JP4294245B2 - 光電気セルおよび光触媒 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の技術分野】
本発明は、光電気セル用金属酸化物半導体膜に管状酸化チタン粒子を用いた光電気セルに関する。また管状酸化チタン粒子を用いた光触媒にも関する。
さらに詳しくは、金属酸化物半導体膜への光増感材の吸着が高く、電解質の拡散性に優れ、アルカリ金属の含有量が極めて少ないために光電変換効率等の向上した光電気セルに関する。また、アルカリ金属の含有量が極めて少なく、反応物、生成物等の拡散性に優れた高活性の光触媒に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
酸化チタン粒子、酸化チタン系複合酸化物粒子はその化学的特性を利用した用途が広く、たとえば酸素と適当な結合力を有するとともに耐酸性を有するため、酸化還元触媒あるいは担体、紫外線の遮蔽力を利用した化粧材料またはプラスチックの表面コート剤、さらには高屈折を利用した反射防止コート材、導電性を利用した帯電防止材として用いられたり、これらの効果を組み合わせて機能性ハードコート材に用いられたり、さらに光触媒作用を使用した防菌剤、防汚剤、超親水性被膜などに用いられている。さらに近年、酸化チタンは、高いバンドギャップを有することから光触媒、さらには光エネルギーを電気エネルギーに変換する、いわゆる光電変換材料として好適に用いられるようになっている。また、リチウムバッテリーのような2次電池、水素吸蔵材料、プロトン導電材料等にも利用されるようになってきている。
【0003】
光電変換材料は光エネルギーを電気エネルギーとして連続して取り出せる材料であり、電極間の電気化学反応を利用して光エネルギーを電気エネルギーに変換する材料である。光電変換材料に光を照射すると、一方の電極側で電子が発生し、対電極に移動し、対電極に移動した電子は、電解質中をイオンとして移動して一方の電極に戻る。このようなエネルギー変換は連続的に行われるため、たとえば、太陽電池などに利用されている。
【0004】
一般的な太陽電池は、まず透明性導電膜をコートしたガラス板などの支持体上に光電変換材料用半導体の膜を形成して電極とし、つぎに、対電極として別の透明性導電膜をコートしたガラス板などの支持体を備え、これらの電極間に電解質を封入して構成されている。
光電変換材料用半導体に吸着した光増感材に太陽光を照射すると、光増感材は可視領域の光を吸収し、光増感材中の電子が励起され、励起された電子は半導体に移動し、ついで、透明導電性ガラス電極を通って対電極に移動し、対電極に移動した電子は電解質中の酸化還元系を還元する。一方、半導体に電子を移動させた光増感材は、酸化体の状態になっているが、この酸化体は電解質中の酸化還元系によって還元され、元の状態に戻る。このようにして電子が連続的に流れることから光電変換材料用半導体を用いた太陽電池として機能する。
【0005】
このような光電変換材料としては、半導体表面に可視光領域に吸収を持つ光増感色素を吸着させたものが用いられている。たとえば、特開平1−220380号公報には、金属酸化物半導体の表面に、遷移金属錯体などの発色剤層を有する太陽電池を記載している。また、特表平5−504023号公報には、金属イオンでドープした酸化チタン半導体層の表面に、遷移金属錯体などの光増感色素層を有する太陽電池を記載している。
【0006】
上記のような太陽電池では、光を吸収して励起した光増感色素層からチタニア膜へ電子の移動が迅速に行われることが光変換効率向上に重要であり、迅速に電子移動が行われないと再度ルテニウム錯体と電子の再結合が起こり光変換効率が低下する問題がある。本願出願人は、このような問題点を解決するために特開平11−339867号公報に特定範囲の細孔容積の金属酸化物半導体膜を用いることを提案している。特開2000−77691号公報、特開平13−155791号公報にコアセル構造を有する金属酸化物粒子を用いた光電気セルを開示している。また、特願平13−123065号にて金属酸化物半導体膜に多孔質金属酸化物半導体膜と非孔質金属酸化物半導体膜を併用することを提案している。
【0007】
しかしながら、現状では光電変換効率が充分でなく用途に制限があり、さらに改良が望まれていた。
また、最近、チタニアの光触媒作用を利用した製品が注目を集めている。たとえば、表面にチタニア膜を形成したタイル、チタニアを含有したカーテン、活性炭やゼオライトにチタニアを担持した脱臭剤などが市販され評判を集めている。
【0008】
これらは、いずれもチタニアの光触媒作用により、表面に付着した汚染物、微生物あるいは臭気物質が分解されることによる防汚、防菌あるいは脱臭効果をねらったものである。
このチタニアの光触媒作用は、チタニア粒子に紫外線が照射されると粒子内部で電子またはホールが発生し、これが粒子表面に拡散されて酸化剤または還元剤として作用し、この酸化作用または還元作用によるものといわれている。
【0009】
このような光触媒作用を有するチタニア被膜は、光触媒活性を高めるため、膜厚を厚くする必要がある。また、光を照射したときに粒子内部に発生した電子またはホールが被膜の表面まで速やかに移動するためには、被膜が緻密であることが必要である。このため、通常、製膜時に高温で処理することによって、粒子間の融着を促進して被膜の緻密化を図るとともに、被膜の硬度を高めているが、被膜の処理温度を高くすると、チタニアの結晶構造がアナターゼ型からルチル型に変化し、光触媒活性が低くなるという問題があった。
【0010】
また、このような光触媒作用を有するチタニア被膜は、製膜時に高温で処理するため、耐熱性のないガラス、プラスチック、木材、繊維、布などの上に形成するのが困難であるという問題点もあった。
このため、高温処理したチタニア粒子を用いて被膜形成用塗布液を調製し、この塗布液を基材上に塗布して被膜を形成することによって、比較的低温で硬化被膜を形成することが試みられている。
【0011】
しかしながら、高温処理されたチタニア粒子は、一般に粒子径が大きく、屈折率が高いため、被膜中でのチタニア粒子による光の散乱が大きく、高透明性の被膜が得られないという欠点があった。
【0012】
【発明の目的】
本発明は、光増感材吸着量が高く、光増感材との反応性が高く半導体膜内の電子移動がスムーズで、かつ光電変換効率の向上した光電気セル、および反応物・生成物等の拡散性に優れた高活性の光触媒を提供することを目的としている。
【0013】
【発明の概要】
本発明に係る光電気セルは、
表面に電極層(1)を有し、かつ該電極層(1)表面に光増感材を吸着した金属酸化物半導体膜(2)が形成されてなる基板と、
表面に電極層(3)を有する基板とが、
前記電極層(1)および電極層(3)が対向するように配置してなり、
金属酸化物半導体膜(2)と電極層(3)との間に電解質層を設けてなる光電気セルにおいて、
少なくとも一方の基板および電極が透明性を有し、
金属酸化物半導体膜(2)が、外径(Dout)が5〜40nmの範囲にあり、内径(Din)が4〜30nmの範囲にあり、管の厚みが1〜20nmの範囲にあり、長さ(L)が25〜1000nmの範囲にあり、この長さ(L)と前記外径(Dout)との比(L)/(Dout)が5〜200の範囲にある管状酸化チタン粒子を含んでなり、
該管状酸化チタン粒子が、原料としてペルオキソチタン酸に由来する平均粒子径が2〜100nm酸化チタン粒子または酸化チタン系複合酸化物粒子の水分散ゾルを用いて、得られた非凝集管状酸化チタン粒子であることを特徴としている。
【0014】
前記非凝集管状酸化チタン粒子が、
ペルオキソチタン酸を加熱したものであるか、あるいは、ペルオキソチタン酸にチタン以外の元素の無機化合物粒子、金属アルコキシド、塩、またはアルコキシシランを添加して加熱して得られた(i)酸化チタン粒子および/または(ii)酸化チタンと酸化チタン以外の酸化物からなる酸化チタン系複合酸化物粒子が水に分散してなり、かつこれらの粒子の平均粒子径が2〜100nmの範囲にある水分散ゾルを、アルカリ金属水酸化物の存在下で水熱処理したものであるか、
水分散ゾルを、アルカリ金属水酸化物の存在下に水熱処理した後(1段目)、さらにアルカリ金属カチオン以外のカチオン(プロトンを含む)存在下で水熱処理する(2段目)ことで得られものであるか、
該水分散ゾルを、アルカリ金属水酸化物の存在下および水酸化アンモニウムおよび/または有機塩基の共存下に水熱処理した後(1段目)、さらにアルカリ金属カチオン以外のカチオン(プロトンを含む)存在下で水熱処理する(2段目)ことで得られものである。
【0016】
前記管状酸化チタン粒子中のアルカリ金属含有量が500ppm以下であることが好ましい。
【0017】
【発明の具体的説明】
以下、本発明に係る光電気セルおよび光触媒について説明する。
[光電気セル]
本発明に係る光電気セルは、
本発明に係る光電気セルは、
表面に電極層(1)を有し、かつ該電極層(1)表面に光増感材を吸着した金属酸化物半導体膜(2)が形成されてなる基板と、
表面に電極層(3)を有する基板とが、
前記電極層(1)および電極層(3)が対向するように配置してなり、
金属酸化物半導体膜(2)と電極層(3)との間に電解質層を設けてなる光電気セルにおいて、
少なくとも一方の基板および電極が透明性を有し、
金属酸化物半導体膜(2)が、外径(Dout)が5〜40nmの範囲にあり、内径(Din)が4〜30nmの範囲にあり、管の厚みが1〜20nmの範囲にあり、長さ(L)が25〜1000nmの範囲にあり、この長さ(L)と前記外径(Dout)との比(L)/(Dout)が5〜200の範囲にある管状酸化チタン粒子を含んでなり、
該管状酸化チタン粒子が、原料としてペルオキソチタン酸に由来する平均粒子径が2〜100nm酸化チタン粒子または酸化チタン系複合酸化物粒子の水分散ゾルを用いて、得られた非凝集管状酸化チタン粒子であることを特徴としている。
【0018】
このような光電気セルとして、たとえば、図1に示すものが挙げられる。
図1は、本発明に係る光電気セルの一実施例を示す概略断面図であり、透明基板5表面に透明電極層1を有し、かつ該透明電極層1表面に光増感材を吸着した金属酸化物半導体膜2が形成されてなる基板と、
基板6表面に還元触媒能を有する電極層3を有する基板とが、
