも一列おきに存在するスルーホール
用貫通孔にのみ充填することが望ましい。この工程で樹
脂組成物の充填の対象となるスルーホール用貫通孔同士
の距離をより広くとることができ、より確実にそれぞれ
のスルーホール用貫通孔に樹脂組成物を充填することが
できるからである。
【0029】上記樹脂組成物としては、例えば、エポキ
シ樹脂と硬化剤と無機粒子とを含む樹脂組成物等が挙げ
られる。上記エポキシ樹脂としては特に限定されない
が、ビスフェノール型エポキシ樹脂およびノボラック型
エポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも一種
が望ましい。ビスフェノール型エポキシ樹脂は、A型や
F型の樹脂を選択することにより、希釈溶媒を使用しな
くてもその粘度を調製することができ、ノボラック型エ
ポキシ樹脂は、高強度で耐熱性や耐薬品性に優れ、無電
解めっき液等の強塩基性溶液中であっても分解せず、ま
た、熱分解もしにくいからである。
【0030】上記ビスフェノール型エポキシ樹脂として
は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂やビスフェノール
F型エポキシ樹脂が望ましく、低粘度で、かつ、無溶剤
で使用することができる点からビスフェノールF型エポ
キシ樹脂がより望ましい。また、上記ノボラック型エポ
キシ樹脂としては、フェノールノボラック型エポキシ樹
脂およびクレゾールノボラック型エポキシ樹脂から選択
される少なくとも一種が望ましい。
【0031】また、ビスフェノール型エポキシ樹脂とク
レゾールノボラック型エポキシ樹脂とを混合して使用し
てもよい。この場合、ビスフェノール型エポキシ樹脂と
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂との混合比率は、
重量比で1/1〜1/100であることが望ましい。こ
の範囲で混合することにより、粘度の上昇を抑制するこ
とができるからである。
【0032】上記樹脂組成物に含まれる硬化剤としては
特に限定されず、従来公知の硬化剤を用いることがで
き、例えば、イミダゾール系硬化剤、酸無水物硬化剤、
アミン系硬化剤等が挙げられる。これらのなかでは、イ
ミダゾール系硬化剤が望ましい。上記イミダゾール系硬
化剤としては、例えば、2−メチルイミダゾール、4−
メチル−2−エチルイミダゾール、2−フェニルイミダ
ゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール、1−
ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−メチルイミダ
ゾール、2−イソプロピルイミダゾール、1−シアノエ
チル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シア
ノエチル−2−ウンデシルイミダゾール等が挙げられ
る。これらのなかでは、25℃において液状の1−ベン
ジル−2−メチルイミダゾールや、1−シアノエチル−
2−エチル−4−メチルイミダゾール、および、4−メ
チル−2−エチルイミダゾールが望ましい。また、硬化
剤として、イミダゾール系硬化剤を用いる場合、その配
合量は、樹脂組成物中に1〜10重量%であることが望
ましい。
【0033】また、上記樹脂組成物に含まれる無機粒子
としては、例えば、アルミニウム化合物、カルシウム化
合物、カリウム化合物、マグネシウム化合物、ケイ素化
合物等からなるものが挙げられる。これらは単独で用い
てもよいし、2種以上併用してもよい。
【0034】上記アルミニウム化合物としては、例え
ば、アルミナ、水酸化アルミニウム等が挙げられ、上記
カルシウム化合物としては、例えば、炭酸カルシウム、
水酸化カルシウム等が挙げられ、上記カリウム化合物と
しては、例えば、炭酸カリウム等が挙げられ、上記マグ
ネシウム化合物としては、例えば、マグネシア、ドロマ
イト、塩基性炭酸マグネシウム、タルク等が挙げられ、
上記ケイ素化合物としては、例えば、シリカ、ゼオライ
ト等が挙げられる。また、上記無機粒子は、シランカッ
プリング剤等により、コーティングされていてもよい。
無機粒子とエポキシ樹脂との密着性が向上するからであ
る。
【0035】また、上記無機粒子の樹脂組成物中の含有
比率は、10〜80重量%が望ましく、20〜70重量
%がより望ましい。この範囲であれば、基板や層間樹脂
絶縁層との間で、熱膨張係数の整合を図ることができる
からである。
【0036】また、上記無機粒子の形状は特に限定され
ず、球状、楕円球状、破砕状、多面体状等が挙げられ
る。これらのなかでは、球状や楕円球状が望ましい。粒
子の形状に起因したクラックの発生等を抑制することが
できるからである。上記無機粒子の平均粒径は、0.1
〜5.0μmが望ましい。
【0037】また、上記樹脂組成物中には、上記したエ
ポキシ樹脂等以外に、他の熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂
等が含まれていてもよい。上記熱硬化性樹脂としては、
例えば、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂等が挙げら
れ、上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリテトラフ
ルオロエチレン(PTFE)、4フッ化エチレン6フッ
化プロピレン共重合体(FEP)、4フッ化エチレンパ
ーフロロアルコキシ共重合体(PFA)等のフッ素樹
脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスル
フォン(PSF)、ポリフェニレンスルフィド(PP
S)、熱可塑型ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポ
リエーテルスルフォン(PES)、ポリエーテルイミド
(PEI)、ポリフェニレンスルフォン(PPES)、
ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルエ
ーテルケトン(PEEK)、ポリオレフィン系樹脂等が
挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、2種以
上を併用してもよい。なお、上記エポキシ樹脂に代え
て、これらの樹脂を用いてもよい。
【0038】また、上記樹脂組成物の粘度は、23±1
℃において、0.3×10〜1.0×10Pa・s
であることが望ましい。上記粘度が、0.3×10
a・s未満では、スルーホール用貫通孔に充填した樹脂
組成物が流出してしまうおそれがあり、1.0×10
Pa・sを超えると、樹脂組成物がマスクにひっかか
り、樹脂組成物で完全に充填されないスルーホール用貫
通孔が生じるおそれがあるからである。
【0039】上記樹脂組成物をスキージ等を用いて印刷
する際に用いるマスクとしては特に限定されず、例え
ば、多層プリント配線板の製造印刷用マスクやその他の
印刷マスクで用いられる材質全てのものを用いることが
できる。具体的には、例えば、ニッケル合金、ニッケル
−コバルト合金、SUS等からなるメタルマスク;エポ
キシ樹脂、ポリイミド樹脂等からなるプラスチックマス
ク等を用いることができる。また、マスクの製造方法と
しては、例えば、アディティブ加工、レーザ加工等が挙
げられる
【0040】また、上記マスクの厚さは、20〜70μ
mが望ましく、30〜50μmがより望ましい。上記範
囲の厚さであれば、樹脂組成物の抜け性に優れるととも
に、後述するように、ザクリ(凹部)を設けても機械的
な強度に問題が発生しないからである。
【0041】また、上記マスクには、この樹脂充填工程
Aで樹脂組成物を充填するスルーホール用貫通孔に対向
する部分にのみ開口が設けられており、該開口の大きさ
(直径)は、スルーホール用貫通孔の直径の1.0〜
2.5倍であることが望ましく、1.2〜2.0倍であ
ることがより望ましい。上記開口の直径が、1.0倍未
満では、樹脂組成物の抜け性が悪く、樹脂組成物で完全
に充填されないスルーホール用貫通孔が生じるおそれが
あり、一方、2.5倍を超えると、樹脂組成物が過剰に
充填され、スルーホール用貫通孔から樹脂組成物が溢れ
出すおそれがある。なお、最適なマスクの開口の大きさ
は、スルーホール用貫通孔の直径、基板の厚さ、樹脂組
成物の組成、印刷条件等に応じて適宜決定すればよい。
【0042】また、上記樹脂組成物を充填する際には、
印刷用スキージを用いることが望ましい。上記印刷用ス
キージの材質としては特に限定されず、例えば、ポリエ
チレン等のゴム;鉄、ステンレス等の金属;セラミック
等一般に多層プリント配線板の製造に用いられるものと
同様の材質のもの等が挙げられる。これらのなかでは、
その硬度が45〜90°のゴムスキージを用いることが
望ましい。また、密閉式のスキージユニットを用いても
よい。このようなスキージとしては、例えば、エアー圧
入型、ローラー圧入型、ピストン圧入型等が挙げられ
る。
【0043】上記スキージの形状としては、平型、角型
等の種々の形状のものが挙げられる。また、上記形状の
スキージに切れ込みをいれることにより樹脂組成物の充
填性を向上させてもよい。この場合、スキージに入れる
切れ込みは、その角度(スキージの端面と、切れ込みを
入れることにより形成した面とのなす角度)が120〜
175°であることが望ましい。また、上記スキージの
厚さは、10〜30mmが望ましく、15〜25mmが
より望ましい。繰り返し印刷を行っても反りやたわみが
ないからである。また、この樹脂充填工程Aでは、スル
ーホール用貫通孔内に樹脂組成物を充填するとともに、
導体回路非形成部にも樹脂組成物を充填することが望ま
しい。導体回路非形成部は凹部となっているため、この
部分にも樹脂組成物を充填することにより、積層形成す
る層間樹脂絶縁層にうねりや凹凸が発生するおそれがよ
り少なくなるからである。
【0044】また、スキージを用いて樹脂組成物を充填
する場合、該スキージとマスクとのなす角を2〜50°
に保持して印刷を行うことが望ましい。上記角度が2°
未満であると、マスクに設けた開口をスキージによって
