JP2014112127A - 銀画像パターンの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】非画像部の汚れがない銀画像パターンが得られる銀画像パターンの製造方法を提供する。
【解決手段】支持体上に、物理現像核層とハロゲン化銀乳剤層をこの順に有する感光材料を露光後、現像処理することにより前記物理現像核層上に像様に金属銀を析出させ、次いで現像処理されたハロゲン化銀乳剤層を水洗除去することで前記金属銀を露出させる銀画像パターンの製造方法において、前記現像処理開始後から前記ハロゲン化銀乳剤層の水洗除去を開始するまでの間にハロゲン化銀乳剤層を非像様に露光することを特徴とする銀画像パターンの製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】支持体上に、物理現像核層とハロゲン化銀乳剤層をこの順に有する感光材料を露光後、現像処理することにより前記物理現像核層上に像様に金属銀を析出させ、次いで現像処理されたハロゲン化銀乳剤層を水洗除去することで前記金属銀を露出させる銀画像パターンの製造方法において、前記現像処理開始後から前記ハロゲン化銀乳剤層の水洗除去を開始するまでの間にハロゲン化銀乳剤層を非像様に露光することを特徴とする銀画像パターンの製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、電気回路、電磁波シールド材、タッチパネル等の導電性材料用途などに用いることができる銀画像パターンの製造方法に関するものである。
電磁波シールド材、タッチパネルなどで使用される導電性材料の性能として光透過率があり、このような導電性材料の支持体としては光透過性支持体が好ましく用いられる。この場合、光透過性支持体上に、銀画像パターンを例えばメッシュ状に形成し、銀画像パターンの線幅やピッチ、さらにはパターン形状などを調整することにより、高い光線透過率を維持し、高い導電性を付与できることが知られている。
電気回路やメッシュパターンを形成する金属の中でも、銀は最も導電性が高いため、他の金属に比べ、より幅が細く膜厚が薄い細線で高い導電性を得ることができる。線幅が細ければ、光透過性やパターンの視認性(パターンの存在を認識されにくくする難視認性)の点で有利である。また、パターン細線の厚みが薄ければ粘着剤層やハードコート層など種々の機能性層をパターン上に設けることが容易となる。例えば、2枚の電極を張り合わせるタッチセンサーや窓ガラスなどに貼合する電磁波シールドフィルムなど、金属パターン側の面に粘着剤層を設ける場合、金属パターンの厚みが薄い程、凹凸による空気の混入が少なく均一に貼合することが容易であるため、パターンの厚みが薄いことは大きな利点となる。そのため、銀画像パターンを有する導電性材料への期待が高まってきている。
導電性材料において、電気回路パターンなどを金属銀で形成する方法としては、例えば国際公開第04/007810号パンフレットに開示されたような銀塩拡散転写方式を用いた方法を用いることができる。銀塩拡散転写方式を用いた方法は、得られる銀画像パターン中にバインダー成分が実質的に含まれないことから、銀画像パターンの個体差が少なく均一であり、また、像様に露光された感光材料を特開2006−190535号公報(特許文献1)に記載されたような処理装置で連続的に処理することが可能であり、大量生産や品質の安定性などの観点から好ましい。
しかしながら、上記銀塩拡散転写方式で得られた銀画像パターンには、ハロゲン化銀乳剤層の塗布量が多い場合、支持体の非画像部に汚れが発生することがあり、改良が求められていた。電磁波シールド材、タッチパネルなどは、テレビやモニターなどのディスプレイ上に設置されることがあるため、非画像部に汚れが生じると、ディスプレイの画質を損なうため好ましくない。
一方、従来より銀塩写真感光材料の分野では、銀画像の階調を整える手法として、像様に露光する前に非像様に(例えば均一に)感光材料を露光する前露光、像様に露光した後に非像様に(例えば均一に)露光する後露光が知られており、このような技術は写真の化学(笹井明著、(株)写真工業出版社発行、第339〜341頁)などに記載されている。また、表面抵抗率が高く、かつ均一な導電性材料を安定して製造する導電性材料の製造方法として、像様に露光する前および/または後に導電性材料前駆体に副露光を与えた後に現像処理する方法が特開2009−245748号公報(特許文献2)に開示されている。さらに、特開2001−5145号公報(特許文献3)に熱現像感光材料において画像形成後に増感色素が残存してしまう問題を解消する目的で、増感色素として光消色性の増感色素を用い、画像形成後に非像様な露光を行うことが記載されている。
