JPH11231543A

JPH11231543A - 平版印刷材料の製造方法

Info

Publication number: JPH11231543A
Application number: JP3082898A
Authority: JP
Inventors: Takashi Miyazaki; 隆宮崎; Kimihisa Hamasoe; 公寿濱副; Akira Furukawa; 彰古川
Original assignee: Mitsubishi Paper Mills Ltd
Current assignee: Mitsubishi Paper Mills Ltd
Priority date: 1998-02-13
Filing date: 1998-02-13
Publication date: 1999-08-27

Abstract

(57)【要約】【課題】平版印刷材料の製造方法において、印刷性能を
低下させずに、ハロゲン化銀乳剤層と物理現像核層の同
時重層塗布もしくはタンデム塗布を可能にする。【解決手段】（１）支持体上に少なくともハロゲン化銀
乳剤層及び物理現像核層をこの順に有する平版印刷材料
を製造するに際し、前記ハロゲン化銀乳剤層と前記物理
現像核層の少なくとも２つの層を同時重層塗布する方法
であって、前記物理現像核層が平均粒径１０ｎｍ以上の
物理現像核を含有することを特徴とする平版印刷材料の
製造方法、（２）支持体上に少なくともハロゲン化銀乳
剤層及び物理現像核層をこの順に有する平版印刷材料を
製造するに際し、前記ハロゲン化銀乳剤層と前記物理現
像核層の少なくとも２つの層をタンデム方式で塗布する
方法であって、前記物理現像核層が平均粒径１０ｎｍ以
上の物理現像核を含有することを特徴とする平版印刷材
料の製造方法、によって達成された。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、銀錯塩拡散転写法
を応用した平版印刷材料の製造方法に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】銀塩拡散転写法を利用した平版印刷版
は、油脂性のインキを受理する親油性の画線部分と、イ
ンキを受け付けない撥油性の非画線部分とからなり、一
般に該非画線部分は水を受け付ける親水性部分から構成
されている。通常の平版印刷版では、従って、水とイン
キの両方を版面に供給し、画線部は着色性のインキを、
非画線部は水を選択的に受け付け、該画線上のインキを
例えば紙などの基質に転写させることによってなされて
いる。従って、良い印刷物を得るためには、画線部と背
景非画線部の表面の親油および親水性の差が充分に大き
くて、水およびインキを適用したときに、画線部は充分
な量のインキを受け付け、非画線部はインキを全く受け
付けないことが必要である。

【０００３】銀錯塩拡散転写法（ＤＴＲ法）を用いた平
版印刷版として、支持体上にハロゲン化銀乳剤層を有
し、その上に物理現像核層を有する平版印刷版が一般に
知られている。詳しくは、ポリエチレン樹脂を被覆した
紙支持体やポリエステル等のプラスチック樹脂フィルム
支持体にハレーション防止層を兼ねた下塗り層、ハロゲ
ン化銀乳剤層及び物理現像核層を有する平版印刷版で、
例えば、米国特許第３，７２８，１１４号、同第４，１
３４，７６９号、同第４，１６０，６７０号、同第４，
３３６，３２１号、同第４，５０１，８１１号、同第
４，５１０，２２８号、同第４，６２１，０４１号明細
書等に記載されている。それによると、露光されたハロ
ゲン化銀結晶は、ＤＴＲ現像により化学現像を生起し黒
色の銀となり親水性の非画線部を形成し、一方、未露光
のハロゲン化銀結晶は現像液中の銀塩錯化剤により銀塩
錯体となって表面の物理現像核層まで拡散し、核の存在
により物理現像を生起してインキ受容性の物理現像銀を
主体とする画線部を形成する。

【０００４】このように、上記平版印刷版ではゼラチン
−ハロゲン化銀乳剤層の上にある物理現像核層上に析出
した銀画像をインキ受容性の画線部として利用するた
め、銀画像部を下から保持するゼラチン−ハロゲン化銀
乳剤層は予め皮膜強度を上げておく必要があった。

