JP2002088277A - 水分散系透明導電膜形成用塗料 - Google Patents

水分散系透明導電膜形成用塗料

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JP2002088277A
JP2002088277A JP2000278215A JP2000278215A JP2002088277A JP 2002088277 A JP2002088277 A JP 2002088277A JP 2000278215 A JP2000278215 A JP 2000278215A JP 2000278215 A JP2000278215 A JP 2000278215A JP 2002088277 A JP2002088277 A JP 2002088277A
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transparent conductive
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organic solvent
film
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JP2000278215A
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English (en)
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Kenichiro Hatayama
剣一郎 畑山
Tsukasa Yamada
司 山田
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Fujifilm Holdings Corp
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 液晶ディスプレイ、陰極線管、プラズマディ
スプレイ、FED等の画像表示装置のフェイスパネル面
などに用いて帯電防止性、電磁波遮蔽性、に優れた透明
導電性積層フイルムを得るために分散安定性がよく、塗
布時のハジキが無い水分散系透明導電膜形成用塗料を提
供すること。 【解決手段】 導電性金属微粒子を分散し、HLBが6
以上のノニオン系界面活性剤、及び、少なくとも1種の
水混和性の有機溶剤を含有する水分散系透明導電膜形成
用塗料。使用する有機溶剤としては、誘電率が25℃に
おいて18以上35以下であり、沸点が50℃〜100
℃である有機溶剤が好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、帯電防止効果、電
磁波遮蔽効果、に優れた透明導電性積層フイルムを得る
為の分散安定性に優れ、塗料乾燥(本発明で「塗設」と
も言う。)時に凝集、ハジキ、ヌケがおきない塗布性に
優れた水分散系透明導電膜形成用塗料に関する。
【0002】
【従来の技術】TVブラウン管やコンピュータディスプ
レイとして用いられている陰極線管やプラズマディスプ
レイ等は、フェースパネル面に発生する静電気により埃
が付着して視認性が低下する他、電磁波を輻射して周囲
に悪影響を及ぼすなどの問題点を有している。そこで帯
電防止、電磁波遮蔽を目的として、銀等の金属あるいは
ITO等の導電性金属酸化物を蒸着・スパッタ等で導電
性層をフェースパネル面に直接形成させる方法が提案さ
れているが、膜形成には真空処理や高温処理が必要であ
り、製造費が高価になったり、生産性に問題があった。
また、ゾル−ゲル法による塗布方式の導電性薄膜の形成
法も提案されているが(羽生等,National T
ecnical Report 40,No.1,(1
994)90)、高温処理が必要であり、透明基材であ
るプラスチックフイルム上やハードコートフイルム上へ
の積層は基材の変質が起こることにより、基材として使
用できる素材が限定されてしまう問題があった。
【0003】設備投資が大きく、高温処理が必要なフェ
ースパネル前面に直接塗膜を形成させる方法に対し、基
材に薄膜を形成したものを張り付ける方法も提案されて
いる(瀧等,National Technical
Report,42,No.3(1996)264−2
68)。これらの薄膜の形成方法は、ITO等の導電性
金属酸化物を蒸着・スパッタ等で導電性層を形成させる
方法であり、膜形成には真空処理が必要であり、製造費
が高価になったり、生産性に問題があった。導電性酸化
物微粒子やコロイドを分散させた透明導電性塗料も提案
されているが(特開平6−344489、特開平7−2
68251、特開昭63−160140、特開平9−5
5175)しかし室温での分散安定性に問題があり、ま
た塗料乾燥時において微粒子が凝集を起こし面状を悪化