従って、本発明の目的は、非画像部の汚れがない銀画像パターンが得られる銀画像パターンの製造方法、及び銀画像パターンを提供することにある。
本発明の上記課題は以下の発明によって達成される。
(1)支持体上に、物理現像核層とハロゲン化銀乳剤層をこの順に有する感光材料を露光後、現像処理することにより前記物理現像核層上に像様に金属銀を析出させ、次いで現像処理されたハロゲン化銀乳剤層を水洗除去することで前記金属銀を露出させる銀画像パターンの製造方法において、前記現像処理開始後から前記ハロゲン化銀乳剤層の水洗除去を開始するまでの間にハロゲン化銀乳剤層を非像様に露光することを特徴とする銀画像パターンの製造方法。
(1)支持体上に、物理現像核層とハロゲン化銀乳剤層をこの順に有する感光材料を露光後、現像処理することにより前記物理現像核層上に像様に金属銀を析出させ、次いで現像処理されたハロゲン化銀乳剤層を水洗除去することで前記金属銀を露出させる銀画像パターンの製造方法において、前記現像処理開始後から前記ハロゲン化銀乳剤層の水洗除去を開始するまでの間にハロゲン化銀乳剤層を非像様に露光することを特徴とする銀画像パターンの製造方法。
本発明により、非画像部の汚れがない銀画像パターンが得られる銀画像パターンの製造方法を提供することができる。
本発明により得られる銀画像パターンは、主に導電性材料に用いられるが、この用途に限定されるわけではない。
本発明の銀画像パターンの製造方法について説明する。本発明の銀画像パターンの製造方法において用いられる銀塩拡散転写方式の基本的な技術は、国際公開第04/007810号パンフレット、特開2003−77350号公報、特開2005−250169号公報や特開2007−188655号公報などに開示されている。
銀塩拡散転写方式では、支持体上に物理現像核層と称する、銀錯体が現像主薬によって還元されて金属銀となるための触媒核層、及びその上層にハロゲン化銀乳剤層を設けた感光材料を利用する。また、現像処理時には現像主薬の他にハロゲン化銀を溶解する化合物(ハロゲン化銀溶剤)を作用させる。上記した感光材料に露光及び現像を行うと、ネガ型のハロゲン化銀乳剤を用いた場合、露光部のハロゲン化銀は化学現像銀に変換されて、ハロゲン化銀乳剤層に留まる。一方、未露光部のハロゲン化銀は、上記現像処理液中に添加されたハロゲン化銀溶剤によって溶解されて銀錯体となり支持体上の物理現像核層近傍まで移動・拡散し、そこで現像主薬により還元されることにより、金属銀(銀画像パターン)が析出する。その後、露光部位にある化学現像銀を含むハロゲン化銀乳剤層は、水洗除去により除去され、前記した金属銀が露出する。
銀画像パターンを導電性パターンとして使用する場合、析出する金属銀を多くすることで、導電性を向上させることができる。電磁波シールド材やタッチパネルなどの用途では、導電性材料の全光線透過率を低下させることは好ましくないので、銀画像パターンの線幅をできるだけ変えずに析出する金属銀を多くしたい。この場合、ハロゲン化銀乳剤層の塗布量を多くすることで析出する金属銀を多くできるが、ハロゲン化銀乳剤層の塗布量が多いと上記したように非画像部(露光部)に汚れが発生してしまうことがあった。
このような汚れは、ハロゲン化銀乳剤層の膜厚が比較的厚いために、所望の銀画像パターンを得るための適正な露光量では、感光せずに化学現像されなかったハロゲン化銀粒子が非画像部に残存するため、物理現像核層上に銀画像として析出するのではないかと考える。
本発明では、上記した問題を解決するにあたり、現像処理開始後からハロゲン化銀乳剤層の水洗除去を開始するまでの間に現像処理中の感光材料に非像様の露光を与える。現像処理開始とは感光材料のハロゲン化銀乳剤層に現像液が接触した時点であり、水洗除去を開始するまでの間とはハロゲン化銀乳剤層が現像液を含んだ状態で支持体上に存在しているまでの間を意味する。
本発明において、非画像部における未感光のハロゲン化銀粒子をなくするために、より好ましくは現像処理中の拡散転写現像による金属銀が物理現像核層上に十分に析出した時点で、非像様の露光を行うことで非画像部の未感光のハロゲン化銀粒子の化学現像を促進し、汚れを低減する。金属銀を物理現像核層上に十分に析出させるためには、5秒以上の現像処理が必要であり、好ましくは10秒以上である。すなわち現像処理開始後から、5秒以上経過してから非像様の露光を行うことが好ましく、10秒以上経過してから非像様の露光を行うことがより好ましく、20秒以上経過してから非像様の露光を行うことがさらに好ましい。
