JPH10312715A - 透明導電膜およびその製造方法 - Google Patents

透明導電膜およびその製造方法

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JPH10312715A
JPH10312715A JP12215197A JP12215197A JPH10312715A JP H10312715 A JPH10312715 A JP H10312715A JP 12215197 A JP12215197 A JP 12215197A JP 12215197 A JP12215197 A JP 12215197A JP H10312715 A JPH10312715 A JP H10312715A
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JP
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silver
film
silver compound
network structure
transparent conductive
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Application number
JP12215197A
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English (en)
Inventor
Toshiharu Yoshikawa
逸治 吉川
Noboru Kinoshita
暢 木下
Tetsuya Nakabeppu
哲也 中別府
Yasuo Kubo
泰生 久保
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Osaka Cement Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Osaka Cement Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 表示装置の漏洩電磁波遮蔽膜、各種電子デバ
イスの透明電極、透明面状発熱体等として有用な透明導
電膜およびその製造方法に関し、導電性が高くて漏洩電
磁波遮蔽効果を有効に発揮でき、電極としても使用可能
であり、しかも透明性が高く、モアレ干渉模様が生じな
いようにすることを課題とする。 【解決手段】 銀からなり微細網目構造を有する透明導
電膜を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表示装置の漏洩電
磁波遮蔽膜、各種電子デバイスの透明電極、透明面状発
熱体等として有用な透明導電膜およびその製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、CRT(陰極線管)、LCD(液
晶ディスプレイ)、PDP(プラズマディスプレイ)等
を有する表示装置の漏洩電磁波遮蔽膜、各種電子デバイ
スの透明電極、透明面状発熱体として有用な高い導電
性、高い光透過性を有する高導電性薄膜の需要が増加し
てきている。このうち、表示装置の漏洩電磁波遮蔽膜と
しては、PET(ポリエチレンテレフタレート)等のプ
ラスチック繊維にCuメッキ被覆を施した導電性のメッ
シュをプラスチックやガラスに挟んで封入したものや、
ITO(錫をドープした酸化インジウム)のスパッタ
膜、銀のスパッタ膜等が用いられている。
【0003】〔問題点〕しかしながら、導電性のメッシ
ュをプラスチックやガラスに挟んで封入したものは、光
透過性が悪く、視野角が狭くなり、開口が大きいためモ
アレ干渉模様が発生し、視認性が悪くなるといった問題
点がある。ITOのスパッタ膜については、透明性につ
いては問題ないが、成膜が真空中で行われるため成膜工
程が複雑となるという問題点がある。さらに、銀のスパ
ッタ膜についてもITOの場合と同様に成膜が真空中で
行われるため高価になり、更に材料そのものが透明でな
いため光透過性が悪いという問題点がある。
【0004】また、電子デバイスの透明電極としてはI
TOのスパッタ膜が挙げられるが、上記と同様の問題点
がある。最近では、塗布型のITO膜が開発されている
が、膜の表面抵抗値はせいぜい103〜 104Ω/□であ
り、低抵抗の膜が得られないという問題点がある。
【0005】このように、漏洩電磁波遮蔽効果を有効に
発揮することができ、電極としても使用可能な面抵抗 1
03Ω/□以下となるような高い導電性、全光線透過率が
60%以上となるような高い透明性を有し、モアレ干渉
模様も生じない薄膜が見当たらない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術の
問題点に鑑みてなされたものであり、この問題点を解消
するため具体的に設定された課題は、漏洩電磁波遮蔽効
果を有効に発揮でき、導電性が高くて電極としても使用
可能であり、しかも透明性が高く、モアレ干渉模様が生
じない透明導電膜およびその製造方法を提供することに
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明における請求項1
に係る透明導電膜は、銀からなり微細網目構造を有する
