JP4699767B2 - 恒温インプリント・エンボッシング・システム - Google Patents

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Description

本発明は、ディスク・ドライブの分野に関し、より詳細にはディスク・ドライブ・システムに使用されるディスクに関する。
ディスク・ドライブ・システムは、1つまたは複数の磁気記録ディスクと、ディスク上のほぼ円形のトラック内にデータを記憶するための制御機構とを含む。ディスクは、基板(例えばアルミニウム)と、その基板に積層された1つまたは複数の層とで構成されている。ディスク・ドライブ・システムの設計は、システム内で使用される磁気記録ディスクの記録密度を高める傾向にある。記録密度を高めるための1つの方法は、離散トラック記録(DTR)と称する離散トラックでディスクの表面をパターン化することである。インプリントする逆パターンを有する硬質のプリエンボス形成ツール(スタンパ、エンボッサ等としても知られる)をディスク基板の上に配置されたエンボス可能フィルム(すなわちポリマー)に押しつけて、押しつけられた領域に初期パターンを形成するナノ・インプリント・リソグラフィ(NIL)技術によってDTRパターンを形成することができる。この初期パターンは、究極的に凸部と凹部のパターンを形成する。エンボス可能フィルムにスタンピングを行った後で、押しつけられた領域の残留フィルムを除去することによって、エッチング処理を用いて、エンボス可能フィルムにパターンを転写する。インプリント・リソグラフィ処理の後で、他のエッチング処理を用いて、エンボス可能フィルムの下に存在する層(例えば基板、ニッケル−リン、軟質磁気層等)にパターンを形成することができる。
従来の1つのDTR構造は、磁気記録層の下に同心の凸部と凹部のパターンが形成されている。凸部(丘、ランド、隆起等としても知られている)は、データを記憶するのに使用され、凹部(トラフ、谷、溝等としても知られる)は、トラック間を隔離してノイズを低減させる。凸部は、動作中にヘッドの一部分が凹部の上に延びるように、記録ヘッドの幅より小さい幅を有する。凹部は、記録ヘッドの飛行高さと凸部に相当する深さを有する。凹部は、ヘッドによってデータが凹部の真下の磁気層に記憶されるのを阻止するために、ヘッドから十分に隔てられている。凸部は、磁気層内で凸部の真上でのデータの書込みを可能にするために、ヘッドに十分に近接している。したがって、データが記録媒体に書き込まれるときは、凸部がデータ・トラックに対応する。凹部は、凸部(例えばデータ・トラック)を互いに隔離し、物理的かつ磁気的に区画されたデータ・トラックを形成させる。
インプリント面がディスク基板と同心整列されていなければ、DTRディスクは実用可能でなくなる。ディスクの中心線から過度の偏りを有するインプリント・トラックは、ディスク・ドライブ・ヘッドに読み取られるときに正しく動作することができない。この要件は、データ・トラックがディスクの両側に生成されるとき特に重要である。したがって、ディスク基板の上のエンボス可能フィルムのインプリンティングは、エンボス可能フィルムに実際にインプリントする前に、ディスクの中心線をインプリント面の中心線と合わせる位置合せ工程を必要とする。
現行の位置合せ方法には、典型的には、高精密アクチェータまたはロボティクスを使用することが必要である。例えば、高精密アクチェータは、第一にディスク基板に対する中心線を定め、高分解能X−Y平行移動手順を通じてその中心線をインプリント面の中心線と合わせる。図1は、ディスクを把持するための湾曲部を含む従来のX−Y平行移動ステージを示す図である。湾曲部は、摩擦がなく、粒子を発生させず、保全の少ない動作を確保しながら、高精密を確保できるため、精密機械に広く使用されている。しかし、湾曲部をベースとしたシステムは、動作範囲が限定され、ディスクをスタンパのインプリント面の中心に合わせるのに十分であるとはいえない。平行移動ステージは、一貫性のないインプリント・パターンを生み出すおそれのある熱をディスクの表面から放散させる。さらに、そのような高精密アクチェータとロボティクスの使用は高価であり、維持コストが高く、精度と信頼性が不安定で、サイクル時間が遅く、機械的故障が発生する。高精密アクチェータとロボティクスは、嵩張る機械であり、大きな床スペースを必要とする。
添付の図面により、限定ではなく、例示を目的として本発明を説明する。
以下の説明では、本発明を十分に理解できるように、特定の材料または構成要素の例のような多くの特定の詳細が記載されている。しかし、本発明を実施するのに、これらの特定の詳細を使用する必要がないことを当業者なら理解するであろう。他の場合では、本発明を不必要に不明瞭にすることを避けるために、よく知られている構成要素または方法を詳述しなかった。
本明細書に用いられている「上」、「下」2、2「間」という用語は、1つの層または構成要素の他の層または構成要素に対する相対的な位置を意味する。したがって、他の層または構成要素の上または下に配置された層または構成要素は、他の層または構成要素と直に接していてもよいし、1つまたは複数の介在層または構成要素を有していてもよい。さらに、他の層または構成要素の隣または近傍に配置された1つの層または構成要素は、他の層または構成要素に直に接していてもよいし、1つまたは複数の介在層または構成要素を有していてもよい。
本明細書に記載されている装置と方法は、様々なタイプの基板(例えばディスク基板2、2ウェハ基板)に用いることができることに留意されたい。一実施形態において、本明細書に記載されている装置と方法を、磁気記録ディスクを製造するためのエンボス可能材料のインプリンティングに用いることができる。例えば、磁気記録ディスクは、例えばニッケル−リン(NiP)メッキ基板を下部構造として有するDTR縦形磁気記録ディスクであってもよい。あるいは、磁気記録ディスクは、下部構造としては基板の上に配置された軟質磁気フィルムを有するDTR垂直磁気記録ディスクであってもよい。代替実施形態において、本明細書に記載されている装置と方法を、他のタイプのデジタル記録ディスク、例えばコンパクト・ディスク(CD)やデジタル多用途ディスク(DVD)の如き光記録ディスクを製造するためのエンボス可能材料のインプリンティングに用いることができる。さらに他の実施形態において、本明細書に記載されている装置と方法を他の用途、例えば半導体ウェハやディスプレイ・パネル(例えば液晶ディスプレイ・パネル)等の製造に用いることができる。
