JP2004001442A - ガス・水蒸気バリア性フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】高分子フィルムの少なくとも片面にスパッタ電力をより低くする事で表面平滑性が改良された無機物層を持つことを特徴とするガス・水蒸気バリア性フィルム。無機物層の表面粗さ算術平均値(Ra)がRa<10nm、最大高さ(Ry)がRy<0.3μmであり、且つ平均線からの深さが10nm以上で穴深さと穴直径のアスペクト比(穴深さ/穴直径)が0.2よりも大きい穴の無い、バリア性フィルムであり、20μm×20μm角の領域においてRa≦1nm、平均線から10nm以上の高さの突起が2個以下、平均線からの深さ10nm以上の穴が無い無機物層が最外層として積層されている。さらに、前記無機物層について、平均線からの高さ10nm以上の領域が20μm×20μmの領域について0.1%以下であることが望ましい。
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学部材、エレクトロニクス部材、一般包装部材、薬品包装部材などの幅広い用途に応用が可能な透明でガス・水蒸気バリア性の高いフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、樹脂基板やフィルムの表面に酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化珪素等の金属酸化物の薄膜を形成したガス・水蒸気バリア性フィルムは、ガスの遮断を必要とする物品の包装、食品や工業用品及び医薬品等の変質を防止するための包装用途に広く用いられている。また、包装用途以外にも液晶表示素子、太陽電池、エレクトロルミネッセンス(EL)基板等で使用されている。特に液晶表示素子、EL素子などへの応用が進んでいる透明基材には、近年、軽量化、大型化という要求に加え、長期信頼性や形状の自由度が高いこと、曲面表示が可能であること等の高度な要求が加わり、重くて割れやすく大面積化が困難なガラス基板に代わって透明樹脂等のフィルム基材が採用され始めている。また、樹脂フィルムは上記要求に応えるだけでなく、ロールトゥロール方式が可能であることからガラスよりも生産性が良くコストダウンの点でも有利である。しかしながら、透明樹脂等のフィルム基材はガラスに比べガス・水蒸気バリア性が劣るという問題がある。ガス・水蒸気バリア性が劣る基材を用いると、酸素や水蒸気が浸透し、例えば液晶セル内の液晶を劣化させ、表示欠陥となって表示品位を劣化させてしまう。この様な問題を解決するためにフィルム基材上に金属酸化物薄膜を形成してガス・水蒸気バリア性フィルム基板とすることが知られている。包装材や液晶表示素子に使用されるガス・水蒸気バリア性フィルムとしては樹脂フィルム上に酸化珪素を蒸着したもの(例えば、特許文献1参照。)酸化アルミニウムを蒸着したもの(例えば、特許文献2参照。)が知られており、いずれも1g/m2/day程度の水蒸気バリア性を有する。近年では、液晶ディスプレイの大型化、高精細ディスプレイ等の開発によりフィルム基板へのガス・水蒸気バリア性能について例えば水蒸気の透過性で0.1g/m2/day程度まで要求が上がってきている。これに応えるためにより高いガス・水蒸気バリア性能が期待できる手段としてスパッタリング法やCVD法による成膜検討が行われている。
【0003】
ところが、ごく近年においてさらなるガス・水蒸気バリア性を要求される有機ELディスプレイや高精彩カラー液晶ディスプレイなどの開発が進み、これに使用可能な透明性を維持しつつ、さらに高いガス・水蒸気バリア性、例えば水蒸気の透過性で0.1g/m2/day未満の性能をもつ基材が要求されるようになってきた。また、液晶ディスプレイや有機EL等のデバイス設計によっては、更なる表面平滑性をもつ基材が要求されるようになってきた。特に、自発光で高速駆動、高精細な表示を目的としたエレクトロルミネッセンス(EL)表示素子等の場合には、発光層が0.1μm単位の厚みで制御されるため、基板表面の突起欠陥または穴状欠陥が起因となる素子構造不良による表示欠陥(ダークスポット)が発生することや、基板表面の突起欠陥または穴状欠陥によりガスバリア膜に欠陥が生じるために、EL素子内部に水分子が透過して発光層もしくは仕事関数の小さい陰極材料を劣化させることがあり表示欠陥部分の成長といった問題があった。(例えば、非特許文献1参照)電子部品などの包装材料として用いられるガスバリア性積層として、100μm×100μm以上の範囲におけるフィルムガスバリア層の表面自乗平均粗さ(RMS)及び形状の高さを規定している検討があるが、水蒸気バリア性として不十分であり、更にEL素子に適用できる表面形状を得ることが難しい。(特許文献3参照)