ことを特徴とするものであり、漏洩電磁波遮蔽効果を有
し、電極としても使用可能な、導電性が高く、透明性が
高くてモアレ干渉模様を生じることがない膜が得られ
る。
【0008】そして、請求項2に係る透明導電膜は、前
記微細網目構造の平均開口径が 50μm以下であり、か
つ、平均開口径/平均線幅が7以上であることを特徴と
し、視認性が良く、光透過性が高い膜が得られる。
【0009】そしてまた、請求項3に係る透明導電膜
は、前記銀が有機銀化合物あるいは無機銀化合物の放射
線還元析出銀であることを特徴とし、導電性が高い膜が
容易に得られる。
【0010】また、請求項4に係る透明導電膜の製造方
法は、有機銀化合物あるいは無機銀化合物の溶液を基板
上に噴霧塗布して乾燥させることにより微細網目構造の
膜を形成し、膜形成後に放射線照射を行い前記有機銀化
合物あるいは前記無機銀化合物を還元して銀を析出させ
ることを特徴とするものであり、銀からなる微細網目構
造を有する薄膜が容易に得られる。
【0011】そして、請求項5に係る透明導電膜の製造
方法は、前記溶液の表面張力を被塗布基板の表面張力よ
りも小さくするとともに、前記有機銀化合物あるいは前
記無機銀化合物の可溶溶剤に、該可溶溶剤よりも低沸点
の前記有機銀化合物あるいは前記無機銀化合物の難溶溶
剤を混合することを特徴とし、微細な網目構造を有する
膜が形成される。
【0012】また、請求項6に係る透明導電膜の製造方
法は、前記有機銀化合物あるいは前記無機銀化合物の溶
液を基板上に塗布して乾燥し、乾燥後、前記有機銀化合
物あるいは前記無機銀化合物の可溶溶剤を噴霧塗布して
乾燥させることにより微細網目構造の膜を形成し、膜形
成後に放射線照射を行い前記有機銀化合物あるいは前記
無機銀化合物を還元して銀を析出させることを特徴とす
るものであり、銀からなる微細網目構造を有する薄膜が
容易に得られる。
【0013】そして、請求項7に係る透明導電膜の製造
方法は、前記可溶溶剤の表面張力を、被塗布基板の表面
張力よりも小さくするとともに、前記可溶溶剤に、前記
可溶溶剤よりも低沸点の前記有機銀化合物あるいは前記
無機銀化合物の難溶溶剤を混合することを特徴とし、微
細な網目構造を有する膜が形成される。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。ただし、この実施の形態は本発明の趣旨をより良
く理解させるために具体的に述べるものであり、発明内
容を限定するものではない。
【0015】本発明者等は従来技術の問題点に鑑み鋭意
検討を重ねた結果、透明導電膜としては、体積固有抵抗
の低い金属、特に銀を用いて特殊な構造、即ち微細網目
構造にすることにより、高い導電性を保持したまま高い
光透過性が得られ、そして、この透明導電膜の製造方法
としては、導電物質の溶液を噴霧して硬化させる噴霧塗
布法を用いた製造方法で成膜することにより、微細網目
構造の薄膜を形成させ、高導電性と高光透過性とを有す
る透明導電膜が容易に得られることを見出した。
【0016】詳しくは、有機銀化合物あるいは無機銀化
合物の溶液を噴霧し、基板に塗布した膜に放射線を照射
して銀を還元し析出させるか、あるいはまた、有機銀化
合物あるいは無機銀化合物の溶液を基板上に均一に塗布
し、この塗布膜に前記銀化合物が可溶な溶剤を噴霧して
形成した膜に放射線を照射して銀を還元し析出させる方
法により、銀の微細網目構造を形成して所望の高導電性
および高光透過性を有する透明導電膜が得られる。
【0017】〔透明導電膜〕形成された微細網目構造を
有する薄膜が、電磁波遮蔽能を有し、電極として用いら
れる高い導電性を示し、さらに高い光透過性を兼ね備え
た透明導電膜であるためには、表面抵抗は 103Ω/□以
下、より好ましくは 102Ω/□以下であることが必要で
あり、全光線透過率は 60 %以上であることが必要であ
る。
【0018】一般には、透明導電膜の光透過性の向上と
導電性の向上とは相反するもので、両者をともに満足す
ることは困難であるが、微細網目構造を有する透明導電
膜では、平均開口径、平均開口径/平均線幅、膜厚等を
適宜設計することにより、表面低抗 103Ω/□以下、お
よび、全光線透過率 60 %以上をともに満足する透明導
電膜を得ることができる。
【0019】微細網目構造を有する透明導電膜は、網目
の平均開口径が 50 μmを超える場合は肉眼で網目構造
が認識され視認性に劣るため、平均開口径が 50 μm以
下とし、より好ましい視認性を得るためには 30 μm以
下とする。また、平均開口径/平均線幅が7より小さい
場合は、開口部分の面積が相対的に狭くなり、全光線透
過率 60 %以上を確保することが困難になるため、平均
開口径/平均線幅は7以上とする。透明導電膜の膜厚は
特に限定されないが、光透過性の観点から 0.5μm以下
とし、より好ましくは 0.2μm以下とする。
【0020】有機銀化合物としては、酢酸銀、乳酸銀、
シュウ酸銀、クエン酸銀、アクリル酸銀、酒石酸銀、L
−グルタミン酸銀、アルギン酸銀、グルコン酸銀等が挙
げられる。無機銀化合物としては硝酸銀等が挙げられ
る。これら有機銀化合物あるいは無機銀化合物は一種あ
るいは二種以上を混合して用いることができる。
【0021】このような微細網目構造を有する透明導電
膜が成膜される基板としては、特に限定されないが、ソ
