JP4704627B2 - 銀薄膜形成フィルムの製造方法 - Google Patents
銀薄膜形成フィルムの製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4704627B2 JP4704627B2 JP2001261203A JP2001261203A JP4704627B2 JP 4704627 B2 JP4704627 B2 JP 4704627B2 JP 2001261203 A JP2001261203 A JP 2001261203A JP 2001261203 A JP2001261203 A JP 2001261203A JP 4704627 B2 JP4704627 B2 JP 4704627B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- silver
- film
- silver halide
- physical development
- layer provided
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Manufacturing Of Electric Cables (AREA)
- Non-Insulated Conductors (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、透明導電性フィルム、反射フィルム、タッチパネル等の用途に用いることができる銀薄膜形成フィルムの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報化社会が急速に発達するに伴って、情報関連機器に関する技術が急速に進歩し普及してきた。この中で、ディスプレイ装置は、テレビジョン用、パーソナルコンピューター用、駅や空港などの案内表示用、その他各種情報提供用に用いられている。特に、近年プラズマディスプレイが注目されている。
【0003】
このような情報化社会の中にあって、これらのディスプレイ装置から放射されるる電磁波の影響が心配されている。例えば、周辺の電子機器への影響や人体への影響が考えられている。特に、人体の健康に及ぼす影響は無視することができないものになっており、人体に照射される電磁界の強度の低減が求められ、このような要求に対して様々の透明導電性フィルム(電磁波シールドフィルム)が開発されている。例えば、特開平9−53030号、同平11−126024号、特開2000−294980号、同2000−357414号、同2000−329934号、同2001−38843号、同2001−47549号、同2001−51610号、同2001−57110号、同2001−60416号公報等に開示されている。
【0004】
これらの透明導電性フィルムの製造方法としては、銀、銅、ニッケル、インジウム等の導電性金属をスパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト法、真空蒸着法、湿式塗工法によって透明樹脂フィルム上に金属薄膜を形成させる方法が一般的に用いられている。近年、透明導電性フィルムの需要が拡大する中にあって、低コストで生産性が高い製造方法が求められている。
【0005】
また、透明導電性フィルムに求められる性能として導電性と透過率があるが、導電性を高くするにはある程度の厚みの金属薄膜が必要であり、それによって透過率が低下するという問題がある。従って、導電性が高くかつ透過率が高い導電性フィルムが求められている。
【0006】
一方、バックライトの輝度向上を図る目的で反射フィルムが用いられている。この反射フィルムは、一般的にはポリエステルフィルムに銀等を蒸着加工して製造されている。反射フィルムについても上記の導電性フィルムと同様に、低コスト及び生産性の向上が求められている。また反射フィルムの性能として反射性のよい、即ち金属光沢の高いフィルムが要求される。
【0007】
本発明が対象とする銀薄膜の形成方法は、特公昭42−23745号公報にその基本的な技術が記載されている。しかしながら、上述したように近年の透明導電性フィルムに要求される導電性と透過率を同時に満足させること、及び反射フィルムに要求される高い金属光沢を満足させるには、上記特許公報に記載された方法では不十分であり、実現するまでには至っていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、低コストで生産性の高い銀薄膜形成フィルムの製造方法を提供することにある。本発明の他の目的は、導電性及び透過率が高い銀薄膜形成フィルムの製造方法を提供することにある。更に本発明の他の目的は金属光沢の高い銀薄膜形成フィルムの製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、以下の発明によって基本的に達成された。
(1)プラスチック樹脂フィルム上に銀薄膜を形成したフィルムの製造方法であって、前記銀薄膜が、前記プラスチック樹脂フィルム上に設けられた物理現像核層及び物理現像核層上に設けたハロゲン化銀乳剤層に対して、或いは前記プラスチック樹脂フィルム上に設けられた物理現像核層に他の支持体上に設けたハロゲン化銀乳剤層を接した状態にしたものに対して、支持体上に設けた層中に含有させるか又はアルカリ液中に含有させた可溶性銀錯塩形成剤及び還元剤をアルカリ液中で作用させ金属銀を析出させることによって形成されたものであり、前記ハロゲン化銀の平均粒子径が0.25μm以下であることを特徴とする銀薄膜形成フィルムの製造方法。
(2)上記(1)と同様にプラスチック樹脂フィルム上に銀薄膜を形成する製造方法であって、前記ハロゲン化銀乳剤層のハロゲン化銀(硝酸銀換算)の対ゼラチン質量比(ハロゲン化銀/ゼラチン)が2以上であることを特徴とする銀薄膜形成フィルムの製造方法。
(3)上記(1)と同様にプラスチック樹脂フィルム上に銀薄膜を形成する製造方法であって、前記アルカリ液の温度が20℃以下であることを特徴とする銀薄膜形成フィルムの製造方法。
(4)上記(1)と同様にプラスチック樹脂フィルム上に銀薄膜を形成する製造方法であって、前記プラスチック樹脂フィルムと前記物理現像核層の間にタンパク質含有ベース層を有し、前記物理現像核層にタンパク質の架橋剤を含有することを特徴とする銀薄膜形成フィルムの製造方法。
【0010】
本発明の銀薄膜形成フィルムは、銀薄膜の形成方法に特徴を有する。本発明の方法は従来から一般的に行われている方法とは全く異なっており、その特徴とするところは、写真現像法で知られている銀錯塩拡散転写現像を応用した点にある。この基本的な考え方は、前述の特公昭42−23745号公報に記載されている。即ち、ハロゲン化銀を可溶性銀錯塩形成剤で溶解して可溶性銀錯塩にし、同時にハイドロキノン等の還元剤(現像主薬)で還元して物理現像核上に金属銀を析出させて形成するというものである。
