[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る転写システム1の概略構成を示す平面図である。
転写システム(ナノインプリントシステム)1は、型(モールド)Mに形成されている微細な転写パターン(微細な凹凸で形成された転写パターン)を被成型品(被転写素材)Wに転写するためのシステムであり、たとえば、転写前被成型品ストッカ3と位置調整装置5と転写装置7と離型装置9と転写後被成型品ストッカ11とを備えて構成されている。なお、本明細書では、説明の便宜のために、水平な一方向をX軸方向とし、水平な他の一方向であってX軸方向に直交する方向をY軸方向とし、鉛直方向(上下方向)をZ軸方向という場合がある。
転写前被成型品ストッカ3は、微細な転写パターンが転写される前の被成型品Wを複数枚格納することができるストッカである。
位置調整装置(位置調整ステーション)5は、型Mに形成されている微細な転写パターンを被成型品Wに転写する前に、型Mと被成型品Wとの相対的な位置の調整(型Mに対する被成型品Wの位置決め)を行う装置である。この位置の調整は、被成型品Wの正確な位置に、型Mに形成されている微細な転写パターンを転写するためにするものである。
転写装置(転写ステーション)7は、位置調整装置5とは別個に設けられており、位置調整装置5で相対的な位置の調整がされた型Mで被成型品(位置調整装置5で相対的な位置の調整がされた被成型品)Wを押圧して、型Mに形成されている微細な転写パターンを被成型品Wに転写する装置である。
型Mや被成型品Wは、たとえば、矩形状もしくは円形状等で平板状に形成されている。微細な転写パターンは、型Mの厚さ方向の一方の面に形成されている。また、微細な転写パターンが転写されて、型Mの微細な凹凸とは反転した微細な凹凸が、被成型品Wの厚さ方向の一方の面に形成されるようになっている。
離型装置(離型ステーション)9は、位置調整装置5や転写装置7とは別個に設けられており、転写装置7を用いて転写がされた後にお互いにくっついている型Mと被成型品Wとを分離する(被成型品Wから型Mを離す)装置である。
転写後被成型品ストッカ11は、微細な転写パターンが転写された被成型品Wを複数枚格納することができるストッカである。
位置調整装置5での型Mと被成型品Wとの位置合わせ、転写装置7での転写、離型装置9での被成型品Wからの型Mの分離、位置調整装置5と転写装置7との間における型Mと被成型品Wとの搬送、および、転写装置7と離型装置9との間における型Mと被成型品Wとの搬送は、詳しくは後述する型・被成型品仮保持ユニット(以下、「仮保持ユニット」という。)13(図2等を参照)を用いてなされるようになっている。
転写前被成型品ストッカ3と位置調整装置5との間には、ロボット等で構成された搬送装置(図示せず)が設けられており、図1に矢印A11で示すように、転写前被成型品ストッカ3から位置調整装置5へ、被成型品Wをたとえば枚葉で搬送(供給)することができるようになっている。
転写装置7は、1台の位置調整装置5と1台の離型装置9とに対してたとえば複数台設けられており、位置調整装置5および離型装置9と、各転写装置7との間には、レール15上にロボット(図1に矢印A12で示す方向に移動位置決め自在なロボット)17を配置した搬送装置19が設けられている。
そして、仮保持ユニット13を用いて位置調整装置5で位置決めされた型Mと被成型品Wとが、仮保持ユニット13と共に、搬送装置19によって、各転写装置7のうちのいずれかの転写装置7に搬送(供給)されるようになっている。
また、各転写装置7のうちのいずれかの転写装置7で転写がされた被成型品Wとこの転写に使用された型(被成型品Wに張り付いている型)Mとが、仮保持ユニット13と共に、搬送装置19によって、転写装置7から離型装置9に搬送(搬出)されるようになっている。
離型装置9と位置調整装置5との間には、ロボット等で構成された搬送装置(図示せず)が設けられており、図1に矢印A13で示すように、離型装置9から位置調整装置5へ、型Mとこの型Mを保持しているが被成型品Wが取り外された仮保持ユニット13とを搬送(供給)することができるようになっている。この供給された仮保持ユニット13等は、再び型Mと被成型品Wとの位置決め等に使用される。
離型装置9と転写後被成型品ストッカ11との間には、ロボット等で構成された搬送装置(図示せず)が設けられており、図1に矢印A14で示すように、離型装置9から転写後被成型品ストッカ11へ、転写がされた被成型品Wをたとえば枚葉で搬送(搬出)することができるようになっている。
ここで、仮保持ユニット13について詳しく説明する(たとえば、図2〜図5参照)。
仮保持ユニット13は、平板状の型ベース21と平板状の被成型品ベース(素材ベース)23とを備えて構成されている。型ベース21には、型Mが型取付具25を用いて一体的に設置されている。型Mが型ベース21に設置されている状態では、型ベース21のほぼ中央に型Mが位置していると共に、平板状の型Mの厚さ方向の他方の面(上面;微細な転写パターンが形成されている面とは反対側の面)が、型ベース21の平面状の下面に面接触している。
被成型品ベース23には、被成型品Wが載置されて設置されるようになっている。また、被成型品Wを被成型品ベース23に設置したときに、たとえば、型取付具25と同様に構成された被成型品取付具(図示せず)によって、被成型品ベース23で被成型品Wを一体的に保持するようになっている。