ーダ石灰ガラス、無アルカリガラス、PMMA(ポリメ
チルメタクリレート)、ポリカーボネート、PVC(ポ
リ塩化ビニール)、PETなどが挙げられる。
【0022】特に、有機銀化合物あるいは無機銀化合物
を放射線照射により還元し、銀を析出させて透明導電膜
を成膜する場合には、低温成膜が可能になるため、PM
MA、ポリカーボネート、PVC、PET等のプラスチ
ック基板への透明導電膜の形成が容易にできる。
【0023】〔製造方法〕微細網目構造を有する透明導
電膜の製造方法としては、特に限定しないが、従来のス
パッタ等の成膜法とフォトリソグラフィ技術とを併用し
て行われるパターン加工法を用いて微細網目構造を有す
る膜を成形する場合には、工程も複雑になり、装置、ラ
ンニングコストも高くなり、安価に成膜することができ
ないから、有機銀化合物あるいは無機銀化合物を含有す
る溶液をスプレーノズルより基板上に噴霧して微細網目
構造を有する薄膜を形成した後、放射線照射を行なう
か、または、有機銀化合物あるいは無機銀化合物を含有
する溶液を基板上に均一に塗布し、この膜に前記有機銀
化合物あるいは前記無機銀化合物が可溶な溶剤をスプレ
ーノズルより噴霧して微細網目構造を有する薄膜を形成
した後、放射線照射を行なうことにより、銀からなり微
細網目構造を有する透明導電膜を形成する方法によるこ
とが好ましい。
【0024】〔第1製造方法〕有機銀化合物あるいは無
機銀化合物の溶液を基板上にスプレーノズルより噴霧し
て塗布することにより微細網目構造の薄膜を形成する方
法としては、まず、準備作業として、有機銀化合物ある
いは無機銀化合物に対してある程度高い溶解度を有する
溶剤にこれらを溶解する。
【0025】このスプレー噴霧溶剤としては、水、アセ
トニトリル、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジイ
ソプロピルアミン等のアミン系溶剤、ジメチルスルフォ
キシド等が挙げられ、これらを一種あるいは二種以上混
合して用いることができる。また、この溶剤には溶解度
を増大させる添加物(例えばアンモニア等)、表面張力
を減少させる添加物(例えば界面活性剤等)を添加させ
ることができる。
【0026】さらに、このスプレー噴霧溶剤に、該溶剤
よりも沸点が低い相溶性の前記有機銀化合物あるいは前
記無機銀化合物の難溶溶剤を添加する。この溶剤として
は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセ
トン、メチルエチルケトン等が挙げられ、これらを一種
あるいは二種以上混合して用いることができる。そし
て、これら混合溶剤の表面張力は塗布する基板のそれよ
り低くする必要があり、適宜混合比が決められる。
【0027】次に、図1に示す手順により薄膜を形成さ
せる。これには、まず、この有機銀化合物あるいは無機
銀化合物の溶液をスプレーノズルより噴霧し、液滴1を
基板に塗布する(図1(A))。ここで、噴霧された液
滴1は基板2に衝突する際、噴霧時のエネルギーによっ
て、カルデラ状(周辺部か盛り上がり中央部が窪んだ形
状)に変形した形で基板に付着する(図1(B))。溶
液の表面張力が基板より小さいため付着した液滴は基板
上に広がりながら、カルデラ状付着物1aを徐々に乾燥
させる(図1(C))。
【0028】このカルデラ状付着物1aの乾燥の際、低
沸点溶剤が選択的に速く揮発し、その後、残留溶剤中の
有機銀化合物あるいは無機銀化合物が飽和濃度に達する
と、これら銀化合物が析出し始め、微細なリング状の構
造物3が形成される(図1(D))。これらが基板上で
一面に形成されるために微細網目構造4が形成されるこ
とになる(図1(E))。
【0029】ここで溶液(液滴1)の表面張力が基板2
より大きいと濡れが悪いため再び球状あるいは半球状に
戻り、良好なリング状の構造物が形成されない。スプレ
ーノズルとしては、二流体噴霧ノズル、圧力噴霧ノズ
ル、超音波噴霧ノズル等公知の噴霧方法を用いることが
できる。
【0030】スプレーにより微細化された液滴1は、そ
の基板上に形成される微細網目構造4の開口径に大きい
影響を与えるため、小さい方が好ましい。特に、平均開
口径が 50 μm以下、かつ平均開口径/平均線幅が7以
上の微細網目構造4の膜を形成するためには液滴径を 5
0 μm以下にすることが必要である。さらにその上で視
認性を向上させるためには液滴径を 30 μm以下にする
ことが好ましい。
【0031】これらはスプレー噴霧時のエアー圧力、送
風量、送液量をコントロールすることにより実現可能で
ある。塗布された液滴1,1aを乾燥させるために、基
板温度は常温でもかまわないが、基板が熱変形しない程
度に加温しても良い。
【0032】〔第2製造方法〕次に、有機銀化合物ある
いは無機銀化合物の溶液を基板上に塗布して乾燥し、そ
の後前記銀化合物の可溶溶剤をスプレーノズルより噴霧
して塗布することにより、微細網目構造の薄膜を形成す
る方法としては、先ず、準備作業として、有機銀化合物
あるいは無機銀化合物に対してある程度高い溶解度を有
する溶剤にこれらを溶解する。
【0033】この溶剤としては、水、アセトニトリル、
ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルア
ミン、ジn−ブチルアミン等のアミン系溶剤、ジメチル