本発明において使用される感光材料及び本発明の銀画像パターンの製造方法について以下に詳しく説明する。
本発明において使用される感光材料は支持体上に物理現像核層とハロゲン化銀乳剤層をこの順で有する。さらには、非感光性層を支持体から最も遠い最外層及び/または、物理現像核層とハロゲン化銀乳剤層との間の中間層として、あるいは支持体と物理現像核層との間の下引き層として有していても良い。
物理現像核層が含有する物理現像核としては、重金属あるいはその硫化物からなる微粒子(粒子サイズは1〜数十nm程度)が用いられる。例えば、金、銀等のコロイド、パラジウム、亜鉛等の水溶性塩と硫化物を混合した金属硫化物等が挙げられる。これらの物理現像核を含有する微粒子層は、コーティング法または浸漬処理法によって、支持体上に、好ましくは下引き層を形成させた支持体上に設けることができる。生産効率の面からコーティング法が好ましく用いられる。物理現像核層における物理現像核の含有量は、固形分で1m2あたり0.1〜10mg程度が好ましい。
感光材料に用いる物理現像核層は、水溶性高分子化合物を含有すること好ましい。水溶性高分子化合物を用いる場合の添加量は、物理現像核に対して0〜500質量%程度が好ましい。水溶性高分子化合物としては、アラビアゴム、セルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリアクリルアミド、アクリルアミドとビニルイミダゾールの共重合体等を用いることができる。
感光材料の物理現像核層は架橋剤を含有することが好ましい。該架橋剤としては、例えばクロム明ばんの様な無機化合物、ホルムアルデヒド、グリオキザール、マレアルデヒド、グルタルアルデヒドのようなアルデヒド類、尿素やエチレン尿素等のN−メチロール化合物、ムコクロル酸、2,3−ジヒドロキシ−1,4−ジオキサンのようなアルデヒド等価体、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン塩や、2,4−ジヒドロキシ−6−クロロ−トリアジン塩のような活性ハロゲンを有する化合物、ジビニルスルホン、ジビニルケトンやN,N,N−トリアクリロイルヘキサヒドロトリアジン、活性な三員環であるエチレンイミノ基やエポキシ基を分子中に二個以上有する化合物類、高分子硬膜剤としてのジアルデヒド澱粉等の種々の化合物の一種もしくは二種以上を用いることができる。架橋剤の中でも、好ましくは、グリオキザール、グルタルアルデヒド、3−メチルグルタルアルデヒド、サクシンアルデヒド、アジポアルデヒド等のジアルデヒド類であり、より好ましい架橋剤は、グルタルアルデヒドである。架橋剤は、物理現像核層に含まれる水溶性高分子化合物に対して、0.1〜30質量%を物理現像核層に含有させるのが好ましく、特に1〜20質量%が好ましい。
物理現像核層の塗布には、例えばディップコーティング、スライドコーティング、カーテンコーティング、バーコーティング、エアーナイフコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、スプレーコーティング等の塗布方式で塗布することができる。
感光材料には光センサーとしてハロゲン化銀乳剤層が設けられる。ハロゲン化銀に関する銀塩写真フィルムや印画紙、印刷製版用フィルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等で用いられる技術はそのまま用いることもできる。本発明において用いられるハロゲン化銀乳剤はネガ型であることが好ましい。ネガ型のハロゲン化銀乳剤を用いると露光部のハロゲン化銀が化学現像銀に還元されて水洗除去され、一方未露光部のハロゲン化銀が物理現像核層上で還元され金属銀が析出する。
