JP4679844B2 - 光電気セル - Google Patents
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Description
膜に多孔質金属酸化物半導体膜と非孔質金属酸化物半導体膜を併用することを提案している。
このような状況のもと、本発明者らは、さらに鋭意研究を重ねた結果、半導体膜に酸化チタンナノチューブビードを用いると、電解質の拡散性、電子移動性が向上し、電子の再結合を抑制できるため光電変換効率が向上することを見出して本発明を完成するに至った。酸化チタンナノチューブビードとは、酸化チタンナノチューブの凝集体である。
(1)本発明に係る光電気セルは、表面に電極層(1)を有し、かつ該電極層(1)表面に光増感材を吸着した半導体膜(2)が形成されてなる基板と、
表面に電極層(3)を有する基板とが、
前記電極層(1)および電極層(3)が対向するように配置してなり、
半導体膜(2)と電極層(3)との間に電解質層を設けてなる光電気セルにおいて、 半導体膜(2)が酸化チタンナノチューブビードを含んでなり、少なくとも一方の基板および電極層が透明性を有し、
前記半導体膜(2)が、細孔径が200〜4000nmの範囲にある細孔を有し、かかる範囲の細孔の容積(V 1 )が全細孔容積(V T )の10〜70%の範囲にあることを特徴としている。
(2)前記半導体膜(2)が、さらに細孔径が20〜200nmの範囲にある細孔を有し、かかる範囲の細孔の容積(V 2 )が全細孔容積(V T )の5〜50%の範囲にある(ただし、V 1 とV 2 の合計は100%を超えることはない)。
(3)前記酸化チタンナノチューブビードの平均粒子径が0.5〜15μmの範囲にある。
(4)前記半導体膜(2)が酸化チタンナノチューブビードとともに酸化チタンバインダーを含む。
(5)前記酸化チタンバインダーが、酸化チタンゾルまたはペルオキソチタン酸から誘導された酸化チタンである。
(6)前記酸化チタンナノチューブビードが酸化チタンナノチューブ粒子分散液を噴霧乾燥し、ついで300〜800℃で加熱処理して得られたものである。
(7)前記酸化チタンナノチューブ粒子分散液が、さらに酸化チタンナノチューブ粒子とともに、酸化チタンゾルまたはペルオキソチタン酸を含む。
(8)前記電解質層が、電解質とゲル化剤と溶媒とからなり、電解質がイミダゾリウム塩、リチウムアイオダイド、ヨウ素、t-ブチルピリジン、またはこれらの混合物である。
(9)前記ゲル化剤として、シリカ微粒子、チタニア微粒子、酸化チタンナノチューブ、カーボンナノチューブ、ジルコニア微粒子から選ばれる1種以上の微粒子を含む。
(10)前記基板の少なくとも一方が樹脂フィルムである。
[光電気セル]
本発明に係る光電気セルは、表面に電極層(1)を有し、かつ該電極層(1)表面に光増感材を吸着した半導体膜(2)が形成されてなる基板と、表面に電極層(3)を有する基板とが、前記電極層(1)および電極層(3)が対向するように配置してなり、半導体膜(2)と電極層(3)との間に電解質層を設けてなる光電気セルにおいて、半導体膜(2)が酸化チタンナノチューブビード(凝集体)を含んでなり、少なくとも一方の基板および電極層が透明性を有していることを特徴としている。
図1は、本発明に係る光電気セルの一実施例を示す概略断面図であり、透明基板5表面に透明電極層1を有し、かつ該透明電極層1表面に光増感材を吸着した半導体膜2が形成されてなる基板と、基板6表面に還元触媒能を有する電極層3を有する基板とが、前記電極層1および3が対向するように配置され、さらに半導体膜2と電極層3との間に電解質4が封入されている。
透明基板5としてはガラス基板、PET等の有機ポリマー基板等の透明でかつ絶縁性を有する基板を用いることができる。
また、基板6としては使用に耐える強度を有していれば特に制限はなく、ガラス基板、PET等の有機ポリマー基板等の絶縁性基板、金属チタン、金属アルミ、金属銅、金属ニッケルなどの導電性基板を使用することができる。