基板の上に配置されたエンボス可能フィルムをインプリントするための装置と方法について説明する。例示のみを目的として、インプリント・エンボッシング・システムの実施形態をディスク基板について説明する。しかし、インプリント・エンボッシング・システムの実施形態は、上述した異なるタイプの基板を製造するために、形状、サイズが異なる基板(例えば正方形、長方形)に容易に適用できることを当業者なら理解するであろう。ナノ・インプリント・リソグラフィ技術によってエンボス可能フィルムをインプリントするのに、本明細書に記載されているインプリンティング・システムの実施形態を用いることができる。あるいは、ミクロ・インプリント・リソグラフィの如き他のスケールのインプリント・リソグラフィ技術を用いることもできる。図2は、インプリントまたはダイ組立体210と、ヒータ組立体230と、加熱トンネル240と、ディスク基板冷却ステーション250と、台201に取りつけられたディスク・カセット260とを含むインプリンティング・システム200の一実施形態を示す図である。組立体200は、台201の隣に配置されたディスク基板搬送装置220をも含む。一実施形態における搬送装置220は、台201の上に延びるロボット・アームに結合された真空チャックである。インプリント組立体210は、上部ダイ組立体212と、ディスク基板の上に配置されたエンボス可能フィルムに押し込まれて、エンボス可能フィルムにパターンを転写する1つまたは複数のエンボッシング箔(スタンパとしても知られる)を含むことができる下部ダイ組立体214とを含む。加熱素子232を有するヒータ230を使用して、ディスク基板上のエンボス可能フィルムを所望のエンボス温度まで予備加熱することができる。加熱素子232は、加熱トンネル240を形成する上部と下部242、244の長さ方向に沿って伸びていている。一実施形態において、ヒータ230と加熱素子232は別々の熱源を有することができる。代替実施形態において、ヒータ230と加熱素子232は同じ熱源を共有することができる。一実施形態において、加熱素子232は、誘導加熱を利用して、エンボス可能フィルムの温度を維持する加熱コイルであってもよい。代替実施形態において、加熱素子232は、他のタイプの素子、例えば赤外線(IR)熱源であってもよい。一実施形態において、熱トンネルは、ヒータ230からダイ組立体210へのディスク基板の搬送時に所望のエンボス温度を維持するために、ヒータ230とダイ組立体を接続する。
ディスク基板上のエンボス可能フィルムにインプリントするための1つの方法において、搬送装置220は、真空チャック224を使用して、ディスク基板をカセット260から取り出す。ディスク基板を扱うための真空チャックは、当技術分野で知られているため、ここではその詳細についての説明を省略する。代替実施形態において、当技術分野で知られている他の取出装置と配置装置を使用して、カセット260からディスク基板を取り出すことができる。ディスク基板を予備加熱して、ディスク基板上のエンボス可能フィルムの温度を最適なエンボス温度まで上昇させることができる。そのために、一実施形態においては、真空チャック224がヒータ230内にディスク基板を配置する。一実施形態において、ディスク基板上のエンボス可能フィルムを約20から350℃の範囲の温度まで加熱することができる。ディスク基板上のエンボス可能フィルムを所望のエンボス温度まで加熱した後に、真空チャック224はディスク基板を、加熱トンネル240を通じてダイ組立体210の方へ移動させる。次いで、ディスク基板を上部および/または下部エンボッシング箔の中心に合わせ、次いでディスク基板のエンボス可能フィルムに押しつけて、エンボス・パターン(例えばDTRパターン)を形成する。エンボス可能フィルムにインプリントした後に、真空チャック224は、ディスク基板を冷却トレイ250に搬送してからカセット260に戻す。
加熱トンネル240を使用すると、ディスク基板の加熱エンボス可能フィルムの熱放散が最小限に抑えられる。熱放散は、エンボス可能フィルムにおける不適合と、後続のエンボス・パターンにおける不適合に通じるおそれがある。上述したように、加熱トンネル240は、ディスク基板がダイ組立体に配置されるまで、適切な加熱エンボス可能フィルムのエンボス温度を維持する。ダイ組立体210におけるエンボッシング箔を加熱することもできるが、エンボス可能フィルムを加熱したほうが、インプリントをより迅速で効率的に行うことができる。さらに、ヒ−タ組立体280をダイ組立体210の比較的近くに配置することによって、エンボス可能フィルムの熱変形が最小限に抑えられる。
図3は、図2に関して既に示した加熱トンネルを含まないダイ組立体310の近くに配置されたヒータ330を有するインプリンティング・システム300の他の実施形態を示す図である。ヒータ330をダイ組立体310に近接させると、加熱トンネルが、所望のエンボス温度に十分に近くなっているエンボス可能フィルム/ディスク基板の温度を維持する必要がなくなる。搬送装置320のロボット・アーム322に結合された真空チャック324は、ディスク基板をインプリンティング・システム300の付近に移動させる。例えば一実施形態において、ディスク基板をカセット360からヒータ330に搬送して、所望のエンボス温度より低い温度、実質的に同じ温度、または高い温度に予備加熱することができる。予備加熱したエンボス可能フィルム/ディスク基板は、ダイ組立体310に近接して(例えば下部ダイ組立体314のネスト領域)に配置される。あるいは、エンボス可能フィルム/ディスク基板をエンボス温度より低い(例えば近い)温度に予備加熱し、次いでそれをダイ組立体310の近くに配置している最中またはその後にエンボス温度に加熱することもできる。あるいは、エンボス可能フィルム/ディスク基板をダイ組立体の温度/エンボス温度に予備加熱し、それをダイ組立体310の近くに配置した後にインプリントすることもできる。ダイ組立体310は、カセット360から搬送されるディスク基板の上に配置されたエンボス可能フィルムにインプリントするための1つまたは複数のエンボッシング箔を含むことができる。次いで、エンボッシング箔をエンボス温度でエンボス可能フィルムに押し込む。次いで、インプリンティング後にエンボッシング箔をエンボス可能フィルムから分離する。次いで、ディスク基板をダイ組立体310に搬送して、エンボスした後に冷却ステーション350に一定時間置くことができる。
図3のヒータ330は、いくつかの内部構成要素を示すために部分的に透視図で示されている。熱源として機能する加熱ランプ334が、ヒータ330の上部付近に配置されている。ディスク基板を受け取るための排出トレイ332が、加熱ランプ334の下に配置されている。排出トレイ332は、ヒータ330からスライドして、真空チャック324からディスク基板を受け取り、再びスライドして加熱ランプ334の下に戻る。トレイ332は、一実施形態において、エンボス可能フィルムを加熱しながら、ディスク基板を回転させる回転機構を有することもできる。冷却ステーション350は、ダイ組立体310においてディスク基板がインプリントされた後に置かれる受取トレイ352を含む。