【０００５】従って、上記平版印刷版の製造方法は、支
持体上にハロゲン化銀乳剤層を塗布し乾燥した後、加熱
工程を設けてハロゲン化銀乳剤層のゼラチン皮膜を硬化
し、その後に物理現像核層を塗布するというのが一般的
であった。

【０００６】前記した従来の製造方法は、塗布工程と塗
布工程の間に加熱工程が入るために生産効率が非常に悪
いという問題があった。また、前記加熱工程は広幅（１
００〜２００ｃｍ幅）長尺（１０００〜５０００ｍ）の
ロール状物で行われるため、ロール状物の内部まで熱が
伝わるのに時間がかかり、更に生産効率を低下させてい
た。

【０００７】一方、本発明が対象とする平版印刷版に用
いられる物理現像核としては、例えば、特公昭４８ー３
０５６２号、特開平５ー２６５１６４号明細書等に見ら
れるように、通常数ｎｍの範囲のものが用いられてい
た。しかしながら、これらの物理現像核を用いて、ハロ
ゲン化銀乳剤層と物理現像核層を同時重層塗布もしくは
タンデム方式で塗布した場合、印刷に供するレベルの印
刷性能（銀画像の耐刷力及びインキ受容性）は全く得ら
れなかった。

【０００８】本発明において、タンデム方式の塗布方法
とは、１つの塗布工程のライン上に複数の塗布装置を直
列に配置し、塗布工程のライン上を連続的に走行する支
持体に複数回塗布する方式である。具体的には、ライン
上に配置された第１の塗布装置でハロゲン化銀乳剤層も
しくはハロゲン化銀乳剤層と下塗り層を塗布した後、該
塗布皮膜が未乾燥の状態もしくは乾燥させた状態で、該
塗布皮膜の上に連続して物理現像核層を塗布し、乾燥す
ることである。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、平版
印刷材料の製造方法において、印刷性能を低下させずに
生産効率を向上させることにある。特にハロゲン化銀乳
剤層と物理現像核層の同時重層塗布もしくはタンデム塗
布を可能にし、塗布工程と塗布工程の間の加熱工程を省
略することによって、著しく生産効率を高めた製造方法
を提供することにある。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、
（１）支持体上に少なくともハロゲン化銀乳剤層及び物
理現像核層をこの順に有する平版印刷材料を製造するに
際し、前記ハロゲン化銀乳剤層と前記物理現像核層の少
なくとも２つの層を同時重層塗布する方法であって、前
記物理現像核層が平均粒径１０ｎｍ以上の物理現像核を
含有することを特徴とする平版印刷材料の製造方法、
（２）支持体上に少なくともハロゲン化銀乳剤層及び物
理現像核層をこの順に有する平版印刷材料を製造するに
際し、前記ハロゲン化銀乳剤層と前記物理現像核層の少
なくとも２つの層をタンデム方式で塗布する方法であっ
て、前記物理現像核層が平均粒径１０ｎｍ以上の物理現
像核を含有することを特徴とする平版印刷材料の製造方
法、によって達成された。

【００１１】本発明において、同時重層塗布またはタン
デム塗布によって製造された平版印刷版の印刷性能を如
何に保持するかが最も重要な課題である。かかる課題に
向けて鋭意検討した結果、物理現像核の粒子サイズを大
きくすることによって達成できることを見いだした。

【００１２】物理現像核の粒子を大きくすることによっ
て、ハロゲン化銀乳剤層の皮膜が充分に硬化されない状
態であっても、物理現像核はハロゲン化銀乳剤層の内部
にあまり沈み込まず、比較的多く表面に局在し、これに
よってハロゲン化銀乳剤層の表面に銀画像が効率よく形
成されることを見いだした。従って、ハロゲン化銀乳剤
層と物理現像核層の同時重層塗布及びタンデム塗布のよ
うに、ハロゲン化銀乳剤層の皮膜が充分に硬化されない
状態で物理現像核層を塗布する方式において、物理現像
核粒子の大きさは重要である。また、物理現像核を大き
くすることによって、物理現像核層中のバインダーを多
く用いることが可能になり、更に塗布安定性を向上させ
ることができる。