透明基板5表面に形成された透明電極層1としては、酸化錫、Sb、FまたはPがドーピングされた酸化錫、Snおよび/またはFがドーピングされた酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化亜鉛、貴金属等の従来公知の電極を使用することができる。
電極層3
また、基板6表面に形成された電極層3としては、白金、ロジウム、ルテニウム金属、ルテニウム酸化物等の電極材料、酸化錫、Sb、FまたはPがドーピングされた酸化錫、Snおよび/またはFがドーピングされた酸化インジウム、酸化アンチモンなどの導電性材料の表面に前記電極材料をメッキあるいは蒸着した電極、カーボン電極など従来公知の電極を用いることができる。
、該導電層上に前記電極材料をメッキあるいは蒸着するなど従来公知の方法により形成することができる。
このような透明基板5と透明電極層1の可視光透過率は高い方が好ましく、具体的には50%以上、特に好ましくは90%以上であることが望ましい。可視光透過率が50%未満の場合は光電変換効率が低くなることがある。
が好ましい。電極層の抵抗値が100Ω/cm2を超えて高くなると光電変換効率が低く
なることがある。
半導体膜2は、前記透明基板5上に形成された透明電極層1上に形成されている。
なお半導体膜2は、基板6上に形成された電極層3上に形成されていてもよい。
半導体膜2の細孔容積は、0.2〜1.2ml/g、好ましくは0.4〜1.0ml/gの範囲にあることが望ましい。このような範囲にあれば、半導体膜は、光増感材の吸着量が高く、また、強度にも優れている。
〜4000nmの範囲の細孔容積をいい、BET法と水銀圧入法で求めることができる。
細孔容積(V1)が全細孔容積(VT)の10%未満の場合は、マクロポアが少ないため電解質の拡散性、特に電解質がゲル状電解質である場合の拡散性が不充分となり、光電変換効率の向上が不充分となることがある。
ないことがある。
細孔容積(V2)が多いと、一方でマクロポアが全細孔容積の10%未満となるため電
解質の拡散性、特に電解質がゲル状電解質である場合の拡散性が不充分となり、光電変換効率の向上が不充分となることがある。
内の電子移動性が低下して光電変換効率を低下させることがある。
このような半導体膜2中には、酸化チタンナノチューブビード(凝集体)が含まれている。
本発明に用いる酸化チタンナノチューブビードは、複数の酸化チタンナノチューブが球状に凝集したビード(凝集体粒子)であり、凝集体の平均粒子径が0.5〜15μm、さ
らには1〜10μmの範囲にあることが好ましい。
径(Din)が4〜30nm、好ましくは5〜20nmの範囲にあり、チューブの厚みが1〜20nm、好ましくは2〜15nmの範囲にあり、長さ(L)が25〜1000nm、好ましくは50〜600nmの範囲にあり、長さ(L)と前記外径(Dout)との比(L
)/(Dout)が5〜200nm、好ましくは10〜100の範囲にあることが好ましい
。
が4nm未満となり、管が細すぎてしまい、後述する電解質の拡散が不充分となり充分な光電変換効率が得られないことがある。酸化チタンナノチューブの外径(Dout)が40
nmを越えるものは得ることが困難である。
mを越えるものは得ることが困難である。
なり、暗電流防止性が不充分となり光電変換効率が不充分となる傾向がある。
となり、マクロポアの割合が低く、電解質の拡散が不充分となり光電変換効率の向上効果が得られないことがある。
アルカリ金属含有量が500ppmを越えると、半導体機能が低下するとともに、経時的に光電変換効率が低下する傾向にある。
なお、アナタース型酸化チタン1次粒子の結晶子径は、(1.0.1)面のピークの半値幅を測定し、ブルッカイト型酸化チタン1次粒子の結晶子径は、X線解折により(1.1.1)面のピークの半値幅を測定し、Debye-Scherrerの式により計算によって求めることができる。このブルッカイト型酸化チタン1次粒子およびアナタース型酸化チタン1次粒子の結晶子径が1nm未満の場合には粒子内の電子移動性が低下し、50nmを超えて大きい場合は光増感材の吸着量が低下し、光電変換効率が低下することがある。
酸化チタンナノチューブビードの製法