図4は、インプリントまたはダイ組立体410と、送込み/送出し組立体420の形のディスク基板搬送装置と、目視検査組立体470と、台401に取りつけられたヒータ組立体480とを含むインプリンティング・システム400の代替実施形態を示す図である。組立体400は、台401の隣に配置されたロボット・アーム組立体440をも含む。インプリント組立体410は、上部ダイ組立体402と下部ダイ組立体404とを含む。上部と下部ダイ組立体はプレス底板406の上に配置される。引張棒408、409は、上部ダイ組立体402と下部ダイ組立体404を結合させ、台401を貫通する。インプリント組立体410は、調節可能なダイ・ホルダ(不図示)に結合されたエンボッシング・ダイ箔をも含む。ダイ・ホルダは、高精密の回転要素ブッシング・ダイ・セットに固定される。ダイ・セットは、(図示されていないが、台401の下に配置されている)大径で低圧の強力密封ブラダを収容する頑丈な枠によって制御される。ブラダにガス(例えば空気)圧を加えると、膨張してスラスト板を押し、引張棒408、409をオーバヘッド・ヨークすなわちクロスビーム419とともに引き下げる。クロスビーム419は、ダイ・セットの上板を下方に移動させて、ダイを押しつける。一実施形態において、送込み/送出し組立体420は、ディスク基板をロボット・アーム組立体440から受け取り、ディスク基板をヒータ480からダイ組立体410に滑り込ませるトレイ部430を有するサーボ・スライドであってもよい。
ディスク基板の上に配置されたエンボス可能フィルムにインプリントするための1つの方法において、ロボット・アーム組立体440は、カセット460からディスク基板を搬送し、それを送込み/送出し組立体420のディスク・ホルダ板430に配置する。ロボット・アーム組立体440は、上部アーム444の一端に結合されて、台401のまわりの全回転運動を可能にするリンク・アーム442を含む。組立体400は、ディスク基板のハンドリングに熱性を付与する能力を有する。ディスク基板の上に配置されたエンボス可能フィルムを予備加熱して、ディスク基板上のエンボス可能フィルムの温度を最適なエンボス温度まで上昇させることができる。ディスク・ホルダ板430をヒータ組立体480内に配置して、エンボス可能フィルムを最適なエンボス温度に加熱することができる。一実施形態において、ディスク基板上に配置されたエンボス可能フィルムを約20から350℃の範囲の温度に加熱することができる。
エンボス可能フィルムを加熱した後に、ディスク送込み/送出し組立体420は、ダイ組立体410の上部ダイ402と下部ダイ404の間でディスク基板を連続的に移動させる。次いで、エンボス可能フィルムに押し込まれてエンボス・パターン(例えばDTRパターン)を形成する上部と下部エンボッシング箔の中心にディスク基板を合わせる。エンボス可能フィルムにエンボスした後に、送込み/送出し組立体420は、目視検査組立体470による検査に向けてディスク基板をヒータ組立体480に引き込むことができる。
一実施形態において、エンボス・パターンがディスク基板の中心に位置することを確認するために検査工程を用いることができる。目視検査組立体470は、インプリントされたエンボス可能フィルム上の目標トラックの特徴形状を検査して、その特徴形状が中心穴と同心であるかどうかを判断する。この検査手順をリアルタイムで、またはサンプリングによって実施することができる。ヒータ組立体480を使用すると、ディスク基板の上に配置されたエンボス可能フィルムをエンボス温度に予備加熱するという利点がえられる。ダイ組立体410内のエンボッシング箔を加熱することもできるが、エンボス可能フィルム/ディスク基板を加熱したほうが、インプリントをより迅速で効率的に行うことができる。さらに、ヒ−タ組立体480をダイ組立体410の比較的近くに配置することによって、ディスク基板の熱変形が最小限に抑えられる。
図4Aは、組立体400のダイ組立体410、目視検査組立体470とヒータ組立体480の拡大図を示す図である。一実施形態において、ヒータ組立体480は、ダイ組立体410の高さで、かつ上部ダイ402と下部ダイ404の間にヒータ箱部481を位置づけるスタンド486を含む。箱部481は、ディスク・ホルダ・トレイ430を受け取るための開口部484と、目視検査組立体470の顕微鏡472に対する見通し線を与えるための上面付近の開口部482を含む。一実施形態において、開口部482を透明ガラスで覆うことができる。ブラケット474は、顕微鏡472を箱部481の上に配置することを可能にする。
図5A、5Bは、ディスク基板の上に配置されたエンボス可能フィルムにインプリントするための実施形態の組立体全体を示す図である。組立体500は、インプリント組立体510と、送込み/送出し組立体520と、ロボット・アーム組立体540と、目視検査組立体570とを含む。インプリント組立体510と送込み/送出し組立体520および目視検査組立体570は台501に取りつけられている。ロボット・アーム組立体540は台501の隣に配置されている。ディスク基板上に配置されたエンボス可能フィルムにインプリントするための1つの方法において、ロボット・アーム組立体540は、インプリントするディスク基板をカセット560から取り出し、それを送込み/送出し組立体520に搬送する。ロボット・アーム組立体540は、上部アーム544の一端に結合されたリンク・アーム542と、上部アーム544の他端に結合されたエンド・エフェクタ546とを含む。ディスク基板をそれぞれの側で保持することが可能なパーム拡張部548がエンド・エフェクタ546に結合されている。送込み/送出し組立体520は、精密X−Yサーボ・スライド(すなわち第1のスライダ522と第2のスライダ524)に取りつけられる一対の片持湾曲部526、528で支持されているディスク・ホルダ板530を含む。収縮位置では、送込み/送出し組立体520は、ディスク基板を受け取り、ディスク・ホルダ板530にその位置をしっかりと維持する。一実施形態では、ディスク基板は、互いに接続され、一連の湾曲継手によって支持される放射状に配置された3本の指によってその縁が留められている(それについては以下により詳細に説明する)。単一のスラスト・アクチェータは、ディスク基板をまったく同じ位置に繰り返し取り込む。片持湾曲部526、528は、ディスク・ホルダ板530をインプリント組立体510内で上下させることを可能にする。ディスク・ホルダ板530をインプリント組立体510の内外に搬送するのに加えて、送込み/送出し組立体520に、ディスク基板をインプリンティング箔ダイの中心に厳密に配置させることができる。この位置情報は、目視検査組立体570から検査フィードバックにより得ることができる。
