JP2004009395A - 透明水蒸気バリアフィルム及びその製造方法 - Google Patents

透明水蒸気バリアフィルム及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】従来よりも高い水蒸気バリア性能を持ちかつ有機ELディスプレイや液晶ディスプレイの製造プロセスを通してもバリア性能が劣化しない透明フィルムを提供する。
【解決手段】樹脂基材上に、少なくとも無機物層/有機物層/無機物層で構成されたバリア膜を有する透明水蒸気バリアフィルムにおいて、有機物層がアクリロイル基以外に少なくとも1つ以上の極性基を有するジアクリレートを架橋させてなる樹脂を主成分とする透明水蒸気バリアフィルム。前記極性基は、エーテル結合及び/又はエステル結合であることが望ましい。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学部材、エレクトロニクス部材、一般包装部材、薬品包装部材などの幅広い用途に応用が可能な透明で水蒸気バリア性の高いフィルムに関する。
【0002】
従来、プラスチック基板やフィルムの表面に酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化珪素等の金属酸化物の薄膜を形成したガスバリア性フィルムは、水蒸気や酸素等の各種ガスの遮断を必要とする物品の包装、食品や工業用品及び医薬品等の変質を防止するための包装用途に広く用いられている。また、包装用途以外にも液晶表示素子、太陽電池、エレクトロルミネッセンス(EL)基板等で使用されている。特に液晶表示素子やEL素子などへの応用が進んでいる透明基材には、近年、軽量化、大型化という要求に加え、長期信頼性や形状の自由度が高いこと、曲面表示が可能であること等の高度な要求が加わり、重くて割れやすく大面積化が困難なガラス基板に代わって透明プラスチック等のフィルム基材が採用され始めている。また、プラスチックフィルムは上記要求に応えるだけでなく、ロールトゥロール方式が可能であることからガラスよりも生産性が良くコストダウンの点でも有利である。
【0003】
しかしながら、透明プラスチック等のフィルム基材はガラスに対しガスバリア性が劣るという問題がある。ガスバリア性が劣る基材を用いると、水蒸気や空気が浸透し、例えば液晶セル内の液晶を劣化させ、表示欠陥となって表示品位を劣化させてしまう。この様な問題を解決するためにフィルム基板上に金属酸化物薄膜を形成してガスバリア性フィルム基材とすることが知られている。包装材や液晶表示素子に使用されるガスバリア性フィルムとしてはプラスチックフィルム上に酸化珪素を蒸着したもの(特公昭53−12953号公報)や酸化アルミニウムを蒸着したもの(特開昭58−217344号公報)が知られており、いずれも1g/m/day程度の水蒸気バリア性を有する。近年では、液晶ディスプレイの大型化、高精細ディスプレイ等の開発によりフィルム基板へのガスバリア性能について水蒸気バリアで0.1g/m/day程度まで要求が上がってきている。これに応えるためにより高いバリア性能が期待できる手段としてスパッタリング法やCVD法による成膜検討が行われている。
【0004】
ところが、ごく近年においてさらなるバリア性を要求される有機ELディスプレイや高精彩カラー液晶ディスプレイなどの開発が進み、これに使用可能な透明性を維持しつつもさらなる高バリア性、特に水蒸気バリアで0.1g/m/day未満の性能をもつ基材が要求されるようになってきた。これらの要求に対し、有機層/無機層の交互多層積層構造を有するバリア膜を真空蒸着法により作製する技術がWO00/26973に提案されている。ドライプロセスである有機層の真空蒸着は、▲1▼溶媒を使用しないため高純度の有機物薄膜が得られる、▲2▼薄膜が容易に得られ膜厚制御性が良い、▲3▼異物などのコンタミが入りにくいなどの特徴を有している。また、有機層を真空下で形成できれば有機層/無機層を交互に積層する際に必要な常圧−真空を繰り返す工程を省くことができ、生産性も向上する。