酸化チタンナノチューブの製造方法としては、特開平10−152323号公報に開示されている。前記公報には、鋭錐石(アナタース)、金紅石(ルチル)、板チタン石(ブルッカイト)等のチタン鉱石から下記公知の液相法により調製したものや、公知の気相法で合成したものを挙げることができる。また、公知のゾル・ゲル法で合成したものでもよい旨記載されている。しかしながら、かかる公報の実施例を忠実に再現しても、得られる結晶性チタニア粒子中には、チューブ状以外に粒状粒子や凝集体粒子が生成し、ナノチュ
ーブ結晶性チタニアの収率が低く、またナトリウムの残存量が多いために酸化物半導体としては充分な性能が得られず、ましてや太陽電池用の半導体膜としては全く性能を発現しない場合があった。
具体的には、酸化チタンナノチューブの製造方法としては、前記特開2003−137549号公報に記載の方法に準じて調製することが可能であり、酸化チタン粒子および/または酸化チタンと酸化チタン以外の酸化物からなる酸化チタン系複合酸化物粒子の水分散ゾルをアルカリ存在下で水熱処理する。
O2、CuO、AgO、AuO、Li2O、SrO、BaO、RuO2等を挙げることができる。
アルカリ金属水酸化物としてはLiOH、NaOH、KOH、RbOH、CsOHおよびこれらの混合物を用いることができ、特にNaOH、KOHおよびこれらの混合物は酸化チ
タンナノチューブの収率が高く好適である。
水熱処理は、50〜350℃、好ましくは80℃〜250℃の温度範囲で行われる。
子分散液に、さらにアルカリ金属カチオン以外のカチオン(プロトンを含む)存在下で水熱処理をしてもよい。
本発明に用いる酸化チタンナノチューブビードの製造方法は、前記酸化チタンナノチューブビードが得られれば特に制限はないが、噴霧乾燥法は球状の酸化チタンナノチューブビードが得られることから好適に採用される。
このときの酸化チタンナノチューブ水分散液の濃度はTiO2として3〜30重量%、さらには5〜20重量%の範囲にあることが好ましい。
ましい。
加熱処理温度が300℃未満の場合は、水酸基が残存するためか光増感材の吸着が不充分となったり、酸化チタンの結晶性が不充分であったり、さらに酸化チタンナノチューブの接触が不充分で粒界抵抗が大きくなるためか光電変換効率の向上効果が充分得られないことがある。
このようにして、本発明に用いる酸化チタンナノチューブビードが得られる。
このような酸化チタンバインダー成分としては、前記酸化チタンゾルおよび/またはゾル・ゲル法などで得られたオルソチタン酸のゲルまたはゾルに過酸化水素を加えて含水チタン酸を溶解したペルオキソチタン酸に由来するものが挙げられる。
03〜0.40、好ましくは0.1〜0.3の範囲にあることが望ましい。
重量比が多いと、前記マクロポアが減少し、電解質の拡散性、電子移動性等が低下することがあり、充分な光電変換効率が得られないことがある。
半導体膜2の形成には、酸化チタンナノチューブビードと、必要に応じて、酸化チタンバインダー成分である酸化チタン粒子分散ゾルおよび/またはバインダー成分の前駆体としてペルオキソチタン酸とを含む塗布液が使用される。酸化チタン粒子の平均粒子径が20nm以下であるものがバインダーとして効果が高いので好適である。
水和酸化チタンのゾルまたはゲルは、チタン化合物の水溶液に酸またはアルカリを加えて加水分解し、必要に応じて洗浄、加熱、熟成することによって得られる。使用されるチタン化合物としては特に制限はないが、ハロゲン化チタン、硫酸チタニル等のチタン塩、テトラアルコキシチタン等のチタンアルコキシド、水素化チタン等のチタン化合物を用いることができる。
塗布液中の酸化チタンナノチューブビードとバインダー成分の前駆体との量比は、重量比(酸化チタンバインダー成分/酸化チタンナノチューブビード)が前記したようになればよく、したがって、あらかじめ酸化チタンナノチューブビード中にバインダー成分が含まれている場合、必ずしも塗布液中に新たにバインダー成分の前駆体を添加する必要はない。
塗布液は最終的に形成される半導体膜の膜厚が0.1〜50μmの範囲となるように塗布されることが好ましい。塗布液の塗布方法としては、ディッピング法、スピナー法、スプレー法、ロールコーター法、フレキソ印刷、スクリーン印刷など従来公知の方法で塗布することができる。