インプリント組立体510は、上部ダイ組立体502と、下部ダイ組立体504とを含む。上部と下部ダイ組立体はプレス底板506の上に配置されている。引張棒508と509は、上部ダイ組立体502と下部ダイ組立体504を結合し、台501を貫通する。インプリント組立体510は、調節可能ダイ・ホルダ(不図示)に結合されたエンボッシング・ダイ箔をも含む。ダイ・ホルダは、高精密回転要素ブッシング・ダイ・セットに固定される。ダイ・セットは、(図示されていないが、台501の下に配置されている)大径で低圧の強力密封ブラダを収容する頑丈な枠によって制御される。ブラダにガス圧を加えると、膨張してスラスト板を押し、引張棒508と509をオーバヘッド・ヨークすなわちクロスビーム519とともに引き下げる。クロスビーム519は、ダイ・セットの上板を下方に移動させて、ダイを圧縮する。次いで、ディスク基板を目視検査組立体570によって検査して、位置合せが適正であるかどうかを調べることができる。目視検査組立体570は、エンボス可能フィルム上の目標トラック特徴形状を検査して、トラックの特徴形状がディスク基板の中心穴と同心であるかどうかを判断する。コンピュータ/コントローラは、サーボ・スライドの最終位置を、ディスク基板を配置したときのインプリンティング・ダイまたは箔の真中心に対応づけることができる。この検査手順をリアルタイムで、またはサンプリングによって実施することができる。
送込み/送出し組立体520は、第1のスライダ522と、第1のスライダ522の上に垂直に配置された第2のスライダ524と、第2のスライダ524から伸びる湾曲支持体526、528と、湾曲支持体526、528の付近と一端に配置されたホルダ板530とを含む。一実施形態において、第1と第2のスライダ522、524は、X−Yサーボ・スライド機構を形成する。ホルダ板530は、ディスク基板(例えばディスク基板550と551)を受け取るように構成されている。一実施形態において、パーム拡張部548は、ディスク基板を同時に保持することができる。目視検査ユニット570をインプリント組立体510と送込み/送出し組立体520の間に配置することができる。ブラケット574が台521に取りつけられ、顕微鏡572がブラケット574の上部に結合される。
図5Aは、ディスク基板551をホルダ板530に配置するパーム拡張部548の一端を示す図である。図5Bは、インプリント組立体510の上部ダイ組立体502と下部ダイ組立体504の間に配置されたホルダ板530を示す図である。第2のスライダ524は、第1のスライダ522上のレールに沿ってスライドして、ホルダ板530をインプリント組立体510の方へ進める。パーム拡張部548はカセット560に戻って、さらなるディスク基板を取り込む。あるいは、インプリント組立体510によってディスク基板にインプリントした後に、ロボット・アーム540を使用して、ディスク基板を取り込むこともできる。目視検査組立体570を使用して、ディスク基板上のインプリンティング箔の適正な位置合せについてチェックすることができる。ディスク基板に対する適正な位置合せは、送込み/送出し組立体520のX−Yサーボ機構によって達成することができる。一実施形態において、目視検査組立体は、ディスク基板の中心に対する適正な位置合せについてチェックするエンボッシング手順の後に、ディスク基板を検査する。ディスク基板は、インプリント組立体から引き出され、顕微鏡または光学デバイス(例えばカメラ)の真下の知られている基準点に配置される。次いで、ディスク上に印刷されたパターンを調べる。インプリント・パターンがずれていることが確認された場合は、X−Yサーボ・スライドを介してホルダ板を適正な位置に移動させる指示を送込み/送出し組立体に送ることができる。これによって、以降のディスク基板をエンボッシング箔で適正に位置合せすることが可能になる。
図6は、ダイ組立体600の一実施形態を示す図である。一実施形態において、ダイ組立体600は、図2、3、4に関して上述したダイ組立体と同じであってもよい。インプリント組立体600の上部は、上部クロスビーム620と、上部組立体602と、下部ダイ組立体604と、プレス底板606とを含む。上部ダイ組立体602と下部ダイ組立体604は、支柱610、611、612、613によって結合されている。各支柱の基礎部は、ブッシング(例えばブッシング614、615、616、617)を有する。上部ダイ組立体602は、上部インプリンティング箔650を装着するための上部ホルダ640をも含む。下部ダイ組立体604は、下部インプリンティング箔(不図示)を装着するための下部ホルダ642を含む。下部ホルダ642は、下部ホルダ・ベース646、フロータ板647と底板648の上に配置されている。上部と下部ダイ組立体602、604は、プレス底板606の上に配置されている。
インプリント組立体600の下部は、第1の下部底板607と第2の下部底板667との間に配置されたガス・アクチェータ660を含む。第2の下部底板667の下に下部クロスビーム622が配置されている。スプリング・ロッド631、632、633、634は、第1の下部底板607と第2の下部底板667が、ガス・アクチェータ660を押圧させる。一実施形態において、ガス・アクチェータ660は膨張し、第2の下部底板667は、スプリング661、662、663、664により、下方に移動して、第1の下部底板607から離れる。この膨張により、上部クロスビーム620が降下し、上部ホルダ640と下部ホルダ642を密着させる。プレス底板606と第1の下部底板607との間の間隙は、図2に示されるように、入力組立体600の上部と下部が例えば台に取りつけられる場合に生じることになる。
図7は、インプリント組立体600の上部の拡大図の一実施形態を示す図である。上部ダイ組立体602の上部支持体603は、下部ダイ組立体604の下部支持体605とサイズと形状が実質的に類似している。支柱610、612、613は、長方形の上部と下部支持体の角の付近に配置されている。各々の支柱は、各々のブッシング(例えばブッシング614、615、616、617)の内径よりわずかに小さい外径を有する円筒形を有することで、上部ダイ組立体602が、下部ダイ組立体604に向かって下方に移動することを可能にする。上部ホルダ640は、上部支持体603の中央部付近に結合されている。上述したように、下部ホルダ642は、ベース646、フロート板647と底板648の上に配置されている。いくつかの圧力ノズル(例えば圧力ノズル670と671)が、フロート板647を底板648に固定する。各々の圧力ノズルに装着されたねじは、底板648に対してフロー板647を調節して、下部ホルダ642と上部ホルダ640の位置を正しく合わせることを可能にする。これは、下部エンボッシング箔651と上部インプリンティング箔(不図示)の位置を合わせるための調節を行うときに必要になることがある。それにより、インプリント組立体600は、4つの支柱を上部と下部支持体の角の付近に装着した状態で、上部ダイ組立体602が下部ダイ組立体604の方へ移動することを可能にする。下部ホルダ642を横方向に移動または調節して、それ自体と上部ホルダ640の位置を正しく合わせることができる。