しかしながら、従来の有機層/無機層の交互多層積層構造からなるバリア膜を有機ELディスプレイや液晶ディスプレイ用のフィルム基材に適用しようとすると、その製造プロセスでの薬品処理工程や洗浄工程によって、有機層と無機層との剥離が生じてバリア性が低下する恐れがあった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、従来よりも高い水蒸気バリア性能を持ちかつ有機ELディスプレイや液晶ディスプレイの製造プロセスを通してもバリア性能が劣化しない透明フィルムを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、樹脂基材上に少なくとも、無機物層/有機物層/無機物層で構成されたバリア膜を有する透明水蒸気バリアフィルムにおいて、有機物層がアクリロイル基以外に少なくとも1つ以上の極性基を有するジアクリレートを架橋させてなる樹脂を主成分とする透明水蒸気バリアフィルムが、従来よりも高い水蒸気バリア性能を持ちかつ有機ELディスプレイや液晶ディスプレイの製造プロセスを通してもバリア性能が劣化しないことを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、
(1)樹脂基材上に少なくとも、無機物層/有機物層/無機物層で構成されたバリア膜を有する透明水蒸気バリアフィルムにおいて、有機物層がアクリロイル基以外に少なくとも1つ以上の極性基を有するジアクリレートを架橋させてなる樹脂を主成分とする透明水蒸気バリアフィルム、
(2)前記極性基がエーテル結合及び/又はエステル結合であることを特徴とする(1)の透明水蒸気バリアフィルム、
(3)前記ジアクリレートが、環状エーテル構造を有するジアクリレートであることを特徴とする(1)または(2)の透明水蒸気バリアフィルム、
(4)前記環状エーテル構造を有するアクリレートが一般式(1)で示されるジアクリレートであることを特徴とする(3)の透明水蒸気バリアフィルム、
【化2】
Figure 2004009395
(5)前記有機物層の厚みが、0.01μm以上5μm以下であることを特徴とする(1)〜(4)の透明水蒸気バリアフィルム、
(6)前記有機物層が真空蒸着によって製膜されてなることを特徴とする(1)〜(5)の透明水蒸気バリアフィルム、
(7)前記有機物層がUVによって架橋されてなるを特徴とする(1)〜(6)の透明水蒸気バリアフィルム、
(8)前記無機物層が珪素酸化物または珪素窒化物または珪素窒化酸化物を主成分とする(1)〜(7)の透明水蒸気バリアフィルム、
(9)前記樹脂基材のガラス転移温度が200℃以上である(1)〜(8)の透明水蒸気バリアフィルム、
(10)前記樹脂基材がポリエーテルスルホンまたはノルボルネン系樹脂を主成分とする(1)〜(9)の透明水蒸気バリアフィルム、
(11)樹脂基材上に少なくとも、無機物層/有機物層/無機物層からなるバリア膜を形成後に加熱処理をすることを特徴とする(1)〜(10)の透明水蒸気バリアフィルムの製造方法、
である。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明では、樹脂基材上に、少なくとも無機物層/有機物層/無機物層で構成されたバリア膜を形成することで、無機物の単一層だけでは達成困難な高い水蒸気バリア性を実現することができる。特に、無機物層と無機物層との間に有機物層を介在させることによって、無機物の単一層だけでは無くしきれない層構造の欠陥部分を有機物層が埋めて平滑化し、欠陥点の少ない第2の無機物層が形成され高い水蒸気バリア性が得られるものと考えられる。また、有機物層を介在させることにより、曲げに対するバリア性の劣化を抑制される。
本発明で用いる有機物層は、アクリロイル基以外に少なくとも1つ以上の極性基を有するジアクリレートを架橋させてなる樹脂を主成分とするものであれば、特に限定されない。極性基を有するジアクリレートを架橋させてなる樹脂は、無機物層との密着性に優れ、かつ耐薬品性に優れるため、この有機物層を用いた水蒸気バリア性フィルムは、有機ELディスプレイや液晶ディスプレイの製造プロセスでの薬品処理工程や洗浄工程を通してもその優れた水蒸気バリア性を維持することができる。
本発明で用いるジアクリレートが有する極性基としては、無機物層との密着性を向上させるものであれば特に制限されないが、例としては、エーテル結合、エステル結合、ウレタン結合、アミド結合、水酸基、などがあげられ、透明性や熱安定性の面からエーテル結合やエステル結合が好ましく、エーテル結合がより好ましい。
【0008】