【0004】
【特許文献1】
特開昭53−12953号公報
【特許文献2】
特開昭58−217344号公報
【非特許文献1】
「OPTRONICS」,No.3,p122−123(2001)記事
【特許文献3】
特開昭58−217344号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、従来よりも高いガス・水蒸気バリア性能を持ちかつ高い透明性を併せ持ち、表面平滑性にも優れた透明ガス・水蒸気バリア性フィルムを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、
(1) 樹脂基材上に、表面粗さ算術平均値(Ra)がRa<10nm、最大高さ(Ry)がRy<0.3μmであり、且つ平均線からの深さが10nm以上で穴深さと穴直径のアスペクト比(穴深さ/穴直径)が0.2よりも大きい穴の無い無機物層が最外層として積層されたバリア性フィルム。
(2) 樹脂基材上に、表面粗さ算術平均値(Ra)がRa<10nm、最大高さ(Ry)がRy<0.3μmであり、表面の最大高さと幅の最小値のアスペクト比(最大高さ/幅最小値)が0.2よりも大きい局所的な突起が無い無機物層が最外層として積層されたバリア性フィルム。
(3) 樹脂基板上に、表面粗さ算術平均値(Ra)がRa<10nm、最大高さ(Ry)がRy<0.3μmであり、且つ平均線からの深さが10nm以上で穴深さと穴直径のアスペクト比(穴深さ/穴直径)が0.2よりも大きい穴の無く、表面の最大高さと幅の最小値のアスペクト比(最大高さ/幅最小値)が0.2よりも大きい局所的な突起も無い無機物層が最外層として積層されたバリア性フィルム。
(4) 前記バリア膜がSi、Al、In、Sn、Zn、Ti、Cu、Ce、Mg、La、Cr、Ca、Zr、Taから選ばれる1種以上を含む酸化物または窒化物または酸化窒化物またはハロゲン化物を主成分とする(1)〜(3)のバリア性フィルム。
(5) 前記樹脂基材と無機物層の間に有機物層を持つ(1)〜(4)のバリア性フィルム。
(6) 前記樹脂基材のガラス転移温度が160℃以上である(1)〜(5)のバリア性フィルム。
(7) 前記樹脂基材がノルボルネン系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂またはポリエーテルスルホン樹脂から選ばれる一種類以上の樹脂を主成分とする(1)〜(6)のバリア性フィルム。
(8) 樹脂基材上に、20μm×20μm角の領域においてRa≦1nm、平均線から10nm以上の高さの突起が2個以下、平均線からの深さ10nm以上の穴が無い無機物層が最外層として積層されたバリア性フィルム。
(9)前記無機物層について、平均線からの高さ10nm以上の領域が20μm×20μmの領域について0.1%以下である(8)のバリア性フィルム。
(10)前記無機物層がスパッタリングによって形成される(8)、(9)のバリア性フィルム。
(11)前記無機物層が珪素の酸化物、窒化物もしくは酸化窒化物である(8)〜(10)のバリア性フィルム。
(12)前記無機物層が珪素の酸化物、窒化物もしくは酸化窒化物がスパッタ電力0.5〜3W/cm2のスパッタリングによって形成されている(11)のバリア性フィルム。
(13)前記多層フィルムの樹脂基材と無機物層の間に有機物層を持つ(8)〜(12)のバリア性フィルム。
(14)前記樹脂基材のガラス転移温度が200℃以上である(8)〜(13)のバリア性フィルム。
である。
(15) バリア性フィルムが、光学シート、表示素子用プラスチック基板、アクティブマトリックス表示素子用基板又は有機エレクトロルミネセンス表示素子用基板である(1)〜(14)のバリア性フィルム。