なお、転写をすべく型Mで被成型品Wを押圧したときに、型取付具25と被成型品取付具とは、お互いが干渉しない位置に設けられているものとする。たとえば、Z軸方向から見たときに、型Mよりも被成型品Wのほうが大きく形成されており、被成型品Wの内側に型Mが位置しており、被成型品取付具が被成型品Wの周辺(縁の近傍)を把持している。そして、型取付具25と被成型品取付具とはお互いが干渉しないようになっている。なお、型取付具25や被成型品取付具に代えてもしく加えて、真空吸着により、型Mや被成型品Wを保持する構成であってもよい。
被成型品Wが被成型品ベース23に設置されている状態では、被成型品ベース23のほぼ中央に被成型品Wが位置していると共に、平板状の被成型品Wの厚さ方向の他方の面(下面;微細な転写パターンが転写される面とは反対側の面)が、被成型品ベース23の平面状の上面に面接触している。
型ベース21には、ベローズ27等の筒状の弾性体もしくは軸方向に伸縮自在な筒状の部材が一体的に設けられており、型ベース21とベローズ27と被成型品ベース23とで、転写の際に型Mと被成型品Wとが内部に入る真空成型室29(図3等参照)が形成されるようになっている。
詳しく説明すると、円筒状のベローズ27の軸方向の一端部(上端部)には、リング状の上側ベローズ支持体31が一体的に設けられている。また、円筒状のベローズ27の軸方向の他端部(下端部)には、リング状の下側ベローズ支持体33が一体的に設けられている。
そして、型取付具25やこの型取付具25を用いて型ベース21に一体的に設置されている型Mがベローズ27の内側に入るように、上側ベローズ支持体31が型ベース21の下面の外周部近傍に一体的に設けられている。なお、上側ベローズ支持体31と型ベース21との間の気密性を確保するために、上側ベローズ支持体31には、Oリング35等のシール部材が設けられている。下側ベローズ支持体33の下端にも、Oリング37等のシール部材が設けられている。
図2で示すように、型ベース21に設置された型Mが、被成型品ベース23に設置された被成型品Wから大きく離れているときには(型ベース21に設置された型Mの下面が被成型品ベース23に設置された被成型品Wの上面から距離H1だけ離れているときには)、下側ベローズ支持体33に設けられているOリング37が、被成型品ベース23から距離H2だけ離れており、真空成型室29は形成されない。なお、距離H2の値は、距離H1の値よりも大きい。
図2に示す状態から、型Mを保持している型ベース21を下降して、図3で示すように、下側ベローズ支持体33に設けられているOリング37を被成型品ベース23の上面に接触させることにより、型Mと被成型品Wとが内部に入る真空成型室(転写の際に被成型品Wの微細な凹凸に気泡が入り込むことを防止するための真空成型室)29が形成されるようになっている。なお、図3に示す状態では、型ベース21に設置された型Mの下面が被成型品ベース23に設置された被成型品Wの上面から距離H3(距離H2−距離H1)だけ離れている。
図3に示す状態から、型Mを保持している型ベース21をさらに下降すると、ベローズ27が圧縮されて軸方向(上下方向)の長さが短くなるように弾性変形し、図4で示すように、型ベース21に設置された型Mが被成型品ベース23に設置された被成型品Wに接触するようになっている。
なお、ベローズ27が、型ベース21ではなくて、被成型品ベース23に一体的に設けられている構成であってもよいし、ベローズ27が、軸方向(上下方向)の中間部で2つに分割されており、上側のベローズが型ベース21に一体的に設けられており、下側のベローズが被成型品ベース23に一体的に設けられている構成であってもよい。
被成型品ベース23には、真空成型室29内をほぼ真空になるまで減圧するための空気経路39が設けられている。空気経路39の一方の端部は、真空成型室29内につながるようになっている。空気経路39の他方の端部には、たとえば、パイロットチェック弁41が設けられており、このパイロットチェック弁41からは、主経路43とパイロット圧供給路45とが延出している。主経路43の先端部には、開閉バルブ(たとえば、ワンタッチ継ぎ手)47が設けられており、パイロット圧供給路45の先端部にも、開閉バルブ(たとえば、ワンタッチ継ぎ手)49が設けられている。
なお、図2、図3等では、空気経路39の一部とパイロットチェック弁41と主経路43とパイロット圧供給路45と各開閉バルブ47,49とが、被成型品ベース23とは別個に設けられているように図示しているが、実際には、上述した空気経路39の一部等は、被成型品ベース23に一体的に設けられている。
そして、図3に示す状態で、主経路43の開閉バルブ47に真空ポンプ51を接続し、真空成型室29内の空気圧を減圧し、型Mが設けられている型ベース21を下降し、図4で示すように、ほぼ真空の雰囲気内で被成型品Wに型Mを接触させることができるようになっている。この後、開閉バルブ47から真空ポンプ51を外しても、真空成型室29のほぼ真空の雰囲気を維持することができるようになっている。
次に、位置調整装置(アライメント装置)5について詳しく説明する。
位置調整装置5は、ベース体53と位置決めユニット55と被成型品ベース設置体(素材ベース設置体)57と型ベース押圧体(型ベース設置体)59とを備えて構成されている(図2等参照)。
位置決めユニット55は、ベース体53の下方に設けられており、位置決めユニット55のベース部がベース体53に一体的に設けられている。位置決めユニット55の可動部の上面(Z軸方向に対して直交している平面)には、詳しくは後述する被成型品ベース着脱装置62を用いて、平板状の被成型品ベース設置体57が一体的に設けられるようになっている。位置決めユニット55の可動部に被成型品ベース設置体57が設置されている状態では、被成型品ベース設置体57の平面状の上面が、Z軸方向に対して直交している。
