本発明は銀塩感光材料由来の金属銀画像を例えば水溶性ハロゲン化合物などを含有する後処理液による処理を施すことで、X線回折での半値幅が狭い値を示すような金属銀画像とし、その結果、安定性、導電性が共に高い金属銀画像とするものである。従って、金属銀画像ができる現像前に後処理液を作用させたり、あるいは出来ている途中に現像を中断して後処理液を作用させ、その後再び現像するなどしても効果は無いばかりか、むしろ悪影響を及ぼして導電性が得られなくなる。
本発明において導電性材料前駆体は露光後、(1)銀塩拡散転写法に従う現像処理、(2)直接現像後に定着する現像処理、(3)硬化現像法に従う現像処理、の3つに代表される現像処理方法により画像形成される。(1)の方法は例えば特公昭42−23745号公報に記載される方法であり、(2)の方法は例えば USP6706165B2に記載の方法であり、(3)の方法は例えばJ.Photo.Sci.誌11号 p 1、A.G.Tull著(1963)或いは「The Theory of the photographic Process(4th edition,p326−327)」、T.H.James著等に記載されている。
前述のように本発明の後処理は画像形成後に施すものである。(1)の方法では銀塩拡散転写現像により画像を析出させ、次に不要になったハロゲン化銀乳剤層を水洗除去工程で除去し、その後乾燥工程で導電性材料を乾燥させる、以上基本的には3つの工程から導電性材料の現像処理工程が構成されている。本発明において後処理工程は少なくとも銀塩拡散転写現像工程終了後、より好ましくは水洗除去工程終了後、乾燥工程の前に行う。また後処理工程のあと、後処理液の成分が導電性材料表面に析出してこないように水洗し、その後乾燥処理することが好ましい。(2)の方法においては直接現像処理、定着処理、水洗処理、乾燥処理が基本的な現像処理工程の構成であるが、後処理工程は直接現像処理終了後、より好ましくは定着処理後、さらに好ましくは定着処理の後の水洗処理後、乾燥工程の前に行う。(1)の方法同様後処理工程の後には水洗、乾燥処理することが好ましい。(3)の方法においては、硬化現像、水洗除去工程が基本的な現像処理工程の構成要素であるが、後処理工程は硬化現像後、好ましくは水洗除去工程終了後、乾燥工程の前に行う。(1)、(2)の方法同様、後処理工程の後には水洗、乾燥処理を行うことが好ましい。また、本発明における(1)、(2)、(3)の何れの方法における各処理工程の間、あるいはその前後で停止液等の中和液による処理、あるいは水洗工程、乾燥工程等を入れることもできる。また、現像工程を複数に分け、それぞれ別の種類の現像液を用いることも可能である。本発明において透明電磁波シールドフィルムのような高い導電性を必要とする場合には、後処理が終わった導電性材料の銀画像にめっきを施し、さらに導電性を高めることも可能である。
本発明により製造された導電性材料の銀画像パターンはX線回折により2θ=38.2°での半値幅が0.41以下、好ましくは0.35以下となるよう後処理を施す。半値幅の下限は特に定める必要はないが、0.27以上である。この値であれば導電性が高く、かつ保存安定性の高い銀となる。なお、本発明でいうピーク半値幅とは、JIS K 0131−1996「X線回折分析通則」に定められる半値幅(β1/2)のことである。半値幅の単位は、同JISの「12.結晶子の大きさと不均一ひずみの測定」においては「rad」であるが、ここでは「°」で表示した。X線回折の走査方法としては連続走査とステップ走査(ステップスキャニング法)があるが、本発明においては精度の高いステップ走査を用いる。また本発明においてステップスキャニング法のサンプリング間隔は0.01°で1点に付き1秒間の測定を行う。具体的にはリガク(株)製X線回折装置MiniFlex(光源:CuKα線。出力は30kV,15mA)を用いて測定できる。
本発明の後処理液は(I)還元性物質、(II)水溶性リンオキソ酸化合物、(III)水溶性ハロゲン化合物のいずれかを含有することが好ましい。本発明の後処理液に用いる還元性物質としては、写真現像の分野で公知の現像主薬を用いることができる。これらはResearch Disclosure Item 17643(1978年12月)および18716(1979年11月)308119(1989年12月)に記載、あるいは引用された文献に記載されている。具体的には、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノスルホン酸カリウム、カテコール、ピロガロール、メチルハイドロキノン、クロロハイドロキノン等のポリヒドロキシベンゼン類、アスコルビン酸及びその誘導体、1−フェニル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドン等の3−ピラゾリドン類、パラメチルアミノフェノール、パラアミノフェノール、パラヒドロキシフェニルグリシン等のアミノフェノール類、パラフェニレンジアミン等のポリアミノベンゼン類、ヒドロキシルアミン類等が挙げられる。これらの中でも水溶性が高く、有害性の少ないアスコルビン酸が好ましい。これら還元性物質は少なくとも1質量%以上、好ましくは5〜30質量%の水溶液として用いることが好ましい。また還元性物質を含有する後処理液で導電性材料前駆体を処理する場合には、導電性材料前駆体に還元可能な銀塩が残存している状態で処理するとかぶりの発生などが起きる。よって、特に還元性物質を含有する後処理液を用いる場合、かつ導電性材料前駆体の処理方法として前述の(1)銀塩拡散転写法に従う現像処理、若しくは(3)硬化現像法に従う現像処理を用いる場合には水洗除去工程の後に行うことが好ましく、また現像処理工程として(2)直接現像後に定着する現像処理の方法を用いる場合には定着後に行うことが特に好ましい。
本発明において水溶性リンオキソ酸化合物としてはリン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、ヘキサメタリン酸などのリンオキソ酸、及びその塩類があり、またそれらリンオキソ酸のエステル化合物がある。これら水溶性リンオキソ酸化合物の25℃における水に対する溶解度は少なくとも0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上である。これら水溶性リンオキソ酸化合物の具体例としてはリン酸一ナトリウム、リン酸一カリウム、リン酸二ナトリウム等のリン酸塩、次亜リン酸ナトリウムなどの次亜リン酸塩、ピロリン酸二水素二ナトリウムなどのピロリン酸塩、トリポリリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩など各種公知の水溶性リンオキソ酸化合物やポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、アルキルリン酸塩等、各種リン酸エステル類などの水溶性リンオキソ酸化合物のエステルを用いることができる。この中では無機の水溶性リンオキソ酸化合物、リン酸塩類が好ましい。これら水溶性リンオキソ酸化合物は少なくとも5質量%以上、好ましくは10〜30質量%の水溶液として用いることが好ましい。