エーテル結合やエステル結合を有するジアクリレートの好ましい例としては、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジアクリレート、エピクロロヒドリン変性1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリグリセロールジアクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、ビス(アクリロキシネオペンチルグリコール)アジペート等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性が優れた一般式(1)で示されるネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジアクリレートなどの環状エーテル構造を有するジアクリレートが最も好ましい。
【化3】
Figure 2004009395
これらのジアクリレートは単独で用いても、2種類以上を混合しても良く、これらのジアクリレートが主成分であれば1官能や3官能以上のアクリレートや他の反応性モノマーおよび/またはオリゴマーを併用して用いてもかまわない。
【0009】
有機物層の厚みは0.01〜5μmが好ましく、より好ましくは0.05〜3μmであり、最も好ましくは0.1〜2μmである。有機物層の厚みが0.01μmよりも小さいと欠陥部分を埋めきれずバリア性が低下するおそれがある。一方、有機物層の厚みが5μmよりも大きいと端面からの吸水によってバリア性が低下するおそれがある。
有機物層を形成する方法は特に制限されず、真空蒸着などのドライプロセスやディップコート、バーコート、スピンコートなどのウェットプロセスが適用できる。特に無機物層を真空下で形成する場合は、真空蒸着で成膜することが好ましい。有機物層を真空蒸着で製膜すれば、真空下で連続的に無機物層、有機物層、無機物層を積層できるためコスト的に有利となる。
【0010】
有機物層を成膜する方法として真空蒸着を用いる場合には有機物層に用いるジアクリレートには適度な揮発性を有することが好ましく、揮発性から考慮すると有機物層に用いるジアクリレートの分子量は200〜1000であることが好ましい。より好ましくは250〜800であり、さらに好ましくは300〜700であり、最も好ましくは300〜600である。分子量が200より低い場合、基材温度が上昇すると蒸着効率が低下するおそれがある。一方、分子量が1000を超えると揮発性が低いために蒸着困難となり、場合によっては蒸発する前に硬化するおそれがある。
【0011】
有機物層に用いるジアクリレートを架橋する方法としては特に制限はないが、設備が安価であることと、硬化が速いことからUVを用いて架橋することが好ましい。この場合、光重合開始剤を添加してもいるのが好ましい。
用いる光重合開始剤は、特に限定されないが、ジアクリレートを主成分とする樹脂を真空蒸着で製膜する場合は、ジアクリレートと揮発性が類似していることが好ましい。
光重合開始剤の例としては、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。これら光重合開始剤は単独で用いても2種以上併用してもかまわない。
【0012】
光重合開始剤の添加量はジアクリレートを主成分とする樹脂100重量部に対し0.1〜10重量部が好ましい。より好ましくは0.5〜7重量部であり、最も好ましくは0.8〜5重量部である。光重合開始剤の含有量が0.1重量部より少なくなると硬化が不十分となるおそれがある。一方、光重合開始剤の含有量が10重量部を超えると硬化は起こるものの脆い有機層となるおそれがある。
【0013】
本発明の無機物層は、透明で水蒸気バリア性を有するものであれば特に制限されず、例えばSi、Al、In、Sn、Zn、Ti、Cu、Ce等の1種以上を含む酸化物もしくは窒化物もしくは酸化窒化物などを用いることができる。中でも水蒸気バリア性と高透明性を両立させるには無機物層として珪素酸化物や珪素酸化窒化物を使うのが好ましい。珪素酸化物はSiOxと表記され、たとえば、無機物層としてSiOxを用いる場合、良好な水蒸気バリア性と高い光線透過率を両立させるためには1.6<x<1.9であることが望ましい。珪素酸化窒化物はSiOxNyと表記されるが、このxとyの比率は密着性向上を重視する場合、酸素リッチの膜とし、1<x<2、0<y<1が好ましく、水蒸気バリア性向上を重視する場合、窒素リッチの膜とし、0<x<0.8、0.8<y<1.3が好ましい。2層ある無機物層は、それぞれ同じ組成でも別の組成でも良い。
無機物層の厚みは、特に限定されないが、5nm〜500nmが好ましい。厚みが500nm以上では曲げ応力によるクラックの恐れがあり、5nm以下では膜が島状に分布する場合があり、いずれも水蒸気バリア性が悪くなる恐れがある。