【００１３】

【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明が対象とする平版印刷版において、物理現像核層
とは、銀錯イオンを物理現像過程に於いて金属銀に還元
する際の触媒として作用する働きを行う物理現像核を含
む塗布液を塗布して形成されるものであり、通常ハロゲ
ン化銀乳剤層の上に設けられる。この物理現像核層の塗
布液の塗布量あるいは固形分濃度に応じて層の厚みが変
化出来るが、通常は物理現像核の量は極めて微量で充分
な作用を示すことから、明確な層を形成せずに、単に、
例えば乳剤層の表面に物理現像核が点在する程度に塗布
される場合が多い。

【００１４】物理現像核としては、例えば、銀、アンチ
モン、ビスマス、カドミウム、コバルト、鉛、ニッケ
ル、パラジウム、ロジウム、金、白金等の金属コロイド
微粒子や、これらの金属の硫化物、多硫化物、セレン化
物、又はそれらの混合物、混晶の場合が例として挙げら
れ、銀錯イオンの物理現像による還元反応を触媒するも
のであれば特に制限は無い。好ましい例としては、硫化
物、多硫化物、セレン化物が挙げられ、更に好ましい例
として、硫化銀、硫化パラジウム等の硫化物が挙げられ
る。こうした物理現像核の粒子径は、これを作成する際
の条件により異なるが、従来は特公昭４８−３０５６２
号、特開平５−２６５１６４号明細書等に見られるよう
に、通常数ｎｍの範囲のものが用いられていた。

【００１５】本発明は、前記したように平均粒径が１０
ｎｍ以上の物理現像核粒子を用いるものである。好まし
くは１０〜１００ｎｍで、より好ましくは１２〜３０ｎ
ｍ程度である。物理現像核の粒径は、数平均で透過型電
子顕微境（ＴＥＭ）または光散乱を利用した粒度分布測
定装置を用いて測定したものである。

【００１６】本発明の１０ｎｍ以上の物理現像核は、例
えば物理現像核のコロイド粒子を作製するに際し、合成
時の試薬溶液の濃度や保護コロイドとして用いるポリマ
ー濃度を調整すること等によって得られる。あるいは、
保護コロイドとして使用するポリマーの種類により粒子
径を増大することもできる。こうした保護コロイドとし
てのポリマーの好ましい例としては、アクリルアミドと
ビニルイミダゾールの共重合体等が挙げられる。本発明
の物理現像核の好ましい塗布量は、１m²当り０．１ｍｇ
〜数百ｍｇである。

【００１７】物理現像核層の塗布液中において、物理現
像核をコロイド状に安定に分散するために水溶性のポリ
マーが用いられる。この水溶性ポリマーは親水性である
ため、銀画像部のインキに対する親和性を阻害し、銀画
像部のインク乗り不良を生じさせることから、物理現像
核層におけるポリマー量は少量に限られていた。従っ
て、少ない添加量で物理現像核を安定に分散し、かつ非
画像部の保水性を向上させるために、各種水溶性ポリマ
ーが開発されてきた。例えば、特開昭５３−２１６０２
号、同昭５４−１０３１０４号、同平８−２１１６１４
号、特公昭５６−４２８６２号公報記載のポリマーであ
る。これらのポリマーは少ない添加量（１０〜７０ｍｇ
／m²程度）で充分な効果を与えるが、これは、充分に硬
化されたハロゲン化銀乳剤層上に物理現像核層を塗布す
るという従来の一般的な製造条件に限れられるものであ
った。

