JP2006289884A - ガスバリア性積層体 - Google Patents
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Abstract
ガスバリア層の形成における膜質の制御は容易であり、連続で行っても特性バラツキが少なく、ガスバリア性が高度に優れるガスバリア性積層体を提供する。
【解決手段】
基材フィルム11にガスバリア層13及び無機層15をこの順に有し、前記無機層15の表面粗さRaが5nm以下、Rmaxが150nm以下であり、また、前記ガスバリア層13が金属薄膜で、好ましくはアルミニウム、ケイ素、チタンなどのいずれかで、厚さが0より大きく8nm以下であり、前記無機層15が、変性ポリビニルアルコール系樹脂の1又は複数を主成分とし、厚さが0.5〜10μmであることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
また、「遮断性」は「バリア性」、「PVD」は「物理気相成長法」、「CVD」は「化学気相成長法」、「LCD」は「液晶ディスプレイ」、「PDP」は「プラズマディスプレイパネル」、「パネル」は「素子」、「PVA」は「ポリビニルアルコール」、「EVOH」は「エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物」、及び「PET」は「ポリエチレンテレフタレート」の略語、機能的表現、通称、又は業界用語である。
フィルムとシートのJIS−K6900での定義では、シートとは薄く一般にその厚さが長さと幅の割りには小さい平らな製品をいい、フィルムとは長さ及び幅に比べて厚さが極めて小さく、最大厚さが任意に限定されている薄い平らな製品で、通例、ロールの形で供給されるものをいう。従って、シートの中でも厚さの特に薄いものがフィルムであるといえるが、シートとフィルムの境界は定かではなく、明確に区別しにくいので、本明細書ではシートとフィルムの両方を含めて「フィルム」と定義する。
しかし、Al膜はガスバリア性を有するが、金属光沢も併せ持つため、包装の外側から内容物が確認できないという欠点がある。内容物を確認すべく、Al蒸着の膜厚を減らせば透明性を上げることは可能であるが、同時にガスバリア性をも低下してしまう。
ガスバリア性積層体は、透明性があって、高度なガスバリア性を有し、しかも安定して製造できることが求められている。
また、電子デバイスの分野においても、電子デバイス用基板として従来、Siウエハやガラスなどの無機材料が広く用いられてきた。ところが、近年、製品の軽量化、基板のフレキシブル化、低コスト化、ハンドリング特性などの様々な理由から樹脂フィルムを主体とするの基板(以下、樹脂フィルム基板、又はフィルム基板という)が望まれるようになっている。
特に、有機ELや液晶といったディスプレイ用途では、透明でかつ耐熱性を有し、デバイスが酸化劣化しないような酸素のバリア性、電子デバイス内の必要な真空度を維持でき、ディスプレイの寿命を伸ばせるような酸素や水蒸気のバリア性を有するディスプレイ用樹脂フィルム基板用のガスバリア性積層体が望まれている。しかしながら、ディスプレイ用樹脂フィルム基板は、ガラスなどの無機材料からなる基板と比較した場合、一般的に表面粗さがあり、特に最大突起が大きく、かつその処理が困難であるという問題を有している。表面に突起があると、ガスバリア性膜にピンホールが発生しやすく、酸素や水蒸気のバリア性が十分に得られない。さらに、表面に突起があると、その面に形成する電極にも突起が生じて、有機EL素子などのディスプレイによっては、電極となる透明導電層に突起(凹凸)があると、断線したり、電流が短絡したりするという問題があった。
そこで、包装材料やディスプレイ基板に用いるガスバリア性積層体には、透明で、水蒸気や酸素などのガスバリア性に優れ、かつ、断線や電流短絡の原因となる突起(凹凸)が極めて少ないガスバリア性積層体が求められている。