本発明は、導電性が高く、また金属光沢が高い銀薄膜を形成すべく研究した結果、上記したような構成からなる銀薄膜の製造方法を見い出した。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、基材となるプラスチック樹脂フィルムには予め物理現像核層が設けられている。物理現像核としては、重金属あるいはその硫化物からなる微粒子(粒子サイズは1〜数十nm程度)が用いられる。例えば、金、銀等のコロイド、パラジウム、亜鉛等の水溶性塩と硫化物を混合した金属流化物等が挙げられる。これらの物理現像核の微粒子層は、真空蒸着法、カソードスパッタリング法、コーティング法によってプラスチック樹脂フィルム上に設けることができる。生産効率の面からコーティング法が好ましく用いられる。物理現像核層における物理現像核の含有量は、固形分で1平方メートル当たり0.1〜10mg程度が適当である。
【0012】
物理現像核層には、親水性バインダーを含有するのが好ましい。親水性バインダー量は物理現像核に対して10〜500質量%程度が好ましい。親水性バインダーとしては、ゼラチン、アラビアゴム、セルロース、アルブミン、カゼイン、アルギン酸ナトリウム、各種デンプン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、アクリルアミドとビニルイミダゾールの共重合体等を用いることができる。好ましい親水性バインダーは、ゼラチン、アルブミン、カゼイン等のタンパク質である。
【0013】
本発明の1つの態様は、物理現像核層とプラスチック樹脂フィルムの間にタンパク質からなるベース層(タンパク質含有ベース層;以降、単にベース層と云う)を有し、かつ物理現像核層にタンパク質の架橋剤を含有する。好ましくは、ベース層の上に直接に物理現像核層を有する。プラスチック樹脂フィルムとベース層の間には、更に塩化ビニリデンやポリウレタン等のポリマーラテックス層を設けることによって接着性が更に向上する。ベース層に用いられるタンパク質としては、ゼラチン、アルブミン、カゼインあるいはこれらの混合物が好ましく用いられる。ベース層におけるタンパク質の含有量は1平方メートル当たり10〜300mgが好ましい。
【0014】
物理現像核層に含有するタンパク質の架橋剤(硬膜剤)としては、例えばクロム明ばんのような無機化合物、ホルマリン、グリオキザール、マレアルデヒド、グルタルアルデヒドのようなアルデヒド類、尿素やエチレン尿素等のN−メチロール化合物、ムコクロル酸、2,3−ジヒドロキシ−1,4−ジオキサンの様なアルデヒド類、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン塩や、2,4−ジヒドロキシ−6−クロロートリアジン塩のような活性ハロゲンを有する化合物、ジビニルスルホン、ジビニルケトンやN、N、N−トリアクロイルヘキサヒドロトリアジン、活性な三員環であるエチレンイミノ基やエポキシ基を分子中に二個以上有する化合物類、高分子硬膜剤としてのジアルデヒド澱粉等の種々の化合物の一種もしくは二種以上を用いることができる。これらの架橋剤の中でも、好ましくは、グリオキザール、グルタルアルデヒド、3−メチルグルタルアルデヒド、サクシンアルデヒド、アジポアルデヒド等のジアルデヒド類であり、より好ましい架橋剤は、グルタルアルデヒドである。架橋剤は、ベース層及び物理現像核層に含まれる合計のタンパク質に対して0.1〜30質量%を物理現像核層に含有させるのが好ましく、特に1〜20質量%が好ましい。
【0015】
上記したようなベース層と物理現像核層の架橋剤を組み合わせることによって、形成された銀薄膜の導電性と金属光沢が向し、加えて銀薄膜の強い接着性が得られることを見い出した。
【0016】
物理現像核層やベース層の塗布には、例えばディップコーティング、スライドコーティング、カーテンコーティング、バーコーティング、エアーナイフコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、スプレーコーティングなどの塗布方式で塗布することができる。本発明において物理現像核層は、上記したコーティング法によって、通常連続した均一な層として設けられるが、インクジェット記録方式を用いて任意の形状パターンに物理現像核を付着させてもよい。
【0017】
本発明において、物理現像核層に金属銀を析出させるためのハロゲン化銀の供給は、ハロゲン化銀乳剤層を物理現像核層が設けられたプラスチック樹脂フィルムに一体的に設ける方法、あるいは別の紙やプラスチック樹脂フィルム等の支持体にハロゲン化銀乳剤層を設けて、この別の材料から供給する方法がある。コスト及び生産効率の面からは前者の物理現像核層とハロゲン化銀乳剤層を一体的に設けるのが好ましい。物理現像核をプラスチック樹脂フィルム上にインクジェット記録方式で付着させる場合には、後者の別の材料からハロゲン化銀乳剤層を供給するのが好ましい。
【0018】
本発明において、ハロゲン化銀乳剤は、ハロゲン化銀写真感光材料の一般的なハロゲン化銀乳剤の製造方法に従って製造することができる。ハロゲン化銀乳剤は、通常、硝酸銀水溶液、塩化ナトリムや臭化ナトリウムのハロゲン水溶液をゼラチンの存在下で混合熟成することによって作られる。
【0019】
本発明は、ハロゲン化銀乳剤層のハロゲン化銀の粒径を調整することによって、得られた銀薄膜の導電性及び金属光沢が向上することを見い出した。即ち、本発明における別の態様は、平均粒径が0.25μm以下のハロゲン化銀を用いることにある。ハロゲン化銀の粒径の下限は0.05μm程度であり、好ましい平均粒径は0.05〜0.2μmである。
【0020】
また、本発明はハロゲン化銀乳剤層に含有するハロゲン化銀量とゼラチン量の比率を調整することによって、得られた銀薄膜の導電性及び金属光沢が向上することを見い出した。即ち、本発明における別の態様は、ハロゲン化銀(硝酸銀換算)とゼラチンとの質量比(ハロゲン化銀/ゼラチン)が2以上のハロゲン化銀乳剤層を用いることにある。上記質量比の上限は8程度である。
【0021】
また、更に上記したハロゲン化銀の粒子径、及び上記のハロゲン化銀/ゼラチン比を併せて満足するハロゲン化銀乳剤層を用いることによって、更に形成された銀薄膜の導電性と金属光沢が向上する。
【0022】
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤層のハロゲン化銀組成には好ましい範囲が存在し、塩化銀を80モル%以上含有するのが好ましく、特に90モル%以上が塩化銀であることが好ましい。塩化銀含有率を高くすることによって形成された銀薄膜の導電性及び金属光沢が向上する。
【0023】