ハロゲン化銀乳剤層に用いられるハロゲン化銀乳剤粒子の形成には、順混合、逆混合、同時混合等の、Research Disclosure Item 17643(1978年12月)および18716(1979年11月)、308119(1989年12月)で記載されていような公知の手法を用いることができる。中でも同時混合法の1種で、粒子形成される液相中のpAgを一定に保ついわゆるコントロールドダブルジェット法を用いることが、粒径のそろったハロゲン化銀乳剤粒子が得られる点において好ましい。本発明の導電性材料前駆体においては、好ましいハロゲン化銀乳剤粒子の平均粒径は0.25μm以下、特に好ましくは0.05〜0.2μmである。本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤のハロゲン化物組成には好ましい範囲が存在し、塩化物を80モル%以上含有するのが好ましく、90モル%以上が塩化物であることが特に好ましい。
ハロゲン化銀乳剤の製造においては、必要に応じてハロゲン化銀粒子の形成あるいは物理熟成の過程において、亜硫酸塩、鉛塩、タリウム塩、あるいはロジウム塩もしくはその錯塩、イリジウム塩もしくはその錯塩などVIII族金属元素の塩、もしくはその錯塩を共存させても良い。また、種々の化学増感剤によって増感することができ、イオウ増感法、セレン増感法、貴金属増感法など当業界で一般的な方法を、単独、あるいは組み合わせて用いることができる。また本発明に用いる導電性材料前駆体においてハロゲン化銀乳剤は必要に応じて色素増感することもできる。
また、ハロゲン化銀乳剤層に含有するハロゲン化銀量とゼラチン量の比率は、ハロゲン化銀(銀換算)とゼラチンとの質量比(銀/ゼラチン)が1.2以上、より好ましくは1.5以上である。また、ハロゲン化銀乳剤層が含有するハロゲン化銀量は銀換算で4〜10g/m2であることが好ましく、より好ましくは6〜10g/m2である。
ハロゲン化銀乳剤層には、さらに種々の目的のために、公知の写真用添加剤を用いることができる。これらは、Research Disclosure Item 17643(1978年12月)および18716(1979年11月)、308119(1989年12月)に記載、あるいは引用された文献に記載されている。
感光材料にはハロゲン化銀乳剤層と物理現像核層の間やハロゲン化銀乳剤層の上の層に非感光性層を設けることができる。これらの非感光性層は、水溶性高分子化合物を主たるバインダーとする層である。ここでいう水溶性高分子化合物とは、現像液で容易に膨潤し、下層のハロゲン化銀乳剤層、物理現像核層まで現像液を容易に浸透させるものであれば任意のものが選択できる。
具体的には、ゼラチン、アルブミン、カゼイン、ポリビニルアルコール等を用いることができる。特に好ましい水溶性高分子化合物は、ゼラチン、アルブミン、カゼイン等のタンパク質である。本発明の効果を十分に得るためには、この非感光性層のバインダー量としては、ハロゲン化銀乳剤層の総バインダー量に対して20〜100質量%の範囲が好ましく、特に30〜80質量%が好ましい。
これら非感光性層には、必要に応じてResearch Disclosure Item 17643(1978年12月)および18716(1979年11月)、308119(1989年12月)に記載されているような公知の写真用添加剤を含有させることができる。また、処理後のハロゲン化銀乳剤層の剥離を妨げない限りにおいて、架橋剤により硬膜させることも可能である。
感光材料にはハロゲン化銀乳剤層の感光波長域に吸収極大を有する非増感性染料または顔料を、画質向上のためのハレーション、あるいはイラジエーション防止剤として用いることは好ましい。ハレーション防止剤としては、好ましくは上記した下引き層あるいは物理現像核層、あるいは物理現像核層とハロゲン化銀乳剤層の間に必要に応じて設けられる中間層、または支持体を挟んで設けられる裏塗り層に含有させることができる。イラジエーション防止剤としては、ハロゲン化銀乳剤層に含有させるのがよい。添加量は、目的の効果が得られるのであれば広範囲に変化しうるが、例えばハレーション防止剤として裏塗り層に含有させる場合、1m2あたり、約20mg〜約1gの範囲が望ましく、好ましくは、極大吸収波長における吸光度として、0.5以上である。
本発明の感光材料が有する支持体としては、光透過性支持体が好ましく用いられる。光透過性支持体の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ジアセテート樹脂、トリアセテート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスルフォン樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂等を素材とする樹脂フィルムが挙げられる。これら樹脂フィルムの厚さは、20〜300μmであることが好ましい。なお、光透過性支持体の全光線透過率は80%以上であることが好ましく、より好ましくは88%以上である。