図7Aと7Bは、上部ダイ組立体602と下部ダイ組立体604の一実施形態の断面図を示す図である。下部エンボッシング箔651は、下部ダイ組立体604のプレス・パッド680の上に配置されている。一実施形態において、プレス・パッド680は、エンボッシング箔651をディスク基板650のエンボス可能フィルムに均一にプレスさせる1つまたは複数の弾性層681、682を含むことができる。中心棒684が、下部ダイ組立体604の中央部を貫通し、スプリング685に結合されている。中心棒684は、先細りのマンドレルで、プレス・パッド680とエンボッシング箔651の上に露出された先端部686を有する。先端部686は先が細くなって、底部箔651とディスク基板650の内径(ID)内に嵌る。線形ボール・ブッシング688が中心棒684の長形部を囲み、外側スリーブ690が線形ボール・ブッシング618を囲む。外側スリーブ690と中心棒684の先細り部686との間に環状部692が配置されている。環状部692は、また、エンボッシング箔651のIDに接触している。下部箔614の内径の部分は下方に伸び、下部マンドレル612と外側スリーブ620の間に配置されている。
一実施形態において、線形ボール・ブッシング688は、中心棒684と外側スリーブ690の間に厳密な位置合せを維持して、エンボッシング箔651の中心を中心棒684の中心線に合わせる。ボール・ブッシング688は、外側スリーブ620と比較して熱膨張係数が大きい。そのように、下部ダイ組立体604の温度が上昇すると、ボール・ブッシング688が急速に膨張して、外側スリーブ690との安定した接触を維持し、下部箔651と外側スリーブ690の内径とのセンタリング位置合せを維持する。これによって、下部箔651とディスク基板650の間に同心性を確立し、維持することが可能になる。ボール・ブッシング688は、また、インプリンティング後にディスク基板650が剥がされるときに下部箔651を所定位置に保持する結合圧縮力を通じて下部箔651の内径との接触を維持する。図7Bに示されるように、スプリング685は、外側スリーブ690を持ち上げ、それが次に下部箔651の部分を内径付近まで持ち上げる。実際、外側スリーブ690を持ち上げると、下部箔651にドームのような形が形成されて、ディスク基板650が、下部箔651の表面からきれいに剥がれる。
図8は、スライド部のない送込み/送出し組立体700の形のディスク搬送装置の拡大図を示す図である。ホルダ板704がフレーム702に配置されている。ディスク基板750がホルダ板704に固定され、中央指706、第1の側方指708、第2の側方指710が、ディスク基板750のまわりに放射状に配置されている。一実施形態において、それらの指を互いに接続し、一連の湾曲継手で支持することができる。また、一対の片持湾曲部712、714と、支持フレーム702が底板726に結合されている。湾曲部712、714は、ホルダ板704が、インプリント組立体(例えば図4、4A、5A、5Bに関して説明したインプリント組立体410、510)内に配置されたときに、上下に移動することができる。ホルダ板704を固定支持体716と718によって支持することもできる。これらの支持体は硬質で、剛性を有し、フレーム702の重量を支える。上部リフト720と722は、固定支持体716、718を底板726に結合する。フレーム702の片側は、中央指706、第1の側方指708、第2の側方指710の湾曲継手を回転させるためのスラスト・アクチェータを受け取るための開口部を有するブラケットを含む。以下により詳細に説明するように、スラスト・アクチェータは、ディスク基板をまったく同じ位置に繰り返し取り込むことができる。
図9Aから図9Cは、図9Aに示される装填位置、図9Bに示されるインプリンティング位置と、図9Cに示される検査位置を含む様々なスライド位置の送込み/送出し組立体700を示す図である。図4、4A、5Aと5Bに関して上述した組立体と同様に、ホルダ板704がフレーム702に配置されている。一対の片持湾曲部712、714がホルダ板704を支持する。底板726は、第1のスライダ740と第2のスライダ730を含むX−Yサーボ・スライド上に装着される。レール732、734は、ホルダ板704がY軸に沿って移動することを可能にし、レール742、744は、ホルダ板704がX軸に沿って移動することを可能にする。一実施形態において、第1と第2のスライダ730、740は、高精密X−Yサーボ・スライドの一部である。図9Aに示される装填位置では、第2のスライダ730が、ホルダ板704を引き込むように第1のスライダ740の一端付近に配置される。この位置は、ロボット・アーム組立体が、ディスク基板をホルダ板704に配置することを可能にする、図5Bに示される送込み/送出し組立体520の位置と類似している。図9Bに示される装填位置では、第2のスライダ730が、ホルダ板704をインプリント組立体に送り込むように第1のスライダ740の他端付近に配置される。この位置は、上部ダイ組立体と下部ダイ組立体の間にプレスされたホルダ板を示す図5Aに示される送込み/送出し組立体520の位置と類似している。図9Cの検査位置では、第2のスライダ730が、目視検査組立体の顕微鏡(例えば図5Aに示される目視検査組立体570の顕微鏡572)の真下に配置されるように、X軸に沿ってわずかに引き込まれる。検査の結果に基づいて、底板726を第2のスライダ730のレール732、734(すなわちY軸)に沿って移動させて、インプリンティング組立体のエンボッシング箔に対してディスク基板の中心を合わせることができる。
図10は、支持板上に留められたディスク基板を示す一実施形態における送込み/送出し組立体800の部分の拡大図を示す図である。ホルダ板804がフレーム802に配置されている。湾曲部812、814と固定支持体816、818がフレーム802に結合されている。中央指806、第1の側方指808、第2の側方指810が、ホルダ板804内に埋め込まれている。各指は、ディスク基板850に接触し、それを留める伸長部830、832、834を有する。一実施形態において、指は互いに接続され、湾曲継手840、842によって支持されている。そのように、単一のスラスト・アクチェータにより、すべての伸長部(例えば伸長部830、832と834)が、同時に、かつまったく同じ位置にディスク基板850を繰り返し留める。スラスト・アクチェータはブラケット822に進入し、まず中央指806に力を加える。これにより、次に、第1の指808と第2の指810に力が加えられる。単一のスラスト・アクチェータは、その都度まったく同じ位置にディスクを取り込むことを可能にするという利点を提供する。