塞いでしまうことがあり、この場合、開口内への樹脂組
成物の押し込み量が少なくなるため、樹脂組成物で完全
に充填されないスルーホール用貫通孔が生じるおそれが
ある。一方、上記角度が50°を超えると、マスクに設
けた開口内に樹脂組成物を押し込む力が弱く、樹脂組成
物で完全に充填されないスルーホール用貫通孔が生じた
り、スルーホール用貫通孔から樹脂組成物が溢れ出たり
することがある。なお、スキージとマスクとのなす角を
上記範囲に保持して樹脂組成物の印刷を行うことは、ス
ルーホール用貫通孔同士間の距離が800μm以下のス
ルーホール用貫通孔に樹脂組成物を印刷する際に特に有
用である。
【0045】また、この工程では、樹脂組成物を充填し
た後、後述する樹脂充填工程Bを行う前に、樹脂組成物
を半硬化させる半硬化工程を行うことが望ましい。上記
半硬化工程を行う条件は、樹脂組成物の組成等を考慮し
て、適宜選択すればよく、例えば、100℃/20分程
度の条件で行うことができる。このように、後述する研
磨処理工程を行う前に、スルーホール用貫通孔に充填し
た樹脂組成物を半硬化させておくことにより、研磨処理
時に、研磨紙や銅片等の異物が樹脂組成物に刺さり、こ
の異物を基点として樹脂組成物にクラックが生じる等の
問題が発生するのを防ぐことができる。
【0046】次に、上記(c)の工程、即ち、上記
(b)の工程で樹脂組成物を充填しなかったスルーホー
ル用貫通孔に、上記(b)の工程と反対側から一回以上
樹脂組成物を充填する樹脂充填工程Bを行う。この工程
は、樹脂組成物を充填する対象となるスルーホール用貫
通孔が、上記(b)の工程で樹脂組成物を充填しなかっ
たスルーホール用貫通孔であり、かつ、樹脂組成物を上
記(b)の工程で充填した側と反対側から充填する点で
上記(b)の工程とは異なるものの、充填する樹脂組成
物や、その充填方法(例えば、マスクを載置した後、ス
キージを用いて印刷する方法)は、上記(b)の工程で
用いた方法と同様の方法を用いることができる。
【0047】また、この樹脂充填工程Bで、マスクを用
いて樹脂組成物を充填する場合には、樹脂組成物を充填
するスルーホール用貫通孔に対向する部分に開口を有す
るとともに、基板と対向する面の樹脂充填工程Aで樹脂
組成物を充填したスルーホール用貫通孔に対向する部分
に、ザクリ(凹部)を有するマスクを用いることが望ま
しい。このようなザクリ(凹部)を有するマスクを用い
ることにより、樹脂充填工程Bにおいて、マスクに樹脂
充填工程Aで充填した樹脂が付着するおそれがより少な
くなるからである。
【0048】また、この樹脂充填工程Bでは、上記樹脂
充填工程Aで樹脂組成物を充填しなかったスルーホール
用貫通孔に樹脂組成物を充填することとなるが、ここで
は、樹脂組成物が未充填のスルーホール用貫通孔全てに
一度に樹脂組成物を充填してもよいし、まず、樹脂組成
物が未充填のスルーホール用貫通孔の一部に樹脂組成物
を充填し、その後、残りのスルーホール用貫通孔に一回
または複数回に分けて樹脂組成物を充填してもよい。ど
ちらの方法を選択する場合であっても、樹脂組成物を充
填する対象となるスルーホール用貫通孔に対向した部分
にのみ開口を有するマスクを用いることにより樹脂組成
物の充填を行うことができる。
【0049】また、この工程でも、樹脂組成物を充填し
た後、後述する研磨工程を行う前に、樹脂組成物を半硬
化させる半硬化工程を行うことが望ましい。なお、樹脂
充填工程Aが終了した直後には、半硬化工程を行わず、
樹脂充填工程Bが終了した後に、樹脂充填工程Aおよび
樹脂充填工程Bで充填した樹脂組成物に同時に半硬化処
理を施してもよい。
【0050】また、上記樹脂充填工程Aおよび樹脂充填
工程Bにおいては、スルーホール用貫通孔内に樹脂組成
物を充填するとともに、基板上の導体回路非形成部に樹
脂組成物を充填してもよい。導体回路非形成部にも樹脂
組成物を充填することにより、基板上に凹部が存在しな
くなるため、より層間樹脂絶縁層を積層形成するのに適
した状態となるからである。
【0051】このような(b)および(c)の工程で、
樹脂組成物を充填する際に用いるマスクは、上述したよ
うにそれぞれの樹脂充填工程において、樹脂組成物を充
填する対象となるスルーホール用貫通孔に対向した部分
にのみ開口を有するものである。従って、開口同士の距
離はあまり短くならず、開口同士の距離が短い場合に発
生する不都合、即ち、マスクの機械的強度の低下や、樹
脂組成物の充填不足等の不都合が発生しない。特に、充
填方向に少なくとも一列おきに存在するスルーホール用
貫通孔にのみ樹脂組成物を充填する際に使用するマスク
では、開口同士の距離を充分に確保することができるた
め、マスクの機械的強度を充分に確保することができる
とともに、樹脂組成物の充填性にも優れる。
【0052】次に、上記(d)の工程、即ち、上記
(b)および(c)の工程を経て充填した樹脂組成物の
うち、スルーホール用貫通孔から露出した樹脂組成物
(樹脂組成物の半硬化層)の表面を研磨する研磨工程を
行う。具体的には、例えば、ベルトサンダー研磨、バフ
研磨、ジェットスクラブ等の方法を用いて行うことがで
きる。特に、まずベルトサンダー研磨による粗い研磨処
理を施し、その後、バフ研磨による細かい研磨処理を施
すことが望ましい。ここで、研磨紙や研磨材の材質、番
手等は特に限定されず、樹脂組成物(樹脂組成物の半硬
化層)の組成や研磨量等を考慮して、適宜選択すればよ
い。
【0053】次に、上記(e)の工程、即ち、上記樹脂
組成物(樹脂組成物の半硬化層)を完全に硬化し、その
内部に、樹脂充填材層が形成されたスルーホールを形成
するスルーホール形成工程を行う。具体的には、例え
ば、温度:50〜250℃、時間:0.5〜3時間の条
件で行う。また、まず100℃で1時間処理し、その
後、150℃で1時間処理するようなステップ硬化を行
ってもよい。このような(a)〜(e)の工程を経るこ
とにより、基板を挟んだ導体回路間を接続し、その内部
に樹脂充填材層を有するスルーホールを形成することが
できる。
【0054】次に、第一の本発明の多層プリント配線板
の製造方法の全製造工程について、工程順に簡単に説明
する。 (1)まず、ガラスエポキシ基板、ポリイミド基板、ビ
スマレイミド−トリアジン樹脂(BT樹脂)基板、フッ
素樹脂基板等の樹脂基板、銅張積層板等を出発材料と
し、基板上に導体回路を形成する。具体的には、例え
ば、基板の両面に無電解めっき処理等を施すことにより
ベタの導体層を形成した後、該導体層上に導体回路パタ
ーンに対応したエッチングレジストを形成し、その後、
エッチングを行うことにより形成すればよい。また、銅
張積層板をベタの導体層が形成された基板として用いて
もよい。
【0055】(2)次に、必要に応じて、導体回路の表
面の粗化処理を行う。粗化処理方法としては、例えば、
黒化(酸化)−還元処理、有機酸と第二銅錯体とを含む
混合溶液等を用いたエッチング処理、Cu−Ni−P針
状合金めっきによる処理等を用いることができる。ま
た、この粗化処理工程は、スルーホール用貫通孔を複数
形成する貫通孔形成工程の後に行い、導体回路表面に粗
化処理を行うとともに、スルーホール用貫通孔が有する
導体層表面にも粗化処理を施してもよい。導体層表面に
粗化処理を施すことにより、導体層と樹脂充填材層との
密着性がより向上するからである。
【0056】(3)次に、上述した(a)〜(e)の工
程を行い、基板を挟んだ導体回路間を接続し、その内部
に樹脂充填材層が形成されたスルーホールを形成する。
なお、上述したように、(1)の工程で出発材料となる
樹脂基板に貫通孔を形成しておき、スルーホールの形成
と導体回路の形成とを同時に行ってもよい。
【0057】(4)次に、導体回路上に熱硬化性樹脂や
樹脂複合体からなる未硬化の樹脂層を形成するか、また
は、熱可塑性樹脂からなる樹脂層を形成する。上記未硬
化の樹脂層は、未硬化の樹脂をロールコーター、カーテ
ンコーター等により塗布して成形してもよく、また、未
硬化(半硬化)の樹脂フィルムを熱圧着して形成しても
よい。さらに、未硬化の樹脂フィルムの片面に銅箔等の
金属層が形成された樹脂フィルムを貼付してもよい。ま
た、熱可塑性樹脂からなる樹脂層は、フィルム状に成形
した樹脂成形体を熱圧着することにより形成することが
望ましい。
【0058】上記未硬化の樹脂を塗布する場合には、樹
脂を塗布した後、加熱処理を施す。上記加熱処理を施す
ことにより、未硬化の樹脂を熱硬化させることができ
る。なお、上記熱硬化は、後述するバイアホール用開口
を形成した後に行ってもよい。
【0059】このような樹脂層の形成において使用する
熱硬化性樹脂の具体例としては、例えば、エポキシ樹
脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹
脂、ビスマレイミド樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリ
フェニレンエーテル樹脂等が挙げられる。
【0060】上記エポキシ樹脂としては、例えば、クレ
ゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型
エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェ
ノールノボラック型エポキシ樹脂、アルキルフェノール
ノボラック型エポキシ樹脂、ビフェノールF型エポキシ
樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエ
ン型エポキシ樹脂、フェノール類とフェノール性水酸基
を有する芳香族アルデヒドとの縮合物のエポキシ化物、
トリグリシジルイソシアヌレート、脂環式エポキシ樹脂
等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種
以上併用してもよい。それにより、耐熱性等に優れるも
のとなる。
【0061】上記ポリオレフィン系樹脂としては、例え
ば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポ
リイソブチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、シ