させる問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、製造費、生
産性に問題のない水分散系透明導電膜形成用塗料を使用
した際、分散安定性と塗布性を解決するためになされた
水分散系透明導電膜形成用塗料を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】これらの本発明の課題は
下記手段によって達成された。 (1)水中に分散された金属微粒子、少なくとも1種の
ノニオン系界面活性剤及び少なくとも1種の水混和性の
有機溶剤を含有することを特徴とする水分散系透明導電
膜形成用塗料。ここで、水性有機溶媒の添加は、塗料乾
燥時において前記金属微粒子の凝集、ハジキ、ヌケを抑
えるため有用であると考えられる。 (2)上記(1)に記載の水分散系透明導電膜形成用塗
料に含まれるノニオン系界面活性剤はHLBが6以上で
ある水分散系透明導電膜形成塗料。ここで、HLBが6
以上のノニオン系界面活性剤は、その濃度が0.001
質量%ないし30質量%の範囲にあることが好ましい。 (3)上記(1)又は(2)に記載の水分散系透明導電
膜形成用塗料に含まれる1種以上の有機溶剤の誘電率が
25℃において18以上35以下である水分散系透明導
電膜形成用塗料。 (4)上記(1)ないし(3)いずれか1つに記載の水
分散系透明導電膜形成用塗料に含まれる少なくとも1種
の有機溶剤の沸点が50℃以上100℃以下の範囲にあ
る水分散系透明導電膜形成用塗料。 (5)誘電率が25℃において18以上30以下である
少なくとも1種の有機溶剤と、沸点が80℃以上100
℃以下である少なくとも1種の有機溶剤とを使用した請
求項1又は2に記載の水分散系透明導電膜形成用塗料。 (6)上記(1)ないし(5)いずれか1つに記載の水
分散系透明導電膜形成用塗料に含まれる金属微粒子は銀
あるいは銀を主体とする合金であり、その粒子サイズが
1nm〜100nmである水分散系透明導電膜形成用塗
料。 (7)透明支持体上に(1)ないし(6)いずれか1つ
に記載の水分散系導電膜形成用塗料を少なくとも1層塗
設した透明導電積層フイルム。 (8)少なくとも1層のハードコート層を有する(7)
に記載の透明導電積層フイルム。 (9)表面抵抗が1MΩ/□以下である(7)又は
(8)に記載の透明導電積層フイルム。
【0006】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳細に記述
する。
【0007】本発明の水分散系透明導電膜形成用塗料に
使用される金属微粒子は基本的に少なくとも1種の金属
からなる微粒子を含有する塗料からなる。1種以上の金
属からなる微粒子としては、金、銀、銅、アルミニウ
ム、鉄、ニッケル、パラジウム、プラチナ等の金属ある
いはこれらの合金が挙げられる。特に銀が好ましく、さ
らに耐候性の観点からパラジウムと銀の合金が好まし
い。パラジウムの含有量としては3質量%〜30質量%
が好ましく、パラジウムが少ないと耐候性が悪く、パラ
ジウムが多くなると導電性が低下する。金属微粒子の作
成方法としては、低真空蒸発法による微粒子の作製方法
や金属塩の水溶液を鉄(II)、ヒドラジン、ボロンハイ
ドライド、ヒドロキシエチルアミン等のアミン等の還元
剤で還元する金属コロイド作製方法が挙げられる。これ
ら金属微粒子の平均粒径は1nm〜100nmが好まし
い。100nmを越える場合には、金属粒子による光の
吸収が大きくなり、このために粒子層の光透過率が低下
すると同時にヘイズが大きくなり、また、これら金属微
粒子の平均粒径が1nm未満の場合には微粒子の分散が
困難な為、一般的にはあまり使用されていない。
【0008】本発明の水分散系透明導電膜形成用塗料に
使用される好ましいノニオン系界面活性剤は、ポリオキ
シエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレ
ン、ポリグリシジルやソルビタンをノニオン性親水性基
とする界面活性剤であり、具体的には、ポリオキシエチ
レンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフ
ェニールエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプ
ロピレングリコール、多価アルコール脂肪酸部分エステ
ル、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸部分エス
テル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリグリセ
リン脂肪酸エステル、脂肪酸ジエタノールアミド、トリ
エタノールアミン脂肪酸部分エステルを挙げることがで
きる。その中でも本発明で使用するノニオン系界面活性
剤はHLBが9以上あることが好ましい。ノニオン系界