本発明において水溶性ハロゲン化合物として用いるハロゲンとしてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素のいずれでも良く、25℃における水に対する溶解度が少なくとも0.1質量%以上ある化合物であって、水溶液中でハロゲン化物イオンを放出しうる化合物であれば何れでも使用できる。本発明の後処理液に用いる水溶性ハロゲン化合物としては塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、フッ化水素酸などの水素酸や、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム、塩化ルビジウムなどの塩化物、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化リチウムなどの臭化物、ヨウ化ナトリウムなどのヨウ化物、フッ化ナトリウム、フッ化カリウムなどのフッ化物等の各種無機ハロゲン化物や、ジメチルアミン塩酸塩やトリメチルアミン臭酸塩などのアミン塩類、塩化ベンザルコニウム、アルキルピリジニウム塩酸塩、イミダゾリニウム塩酸塩、ポリアリルアミン塩酸塩やジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合物などが挙げられる。この中で好ましいのは水溶液中で塩化物イオンを放出しうる化合物で、中でも塩化ナトリウムや塩化カリウムなどの水溶性無機塩化物が好ましい。これら水溶性ハロゲン化合物は少なくとも1質量%以上、好ましくは5〜30質量%の水溶液として用いることが好ましい。
本発明に用いる後処理液の成分としての還元性物質、水溶性リンオキソ酸化合物、水溶性ハロゲン化合物は単独で用いても良いし、あるいは例えば還元性物質と別の還元性物質のように同種の成分の複数を混合させて使用しても良く、あるいは還元性物質と水溶性ハロゲン化合物など別の種類の成分を混合させて用いても良い。この中でも後処理液の効率が高く、また後処理液の保存安定性や処理安定性の高い水溶性ハロゲン化合物を用いることが最も好ましい。後処理の温度としては高い方が好ましいが、導電性材料の支持体として用いる物質のTg以下で用いないと処理中に導電性材料が伸びたり切れたりするのでTg以下の温度で処理する。好ましい処理温度としては水溶性ハロゲン化合物を用いる場合には30℃以上、他の物質を用いる場合でも40℃以上、いずれの物質でも更に好ましくは50〜70℃、更に好ましくは60〜70℃で処理する。処理時間は後処理の成分にもよるが、10秒以上、好ましくは30秒〜3分処理することでX線回折での2θ=38.2°の半値幅を好ましい範囲にすることができる。処理方法としては浸漬処理、後処理液をシャワーでかける方法、塗布などができるが、温度の安定性や後処理液の成分の結晶化の起きにくい浸漬処理を行うことが好ましい。また、後処理の後には水洗処理をし、導電性材料表面に後処理液の成分の結晶化を防ぐ処置を執ることが好ましい。
本発明の後処理液のpHは10以下、好ましくは4〜9である。特に還元性物質を後処理液の成分として用いる場合にはpHが高いと後処理液中の還元性物質が酸化し易くなり、後処理液の保存安定性が悪くなるので還元性物質を含有する後処理液ではpHは8以下であることが好ましい。好ましいpHに調整するため後処理液には公知のpH緩衝剤を用いることができる。本発明に用いる後処理液にはそれら以外にも公知の界面活性剤、消泡剤、防腐剤などを含有させることもできる。
また本発明において上記還元性物質、水溶性リンオキソ酸化合物、水溶性ハロゲン化合物を含有しない温水で後処理をしてもX線回折での2θ=38.2°の半値幅を好ましい範囲にすることもできる。しかしながら、温水では効果は弱い為、上記化合物を含有する後処理液より、高温、長時間での処理が必要となる。具体的には水温は55℃以上、好ましくは65℃以上であるが、導電性材料前駆体の基材のTg以下で処理することが好ましい。またその処理時間は1〜30分、好ましくは3〜20分処理する。温水は特に温純水である必要は無く、公知の界面活性剤、消泡剤、防腐剤などを含有させることもできる。
次に本発明の導電性材料について説明する。前述の通り本発明の導電性材料前駆体を現像処理する方法としては(1)銀塩拡散転写法に従う現像処理、(2)直接現像後に定着する現像処理、(3)硬化現像法に従う現像処理の3つの方法を用いることができる。以下、本発明における(1)の現像処理方法を用いる導電性材料をタイプ1、(2)の現像処理方法を用いる導電性材料をタイプ2、(3)の現像処理方法を用いる導電性材料をタイプ3と略して、順に説明する。
<タイプ1>
導電性材料はハロゲン化銀乳剤層を含有する導電性材料前駆体を露光し、次に未露光部である画像部のハロゲン化銀粒子を可溶性銀錯塩形成剤で溶解して可溶性銀錯塩として溶解させ、物理現像核上まで拡散してきた可溶性銀錯塩をハイドロキノン等の還元剤(現像主薬)で還元して金属銀を析出させて画像を形成する。その後水洗除去して、ハロゲン化銀乳剤層などを洗い流し、基板上に像様に銀画像のついたパターンを形成する。
導電性材料前駆体は支持体上に少なくとも物理現像核層、ハロゲン化銀乳剤層を支持体に近い方からこの順で有する。さらには、非感光性層を支持体から最も遠い最外層及びまたは物理現像核層とハロゲン化銀乳剤層との間の中間層として有していても良い。これらの非感光性層は、水溶性高分子を主たるバインダーとする層である。ここでいう水溶性高分子とは、現像液で容易に膨潤し、下層のハロゲン化銀乳剤層、物理現像核層まで現像液を容易に浸透させるものであれば任意のものが選択できる。
具体的には、ゼラチン、アルブミン、カゼイン、ポリビニルアルコール等を用いることができる。特に好ましい水溶性高分子は、ゼラチン、アルブミン、カゼイン等のタンパク質である。本発明の効果を十分に得るためには、この非感光性層のバインダー量としては、ハロゲン化銀乳剤層の総バインダー量に対して20〜100質量%の範囲が好ましく、特に30〜80質量%が好ましい。
これら非感光性層には、必要に応じてResearch Disclosure Item 17643(1978年12月)および18716(1979年11月)、308119(1989年12月)に記載されているような公知の写真用添加剤を含有させることができる。また、処理後のハロゲン化銀乳剤層の剥離を妨げない限りにおいて、架橋剤により硬膜させることも可能である。
タイプ1の導電性材料前駆体における物理現像核層の物理現像核としては、重金属あるいはその硫化物からなる微粒子(粒子サイズは1〜数十nm程度)が用いられる。例えば、金、銀等のコロイド、パラジウム、亜鉛等の水溶性塩と硫化物を混合した金属硫化物等が挙げられるが、銀コロイド及び硫化パラジウム核が好ましい。これらの物理現像核の微粒子層は、真空蒸着法、カソードスパッタリング法、コーティング法などによってプラスチック樹脂フィルム上に設けることができる。生産効率の面からコーティング法が好ましく用いられる。物理現像核層における物理現像核の含有量は、固形分で1平方メートル当たり0.1〜10mg程度が適当である。
物理現像核層には、水溶性高分子を含有してもよい。水溶性高分子量は物理現像核に対して10〜500質量%程度が好ましい。水溶性高分子としては、ゼラチン、アラビアゴム、セルロース、アルブミン、カゼイン、アルギン酸ナトリウム、各種デンプン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、アクリルアミドとビニルイミダゾールの共重合体等を用いることができる。好ましい水溶性高分子は、ゼラチン、アルブミン、カゼイン等のタンパク質である。
物理現像核層には、例えばクロムミョウバンのような無機化合物、ホルムアルデヒド、グリオキザール、マレアルデヒド、グルタルアルデヒドのようなアルデヒド類、尿素やエチレン尿素等のN−メチロール化合物、ムコクロル酸、2,3−ジヒドロキシ−1,4−ジオキサンの様なアルデヒド等価体、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン塩や、2,4−ジヒドロキシ−6−クロロ−トリアジン塩のような活性ハロゲンを有する化合物、ジビニルスルホン、ジビニルケトンやN,N,N−トリアクリロイルヘキサヒドロトリアジン、活性な三員環であるエチレンイミノ基やエポキシ基を分子中に二個以上有する化合物類、高分子硬膜剤としてのジアルデヒド澱粉等の種々タンパク質の架橋剤(硬膜剤)の一種もしくは二種以上を含有することは好ましい。これらの架橋剤の中でも、好ましくは、グリオキザール、グルタルアルデヒド、3−メチルグルタルアルデヒド、サクシンアルデヒド、アジポアルデヒド等のジアルデヒド類であり、より好ましい架橋剤は、グルタルアルデヒドである。架橋剤は、下記の下引き層及び物理現像核層に含まれる合計のタンパク質に対して0.1〜30質量%を物理現像核層に含有させるのが好ましく、特に1〜20質量%が好ましい。