クロオレフィン系樹脂、これらの樹脂の共重合体等が挙
げられる。
【0062】また、上記熱可塑性樹脂としては、例え
ば、フェノキシ樹脂、ポリエーテルスルフォン、ポリス
ルフォン等が挙げられる。また、熱硬化性樹脂と熱可塑
性樹脂との複合体(樹脂複合体)としては、熱硬化性樹
脂と熱可塑性樹脂とを含むものであれば特に限定され
ず、その具体例としては、例えば、粗化面形成用樹脂組
成物等が挙げられる。
【0063】上記粗化面形成用樹脂組成物としては、例
えば、酸、アルカリおよび酸化剤から選ばれる少なくと
も1種からなる粗化液に対して難溶性の未硬化の耐熱性
樹脂マトリックス中に、酸、アルカリおよび酸化剤から
選ばれる少なくとも1種からなる粗化液に対して可溶性
の物質が分散されたもの等が挙げられる。なお、上記
「難溶性」および「可溶性」という語は、同一の粗化液
に同一時間浸漬した場合に、相対的に溶解速度の早いも
のを便宜上「可溶性」といい、相対的に溶解速度の遅い
ものを便宜上「難溶性」と呼ぶ。
【0064】上記耐熱性樹脂マトリックスとしては、層
間樹脂絶縁層に上記粗化液を用いて粗化面を形成する際
に、粗化面の形状を保持できるものが好ましく、例え
ば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、これらの複合体等が
挙げられる。また、感光性樹脂であってもよい。後述す
るバイアホール用開口を形成する工程において、露光現
像処理により開口を形成することができるからである。
【0065】上記熱硬化性樹脂としては、例えば、エポ
キシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレ
フィン樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。また、これら
の熱硬化性樹脂に感光性を付与した樹脂、即ち、メタク
リル酸やアクリル酸等を用い、熱硬化基を(メタ)アク
リル化反応させた樹脂を用いてもよい。具体的には、エ
ポキシ樹脂の(メタ)アクリレートが望ましく、さら
に、1分子中に、2個以上のエポキシ基を有するエポキ
シ樹脂がより望ましい。
【0066】上記熱可塑性樹脂としては、例えば、フェ
ノキシ樹脂、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォ
ン、ポリフェニレンスルフォン、ポリフェニレンサルフ
ァイド、ポリフェニルエーテル、ポリエーテルイミド等
が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以
上併用してもよい。
【0067】上記可溶性の物質としては、例えば、無機
粒子、樹脂粒子、金属粒子、ゴム粒子、液相樹脂および
液相ゴム等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよ
いし、2種以上併用してもよい。
【0068】上記無機粒子としては、例えば、アルミ
ナ、水酸化アルミニウム等のアルミニウム化合物;炭酸
カルシウム、水酸化カルシウム等のカルシウム化合物;
炭酸カリウム等のカリウム化合物;マグネシア、ドロマ
イト、塩基性炭酸マグネシウム、タルク等のマグネシウ
ム化合物;シリカ、ゼオライト等のケイ素化合物等が挙
げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上併
用してもよい。上記アルミナ粒子は、ふっ酸で溶解除去
することができ、炭酸カルシウムは塩酸で溶解除去する
ことができる。また、ナトリウム含有シリカやドロマイ
トはアルカリ水溶液で溶解除去することができる。
【0069】上記樹脂粒子としては、例えば、熱硬化性
樹脂、熱可塑性樹脂等からなるものが挙げられ、酸、ア
ルカリおよび酸化剤から選ばれる少なくとも1種からな
る粗化液に浸漬した場合に、上記耐熱性樹脂マトリック
スよりも溶解速度の早いものであれば特に限定されず、
具体的には、例えば、アミノ樹脂(メラミン樹脂、尿素
樹脂、グアナミン樹脂等)、エポキシ樹脂、フェノール
樹脂、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレ
ン樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、ビスマレイ
ミド−トリアジン樹脂等が挙げられる。これらは、単独
で用いてもよく、2種以上併用してもよい。なお、上記
樹脂粒子は予め硬化処理されていることが必要である。
硬化させておかないと上記樹脂粒子が樹脂マトリックス
を溶解させる溶剤に溶解してしまうため、均一に混合さ
れてしまい、酸や酸化剤で樹脂粒子のみを選択的に溶解
除去することができないからである。
【0070】上記金属粒子としては、例えば、金、銀、
銅、スズ、亜鉛、ステンレス、アルミニウム、ニッケ
ル、鉄、鉛等が挙げられる。これらは、単独で用いても
よく、2種以上併用してもよい。また、上記金属粒子
は、絶縁性を確保するために、表層が樹脂等により被覆
されていてもよい。
【0071】(5)次に、その材料として熱硬化性樹脂
や樹脂複合体を用いた層間樹脂絶縁層を形成する場合に
は、未硬化の樹脂層に硬化処理を施すとともに、バイア
ホール用開口を形成し、層間樹脂絶縁層とする。上記バ
イアホール用開口は、レーザ処理により形成することが
望ましい。上記レーザ処理は、上記硬化処理前に行って
もよいし、硬化処理後に行ってもよい。また、感光性樹
脂からなる層間樹脂絶縁層を形成した場合には、露光、
現像処理を行うことにより、バイアホール用開口を設け
てもよい。なお、この場合、露光、現像処理は、上記硬
化処理前に行う。
【0072】また、その材料として熱可塑性樹脂を用い
た層間樹脂絶縁層を形成する場合には、熱可塑性樹脂か
らなる樹脂層にレーザ処理によりバイアホール用開口を
形成し、層間樹脂絶縁層とすることができる。
【0073】このとき、使用するレーザとしては、例え
ば、炭酸ガスレーザ、エキシマレーザ、UVレーザ、Y
AGレーザ等が挙げられる。これらは、形成するバイア
ホール用開口の形状等を考慮して使い分けてもよい。
【0074】上記バイアホール用開口を形成する場合、
マスクを介して、ホログラム方式のエキシマレーザによ
るレーザ光照射することにより、一度に多数のバイアホ
ール用開口を形成することができる。また、短パルスの
炭酸ガスレーザを用いて、バイアホール用開口を形成す
ると、開口内の樹脂残りが少なく、開口周縁の樹脂に対
するダメージが小さい。
【0075】また、光学系レンズとマスクとを介してレ
ーザ光を照射する場合には、一度に多数のバイアホール
用開口を形成することができる。光学系レンズとマスク
とを介することにより、同一強度で、かつ、照射角度が
同一のレーザ光を複数の部分に同時に照射することがで
きるからである。
【0076】(6)次に、バイアホール用開口の内壁を
含む層間樹脂絶縁層の表面に、必要に応じて、酸または
酸化剤を用いて粗化面を形成する。なお、この粗化面
は、層間樹脂絶縁層とその上に形成する薄膜導体層との
密着性を高めるために形成するものであり、層間樹脂絶
縁層と薄膜導体層との間に充分な密着性がある場合には
形成しなくてもよい。
【0077】上記酸としては、硫酸、硝酸、塩酸、リン
酸、蟻酸等が挙げられ、上記酸化剤としては、クロム
酸、クロム硫酸、過マンガン酸ナトリウム等の過マンガ
ン酸塩等が挙げられる。また、粗化面を形成した後に
は、アルカリ等の水溶液や中和液等を用いて、層間樹脂
絶縁層の表面を中和することが望ましい。次工程に、酸
や酸化剤の影響を与えないようにすることができるから
である。また、上記粗化面の形成は、プラズマ処理等を
用いて行ってもよい。
【0078】また、上記粗化面の最大粗度Rmaxは、
0.1〜20μmが望ましい。Rmaxが20μmを超
えると粗化面自体が損傷や剥離を受けやすく、Rmax
が0.1μm未満では、導体回路との密着性を充分えら
れないことがあるからである。特に、セミアディティブ
法により導体回路を形成する場合には、上記最大粗度R
maxは、0.1〜5μmが望ましい。薄膜導体層との
密着性を充分に確保することができるとともに、薄膜導
体層の除去が容易だからである。
【0079】(7)次に、バイアホール用開口を設けた
層間樹脂絶縁層の表面に薄膜導体層を形成する。上記薄
膜導体層は、無電解めっき、スパッタリング、蒸着等の
方法を用いて形成することができる。なお、層間樹脂絶
縁層の表面に粗化面を形成しなかった場合には、上記薄
膜導体層は、スパッタリングにより形成することが望ま
しい。なお、無電解めっきにより薄膜導体層を形成する
場合には、被めっき表面に、予め、触媒を付与してお
く。上記触媒としては、例えば、塩化パラジウム等が挙
げられる。
【0080】上記薄膜導体層の厚さは特に限定されない
が、該薄膜導体層を無電解めっきにより形成した場合に
は、0.6〜1.2μmが望ましく、スパッタリングに
より形成した場合には、0.1〜1.0μmが望まし
い。また、上記薄膜導体層の材質としては、例えば、C
u、Ni、P、Pd、Co、W等が挙げられる。これら
のなかでは、CuやNiが望ましい。
【0081】(8)次に、上記薄膜導体層上の一部にド
ライフィルムを用いてめっきレジストを形成し、その
後、上記薄膜導体層をめっきリードとして電解めっきを
行い、上記めっきレジスト非形成部に電解めっき層を形
成する。
【0082】また、この工程では、バイアホール用開口
を電解めっきで充填してフィールドビア構造としてもよ
く、一旦、その上面に窪みを有するバイアホールを形成
し、その後、この窪みに導電性ペーストを充填してフィ
ールドビア構造としてもよい。また、上面に窪みを有す
るバイアホールを形成した後、その窪みに樹脂充填材等
を充填し、さらに、その上に蓋めっき層を形成して上面
が平坦なバイアホールとしてもよい。バイアホールの構
造をフィールドビア構造とすることにより、バイアホー
ルの直上にバイアホールを形成することができる。
【0083】(9)次に、めっきレジストを剥離し、め
っきレジストの下に存在していた薄膜導体層をエッチン
グにより除去し、独立した導体回路とする。エッチング
液としては、例えば、硫酸−過酸化水素水溶液、過硫酸