図11は、板ホルダ内に埋め込むことができるクランピングすなわちグリッピング構造体900の代替実施形態を示す図である。グリッパ900はスラスト・アクチェータを必要とせず、指906、908、910を接続する一連の継手920、922、944を含む外側リングを有する。各々の指は、ディスク基板の外径に接触するように構成された伸長部912、914、916を有する。各々の継手は可撓性であり、それらの指が、外方向に膨張し、または回転して、ディスクを受け取り、次いで収縮して、ディスクに接触することを可能にする。図12は、ホルダ板904内に埋め込まれ、ディスク基板950を留めるグリッパ900の一実施形態を示す図である。継手920、922、944は、ディスク基板950を受け取るために外方向に膨張している。指906、908、910の伸長部912、914、916は、ディスク基板950の外径952に接している。
図13A、13B、13Cは、基板の上に配置されたエンボス可能フィルムにインプリントする方法の実施形態を示す図である。工程1005において、基板(例えばディスク基板)の上に配置されたエンボス可能フィルムを例えばエンボス温度に予備加熱する。基板を受け入れるように設計されたオーブン(例えばオーブン330)でエンボス可能基板を予備加熱することができる。一実施形態では、次いで工程1010において、加熱トンネル(例えば加熱トンネル240)を通じて基板をダイ組立体に搬送する。基板をダイ組立体に配置すると、工程1015において、ダイ組立体内に配置されたエンボッシング箔(例えばエンボッシング箔651)に対して基板の中心または位置を合わせた後、工程1020においてインプリントを行う。次いで工程1025において、基板のエンボス可能フィルム上のインプリント・パターンを検査し、次いで工程1030において冷却することができる。
図13Bに示される代替実施形態では、工程1040において、真空チャック(例えば真空チャック224)の如き取出装置と配置装置でカセット・トレイ(例えばカセット・トレイ260)の如き保持源から基板(例えばディスク基板)を取り出すことができる。工程1045において、真空チャックは、エンボス可能フィルムの温度をエンボス温度まで上昇させるために、基板をプリヒータ(例えばプリヒータ230)に搬送する。次いで工程1050において、基板をヒータから取り出し、ダイ組立体(例えばダイ組立体210)に搬送し、工程1055において、ダイ組立体内に配置されたエンボッシング箔に対してその中心を合わせる。工程1060において、基板のエンボス可能フィルムにエンボッシング箔上のパターンをインプリントし、工程1065において冷却する。
図13Cに示される代替実施形態では、工程1070において、インプリンティング・システムの一部であるサーボ・スライド・トレイ(例えばサーボ・スライド・トレイ430)に基板(例えばディスク基板)を配置する。工程1075において、サーボ・スライドを使用して、ヒータ(例えばヒータ480)に基板を配置し、エンボス可能フィルムの温度をエンボス温度まで上昇させる。次いで工程1080において、基板をヒータから取り出し、インプリント用のダイ組立体(例えばダイ組立体410)に挿入し、工程1085において、エンボッシング箔に対してその中心を合わせる。次いで工程1090において、基板のエンボス可能フィルムにエンボス・パターンをインプリントした後、工程1095において、そのインプリント・パターンの検査を行う。次いで工程1099で基板を冷却することができる。
先述したように、上記の装置と方法を、ディスクの下部構造体の上に配置されたエンボス可能フィルムをインプリントするのに用いることができる。図14Aを参照すると、ディスクの下部構造体1110は、基板1115とメッキNiP層1120とで構成されていてもよい。基板1115は、例えばガラスまたは金属/金属合金材料などで製造できる。使用できるガラス基板としては、例えば、ホウケイ酸ガラスとアルミノケイ酸ガラスの如きシリカ含有ガラスが挙げられる。使用できる金属合金基板としては、例えば、アルミニウム−マグネシウム(AlMg)基板が挙げられる。代替実施形態において、ポリマーとセラミックスを含む他の基板材料を使用することができる。
NIP層1120は、電気メッキ、無電解メッキ、または当技術分野で知られている他の方法で形成できる。ディスク基板1115をNiPの如き硬質または金属材料でメッキすることにより、続く研磨および/またはインプリンティング処理に対する機械的サポートがディスク基板115に提供される。NiP層1120を研磨、平坦化かつ/またはテクスチャリングすることができる。例えば均一エッチング、または当技術分野で知られている他の研磨技術によってNiP層1120を研磨することができる。固定または自由研磨粒子(例えばダイアモンド)を使用する機械的テクスチャリングの如き様々な方法によって、NiP層1120をパターンでテクスチャリングすることもできる。あるいは、レーザ・テクスチャリングの如き他のタイプのテクスチャリング法を用いることもできる。しかし、ディスク基板1115が、ガラスの如き十分に硬質または堅い材料で構成されている場合は、ディスク基板1115にメッキを行う必要はない。よって、上記の方法を用いて、基板1115そのものを研磨、平坦化および/またはテクスチャリングすることができる。
代替実施形態において、下部構造体1110は、他の層、例えば軟質磁気フィルムが配置された基板1115で構成されていてもよい。層1120は、軟質磁気フィルム、またはNiP層の上に配置された軟質磁気フィルムであってもよい。軟質磁気フィルムを使用して、垂直磁気記録に伴う適切な磁気特性を達成することができる。軟質磁気フィルムは、鉄−コバルト−ニッケル(FeCoNi)材料の層であってもよい。軟質磁気フィルムに使用できる他の材料としては、コバルト−鉄(CoFe)、ニッケル−鉄(NiFe)、それらの合金を挙げることができる。軟質磁気フィルムや軟質磁気フィルムを製造するのに使用できる材料は、磁気記録ディスクの技術分野でよく知られているため、詳細な説明は省略する。軟質磁気フィルムを研磨かつ/またはテクスチャリングすることができる。固定または自由研磨粒子(例えばダイアモンド)を使用する機械的テクスチャリングの如き様々な方法によって、軟質磁気フィルムをパターンでテクスチャリングすることもできる。あるいは、レーザ・テクスチャリングの如き他のタイプのテクスチャリング法を用いて、軟質磁気フィルムをテクスチャリングすることもできる。さらに他の実施形態において、薄いNiP層を軟質磁気フィルムの上部に配置し、研磨かつ/またはテクスチャリングすることができる。他の実施形態において、軟質磁気フィルムは、1つまたは複数の軟質磁気下部層と軟質磁気下部層の間に配置された1つまたは複数のRu中間層で構成されていてもよい。
インプリント可能(すなわちエンボス可能)フィルムを形成するために、エンボス可能フィルム1130を下部構造体1110に配置する。様々なエンボス可能材料を使用して、エンボス可能フィルム1130を形成することができる。一実施形態において、例えば、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)またはコポリマー−ポリ(メチルメタクリレートメタクリル酸コポリマー)(P(MMA−MAA)をエンボス可能フィルム1130に使用できる。あるいは、他のエンボス可能材料、例えばPMMAや、ドイツのミクロ・レジスツ・テクノロジーから入手可能なMR−I9000の如き熱硬化性ポリマーを使用することができる。あるいは、エンボス可能フィルム1130は、複数のエンボス可能フィルムで構成されていてもよい。エンボス可能材料を下部構造体1110にスピン・コートして、エンボス可能フィルム1130を製造することができる。浸漬コーティング、浸漬スピン・コーティング、スプレー・コーティング、スパッタリング、堆積(例えばCVD)の如き他のコーティング法も使用できる。