位置決めユニット55は、たとえば、XYステージとθステージとで構成されており、位置決めユニット55の可動部に設けられている被成型品ベース設置体57が、制御装置61の制御の下、X軸方向、Y軸方向で移動位置決めされるようになっていると共に、θ軸(位置決めユニット55の中心を通ってZ軸方向に延びている軸)まわりで回動位置決めされるようになっている。
型ベース押圧体59は、ベース体53や被成型品ベース設置体57の上方で、被成型品ベース設置体57から離れてベース体53に設けられている。また、型ベース押圧体59は、図示しないリニアガイドベアリングを介してベース体53に設けられており、ベース体53に対して上下方向(Z軸方向)で移動自在になっている。さらに、図示しないサーボモータ等のアクチュエータやボールねじを用いて、制御装置61の制御の下、型ベース押圧体59が移動位置決めされるようになっている。
なお、型ベース押圧体59を移動することに代えてもしくは加えて被成型品ベース設置体57を上下方向でベース体53に対して移動位置決め自在な構成にしてもよい。すなわち、被成型品ベース設置体57と型ベース押圧体59とが、お互いが接近・離反する方向で相対的に移動位置決め自在になっていればよい。
また、被成型品ベース設置体57をX軸方向、Y軸方向およびθ軸まわりに移動(回動)位置決め自在に設けることに代えてもしく加えて、型ベース(詳しくは後述する型ベース着脱装置63を用いて型ベース押圧体59に一体的に設けられている型ベース)21を、X軸方向、Y軸方向およびθ軸まわりに移動(回動)位置決め自在に設けてあってもよい。すなわち、X軸方向、Y軸方向およびθ軸まわりで、被成型品ベース設置体57に対して型ベース21が相対的に移動(回動)位置決め自在になっている構成になっていればよい。
型ベース押圧体59の下面は、Z軸方向に対して直交した平面状に形成されている。被成型品ベース設置体57の上面も、前述したように、Z軸方向に対して直交した平面状に形成されている。そして、型ベース押圧体59の下面と、被成型品ベース設置体57の上面とは、お互いが所定の距離だけ離れ平行になって対向している。
型ベース押圧体59には、型ベース着脱装置63が設けられている。型ベース着脱装置63は、たとえば、「L」字状に形成された保持部材65を備えて構成されている。保持部材65は、型ベース押圧体59の下面の周辺部に複数設けられている。また、保持部材65は、Z軸方向に延出している柱状の基端部側部位と、この基端部側部位の先端部で水平方向に突出している先端部側部位とを備えて「L」字状に形成されている。
そして、制御装置61の制御の下、図示しない空気圧シリンダ等のアクチュエータで、基端部側部位の中心を通ってZ軸方向に延びている軸Z1を回動中心にして回動位置決め自在になっていると共に、Z軸方向で移動位置決め自在になっている。すなわち、図2で示す保持位置P1と開放位置P2との間を移動するようになっている。
保持位置P1は、保持部材65が型ベース21を保持している位置であり、この保持により、型ベース(型ベース21に保持されている型M、ベローズ27)21が、型ベース押圧体59の所定の位置に一体的に設置されている。開放位置は、保持部材65が型ベース21を開放するときの位置である。
被成型品ベース設置体57にも、型ベース着脱装置63と同様であって前述した被成型品ベース着脱装置62が設けられているが、被成型品ベース設置体57の被成型品ベース着脱装置62を削除し、被成型品ベース23を被成型品ベース設置体57に載置するだけで設置する構成であってもよい。
型ベース着脱装置63を用いて仮保持ユニット13を型ベース押圧体59に設置した状態では、仮保持ユニット13の型ベース21の上面が型ベース押圧体59の下面に面接触して、型ベース21(ベローズ27、型M)が型ベース押圧体59に一体的に設置されるようになっている。また、被成型品ベース着脱装置62を用いて仮保持ユニット13を設置した状態では、仮保持ユニット13の被成型品ベース23の下面が被成型品ベース設置体57の上面に面接触して、被成型品ベース23(被成型品W)が被成型品ベース設置体57に一体的に設置されるようになっている。
また、位置調整装置5には、撮像装置(カメラ)67が設けられている。カメラ67は、カメラ移動装置69によって、型Mや被成型品Wを撮影可能な位置(観察位置)から型Mの微細な転写パターンを被成型品Wに転写するときに型Mや被成型品Wや仮保持ユニット13と干渉しない退避位置へ移動し、また、退避位置から観察位置へ移動できるようになっている。
さらに説明すると、図2で示すように、型Mと被成型品Wとが所定の距離H1だけ離れており、また、ベローズ27のOリング37が被成型品ベース23から所定の距離H2だけ離れているときに、カメラ67が、型Mと被成型品Wとの間に型Mや被成型品Wから離れた状態で入り込み、撮影可能位置(観察位置)に位置することができるようになっている。
なお、図2で示す状態では、型ベース押圧体59がたとえば上昇端に位置しており、仮保持ユニット13に型Mと被成型品Wとが設置されており、仮保持ユニット13の型ベース21が型ベース着脱装置63で型ベース押圧体59に一体的に設けられており、仮保持ユニット13の被成型品ベース23が被成型品ベース着脱装置62で被成型品ベース設置体57に一体的に設けられている。
撮影可能位置に位置しているカメラ67によって、型Mに形成されているアイマークと被成型品Wに形成されているアイマークとをほぼ同時に撮影することができるようになっている。そして、カメラ67の撮影結果(各アイマークの位置)を用いて、制御装置61の制御の下、位置決めユニット55を駆動し、型Mに対する被成型品Wの位置決め(X軸方向、Y軸方向、θ軸まわりの位置決め)をすることができるようになっている。