本発明では、バインダー成分前駆体としてペルオキソチタン酸を含む場合、特に塗布した塗膜に紫外線を照射して、硬化させることが好ましい。紫外線の照射量はペルオキソチタン酸の含有量などによって異なるが、ペルオキソチタン酸が分解して硬化するに必要な量を照射すればよい。なお、塗布液中に膜成形助剤が含まれている場合には、塗膜硬化後、加熱処理して膜成形助剤を分解してもよい。
ン、クリプトンなど周期律表第0族の不活性ガスから選択される少なくとも1種のガスのイオンを照射した後、アニーリングすることが好ましい。
半導体膜2は光増感材を吸着している。
光増感材としては、可視光領域および/または赤外光領域の光を吸収して励起するものであれば特に制限はなく、たとえば有機色素、金属錯体などを用いることができる。
ス-ジアクア-ビス(2,2'-ビピリジル-4,4'-ジカルボキシラート)、シス-ルテニウム(SC
N-)2-(4,4'-ジカルボキシレート-2,2'-ビピリジン)、シス-ルテニウム(SCN-)2-(4,4'-ジノニル-2,2'-ビピリジン)などのルテニウム-シス-ジアクア-ビピリジル錯体、亜鉛-テトラ(4-カルボキシフェニル)ポルフィンなどのポルフィリン、鉄-ヘキサシアニド錯体
等のルテニウム、オスミウム、鉄、亜鉛などの錯体を挙げることができる。これらの金属錯体は分光増感の効果や耐久性に優れている。
このような光増感材の吸着方法は、特に制限はなく、光増感材を溶媒に溶解した溶液を、ディッピング法、スピナー法、スプレー法等の方法により半導体膜に吸収させ、次いで乾燥する等の一般的な方法が採用できる。さらに必要に応じて前記吸収工程を繰り返してもよい。また、光増感材溶液を加熱環流しながら前記基板と接触させて光増感材を半導体膜に吸着させることもできる。
上であることが好ましい。光増感材の量が50μg未満の場合、光電変換効率が不充分となることがある。
電解質と半導体膜との接触面積を高めるため、電解質膜表面は凸凹を有していることが望ましい。上記半導体膜では、酸化チタンナノチューブビードを含んでいるので、半導体膜表面は凸凹している。さらに、半導体膜に凹凸を設けるために、電極層表面に突設部を設けても良い。また電解質の厚さを均一にするため、半導体膜と対向する電極層の間にスペーサ粒子を介在させてもよい。スペーサ粒子としては公知のものが使用され、シリカ粒子、シリカ・アルミナなどの無機粒子、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリルなどの有機樹脂粒子、ポリオルガノシロキサン粒子などが例示される。
電解質4としては、電気化学的に活性な塩とともに酸化還元系を形成する少なくとも1種の化合物との混合物が使用される。
、沃化カリウム、沃化リチウム、臭素(Br-/Br- 3)、臭化カリウム等、さらには、t-
ブチルピリジンなどのピリジン系化合物が挙げられる。また、各種沃化イミダゾリウム/沃素の組み合わせも好適に採用することができる。
また本発明では、前記電解質4には必要に応じて溶媒に溶解した電解液を用いることもできる。このとき使用される溶媒は、前記電解質を溶解するものであれば特に制限されるものではないが、半導体膜に吸着した光増感材が脱着して溶解することのない程度に光増感材の溶解度の低いものが望ましい。具体的には水、アルコール類、オリゴエーテル類、プロピオンカーボネート等のカーボネート類、燐酸エステル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン、N-ビニルピロリドン、スルホラン66の硫黄化合物、炭酸エチレン、アセトニトリル等が挙げられる。
電解質は液状の電解液であってもよく、さらに、固体またはゲル状の固体電解質を用いることができる。