タイプ1の導電性材料前駆体においては、物理現像核層と透明支持体の間にタンパク質からなる下引き層(タンパク質含有下引き層;以降、単に下引き層と云う)を有することは好ましい。透明支持体と下引き層の間には、更に塩化ビニリデンやポリウレタン等の易接着層を有することは好ましい。下引き層に用いられるタンパク質としては、ゼラチン、アルブミン、カゼインあるいはこれらの混合物が好ましく用いられる。下引き層におけるタンパク質の含有量は1平方メートル当たり10〜300mgが好ましい。
物理現像核層や下引き層の塗布には、例えばディップコーティング、スライドコーティング、カーテンコーティング、バーコーティング、エアーナイフコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、スプレーコーティングなどの塗布方式で塗布することができる。
タイプ1の導電性材料前駆体においては光センサーとしてハロゲン化銀乳剤層が設けられる。ハロゲン化銀に関する銀塩写真フィルムや印画紙、印刷製版用フィルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等で用いられる技術は、そのまま用いることもできる。
ハロゲン化銀乳剤層に用いられるハロゲン化銀乳剤粒子の形成には、順混合、逆混合、同時混合等の、Research Disclosure Item 17643(1978年12月)および18716(1979年11月)、308119(1989年12月)で記載されているような公知の手法を用いることができる。なかでも同時混合法の1種で、粒子形成される液相中のpAgを一定に保ついわゆるコントロールドダブルジェット法を用いることが、粒径のそろったハロゲン化銀乳剤粒子が得られる点において好ましい。本発明においては、好ましいハロゲン化銀乳剤粒子の平均粒径は0.25μm以下、特に好ましくは0.05〜0.2μmである。本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤のハロゲン化物組成には好ましい範囲が存在し、塩化物を80モル%以上含有するのが好ましく、特に90モル%以上が塩化物であることが特に好ましい。
ハロゲン化銀乳剤の製造においては、必要に応じてハロゲン化銀粒子の形成あるいは物理熟成の過程において、亜硫酸塩、鉛塩、タリウム塩、あるいはロジウム塩もしくはその錯塩、イリジウム塩もしくはその錯塩などVIII族金属元素の塩若しくはその錯塩を共存させても良い。また、種々の化学増感剤によって増感することができ、イオウ増感法、セレン増感法、貴金属増感法など当業界で一般的な方法を、単独、あるいは組み合わせて用いることができる。また本発明においてハロゲン化銀乳剤は必要に応じて色素増感することもできる
また、ハロゲン化銀乳剤層に含有するハロゲン化銀量とゼラチン量の比率は、ハロゲン化銀(銀換算)とゼラチンとの質量比(銀/ゼラチン)が1.2以上、より好ましくは1.5以上である。
ハロゲン化銀乳剤層には、さらに種々の目的のために、公知の写真用添加剤を用いることができる。これらは、Research Disclosure Item 17643(1978年12月)および18716(1979年11月)、308119(1989年12月)に記載、あるいは引用された文献に記載されている。
タイプ1の導電性材料前駆体にはハロゲン化銀乳剤層の感光波長域に吸収極大を有する非増感性染料又は顔料を、画質向上のためのハレーション、あるいはイラジエーション防止剤として用いることは好ましい。ハレーション防止剤としては、好ましくは上記した下引き層あるいは物理現像核層、あるいは物理現像核層とハロゲン化銀乳剤層の間に必要に応じて設けられる中間層、または支持体を挟んで設けられる裏塗り層に含有させることができる。イラジエーション防止剤としては、ハロゲン化銀乳剤層に含有させるのがよい。添加量は、目的の効果が得られるのであれば広範囲に変化しうるが、たとえばハレーション防止剤として裏塗り層に含有させる場合、1平方メートル当たり、約20mg〜約1gの範囲が望ましく、好ましくは、極大吸収波長における光学濃度として、0.5以上である。
タイプ1の導電性材料前駆体に用いられる透明支持体としては、例えばポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ジアセテート樹脂、トリアセテート樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリイミド樹脂、セロハン、セルロイド等のプラスチック樹脂フィルム、ガラス板などが挙げられる。さらに本発明においては支持体上にハロゲン化銀写真乳剤層との接着性を向上させるための下引き層や帯電防止層などを必要に応じて設けることもできる。
上記タイプ1の導電性材料前駆体を用い、透明導電性材料を作製するための方法は、例えば網目状パターンの銀薄膜の形成が挙げられる。この場合、ハロゲン化銀乳剤層は網目状パターンに露光されるが、露光方法として、網目状パターンの透過原稿とハロゲン化銀乳剤層を密着して露光する方法、あるいは各種レーザー光を用いて走査露光する方法等がある。上記したレーザー光で露光する方法においては、例えば400〜430nmに発振波長を有する青色半導体レーザー(バイオレットレーザーダイオードとも云う)を用いることができる。
網目状パターンのような任意の形状パターンの透過原稿と上記前駆体を密着して露光、あるいは、任意の形状パターンのデジタル画像を各種レーザー光の出力機で上記前駆体に走査露光した後、銀塩拡散転写現像液で処理することにより物理現像が起こり、未露光部のハロゲン化銀が溶解されて銀錯塩となり、物理現像核上で還元されて金属銀が析出して形状パターンの銀薄膜を得ることができる。一方、露光された部分はハロゲン化銀乳剤層中で化学現像されて黒化銀となる。現像後、不要になったハロゲン化銀乳剤層及び中間層、保護層は水洗除去されて、形状パターンの銀薄膜が表面に露出する。
現像処理後のハロゲン化銀乳剤層等の物理現像核層の上に設けられた層の除去方法は、水洗除去あるいは剥離紙等に転写剥離する方法がある。水洗除去は、スクラビングローラー等を用いて温水シャワーを噴射しながら除去する方法や温水をノズル等でジェット噴射しながら水の勢いで除去する方法がある。また、剥離紙等で転写剥離する方法は、ハロゲン化銀乳剤層上の余分なアルカリ液(銀錯塩拡散転写用現像液)を予めローラー等で絞り取っておき、ハロゲン化銀乳剤層等と剥離紙を密着させてハロゲン化銀乳剤層等をプラスチック樹脂フィルムから剥離紙に転写させて剥離する方法である。剥離紙としては吸水性のある紙や不織布、あるいは紙の上にシリカのような微粒子顔料とポリビニルアルコールのようなバインダーとで吸水性の空隙層を設けたものが用いられる。
次に、銀塩拡散転写現像の現像液について説明する。現像液は、可溶性銀錯塩形成剤及び還元剤を含有するアルカリ液である。可溶性銀錯塩形成剤は、ハロゲン化銀を溶解し可溶性の銀錯塩を形成させる化合物であり、還元剤はこの可溶性銀錯塩を還元して物理現像核上に金属銀を析出させるための化合物である。
現像液に用いられる可溶性銀錯塩形成剤としては、チオ硫酸ナトリウムやチオ硫酸アンモニウムのようなチオ硫酸塩、チオシアン酸ナトリウムやチオシアン酸アンモニウムのようなチオシアン酸塩、亜硫酸ナトリウムや亜硫酸水素カリウムのような亜硫酸塩、オキサゾリドン類、2−メルカプト安息香酸及びその誘導体、ウラシルのような環状イミド類、アルカノールアミン、ジアミン、特開平9−171257号公報に記載のメソイオン性化合物、米国特許第5,200,294号明細書に記載のようなチオエーテル類、5,5−ジアルキルヒダントイン類、アルキルスルホン類、他に、「The Theory of the photographic Process(4th edition,p474〜475)」、T.H.James著に記載されている化合物が挙げられる。