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤層は、感光性を有する。透明導電性フィルムを作製するための1つの方法として、例えば網目状パターンの銀薄膜の形成が挙げられる。この場合、ハロゲン化銀乳剤層は網目状パターンに露光されるが、露光方法として、網目状パターンの透過原稿とハロゲン化銀乳剤層を密着して紫外光で露光する方法、あるいは各種レーザー光を用いて走査露光する方法等がある。前者の紫外光を用いた密着露光は、ハロゲン化銀の感光性は比較的低くても可能であるが、レーザー光を用いた走査露光の場合は比較的高い感光性が要求される。従って、後者の露光方法を用いる場合は、ハロゲン化銀の感光性を高めるために、ハロゲン化銀は化学増感あるいは増感色素による分光増感を施してもよい。化学増感としては、金化合物や銀化合物を用いた金属増感、硫黄化合物を用いた硫黄増感、あるいはこれらの併用が挙げられる。好ましくは、金化合物と硫黄化合物を併用した、金−硫黄増感である。上記したレーザー光で露光する方法においては、450nm以下の発振波長の持つレーザー光、例えば400〜430nmに発振波長を有する青色半導体レーザー(バイオレットレーザーダイオードとも云う)を用いることによって、後述する明室下(明るいイエロー蛍光灯下)でも取り扱いが可能となる。
【0024】
本発明において、ハロゲン化銀乳剤層は450nm以上の波長の光に対して実質的に感光性を有しないようにするのが好ましい。このハロゲン化銀乳剤層を用いることによって、450nm以下の短波長の光を実質的に除去したイエロー蛍光灯下での取り扱いが可能となる。
【0025】
本発明において、450nm以上の光に実質的に感光性を有しないとは、セーフライトとして約450nmより短波長の光を実質的に除去したイエロー蛍光灯(例えばNEC社製の純黄色蛍光灯FL−40SYF/M)を使用し、180ルックスの光が当たるようにして、その条件で5分間照射しても、照射前後で銀錯塩拡散転写現像での析出銀量に差(10%以内)が生じないことを意味する。
【0026】
450nm以上の光に実質的に感度を有しないハロゲン化銀乳剤層を得る手段としては、例えば、ハロゲン化銀の粒子サイズの調整、ハロゲン化銀組成の調整、ロジウム塩の添加、メルカプト化合物等のカブリ防止剤の添加、有機減感剤の添加、450nm〜600nmの波長光を主として吸収する非増感性染料もしくは顔料の添加、またはこれらを適宜組み合わせることによって実現できる。
【0027】
上記した有機減感剤は、ポーラログラフ半波電位、即ち、ポーラログラフィーで決定されるその酸化還元電位によって特徴づけられる。本発明に有効な有機減感剤としては、ポーラログラフ陽極電位とポーラログラフ陰極電位の和が正であるものである。これらの酸化還元電位の測定については、例えば、米国特許第3,501,307号明細書に記載されている。この様な有機減感剤の具体例は、数多くの特許明細書、文献に記載されており、それらはいずれも本発明に使用することができる。例えば、特公昭36−17595、同昭40−26751、同昭43−13167、同昭45−8833、同昭47−8746、同昭47−10197、同昭50−37530、特開昭48−24734、同昭49−84639、同昭56−142525、米国特許第2,271,229号、同第2,541,472号、同第3,035,917号、同第3,062,651号、同第3,124,458号、同第3,326,687号、同第3,671,254号等に記載の化合物が使用できる。
【0028】
上記有機減感剤の添加量は、ハロゲン化銀1モル当たり0.01mg〜5gで、好ましくは、0.01mg〜1gである。
【0029】
上記した非増感性染料又は顔料は、450nm〜600nmの波長光を主として吸収することができる染料又は顔料である。好ましくは、層中でその様な波長域に極大吸収を有するものである。ただし、450nm、特に600nmの数値は、厳密な物でなく450nm〜600nmの範囲の波長光に対して十分な吸収を有していれば使用することができる。上記した染料または顔料は、ハロゲン化銀乳剤層に含有することができる。
【0030】
上記非増感性染料又は顔料は、例えば米国特許第2274782号、同第2527583号、同第2533472号、同第2464785号、同第261112号、同第2598660号、同第3005711号、同第2494032号、同第2956879号、同第3282699号、同第3615608号、同第3840375号、英国特許第1253933号、同第1338799号、西独公開特許第2026252号、同第2127327号、同第2321470号、同第2347590号、特開昭48−17322号、同昭48−85130号、同昭49−114420号、同昭50−23221号、同昭50−28827号、同昭50−115815号、同昭51−10927号、同昭51−77327号、同昭52−29727号、同昭52−65426号、同昭52−108115号、同昭52−111717号、同昭52−128125号、同昭55−29804号、同昭55−33103号、同昭55−33104号、同昭55−46752号、同昭55−88047号、同昭55−155350号、同昭55−161232号、同昭55−161234号、同昭55−120660号、同昭63−64039号、特公昭46−12242号等に記載されている。これらの中で、450nm〜600nmの波長の光を吸収しうる物であればその種類に関係なく用いることができる。例えばオキソノール系、アゾ系、キサンテン系、シアニン系、トリフェニルメタン系、スチリル系、メロシアニン系、アントラキノン系、インドフェノール系等が挙げられる。
【0031】
上記非増感性染料又は顔料の添加量は、1平方メートル当たり、約5mg〜約1gの範囲が望ましく、好ましくは、極大吸収波長における光学濃度(反射又は透過)として、0.3以上である。
【0032】
本発明において、物理現像核層が設けられるプラスチック樹脂フィルム上の任意の位置にハレーション防止染料もしくは顔料を含有させてもよい。好ましくは、ハレーション防止染料あるいは顔料は、上記したベース層あるいは物理現像核層、あるいは物理現像核層とハロゲン化銀乳剤層の間に必要に応じて設けられる中間層、または支持体を挟んで設けられる裏塗り層に含有させる。ハレーション防止染料あるいは顔料は、上記した非感光性染料及び顔料の中から、露光波長の光を吸収するものが選ばれる。ハレーション防止染料もしくは顔料を含有させることによって、透明導電性フィルムを得るのに例えば網目状パターンの銀薄膜を形成する場合、網目状パターンの鮮鋭度が向上し、透過率が向上する。
【0033】
前述したように、本発明においてハロゲン化銀乳剤層の供給は、プラスチック樹脂フィルム上に設けられた物理現像核層の上にハロゲン化銀乳剤層を一体的に設けることによって供給する方法、あるいは、別の紙やプラスチック樹脂フィルム等の支持体にハロゲン化銀乳剤層を設けて、この別の材料から供給する方法がある。
【0034】