上記感光材料を用いて、画像パターンを描画するための方法について説明する。
感光材料の露光について説明する。感光材料のハロゲン化銀乳剤層は像様に露光されるが、露光方法として、所望のパターンの透過原稿とハロゲン化銀乳剤層を密着して露光する方法、あるいは各種レーザー光を用いて所望のパターンを走査露光する方法等がある。レーザー光で露光する方法においては、例えば400〜430nmに発振波長を有する青色半導体レーザー(バイオレットレーザーダイオードともいう)を用いることができる。
感光材料の現像処理について説明する。上記のように像様に露光された感光材料のハロゲン化銀乳剤層は、銀塩拡散転写現像液で現像処理することにより物理現像が起こり、現像可能なだけの潜像核を有さないハロゲン化銀が可溶性銀錯塩形成剤により溶解されて銀錯塩となり、物理現像核上で還元されて金属銀が析出し、銀画像パターンを得ることができる。一方、露光により現像可能なだけの潜像核を有するハロゲン化銀はハロゲン化銀乳剤層中で化学現像されて黒化銀となる。現像処理後、不要になったハロゲン化銀乳剤層(黒化銀もこれに含まれる)及び中間層、保護層等は水洗除去されて、銀画像パターンが表面に露出する。
現像処理後のハロゲン化銀乳剤層等の物理現像核層の上に設けられた層の除去方法は、水洗除去が好ましい。水洗除去には、スクラビングローラ等を用いて温水シャワーを噴射しながら除去する方法や、温水をノズル等でジェット噴射しながら水の勢いで除去する非接触の除去方法がある。銀画像パターンの傷を防止するためには、非接触である水の勢いで除去する方法が好ましい。
本発明において、現像処理開始後からハロゲン化銀乳剤層の水洗除去を開始するまでの間に、感光材料に非像様の露光を与える(以下、後露光と称する)。露光波長は感光材料のハロゲン化銀乳剤層が感光する波長領域であれば良い。露光の光源としては、感光材料のハロゲン化銀乳剤層が感光する波長領域に少なくとも1部に発光波長を有するものであれば良い。一例としてハロゲン化銀固有の感光波長域である350〜450nmの領域の少なくとも1部に発光波長を有する、蛍光灯、ブラックライト、ハロゲンランプ、高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプなど、既存の光源を挙げることができる。光源は単体で使用しても良いし、複数で使用しても良い。照射時間に特に制限はなく、高照度短時間の露光でも、長時間低照度の露光であってもよい。後露光の強度は、未感光のハロゲン化銀粒子をほぼ全て化学現像させる程度の強度が好ましい。
非像様の露光は、前述したように現像処理中の銀塩拡散転写法により物理現像核上に金属銀が十分に析出した後に実施するのが好ましい。金属銀が十分に析出する前に非像様の露光を実施すると金属銀の析出量が少なくなり、例えば導電性材料に使用する場合は、所望の導電性が得られなくなる場合がある。また、現像処理の前に後露光を与えると銀画像パターンを得られなくなる場合がある。非像様の露光は、現像処理開始から5秒以上経過した後に実施することが好ましく、10秒以上経過した後で実施することがさらに好ましい。
また、ハロゲン化銀乳剤層の水洗除去が開始されてから後露光を与えると、未感光のハロゲン化銀粒子の化学現像が促進されないため、本発明の効果が得られない。後露光を実施するタイミングとしては、好ましくは水洗除去開始の5秒以上前である。なお本発明における非像様の露光とは、感光材料の導電性材料等として使用する部分全面に露光を施すことである。
次に上記した感光材料の現像処理に使用する、銀塩拡散転写現像の現像液について説明する。現像液は、可溶性銀錯塩形成剤及び還元剤を含有するアルカリ液である。可溶性銀錯塩形成剤は、ハロゲン化銀を溶解し可溶性の銀錯塩を形成させる化合物であり、還元剤はこの可溶性銀錯塩を還元して物理現像核上に金属銀を析出させるための化合物である。
現像液に用いられる可溶性銀錯塩形成剤としては、チオ硫酸ナトリウムやチオ硫酸アンモニウムのようなチオ硫酸塩、チオシアン酸ナトリウムやチオシアン酸アンモニウムのようなチオシアン酸塩、亜硫酸ナトリウムや亜硫酸水素カリウムのような亜硫酸塩、オキサゾリドン類、2−メルカプト安息香酸及びその誘導体、ウラシルのような環状イミド類、アルカノールアミン、ジアミン、特開平9−171257号公報に記載のメソイオン性化合物、米国特許第5,200,294号明細書に記載のようなチオエーテル類、5,5−ジアルキルヒダントイン類、アルキルスルホン類、他に、「The Theory of the photographic Process(4th edition,p474〜475)」、T.H.James著に記載されている化合物が挙げられる。