スルフォキシド等が挙げられ、これらを一種あるいは二
種以上混合して用いることができる。
【0034】また、この溶剤には溶解度を増大させる添
加剤(例えばアンモニア等)、表面張力を減少させる添
加剤(例えば界面活性剤等)を添加させることができ
る。さらに、この溶剤に、上記有機銀化合物あるいは無
機銀化合物の可溶溶剤よりも沸点が高い相溶性の溶剤を
混合することが好ましい。そして、これら混合溶剤の表
面張力は塗布する基板6のそれより低くする必要があ
り、適宜混合比が決められる。
【0035】沸点が高い相溶性の溶剤としてはn−ブタ
ノール、2−ブタノール、ペンタノール、フルフリルア
ルコール、テトラフルフリルアルコール、メチルセロソ
ルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチレン
グリコール、プロピレングリコール、ジイソブチルケト
ン等が挙げられ、これらを一種或いは二種以上混合して
用いることができる。
【0036】次に、図2に示す手順により薄膜を形成さ
せる。まず、有機銀化合物あるいは無機銀化合物の溶液
5を基板6に均一に塗布して乾燥する。塗布法として
は、スピンコート、ロールコート、パーコート、スプレ
ーコート、デイッブコート等の通常の成膜方法が使用可
能である。このようにして塗布乾燥された有機銀化合物
あるいは無機銀化合物の溶液5は基板6より表面張力が
小さいため基板上に広がり均一に成膜される(図2
(A))。
【0037】その後、有機銀化合物あるいは無機銀化合
物に対し、ある程度高い溶解度を有する可溶溶剤と、有
機銀化合物あるいは無機銀化合物の可溶溶剤よりも沸点
が低い相溶性の難溶溶媒との混合溶媒を、スプレーノズ
ルより基板へ噴霧する。
【0038】スプレー噴霧する混合溶媒のうち、有機銀
化合物あるいは無機銀化含物に対し、ある程度高い溶解
度を有する可溶溶剤としては、水、アセトニトリル、ジ
エチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミ
ン等のアミン系溶剤、ジメチルスルフォキシド等が挙げ
られ、これらを一種或いは二種以上混合して用いること
ができる。
【0039】さらに、この可溶溶剤に、有機銀化合物あ
るいは無機銀化合物の可溶溶剤よりも沸点が低い相溶性
の有機銀化合物あるいは無機銀化合物の難溶溶剤を添加
する。この難溶溶剤としてはメタノール、エタノール、
イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン等が
挙げられ、これらを一種或いは二種以上混合して用いる
ことができる。これら混合溶剤の表面張力は塗布する基
板6のそれより低くする必要があり、適宜混合比が決め
られる。
【0040】噴霧された液滴7は、基板6に衝突する際
に、噴霧時のエネルギーによって、均一に塗布された有
機銀化合物あるいは無機銀化合物を溶解しながらカルデ
ラ状に変形した形で基板に付着する(図2(B))。付
着した液滴7は、液滴7および溶液5の表面張力が基板
6より小さいため、有機銀化合物あるいは無機銀化合物
を溶解しながら基板上に広がるとともにカルデラ状付着
物7aを徐々に乾燥させる(図2(C))。
【0041】そして、カルデラ状付着物7aの乾燥の
際、低沸点溶剤が選択的に速く揮発し、その後、残留溶
剤中の有機銀化合物あるいは無機銀化合物が飽和濃度に
達すると、これら銀化合物が析出し始め、微細なリング
状の構造物8が形成される(図2(D))。これらリン
グ状の構造物8が基板上で一面に形成されるために微細
網目構造9が形成されることになる(図2(E))。
【0042】ここで、液滴7の表面張力が溶液5、基板
6より大きいと濡れが悪いため、再び球状あるいは椀型
に戻り、良好なリング状構造物8が形成されない。スプ
レーノズルとしては、二流体噴霧ノズル、圧力噴霧ノズ
ル、超音波噴霧ノズル等の公知の噴霧方法を用いること
ができる。
【0043】スプレーにより微細化された液滴7は、そ
の基板上に形成される微細網目構造9の開口径に大きい
影響を与えるため、小さい方が好ましい。特に、平均開
口径が 50 μm以下であり、かつ平均開口径/平均線幅
が7以上の微細網目構造9の膜を形成するためには、液
滴径を 50 μm以下にすることが必要である。さらにそ
の上で視認性を改善するためには液滴径を 30 μm以下
にすることが好ましい。
【0044】これらはスプレー噴霧時のエアー圧力、送
風量、送液量をコントロールすることにより実現可能で
ある。塗布された液滴7,7aを乾燥させるために、基
板温度は常温でもかまわないが、基板が熱変形しない程
度に加温しても良い。
【0045】〔銀粒子膜〕このようにして得られた有機
銀化合物あるいは無機銀化合物の微細網目構造4,9の
薄膜に放射線照射することにより、有機銀あるいは無機
銀が金属銀に分解、還元される。この有機銀あるいは無
機銀の放射線による分解、還元機構は次のように考えら
れる。すなわち、 ここで、Rは有機陰イオン、Xは無機陰イオンである。
【0046】この反応中に水分が存在すると、光分解初
期生成物(Agクラスター)の再結合、析出銀原子やコ
ロイド銀の凝集等が進み、連結した銀粒子膜が形成され
る。そこで、放射線照射後に水洗を行うと、この反応が
進み、導電性が向上する。放射線としては、紫外線、可
視光線、電子線等が挙げられるが、特に、紫外線が好ま