また、型Mに対する被成型品Wの位置決めをした後、カメラ67を退避位置に位置させ、ベローズ27のOリング37と被成型品ベース23とがお互いに接触するまで型ベース押圧体59を下降すると、図3で示すように、真空成型室29が形成されるようになっている。
真空成型室29を減圧して、図4で示すように、型Mが被成型品Wに接触するまで、型ベース押圧体59をさらに下降し、真空ポンプ51を開閉バルブ47から取り外すことにより、型Mと被成型品Wとが大気圧によって仮保持ユニット13で保持され、型Mと被成型品Wと仮保持ユニット13との相対的な位置が維持されるようになっている。
図4に示した状態から、各着脱装置62,63を開放すると、図5で示すように、型Mと被成型品Wとを保持している仮保持ユニット13を、真空成型室29を維持(真空成型室29をほぼ真空の状態で維持)し、型Mと被成型品Wと仮保持ユニット13との相対的な位置を維持したまま、位置調整装置5から搬出することができるようになっている。
熱インプリント法で転写をする転写装置(図6参照)7は、ベース体71と被成型品ベース設置体(素材ベース設置体;被成型品側加熱冷却プレート)73と型ベース押圧体(型側加熱冷却プレート)75とを備えて構成されている。被成型品ベース設置体73は、ベース体71の下方でベース体71に一体的に設けられている。型ベース押圧体75は、ベース体71や被成型品ベース設置体73の上方で、被成型品ベース設置体73から離れてベース体71に設けられている。また、型ベース押圧体75は、図示しないリニアガイドベアリングを介してベース体71に設けられており、ベース体71に対して上下方向(Z軸方向)で移動自在になっている。さらに、図示しないサーボモータ等のアクチュエータやボールねじを用いて、制御装置77の制御の下、型ベース押圧体75が移動位置決めされるようになっている。
なお、型ベース押圧体75を移動することに代えてもしくは加えて被成型品ベース設置体73を上下方向でベース体71に対して移動位置決め自在な構成にしてもよい。すなわち、被成型品ベース設置体73と型ベース押圧体75とが、お互いが接近・離反する方向で相対的に移動位置決め自在になっていればよい。
型ベース押圧体75の下面は、Z軸方向に対して直交した平面状に形成されている。被成型品ベース設置体73の上面も、Z軸方向に対して直交した平面状に形成されている。そして、型ベース押圧体75の下面と、被成型品ベース設置体73の上面とは、お互いが所定の距離だけ離れ平行になって対向している。
被成型品ベース設置体73には、熱可塑性樹脂で構成されている被成型品Wを加熱するための加熱手段79と被成型品Wを冷却するための冷却手段81とが設けられている。
たとえば、被成型品ベース設置体73には、温度媒体(たとえば油や水)を流すための媒体用貫通孔が設けられており、この媒体用貫通孔内に、被成型品ベース設置体73の外部に設置されている媒体加熱装置(図示せず)で加熱された熱媒体(温媒体)を流すことにより、被成型品ベース設置体73を加熱して被成型品ベース設置体73(仮保持ユニット13の被成型品ベース23、被成型品W)の温度を上げることができるようになっている。
また、たとえば、媒体用貫通孔内に、被成型品ベース設置体73の外部に設置されている媒体冷却装置(図示せず)で冷却された熱媒体(冷媒)を温媒体に代えて流すことにより、被成型品ベース設置体73を冷却して被成型品ベース設置体(仮保持ユニット13の被成型品ベース23、被成型品W)の温度をたとえば常温まで下げることができるようになっている。
型ベース押圧体75にも、被成型品ベース設置体73の場合と同様な加熱手段83と冷却手段85とが設けられている。
なお、型ベース押圧体75に設けられている加熱手段83と冷却手段85、被成型品ベース設置体73に設けられている加熱手段79と冷却手段81の少なくともいずれかを削除した構成であってもよい。すなわち、型ベース押圧体75、被成型品ベース設置体73の少なくとも一方に加熱手段と冷却手段とを設けた構成であってもよい。
さらに、冷却手段を削除した構成であってもよいし、型ベース押圧体75に加熱手段を設け被成型品ベース設置体73に冷却手段を設けた構成であってもよいし、または、被成型品ベース設置体73に加熱手段を設け型ベース押圧体75に冷却手段を設けた構成であってもよい。
転写装置7には、位置調整装置5から搬出された仮保持ユニット13が設置されるようになっている。この仮保持ユニット13では、図5で示すように、ほぼ真空状態の真空成型室29が形成され、型Mと被成型品Wとがお互いに接触して型Mと被成型品Wとの相対的な位置が維持されている。
詳しく説明すると、図6に示すように、型ベース押圧体75がたとえば上昇端に位置している状態で、仮保持ユニット13の被成型品ベース23の平面状の下面が被成型品ベース設置体73の平面状の上面に面接触するようにして、仮保持ユニット13が被成型品ベース設置体73に載置されるようになっている。この載置がされている状態では、仮保持ユニット13の型ベース21と型ベース押圧体75との間は、所定の間隔があいている。なお、ほぼ真空状態の真空成型室29は、離型装置9で被成型品Wから型Mを分離する直前まで維持されるようになっている。
図6で示したように、転写装置7に仮保持ユニット13が載置されている状態で、制御装置77の制御の下、加熱手段79,83で型Mと被成型品Wとを被成型品Wが軟化し転写に適した程度の硬さになるまで加熱するようになっている。被成型品Wが適度に軟化した後、図7で示すように、型ベース押圧体75を図7に二点鎖線で示す位置まで下降して仮保持ユニット13(型Mと被成型品W)を被成型品ベース設置体73と型ベース押圧体75とで挟み込み、型Mで被成型品Wを押圧するようになっている。なお、加熱手段79,83による加熱を、型ベース押圧体75が図7に二点鎖線で示す位置まで下降したときに開始するように構成されていてもよい。