前者の場合、物理現像核層の上に直接にあるいは中間層を介してハロゲン化銀乳剤層が塗設される。この材料(銀薄膜形成フィルム前駆体)を用いて透明導電性フィルムを作製する場合は、網目状パターンのような任意の形状パターンの透過原稿と上記前駆体を密着して露光、あるいは、任意の形状パターンのデジタル画像を各種レーザー光の出力機で上記前駆体に走査露光した後、可溶性銀錯塩形成剤と還元剤の存在下でアルカリ液中で処理することにより銀錯塩拡散転写現像が起こり、未露光部のハロゲン化銀が溶解されて銀錯塩となり、物理現像核上で還元されて金属銀が析出して形状パターンの銀薄膜を得ることができる。露光された部分はハロゲン化銀乳剤層中で化学現像されて黒化銀となる。現像後、ハロゲン化銀乳剤層及び中間層、あるいは必要に応じて設けられた保護層は水洗除去されて、形状パターンの銀薄膜が表面に露出する。反射フィルムを作製する場合は、未露光の状態で銀錯塩拡散転写現像を生起し、次いでハロゲン化銀乳剤層等を水洗除去することによって全面に金属光沢の銀薄膜が形成される。
【0035】
銀錯塩拡散転写現像後のハロゲン化銀乳剤層等の物理現像核層の上に設けられた層の除去方法は、水洗除去あるいは剥離紙等に転写剥離する方法がある。水洗除去は、スクラビングローラ等を用いて温水シャワーを噴射しながら除去する方法や温水をノズル等でジェット噴射しながら水の勢いで除去する方法がある。また、剥離紙等で転写剥離する方法は、ハロゲン化銀乳剤層上の余分なアルカリ液(銀錯塩拡散転写用現像液)を予めローラ等で絞り取っておき、ハロゲン化銀乳剤層等と剥離紙を密着させてハロゲン化銀乳剤層等をプラスチック樹脂フィルムから剥離紙に転写させて剥離する方法である。剥離紙としては吸水性のある紙や不織布、あるいは紙の上にシリカのような微粒子顔料とポリビニルアルコールのようなバインダーとで吸水性の空隙層を設けたものが用いられる。
【0036】
一方、後者の物理現像核層が塗布されたプラスチック樹脂フィルムとは別の材料からハロゲン化銀乳剤層を供給する場合、前述と同様にハロゲン化銀乳剤層に露光を与えた後、物理現像核層が塗布されたプラスチック樹脂フィルムと、ハロゲン化銀乳剤層が塗布された別の材料とを、可溶性銀錯塩形成剤と還元剤の存在下でアルカリ液中で重ね合わせて密着し、アルカリ液中から取り出した後、数十秒〜数分間経過した後に、両者を剥がすことによって、物理現像核上に析出した形状パターンの銀薄膜が得られる。この場合は、ハロゲン化銀乳剤層を水洗除去する必要はないが、銀錯塩拡散転写現像による残留不純物を洗い流すために水洗するのが好ましい。上記と同様にして未露光の状態で処理することによって金属光沢の銀薄膜が全面に形成される。
【0037】
また、プラスチック樹脂フィルム上にインクジェット記録方式等で任意の形状パターンに物理現像核を付与した材料を作成しておき、この材料とハロゲン化銀乳剤層が塗布された別の材料とを上記と同様に密着して処理することによって、露光なしに任意の形状パターンの銀薄膜が得られる。
【0038】
次に、銀錯塩拡散転写現像のために必要な可溶性銀錯塩形成剤、還元剤、及びアルカリ液について説明する。可溶性銀錯塩形成剤は、ハロゲン化銀を溶解し可溶性の銀錯塩を形成させる化合物であり、還元剤はこの可溶性銀錯塩を還元して物理現像核上に金属銀を析出させるための化合物でり、これらの作用はアルカリ液中で行われる。
【0039】
本発明に用いられる可溶性銀錯塩形成剤としては、チオ硫酸アンモニウム及びチオ硫酸ナトリウムのようなチオ硫酸塩、チオシアン酸ナトリウムやチオシアン酸アンモニウムのようなチオシアン酸塩、亜硫酸ナトリウムや亜硫酸水素カリウムのような亜硫酸塩、オキサドリドン類、2−メルカプト安息香酸及びその誘導体、ウラシルのような環状イミド類、アルカノールアミン、ジアミン、特開平9−171257号公報に記載のメソイオン性化合物、USP5,200,294に記載のようなチオエーテル類、5,5−ジアルキルヒダントイン類、アルキルスルホン類、他に、T.H.ジェームス編のザ・セオリー・オブ・ザ・フォトグラフィック・プロセス4版の474〜475項(1977年)に記載されている化合物が挙げられる。
【0040】
これらのハロゲン化銀溶剤の中でも特にチオ硫酸塩、アルカノールアミンが好ましい。アルカノールアミンとしては、例えば2−(2−アミノエチルアミノ)エタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エタノールアミン、4−アミノブタノール、N,N−ジメチルエタノールアミン、3−アミノプロパノール、N,N−エチル−2、2’−イミノジエタノール、2−メチルアミノエタノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等が挙げられる。
【0041】
次に、本発明に用いられる還元剤について説明する。還元剤は写真現像の分野で公知の現像主薬を用いることができる。例えば、ハイドロキノン、カテコール、ピロガロール、メチルハイドロキノン、クロルハイドロキノン等のポリヒドロキシベンゼン類、アスコルビン酸及びその誘導体、1−フェニル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−3ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドン等の3−ピラゾリドン類、パラメチルアミノフェノール、パラアミノフェノール、パラヒドロキシフェニルグリシン、パラフェニレンジアミン等が挙げられる。
【0042】
上記した可溶性銀錯塩形成剤及び還元剤は、物理現像核層と一緒にプラスチック樹脂フィルムに塗布してもよいし、ハロゲン化銀乳剤層中に添加してもよいし、またはアルカリ液中に含有させてもよく、更に複数の位置に含有してもよい。上記した可溶性銀錯塩形成剤及び還元剤は、少なくともアルカリ液中に含有させるのが好ましい。
【0043】
アルカリ液中への可溶性銀錯塩形成剤の含有量は、現像液1リットル当たり、0.1〜5モルの範囲で用いるのが適当であり、還元剤は現像液1リットル当たり0.05〜1モルの範囲で用いるのが適当である。
【0044】
アルカリ液のpHは10以上が好ましく、更に11〜14が好ましい。本発明において銀錯塩拡散転写現像を行うためのアルカリ液の適用は、浸漬方式であっても塗布方式であってもよい。浸漬方式は、例えば、タンクに大量に貯流されたアルカリ液中に、物理現像核層及びハロゲン化銀乳剤層が設けられたプラスチック樹脂フィルム(銀薄膜形成フィルム前駆体)を浸漬しながら搬送するものであり、塗布方式は、例えばハロゲン化銀乳剤層上にアルカリ液を1平方メートル当たり40〜120ml程度塗布するものである。
【0045】
本発明において、導電性及び金属光沢を向上させるための好ましい態様は、アルカリ液を適用するときのアルカリ液の温度を20℃以下にすることである。下限の温度は2℃程度である。アルカリ液の適用時間は、20秒〜3分程度が適当である。この態様は、特に浸漬法式の場合に好適である。