面活性剤の濃度は0.001質量%ないし30質量%の
範囲が好ましく、0.1質量%ないし20質量%の範囲
がより好ましく、1質量%ないし10質量%の範囲が特
に好ましい。0.001質量%以下では分散安定性の効
果が得られず、30質量%以上では導電性が阻害され
る。
【0009】水分散系透明導電膜形成用塗料は金属微粒
子が水を主体とする溶液で分散されており、それを有機
溶剤にて希釈したものである。希釈に使用される有機溶
剤はアセトン、メタノール、イソプロピルアルコール
(IPA)、t−BuOH等の、誘電率が25℃におい
て18以上の有機溶媒であることが好ましく、18以上
35以下の有機溶剤であることがより好ましく、19以
上30以下が特に好ましい。誘電率がこの範囲にある有
機溶媒を例示すると、アセトン20.7(25℃)、エ
タノール23.8(25℃)、N−メチルピロリドン3
2.0(25℃)、ニトロベンゼン34.82(25
℃)である。その中でもアセトンを使用することが金属
微粒子のコロイド分散安定性の観点から特に好ましい。
本発明の水分散系透明導電膜形成用塗料においては、誘
電率が25℃において18以上30以下である少なくと
も1種の有機溶剤と、沸点が50℃以上100℃以下で
ある少なくとも1種の有機溶剤とを併用することが好ま
しい。本発明の水分散系透明導電膜形成用塗料において
は、誘電率が25℃において18以上30以下である少
なくとも1種の有機溶剤と、沸点が80℃以上100℃
以下である少なくとも1種の有機溶剤とを併用すること
が更に好ましい。一実施態様としては、沸点が50℃以
上100℃以下である有機溶剤をアセトンと併用するこ
とが塗布性の観点から好ましく、80℃以上100℃以
下である有機溶剤をアセトンと併用することが更に好ま
しい。沸点が前記の範囲にある有機溶剤を挙げると、
1,1−ジクロルエタン57.28℃、クロロホルム6
1.15℃、メタノ−ル64.51℃、テトラヒドロフ
ラン66℃、トリフルオロ酢酸71.78℃、1,1,
1−トリクロルエタン75℃、酢酸エチル77.11
℃、エタノール78.32℃、メチルエチルケトン7
9.64℃、シクロヘキサン80.72℃、アセトニト
リル81.60℃、IPA82.40、1,2−ジクロ
ルエタン83.48℃、1,2−ジメトキシエタン8
5.2℃、プロピオニトリル97.35℃、などがあ
る。この沸点範囲にある有機溶剤の比率が質量部でアセ
トン等1に対して0.5ないし1.5が好ましく、0.
8ないし1.2がより好ましい。本発明の水分散系透明
導電膜形成用塗料の好ましい一実施態様においては、有
機溶剤としてアセトン1質量部とIPA1質量部とを併
用する。本発明の水分散系透明導電膜形成用塗料におい
て、水と有機溶剤の使用比率は、導電性金属微粒子の水
分散液100質量部に対して、有機溶剤総量5〜500
質量部であり、好ましくは10〜250質量部であり、
最も好ましくは50〜150質量部である。
【0010】水分散系透明導電膜形成用塗料の塗膜の導
電性を向上するため、熱処理や水処理することができ
る。熱処理は、プラスチックフイルムの耐熱性による
が、60℃ないし130℃が好ましい。130℃以上で
はプラスチックフイルムの熱による変形が起こりやす
く、60℃以下では熱処理の効果が出難く、長時間の処
理時間が必要になってしまう。熱処理の方法は、ウェッ
ブ状態で加熱ゾーンを通しながら処理することが均一な
処理ができて好ましい。加熱ゾーンの長さと搬送速度で
滞在時間を調節することができる。またロール状のフイ
ルムを高温槽中で加熱することも可能であるが、熱伝導
のバラツキを考慮した時間設定が必要になる。また、熱
処理に先立ち、透明導電性層を水洗等の水処理をするこ
とで熱処理をさらに効率良くすることができる。水洗等
の水処理は、通常の塗布方式による水だけの塗布、具体
的にはディップコート塗布、ワイヤーバーによる水の塗
布等があり、他にはスプレーやシャワーで水を透明導電
性層にかける方法がある。透明導電性層に水をかけた
後、過剰の水は必要に応じて、ワイヤーバー、ロッドバ
ーで掻き取ったり、エアーナイフで掻き取ることができ
る。これらの水処理により、熱処理後の透明導電性層の
表面抵抗をさらに低下させる効果が顕著になる。
【0011】本発明の水分散系透明導電膜形成用塗料は
基材フイルム上に塗料をディッピング法、スピナー法、
スプレー法、ロールコーター法、グラビア法、ワイヤー
バー法等の公知の薄膜形成方法で層を形成、乾燥して作
製することができる。
【0012】本発明の塗料が使われる好ましい一実施形
態である透明導電性積層フイルムは基材ベースの側から
ハードコート層、水分散系透明導電膜形成用塗料を使用
してからなる透明導電層が形成されている。本発明の塗
料を使用した透明導電性積層フイルムに用いられる透明
支持体としては、プラスチックフイルムを用いることが