図14A、14B、15A、15B、15Cは、下部構造体の上に配置されたエンボス可能フィルムの如きエンボス可能フィルムにインプリントする方法の代替実施形態を示す図である。一実施形態において、下部構造体は基板またはディスク基板である。工程1210において、エンボス可能フィルム1130を下部構造体1115の上に配置する。一実施形態では、工程1230において、エンボス可能フィルム1130/下部構造体1115とスタンパ1190をエンボス可能フィルム1130の「ガラス転移温度」(Tg)またはそれより高い温度で加熱する。ガラス転移温度とは、この温度より高くなると、ポリマー材料が粘弾性を帯びる温度(各ポリマーによって異なる)を意味する技術用語である。
次いで工程1235において、スタンパ1190をエンボス可能フィルム1130に押しつける。一実施形態では、工程1240において、スタンパ1190をエンボス可能フィルム1130から分離し、次いで工程1243において、分離後に冷却する。それにより、(図14Bに示されるように)溝部(凹部、グルーブ、谷等としても知られる)と突出部(凸部としても知られる)のインプリント・パターンが形成される。冷却する前にスタンパ1190をエンボス可能フィルム1130から分離すると、分離プロセスを容易にし、エンボス可能フィルム1130におけるインプリント・パターンに対する損傷を小さくすることができる。
図15Bに示される代替実施形態では、工程1270においてスタンパ1190をエンボス可能フィルム1130から分離する前に、工程1260において、システムを室温を上回る温度まで冷却することができる。例えば、エンボス可能フィルム1130をその転移温度より高い温度に加熱する場合は、結合したスタンパ1190/エンボス可能フィルム1130を、分離する前に、より低い温度まで冷却して、エンボス可能フィルム1130のほぼガラス転移温度に下げることができる。あるいは、他の例では、結合したスタンパ1190/エンボス可能フィルム1130をエンボス可能フィルム1130のほぼ転移温度の範囲の温度まで冷却し、室温をわずかに上回る温度に下げる。さらに他の実施形態において、結合したスタンパ1190/エンボス可能フィルム1130を室温まで冷却し、次いで分離させる。
図15Cは、インプリントする前にエンボス可能フィルムを予備加熱することを含む、エンボス可能フィルムをインプリントする代替実施形態を示す図である。本実施形態において、エンボス可能フィルム1130とスタンパ1190を別個に加熱することができる。工程1212において、エンボス可能フィルム1130を下部構造体に配置した後で、それをダイ組立体230に導入する前に、例えば図2のヒータ230によりこの構造体をエンボス温度に予備加熱することができる。工程1214において、予備加熱したエンボス可能フィルム1130/下部構造体1115をスタンパ1190に近接させて(例えば下部ダイ組立体214のネスト領域)に配置する。あるいは、エンボス可能フィルム1130/下部構造体1115を下部ダイ組立体214のネスト領域に配置する間またはその後で、エンボス温度より低い温度(例えばエンボス温度に近い温度)に予備加熱し、次いでエンボス温度に加熱することができる。あるいは、エンボス可能フィルム1130/下部構造体1115をスタンパ1190に近接させて配置した後で、スタンパの温度/エンボス温度に予備加熱し、インプリントすることができる。次いで工程1230において、エンボス温度でスタンパ1190をエンボス可能フィルム1130に押しつける。次いで工程1240において、インプリントした後にスタンパ1190をエンボス可能フィルム1130から分離する。一実施形態では、工程1241において、エンボス可能フィルム1130/下部構造体1115をスタンパ1190に対する近接位置から取り出し、次いでエンボス可能フィルム1130のガラス転移温度より低い温度まで冷却することができる。次いで、インプリントした後にスタンパ1190をエンボス可能フィルム1130から分離する。一実施形態では、工程1243において、エンボス可能フィルム1130/下部構造体1115をスタンパ1190に対する近接位置から取り出し、次いでエンボス可能フィルム1130のガラス転移温度より低い温度まで冷却することができる。
それによって、溝部(凹部、グルーブ、谷としても知られる)と突出部(凸部としても知られる)のインプリント・パターンが(図14Bに示されるように)エンボス可能フィルム1230に形成される。パターンをエンボス可能フィルム1130にインプリントした後に、サブトラクティブ法またはアディティブ法を用いて、ディスクに所望のDTRを形成することができる。サブトラクティブ法では、例えば、基板1115の上に配置された1つまたは複数の層を(インプリント・リソグラフィとエッチングにより)除去して、層1120(例えばNiPまたは軟質磁気層)に所望のパターンを露出させることができる。あるいは、DTRパターンを基板1115に形成することもできる。層1120が例えばNiP層である場合のアディティブ法において、初期のNiP層を形成する材料と類似または同一の材料を添加またはメッキして、離散トラック記録パターンの凸部1110を形成する。
一実施形態において、ガラス転移温度(Tg)を有さないエンボス可能材料、例えば熱硬化性ポリマー(例えば、エポキシ、フェノール、ポリシロキサン、オルモシル、シリカゲル)と放射線硬化(例えば紫外線硬化性、電子ビーム硬化性)ポリマーを使用して、エンボス可能フィルム1130のインプリントをほぼ室温で行うことができる。シリカゲルとしては、製造会社から入手することができ、例えばニューヨーク州Waterfordのジェネラル・エレクトリック・コーポレーションから入手可能なSOL−GELがある。他の実施形態において、熱可塑性材料、例えばニューヨーク州Waterfordのジェネラル・エレクトリック・コーポレーションから入手可能なウルテンの如きポリマーをエンボス可能フィルムに使用できる。そのような実施形態では、スタンパ1190への搬送時に基板の温度を高温に維持する必要がないため、ディスク・ヒータ(例えばヒータ組立体230)を使用する必要はない。
