JP2003191370A - 水蒸気バリア性プラスチックフィルム及びこれを用いたエレクトロルミネッセンス用ディスプレイ基板 - Google Patents

水蒸気バリア性プラスチックフィルム及びこれを用いたエレクトロルミネッセンス用ディスプレイ基板

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JP2003191370A
JP2003191370A JP2001394916A JP2001394916A JP2003191370A JP 2003191370 A JP2003191370 A JP 2003191370A JP 2001394916 A JP2001394916 A JP 2001394916A JP 2001394916 A JP2001394916 A JP 2001394916A JP 2003191370 A JP2003191370 A JP 2003191370A
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Takeshi Takeuchi
健 竹内
Hisashi Ito
寿 伊東
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来よりも高い水蒸気バリア性能を持ちかつ
曲げてもそのバリア性能が劣化しない透明フィルムを生
産性良く提供する。 【解決手段】高分子材料からなる基材の少なくとも片面
に、有機層と無機層とが交互に少なくとも一層以上積層
された水蒸気バリア性プラスチックフィルムであり、前
記無機層が大気圧の近傍下、放電プラズマ処理を利用す
ることにより作製されたものであることを特徴とする水
蒸気バリア性プラスチックフィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学部材、エレク
トロニクス部材、一般包装部材、薬品包装部材などの幅
広い用途に応用が可能な透明で水蒸気バリア性の高いプ
ラスチックフィルム及びこれを用いたエレクトロルミネ
ッセンス用ディスプレイ基板に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、プラスチック基板やフィルム
の表面に酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化珪
素等の金属酸化物の薄膜を形成したガスバリア性フィル
ムは、水蒸気や酸素等の各種ガスの遮断を必要とする物
品の包装、食品や工業用品及び医薬品等の変質を防止す
るための包装用途に広く用いられている。また、包装用
途以外にも液晶表示素子、太陽電池、エレクトロルミネ
ッセンス(EL)基板等で使用されている。特に液晶表
示素子、EL素子などへの応用が進んでいる透明基材に
は、近年、軽量化、大型化という要求に加え、長期信頼
性や形状の自由度が高いこと、曲面表示が可能であるこ
と等の高度な要求が加わり、重くて割れやすく大面積化
が困難なガラス基板に代わって透明プラスチック等のフ
ィルム基材が採用され始めている。また、プラスチック
フィルムは上記要求に応えるだけでなく、ロールトゥロ
ール方式が可能であることからガラスよりも生産性が良
くコストダウンの点でも有利である。しかしながら、透
明プラスチック等のフィルム基材はガラスに対しガスバ
リア性が劣るという問題がある。ガスバリア性が劣る基
材を用いると、水蒸気や空気が浸透し、例えば液晶セル
内の液晶を劣化させ、表示欠陥となって表示品位を劣化
させてしまう。この様な問題を解決するためにフィルム
基板上に金属酸化物薄膜を形成してガスバリア性フィル
ム基材とすることが知られている。包装材や液晶表示素
子に使用されるガスバリア性フィルムとしてはプラスチ
ックフィルム上に酸化珪素を蒸着したもの(特公昭53-1
2953号公報)や酸化アルミニウムを蒸着したもの(特開
昭58-217344号公報)が知られており、いずれも1g/m2/
day程度の水蒸気バリア性を有する。近年では、液晶デ
ィスプレイの大型化、高精細ディスプレイ等の開発によ
りフィルム基板へのガスバリア性能について水蒸気バリ