好ましい。プラスチックフイルムを形成するポリマーの
例には、セルロースエステル(例、トリアセチルセルロ
ース、ジアセチルセルロース、プロピオニルセルロー
ス、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロ
ース、ニトロセルロース)、ポリアミド、ポリカーボネ
ート、ポリエステル(例、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリエチレンナフタレート、ポリ−1,4−シクロ
ヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−
1,2−ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボキシ
レート、ポリブチレンテレフタレート)、ポリスチレン
(例、シンジオタクチックポリスチレン)、ポリオレフ
ィン(例、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチル
ペンテン)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポ
リアリレート、ポリエーテルイミド、ポリメチルメタク
リレートおよびポリエーテルケトンが含まれる。トリア
セチルセルロース、ポリカーボネートおよびポリエチレ
ンテレフタレートが好ましい。この透明支持体の厚さと
しては特に制限はなく、使用目的に応じて適宜選定すれ
ばよいが、これらのフイルムの厚みは20μm〜500
μmが好ましく、薄すぎると膜強度が弱く、厚いとステ
ィフネスが大きく貼り付けが困難になり、50μm〜2
00μmがより好ましい。この透明支持体は、所望によ
り着色又は蒸着されていてもよく、また紫外線吸収剤を
含んでいてもよい。さらに、その表面に設けられる層と
の密着性を向上させる目的で、所望により片面又は両面
に、酸化法や凹凸化法などにより表面処理を施すことが
できる。上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、
グロー放電処理、クロム酸処理(湿式)、火炎処理、熱
風処理、オゾン・紫外線照射処理などが挙げらる。更
に、一層以上の下塗り層を設けることができる。下塗り
層の素材としては塩化ビニル、塩化ビニリデン、ブタジ
エン、(メタ)アクリル酸エステル、ビニルエステル等
の共重合体或いはラテックス、ゼラチン等の水溶性ポリ
マーなどが挙げられる。
【0013】本発明の塗料を使用した透明導電性積層フ
イルムに用いられるハードコート層は、透明支持体に耐
傷性を付与する機能を有するものであり多官能重合性化
合物の架橋体を含むハードコート層である。多官能重合
性化合物の架橋体を含むハードコート層は、多官能重合
性化合物と重合開始剤を含む塗布液を透明支持体上に塗
布し、多官能重合性化合物を重合させることにより形成
できる。官能基としては、重合性不飽和二重結合が好ま
しい。多官能重合性化合物は、多価アルコールとアクリ
ル酸またはメタクリル酸とのエステルであることが好ま
しい。多価アルコールの例には、エチレングリコール、
1,4−シクロヘキサノール、ペンタエリスリトール、
グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロール
エタン、ジペンタエリスリトール、1,2,4−シクロ
ヘキサノール、ポリウレタンポリオールおよびポリエス
テルポリオールが含まれる。これらの中では例えば、ト
リメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペン
タエリスリトールおよびポリウレタンポリオールが好ま
しい。また、2種類以上の多官能重合性化合物を併用し
てもよい。
【0014】ハードコート層に、無機微粒子を添加する
ことで膜としての架橋収縮率を改良し塗膜の平面性を向
上させることができる。無機微粒子としては硬度が高い
ものが好ましく、例えば、二酸化ケイ素粒子、二酸チタ
ン粒子、酸化ジルコニウム粒子、酸化アルミニウム粒子
が含まれる。無機微粒子の平均粒子径は、1nmないし
2000nmであることが好ましく、2nmないし10
00nmであることがより好ましく、5nmないし50
0nmであることがさらに好ましく、10nmないし2
00nmであることが最も好ましい。無機微粒子の添加
量は、ハードコート層の全量の1質量%ないし99質量
%であることが好ましく、10質量%ないし90質量%
であることがより好ましく、20質量%ないし80質量
%であることがさらに好ましく、40質量%ないし60
質量%であることが最も好ましい。
【0015】一般に無機微粒子はバインダーポリマーと
の親和性が悪いため単に両者を混合するだけでは界面が
破壊しやすく、膜として割れ、耐傷性を改善することは