これらの可溶性銀錯塩形成剤は単独で、または複数組み合わせて使用することができる。
現像液に用いられる還元剤は、Research Disclosure Item 17643(1978年12月)および18716(1979年11月)、308119(1989年12月)に記載されているような写真現像の分野で公知の現像主薬を用いることができる。例えば、ハイドロキノン、カテコール、ピロガロール、メチルハイドロキノン、クロロハイドロキノン等のポリヒドロキシベンゼン類、アスコルビン酸及びその誘導体、1−フェニル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドン等の3−ピラゾリドン類、パラメチルアミノフェノール、パラアミノフェノール、パラヒドロキシフェニルグリシン、パラフェニレンジアミン等が挙げられる。これらの還元剤は単独で、または複数組み合わせて使用することができる。
可溶性銀錯塩形成剤の含有量は、現像液1Lあたり、0.001〜5モルが好ましく、より好ましくは0.005〜1モルの範囲である。還元剤の含有量は現像液1Lあたり0.01〜1モルが好ましく、より好ましくは0.05〜1モルの範囲である。
現像液のpHは10以上が好ましく、さらに11〜14が好ましい。所望のpHに調整するために、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ剤、リン酸、炭酸などの緩衝剤を単独、または組み合わせて含有させる。また、本発明の現像液には、亜硫酸ナトリウムや亜硫酸カリウム等の保恒剤を含むことが好ましい。
上記感光材料を拡散転写現像するための現像液の適用は、現像液を浸漬する方法や塗布する方法であってもよい。浸漬法は、例えば、タンクに大量に貯留された現像液中に、露光済みの導電性材料前駆体を浸漬するものであり、塗布法は、例えばハロゲン化銀乳剤層側に現像液を1平方メートルあたり40〜120ml程度塗布するものである。浸漬法の具体的な方法として、特開2006−190535号公報に開示されたような処理方法、処理装置を挙げることができるが、導電性材料の銀パターン面の非接触での処理を基本としているので銀パターンの断線が生じにくいため好ましい。現像液の適用温度は2〜30℃が好ましく、10〜25℃がさらに好ましい。現像液の適用時間は、20秒〜3分程度が適当である。この態様は、特に浸漬法式の場合に好適である。
本発明の銀画像パターンの製造方法において、銀画像パターンは、分子内に2つ以上のメルカプト基を有するトリアジンもしくはその誘導体にて処理を施しても良い。これにより銀画像細線パターンの断線を防止するといった効果が得られる。
本発明において、特開2008−34366号公報に記載されているような、銀パターンのX線回折法での2θ=38.2°のピークの半値幅が0.41以下とする後処理を実施しても良い。これにより銀画像パターンの導電性を向上するといった効果が得られる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、無論この記述により本発明が制限されるものではない。
(実施例1)
支持体として、塩化ビニリデンを含有する層により易接着加工が施された、全光線透過率が90%で厚みが100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた。物理現像核層を塗布する前に、このフィルムにゼラチンを500mg/m2含有する下引き層を塗布し乾燥した。
支持体として、塩化ビニリデンを含有する層により易接着加工が施された、全光線透過率が90%で厚みが100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた。物理現像核層を塗布する前に、このフィルムにゼラチンを500mg/m2含有する下引き層を塗布し乾燥した。
次に、硫化パラジウムゾル液を下記のようにして作製し、得られたゾルを用いて物理現像核液を作製した。
<硫化パラジウムゾルの調製>
A液 塩化パラジウム 5g
塩酸 40mL
蒸留水 1000mL
B液 硫化ソーダ 8.6g
蒸留水 1000mL