これらの可溶性銀錯塩形成剤の中でも特に、アルカノールアミンが好ましい。アルカノールアミンを含有した処理液で現像を行った透明導電性材料の表面抵抗は比較的低い値が得られる。
アルカノールアミンとしては、例えばN−(2−アミノエチル)エタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エタノールアミン、4−アミノブタノール、N,N−ジメチルエタノールアミン、3−アミノプロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等が挙げられる。
これらの可溶性銀錯塩形成剤は単独で、または複数組み合わせて使用することができる。
現像液に用いられる還元剤は、Research Disclosure Item 17643(1978年12月)および18716(1979年11月)、308119(1989年12月)に記載されているような写真現像の分野で公知の現像主薬を用いることができる。例えば、ハイドロキノン、カテコール、ピロガロール、メチルハイドロキノン、クロロハイドロキノン等のポリヒドロキシベンゼン類、アスコルビン酸及びその誘導体、1−フェニル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドン等の3−ピラゾリドン類、パラメチルアミノフェノール、パラアミノフェノール、パラヒドロキシフェニルグリシン、パラフェニレンジアミン等が挙げられる。これらの還元剤は単独で、または複数組み合わせて使用することができる。
可溶性銀錯塩形成剤の含有量は、現像液1リットル当たり、0.001〜5モルが好ましく、より好ましくは0.005〜1モルの範囲である。還元剤の含有量は現像液1リットル当たり0.01〜1モルが好ましく、より好ましくは0.05〜1モルの範囲である。
現像液のpHは10以上が好ましく、更に11〜14が好ましい。所望のpHに調整するために、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ剤、燐酸、炭酸などの緩衝剤を単独、または組み合わせて含有させる。また、本発明の現像液には、亜硫酸ナトリウムや亜硫酸カリウム等の保恒剤を含むことが好ましい。
前記露光及び現像処理により形成された導電性材料の銀画像部にさらに導電性を付与する目的で、導電性金属粒子を担持させるためのめっき処理を行うことができる。
<タイプ2>
直接現像処理を行う方法である。例えばネガ乳剤を用いる場合、像様に光センサーのハロゲン化銀粒子を露光することで潜像を形成し、潜像を触媒として現像液中のハイドロキノンなどの還元剤でハロゲン化銀を還元、金属銀を形成する。その後定着処理により未感光部のハロゲン化銀を除去し、基板上に像様のバインダーに保持された銀粒子からなるパターンを形成する。
タイプ2の導電性材料前駆体に用いられる透明支持体としては、タイプ1の導電性材料前駆体で説明したような素材、性能のものを用いることができる。
タイプ2の導電性材料前駆体においては光センサーとしてハロゲン化銀乳剤層が支持体上に設けられるが、ハロゲン化銀乳剤層のハロゲン化銀に含有されるハロゲン元素は、塩素、臭素、ヨウ素及びフッ素のいずれであってもよく、これらを組み合わせてもよい。ハロゲン化銀乳剤粒子の形成には、順混合、逆混合、同時混合等の方法が用いられる。なかでもコントロールドダブルジェット法を用いることが、粒径のそろったハロゲン化銀乳剤粒子が得られる点において好ましい。好ましいハロゲン化銀乳剤粒子の平均粒径は0.25μm以下、特に好ましくは0.05〜0.2μmである。
ハロゲン化銀粒子の形状は特に限定されず、例えば、球状、立方体状、平板状(六角平板状、三角形平板状、四角形平板状など)、八面体状、十四面体状など様々な形状であることができる。
ハロゲン化銀乳剤の製造においては、必要に応じてハロゲン化銀粒子の形成あるいは物理熟成の過程において、亜硫酸塩、鉛塩、タリウム塩、あるいはロジウム塩もしくはその錯塩、イリジウム塩もしくはその錯塩などVIII族金属元素の塩若しくはその錯塩を共存させても良い。また、種々の化学増感剤によって増感することができ、イオウ増感法、セレン増感法、貴金属増感法など当業界で一般的な方法を、単独、あるいは組み合わせて用いることができる。また本発明においてハロゲン化銀乳剤は必要に応じて色素増感することもできる
ハロゲン化銀乳剤層はバインダーを含有する。バインダーとして非水溶性ポリマー及び水溶性高分子のいずれもバインダーとして用いることができるが、水溶性高分子を用いることが好ましい。好ましい水溶性高分子としては、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、澱粉等の多糖類、セルロース及びその誘導体、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアミン、キトサン、ポリリジン、ポリアクリル酸、ポリアルギン酸、ポリヒアルロン酸、カルボキシセルロース等が挙げられる。
ハロゲン化銀乳剤層には上記水溶性高分子の他に非水溶性ポリマーとしての高分子ラテックスを用いる事もできる。高分子ラテックスとしては単独重合体や共重合体など各種公知のラテックスを用いることができる。単独重合体としてはポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリメチルアクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリメタクリロニトリル、ポリブタジエン、ポリイソプレンなどがあり、共重合体としてはエチレン・ブタジエン共重合体、スチレン・ブタジエン共重合体、スチレン・p−メトキシスチレン共重合体、スチレン・酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル・塩化ビニル共重合体、酢酸ビニル・マレイン酸ジエチル共重合体、メチルメタクリレート・アクリロニトリル共重合体、メチルメタクリレート・ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート・スチレン共重合体、メチルメタクリレート・酢酸ビニル共重合体、メチルメタクリレート・塩化ビニリデン共重合体、メチルアクリレート・アクリロニトリル共重合体、メチルアクリレート・ブタジエン共重合体、メチルアクリレート・スチレン共重合体、メチルアクリレート・酢酸ビニル共重合体、アクリル酸・ブチルアクリレート共重合体、メチルアクリレート・塩化ビニル共重合体、ブチルアクリレート・スチレン共重合体等がある。ハロゲン化銀乳剤層に用いられる高分子ラテックスの平均粒径は0.01〜1.0μmであることが好ましく、更に好ましくは0.05〜0.8μmである。
高分子ラテックスはその使用量が多過ぎると塗布性に悪影響を及ぼすため、水溶性高分子との質量比(高分子ラテックス/水溶性高分子)が1.0以下で用いることが好ましい。また、ハロゲン化銀乳剤層に含有する高分子ラテックスと水溶性高分子の総量、すなわち総バインダー量については、バインダー量が少ないと塗布性に悪影響を及ぼし、また安定したハロゲン化銀粒子も得られなくなる、一方、多過ぎると多量にめっきをしないと導電性が得られなくなり、生産性を落としてしまうなど、品質に大きな影響を与える。好ましいハロゲン化銀(銀換算)と総バインダーとの質量比(銀/総バインダー)は1.2以上、より好ましくは1.5〜3.5である。