しい。
【0047】紫外線源としては、低圧水銀灯、高圧水銀
灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等が用いら
れる。照射エネルギー量は特に制限されず、用いられる
有機銀化合物あるいは無機銀化合物の種類によって異な
るが、 0.5J/cm2 以上あれば良い。
【0048】こうして得られた銀粒子膜は、比抵抗が10
-4〜10-5Ω・cm程度で、平均開口径を 50 μm、平均
開口径/平均線幅を7、膜の厚みを 0.5μm、あるいは
平均開口径を 30 μm、平均開口径/平均線幅を7、膜
の厚みを 0.2μmとすると、表面低抗は 102Ω/□以下
となり低抵抗が確保される。また、全光線透過率も平均
開口径/平均線幅を7以上とすることにより、開口部分
の面積が 60 %超となり、全光線透過率 60 %以上を容
易に確保できる。
【0049】
【実施例】以下に具体的な実施例を説明する。この実施
例についても、発明の趣旨をより良く理解させるための
ものであり、具体的に記載していたとしても、発明内容
を限定するものではない。
【0050】〔実施例1〕 A.スプレー塗布による網目構造膜形成 精製水25重量部、アセトニトリル25重量部、イソプ
ロパノール変性エタノール50重量部、フロン系陰イオ
ン界面活性剤(住友3M社製、FC− 93 )0.01 重量
部に乳酸銀5重量部を溶解し、乳酸銀溶液を作製する。
次に、この溶液を二流体噴霧ノズルを用いて送液量8m
l/min、空気圧力3kg/cm2 で、面温 50 ℃に
加温されたPMMA基板上に、ノズル先端/基板間距離
20 cmの条件で噴霧し、微細網目構造の薄膜を形成す
る。
【0051】B.紫外線照射による銀還元 得られた乳酸銀の微細網目構造の薄膜に、低圧水銀灯
(セン特殊光源(株)製)を用い、2J/cm2 の紫外
線を照射し、その後、水洗し、乾燥して乳酸銀を還元
し、銀粒子膜を析出させた。
【0052】C.薄膜の特性 得られた銀粒子膜は平均開口径 49 μm、平均線幅6μ
m(平均開口径/平均線幅= 8.17 )、線部の膜厚が
0.20 μmの微細網目構造を呈しており、表面抵抗 69
Ω/□、全光線透過率が 60 %の膜であった。
【0053】尚、この薄膜評価法は、次の通りである。 平均開口径および平均線幅:光学顕微鏡あるいは走
査型光学顕微鏡を用い、膜の平面方向の形状を観察、写
真撮影し網目構造の開口部、線幅について 50 カ所の大
きさ、太さを測定し、平均化して求めた。 膜厚:膜を熱硬化型の埋め込み樹脂中に封入し、ミ
クロトームで断面方向に薄片を切り出し、透過型電子顕
微鏡で観察、線部の最高部の厚さを 10 カ所測定し平均
化して求めた。 表面抵抗値:三菱化学株式会社製 ロレスタAP
(4端針法)を用いて測定した。 全光線透過率:東京電色株式会社製 Automatic H
aze Meter を用いて測定した。なお薄膜評価法について
は、以下の実施例についても同様である。
【0054】〔実施例2〕 A.スプレー塗布による網目構造膜形成 精製水 20 重量部、アセトニトリル 20 重量部、イソプ
ロパノール変性エタノール 60 重量部、ソルビタン系非
イオン界面活性剤(花王(株)製、レオドールTW− 012
0 )0.01重量部に乳酸銀5重量部を溶解し、乳酸銀溶液
を作製する。次に、この溶液を二流体噴霧ノズルを用い
て送液量6ml/min、空気圧力5kg/cm2 で、
面温 60 ℃に加温されたPMMA基板上に、ノズル先端
/基板間距離 20 cmの条件で噴霧し、微細網目構造の
薄膜を形成する。
【0055】B.紫外線照射による銀還元:得られた乳
酸銀の微細網目構造の薄膜に、低圧水銀灯(セン特殊光
源(株)製)を用い2J/cm2 の紫外線を照射し、そ
の後水洗し、乾燥して乳酸銀を還元し、銀粒子膜を析出
させた。得られた銀粒子膜は平均開口径28μm、平均
線幅4μm(平均開口径/平均線幅= 7.0)、線部の膜
厚が 0.18 μmの微細網目構造を呈しており、表面抵抗
48 Ω/□、全光線透過率が 71 %の膜であった。
【0056】〔実施例3〕 A.スプレー塗布による網目構造膜形成 精製水 40 重量部、アセトニトリル 40 重量部、イソプ
ロパノール変性エタノール 20 重量部、ソルビタン系非
イオン界面活性剤(花王(株)製、レオドールTW− 012
0 )0.1 重量部に乳酸銀3重量部を溶解し、乳酸銀溶液
を作製する。次に、この溶液を二流体噴霧ノズルを用い
て送液量8ml/min、空気圧力3kg/cm2 で、
面温 60 ℃に加温されたPMMA基板上に、ノズル先端
/基板間距離 20 cmの条件で噴霧し、微細網目構造の
薄膜を形成する。
【0057】B.紫外線照射による銀還元:得られた乳
酸銀の微細網目構造の薄膜に、高圧水銀灯を用い2J/
cm2 の紫外線を照射し、その後、水洗し、乾燥して乳
酸銀を還元させ、銀粒子膜を析出させた。得られた銀粒
子膜は平均開口径 39 μm、平均線幅5μm(平均開口
径/平均線幅= 7.80 )、線部の膜厚が 0.18 μmの微
細網目構造を呈しており、表面抵抗 85 Ω/□、全光線
透過率が 70 %の膜であった。
【0058】〔実施例4〕 A.スプレー塗布による網目構造膜形成 精製水 25 重量部、アセトニトリル 25 重量部、イソプ