、poly(epichlorohydrin-Co-ethylene oxide)、2,2',7,7'-tetorakis(N,N-di-P-methoxyphenyl-amine)-9,9'-spirobifluorene 、パーフルオロスルフォネートなどのようなプロトン伝導性を有するフッ素系のイオン交換樹脂、パーフルオロカーボン共重合体、パーフルオロカーボンスルホン酸等の他、ポリエチレンオキサイドや、イオンゲル法としてたとえばイミダゾールカチオンとBr-、BF4 -、N-(SO2CF3)2で対イオンを形成し、これにビニルモノマー、PMMAモノマーを加えて重合させたものも好適に用いることができる。これらの固体電解質を使用する場合、固体電解質を構成する成分を溶媒に分散または溶解させ、該分散液または溶液を注入し、電極間に注入したのち、必要に応じて溶媒を除去したのち、入り口を封して光電気セルが形成される。
さらに、電解液にゲル化剤として、シリカ微粒子、チタニア微粒子、ジルコニア微粒子、酸化チタンナノチューブ、カーボンナノチューブ等の微粒子を添加してもよく、このような微粒子を含んでいると電解液の粘度が上昇したり、ゲル化したりして、液体電解質と異なり電解質の逸散がなく、このため長期使用によっても光電変換効率が低下することがなく、また腐食等の原因になることもない。
こともある)が向上する。
以下、実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
酸化チタンナノチューブビード(TNTB-1)の調製
塩化チタン水溶液を純水で希釈してTiO2として濃度5重量%の塩化チタン水溶液を調製した。この水溶液を、温度を5℃に調節した濃度15重量%のアンモニア水に添加して中和・加水分解した。塩化チタン水溶液添加後のpHは10.5であった。ついで、生成
したゲルを濾過洗浄し、TiO2として濃度9重量%のオルソチタン酸のゲルを得た。
5重量%であった。
ムハイドロオキサイド(TMAH MW=149.2)を添加した。このときの分散液のpHは11であ
った。ついで、230℃で5時間水熱処理して酸化チタン粒子(T-1)分散液を調製した。酸化チタン粒子(T-1)の平均粒子径は30nmであった。
gを、TiO2のモル数(TM)とアルカリ金属水酸化物のモル数(AM)とのモル比(AM
)/(TM)が10となるように添加し、150℃で10時間水熱処理した。
5重量%であった。
量%)に有機塩基としてテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)をTiO2に対するモル比が0.1となるように添加した。このときのpHは13.2であった。この分散液を110℃で5時間水熱処理して酸化チタンナノチューブ粒子(TNT-1)を調製した
。
また粒子のTEM写真を撮影し求めた平均粒子長(L)は400nm、平均管外径(Dout)は12nm、平均管内径(Din)は8nmであった。またBET法で求めた粒子の
比表面積は300m2/g、X線回折で求めた結晶形はアナタース型であった。
して濃度20重量%の酸化チタンナノチューブ粒子(TNT-1)分散液50gに、前期と同
様にして調製し濃縮したTiO2として濃度が2.0重量%のペルオキソチタン酸水溶液1
00gを添加し、180℃の熱風気流中に噴霧して酸化チタンナノチューブビード(TNTB-1)を調製した。酸化チタンナノチューブビード(TNTB-1)の平均粒子径は5.0μmであった。
はアナタース型であった。
半導体膜(1)の調製
10gの水素化チタン粉末を純水2Lに懸濁し、これに濃度5重量%の過酸化水素水800gを30分間で添加し、ついで、80℃に加熱し、ペルオキソチタン酸の溶液を調製した。
重量%となるように膜形成助剤としてヒドロキシプロピルセルロースを添加して半導体膜形成用塗布液(1)を調製した。
紫外線を照射してペルオキソ酸を分解させ、塗膜を硬化させた。塗膜を300℃で30分間加熱してヒドロキシプロピルセルロースの分解およびアニーリングを行って膜厚15μmの半導体膜(1)を形成した。
ロポア割合およびメソポア割合を表1に示した。
光増感材の吸着
次に、光増感材としてシス-(SCN-)-ビス(2,2'-ビピリジル-4,4'-ジカルボキシレー
ト)ルテニウム(II)で表されるルテニウム錯体の濃度3×10-4モル/リットルのエタノ
ール溶液を調製した。この光増感材溶液をrpm100スピナーを用いて、半導体膜(1)上へ塗