である。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明のバリア性フィルムは、樹脂基材上に積層した無機物層の表面粗さ算術平均値(Ra)がRa<10nm、最大高さ(Ry)がRy<0.3μmであり、且つ平均線からの深さ10nm以上で穴深さと穴直径のアスペクト比(穴深さ/穴直径)が0.2よりも大きい穴が無い、および/または無機物層の表面に最大高さと幅の最小値のアスペクト比(最大高さ/幅最小値)が0.2よりも大きい局所的な突起が無い表面である。
【0008】
表面粗さ算術平均値(Ra)が10nm以上の場合は、積層する無機膜層のバリア不均一性が発生すると言った問題がある。また、表面粗さ算術平均値(Ra)が10nmよりも小さい場合でも、表面粗さにおける最大高さ(Ry)が0.3μm以上の凸状形状が存在すること、または、穴状欠陥が存在しその穴形状が表面粗さの平均線からの深さが10nm以上で、穴深さと穴直径のアスペクト比(穴深さ/穴直径)が0.2よりも大きい場合は、表示素子の不均一性を引き起こすばかりでなく、積層するバリア膜にクラックや穴状欠陥が発生し易くなり、フィルム自体のバリア性能を低下させると言った問題が起こる。その結果、液晶表示素子では素子内部での気泡発生、エレクトロルミネッセンス素子では表示欠陥の発生及び表示欠陥部分の成長拡大と言った、表示素子自体の信頼性を大きく低下させる問題が発生する。
更に、表面粗さ算術平均値(Ra)が10nmよりも小さい場合でも、表面粗さにおける最大高さ(Ry)が0.3μm以上の凸状形状が存在すること、また、その突起の最大高さと幅の最小値のアスペクト比(最大高さ/幅最小値)が0.2よりも大きい場合は、積層する無機膜層のバリア不均一性を引き起こすばかりでなく、積層するバリア膜にクラックや膜厚不均一が発生し易くなりフィルムシート自体のバリア性能を低下させると言った問題が起こる。その結果、液晶表示素子では素子内部での気泡発生や基板間ギャップの不均一による表示不良、エレクトロルミネッセンス素子では非点灯欠陥の発生及び非点灯欠陥部分の成長拡大といった、表示素子自体の信頼性を大きく低下させる問題が発生する。無機物層の突起形状を表現する、最大高さと幅の最小値のアスペクト比(最大高さ/幅最小値)における最大高さとは、無機物層表面粗さの平均線からの突起の最大高さを示す。また、幅の最小値とは、局所的な突起を無機物層表面粗さの平均線で2次元に切り出した場合の突起のすそのに対応する面形状の最小距離を示す。つまり、突起の表面粗さ平均線における面形状が扁平していた場合に、最も急峻なアスペクト比を算出することができる。
【0009】
本発明のガス・水蒸気バリア性フィルムは、樹脂基材と無機物層の間に、密着性を高めるための、例えばアクリル系に代表される公知の有機物層があっても良い。したがって層の構成内容は例えば、
無機物層/樹脂基材、
無機物層/有機物層/樹脂基材、
無機物層/有機物層/樹脂基材/有機物層、
無機物層/有機物層/無機物層/有機物層/樹脂基材/有機物層
無機物層/樹脂基材/無機物層/有機物層、
無機物層/有機物層/樹脂基材/有機物層/無機物層/保護層
等
が考えられるが、これらに限定されるわれではない。本発明で用いる透明の樹脂基材としては何ら制限はないが、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂等を使用することができる。ガラス転移温度は160℃以上が好ましく、更に好ましくは200℃以上のノルボルネン系樹脂やポリエーテルサルホンは光学特性が良好で耐熱性が高く、有機物層無機物層形成プロセスにおいて高温処理による変形や劣化が無いので好ましい。本発明で用いられる透明な樹脂基材の全光線透過率は少なくとも40%以上、好ましくは80%以上が望ましい。本発明に用いる透明な樹脂基材は無機物層の形成に先立ち各層及び樹脂基材相互の密着力を高めるために脱ガス処理、コロナ放電処理、火炎処理等の表面処理が施されていてもよい。
【0010】
本発明の有機物層の材質については特に制限はないが、アクリル系樹脂やウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂等を使用することができる。中でも、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、イソシアヌル酸アクリレート、トリメチロールプロパンアクリレート、エチレングリコールアクリレート、ポリエステルアクリレートなどのうち、2官能以上のアクリロイル基を有するモノマーを塗工後、架橋させて得られる高分子を主成分とすることが塗工性も良く好ましい。特に架橋度が高く、ガラス転移温度が200℃以上である、イソシアヌル酸アクリレート、ペンタエリスリトールアクリレートを主成分とすることが好ましい。これらの2官能以上のアクリロイル基を有するモノマーは2種類以上を混合して用いても、また1官能のアクリレートを混合して用いても良い。有機物層の厚みの制限は特に無いが、0.01〜10μmが好ましい。