アで0.1g/m2/day程度まで要求が上がってきている。
【0003】さらに、ごく近年においてさらなるバリア
性を要求される有機ELディスプレイや高精彩カラー液
晶ディスプレイなどの開発が進み、これに使用可能な透
明性を維持しつつもさらなる高バリア性特に水蒸気バリ
アで0.1g/m2/day未満の性能をもつ基材が要求されるよ
うになってきた。これに応えるためにより高いバリア性
能が期待できる手段として、低圧条件下でグロー放電さ
せて生じるプラズマを用いて薄膜を形成させるスパッタ
リング法やCVD法による成膜検討が行われている。ま
た、有機層/無機層の交互積層構造を有するバリア膜を
真空蒸着法により作製する技術がWO2000-26973に提案さ
れている。しかしながら、これらの薄膜形成法は低圧条
件下で処理を行う必要があり、低圧を得るために、容器
は高価な真空チャンバーを必要とし、さらに真空排気装
置を設置する必要がある。また、真空中で処理するため
大面積の基板に処理しようとすると、大きな真空容器を
使用しなければならず、かつ、真空排気装置も大出力の
ものが必要となる。その結果、設備が極めて高価なもの
になると同時に、吸水率の高いプラスチック基板の表面
処理を行う場合、吸水した水分が気化するため、真空引
きに長時間を用し、処理コストが高くなるという問題点
もあった。さらに、一回処理を行う毎に、真空容器の真
空を壊して取り出し、有機層を形成するなどの次工程を
大気圧下で行う必要があるため、特に、水蒸気バリア性
を得るために、有機層、無機層を多層化すればするほ
ど、生産性が大きく損なわれていた。一方、大気圧近傍
の圧力下で放電プラズマを発生させる方法には、例え
ば、特公平2−48626号公報のような、大気圧近傍
のヘリウムとケトンの混合雰囲気下で発生させたプラズ
マを用いて処理を行う方法や、特開平4−74525号
公報のような、アルゴン並びにヘリウム又はアセトンか
らなる大気圧近傍の雰囲気下で発生させたプラズマによ
り処理を行う方法等が開示されている。さらに、特開平
10−106387号公報、特開2001−49443
号公報には、大気圧近傍の圧力下で、金属化合物を含む
ガス雰囲気中で電界を印加することにより、放電プラズ
マを発生させ金属含有薄膜を形成する方法が開示されて
いる。これらの中には、安価に生産性良く、無機膜を作
製できるものもあるが、水蒸気バリア性の付与を目的と
するものではなく、特にフレキシブル表示デバイスに応
用するための条件である曲げに対するバリア性の劣化に
ついては十分なものではなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
よりも高い水蒸気バリア性能を持ちかつ曲げてもそのバ
リア性能が劣 化しない透明フィルムを生産性良く提供
することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、 (1)高分子材料からなる基材の少なくとも片面に、有
機層と無機層とが交互に少なくとも一層以上積層された
水蒸気バリア性プラスチックフィルムであり、前記無機
層が大気圧の近傍下、放電プラズマ処理を利用すること
により作製されたものである水蒸気バリア性プラスチッ
クフィルム。 (2)水蒸気透過度が1g/m2/day未満である
(1)の水蒸気バリア性プラスチックフィルム。 (3)前記無機層が珪素酸化物または珪素窒化物または
珪素窒化酸化物を主成分とする(1)、(2)の水蒸気
バリア性プラスチックフィルム。 (4)前記有機層が、アクリロイル基またはメタクリロ
イル基を有するモノマーを架橋させて得られ、架橋反応
による体積収縮率が10%より小さい高分子を主成分と
する(1)〜(3)の水蒸気バリア性プラスチックフィ
ルム。 (5)前記有機層が、2官能以上のアクリロイル基また
はメタクリロイル基を有する1種類以上のモノマー、ま
たは2官能以上のアクリロイル基またはメタクリロイル
基を有する1種類以上のモノマーと単官能以上のアクリ
ロイル基またはメタクリロイル基を有する1種類以上の
モノマーとの混合物を、架橋させて得られる高分子を主
成分とする(1)〜(4)の水蒸気バリア性プラスチッ