【0046】
本発明に用いられるプラスチック樹脂フィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ジアセテート樹脂、トリアセテート樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリイミド樹脂、セロハン、セルロイド等が挙げられる。
【0047】
本発明の銀薄膜形成フィルムは、前述したように例えば、透明導電性フィルムや反射フィルム等に用いられる。透明導電性フィルムへの適用は、例えば網目状にパターン化された銀薄膜を形成することによって可能となるが、この場合、光の透過率と導電性は相反する特性となる。即ち、光透過性を上げると導電性が低くなり、逆に導電性を高くすると光透過性が低くなる。網目パターンとしては、10〜100μm程度の細線を縦横に格子状に設けられたものがあるが、細線幅を小さくして格子の間隔を大きくすると光透過性は上がるが導電性は低下し、逆に細線幅を大きくして格子の間隔を小さくすると透過性は低下して導電性は高くなる。従って、本発明の方法によって形成された銀薄膜は、細線幅が小さくかつ格子間隔を大きくしても高い導電性の形状パターン化された銀薄膜が得られる。
【0048】
また、本発明の反射フィルムへの適用は、前述の形状パターン化された透明導電性フィルムとは異なり、未露光で得られるという利点がある。反射フィルムは高い金属光沢が必要であり、本発明の方法によって形成された銀薄膜は高い金属光沢を有する。
【0049】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。
実施例1
透明導電性フィルムの作製の実施例を以下に示す。プラスチック樹脂フィルムとして、厚み175μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた。物理現像核層を塗布する前に、このフィルムに、塩化ビニリデンからなる下引き層を塗布し、その上にゼラチンが50mg/m2のベース層を塗布し乾燥した。次に、下記のようにして作製した硫化パラジウムからなる物理現像核層を塗布し、乾燥した。
【0050】
A液とB液を撹拌しながら混合し、30分後にイオン交換樹脂の充填されたカラムに通し硫化パラジウムゾルを得た。
【0051】
<物理現像核層塗液の調製>
前記硫化パラジウムゾル 50ml
1質量%のゼラチン溶液 20ml
界面活性剤 0.2g
ハレーション防止染料(下記化1) 5g
水を加えて全量を2000mlとする。
この物理現像核層塗液を硫化パラジウムが固形分で0.4mg/m2になるように、ベース層の上に塗布し、乾燥した。
【0052】
【化1】
【0053】
続いて、ハロゲン化銀乳剤層を上記物理現像核層の上に塗布した。ハロゲン化銀乳剤は、写真用ハロゲン化銀乳剤の一般的なダブルジェット混合法で製造した。このハロゲン化銀乳剤は、塩化銀90モル%と臭化銀10モル%で、平均粒径が0.3μmになるように調製した。ハロゲン化銀乳剤層の銀(硝酸銀)/ゼラチンの質量比は1.5である。ハロゲン化銀乳剤層には、界面活性剤を0.2g/m2、及びイエロー蛍光灯下での取り扱いを可能とするために上記化1の染料、下記化2、3の染料をそれぞれ50mg/m2含有する。このハロゲン化銀乳剤層をハロゲン化銀量(硝酸銀に換算)が4g/m2になるように塗布し、乾燥して、比較例となる銀薄膜形成フィルムの前駆体(比較例1)を作製した。
【0054】
【化2】
【0055】
【化3】
【0056】
この銀薄膜形成フィルムの前駆体を、水銀灯を光源とする明室用密着プリンターで網目パターンの透過原稿を介して露光し、続いて、下記のアルカリ液(銀錯塩拡散転写用現像液)中に25℃で40秒間浸漬した後、続いてハロゲン化銀乳剤層を水洗除去して、細線幅25μmで格子間隔200μmの網目パターンの銀薄膜を形成させた。
【0057】
<アルカリ液>
水酸化ナトリウム 20g
ハイドロキノン 20g
1−フェニル−3−ピラゾリドン 2g
亜硫酸ナトリウム 30g
モノメチルエタノールアミン 10g
全量を水で1000mlに調整する。pH13に調整。
【0058】
上記のようにして得られた網目パターン状銀薄膜が形成された透明導電性フィルムの透過率は77%であった。同フィルムの表面抵抗値を以下のようにして測定した。同フィルムを幅1cmの短冊状に切断し、表面抵抗値測定用テスターの端子を1cmの間隔で同フィルムに接触させて測定した。その結果、測定不能であった。
【0059】
次に、上記比較例1に従って、本発明の銀薄膜形成フィルムの前駆体(本発明1)を作製した。但し、ハロゲン化銀の平均粒子径を0.2μmにした。上記と同様に試験した結果、透過率は77%で、表面抵抗値は300〜1000オームであった。
【0060】
上記結果から、明らかなようにハロゲン化銀の粒子径が0.25μm以下のものを用いることにより得られた銀薄膜の導電性が向上し、これによって、透過率の高い透明導電性フィルムが得られる。
【0061】
実施例2
実施例1の比較例1に従って、銀薄膜形成フィルムの前駆体(本発明2)を作製した。但し、ハロゲン化銀乳剤層のハロゲン化銀(硝酸銀換算)/ゼラチンの質量比を2.5に代えた。その他は実施例1と同様に試験した結果、透過率は77%で、表面抵抗値は300〜1000オームであった。
この実施例から、ハロゲン化銀乳剤層のハロゲン化銀(硝酸銀換算)/ゼラチンの質量比を2以上にすることにより銀薄膜の導電性が向上し、これによって、透過率の高い透明導電性フィルムが得られることが実証された。
【0062】
実施例3
実施例1の比較例1に従って、銀薄膜形成フィルムの前駆体(本発明3)を作製した。但し、ハロゲン化銀の平均粒径を0.2μmに変更し、更にハロゲン化銀乳剤層のハロゲン化銀(硝酸銀換算)/ゼラチンの質量比を2.5に代えた。実施例1と同様に試験した結果、透過率は77%で、表面抵抗値は30〜100オームであった。
この実施例から、ハロゲン化銀の粒径、及びハロゲン化銀(硝酸銀換算)/ゼラチンの質量比を組み合わせることによって更に導電性が向上することが実証された。
【0063】
実施例4
実施例1の比較例1に従って、銀薄膜形成フィルムの前駆体(本発明4)を作製した。但し、物理現像核層塗液にタンパク質の架橋剤としてグルタルアルデヒドを300mg加えた。その他は実施例1と同様に試験した結果、透過率は77%で、表面抵抗値は30〜100オームであった。
この実施例から、プラスチック樹脂フィルムと物理現像核層の間にタンパク質含有ベース層を有し、かつ物理現像核層にタンパク質の架橋剤を含有させることにより得られた銀薄膜の導電性が向上し、これによって、透過率の高い透明導電性フィルムが得られることが実証された。
【0064】
実施例5