被成型品ベース設置体73と型ベース押圧体75とで仮保持ユニット13の挟み込みをしている状態では、仮保持ユニット13の型ベース21の上面が型ベース押圧体75の下面に面接触しており、仮保持ユニット13の被成型品ベース23の下面が被成型品ベース設置体73の上面に面接触しており、押圧のための被成型品Wの軟化の度合いが維持されるように、加熱手段79,83による加熱がなされるようになっている。
上記押圧開始から所定の時間が経過して、軟化した被成型品Wに型Mの微細な転写パターンが転写された後(被成型品Wに型Mの逆パターンが形成された後)、冷却手段81,85で、仮保持ユニット13(型M、被成型品W)が常温になるまで仮保持ユニット13を冷却して被成型品Wを固化させるようになっている。また、この固化後に、図7に実線で示す位置まで、型ベース押圧体75を上昇させ、仮保持ユニット13から型ベース押圧体75を離すようになっている。そして、図8で示すように、転写装置7から仮保持ユニット13を搬出することができるようになっている。
なお、図8で示す仮保持ユニット13には、型Mと被成型品Wとが設置されており、型Mが被成型品Wに張り付いており、さらに、真空成型室29の真空が維持されている。
次に、離型装置9について詳しく説明する。
離型装置9は、ベース体87と被成型品ベース設置体(素材ベース設置体)89と型ベース移動体(型ベース設置体)91とを備えて構成されている(図9等参照)。
被成型品ベース設置体89は、ベース体87の下方でベース体87に一体的に設けられている。型ベース移動体91は、ベース体87の上方や被成型品ベース設置体89の上方で、被成型品ベース設置体89から離れてベース体87に設けられている。また、型ベース移動体91は、図示しないリニアガイドベアリングを介してベース体87に設けられており、ベース体87に対して上下方向(Z軸方向)で移動自在になっている。さらに、図示しないサーボモータ等のアクチュエータやボールねじを用いて、制御装置93の制御の下、型ベース移動体91が移動位置決めされるようになっている。
なお、型ベース移動体91を移動することに代えてもしくは加えて被成型品ベース設置体89を上下方向でベース体87に対して移動位置決め自在な構成にしてもよい。すなわち、被成型品ベース設置体89と型ベース移動体91とが、お互いが接近・離反する方向で相対的に移動位置決め自在になっていればよい。
型ベース移動体91の下面は、Z軸方向に対して直交した平面状に形成されている。被成型品ベース設置体89の上面も、Z軸方向に対して直交した平面状に形成されている。そして、型ベース移動体91の下面と、被成型品ベース設置体89の上面とは、お互いが所定の距離だけ離れ平行になって対向している。
型ベース移動体91には、位置調整装置5の場合と同様な型ベース着脱装置95が設けられており、被成型品ベース設置体89にも、位置調整装置5の場合と同様な被成型品着脱装置97が設けられている。
そして、図9で示すように、型ベース移動体91がたとえば上昇端に位置している状態で、図8で示す仮保持ユニット(型Mが被成型品Wに張り付いており、真空成型室29が形成されており、ほぼ常温まで冷却された仮保持ユニット)13を、離型装置9に載置するようになっている。この後、制御装置93の制御の下、被成型品着脱装置97を用いて、仮保持ユニット13の被成型品ベース23が離型装置9の被成型品ベース設置体89に一体的に保持されるようになっている。仮保持ユニット13を、被成型品ベース設置体89に載置した状態では、仮保持ユニット13の被成型品ベース23の下面が被成型品ベース設置体89の上面に面接触している。
図9で示す状態から、型ベース移動体91が仮保持ユニット13の型ベース21に接触するまで型ベース移動体91を下降すると、図10で示すように、型ベース着脱装置95が仮保持ユニット13の型ベース21を保持するようになっている。ここで、パイロット圧供給路45に圧縮空気を供給すると、パイロットチェック弁41が開き、主経路43と空気通路39とを通って、空気が真空成型室29内に入り込み、真空成型室29内の圧力を大気圧にすることができるようになっている。
真空成型室29内を大気圧にした後、型ベース移動体91を上昇すると、図11に示すように、ベローズ27の下側のOリング37が被成型品ベース23から離れて真空成型室29が無くなると共に、型Mが被成型品Wから離れて離型がされるようになっている。
図11で示す状態で、仮保持ユニット13等を離型装置9から取り外す等すると図12で示す状態になる。図12で示す状態では、仮保持ユニット13に型Mが設けられており、仮保持ユニット13のベローズ27が被成型品ベース23から離れて真空成型室29が開放されており、転写がされた被成型品Wが被成型品ベース23から取り外されている。
この後、搬送装置(図示せず)を用いて、ベローズ27や型Mが設置されている型ベース21と被成型品Wが取り外された被成型品ベース23とが、図1に矢印A13で示すように位置調整装置5に搬送され、微細な転写パターンが転写された被成型品Wが、図1に矢印A14で示すように転写後被成型品ストッカ11に搬送されるようになっている。
なお、図1に示す転写システム1には図示しない制御装置が設けられており、この制御装置が各搬送装置を制御していると共に、各装置5,7,9に設けられている各制御装置61,77,93を制御しているものとする。