タイプ2に用いる導電性材料前駆体のハロゲン化銀乳剤層は硬膜剤により、硬膜されることが好ましい。硬膜剤としては例えばクロムミョウバンのような無機化合物、ホルムアルデヒド、グリオキザール、マレアルデヒド、グルタルアルデヒドのようなアルデヒド類、尿素やエチレン尿素等のN−メチロール化合物、ムコクロル酸、2,3−ジヒドロキシ−1,4−ジオキサンの様なアルデヒド等価体、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン塩や、2,4−ジヒドロキシ−6−クロロ−トリアジン塩のような活性ハロゲンを有する化合物、ジビニルスルホン、ジビニルケトンやN,N,N−トリアクリロイルヘキサヒドロトリアジン、活性な三員環であるエチレンイミノ基やエポキシ基を分子中に二個以上有する化合物類、高分子硬膜剤としてのジアルデヒド澱粉等やその他にもResearch Disclosure Item 17643(1978年12月)および18716(1979年11月)、308119(1989年12月)に記載されているような物質を用いることができる。また硬膜剤は一種もしくは二種以上混合させて用いることもできる。硬膜剤は、ハロゲン化銀乳剤層に含有されるバインダーに対して0.1〜10質量%を含有させるのが好ましく、特に0.5〜8質量%が好ましい。
ハロゲン化銀乳剤層には、さらに種々の目的のために、タイプ1同様の公知の写真用添加剤を用いることができる。
タイプ2の導電性材料前駆体には必要に応じて支持体のハロゲン化銀乳剤層と反対面に裏塗層やハロゲン化銀乳剤層の上にオーバー層などを設けることができる。またタイプ2の導電性材料前駆体にはハロゲン化銀乳剤層の感光波長域に吸収極大を有する非増感性染料又は顔料を、タイプ1の導電性材前駆体で説明したものと同様の目的、方法で含有することができる。
上記タイプ2の導電性材料前駆体を用い、透明導電性材料を作製するための方法は、例えば網目状パターンの銀薄膜の形成が挙げられるが、これは、タイプ1の銀塩拡散転写現像で説明した方法で露光することができる。
タイプ2の導電性材料前駆体を露光した後には、少なくとも現像処理、定着処理、水洗処理を行う。
本発明におけるタイプ2の導電性材料の製造に用いる現像液は、基本組成として現像主薬、保恒剤、アルカリ剤、カブリ防止剤からなる。現像主薬としては具体的にヒドロキノン、アスコルビン酸、p−アミノフェノール、p−フェニレンジアミン、フェニドン等が挙げられる。これらの一部は導電性材料前駆体に含有させてもよい。保恒剤としては、亜硫酸イオンなどがある。アルカリ剤は、現像主薬の還元性を発揮するために必要であり、現像液のpHを9以上、好ましくは10以上になるように添加される。また安定に塩基性を保つための、炭酸塩やリン酸塩のような緩衝剤も用いられる。さらに現像核を持たないハロゲン化銀粒子が還元されないように加えられるカブリ防止剤としては、臭化物イオン、ベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾールなどが挙げられる。
さらに本発明におけるタイプ2の導電性材料の製造に用いる現像液として可溶性銀錯塩形成剤を含有させることが高い導電性を得る上で好ましい。可溶性銀錯塩形成剤としては。具体的にはチオ硫酸アンモニウムやチオ硫酸ナトリウムのようなチオ硫酸塩、チオシアン酸ナトリウムやチオシアン酸アンモニウムのようなチオシアン酸塩、亜硫酸ナトリウムや亜硫酸水素カリウムのような亜硫酸塩、1,10−ジチア−18−クラウン−6、2,2’−チオジエタノールなどのチオエーテル類、オキサドリドン類、2−メルカプト安息香酸及びその誘導体、ウラシルのような環状イミド類、アルカノールアミン、ジアミン、特開平9−171257号公報に記載のメソイオン性化合物、5,5−ジアルキルヒダントイン類、アルキルスルホン類、他に「The Theory of the photographic Process(4th edition,p474〜475)」、T.H.James著に記載されている化合物が挙げられる。
これらの可溶性銀錯塩形成剤の中で特にアルカノールアミンが好ましい。アルカノールアミンとしては、例えばN−(2−アミノエチル)エタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エタノールアミン、4−アミノブタノール、N,N−ジメチルエタノールアミン、3−アミノプロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等が挙げられる。
これらの可溶性銀錯塩形成剤は単独で、または複数組み合わせて使用することができる。また可溶性銀錯塩形成剤の使用量としては0.1〜40g/L、好ましくは1〜20g/Lである。現像処理温度は通常15℃から45℃の間で選ばれるが、より好ましくは25〜40℃である。
定着処理は未現像部分の銀塩を除去して安定化させる目的で行われる。定着処理には公知の銀塩写真フィルムや印画紙、印刷製版用フィルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる定着処理の技術を用いることができ、「写真の化学」(笹井著、写真工業出版社(株))p321記載の定着液などが挙げられる。
その中でも、チオ硫酸塩以外の脱銀剤が含まれる定着液が好ましい。その場合の脱銀剤としてはチオシアン酸ナトリウムやチオシアン酸アンモニウムのようなチオシアン酸塩、亜硫酸ナトリウムや亜硫酸水素カリウムのような亜硫酸塩、1,10−ジチア−18−クラウン−6、2,2′−チオジエタノールなどのチオエーテル類、オキサドリドン類、2−メルカプト安息香酸及びその誘導体、ウラシルのような環状イミド類、アルカノールアミン、ジアミン、特開平9−171257号公報に記載のメソイオン性化合物、5,5−ジアルキルヒダントイン類、アルキルスルホン類、他に「The Theory of the photographic Process(4th edition,p474〜475)」、T.H.James著に記載されている化合物が挙げられる。
これらの脱銀剤の中でも特に、アルカノールアミンが好ましい。アルカノールアミンとしては、拡散転写現像液で述べた可溶性銀錯塩形成剤と同義である。また、チオシアン酸塩については脱銀能力は高いのだが、人体に対する安全性の観点から使用する事は好ましくない。
これらの脱銀剤は単独で、または複数組み合わせて使用することができる。また脱銀剤の使用量としては脱銀剤の合計で定着液1リットル当たり、0.01〜5モルが好ましく、より好ましくは0.1〜3モルの範囲である。
定着液としては脱銀剤の他にも保恒剤として亜硫酸塩、重亜硫酸塩、pH緩衝剤として酢酸、硼酸アミン、リン酸塩などを含むことができる。また、硬膜剤として水溶性アルミニウム(例えば硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、カリミョウバン等)、アルミニウムの沈殿防止剤として多塩基酸(例えば、酒石酸、酒石酸カリウム、酒石酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸リチウム、クエン酸カリウム等)も含有させることができる。定着液の好ましいpHは脱銀剤の種類により異なり、特にアミンを使用する場合は8以上,好ましくは9以上である。定着処理温度は通常10℃から45℃の間で選ばれるが、より好ましくは18〜30℃である。
<タイプ3>
硬化現像処理法を用いる方法である。この方法においては光センサーのハロゲン化銀粒子を像様に露光して潜像を形成し、これを触媒としてハロゲン化銀を還元する時に、ハイドロキノン等のその酸化体がゼラチンの硬化作用を持つ還元剤を用い、金属銀を形成すると同時に金属銀周囲のゼラチンを硬化させ、画像を形成させた後、水洗除去して非硬化部を洗い流す。タイプ2と同様銀粒子はバインダーに保持されているが、非画像部には基材のみが残ることとなる。
タイプ3に用いる導電性材料前駆体に用いられる透明支持体としては、タイプ1、タイプ2の導電性材料前駆体に用いる透明支持体と同様のものを使用することが出来る。