実施例1の比較例1に従って、銀薄膜形成フィルムの前駆体(本発明5)を作製した。但し、物理現像核層塗液にタンパク質の架橋剤としてグルタルアルデヒドを300mg加え、更に、実施例3のハロゲン化銀とハロゲン化銀乳剤層を用いた。その他は実施例1と同様に試験した結果、透過率は77%で、表面抵抗値は3〜10オームであった。
この実施例から、プラスチック樹脂フィルムと物理現像核層の間にタンパク質含有ベース層を有し、かつ物理現像核層にタンパク質の架橋剤を含有させ、更にハロゲン化銀の粒子径、及びハロゲン化銀/ゼラチンの質量比を調整することによって、大幅に銀薄膜の導電性が向上し、これによって透過率の高い透明導電性フィルムが得られることが実証された。
【0065】
実施例6
実施例3と同様の銀薄膜形成フィルムの前駆体(本発明6)を作製し、実施例1と同様にして透明導電性フィルム作製した。但し、アルカリ液の温度を15℃とし、浸漬時間を60秒に変更した。その他は実施例1と同様に試験した結果、透過率は77%で、表面抵抗値は10〜30オームであった。
この実施例から、銀錯塩拡散転写現像を行うときのアルカリ液の温度を20℃以下にすることにより銀薄膜の導電性が向上し、これによって透過率の高い透明導電性フィルムが得られることが実証された。
【0066】
実施例7
上記の本発明1〜6及び比較例1に従って、全面に銀薄膜を形成させた反射フィルムを作製した。この反射フィルムは未露光で現像することによって得られる。このようにして作製した反射フィルムの表面抵抗値を実施例1と同様の方法で測定し、また金属光沢の程度を目視で以下の基準で評価した。その結果を表1に示す。
【0067】
<金属光沢の評価基準>
◎:非常に高い金属光沢がある。
○:◎レベルよりは若干低いが高い金属光沢がる。
△:○レベルよりは若干低いが高い金属光沢がある。
×:くすみがあり、金属光沢も低い。
【0068】
【表1】
【0069】
上記結果より、本発明の反射フィルムは、表面抵抗値が低く、いずれもくすみのなく高い金属光沢を示した。中でも、本発明4〜6の反射フィルムの金属光沢が高く、特に本発明4及び5の反射フィルムの金属光沢が高かった。
【0070】
実施例8
実施例5と同様の銀薄膜形成フィルムの前駆体(本発明8)を作製した。但し、ハロゲン化銀乳剤の調製の際に、感度を高くするために金−硫黄による化学増感を施した。この前駆体に、青色半導体レーザーを搭載した出力機(ESCHER−GRAD社製のCobalt8CTP、レーザー波長410nm)を用いて、線幅25μmで格子間隔200μmの網目パターンに走査露光した後、実施例1と同様に処理して、網目パターンの透明導電性フィルムを作製した。実施例1と同様に試験した結果、透過率は77%で表面抵抗値は3〜10オームであった。
この実施例から、450nm以下のレーザー光で走査露光して得られた網目パターンの銀薄膜も高い導電性及び透過率が得られることが実証された。
【0071】
尚、上記本発明1〜8の銀薄膜形成フィルムの前駆体について、明室下での取り扱い性を試験した。即ち、約450nmより短波長の光を実質的に除去したイエロー蛍光灯(例えばNEC社製の純黄色蛍光灯FL−40SYF/M)を使用し、上記前駆体のハロゲン化銀乳剤層に180ルックスの光が当たるようにして、その条件で5分間照射したものと、全く照射しないものとを、実施例1に準じて銀錯塩拡散転写現像を行い(但し、網目パターンの露光はしない)、形成した銀薄膜の単位面積当たりの銀量を蛍光X線で定量分析し、照射前後の銀量の差を調査した結果、本発明の1〜8はいずれも、銀量の差は5%以内であった。このことから、明室条件に近いイエロー蛍光灯下での取り扱いが可能であることが実証された。
【0072】
また、上記と同様にイエロー蛍光灯下で5分間照射したものと、照射しないものに網目パターンの露光を行い、実施例1と同様にして網目パターンの透明導電性フィルムを作製し、照射前後での表面抵抗値を測定したが全く差はなかった。
【0073】
また、更に上記本発明1〜8の銀薄膜形成フィルムの前駆体について、それぞれ物理現像核層のハレーション防止染料を除いて、同様に網目パターンの透明導電性フィルムを作製し、同様に試験した結果、導電性は同程度であったが、ハレーション防止染料を除いたものは、透過率が1〜4%低下した。このことから、前駆体にハレーション防止染料を含有することによって、透明導電性フィルムの透過率が向上することが実証された。
【0074】
【発明の効果】
本発明の方法によって形成された銀薄膜は、高い導電性及び金属光沢を有し、その結果、導電性と透明性が高い透明導電性フィルム、及び金属光沢の高い反射フィルムが得られる。また、本発明の銀薄膜形成フィルムの製造方法を用いることによって、従来から一般に行われている製造方法に対し、低コスト化及び生産性の向上が図られる。
Claims (4)
- プラスチック樹脂フィルム上に銀薄膜を形成したフィルムの製造方法であって、前記銀薄膜が、前記プラスチック樹脂フィルム上に設けられた物理現像核層及び物理現像核層上に設けたハロゲン化銀乳剤層に対して、或いは前記プラスチック樹脂フィルム上に設けられた物理現像核層に他の支持体上に設けたハロゲン化銀乳剤層を接した状態にしたものに対して、支持体上に設けた層中に含有させるか又はアルカリ液中に含有させた可溶性銀錯塩形成剤及び還元剤をアルカリ液中で作用させ金属銀を析出させることによって形成されたものであり、前記ハロゲン化銀の平均粒子径が0.25μm以下であることを特徴とする銀薄膜形成フィルムの製造方法。
- プラスチック樹脂フィルム上に銀薄膜を形成したフィルムの製造方法であって、前記銀薄膜が、前記プラスチック樹脂フィルム上に設けられた物理現像核層及び物理現像核層上に設けたハロゲン化銀乳剤層に対して、或いは前記プラスチック樹脂フィルム上に設けられた物理現像核層に他の支持体上に設けたハロゲン化銀乳剤層を接した状態にしたものに対して、支持体上に設けた層中に含有させるか又はアルカリ液中に含有させた可溶性銀錯塩形成剤及び還元剤をアルカリ液中で作用させ金属銀を析出させることによって形成されたものであり、前記ハロゲン化銀乳剤層のハロゲン化銀(硝酸銀換算)の対ゼラチン質量比(ハロゲン化銀/ゼラチン)が2以上であることを特徴とする銀薄膜形成フィルムの製造方法。
- プラスチック樹脂フィルム上に銀薄膜を形成したフィルムの製造方法であって、前記銀薄膜が、前記プラスチック樹脂フィルム上に設けられた物理現像核層及び物理現像核層上に設けたハロゲン化銀乳剤層に対して、或いは前記プラスチック樹脂フィルム上に設けられた物理現像核層に他の支持体上に設けたハロゲン化銀乳剤層を接した状態にしたものに対して、支持体上に設けた層中に含有させるか又はアルカリ液中に含有させた可溶性銀錯塩形成剤及び還元剤をアルカリ液中で作用させることにより生成する金属銀を析出させることによって形成されたものであり、前記アルカリ液の温度が20℃以下であることを特徴とする銀薄膜形成フィルムの製造方法。