ところで、離型装置9に、引き剥がし装置(離型補助装置)99を設けてもよい。引き剥がし装置99は、被成型品Wから型Mを離すときに、より小さい力で型Mを離すためのものであり、たとえば、図16に示すように、楔型器具101を備えて構成されている。そして、制御装置93の制御の下、図示しない移動装置で楔型器具101を移動し、楔型器具101の尖った先端を、お互いが貼り付いている型Mと被成型品Wと境界の周辺部に差し込み、上記周辺部およびこの近傍の部位で、被成型品Wから型をごく僅かに引き剥がすようになっている。これにより、型ベース移動体91を小さな力で上昇しても、被成型品Wから型Mを離すことができるようになっている。
なお、真空成型室29が形成されている状態では、楔型器具101が型Mや被成型品Wに接触できない。そこで、図14〜図16に示す仮保持ユニット13には、ベローズ27を縮めるためのアクチュエータ(たとえば、単動型の空気圧シリンダ103)が設けられている。
空気圧シリンダ103に圧縮空気を供給していない状態では、図14〜図16に示す仮保持ユニット13は、図9〜図12に示す仮保持ユニット13と同様に動作する(離型装置9や仮保持ユニット13等が同様に動作する)が、空気圧シリンダ103に圧縮空気を供給すると、仮保持ユニット13のベローズ27が縮むようになっている。
すなわち、図15に示す状態で、真空成型室29内を大気圧にし、空気圧シリンダ103に圧縮空気を供給すると、図16で示すように、型ベース移動体91を上昇させなくてもベローズ27が縮んで、真空成型室29が解放され(無くなり)、被成型品Wに型Mがくっついている状態であっても、楔型器具101が型Mや被成型品Wに接触できるようになっている。
なお、図14〜図16に示す仮保持ユニット13では、被成型品ベース23が被成型品Wを保持している構成であるが、被成型品ベース23が被成型品Wを保持しておらず、被成型品Wが被成型品ベース23に載置しているだけであってもよい。そして、空気圧シリンダ103でベローズ27を持ち上げた後(縮めた後)であって型ベース移動体91を上昇させて型Mを被成型品Wから離す前に、図示しない保持装置(たとえば離型装置9に設けられている保持装置)で、被成型品Wを被成型品ベース23に一体的に保持する構成であってもよい。
ここで、図1に示す転写システム1を構成している位置調整装置5、転写装置7、離型装置9の台数について説明する。なお、型Mや被成型品Wは、1台の装置では、たとえば枚葉で、転写等がなされるようになっており、1つの仮保持ユニット13には、1枚の型Mと1枚の被成型品Wとが設置されるようになっているものとする。
位置調整装置5、転写装置7、離型装置9の台数の比は、転写システム1で型Mに形成されている微細な転写パターンを被成型品Wに転写するときに、各装置5,7,9の待ち時間が最小になるか、もしくは、従来よりも少なくなる値になっている。
たとえば、位置調整装置5において、1枚の型Mと1枚の被成型品Wと1つの仮保持ユニット13を設置し、型Mと被成型品Wとを位置決めし、真空成型室29を形成するのに(図2〜図5参照)、1分程度の時間を要するものとする。
また、転写装置7において、1枚の型Mや1枚の被成型品Wを加熱し、型Mで被成型品Wを押圧し、型Mと被成型品Wを冷却するのに(図6〜図8参照)、10分程度の時間を要するものとする。
また、離型装置9において、1枚の被成型品Wに張り付いている1枚の型Mを、被成型品Wから分離するのに(図9〜図12参照)、1分程度の時間を要するものとする。
この場合、転写システム1は、1台の位置調整装置5と10台の転写装置7と1台の離型装置9とで構成されている。なお、転写装置7の台数を9台以下の複数台もしくは1台にしてもよい。
また、複数台の転写装置7のうちの1台の転写装置が押圧機能(転写のために型Mで被成型品Wを押圧する機能)と加熱機能(転写のために型Mや被成型品Wを加熱する機能)を備えており、複数台の転写装置7のうちの他の一部の転写装置(1台でもよいし複数台でもよい。)が、加熱機能のみを備えており、複数台の転写装置7のうちのさらなる他の一部の転写装置(1台でもよいし複数台でもよい。)が、冷却機能(転写のために型や被成型品を冷却する機能)のみを備えている構成であってもよい。
この場合、位置調整装置5から供給された型Mと被成型品Wと仮保持ユニット13とは、まず、加熱機能のみを有する転写装置7に供給されて加熱され、続いて、押圧機能と加熱機能とを備えた転写装置7に供給されて加熱されつつ押圧され、続いて、冷却機能のみを備えた転写装置7で冷却されるようになっているものとする。
さらに、冷却機能のみを備えた転写装置7が、冷却機能を備えておらず、単なる仮保持ユニット13の載置台で構成されており、強制冷却ではない自然冷却によって、仮保持ユニット13や型Mや被成型品Wを冷却するようになっていてもよい。
ここで、転写システム1の動作について説明する。
転写前被成型品ストッカ3から位置調整装置5(仮保持ユニット13)に被成型品Wを供給すると、位置調整装置5で、被成型品Wの正確な位置に、型Mに形成されている微細な転写パターンを転写すべく、仮保持ユニット13を用いて、型Mと被成型品Wとの相対的な位置の調整がなされる。
続いて、位置調整装置5とは別の場所に設けられた転写装置7を用い、位置調整装置5により、相対的な位置の調整がされた型Mで相対的な位置の調整がされた被成型品Wを押圧して型Mに形成されている微細な転写パターンを被成型品Wに転写する。
続いて、位置調整装置5や転写装置7とは別の場所に設けられた離型装置9を用い、転写がされた後にお互いにくっついている型Mと被成型品Wとを分離する(被成型品Wから型Mを離す)。