しかしながら、酸化珪素や酸化アルミニウムなどの金属酸化物の蒸着膜、及び、酸化アルミニウムと酸化珪素の同時蒸着膜は、透明性とガスバリア性に優れているが、蒸着時に酸化反応を伴わせて、AlOxやSiOx(x=1.3〜1.9)などで示される酸化状態の膜質に制御して製造する必要があり、制御の微妙さから連続生産が難しく、また形成した膜の特性もバラツキが大きいという問題点がある。
このために、蒸着機内にモニタリングシステムを導入して工程を安定させるものが知られている(例えば、特許文献4参照。)。しかしながら、そのために高価な設備を要し、生産性が悪くなるという欠点がある。
請求項2の発明に係わるガスバリア性積層体は、基材フィルムの少なくとも一方の面に、無機層及びガスバリア層をこの順に有するガスバリア性積層体において、前記ガスバリア層の表面粗さRaが5nm以下、Rmaxが150nm以下であり、前記ガスバリア性積層体の全光線透過率が70%以上であるように、したものである。
請求項3の発明に係わるガスバリア性積層体は、上記無機層が、変性ポリビニルアルコール系樹脂の1又は複数を主成分とするように、したものである。
請求項4の発明に係わるガスバリア性積層体は、上記ガスバリア層が金属薄膜で、上記無機層が変性ポリビニルアルコール系樹脂の1又は複数を主成分とするように、したものである。
請求項5の発明に係わるガスバリア性積層体は、上記ガスバリア層がアルミニウム、ケイ素、クロム、モリブデン、スズ、インジウム、チタン、マグネシウムのいずれかで、かつ厚さが0より大きく8nm以下であり、上記無機層の厚さが0.5〜10μmであるように、したものである。
請求項6の発明に係わるガスバリア性積層体は、酸素透過度が1.0cm3/m2・24h以下、水蒸気透過度が1.0g/m2・24h以下あるように、したものである。
請求項3の本発明によれば、無機層の材料を限定することで、表面をより平坦性させることで、透明で、ガスバリア性に優れ、突起(凹凸)が極めて少ないガスバリア性積層体が提供される。
請求項4〜5の本発明によれば、ガスバリア層及び無機層の材料、又は材料と厚さを限定することで、表面をより平坦性させ、かつガスバリア層の形成における膜質の制御を容易とすることで、連続で行っても特性バラツキが少なく、ガスバリア性に優れるガスバリア性積層体が提供される。
請求項6の本発明によれば、酸素透過度が1.0cm3/m2・24h以下、水蒸気透過度が1.0g/m2・24h以下とすることで、より安定な特性を有する優れたガスバリア性積層体が提供される。
図1は、本発明のガスバリア性積層体の1実施例を示す断面図である。
図2は、本発明のガスバリア性積層体の1実施例を示す断面図である。
図3は、本発明のガスバリア性積層体の変形態様を示す断面図である。
また、図2に示すように、ガスバリア層と無機層を逆にした、基材フィルム11/無機層15/ガスバリア層13の層構成でもよく、要はガスバリア層13と無機層15とが接した1組を有していればよい。
(1)ガスバリア層と無機層との1組を複数回繰り返してもよく、例えば図3(A)に示すように、基材フィルム11/ガスバリア層13/無機層15/第2ガスバリア層23/第2無機層25の層構成でもよい。
(2)また、図示していないが、基材フィルム11/無機層15/ガスバリア層13/第2無機層25のように、1組のガスバリア層13と無機層15とに、他の層を積層してもよい。
(3)ガスバリア性の層を基材フィルム11の反対側に設けてもよく、図3(B)に示すように、第2無機層25/第2ガスバリア層23/基材フィルム11/ガスバリア層13/無機層15の層構成でもよい。このように、基材フィルム11の反対側にも層を形成することにより、片側だけ膜を形成した際に発生する応力を相殺或いは緩和して、加熱を含む後加工工程での歪み、反り(湾曲、カールともいう)などを防止することができるので、直角精度、寸法精度、部分場所における寸法精度が向上されることができる。また、例えば、電極形成などの後工程にて、必要とされるパターニング時のアライメント取りの不具合が解消される。さらに、フレキシブル性の偏りがなくなり、利用上の不具合がなくなる。
該ガスバリア層13面に、下記コーティング液をグラビアコーターにて走行速度80m/分で塗布し、乾燥温度135℃で乾燥させて、厚さ1μmの無機層15を形成し、実施例1のガスバリア性積層体10を得た。