本発明に用いるタイプ3の導電性材料前駆体においては光センサーとしてハロゲン化銀乳剤層が支持体上に設けられる。
本発明におけるハロゲン化銀としてはタイプ2の導電性材料前駆体に用いるのと同様のハロゲン化銀を用いることが出来る。
本発明においてハロゲン化銀乳剤層はバインダーを含有する。本発明においては非水溶性ポリマー及び水溶性高分子のいずれもバインダーとして用いることができるが、水溶性高分子を用いることが好ましい。本発明における好ましいバインダーとしては、例えば、ゼラチン、カゼインなどのタンパク質類、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、澱粉等の多糖類、セルロース及びその誘導体、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアミン、キトサン、ポリリジン、ポリアクリル酸、アルギン酸、ヒアルロン酸、カルボキシセルロース等が挙げられる。これら水溶性ポリマーの中でもゼラチンなどのタンパク質が好ましい。
本発明においてハロゲン化銀乳剤層には上記水溶性高分子の他に非水溶性ポリマーとしての高分子ラテックスを用いる事もできる。高分子ラテックスとしては単独重合体や共重合体など各種公知のラテックスを用いることができる。単独重合体としてはポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリメチルアクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリメタクリロニトリル、ポリブタジエン、ポリイソプレンなどがあり、共重合体としてはエチレン・ブタジエン共重合体、スチレン・ブタジエン共重合体、スチレン・p−メトキシスチレン共重合体、スチレン・酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル・塩化ビニル共重合体、酢酸ビニル・マレイン酸ジエチル共重合体、メチルメタクリレート・アクリロニトリル共重合体、メチルメタクリレート・ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート・スチレン共重合体、メチルメタクリレート・酢酸ビニル共重合体、メチルメタクリレート・塩化ビニリデン共重合体、メチルアクリレート・アクリロニトリル共重合体、メチルアクリレート・ブタジエン共重合体、メチルアクリレート・スチレン共重合体、メチルアクリレート・酢酸ビニル共重合体、アクリル酸・ブチルアクリレート共重合体、メチルアクリレート・塩化ビニル共重合体、ブチルアクリレート・スチレン共重合体等がある。本発明で用いる高分子ラテックスの平均粒径は0.01〜1.0μmであることが好ましく、更に好ましくは0.05〜0.8μmである。
本発明におけるハロゲン化銀乳剤層に含有する水溶性ポリマーと高分子ラテックスの総量、すなわち総バインダー量については、バインダー量が少ないと塗布性に悪影響を及ぼし、また安定したハロゲン化銀粒子も得られなくなる、一方、多過ぎると導電性が得られ難くなり、生産性を落としてしまうなど、品質に大きな影響を与える。好ましいハロゲン化銀(銀換算)と総バインダーとの質量比(銀/総バインダー)は0.5以上、より好ましくは1.5〜3.5である。また、好ましい総バインダー量は0.05〜3g/m2以上、更に好ましくは0.1〜1g/m2である。
ハロゲン化銀乳剤層にはタイプ2の導電性材料前駆体同様、種々の目的のために、公知の写真用添加剤を用いることができる。
タイプ3の導電性材料前駆体には必要に応じて支持体のハロゲン化銀乳剤層と反対面に裏塗層やハロゲン化銀乳剤層の上にオーバー層、ハロゲン化銀乳剤層の下に下引き層などを設けることができる。またタイプ1、タイプ2の導電性材料前駆体同様ハロゲン化銀乳剤層の感光波長域に吸収極大を有する非増感性染料又は顔料を含有することができる。
タイプ3の導電性材料前駆体のオーバー層、下引き層についてはハロゲン化銀乳剤層と同様のバインダーを用いることができる。それぞれの層の使用目的に応じて好ましいバインダー量は異なるが、特に硬化現像処理を利用して画像状にそれらの層を硬化させ、必要な部分のみ残したい場合、例えばオーバー層に無電解めっきの触媒核を含有させる場合などでは、ハロゲン化銀乳剤層中で起きる硬化反応を利用するので、できるだけ薄いほうが好ましく、好ましい使用量は0.1g/m2以下、更に好ましくは0.05〜0.001g/m2である。さらにオーバー層、下引き層には公知の界面活性剤、現像抑制剤、イラジエーション防止色素、顔料、マット剤、滑剤などを含有することができる。
タイプ3の導電性材料前駆体には硬化現像薬を含有することが特に好ましい。硬化現像薬としては、ポリヒドロキシベンゼン、例えばハイドロキノン、カテコール、クロロハイドロキノン、ピロガロール、ブロモハイドロキノン、イソプロピルハイドロキノン、トルハイドロキノン、メチルハイドロキノン、2,3−ジクロロハイドロキノン、2,3−ジメチルハイドロキノン、2,3−ジブロモハイドロキノン、2,5−ジヒドロキシ−1−アセトフェノン、2,5−ジメチルハイドロキノン、4−フェニルカテコール、4−t−ブチルカテコール、4−s−ブチルピロガロール、4,5−ジブロモカテコール、2,5−ジエチルハイドロキノン、2,5−ベンゾイルアミノハイドロキノンなどがある。また、アミノフェノール化合物、例えばN−メチル−p−アミノフェノール、p−アミノフェノール−2,4−ジアミノフェノール、p−ベンジルアミノフェノール、2−メチル−p−アミノフェノール、2−ヒドロキシメチル−p−アミノフェノールなど、また、その他にも例えば特開2001−215711号公報、特開2001−215732号公報、特開2001−312031号公報、特開2002−62664号公報記載の公知の硬化現像薬を用いることができるが、特にベンゼン核の少なくとも1,2位または1,4位にヒドロキシル基が置換したベンゼンが好ましい。また、これらの硬化現像薬を併用して用いることも可能である。さらに、3−ピラゾリドン類、例えば1−フェニル−3−ピラゾリドン、1−p−トリル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン、および1−p−クロロフェニル−3−ピラゾリドンなどの公知の写真現像液に用いる還元剤を上記硬化現像薬に併せて用いることも可能である。
これら硬化現像薬は導電材料前駆体のどの層に含有されても良いが、ハロゲン化銀乳剤層もしくは下引き層に含有されることが好ましく、特にハロゲン化銀乳剤層に含有されていることが好ましい。含有する好ましい量はハロゲン化銀乳剤層の水溶性バインダーを耐水化できるだけの量であるため、使用する水溶性バインダーの量に応じて変化する。好ましい硬化現像薬の量は0.01〜0.5mモル/水溶性バインダー1g、更に好ましくは0.1〜0.4mモル/水溶性バインダー1gである。これら硬化現像薬は塗液に溶解させても各層に含有させても良いし、オイル分散液に溶解させて各層中に含有させることも可能である。