クフィルム。 (6)2官能以上のアクリロイル基またはメタクリロイ
ル基を有するモノマーが2官能以上のイソシアヌル酸ア
クリレートまたはエポキシアクリレートまたはウレタン
アクリレートである(5)の水蒸気バリア性プラスチッ
クフィルム。 (7)前記有機層の厚みが10〜1000nmである
(1)〜(6)の水蒸気バリア性プラスチックフィル
ム。 (8)前記基材のガラス転移温度が200℃以上である
(1)〜(7)の水蒸気バリア性プラスチックフィル
ム。 (9)前記基材がノルボルネン系樹脂またはポリエーテ
ルスルホンを主成分とする(1)〜(8)の水蒸気バリ
ア性プラスチックフィルム。 (10)(1)〜(9)の水蒸気バリア性プラスチック
フィルムを用いて成るエレクトロルミネッセンス用ディ
スプレイ基板。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いられる無機層は、大気圧の近傍下、混合ガ
ス雰囲気中で、放電プラズマ処理を行うことにより作製
されたものであれば良く、その成分は特に限定しない
が、例えばSi、Al、In、Sn、Zn、Ti、Cu、Ce、Ta等の1
種以上を含む酸化物もしくは窒化物もしくは酸化窒化物
などを用いることができる。無機層の厚みに関しても特
に限定しないが、厚すぎると曲げ応力によるクラックの
恐れがあり、薄すぎると膜が島状に分布するため、いず
れも水蒸気バリア性が悪くなる傾向がある。上記のこと
より、それぞれの無機層の厚みは5nm〜1000nmの範
囲が好ましく、さらに好ましくは、10nm〜1000nm
であり、最も好ましくは、10nm〜200nmである。ま
た、2層以上の場合の無機層は各々が同じ組成でも別の
組成でも良く制限はない。水蒸気バリア性と高透明性を
両立させるには無機層として珪素酸化物や珪素酸化窒化
物を使うのが好ましく、最も好ましくは、珪素酸化窒化
物である。珪素酸化物はSiOxと表記され、たとえば、無
機物層としてSiOxを用いる場合、良好な水蒸気バリア性
と高い光線透過率を両立させるためには1.6<x<1.9であ
ることが望ましい。珪素酸化窒化物はSiOxNyと表記され
るが、このxとyの比率は密着性向上を重視する場合、酸
素リッチの膜とし、1<x<2、0<y<1が好ましく、水蒸気バ
リア性向上を重視する場合、窒素リッチの膜とし、0<x<
0.8、0.8<y<1.3が好ましい。本発明における大気圧近傍
の圧力とは、100〜800Torrの圧力をいい、中
でも、圧力調整が容易で装置構成が容易となる700〜
780Torrの圧力範囲とすることが好ましい。ま
た、大気圧の近傍下、放電プラズマ処理を利用して無機
膜を作製する条件としては、特開2001−49443
号公報などに記載されている公知の条件を用いることが
できる。本発明で用いられる有機層は、ガスバリア膜付
きのフィルムに反りが無く、曲げてもそのバリア性能を
劣化させず、且つ良好な無機層の密着性が得られるもの
であれば良く、例えば、アクリロイル基またはメタクリ
ロイル基を有するモノマーを架橋させて得られる架橋反
応による体積収縮率が10%より小さい高分子を主成分
とするものを用いることが好ましい。有機層の架橋反応
による体積収縮率が10%を越える場合は、架橋反応時
の体積変化による収縮応力が大きく発生し、フィルムの
反りや付着界面での応力集中による密着不良やバリア層
のクラック等の構造欠陥が発生する恐れがある。また、
無機層だけでは無くしきれない層構造の欠陥部分を有機
層で埋め、水蒸気バリア性を高めることも可能である。
アクリロイル基またはメタクリロイル基を有するモノマ
ーを架橋させて得られる架橋反応による体積収縮率が1
0%より小さい高分子を主成分とする有機層としては、
特に限定しないが、エポキシ(メタ)アクリレート、ウ
レタン(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸(メタ)
アクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレ
ート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、
エチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエステ
ル(メタ)アクリレートなどのうち、2官能以上のアク
リロイル基またはメタクリロイル基を有するモノマーを
架橋させて得られる高分子を主成分とすることが好まし
い。これらの2官能以上のアクリロイル基またはメタク
リロイル基を有するモノマーは2種類以上を混合して用
いても、また1官能の(メタ)アクリレートを混合して
用いてもよい。また、ディスプレイ用途に要求される耐
熱性、耐溶剤性の観点から、特に架橋度が高く、ガラス
転移温度が200℃以上である、イソシアヌル酸アクリ
レート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート
を主成分とすることがさらに好ましい。有機層厚みにつ
いても特に限定はしないが、10nm〜5000nmが
好ましく、さらに好ましくは、10〜2000nmであ
り、最も好ましくは10nm〜5000nmである。有
機層の厚みが薄すぎると、厚みの均一性を得ることが困
難となるため、無機層の構造欠陥を効率よく有機層で埋
めることができずに、バリア性の向上は見られない。逆
に有機層の厚みが厚すぎると、曲げ等の外力により有機
層がクラックを発生し易くなるためバリア性が低下して
しまう不具合が発生する。本発明の有機を形成させるた
めの方法としては、塗布による方法、真空成膜法等を挙
げることができる。真空成膜法としては、特に制限はな
いが、蒸着、プラズマCVD等の成膜方法が好ましく、
有機物質モノマーの成膜速度を制御しやすい抵抗加熱蒸
着法がより好ましい。本発明の有機物質モノマーの架橋
方法に関しては何らその制限はないが、電子線や紫外線
等による架橋が、真空槽内に容易に取り付けられる点や
架橋反応による高分子量化が迅速である点で好ましい。
【0007】本発明の樹脂基材としては何ら制限はない
が、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポ
リカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアクリ
レート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポ
キシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリ
塩化ビニリデン樹脂等を使用することができる。特に、
ガラス転移温度が200℃以上のノルボルネン系樹脂や
ポリエーテルサルホンは光学特性が良好で耐熱性が高
く、有機層−無機層形成プロセスやディスプレイ組み立
てプロセスにおいて高温処理による変形や劣化が無いの
で好ましい。本発明の水蒸気バリア性フィルムの水蒸気
透過度としては、有機ELディスプレイや高精彩カラー
液晶ディスプレイ等の高度の水蒸気バリア性を必要とす
る用途に用いる場合、JISK7129B法に従って測定した水
蒸気透過度が、1g/m2/day以下であることが好
ましく、さらに好ましくは、0.1g/m2/day未
満である。特に、有機ELディスプレイ用途の場合に
は、極わずかであっても、成長するダークスポットが発
生し、ディスプレイの表示寿命が極端に短くなる場合が
あるため、バリア層を多層化して更に水蒸気透過度を下
げる必要があり、2層以上の有機層無機層を交互に積層
させることが、水蒸気バリア性および曲げに対する耐性
の両面から好ましい。
【0008】
【実施例】以下本発明の実施例について詳細に説明する
が、本発明は、何ら下記実施例に限定されるものではな
い。 (実施例1)UV架橋反応による体積収縮率が3.8%
である3官能イソシアヌル酸EO変性トリアクリレート
(アロニックスM−315:東亜合成社製)にラジカル
開始剤(イルカ゛キュアー651:チハ゛カ゛イキ゛ー社製)を1wt%添加し溶
剤に溶かして、0.1mm厚のポリエーテルサルホンの
樹脂基板上に塗布乾燥した後、UV照射により、硬化さ
せ、樹脂基板上に厚さ約2μm有機層を作製した。次
に、処理用ガスとして、アルゴン、窒素、酸素、テトラ
メトキシシランを用い、760Torrの圧力で、放電