続いて、転写がされた被成型品Wを転写後被成型品ストッカ11に搬送し、仮保持ユニット13を位置調整装置5に搬送する(戻す)。
転写システム1によれば、転写システム1が、位置調整装置5と転写装置7と離型装置9とに分かれて構成されているので、たとえば、転写装置7で型Mや被成型品Wを冷却している間であっても、位置調整装置5の位置決めユニット55や離型装置9を稼動させることができ、従来よりも効率良く転写をすることができる。
具体例を掲げて詳しく説明する。従来の転写装置300を用いて1枚の被成型品Wに型Mに形成されている微細な転写パターンを転写する場合、1枚の型Mが設置されている転写装置300に1枚の被成型品Wを設置し、設置された被成型品Wと型Mとの位置決めをするのに、たとえば、1分程度の時間を要するものとする。
この位置決め後に、型Mや被成型品Wを加熱し、型ベース押圧体308を下降し、型Mで被成型品Wを所定の時間押圧し、この後、型Mと被成型品Wとを冷却して被成型品Wに微細な転写パターンを転写するのに、たとえば、10分程度の時間を要するものとする。
この転写後に、型ベース押圧体308を上昇させて、型Mを被成型品Wから離し、転写がされた被成型品Wを転写装置300から取り外すのに、たとえば、1分程度の時間を要するものとする。
つまり、1枚の被成型品Wに微細な転写パターンを形成するために、12分程度の時間を要してしまうことになる。1分程度の時間で、1枚の被成型品Wに微細な転写パターンを形成するためには、従来の転写装置300を12台用いた転写システムが必要になる。
上記12台の転写装置300のそれぞれでは、たとえば、上記転写のための10分間において、カメラ314や位置決めユニット302等が待機している状態であり、12台の転写装置300で構成されている転写システムでは、被成型品Wへの転写が効率良くなされているとは言えない。
これに対して、型Mと被成型品Wとの位置決めに1分点度の時間を要し、転写に10分程度の時間を要し、離型に1分程度の時間を要するとして、転写システム1では、1分程度の時間で1枚の被成型品Wに微細な転写パターンを形成するために、位置調整装置5を1台、転写装置7を10台、離型装置9を1台備えておればよく、さらに、位置調整装置5のカメラ67や位置決めユニット55および離型装置9の待機時間が少なくなっており、従来よりも効率のよい転写を行うことができる。
また、転写システム1では、位置調整装置5には位置調整機能のみを持たせ、転写装置7には加熱機能等を含む転写機能のみを持たせ、離型装置9には、離型機能のみを持たせた構成であるので、すなわち、各機能を分散して設けてあるので、システム全体の構成が簡素化されており、従来よりも安価な転写システムとすることができる。
また、離型装置9では、被成型品Wから型Mを容易に剥がすための引き剥がし装置99(図16参照)を設けることがある。このように、引き剥がし装置99を設ける場合、従来の転写装置300では、カメラ314等に加えて引き剥がし装置を設けなければならず、カメラ314等に干渉することなく引き剥がし装置を設けることが困難である。さらに、強固に貼り付けている型Mを被成型品Wから離すための複雑な構成の引き剥がし装置を設けることは、一層困難である。
これに対して、転写システム1では、位置調整装置5と別個に構成されている離型装置9に引き剥がし装置99を設ければよいので、引き剥がし装置99の設置が容易になる。また、引き剥がし装置99の構成を複雑にしても、引き剥がし装置99を容易に設置することができる。
また、前述したように、ベローズ27等を備えた仮保持ユニット13を使用することにより、転写装置7による転写が、真空成型室29内でなされるように構成されており、また、位置調整装置5で位置決めがされた型Mと位置調整装置5で位置決めがされた被成型品Wとは、これらの相対的な位置が真空成型室29で保持されて転写装置7に供給されるように構成されている。
これにより、転写をする際に被成型品Wに微細な気泡が発生することを防止することができると共に、位置決めがされた型Mと位置決めがされた被成型品Wとの位置関係を、別途の装置や機構や器具を設けることなく、維持することができる。
ところで、ベローズ27(真空成型室29)に代えてもしくは加えて、位置決めがされた型Mと位置決めがされた被成型品Wとの位置関係を維持する維持装置105を設けてもよい。
ここで、維持装置105について図26を用いて詳しく説明する。
図26は、ベローズ27(真空成型室29)の代わりに、維持装置105を用いて、型Mと被成型品Wとの位置関係を維持する仮保持ユニット13aの構成を示す図である。図26(a)は、型ベース21から維持装置105が離れている状態を示す図であり、図26(b)は、被成型品ベース23に維持装置105が設置されて、型M(型ベース21)と被成型品W(被成型品ベース23)との位置関係が保持(維持)されている状態を示す図であり、図26(c)は、図26(b)におけるXXVIの部分矢視図である。
仮保持ユニット13aでは、段差113を備えた切り欠きで構成された被係合部107が、型ベース21と被成型品ベース23とに設けられている。また、仮保持ユニット13aは、たとえば、単動の空気圧シリンダ111と、空気圧シリンダ111のヘッド(シリンダの先端)に細長い棒状の部材を介して設けられた鍔状の係合部109Aと、空気圧シリンダ111のロッド(ピストンロッド)の先端部に設けられた鍔状の係合部109Bとを備えて構成されている。
空気圧シリンダ111に圧縮空気が供給されている状態では、各係合部109A,109B間の距離L2が、各被係合部107における各段差113A,113B間の距離L1よりも大きくなっている。一方、空気圧シリンダ111に圧縮空気が供給されておらず空気圧シリンダ111のシリンダ室内が大気圧になっている状態では、各係合部109A,109B間の距離L2が、各被係合部107における各段差113A,113B間の距離L1よりも小さくなるようになっている。