・コーティング液:エチルシリケート25g、エタノール25g、2N塩酸1.86g、及び水1.51gを混合し、80℃で1〜2時間攪拌した。このとき、上記混合物のエチルシリケートと水とのモル比は1:1.51である。さらにエポキシシランを2.5gを加えて攪拌した。その後、PVAを10%含む水溶液を17.4g加え、さらに1〜2時間攪拌して透明となった時点でN,N−ジメチルベンジルアミン32質量%エタノール溶液0.1gを加えて、さらに攪拌してコーティング液とした。
・コーティング液:EVA(エチレン共重合比率32%)31g、n−プロピルアルコール101g、及び純水62gを常温にて1〜2時間攪拌し、さらにエチルシリケート4.1g、2N塩酸0.05g、n−プロピルアルコール0.4g、純水1.4g、N、N―ジメチルベンジルアミン0.05gを混合したのちさらに攪拌調整することで透明なコーティング液とした。
全光線透過率は、全光線透過率装置COLOUR−S&M−COMPUTER−MODEL−SM−C(スガ試験機株式会社製、全光線透過率商品名)を測定した。
水蒸気透過度は、水蒸気透過率測定装置パ−マトラン3/31(米国MOCON社製、商品名)を用い、40℃100%Rhの条件で測定した。
酸素透過度は、酸素過率測定装置オキシトラン3/31(米国MOCON社製、商品名)を用い、23℃90%Rhの条件で測定した。
なお、酸素透過度の単位は(cc/m2・day・atm)であり、また水蒸気透過度の単位は(g/m2・day)である。
比較例1では、基材フィルムの表面粗さがそのまま反映されており、Ra及びRmaxは大きく、全光線透過率は良いものの、酸素透過度及び水蒸気透過度は悪かった。比較例2では、Ra及びRmaxは良いが、酸素透過度及び水蒸気透過度は著しく悪かった。比較例3では、Ra及びRmaxはやや悪く、酸素透過度及び水蒸気透過度もやや悪かった。特に全光線透過率が70%以下で、透明性に欠けていた。比較例1〜3では、特性は悪いなりに安定していたが、比較例4では、特性の変動が激しく安定した生産ができなかった。
11:基材フィルム
13:ガスバリア層
15:無機層
23:第2ガスバリア層
25:第2無機層
Claims (6)
- 基材フィルムの少なくとも一方の面に、ガスバリア層及び無機層をこの順に有するガスバリア性積層体において、前記無機層の表面粗さRaが5nm以下、Rmaxが150nm以下であり、前記ガスバリア性積層体の全光線透過率が70%以上であることを特徴とするガスバリア性積層体。
- 基材フィルムの少なくとも一方の面に、無機層及びガスバリア層をこの順に有するガスバリア性積層体において、前記ガスバリア層の表面粗さRaが5nm以下、Rmaxが150nm以下であり、前記ガスバリア性積層体の全光線透過率が70%以上であることを特徴とするガスバリア性積層体。
- 上記無機層が、変性ポリビニルアルコール系樹脂の1又は複数を主成分とすることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載のガスバリア性積層体。
- 上記ガスバリア層が金属薄膜で、上記無機層が変性ポリビニルアルコール系樹脂の1又は複数を主成分とすることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載のガスバリア性積層体。
- 上記ガスバリア層がアルミニウム、ケイ素、クロム、モリブデン、スズ、インジウム、チタン、マグネシウムのいずれかで、かつ厚さが0より大きく8nm以下であり、上記無機層の厚さが0.5〜10μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のガスバリア性積層体。
- 酸素透過度が1.0cm3/m2・24h以下、水蒸気透過度が1.0g/m2・24h以下あることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のガスバリア性積層体。
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