プラズマ処理を行うことにより、厚み100nmの珪素
酸化物膜を作製した。これにより、樹脂基板/有機層/
無機層の構成の水蒸気バリアプラスチックフィルムを得
た。このフィルムの水蒸気透過度をJISK7129B法にて測
定した結果、1g/m2/day以下であった。更にこ
のフィルムを30mmφの棒に1回巻きつけた後、再度水蒸
気透過度をJISK7129B法にて測定したが、水蒸気透過度
の上昇は見られなかった。また、目視による外観と光学
顕微鏡によるバリア膜クラックの観察を行った結果、重
大な欠陥点は観察されなかった。 (実施例2)UV架橋反応による体積収縮率が3.8%
である3官能イソシアヌル酸EO変性トリアクリレート
(アロニックスM−315:東亜合成社製)にラジカル
開始剤(イルカ゛キュアー651:チハ゛カ゛イキ゛ー社製)を1wt%添加し溶
剤に溶かして、0.1mm厚のポリエーテルサルホンの
樹脂基板上に塗布乾燥した後、UV照射により、硬化さ
せ、樹脂基板上に厚さ約2μm有機層を作製した。次
に、処理用ガスとして、アルゴン、窒素、酸素、テトラ
メトキシシランを用い、760Torrの圧力で、放電
プラズマ処理を行うことにより、厚み100nmの珪素
窒化酸化物膜を作製した。これにより、樹脂基板/有機
層/無機層の構成の水蒸気バリアプラスチックフィルム
を得た。このフィルムの水蒸気透過度をJISK7129B法に
て測定した結果、0.1g/m2/day未満であっ
た。更にこのフィルムを30mmφの棒に1回巻きつけた
後、再度水蒸気透過度をJISK7129B法にて測定したが、
水蒸気透過度の上昇は見られなかった。また、目視によ
る外観と光学顕微鏡によるバリア膜クラックの観察を行
った結果、重大な欠陥点は観察されなかった。この水蒸
気バリアプラスチックフィルムを、有機EL用ディスプ
レイ基板として用いたところ、高湿下の使用においても
ダークスポットを発生することなく良好に使用すること
ができた。 (実施例3)UV架橋反応による体積収縮率が3.8%
である3官能イソシアヌル酸EO変性トリアクリレート
(アロニックスM−315:東亜合成社製)にラジカル
開始剤(イルカ゛キュアー651:チハ゛カ゛イキ゛ー社製)を1wt%添加し溶
剤に溶かして、0.1mm厚のポリエーテルサルホンの
樹脂基板上に塗布乾燥した後、UV照射により、硬化さ
せ、樹脂基板上に厚さ約2μm有機層を作製した。次
に、この有機層上に、処理用ガスとして、アルゴン、窒
素、酸素、テトラメトキシシランを用い、760Tor
rの圧力で、放電プラズマ処理を行うことにより、厚み
100nmの珪素酸化物膜を作製した。さらに、同様に
して、有機層、無機層を積層し、樹脂基板/有機層/無
機層/有機層/無機層の構成の水蒸気バリアプラスチッ
クフィルムを得た。このフィルムの水蒸気透過度をJISK
7129B法にて測定した結果、0.1g/m2/day未満
であった。このフィルムを30mmφの棒に1回巻きつけた
後、再度水蒸気透過度をJISK7129B法にて測定したが、
水蒸気透過度の上昇は見られなかった。また、目視によ
る外観と光学顕微鏡によるバリア膜クラックの観察を行
った結果、重大な欠陥点は観察されなかった。この水蒸
気バリアプラスチックフィルムを、有機EL用ディスプ
レイ基板として用いたところ、高湿下の使用においても
ダークスポットを発生することなく良好に使用すること
ができた。以上のように、樹脂基材上に、有機層と大気
圧の近傍下、放電プラズマ処理を利用することにより作
製した無機膜を積層させることで、良好な水蒸気バリア
プラスチックフィルムを得られることがわかった。ま
た、これらの水蒸気バリアプラスチックフィルムは、曲
げに対するバリア性の劣化がなく、フレキシブル表示デ
バイスに十分応用できるものであることがわかった。さ
らに、これらの方法を用いることにより、スパッタリン
グなどの無機膜作製法に比べ数倍〜数十倍の生産性を獲
得することが可能であった。
【0009】
【発明の効果】本発明は、高いガスバリアをもつ透明フ
ィルムであり、しかも曲げることで水蒸気バリア性が低
下しないという特性を持つものである。しかも、従来の
フィルムに比べ、数倍から数十倍の生産性で作製するこ