A液とB液を撹拌しながら混合し、30分後にイオン交換樹脂の充填されたカラムに通し硫化パラジウムゾルを得た。
A液 塩化パラジウム 5g
塩酸 40mL
蒸留水 1000mL
B液 硫化ソーダ 8.6g
蒸留水 1000mL
A液とB液を撹拌しながら混合し、30分後にイオン交換樹脂の充填されたカラムに通し硫化パラジウムゾルを得た。
<物理現像核液組成/1m2あたり>
前記硫化パラジウムゾル 0.4mg
2質量%グルタルアルデヒド溶液 0.08mL
10質量%SP−200水溶液 0.5g
(日本触媒(株)製ポリエチレンイミン;平均分子量10,000)
前記硫化パラジウムゾル 0.4mg
2質量%グルタルアルデヒド溶液 0.08mL
10質量%SP−200水溶液 0.5g
(日本触媒(株)製ポリエチレンイミン;平均分子量10,000)
この物理現像核液を硫化パラジウムが固形分で0.4mg/m2になるように、下引き層の上に塗布し、乾燥した。
続いて、上記物理現像核層を塗布した側と反対側の面に下記組成の裏塗り層を塗布した。
<裏塗り層組成/1m2あたり>
ゼラチン 2g
不定形シリカマット剤(平均粒径5μm) 20mg
染料1 200mg
界面活性剤(S−1) 400mg
<裏塗り層組成/1m2あたり>
ゼラチン 2g
不定形シリカマット剤(平均粒径5μm) 20mg
染料1 200mg
界面活性剤(S−1) 400mg
続いて、支持体に近い方から順に下記組成の中間層、ハロゲン化銀乳剤層、及び最外層を上記物理現像核層の上に塗布した。ハロゲン化銀乳剤は、写真用ハロゲン化銀乳剤の一般的なダブルジェット混合法で製造した。このハロゲン化銀乳剤は、塩化銀95モル%と臭化銀5モル%で、平均粒径が0.15μmになるように調製した。このようにして得られたハロゲン化銀乳剤を定法に従いチオ硫酸ナトリウムと塩化金酸を用い、金イオウ増感を施した。こうして得られたハロゲン化銀乳剤は銀1gあたり0.5gのゼラチンを含む。
<中間層組成/1m2あたり>
ゼラチン 0.5g
界面活性剤(S−1) 5mg
ゼラチン 0.5g
界面活性剤(S−1) 5mg
<ハロゲン化銀乳剤層組成/1m2あたり>
ゼラチン 2.0g
ハロゲン化銀乳剤 8.0g銀相当
1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール 4.0mg
界面活性剤(S−1) 20mg
ゼラチン 2.0g
ハロゲン化銀乳剤 8.0g銀相当
1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール 4.0mg
界面活性剤(S−1) 20mg
<最外層組成/1m2あたり>
ゼラチン 1g
不定形シリカマット剤(平均粒径3.5μm) 10mg
界面活性剤(S−1) 10mg
ゼラチン 1g
不定形シリカマット剤(平均粒径3.5μm) 10mg
界面活性剤(S−1) 10mg
このようにして得た感光材料を、水銀灯を光源とする密着プリンターで図1のパターンを有する透過原稿を密着させて露光した。図1のパターンにおいて、メッシュパターン部aは、線幅10μm、細線間隔300μmの単位図形が正方形のメッシュからなる。図1中bは非画像部である。露光量は銀画像パターンのメッシュ細線幅が透過原稿の細線幅と同じになる露光量で行った。
その後、露光した感光材料を以下の組成の拡散転写現像液(液温20℃)で満たされた現像槽(縦40cm、横30cm、深さ5cm)にて20秒間浸し、その後、現像槽から出して水平な台の上に置いて引き続き10秒間現像処理を実施した。その後、感光材料面から5cm離れた位置から(株)ハイベック製TBB30−30を用いて強度が3000μm/cm2(365nm)の光を5秒間照射し、その後40℃の温水シャワーを用いてハロゲン化銀乳剤層、中間層、最外層及び裏塗り層を非接触で水洗除去し、乾燥装置で乾燥処理して銀画像パターンを得た。得られた銀画像パターンの細線幅、ピッチを光学顕微鏡で確認したところ、露光用マスクの細線幅、ピッチを再現していた。
<拡散転写現像液組成>
水酸化カリウム 40g
ハイドロキノン 28g
1−フェニル−3−ピラゾリドン 3g
亜硫酸カリウム 125g
N−メチルエタノールアミン 24g
臭化カリウム 2g
全量を水で1000mLとする。
pH=12.2に調整する。
水酸化カリウム 40g
ハイドロキノン 28g
1−フェニル−3−ピラゾリドン 3g
亜硫酸カリウム 125g
N−メチルエタノールアミン 24g
臭化カリウム 2g
全量を水で1000mLとする。