アンモニウム等の過硫酸塩水溶液、塩化第二鉄、塩化第
二銅、塩酸等が挙げられる。また、エッチング液として
上述した第二銅錯体と有機酸とを含む混合溶液を用いて
もよい。
【0084】また、上記(8)および(9)に記載した
方法に代えて、以下の方法を用いることにより導体回路
を形成してもよい。即ち、上記薄膜導体層上の全面に電
解めっき層を形成した後、該電解めっき層上の一部にド
ライフィルムを用いてエッチングレジストを形成し、そ
の後、エッチングレジスト非形成部下の電解めっき層お
よび薄膜導体層をエッチングにより除去し、さらに、エ
ッチングレジストを剥離することにより独立した導体回
路を形成してもよい。
【0085】(10)この後、上記(4)〜(9)の工
程を1回または2回以上繰り返すことにより、層間樹脂
絶縁層上に最上層の導体回路が形成された基板を作製す
る。なお、上記(4)〜(9)の工程を何回繰り返すか
は、多層プリント配線板の設計に応じて適宜選択すれば
よい。ここでは、バイアホールがスタックビア構造とな
るように、バイアホールの直上にバイアホールを形成し
てもよい。
【0086】(11)次に、最上層の導体回路を含む基
板上に、複数の半田バンプ形成用開口を有するソルダー
レジスト層を形成する。具体的には、未硬化のソルダー
レジスト組成物をロールコータやカーテンコータ等によ
り塗布したり、フィルム状に成形したソルダーレジスト
組成物を圧着したりした後、レーザ処理や露光現像処理
により半田バンプ形成用開口を形成し、さらに、必要に
応じて、硬化処理を施すことによりソルダーレジスト層
を形成する。
【0087】上記ソルダーレジスト層は、例えば、ポリ
フェニレンエーテル樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素
樹脂、熱可塑性エラストマー、エポキシ樹脂、ポリイミ
ド樹脂等を含むソルダーレジスト組成物を用いて形成す
ることができる
【0088】また、上記以外のソルダーレジスト組成物
としては、例えば、ノボラック型エポキシ樹脂の(メ
タ)アクリレート、イミダゾール硬化剤、2官能性(メ
タ)アクリル酸エステルモノマー、分子量500〜50
00程度の(メタ)アクリル酸エステルの重合体、ビス
フェノール型エポキシ樹脂等からなる熱硬化性樹脂、多
価アクリル系モノマー等の感光性モノマー、グリコール
エーテル系溶剤などを含むペースト状の流動体が挙げら
れ、その粘度は25℃で1〜10Pa・sに調整されて
いることが望ましい。また、上記ソルダーレジスト組成
物は、エラストマーや無機フィラーが配合されていても
よい。また、ソルダーレジスト組成物として、市販のソ
ルダーレジスト組成物を使用してもよい。
【0089】また、上記半田バンプ形成用開口を形成す
る際に用いるレーザとしては、上述したバイアホール用
開口を形成する際に用いるレーザと同様のもの等が挙げ
られる。
【0090】次に、上記半田バンプ形成用開口の底面に
露出した導体回路の表面に、必要に応じて、半田パッド
を形成する。上記半田パッドは、ニッケル、パラジウ
ム、金、銀、白金等の耐食性金属により上記導体回路表
面を被覆することにより形成することができる。具体的
には、ニッケル−金、ニッケル−銀、ニッケル−パラジ
ウム、ニッケル−パラジウム−金等の金属により形成す
ることが望ましい。また、上記半田パッドは、例えば、
めっき、蒸着、電着等の方法を用いて形成することがで
きるが、これらのなかでは、被覆層の均一性に優れると
いう点からめっきが望ましい。
【0091】(12)次に、上記半田バンプ形成用開口
に半田ペーストを充填し、リフロー処理を施したり、半
田ペースト充填した後、導電性ピンを取り付け、さらに
リフロー処理を施したりすることにより半田バンプやB
GA(Ball Grid Array) 、PGA(Pin Grid Array) を
形成する。なお、製品認識文字などを形成するための文
字印刷工程やソルダーレジスト層の改質のために、酸素
や四塩化炭素などのプラズマ処理を適時行ってもよい。
このような工程を経ることにより多層プリント配線板を
製造することができる。
【0092】次に、第二の本発明の多層プリント配線板
の製造方法について説明する。第二の本発明の多層プリ
ント配線板の製造方法は、基板上に導体回路と層間樹脂
絶縁層とを積層形成するとともに、上記基板と上記層間
樹脂絶縁層とを挟んだ導体回路間を接続するスルーホー
ルを形成する多層プリント配線板の製造方法であって、
少なくとも下記(a)〜(e)の工程を経ることによ
り、その内部に樹脂充填材層を有する複数のスルーホー
ルを形成することを特徴とする。 (a)基板と層間樹脂絶縁層とを貫通し、その壁面に導
体層を有するスルーホール用貫通孔を複数形成する貫通
孔形成工程、(b)スルーホール用貫通孔の一部に、該
スルーホール用貫通孔の片側から、樹脂組成物を充填す
る樹脂充填工程A、(c)前記(b)の工程で樹脂組成
物を充填しなかったスルーホール用貫通孔に、前記
(b)の工程と反対側から一回以上樹脂組成物を充填す
る樹脂充填工程B、(d)前記スルーホール用貫通孔か
ら露出した前記樹脂組成物の表面を研磨する研磨工程、
および、(e)前記樹脂組成物を硬化し、その内部に樹
脂充填材層が形成されたスルーホールを形成するスルー
ホール形成工程。
【0093】第二の本発明の多層プリント配線板の製造
方法では、その内部に樹脂充填材層を有するスルーホー
ルを形成する工程において、複数のスルーホール用貫通
孔内に樹脂組成物を充填する際に、スルーホール用貫通
孔への樹脂組成物の充填を複数回に分けて行い、各充填
工程において、別のスルーホール用貫通孔に樹脂組成物
を充填するため、それぞれの充填工程で、確実にスルー
ホール用貫通孔内に樹脂組成物を充填することができ
る。従って、スルーホール形成後、層間樹脂絶縁層を積
層形成した際に、該層間樹脂絶縁層にうねりや凹凸は発
生せず、そのため、信頼性に優れた多層プリント配線板
を製造することができる。
【0094】第二の本発明の多層プリント配線板の製造
方法(以下、単に第二の製造方法ともいう)は、上述し
たように、スルーホールの形成工程、即ち、スルーホー
ル用貫通孔を形成した後、該スルーホール用貫通孔内に
樹脂充填材を充填する工程に特徴を有するものであるた
め、まず、このスルーホールの形成工程について、詳細
に説明し、多層プリント配線板を製造する全製造工程に
ついては、後に詳述する。
【0095】第二の製造方法の(a)の工程、即ち、貫
通孔形成工程では、基板と層間樹脂絶縁層とを貫通し、
その壁面に導体層を有するスルーホール用貫通孔を複数
形成する。上記スルーホール用貫通孔の形成は、まず、
その表面に導体回路と層間樹脂絶縁層とを少なくとも一
層ずつ積層形成した基板に、ドリル加工やレーザ処理等
により貫通孔を形成する。次に、この貫通孔の壁面に無
電解めっき処理等により導体層を形成する。なお、導体
層を形成した後、さらに電解めっき処理等を施すことに
より、導体層の厚さを厚くしてもよい。
【0096】また、上記貫通孔の直径は、第一の製造方
法同様、100〜500μm程度である。また、貫通孔
の形成方法としてドリル加工を選択するか、レーザ処理
を選択するかは、第一の製造方法同様、貫通孔の直径を
考慮して選択すればよい。ここで、基板と層間樹脂絶縁
層とを貫通する貫通孔の壁面に導体層を形成する際に、
同時に、層間樹脂絶縁層上に導体回路を形成することが
望ましい。なお、導体回路を形成する方法については、
後に詳述する。
【0097】また、この工程で形成するスルーホール用
貫通孔は、第一の製造方法で形成するスルーホール用貫
通孔と同様、平面視した際にマトリックス状に配設され
ていることが望ましい。スルーホール用貫通孔をマトリ
ックス状に配設すると、スルーホール用貫通孔を高密度
に配設した場合でも、スルーホール用貫通孔同士の間の
距離をある程度確保することができるからである。
【0098】次に、上記(b)の工程、即ち、上記
(a)の工程で形成したスルーホール用貫通孔の一部
に、該スルーホール用貫通孔の片側から、樹脂組成物を
充填する樹脂充填工程Aを行う。この樹脂充填工程Aに
おける樹脂組成物の充填は、第一の製造方法の樹脂充填
工程Aと同様の方法を用いて行うことができる。また、
この樹脂充填工程Aでは、第一の製造方法と同様の理由
で、充填方向に少なくとも一列おきに存在するスルーホ
ール用貫通孔にのみ樹脂組成物を充填することが望まし
い。
【0099】次に、上記(c)の工程、即ち、上記
(b)の工程で樹脂組成物を充填しなかったスルーホー
ル用貫通孔に、上記(b)の工程と反対側から一回以上
樹脂組成物を充填する樹脂充填工程Bを行う。この樹脂
充填工程Bにおける樹脂組成物の充填は、第一の製造方
法の樹脂充填工程Bと同様の方法を用いて行うことがで
きる。また、第二の製造方法においても、第一の製造方
法と同様の理由で、上記(b)および/または(c)の
工程の後、スルーホール用貫通孔の樹脂組成物を半硬化
させる半硬化工程を行うことが望ましい。
【0100】また、第二の製造方法の樹脂充填工程Aお
よび樹脂充填工程Bにおいても、スルーホール用貫通孔
に樹脂組成物を充填するとともに、層間樹脂絶縁層上の
導体回路非形成部にも樹脂組成物を充填することが望ま
しい。また、上記(b)および(c)の工程で、樹脂組
成物を充填する際に用いるマスクは、第一の製造方法で
用いるマスクと同様、樹脂組成物を充填する対象となる
スルーホール用貫通孔に対向した部分にのみ開口を有す
るものであるため、マスクの機械的強度の低下や、樹脂
組成物の充填不足等の不都合が発生しない。
【0101】次に、上記(d)の工程、即ち、上記
(b)および(c)の工程を経て充填した樹脂組成物の
うち、スルーホール用貫通孔から露出した樹脂組成物
(樹脂組成物の半硬化層)の表面を研磨する研磨工程を
行う。この研磨工程は、第一の製造方法の研磨工程と同
様の方法を用いて行うことができる。
【0102】次に、上記(e)の工程、即ち、上記樹脂
組成物(樹脂組成物の半硬化層)を完全に硬化し、その
内部に、樹脂充填材層が形成されたスルーホールを形成
するスルーホール形成工程を行う。このスルーホール形
成工程は、第一の製造方法のスルーホール形成工程と同