【0011】
本発明の無機物層に関しては何ら制限は無いが、例えばSi、Al、In、Sn、Zn、Ti、Cu、Ce、Mg、La、Cr、Ca、Zr、Ta等の1種以上を含む酸化物もしくは窒化物もしくは酸化窒化物もしくはハロゲン化合物などを用いることができる。また、無機膜の成膜方法としては抵抗加熱蒸着法、電子線蒸着法、イオンプレーティング法、CVD法、スパッタリング法、常圧CVD法等が適用でき、目的の無機酸化物、無機窒化物、無機窒化酸化物、無機ハロゲン化合物が得られる方法であれば制限はないが、表面の平滑性を得るにはスパッタリングプロセスが好ましい。本研究者らはスパッタ投入電力を低く押さえることでより高い平滑性を得られる事を見出した。無機物層の厚みが薄すぎると、該無機物層が完全な連続構造となっておらず温度変化での積層フィルムの伸び縮みで無機物層が破壊されてしまう確率が大きくなる。また、無機物層の厚みが厚すぎると、着色による透明性の低下、無機物層の内部応力に起因するクラックの発生によるガス・水蒸気バリア性の低下が起こり好ましくない。上記のことより、それぞれの無機物層の厚みは5nm〜500nm、好ましくは10nm〜200nmの範囲が好ましいが、特に限定はしない。また、それぞれの無機物層は同じ組成でも、別の組成でも良く制限はない。ガス・水蒸気バリア性と高透明性を両立させるには無機物層として珪素酸化物や珪素酸化窒化物を使うのが好ましい。珪素酸化物はSiOxと表記され、たとえば、無機物層としてSiOxを用いる場合、良好なガス・水蒸気バリア性と高い光線透過率を両立させるためには1.6<x<1.9であることが望ましい。珪素酸化窒化物はSiOxNyと表記されるが、このxとyの比率は密着性向上を重視する場合、酸素リッチの膜とし、1<x<2、0<y<1が好ましく、ガス・水蒸気バリア性向上を重視する場合、窒素リッチの膜とし、0<x<0.8、0.8<y<1.3が好ましい。
【0012】
【実施例】
以下本発明の実施例について詳細に説明するが、本発明は、何ら下記実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
ポリエーテルサルホンフィルムに2官能のイソシアヌル酸トリアクリレート23重量部、ジエチレングリコール50重量部、酢酸エチル24重量部、シランカップリング剤1重量部、光開始剤2重量部からなる均一な混合溶液をスピンコーターで塗布し、80℃10分加熱乾燥後さらにUV照射で硬化させて5〜6μmの樹脂層を形成した。つぎに、スパッタ装置の真空槽内に前記有機物層を形成したフィルムをセットし10−4Pa台まで真空引きし、真空槽内温度を150℃にした後、放電ガスとしてアルゴンを分圧で0.1Pa導入、反応ガスとして酸素を分圧で0.008Pa、窒素を0.006Pa導入した。雰囲気圧力、温度が安定したところでスパッタ電力2W/cm2にて放電を開始しSiターゲット上にプラズマを発生させ、スパッタリングプロセスを開始した。プロセスが安定したところでシャッターを開きフィルムへのSiOxNy無機物層の形成を開始した。100nmの膜が堆積したところでシャッターを閉じて成膜を終了した。その後、真空槽内に大気を導入しSiOxNy無機物層の形成されたフィルムを取り出した。
<実施例2>
実施例1と同様に樹脂コートを施したポリエーテルサルホンフィルムをスパッタ装置の真空槽内に前記有機物層を形成した側に成膜するようにフィルムをセットし10−4Pa台まで真空引きし、真空槽内温度を150℃にした後、放電ガスとしてアルゴンを分圧で0.1Pa導入、反応ガスとして酸素を分圧で0.008Pa導入した。雰囲気圧力、温度が安定したところでスパッタ電力2W/cm2にて放電を開始しSiターゲット上にプラズマを発生させ、スパッタリングプロセスを開始した。プロセスが安定したところでシャッターを開きフィルムへのSiOx無機物層の形成を開始した。100nmの膜が堆積したところでシャッターを閉じて成膜を終了した。その後、真空槽内に大気を導入しSiOx無機物層の形成されたフィルムを取り出した。