ロパノール変性エタノール 50 重量部、ソルビタン系非
イオン界面活性剤(花王(株)製、レオドールTW− 012
0 )0.01重量部にL−グルタミン酸銀3重量部を溶解
し、L−グルタミン酸銀溶液を作製する。次に、この溶
液を二流体噴霧ノズルを用いて送液量 10 ml/mi
n、空気圧力5kg/cm2 で、面温 60 ℃に加温され
たソーダ石灰ガラス基板上に、ノズル先端/基板間距離
20 cmの条件で噴霧し、微細網目構造の薄膜を形成す
る。
【0059】B.紫外線照射による銀還元:得られたL
−グルタミン酸銀の微細網目構造の薄膜に、低圧水銀灯
(セン特殊光源(株)製)を用い3J/cm2 の紫外線
を照射し、その後、水洗して、乾燥し、L−グルタミン
酸銀を還元して、銀粒子膜を析出させた。得られた銀粒
子膜は平均開口径 27 μm、平均線幅 3.5μm(平均開
口径/平均線幅= 7.71 )、線部の膜厚が 0.20 μmの
微細網目構造を呈しており、表面抵抗 75 Ω/□、全光
線透過率が 68 %の膜であった。
【0060】〔実施例5〕 A.スプレー塗布による網目構造膜形成 精製水 25 重量部、アセトニトリル 25 重量部、イソプ
ロパノール変性エタノール 45 重量部、アンモニア水5
重量部、ソルビタン系非イオン界面活性剤(花王(株)
製、レオドール TW − 0120 ) 0.01 重量部に硝酸銀3
重量部、酒石酸3重量部を溶解し、硝酸銀溶液を作製す
る。次に、この溶液を二流体噴霧ノズルを用いて送液量
8ml/min、空気圧力3kg/cm2 で、面温 60
℃に加温されたソーダ石灰ガラス基板上に、ノズル先端
/基板間距離 20 cmの条件で噴霧し、微細網目構造の
薄膜を形成する。
【0061】B.紫外線照射による銀還元:得られた硝
酸銀の微細網目構造の薄膜に、低圧水銀灯(セン特殊光
源(株)製)を用い8J/ cm2 のUVを照射し、その
後、水洗し、乾燥して硝酸銀を還元、銀粒子膜を析出さ
せた。得られた銀粒子膜は平均開口径 50 μm、平均線
幅6μm(平均開口径/平均線幅= 8.33 )、線部の膜
厚が 0.30 μmの微細網目構造を呈しており、表面抵抗
93 Ω/□、全光線透過率が 61 %の膜であった。
【0062】〔実施例6〕 A.均一膜の作製 精製水 82.5 重量部、ブチルセロソルブ 10 重量部、テ
トラヒドロフルフリルアルコール3重量部、1−プロパ
ノール2重量部に乳酸銀 3.5重量部を溶解し、乳酸銀溶
液を作製し、PMMA板にスピンコーターを用いて回転
数 150rpmで塗布、乾燥して均一膜を作製する。
【0063】B.微細網目構造膜形成 次に、精製水 70 重量部、イソプロパノール変性エタノ
ール 30 重量部、ポリビニルアルコール 0.01 重量部混
合液を調製し、二流体噴霧ノズルを用いて送液量8ml
/min、空気圧力3kg/cm2 で、面温 50 ℃に加
温された乳酸銀塗布PMMA基板上に、ノズル先端/基
板間距離 20 cmの条件で混合液を噴霧し、微細網目構
造の薄膜を形成する。
【0064】C.紫外線照射による銀還元 得られた乳酸銀の微細網目構造の薄膜に、低圧水銀灯
(セン特殊光源(株)製)を用い2J/cm2 の紫外線
を照射し、その後、水洗し、乾燥して乳酸銀を還元、銀
粒子膜を析出させた。得られた銀粒子膜は平均開口径 4
2 μm、平均線幅5μm(平均開口径/平均線幅= 8.4
0 )、線部の膜厚が 0.20 μmの微細網目構造を呈して
おり、表面抵抗 85 Ω/□、全光線透過率が 72 %の膜
であった。
【0065】〔実施倒7〕 A.均一膜の作製 精製水 82.5 重量部、ブチルセロソルブ 10 重量部、テ
トラヒドロフルフリルアルコール3重量部、1−プロパ
ノール2重量部に乳酸銀 3.5重量部を溶解し、乳酸銀溶
液を作製し、PMMA板にスピンコーターを用いて回転
数 150rpmで塗布し、乾燥して均一膜を作製する。
【0066】B.微細網目構造膜形成 次に、精製水 60 重量部、イソプロパノール変性エタノ
ール 40 重量部、ポリビニルアルコール 0.01 重量部混
合液を調製し、二流体噴霧ノズルを用いて送液量8ml
/min、空気圧力5kg/cm2 で、面温 50 ℃に加
温された乳酸銀塗布PMMA基板上に、ノズル先端/基
板間距離 20 cmの条件で混合液を噴霧し、微細網目構
造の薄膜を形成する。
【0067】C.紫外線照射による銀還元 得られた乳酸銀の微細網目構造の薄膜に、低圧水銀灯
(セン特殊光源(株)製)を用い2J/cm2 の紫外線
を照射し、その後、水洗し、乾燥して乳酸銀を還元、銀
粒子膜を析出させた。得られた銀粒子膜は平均開口径 2
0 μm、平均線幅 2.5μm(平均開口径/平均線幅=
8.00 )、線部の膜厚が 0.20 μmの微細網目構造を呈
しており、表面抵抗 80 Ω/□、全光線透過率が 78 %
の膜であった。
【0068】〔実施例8〕 A.均一腹の作製 精製水 77 重量部、ブチルセロソルブ 10 重量部、テト
ラヒドロフルフリルアルコール3重量部、1−プロパノ
ール2重量部、エチレングリコール1重量部、アンモニ
ア水4重量部に乳酸銀3重量部を溶解し、乳酸銀溶液を
作製し、ソーダ石灰ガラス板にスピンコーターを用いて
回転数 150rpmで塗布、乾燥して均一膜を作製する。
【0069】B.微細網目構造膜形成 次に、精製水 60 重量部、イソプロパノール変性エタノ