タイプ3の導電性材料前駆体には膨潤抑制剤を含有することが好ましい。本発明における膨潤抑制剤とは導電性材料前駆体を硬化現像液で処理する際に水溶性バインダーが膨潤するのを防ぎ、画像のぼけを防いで透過性を上げ、また導電性を上げるために用いる。膨潤抑制剤として作用するかどうかはpH3.5の5%ゼラチン水溶液に膨潤抑制剤0.35モル/Lになるよう加えてゼラチンの沈澱が発生するかどうかで調べられ、この試験でゼラチンの沈澱が発生するような薬品は全て膨潤抑制剤として作用する。膨潤抑制剤の具体例としては、例えば硫酸ナトリウム、硫酸リチウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硝酸ナトリウム、硝酸カルシウム、硝酸マグネシウム、硝酸亜鉛、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、塩化マンガン、燐酸マグネシウムなどの無機塩類、あるいは例えばベンゼンスルホン酸、ジフェニルスルホン酸、5−スルホサリチル酸、p−トルエンスルホン酸、フェノールジスルホン酸、α−ナフタレンスルホン酸、β−ナフタレンスルホン酸、1,5−ナフタレンスルホン酸、1−ヒドロキシ−3,6−ナフタレンジスルホン酸、ジナフチルメタンスルホン酸などのスルホン酸類、例えばポリビニルベンゼンスルホン酸、無水マレイン酸とビニルスルホン酸の共重合物、ポリビニルアクリルアミドなどの高分子沈澱剤として用いられる化合物などが挙げられる。これら膨潤抑制剤は単独でも組合わせて用いても良いが、無機塩類、特に硫酸塩類を使用することが好ましい。これら膨潤抑制剤は導電性材料前駆体のどの層に含有されていても良いが、特にハロゲン化銀乳剤層に含有されていることが好ましい。これら膨潤抑制剤の好ましい含有量は0.01〜10g/m2、更に好ましくは0.1〜2g/m2である。
タイプ3の導電性材料前駆体にはさらに無電解めっき触媒や導電性物質などを含有させることも可能である。
上記タイプ3の導電性材料前駆体を用い、透明導電性材料を作製するための方法は、例えば網目状パターンの銀薄膜の形成が挙げられるが、これは前述のタイプ1、タイプ2で説明した方法で露光することができる。
タイプ3では導電性材料前駆体を露光した後に硬化現像を行う。硬化現像液にはアルカリ性物質、例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、第3燐酸ナトリウム、あるいはアミン化合物、粘稠剤、例えばカルボキシメチルセスロース、現像助薬、例えば3−ピラゾリジノン類、カブリ防止剤、例えば臭化カリウム、現像変性剤、例えばポリオキシアルキレン化合物、ハロゲン化銀溶剤、例えばチオ硫酸塩、チオシアン酸塩、環状イミド、チオサリチル酸、メソイオン性化合物等の添加剤等を含ませることができる。現像液のpHは通常10〜14である。通常の銀塩写真現像液に用いる保恒剤、例えば亜硫酸ナトリウムなどは硬化現像による硬化反応を停める作用があるので、本発明における硬化現像液では保恒剤は多くとも20g/L以下の使用量、好ましくは10g/L以下の使用量が好ましい。
タイプ3の硬化現像液には導電性材料前駆体に硬化現像薬を含有させない場合は硬化現像薬を含有する。硬化現像薬としては導電性材料前駆体に含有させるのと同様の硬化現像薬を用いることができる。好ましい硬化現像薬の含有量は1〜50g/Lである。硬化現像薬を現像液中に含有させる場合、保恒性が悪く、直ぐに空気酸化してしまうので、使用の直前にアルカリ性水溶液に溶解することが好ましい。
タイプ3の硬化現像液には膨潤抑制剤を含有することが好ましい。膨潤抑制剤としては導電性材料前駆体に含有させるのと同様の膨潤抑制剤を用いることができる。好ましい膨潤抑制剤の含有量は50〜300g/L、好ましくは100〜250g/Lである。
タイプ3の硬化現像処理を行う方法としては、浸漬方式であっても塗布方式であってもよい。浸漬方式は、例えば、タンクに大量に貯留された処理液中に、導電性材料前駆体を浸漬しながら搬送するものであり、塗布方式は、例えば導電性材料前駆体上に処理液を1平方メートル当たり40〜120mL程度塗布するものである。特に硬化現像薬含有硬化現像液を用いる場合には塗布方式にし、硬化現像液を繰り返し用いないようにするほうが好ましい。
タイプ3の硬化現像処理条件については、以下の通りである。現像温度は2〜30℃であり、10〜25℃がより好ましい。現像時間は5〜30秒であり、好ましくは5〜10秒である。
タイプ3の導電性材料を製造する工程には、光透過部のハロゲン化銀乳剤層を除去し、支持体面を露出させる工程が含まれる。本工程はハロゲン化銀乳剤の除去を主目的としているので、本工程で用いられる処理液は水を主成分とする。処理液は緩衝成分を含有してもよい。また、除去したゼラチンの腐敗を防止する目的で、防腐剤を含有することができる。ハロゲン化銀乳剤を除去する方法としては、スポンジ等で擦り取る方法、ローラーを膜面に当ててスリップさせることによってはがしとる方法、ローラーを膜面に接触させてローラーに巻き付ける方法等がある。処理液流をハロゲン化銀乳剤面に当てる方法としては、シャワー方式、スリット方式等を単独、あるいは組み合わせて使用できる。また、シャワーやスリットを複数個設けて、除去の効率を高めることもできる。
タイプ3において非画像部ハロゲン化銀乳剤層を除去してレリーフ画像を作製した後に、当業者で周知の硬膜剤を含有した液で処理することでより強固なレリーフ画像を作製することが出来る。硬膜剤としては、クロムミョウバン、ホルムアルデヒド等のアルデヒド類、ジアセチル等のケトン類、ムコクロル酸類等、種々のものを用いることが出来る。
タイプ3において硬化現像処理後にハロゲン化銀溶剤を含む物理現像液で導電性材料前駆体を処理し、硬化現像で硬化されたレリーフ像中にある銀を増大させ、導電性を得ることもできる。物理現像工程はハロゲン化銀乳剤層の除去工程の前であっても、後であっても良いが、光透過部のハロゲン化銀も銀の供給源として使用できることから除去前に物理現像工程を行うことが好ましい。また、物理現像液に銀塩を加えるなど、さらなる銀イオンの供給を行い、物理現像工程でより銀を大きくすることもできる。
物理現像液に用いられる還元剤は、写真現像の分野で公知の現像主薬を用いることができる。例えば、ハイドロキノン、カテコール、ピロガロール、メチルハイドロキノン、クロロハイドロキノン等のポリヒドロキシベンゼン類、アスコルビン酸及びその誘導体、1−フェニル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドン等の3−ピラゾリドン類、パラメチルアミノフェノール、パラアミノフェノール、パラヒドロキシフェニルグリシン、パラフェニレンジアミン等が挙げられる。これらの還元剤は単独で、または複数組み合わせて使用することができる。
物理現像液のpHは8以上が好ましく、更に9〜11が好ましい。所望のpHに調整するために、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ剤、燐酸、炭酸などの緩衝剤を単独、または組み合わせて含有させる。また、本発明の物理現像液には、亜硫酸ナトリウムや亜硫酸カリウム等の保恒剤を含むことが好ましい。
物理現像液には、臭化カリウム、臭化ナトリウムなどの臭化物を加えることが好ましい。適量の臭化物の存在下で現像を行うと、得られた金属銀の導電性が良化するからである。好ましい臭化物濃度は1×10-4モル/L以上1×10-2モル/L以下である。
物理現像液のカリウムイオン濃度は物理現像液中の全アルカリ金属イオンの70モル%以上が好ましい。カリウムイオン濃度を70モル%以上にすることである程度前駆体を物理現像処理した状態であっても、得られる金属銀の導電性が比較的良好であるからである。カリウムイオンはいかなる形態及び方法で供給されても良い。例えば、水酸化物塩、亜硫酸塩、炭酸塩、カルボン酸塩等として予め物理現像液に添加しておく方法が挙げられる。
本発明における物理現像液は可溶性銀錯塩形成剤を含有する。可溶性銀錯塩形成剤は、非感光性銀塩を溶解し可溶性の銀錯塩を形成させる化合物である。物理現像液に用いられる可溶性銀錯塩形成剤としては、チオ硫酸ナトリウムやチオ硫酸アンモニウムのようなチオ硫酸塩、チオシアン酸ナトリウムやチオシアン酸アンモニウムのようなチオシアン酸塩、亜硫酸ナトリウムや亜硫酸水素カリウムのような亜硫酸塩、オキサゾリドン類、2−メルカプト安息香酸及びその誘導体、ウラシルのような環状イミド類、アルカノールアミン、ジアミン、特開平9−171257号公報に記載のメソイオン性化合物、USP5,200,294に記載のようなチオエーテル類、5,5−ジアルキルヒダントイン類、アルキルスルホン類、他に、「The Theory of the photographic Process(4th edition,p474〜475)」、T.H.James著に記載されている化合物が挙げられる。