【0013】
<比較例1>
実施例1で行った放電を5W/cm2で行った以外は、実施例1と同様に本発明のガス・水蒸気バリア性フィルムを作製した。
<比較例2>
実施例2で行った放電を5W/cm2で行った以外は、実施例2と同様に本発明のガス・水蒸気バリア性フィルムを作製した。
【0014】
(評価)
各フィルムの表面平滑性について原子間力顕微鏡(AFM)にて20μm×20μm角の領域を測定した。ガス・水蒸気バリア性能として水蒸気透過性をJIS K 7129B法にて測定した。
【0015】
【表1】
実施例ではすべての項目において良好な膜が得られた。比較例では表面平滑性が乏しくバリア性能も劣っていた。
【0016】
<実施例3>
厚さ200μm、最大高さ(Ry)が1.0μmポリエーテルスルホン(PES)をベースフィルムとした。有機物層構成材料としてイソシアヌル酸EO変性トリアクリレート40重量部、光開始剤2.5重量部、メチルセロソルフ゛アセテート8.5重量部、乳酸エチル30重量部,ブチルセロソルブ6.0重量部にて撹拌、溶解してRC=48.8wt%の均一な溶液としたものをバーコーターコーターにて塗布し、加熱乾燥機中90℃で5分間続いて120℃で2分間加熱して溶媒を除去した。乾燥後の未硬化有機物層に、高圧水銀灯にて350mJ/cm2の紫外線を照射させ有機物層をフィルム上に作製した。つぎに、スパッタ装置の真空槽内に前記有機物層を形成したフィルムをセットし10−4Pa台まで真空引きし、真空槽内温度を150℃にした後、放電ガスとしてアルゴンを分圧で0.1Pa導入、反応ガスとして酸素を分圧で0.008Pa、窒素を0.006Pa導入した。雰囲気圧力、温度が安定したところでスパッタ電力2.5W/cm2にて放電を開始しSiターゲット上にプラズマを発生させ、スパッタリングプロセスを開始した。プロセスが安定したところでシャッターを開きフィルムへのSiOxNy無機物層の形成を開始した。100nmの膜が堆積したところでシャッターを閉じて成膜を終了した。その後、真空槽内に大気を導入しSiOxNy無機物層の形成されたフィルムを取り出した。作製したバリア性フィルムの表面平滑性をAFMにて評価した。作製した基板はRa=0.4nm、Ry=0.03μm、深さ10nm以上の穴欠点が無く、目視外観の良好な非常に平滑性の高いバリア性フィルムであった。
【0017】
<実施例4>
実施例3で作製したバリア性フィルム上に、透明導電膜として、パルスDCマグネトロン法により初期真空度3×10−4Paの状態から酸素/アルゴンガス4%の混合ガスを導入して1×10−1Paの条件下においてITOターゲットにてスパッタリングを行いIn/In+Snの原子比が0.98である酸化インジウム錫(ITO)からなる透明導電膜を得た。測定の結果、膜厚は1000Å、比抵抗は4×10−4Ω−cmであった。
得られた透明電極/無機物層/有機物層/PES基板を用いて、有機EL素子を作製した。ITO陽極の上に正孔輸送層としてTPDを40nm蒸着し、ついで電子輸送層兼発光層としてAlq3を70nm蒸着後、陰極としてAg/Mg(10:1)の陰極を200nm蒸着し有機EL素子を作製した。陰極側を紫外線硬化性樹脂組成物をシール材とした接着剤を用いてガラス基板で封止した。
作製した有機EL素子を室温(23℃、45%RH)に2週間保管した素子を評価した結果、発光部分に素子劣化は見られず、初期発光特性同等の良好な素子特性を示した。
【0018】
<比較3>
ポリエーテルスルホン(住友化学社製VICTREXPESー4100PTg:223℃)を50mmφ押出実験機でシリンダー温度350℃の条件にて溶融混練し、Tダイによりシート状に成形し、周速度1.90m/分の外径300mmφの250℃に保たれたハードクロムメッキ冷却ロールを用いて200μで680mm幅のフィルムを製造した。作製したフィルムをスパッタ装置の真空槽内にセットし、実施例3と同様な条件でフィルム上に100nmのSiOxNy無機物層の形成した。作製したバリア性フィルムの表面平滑性をAFMにて評価した。作製した基板はRa=0.4nm、深さ10nm以上の穴欠点は無かったが、超深度レーザー顕微鏡による評価ではRy=1.6μmであり、1mm x 1.4mmの領域の局所的な突起形状の最大高さと幅の最小値のアスペクト比(最大高さ/幅最小値)の最大値は0.53であることが確認された。また、水蒸気透過性は0.8g/m2/dayであり、水蒸気の透過が多い傾向が確認された。