ール 40 重量部、ソルビタン系非イオン界面活性剤(花
王(株)製、レオドール TW − 0120 ) 0.01重量部混
合液を調製し、二流体噴霧ノズルを用いて送液量8m1
/min、空気圧力4kg/cm2 で、面温 40 ℃に加
温された乳酸銀塗布ガラス基板上に、ノズル先端/基板
問距離 20 cmの条件で混合液を噴霧し、微細網目構造
の薄膜を形成する。
【0070】C.紫外線照射による銀還元 得られた乳酸銀の微細網目構造の薄膜に、高圧水銀灯を
用い2J/cm2 の紫外線を照射し、その後、水洗し、
乾燥して乳酸銀を還元し、銀粒子膜を析出させた。得ら
れた銀粒子膜は平均開口径 37 μm、平均線幅5μm
(平均開口径/平均線幅= 7.40 )、線部の膜厚が 0.1
7 μmの微細網目構造を呈しており、表面抵抗 63 Ω/
□、全光線透過率が 69 %の膜であった。
【0071】〔実施例9〕 A.均一膜の作製 精製水 82 重量部、ブチルセロソルブ 10 重量部、テト
ラヒドロフルフリルアルコール3重量部、1−プロパノ
ール2重量部にL−グルタミン酸銀3重量部を溶解し、
L−グルタミン酸銀溶液を作製し、PMMA板にロール
コーターを用いて塗布し、乾燥して均一膜を作製する。
【0072】B.微細網目構造膜形成 次に、精製水 60 重量部、イソプロパノール 40 重量
部、フロン系陰イオン界面活性剤(住友3M社製、FC
− 93 ) 0.01 重量部混合液を調製し、二流体噴霧ノズ
ルを用いて送液量 10 ml/min、空気圧力4kg/
cm2 で、面温 40 ℃に加温されたL−グルタミン酸銀
塗布PMMA基板上に、ノズル先端/基板間距離 15 c
mの条件で混合液を噴霧し、微細網目構造の薄膜を形成
する。
【0073】C.紫外線照射による銀還元 得られたL−グルタミン酸銀の微細網目構造の薄膜に、
低圧水銀灯(セン特殊光源(株)製)を用い3J/cm
2 の紫外線を照射し、その後、水洗し、乾燥してL−グ
ルタミン酸銀を還元、銀粒子膜を析出させた。得られた
銀粒子膜は平均開口径 25 μm、平均線幅3μm(平均
開口径/平均線幅= 8.33 )、線部の膜厚が 0.20 μm
の微細網目構造を呈しており、表面低抗 49 Ω/□、全
光線透過率が 62 %の膜であった。
【0074】〔実施例10〕 A.均一膜の作製 精製水 80 重量部、ブチルセロソルブ9重量部、テトラ
ヒドロフルフリルアルコール3重量部、アンモニア水2
重量部に硝酸銀3重量部、酒石酸3重量部を溶解し、硝
酸銀溶液を作製し、ポリカーボネート板にロールコータ
ーを用いて塗布し、乾燥して均一膜を作製する。
【0075】B.微細網目構造膜形成 次に、精製水 60 重量部、イソプロパノール変性エタノ
ール 40 重量部、ソルビタン系非イオン界面活性剤(花
王(株)製、レオドール TW − 0120 ) 0.01重量部混
合液を調製し、二流体噴霧ノズルを用いて送液量8ml
/min、空気圧力3kg/cm2 で、面温 40 ℃に加
温された上記硝酸銀塗布ガラス基板上に、ノズル先端/
基板間距離 20 cmの条件で混合液を噴霧し、微細網目
構造の薄膜を形成する。
【0076】C.紫外線照射による銀還元 得られた硝酸銀の微細網目構造の薄膜に、低圧水銀灯
(セン特殊光源(株)製)を用い8J/cm2 の紫外線
を照射し、その後、水洗し、乾燥して硝酸銀を還元、銀
粒子膜を析出させた。得られた銀粒子膜は平均開口径 5
0 μm、平均線幅6μm(平均開口径/平均線幅= 8.3
3 )、線部の膜厚が 0.15 μmの微細網目構造を呈して
おり、表面抵抗 95 Ω/□、全光線透過率 61 %の膜で
あった。
【0077】〔実施例11〕 A.均一膜の作製 精製水 77 重量部、ブチルセロソルブ 20 重量部に乳酸
銀3重量部を溶解し、乳酸銀溶液を作製し、PMMA板
にロールコーターを用いて塗布し、乾燥して均一膜を作
製する。
【0078】B.微細網目構造膜形成 次に、精製水 70 重量部、イソプロパノール変性エタノ
ール 30 重量部、ポリビニルアルコール 0.01 重量部混
合液を調製し、二流体噴霧ノズルを用いて送液量8ml
/min、空気圧力3kg/cm2 で、面温 50 ℃に加
温された乳酸銀塗布PMMA基板上に、ノズル先端/基
板間距離 20 cmの条件で混合液を噴霧し、微細網目構
造の薄膜を形成する。
【0079】C.紫外線照射による銀還元 得られた乳酸銀の微細網目構造の薄膜に、低圧水銀灯
(セン特殊光源(株)製)を用い 1.5J/cm2 の紫外
線を照射し、その後、水洗し、乾燥して乳酸銀を還元、
銀粒子膜を析出させた。得られた銀粒子膜は平均開口径
45 μm、平均線幅6μm(平均開口径/平均線幅=
7.50 )、線部の膜厚が 0.19 μmの微細網目構造を呈
しており、表面抵抗 55 Ω/□、全光線透過率が 75 %
の膜であった。
【0080】
【発明の効果】以上のように、本発明における請求項1
に係る透明導電膜では、銀からなり微細網目構造を有す
るものとしたことにより、導電性が高くて漏洩電磁波遮
蔽効果を有効に発揮することができ、また全光線透過率
が高く、しかもモアレ干渉模様が生じない、電極として
も使用可能で、安価な薄膜が実現できる。
【0081】そして、請求項2に係る透明導電膜は、前
記微細網目構造の平均開口径が 50μm以下であり、か