困難である。無機微粒子を有機セグメントを含む表面処
理剤で処理することで無機微粒子とポリマーバインダー
との親和性は改良されこの問題は解決できる。表面処理
剤は一方で金属粒子と結合を形成し得、他方でバインダ
ーポリマーと高い親和性を有することが必要である。金
属と結合を生成し得る官能基としては、金属アルコキシ
ドが好ましく、実際にはアルミニウム、チタニウム等の
化合物を挙げることができる。あるいは、アニオン性基
を有する化合物が好ましく、リン酸、スルホン酸基等の
官能基を有することが好ましい。またバインダーポリマ
ーとは化学的に結合させることが好ましく、末端にビニ
ル性重合基等を導入したものが好適である。例えば、エ
チレン性不飽和基を重合性基および架橋性基として有す
るモノマーからバインダーポリマーを合成する場合は、
金属アルコキシド化合物またはアニオン性化合物の末端
にエチレン性不飽和基を有していることが好ましい。
【0016】多官能重合性化合物の重合には、光重合開
始剤を用いることが好ましい。光重合開始剤の例には、
アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーズベン
ゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、テト
ラメチルチウラムモノサルファイドおよびチオキサント
ン類が含まれる。光重合開始剤に加えて、光増感剤を用
いてもよい。光増感剤の例には、n−ブチルアミン、ト
リエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、ミヒラ
ーズケトンおよびチオキサントン骨格の化合物が含まれ
る。光重合開始剤は、多官能重合性化合物100重量部
に対して、0.1重量部ないし15重量部の範囲で使用
することが好ましく、1重量部ないし10重量部の範囲
で使用することがさらに好ましい。光重合反応は、ハー
ドコート層の塗布および乾燥後、紫外線照射により実施
することが好ましい。
【0017】このハードコート層は、その表面に設けら
れる層との密着性を向上させる目的で、所望により片面
又は両面に、酸化法や凹凸化法などにより表面処理を施
すことができる。上記酸化法としては、例えばコロナ放
電処理、グロー放電処理、クロム酸処理(湿式)、火炎
処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理などが挙げら
る。更に、一層以上の下塗り層を設けることができる。
下塗り層の素材としては塩化ビニル、塩化ビニリデン、
ブタジエン、(メタ)アクリル酸エステル、ビニルエス
テル等の共重合体或いはラテックス、ゼラチン等の水溶
性ポリマーなどが挙げられる。
【0018】
【実施例】以下、実施例によって本発明を更に具体的に
説明する。
【0019】(実施例1) 水分散透明導電膜形成用塗料を塗布したハードコートフ
イルムの作成 1)無機粒子分散液の調製 1−1)アルミナ微粒子の調製 平均粒径が15nmのアルミナ微粒子20質量%シクロ
ヘキサノン分散液430gとPM−21(日本化薬
(株)製リン酸基含有メタクリレート)31gを混合
し、サンドミドル(1/4Gのサンドミル)にて160
0rpm、10時間微細分散した。メディアは半径1m
mのジルコニアビーズを1400g用いた。 2)ハードコート層塗布液の調製 2−1)金属微粒子含有ハードコート層用塗布液の調製 1−1)で表面処理されたアルミナ微粒子の43質量%
メタノール分散液116gに、メタノール97g、イソプ
ロパノール163gおよび酢酸ブチル163gを加えた。
混合液に、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート
とジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物
(DPHA,日本化薬(株)製)200gを加えて溶解した。
得られた溶液に、光重合開始剤(イルガキュア907、
チバガイギー社製)7.5gおよび光増感剤(カヤキュ
アーDETX-S、日本化薬(株)製)5.0gを加えて溶解
した。混合物を30分間攪拌した後、孔径1μmのポリ
プロピレン製フィルターでろ過してハードコート層用塗
布液を調製した。 3)ハードコート層の塗設 厚さ188μmのポリエチレンテレフタレートフイルム上に
バーコーターを用いて2−1)で作製したハードコート
層用塗布液を乾燥膜厚が8μmになるような湿潤塗布量
で塗布を行い、乾燥を120℃で2分行った後、紫外線
を照射量750mJ/cm2、照度245W/cm2とな
るように照射して重合させた。 4)コロナ放電処理 ハードコートフイルムにピラー社製ソリッドステートコ
ロナ処理機6KVAモデルを用い、30cm幅のハード
コートフイルムを20m/分でコロナ放電処理した。こ
のとき、電流・電圧の読み取り値より被処理物は、0.