【００１８】粒子径が数ｎｍの物理現像核と前記ポリマ
ーを用いた従来の物理現像核層を、ハロゲン化銀乳剤層
と同時重層塗布もしくはタンデム塗布しても、全く印刷
に供するレベルの印刷版は得られなかった。そして、単
にポリマーの添加量を増やしても、全く効果はなく、前
記したように銀画像のインキ乗り不良を助長するのみで
あった。このような背景において、物理現像核を大粒子
にすることが同時重層塗布及びタンデム塗布を可能にす
ることは、驚くべき発見であった。

【００１９】本発明において、物理現像核層には前記し
たポリマーを初め各種水溶性ポリマーを用いることがで
きる。例えば、ゼラチン、澱粉、ジアルデヒド澱粉、カ
ルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロー
ス、アラビアゴム、ジェランガム、アルギン酸ナトリウ
ム、ヒドロキシエチルセルロース、ポリスチレンスルホ
ン酸、ビニルイミダゾールとアクリルアミドの共重合
体、グアニジルチオ尿素とアクリルアミドの共重合体等
の各種アクリルアミド共重合体、ポリビニルアルコー
ル、ポリビニルピロリドン等の親水性高分子又はそのオ
リゴマーが挙げられる。また、これらのポリマーの添加
量も物理現像核を大粒径にすることによって、比較的多
量に添加することが可能になった。特にポリビニルピロ
リドン、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセル
ロース、ヒドロキシプロピルセルロース等は、比較的多
量に用いても銀画像のインキ乗り性及び耐刷性を阻害せ
ず、物理現像核層の塗布性を改良するので、本発明にお
いて好ましく用いられる。

【００２０】本発明において、物理現像核層中に用いる
ポリマー量は、０．１〜５ｇ／m²が好ましく、特に０．
３〜３ｇ／m²が好ましい。

【００２１】物理現像核層には、更にハイドロキノン、
メチルハイドロキノン、カテコール等の現像主薬や、ホ
ルマリン、ジクロロ−ｓ−トリアジン等の公知の硬膜剤
を含有することができる。

【００２２】本発明の対象たる平版印刷版はゼラチン及
び高分子化合物を含有しており、下塗り層、乳剤層、あ
るいは物理現像核層等に添加される。これらのゼラチン
は、硬膜剤で硬化して使用されるが、ゼラチン硬膜剤と
しては、例えばクロム明ばんのような無機化合物、ホル
マリン、グリオキザール、マレアルデヒド、グルタルア
ルデヒドのようなアルデヒド類、尿素やエチレン尿素等
のＮ−メチロール化合物、ムコクロル酸、２，３−ジヒ
ドロキシ−１，４−ジオキサンの様なアルデヒド類、
２，４−ジクロロ−６−ヒドロキシ−Ｓ−トリアジン塩
や、２，４−ジヒドロキシ−６−クロロ−トリアジン塩
のような活性ハロゲンを有する化合物、ジビニルスルホ
ン、ジビニルケトンやＮ、Ｎ、Ｎ−トリアクロイルヘキ
サヒドロトリアジン、活性な３員環であるエチレンイミ
ノ基やエポキシ基を分子中に２個以上有する化合物類、
高分子硬膜剤としてのジアルデヒド澱粉等の種々の化合
物の１種もしくは２種以上をもちいることができる。

【００２３】硬膜剤はすべての層に添加することもで
き、幾つか又は１層にのみ添加することも可能である。
勿論、拡散性の硬膜剤は２層同時塗布の場合、何れか１
層にのみ添加することが可能である。添加方法は乳剤製
造時に添加したり、塗布時にインラインで添加すること
もできる。

【００２４】本発明のゼラチン含有層におけるゼラチン
は、その１部を、水溶性ゼラチン、澱粉、デキストリ
ン、アルブミン、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシエ
チルセルロース、アラビアゴム、ポリビニルアルコー
ル、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロー
ス、ポリアクリルアミド、スチレン−無水マレイン酸共
重合体、ポリビニルメチルエーテル−無水マレイン酸共
重合体等の親水性高分子の１種又は２種以上で置換する
ことも出来る。さらにビニル重合体水性分散物（ラテッ
クス）をゼラチン層に添加することも出来る。