pH=12.2に調整する。
上記のようにして得られた実施例1の銀画像パターンのシート抵抗をJIS−K7194に準拠し、(株)ダイアインスツルメンツ製ロレスターGP/ESPプローブを用いて測定した。この結果を表1に示す。
上記のようにして得られた実施例1の銀画像パターンの非画像部の汚れをライトテーブル上で目視にて確認した。評価は、汚れが確認できない場合を○、よく見ると僅かに汚れが確認できる場合を△、一目で汚れが確認できる場合を×とした。この結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1で実施した非像様の後露光を実施せず、その他は実施例1と同様に銀パターンを作製し、実施例1と同様に評価を実施した。この結果を表1に示す。
実施例1で実施した非像様の後露光を実施せず、その他は実施例1と同様に銀パターンを作製し、実施例1と同様に評価を実施した。この結果を表1に示す。
(実施例2)
拡散転写現像液での現像時間を10秒(現像槽内5秒、台上5秒)とした。その他は実施例1と同様に銀パターンを作製し、実施例1と同様に評価を実施した。この結果を表1に示す。
拡散転写現像液での現像時間を10秒(現像槽内5秒、台上5秒)とした。その他は実施例1と同様に銀パターンを作製し、実施例1と同様に評価を実施した。この結果を表1に示す。
(比較例2)
前記実施例1において、現像処理中には非像様の後露光を与えず、現像処理開始前に(株)ハイベック製TBB30−30を用いて実施例1と同様の後露光を与えた以外は、実施例1と同様に銀パターンを作製し、実施例1と同様に評価を実施した。この結果を表1に示す。
前記実施例1において、現像処理中には非像様の後露光を与えず、現像処理開始前に(株)ハイベック製TBB30−30を用いて実施例1と同様の後露光を与えた以外は、実施例1と同様に銀パターンを作製し、実施例1と同様に評価を実施した。この結果を表1に示す。
(比較例3)
前記実施例1において、現像処理中には非像様の後露光を与えず、水洗除去開始1秒後に実施例1と同様の後露光を10秒間与えた。その他は実施例1と同様に銀パターンを作製し、実施例1と同様に評価を実施した。この結果を表1に示す。
前記実施例1において、現像処理中には非像様の後露光を与えず、水洗除去開始1秒後に実施例1と同様の後露光を10秒間与えた。その他は実施例1と同様に銀パターンを作製し、実施例1と同様に評価を実施した。この結果を表1に示す。
以上の結果から明らかなように、本発明により、非画像部の汚れがない銀画像パターンの製造方法、および銀画像パターンを提供することができる。
本発明の銀画像パターンは、電気回路、電磁波シールド材、タッチパネル等の導電性材料用途や製版材料用途、加飾材料用途などに用いることができる。
a.メッシュパターン部
b.非画像部
b.非画像部
Claims (1)
- 支持体上に、物理現像核層とハロゲン化銀乳剤層をこの順に有する感光材料を露光後、現像処理することにより前記物理現像核層上に像様に金属銀を析出させ、次いで現像処理されたハロゲン化銀乳剤層を水洗除去することで前記金属銀を露出させる銀画像パターンの製造方法において、前記現像処理開始後から前記ハロゲン化銀乳剤層の水洗除去を開始するまでの間にハロゲン化銀乳剤層を非像様に露光することを特徴とする銀画像パターンの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012265982A JP2014112127A (ja) | 2012-12-05 | 2012-12-05 | 銀画像パターンの製造方法 |
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---|---|---|---|---|
JP2016050955A (ja) * | 2014-08-28 | 2016-04-11 | 三菱製紙株式会社 | 導電性パタン前駆体および導電性パタンの製造方法 |
CN110597422A (zh) * | 2019-09-02 | 2019-12-20 | 海宁钟江智能科技有限公司 | 铝金属网格电容触控薄膜及其制作方法 |
-
2012
- 2012-12-05 JP JP2012265982A patent/JP2014112127A/ja active Pending
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