したがって、図26(a)で示す状態で維持装置105を型ベース21や被成型品ベース23に適宜設置し、空気圧シリンダ111への圧縮空気の供給を停止すると、単動空気圧シリンダ111のバネにより、図26(b)で示すように各係合部109A、109Bが各段差113A,113Bに当接し、型ベース21と被成型品ベース23とがお互いに近づく方向の力を受けて、型ベース21(型M)と被成型品ベース23(被成型品W)とが一体化されるようになっている。
なお、被係合部107は、型ベース21や被成型品ベース23周辺の複数個所に設けられており、これらの被係合部107のそれぞれに、維持装置105が設置されるようになっている。
ここで、UVインプリント法による転写等について説明する。
図17〜図20は、UVインプリント法で使用される仮保持ユニット13等を、位置調整装置5で使用する場合を示す図であり、図2〜図5に対応した図である。図21〜図23は、UVインプリント法で使用される仮保持ユニット13等を、転写装置7aで使用する場合を示す図であり、図6〜図9に対応した図である。また、図24、図25は、UVインプリント法で使用される仮保持ユニット13等を、離型装置9で使用する場合を示す図であり、図9、図12に対応した図である。
UVインプリント法の被成型品Wは、たとえばガラスやシリコン等の材料で構成されている平板状の基材W1の厚さ方向の一方の面(上面)に、紫外線硬化樹脂W2の薄膜を設けて構成されている。そして、硬化前の紫外線硬化樹脂W2を型(紫外線を透過する石英等で構成された型)Mで図22で示すように押圧し、紫外線を照射し、紫外線硬化樹脂W2を硬化させて、型Mに形成されている微細な転写パターンを被成型品Wに転写するようになっている。
UVインプリント法で使用される位置調整装置5は、硬化前の紫外線硬化樹脂W2を基材W1の上面に設けるための紫外線硬化樹脂設置装置(図示せず)が設けられている点が、熱インプリント法で使用される位置調整装置と異なり、その他の点は、熱インプリント法で使用される位置調整装置とほぼ同様に構成されている。なお、紫外線硬化樹脂設置装置を削除して、手動で紫外線硬化樹脂W2を設けるようにしてもよい。
また、UVインプリント法で使用される仮保持ユニット13は、たとえば、型ベース21の少なくとも一部が、紫外線を透過する部材(たとえば石英ガラス)115で構成されている点が、熱インプリント法で使用される仮保持ユニットとは異なる。
また、UVインプリント法で使用される転写装置7aは、型ベース押圧体75aに紫外線を透過する貫通孔75bと紫外線発生装置117が設けられており、しかも、加熱手段79,83や冷却手段81,85が削除されている点が、熱インプリント法で使用される転写装置7とは異なり、その他の点は、熱インプリント法で使用される転写装置7とほぼ同様に構成されている。
なお、紫外線を照射した後、被成型品Wを加熱したり冷却したりする場合もあるので、UVインプリント法で使用される転写装置7aに、加熱手段79,83や冷却手段81,85が設けられていてもよい。
UVインプリント法で使用される離型装置9は、熱インプリント法で使用される離型装置とほぼ同様に構成されている。
なお、UVインプリント法では、一般的に、転写後に型Mと被成型品Wとがより強固にくっついているので、転写後に型Mを被成型品Wから離す操作が熱インプリント法の場合よりも難しいが、UVインプリント法で使用される離型装置9であっても、カメラ等が設けられていないので、複雑な構成の引き剥がし装置を設置することが容易になる。
[第2の実施形態]
図13は、本発明の第2の実施形態に係る転写システム1aの概略構成を示す平面図である。
転写システム1aは、第1の実施形態に係る転写システム1で使用されている位置調整装置5と離型装置9とが共用されている点を除いては、第1の実施形態に係る転写システム1とほぼ同様に構成されている。
すなわち、第1の実施形態に係る転写システム1で使用されている位置調整装置5と、第1の実施形態に係る転写システム1で使用されている離型装置9とは、お互いの構成が近似している。このことに着目して、第2の実施形態に係る転写システム1aでは、位置調整装置5と離型装置9とに代えて、位置調整装置5と離型装置9との機能を備えた(位置調整装置5と離型装置9とが合体されている)位置調整・離型装置119が配置されている。
転写システム1aでは、位置調整装置と離型装置とが共用してあるので、図1に示す態様に比べて、位置調整装置もしくは離型装置のいずれかがほぼ不要となり、システムの構成を簡素化することができると共に、転写装置7の台数を図1に示す態様に比べて少なくし、システム全体の規模を小さくすることができる。
[第3の実施形態]
図27は、本発明の第3の実施形態に係る転写システム1bの概略構成を示す平面図である。
転写システム1bは、第1の実施形態に係る転写システム1で使用されている位置調整装置5と転写装置7とが共用されている点を除いては、第1の実施形態に係る転写システム1とほぼ同様に構成されている。
すなわち、第3の実施形態に係る転写システム1bでは、位置調整装置5と転写装置7とに代えて、位置調整5と転写装置7との機能を備えた(位置調整装置5と転写装置7とが合体されている)位置調整・転写装置121が配置されている。
さらに、転写の態様(種類)によっては、位置調整装置(型Mと被成型品Wとの精密な位置調整)が不要な場合もある。この場合には、位置調整装置を削除してもよい。