【００２５】下塗り層の高分子結合剤は、一般に０．５
〜１０ｇ／m²より好ましくは１〜６ｇ／m²である。下塗
り層にはハレーション防止の目的でカーボンブラック等
の顔料、染料等を含み得るし、また耐刷力向上のために
平均粒径２〜１０ミクロンの固形粉末（例えばシリカ粒
子）を含み得る。さらに現像主薬等の写真用添加物も含
むことが出来る。また下塗り層は特開昭４８−５５０３
号、同昭４８−１００２０３号、同昭４９−１６５０７
号公報に記載のようなものであってもよい。

【００２６】ハロゲン化銀乳剤層は、例えば、塩化銀、
臭化銀、塩臭化銀、及びこれらにヨウ化銀を含むものか
らなる。ハロゲン化銀結晶は、ロジウム塩、イリジウム
塩、パラジウム塩、ルテニウム塩、ニッケル塩、白金塩
等の重金属塩を含んでいてもよく、添加量はハロゲン化
銀１モル当り１０^-8〜１０^-3モルである。ハロゲン化銀
の結晶形態に特に制限はなく、立方体ないし１４面体粒
子、さらにはコアシェル型、平板状粒子でもよい。ハロ
ゲン化銀結晶は、単分散、多分散結晶であってもよく、
その平均粒径は０．２〜０．８μｍの範囲である。好ま
しい例の１つとしては、ロジウム塩もしくはイリジウム
塩を含む、塩化銀が８０モル％以上の単分散もしくは多
分散結晶がある。

【００２７】ハロゲン化銀乳剤は、それが製造される時
又は塗布される時に種々な方法で増感することが出来
る。例えば、チオ硫酸ナトリウム、アルキルチオ尿素に
よって、又は金化合物、たとえばロダン金、塩化金によ
って、又はこれらの両者の併用など当該技術分野におい
て良く知られた方法で化学的に増感することが好まし
い。ハロゲン化銀乳剤は又、例えばシアニン、メロシア
ニン等の色素によってポジティブにもネガティブにも増
感又は減感され得る。その増感又は減感され得る波長域
に特に制限はない。従って、オルソ増感、パンクロ増
感、ヘリウム−ネオンレーザー用増感、アルゴンレーザ
ー用増感、ＬＥＤ用増感、半導体レーザー用増感もなし
得るし、明室用にＵＶ増感、可視光減感もなし得る。

【００２８】下塗り層、ハロゲン化銀乳剤層、物理現像
核層等の各塗布層には、塗布助剤として、アニオン性、
カチオン性もしくは中性界面活性剤のいくつかを含んで
いてもよいし、カブリ防止剤、マット剤、増粘剤、帯電
防止剤等を含むことが出来る。

【００２９】本発明において、ハロゲン化銀乳剤層と物
理現像核層の少なくとも２層を同時重層塗布もしくはタ
ンデム塗布するための塗布方式としては、スライドホッ
パー塗布方式、バー塗布方式、ロール塗布方式、エアー
ナイフ塗布方式、カーテン塗布方式、グラビア塗布方
式、スプレー塗布方式、ディップ塗布方式等が使用でき
る。特にハロゲン化銀乳剤層と物理現像核層の同時２重
層塗布、更には下塗り層を加えた同時３重層塗布するた
めの塗布方式としては、スライドホッパー塗布方式、カ
ーテン塗布方式が好ましく用いられる。

【００３０】本発明の平版印刷版の支持体としては、
紙、又は合成もしくは半合成高分子フィルム、アルミニ
ウム、鉄等の金属板等で平版印刷に耐えるものであれば
使用することが出来る。支持体の表面を１層又はそれ以
上の高分子フィルム、又は金属薄膜で、片面もしくは両
面を被覆することも出来る。これらの支持体の表面を塗
布層との接着を良くする為に表面処理することも可能で
ある。