【0019】
<比較例4>
比較例3で作製したバリア性フィルム上に、実施例4と同様な手法にて、透明電極、正孔輸送層、電子輸送層、陰極を順じ成膜し、有機EL素子を作製した。作製した有機EL素子を室温(23℃、45%RH)に2週間保管した素子を評価した結果、作製初期から非発光部が確認され、保管後確認したところ素子全面に劣化が進行し、ほとんど発光部分が観察出来なかった。
【0020】
【発明の効果】
本発明により、透明性、ガス・水蒸気バリア性、表面平滑性の優れた透明ガス・水蒸気バリア性フィルムを提供することが可能となった。
Claims (15)
- 樹脂基材上に、表面粗さ算術平均値(Ra)がRa<10nm、最大高さ(Ry)がRy<0.3μmであり、且つ平均線からの深さが10nm以上で穴深さと穴直径のアスペクト比(穴深さ/穴直径)が0.2よりも大きい穴の無い無機物層が最外層として積層されたことを特徴とするバリア性フィルム。
- 樹脂基材上に、表面粗さ算術平均値(Ra)がRa<10nm、最大高さ(Ry)がRy<0.3μmであり、表面の最大高さと幅の最小値のアスペクト比(最大高さ/幅最小値)が0.2よりも大きい局所的な突起が無い無機物層が最外層として積層されたことを特徴とするバリア性フィルム。
- 樹脂基板上に、表面粗さ算術平均値(Ra)がRa<10nm、最大高さ(Ry)がRy<0.3μmであり、且つ平均線からの深さが10nm以上で穴深さと穴直径のアスペクト比(穴深さ/穴直径)が0.2よりも大きい穴の無く、表面の最大高さと幅の最小値のアスペクト比(最大高さ/幅最小値)が0.2よりも大きい局所的な突起も無い無機物層が最外層として積層されたことを特徴とするバリア性フィルム。
- 前記バリア膜がSi、Al、In、Sn、Zn、Ti、Cu、Ce、Mg、La、Cr、Ca、Zr、Taから選ばれる1種以上を含む酸化物または窒化物または酸化窒化物またはハロゲン化物を主成分とする請求項1〜3何れか一項記載のバリア性フィルム。
- 前記樹脂基材と無機物層の間に有機物層を持つことを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載のバリア性フィルム。
- 前記樹脂基材のガラス転移温度が160℃以上である請求項1〜5何れか一項記載のバリア性フィルム。
- 前記樹脂基材がノルボルネン系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂またはポリエーテルスルホン樹脂から選ばれる一種類以上の樹脂を主成分とする請求項1〜6何れか一項記載のバリア性フィルム。
- 樹脂基材上に、20μm×20μm角の領域においてRa≦1nm、平均線から10nm以上の高さの突起が2個以下、平均線からの深さ10nm以上の穴が無い無機物層が最外層として積層されたことを特徴とするバリア性フィルム。
- 前記無機物層について、平均線からの高さ10nm以上の領域が20μm×20μmの領域について0.1%以下であることを特徴とする請求項8記載のバリア性フィルム。
- 前記無機物層がスパッタリングによって形成される請求項7または9記載のバリア性フィルム。
- 前記無機物層が珪素の酸化物、窒化物もしくは酸化窒化物であることを特徴とする請求項8〜10いずれか1項記載のバリア性フィルム。
- 前記無機物層が珪素の酸化物、窒化物もしくは酸化窒化物がスパッタ電力0.5〜3W/cm2のスパッタリングによって形成されている請求項11記載のバリア性フィルム。
- 前記多層フィルムの樹脂基材と無機物層の間に有機物層を持つことを特徴とする請求項8〜12いずれか1項記載のバリア性フィルム。
- 前記樹脂基材のガラス転移温度が200℃以上である請求項8〜13いずれか1項記載のバリア性フィルム。
- バリア性フィルムが、光学シート、表示素子用プラスチック基板、アクティブマトリックス表示素子用基板又は有機エレクトロルミネセンス表示素子用基板である請求項1〜14いずいれかのバリア性フィルム。
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