無機物層の形成方法としては抵抗加熱蒸着法、電子線蒸着法、イオンプレーティング法、CVD法、スパッタリング法が適用でき、目的の無機酸化物、無機窒化物、無機窒化酸化物が得られる方法であれば制限はない。
【0014】
本発明の樹脂基材は特に限定されないが、例としては、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ノルボルネン樹脂、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリアミド、エポキシ樹脂、ポリイミド、ポリオレフィン等を使用することができる。特に、ガラス転移温度が200℃以上のノルボルネン系樹脂やポリエーテルスルホンは光学特性が良好で耐熱性が高く、有機物層無機物層形成プロセスにおいて高温処理による変形や劣化が無いので好ましい。
【0015】
本発明においては、樹脂基材と無機物層との密着性を向上させる目的で、樹脂基材と無機物層との間にも有機物層を設けることができる。この場合の有機物層は、樹脂基材と無機物層との密着性を向上させるものであれば特に限定されないが、好ましい例としては、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、イソシアヌル酸アクリレート、ペンタエリスリトールアクリレート、トリメチロールプロパンアクリレート、エチレングリコールアクリレート、ポリエステルアクリレートなどが挙げられる。これらのうち、特にイソシアヌル酸アクリレート等のように架橋度が高く、ガラス転移温度が180℃以上であることが好ましい。また、単独で用いても、2種類以上を混合してもかまわない。さらに、それ自体で比較的バリア性のあるPVA系やEVA系、ポリ塩化ビニリデン、もしくはこれらの樹脂の複数を混用することもできる。樹脂基材直上の有機物層については、その厚みの制限は特に無いが、0.01〜10μmが好ましい。
【0016】
本発明透明水蒸気バリアフィルムは、樹脂基板上に、少なくとも無機物層/有機物層/無機物層からなるバリア膜層を形成した後に、加熱処理することが好ましい。加熱処理をすることによって、無機物層と有機物層との密着性が向上する。加熱処理温度は、用いる基材と有機物層によって好ましい温度が異なるが、例えば基材にポリエーテルスルホンを用い、有機物層に環状エーテル構造を有するネオペンチルグリコール変成トリメチロールプロパンジアクリレートを用いた場合には、100〜200℃が好ましく、より好ましくは120〜200℃である。
【0017】
【実施例】
以下本発明の実施例について詳細に説明するが、本発明は、何ら下記実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
ポリエーテルスルホンフィルムにイソシアヌル酸トリアクリレート(東亜合成:アロニックスM−315)25wt%、ジエチレングリコール50wt%、酢酸エチル24wt%、シランカップリング剤1wt%からなる均一な混合溶液をスピンコーターで塗布し、80℃10分加熱乾燥後さらにUV照射で硬化させて2μmの樹脂層を形成した。つぎに、抵抗加熱端子及び電子銃を備えた真空蒸着機内に高圧水銀UVランプを取り付けた成膜装置の真空槽内に前記有機物層を形成したフィルムをセットし10−4Pa台まで真空引きした後に、電子線蒸着法により30nmの珪素窒化酸化物膜を形成した。その後、真空槽内の真空度が10−4Pa台で安定した状態で、有機蒸着源の抵抗加熱を開始し、不純物の蒸発が完了したところで蒸着シャッターを開き500nmの有機層を蒸着した。蒸着した有機層の組成は、環状エーテル構造を有するジアクリレートであるネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジアクリレート(KAYARAD R−604:日本化薬(株)製)100重量部に光重合開始剤(イルガキュア−651:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)を1重量部添加したものを用いた。蒸着シャッターを戻した後にUVランプのシャッターを開き、500mJ/cmの積算光量で硬化した。その後さらに電子線蒸着法による30nmの珪素窒化酸化物膜形成を繰り返し、樹脂基板/有機物層▲1▼/無機物層▲1▼/有機物層▲2▼/無機物層▲2▼の透明水蒸気バリアフィルムを形成した。形成された前記透明水蒸気バリアフィルムに真空下のまま加熱処理(130℃×1h+200℃×3h)を実施し、その後評価を行った。
【0018】
(比較例1)