これらの可溶性銀錯塩形成剤の中でも特に、アルカノールアミンが好ましい。アルカノールアミンを含有した処理液で現像を行った透明導電性材料の表面抵抗は比較的低い値が得られる。
アルカノールアミンとしては、例えばN−(2−アミノエチル)エタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エタノールアミン、4−アミノブタノール、N,N−ジメチルエタノールアミン、3−アミノプロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等が挙げられる。
これらの可溶性銀錯塩形成剤は単独で、または複数組み合わせて使用することができる。可溶性銀錯塩形成剤の含有量は、処理液1リットル当たり、0.001〜5モルが好ましく、より好ましくは0.005〜1モルの範囲である。還元剤の含有量は処理液1リットル当たり0.01〜1モルが好ましく、より好ましくは0.05〜1モルの範囲である。
タイプ3において物理現像液はさらに銀イオンを含有することも可能である。銀イオンの好ましい含有量は0.01〜1モル/L、更に好ましくは0.02〜0.5モル/Lである。あるいは物理現像液に銀イオンを含有させる替わりに、導電性材料前駆体に感度の低いハロゲン化銀乳剤を含有させてもよい。感度の低いハロゲン化銀乳剤とは導電性材料前駆体に使われているハロゲン化銀乳剤(以下高感度乳剤と略す)の70%以下の感度を有するハロゲン化銀乳剤のことを意味し、該低感度ハロゲン化銀乳剤(以下低感度乳剤と略す)は好ましくは銀で換算して0.5〜5g/m2、より好ましくは1〜3g/m2導電性材料前駆体に含有される。高感度銀乳剤と低感度乳剤の比率は特に限定する必要はないが、好ましい範囲は銀で換算して高感度乳剤:低感度乳剤=1:10〜2:1、更に好ましくは1:5〜1:1である。
タイプ3において物理現像処理を行う方法としては、浸漬方式であっても塗布方式であってもよい。浸漬方式は、例えば、タンクに大量に貯留された処理液中に、導電性材料前駆体を浸漬しながら搬送するものであり、塗布方式は、例えば導電性材料前駆体上に処理液を1平方メートル当たり40〜120mL程度塗布するものである。
導電性及び金属光沢を向上させるための好ましい物理現像処理条件については、以下の通りである。現像温度は2〜25℃であり、10〜20℃がより好ましい。現像時間は30〜180秒であり、好ましくは40〜120秒である。
本発明においてタイプ1、タイプ2、タイプ3何れの方法で作製した導電性材料でもさらに高い導電性を得るためや、あるいは銀画像の色調を変えるためなどの種々の目的でめっき処理を行うことが可能である。本発明におけるめっき処理としては、無電解めっき(化学還元めっきや置換めっき)、電解めっき、又は無電解めっきと電解めっきの両方を用いることができる。めっき処理によりどの程度導電性を付与するかは用いる用途に応じて異なるが、例えばPDP用に用いる電磁波シールド材として用いるためには表面抵抗値2.5Ω/□以下、好ましくは1.5Ω/□以下が要求される。
本発明において無電解めっき処理を施す場合、無電解めっきを促進させる目的でパラジウムを含有する溶液で活性化処理することもできる。パラジウムとしては2価のパラジウム塩あるいはその錯体塩の形態でも良いし,また金属パラジウムであっても良い。しかし、液の安定性、処理の安定性から好ましくはパラジウム塩あるいはその錯塩を用いることが良い。
本発明における無電解めっきは、公知の無電解めっき技術、例えば無電解ニッケルめっき,無電解コバルトめっき、無電解金めっき、無電解銀めっき、無電解銅めっきなどを用いることができるが、上記の必要な導電性と透明性を得るためには無電解銅めっきを行うことが好ましい。
本発明における無電解銅めっき液には硫酸銅や塩化銅など銅の供給源、ホルムアルデヒドやグリオキシル酸、テトラヒドロホウ酸カリウム、ジメチルアミンボランなど還元剤、EDTAやジエチレントリアミン5酢酸、ロシェル塩、グリセロール、メソ−エリトリトール、アドニール、D−マンニトール、D−ソルビトール、ズルシトール、イミノ2酢酸、trans−1,2−シクロヘキサンジアミン4酢酸、1,3−ジアミノプロパン−2−オール4酢酸、グリコールエーテルジアミン4酢酸、トリイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン等の銅の錯化剤、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどのpH調整剤などが含有される。さらにその他に浴の安定化やめっき皮膜の平滑性を向上させるための添加剤としてポリエチレングリコール、黄血塩、ビピリジル,o−フェナントロリン、ネオクプロイン、チオ尿素、シアン化物などを含有させることも出来る。めっき液は安定性を増すためエアレーションを行う事が好ましい。
無電解銅めっきでは前述の通り種々の錯化剤を用いることができるが、錯化剤の種類により酸化銅が共析し、導電性に大きく影響したり、あるいはトリエタノールアミンなど銅イオンとの錯安定定数の低い錯化剤は銅が沈析しやすいため、安定しためっき液やめっき補充液が作り難いなどということが知られている。従って工業的に通常用いられる錯化剤は限られており、本発明においても同様の理由でめっき液の組成として特に錯化剤の選択は重要である。特に好ましい錯化剤としては銅錯体の安定定数の大きいEDTAやジエチレントリアミン5酢酸などが挙げられ、このような好ましい錯化剤を用いためっき液としては例えばプリント基板の作製に使用される高温タイプの無電解銅めっきがある。高温タイプの無電解銅めっきの手法については「無電解めっき 基礎と応用」(電気鍍金研究会編)p105などに詳しく記載されている。高温タイプのめっきでは通常60〜70℃で処理し、処理時間は無電解めっき後に電解めっきを施すかどうかで変わってくるが、通常1〜30分、好ましくは3〜20分無電解めっき処理を行うことで本発明の目的を達することが出来る。
本発明において銅以外の無電解めっき処理を行う場合は例えば「めっき技術ガイドブック」(東京鍍金材料協同組合技術委員会編、1987年)p406〜432記載の方法などを用いる事ができる。
本発明においては電解めっきを施すこともできる。電解めっき法としては銅めっき、ニッケルめっき、亜鉛めっき、スズめっき等の公知のめっき方法を用いることができ、その方法として例えば「めっき技術ガイドブック」(東京鍍金材料協同組合技術委員会編、1987年)記載の方法を用いることができる。どのめっき法を用いるかは製造する導電性材料の用途によって異なるが、導電性をさらに高めるためにめっきする場合、銅めっきやニッケルめっきが好ましい。銅めっきのめっき法として好ましい方法としては硫酸銅浴めっき法やピロリン酸銅浴めっき法、ニッケルめっき法としてはワット浴めっき法、黒色めっき法などが好ましい。
本発明においてはめっき処理並びに定着処理の後、酸化処理を行う事も可能である。特にめっき処理の後に定着処理を行い、かつ漂白定着液で処理しない場合は酸化処理を行う事が好ましい。酸化処理としては、種々の酸化剤を用いた公知の方法を用いる事ができる。酸化処理液には酸化剤としてEDTA鉄塩、DTPA鉄塩、1,3−PDTA鉄塩、β−ADA鉄塩、BAIDA鉄塩などの各種アミノポリカルボン酸鉄塩、重クロム酸塩、過硫酸塩、過マンガン酸塩、赤血塩などを用いることができるが、環境負荷が少なく、安全なアミノポリカルボン酸鉄を用いる事が好ましい。酸化剤の使用量は0.01〜1モル/L、好ましくは0.1〜0.3モル/Lである。その他に促進剤として臭化物、ヨウ化物、グアニジン類、キノン類、ヴァイツラジカル、アミノエタンチオール類、チアゾール類、ジスルフィド類、へテロ環メルカプト類など公知のものを用いる事もできる。