- プラスチック樹脂フィルム上に銀薄膜を形成したフィルムの製造方法であって、前記銀薄膜が、前記プラスチック樹脂フィルム上に設けられた物理現像核層及び物理現像核層上に設けたハロゲン化銀乳剤層に対して、或いは前記プラスチック樹脂フィルム上に設けられた物理現像核層に他の支持体上に設けたハロゲン化銀乳剤層を接した状態にしたものに対して、支持体上に設けた層中に含有させるか又はアルカリ液中に含有させた可溶性銀錯塩形成剤及び還元剤をアルカリ液中で作用させ金属銀を析出させることによって形成されたものであり、前記プラスチック樹脂フィルムと前記物理現像核層の間にタンパク質含有ベース層を有し、前記物理現像核層にタンパク質の架橋剤を含有することを特徴とする銀薄膜形成フィルムの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001261203A JP4704627B2 (ja) | 2001-08-30 | 2001-08-30 | 銀薄膜形成フィルムの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001261203A JP4704627B2 (ja) | 2001-08-30 | 2001-08-30 | 銀薄膜形成フィルムの製造方法 |
Publications (3)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003077350A JP2003077350A (ja) | 2003-03-14 |
JP2003077350A5 JP2003077350A5 (ja) | 2007-01-18 |
JP4704627B2 true JP4704627B2 (ja) | 2011-06-15 |
Family
ID=19088279
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001261203A Expired - Fee Related JP4704627B2 (ja) | 2001-08-30 | 2001-08-30 | 銀薄膜形成フィルムの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4704627B2 (ja) |
Families Citing this family (20)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4656835B2 (ja) * | 2003-12-17 | 2011-03-23 | 三菱製紙株式会社 | 透明導電性フィルムの製造方法。 |
JP4656849B2 (ja) * | 2004-03-08 | 2011-03-23 | 三菱製紙株式会社 | 透明導電性フィルムの製造方法。 |
JP4615250B2 (ja) * | 2004-05-20 | 2011-01-19 | 藤森工業株式会社 | 透明電極基板とその製造方法及びこの基板を用いた色素増感型太陽電池 |
JP4704757B2 (ja) * | 2005-01-05 | 2011-06-22 | 三菱製紙株式会社 | 導電性パタンを形成するための処理方法及びその処理装置 |
JP2006237322A (ja) * | 2005-02-25 | 2006-09-07 | Mitsubishi Paper Mills Ltd | 銅ポリイミド基板の製造方法 |
US20090078459A1 (en) * | 2005-03-15 | 2009-03-26 | Fujifilm Corporation | Light-transmitting conductive film and process for producing light-transmitting conductive film |
JP2006332459A (ja) * | 2005-05-27 | 2006-12-07 | Fujifilm Holdings Corp | 導電性金属膜形成用感光材料、導電性金属膜の製造方法、導電性金属膜、及びプラズマディスプレイパネル用透光性電磁波シールド膜 |
JP4512535B2 (ja) * | 2005-08-08 | 2010-07-28 | 三菱製紙株式会社 | 導電性材料の製造方法 |
JP4895559B2 (ja) * | 2005-09-20 | 2012-03-14 | 三菱製紙株式会社 | 導電性フィルム前駆体の製造方法 |
WO2007148773A1 (ja) | 2006-06-22 | 2007-12-27 | Mitsubishi Paper Mills Limited | 導電性材料の製造方法 |
JP4890318B2 (ja) * | 2007-03-29 | 2012-03-07 | 三菱製紙株式会社 | 導電性材料前駆体 |
JP5689609B2 (ja) * | 2010-03-24 | 2015-03-25 | 三菱製紙株式会社 | 光透過型電波吸収体 |
US9629242B2 (en) | 2011-07-29 | 2017-04-18 | Mitsubishi Paper Mills Limited | Optically transparent electrode |
JP5876351B2 (ja) | 2012-03-29 | 2016-03-02 | 三菱製紙株式会社 | 光透過性電極 |
JP6033671B2 (ja) | 2012-12-27 | 2016-11-30 | 三菱製紙株式会社 | 光透過性導電材料 |
JP6193757B2 (ja) | 2013-02-22 | 2017-09-06 | 三菱製紙株式会社 | 光透過性電極 |
WO2014185388A1 (ja) | 2013-05-16 | 2014-11-20 | 三菱製紙株式会社 | 導電性パターン及び単層静電容量方式タッチパネルの電極パターン |
JP6230476B2 (ja) | 2014-04-25 | 2017-11-15 | 三菱製紙株式会社 | 光透過性導電材料のパターン形成方法 |
JP6404153B2 (ja) | 2015-03-19 | 2018-10-10 | 三菱製紙株式会社 | 光透過性導電材料 |
KR102036426B1 (ko) | 2015-06-29 | 2019-10-24 | 미쓰비시 세이시 가부시키가이샤 | 광투과성 도전 재료 |
Citations (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0246799A (ja) * | 1988-08-08 | 1990-02-16 | Fuji Photo Film Co Ltd | 導電性皮膜の製造方法 |