前記電極層1および3が対向するように配置され、
さらに金属酸化物半導体膜2と電極層3との間に電解質4が封入されている。
【0019】
透明基板5としてはガラス基板、PET等の有機ポリマー基板等の透明でかつ絶縁性を有する基板を用いることができる。
また、基板6としては使用に耐える強度を有していれば特に制限はなく、ガラス基板、PET等の有機ポリマーからなる基板といった絶縁性基板の他に金属チタン、金属アルミ、金属銅、金属ニッケルなどの導電性基板を使用することができる。
【0020】
透明基板5表面に形成された透明電極層1としては、酸化錫、Sb、FまたはPがドーピングされた酸化錫、Snおよび/またはFがドーピングされた酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化亜鉛、貴金属等の従来公知の電極を使用することができる。
このような透明電極層1は、熱分解法、CVD法等の従来公知の方法により形成することができる。
【0021】
また、基板6表面に形成された電極層3としては、白金、ロジウム、ルテニウム金属、ルテニウム酸化物等の電極材料、酸化錫、Sb、FまたはPがドーピングされた酸化錫、Snおよび/またはFがドーピングされた酸化インジウム、酸化アンチモンなどの導電性材料の表面に前記電極材料をメッキあるいは蒸着した電極、カーボン電極など従来公知の電極を用いることができる。
【0022】
このような電極層3は、基板6上に前記電極を直接コーティング、メッキあるいは蒸着させて、導電性材料を熱分解法、CVD法等の従来公知の方法により導電層を形成した後、該導電層上に前記電極材料をメッキあるいは蒸着するなど従来公知の方法により形成することができる。
なお、基板6は、透明基板5と同様に透明なものであってもよく、また電極層3は、透明電極層1と同様に透明電極であってもよい。
【0023】
このような透明基板5と透明電極層1の可視光透過率は高い方が好ましく、具体的には50%以上、特に好ましくは90%以上であることが望ましい。可視光透過率が50%未満の場合は光電変換効率が低くなることがある。
これら透明電極層1および電極層3の抵抗値は、各々100Ω/cm2以下であることが好ましい。電極層の抵抗値が100Ω/cm2を超えて高くなると光電変換効率が低くなることがある。
【0024】
金属酸化物半導体膜2は、前記透明基板5上に形成された透明電極層1上に形成されている。
なお金属酸化物半導体膜2は、基板6上に形成された電極層3上に形成されていてもよい。
この金属酸化物半導体膜2の膜厚は、0.1〜50μm、さらには2〜20μmの範囲にあることが好ましい。
【0025】
このような金属酸化物半導体膜2中には、管状酸化チタン粒子が含まれている。
管状酸化チタン粒子は、外径(Dout)が5〜40nm、好ましくは10〜30nmの範囲にあり、内径(Din)が4〜30nm、好ましくは5〜20nmの範囲にあり、管の厚みが1〜20nm、好ましくは2〜15nmの範囲にあり、長さ(L)が25〜1000nm、好ましくは50〜600nmの範囲にあり、この長さ(L)と前記外径(Dout)との比(L)/(Dout)が5〜200、好ましくは10〜100の範囲にあることが望ましい。
【0026】
上記外径(Dout)、内径(Din)、長さ(L)等は透過型電子顕微鏡写真を撮影し、100個の粒子について各値を測定し、この平均値としてもとめる。また、内径(Din)は、外径を求める線の内側に認められるコントラストの境をなす線より求めることができる。
管状酸化チタン粒子の外径(Dout)が5nm未満の場合は、これに対応して内径が4nm未満となり、後述する電解質の拡散が不充分となり充分な光電変換効率が得られないことがある。
【0027】
管状酸化チタン粒子の外径(Dout)が40nmを越えるものは得ることが困難である。
また、管状酸化チタン粒子の内径(Din)が4nm未満の場合は、前述したように充分な光電変換効率が得られないことがある。
管状酸化チタン粒子の内径(Din)が30nmを越えるものは得ることが困難であり、また、金属酸化物半導体膜中の酸化チタンの密度が低下し、充分な光電変換効率が得られないことがある
また、このとき管の厚みが1nm未満の場合は、結晶層の厚みが小さく、半導体機能が不充分となり、充分な光電変換効率が得られないことがある。
【0028】
管の厚みが20nmを越えると、従来の結晶性酸化チタンに比べて比表面積が高いという特徴
(効果)が小さくなり、これに対応して分光増感色素の吸着量も充分高いとはいえず、光電変換効率を高める効果が不充分となることがある。
さらに、管状酸化チタン粒子の長さ(L)が25nm未満の場合は、金属酸化物半導体膜中における粒子数が多くなり、粒界抵抗が増大するので充分な光電変換効率が得られないことがある。
【0029】
管状酸化チタン粒子の長さ(L)が1000nmを越えると、管の内径にもよるが、電解質の拡散が不充分となり充分な光電変換効率が得られないことがある。
上記において、管状酸化チタン粒子の長さ(L)と外径(Dout)との比(L)/(Dout)が5未満の場合は、得られる金属酸化物半導体膜の電極層との密着性が低下し、膜の強度も不充分となることがある。
(L)/(Dout)が200を越えると、光の散乱が増大したり、電解質の拡散が不充分となり充分な光電変換効率が得られないことがある。
【0030】
つぎに、管状酸化チタン粒子中のアルカリ金属含有量が500ppm以下、さらには200ppm以下、特に100ppmであることが好ましい。
アルカリ金属含有量が500ppmを越えると、半導体機能が低下するとともに、経時的に光電変換効率が低下する傾向にある。
本発明の光電気セルに用いる管状酸化チタン粒子は無定型酸化チタンであってもよいが、アナタース型酸化チタン、ブルッカイト型酸化チタン、ルチル型酸化チタンおよびこれらの混晶体、共晶体など結晶性の酸化チタンが好ましく、特にアナタース型酸化チタン、ブルッカイト型酸化チタンはバンドギャップが高いので好ましい。
【0031】
このようなアナターゼ型酸化チタン、ブルッカイト型酸化チタンの結晶子径は、1〜50nm、好ましくは5〜30nmの範囲にあることが好ましい。
なお、アナターゼ型酸化チタン1次粒子の結晶子径は、(1.0.1)面のピークの半値幅を測定し、ブルッカイト型酸化チタン1次粒子の結晶子径は、X線解折により(1.1.1)面のピークの半値幅を測定し、Debye-Scherrerの式により計算によって求めることができる。このブルッカイト型酸化チタン1次粒子およびアナターゼ型酸化チタン1次粒子の結晶子径が1nm未満の場合には粒子内の電子移動性が低下し、50nmを超えて大きい場合は光増感材の吸着量が低下し、光電変換効率が低下することがある。
【0032】
共晶体の場合は、電界放射型透過型電子顕微鏡写真(FE−TEM)測定により、結晶格子定数、結晶形、結晶子径を測定することができる。
管状酸化チタン粒子の製造方法
つぎに、このような管状酸化チタン粒子の製造方法について説明する。
本発明に用いる管状酸化チタン粒子の製造方法としては、前記した管状酸化チタン粒子が得られれば特に制限はないが、本発明に係る管状酸化チタン粒子の製造方法は、
(i)酸化チタン粒子および/または(ii)酸化チタン系複合酸化物粒子が水に分散してなる水分散ゾルを、アルカリ金属水酸化物存在下で水熱処理する。
【0033】
酸化チタン粒子および酸化チタン系複合酸化物粒子
本発明で使用される酸化チタン粒子および酸化チタン系複合酸化物粒子としては、平均粒子径が2〜100nm、好ましくは5〜80nmの範囲にある酸化チタン粒子および/または酸化チタンと酸化チタン以外の酸化物からなる酸化チタン系複合酸化物粒子の水分散ゾルを用いる。
【0034】
平均粒子径が前記範囲内にあれば、安定な水分散ゾルが得られ、非常に高い収率でしかも単分散性に優れた管状酸化チタン粒子を製造することができる。なお平均粒子径が前記範囲を外れて小さいと、安定な水分散ゾルを得ること自体が困難である。また、平均粒子径が前記範囲を外れて大きくなっても、得られる管状酸化チタンの収率、単分散性などの点でより優れた管状酸化チタン粒子を得ることが困難であり、粒子自体の分散性が低下したり、また粒子およびゾルの調製に時間と手間を要すことがある。
【0035】
本発明では、前記粒子が水に分散して水分散ゾルを使用するが、このゾル中には必要に応じてアルコール等の有機溶媒が含まれていてもよい。
前記酸化チタン粒子および/または酸化チタンと酸化チタン以外の酸化物からなる酸化チタン系複合酸化物粒子の水分散ゾルの濃度としては特に制限はないが、酸化物として2〜50重量%、さらには5〜40重量%の範囲にあることが好ましい。このような濃度範囲にあれば、ゾルは安定であり、アルカリ処理時に粒子が凝集することもなく、効率的に管状酸化チタン粒子を製造することができる。なお、前記濃度が前記範囲を外れて少ないと、濃度が低すぎてしまい管状酸化チタンの生成に長時間を要したり、得られる管状酸化チタンの収率が低く効率的でなく、前記濃度が前記範囲を外れて大きいと水分散ゾルの安定性が低下したり、アルカリ処理時の濃度が高いために得られる管状酸化チタンが凝集することがある。
【0036】
酸化チタン粒子を単独で使用しても、また、酸化チタンと酸化チタン以外の酸化物からなる酸化チタン系複合酸化物粒子を使用しても、あるいは双方を混合して使用してもよい。
酸化チタン以外の酸化物としては周期律表の第Ia族、第Ib族、第IIa族、第IIb族、第IIIa族、第IIIb族、第IVa族、第IVb族、第Va族、第Vb族、第VIa族、第VIb族、第VIIa族、第VIII族から選ばれる元素の1種以上の酸化物であることが好ましく、具体的にはSiO2、ZrO2、ZnO、Al23、CeO2、Y23、Nd23、WO3、Fe23、Sb25、CeO2、CuO、AgO、AuO、Li2O、SrO、BaO、RuO2等を挙げることができる。
【0037】
このような酸化物が含まれていると、酸化物がアルカリ可溶の酸化物の場合には管状酸化チタン粒子が特に生成しやすく、またアルカリ難溶の酸化物であると、該酸化物が得られる管状酸化チタン粒子中に残留し、複合酸化物としての機能たとえば固体酸触媒機能、イオン交換機能等を、得られる管状酸化チタン粒子に付与することができる。