様の方法を用いて行うことができる。このような(a)
〜(e)の工程を経ることにより、基板と層間樹脂絶縁
層とを挟んだ導体回路間を接続し、その内部に樹脂充填
材層を有するスルーホールを形成することができる。
【0103】次に、第二の本発明の多層プリント配線板
の製造方法の全製造工程について、工程順に簡単に説明
する。 (1)まず、第一の製造方法の(1)および(2)の工
程と同様にして、必要に応じてその表面に粗化処理が施
された導体回路を基板上に形成する。
【0104】(2)次に、第一の製造方法の(4)およ
び(5)の工程と同様にして、バイアホール用開口を有
する層間樹脂絶縁層を形成する。さらに、必要に応じ
て、第一の製造方法の(6)の工程と同様にして層間樹
脂絶縁層の表面に粗化面を形成する。
【0105】(3)次に、上記(a)〜(e)の方法を
用いて、その内部に樹脂充填材層を有するスルーホール
を形成するとともに、層間樹脂絶縁層上に導体回路を形
成する。そのため、この工程で形成する導体回路同士、
即ち、基板と層間樹脂絶縁層とを挟んだ導体回路同士
は、スルーホールを介して接続されることとなる。
【0106】具体的には、まず、上記(a)の工程にお
いて、基板と層間樹脂絶縁層とを貫通する貫通孔を形成
し、該貫通孔の壁面に無電解めっき処理等により導体層
を形成する際に、層間樹脂絶縁層上の全面にも無電解め
っき膜等の薄膜導体層を形成する。なお、無電解めっき
により薄膜導体層を形成する場合には、層間樹脂絶縁層
の表面に、予め、触媒を付与しておく。上記触媒として
は、例えば、塩化パラジウム等が挙げられる。
【0107】次に、上記薄膜導体層上の一部にドライフ
ィルムを用いてめっきレジストを形成し、その後、上記
薄膜導体層をめっきリードとして電解めっきを行い、上
記めっきレジスト非形成部に電解めっき層を形成する。
また、ここで電解めっき層を形成する際に、既に形成さ
れているスルーホール用貫通孔の壁面の導体層上にも電
解めっき層を形成してもよい。その後、めっきレジスト
を剥離し、めっきレジストの下に存在していた薄膜導体
層をエッチングにより除去し、独立した導体回路とす
る。
【0108】なお、この工程で行う無電解めっき処理、
レジスト形成、電解めっき処理、エッチング処理等の具
体的な方法としては、第一の製造方法の導体回路を形成
する工程、即ち、第一の製造方法の(7)〜(9)の工
程で用いる方法と同様の方法等が挙げられる。また、導
体回路の形成は、スルーホール用貫通孔の形成と別に行
ってもよい。
【0109】また、上記しためっきレジスト形成後、電
解めっき処理を施す方法に代えて、以下の方法を用いて
もよい。即ち、上記薄膜導体層上の全面に電解めっき層
を形成した後、該電解めっき層上の一部にドライフィル
ムを用いてエッチングレジストを形成し、その後、エッ
チングレジスト非形成部下の電解めっき層および薄膜導
体層をエッチングにより除去し、さらに、エッチングレ
ジストを剥離することにより独立した導体回路を形成し
てもよい。
【0110】また、上記した工程を経てスルーホールを
形成した後には、スルーホール内の樹脂充填材層を覆う
導体層(蓋めっき層)を形成することが望ましい。該蓋
めっき層を形成することにより、スルーホールの直上に
バイアホールを形成することができるからである。ま
た、第二の製造方法では、上述したように、研磨処理を
施すことにより、その露出面が平坦な樹脂充填材層を形
成するため、蓋めっき層を形成するのに適している。
【0111】なお、蓋めっき層の形成は、例えば、以下
の方法により行うことができる。即ち、まず、樹脂充填
材層のスルーホールからの露出面に触媒を付与してお
き、ついで、このスルーホールからの露出面に無電解め
っき膜を形成することにより蓋めっき層を形成する。な
お、無電解めっき処理を施した後、電解めっき等を施
し、蓋めっき層の厚さを厚くしてもよい。
【0112】(4)この後、上記(2)および(3)の
工程を1回または2回以上繰り返すことにより、層間樹
脂絶縁層上に最上層の導体回路が形成された基板を作製
する。なお、上記(2)および(3)の工程を何回繰り
返すかは、多層プリント配線板の設計に応じて適宜選択
すればよい。また、この(2)および(3)の工程を繰
り返す際には、スルーホールを形成してもよいし、形成
しなくてもよい。
【0113】(5)次に、第一の製造方法の(11)お
よび(12)の工程と同様にして半田バンプやBGA(B
all Grid Array) 、PGA(Pin Grid Array) をソル
ダーレジスト層を形成し、多層プリント配線板とする。
【0114】
【実施例】以下、本発明をさらに詳細に説明する。 (実施例1) A.層間樹脂絶縁層用樹脂フィルムの作製 ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量46
9、油化シェルエポキシ社製エピコート1001)30
重量部、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキ
シ当量215、大日本インキ化学工業社製 エピクロン
N−673)40重量部、トリアジン構造含有フェノー
ルノボラック樹脂(フェノール性水酸基当量120、大
日本インキ化学工業社製 フェノライトKA−705
2)30重量部をエチルジグリコールアセテート20重
量部、ソルベントナフサ20重量部に攪拌しながら加熱
溶解させ、そこへ末端エポキシ化ポリブタジエンゴム
(ナガセ化成工業社製 デナレックスR−45EPT)
15重量部と2−フェニル−4、5−ビス(ヒドロキシ
メチル)イミダゾール粉砕品1.5重量部、微粉砕シリ
カ2重量部、シリコン系消泡剤0.5重量部を添加しエ
ポキシ樹脂組成物を調製した。得られたエポキシ樹脂組
成物を厚さ38μmのPETフィルム上に乾燥後の厚さ
が50μmとなるようにロールコーターを用いて塗布し
た後、80〜120℃で10分間乾燥させることによ
り、層間樹脂絶縁層用樹脂フィルムを作製した。
【0115】B.貫通孔充填用樹脂組成物の調製 ビスフェノールF型エポキシモノマー(油化シェル社
製、分子量:310、YL983U)100重量部、表
面にシランカップリング剤がコーティングされた平均粒
径が1.6μmで、最大粒子の直径が15μm以下のS
iO球状粒子(アドテック社製、CRS 1101−
CE)72重量部およびレベリング剤(サンノプコ社製
ペレノールS4)1.5重量部を容器にとり、攪拌混
合することにより、その粘度が23±1℃で30〜60
Pa・sの樹脂充填材を調製した。なお、硬化剤とし
て、イミダゾール硬化剤(四国化成社製、2E4MZ−
CN)6.5重量部を用いた。
【0116】C.多層プリント配線板の製造 (1)厚さ0.8mmのガラスエポキシ樹脂またはBT
(ビスマレイミドトリアジン)樹脂からなる絶縁性基板
30の両面に18μmの銅箔32がラミネートされてい
る銅張積層板を出発材料とした(図4(a)参照)。ま
ず、この銅張積層板を下層導体回路パターン状にエッチ
ングすることにより、基板の両面に下層導体回路34を
形成した(図4(b)参照)。
【0117】(2)下層導体回路34を形成した基板3
0を水洗いし、乾燥した後、NaOH(10g/l)、
NaClO(40g/l)、NaPO(6g/
l)を含む水溶液を黒化浴(酸化浴)とする黒化処理、
および、NaOH(10g/l)、NaBH(6g/
l)を含む水溶液を還元浴とする還元処理を行い、下層
導体回路34の表面に粗化面34aを形成した(図4
(c)参照)。
【0118】(3)次に、上記Aで作製した層間樹脂絶
縁層用樹脂フィルムを、温度50〜150℃まで昇温し
ながら、0.5MPaで真空圧着ラミネートして貼り付
け、樹脂フィルム層50αを形成した(図4(d)参
照)。さらに、樹脂フィルム層50αを貼り付けた基板
30に、ドリル加工により直径400μmの貫通孔35
を形成した(図4(e)参照)。なお、この工程で形成
した貫通孔同士間の平均距離は、600μmである。
【0119】(4)次に、樹脂フィルム層50α上に、
厚さ1.2mmの貫通孔が形成されたマスクを介して、
波長10.4μmのCOガスレーザにて、ビーム径
4.0mm、トップハットモード、パルス幅8.0μ
秒、マスクの貫通孔の径1.0mm、1ショットの条件
で樹脂フィルム層50αに、直径80μmのバイアホー
ル用開口52を形成し、層間樹脂絶縁層50とした(図
5(a)参照)。
【0120】(5)バイアホール用開口52を形成した
基板を、60g/lの過マンガン酸を含む80℃の溶液
に10分間浸漬し、貫通孔35の壁面にデスミア処理を
施すとともに、層間樹脂絶縁層50の表面に存在するエ
ポキシ樹脂粒子を溶解除去することにより、バイアホー
ル用開口52の内壁面を含むその表面に粗化面50a、
52aを形成した(図5(b)参照)。
【0121】(6)次に、上記処理を終えた基板を、中
和溶液(シプレイ社製)に浸漬してから水洗いした。さ
らに、粗面化処理(粗化深さ3μm)した該基板の表面
に、パラジウム触媒を付与することにより、層間樹脂絶
縁層50の表面(バイアホール用開口52の内壁面を含
む)、および、貫通孔35の壁面に触媒核を付着させた
(図示せず)。すなわち、上記基板を塩化パラジウム
(PbCl)と塩化第一スズ(SnCl )とを含む
触媒液中に浸漬し、パラジウム金属を析出させることに
より触媒を付与した。
【0122】(7)次に、以下の組成の無電解銅めっき
水溶液中に、基板を浸漬し、層間樹脂絶縁層50の表面
(バイアホール用開口52の内壁面を含む)、および、
貫通孔35の壁面に厚さ0.6〜3.0μmの無電解銅
めっき膜(薄膜導体層)42を形成した(図5(c)参
照)。 〔無電解めっき水溶液〕 NiSO 0.003 mol/l 酒石酸 0.200 mol/l 硫酸銅 0.030 mol/l HCHO 0.050 mol/l NaOH 0.100 mol/l α、α′−ビピリジル 100 mg/l ポリエチレングリコール(PEG) 0.10 g/l 〔無電解めっき条件〕 34℃の液温度で40分
【0123】(8)次に、無電解銅めっき膜42が形成
された基板に市販の感光性ドライフィルムを張り付け、
マスクを載置して、100mJ/cmで露光し、0.