布して乾燥した。この塗布および乾燥工程を5回行った。得られた半導体膜(1)の光増感
材の吸着量を表1に示した。
アセトニトリルとバレロニトリルとを体積比(アセトニトリル:バレロニトリル)が1:1となるように混合した溶媒に、ブチルイミダゾリウムアイオダイド(BMII)が0.6M/L、ヨウ素を0.05M/L、t−ブチルピリジン(t-bupyr)が0.5M/L、沃化リチウムが0.1M/Lとなるように溶解して電解質溶液を調製した。
酸化チタンナノチューブビード(TNTB-2)の調製
酸化チタンナノチューブ粒子(TNT-1)の乾燥粉末を水に分散させたTiO2として濃度
20重量%の酸化チタンナノチューブ粒子(TNT-1)分散液50gに、前期と同様にして
調製し濃縮したTiO2として濃度が2.0重量%のペルオキソチタン酸水溶液200gを
添加し、180℃の熱風気流中に噴霧して酸化チタンナノチューブビード(TNTB-2)を調
製した。酸化チタンナノチューブビード(TNTB-2)の平均粒子径は4.5μmであった。
光電気セル(2)の作成
酸化チタンナノチューブビード(TNTB-2)を用いた以外は実施例1と同様にして半導体
膜(2)を調製し、光増感材を吸着させ、電解質を封入し、さらに電極間をリード線で接続
して光電気セル(2)を作成した。得られた光電気セル(2)についてVoc、Joc、FFおよびηを測定し結果を表に示した。
酸化チタンナノチューブビード(TNTB-3)の調製
酸化チタンナノチューブ粒子(TNT-1)の乾燥粉末を水に分散させたTiO2として濃度
20重量%の酸化チタンナノチューブ粒子(TNT-1)分散液50gに、前期と同様にして
調製し濃縮したTiO2として濃度が2.0重量%のペルオキソチタン酸水溶液50gを添
加し、180℃の熱風気流中に噴霧して酸化チタンナノチューブビード(TNTB-3)を調製
した。酸化チタンナノチューブビード(TNTB-3)の平均粒子径は6.5μmであった。つ
いで酸化チタンナノチューブビード(TNTB-2)を700℃で1時間焼成した。
酸化チタンナノチューブビード(TNTB-3)を用いた以外は実施例1と同様にして半導体
膜(3)を調製し、光増感材を吸着させ、電解質を封入し、さらに電極間をリード線で接続
して光電気セル(3)を作成した。得られた光電気セル(3)についてVoc、Joc、FFおよびηを測定し結果を表に示した。
光電気セル(4)の作成
実施例1において、ペルオキソチタン酸溶液を、ペルオキソチタン酸溶液と酸化チタンナノチューブ(TNTB-1)の酸化物換算の重量比(ペルオキソチタン酸/酸化チタンナノチューブ(TNTB-1))が0.05となるように混合した以外は同様にして半導体膜(4)を調製し、光増感材を吸着させ、電解質を封入し、さらに電極間をリード線で接続して光電気セル(4)を作成した。得られた光電気セル(4)についてVoc、Joc、FFおよびηを測定し結果を表に示した。
光電気セル(5)の作成
実施例1において、ペルオキソチタン酸溶液を、ペルオキソチタン酸溶液と酸化チタンナノチューブ(TNTB-1)の酸化物換算の重量比(ペルオキソチタン酸/酸化チタンナノチューブ(TNTB-1))が0.3となるように混合した以外は同様にして半導体膜(5)を調製し、光増感材を吸着させ、電解質を封入し、さらに電極間をリード線で接続して光電気セル(5)
を作成した。得られた光電気セル(5)についてVoc、Joc、FFおよびηを測定し結果を
表に示した。
光電気セル(6)の作成
実施例1において、ペルオキソチタン酸溶液を調製し、ついで95℃で10時間加熱して得た酸化チタン粒子分散液(ゾル)をペルオキソチタン酸溶液の代わりに用いた以外は同様にして半導体膜(6)を調製し、光増感材を吸着させ、電解質を封入し、さらに電極間
をリード線で接続して光電気セル(6)を作成した。得られた光電気セル(6)についてVoc、Joc、FFおよびηを測定し結果を表に示した。
光電気セル(7)の作成