【００３１】特に好ましく用いられる支持体は、両面も
しくは片面をポリオレフィン重合体で被覆した紙、ポリ
エステルフィルム、表面を親水化処理したポリエステル
フィルム、表面処理を行ったアルミニウム板等である。
これらの支持体にはハレーション防止のための顔料や表
面物性改良の為に固形微粒子を含んでいてもよい。又支
持体は裏面露光が可能なように光透過性であっても良
い。

【００３２】本発明で使用する現像処理液には、アルカ
リ性物質、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、
水酸化リチウム、第三リン酸ナトリウム等、保恒剤とし
ての亜硫酸塩、ハロゲン化銀溶剤、例えばチオ硫酸塩、
チオシアン酸塩、環状イミド、２−メルカプト安息香
酸、アミン等、粘稠剤、例えばヒドロキシエチルセルロ
ース、カルボキシメチルセルロース等、カブリ防止剤、
例えば臭化カリウム、特開昭４７−２６２０１号公報に
記載の化合物等、現像剤、例えばハイドロキノン類、カ
テコール、１−フェニル−３−ピラゾリドン等、現像変
性剤、例えばポリオキシアルキレン化合物、オニウム化
合物等を含むことが出来る。さらに現像処理液には、米
国特許第３，７７６，７２８号に記載の如き表面銀層の
インキ乗りを良くする化合物等を使用することが出来
る。

【００３３】本発明の平版印刷版の現像後の表面銀層
は、任意の公知の表面処理剤でインキ受容性に変換ない
しは受容性を増強せしめ得る。このような処理液として
は、例えば特公昭４８−２９７２３号、米国特許第３，
７２１，５５９号等に記載されている。印刷方法、ある
いは使用する不感脂化液、給湿液等は普通に良く知られ
た方法によることが出来る。

【００３４】

【実施例】以下に本発明を実施例により説明するが勿論
本発明はこれだけに限定されるものではない。実施例１親水化の目的で特開昭６０−２１３９４２号に示される
エポキシ化合物を含有した下引組成物で水性下引加工さ
れたポリエステルフィルム支持体上に下記の下塗層、ハ
ロゲン化銀乳剤層及び物理現像核層をスライドホッパー
塗布方式を用いて同時３重層塗布を行った。

【００３５】＜下塗層塗布液＞ゼラチン３５ｇ水１２０ｇ酸化チタン（堺化学社製ＳＲ−１）３０ｇ水１００ｇシリカ（塩野義製薬株式会社製カ−プレックス平均粒子径１．１ミクロン）２５ｇカーボンブラック分散液（固形分３２％）８ｇグリオギザール（４０％水溶液）４ｇ界面活性剤６ｍｌ 2,4-シ゛クロロ-6ーヒト゛ロキシ-S-トリアシ゛ンナトリウム１．７ｇ水を加えて全量を４００ｇにする。塗布量は湿分塗布量
で４０ｇ／m²である。

【００３６】＜ハロゲン化銀乳剤層塗布液＞オルソ増感
された高感度塩化銀乳剤（硝酸銀換算で１．６ｇ／m
²分）、ゼラチン（ハロゲン化銀乳剤層合計で０．８ｇ
／m²分）、に界面活性剤及び硬膜剤としてＮ−メチロー
ルエチレン尿素を８０ｍｇ／m²、１−フェニル−３−ピ
ラゾリドンを０．１ｇ／m²になるように調整した塗布液
を湿分塗布量１５ｇ／m²で前記下塗り層上に塗布する。

【００３７】＜物理現像核層塗布液＞物理現像核液（下記方法で作成した表１のＡ、Ｂ、Ｃ、Ｄ、Ｅ）７０ｇハイドロキノン５０ｇポリビニルピロリドン（Ｋ−６０）１６７ｇアクリルアミト゛とヒ゛ニルイミタ゛ソ゛ールとの共重合体（８．３ｇ−Ｘｇ）１０％サポニン（界面活性剤）２ｍｌ水を加えて全量を２０００ｍｌとした。