とが可能である。本発明のフィルムをたとえば表示用素
子として適用すれば、軽くて割れないディスプレイを安
価に提供できる。また、薬品などの保存に適用すれば中
身が見えて、落としても割れないような保存容器を実現
することも可能であり、その工業的価値は極めて高い。
フロントページの続き Fターム(参考) 3K007 AB08 AB13 BA07 CA06 DB03 4F100 AA00C AA00E AA12C AA12E AA20C AA20E AD05C AD05E AK01A AK01B AK01D AK02A AK25B AK25D AK51B AK51D AK53B AK53D AK55A AT00A BA03 BA04 BA05 BA06 BA07 BA08 BA10A BA10D BA10E BA13 EH46 EJ05 EJ05B EJ05D EJ08 EJ54 GB15 GB41 JA05A JA20B JA20D JD02 JD04 JL02 JL03 JN01 YY00 YY00A YY00B YY00D 4K030 AA06 AA09 AA14 AA18 BA29 BA35 BA38 BA44 CA07 CA12 FA01 JA09 LA01 LA11 LA18

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高分子材料からなる基材の少なくとも片
    面に、有機層と無機層とが交互に少なくとも一層以上積
    層された水蒸気バリア性プラスチックフィルムであり、
    前記無機層が大気圧の近傍下で放電プラズマ処理を利用
    することにより作製されたものである水蒸気バリア性プ
    ラスチックフィルム。
  2. 【請求項2】 水蒸気透過度が1g/m2/day以下
    である請求項1記載の水蒸気バリア性プラスチックフィ
    ルム。
  3. 【請求項3】 前記無機層が珪素酸化物または珪素窒化
    物または珪素窒化酸化物を主成分とする請求項1、2記
    載の水蒸気バリア性プラスチックフィルム。
  4. 【請求項4】 前記有機層が、アクリロイル基またはメ
    タクリロイル基を有するモノマーを架橋させて得られ、
    架橋反応による体積収縮率が10%より小さい高分子を
    主成分とする請求項1〜3いずれか1項記載の水蒸気バ
    リア性プラスチックフィルム。
  5. 【請求項5】 前記有機層が、2官能以上のアクリロイ
    ル基またはメタクリロイル基を有する1種類以上のモノ
    マー、または2官能以上のアクリロイル基またはメタク
    リロイル基を有する1種類以上のモノマーと単官能以上
    のアクリロイル基またはメタクリロイル基を有する1種
    類以上のモノマーとの混合物を、架橋させて得られる高
    分子を主成分とする請求項1〜4いずれか1項記載の水
    蒸気バリア性プラスチックフィルム。
  6. 【請求項6】 2官能以上のアクリロイル基またはメタ
    クリロイル基を有するモノマーが2官能以上のイソシア
    ヌル酸アクリレートまたはエポキシアクリレートまたは
    ウレタンアクリレートである請求項5記載の水蒸気バリ
    ア性プラスチックフィルム。
  7. 【請求項7】 前記有機層の厚みが10〜1000nm
    である請求項1〜6いずれか1項記載の水蒸気バリア性
    プラスチックフィルム。
  8. 【請求項8】 前記基材のガラス転移温度が200℃以
    上である請求項1〜7いずれか1項記載の水蒸気バリア
    性プラスチックフィルム。
  9. 【請求項9】 前記基材がノルボルネン系樹脂またはポ
    リエーテルスルホンを主成分とする請求項1〜8いずれ
    か1項記載の水蒸気バリア性プラスチックフィルム。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9いずれか1項記載の水蒸
    気バリア性プラスチックフィルムを用いて成るエレクト
    ロルミネッセンス用ディスプレイ基板。
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