【0038】
本発明ではこれらの酸化物のうち、特に、SiO2、ZrO2、ZnO、Al23、CeO2、Y23、Nd23、WO3、Fe23、Sb25が好適である。これらの酸化物が含まれていると、管状酸化チタンの収率が極めて高く、またこれらの酸化物が残存することにより得られる環状酸化チタン粒子の紫外線吸収領域、誘電率、光触媒活性、プロトン導電性、固体酸特性等を調節することができ、さらに熱的安定性や化学的安定性等を調節することもできる。
【0039】
前記酸化チタン系複合酸化物粒子(酸化チタンと酸化物チタン系複合酸化物粒子との混合物を使用する場合は、複合酸化物粒子)中の酸化チタン以外の酸化物の含有量は、酸化物がアルカリ可溶性であるか、アルカリ難溶性であるかなどによって異なるが、1〜50重量%、さらには2〜25重量%の範囲にあることが好ましい。このような範囲にあると、高い収率で管状酸化チタン粒子を製造することができる。
【0040】
また、酸化チタン以外の酸化物の含有量が上記範囲の上限よりも大きいと、酸化物がアルカリ可溶の酸化物であっても管状酸化チタンの収率が低下したり、球状や針状の粒子が生成することがあり、酸化物がアルカリ難溶である場合は管状酸化チタンが生成しないことがある。
以上のような粒子が分散した水分散ゾルの製造方法としては、特に制限はないが、本願出願人の出願による特開昭62−283817号公報、特開昭63−185820号公報、特開平2−255532号公報等に開示した酸化チタンゾル、酸化チタン系複合酸化物ゾルを好適に用いることができる。
【0041】
たとえば、チタニアゾルまたはチタニアゲルに過酸化水素を加えてチタニアゾルまたはチタニアゲルを溶解し、ついで得られた溶液に酸化チタンゾルあるいは水酸化チタンゾルまたは酸化チタン以外の無機酸化物ゾルあるいは無機水酸化物ゾルを混合した後加熱することによって製造することができる。
本発明の管状酸化チタン粒子の製造方法に用いる酸化チタン粒子、酸化チタン系複合酸化物粒子の製造には、酸化チタン源としてペルオキソチタン酸に由来する酸化チタンを用いることが好ましい。ペルオキソチタン酸を用いて得られる酸化チタン粒子、酸化チタン系複合酸化物粒子は平均粒子径が均一で、安定な水分散ゾルを得ることができる。
【0042】
ペルオキソチタン酸を用いる酸化チタン粒子の水分散液(ゾル)、酸化チタン系複合酸化物粒子の水分散液(ゾル)の製造方法としては以下のような方法を例示することができる。
(a) オルソチタン酸のゲルまたはゾルの調製工程
まず、従来公知の方法によってチタン化合物を加水分解してオルソチタン酸のゾルまたはゲルを調製する。
【0043】
オルソチタン酸のゲルは、チタン化合物として塩化チタン、硫酸チタン、硫酸チタニルなどのチタン塩を使用し、この水溶液にアルカリを加えて中和し、洗浄することによって得ることができる。
また、オルソチタン酸のゾルは、チタン塩の水溶液をイオン交換樹脂に通して陰イオンを除去するか、あるいはチタンテトラメトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトライソプロポキシドなどのチタンアルコキシドの水および/または有機溶媒に酸またはアルカリを加えて加水分解することによって得ることができる。
【0044】
中和あるいは加水分解する際のチタン化合物溶液のpHは7〜13の範囲にあることが好ましい。チタン化合物溶液のpHが上記範囲にない場合は後述するゲルまたはゾルの比表面積が低すぎることがあり、管状酸化チタン、特に結晶性酸化チタンの生成が低下する傾向がある。
さらに、中和あるいは加水分解する際の温度は0〜40℃の範囲にあることが好ましく、特に好ましい範囲は0〜30℃の範囲である。中和あるいは加水分解する際の温度が上記範囲を外れると管状酸化チタン、特に結晶性管状酸化チタンの生成が低下する傾向がある。
【0045】
得られたゲルまたはゾル中のオルソチタン酸粒子は、非晶質であることが好ましい。
(b) 酸化チタン微粒子の水分散ゾルの調製工程
つぎに、オルソチタン酸のゲルまたはゾルあるいはこれらの混合物に、過酸化水素を添加してオルソチタン酸を溶解してペルオキソチタン酸水溶液を調製する。ついでさらに高温で熟成して酸化チタン微粒子の水分散ゾルを調製する。
【0046】
ペルオキソチタン酸水溶液を調製するに際しては、オルソチタン酸のゲルまたはゾルあるいはこれらの混合物を、必要に応じて約50℃以上に加熱したり、攪拌したりすることが好ましい。また、この際、オルソチタン酸の濃度が高くなるすぎると、その溶解に長時間を必要とし、さらに未溶解のゲルが沈殿したり、あるいは得られるペルオキソチタン酸水溶液が粘調になることがある。このため、TiO2濃度としては、約10重量%以下であることが好ましく、さらに約5重量%以下であることが望ましい。
【0047】
添加する過酸化水素の量は、H22/TiO2(オルソチタン酸はTiO2に換算)重量比で1以上であれば、オルソチタン酸を完全に溶解することができる。H22/TiO2重量比が1未満であると、オルソチタン酸が完全には溶解せず、未反応のゲルまたはゾルが残存することがある。また、H22/TiO2重量比は大きいほど、オルソチタン酸の溶解速度は大きく反応時間は短時間で終了するが、あまり過剰に過酸化水素を用いても、未反応の過酸化水素が系内に残存するだけであり、経済的でない。前記した量で過酸化水素を用いると、オルソチタン酸は0.5〜20時間程度で溶解する。
【0048】
ついでさらに50℃以上の高温で熟成して酸化チタン微粒子の水分散ゾルを調製することができる。
さらに、得られた酸化チタン微粒子の水分散ゾルは、必要に応じて水酸化アンモニウムおよび/または有機塩基の存在下、50〜300℃、好ましくは80℃〜250℃の温度範囲で水熱処理することができる。有機塩基としては後述する有機塩基と同様のものを用いることができる。
【0049】
水酸化アンモニウムおよび/または有機塩基の使用量は、分散液のpHが室温基準で8〜14、さらには10〜13.5となるように添加することが好ましい。
上記温度範囲および分散液のpH範囲で水熱処理すると、最終的に得られる管状酸化チタンの結晶性および収率が向上する傾向にある。
【0050】
なお、上記(a),(b)工程において、チタン化合物として水素化チタン微粉体を使用することによってペルオキソチタン酸水溶液、ついで酸化チタン微粒子の水分散ゾルを調製することもできる。
この場合、このような水素化チタン微粉体を水に分散させれば、上記(a)工程で調製したオルソチタン酸のゲルまたはゾルの代わりとなる。
【0051】
水酸化チタン微粉体を水に分散させる際に、TiO2濃度としては、約10重量%以下であることが好ましく、さらに好ましい範囲は約5重量%以下であることが望ましい。また、オルソチタン酸の代わりに、水素化チタン微粉体を用いる場合であっても、添加する過酸化水素の量は、同様にH22/TiO2(水素化チタンはTiO2に換算)重量比で1以上であればよい。このとき、水素化チタン微粉体の水分散体を、必要に応じて約50℃以上に加熱したり、攪拌したりしてもよい。
【0052】
なお、酸化チタン系複合酸化物粒子の水分散液(ゾル)を調製するには前記オルソチタン酸のゲルまたはゾルあるいはこれらの混合物に、過酸化水素を添加してオルソチタン酸を溶解したペルオキソチタン酸水溶液にたとえばチタン以外の元素の無機化合物粒子(たとえば、シリカ粒子、シリカゾル、アルミナ粒子、ジルコニア粒子)、アルコキシシラン、金属アルコキシド、塩化ジルコニウム、塩化マグネシウムなどの塩を混合して加熱し、さらに必要に応じて前記工程(b)と同様にして水酸化アンモニウムおよび/または有機塩基の存在下、50〜300℃、好ましくは80℃〜250℃の温度範囲で水熱処理することによって調製することができる。
【0053】
水熱処理工程
このようにして調製した(i)酸化チタン粒子および/または(ii)酸化チタン系複合酸化物粒子の水分散ゾルをアルカリ金属水酸化物の存在下で水熱処理する。
アルカリ金属水酸化物としてはLiOH、NaOH、KOH、RbOH、CsOHおよびこれらの混合物を用いることができ、特にNaOH、KOHおよびこれらの混合物は管状酸化チタン粒子の収率が高く好適である。
【0054】
このときのアルカリ金属水酸化物の添加量は、ゾル中の酸化チタン粒子または酸化チタン系複合酸化物粒子中のTiO2のモル数(TM)とアルカリ金属水酸化物のモル数(AM)とのモル比(AM)/(TM)が1〜30、さらには2〜25の範囲にあることが好ましい。(AM)/(TM)が前記範囲内にあれば、効率よく管状酸化チタン粒子を製造することができる。モル比(AM)/(TM)が前記範囲の下限より少ない場合は、酸化チタン粒子または酸化チタン系複合酸化物粒子の結晶性化自体が起きにくいので、管状酸化チタン粒子が得られず、またモル比(AM)/(TM)が前記範囲の上限を越えていると板状の酸化チタン粒子が増加して管状酸化チタン粒子の収率が低下する傾向にある。
【0055】
本発明では、アルカリ金属水酸化物とともに、水酸化アンモニウムおよび/または有機塩基との共存下に水熱処理をしてもよい。
また、有機塩基としては、テトラメチルアンモニウム塩などの第4級アンモニウム塩または水酸化物、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミン類を挙げることができる。
【0056】
このような水酸化アンモニウムおよび/または有機塩基を共存させる場合、これらの添加量は、水酸化アンモニウムおよび/または有機塩基のモル数(OBM)と(AM)との合計モル数とTiO2のモル数(TM)との比(AM)+(OBM)/(TM)が1〜30、好ましくは2〜25となるように添加することが望ましい。また、水酸化アンモニウムおよび/または有機塩基が共存している場合、AM:OBMモル比は、0:1より多く1:1まで、好ましくは0:1より多く0.5:1までの範囲にあることが望ましい。このように水酸化アンモニウムおよび/または有機塩基を共存させると、アルカリ金属水酸化物の使用量を少なくすることができるので、管状酸化チタン微粒子中に含まれるアルカリ金属不純物の量を少なくすることができる。このため、このような管状酸化チタン粒子を触媒や光触媒として好適に使用することが可能となる。
【0057】
上記のようなアルカリ金属水酸化物および必要に応じて水酸化アンモニウムおよび/または有機塩基の存在下で、酸化チタン粒子および/または酸化チタン系複合酸化物粒子の水分散ゾルを50〜350℃、好ましくは80℃〜250℃の温度範囲で水熱処理する。このような温度範囲にあれば、効率よく管状酸化チタン粒子を製造することができる。なお水熱処理温度が前記温度範囲未満では、管状酸化チタン微粒子の生成に長時間を要し、また管状酸化チタン微粒子の収率が低く、水熱処理温度が上記温度範囲を越えても管状酸化チタン微粒子の生成速度が速くなったり、収率がさらに高くなることもなく、余計に熱エネルギーを使用することになる。
【0058】
得られた管状酸化チタン微粒子は、ついで、必要に応じて洗浄してもよい。洗浄方法としてはアルカリ金属等を低減できれば特に制限はなく、従来公知の脱水濾過法、限外濾過膜法、イオン交換樹脂法、電気透析、逆浸透法等を採用することができる。また、塩酸、硝酸などの酸を用いて洗浄することもできる。
本発明では、以上のようなアルカリ金属水酸化物および必要に応じて水酸化アンモニウムおよび/または有機塩基の共存下に水熱処理した後、必要に応じて洗浄し、得られた粒子分散液に、さらにアルカリ金属カチオン以外のカチオン(プロトンを含む)存在下で水熱処理をしてもよい。
【0059】
すなわち、他の管状酸化チタン粒子の製造方法としては、
前記した(i)酸化チタン粒子および/または(ii)酸化チタンと酸化チタン以外の酸化物の水分散ゾルを、アルカリ金属水酸化物の存在下、および必要に応じて水酸化アンモニウムおよび/または有機塩基の共存下に水熱処理した後(1段目)、
さらにアルカリ金属カチオン以外のカチオン(プロトンを含む)存在下で水熱処理する(2段目)ことを特徴としている。
【0060】
1段目で水熱処理において、使用される金属水酸化物、水酸化アンモニウム、有機塩基の種類、量および処理条件は前記と同様である。1段目のアルカリ金属水酸化物の存在下に水熱処理したのち、必要に応じて分散液を、洗浄し、分散液・粒子表面の遊離アルカリ金属不純物を除去してもよい。
また、2段目の水熱処理では、アルカリ金属カチオン以外のカチオン(プロトンを含む)存在下で水熱処理する。カチオン源としては、酸、アルカリ金属を含まない塩、有機塩基などが挙げられる。
【0061】
具体的には、硫酸などの鉱酸、クエン酸、ギ酸、酒石酸、マレイン酸、安息香酸等の有機酸が挙げられる。中でも有機酸は結晶性がアルカリ金属の低下と共に結晶性を高く保つことができる。またアルカリ金属を含まない塩としては、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、六フッ化チタンアンモニウムなどのアンモニウム塩が挙げられる。有機塩基としては水酸化アンモニウム、テトラメチルアンモニウム塩などの第4級アンモニウム塩または当該アンモニウムイオンを含む水酸化物、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミン類等をあげることができる。
【0062】
このような酸、アルカリ金属を含まない塩、有機塩基の使用量は、酸化チタン粒子または酸化チタン系複合酸化物粒子中のTiO2のモル数(TM)と前記酸、アルカリ金属を含まない塩、有機塩基のモル数(PM)とのモル比(PM/TM)が1〜30、さらに2〜15の範囲にあることが好ましい。
このような条件で水熱処理すると、高温で焼成することなく得られる管状酸化チタンの結晶性が向上させることができる。
【0063】
さらには、酸化チタン粒子中のアルカリ金属残存量も減少するので、触媒、触媒担体、光触媒、化粧材料、光学材料、光電変換材料など等に用いるに際して結晶性の高い結晶性管状酸化チタン粒子を製造することができる。
2段目で行うアルカリ金属カチオン以外のカチオンの存在下でも、水熱処理は、さらに複数回繰り返してもよい。
【0064】
なお、2段目の水熱処理で得られる管状酸化チタン粒子と、1段目の水熱処理で得られる管状酸化チタン粒子は、粒子中に不純物として含まれるアルカリ金属量が、2段目の方が少なく、結晶制が高くなることを除いて、粒子形状、比表面積などは変化しない。
つぎに、前記金属酸化物半導体膜2は、管状酸化チタン粒子とともに酸化チタンバインダー成分を含んでいる。
【0065】
このような酸化チタンバインダー成分としては、ゾル・ゲル法などで得られたオルソチタン酸のゲルまたはゾルに過酸化水素を加えて含水チタン酸を溶解したペルオキソチタン酸などが挙げられる。
このうち、特にペルオキソチタン酸の加水分解・縮重合物が好ましく使用される。
【0066】
このような酸化チタンバインダー成分は、管状酸化チタン粒子の表面に緻密かつ均一な吸着層を形成する。このため得られる金属酸化物半導体膜は電極との密着性を高めることができる。さらに、このような酸化チタンバインダー成分を使用すると、管状酸化チタン粒子同士の接触面積が増加し、電子移動性を向上させることが可能となり、また、光増感材の吸着量を増大させることができる。
【0067】
金属酸化物半導体膜2中の酸化チタンバインダー成分と管状酸化チタン粒子の比率は、酸化物換算重量比(酸化チタンバインダー成分/管状酸化チタン粒子)で0.03〜0.50、好ましくは0.1〜0.3の範囲にあることが望ましい。重量比が0.03未満では、可視光領域の光の吸収が不充分であり、さらに光増感材の吸着量の増加しない場合がある。重量比が0.50を超えて高い場合は多孔質な半導体膜が得られない場合があり、さらに光増感材吸着量が増加しないことがある。
【0068】
金属酸化物半導体膜2は、細孔容積が0.1〜0.8ml/g、平均細孔径が2〜250nmの範囲にあることが好ましい。細孔容積が0.1ml/gより小さい場合は光増感材吸着量が低くなり、また0.8ml/gを超えて高い場合には膜内の電子移動性が低下して光電変換効率を低下させることがある。また平均細孔径が2nm未満の場合は光増感材の吸着量が低下し、250nmを超えて高い場合は電子移動性が低下し光電変換効率が低下することもある。
【0069】
このような金属酸化物半導体膜2は、後述する光電気セル用金属酸化物半導体膜形成用塗布液を用いて作製することができる。
本発明では、金属酸化物半導体膜2は光増感材を吸着している。
光増感材としては、可視光領域および/または赤外光領域の光を吸収して励起するものであれば特に制限はなく、たとえば有機色素、金属錯体などを用いることができる。
【0070】
有機色素としては、分子中にカルボキシル基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシル基、スルホン基、カルボキシアルキル基等の官能基を有する従来公知の有機色素が使用できる。具体的には、キサンテン、クマリン、アクリジン、テトラフェニルメタン、キノン、エオシンY、ジブロモフルオレセイン、フルオレセイン、フルオレシン、メタルフリーフタロシアニン、シアニン系色素、メタロシアニン系色素、トリフェニルメタン系色素およびウラニン、エオシン、ローズベンガル、ローダミンB、ジブロムフルオレセイン等のキサンテン系色素等が挙げられる。これらの有機色素は金属酸化物半導体膜への吸着速度が早いという特性を有している。
【0071】
また、金属錯体としては、特開平1-220380号公報、特表平5-504023号公報などに記載された銅フタロシアニン、チタニルフタロシアニンなどの金属フタロシアニン、クロロフィル、ヘミン、ルテニウム-トリス(2,2'-ビスピリジル-4,4'-ジカルボキシラート)、シス-(SCN-)-ビス(2,2'-ビピリジル-4,4'-ジカルボキシレート)ルテニウム、ルテニウム-シス-ジアクア-ビス(2,2'-ビピリジル-4,4'-ジカルボキシラート)などのルテニウム-シス-ジアクア-ビピリジル錯体、亜鉛-テトラ(4-カルボキシフェニル)ポルフィンなどのポルフィリン、鉄-ヘキサシアニド錯体等のルテニウム、オスミウム、鉄、亜鉛などの錯体を挙げることができる。これらの金属錯体は分光増感の効果や耐久性に優れている。
【0072】
上記の有機色素および金属錯体は単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよく、さらに有機色素と金属錯体とを併用してもよい。
このような光増感材の吸着方法は、特に制限はなく、光増感材を溶媒に溶解した溶液を、ディッピング法、スピナー法、スプレー法等の方法により金属酸化物半導体膜に吸収させ、ついで乾燥する等の一般的な方法が採用できる。さらに必要に応じて前記吸収工程を繰り返してもよい。また、光増感材溶液を加熱環流しながら前記基板と接触させて光増感材を金属酸化物半導体膜に 吸着させることもできる。
光増感材を溶解させる溶媒としては、光増感材を溶解するものであればよく、具体的には、水、アルコール類、トルエン、ジメチルホルムアミド、クロロホルム、エチルセルソルブ、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン等を用いることができる。
【0073】
金属酸化物半導体膜に吸着させる光増感材の量は、金属酸化物半導体膜の比表面積1cm2あたり50μg以上であることが好ましい。光増感材の量が50μg未満の場合、光電変換効率が不充分となることがある。
本発明に係る光電気セルは、金属酸化物半導体膜2と透明電極層3とを対向して配置し、側面を樹脂などでシールし、電極間に電解質4を封入して形成される。
【0074】
電解質4としては、電気化学的に活性な塩とともに酸化還元系を形成する少なくとも1種の化合物との混合物が使用される。
電気化学的に活性な塩としては、テトラプロピルアンモニウムアイオダイドなどの4級アンモニウム塩が挙げられる。酸化還元系を形成する化合物としては、キノン、ヒドロキノン、沃素(I-/I3 -)、沃化カリウム、臭素(Br-/Br3 -)、臭化カリウム等が挙げられる。
【0075】
さらに、本発明では電解質として固体電解質を用いることができる。
固体電解質としては、CuI、CuBr、CuSCN、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、アリールアミン系ポリマー、アクリル基および/またはメタクリル基を有するポリマー、ポリビニルカルバゾール、トリフェニルジアミンポリマー、L-valine誘導体低分子ゲル、ポリオリゴエチレングリコールメタクリレート、poly(o-methoxy aniline)、poly(epichlorohydrin-Co-ethylene oxide)、2,2',7,7'-tetorakis(N,N-di-P-methoxyphenyl-amine)-9,9'-spirobifluorene、パーフルオロスルフォネートなどのようなプロトン伝導性を有するフッ素系のイオン交換樹脂、パーフルオロカーボン共重合体、パーフルオロカーボンスルホン酸等の他、ポリエチレンオキサイドや、イオンゲル法としてたとえばイミダゾールカチオンとBr-、BF4 -、N-(SO2CF3)2で対イオンを形成し、これにビニルモノマー、PMMAモノマーを加えて重合させたものも好適に用いることができる。
【0076】
このような固体電解質を用いると、液体電解質と異なり電解質の逸散がなく、このため長期使用によっても光電変換効率が低下することがなく、また腐食等の原因になることもない。
また本発明では、前記電解質4には必要に応じて溶媒を用いて電解液として用いることもできる。このとき使用される溶媒は金属酸化物半導体膜に吸着した光増感材が脱着して溶解することのない程度に光増感材の溶解度の低いものが望ましい。溶媒として、具体的には水、アルコール類、オリゴエーテル類、プロピオンカーボネート等のカーボネート類、燐酸エステル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン、N-ビニルピロリドン、スルホラン66の硫黄化合物、炭酸エチレン、アセトニトリル等が挙げられる。
【0077】
[光電気セル用金属酸化物半導体膜形成用塗布液]
本発明の金属酸化物半導体膜2の形成には、酸化チタンバインダー成分の前駆体としてのペルオキソチタン酸および/または平均粒子径が20nm以下の酸化チタン粒子分散ゾルと管状酸化チタン粒子と分散媒からなる光電気セル用金属酸化物半導体膜形成用塗布液を用いる。
【0078】
ペルオキソチタン酸は、チタン化合物の水溶液、または水和酸化チタンのゾルまたはゲルに過酸化水素を加え、加熱することによって調製される。
水和酸化チタンのゾルまたはゲルは、チタン化合物の水溶液に酸またはアルカリを加えて加水分解し、必要に応じて洗浄、加熱、熟成することによって得られる。使用されるチタン化合物としては特に制限はないが、ハロゲン化チタン、硫酸チタニル等のチタン塩、テトラアルコキシチタン等のチタンアルコキシド、水素化チタン等のチタン化合物を用いることができる。
【0079】
酸化チタン粒子分散ゾルは、たとえば前記ペルオキソチタン酸をさらに加熱、熟成することによって調製される。
本発明に用いる光電気セル用金属酸化物半導体膜形成用塗布液中のペルオキソチタン酸および/または平均粒子径が20nm以下の酸化チタン粒子分散ゾルと管状酸化チタン粒子の比率は、酸化物換算の重量比(酸化チタンバインダー成分/管状酸化チタン粒子)で0.03〜0.50、好ましくは0.1〜0.3の範囲にあることが望ましい。重量比が0.03未満では、可視光領域の光の吸収が不充分であり、さらに光増感材の吸着量の増加しない場合がある。重量比が0.50を超えて高い場合は緻密な半導体膜が得られない場合があり、さらに電子移動性が向上しないことがある。
【0080】
このようなペルオキソチタン酸および/または平均粒子径が20nm以下の酸化チタン粒子分散ゾルと管状酸化チタン粒子は、光電気セル用金属酸化物半導体膜形成用塗布液中に、酸化物換算で1〜30重量%、好ましくは2〜20重量%の濃度で含まれていることが望ましい。
分散媒としては、ペルオキソチタン酸および/または平均粒子径が20nm以下の酸化チタン粒子分散ゾルに管状酸化チタン粒子が分散でき、かつ乾燥した際に除去できるものであれば特に制限はなく使用することができるが、特にアルコール類が好ましい。
【0081】
さらにまた、本発明に用いる光電気セル用金属酸化物半導体膜形成用塗布液には、必要に応じて膜形成助剤が含まれていてもよい。膜形成助剤としてはポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール等が挙げられる。このような膜形成助剤が塗布液中に含まれていると、塗布液の粘度が高くなり、これにより均一に乾燥した膜が得られ、さらに管状酸化チタン粒子が緻密に充填して、嵩密度が高くなり、電極との密着性の高い金属酸化物半導体膜を得ることができる。
【0082】
本発明に係る光電気セル用金属酸化物半導体膜の製造方法は、このような光電気セル用金属酸化物半導体膜形成用塗布液を基材上に塗布し、乾燥した後、硬化させることを特徴としている。
塗布液は最終的に形成される金属酸化物半導体膜の膜厚が0.1〜50μmの範囲となるように塗布されることが好ましい。塗布液の塗布方法としては、ディッピング法、スピナー法、スプレー法、ロールコーター法、フレキソ印刷、スクリーン印刷など従来公知の方法で塗布することができる。
【0083】
乾燥温度は分散媒を除去できる温度であればよい。
本発明では、特に塗膜に紫外線を照射して、硬化させることが好ましい。紫外線の照射量はペルオキソチタン酸の含有量などによって異なるが、ペルオキソチタン酸が分解して硬化するに必要な量を照射すればよい。なお、塗布液中に膜成形助剤が含まれている場合には、塗膜硬化後、加熱処理して膜成形助剤を分解してもよい。
【0084】
本発明では、紫外線照射して塗膜を硬化させた後に、O2、N2、H2、ネオン、アルゴン、クリプトンなど周期律表第0族の不活性ガスから選択される少なくとも1種のガスのイオンを照射した後、アニーリングすることが好ましい。
イオン照射の方法はIC、LSIを製造する際にシリコンウエハーへホウ素やリンを一定量、一定深さに注入する方法等として公知の方法を採用することができる。アニーリングは、200〜500℃、好ましくは250〜400℃の温度で、10分〜20時間加熱することによって行われる。
【0085】
これらのガスのイオンの照射によって、酸化チタン膜内にこれらのイオンが残留することがなく、チタニア粒子表面に欠陥が多く生成し、アニーリング後のブルッカイト型を含む酸化チタン結晶の結晶性が向上するとともに粒子同士の接合が促進され、このため光増感材との結合力が高まるとともに吸着量が増加し、さらに粒子の接合の促進により電子移動性が向上することによって光電変換効率が向上することができる。
【0086】
こうして得られた金属酸化物半導体膜の膜厚は、0.1〜50μmの範囲にあることが好ましい。
[光触媒]
本発明に係る光触媒は、前記した管状酸化チタン粒子を使用してなる。なお、光触媒は、前記した管状酸化チタン粒子をそのまま用いることもできるし、他の活性成分を管状酸化チタン粒子に担持あるいはドーピングしたり、これら管状酸化チタン粒子を混合して用いることもできる。さらに必要に応じてバインダー成分前駆体を含んでいても良い。
【0087】
このような光触媒の使用形態としては特に制限はなく、たとえば、上記管状酸化チタン粒子をそのまま水等の溶媒に分散させて用いることができるし、バインダー成分前駆体と混合して光触媒層形成用塗布液とし、ガラス、PET、金属、セラミックスなどの基材に塗布・乾燥して所望の膜厚の触媒層を形成して用いることもできる。さらに、球状、ペレット状、ハニカム状等に成形して用いることもできる。
【0088】
上記他の活性成分としては、Ag、Cu、Zn等の抗菌、防黴目的に用いられる金属成分の他、Pt、Pd、Rh、Ru、Os、Ir、Au、Fe等の酸化還元性能を有する金属成分が挙げられる。これら金属成分の担持、ドーピング方法は従来公知の方法を採用することができ、たとえば管状酸化チタン粒子の分散液に金属成分の可溶性塩の水溶液を添加したり、必要に応じて加水分解させて析出させることによって調製することができる。
【0089】
光触媒層形成用塗布液としては、前記金属酸化物半導体膜形成用塗布液と同じものを用いることができる。
また、前記バインダー成分前駆体として無機金属塩、有機金属化合物、具体的には四塩化ケイ素、四塩化チタン、塩化ジルコニウム、塩化亜鉛、塩化スズ、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシチタン、テトライソプロポキシジルコニウム、テトライソプロポキシ亜鉛、テトライソプロポキシインジウム、テトライソプロポキシスズ等の他これらの部分加水分解物、加水分解縮重合物を用いることができる。
【0090】
本発明の光触媒に用いられる管状酸化チタン粒子は、前記した管状酸化チタン粒子が好適に用いられる。
この管状酸化チタン粒子は、外径(Dout)が5〜40nm、好ましくは10〜30nmの範囲にあり、内径(Din)が4〜30nm、好ましくは5〜20nmの範囲にあり、管の厚みが1〜20nm、好ましくは2〜15nmの範囲にあり、長さ(L)が25〜1000nm、好ましくは50〜600nmの範囲にあり、この長さ(L)と前記外径(Dout)との比(L)/(Dout)が5〜200、好ましくは10〜100の範囲にあることが望ましい。
【0091】
管状酸化チタン粒子の外径(Dout)が5nm未満の場合は、これに対して内径が小さく、反応の種類によっては反応物の拡散が不充分となり充分な活性が得られないことがある。管状酸化チタン粒子の外径(Dout)が40nmを越えると、光の散乱を起こすようになり、光利用率が低下するとともに充分な活性が得られないことがある。
【0092】
また、管状酸化チタン粒子の内径(Din)が4nm未満の場合は、前記したように反応の種類によっては反応物の拡散が不充分となり充分な活性が得られないことがある。
管状酸化チタン粒子の内径(Din)が30nmを越えるものは得ることが困難であり、得られたとしても連動して外径(Dout)が40nmを越えるようになり、光の散乱のより充分な活性が得られないことがある。
【0093】
また、このとき管の厚みが1nm未満の場合は、結晶層の厚みが小さく、電子ホールの生成が不充分なためか充分な活性が得られないことがある。
管の厚みが20nmを越えると、従来の結晶性酸化チタンに比べて比表面積が高いという特徴が小さくなり、有効な活性点、反応物の吸着の場などが充分多いとはいえず、光触媒活性を高める効果が不充分となることがある。
【0094】
さらに、管状酸化チタン粒子の長さ(L)が25nm未満の場合は、反応の種類にもよるが、反応律速の反応の場合などには充分な活性が得られないことがある。
管状酸化チタン粒子の長さ(L)が1000nmを越えると、管の内径にもよるが、反応の種類によっては反応物の拡散が不充分となり充分な活性が得られないことがある。
【0095】
上記において、管状酸化チタン粒子の長さ(L)と外径(Dout)との比(L)/(Dout)が5未満の場合は、基材上に触媒膜を形成して用いる場合などに、基材との密着性や、膜の強度が不充分となることがある。
(L)/(Dout)が200を越えると、反応の種類によっては反応物の拡散が不充分となり充分な光触媒活性が得られないことがある。
【0096】
また、管状酸化チタン粒子中のアルカリ金属含有量が500ppm以下、さらには200ppm以下、特に100ppmであることが好ましい。
アルカリ金属含有量が500ppmを越えると、電子ホールの生成や移動を低下させ、充分な光触媒活性が得られないことがある。
本発明の光触媒が用いられる触媒反応としては、窒素酸化物の還元、二酸化炭素の還元固定化、汚濁排水中の有機質、環境ホルモン等の分解、オレフィンの異性化、水の光分解、防汚、防黴、抗菌、脱臭反応等が挙げられる。
【0097】
本発明では、管状酸化チタン粒子を光触媒として使用する場合、(b-1)チタン過酸化物または(b-2)複合チタン過酸化物と、(b-3)有機高分子化合物とからなるバインダー[B]を使用して、管状酸化チタン粒子[A]とバインダー[B]とからなる被膜を基材表面に形成してもよい。
チタン過酸化物(b-1)とは、通常TiO3・nH2Oで表される化合物である。このようなチタン過酸化物(b-1)は、四塩化チタンなどの塩、水酸化チタン、チタンアルコキシドまたはアセチルアセトナートのチタン錯体などのチタン化合物と、過酸化水素などの過酸化物とを反応させることによって得ることができる。
【0098】
また、複合チタン過酸化物(b-2)は、Tiと、Cu,Ag,Zn,Cd,Al,Zr,Si,Sn,V,Nb,Sb,Bi,Cr,Mo,W,MnおよびFeからなる群から選ばれる1種または2種以上の元素(以下、チタン以外の元素(b)という)とからなる複合金属の過酸化物であり、前記チタン過酸化物(b-1)の一部のTiをチタン以外の元素(b)で置換したものである。
【0099】
このような複合チタン過酸化物(b-2)は、前記チタン化合物と、チタン以外の元素の塩、水酸化物、アルコキシドまたはアセチルアセトナート錯体などの化合物と、過酸化水素などの過酸化物とを反応させることによって得ることができる。たとえば、イソプロポキシチタンとイソプロポキシジルコニウムの水−アルコール溶液に過酸化水素を添加し、加熱処理すると、チタンとジルコニウムの複合過酸化物が得られる。このようなチタン過酸化物(b-1)または複合チタン過酸化物(b-2)は、通常溶液状態にある。
【0100】
このようなチタン過酸化物(b-1)または複合チタン過酸化物(b-2)は、前記環状酸化チタン粒子同程度の屈折率を有しているので、被膜構成成分による光散乱が少なく、透明性に優れた被膜を形成することができる。
特に、チタン過酸化物または複合チタン過酸化物として、Tiと、Zrおよび/またはSiとの複合過酸化物を用いると、基材との密着性および有機溶媒との親和性などが大幅に向上するので好ましい。
【0101】
また、上記チタン過酸化物または複合チタン過酸化物は、有機アミンまたはアセチルアセトンなどと反応させて使用してもよい。上記のような過酸化物をバインダーとして含む塗布液を用いて透明被膜を形成すると、形成工程の加熱処理において過酸化物が分解して、被膜の緻密化を促進することができる。また、バインダーとして、上記のようなチタン過酸化物または複合チタン過酸化物を含んでいると、バインダー自体が光触媒活性および導電性を有することになるため、光触媒活性が促進され、被膜の光触媒活性を高くすることができる。さらに、バインダーの屈折率が複合酸化チタン微粒子の屈折率とほぼ同じであるため、透明性が高く、ヘイズが小さい被膜を形成することが可能である。さらにまた約150℃程度の低温度で処理しても、被膜の高硬度化が可能なため、ガラス、プラスチックなどの基材との密着性に優れた被膜を形成することが可能であり、かつ約1μm程度の厚膜がワンコートで容易に形成することができる。
【0102】
バインダー中に含まれる有機高分子化合物(b-3)としては、キトサン、セルローズなどの多糖類が好ましい。バインダー中にこのような有機高分子化合物(b-3)を含んでいると、被膜形成時の乾燥工程での被膜の収縮に伴う応力が緩和され、被膜のクラックが防止され、厚膜化が可能となる。また、基材に対する塗布液の濡れ性が向上し、しかも塗布液の粘度が上昇するため塗布時の作業性を向上することができる。
【0103】
基材表面に上記した被膜を形成し光触媒を作製する際には、上記環状酸化チタン微粒子[A]とバインダー[B]とを、水および/または有機溶媒からなる溶媒に溶解または分散させて調製透明被膜形成用塗布液をガラス、プラスチック、セラミックまたは繊維などの基材の表面に、スピナー法、バーコーター法、スプレー法、ディップ法あるいはフレキソ法などの通常の方法で塗布したのち乾燥し、150〜400℃で加熱硬化すればよい。硬化処理は、紫外線照射などの方法を併用することも可能である。透明被膜の膜厚は、約0.1〜10μm、好ましくは0.2〜5μmの範囲にあることが望ましい。
【0104】
なお、本発明で使用される管状酸化チタン粒子は前述したような構成をしており、比表面積が200〜600m2/gと高く、センサー分子を多量に吸着させることができるので微弱な光であっても光センサーの感知部として好適に用いることができる。
また、前記範囲の(L)/(Dout)と管の厚みを有しているので、微細な酸化チタン粒子を用いた場合と異なり、光透過性がよく、電子ホールの移動が速やかに起こるため感知精度の高い光センサーを得ることができる。
【0105】
また、管状酸化チタン粒子は前述したような構成をしており、これにLiを導入するとバッテリーの負極材料としても有用である。
【0106】
【発明の効果】
本発明によれば、金属酸化物半導体膜に前記した管状酸化チタン粒子を用いているので金属酸化物半導体膜への光増感材の吸着が高く、電解質の拡散性に優れ、アルカリ金属の含有量が極めて少ないために光電変換効率等の向上した、種々の光電変換の用途に有用な光電気セルを得ることができる。また、アルカリ金属の含有量が極めて少なく、反応物、生成物等の拡散性に優れた高活性の光触媒を得ることができる。
【0107】
また、光電気セル、光触媒のほかバッテリーの負極材料、光センサーの感知部等としても有用である。
【0108】
【実施例】
以下、実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0109】
【製造実施例1】
酸化チタン粒子( T-1 )分散液の調製
塩化チタン水溶液を純水で希釈してTiO2として濃度5重量%の塩化チタン水溶液を調製した。この水溶液を、温度を5℃に調節した濃度15重量%のアンモニア水に添加して中和・加水分解した。塩化チタン水溶液添加後のpHは10.5であった。ついで、生成したゲルを濾過洗浄し、TiO2として濃度9重量%のオルソチタン酸のゲルを得た。
【0110】
このオルソチタン酸のゲル100gを純水2900gに分散させた後、濃度35重量%の過酸化水素水800gを加え、攪拌しながら、85℃で3時間加熱し、ペルオキソチタン酸水溶液を調製した。得られたペルオキソチタン酸水溶液のTiO2として濃度は0.5重量%であった。
ついで95℃で10時間加熱して酸化チタン粒子分散液とし、この酸化チタン粒子分散液に分散液中のTiO2に対するモル比が0.016となるようにテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH MW=149.2)を添加した。このときの分散液のpHは11であった。ついで、230℃で5時間水熱処理して酸化チタン粒子(T-1)分散液を調製した。酸化チタン粒子(T-1)の平均粒子径は30nmであった。
【0111】
管状酸化チタン粒子( PT-1 )の調製
上記の酸化チタン粒子(T-1)分散液に、濃度40重量%のNaOH水溶液70gを、TiO2のモル数(TM)とアルカリ金属水酸化物のモル数(AM)とのモル比(AM/TM)が10となるように添加し、150℃で10時間水熱処理した。
得られた粒子は純水にて充分洗浄した。ついで陽イオン交換樹脂にてアルカリを低減した管状酸化チタン粒子(PT-1-1)を調製した。このときのNa2O残存量は0.15重量%であった。
【0112】
ついで、管状酸化チタン粒子(PT-1-1)の水分散液(TiO2としての濃度5重量%)に有機塩基としてテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)をTiO2に対するモル比が0.1となるように添加した。このときのpHは13.2であった。この分散液を110℃で5時間水熱処理して管状酸化チタン粒子(PT-1)を調製した。
【0113】
得られた管状酸化チタン粒子(PT-1)について水洗し、ついで乾燥し、アルカリを分析し、また粒子のTEM写真を撮影して平均粒子長(L)と平均管外径(Dout)および平均管内径(Din)を求め、また粒子の比表面積および結晶性を評価した。結果を表1に示す。
結晶性の評価基準
格子定数d=1.89のピークの高さを基に評価し、
管状酸化チタン粒子(PT-1-1)より明らかに高い:◎
管状酸化チタン粒子(PT-1-1)と同程度 :○
管状酸化チタン粒子(PT-1-1)より明らかに低い:△
実質的に無定型 :×
なおPT-1-1の結晶性はアナターゼであった。
【0114】
【製造実施例2】
管状酸化チタン粒子( PT-2 )の調製
実施例1において、管状酸化チタン粒子(PT-1-1)の水分散液(TiO2としての濃度5重量%)にTMAHの代わりにクエン酸をTiO2に対するモル比が0.1となるように添加した以外は実施例1と同様にして管状酸化チタン粒子(PT-2)を調製した。
【0115】
得られた管状酸化チタン粒子(PT-2)について水洗ついで乾燥し、アルカリを分析し、また粒子のTEM写真を撮影して平均粒子長(L)と平均管外径(Dout)および平均管内径(Din)を求め、また粒子の比表面積および結晶性を評価した。結果を表1に示す。
【0116】
【製造実施例3】
管状酸化チタン粒子( PT-3 )の調製
上記と同様にして調製した酸化チタン粒子(T-1)分散液に、濃度40重量%のNaOH水溶液40gと、濃度25重量%のテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)水溶液358gとをTiO2のモル数(TM)に対するアルカリ金属水酸化物のモル数(AM)と有機塩基のモル数(OBM)の合計モル数とのモル比(AM+OBM)/(TM)が10となるように添加し、150℃で2時間水熱処理した。得られた粒子は純水にて充分洗浄した。ついで陽イオン交換樹脂にてアルカリを低減した管状酸化チタン粒子(PT-2-1)を調製した。このときのNa2O残存量は0.12量%であった。
【0117】
ついで、管状酸化チタン粒子(PT-2-1)の水分散液(TiO2としての濃度5重量%)にクエン酸をTiO2に対するモル比が0.1となるように添加した。このときのpHは3.0であった。この分散液を150℃で15時間水熱処理して管状酸化チタン粒子(PT-3)を調製した。
得られた管状酸化チタン粒子(PT-3)について水洗ついで乾燥し、アルカリを分析し、また粒子のTEM写真を撮影して平均粒子長(L)と平均管外径(Dout)および平均管内径(Din)を求め、また粒子の比表面積および結晶性を評価した。結果を表1に示す。
【0118】
【製造実施例4】
酸化チタン粒子( T-2 )分散液の調製
上記と同様にしてTiO2として濃度が0.5重量%ペルオキソチタン酸水溶液3800gを調製した。これにシリカゾル(触媒化成工業(株)製:SI-350、SiO2濃度30重量%、平均粒子径8nm)7.0gを混合し、95℃で3時間加熱し、TiO2・SiO2 としての濃度が0.56重量%の酸化チタン粒子(T-2)分散液を調製した。酸化チタン粒子(T-2)の平均粒子径は20nmであった。
【0119】
管状酸化チタン粒子( PT-4 )の調製
ついで、酸化チタン粒子(T-2)分散液に、濃度40重量%のNaOH水溶液70gを、TiO2のモル数(TM)とアルカリ金属水酸化物のモル数(AM)とのモル比(AM/TM)が10となるように添加し、150℃で10時間水熱処理した。得られた粒子は純水にて充分洗浄した。ついで陽イオン交換樹脂にてアルカリを低減した管状酸化チタン粒子(PT-4-1)を調製した。このときのNa2O残存量は0.45重量%であった。
【0120】
ついで、管状酸化チタン粒子(PT-4-1)の水分散液(TiO2・SiO2としての濃度3重量%)にクエン酸TiO2に対するモル比が0.1となるように添加した。このときのpHは3.0であった。この分散液を150℃で15時間水熱処理して管状酸化チタン粒子(PT-4)を調製した。
得られた管状酸化チタン粒子(PT-4)について水洗ついで乾燥し、アルカリおよびSiO2を分析し、また粒子のTEM写真を撮影して平均粒子長(L)と平均管外径(Dout)および平均管内径(Din)を求め、また粒子の比表面積および結晶性を評価した。結果を表1に示す。
【0121】
【製造実施例5】
酸化チタン粒子( T-3 )分散液の調製
上記と同様にしてTiO2として濃度が0.5重量%ペルオキソチタン酸水溶液3800gを調製した。これにシリカゾル(触媒化成工業(株)製:SI-550、SiO2濃度30重量%、平均粒子径8nm)15.8gを混合し、95℃で3時間加熱し、TiO2・SiO2 としての濃度が0.62重量%の酸化チタン粒子(T-3)分散液を調製した。酸化チタン粒子(T-3)の平均粒子径は10nmであった。
【0122】
管状酸化チタン粒子( PT-5 )の調製
ついで、酸化チタン粒子(T-3)分散液に、濃度40重量%のNaOH水溶液70gを、TiO2のモル数(TM)とアルカリ金属水酸化物のモル数(AM)とのモル比(AM/TM)が10となるように添加し、150℃で2時間水熱処理した。得られた粒子は純水にて充分洗浄した。ついで陽イオン交換樹脂にてアルカリを低減した管状酸化チタン粒子(PT-5-1)を調製した。このときのNa2O残存量は0.50重量%であった。
【0123】
ついで、管状酸化チタン粒子(PT-5-1)の水分散液(TiO2・SiO2としての濃度3重量%)にクエン酸をTiO2に対するモル比が0.1となるように添加した。このときのpHは3.0であった。この分散液を150℃で15時間水熱処理して管状酸化チタン粒子(PT-5)を調製した。
得られた管状酸化チタン粒子(PT-5)について水洗ついで乾燥し、アルカリおよびSiO2を分析し、また粒子のTEM写真を撮影して平均粒子長(L)と平均管外径(Dout)および平均管内径(Din)を求め、また粒子の比表面積および結晶性を評価した。結果を表1に示す。
【0124】
【製造実施例6】
酸化チタン粒子( T-4 )分散液の調製
上記と同様にしてTiO2として濃度が0.5重量%ペルオキソチタン酸水溶液3800gを調製した。これにアルミナゾル(触媒化成工業(株)製:AS-2、Al23濃度10重量%)21gを混合し、95℃で3時間加熱し、TiO2・Al23としての濃度が0.55重量%の酸化チタン粒子(T-4)分散液を調製した。酸化チタン粒子(T-4)の平均粒子径は20nmであった。
【0125】
管状酸化チタン粒子( PT-6 )の調製
ついで、酸化チタン粒子(T-4)分散液に、濃度40重量%のNaOH水溶液70gを、TiO2のモル数(TM)とアルカリ金属水酸化物のモル数(AM)とのモル比(AM/TM)が10となるように添加し、150℃で10時間水熱処理した。得られた粒子は純水にて充分洗浄した。ついで陽イオン交換樹脂にてアルカリを低減した管状酸化チタン粒子(PT-6-1)を調製した。このときのNa2O残存量は0.50重量%であった。
【0126】
ついで、管状酸化チタン粒子(PT-6-1)の水分散液(TiO2・Al23としての濃度3重量%)にクエン酸をTiO2に対するモル比が0.1となるように添加した。このときのpHは3.0であった。ついで分散液を150℃で15時間水熱処理して管状酸化チタン粒子(PT-6)を調製した。
得られた管状酸化チタン粒子(PT-6)について水洗ついで乾燥し、アルカリおよびAl23を分析し、また粒子のTEM写真を撮影して平均粒子長(L)と平均管外径(Dout)および平均管内径(Din)を求め、また粒子の比表面積および結晶性を評価した。結果を表1に示す。
【0127】
【製造実施例7】
酸化チタン粒子( T-5 )分散液の調製
上記と同様にしてTiO2として濃度が0.5重量%ペルオキソチタン酸水溶液(酸化チタン粒子(T-1)分散液)3800gを調製した。これに下記のようにして調製したジルコニアゾル19gを混合し、95℃で3時間加熱し、TiO2・ZrO2としての濃度が0.52重量%の酸化チタン粒子(T-5)分散液を調製した。酸化チタン粒子(T-5)の平均粒子径は10nmであった。
【0128】
ジルコニアゾルの調製
塩化ジルコニウムとして0.036重量%を含む塩化ジルコニウム水溶液5Kgを乾留器付きフラスコに入れ、よく撹拌しながら0.1Nのアンモニア水290gを徐々に添加した。さらにこの液を95℃で50時間加熱して、ZrO2としての濃度が0.034重量%、pH1.8の乳白色ゾルを得た。さらに0.1Nのアンモニア水を添加してpH4.8とした後、イオン交換水で濾液に塩素イオンが検出されなくなるまで洗浄し、分散液としてZrO2濃度5重量%のジルコニアゾル(平均粒子径50nm)を調製した。
【0129】
管状酸化チタン粒子( PT-7 )の調製
上記酸化チタン粒子(T-5)分散液に、濃度40重量%のNaOH水溶液70gを、TiO2のモル数(TM)とアルカリ金属水酸化物のモル数(AM)とのモル比(AM/TM)が10となるように添加し、150℃で10時間水熱処理した。得られた粒子は純水にて充分洗浄した。ついで陽イオン交換樹脂にてアルカリを低減した管状酸化チタン粒子(PT-7-1)を調製した。このときのNa2O残存量は0.3重量%であった。
【0130】
ついで、管状酸化チタン粒子(PT-7-1)の水分散液(TiO2・ZrO2としての濃度3重量%)にクエン酸をTiO2に対するモル比が0.1となるように添加した。このときのpHは3.0であった。この分散液を150℃で15時間水熱処理して管状酸化チタン粒子(PT-7)を調製した。
得られた管状酸化チタン粒子(PT-7)について水洗ついで乾燥し、アルカリおよびZrO2を分析し、また粒子のTEM写真を撮影して平均粒子長(L)と平均管外径(Dout)および平均管内径(Din)を求め、また粒子の比表面積および結晶性を評価した。結果を表1に示す。
【0131】
【製造比較例1】
酸化チタン粒子( T-6 )分散液の調製
上記と同様にして調製した酸化チタン粒子(T-1)分散液を乾燥し、ついで600℃で2時間焼成し、これを粉砕して平均粒子径200nmの酸化チタン粉体とした。ついで、水に分散してTiO2としての濃度10重量%の酸化チタン粒子(T-6)分散液を調製した。
【0132】
管状酸化チタン粒子( PT-8 )の調製
酸化チタン粒子(T-6)分散液に、濃度40重量%のNaOH水溶液70gを、TiO2のモル数(TM)とアルカリ金属水酸化物のモル数(AM)とのモル比(AM/TM)が10となるように添加し、150℃で2時間水熱処理した。得られた粒子は純水にて充分洗浄した。ついで陽イオン交換樹脂にてアルカリを低減した管状酸化チタン粒子(PT-8-1)を調製した。 このときのNa2O残存量は0.60重量%であった。
【0133】
ついで、管状酸化チタン粒子(PT-8-1)の水分散液(TiO2としての濃度3重量%)に有機塩基としてテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)をTiO2に対するモル比が0.1となるように添加した。このときのpHは13.2であった。ついで分散液を110℃で5時間水熱処理して管状酸化チタン粒子(PT-8)を調製した。
【0134】
得られた管状酸化チタン粒子(PT-8)について水洗ついで乾燥し、アルカリを分析し、また粒子のTEM写真を撮影した。多くの粒子は凝集しており、一部の管状酸化チタンについて粒子長(L)と管外径(Dout)および管内径(Din)を求め、また粒子の比表面積および結晶性を評価した。結果を表1に示す。
【0135】
【製造比較例2】
酸化チタン粒子( T-7 )分散液の調製
上記と同様にして調製した酸化チタン粒子(T-3)分散液を乾燥し、ついで600℃で2時間焼成し、これを粉砕して平均粒子径300nmの酸化チタン粉体とした。ついで、水に分散してTiO2・SiO2としての濃度10重量%の酸化チタン粒子(T-7)分散液を調製した。
【0136】
管状酸化チタン粒子( PT-9 )の調製
酸化チタン粒子(T-7)分散液に、濃度40重量%のNaOH水溶液70gを、TiO2のモル数(TM)とアルカリ金属水酸化物のモル数(AM)とのモル比(AM)/(TM)が10となるように添加し、150℃で1時間水熱処理した。得られた粒子は純水にて充分洗浄した。ついで陽イオン交換樹脂にてアルカリを低減した管状酸化チタン粒子(PT-9-1)を調製した。このときのNa2O残存量は0.70重量%であった。
【0137】
ついで、管状酸化チタン粒子(PT-9-1)の水分散液(TiO2としての濃度3重量%)に有機塩基としてテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)をTiO2に対するモル比が0.1となるように添加した。このときのpHは13.2であった。ついで分散液を150℃で15時間水熱処理して管状酸化チタン粒子(PT-9)を調製した。
【0138】
得られた管状酸化チタン粒子(PT-9)について水洗ついで乾燥し、アルカリおよびSiO2を分析し、また粒子のTEM写真を撮影した。多くの粒子は凝集しており、一部の管状酸化チタンについて粒子長(L)と管外径(Dout)および管内径(Din)を求め、また粒子の比表面積および結晶性を評価した。結果を表1に示す。
【0139】
【製造比較例3】
管状酸化チタン粒子( PT-10 )の調製
製造比較例2において、管状酸化チタン粒子(PT-9-1)の水分散液(TiO2としての濃度5重量%)に、TMAHの代わりにクエン酸をTiO2に対するモル比が0.1となるように添加した以外は製造比較例2と同様にして管状酸化チタン粒子(PT-10)を調製した。
【0140】
得られた管状酸化チタン粒子(PT-10)について水洗ついで乾燥し、アルカリを分析し、また粒子のTEM写真を撮影して平均粒子長(L)と平均管外径(Dout)および平均管内径(Din)を求め、また粒子の比表面積および結晶性を評価した。結果を表1に示す。
【0141】
【実施例1】
金属酸化物半導体膜(A)
10gの水素化チタン粉末を純水2Lに懸濁し、これに濃度5重量%の過酸化水素水800gを30分間で添加し、ついで、80℃に加熱し、ペルオキソチタン酸の溶液を調製した。
【0142】
酸化物としての濃度が10%の管状酸化チタン次粒子(PT-1)の分散液を調製し、前記ペルオキソチタン酸溶液と管状酸化チタン次粒子(PT-1)の酸化物換算の重量比(ペルオキソチタン酸/管状酸化チタン次粒子(PT-1))が0.1となるように混合し、この混合液中の全酸化物の重量が30重量%となるように膜形成助剤としてヒドロキシプロピルセルロースを添加して半導体膜形成用塗布液を調製した。
【0143】
ついで、フッ素ドープした酸化スズが電極層として形成された透明ガラス基板上に前記塗布液を塗布し、自然乾燥し、引き続き低圧水銀ランプを用いて6000mJ/cm2の紫外線を照射してペルオキソ酸を分解させ、塗膜を硬化させた。塗膜を300℃で30分間加熱してヒドロキシプロピルセルロースの分解およびアニーリングを行って膜厚15μmの金属酸化物半導体膜(A)を形成した。
【0144】
得られた金属酸化物半導体膜(A)の窒素吸着法によって求めた細孔容積と平均細孔径を表1に示す。
光増感材の吸着
つぎに、光増感材としてシス-(SCN-)-ビス(2,2'-ビピリジル-4,4'-ジカルボキシレート)ルテニウム(II)で表されるルテニウム錯体の濃度3×10-4モル/リットルのエタノール溶液を調製した。この光増感材溶液を、rpm100スピナーを用いて、金属酸化物半導体膜(A)上へ塗布して乾燥した。この塗布および乾燥工程を5回行った。得られた金属酸化物半導体膜の光増感材の吸着量を表1に示す。
【0145】
光電気セルの作成
アセトニトリルと炭酸エチレンとを体積比(アセトニトリル:炭酸エチレン)が1:4となるように混合した溶媒に、テトラプロピルアンモニウムアイオダイドを0.46モル/リットル、ヨウ素を0.06モル/リットルの濃度となるように溶解して電解質溶液を調製した。
【0146】
前記で調製した電極を一方の電極とし、他方の電極としてフッ素ドープした酸化スズを電極として形成し、その上に白金を担持した透明ガラス基板を対向して配置し、側面を樹脂にてシールし、電極間に上記の電解質溶液を封入し、さらに電極間をリード線で接続して光電気セル(A)を作成した。
光電気セル(A)は、ソーラーシュミレーターで100W/m2の強度の光を照射して、Voc(開回路状態の電圧)、Joc(回路を短絡したときに流れる電流の密度)、FF(曲線因子)およびη(変換効率)を測定し結果を表に示した。
【0147】
光触媒の調製
電極層が形成されてない透明ガラス基板を用い、塗膜を硬化させた後、塗膜を450℃で30分間加熱した以外は金属酸化物半導体膜(A)と同様にして光触媒(AC)を調製した。
活性評価
石英セル製の容器(光学測定用:10×10×45mm)に濃度10ppmのメチレンブルー溶液を充填し、これに光触媒(AC)を浸漬し、Xeランプ(2KW、分光波長範囲209〜706nm)を照射し、5時間後の波長460nmにおける吸光度を測定した。Xeランプ照射前の溶液の吸光度を1とした。なお、吸光度が低いほど反応が進んで、メチレンブルーが減少していることを示す。
【0148】
結果を表1に示す。
【0149】
【実施例2〜7、比較例1〜3】
光電気セル(B)〜(H)の作成
管状酸化チタン粒子(PT-2)〜(PT-10)をそれぞれ用いた以外は実施例1と同様にして光電気セル(B)〜(K)を作成し、Voc、Joc、FFおよびηを測定した。
【0150】
結果を表1に示す。
光触媒(BC)〜(HC)の調製
管状酸化チタン粒子(PT-2)〜(PT-10)をそれぞれ用いた以外は実施例1と同様にして光触媒(BC)〜(HC)を調製し、活性を評価した。
【0151】
結果を表1に示す。
【0152】
【表1】
Figure 0004294245

【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る光電気セルの一実施例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1・・・・・透明電極層
2・・・・・金属酸化物半導体膜
3・・・・・電極層
4・・・・・電解質
5・・・・・透明基板
6・・・・・基板

Claims (6)

  1. 表面に電極層(1)を有し、かつ該電極層(1)表面に光増感材を吸着した金属酸化物半導体膜(2)が形成されてなる基板と、
    表面に電極層(3)を有する基板とが、
    前記電極層(1)および電極層(3)が対向するように配置してなり、
    金属酸化物半導体膜(2)と電極層(3)との間に電解質層を設けてなる光電気セルにおいて、
    少なくとも一方の基板および電極が透明性を有し、
    金属酸化物半導体膜(2)が、外径(Dout)が5〜40nmの範囲にあり、内径(Din)が4〜30nmの範囲にあり、管の厚みが1〜20nmの範囲にあり、長さ(L)が25〜1000nmの範囲にあり、この長さ(L)と前記外径(Dout)との比(L)/(Dout)が5〜200の範囲にある管状酸化チタン粒子を含んでなり、
    該管状酸化チタン粒子が、原料としてペルオキソチタン酸に由来する平均粒子径が2〜100nm酸化チタン粒子または酸化チタン系複合酸化物粒子の水分散ゾルを用いて、得られた非凝集管状酸化チタン粒子であることを特徴とする光電気セル。
  2. 前記非凝集管状酸化チタン粒子が、
    ペルオキソチタン酸を加熱したものであるか、あるいは、ペルオキソチタン酸にチタン以外の元素の無機化合物粒子、金属アルコキシド、塩、またはアルコキシシランを添加して加熱して得られた(i)酸化チタン粒子および/または(ii)酸化チタンと酸化チタン以外の酸化物からなる酸化チタン系複合酸化物粒子が水に分散してなり、かつこれらの粒子の平均粒子径が2〜100nmの範囲にある水分散ゾルを、アルカリ金属水酸化物の存在下で水熱処理したものであるか、
    水分散ゾルを、アルカリ金属水酸化物の存在下に水熱処理した後(1段目)、さらにアルカリ金属カチオン以外のカチオン(プロトンを含む)存在下で水熱処理する(2段目)ことで得られものであるか、
    該水分散ゾルを、アルカリ金属水酸化物の存在下および水酸化アンモニウムおよび/または有機塩基の共存下に水熱処理した後(1段目)、さらにアルカリ金属カチオン以外のカチオン(プロトンを含む)存在下で水熱処理する(2段目)ことで得られものであることを特徴とする請求項1に記載の光電気セル。
  3. 前記管状酸化チタン粒子中のアルカリ金属含有量が500ppm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の光電気セル。
  4. 前記金属酸化物半導体膜(2)が、さらに無定型酸化チタンバインダー成分を含んでなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光電気セル。
  5. 外径(Dout)が5〜40nmの範囲にあり、内径(Din)が4〜30nmの範囲にあり、管の厚みが1〜20nmの範囲にあり、長さ(L)が25〜1000nmの範囲にあり、この長さ(L)と前記外径(Dout)との比(L)/(Dout)が5〜200の範囲にある管状酸化チタン粒子を用いた光触媒。
  6. 前記管状酸化チタン粒子中のアルカリ金属含有量が500ppm以下であることを特徴とする請求項5に記載の光触媒。
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