【００３８】上記物理現像核層塗布液の塗布量は湿分で
１２ｇ／m²である。ポリマーは、ポリビニルピロリドン
を１ｇ／m²、及びアクリルアミドとビニルイミダゾール
との共重合体を０．０５ｇ／m²（下記の核液作成時に使
用した量を差し引いた量を添加して合計が０．０５ｇ／
m²になるように添加）含有する。

【００３９】＜物理現像核液の作成＞（１）硫化銀ゾルの調製Ａ液硝酸銀５０ｇ蒸留水１０００ｍｌアクリルアミト゛とヒ゛ニルイミタ゛ソ゛ールとの共重合体ＸｇＢ液硫化ソーダ３６ｇ蒸留水１０００ｍｌ

【００４０】Ａ液とＢ液を攪拌しながら混合し、６０分
後にイオン交換樹脂（ＩＲ−１２０Ｅ、ＩＲＡ−４０
０）の充填されたカラムに通し硫化銀ゾルを得た。アク
リルアミドとビニルイミダゾールとの共重合体の量（５
〜５０ｇ）を調整し反応を制御することにより、表１に
示すような粒子サイズの物理現像核を作製した。

【００４１】

【表１】

【００４２】上記方法で作成した下塗り層、ハロゲン化
銀乳剤層及び物理現像核層を同時重層塗布し、乾燥した
後、４０℃で２日加熱した。このようにして得られた各
種平版印刷材料を三菱製紙社製の製版カメラプロセッサ
ＣＰ−５５０IIを用いて、画像露光を行い、現像処理を
行った。現像は下記の拡散転写現像液でそれぞれ３０
℃、２０杪間現像した。安定化は、下記の組成の安定化
液でそれぞれ２５℃、２０杪間処理し、乾燥させた。得
られた各平版印刷版について、下記に示す試験を行っ
た。その結果を表２に示す。

【００４３】＜拡散転写現像液＞水酸化ナトリウム１５ｇ水酸化カリウム２０ｇ無水亜硫酸ナトリウム４０ｇ無水亜硫酸カリウム４ｇ３、６−ジチア１、８−オクタンジオール１ｇ２−（２−アミノエチルアミノ）−エタノール１２ｇ２−メルカプト−５−ｎ−ヘプチルオキサジアゾール０．２ｇトリエチレンテトラミン６酢酸１０ｇ水を加えて全量を１，０００ｍｌとする。ｐＨは１３．
４に調製。

【００４４】＜安定化液＞水６００ｇリン酸一カリ３０ｇ重亜硫酸ナトリウム１０ｇトリエタノールアミン８ｇ２−メルカプト−５−ｎ−ヘプチルオキサジアゾール０．１ｇ水を加えて全量を１，０００ｍｌとする。ｐＨは６．０
に調製。

【００４５】得られた印刷版について、印刷機エー・ビ
ー・ディック３５０ＣＤ（Ａ・Ｂ・Ｄｉｃｋ社製オフセ
ット印刷機の商標）を使用し、下記の不感脂化液及び給
湿液を用い、インキとして大日本インキ社製ニューチャ
ンピオン墨Ｎを用いて印刷し、耐刷性及びインキ乗り性
を評価した。耐刷性は、銀画像部の欠落による画像飛び
が生じて印刷に供せなくなったときの印刷枚数で次の評
価基準で判定した。

【００４６】（Ａ）１０，０００枚以上（Ｂ）５，０００〜１０，０００枚（Ｃ）５，０００枚以下

【００４７】＜不感脂化液＞水６００ｇイソプロピルアルコール４００ｇエチレングリコール５０ｇ 3-メルカフ゜ト-4-アセトアミト゛-5-n-ヘフ゜チル-1,2,4-トリアソ゛ール１ｇ

【００４８】＜給湿液＞Ｏ−リン酸１０ｇ硝酸ニッケル５ｇ亜硝酸ナトリウム５ｇエチレングリコール１００ｇコロイダルシリカ（２０％液）２８ｇ水を加えて２，０００ｍｌする。