既に述べたように、本明細書に記載されている装置と方法は、エンボス可能フィルムを有する様々なタイプの下部構造体(例えば、光ディスク基板、ウェハ基板とパネル基板)に用いることができる。例えば、本明細書に記載されているインプリンティング・システムを光記録ディスク、半導体ウェハと液晶ディスプレイ・パネル等の製造に使用することができる。一実施形態において、本明細書に記載されている装置と方法は、エンボス可能層が配置された様々なタイプの下部構造体(例えばウェハとパネル酸化物/基板)に用いることができる。代替実施形態において、例えば、本明細書に記載されているインプリンティング装置と方法を用いて、例えばトランジスタの如き半導体デバイスを製造することができる。そのような製造では、エンボス可能層を、例えば、シリコン・ウェハ基板の上面の酸化物(例えばSiO2)の下部構造体の上にエンボス可能層を配置することができる。トランジスタの能動領域に対応するパターン化構造を備えたスタンパを作製することができる。エッチング技術(例えば反応性イオン・エッチング)を用いてエンボス・パターンを酸化物層に転写して、スタンパをエンボス層にインプリントする。次に、当技術分野でよく知られている半導体ウェハ製造技術を用いて、トランジスタを製造する。
代替実施形態において、例えば、本明細書に記載されているインプリンティング装置と方法を用いて、フラット・パネル・ディスプレイのためのピクセル・アレイを製造することができる。そのような製造では、例えば、基板の上面のインジウムスズ酸化物(ITO)層の下部構造体の上にエンボス可能層を配置する。パターン化層がピクセル・アレイ・パターンの逆であるスタンパが作製される。エッチング技術を用いてエンボス・パターンをITOに転写してITO層をパターン化することで、スタンパをエンボス可能層にインプリントする。その結果、さもなければ連続的なITOアノード上の(エッチングによって除去された)ITO材料の消失によってアレイの各ピクセルが隔てられる。次に、当技術分野でよく知られている製造技術を用いて、ピクセル・アレイを製造する。
さらに他の実施形態では、他の例として、本明細書に記載されているインプリンティング装置と方法を用いて、レーザを製造することができる。そのような製造では、スタンパによりパターン化されたエンボス可能材料部をマスクとして使用して、発光材料に対するレーザ・キャビティを定める。次に、当技術分野でよく知られている製造技術を用いて、レーザを製造する。さらに他の実施形態において、本明細書に記載されている装置と方法を他の用途、例えば多層電子包装体の製造、光通信デバイスの製造、と接触/転写印刷に用いることができる。
これまでの明細において、本発明をその特定の例示的実施形態に基づいて説明した。しかし、添付の請求項に定められた本発明のより広い主旨と範囲から逸脱することなく、様々な修正と変更を加えることができることは明らかであろう。例えば、本明細書では、片側インプリンティングに関して特定の形態と方法が説明されているが、それらを両側インプリンティングにも用いることができる。よって、明細と図面は、限定的な意味ではなく例示的な意味で捉えられるべきである。
基板を把持するための湾曲部を含む従来のX−Y平行移動ステージを示す図である。 インプリンティング・システムの一実施形態を示す図である。 インプリンティング・システムの代替実施形態を示す図である。 インプリンティング・システムの他の実施形態を示す図である。 図4のインプリンティング・システムの一部であるヒータ組立体の拡大図を示す図である。 インプリンティング・システムの一部であるディスク基板搬送装置の代替図を示す図である。 インプリンティング・システムの一部であるディスク基板搬送装置の代替図を示す図である。 インプリンティング・システムのダイ組立体の一実施形態を示す図である。 インプリンティング・システムのダイ組立体の他の実施形態を示す図である。 図7に示したダイ組立体の断面図を示す図である。 図7Aに示したダイ組立体の断面図の拡大図を示す図である。 ディスク搬送装置の一実施形態の拡大図を示す図である。 様々な位置のディスク搬送装置の一実施形態を示す図である。 様々な位置のディスク搬送装置の一実施形態を示す図である。 様々な位置のディスク搬送装置の一実施形態を示す図である。 支持トレイ上にディスク基板を留めたディスク搬送装置の一部の拡大図を示す図である。 支持トレイ内に埋め込むことができる留めまたは把持構造の代替実施形態を示す図である。 留めディスク基板用の支持トレイ内に埋め込まれた把持部の一実施形態を示す図である。 インプリンティング・システムによって、ディスク基板の上に配置されたエンボス可能フィルムにインプリントする方法の一実施形態を示す流れ図である。 インプリンティング・システムによって、ディスク基板の上に配置されたエンボス可能フィルムにインプリントする方法の代替実施形態を示す流れ図である。 インプリンティング・システムによって、ディスク基板の上に配置されたエンボス可能フィルムにインプリントする方法の代替実施形態を示す流れ図である。 A:ディスク基板の上に配置されたエンボス可能フィルムの一実施形態を示す断面図である。B:インプリンティング・スタンパによるエンボス可能フィルムのインプリンティングの一実施形態を示す断面図である。 エンボス可能フィルムのインプリンティングの方法の一実施形態を示す流れ図である。 エンボス可能フィルムにインプリントする方法の代替実施形態を示す流れ図である。 エンボス可能フィルムにインプリントする方法の他の実施形態を示す流れ図である。
符号の説明
200 インプリンティング・システム、201 台、210 ダイ組立体、212 上部ダイ組立体、214 下部ダイ組立体、220 搬送装置、224 真空チャック、230 ヒータ組立体、232 加熱素子、240 加熱トンネル、250 ディスク基板冷却ステーション、260 ディスク・カセット

Claims (3)

  1. 基板の上に配置されたエンボス可能フィルムをほぼエンボッシング温度に予備加熱するためのヒータと、
    前記エンボス可能フィルムにインプリントするためのエンボッシング箔を有するダイ組立体と、
    前記ヒータと前記ダイ組立体の間に配置され、前記ほぼエンボッシング温度を維持する加熱トンネルと
    から構成されることを特徴とする恒熱インプリント・インボッシング組立体。
  2. 基板の上に配置されたエンボス可能フィルムほぼエンボッシング温度に予備加熱するステップと、
    加熱トンネルを通じて前記基板をエンボス可能フィルムにインプリントするためのダイ組立体に搬送するステップとから構成され、
    前記加熱トンネルが前記エンボッシング温度を維持することを特徴とする恒熱インプリント・インボッシング方法。
  3. 基板の上に配置されたエンボス可能フィルムをほぼエンボッシング温度に予備加熱する手段と、
    前記ほぼエンボッシング温度を維持する加熱トンネルを通じて、前記基板をインプリンティング・ダイ組立体に搬送する手段とを備えることを特徴とする恒熱インプリント・インボッシング組立体。
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