JPH09274277A (ja) * | 1996-04-05 | 1997-10-21 | Konica Corp | ハロゲン化銀写真感光材料用支持体の製造方法およびハロゲン化銀写真感光材料 |
JPH10312715A (ja) * | 1997-05-13 | 1998-11-24 | Sumitomo Osaka Cement Co Ltd | 透明導電膜およびその製造方法 |
JPH11231543A (ja) * | 1998-02-13 | 1999-08-27 | Mitsubishi Paper Mills Ltd | 平版印刷材料の製造方法 |
JPH11284315A (ja) * | 1998-03-30 | 1999-10-15 | Fujifilm Olin Co Ltd | 金属画像の形成方法及び電気配線基板 |
JP2000338648A (ja) * | 1999-05-28 | 2000-12-08 | Mitsubishi Paper Mills Ltd | 露光用マスク材料 |
JP2001060416A (ja) * | 1999-08-23 | 2001-03-06 | Fuji Photo Film Co Ltd | 透明導電性フイルムおよびそのアース方法 |
-
2001
- 2001-08-30 JP JP2001261203A patent/JP4704627B2/ja not_active Expired - Fee Related
Patent Citations (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0246799A (ja) * | 1988-08-08 | 1990-02-16 | Fuji Photo Film Co Ltd | 導電性皮膜の製造方法 |
JPH09274277A (ja) * | 1996-04-05 | 1997-10-21 | Konica Corp | ハロゲン化銀写真感光材料用支持体の製造方法およびハロゲン化銀写真感光材料 |
JPH10312715A (ja) * | 1997-05-13 | 1998-11-24 | Sumitomo Osaka Cement Co Ltd | 透明導電膜およびその製造方法 |
JPH11231543A (ja) * | 1998-02-13 | 1999-08-27 | Mitsubishi Paper Mills Ltd | 平版印刷材料の製造方法 |
JPH11284315A (ja) * | 1998-03-30 | 1999-10-15 | Fujifilm Olin Co Ltd | 金属画像の形成方法及び電気配線基板 |
JP2000338648A (ja) * | 1999-05-28 | 2000-12-08 | Mitsubishi Paper Mills Ltd | 露光用マスク材料 |
JP2001060416A (ja) * | 1999-08-23 | 2001-03-06 | Fuji Photo Film Co Ltd | 透明導電性フイルムおよびそのアース方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2003077350A (ja) | 2003-03-14 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4704627B2 (ja) | 銀薄膜形成フィルムの製造方法 | |
JP5002634B2 (ja) | 電磁波シールド材の製造方法 | |
JP5166697B2 (ja) | 導電性材料の製造方法 | |
JP4255293B2 (ja) | 透明導電性フィルムの製造方法 | |
JP4320161B2 (ja) | 透明導電性フィルム前駆体と透明導電性フィルムの製造方法 | |
JP2004207001A (ja) | 透明導電性フィルムの製造方法 | |
JP5632617B2 (ja) | 透明導電性材料 | |
JP4895559B2 (ja) | 導電性フィルム前駆体の製造方法 | |
JP4704757B2 (ja) | 導電性パタンを形成するための処理方法及びその処理装置 | |
JP4656835B2 (ja) | 透明導電性フィルムの製造方法。 | |
JP4943947B2 (ja) | 導電性材料およびその製造方法 | |
JP2019016488A (ja) | 導電性材料の処理方法 | |
JP2008198388A (ja) | 導電性材料前駆体の製造方法 | |
JP4656849B2 (ja) | 透明導電性フィルムの製造方法。 | |
JP2014112127A (ja) | 銀画像パターンの製造方法 | |
JP2009245748A (ja) | 導電性材料の製造方法 | |
JP6018389B2 (ja) | 導電性材料の製造方法 | |
JP2009185342A (ja) | 導電性材料前駆体および導電性材料 | |
JP4429030B2 (ja) | 光画像記録材料 | |
WO2015005003A1 (ja) | 感光材料、導電シート及び導電シートの製造方法 | |
JP2016186907A (ja) | 導電性材料の製造方法 | |
JP5281266B2 (ja) | 導電性材料前駆体の製造方法 | |
JP4833801B2 (ja) | 導電性材料前駆体及びこれを用いた導電性材料の製造方法 | |
JP2009188199A (ja) | 透光性電磁波遮蔽シートの製造方法 | |
JP2017097210A (ja) | 導電性材料前駆体 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20061128 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20061128 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20091120 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20100119 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20100312 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20110216 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20110310 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 4704627 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |