JP4677692B2 - 透明ガスバリア材およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、透明性に優れ酸素および水蒸気の透過に対して高度なガスバリア性を持つガスバリア材およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高分子樹脂基材上に金属酸化物などからなる無機化合物を形成した透明ガスバリア材は、酸素や水蒸気に対するガスバリア性を有し透明性に優れている利点を備えている。
【0003】
透明ガスバリア材の用途は、食品や医療品などの包装材料のほか、液晶表示素子のプラスチック基板や有機エレクトロルミネッセンス素子のパッケージフィルムへも拡大し、さらに高度なガスバリア性能が要求されている。
【0004】
高度なガスバリア性を達成する手法として、ラミネートやプライマーコート、オーバーコートなどが行われている。プライマーコートやオーバーコートは主として有機樹脂からなり、塗布液体には溶剤が含まれるものが大部分であり、乾燥工程および大型乾燥設備が必要とされる。
【0005】
また、無機化合物の形成にはガスバリア性能や生産性を考慮すると、巻き取り式真空成膜が適しているため、溶剤を含むプライマーコートやオーバーコートとは別装置にて成膜する必要である。
【0006】
有機樹脂に溶剤を含まない有機樹脂モノマーやオリゴマーを使用することによって、真空中で高分子樹脂基材上に有機樹脂層を形成することが可能となる。
【0007】
この技術では、乾燥工程および設備が不要である、有機樹脂層と無機化合物層を同一装置内で形成することができ生産性が向上する、無機化合物と有機樹脂層を連続的に形成することで膜の損傷によるガスバリア性の劣化を防止できる、等の利点がある。
【0008】
有機樹脂の硬化方法としては、硬化速度が速く生産性に優れた放射線硬化が最適であり、使用される樹脂は放射線硬化型のアクリレートやメタクリレートのモノマーやオリゴマーが用いられる。
【0009】
例えば、特表平8−512256号では、高分子支持体上に蒸発したアクリレートモノマーをモノマーフィルムとして凝縮、放射線重合させ有機樹脂層を形成し、次いで同じ側に無機酸化物層を蒸着させることによって、酸素に対するガスバリア性に優れた透明ガスバリア材を提案している。
【0010】
しかし、用途によっては酸素に対するガスバリア性だけでは不十分であり、酸素、水蒸気ともに高度なガスバリア性を有する透明ガスバリア材が望まれている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、プラスチック樹脂基材上にある特徴を有するアクリレートとメタクリレート、アクリレートとウレタン系アクリレート、もしくはアクリレートとメタクリレートとウレタン系アクリレートの混合樹脂溶液からなるポリマー層、無機薄膜層を交互に積層させることにより、酸素および水蒸気に対する高度なガスバリア性を有する透明ガスバリア材およびその製造方法を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明においては、上記の問題を解決するために、無機酸化物のプライマーコートおよびオーバーコートとして最適なアクリレートやメタクリレートの調査・検討を行った結果、アクリレートとメタクリレートおよび/またはウレタン系アクリレートの混合系をプライマーコートおよびオーバーコートとして用いることにより、酸素および水蒸気バリア性に優れたガスバリア材を得ることを可能としたものである。
【0013】
特に請求項4ならびにこれらの請求項を引用する請求項に係る本発明においては、上記の問題を解決するために、無機酸化物のプライマーコートおよびオーバーコートとして最適なアクリレートやメタクリレートの調査・検討を行った結果、アクリレートとメタクリレートおよび/またはウレタン系アクリレートの混合系をプライマーコートおよびオーバーコートとして用いることにより、酸素および水蒸気バリア性に優れたガスバリア材を得ることを可能とするものである。
【0014】
なお、本発明では、ウレタン系アクリレートとはウレタン結合を主鎖に持つアクリレートを指している。
【0015】
この中でも特に請求項1および3、かつ請求項4、ならびにこれらの請求項を引用する請求項に係る本発明においては、上記の問題を解決するために、無機酸化物のプライマーコートおよびオーバーコートとして最適なアクリレートやメタクリレートの調査・検討を行った結果、アクリレートとメタクリレートの混合系、アクリレート、メタクリレートおよびウレタン系アクリレートの混合系をプライマーコートおよびオーバーコートとして用いることにより、酸素および水蒸気バリア性に優れたガスバリア材を得ることを可能とするものである。なお、本発明では、ウレタン系アクリレートとはウレタン結合を主鎖に持つアクリレートを指している。
【0016】
特に請求項2および3、かつ請求項4、ならびにこれらの請求項を引用する請求項に係る本発明においては、上記の問題を解決するために、無機酸化物のプライマーコートおよびオーバーコートとして最適なアクリレートやメタクリレートの調査・検討を行った結果、アクリレートとウレタン系アクリレートの混合系、アクリレート、ウレタン系アクリレートおよびメタクリレートの混合系をプライマーコートおよびオーバーコートとして用いることにより、酸素および水蒸気バリア性に優れたガスバリア材を得ることができた。
【0017】
請求項1に記載の発明は、プラスチック樹脂基材上に、2官能以上のアクリレートとメタクリレートの混合物からなる電子線もしくは紫外線硬化性モノマーおよび/またはオリゴマーが重合したポリマー層、および無機薄膜層を積層してなり、前記ポリマー層が、2官能以上のアクリレートとメタクリレートの混合比率が、モル比で95:5から30:70の範囲内であることを特徴とする透明ガスバリア材を提供するものである。
【0018】
請求項2に記載の発明は、プラスチック樹脂基材上に、2官能以上のアクリレートとウレタン系アクリレートの混合物からなる電子線もしくは紫外線硬化性モノマーおよび/またはオリゴマーが重合したポリマー層、および無機薄膜層を積層してなり、前記ポリマー層が、2官能以上のアクリレートとウレタン系アクリレートの混合比率が、モル比で95:5から50:50の範囲内であることを特徴とする透明ガスバリア材を提供するものである。
【0019】
請求項3に記載の発明は、プラスチック樹脂基材上に、アクリレートとメタクリレートとウレタン系アクリレートの混合物からなる電子線もしくは紫外線硬化性モノマーおよび/またはオリゴマーが重合したポリマー層、および無機薄膜層を積層してなり、前記ポリマー層が、アクリレートとウレタン系アクリレートの混合比率が、モル比で95:5から50:50の範囲内であり、かつそれにさらにメタクリレートをモル比0.1〜20%の範囲内で添加されていることを特徴とする透明ガスバリア材を提供するものである。
【0020】
請求項4に記載の発明は、前記プラスチック樹脂基材上に、ポリマー層、無機薄膜層の順に積層されていることを特徴とする請求項1、2、3何れか記載の透明ガスバリア材を提供するものである。
【0021】
請求項5に記載の発明は、前記プラスチック樹脂基材上に、無機薄膜層、ポリマー層の順に積層されていることを特徴とする請求項1、2、3何れか記載の透明ガスバリア材を提供するものである。
【0022】
請求項6に記載の発明は、前記プラスチック樹脂基材上に、ポリマー層、無機薄膜層、ポリマー層の順に積層されていることを特徴とする請求項1、2、3何れか記載の透明ガスバリア材を提供するものである。
【0023】
請求項7に記載の発明は、前記プラスチック樹脂基材上に、無機薄膜層、ポリマー層、無機薄膜層の順に積層されていることを特徴とする請求項1、2、3何れか記載の透明ガスバリア材を提供するものである。
【0024】
請求項8に記載の発明は、前記プラスチック樹脂基材上に、ポリマー層と無機薄膜層の順に交互に複数層設けたことを特徴とする請求項1、2、3何れか記載の透明ガスバリア材を提供するものである。
【0025】
請求項9に記載の発明は前記プラスチック樹脂基材上に、無機薄膜層とポリマー層の順に交互に複数層設けたことを特徴とする請求項1、2、3何れか記載の透明ガスバリア材を提供するものである。
【0026】
請求項10に記載の発明は、最上層がポリマー層からなることを特徴とする請求項8または9記載の透明ガスバリア材を提供するものである。
【0027】
請求項11に記載の発明は、最上層が無機薄膜層からなることを特徴とする請求項8または9記載の透明ガスバリア材を提供するものである。
【0031】
請求項12に記載の発明は、前記ポリマー層が、アクリレートとメタクリレートとウレタン系アクリレートの混合比率が、三成分系三角図においてモル比94.9:5.0:0.1、79.1:4.2:16.7、25:58.3:16.7および30:69.9:0.1で囲まれる範囲内である請求項3記載の透明ガスバリア材を提供するものである。
【0032】
請求項13に記載の発明は、前記ポリマー層を構成する混合樹脂溶液が25℃において600mPa・s以下の粘度を示である請求項1〜12何れか記載の透明ガスバリア材を提供するものである。
【0033】
請求項14に記載の発明は、前記無機薄膜層が、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、インジウムと錫の酸化物およびインジウムとセリウムの酸化物からなることを特徴とする請求項1〜13いずれかに記載の透明ガスバリア材を提供するものである。
【0034】
請求項15に記載の発明は、ポリマー層が、電子線もしくは紫外線硬化性モノマーおよび/またはオリゴマーのみを重合させて形成されることを特徴とする請求項1〜14いずれかに記載の透明ガスバリア材の製造方法を提供するものである。
【0035】
請求項16に記載の発明は、請求項1〜14いずれかに記載されているポリマー層および無機薄膜層が、巻き取り式によって連続的に形成されることを特徴とする透明ガスバリア材の製造方法を提供するものである。
【0036】
請求項17に記載の発明は、請求項1〜14いずれかに記載されているポリマー層および無機薄膜層が、同一真空装置内で大気に曝されることなく連続的に形成されることを特徴とする透明ガスバリア材の製造方法を提供するものである。
【0037】
図1は、本発明によって得られるガスバリア材の断面図の例を示したものである。透明ガスバリア材1は、透明なプラスチック樹脂基材2、ポリマー層3、無機薄膜層4から成るものである。
【0038】
プラスチック樹脂基材上に、ポリマー層、無機薄膜層どちらを先に形成してもよい。但し、ポリマー層、無機薄膜層各々先に形成する事により別個の利点があり、適宜用途等を比較検討して決定すべきであるので下に述べる。
【0039】
ポリマー層、無機薄膜層は複数積層させてもよい。これも、単層複数層各々別個の利点があり、適宜用途等を比較検討して決定すべきであるので下に述べる。
【0040】
最上層はポリマー層、無機薄膜層のどちらでもよい。これも、ポリマー層、無機薄膜層各々最上層をポリマー層、無機薄膜層とした場合に別個の利点があり、適宜用途等を比較検討して決定すべきであるので下に述べる。
【0041】
ポリマー層は、緻密な無機薄膜層を得るために必要な無機薄膜層の核生成サイトを与えるほか、表面を平滑にしプラスチック樹脂基材に含まれる滑剤などの突起上で無機薄膜層が割れることを防ぐ効果がある場合がある。
【0042】
特に、プラスチック樹脂基材上にポリマー層を形成すると、緻密な無機薄膜層を得るために必要な無機薄膜層の核生成サイトを与えるほか、表面を平滑にしプラスチック樹脂基材に含まれる滑剤などの突起上で無機薄膜層が割れることを防ぐ効果がある場合がある。
【0043】
しかし、ポリマー層を形成するアクリレートやメタクリレートは、場合によっては、プラスチック樹脂基材によっては密着力や塗れ性に問題が生じることが懸念される場合がある。
【0044】
そのような場合は、プラスチック樹脂基材表面にコロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理、薬品処理、アンカーコート処理などを施してもよい。また、プラスチック樹脂基材に先に無機薄膜層を形成することにより、基材との密着性を改善する方法もある。
【0045】
最上面をポリマー層とすると、擦れなどによって無機薄膜層が機械的損傷を受けることを防止する効果がある場合があるが、湿潤な環境においてはポリマー層の変質などにより、フィルム全体のバリア性が劣化しやすくなる場合がある。
【0046】
他方、無機薄膜層が最上面となると、機械的損傷は受けるが、水蒸気の透過を防ぎポリマー層の変質によって起こるフィルムのバリア性劣化を防ぐことができる場合がある。
【0047】
この様に、ポリマー層と無機薄膜層の積層順序、最上層の選択は、プラスチック樹脂基材の種類、使用環境などによって適宜選択することができる。
【0048】
本発明において使用される透明なプラスチック樹脂基材は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルフォン、アイオノマー、セロハン、ナイロンなどの延伸または未延伸のフィルムであり、ガスバリア材の使用環境、要求性能、内容物の種類、加工性および経済性などを考慮し適宜選択することができる。基材の厚さは、包装適性、可撓性などを考慮し10〜200μm程度のものが用いられる。
【0049】
ポリマー層は、アクリレートとメタクリレートもしくはウレタン系アクリレートの2成分、もしくはアクリレートとメタクリレートとウレタン系アクリレートの3成分のモノマーおよび/またはオリゴマーを混合した樹脂溶液から成り、各成分は1種類のモノマーおよびオリゴマーに限らず、複数のモノマーおよび/またはオリゴマーの混合物であってもよい。
【0050】
特に、請求項1および3、かつ請求項4、ならびにこれらの請求項を引用する請求項に関するポリマー層は、アクリレートとメタクリレートの2成分、もしくはアクリレートとメタクリレートとウレタン系アクリレートの3成分のモノマーおよび/またはオリゴマーを混合した樹脂溶液から成り、各成分は1種類のモノマーおよびオリゴマーに限らず、複数のモノマーおよび/またはオリゴマーの混合物であってもよい。
【0051】
特に、請求項2および3、かつ請求項4、ならびにこれらの請求項を引用する請求項に関するポリマー層は、アクリレートとウレタン系アクリレートの2成分、もしくはアクリレートとウレタン系アクリレートとメタクリレートの3成分のモノマーおよび/またはオリゴマーを混合した樹脂溶液から成り、各成分は1種類のモノマーおよびオリゴマーに限らず、複数のモノマーおよび/またはオリゴマーの混合物であってもよい。
複数積層させた場合、すべてのポリマー層が同じ組成でなくても構わない。
【0052】
混合樹脂溶液をプラスチック樹脂基材上に塗工する方法は、大気プロセスでも真空プロセスであってもよい。混合樹脂溶液の塗工前に、塗工面となるプラスチック樹脂基材もしくは無機薄膜層との密着力工場を目的として、塗工面にプラズマやイオン処理など前処理を施してもよい。大気プロセスとして、グラビアコート、スロットコート、カーテンコート、スピンコート、スキージコート、スクリーン印刷など各種の塗布方法があげられる。
ただし、混合樹脂溶液の塗工を大気プロセスで行う場合、成膜中もしくは後に大気中の塵埃など異物が巻き込まれる恐れがある。
【0053】
ポリマー層上に無機薄膜層を形成する場合、異物は無機薄膜層にキズなどを与える原因となり、良好なバリア性を有するフィルムを得ることができない可能性がある。また、液晶表示素子のプラスチック基板や有機エレクトロルミネッセンス素子のパッケージフィルムへの用途の場合、視覚的欠陥となる。
【0054】
より高度なガスバリア性や視覚的欠陥がないことが要求される場合、ポリマー層の形成は真空プロセスで行うのが望ましい。
真空プロセスには有機蒸着などがあげられるが、そのほか真空装置内で混合樹脂溶液を蒸発させずに直接プラスチック樹脂基材上に塗工する方法でも良い。真空プロセスでは、ポリマー層を無機薄膜層と同一装置内で形成する事ができる。
【0055】
この方法では、ポリマー層もしくは無機薄膜層を形成した後、一度も大気に曝すことなく、その上の無機薄膜層もしくはポリマー層を積層することが可能となり、より異物の混入を防ぐことができ、結果として高度なバリア性を有し視覚的欠陥が無いバリアフィルムを得られるほか、ポリマー層と無機薄膜層の形成を別装置で行う場合に比べ製造コストを削減できるという効果がある。
【0056】
混合樹脂溶液を塗工した後、電子線もしくは紫外線によって硬化させ、ポリマー層を形成する。電子線もしくは紫外線による硬化方法は、熱による硬化に比べ硬化速度が非常に速いという利点を有する。紫外線による硬化を行う場合には、混合樹脂溶液に光重合開始剤を添加する。光重合開始剤としては、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等がある。
【0057】
電子線もしくは紫外線による硬化方法では、溶剤は不要であるため、モノマーおよび/またはオリゴマーの混合樹脂溶液は平滑な塗膜が得られるよう溶剤で希釈し粘度を調節せず、ポリマー層を構成するモノマーおよびオリゴマーのみを用いて溶液の粘度を調整する必要がある。平滑な塗膜を得るためには、混合樹脂溶液の粘度は25℃において600mPa・s以下であることが望ましい。
【0058】
ポリマー層を構成するアクリレートには、十分な電子線もしくは紫外線硬化速度が得られ、硬化後の塗膜にタックが残留しないことが必要であり、アクリル基を2つ以上含有するモノマーやオリゴマーもしくはこれらの混合物が望ましい。
【0059】
ただし、混合樹脂溶液のアクリレート成分は2官能以上のものに限られるわけではなく、塗工する混合樹脂溶液が25℃で600mPa・s以下になるようにするために、硬化速度やタックの影響が出ない範囲で希釈性の高い単官能アクリレートを添加しても構わない。
【0060】
本発明で用いられる2官能以上のアクリレートモノマーおよびオリゴマーの例として、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1.6‐ヘキサジオールジアクリレート、1.9‐ノナンジオールジアクリレート、ジメチロール‐トリシクロデカンジアクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリアクリレートなどが挙げられる。
【0061】
メタクリレートは、一般にポリマーのガラス転移点が類似構造のアクリレートポリマーよりも高く耐熱性に優れている。無機薄膜層形成時にポリマー層表面は熱的ダメージを受けるが、耐熱性に優れたメタクリレートを用いたポリマー層は熱膨張変化などのダメージの影響が小さく、優れたガスバリア材を得ることができる。また、メタクリレートはアクリレートに比べ電子線もしくは紫外線硬化性に劣り、未硬化モノマーの残留やタックの残留が懸念されるため、メタクリル基を2つ以上含むメタクリレートを使用することが望ましいが、硬化性や残留タック、最終的なガスバリア性に影響がない限り単官能メタクリレートを含んでいても問題はなく、アクリレートとメタクリレートの混合比率はモル比95:5から30:70の範囲内であればよい。
【0062】
本発明で使用できるメタクリレートの具体例として、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、1.4−ブタンジオールジメタクリレート、1.9−ノナンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートなどが挙げられる。さらに、メタクリレート構造中に水酸基やカルボキシル基を含有すると、無機薄膜層の核生成剤として作用し無機薄膜層が緻密化することによって、より高度な酸素および水蒸気バリア性を有するガスバリア材を得ることができる。
【0063】
上記の条件に適するメタクリレートには、グリセリンジメタクリレート、エチレングリコールジエポキシメタクリレートなどである。しかし、水酸基含有メタクリレートの混合比率が多くなると、水蒸気バリア性が逆に悪くなる傾向が見られるため、上記混合比率の範囲内で使用することが好ましい。
【0064】
ウレタン系アクリレートは、塗膜の硬化性を向上させるとともに、酸素、水蒸気ともによりガスバリア性に優れたガスバリア材を得られるという効果がある。
ウレタン系アクリレートは粘度が高いため、高比率でアクリレートに混合させることができない。ウレタン系アクリレートの溶解性、溶液の塗工性および無機薄膜層形成後のガスバリア性を考慮し、混合比率はモル比95:5から50:50の範囲内であることが好ましい。
【0065】
アクリレートとメタクリレートの2成分混合樹脂溶液に、ウレタン系アクリレートを混ぜても良い。ウレタン系アクリレートを添加することによって、塗膜の硬化性が向上するとともに、酸素、水蒸気ともによりバリア性に優れたガスバリア材を得ることができる。ウレタン系アクリレートは粘度が高いため、高比率でアクリレートとメタクリレートに混合させることができない。
【0066】
ウレタン系アクリレートの溶解性、溶液の塗工性および無機薄膜層形成後のガスバリア性を考慮し、3成分の混合比は図2に示す3成分系三角図における斜線部分に相当する範囲内であることが必要である。
【0067】
逆に、アクリレートとウレタン系アクリレートの2成分混合樹脂溶液に、メタクリレートを混ぜても良い。メタクリレートは、一般にポリマーのガラス転移点が類似構造のアクリレートポリマーよりも高く耐熱性に優れているからである。
【0068】
無機薄膜層形成時にポリマー層表面は熱的ダメージを受けるが、耐熱性に優れたメタクリレートを用いたポリマー層は熱膨張変化などのダメージの影響が小さく、優れたガスバリア材を得ることができる。
【0069】
また、メタクリレートはアクリレートに比べ電子線もしくは紫外線硬化性に劣り、未硬化モノマーの残留やタックの残留が懸念されるため、メタクリル基を2つ以上含むメタクリレートを使用することが望ましいが、硬化性や残留タック、最終的なガスバリア性に影響がない限り単官能メタクリレートを含んでいても問題はない。
【0070】
また、ガスバリア材においてポリマー層を形成する混合樹脂溶液が25℃において600mPa・s以下の粘度を示しかつアクリレートとウレタン系アクリレートの混合比率がモル比95:5から50:50の範囲内であるものとした場合のガスバリア材である場合、アクリレートとウレタン系アクリレートの混合比率に対し、メタクリレートをモル比0.1から20%の範囲内であればよい。
【0071】
本発明で使用できるメタクリレートの具体例として、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、1.4−ブタンジオールジメタクリレート、1.9−ノナンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートなどが挙げられる。
【0072】
さらに、メタクリレート構造中に水酸基やカルボキシル基を含有すると、無機薄膜層の核生成剤として作用し無機薄膜層が緻密化することによって、より高度な酸素および水蒸気バリア性を有するガスバリア材を得ることができる。
【0073】
上記の条件に適するメタクリレートには、グリセリンジメタクリレート、エチレングリコールジエポキシメタクリレートなどである。
【0074】
しかし、水酸基含有メタクリレートの混合比率が多くなると、水蒸気バリア性が逆に悪くなる傾向が見られるため、上記混合比率の範囲内で使用することが好ましい。
【0075】
無機薄膜層は、酸素および水蒸気に対するバリア性に寄与している。本研究では、無機薄膜層として酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、インジウムと錫の酸化物およびインジウムとセリウムの酸化物のいずれかから選択できる。これらの無機酸化物はガスバリア性に優れるだけでなく、高い透明性を示すことから透明ガスバリア材のガスバリア層に適用される。透明性、着色およびバリア性能は金属と酸素の組成比により調節する。無機薄膜層の形成方法は、電子線加熱や誘導加熱、抵抗加熱を蒸発手段とした真空蒸着法、スパッタリング法、化学気相法、イオンプレーティング法などを用いることができる。
【0076】
無機薄膜層の形成前に、プラスチック樹脂基材もしくはポリマー層表面に対しプラズマやイオン処理などの前処理を施しても良い。無機薄膜層の厚さは10nmから100nmの範囲内が好ましい。
【0077】
10nm以下では無機薄膜層でポリマー層を完全に覆うことができず十分なガスバリア性能を得ることができない。100nm以上では巻取り時にかかる曲げ応力によって無機薄膜層が破損しガスバリア性が低下する恐れがある。透明性や生産コストを考慮すると、20nmから40nmの範囲内が最適である。
【0078】
以下で本発明の実施形態を、図面を用いて詳細に説明する。
本発明のガスバリア材およびその製造を実施している真空蒸着装置5の一例を図3に示す。この例では、ポリマー層の硬化方法として電子線を、無機薄膜層の形成方法として電子線加熱による真空蒸着法を適用している。
【0079】
真空ポンプ6を接続した真空蒸着装置5の内部に、冷却ロール7、巻出しロール8、巻取りロール9を設置する。冷却ロール7の周辺にポリマー層有機物蒸着装置10、ポリマー層電子線照射装置11、遮蔽板12、無機薄膜層蒸着用電子銃13、坩堝14、偏向コイル15、ポリマー層有機物供給装置16、無機薄膜層酸素供給装置17を配置する。さらに、ポリマー層有機物蒸着装置10、ポリマー層電子線照射装置11、無機薄膜層蒸着用電子銃13それぞれに真空ポンプ等圧調節装置を接続し、各プロセスに適した真空度に調節することが望ましい。
【0080】
巻出しロール8にプラスチック樹脂基材の原反を装着し、冷却ロール7を介して巻き取りロール9に至る原反搬送パスを形成する。真空成膜装置5内を真空ポンプ6にて排気し、真空度を1Pa以下とする。
【0081】
真空到達後、プラスチック樹脂基材上にポリマー層を形成する。ポリマー層有機物供給装置16からアクリレートとメタクリレート、アクリレートとウレタン系アクリレート、もしくはアクリレート、メタクリレート、ウレタンアクリレートの混合樹脂溶液を供給し、ポリマー層有機物蒸着装置10で混合樹脂溶液を蒸発させ、冷却ロール7に接し冷却されたプラスチック樹脂基材上に凝縮させる。ポリマー層は、ポリマー層有機物供給装置16で混合樹脂溶液の蒸発速度を制御することにより、所定の厚さに形成できる。
【0082】
この後、ポリマー層電子線照射装置11にて硬化処理が行われる。本発明では、電子線硬化、紫外線硬化ともに適用できるが、特に電子線硬化による方法は、紫外線硬化による方法に比べ硬化速度が速く、重合開始剤を必要としないという点で優れている。
【0083】
真空到達後これと前後して、もしくはこの工程を挟んでポリマー層上、もしくは事前に無機薄膜層を形成する。
【0084】
無機薄膜層蒸着用電子銃13から電子線を坩堝14内の蒸着原料に照射し、蒸着原料を蒸気化させる。本発明では、無機薄膜層として酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、インジウムと錫の酸化物およびインジウムとセリウムの酸化物を用いることができるが、特に酸化アルミニウムの真空蒸着による成膜は、成膜速度が速く生産性に優れている。
【0085】
酸化アルミニウムの場合、真空蒸着の蒸着原料として、金属アルミニウム、酸化アルミニウムのいずれかを選択することが可能である。金属アルミニウムを蒸着原料とした場合、無機薄膜層酸素供給装置17から酸素を供給し反応蒸着によって酸化アルミニウム層を形成する。
【0086】
供給する酸素の量は、酸化アルミニウム層の厚さ、酸化度、巻取り速度、真空成膜装置の大きさなどの成膜条件によって異なる。着色、ガスバリア性を考慮し、金属アルミニウムの単位時間あたりの蒸発量に対し酸素供給速度が、酸素/アルミニウムモル換算比で0.15〜0.75になるように設定する。
【0087】
【実施例】
次に詳細な実施例を記載する。
(実施例1)
厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを真空成膜装置5の巻き出しロール8に装着し、真空成膜装置5内を1×10-1Paまで減圧した。
【0088】
ポリエチレンテレフタレートフィルムを速度0.5m/秒で冷却ロール7に密着させて走行させた。続いて、トリエチレングリコールジアクリレート(共栄社化学株式会社製 3EG−A)と、エチレングリコールジエポキシメタクリレート(共栄社化学株式会社製 40EM)をモル比80対20の割合で混合した樹脂を、ポリマー層有機物供給装置16、ポリマー層有機物蒸着装置10を用いて蒸着した。さらに、ポリマー層電子線照射装置11を用いて電子線を照射しポリマー層を硬化させた。
【0089】
ポリマー層の上に無機薄膜層を設けた。無機薄膜層蒸着用電子銃13に15kWの電力を供給して電子線を発生させ、蒸着材料であるアルミニウムに照射して蒸発させた。この時アルミニウムの酸化剤として酸素をアルミニウム蒸発速度に対してモル比で0.4の割合で無機薄膜層酸素供給装置17から導入してアルミニウムと反応させ、厚さ20nmの酸化アルミニウム層を形成した。
【0090】
(実施例21)
実施例1の樹脂をトリエチレングリコールジアクリレート(共栄社化学株式会社製 3EG−A)とペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー(共栄社化学株式会社製 UA−306H)をモル比80対20の割合で混合した樹脂を、ポリマー層有機物供給装置16、ポリマー層有機物蒸着装置10を用いて蒸着した。さらに、ポリマー層電子線照射装置11を用いて電子線を照射しポリマー層を硬化させた。
ポリマー層の上に無機薄膜層を設けた。実施例1と同様の方法で厚さ20nmの酸化アルミニウム層を形成した。
【0091】
(実施例2)
実施例1の樹脂をトリエチレングリコールジアクリレート(共栄社化学株式会社製 3EG−A)とエチレングリコールジエポキシメタクリレート(共栄社化学株式会社製 40EM)とペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー(共栄社化学株式会社製 UA−306H)をモル比80対10対10の割合で混合した樹脂に置換した。混合樹脂溶液をポリマー層有機物供給装置16、ポリマー層有機物蒸着装置10を用いて蒸着した。さらに、ポリマー層電子線照射装置11を用いて電子線を照射しポリマー層を硬化させた。
次いでポリマー層の上に無機薄膜層を設けた。実施例1と同様の方法で厚さ20nmの酸化アルミニウム層を形成した。
【0092】
(実施例3)
実施例1のガスバリア層を酸化ケイ素に置換した。トリエチレングリコールジアクリレート(共栄社化学株式会社製 3EG−A)とエチレングリコールジエポキシメタクリレート(共栄社化学株式会社製 40EM)をモル比80対20の割合で混合した樹脂を、ポリマー層有機物供給装置16、ポリマー層有機物蒸着装置10を用いて蒸着した。さらに、ポリマー層電子線照射装置11を用いて電子線を照射しポリマー層を硬化させた。
次いでポリマー層の上に無機薄膜層を設けた。無機薄膜層蒸着用電子銃13に15kWの電力を供給して電子線を発生させ、蒸着材料である一酸化ケイ素(SiO)に照射して蒸発、厚さ40nmの酸化ケイ素層を形成した。
【0093】
(実施例4)
実施例3の樹脂をトリエチレングリコールジアクリレート(共栄社化学株式会社製 3EG−A)とエチレングリコールジエポキシメタクリレート(共栄社化学株式会社製 40EM)とペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー(共栄社化学株式会社製 UA−306H)をモル比80対10対10の割合で混合した樹脂に置換した。混合樹脂溶液をポリマー層有機物供給装置16、ポリマー層有機物蒸着装置10を用いて蒸着した。さらに、ポリマー層電子線照射装置11を用いて電子線を照射しポリマー層を硬化させた。
次いでポリマー層の上に無機薄膜層を設けた。実施例3と同様の方法で厚さ40nmの酸化ケイ素層を形成した。
【0094】
(実施例22)
実施例21のガスバリア層を酸化ケイ素に置換した。トリエチレングリコールジアクリレート(共栄社化学株式会社製 3EG−A)とペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー(共栄社化学株式会社製 UA−306H)をモル比80対20の割合で混合した樹脂を、ポリマー層有機物供給装置16、ポリマー層有機物蒸着装置10を用いて蒸着した。
【0095】
さらに、ポリマー層電子線照射装置11を用いて電子線を照射しポリマー層を硬化させた。
次いでポリマー層の上に無機薄膜層を設けた。無機薄膜層蒸着用電子銃13に15kWの電力を供給して電子線を発生させ、蒸着材料である一酸化ケイ素(SiO)に照射して蒸発、厚さ40nmの酸化ケイ素層を形成した。
【0096】
(比較例1)
実施例1の樹脂をトリエチレングリコールジアクリレートに置換した。
【0097】
(比較例2)
実施例1の樹脂をトリエチレングリコールジアクリレートとエチレングリコールジエポキシメタクリレートをモル比20対80の割合で混合した樹脂に置換した。
【0098】
(比較例3)
実施例1の樹脂をトリエチレングリコールジアクリレートとエチレングリコールジエポキシメタクリレートとペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマーをモル比20対30対50の割合で混合した樹脂に置換した。
【0099】
(比較例4)
実施例1の樹脂をトリエチレングリコールジアクリレートとエチレングリコールジエポキシメタクリレートとペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマーをモル比50対20対30の割合で混合した樹脂に置換した。
【0100】
(比較例5)
実施例1の樹脂をラウリルアクリレート(共栄社化学株式会社製 L−A)とエチレングリコールジエポキシメタクリレートをモル比80対20の割合で混合した樹脂に置換した。
【0101】
(比較例6)
実施例1の樹脂をトリエチレングリコールジアクリレートとポリエチレングリコール#200ジエポキシメタクリレート(共栄社化学株式会社製 200EA)をモル比80対20の割合で混合した樹脂に置換した。
比較例1から6では、電子線照射によりポリマー層が硬化した場合のみに、実施例1と同様の方法で厚さ20nmの酸化アルミニウム層を形成した。
【0102】
(比較例7)
実施例3の樹脂をトリエチレングリコールジアクリレートに置換した。
【0103】
(比較例8)
実施例3の樹脂をトリエチレングリコールジアクリレートとエチレングリコールジエポキシメタクリレートをモル比20対80の割合で混合した樹脂に置換した。
【0104】
(比較例9)
実施例3の樹脂をトリエチレングリコールジアクリレートとエチレングリコールジエポキシメタクリレートとペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマーをモル比20対30対50の割合で混合した樹脂に置換した。
【0105】
(比較例10)
実施例3の樹脂をトリエチレングリコールジアクリレートとエチレングリコールジエポキシメタクリレートとペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマーをモル比50対20対30の割合で混合した樹脂に置換した。
【0106】
(比較例11)
実施例3の樹脂をラウリルアクリレートとエチレングリコールジエポキシメタクリレートをモル比80対20の割合で混合した樹脂に置換した。
【0107】
(比較例12)
実施例3の樹脂をトリエチレングリコールジアクリレートとポリエチレングリコール#200ジエポキシメタクリレートをモル比80対20の割合で混合した樹脂に置換した。
比較例7から12では、電子線照射によりポリマー層が硬化した場合のみに、実施例3と同様の方法で厚さ40nmの酸化ケイ素層を形成した。
【0108】
〔混合性の評価方法〕
アクリレート、メタクリレートおよびウレタン系アクリレートの混合性を目視にて判断した。
【0109】
〔塗工性の評価方法〕
混合樹脂溶液のプラスチック樹脂基材上への塗工性を目視で判断した。
【0110】
〔硬化性の評価方法〕
電子線照射によるポリマー層の硬化の可否、タック残留性を、巻取りによってポリマー層に接触するプラスチック樹脂基材への混合樹脂溶液の付着、粘着性で判断した。
【0111】
〔ガスバリア性の評価方法〕
酸素および水蒸気のガス透過度を用い、ポリマー層または無機薄膜層形成後のガスバリア性の評価を行った。
温度30℃、湿度70%RHの雰囲気下でOx−tran 10/50A酸素透過度測定装置(Modern Control社製)によって測定し、酸素透過度とした。温度40℃、湿度90%RHの雰囲気下でPermatran 6W水蒸気透過度測定装置(Modern Control社製)によって測定し、水蒸気透過度とした。
【0112】
表1に混合性、塗工性、硬化性の評価結果、および酸素透過度および水蒸気透過度の測定結果を示す。なお、表中の酸素透過度の単位はcc/m2/day/atm、水蒸気透過度の単位はg/m2/dayである。
【0113】
【表1】
【0114】
比較例1および7は、ポリマー層の塗工性、硬化性いずれも良好であったが、アクリレートのみからなるポリマー層を形成しても十分な酸素および水蒸気バリア性を得ることができない。
【0115】
比較例2および8に示すように、メタクリレートの混合比率が多くなると樹脂の硬化性がやや低下するが、その後の無機薄膜層の形成には差し支えなかった。ガスバリア性はメタクリレートの比率が少ない樹脂をポリマー層とした場合に比べ悪くなっている。特に水蒸気バリア性は、ポリマー層の1成分である40EMが構造中に2つ水酸基を含有するメタクリレートを用いた場合には大幅に悪化している。
【0116】
比較例3および9は、範囲外の混合比率では、継続して攪拌を行っても白濁し混合できなかった。
【0117】
比較例4および10は、範囲外の混合比率では、混合可能ではあったが混合樹脂溶液の粘度が非常に高く、プラスチック樹脂基材を完全に覆うように塗工することができなかった。
【0118】
比較例5および11に示すように、アクリレート成分として単官能アクリレートのみを使用した場合、混合性、塗工性は非常に良好であるが、硬化後のポリマー層表面にタックが残留し使用に十分な硬度を得ることができなかった。
【0119】
比較例6および12に示すように、実施例1および3のメタクリレート成分を構造類似のアクリレートに置換した場合、混合性、塗工性、硬化性は良好であったが十分なガスバリア性をもつガスバリア材を得ることができなかった。
【0120】
実施例1から4に示すように、アクリレートとメタクリレート、あるいはアクリレート、メタクリレート、ウレタン系アクリレートの混合性、混合樹脂溶液の塗工性、硬化性は非常に良好であった。また、これらの混合樹脂溶液からなるポリマー層を形成することによって、高度なガスバリア性を有する透明ガスバリア材を得ることができる。
【0121】
(比較例21)
実施例21の樹脂をトリエチレングリコールジアクリレートとペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマーをモル比30対70の割合で混合した樹脂に置換した。
【0122】
(比較例22)
実施例2の樹脂をトリエチレングリコールジアクリレートとペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマーとエチレングリコールジエポキシメタクリレートをモル比20対30対50の割合で混合した樹脂に置換した。
【0123】
(比較例23)
実施例21の樹脂をトリエチレングリコールジアクリレートとペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマーとエチレングリコールジエポキシメタクリレートをモル比50対20対30の割合で混合した樹脂に置換した。
【0124】
(比較例24)
実施例21の樹脂をラウリルアクリレート(共栄社化学株式会社製 L−A)とペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマーをモル比80対20の割合で混合した樹脂に置換した。
比較例1および21から24では、電子線照射によりポリマー層が硬化した場合のみに、実験例1と同様の方法で厚さ20nmの酸化アルミニウム層を形成した。
【0125】
(比較例25)
実施例21の樹脂をトリエチレングリコールジアクリレートとペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマーをモル比30対70の割合で混合した樹脂に置換した。
【0126】
(比較例26)
実施例23の樹脂をトリエチレングリコールジアクリレートとペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマーとエチレングリコールジエポキシメタクリレートをモル比20対30対50の割合で混合した樹脂に置換した。
【0127】
(比較例27)
実施例22の樹脂をトリエチレングリコールジアクリレートトとペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマーとエチレングリコールジエポキシメタクリレーをモル比50対20対30の割合で混合した樹脂に置換した。
【0128】
(比較例28)
実施例23の樹脂をラウリルアクリレートとペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマーをモル比80対20の割合で混合した樹脂に置換した。
また、比較例1および22から27に示すように、アクリレートは塗工性、硬化性いずれも良好であったが、アクリレートのみからなるポリマー層を形成しても十分な酸素および水蒸気バリア性を得ることができない。
【0129】
比較例21および25に示すように、ウレタン系アクリレートの混合比率が多くなると長時間攪拌しても混合できなかった。
【0130】
比較例22および26に示すように、範囲外の混合比率では、長時間攪拌しても混合できなかった。
【0131】
比較例23および27に示すように、範囲外の混合比率では、混合可能ではあったが混合樹脂溶液の粘度が非常に高く、プラスチック樹脂基材を完全に覆うように塗工することができなかった。
【0132】
比較例24および28に示すように、アクリレート成分として単官能アクリレートのみを使用した場合、混合性、塗工性は非常に良好であるが、硬化後のポリマー層表面にタックが残留し使用に十分な硬度を得ることができなかった。
【0133】
実施例2、4、21、22に示すように、範囲では、アクリレートとウレタン系アクリレート、あるいはアクリレート、ウレタン系アクリレート、メタクリレートの混合性、混合樹脂溶液の塗工性、硬化性は非常に良好であった。
【0134】
また、これらの混合樹脂溶液からなるポリマー層を形成することによって、高度なガスバリア性を有する透明ガスバリア材を得ることができる。
【0135】
(実施例5)
実施例1と同様に、ポリエチレンテレフタレートフィルム上にポリマー層、酸化アルミニウム層を形成した。次いで酸化アルミニウム層の上に、実施例1と同様の方法でトリエチレングリコールジアクリレートとエチレングリコールジエポキシメタクリレートをモル比80対20で混合した樹脂からなるポリマー層を設けた。
【0136】
(実施例6)
実施例5と同様に、ポリエチレンテレフタレートフィルム上にポリマー層、酸化アルミニウム層、ポリマー層の順で形成した。次いで、最上部のポリマー層の上に、実施例1と同様の方法で酸化アルミニウム層を設けた。
【0137】
(実施例23)
実施例21と同様に、ポリエチレンテレフタレートフィルム上にポリマー層、酸化アルミニウム層を形成した。
次いで酸化アルミニウム層の上に、実施例21と同様の方法でトリエチレングリコールジアクリレートとペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマーをモル比80対20で混合した樹脂からなるポリマー層を設けた。
【0138】
(実施例24)
実施例23と同様に、ポリエチレンテレフタレートフィルム上にポリマー層、酸化アルミニウム層、ポリマー層の順で形成した。次いで、最上部のポリマー層の上に、実施例21と同様の方法で酸化アルミニウム層を設けた。
【0139】
(実施例7)
実施例2と同様に、ポリエチレンテレフタレートフィルム上にポリマー層、酸化アルミニウム層を形成した。次いで酸化アルミニウム層の上に、実施例5と同様の方法でトリエチレングリコールジアクリレートとエチレングリコールジエポキシメタクリレートとペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマーをモル比80対10対10の割合で混合した樹脂からなるポリマー層を設けた。
【0140】
(実施例8)
実施例7と同様に、ポリエチレンテレフタレートフィルム上にポリマー層、酸化アルミニウム層、ポリマー層の順で形成した。次いで、最上部のポリマー層の上に、実施例1と同様の方法で酸化アルミニウム層を設けた。
【0141】
(実施例9)
実施例3と同様に、ポリエチレンテレフタレートフィルム上にポリマー層、酸化ケイ素層を形成した。次いで酸化ケイ素層の上に、実施例1と同様の方法でトリエチレングリコールジアクリレートとエチレングリコールジエポキシメタクリレートをモル比80対20で混合した樹脂からなるポリマー層を設けた。
【0142】
(実施例10)
実施例9と同様に、ポリエチレンテレフタレートフィルム上にポリマー層、酸化ケイ素層、ポリマー層の順で形成した。次いで、最上部のポリマー層の上に、実施例1と同様の方法で酸化ケイ素層を設けた。
【0143】
(実施例25)
実施例22と同様に、ポリエチレンテレフタレートフィルム上にポリマー層、酸化ケイ素層を形成した。
【0144】
次いで酸化ケイ素層の上に、実施例21と同様の方法でトリエチレングリコールジアクリレートとペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマーをモル比80対20で混合した樹脂からなるポリマー層を設けた。
【0145】
(実施例26)
実施例25と同様に、ポリエチレンテレフタレートフィルム上にポリマー層、酸化ケイ素層、ポリマー層の順で形成した。次いで、最上部のポリマー層の上に、実施例21と同様の方法で酸化ケイ素層を設けた。
【0146】
(実施例11)
実施例4と同様に、ポリエチレンテレフタレートフィルム上にポリマー層、酸化ケイ素層を形成した。次いで酸化ケイ素層の上に、実施例5と同様の方法でトリエチレングリコールジアクリレートとエチレングリコールジエポキシメタクリレートとペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマーをモル比80対10対10の割合で混合した樹脂からなるポリマー層を設けた。
【0147】
(実施例12)
実施例11と同様に、ポリエチレンテレフタレートフィルム上にポリマー層、酸化ケイ素層、ポリマー層の順で形成した。次いで、最上部のポリマー層の上に、実施例1と同様の方法で酸化ケイ素層を設けた。
【0148】
(比較例13)
実施例5の樹脂をトリエチレングリコールジアクリレートに置換した。実施例5と同様に、ポリエチレンテレフタレートフィルム上にポリマー層、酸化アルミニウム層を形成した。次いで酸化アルミニウム層の上に、トリエチレングリコールジアクリレートからなるポリマー層を設けた。
【0149】
(比較例14)
実施例6の樹脂をトリエチレングリコールジアクリレートに置換した。実施例6と同様に、ポリエチレンテレフタレートフィルム上にポリマー層、酸化アルミニウム層、ポリマー層の順で形成した。次いで、最上部のポリマー層の上に、実施例1と同様の方法で酸化アルミニウム層を設けた。
【0150】
(比較例15)
実施例7の樹脂をトリエチレングリコールジアクリレートに置換した。実施例3と同様に、ポリエチレンテレフタレートフィルム上にポリマー層、酸化ケイ素層を形成した。次いで酸化ケイ素層の上に、トリエチレングリコールジアクリレートからなるポリマー層を設けた。
【0151】
(比較例16)
実施例10の樹脂をトリエチレングリコールジアクリレートに置換した。実施例9と同様に、ポリエチレンテレフタレートフィルム上にポリマー層、酸化ケイ素層、ポリマー層の順で形成した。次いで、最上部のポリマー層の上に、実施例1と同様の方法で酸化ケイ素層を設けた。
【0152】
各積層体の酸素および水蒸気透過速度を表2に示す。ポリマー層と無機薄膜層を複数積層させることによりガスバリア性は向上するが、実施例5から12に示すように、アクリレートとメタクリレート、アクリレートとウレタン系アクリレート、もしくはアクリレートとメタクリレート、ウレタン系アクリレートの混合物からなるポリマー層を形成したとき、非常に高いガスバリア性を示すガスバリア材を得ることができる。
【0153】
【表2】
【0154】
(実施例13)
実施例1と同様の方法で、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に酸化アルミニウム層を形成した。次いで酸化アルミニウム層の上に、実施例1と同様の方法でトリエチレングリコールジアクリレートと、エチレングリコールジエポキシメタクリレートをモル比80対20の割合で混合した樹脂からなるポリマー層を設けた。
【0155】
(実施例14)
実施例13と同様に、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に酸化アルミニウム層、ポリマー層の順で形成した。次いで、最上部のポリマー層の上に、実施例1と同様の方法で酸化アルミニウム層を設けた。
【0156】
(実施例27)
実施例21と同様の方法で、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に酸化アルミニウム層を形成した。次いで酸化アルミニウム層の上に、実施例21と同様の方法でトリエチレングリコールジアクリレートとペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマーをモル比80対20で混合した樹脂からなるポリマー層を設けた。
【0157】
(実施例28)
実施例27と同様に、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に酸化アルミニウム層、ポリマー層の順で形成した。次いで、最上部のポリマー層の上に、実施例21と同様の方法で酸化アルミニウム層を設けた。
【0158】
(実施例15)
実施例1と同様の方法で酸化アルミニウム層を設けた。次いで、実施例1と同様の方法でトリエチレングリコールジアクリレートとエチレングリコールジエポキシメタクリレートとペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマーをモル比80対10対10の割合で混合した樹脂からなるポリマー層を設けた。
【0159】
(実施例16)
実施例15と同様に、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に酸化アルミニウム層、ポリマー層の順で形成した。次いで、最上部のポリマー層の上に、実施例1と同様の方法で酸化アルミニウム層を設けた。
【0160】
(実施例17)
実施例3と同様の方法で、ポリエチレンテレフタレートフィルム上にポリマー層、酸化ケイ素層を形成した。次いで酸化ケイ素層の上に、実施例1と同様の方法でトリエチレングリコールジアクリレートと、エチレングリコールジエポキシメタクリレートをモル比80対20の割合で混合した樹脂からなるポリマー層を設けた。
【0161】
(実施例18)
実施例17と同様に、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に酸化ケイ素層、ポリマー層の順で形成した。次いで、最上部のポリマー層の上に、実施例3と同様の方法で酸化ケイ素層を設けた。
【0162】
(実施例29)
実施例22と同様の方法で、ポリエチレンテレフタレートフィルム上にポリマー層、酸化ケイ素層を形成した。次いで酸化ケイ素層の上に、実施例1と同様の方法でトリエチレングリコールジアクリレートとペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマーをモル比80対20で混合した樹脂からなるポリマー層を設けた。
【0163】
(実施例30)
実施例29と同様に、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に酸化ケイ素層、ポリマー層の順で形成した。次いで、最上部のポリマー層の上に、実施例22と同様の方法で酸化ケイ素層を設けた。
【0164】
(実施例19)
実施例3と同様の方法で、ポリエチレンテレフタレートフィルム上にポリマー層、酸化ケイ素層を形成した。次いで、実施例1と同様の方法でトリエチレングリコールジアクリレートとエチレングリコールジエポキシメタクリレートとペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマーをモル比80対10対10の割合で混合した樹脂からなるポリマー層を設けた。
【0165】
(実施例20)
実施例19と同様に、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に酸化ケイ素層、ポリマー層の順で形成した。次いで、最上部のポリマー層の上に、実施例3と同様の方法で酸化ケイ素層を設けた。
【0166】
(比較例17)
実施例13の樹脂をトリエチレングリコールジアクリレートに置換した。実施例1と同様に、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に酸化アルミニウム層を形成した。次いで酸化アルミニウム層の上に、トリエチレングリコールジアクリレートからなるポリマー層を設けた。
【0167】
(比較例18)
実施例14の樹脂をトリエチレングリコールジアクリレートに置換した。実施例14と同様に、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に酸化アルミニウム層、ポリマー層の順で形成した。次いでポリマー層の上に、実施例1と同様の方法で酸化アルミニウム層を形成した。
【0168】
(比較例19)
実施例17の樹脂をトリエチレングリコールジアクリレートに置換した。実施例3と同様に、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に酸化ケイ素層を形成した。次いで酸化ケイ素層の上に、トリエチレングリコールジアクリレートからなるポリマー層を設けた。
【0169】
(比較例20)
実施例18の樹脂をトリエチレングリコールジアクリレートに置換した。実施例18と同様に、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に酸化ケイ素層、ポリマー層の順で形成した。次いでポリマー層の上に、実施例3と同様の方法で酸化ケイ素層を形成した。
【0170】
【表3】
【0171】
各積層体の酸素および水蒸気透過速度を表3に示す。プラスチック樹脂基材上に、表2と同様に、無機薄膜層、ポリマー層の順序で複数積層させることによりガスバリア性は向上する。特に、実施例13から20に示すように、アクリレートとメタクリレート、もしくはアクリレートとメタクリレート、ウレタン系アクリレートの混合物からなるポリマー層を形成したとき、非常に高いガスバリア性を示すガスバリア材を得ることができる。
【0172】
また、実施例7、8、11、12、15、16、22から30に示すように、アクリレートとウレタン系アクリレート、もしくはアクリレートとウレタン系アクリレート、メタクリレートの混合物からなるポリマー層を形成したとき、非常に高いガスバリア性を示すガスバリア材を得ることができる。
【0173】
【発明の効果】
本発明の透明ガスバリア材は、ある特徴を有するアクリレートとメタクリレート、アクリレートとウレタン系アクリレート、もしくはアクリレート、メタクリレートおよびウレタン系アクリレートの混合樹脂から成るポリマー層を設けることにより、酸素、水蒸気ともに高度なガスバリア性を有することができる。ポリマー層と無機薄膜層を複数積層させることによりさらに高度なガスバリア性を持たせることが可能である。また、ポリマー層と無機薄膜層の形成を同一真空装置内で連続的に行うことにより、生産性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明により得られるガスバリア材の構成を説明する模式図である。
【図2】アクリレート、メタクリレートおよびウレタンアクリレートの三成分系三角図である。図中斜線部が本発明で適用される混合比率の範囲である。
【図3】本発明のガスバリア材の作製に関わる真空成膜装置を説明する模式図である。
【符号の説明】
1…透明ガスバリア材
2…プラスチック樹脂基材
3…ポリマー層
4…無機薄膜層
5…真空成膜装置
6…真空ポンプ
7…冷却ロール
8…巻出しロール
9…巻取りロール
10…ポリマー層有機物蒸着装置
11…ポリマー層電子線照射装置
12…遮蔽板
13…無機薄膜層蒸着用電子銃
14…坩堝
15…偏向コイル
16…ポリマー層有機物供給装置
17…無機薄膜層酸素供給装置
Claims (17)
- プラスチック樹脂基材上に、2官能以上のアクリレートとメタクリレートの混合物からなる電子線もしくは紫外線硬化性モノマーおよび/またはオリゴマーが重合したポリマー層、および無機薄膜層を積層してなり、前記ポリマー層が、2官能以上のアクリレートとメタクリレートの混合比率が、モル比で95:5から30:70の範囲内であることを特徴とする透明ガスバリア材。
- プラスチック樹脂基材上に、2官能以上のアクリレートとウレタン系アクリレートの混合物からなる電子線もしくは紫外線硬化性モノマーおよび/またはオリゴマーが重合したポリマー層、および無機薄膜層を積層してなり、前記ポリマー層が、2官能以上のアクリレートとウレタン系アクリレートの混合比率が、モル比で95:5から50:50の範囲内であることを特徴とする透明ガスバリア材。
- プラスチック樹脂基材上に、アクリレートとメタクリレートとウレタン系アクリレートの混合物からなる電子線もしくは紫外線硬化性モノマーおよび/またはオリゴマーが重合したポリマー層、および無機薄膜層を積層してなり、前記ポリマー層が、アクリレートとウレタン系アクリレートの混合比率が、モル比で95:5から50:50の範囲内であり、かつそれにさらにメタクリレートをモル比0.1〜20%の範囲内で添加されていることを特徴とする透明ガスバリア材。
- 前記プラスチック樹脂基材上に、ポリマー層、無機薄膜層の順に積層されていることを特徴とする請求項1、2、3何れか記載の透明ガスバリア材。
- 前記プラスチック樹脂基材上に、無機薄膜層、ポリマー層の順に積層されていることを特徴とする請求項1、2、3何れか記載の透明ガスバリア材。
- 前記プラスチック樹脂基材上に、ポリマー層、無機薄膜層、ポリマー層の順に積層されていることを特徴とする請求項1、2、3何れか記載の透明ガスバリア材。
- 前記プラスチック樹脂基材上に、無機薄膜層、ポリマー層、無機薄膜層の順に積層されていることを特徴とする請求項1、2、3何れか記載の透明ガスバリア材。
- 前記プラスチック樹脂基材上に、ポリマー層と無機薄膜層の順に交互に複数層設けたことを特徴とする請求項1、2、3何れか記載の透明ガスバリア材。
- 前記プラスチック樹脂基材上に、無機薄膜層とポリマー層の順に交互に複数層設けたことを特徴とする請求項1、2、3何れか記載の透明ガスバリア材。
- 最上層がポリマー層からなることを特徴とする請求項8または9記載の透明ガスバリア材。
- 最上層が無機薄膜層からなることを特徴とする請求項8または9記載の透明ガスバリア材。
- 前記ポリマー層が、アクリレートとメタクリレートとウレタン系アクリレートの混合比率が、三成分系三角図においてモル比94.9:5.0:0.1、79.1:4.2:16.7、25:58.3:16.7および30:69.9:0.1で囲まれる範囲内である請求項3記載の透明ガスバリア材。
- 前記ポリマー層を構成する混合樹脂溶液が25℃において600mPa・s以下の粘度を示である請求項1〜12何れか記載の透明ガスバリア材。
- 前記無機薄膜層が、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、インジウムと錫の酸化物およびインジウムとセリウムの酸化物からなることを特徴とする請求項1〜13いずれかに記載の透明ガスバリア材。
- ポリマー層が、電子線もしくは紫外線硬化性モノマーおよび/またはオリゴマーのみを重合させて形成されることを特徴とする請求項1〜14いずれかに記載の透明ガスバリア材の製造方法。
- 請求項1〜14いずれかに記載されているポリマー層および無機薄膜層が、巻き取り式によって連続的に形成されることを特徴とする透明ガスバリア材の製造方法。
- 請求項1〜14いずれかに記載されているポリマー層および無機薄膜層が、同一真空装置内で大気に曝されることなく連続的に形成されることを特徴とする透明ガスバリア材の製造方法。
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