375KV・A・分/m2の処理とした。処理時の放電
周波数は、9.6KHz、電極と誘電体ロールのギャッ
プクリアランスは、1.6mmであった。
【0020】5)導電膜形成用塗料の調製と塗設 5−1)水分散系透明導電膜形成用分散液の調製 30%硫酸鉄(II)FeSO4・7H2O、40%のクエ
ン酸を調製、混合し、20℃に保持、攪拌しながらこれ
に10%の硝酸銀と硝酸パラジウム(モル比9/1に混
合したもの)溶液を200ml/minの速度で添加混
合し、その後生成した遠心分離により水洗を繰り返し、
最終的に3質量%になるように純水を加え、銀パラジウ
ムコロイド分散液を調製した。得られた銀コロイド粒子
の粒径はTEM観察の結果、粒径は約9〜12nmであ
った。ICPによる測定の結果、銀とパラジウムの比は
9/1の仕込み比と同一であった。
【0021】 5−2)水分散系透明導電膜形成用塗料の調製 上記の5−1)で得られた銀パラジウムコロイド分散液
100gにアセトン/IPA(1:0.5)80g及び
Span85が5%となるように加え、超音波分散し孔径1μ
mのポリプロピレン製フィルターで濾過して塗布液を調
製した。
【0022】5−3)透明導電膜の塗設 実施例1で得られたハードコートフイルム上にバーコー
ターを用いて上記の5−2)で調製した水分散系透明導
電膜形成用塗料を乾燥膜厚が20nmになるような塗布
量で塗布を行い、乾燥を室温(25℃)で2分行ったあ
と導電性を高めるために純水でフイルムを洗浄し、乾燥
を110℃で5分間行った。
【0023】(実施例2〜8)溶剤の混合比率及び界面
活性剤の種類及び添加濃度を表1に記載したように変化
させた以外は実施例1と全く同様にして、実施例2〜8
の透明導電積層フイルムを製造した。 (比較例1〜7) 1)水分系散透明導電膜形成用塗料の調製と塗設 実施例1の5−1)に記載した塗料調製の際に表1に示
す溶剤を使用し、界面活性剤は使用することなく塗料を
調製した後、透明導電膜の塗設を実施例5−3)のとお
り実施した。
【0024】(評価)水分散系透明導電膜形成用塗料の
評価は下記のように行なった。
【0025】1)分散安定性 水分散系透明導電膜形成用塗料を25℃、59%で調湿
し、レーザー回折式粒度分布測定装置(堀場製作所
(株)製「LA−910」を用いてその粒度分布を測定
し、塗料調節後粒度分布が上昇し始めた時間を調べた。
分散安定性は3日以上であることが好ましい。
【0026】2)塗布性 水分散系透明導電膜形成用塗料を塗布した際に面状を比
較、確認した。面状ではハジキ、ヌケ、凝集の状態を目
視で評価した。 A:ハジキ、ヌケ、凝集は認められなかった。 B:ハジキ、ヌケ、凝集が少し認められた。 C:ハジキ、ヌケ、凝集が相当認められた。 D:ハジキ、ヌケ、が著しく認められた。
【0027】得られた透明導電性フイルムは以下の方法
で評価した。 3)表面抵抗 試料を25℃、10%で6時間調湿し、4端子法表面抵
抗率計(三菱化学(株)製「ロレスタGP」)を用いてそ
の抵抗を測定した。小さいほど好ましく、電磁波遮断性
フイルムを得るためには帯電防止性フイルムより小さい
抵抗値が必要になる。 A:抵抗値が小さく電磁波遮断性、帯電防止性フイルム
として使用できる。 B:抵抗値が少し高いため、帯電防止性フイルムとして
は使用できる。 C:抵抗値が高く電磁波遮断性、帯電防止性フイルムと
して使用はできない。 D:面状悪化、抵抗値大のため測定が不可能。
【0028】
【表1】
【0029】(結果)得られた実施例1〜8の試料及び
比較例1〜7の試料の特性をまとめて表1に示す。比較
例2及び3は水分散系透明導電膜形成用塗料を希釈する
のに用いた溶剤単独の効果を比べたものである。IPA
に比べ誘電率が高く沸点の低いアセトンを単独使用する
と銀コロイドの分散安定性は良化したが塗布性が悪化し
た。IPA単独では塗布性は良化したが分散安定性が低
下した。この分散安定性を良化するアセトンと、塗布性
を良化させる沸点の高い溶媒IPAとの混合溶媒を使用
した結果は、比較例1に示すように、塗布性は優れるが
分散安定性が不十分である。分散安定性を良化させる為
にHLBの異なるノニオン系の界面活性剤を添加した。
その結果を実施例1〜8に示す。HLBが6以上で分散
安定性、塗布性が共に優れた試料の作成に成功した。さ
らに実施例6〜8では界面活性剤の添加量について調べ
たもので0.001%未満の添加では分散安定性が悪化
することが確認できた。逆に添加量を40%超にすると
表面抵抗が界面活性剤により上昇しすぎて導電性、帯電
性フイルムとしての機能をもたなくなることが確認でき
た。
【0030】
【発明の効果】本発明に係る、水中分散導電性金属微粒
子、少なくとも1種のノニオン界面活性剤、及び少なく
とも1種の水混和性の有機溶剤を含有せしめた水分散系
透明導電膜形成用塗料により、塗料の分散安定性及び塗
布性が優れ、表面抵抗が低い透明伝導積層フイルムを得
ることができた。塗料の中に更にノニオン系界面活性
剤、具体的にはHLB値が6以上、好ましくはHLB値
が9以上のノニオン系界面活性剤を0.001%ないし
30%使用することにより塗布性と分散安定性に優れた
水分散系透明導電膜形成用塗料を提供することができ
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明の好ましい一実施態様を示す。
【符号の説明】
1 PET 2 ハードコート層 3 透明導電膜層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J038 DB001 DF011 HA066 JA09 JA19 JA27 JA33 JA37 JA57 JA70 JB03 JB08 JB18 KA02 KA06 KA07 KA09 KA12 KA20 MA08 MA10 NA01 NA20 NA24 NA25 PB08 PB09 PC08 5G301 DA03 DA11 DA42 DD02

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水中に分散された導電性金属微粒子、少
    なくとも1種のノニオン系界面活性剤及び少なくとも1
    種の水混和性の有機溶剤を含有することを特徴とする水
    分散系透明導電膜形成用塗料。
  2. 【請求項2】 該ノニオン系界面活性剤がHLBが6以
    上である請求項1に記載の水分散系透明導電膜形成用塗
    料。
  3. 【請求項3】 少なくとも1種の有機溶剤の誘電率が2
    5℃において18以上35以下である請求項1又は2に
    記載の水分散系透明導電膜形成用塗料。
  4. 【請求項4】 少なくとも1種の有機溶剤の沸点が50
    ℃以上100℃以下である請求項1ないし3いずれか1
    つに記載の水分散系透明導電膜形成用塗料。
  5. 【請求項5】 誘電率が25℃において18以上30以
    下である少なくとも1種の有機溶剤と、沸点が80℃以
    上100℃以下である少なくとも1種の有機溶剤とを使
    用した請求項1又は2に記載の水分散系透明導電膜形成
    用塗料。
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