8%炭酸ナトリウム水溶液で現像処理することにより、
めっきレジスト43を設けた(図5(d)参照)。
【0124】(9)ついで、基板を50℃の水で洗浄し
て脱脂し、25℃の水で水洗後、さらに硫酸で洗浄して
から、以下の条件で電解めっきを施し、めっきレジスト
43非形成部に、電解銅めっき膜44を形成した(図5
(e)参照)。 〔電解めっき液〕 硫酸 2.24 mol/l 硫酸銅 0.26 mol/l 添加剤 19.5 ml/l (アトテックジャパン社製、カパラシドGL) 〔電解めっき条件〕 電流密度 1 A/dm 時間 65 分 温度 22±2 ℃
【0125】(10)さらに、めっきレジスト43を5
%KOHで剥離除去した後、そのめっきレジスト43下
の無電解めっき膜を硫酸と過酸化水素との混合液でエッ
チング処理して溶解除去し、粗化面の壁面に導体層を有
するスルーホール用貫通孔36、および、上層導体回路
(バイアホール46を含む)とした(図6(a)参
照)。なお、スルーホール用貫通孔の壁面に形成した導
体層の厚さは、25μmである。
【0126】(11)次に、スルーホール用貫通孔36
等を形成した基板30をエッチング液に浸漬し、スルー
ホール用貫通孔壁面の導体層36、および、上層導体回
路(バイアホール46を含む)の表面に粗化面36a、
46aを形成した(図6(b)参照)。なお、エッチン
グ液としては、イミダゾール銅(II)錯体10重量
部、グリコール酸7重量部、塩化カリウム5重量部から
なるエッチング液(メック社製、メックエッチボンド)
を使用した。
【0127】(12)次に、上記Bに記載した貫通孔充
填用樹脂組成物を調製した後、下記の方法により調製後
24時間以内に、スルーホール用貫通孔36に貫通孔充
填用樹脂組成物40′を充填した。即ち、まず、スルー
ホール用貫通孔36を形成した基板の片面に、スルーホ
ール用貫通孔36の一部に対向する部分にのみ開口部が
形成されたマスクを載置し、スキージを用いてスルーホ
ール用貫通孔36内に1回目の貫通孔充填用樹脂組成物
40′の充填を行い、100℃、20分の条件で乾燥さ
せた(図6(c)参照)。
【0128】次に、1回目の貫通孔充填用樹脂組成物の
充填を行った側とは反対側の面に、貫通孔充填用樹脂組
成物を充填しなかったスルーホール用貫通孔に対向する
部分にのみ開口部が形成されたマスクを載置し、スキー
ジを用いてスルーホール用貫通孔36内に、1回目の充
填とは反対側から2回目の貫通孔充填用樹脂組成物4
0′の充填を行い、100℃、20分の条件で乾燥させ
た。さらに、バイアホール46に対向する部分に開口部
が形成されたマスクと、スキージとを用い、バイアホー
ル46内にも貫通孔充填用樹脂組成物54′を充填し、
100℃、20分の条件で乾燥を行った(図6(d)参
照)。ここでは、スキージとして硬度90°のゴム製の
スキージを用い、スキージとマスクとのなす角を25°
にして樹脂組成物の印刷を行った。
【0129】(13)次に、上記(12)の処理を終え
た基板の両面にバフ研磨を施し、スルーホール用貫通孔
36およびバイアホール46から露出した貫通孔充填用
樹脂組成物の表面を平坦にした。次いで、100℃で1
時間、150℃で1時間の加熱処理を行うことにより、
貫通孔充填用樹脂組成物を硬化させて樹脂充填材層4
0、54を形成し、スルーホール37と、その内部に樹
脂充填材層54を有するバイアホールとした(図6
(e)参照)。
【0130】(14)次に、層間樹脂絶縁層50の表
面、および、樹脂充填材層40、54の露出面に、上記
(6)と同様の処理を行いてパラジウム触媒(図示せ
ず)を付与した。次に、上記(7)と同様の条件で無電
解めっき処理を施し、層間樹脂絶縁層50の表面、およ
び、樹脂充填材層40、54の露出面に無電解めっき膜
56を形成した(図7(a)参照)。
【0131】(15)次に、上記(8)と同様の方法を
用いて、無電解めっき膜56上に、厚さ20μmのめっ
きレジストを設けた(図示せず)。さらに、上記(9)
と同様の条件で電解めっきを施して、めっきレジスト非
形成部に電解めっき膜57を形成した。その後、めっき
レジストと、その下に存在する無電解めっき膜56とを
除去し、スルーホール37上およびバイアホール46上
に、無電解めっき膜56と電解めっき膜57とからなる
蓋めっき層58を形成した(図7(b)参照)。
【0132】(16)次に、蓋めっき層58の表面に上
記(11)で用いたエッチング液(メックエッチボン
ド)を用いて粗化面58aを形成した(図7(c)参
照)。 (17)次に、上記(3)〜(11)の工程を繰り返す
ことにより、さらに上層の層間樹脂絶縁層60、導体回
路(バイアホール66を含む)を形成し、多層配線板を
得た(図7(d)参照)。なお、この工程では、スルー
ホール用貫通孔を形成しなかった。また、バイアホール
66は、蓋めっき層58を形成したスルーホール37の
直上に形成した。
【0133】(18)次に、ジエチレングリコールジメ
チルエーテル(DMDG)に60重量%の濃度になるよ
うに溶解させた、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂
(日本化薬社製)のエポキシ基50%をアクリル化した
感光性付与のオリゴマー(分子量:4000)46.6
7重量部、メチルエチルケトンに溶解させた80重量%
のビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェル社製、
商品名:エピコート1001)15.0重量部、イミダ
ゾール硬化剤(四国化成社製、商品名:2E4MZ−C
N)1.6重量部、感光性モノマーである2官能アクリ
ルモノマー(日本化薬社製、商品名:R604)4.5
重量部、同じく多価アクリルモノマー(共栄化学社製、
商品名:DPE6A)1.5重量部、分散系消泡剤(サ
ンノプコ社製、S−65)0.71重量部を容器にと
り、攪拌、混合して混合組成物を調製し、この混合組成
物に対して光重合開始剤としてベンゾフェノン(関東化
学社製)2.0重量部、光増感剤としてのミヒラーケト
ン(関東化学社製)0.2重量部、を加えることによ
り、粘度を25℃で2.0Pa・sに調整したソルダー
レジスト組成物を得た。なお、粘度測定は、B型粘度計
(東京計器社製、DVL−B型)で60rpmの場合は
ローターNo.4、6rpmの場合はローターNo.3
によった。
【0134】(19)次に、多層配線基板の両面に、上
記ソルダーレジスト組成物を20μmの厚さで塗布し、
70℃で20分間、70℃で30分間の条件で乾燥処理
を行い、ソルダーレジス組成物の層70αを形成した
(図8(a)参照)。次いで、ソルダーレジスト開口部
のパターンが描画された厚さ5mmのフォトマスクをソ
ルダーレジスト層に密着させて1000mJ/cm
紫外線で露光し、DMTG溶液で現像処理し、200μ
mの直径の開口71を形成した。そして、さらに、80
℃で1時間、100℃で1時間、120℃で1時間、1
50℃で3時間の条件でそれぞれ加熱処理を行ってソル
ダーレジスト層を硬化させ、開口を有し、その厚さが2
0μmのソルダーレジスト層70を形成した(図8
(b)参照)。
【0135】(20)次に、ソルダーレジスト層70を
形成した基板を、塩化ニッケル(2.3×10−1mo
l/l)、次亜リン酸ナトリウム(2.8×10−1
ol/l)、クエン酸ナトリウム(1.6×10−1
ol/l)を含むpH=4.5の無電解ニッケルめっき
液に20分間浸漬して、開口部71に厚さ5μmのニッ
ケルめっき層72を形成した。さらに、その基板をシア
ン化金カリウム(7.6×10−3mol/l)、塩化
アンモニウム(1.9×10−1mol/l)、クエン
酸ナトリウム(1.2×10−1mol/l)、次亜リ
ン酸ナトリウム(1.7×10−1mol/l)を含む
無電解金めっき液に80℃の条件で7.5分間浸漬し
て、ニッケルめっき層72上に、厚さ0.03μmの金
めっき層74を形成した(図8(c)参照)。
【0136】(21)この後、基板のICチップを載置
する面のソルダーレジスト層70の開口71に、スズ−
鉛を含有するはんだペーストを印刷し、200℃でリフ
ローすることによりはんだバンプ(はんだ体)76を形
成し、他方の面には、半田ペーストを印刷した後、導電
性接続ピン78を取り付けることにより、多層プリント
配線板を製造した(図9参照)。
【0137】(実施例2)実施例1の(3)の工程にお
いて、貫通孔を形成する際に、平面視した際にマトリッ
クス状に配設された貫通孔を形成し、(12)の工程に
おいて、1回目の貫通孔充填用樹脂組成物の充填で、印
刷方向に一列おきに存在するスルーホール用貫通孔にの
み樹脂組成物を充填し、2回目の貫通孔充填用樹脂組成
物の充填で残りのスルーホール用貫通孔に、1回目の充
填とは反対側から樹脂組成物を充填した以外は、実施例
1と同様にして多層プリント配線板を製造した。なお、
本実施例で形成した貫通孔同士の距離は、600μmで
ある。
【0138】(実施例3)実施例1の(3)の工程にお
いて、貫通孔同士間の平均距離が550μmになるよう
に貫通孔を形成した以外は、実施例1と同様にして多層
プリント配線板を製造した。
【0139】(実施例4)実施例1の(3)の工程にお
いて、貫通孔を形成する際に、平面視した際にマトリッ
クス状に配設された貫通孔を形成し、(12)の工程に
おいて、1回目の貫通孔充填用樹脂組成物の充填で、印
刷方向に一列おきに存在し、かつ、印刷方向に垂直な方
向にも一列おきに存在するスルーホール用貫通孔にのみ
樹脂組成物を充填し、2回目の貫通孔充填用樹脂組成物
の充填で残りのスルーホール用貫通孔に1回目の充填と
は反対側から樹脂組成物を充填した以外は、実施例1と
同様にして多層プリント配線板を製造した。なお、本実
施例で形成した貫通孔同士の距離は、550μmであ
る。
【0140】(実施例5) A.層間樹脂絶縁層用樹脂フィルムの作製および貫通孔
充填用樹脂組成物の調製は、実施例1と同様にして行っ
た。
【0141】B.多層プリント配線板の製造 (1)厚さ0.8mmのガラスエポキシ樹脂またはBT
(ビスマレイミドトリアジン)樹脂からなる絶縁性基板
1の両面に18μmの銅箔8がラミネートされている銅
張積層板を出発材料とした(図10(a)参照)。まず
この銅張積層板にドリル加工により貫通孔を形成し、無
電解めっき処理を施し、パターン状にエッチングするこ
とにより、基板の両面に下層導体回路4とスルーホール
用貫通孔9′を形成した。なお、この工程で形成した貫
通孔同士の平均距離は、600μmである。
【0142】(2)次に、スルーホール用貫通孔9′お
よび下層導体回路4を形成した基板を水洗いし、乾燥し
た後、NaOH(10g/l)、NaClO(40g
/l)、NaPO(6g/l)を含む水溶液を黒化
浴(酸化浴)とする黒化処理、および、NaOH(10
g/l)、NaBH(6g/l)を含む水溶液を還元
浴とする還元処理を行い、そのスルーホール用貫通孔
9′に形成された導体層を含む下層導体回路4の全表面
に粗化面4a、9′aを形成した(図10(b)参
照)。
【0143】(3)次に、上記Aに記載した貫通孔充填
用樹脂組成物を調製した後、下記の方法により調製後2
4時間以内に、スルーホール用貫通孔9′に貫通孔充填
用樹脂組成物10′を充填した。即ち、まず、スルーホ
ール用貫通孔9′を形成した基板の片面に、スルーホー
ル用貫通孔9′の一部に対向する部分にのみ開口部が形
成されたマスクを載置し、スキージを用いてスルーホー
ル用貫通孔9′内に1回目の貫通孔充填用樹脂組成物1