実施例1において、実施例1で用いた電解質にさらにシリカゾル(触媒化成工業(株)製:SI−350、平均粒子径8nm、SiO2濃度10重量%)をSiO2として0.5M/Lとなるように加え、電解質をゲル化前に封入し、さらに電極間をリード線で接続して光電気セル(7)を作成した。得られた光電気セル(7)についてVoc、Joc、FFおよびηを測定し結果を表に示した。
質漏れを観察したが電解質の漏れは認められなかった。また、このときのηは4.6であった。なお、実施例1で得た光電気セル(1)は、同様に75℃で500時間処理した後に
電解質漏れが観察され、このときのηは4.0であった。
半導体膜(R1)の調製
実施例1において、酸化物としての濃度が10重量%の焼成した酸化チタンナノチューブビード(TNTB-1)分散液の代わりに、酸化チタンナノチューブ粒子(TNT-1)の乾燥粉末
を水に分散させたTiO2として濃度10重量%の酸化チタンナノチューブ粒子(TNT-1)分散液を用いた以外は同様にして半導体膜形成用塗布液(R1)を調製し、ついで、膜厚15μmの半導体膜(R1)を形成した。
光電気セル(R1)の作成
ついで、実施例1と同様にして光増感材の吸着を行い、ついで、光電気セル(R1)を作成した。得られた光電気セル(R1)についてVoc、Joc、FFおよびηを測定し結果を表に示した。
2…半導体膜
3…電極層
4…電解質
5…透明基板
6…基板
Claims (10)
- 表面に電極層(1)を有し、かつ該電極層(1)表面に光増感材を吸着した半導体膜(2)が形成されてなる基板と、
表面に電極層(3)を有する基板とが、
前記電極層(1)および電極層(3)が対向するように配置してなり、
半導体膜(2)と電極層(3)との間に電解質層を設けてなる光電気セルにおいて、 半導体膜(2)が酸化チタンナノチューブビードを含んでなり、少なくとも一方の基板および電極層が透明性を有し、
前記半導体膜(2)が、細孔径が200〜4000nmの範囲にある細孔を有し、かかる範囲の細孔の容積(V1)が全細孔容積(VT)の10〜70%の範囲にあることを特徴とする光電気セル。 - 前記半導体膜(2)が、さらに細孔径が20〜200nmの範囲にある細孔を有し、かかる範囲の細孔の容積(V2)が全細孔容積(VT)の5〜50%の範囲にある(ただし、V1とV2の合計は100%を超えることはない)ことを特徴とする請求項1に記載の光電気セル。
- 前記酸化チタンナノチューブビードの平均粒子径が0.5〜15μmの範囲にあることを特徴とする請求項1または2に記載の光電気セル。
- 前記半導体膜(2)が酸化チタンナノチューブビードとともに酸化チタンバインダーを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光電気セル。
- 前記酸化チタンバインダーが、酸化チタンゾルまたはペルオキソチタン酸から誘導された酸化チタンであることを特徴とする請求項4に記載の光電気セル。
- 前記酸化チタンナノチューブビードが酸化チタンナノチューブ粒子分散液を噴霧乾燥し、ついで300〜800℃で加熱処理して得られたものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光電気セル。
- 前記酸化チタンナノチューブ粒子分散液が、さらに酸化チタンナノチューブ粒子とともに、酸化チタンゾルまたはペルオキソチタン酸を含むことを特徴とする請求項6に記載の光電気セル。
- 前記電解質層が、電解質とゲル化剤と溶媒とからなり、電解質がイミダゾリウム塩、リチウムアイオダイド、ヨウ素、t-ブチルピリジン、またはこれらの混合物であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の光電気セル。
- 前記ゲル化剤として、シリカ微粒子、チタニア微粒子、酸化チタンナノチューブ、カーボンナノチューブ、ジルコニア微粒子から選ばれる1種以上の微粒子を含んでなることを特徴とする請求項8に記載の光電気セル。
- 前記基板の少なくとも一方が樹脂フィルムであることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の光電気セル。
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