つ、平均開口径/平均線幅が7以上としたことによっ
て、視認性が良く、しかも全光線透過率が高い膜を得る
ことができる。
【0082】そしてまた、請求項3に係る透明導電膜
は、前記銀が有機銀化合物あるいは無機銀化合物の放射
線還元析出銀としたことによって、導電性が高く、電極
として使用可能で安価な膜が容易に実現できる。
【0083】また、請求項4に係る透明導電膜の製造方
法は、有機銀化合物あるいは無機銀化合物の溶液を基板
上に噴霧塗布して乾燥させることにより微細網目構造の
膜を形成し、膜形成後に放射線照射を行い銀を析出させ
たことによって、銀からなる微細網目構造を有する薄膜
を容易に得ることができる。
【0084】そして、請求項5に係る透明導電膜の製造
方法は、前記溶液の表面張力を被塗布基板の表面張力よ
りも小さくするとともに、有機銀化合物あるいは無機銀
化合物の可溶溶剤に該可溶溶剤より低沸点の有機銀化合
物あるいは無機銀化合物の難溶溶剤を混合したことによ
って、効果的に微細な網目構造を有する膜を形成させる
ことができる。
【0085】また、請求項6に係る透明導電膜の製造方
法は、有機銀化合物あるいは無機銀化合物の溶液を基板
上に塗布して乾燥し、乾燥後、前記銀化合物の可溶溶剤
を噴霧塗布して乾燥させることにより微細網目構造の膜
を形成し、膜形成後に放射線照射を行い銀を析出させた
ことによって、銀からなる微細網目構造を有する薄膜を
容易に得ることができる。
【0086】そして、請求項7に係る透明導電膜の製造
方法は、前記可溶溶剤の表面張力を被塗布基板の表面張
力よりも小さくするとともに、前記可溶溶剤に、前記可
溶溶剤よりも低沸点の有機銀化合物あるいは無機銀化合
物の難溶溶剤を混合したことによって、効果的に微細な
網目構造を有する膜を形成させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における実施の形態の銀化合物溶液を基
板上に噴霧塗布して微細網目構造の薄膜を形成する製造
方法を示す説明図であって、(A)は噴霧塗布する状
態、(B)は液滴がカルデラ状に付着した状態、(C)
はカルデラ状付着物の乾燥中の状態、(D)はリング状
に乾燥した状態、(E)は微細網目構造が形成された状
態を示す。
【図2】本発明における実施の形態の銀化合物溶液を基
板上に塗布し、銀化合物溶液の可溶溶剤を噴霧塗布して
微細網目構造の薄膜を形成する製造方法を示す説明図で
あって、(A)は銀化合物溶液を基板上に塗布した後、
銀化合物溶液の可溶溶剤を噴霧塗布する状態、(B)は
液滴がカルデラ状に付着した状態、(C)はカルデラ状
付着物の乾燥中の状態、(D)はリング状に乾燥した状
態、(E)は微細網目構造が形成された状態を示す。
【符号の説明】
1,7 (銀化合物溶液の)液滴 1a,7a (液滴の)カルデラ状付着物 2,6 基板 3,8 リング状構造物 4,9 微細網目構造 5 溶液
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 久保 泰生 千葉県船橋市豊富町585番地 住友大阪セ メント株式会社新規技術研究所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】銀からなり微細網目構造を有することを特
    徴とする透明導電膜。
  2. 【請求項2】前記微細網目構造の平均開口径が50μm
    以下であり、かつ、平均開口径/平均線幅が7以上であ
    ることを特徴とする請求項1記載の透明導電膜。
  3. 【請求項3】前記銀が有機銀化合物あるいは無機銀化合
    物の放射線還元析出銀であることを特徴とする請求項1
    または2記載の透明導電膜。
  4. 【請求項4】有機銀化合物あるいは無機銀化合物の溶液
    を基板上に噴霧塗布して乾燥させることにより微細網目
    構造の膜を形成し、膜形成後に放射線照射を行い前記有
    機銀化合物あるいは前記無機銀化合物を還元して銀を析
    出させることを特徴とする透明導電膜の製造方法。
  5. 【請求項5】前記溶液の表面張力を被塗布基板の表面張
    力よりも小さくするとともに、前記有機銀化合物あるい
    は前記無機銀化合物の可溶溶剤に、該可溶溶剤よりも低
    沸点の前記有機銀化合物あるいは前記無機銀化合物の難
    溶溶剤を混合することを特徴とする請求項4記載の透明
    導電膜の製造方法。
  6. 【請求項6】前記有機銀化合物あるいは前記無機銀化合
    物の溶液を基板上に塗布して乾燥し、乾燥後、前記有機
    銀化合物あるいは前記無機銀化合物の可溶溶剤を噴霧塗
    布して乾燥させることにより微細網目構造の膜を形成
    し、膜形成後に放射線照射を行い前記有機銀化合物ある
    いは前記無機銀化合物を還元して銀を析出させることを
    特徴とする透明導電膜の製造方法。
  7. 【請求項7】前記可溶溶剤の表面張力を被塗布基板の表
    面張力よりも小さくするとともに、前記可溶溶剤に、前
    記可溶溶剤よりも低沸点の前記有機銀化合物あるいは前
    記無機銀化合物の難溶溶剤を混合することを特徴とする
    請求項6記載の透明導電膜の製造方法。
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