0′の充填を行い、100℃、20分の条件で乾燥させ
た(図10(c)参照)。
【0144】次に、1回目の貫通孔充填用樹脂組成物の
充填を行った側とは反対側の面に、貫通孔充填用樹脂組
成物を充填しなかったスルーホール用貫通孔に対向する
部分にのみ開口部が形成されたマスクを載置し、スキー
ジを用いてスルーホール用貫通孔9′内に、1回目の充
填とは反対側から2回目の貫通孔充填用樹脂組成物1
0′の充填を行い、100℃、20分の条件で乾燥させ
た。さらに、導体回路非形成部に対向する部分に開口部
が形成されたマスクと、スキージとを用い、導体回路非
形成部にも貫通孔充填用樹脂組成物10′を充填し、1
00℃、20分の条件で乾燥を行った(図10(d)参
照)。
【0145】(4)上記(3)の処理を終えた基板の片
面を、#600のベルト研磨紙(三共理化学製)を用い
たベルトサンダー研磨により、内層銅パターン4の表面
やスルーホールのランド表面に樹脂充填材層10が残ら
ないように研磨し、次いで、上記ベルトサンダー研磨に
よる傷を取り除くためのバフ研磨を行った。このような
一連の研磨を基板の他方の面についても同様に行った。
次いで、100℃で1時間、150℃で1時間の加熱処
理を行って樹脂充填材層10を形成した。
【0146】このようにして、スルーホール9内や導体
回路非形成部に形成された樹脂充填材層10の表層部お
よび下層導体回路4の表面を平坦化し、樹脂充填材層1
0と下層導体回路4の側面4aとが粗化面を介して強固
に密着し、またスルーホール9を構成する導体層の壁面
9′aと樹脂充填材層10とが粗化面を介して強固に密
着した基板を得た(図10(e)参照)。即ち、この工
程により、樹脂充填材層10の表面と下層導体回路4の
表面とが同一平面となる。
【0147】(5)次に、上記基板を水洗、酸性脱脂し
た後、ソフトエッチングし、次いで、エッチング液を基
板の両面にスプレイで吹きつけて、下層導体回路4の表
面とスルーホール9のランド表面をエッチングすること
により、下層導体回路4の表面(スルーホール9のラン
ド表面を含む)に粗化面4a、9aを形成した(図11
(a)参照)。エッチング液としては、イミダゾール銅
(II)錯体10重量部、グリコール酸7重量部、塩化
カリウム5重量部からなるエッチング液(メック社製、
メックエッチボンド)を使用した。
【0148】(6)基板の両面に、Aで作製した基板よ
り少し大きめの層間樹脂絶縁層用樹脂フィルムを基板上
に載置し、圧力0.4MPa、温度80℃、圧着時間1
0秒の条件で仮圧着して裁断した後、さらに、以下の方
法により真空ラミネーター装置を用いて貼り付けること
により層間樹脂絶縁層2を形成した(図11(b)参
照)。即ち、層間樹脂絶縁層用樹脂フィルムを基板上
に、真空度0.5Torr、圧力0.4MPa、温度8
0℃、圧着時間60秒の条件で本圧着し、その後、17
0℃で30分間熱硬化させた。
【0149】(7)次に、層間樹脂絶縁層2上に、厚さ
1.2mmの貫通孔が形成されたマスクを介して、波長
10.4μmのCOガスレーザにて、ビーム径4.0
mm、トップハットモード、パルス幅8.0μ秒、マス
クの貫通孔の径1.0mm、1ショットの条件で層間樹
脂絶縁層2に、直径80μmのバイアホール用開口6を
形成した(図11(c)参照)。
【0150】(8)バイアホール用開口6を形成した基
板を、60g/lの過マンガン酸を含む80℃の溶液に
10分間浸漬し、層間樹脂絶縁層2の表面に存在するエ
ポキシ樹脂粒子を溶解除去することにより、バイアホー
ル用開口6の内壁を含む層間樹脂絶縁層2の表面を粗面
とした(図11(d)参照)。
【0151】(9)次に、上記処理を終えた基板を、中
和溶液(シプレイ社製)に浸漬してから水洗いした。さ
らに、粗面化処理(粗化深さ3μm)した該基板の表面
に、パラジウム触媒を付与することにより、層間樹脂絶
縁層2の表面およびバイアホール用開口6の内壁面に触
媒核を付着させた(図示せず)。すなわち、上記基板を
塩化パラジウム(PbCl)と塩化第一スズ(SnC
)とを含む触媒液中に浸漬し、パラジウム金属を析
出させることにより触媒を付与した。
【0152】(10)次に、以下の組成の無電解銅めっ
き水溶液中に、基板を浸漬し、バイアホール用開口の内
壁を含む層間樹脂絶縁層2の表面に無電解銅めっき膜
(薄膜導体層)12が形成された基板を得た(図12
(a)参照)。 〔無電解めっき水溶液〕 NiSO 0.003 mol/l 酒石酸 0.200 mol/l 硫酸銅 0.030 mol/l HCHO 0.050 mol/l NaOH 0.100 mol/l α、α′−ビピリジル 100 mg/l ポリエチレングリコール(PEG) 0.10 g/l 〔無電解めっき条件〕 34℃の液温度で40分
【0153】(11)無電解銅めっき膜12が形成され
た基板に市販の感光性ドライフィルムを張り付け、マス
クを載置して、100mJ/cmで露光し、0.8%
炭酸ナトリウム水溶液で現像処理することにより、厚さ
20μmのめっきレジスト3を設けた(図12(b)参
照)。
【0154】(12)ついで、基板を50℃の水で洗浄
して脱脂し、25℃の水で水洗後、さらに硫酸で洗浄し
てから、以下の条件で電解めっきを施し、めっきレジス
ト3非形成部に、厚さ20μmの電解銅めっき膜13を
形成した(図12(c)参照)。 〔電解めっき液〕 硫酸 2.24 mol/l 硫酸銅 0.26 mol/l 添加剤 19.5 ml/l (アトテックジャパン社製、カパラシドGL) 〔電解めっき条件〕 電流密度 1 A/dm2 時間 65 分 温度 22±2 ℃
【0155】(13)さらに、めっきレジスト3を5%
KOHで剥離除去した後、そのめっきレジスト3下の無
電解めっき膜を硫酸と過酸化水素との混合液でエッチン
グ処理して溶解除去し、独立の上層導体回路5(バイア
ホール7を含む)とした(図12(d)参照)。
【0156】(14)ついで、上記(5)と同様の処理
を行い、導体回路表面に粗化面を形成した(図13
(a)参照)。 (15)上記(6)〜(14)の工程を繰り返すことに
より、さらに上層の導体回路を形成し、多層配線板を得
た(図13(b)〜図14(b)参照)。
【0157】(16)次に、ジエチレングリコールジメ
チルエーテル(DMDG)に60重量%の濃度になるよ
うに溶解させた、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂
(日本化薬社製)のエポキシ基50%をアクリル化した
感光性付与のオリゴマー(分子量:4000)46.6
7重量部、メチルエチルケトンに溶解させた80重量%
のビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェル社製、
商品名:エピコート1001)15.0重量部、イミダ
ゾール硬化剤(四国化成社製、商品名:2E4MZ−C
N)1.6重量部、感光性モノマーである2官能アクリ
ルモノマー(日本化薬社製、商品名:R604)4.5
重量部、同じく多価アクリルモノマー(共栄化学社製、
商品名:DPE6A)1.5重量部、分散系消泡剤(サ
ンノプコ社製、S−65)0.71重量部を容器にと
り、攪拌、混合して混合組成物を調製し、この混合組成
物に対して光重合開始剤としてベンゾフェノン(関東化
学社製)2.0重量部、光増感剤としてのミヒラーケト
ン(関東化学社製)0.2重量部、を加えることによ
り、粘度を25℃で2.0Pa・sに調整したソルダー
レジスト組成物を得た。なお、粘度測定は、B型粘度計
(東京計器社製、DVL−B型)で60rpmの場合は
ローターNo.4、6rpmの場合はローターNo.3
によった。
【0158】(17)次に、多層配線基板の両面に、上
記ソルダーレジスト組成物を20μmの厚さで塗布し、
70℃で20分間、70℃で30分間の条件で乾燥処理
を行った後、ソルダーレジスト開口部のパターンが描画
された厚さ5mmのフォトマスクをソルダーレジスト層
に密着させて1000mJ/cmの紫外線で露光し、
DMTG溶液で現像処理し、200μmの直径の開口を
形成した。そして、さらに、80℃で1時間、100℃
で1時間、120℃で1時間、150℃で3時間の条件
でそれぞれ加熱処理を行ってソルダーレジスト層を硬化
させ、開口を有し、その厚さが20μmのソルダーレジ
ストパターン層14を形成した。
【0159】(18)次に、ソルダーレジスト層14を
形成した基板を、塩化ニッケル(2.3×10−1mo
l/l)、次亜リン酸ナトリウム(2.8×10−1
ol/l)、クエン酸ナトリウム(1.6×10−1
ol/l)を含むpH=4.5の無電解ニッケルめっき
液に20分間浸漬して、開口部に厚さ5μmのニッケル
めっき層15を形成した。さらに、その基板をシアン化
金カリウム(7.6×10−3mol/l)、塩化アン
モニウム(1.9×10−1mol/l)、クエン酸ナ
トリウム(1.2×10−1mol/l)、次亜リン酸
ナトリウム(1.7×10−1mol/l)を含む無電
解金めっき液に80℃の条件で7.5分間浸漬して、ニ
ッケルめっき層15上に、厚さ0.03μmの金めっき
層16を形成した。
【0160】(19)この後、基板のICチップを載置
する面のソルダーレジスト層14の開口に、スズ−鉛を
含有するはんだペーストを印刷し、さらに他方の面のソ
ルダーレジスト層14の開口にスズ−アンチモンを含有
するはんだペーストを印刷した後、200℃でリフロー
することによりはんだバンプ(はんだ体)17を形成
し、はんだバンプ17を有する多層プリント配線板を製
造した(図14(c)参照)。
【0161】(実施例6)実施例5の(1)の工程にお
いて、貫通孔を形成する際に、平面視した際にマトリッ
クス状に配設された貫通孔を形成し、(3)の工程にお
いて、1回目の貫通孔充填用樹脂組成物の充填で、印刷
方向に一列おきに存在するスルーホール用貫通孔にのみ
樹脂組成物を充填し、2回目の貫通孔充填用樹脂組成物
の充填で残りのスルーホール用貫通孔に1回目の充填と
は反対側から樹脂組成物を充填した以外は、実施例5と
同様にして多層プリント配線板を製造した。なお、本実
施例で形成した貫通孔同士の距離は、600μmであ
る。
【0162】(実施例7)実施例5の(1)の工程にお
いて、貫通孔同士間の平均距離が550μmになるよう
に貫通孔を形成した以外は、実施例5と同様にして多層
プリント配線板を製造した。
【0163】(実施例8)実施例5の(1)の工程にお
いて、貫通孔を形成する際に、平面視した際にマトリッ
クス状に配設された貫通孔を形成し、(3)の工程にお
いて、1回目の貫通孔充填用樹脂組成物の充填で、印刷
方向に一列おきに存在し、かつ、印刷方向に垂直な方向
にも一列おきに存在するスルーホール用貫通孔にのみ樹
脂組成物を充填し、2回目の貫通孔充填用樹脂組成物の
充填で残りのスルーホール用貫通孔に1回目の充填とは
反対側から樹脂組成物を充填した以外は、実施例5と同
様にして多層プリント配線板を製造した。なお、本実施
例で形成した貫通孔同士の距離は、550μmである。
【0164】(実施例9〜16)出発材料として、厚さ
1.0mmの絶縁性基板を用いた以外は、それぞれ実施
例1〜8と同様の方法により多層プリント配線板を製造
した。
【0165】(実施例17〜24)出発材料として、厚
さ1.2mmの絶縁性基板を用いた以外は、それぞれ実
施例1〜8と同様の方法により多層プリント配線板を製
造した。
【0166】(比較例1)実施例1の(12)の工程に
おいて、全てのスルーホール用貫通孔に対向する部分に