【００４９】上記、耐刷力の評価で、インキ乗り性も同
時に評価した。インキ乗り性はインキの乗り始める枚数
で評価した。

【００５０】

【表２】

【００５１】物理現像核の粒子サイズを大きくすること
によって、ハロゲン化銀乳剤層と物理現像核層の同時重
層塗布において、高いレベルの印刷性能が得られるよう
になった。

【００５２】尚、参考例１として、従来の物理現像核層
を用いて従来の製造方法で平版印刷材料を作成し同様に
印刷試験した。従来の物理現像核層として、上記物理現
像核Ａ（３ｎｍ）を用い、ポリマーはアクリルアミドと
ビニルイミダゾールとの共重合体を０．０５ｇ／m²（ポ
リビニルピロリドンは含有しない）含有するものを作成
した。支持体上に下塗り層とハロゲン化銀乳剤層を塗布
し乾燥した後、４０℃で４日間加熱し、ハロゲン化銀乳
剤層の塗布皮膜を充分に硬化させた。しかる後に前記物
理現像核層を塗布し乾燥して平版印刷材料を作成した。
この平版印刷版の耐刷力及びインキ乗り性は、実施例１
の本発明のサンプル３〜５と同程度であり、本発明は印
刷性能を低下させずに、同時重層塗布を可能にし、生産
効率を向上させることを確認した。

【００５３】参考例２として、上記従来の物理現像核層
とハロゲン化銀乳剤層及び下塗り層を実施例１に従って
同時３重層塗布して平版印刷材料を作成した。この平版
印刷材料を製版処理して得られた平版印刷版は、銀画像
が充分に形成されず、印刷評価するまでには至らなかっ
た。

【００５４】実施例２実施例１のスライドホッパーを用いて同時３重層塗布す
る代わりに、以下のタンデム方式で塗布する以外は、実
施例１と同様に平版印刷材料を作成した。

【００５５】＜タンデム塗布方式＞支持体に先ず下塗り
層とハロゲン化銀乳剤層をスライドホッパーで２層同時
塗布し、該塗布皮膜を冷却ゲル化した後、連続して物理
現像核層をスライドホッパーで塗布し、乾燥した。その
後、試料を４０℃で２日間加熱した。

【００５６】上記タンデム方式で作成したそれぞれの平
版印刷版について、実施例１と同様にして印刷評価をし
た結果、実施例１と同様な結果が得られた。

【００５７】

【発明の効果】本発明によれば、印刷性能を低下させず
に、ハロゲン化銀乳剤層と物理現像核層の少なくとも２
層を同時重層塗布及びタンデム塗布することが可能にな
り、生産効率が大幅に向上する。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】支持体上に少なくともハロゲン化銀乳剤
層及び物理現像核層をこの順に有する平版印刷材料を製
造するに際し、前記ハロゲン化銀乳剤層と前記物理現像
核層の少なくとも２つの層を同時重層塗布する方法であ
って、前記物理現像核層が平均粒径１０ｎｍ以上の物理
現像核を含有することを特徴とする平版印刷材料の製造
方法。
【請求項２】支持体上に少なくともハロゲン化銀乳剤
層及び物理現像核層をこの順に有する平版印刷材料を製
造するに際し、前記ハロゲン化銀乳剤層と前記物理現像
核層の少なくとも２つの層をタンデム方式で塗布する方
法であって、前記物理現像核層が平均粒径１０ｎｍ以上
の物理現像核を含有することを特徴とする平版印刷材料
の製造方法。
【請求項３】前記物理現像核層がポリビニルピロリド
ン、ポリビニルアルコールまたはヒドロキシエチルセル
ロースを０．３ｇ／m²以上含有することを特徴とする請
求項１または２に記載の平版印刷材料製造方法。
【請求項４】前記物理現像核が硫化銀である請求項１
又は２に記載の平版印刷材料の製造方法。