無機物層▲1▼と無機物層▲2▼に挟まれた有機物層▲2▼の形成を行わない以外は実施例1と同様に、ポリエーテルスルホンフィルム上に有機物層▲1▼/無機物層▲1▼/無機物層▲2▼の形成を行った。
【0019】
(比較例2)
実施例1で使用したネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジアクリレート(KAYARAD R−604:日本化薬(株)製)の代わりに、アクリロイル基以外に極性基を持たないジシクロペンタジエニルジアクリレート(アロニックスM−203:東亞合成(株)製)を用いた他は実施例1と同様に、ポリエーテルスルホンフィルム上に有機物層▲1▼/無機物層▲1▼/有機物層▲2▼/無機物層▲2▼の形成を行った。
【0020】
(評価)
各フィルムの水蒸気透過度をJISK7129B法にて測定した。また、30mmφの棒に1回巻きつけた後、再度水蒸気透過度をJISK7129B法にて測定した。さらに、60℃95%RHの恒温恒湿槽にフィルムを24h入れた後、再度水蒸気透過度をJISK7129B法にて測定した。結果を表1に示す。
【0021】
【表1】
Figure 2004009395
【0022】
実施例1においては、いずれの評価結果も表示素子用としての要求特性を十分に満たしていたが、有機物層▲2▼を形成しない比較例1では、無機物層を2層重ねており厚みが大きくなる分、曲げに弱くクラックが入りやすいため実施例に比較して水蒸気透過度が増大したと考えられる。また、有機物層▲2▼が極性を持たないジアクリレートで形成された比較例2では、有機物層と無機物層の密着性が低いため、加熱加湿処理(60℃・95%RH×24h)により有機物層と無機物層の界面で剥離が生じ、水蒸気透過度が増大したと考えられる。
【0023】
【発明の効果】
本発明は、高い水蒸気バリアをもつ透明フィルムであり、しかも加熱加湿処理及び曲げを施しても水蒸気バリア性が低下しないという特性を持つものである。本発明のフィルムをたとえば表示用素子として適用すれば、軽くて割れないディスプレイが実現できる。また、薬品などの保存に適用すれば中身が見えて、落としても割れないような保存容器を実現することも可能であり、その工業的価値は極めて高い。

Claims (11)

  1. 樹脂基材上に、少なくとも無機物層/有機物層/無機物層で構成されたバリア膜を有する透明水蒸気バリアフィルムにおいて、有機物層がアクリロイル基以外に少なくとも1つ以上の極性基を有するジアクリレートを架橋させてなる樹脂を主成分とする透明水蒸気バリアフィルム。
  2. 前記極性基がエーテル結合及び/又はエステル結合であることを特徴とする請求項1記載の透明水蒸気バリアフィルム。
  3. 前記ジアクリレートが、環状エーテル構造を有するジアクリレートであることを特徴とする請求項1または2記載の透明水蒸気バリアフィルム。
  4. 前記環状エーテル構造を有するアクリレートが一般式(1)で示されるジアクリレートであることを特徴とする請求項3記載の透明水蒸気バリアフィルム。
    Figure 2004009395
  5. 前記有機物層の厚みが、0.01μm以上5μm以下であることを特徴とする請求項1〜4記載のいずれか1項記載の透明水蒸気バリアフィルム。
  6. 前記有機物層が真空蒸着によって製膜されてなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の透明水蒸気バリアフィルム。
  7. 前記有機物層がUVによって架橋されてなるを特徴とする請求項1〜6記載のいずれか1項記載の透明水蒸気バリアフィルム。
  8. 前記無機物層が珪素酸化物または珪素窒化物または珪素窒化酸化物を主成分とする請求項1〜7のいずれか1項記載の透明水蒸気バリアフィルム。
  9. 前記樹脂基材のガラス転移温度が200℃以上である請求項1〜8のいずれか1項記載の透明水蒸気バリアフィルム。
  10. 前記樹脂基材がポリエーテルスルホンまたはノルボルネン系樹脂を主成分とする請求項1〜9のいずれか1項記載の透明水蒸気バリアフィルム。
  11. 樹脂基材上に少なくとも、無機物層/有機物層/無機物層からなるバリア膜を形成後に加熱処理をすることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項記載の透明水蒸気バリアフィルムの製造方法。
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