開口部が形成されたマスクを用い、1回の貫通孔充填用
樹脂組成物の充填で全てのスルーホール用貫通孔にのみ
樹脂組成物を充填した以外は、実施例1と同様にして多
層プリント配線板を製造した。
【0167】(比較例2)実施例1の(3)の工程にお
いて、貫通孔同士間の平均距離が550μmになるよう
に貫通孔を形成し、(12)の工程において、全てのス
ルーホール用貫通孔に対向する部分に開口部が形成され
たマスクを用い、1回の貫通孔充填用樹脂組成物の充填
で全てのスルーホール用貫通孔にのみ樹脂組成物を充填
した以外は、実施例1と同様にして多層プリント配線板
を製造した。
【0168】(比較例3)実施例5の(3)の工程にお
いて、全てのスルーホール用貫通孔に対向する部分に開
口部が形成されたマスクを用い、1回の貫通孔充填用樹
脂組成物の充填で全てのスルーホール用貫通孔にのみ樹
脂組成物を充填した以外は、実施例5と同様にして多層
プリント配線板を製造した。
【0169】(比較例4)実施例5の(1)の工程にお
いて、貫通孔同士間の平均距離が550μmになるよう
に貫通孔を形成し、(3)の工程において、全てのスル
ーホール用貫通孔に対向する部分に開口部が形成された
マスクを用い、1回の貫通孔充填用樹脂組成物の充填で
全てのスルーホール用貫通孔にのみ樹脂組成物を充填し
た以外は、実施例5と同様にして多層プリント配線板を
製造した。
【0170】(比較例5〜8)出発材料として、厚さ
1.0mmの絶縁性基板を用いた以外は、それぞれ比較
例1〜4と同様の方法により多層プリント配線板を製造
した。
【0171】(比較例9〜12)出発材料として、厚さ
1.2mmの絶縁性基板を用いた以外は、それぞれ比較
例1〜4と同様の方法により多層プリント配線板を製造
した。
【0172】実施例1〜24および比較例1〜12で得
られた多層プリント配線板について、スルーホールを通
るように切断し、樹脂充填材層の形成状態、即ち、樹脂
組成物の充填状態、および、層間樹脂絶縁層の形状を観
察し、さらに導通試験を行った。また、下記の条件でヒ
ートサイクル試験を施し、その後、樹脂充填材層の形成
状態、および、層間樹脂絶縁層の形状を観察するととも
に、導通試験を行った。なお、導通試験は下記の方法に
より行った。
【0173】評価方法 (1)ヒートサイクル試験 −65℃で3分間および130℃で3分間放置するサイ
クルを2000サイクル繰り返した。 (2)導通試験 多層プリント配線板を製造した後、上記ヒートサイクル
試験前後にチェッカを用いて導通試験を行い、モニター
に表示された結果から導通状態を評価した。
【0174】その結果、実施例1〜24の多層プリント
配線板では、その内部が樹脂充填材層で確実に形成され
たスルーホールが形成されており、ヒートサイクル試験
後にも、樹脂充填材層と導体層との間での剥離等は、観
察されなかった。また、スルーホール上の層間樹脂絶縁
層に凹凸やうねりも発生していなかった。さらに、導体
回路の短絡や断線も観察されず、導通状態は良好であっ
た。
【0175】一方、比較例1〜12の多層プリント配線
板では、その内部が未充填のスルーホールが存在してお
り、このスルーホール上の層間樹脂絶縁層には、凹凸や
うねり等が発生していた。また、導体回路に短絡や断線
が発生しており、これは層間樹脂絶縁層のうねり等に起
因するものであると考えられた。
【0176】
【発明の効果】以上説明したように、第一および第二の
本発明の多層プリント配線板の製造方法では、その内部
に樹脂充填材層を有するスルーホールを形成する工程に
おいて、複数のスルーホール用貫通孔内に樹脂組成物を
充填する際に、スルーホール用貫通孔への樹脂組成物の
充填を複数回に分けて行い、各充填工程において、別の
スルーホール用貫通孔に樹脂組成物を充填するため、そ
れぞれの充填工程で、確実にスルーホール用貫通孔内に
樹脂組成物を充填することができる。従って、スルーホ
ール形成後、層間樹脂絶縁層を積層形成した際に、該層
間樹脂絶縁層にうねりや凹凸は発生せず、そのため、信
頼性に優れた多層プリント配線板を製造することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、基板に形成したスルーホール用貫通孔
の配列状態の一例を模式的に示す平面図である。
【図2】図2は、基板にマトリックス状に形成したスル
ーホール用貫通の配列状態の一例を模式的に示す平面図
である。
【図3】図3は、基板にマトリックス状に形成したスル
ーホール用貫通孔の配列状態の一例を模式的に示す平面
図である。
【図4】(a)〜(e)は、第二の本発明の多層プリン
ト配線板の製造方法の一部を模式的に示す部分断面図で
ある。
【図5】(a)〜(e)は、第二の本発明の多層プリン
ト配線板の製造方法の一部を模式的に示す部分断面図で
ある。
【図6】(a)〜(e)は、第二の本発明の多層プリン
ト配線板の製造方法の一部を模式的に示す部分断面図で
ある。
【図7】(a)〜(d)は、第二の本発明の多層プリン
ト配線板の製造方法の一部を模式的に示す部分断面図で
ある。
【図8】(a)〜(c)は、第二の本発明の多層プリン
ト配線板の製造方法の一部を模式的に示す部分断面図で
ある。
【図9】第二の本発明の多層プリント配線板の製造方法
の一部を模式的に示す部分断面図である。
【図10】(a)〜(e)は、第一の本発明の多層プリ
ント配線板の製造方法の一部を模式的に示す部分断面図
である。
【図11】(a)〜(d)は、第一の本発明の多層プリ
ント配線板の製造方法の一部を模式的に示す部分断面図
である。
【図12】(a)〜(d)は、第一の本発明の多層プリ
ント配線板の製造方法の一部を模式的に示す部分断面図
である。
【図13】(a)〜(c)は、第一の本発明の多層プリ
ント配線板の製造方法の一部を模式的に示す部分断面図
である。
【図14】(a)〜(c)は、第一の本発明の多層プリ
ント配線板の製造方法の一部を模式的に示す部分断面図
である。
【符号の説明】
1、30 基板 8、32 銅箔 4、34 下層導体回路 5 上層導体回路 9、37 スルーホール 6、52 バイアホール用開口 7、46、66 バイアホール 12、42 薄膜導体層 3、43 めっきレジスト 13、44 電解めっき膜 2、50、60 層間樹脂絶縁層 10、40 樹脂充填材層 58 蓋めっき層 14、70 ソルダーレジスト層 17、76 半田バンプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5E346 AA06 AA43 CC08 CC09 CC10 CC14 CC32 CC37 CC54 CC55 CC57 CC58 DD02 DD03 DD12 DD16 DD17 DD25 EE33 FF04 FF07 FF15 GG15 GG17 GG22 GG23 GG27 HH11

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に導体回路と層間樹脂絶縁層とを
    積層形成するとともに、前記基板を挟んだ導体回路間を
    接続するスルーホールを形成する多層プリント配線板の
    製造方法であって、少なくとも下記(a)〜(e)の工
    程を経ることにより、その内部に樹脂充填材層を有する
    複数のスルーホールを形成することを特徴とする多層プ
    リント配線板の製造方法。 (a)基板を貫通し、その壁面に導体層を有するスルー
    ホール用貫通孔を複数形成する貫通孔形成工程、(b)
    スルーホール用貫通孔の一部に、該スルーホール用貫通
    孔の片側から、樹脂組成物を充填する樹脂充填工程A、
    (c)前記(b)の工程で樹脂組成物を充填しなかった
    スルーホール用貫通孔に、前記(b)の工程と反対側か
    ら一回以上樹脂組成物を充填する樹脂充填工程B、
    (d)前記スルーホール用貫通孔から露出した前記樹脂
    組成物の表面を研磨する研磨工程、および、(e)前記
    樹脂組成物を硬化し、その内部に樹脂充填材層が形成さ
    れたスルーホールを形成するスルーホール形成工程。
  2. 【請求項2】 前記(b)の工程において、充填方向に
    少なくとも一列おきに存在するスルーホール用貫通孔に
    のみ樹脂組成物を充填する請求項1に記載の多層プリン
    ト配線板の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記(a)の工程で、スルーホール用貫
    通孔を、平面視した際にマトリックス状に配設されるよ
    うに形成し、前記(b)の工程において、充填方向に少
    なくとも一列おきに存在するスルーホール用貫通孔にの
    み樹脂組成物を充填する請求項1に記載の多層プリント
    配線板の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記(b)および/または(c)の工程
    の後、スルーホール用貫通孔内の樹脂組成物を半硬化さ
    せる半硬化工程を行う請求項1〜3のいずれか1に記載
    の多層プリント配線板の製造方法。
  5. 【請求項5】 基板上に導体回路と層間樹脂絶縁層とを
    積層形成するとともに、前記基板と前記層間樹脂絶縁層
    とを挟んだ導体回路間を接続するスルーホールを形成す
    る多層プリント配線板の製造方法であって、少なくとも
    下記(a)〜(e)の工程を経ることにより、その内部
    に樹脂充填材層を有する複数のスルーホールを形成する
    ことを特徴とする多層プリント配線板の製造方法。 (a)基板と層間樹脂絶縁層とを貫通し、その壁面に導
    体層を有するスルーホール用貫通孔を複数形成する貫通
    孔形成工程、(b)スルーホール用貫通孔の一部に、該
    スルーホール用貫通孔の片側から、樹脂組成物を充填す
    る樹脂充填工程A、(c)前記(b)の工程で樹脂組成
    物を充填しなかったスルーホール用貫通孔に、前記
    (b)の工程と反対側から一回以上樹脂組成物を充填す
    る樹脂充填工程B、(d)前記スルーホール用貫通孔か
    ら露出した前記樹脂組成物の表面を研磨する研磨工程、
    および、(e)前記樹脂組成物を硬化し、その内部に樹
    脂充填材層が形成されたスルーホールを形成するスルー
    ホール形成工程。
  6. 【請求項6】 前記(b)の工程において、充填方向に
    少なくとも一列おきに存在するスルーホール用貫通孔に
    のみ樹脂組成物を充填する請求項5に記載の多層プリン
    ト配線板の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記(a)の工程で、スルーホール用貫
    通孔を、平面視した際にマトリックス状に配設されるよ
    うに形成し、前記(b)の工程において、充填方向に少
    なくとも一列おきに存在するスルーホール用貫通孔にの
    み樹脂組成物を充填する請求項5に記載の多層プリント
    配線板の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記(b)および/または(c)の工程
    の後、スルーホール用貫通孔内の樹脂組成物を半硬化さ
    せる半硬化工程を行う請求項5〜7のいずれか1に記載
    の多層プリント配線板の製造方法。
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